2019年5月24日 (金)

Zonotoneから、ハイエンドインターコネクトケーブルの進化形が登場!!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
音楽という芸術の感動を余すことなく再現! 今回は、Zonotoneから登場した、ハイエンドインターコネクトケーブルの進化形『 Shupreme AC-LX 』『 Grandio AC-1 』を取り上げます。


■ Zonotone(ゾノトーン)と前園俊彦氏
2007年5月にZonotone(前園サウンドラボ)が誕生して、早いもので12年になろうとしています。

創業者である前園俊彦氏(現社長:前園 力氏の父上)は、かつて山水電気、オルトフォン・ジャパンに在籍されており、日本のオーディオ界では超有名人です。

特に1990年秋、ortofonブランドとして日本で初めて「7Nオーディオケーブル」を商品化し、日本のオーディオ界は初めて線材、特に純度の重要性に気付かされたのでした。

以来、数々の革新的なケーブルを世に送り出してきましたが、前園氏が考える理想のケーブルを開発するため、一念発起して立ち上げたのが「Zonotone」ブランドだったのです。

前園氏の考え方はこうです。

いい音のためにはいい素材がどうしても不可欠であり、とにかく最初に"純度ありき" という考えが一貫してあるのだといいます。

それには、国産素材でなければならないともいいます。そこには日本人のDNAにある、妥協を許さない、品質への徹底的なこだわりがあるからなのでしょう。

そして前園氏の目標は、『 オーディオファイルの心を揺さぶる音楽の深い感動を追求する 』ことであり、その根底にあるのは音楽が好きでオーディオが好きという熱い想いです。

さらに、オーディオはお金持ちだけの趣味ではなく、普通のオーディオファイルの趣味として楽しんでもらうために、ケーブルは適価であるべきだともいっています。

Zonotoneケーブルがオーディオファイルにこれ程の信頼を勝ち得たのは、出てくる音に一貫性があり、Zonotoneならどれを選んでも安心だ!という暗黙の了解のようなものが、オーディオファイルの間にあるからだと思います。

このようなブランドは、ケーブル以外でもそうそうあるものではありません。そして、その信頼の裏付けとなっているのが「メイド・イン・ジャパン」です。

しかし、初期のZonotoneケーブルは、前園氏自身の好みの反映からか、比較的低域に比重を置いた、ピラミッド型の低重心の傾向が強かったのですが、最近の同社製品では、そのような傾向は完全に払拭され、広いレンジにわたってフラットレスポンスであり、高域が神経質になったり、低域が鈍重になることは全くなくなりました。

低域の力強さに肉付きの良い中域、魅力的な高域が加わった、実に説得力のあるハイエンドケーブルと呼ぶに相応しいサウンドになっています。

そんな中、昨年(2018年)の11月に登場したのが「新・最高峰」のインターコネクトケーブル「 7NAC-Shupreme X 」。

超高純度7NクラスCuを中心に、5種の異種・異径線材のハイブリッドで、ピュアで繊細、抜群の静寂感を備えつつ、豊かで濃密、臨場感をも併せ持つ、高忠実度と音楽性・芸術性を両立した国産には珍しいケーブルです。

海外のハイエンドケーブルなら、その何倍もの価格が付けられてもおかしくない程のパフォーマンスを備えています。

しかし国内のオーディオファイルからは、「最高峰モデルの廉価版が欲しい」という多くの声が同社に寄せられたそうです。

■ Shupreme AC-LX

写真は「Shupreme AC-LX-1.0RCA」

そこでZonotoneは、「 7NAC-Shupreme X 」のケーブルに使用されている導体素材や内部構造はそのままに、ケーブル外周に施されていた特殊銅スプリングによるシールドと、S/N改善用として装着されていたコモンモードチョーク・トロイダルコア(ファインメット)を採用しないことで、大幅なコストダウンを図って『 Shupreme AC-LX 』を完成させたのです。

また、「 7NAC-Shupreme X 」では、長さ2.0mまでしか対応できませんでしたが、本ケーブルでは、制限がなくなり長尺ものの対応が可能になりました。(1m以上0.5m間隔で特注可能)

『 Shupreme AC-LX 』の導体素材は、前述のように「 7NAC-Shupreme X 」と全く同じで、超高純度7NクラスCu、高純度銅特殊合金、高純度無酸素銅PCUHD、純銀コートOFC、高純度酸素銅の5種類の、しかも径の異なる線材を絶妙な黄金比でハイブリッドさせたものです。※下記断面図参照


ただ、線材だけで優秀なケーブルが完成するわけではありません。そこは、Zonotoneの豊富な経験と、積み上げたノウハウがモノをいいます。

特に、構造はオリジナリティに富んでおり、多種の線材と線径を組み合わせ、それらを絶縁して一つの芯線とするだけではなく、プラス・マイナス各4芯からなる導体を、中空パイプを介して周囲に配置するという画期的な新エアー制振構造を採用しています。これらをZonotone独自のDMHC(※)構造で組み上げられており、これこそ職人技といえます。

※DMHC(ディスクリート・マルチハイブリッド・ヘリカル/パラレル・コンストラクション)とは、大電力と共に千変万化する微細な信号を正確に伝送させるため、円筒状にまとった極太多芯導体をホットとコールドに分離・独立させた構造のこと。インダクタンス、キャパシタンスの低減化、位相歪み、高周波もしくは混変調歪み、クロストークなどの低減、帯域バランス特性等の改善、共振、電磁誘導、振動抑止対策、エネルギー損失の防止、等々に極めて高い効果を発揮するものです。物理的、科学的分析からではなく「耳による音楽性」を何よりも重視した結果だとしています。

サウンドは、密度感が高く、伸び伸びとしたダイナミックな面は残しつつ、中高域はディテールが細やかで生き生きとしたものになっています。

現在的な高解像度と、同社の伝統でもある実在感を伴う音楽性を十分に感じさせ、ハイエンドの名に相応しいケーブルとなっています。最高峰「 7NAC-Shupreme X 」に限りなく近づいていると断言します。

