2018年10月30日 (火)

今秋大注目! 1970年代のJBLの銘機「L100」が『 L100 Classic 』として復活!!

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
70年代に一世を風靡したJBLの銘機が『 L100 Classic 』として、半世紀ぶりに復活しました! ジャズをダイナミックに実体感を伴って、しかも十分な大音量で楽しみたいジャズファンにこそお勧めです!




■ 一世を風靡した「L100」

1971年発売の「L100 Century」は、JBLのプロフェッショナルシリーズ「4310」、後の「4311」「4311A」の民生用として登場し、1978年には「L100A」にモデルチェンジされた超人気ブックシェルフ・スピーカーでした。筆者も当時、オーディオシステムの購入に際して、「L100」にするかプロ用の「4311」にするか悩んだのを記憶しています。

「L100 Century」は、プロ用では当時最も小型の「4310」をベースに、信頼性・高音質をイメージしやすいプロ機のエッセンスを取り入れて開発された、同社初のプロ用と民生用の区分をまたいだ製品でした。その後の"43シリーズ"の大ブームにも繋がる、エポックとなったスピーカーでもあります。

70年代当時は、ジャズ・ポップス派はJBL、クラシック派はTANNOYとはっきり二分されていた時代であり、特にJBLは人気機種を多く抱えており、民生用では「L88 NOVA」「L64A」や大型の「L200」「L300」が人気を博し、プロ用モニターでは伝説の銘機「4343」を筆頭に「4325」「4333」そして「4350」など高価であったにもかかわらず、いずれも大ヒットしました。

そんな一世を風靡した「L100」が『 L100 Classic 』としてほぼ半世紀ぶりに復活したのです。それではJBLの持つ最新技術を投入して完成したという『 L100 Classic 』を詳しく見てまいりましょう。


■ 半世紀ぶりに復活! 『 L100 Classic 』

サイズがオリジナルより若干(幅2cm、高さ3.7cm、奥行2.2cm)大きめのミドルサイズのブックシェルフ型スピーカーです。一回り大きいのはオリジナルの123A(アルニコ)より、大型の新開発の30cmウーファーを搭載しているためのようです。25mm厚MDFによるウォールナット突き板仕上げで、内部はV字のブレーシング(補強桟)により強化されています。

また、本機で最も印象的なキュービック状になったフロントグリルのオリジナルデザインは、パラゴンやJBLのアンプのデザインを手掛けたアーノルド・ウルフ(当時JBL社長)によるものだそうです。『 L100 Classic 』では最新の耐候性(※オリジナルは経年変化でボロボロになった)を高めたQuadrex Foam製に変更され、しっかりした木枠フレームに取り付けられており、オリジナルの欠点を改善しています。カラーは、オレンジ(ORG)、ブラック(BLK)、ダークブルー(BLU)の3色から選べます。

輸入元のハーマンインターナショナルは、このグリルを装着した状態が本機のベストのサウンドだとしています。それは豊かな中低域をベースに、聴き疲れしない中高域を再現するすることで、ナチュラルな音質で音楽が楽しめることを目指しており、グリルを含めて本機のサウンドを決定しているとのことです。

次に使用ユニットについて順に見てまいります。

『 L100 Classic 』のために新開発されたウーファー「JW300PW8」は、2002年発売の「Project K2/S5800(バーチカルツイン)」に初搭載され、その後「4428」「4429」「4312SE」等に採用されたJBL史上最強の12インチ(30cm)ユニットと言われる1200FE系を、更に小音量から大音量に至るまでの低歪率化を図ったウーファーです。

具体的には、ピュアパルプ・コーンの振動板にJBL伝統のホワイトが映えるアクアプラス・コーティングを施すことで、剛性とダンピングをアップさせ、マグネットにはJBL独自のSFG(シンメトリカル・フィールド・ジオメトリー)磁気回路を採用し、最新の解析技術によって、大振幅時の対称性やリード線の動作まで最適化したとしています。細部にわたって徹底的に見直されています。

ミッドレンジ「105H-1」は、オリジナルの「L100」や「4312」ファミリーに搭載されていた5インチ(12.5cm)LE5系のユニットです。人気の「4312SE」にも採用され、コーン紙の裏面外周部にダンピング処理をして歪みを抑えた軽量パルプコーンが使用されています。変四角形のアルミダイキャストフレームも特徴的です。

クロス製で蛇腹状のアコーディオン・クロスエッジを採用することで、振動板の振幅が十分大きく取れ、JBLならではの中域の明瞭度を得たとしています。さらに耐熱性に優れたカプトン製のボイスコイルボビンを採用した銅線による25mm径のボイスコイルと、強力な大型フェライトマグネット採用の磁気回路によって、ダイナミックレンジがさらに拡大できたのです。

ツイーター「JT025Ti4」は1インチ(2.5cm)径ピュアチタン・ドームを採用しており、これはJBL伝統の明るく伸びやかなサウンドのために選択された最新バージョンです。フレームには穏やかな皿状のカーブをつけ、振動板上下に渡した凹みを持ったフェースプレート(イコライザー)と共に指向性をコントロールすることで、ミッドレンジとの繋がりがスムーズになったとしています。

その他には、フロントバッフルには、今となっては珍しいハイとミッドのレベル調整があり、リスニング環境やお好みに応じた調整が可能で、積極的に使って欲しい機能です。レベル調整ツマミの下にある大型のバスレフポート(スリップストリーム・ポート)は、開口部に大きなフレア(広がり)を設け、ポートノイズ(風切り音)や低音の強調感を低減しています。

ネットワーク回路にも最新のこだわりを見せており、高音質フィルムコンデンサーや空芯コイルを採用。リアの出力端子は伝統のシングルワイヤー仕様です。

そして『 L100 Classic 』専用のスタンド『 L100STAND(正式名:JBLJS120BLK) 』も用意されています。シンプルなスチール製ですが、仰角をつけツイーターの指向性軸をリスニング・ポジションに向けることで、周波数特性と音像・音場の最適化が得られるとしています。これは70年代の「L200」や「L300」にも見られた手法の復活とも言えます。

本機の設計者Chris Hagen氏は、JBLが誇る最新音響設計、新開発のユニットを投入することで、過去に同氏が関わった「4367WX」「4312SE」と同様に、高域から低域まで幅広いダイナミックレンジを持ちながら、バランスが良く、自然な音質を再現することに努めたとしています。Chris Hagen氏は、単なる銘機の復刻ではなく、現在に通じるサウンドを目指したのです。



■ 最後に
筆者としては、『 L100 Classic 』は、やはりクラシック音楽を品良く穏やかに楽しみたいクラシックファンにお勧めするのではなく、ジャズをダイナミックに実体感を伴って、しかも十分な大音量で楽しみたいジャズファンにこそお勧めしたいと思います。

まさに"これぞJBLサウンド"です。サイズを超えた音圧感とレンジ感でジャズの旨み、楽しさを再現してくれます。

スタイルこそノスタルジックですが、そこにはオリジナルには到底及ばない情報量を確保しつつ、JBLサウンドの伝統的な音楽の持つエッセンスやリアル感を兼ね備えているのです。

さらにオリジナルにはなかった空間表現力も獲得した、刺激感のないナチュラルサウンドは、最新の高音質ソフトにも十分対応してくれます。

"憧れのJBLサウンド"が、"憧れのデザイン"を纏って復活したのです。この秋最大の話題の一つであるJBL『 L100 Classic 』は大注目です。(あさやん)

2018年10月24日 (水)

ケンブリッジオーディオが日本市場に再参入! コストパフォーマンスに挑戦!! ~ 音楽をこよなく愛し、音楽そのものを楽しむという環境だからこそ生まれた製品 ~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、名門ブランドとして、英国のHi-Fiオーディオ界を牽引し続けている「ケンブリッジオーディオ」を取り上げます! 同社は「ミュージック・ファースト」の考えの基、ライフスタイルに沿った機能性と音楽性を追求した真に楽しめる高音質の両立を目指しています。




■ ケンブリッジオーディオの設立

CAMBRIDGE AUDIO(ケンブリッジオーディオ)の輸入元が、従来のナスペックからバリュートレードに変更になり、日本のオーディオ市場に再参入を果たしました。

ケンブリッジオーディオは、1968年にケンブリッジ大学を卒業したばかりの音楽好きの若きエンジニア数名によって設立されました。その歴史は50年にも及びますが、設立以来、名門ブランドとして英国のHi-Fiオーディオ界を牽引し続けており、今や世界45カ国を超える国々に製品を輸出し、世界でも有数のオーディオブランドとなっています。

同社は、現在ではハイエンド・ネットワークオーディオ製品を開発するほどの極めて高い最新のデジタル技術を持ちながら、音の芯にどこか人間の温かみを感じさせるサウンドを紡ぎ出しています。それが世界中のオーディオファンを魅了し続けているのです。