■ Grandio AC-1

写真は「Grandio AC-1-1.0XLR」

続きまして、抜群のコストパフォーマンスと魅力的な音質を誇る『 Grandio AC-1 』です。

ケーブルの心臓部ともいえる導体構成は、超高純度7NクラスCuを中心に、新素材の高機能純銅線HiFC、高純度無酸素銅線PCUHD、錫メッキOFC、高純度無酸素銅など、厳選された5種素材を黄金比によってハイブリッド。勿論構造は導体を生かしきるDMHC構造を採用しています。


この『 Grandio AC-1 』は、力強い鳴りっぷりが、特にJAZZファンに人気のあった「Blue Spirit」シリーズ(生産終了)と、発売当初ゾノトーンらしくないともいわれた、拡がり感・奥行き感が特徴の「Royal Spirit」シリーズの2つの「Spiritシリーズ」の良さを併せ持つ、同社としては新しいパフォーマンスを狙ったケーブルです。

Zonotoneの音づくりの原点でもある「Grandio」という名前にはとらわれず、素材・構造を再吟味し、試行錯誤の末に完成した音楽性豊かなケーブルだということです。

勿論、細部に至るまで仕上げも入念です。そこには、ハイレベルなサウンドのための同社のテクノロジーやノウハウが注入されています。まさに「Grandio」を超えた「Grandio」の誕生です。

『 Grandio AC-1 』は、「力強さ」「躍動感」「優れた解像力」「繊細なディテール表現」に加え、前方にせり出してくる「迫力あるサウンド」とスケールの大きな「拡がり感」、「奥行き感」が加味され、あたかも演奏会場で聴いているような臨場感・生々しさを体感できるでしょう。音楽の感動を求めるオーディオファイルのこだわりに応える会心作です。

端子は『 Shupreme AC-LX 』『 Grandio AC-1 』とも、RCAが精密一体加工によるコレットチャック方式で、キャップにはニッケルメッキ、ピンにはロジウムメッキを施しています。

XLRにはノイトリック社のプロ用端子を採用し、接触部分は金メッキ仕様で、端子最大径は20.5mmとなっています。

■ 最後に
Zonotoneのケーブルは、線材それぞれの特質を引き出しながら、それらを融合することで高次元な再現性を実現しているのです。そして、ケーブル作りで何より大切にしているのは、物理特性を超えた音楽性です。

今回ご紹介した『 Shupreme AC-LX 』『 Grandio AC-1 』は、単なる高忠実度再生を目指すのではなく、音楽の奥深さを引き出し、音楽という芸術の感動を余すことなく再現します。
(あさやん)

2019年5月17日 (金)

マッキントッシュの出力トランス搭載パワーアンプ『 MC312 』『 MC462 』の実力を探る!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、伝統のスタイルを身に纏い、8年ぶりにリニューアルしたマッキントッシュの出力トランス搭載パワーアンプ『 MC312 』『 MC462 』を取り上げます。


■ いつかはマッキン!
マッキントッシュのアンプに憧れを抱いている人、特に中高年の方には多いと思います。

かくいう私自身も「JBL4311」を使い始めた頃、当時人気の「4343」をドライブする「C28」「MC2105」の素晴らしいサウンドと、何よりプリの美しいフルグラスのイルミネーション、そしてパワーのブルーメーターの存在感に圧倒され、『 いつかはマッキン 』と夢見たものでした。

マッキントッシュは1949年、Frank H.McIntosh氏によって、米国ワシントンで創立されました。その後、現在のニューヨーク州に本拠地を移し、有名なGordon J.Gow氏とSidney Corderman氏がエンジニアに加わって、70年にも及ぶ同社の歴史の基礎を作り上げたのです。

そして、製品には恒久的な信頼性と安定性を、そのデザインには完全性と永続性を求めたのでした。

それこそが、マッキントッシュアンプの出力トランスを含む回路ポリシーと伝統的スタイルを、現在に至るまで継承させているのでしょう。

今回ご紹介します、パワーアンプ『 MC312 』『 MC462 』の2機種も、もちろんそれらを継承して製品化されています。

■ McIntosh『 MC312 』
型番の "3" が示すように、300W+300Wの大出力パワーアンプです。

2011年発売の前作「MC302」の後継機で、電源を中心に強化され、ダイナミックレンジの拡大を図っています。そのあたりを中心に見てまいりましょう。

本機には、スピーカーのインピーダンス(2~8Ω)に関わりなく、インピーダンス・マッチングが可能な出力トランス(オートフォーマー)が搭載されており、定格300Wで10Hz~100kHzという広い周波数レンジにわたって、均一な出力が取り出せます。

このため出力段素子には、電源投入時から最大パワー時までのバイアス電流を正確にコントロールするThermalTrak(サーマルトラック)トランジスタという特殊な素子を、1chあたり6パラレル・プッシュプル構成で使用しています。

このトランジスタは、一般的な足が3本の3ピンではなく5ピンで、その余分な2ピンにトランジスタの温度補償機能を持たせることで、一般的に行われるヒートシンクに外付けの温度補正デバイスを装着するのに比べ、速やかなバイアス電流補正と安定性が得られるのです。

さらに本機は、微小レベルから最大出力まで、0.005%以下という測定限界に近い、超低歪率特性を達成。

従来から、その音楽性には定評のあるアナログ音源はもちろんのこと、最先端のハイレゾ音源の再生にも十分対応できる最新スペックを、「出力トランスでの広帯域再生は難しい」という常識を覆して可能にしたのです。

その他、マッキントッシュが特許を持つパワーガードは、光の速度で入力信号を監視して調整し、アンプのオーバードライブを防止して、スピーカーが破損するほどの強烈な歪みを含むクリッピングをリアルタイムで防止します。

また、電流が安全な動作レベルを超える前に出力段を切り離し、動作条件が正常に戻ったときに自動的にリセットする、ヒューズレス短絡保護回路など、前作を踏襲しています。

前作からの見た目での大きな違いは、まず伝統的な従来のデザインを継承しつつ、McIntoshの「Mc」をあしらい、放熱効率を高めた新デザインのヒートシンクです。

そして、ピッチ(タール)を充填したトランスケース(ロの字型アルミ押し出し材とプレートがボルトで強固に固定)に収められ、シャーシ上に搭載された新型の電源トランスと出力トランスです。

これにより、トランス自体の密閉度と強度が高まり、振動抑制とメカニカル・ノイズを大幅に抑制できたとしています。結果、トランスケースに収められた電源トランスは、実に12.7kgにも達しました。

4個のフィルターコンデンサーもさらに大型化され、エネルギー容量は2倍以上となり、最新のデジタル音源が必要とするワイド&ダイナミックレンジにも余裕で対応可能な、ダイナミックヘッドルーム(定格出力を超える瞬間最大出力までの余裕)を2.3dB(前作1.8dB)に向上させたのです。

これら以外にも、特許の金メッキカスタム・スピーカー端子を2Ω、4Ω、8Ωの3組6個、設置間隔を広げてケーブル接続を容易にしています。内部配線材もより太いモノを採用し、信号伝達を一層確実なものにしているとのことです。

外観は従来の漆黒のガラスパネルや、鏡面仕上げのステンレスシャーシを継承していますが、フロントパネルのイルミネーションには広角LED(従来は狭角LEDを光ファイバーで分散)を採用して、照明の均一化を図り、より美しく仕上げられています。

■ McIntosh『 MC462 』
一方の『 MC462 』も、2011年発売の「MC452」からのモデルチェンジです。

『 MC462 』はフロントパネルに取っ手が付いて、さらにゴージャスになっており、内部も『 MC312 』とは違い、前作同様、全段完全バランス回路で構成されています。

もちろん、パワーも450W+450Wとマッキントッシュの伝統的筐体サイズのステレオパワーアンプとしては、最大級の超ハイパワーを実現しています。

本機では、バランス入力されたプラスおよびマイナスの信号(アンバランス信号は入力直後バランス信号に変換)は、完全にバランス増幅された上で、出力トランス内で結合され、出力されます。合計4つの増幅回路を持つことから、クワッド(4重)バランス回路と同社は呼んでいます。

電源トランスは新トランスケースに収められ、13.6kgに達しています。フィルターコンデンサーは前作の4個から6個になり、エネルギー容量が1.75倍に強化され、ダイナミックヘッドルームも3.0dB(前作1.8dB)に大幅に強化されています。

結果、ハイレゾ音源の高解像度、高ダイナミックレンジも忠実に再現できる実力を備えたのです。

■ 試聴結果

▲ 上「C-52」、下「MC-462」

『 MC462 』のサウンドは、展示のある日本橋1ばん館リファレンスルームで確認しました。マッキントッシュ プリアンプ「C-52」との組み合わせでの試聴です。

まず、前作「MC452」との違いを一言で言い表すと『 ガッチリ&スッキリ 』でした。

前作では、スピーカーによっては解像度が不足するケースもあり、多少大味で荒っぽさを感じることもありました。低域の迫力は十分あるものの、どうしても重心が低く鈍重になってしまう傾向もありました。

『 MC462 』は、そのハイパワーからくる力強さや骨太さは継承しつつ、低域の曇りがスッキリと晴れ、音程のしっかりしたズッシリ感で迫ってきました。中高域は当たりが良く、荒っぽさが消え、ヌケが明らかに向上しています。

低域から高域まで統一された音色で、堂々としたピラミッドバランスを実現してくれました。マッキントッシュ伝統の色合いの濃い、豊かなサウンドがグイグイと迫ってきたのです。

小音量時でも音痩せすることはなく、繊細さや静けさも前作より明らかに改善されたと感じました。その上で、大らかでゆったりした、余裕のマッキントッシュ・サウンドが聴けました。

これらの音質向上に大きく寄与したのは、何といってもピッチを充填したトランスケースに収められ、より強度を高め、振動を抑制した新型トランスの効果だと思います。

また、パワーの差とバランス回路以外は、同じポリシーで設計され、しかも100万円を切った『 MC312 』には、お買い得感さえも感じてしまいます。

音楽を心から愉しく聴かせてくれるマッキントッシュの説得力に、改めて感動させられました。

この『 見て良し、聴いて良し 』のマッキントッシュこそ、最近の価格が高騰したハイエンドの世界に一石を投じるとともに、改めてハイエンド・オーディオの醍醐味を感じさせてくれました。
(あさやん)

2019年5月10日 (金)

トップウイング(ENZO)扱いの「M2TECH」「XI AUDIO」より、大注目のデジタル機器登場!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。今回は、トップウイングが扱う「M2TECH」と「XI AUDIO」の画期的なデジタル機器2機種を取り上げます。


■ トップウイングが扱うオーディオ機器
最近、トップウイングの扱う海外ブランド製品が、次々ヒットを飛ばしています。

これは、同社代表 佐々木原氏の「目の付け所」が素晴らしいからで、いつも感心させられます。そして同社は、欧米製品に殊更こだわるわけではなく、「良いモノは良い」との考え方のもと、グローバルにアンテナを張って、話題の製品を発掘してきているのだと思います。

トップウイングの扱うピュアオーディオファンに人気のブランドは、「iFI-Audio」「M2TECH」、最近では「TELOS」、そして今回新たに「XI AUDIO(イレブンオーディオ)」が加わりました。その中から「M2TECH」と「XI AUDIO」の画期的なデジタル機器2機種をご紹介してまいります。

■ M2TECH フォノイコライザー機能搭載A/Dコンバーター『 JOPLIN MkIII 』


ハイレゾ登場以降、さまざまなフォーマットや伝送方式が次々提案されてきましたが、そんな中にあってヨーロッパ、それもイタリアに本拠地を置くM2TECHの製品は特に注目に値します。

開発者であるマルコ・マヌンタ氏は、世界的にもデジタルオーディオ界での重要人物で、そのユニークなアイデアとそれを具現化する高い技術力、そしてオーディオスタイルへの先見性には目を見張るモノがあります。