また、同社は「ミュージック・ファースト」の考えの基、ライフスタイルに沿った機能性と音楽性を追求した真に楽しめる高音質の両立を目指し、オーディオファンだけではなく、音楽ファンにも十分訴求力のあるリーズナブルな価格の製品を供給し続けています。


■ ケンブリッジオーディオ製品

ケンブリッジオーディオのオーディオ製品には、次の3つにシリーズがあります。

【1】エントリークラスの「Topazシリーズ」
日本のメーカーを含め、より個性的なオーディオ製品の購入を検討している方にピッタリの、コストパフォーマンスと高品質を兼ね備えた製品群です。音質を重視した入門機ではありますが、音楽の楽しみ方を大きく変えるそのサウンドは、本格的オーディオの世界へ誘ってくれる魅力的なサウンドを持っています。

【2】最新のデジタルHi-Fiを追求した「CXシリーズ」
デジタル世代のエンターテイメントに革命をもたらすべく開発されました。同社の伝統とデジタルに関する30年以上の経験の蓄積によって完成した製品群です。Hi-Fiはもちろんホームシアターでの標準機として、思わず息をのむような正確で繊細なオーディオパフォーマンスを実現します。

【3】オーディオパフォーマンスの頂点を目指した「Azur851シリーズ」
同社の最高級製品として、数千時間に及ぶテストと調整を繰り返し、一切の妥協を排し、「リファレンス」と呼ぶに相応しい圧倒的な性能を誇る製品群です。各コンポーネントは圧倒的な性能を有していますが、Azurシリーズ同士の組み合わせにより最大の性能を発揮するように設計されているとしており、究極のオーディオを目指しています。

さらに今後、最新の創業50周年記念モデルとして最新シリーズ「Edgeシリーズ」の発売も予定されています。


■ 「CXシリーズ」に迫る!

今回は、ケンブリッジオーディオの中堅機「CXシリーズ」を取り上げます。国産と十分戦える価格設定は、輸入元:バリュートレードの良心としたたかさを感じます。

「CXシリーズ」のオーディオ製品には、DAC内蔵プリメインアンプ「CXA60」「CXA80」、CDトランスポート「CXC」、ネットワークプレーヤー「CXN」があり、それぞれシルバーとブラックの2色が用意されています。

CDプレーヤーがラインナップされていないのは、アンプにDACを搭載していることに加え、同社は自社製品での組み合わせにこだわった結果でもあると思います。

【1】DAC内蔵プリメインアンプ「CXA60」Cxa60_2 DACチップには英ウォルフソン・マイクロエレクトロニクス(Wolfson)製のWM8740を採用し、PCM:192kHz/24bitに対応しています。ミドルクラスとしては十分な60W×2のパワーを備え、トロイダルトランスで構成される強力な電源部に支えられた安定した動作を実現しています。

入力は、アナログはRCAが4系統とステレオミニ・ジャック、デジタルはRCA同軸とTOSが2系統と充実しています。出力は、プリアウト(RCA)とサブウーハー用アウト(RCA)、ヘッドホン(ステレオミニ)端子が装備されています。DAP(デジタルオーディオプレーヤー)の接続やテレビの音声入力にも対応した親切設計です。

【2】DAC内蔵プリメインアンプ「CXA80」Cxa80_2 DACは「CXA60」と同じWM8740で、上級機として80W×2に増強され、余裕を持ってスピーカーを駆動できます。機能的には、XLRバランス入力とPC内の音楽ファイルが直接再生できるUSB-B入力が追加されています(RCAアンバランスは3系統)。

内部構成は、シングルペア・パワートランジスターによるAB級の出力段を持ち、シャーシの中央に配置されたトロイダル電源トランスの2次巻線以降を左右独立として、デュアルモノ構成としてセパレーションを向上させています。

【3】CDトランスポート「CXC」Cxc_2 国内では高級機を除いて選択肢がほとんどなくなってしまい、今や貴重なミドルクラスのCDトランスポートです。PCオーディオやネットワークオーディオが浸透した昨今ですが、日本においてはCDソフトを中心にディスク再生にこだわるユーザーが多いのが現実です。

CD再生に特化することで最適なサーボ回路が採用でき、優れた読み取り精度とジッターの低減が図れ、ディスクに刻まれた音楽情報を余すことなく再現することができたのです。またCD専用ドライブメカを採用したことで、昨今動作の遅いプレーヤーが多い中にあって、レスポンスの早い快適な使用感を実現しています。

単体の高音質のD/Aコンバーターがこれだけ普及したにもかかわらず、単機能のCDトランスポートが少なく、すでにデジタルプレーヤーを手放してしまって、お持ちのCDライブラリーを生かせていないユーザーも多いのではないでしょうか。そんな方にこそ本機をお勧めします。

【4】ネットワークプレーヤー「CXN」Cxn_2 PCやNASに保存した音楽ファイルをネットワーク経由でストリーミング再生が可能で、インターネットラジオなどにも対応しています。PCオーディオ用のUSB-B端子、同軸と光のデジタル入力も備え、D/Aコンバーターとしても使用可能です。

WolfsonのWM8740を2基搭載し、完全なデュアル駆動によりハイレゾファイル再生に相応しい優れたサウンドと、完全な差動モードで駆動するため、ジッターノイズを極めて低く抑えています。PCMは最大192kHz/24bitまで、DSDは2.8MHzが再生可能で、ギャップレス再生にも対応しています。

独自の高音質アップサンプリング・システムを採用し、MP3から192kHz/24bitまでの全てのデジタル入力信号を384kHz/24bitにアップサンプリングします。また、プリアンプとしても機能し、ボリュームを絞った際もデータのビット落ちを防ぐDSPによるデジタル領域でのボリュームコントロールを採用したとしています。



■ 最後に
ケンブリッジオーディオ「CXシリーズ」の試聴機での音質は、サウンド傾向は全体に非常にナチュラルな印象で、低域は弾力感があり豊かで、中域は滑らかで温かさがあり、高域はきめ細かく余韻の素直さが感じられました。強調感や緊張感のない落ち着いたサウンドは、音楽をゆったりした気分で心ゆくまで楽しめるものでした。最近の高解像度一辺倒の製品に、あまり魅力を感じない方にお勧めしたい製品です。

ケンブリッジオーディオのいずれの製品も、国内製品とは明らかに違うテイストを持ち合わせており、同社が提唱する「ミュージック・ファースト」を具現化した製品と感じました。音楽をこよなく愛し、音楽そのものを楽しむという環境だからこそ生まれた製品だと確信しました。そのかたくなな姿勢と技術力の高さこそが、ケンブリッジオーディオが世界ブランドとなれた理由だとも思います。

世に言われる「ジャパニーズ・サウンド」とは対極に位置する、音楽性に富んだ「ブリティッシュ・サウンド」がケンブリッジオーディオの魅力です。さらに、輸入元がバリュートレードになって価格が非常にリーズナブルになったのも大きな魅力です。いずれの製品も、海外製品としては異例な程の抜群のコストパフォーマンスを実現しています。(あさやん)

2018年10月22日 (月)

オーディオケーブルの"伝統と革新″に迫る Vol.2 ティグロンケーブル編 ~ 純度や素材の追求とは一線を画す ティグロンのケーブルとは ~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、前回の「キンバーケーブル」に引き続き「オーディオケーブルの"伝統と革新"に迫る Vol.2」と題し、特許技術を駆使してケーブル開発を行っている「ティグロンケーブル」を取り上げます。ティグロンは画期的な海外製の「ケーブル改善装置HSE」をいち早く導入し、この度、従来のケーブルラインナップのほぼ全てを「HSEシリーズ」にグレードアップしています。




■ ティグロン株式会社の歩み

ティグロン株式会社は、KRYNA PROとして2008年に設立、同年「TIGLON」ブランドのスピーカースタンドを発売。同社は制振効果とシールド効果が高いマグネシウムに関して高度なノウハウを持っており、翌2009年特許技術である「マグネシウムシールド」を取得したのです。2010年KRYNA PROからティグロンへ社名を変更しています。


■ 特許技術「マグネシウムシールド」(特許 第4282759号)


忠実な原音再生を実現するために、実用金属であるマグネシウムが備える高い電磁波遮断性、振動吸収性、熱発散性に着目しました。そのマグネシウムをシールド層の材料として採用し、ケーブルを介して侵入する外部ノイズの影響を限界まで排除することに成功し、理想の「マグネシウムシールド、ケーブル」を実現したのです。

近年のハイレゾブームもあって、銀を使って輪郭鮮明、超高解像度を狙ったり、異常な程に銅の純度や素材にこだわったケーブルが多い中にあって、ティグロンは最近のケーブルの主流でもある、高解像度(緊張感を伴うサウンド)を求めるのではなく、情報量は多いにもかかわらず、柔らかく心が和むサウンドを追求していると言います。