同社は、PCオーディオ黎明期、192kHz/24bit対応モデルが世の中にまだ少ない中にあって、USBメモリーサイズのUSB-DDC「HIFACE」を発売し、一躍脚光を浴びました。またマルコ・マヌンタ氏は、他のハイエンドブランドにデジタルモジュールを供給するなど、業界でその名を轟かせています。

M2TECHの考え方の基本にあるのは、ホーム・エンターテインメントのための革新的な製品を設計、製造し、販売することだそうです。

M2TECHの製品群の中でも、近年特に注目を集めているのが「Rockstarsシリーズ」で、D/Aコンバーター+プリアンプの「YOUNG MkIII」、ステレオパワーアンプの「CROSBY」、ヘッドホンアンプの「MARLEY」、フォノイコライザーの「NASH」、そして今回ご紹介しますフォノイコライザー機能搭載A/Dコンバーターの『 JOPLIN MkIII 』があり、いずれもロックスターの名が付けられ、人気製品になっています。

最新の『 JOPLIN MkIII 』は、2015年発売でフォノイコライザー・カーブの扱いに革新をもたらした「JOPLIN MkII」の後継機で、基本性能は継承しつつ、今回もあくまでA/D機能のみに特化して開発されています。その理由は、「D/Aコンバーターの選択肢を広げるため」だそうで、本機は世の中に数あるハイエンドD/Aコンバーターの実力を生かすためのソフト(アナログソースのデジタル化)を供給するための機器だという訳です。

前作ではS/PDIFやAESの仕様の制約から、USB出力はPC経由のみでしか192kHz/24bit以上のA/D変換ができませんでしたが、『 JOPLIN MkIII 』ではHDMIケーブルを用いたI2S(アイスケアエス)の採用により、PCM384KHz・768KHz、DSD256といった「超ハイレゾ」まで対応することができるようになったのです。

I2S入力を採用したD/Aコンバーターは、今の所まだ市場には多くはありませんが、M2TECHでは「Evo DAC Two Plus」、そして今回ご紹介しますXIAudio『 SagraDAC 』が同じI2S方式に対応しています。今後、USBやS/PDIFに代わってデジタル伝送の主流になる可能性も十分にあります。

そして、『 JOPLIN MkIII 』のメイン機能でもあるフォノイコライザーには、前作のLPレコード用16のカーブ、SPレコード用7つのカーブに、米国のクラシックレーベル「Bartok Records」専用カーブを加え、さらに充実(※)させたのです。
※この結果、1925年から1954年にレコードを製造していたほとんどのレーベルがカバーできました。

マルコ・マヌンタ氏は、オリジナル盤や初期盤の真の実力を正確に引き出すには、アナログ方式のカーブ補正には限界があり、100%正確な値を引き出せないと考えたのです。その結果A/Dコンバーター自体に、FPGA回路(設計者が構成を設定できる集積回路)で32Bit精度によるカーブ補正を行うフォノイコライザー機能を加えて製品化したのです。

前作からは、
  1. 入力インピーダンス設定を無段階のポテンションメーター(可変抵抗器)に
  2. より多機能なリモコンに
  3. 丸みを帯びた外装に
  4. 表示をレベルメーターつきOLEDディスプレイに
とそれぞれ変更し、グレードアップを果たしたのです。

さらに、通常のDC電源アダプターに加え、よりお買い得なオーディオ用高品位電源アダプター「iFi iPower Plus(15v)」とのセット製品『 JOPLIN MkIII & iPower Plus 』も同時に発売されました。

『 JOPLIN MkIII 』は、比較的低価格に抑えながら、曖昧さを残さない徹底したフォノカーブへの対応により、あらためてアナログレコードの真の再生のあり方を示した製品といっても過言ではありません。

レコード以外にも、カセットテープなどの豊富なテープライブラリーをデジタルアーカイブすることで、お持ちのD/Aコンバーターをさらに有効に生かせそうです。

■ XI AUDIO D/Aコンバーター《R-2Rラダー抵抗変換方式》『 SagraDAC 』【受注生産品】


XI AUDIOは、2017年にマイケル・シャオ氏によって設立されました。彼は長年、放送機器をはじめとした業務機のマネジメントを手掛け、かのナグラ・プロフェッショナルの責任者という経歴を持つ技術者です。

彼が手掛ける製品は、業務機としての質実剛健さに加え、音楽を楽しむためのエッセンスが組み込まれており、「真実の音」を表現するのが最大の目標だとしています。

XI AUDIOのアンプ(「Formula P1000」など)のボリュームは、全て11時(XI)の位置からスタートします。

これは、普通のアンプはボリューム位置がおおよそ11時よりも上で使うことを想定して設計されているのに対して、XI Audioは絞り切りでさえ、それらの性能を超えているという自信の表れだといいます。

また今回ご紹介します『 SagraDAC 』は、「サグラダック」と発音し、その名前は、マイケル・シャオ氏が感動したスペイン・バルセロナの《サグラダ・ファミリア》に由来しているそうです。

『 SagraDAC 』の最大の特徴は、前面パネルに書かれている「R-2R DAC」ということです。

「R」はRegister(抵抗)で、抵抗をラダー型に組み合わせたD/A変換部を持っていることを意味していますが、一般的には「マルチビットDAC」といわれているものです。その上で、一般的に使われるDACチップではなく、一部のハイエンド機で見られるディスクリートで組まれたDACを採用しているのです。

そのディスクリートのマルチビットDACは、デンマークのスークリス社製のもので、本機のために特注したものだそうで、0.012%精度の抵抗を216個も使用した高精度なもので、非常にコストの掛かる構成となっています。

本機に採用されたのはサイン・マグニチュード方式といわれるもので、抵抗値「R」と「2R」の抵抗を使い、1bitあたり2個の「R+2R」とするもので、結果大規模なものになってしまったのです。この価格に抑えられたのは驚異的でもあります。

PCオーディオには欠かせないUSB端子からのインプットに関しては、一般的に使われるXMOSではなく、イタリアのアマネロ社製のUSBコントローラーを採用しており、PCM384kHz/24bit、DSD11.2MHzに対応しています。なお、DSDは352.8kHz/24bitのPCM信号へ変換したのち、D/A変換されます。

デジタル入力はUSB(Type-B)以外に、BNC、AES/EBU、I2S(HDMI端子)が各1系統ずつ。S/PDIFが3系統(RCA同軸×2、光TOS×1)用意されています。アナログ出力は、RCAとXLRを各1系統装備されています。

電源もD/Aコンバーターとしては異例の規模で、大型のRコア・トランスを使用し、各セクションに対して9つの独立した高品位なアナログ電源を構成しています。

内部のアナログ回路はあえてシングルエンド構成としており、本機のXLR出力は最終段でバランス化され出力されています。これはバランス回路の場合、前述の「R-2R DAC」基板がもう1枚必要となり、電源構成も複雑化して音質面への影響が避けられないとの考え方からです。

この価格でマルチビットをディスクリートで組んだという、画期的なD/Aコンバーターの登場です。私自身、久々に食指を動かされました。そのサウンドはアナログライクなもので、本来の音源を脚色することなく、高解像度で模写するとしています。ハイエンドの風格もあるとのことです。大いに期待したいと思います。
(あさやん)

2019年5月 3日 (金)

特許機器《Wind Bell》から廉価版のインシュレーターが登場!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。今回は、特許機器(株)より、Wind Bell(ウインドベル)の廉価版インシュレーター『 AVC 』『 OS 』両シリーズが登場しましたので、取り上げます。


■ Wind Bellとは
Wind Bellの発売元は特許機器(株)で、その名の通り、非常にお堅い会社です。その為、製品開発は全て理論に基づいて行われ、これからレポートします新製品のご紹介も少し分かりづらいかも知れませんが、我慢してお読み下さい。

とは言え、どこかのアクセサリーメーカーとは違い、感覚や思いつきだけの製品開発ではないことはだけは確かで、十分信頼に値する製品だと思います。

本来、防振・制振・除振などの産業用分野で、世界に拠点を置いて活動している特許機器(株)が、民生用音響分野に参入したのが2013年11月で、その第一弾が「Wind Bell WB-30」になります。

翌2014年には、より大型の「WB-60」(現在生産完了)が発売され、「WBシリーズ」は、いずれも大ヒット商品となりました。

ただ発売当初から、「Wind Bellは欲しいが値段が高くて手が出ない」や「小遣いで買える程度のWind Bellが欲しい」との要望が特許機器(株)に相次いだそうです。

それらの要望に応えるべく、「WB」シリーズの高い性能を維持しつつ、大幅なコストダウンが図れないか、大いに悩み苦しみ抜いた末、新しいインシュレーターが開発できたのです。

それが後に説明します「3次元特殊支持構造」という業界初(特許申請中)の技術を搭載した『 AVC 』シリーズです。「低音域の有害な振動はカットして、高音域の有益な振動を効果的に活かす」という、「WB」シリーズと同じコンセプトに基づいた製品化です。

さらに、振動遮断能力に特化して、徹底的に低コスト化を図った『 OS 』シリーズも同時に開発されました。では、その開発に至った経緯から見てまいりましょう。

■ 低音域における振動遮断 ~ フローティング式で低コストを実現
これは、『 AVC / OS 』両シリーズに採用されており、同社が持つ量産加工技術のノウハウが活用でき、音響特性面から構造上の工夫をすることで、優れた振動遮断性能を維持したままで、大幅なコストダウンが図れたのです。

⇒ その結果
  1. 振動遮断特性は従来品(「WB-30」など)と同等レベルを達成
  2. スパイク式と比べて、400Hz近辺での振動を約-60dB(1/1000)遮断することができ、オーディオ機器と接地面が相互に干渉し合うこと(跳ね返り)によって生じる「混変調歪(再生音の歪みや汚れ)」の発生を回避できたとしています。
オーディオ機器は自ら振動を発生する振動源であるとともに、外部から床などを通じて様々な振動を受けています。その固体伝搬は、オーディオ機器の音質を低下させる最大の原因でもあります。

スピーカーではボイスコイルの反力が振動源となって床面全体を励起(れいき)させ、それが再び跳ね返ってきてスピーカーを振動させます。行きと帰りの2種類の振動が相互干渉することで、スパイクでは取りきれない「混変調歪」が発生してしまうのです。これが振動障害(固体音障害)による音質の低下で、Wind Bellの装着により固体音障害の抜本的な対策となるのです。

⇒ その結果
  1. 歪感が低減して、透明な音になる。
    原音には元来含まれない歪成分(混変調歪)が、剛体支持に置き換えることで激減します。
  2. 低音域の膨らんだ感触が消える。
    不自然に盛り上がっていた低音域の音圧レベルが全体が低下し、音像にまとわりついていた付帯音が取れ、背景のS/Nが向上し、静寂感がアップします。
  3. スピーカー本来の音が再生される。
    有害な振動が無くなることで、スピーカー本来の音質・音調をストレートに再生できます。

■ 高音域における音響特性の向上 ~ 3次元特殊支持構造(業界初)
低剛性の特殊非線形バネを使った新構造で『 AVC 』シリーズに搭載された画期的な技術です。

◆3次元特殊支持構造とは


  1. 高音域での減衰を抑制した「最適ダンピング特性」により、音楽に含まれる高音域の有益な振動をより効果的に活かすことができます。
  2. 水平方向に振動加振源を持つ、回転系のオーディオ機器に対して、機器の質量に依存しないで、有害振動の発生を防止することができます。

◆最適なダンピング特性の必要性
インシュレーターの振動系を単純化すると「支持する機器の質量」「バネ(剛性)」「ダンパー(減衰)」で構成されていますが、従来この「ダンパー特性」はあまり考慮されてきませんでした。Wind Bellはインシュレーターにおける「最適ダンピング特性」はどうあるべきかを考えたといいます。

  1. ゴムではゴムの粘弾性による過剰な制振作用で、音に生気を与える高周波成分まで減衰させてしまい、音の輪郭の曖昧な混濁した音質になります。これは「減衰過多」です。
  2. 逆に、減衰のないエアーで浮上させた場合は、振動が振り子のようにいつまでも止まらない状態になってしまいます。これは「減衰不足」です。