実際にティグロンは、導体にディップフォーミング無酸素銅(DF-OFC:米GE社が開発した誘電率101~102%の無酸素銅)を採用し、特許技術「マグネシウムシールド(第三世代)」を駆使して、電磁波や振動ノイズを遮断し、S/Nが良く、癖のない、リアルな音場空間の再現を追求してケーブル開発を行っているのです。


■ ディップフォーミング無酸素銅「DF-OFC」

ディップフォーミング無酸素銅「DF-OFC」は、かつて米ウエスタンエレクトリックがアンプの内部配線に使用していました。ティグロンは、国内に唯一残るディップフォーミング炉で製造した無酸素銅を使用することで、最新の導体では味わえない生々しいアナログサウンドを実現できたのだとしています。

更に、今回ティグロンのケーブルを取り上げた最大の理由でもある、画期的な海外製の「ケーブル改善装置HSE」をいち早く導入して、さらに進化したケーブル“HSEシリーズ”に全面刷新して各種ケーブルを発売したのです。


■ ケーブル改善装置「HSE」

ケーブル改善装置「HSE」は、正式にはハイパー・サチュレーテッド・エナジャイザーという名称で、欧米とアジアのケーブル技術集団とティグロンが共同開発した「超飽和電流型ケーブル活性装置」というもので、ティグロンが日本でいち早く導入しました。

具体的には、ケーブル導体に導体が電流飽和するような直流電流を流して、結晶粒界の酸化膜などを熱分解して除去し、多結晶の銅を単結晶に近づける効果があります。かつこの直流に、用途毎にプログラミングした特殊な振幅変調をかけることで、ケーブル導体を活性化するのだと言います。これは単なるバーン・イン(負荷試験)やエージングとは全く違うようです。

同時に発生する適度な熱を利用して、導体周囲の絶縁物や「マグネシウムシールド」などのシールド層が膨張し、柔らかくなって動きやすくなり、機械的なストレスも解消できるとしています。またケーブル全体が柔らかくなって配線の際の取り回しも楽になるのです。

この度ティグロンは、従来のケーブルラインナップのほぼ全てを“HSEシリーズ”にグレードアップしています。見た目の違いは熱収縮チューブにHES(Hyper Saturated Energizer)と印字されているだけです。


■ 試聴するHSEシリーズ3アイテム

早速自宅で、“HSEシリーズ”3アイテムを試聴しました。

【1】RCAラインケーブル「MS-DF12R-HSE」

導体にはディップフォーミング無酸素銅(DF-OFC)を使用し、シールド層には第三世代「マグネシウムシールド」を採用したハイコストパフォーマンスモデルのラインケーブルです。DF-OFCを使用することで、最新の導体では味わえない生々しいアナログサウンドを実現させたのです。RCAプラグには上位機種R10と同じオーストラリアKLEI社のプラグを採用し、定位感・解像度を高めながら癖の無い自然な音質を実現しています。

【2】XLRラインケーブル「MGL-X10-HSE」

ティグロン最上位のXLRケーブルです。導体には日立金属製HiFCを採用し、情報量と質感の向上を図っています。シールド層には「マグネシウムシールド」と「Mg(純マグネシウム)フィルター」を使用し圧倒的な静けさを再現しています。世界特許取得記念モデルでもあります。

【3】電源ケーブル「TCA-1.2W-HSE」

マグネシウムシールドを採用した最上位電源ケーブルです。2重の「マグネシウムシールド」構造、「Mgフィルター」をIN側に装着する事により圧倒的な静けさを実現しています。電源プラグにはジョデリカのピュアカッパーETP-960RH、ETP-930RHを採用し、格段に解像度、情報量、静寂感が向上しています。こちらも世界特許取得記念モデルです。


■ 試聴しました


自宅で試聴しました。

試聴して最初の感想は、以前に聴いた「HSE処理」のしていない従来製品との違いは想像以上で、いずれのケーブルも解像度は明らかに向上しているのですが、まったく神経質になったり耳障りになったりせず、ナチュラルで穏やかな癖のない上質サウンドでした。

瞬発力や音の粒立ちは明らかに向上しているのですが、これ見よがしの誇張感はなく、制動は十分効いており、ソース本来のリアルさが出ているとも感じました。密度感が高く、透明感も抜群で、音場の見通しがさらに良くなり、生々しく実在感もたっぷりでした。

S/Nが向上した結果、倍音が豊かに感じられ、音楽の抑揚感が増し、開放感が向上して音が伸び伸びしてきました。「HSE処理」によってケーブルの機械的なストレスが払拭され、ケーブル素材が本来持つパフォーマンスを引き出せた結果ではないでしょうか。



■ 最後に
今回の「HSE処理」の効果は想像以上でしたが、各ケーブルの価格アップは僅かであり、非常にお買い得感を感じました。デジタルソース、ハイレゾソースからアナログライクなサウンドを引き出したい方にこそお使いいただきたいケーブルです。(あさやん)

【エントリーでもその表現力は上位譲り】B&Wのニューエントリーライン600シリーズのご案内です!


みな様、こんにちは!
秋も深まり、オーディオ機器の各社新製品情報がちらほら出始め、ワクワクしているとうふです。
もう1ヶ月すると、東京のインターナショナルオーディオショウや、Joshinの本社がある大阪でも大阪ハイエンドオーディオショウ、オーディオセッション等のイベントが控えています。
今年も色々気になる製品の情報をキャッチしているので。。。今から楽しみですね!

さて、今回ご案内する製品は先日ご紹介したDALIの新スピーカー"OBERON"と同じタイミングで発表となった、B&Wのエントリー最新モデル"新600シリーズ"です。

B&Wの600ラインと言えば、
・リーズナブルな価格帯で展開しつつも上位モデルの技術を贅沢に採用
・B&Wの表現力の特徴をややデフォルメしつつも明快で解りやすい表現
が特徴と私は考えています。

本年発表の新600シリーズは世代としては数えて第6世代
その時々で価格以上のオーディオパフォーマンスを発揮して人気モデルとなってきたこの600シリーズ
期待をしないわけにはいきませんね!

では、新600シリーズの特徴を挙げていきましょう。
今モデルの最も大きな特徴として
①800D3シリーズから採用された新素材のコンティニウム・コーンをエントリーモデルにまで採用!
以前のモデルで採用されていた、黄色いケブラー・コーンからシックな銀色のコーンになっています。

②仕上げはマットブラックとマットホワイトの2色展開
マット仕上げの為、落ち着いた色味に仕上がっており、エントリーとは思えない"上質"な外観です。
※"ホワイトのスピーカー"と言うのは日本国内では不思議と不人気ですが、この仕上げは一度ご覧頂きたいです。

③そしてラインナップが
・トールボーイが1モデル
・ブックシェルフが2モデル
・センタースピーカーが1モデル
・サブウーファーが2モデル(発表が延期されています)
となり、旧モデルからはトールボーイのラインナップが縮小し1モデルになっている事です。

そんな新作の600シリーズの中からとうふが特にお薦めするのはこちら!

B&W
ブックシェルフ型スピーカー
606(マットブラック)【ペア】

ブックシェルフスピーカーの上位モデル、606です。

ユニットが刷新された事で600シリーズが持つ明快な表現はそのままに、
コンティニウムコーンの持つスピード感が上手くマッチして音キレと緻密さが大きく向上

一音一音がピシッと定まり、澄みやかでスッと音が通る。
旧モデルと比較すると、まだ元気さは残しつつも落ち着きのある表情で700シリーズに近い、"ハイエンドオーディオ"的な表現に至っています。
あえて録音の悪いソースを鳴らしても、上品にまとめ聴きやすい。
600シリーズの持つ"距離感の近さ"は持ちつつも緻密で精度の高い表現を楽しめます。

先日ご案内のOBERONが雰囲気を重視した表現とするならば、この新600シリーズは質感を重視した表現とも取れます。
価格はリーズナブルでありながらも表現力が大きく向上したニュー・エントリー・ラインのスピーカーたち。
スピーカーでお悩みでしたら是非候補の1つとしてご検討くださいませ!

その他の600シリーズはこちらより!