◆3次元特殊支持構造では
  1. 固体音障害をもたらす「低音域の有害な振動」を完全に消滅させます。
  2. 音楽的表現力を与える「高音域の有益な振動」を効果的に活かします。
すなわち、低周波領域では十分な減衰特性を有しつつ、原音に含まれる心地よい高域成分を活かすことで、音楽的表現力を豊かにするのです。

さらに遠近・左右、そして高さ方向にも3次元音場が拡大し、立ち上がりスピードも格段に向上することで、定位感まで改善されます。
そして、良く経験することですが、高音域の改善は低域の量感やエネルギー感をも向上させてくれるのです。

◆3次元特殊支持構造のもう一つの特徴は
インシュレーターが受ける質量に関係なく、低い水平方向の共振周波数が得られるといいます。搭載質量が5kg~50kgの範囲で変化しても、水平方向には7Hz以下の低い共振周波数を一定に保持できるのです。

水平方向の振動源となるのは、スピーカーのボイスコイル、アナログプレーヤーやCDプレーヤーのモーターなどです。

また、リスニングルームの床面は通常20~100Hzの固有振動を持っており、この床面振動さえ励起(れいき)しなければ、混変調歪みは基本的に発生しません。この結果、3次元のバネ構造は、軽量のオーディオ機器において特に有効で、有害振動の発生防止と音質向上に貢献するのです。

■ 要約すれば
  1. 『 AVC / OS 』両シリーズは、大幅な低コストを実現
    優れた振動遮断性能を維持したままで、低コスト化を図った新フローティング構造で、遮断性能は「WBシリーズ」と同等のフローティング効果を発揮します。
  2. 『 AVC 』シリーズは、業界初の技術「3次元特殊支持構造」を採用
    高音域の最適ダンピング特性と、水平方向の低固有値特性を併せ持つ、新原理を採用。
  3. 搭載機器とねじでの締結が可能
    M6やM8のねじによって、インシュレーターやスパイクが取り付けられているオーディオ機器やスピーカースタンドなどに、直接ねじで両シリーズとも締結ができます。

Wind Bellの新製品は、風鈴(※)構造を採用しなかったため、大幅なコストダウンができたのです。発売が遅れたのは、新構造の開発と特許申請に時間が掛かったからとのことです。
(※風鈴効果:風鈴の持つ高音域の共振特性を利用して、音楽が持っているノイズに埋もれるほど微弱な高域成分をアシストしてくれるという効果。ちなみに、風鈴に全体の7割のコストが掛かっていたとか・・・。)

『 AVC / OS 』両シリーズに採用された「低域振動遮断」効果は、使われた部材こそ違いますが、オリジナルのWind Bell「WB」シリーズと同等とのことです。

また、業界初の「3次元特殊支持構造」を採用した『 AVC 』シリーズは、回転系のオーディオ機器に効果絶大で、これは「WB」シリーズにもなかった効果です。

■ 自宅で試聴しました

自宅のCDプレーヤーで使っているインシュレーターはタッピングねじ式で交換不可能なため、『 AVC-25 』を3個使用して、3点支持でセッティングを行いました。

すると、中低域のヌケが格段に良くなりました。サウンド全体が立体的になって、前後感が出てきて、音場も広がりました。

声はまろやかになり、全体的に静かになったため、暗騒音まで感じられようになりました。MQA-CDはさらに歪み感が減り、透明度が明らかに向上しました。



次は、最も期待の大きなアナログプレーヤーです。トーレンス製ですので、元々インシュレーターがないのですが、『 AVC-25 』を四隅にセッティングしました。

すると、音場の見通しが良くなり、楽器の音像が浮き上がってきました。従来感じられたピアノの付帯音が消え、立ち上がりは明らかに良くなり、ダイナミックレンジまで拡大しました。また、シンバルが非常に澄んで聞こえ、S/Nが大幅に改善されたと感じました。



今度は、スピーカースタンドのスパイクを『 OS-50 』の上面のネジ穴に差し込む形でセッティングしました。

音出しの瞬間、低域のボンつきが改善しヌケが良くなりました。サウンドが弾んで、響きが綺麗に豊かになりました。音場も左右にスピーカーの外にまで拡がり、奥行きも出てきました。声はサラサラと滑らかになり、気持ちの良い肉声のような感覚でした。

■ 最後に
『 AVC 』シリーズは、今話題のヤマハ アナログプレーヤー「GT-5000」(発売は今秋予定)にも採用されたのことで、その実力は折り紙付きです。一方の『 OS 』シリーズは、振動遮断に特化してローコスト化を図っており、非常にお買い得感があります。

回転機器には『 AVC 』シリーズ、スピーカーを含めた非回転機器には『 OS 』シリーズ、そして可能ならば直接ねじで締結することをお勧めします。特許機器(株)曰く、効果は絶大とのことです。
(あさやん)

2019年5月 1日 (水)

クラスを超えたパフォーマンスに大注目!!『 DALI OBERONシリーズ 』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、お手頃な価格とクラスを超えたハイクオリティ・サウンドを実現した『 DALI OBERONシリーズ 』を取り上げます。

■ DALIのスピーカーについて
DALIは1983年、ピーター・リンドルフによりデンマークに設立されました。

同社は、北欧を代表するAudio Nordグループのスピーカー製造・販売部門で、DALIの名称は「Danish Audiophile Loudspeaker Industries」に由来します。欧米では、ハイエンドスピーカーブランドとして確固たる地位を築いています。

DALIは「オーディオ装置の存在を感じさせずに、もっと気軽に音楽を心から楽しんでもらいたい」という願いから、「Musical Emotion(音楽の豊かな感情)」を標榜し、研究開発をスタートしたといいます。

周波数特性を重視するだけではなく、位相特性にも着目し、ドライバーユニットとネットワーク回路の完全なマッチングを図るべく、一体となって開発。信頼性のあるパーツと確かな技術で入念に作り上げられ、低損失を実現したのです。

また、フラットなインピーダンス特性は、急激な負荷変動を与えない「アンプにやさしい」設計ともいえます。

そのDALIのスピーカーで、2011年の発売以来、世界規模でベストセラーを続けてきたエントリーモデルでもある「ZENSORシリーズ」(一説には日本国内での累計販売台数が10万台を超えたとか)は、オーディオ業界では珍しい7年以上も人気を保った希有なシリーズでした。

しかし、遂にフルモデルチェンジすることになったのです。

その後継である『 OBERONシリーズ 』は、「ZENSORシリーズ」のパフォーマンスを大きく上回るべく、DALIが創業以来35年に渡り培ってきた様々な技術的ノウハウを注ぎ込み、お手頃な価格とクラスを超えたハイクオリティ・サウンドを実現したのです。

『 OBERONシリーズ 』のラインナップは、ブックシェルフ型『 OBERON1 』『 OBERON3 』の2機種、トールボーイ型『 OBERON5 』『 OBERON7 』の2機種、センタースピーカー『 OBERON/VOKAL 』の1機種、そして今回新しく追加された壁掛けスピーカー『 OBERON/ONWALL 』の1機種で、全6機種です。

これらのラインナップにより、2チャンネルの純粋なハイファイ用としては勿論のこと、音質重視のホームシアターでの複数チャンネルのスピーカーに使用することで、音色の一貫性も図れたのです。

それでは、『 OBERONシリーズ 』で採用された技術を順に見てまいりましょう。

■ SMCマグネット・システムを採用したウーファー・ドライバーを装備
2012年発売、DALIの最上位機「EPICONシリーズ」で初めて採用し、その後下位モデルに順次採用されてきた「SMC(ソフト・マグネティック・コンパウンド)磁気回路」のウーファーが、このクラスで初めて採用されました。

SMCはコンパウンド状の砂鉄一粒一粒に科学的コーティングを施すことで電気的な絶縁性を確保し、電流歪を極限まで抑えたものです。


▲ウーファー内部の磁気回路

ウーファーユニットのポールピースの一部にSMCを使用することで、磁気回路内部で発生する磁気変調と渦電流を低減し、結果として1kHz付近の低い帯域の耳につきやすい3次高調波歪を10dB前後も改善でき、高音質化を実現できたのです。

このSMCこそ、DALIのスピーカーメーカーとしての地位を確固たるものにしたとも言える技術です。(「EPICONシリーズ」ではボイスコイルの外側にもSMCを採用しているとのことです。ここはやはりコスト面からでしょう。)

■ 4層巻CCAWボイスコイルを採用
ウーファーの駆動力強化のため、4層巻ボイスコイルを搭載。ただ、4層巻ボイスコイルは駆動力が向上する一方で、重量が増加し、中音域の特性が劣化する可能性も否定できません。そのため、従来より軽量なCCAW(銅被覆アルミニウム線)を採用することで、駆動力と音質向上の両立を果たしたのです。(ONWALLモデルのみ、2層巻ボイスコイル)

■ ウッドファイバー・コーン・ウーファー搭載
ウーファーの振動板には、DALIのトレードマークともいえるウッドファイバー・コーンを採用。均等な振動特性を持っており、偏った振動を抑えることで、正確かつナチュラルな音質を実現できたのです。この振動板は、高分子パルプと木の繊維(細かく砕いたウッドファイバー)を配合した複合素材で、表面にはクリアコートを施しています。エッジのラバーにもリニアで微妙な動きに対応する「ローロスタイプ(良く弾む)」を使用しています。

これにより、炸裂するようなハイレベルなサウンドから、微小な信号に至るまでリニアに反応します。『 OBERON3 』『 OBERON7 』には7インチ(180mm)ウーファーを搭載。通常、(「EPICONシリーズ」などの上位機)使われる6.5インチ(165mm)ウーファーよりも約15%ほど広い表面積を持つため、よりダイナミックな再生が可能となったとしています。

■ すべてのモデルに大口径29mmツイーターを採用
「EPICONシリーズ」では、29mmソフトドーム・ツイーターが新開発されましたが、『 OBERONシリーズ 』では、専用の29mmの超軽量シルクファブリック(絹織物)ツイーターが新規に開発され、全モデルに搭載されています。


▲ツイーターの内部構造

前作「ZENSORシリーズ」をはじめ、一般的な25mmのツイーターより大口径にすることで、大入力が可能で、従来より低い周波数帯域までカバーできたのです。

前述のSMCとの相乗効果で、ウーファーとの繋がりがよりスムーズになったとしています。これにより自然でバランスのとれた均質な中音域再生を実現できたのです。

ポールピースの上部にはソフトフェルトのアブソーバーが装着されており、このダンピング素材を追加することで、従来の簡単な構造のツイーターに使われる平坦なポールピースから生じる不必要な音の反射を抑制したとしています。

また、取付部にはワイドな拡がりを実現する新型ツイータープレートを装備しています。

■ 高剛性MDFエンクロージャー


エンクロージャーには従来機より強化された内部補強構造をもつ、高剛性MDFエンクロージャーを採用しています。内部の吸音材は2種類のものを使用(「ZENSORシリーズ」は単一素材)しており、モデルや配置箇所に応じて最適化しているとしています。

また、よりストレートな低域再生を実現するため、『 OBERON/VOKAL 』を除き、リアバスレフ・ポートを採用(「ZENSORシリーズ」はフロント・ポート)し、さらに『 OBERON1 』『 OBERON3 』『 OBERON5 』『 OBERON7 』のポート開口部を拡がりのあるフレア形状とすることで、エアフロー(空気の流れ)を改善し、ノイズの低減も図れたとしています。

■ 洗練されたデンマーク・デザインを採用
外観は大幅に刷新され、キャビネット・カラーは、ダークウォルナット(DW)、ブラックアッシュ(BA)、ライトオーク(LO)、ホワイト(WH)の4色展開となりました。

DWやBAのモデルはより精悍な外観へ変貌、新しく追加されたLOやWHのモデルはより洗練され、よりスタイリッシュになりました。

フロントグリルのデザインは4隅をラウンドとした斬新なものとなり、DW/BAのモデルにはシャドウブラック、LO/WHにはマウンテングレイのグリルが標準装備されています。