それではいつもお買い得な「Joshin Web」でお待ちしております。

2018年10月13日 (土)

オーディオケーブルの"伝統と革新"に迫る Vol.1 キンバーケーブル編
~ 純度や素材の追求とは一線を画す キンバーのケーブルとは~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、「オーディオケーブルの"伝統と革新"に迫る Vol.1」と題し、他のアメリカのハイエンドケーブルブランドとは一線を画し、ほぼ発売当時の製品のまま超ロングセラーを続けている、「キンバーケーブル」を取り上げます。同社のケーブル哲学や、ラインケーブル『 HERO/CU 』と、スピーカーケーブル『8TC』のご紹介もいたします。




■ キンバーケーブルとは


KIMBER KABLE(キンバーケーブル)は、1979年に現社長レイ・キンバー氏によって設立されました。研究所と工場を兼ねる本社は創業以来アメリカ・ユタ州オグデンに置かれています。同社のケーブル哲学は、価格と性能の相関関係において最も価値ある製品を開発・製造することで、「伝える信号に何も加えない、外部からの影響を受けない、外部に対しても影響を与えない。」としています。

そのポリシーの下、キンバーケーブルを最も特徴づけている「ブレイド(編み組み)構造」(※)により、外来ノイズの誘導を遮断し、一般的にはシールドで対処する所を、シールドは音を悪くするという理由から排除し、独自のテクノロジーを確立したのです。このため同社は独自の編み機を導入し、複雑な編み組みも自動で行うことが可能となったのです。 ※導体を逆方向に螺旋状に編み込む構造

また、絶縁体にも導体以上にこだわっており、エネルギーの残留をゼロとするため、各種テフロン(デュポン社のフッ素樹脂類の商標)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール、シリコン等ケーブルの特性に合わせて使用することにより、細密な音像とディテールの再現を目指しているのです。

導体には、銅ないし銀、さらにそのハイブリッドを使用し、そしてヴァリストランドと言われる複数の異なる径の導体を複合した撚り線も使用。ラインケーブルのコネクターやバナナプラグ、Yラグなども全てオリジナル品とし、ハンダにもこだわって最新装置を導入し、全品自社の熟練工が製造しているとのことです。

筆者は河口無線在籍中の90年代の終わり頃、当時の輸入元デノンラボの紹介でレイ・キンバー氏とお話する機会がありました。氏の印象は非常に真面目で誠実そうで、製品作りへの絶対的な自信と、製品の安定感と信頼性を最重視しているのだと感じました。当時の製品の完成度は非常に高く、完成品の電源ケーブルがまだあまり一般化していなかったのにもかかわらず「PK-10G」「PK-14G」(※)が飛ぶように売れたことを鮮明に記憶しています。※PSEの取得が必要なため、現在は輸入されていません。

あれから約20年近く経過していますが、同社は他のアメリカのハイエンドケーブルブランドとは一線を画し、ほぼ当時の製品のまま超ロングセラーを続けています。現在の輸入元D&Mがしばらくプロモーションを控えていたこともあり、最近は当時程注目されなくなっていました。しかし言い換えればそれだけ完成度が高かったとも言えるのです。


■ 『 HERO/CU 』

珍しい4芯タイプのケーブルで、信号ライン2本・グランド2本の強固に編み込まれたCQ-ブレイド構造を採用することで、通常のケーブルと比較した場合に、ブレイド構造の特長である、RF(高周波)ノイズのキャンセルとともに、音声信号の伝達性とリニアリティの向上が得られるのです。

編み組みスリーブには、上位シリーズ同様Tecflex(PET)が採用され、ケーブルのブレイドが正しい位置に固定されることで、磁気変調による直流抵抗を低減できます。これらにより『 HERO/CU 』は、十分な低域を含むリッチなサウンドと瞬発力のあるタイトなサウンドを両立できたとしています。

導体には前述のヴァリストランド高純度銅を採用。径の異なる導体を複合することで、ワイヤー内部で発生する共振や外部からの振動の影響を抑え、整った実在感のあるサウンドとなり、自然な減衰感が得られるのです。

また、高純度で線径の太い線材を使用していますが、単線に比べ柔軟性(取り回しし易い)があり、絶縁体には「空気の次に優れた絶縁体」と言われるフルオロカーボン(フッ素樹脂FEP=テフロン)の被覆が使われ、低損失で内部の導体にも影響を与えないことから、色付けのない透明なサウンドが実現できます。


アンバランス・ケーブルのコネクターには、ソリッドメタルで精密加工された同社オリジナルのULTRAPLATEを使用。接触面は高導電性と耐久性を備え、優れた伝送性能を発揮、中心部はフルオロカーボンの絶縁体と2分割したセンターピンで構成し、高性能を実現しています。一方バランス・タイプのXLRプラグには、信頼性の高いスタジオ・グレードのSwitchcraft製を採用して万全を期しています。

『 HERO/CU 』のサウンドは、同社のケーブル哲学通りのニュートラルなもので、低域や高域の強調感は皆無で、癖のようなものは全く感じませんでした。切れ込みがどうの、高域のアクセントがどうの、低域の量感がどうの・・・という最近のデジタルサウンドをことさら強調するようなケーブルとは全く違う方向性の、安定感・安心感のあるバランスの整った落ち着いたサウンドです。


■ 『 8TC 』




同社のお家芸でもあるへリックス・ブレイド構造を採用したスピーカーケーブル。『 8TC 』のへリックス・ブレイドとは、8+8で16本の導体を、±それぞれ反対の方向に螺旋状に編み込んでおり、複雑で美しい外観をしています。

これにより、外部干渉からのRFノイズのキャンセル、ケーブル自体からのノイズ輻射も防止するのです。またシールドを持たないため、伸びやかで開放的なナチュラルサウンドが得られるとしています。

へリックス・ブレイドは一般的なツイストペア(2本対で撚り合わせたケーブル)とは違い、へリックス・ブレイドではペア8組の導体を反対方向に撚り合わせることで、RFノイズのキャンセルだけでなく、ケーブルの直列インダクタンスを大幅に低減することができ、伝送特性、特に高域特性が大きく改善されるのです。


『 8TC 』は両端バナナプラグ(SBAN)仕様または、両端Yラグ(POSTMASTER33/7.0~8.75mm径に対応)仕様と、お好きなコネクタを後付けできる、端末処理なしのフリー(プリストリップド)が選択できるようになりました。またインターナル・バイワイヤー仕様(16本の導体を、高音域側8本、低音域側8本に分割して使用)も用意されています。

■ 最後に
そしてもちろん『 HERO/CU 』を含めキンバーケーブルのすべてのターミネーション作業(ハンダ付けやコネクタの取付け)は、米国の工場でのみ、しかも完全手作業で行われ、信頼性を確保しています。特にハンダ付けは最新の窒素支援型ハンダ付けユニット(ニトロゲン・アシスト)を使うことで、より低い温度でのハンダ付けを可能にし、空気を遮断してハンダ箇所の酸化を防止する従来より優れた方法で、音質向上を果たしたのです。

特に『 8TC 』は加工の難しいことで有名で、綺麗に仕上げることは至難の技でした。今回プラグ付きケーブルの製作作業は、すべて熟練のクラフトマンによって行われ、ケーブルの長さより端末と端子の圧着の強さでの抵抗値の変化も考慮して作られており、外観の仕上がりはもちろんのこと、音質にも大きな差となって表れているとしています。

サウンドは、キンバーケーブルに共通のナチュラルなもので、強調感や、はったりを感じさせない余裕のある伸びやかさ感じさせるものです。豊かな音楽性は、数あるケーブルの中での標準モデル(基準ケーブル)と言えるケーブルだと感じました。

お使いの愛機が本来持っているサウンドを全て引き出してみたい方にこそ、キンバーのラインケーブル『 HERO/CU 』とスピーカーケーブル『 8TC 』をお勧めします。(あさやん)


2018年9月22日 (土)

SOULNOTEフラッグシップD/Aコンバーター『 D-2 』が今、大注目!!
~ ESS製DACチップES9038PRO×4とフェムト・クロックにより具現化した究極のデジタルとは ~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
CSRがSOULNOTE(ソウルノート)ブランドを引き継いで丸2年。元気の無かった国内オーディオ市場に2016年には「A-1」「C-1」「A-0」、2017年には「E-1」「D-1」と、話題の製品を次々と投入し、少なからずミドルクラスのオーディオ市場を活性化してくれました。

2017年末にはアキュフェーズ、ラックス、エソテリックの御三家に対抗すべく、高級プリメインアンプ「A-2」とフォノイコライザー「E-2」を投入。ハイエンドオーディオ市場に参戦したのです。さらに今夏、フラッグシップD/Aコンバーター『 D-2 』がラインナップに加わりました。自宅での試聴を含めレポートしてまいります!


■ 『 D-2 』に迫る!

『 D-2 』の外観はSOULNOTEの一連の製品と同じく、オリジナリティのある立体的で重量感のあるアルミフロントパネルを採用し、筐体は「A-2」と同じ大きさで、重量は17kgにも達しています。プラチナム・シルバーとプラチナム・ブラックの2色が用意されています。

『 D-2 』の最大のトピックは何と言っても、業界で初めて"ESS製DACチップ「ES9038PRO」"を合計4個搭載し、それにSOULNOTEの得意技「完全対称無帰還ディスクリートアンプ」を組み合わせたことです。初代の「D-1」は「ES9038PRO」を左右独立で2個搭載していましたが、『 D-2 』ではチャンネルあたり2個を割り当てるという徹底ぶりです。



「ES9038PRO」は、IV回路(電流-電圧変換回路)も抵抗1本によるシンプルな回路とし、NFBを採用するアンプで生じるTIM歪(過渡相互変調歪)を排除できたのです。120mAの強力な電流出力を誇る「ES9038PRO」を片チャンネルあたりダブルで使用することで、"さらに自然で生命力に満ち溢れた音楽再生が可能になる"としています。なお、「ES9038PRO」は最高音質の得られるシンクロナスモードで動作させているとのことです。



そしてもう一つのトピックは、DDS(Direct Digital Synthesizer:マスタークロックの出力回路) に、超高精度のTI(テキサスインスツルメント)のPLLatinum™RFシンセサイザー「LMX2594」を採用していることです。

オーディオ機器では数10ps(ピコ秒)オーダーのジッター(クロック立ち上がり波形の揺れ幅)性能のDDS用ICが一般に採用されていますが、『 D-2 』では測定器やレーダー用に開発されたジッター45fs(フェムト秒:フェムトはピコの1/1000)という、世界最高レベルのスペックのオーディオ用DDSを同社として初めて採用したのです。さらに、SOULNOTEとして初めて10MHz外部基準クロック入力も装備しています。やはりデジタルの"肝"はクロックということなのです。

また、従来のFIR(デジタルフィルター)オーバーサンプリングモードに加え、デジタル領域における無帰還化とも言えるNOS(ノンオーバーサンプリング)モードを新たに採用。これにより、FIRオーバーサンプリングのインパルス応答では避けられないプリエコーやポストエコーが発生しないということです。

FIRオーバーサンプリングフィルター
でのインパルス出力波形
NOS モードでのインパルス出力波形
プリエコーやポストエコーはデータを補間するために前後のデータから演算で作り出した人工的な「音」であり、これにより正弦波などの波形は見た目滑らかになりますが、演算のアルゴリズムで音質が変わったり、時間軸的な曖昧さが付加されます。

これは極めて過渡応答性能に優れた無帰還ディスクリートアンプとのコンビネーションで初めて実現できる波形です。音楽波形は高さの違うインパルス波形の連続であるため、NOS モードにより時間軸情報の曖昧さが払拭され、時間軸に対して非常に敏感な人間の聴覚に、よりリアルで自然な音質、空気感をもたらします。(※なお DSD はNOS モードにはなりません。)

デジタル入力はUSB×1と同軸デジタル×2、AES/EBU×1で、USBでは768kHz/32bitまでのPCMと22.6MHzまでのDSDに対応しています。同軸デジタルとAES/EBUではPCMが192kHzまで、DSDは2.8MHzまでです。アナログ出力はXLR(5.6Vrms)とRCA(2.8Vrms)を各1系統を装備しています。




SOULNOTEのお家芸でもあるディスクリート完全対称無帰還差動アンプは、電源整流部も含めて左右チャンネル完全独立のツインモノコンストラクションを採用しています。音声信号や電源経路からコネクターケーブルを排除し、大電流を扱うトランスからの配線も最短化しています。また、各ステージの整流回路を独立させて、相互干渉を防止しています。

電源トランスには、ハイパワーアンプ並の400VAの2次側8巻き線の大型トロイダルトランスを本機のため新開発して搭載。あえてトランスを1個としているのは、振動源であるトランスによって生じる筐体の振動モードのシンプル化を図るためで、不要な振動はトランス直下のスパイク足から筐体外に排出するのだとしています。

動作モードは「STEREO」の他「MONO Lch」「MONO Rch」を選択可能。MONOモード時は反対チャンネル側のES9038PROを停止することで電源の余裕が倍増され、チャンネルセパレーションが事実上無限大にすることができます。

そしてもう一つトピックがあります。それは画期的なデータ転送方法である「Bulk Pet」を採用していることです。一般的にPC-AudioではIsochronous(アイソクロナス:定期的にPCとデバイスの間にデータが流れる通信)転送方式によってデータを転送しています。『 D-2 』ではインターフェイス社が新たに開発したバルク転送方式(※)とする事で、パソコンおよびD/A コンバーターの負荷の軽減が実現でき、再現する音質をさらなる次元へ導くとしています。Bulk Petを使用するには、専用ドライバーのインストールが必要です
※転送するデータの量と転送サイクルをコントロールする事で、転送するデータをできるだけ少なくして、連続的なデータ転送ができ、パソコンやD/A コンバーターの処理負荷を下げることができる。

なお、SOULNOTE製品は音質と安全性を最重視して回路電流を決めています。一般的にトランジスタの温度が高いほど性能が上がり、音質も良くなる傾向にあります。SOULNOTE製品は全て問題のない範囲で高めのトランジスタの温度設定としており、一般的な製品と比較して、セット温度は高めとなっています。

また、筐体、特にトップカバーやシャーシを防振し過ぎると、オーディオ再生のために必要な良い鳴きも止めてしまうとの考えから、音質を最重視して、あえてトップカバーやシャーシ等の防振は行っていません。叩くと素材の音がします。

これらは旧SOULNOTE時代から一貫しており、初めてお使いの方は、夏場の発熱量の多さやトップカバーを叩いた際に驚かれると思います。これらは全て音質のためなのです。


■ 試聴しました
『 D-2 』は自宅でも短時間ですが試聴を行いました。



梱包を開けた際の本体の大きさ、重さに圧倒されました。まさに物量投入型の最たるもで、ちょっとしたパワーアンプ並の筐体でした。D/Aコンバーターとしては異例な大きさで実に存在感のあるものです。

まずは、CDプレーヤーのデジタル出力を同軸ケーブルで接続しました。スケールの大きな安定感のあるサウンドで、アナログを彷彿とさせる立体的なサウンドで、生き生きとした自然で、吹っ切れ感のある、実に伸びやかなサウンドでした。

良い意味で国産屈指のハイエンドサウンドと言えるもので、圧倒的な情報量の多さ、細部の表現力、力強く伸びきった低音は、高精度クロック、強力な電源、そして何よりDACチップ「ES9038PRO」に負う所が大きいとも感じました。

ただ、ゆったり感や抱擁力と言うより、正確無比で、エネルギー感、スピード感、そしてデジタルの素晴らしさを、さらに追求したい方にお勧めします。これだけの説得力のあるD/Aコンバーターはかつて聴いたことがないと断言します。

USB入力でのPCオーディオでも同様の傾向のハイエンドサウンドで、「Bulk Pet」の効果も大きく、細部の表現、安定感、透明感には一日の長があり、PCオーディオのさらなる可能性を大いに感じさせてくれました。

国産最高峰のD/AコンバーターSOULNOTE『 D-2 』が、かつてない究極のデジタルサウンドを実現します。(あさやん)


2018年9月18日 (火)

MQA-CD特集 第5弾!! デジタルオーディオの最先端をひた走るカクテルオーディオ『 X45pro 』 ~ カクテルオーディオのミュージックサーバーがさらに大きく進化! ~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、MQA-CD特集 第5弾!!と題しまして、"MQA-CD"にも早々と対応した最新鋭のミュージックサーバー カクテルオーディオ『 X45Pro 』に迫ります!




■ ミュージックサーバーとは!?

韓国NOVATRON社はユニークなマルチメディア・オーディオシステム(ミュージックサーバー)の開発・製造を目的に2003年に創設され、Cocktail Audio(カクテルオーディオ)は、そのハイファイオーディオ製品専用のブランドです。

ミュージックサーバーという単語は、様々な解釈の仕方があるため、日本ではあまり浸透していませんが、厳密に定義すれば、「音源の管理(サーバー)から再生機能(プレーヤー)までを備えるオーディオ機器」と言うことができます。すなわち「ストレージ(データを保管しておくための補助記憶装置)内蔵ネットワークオーディオプレーヤー」と言い換えることもできます。

このミュージックサーバーのメリットは、「1台でデジタルオーディオ再生に必要なことが全て賄える」ということにあります。

アナログレコードやCDがメインソースだった時代は、ごくシンプルだったオーディオシステムが、PCオーディオやネットワークオーディオの時代になって複雑になってしまいました。

PCオーディオならパソコンやUSB-DACが必要で、加えて複雑な設定も必要になりました。一方ネットワークオーディオでは、ネットワークプレーヤーに加えて、サーバーの働きをするNASや、CDをリッピングしたりメタデータを整理するためのパソコンも必要になりました。

オーディオ機器ではないパソコンや、NASを含めた複数の機器を、USBケーブルやLAN接続しなければ、音が再生できないという状況になってしまったのです。これでは従来からのオーディオファンがPCオーディオやネットワークオーディオを「難しい」と感じるのは当然のことだと思います。

そんな中、カクテルオーディオのミュージックサーバーは、こうした複雑さを排除して、1台でデジタルオーディオの魅力を存分に手軽に味わえる製品として登場したのです。

CDのリッピング、メタデータの管理、そしてファイル音源やネットワークでのストリーミング再生はもちろん、CDソフトの直接再生まで1台で行えます。本体大型ディスプレイと付属のリモコンで快適な操作が行えるように設計されているため、別途タブレットやスマホを用意する必要もありません。

そんなカクテルオーディオのミュージックサーバーの現行全機種がファームウェアのバージョンアップによって、今話題の"MQA-CD"のダイレクト再生が可能となったのです。もちろんリッピングしての再生も可能です。

そこで今回は、最新鋭の『cocktailAudio X45Pro(以下X45Pro)』を中心に、カクテルオーディオのミュージックサーバーの魅力に迫ります。


■ カクテルオーディオ『 X45Pro 』に迫る!

現在、カクテルオーディオのミュージックサーバーは4機種(それぞれブラック・シルバーの2色合計8機種)あり、100W+100Wの大出力アンプまで内蔵した、まさにオールインワンの「X35」、機能的にも価格的にも中心的な存在の「X45」、D/Aコンバーター非搭載で筐体を大幅に強化してトランスポートに徹した「X50D」、そして高性能D/Aコンバーターを搭載した同社のフラッグシップとも言える『 X45Pro 』です。

同社メイン機種「X45」の上位モデルという位置づけですが、その外観にはかなりの違いが見られ、大型ディスプレイを中央に置き、CDスロットがそのディスプレイの上に来て、左右対称のスッキリしたデザインになっています。

また、13mmの極厚のフロントパネルを含め、全ての筐体が厚手のアルミプレートに精密な切削加工と、綺麗なブラスト処理(艶消し加工)を施した総アルミ仕上げとなり、上面パネルにはブランド名まで刻印されています。まさにハイエンド仕様と言えます。

機能面は「X45」と同じで、本体背面にストレージ(HDD/SSDドライブ)用のスロットを装備しており、2.5インチHDDやSSDは2TBまで、3.5インチHDDは8TBまで対応しており、それらを使い分けることもできます。

名前が示す通り、ネットワークに接続することで、プレーヤー機能、サーバー機能、さらにインターネットラジオ、TIDAL、Deezerなどのストリーミングサービスにも対応しています。

デジタル入力は、RCA同軸、TOSLINK、AES/EB、USBの4系統、デジタル出力は、RCA同軸、TOSLINK、AES/EBU、USB、HDMIの5系統を装備しています。さらにEthernet、USBメモリや外付けHDD用のUSB3.0×2、USB2.0を装備し、多彩なインターフェースが可能です。

アナログでは、RCA入力とPHONO(MMフォノイコライザー)入力が1系統ずつ、出力はXLRバランスとRCAアンバランスが1系統ずつ装備されています。さらにFMチューナーまで内蔵されており録音も可能です。

電源回路も「X45」より強化されており、アナログ系とデジタル系を分離し、アナログ系には大型のトロイダルトランスを採用。デジタル系のスイッチング電源も大型化されたようです。さらにトロイダルトランスとデジタル系の電源部はそれぞれアルミのシールドケースで覆うという徹底ぶりで、ノイズ干渉を抑えることで高音質を目指しています。

さて本機の最大のトピックであるデジタル系の内部構成を見てみましょう。

DACチップには言わずと知れた最新&最上位のESSの32bitタイプの「ES9038Pro」を1個、ステレオモードで搭載し、140dBものダイナミックレンジと低歪み、低ノイズを実現しています。因みに「X45」は同じESSの「ES9018K2M」です。

「ES9038Pro」には放熱器が付けられ、100MHzというマスタークロックが注入されています。元々発熱量が多い「ES9038Pro」ですが、あえて高い周波数のクロック信号を注入することで、更に発熱は増えるのですが、確実にジッターの低減とDA変換特性の向上が図れるとのことです。

この結果、現時点での再生フォーマットはほぼ網羅しており、PCM:32bit/768kHz、DSD:512(22.4MHz)、DXD:24bit/352.8kHz、HD FLAC:24bit/192kHz、HD WAV:24bit/192kHz、そして"MQA"などハイレゾフォーマットを含む様々なフォーマットに対応できたのです。

その他、同社の他機種との共通点は、
1) 内蔵CDドライブによる簡単CDリッピング。CD情報はFreeDBやGracenoteなどのサイトから取り込み可能。
2) 取り込んだ音楽データは、カバーアート表示、文字表示、使い易い検索機能などが可能な独自のミュージックデータベースに蓄積・管理。
3) PHONO入力(X50は非搭載) からアナログレコードを24bit/192kHzのハイレゾで録音可能。
4) フロントパネルには見やすい7インチの大型ディスプレイを搭載。操作画面、ファイル情報、カバーアートなどが表示可能。
5) 専用のリモートコントロールアプリNOVATRON「MusicX」をiOS/Androidなどのスマホやタブレットにダウンロードすることで、ネットワーク経由で操作可能。

■ 最後に
このように『 X45Pro 』は従来通りの使い易さに加え、内部構成の充実や筐体の強化により、他社製品を圧倒するハイエンド機器としてのパフォーマンスを獲得したのです。

さらに"MQA-CD"にも早々と対応した『 X45Pro 』こそ、デジタルオーディオの最先端をひた走る進化したミュージックサーバーです。これ一台で、いとも簡単にデジタルオーディオを極めることができます。

PC&ネットワークオーディオなどデジタルオーディオのパフォーマンスは認めつつも、その煩雑さにグレードアップを躊躇されていたオーディオファンにこそ、『 X45Pro 』をお勧めします。

カクテルオーディオのミュージックサーバーは、"MQA-CD"の魅力が最も手軽に高音質で味わえる最先端オーディオ機器なのです。(あさやん)

※カクテルオーディオの"MQA-CD"への対応内容は以下の通りです。DACを内蔵したX35/X45/X45Proでは、MQA-CDをフルデコード再生して、最大352.8kHz/24bitの信号をD/A変換してアナログ出力します。デジタル出力時は、MQAの規定に準拠したデジタル信号を出力します。DAC非搭載のX50Dについては、デジタル出力から、MQA規定に準拠したデジタル信号が出力されます。(新ファームウェアのバージョンはR1298です。)

2018年9月17日 (月)

【小さき存在の中でも王様の表現力】DALIのニュー・エントリーモデル"OBERON(オベロン)"のご案内です!


みな様、こんにちは!
ブログでは少しご無沙汰しておりました、とうふです。
暦は秋にさしかかり、そろそろオーディオ新製品が続々発表される頃でワクワクしますね!

そこで今回は先日発表されたばかりのDALIの新型スピーカー"OBERON(オベロン)"のご案内です。

オベロン、と言えばシェークスピアの戯曲『真夏の世の夢』に登場する妖精女王ティターニアの夫、妖精王の名前で有名です。
妖精王という立場からその他ファンタジー作品でも著名な存在なので、非常に耳馴染みのある名称では無いでしょうか。

さて、このオベロンですがDALIの製造コンセプトとして
・妖精のような可愛いらしい価格帯の中でも王たる表現力を込めて
・上位モデルに通じる技術をふんだんに採用し、DALIラインナップの上級モデルと同じく末尾が"ON"で終わるように
・呼び名の響き
等様々な条件から選ばれたそうです。
邪推ですが、『どちらかと言うと妖精王という意味は後付では。。。?』と思わなくもありませんね。

大きな特徴としては
①SMCマグネット・システムを採用したウーファーを採用。
フラッグシップモデルの"EPICON(エピコン)"から採用されたDALIの特許技術SMC(ソフト・マグネティック・コンパウンド)を採用。
エントリー向け価格帯でありながらも、フラッグシップモデルの技術を惜しみなく投入されています。


②大口径29mmツイーターを採用。
一般的に多い、25mmツィーターではなくやや大型の29mmツィーターを採用。
ツィーターを大型化することでミッドレンジ/ウーファーへの音の繋がりが向上し、自然でバランスのとれた中域表現を実現。


③4色の色展開
フロントがブラック仕上げの
・ダークウォルナット
・ブラックアッシュ
そしてフロントがホワイト仕上げの
・ライトウォールナット
・ホワイト
です。

更にフロントがホワイト仕上げのモデルは付属するサランネットも濃淡の組み合わせが美しい"マウンテングレイ"が採用されています。

家具でも著名なデンマーク・デザインが栄えますね。

新作のオベロンシリーズの中から特にお薦めはこちら!

ダリ
コンパクト・フロア型スピーカー
OBERON5(ライトオーク)【ペア】

DALIの得意としているコンパクトなトールボーイスピーカーです。

人気のあった"Tower(タワー)"から、"ZENSOR5(センソール5)"と連綿と受け継がれたDALIのコンパクト・トールボーイ・シリーズ。
他のトールボーイシリーズには無い、バランスの良さと質感の高さから派手さは無いながらも非常に根強い人気を誇るサイズのスピーカーです。
この"OBERON5(オベロン5)"にも期待しないわけには行きません!

その他のオベロンシリーズはこちらより!

それではいつもお買い得な「Joshin Web」でお待ちしております。

2018年9月 7日 (金)

遅れてやって来たアナログプレーヤーの雄! "プロジェクト社"のラインナップがさらに充実! ~ 本格的にアナログをやってみようとお考えの方にこそおすすめ! ~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、本物のアナログの世界を味わいたい方におすすめの"プロジェクト社"のプレーヤーをご紹介! その前に、ここ数年来の「アナログブーム」とは何だったのかを今一度、振り返ってみたいと思います。




■ アナログブームとは!?

アナログがここ数年ブームと騒がれ、一般のマスコミで次々取り上げられました。それにアナログ未経験世代が飛びつき、数千円から2~3万円台の普及クラスのプレーヤーが一時期爆発的に売れました。しかしこの1年ほどは、そのブームが嘘のように静かなアナログオーディオ市場となっています。完全にブーム以前の状態に戻ってしまった感さえあります。

この今回のアナログブーム(※)は何だったのでしょう?筆者なりに考えてみました。※アナログブームは2000年前後にも一度ありました。

ブームの始まりは2014年、オーディオファンがPCオーディオやネットワークオーディオ、一般の方はDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やスマートフォンによるヘッドホンリスニングが最普及期を迎えた丁度その頃でした。当時一部のオーディオマニアを除いては、誰もがそれらのデジタルサウンドで十分満足していたのでした。

そんな折り、アナログレコードを始めて聴かれた方がそのサウンドの魅力に驚き、SNSなど様々な媒体で、その噂が拡散された結果、マスコミが取り上げ、さらにブームに拍車が掛かったのだと考えられます。そして、中国製を中心にした廉価なプレーヤーが大量に出回り、ネット販売市場は言うに及ばず、街の最新グッズのお店やレンタル店など、あらゆるルートで販売されたのでした。

しかし、ブームとは"熱しやすく冷め易い"のが常で、昨年(2017)あたりから急速にそのブームは下火になってしまったのでした。

確かにアナログレコードは、デジタルに慣れた耳には温かく血の通った音に聞こえたのでしょう。でもそれは果たして、レコードが本来持っているはずのポテンシャルの何%出せていたのでしょうか。ペラペラのターンテーブル(プラッター)、非力なモーター、軽量で華奢なキャビネット、お粗末なカートリッジやアームだったのですから・・・。しかもレコードクリーナーなどのメンテナンス用品も往年の種類の比ではなく、しかもビギナーには高価過ぎたのでした。


■ プロジェクト社のポリシーは「ハイレベルな音質」を" リーズナブル "に!

そんなピークを過ぎようとしていた、昨年(2017)6月、プロジェクト(正式名Pro-Ject Audio Systems)製品の輸入元が、ナスペックからD&M(株式会社ディーアンドエムホールディングス)に引き継がれました。それは丁度プロジェクト社の創業25周年のタイミングと重なってのディストリビューターの変更だったのでした。

プロジェクト社は、創立者Heinz Lichtenegger(ハインツ・リヒテネガー)氏によって1991年にウィーンに設立されたオーディオメーカーで、同社のポリシーは"シンプル・イズ・ザ・ベスト"が基本で「ハイレベルな音質」を"リーズナブル"に音楽ファンに提供することだと言います。

また同社は、自社製品だけではなく世界各国のアナログメーカーに、プレーヤーやトーンアームを供給してきており、他社に比較してコストパフォーマンスに優れた製品が提案できるのです。もちろんプーリーや駆動ベルトなどのパーツ類も全部自社生産です。

再登場の第一弾は、ビートルズの伝説的名盤の誕生から50年を記念して作られた特別仕様の「ESSENTIAL-3SGT」で、それに続いて発売された『 The Classic 』が国内で大ヒットとなり、プロジェクトのプレーヤーがマニアの間で急速に注目を集めるようになったのです。※ブログ:「創業25周年記念の本格的アナログプレーヤー『 The Classic 』登場!!~プロジェクト・オーディオの輸入元がD&Mに!~」

『 The Classic 』は、懐かしい伝統的な箱形のフレームデザインを踏襲したモデルです。コンパクトでシンプルかつエレガントな少し懐かしさを覚えるようなデザインで、かつてのベストセラー機であったトーレンスの「TD166MKII」の「シンプルで洗練されたデザインのプレーヤーの再現」を目指したのだともされています。創業25周年記念のプレーヤーでもありました。

しかし『 The Classic 』は単にリバイバルや名器の復活を狙っただけではなく、各部に最新技術を投入して、それらを見事に昇華して製品化されていました。さらに究極の速度安定性を目指して、低ノイズのACモーターを利用したベルトドライブ方式を採用し、カップリング・インシュレーターや新設計のトーンアームを搭載するなど魅力的な製品となっています。

続いて、第一弾の「ESSENTIAL-3SGT」の原型モデルでもある「ESSENTIAL-3」(ブラックとレッドの2色)、ビートルズの伝説的ツアーのオリジナル・チケットとパンフレットのコピーをモチーフとしたデザインの特別仕様の「1964」を発売しました。

そして今年(2018)になって3月にThe Rolling Stonesとのコラボレーションモデル「ROLLINGSTONES」、続いて5月に『2XPERIENCE(正式名:2Xperience SB S-shape)』、6月に『1XPRESSION(1Xpression Classic S-Shape)』、さらに7月『XTENSION9(Xtension 9 S-shape)』と弟機『XTENSION9EVO(Xtension 9 Evolution)』と立て続けに発表したのです。

それでは『2XPERIENCE』『1XPRESSION』『XTENSION9』を順にレポートします。


■ 『2XPERIENCE』


ターンテーブルの設計に25年の経験を注ぎ込んだと言う「2Xperience」は、 ベルトドライブの概念に基づいて電子速度制御による精密モータの追加と、ハイエンド 9inch S字型トーン・アームを採用。創業者自身一押しのプレーヤーです。

筐体は密度が高く重量のある2種類のMDFを接着。プラッターのメイン素材もMDFで、サブ的にビニールを使っていると言います。理由はレコード自体と同じ素材で、これに勝るモノは無いとのことです。それはサンドイッチ構造をとっており、下の2層がMDF、その上に4mm厚のビニールを使っているのです。

そのビニールは、レコードプレスの会社から購入したリサイクルのビニールを溶解して、MDFの基礎部分と一体化(ターンテーブルマットとして機能)させた上で、MDFを肉抜きしてダイナミックバランスを取っているとのことです。これにより上位機のアルミに肉薄したプラッターになったとしています。

トーンアームには、日本人好みのスタティックタイプの 9インチ S字型アームを採用(ヨーロッパでは9割がストレートアームだそうです)し、素材のアルミパイプ特有の8~12Hzの低周波共振を避けるため、カウンターウェイトの取り付け方にも配慮したとしています。ターンテーブルはハイグロスブラック仕様で、アクリルダストカバーが付属しています。


■ 『1XPRESSION』


筐体がMDF製でハイグロスブラック仕上げでカートリッジレスです。同社としては初代「Pro-Ject1(1991年発売)」から数えて6代目にあたるプレーヤーです。ベルトドライブ方式で、低ノイズACモーターに効率的なモーターデカップリング、高精度DC駆動型ACジェネレータ(ACを一旦DCに変換し更にACにする)を採用し「最高の定速性」を得るとともに、AC電源のノイズの影響も排除しています。

トーンアームは8.6インチS字(寸法218.5mm)を搭載し、もちろんヘッドシェルは着脱可能で、3~9gのMM/MCカートリッジが装着可能です。新たに導入したジンバル設計ではカウンターウェイトが共振を減衰し、カートリッジの種類を問わず最適なパフォーマンスを実現します。

複雑なメイン・プラッター構造は、この価格レンジにはないもので、共振挙動を最適化するため、プラッターは300mm径のアルミニウム製で、アルミニウム合金のサンドイッチ構造には、最先端の熱可塑性エラストマー(TPE)を用いた低共振設計としています。

本体台座部のMDFとTPE採用のインシュレータで共振を減衰させており、インシュレータは高さ調整も可能です。ワウ・フラッターは0.14%と安定した回転を実現、もちろんダストカバー付きです。


■ 『XTENSION9』


もちろんいずれもベルトドライブで、筐体には金属顆粒を充填したMDFシャーシを採用して、高質量と非共振を実現しています。インシュレーターにはメインボディを台座から分離する磁気フットを採用、重量級16kgのプレーヤー本体とを組み合わせる事で、"重量負荷"と"浮遊するターンテーブル"の原理を兼ね備えたとしています。

プラッターは単一金属ではなく、熱可塑性エラストマー(TPE)で制振した合金を新たに採用し、リサイクルのビニールを上面に接着することで、マットの役割を果たし、サンドイッチ構成にした上で精密にバランスをとっています。重さは5.4kgにも達しています。

プラッターは、重量を軽減(6割程度)する目的で、マグネティック・フローティング方式(ネオジウムの反発を利用)をとっており、反転セラミック玉軸受(スピンドルの下にベアリングボールが付いている)を使って無音とも言えるほどの静粛さを確保しています。

さらに、800gの重量級のスタビライザーが付属しており万全です。回転数は33/45を電子制御でスピード可変が可能で、ワウ・フラッターは±0.01%と立派な数字です。もちろんダストカバー付きです。

『XTENSION9』は日本向けとも言えるアルミニウム製S字型トーンアームを搭載で、ヘッドシェルは着脱可能で、カートリッジ(自重:4.0~14g)の交換も可能です。キャビネットはこれも日本人好みの、ツヤ無しのウォールナット仕上げです。

一方の『XTENSION9EVO』は、内容的には『XTENSION9』と全く同様ですが、トーンアームは9インチのカーボンファイバー製(230mm)で4種の重量別カウンターウェイトが同梱されています。キャビネットはツヤのあるメープル仕上げになっています。


■ 最後に
この様にプロジェクトのアナログプレーヤーは、海外製としては価格設定がリーズナブル(ヨーロッパでの値札に近いとのこと)で、しかも日本のマニアが好む、海外製としては希有なS字型アーム(『XTENSION9EVO』以外)を搭載しており、カートリッジの使い分けができるプレーヤーです。

普及クラスのアナログプレーヤーからアナログの素晴らしさを実感され、これから本格的にアナログをやってみようとお考えの方にこそプロジェクトのプレーヤがおすすめです。

もちろんベテランのオーディオファンには、お持ちのカートリッジが使え、過去のDD(ダイレクトドライブ)では味わえなかった本物のアナログの世界がプロジェクトのプレーヤーで実現することでしょう。(あさやん)

2018年9月 3日 (月)

アキュフェーズ純A級パワーアンプ『 A-75 』その完成度に脱帽! ~ パワーアンプでもまだまだやることがあった!? ~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
アキュフェーズ純A級ステレオパワーアンプの最高峰「A-70」が4年ぶりにバージョンアップし、『A-75』としてこの夏登場しました。既に完成度が非常に高く、人気の前作「A-70」をどういうアプローチでブラッシュアップしたのか見てまいります。



■ パワーアンプの理想は純A級アンプ

純A級アンプは、アンプの動作方式としては、音質が最も優れている方式とされていますし、事実そうです。それは、アンプは増幅特性が入力に対してリニアである(入力信号に正比例した出力信号が得られる)ことが理想であるからです。

A級アンプは、増幅素子の入出力が比例する直線部分に動作点を設け、入力信号に対し、絶え間なくバイアスを与えることで、入力と相似の出力が得られ、交流信号の+と-を1本のトランジスタで動作させる「シングル」と呼ばれる方式をとります。ただ後述するように、『A-75』では「プッシュプル」構成をとり、A級60Wという大出力を得ています。

A級アンプは、音楽を鳴らしていない時でも常に一定のアイドリング電力を供給しなければならないため、電源効率が50%程度と低く、その分発熱量が多くなってしまいます。つまり電力の半分しかスピーカーを鳴らすためには使われず、あとの半分を熱として放出するという非常に無駄の多いシステムで、特に入力信号のレベルが小さいときほど熱に変換される損失分が増えるため、無音状態で最も熱くなってしまいます。

この効率の悪さこそ音質的には有利に働くことは確かで、過去には多くの銘機が存在しました。筆者も本格的にオーディオをやり始めて50年になろうとしていますが、原体験とも言えるヤマハ「CA-1000」以来、パワーアンプの理想はやはり純A級アンプとの思いが強く残っています。今から考えてもそれ程に音に説得力があったのです。

アキュフェーズもA級アンプに対して筆者と同じような考えを持っており、同社の資料には、「A級アンプが醸し出す魅力的な音色は、オーディオファイル憧れの的となっています。アキュフェーズは1979年に発売した「P-260」以来、これまでに約20機種のA級パワーアンプを開発し、そのノウハウは脈々と次の世代に受け継がれて来ています。」とあります。

『A-75』は同社フラッグシップの純A級モノラルパワーアンプ『A-250』の開発ノウハウを投入し、前作よりさらに高精細な表現力を目指し、音質検討を繰り返して完成させたとしています。


■ 【1】パワーMOSFET 10パラレル・プッシュプル構成のA級動作


図1

公式には発表されていませんが、今回MOSFETが前作から変更されているようです。それを 10パラレル・プッシュプル構成(図1:電力増幅段)とすることで出力を強化し、スピーカーを理想的にドライブできるとしています。

通常のプッシュプル構成では、交流波形の上半分をハイサイド素子で、下半分をローサイド素子で別々に増幅して大出力を得るのですが、『A-75』ではハイサイド素子・ローサイド素子の同じ出力を合算することで、A級でも480W/1Ω(音楽信号に限る)、240W/2Ω、120W/4Ω、60W/8Ωの安定したリニア・パワーを得ているのです。


■ 【2】ディスクリート構成によるフルバランス入力回路&フルバランス伝送化


図2

信号入力段を含めたパワーアンプ全体で、バランス・アンプを構成しており、入力端子からのアンプ内部の信号経路をフルバランス伝送化(図2:インスツルメンテーション・アンプ)しています。このため、機器内で発生する雑音を除去する能力やひずみ率などの諸性能に優れているだけでなく、周囲の環境変化に非常に強く、パワーアンプとしての安定度・信頼性が飛躍的に向上したとしています。


■ 【3】その他の前作「A-70」からの改善点

1)S/N比の改善
各回路の役割分担を明確にし、無理のない安定した性能を引き出すことで低雑音化を図り、S/N比、ひずみ率など諸特性が大幅に向上し、特にS/N比はゲインMAX時122dB(前作:121dB、因みに前作はその前作「A-65」から6dB向上させていました)、ゲイン -12dB時 128dB(127dB)という数字としては僅かですが、このレベルでは驚異的なS/N比のアップと言えます。

2)ダンピングファクター:1000を実現
スピーカーの駆動力を示すダンピング・ファクターは、8Ωのスピーカーに対してパワーアンプの出力インピーダンスがどの位低いかという値で、数値が大きいほどスピーカーからの逆起電力に打ち勝ち、スピーカーを駆動する能力が高くなります。本機では保証値として1,000以上(前作:800)を実現し、スピーカーの理想的な駆動を実現したのです。

3)新開発のケミコンを採用
これも公式にはアナウンスされていませんが、アルミ電解コンデンサーも性能や音質を重視して箔の材質やエッチング、電解液などを選び抜いた特注品を採用した100,000μF(前作:82,000μF)の超大容量型を2個搭載し、揺るぎない余裕度を誇っています。

4)"ガラス布フッ素樹脂基材(通称:テフロン)"基板を採用
電気的・音質的に重要な要素を占めている電力増幅段には、非常に高価で入手と加工が難しく、高周波特性が優れた素材のガラス布フッ素樹脂基材によるプリント基板(前作:ガラスエポキシ樹脂)を採用し、さらに音質と信頼性の向上を図っています。

5)見やすくなったバーグラフ・メーターを搭載
アナログ・メーターをシミュレートした動作によるバーグラフ(38ポイントLED表示)パワーメーターを装備。ドットを大型化し、指標を太くすることで視認性を向上させ、-50dBの表示(前作:-40dB)を可能にしました。


■ 試聴しました

日本橋1ばん館リファレンスルームでの『A-75』の試聴は、「DP-750」→「C-2850」→『A-75』→各種スピーカーで行いました。写真のようにまずは前作「A-70」との比較試聴から始めました。(上:前作「A-70」下:『A-75』)

「A-70」と比べて一瞬で静かだと感じました。“僅か1dB、されど1dB”を実感させられました。サウンドが澄みわたり見通しも良くなり、くっきり鮮明でした。声が瑞々しく息遣いも分かる程でした。

情報量も圧倒的で、ワイドレンジで音数がとにかく多く感じました。駆動力も前作を上回り、B&W「802D3」も難なくドライブし、特に低域の駆動力には一日の長がありました。

しばらく聴くうちに、写真のように見た目は余程詳しく見ないと分からない違いなのですが、正直その音を聞き比べるだけで「A-70」と『A-75』が分かってしまいました。このクラスの、しかもパワーアンプで、まだまだやることがあったのには驚きとともに、アキュフェーズの底力を感じました。(あさやん)


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