フロント・バッフルは、ブラックとホワイトともに、よりインテリアにマッチする、マット(艶無)仕上げに変更されました。

トールボーイ型の『 OBERON5 』『 OBERON7 』に標準装備された、不要な振動を抑制するアルミ・ベースも、従来よりエレガントなデザインになっています。なお、リアの入力端子は全機種シングル仕様となっています。


▲アルミ・ベース


▲シングル仕様の入力端子

■ 『 OBERONシリーズ 』のサウンドを日本橋1ばん館でじっくり確認しました。(日本橋1ばん館には『 OBERON1 』『 OBERON3 』『 OBERON5 』『 OBERON7 』が展示されています)
『 OBERON1 』


試聴室の中では高さ27.4cmは想像以上に小さく、本来の意味でのブックシェルフ型といえる寸法です。

しかし音を出した瞬間、「本当にこのスピーカーが鳴ってるの?」と思ったくらい低域がしっかりしており、量感も十分感じさせてくれました。特に、滑らかで自然なボーカルは、大型の高級機種でも難しいのではと感じました。

デザインも前作の「ZENSORシリーズ」より高級感があり、サウンドも落ち着きがあり、奥行き表現は明らかに上回っていました。クラシックにも十分対応できる貴重な小型スピーカーといえます。


『 OBERON3 』


『 OBERON1 』より一回り大きい、標準的なブックシェルフ型です。中域は更に充実し、低域の量感も見た目以上にしっかりしたものでした。

やはり大きさからくる余裕を感じさせ、さらに躍動感が出て来て、ジャズやポップス系の快活さも十分味わえます。ベースやピアノは力強くなり、オールマイティにどんな音楽でも楽しめそうです。


『 OBERON5 』


『 OBERONシリーズ 』の中では最もお買い得感のあるスピーカーです。小型トールボーイで場所を取らず、置き台も標準装備されていて、使い易いスピーカーです。

さすがにブックシェルフ型より更に低域が充実しています。全体にバランスが良く情報量も多いのですが、決してモニター的にさらけ出すタイプではなく、音楽の美味しい部分を上手く引き出してくれ、DALIのセンスの良さが感じられます。


『 OBERON7 』


さすがに大型だけあって量感たっぷりで、音楽を朗々と聴かせてくれます。超低域から超高域まで実にスムーズに伸び、密度感も十分感じさせてくれます。中高域の艶やかさや滑らかさはDALIの本領発揮と言った印象です。音場は広く深く透明で見通しが良く、スタジオの空気感まで感じられる程です。この完成度でこの価格は値頃感を感じます。

■ 最後に
『 OBERONシリーズ 』を聴いての筆者の印象は、そのC/Pの高さです。

前シリーズ「ZENSORシリーズ」との価格差はほんの僅か(『 OBERON5 』はペアで2,000円アップ)なのにも関わらず、オーディオ的にも意匠的にもかなりブラッシュアップされたと感じました。

「ZENSORシリーズ」の元気に張り出すタイプの音と違い、落ち着いたオーディオ的魅力を感じさせてくれるハイレベルな仕上がりのスピーカーでした。

デザインも上品なもので、北欧メーカーの落ち着きやセンスの良さを感じさせてくれました。日本家屋にもピッタリです。
(あさやん)

2019年4月29日 (月)

ヘーゲル 最新鋭プリメインアンプ『 H90 』『 H190 』の魅力とは?

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。今回は、ノルウェー発のハイエンドオーディオブランド「ヘーゲル (HEGEL)」の最新鋭プリメインアンプ『 H90 』と『 H190 』の魅力に迫ります。


■ ヘーゲル社とは
ヘーゲル(HEGEL)社は、Bent Holterによって、1997年にノルウェー・オスロで設立されました。社名の由来は、著名なドイツの哲学者ヘーゲルからきているといいます。

その理念は、アコースティック楽器を最も自然な音で再生することで、透明感や微細なディテール表現、抑揚感、臨場感あふれる描写力を追求しているといいます。そのため、半導体物理学の豊富な経験から、実際の音楽信号再生におけるトランジスタの動作を最適化させ、オリジナル音楽の忠実な再生を追い求めているとしています。

ヘーゲル製品は、自然なスタイルで音楽ソース(特に、アコースティック楽器やボーカル)をオリジナル同様に正確に再現することを目指し、人工的に手を加えられることも欠けることもないといいます。ヘーゲルシステムで奏でられる音楽は、生のスタジオセッションに非常に近いもので、音楽愛好家に最も自然な音、及び、可能な限り魅力的な音を提供し、自然で魅力的な音楽再生を実現するとしています。

また、ヘーゲル製品は創業当時から、そのドライブ力や音質が高く評価されており、JAZZファンにはお馴染みの音楽レーベル「ECM」のスタジオのリファレンスアンプとして採用されているとのことです。これこそ、信頼性を極度に要求されるスタジオで使用される程に、ヘーゲルの技術力が高いことを証明しています。

ヘーゲル製品の第一の特徴は、高度な研究結果に基づいた最新のオーディオ・シグナルプロセシング技術を活用していることです。最も特徴的なのは、独自の「Sound Engine(サウンドエンジン)」技術で、それは多くの異なるタイプの静的・動的歪みを取り除く特許取得のフィード・フォワード技術です。さらに、動的なクロスオーバー歪みを取り除くことにも成功しています。これらは、ヘーゲルの全ての機器に採用されています。

この「Sound Engine」こそヘーゲル設立の要因ともなったオリジナル技術なのです。

今回、ヘーゲルのプリメインを紹介されていただく理由は、国産プリメインと遜色ない価格設定を実現した上で、国産にはない魅力的なサウンドを聴かせてくれるためです。それでは、最新鋭プリメインアンプ『 H90 』『 H190 』の特徴を順に見てまいりましょう。

■ ヘーゲル DAC内蔵プリメインアンプ『 H90 』

まず、前作「H80」より価格が4万円も下がっていることに驚きました。前作同様にD/Aコンバーターを内蔵していますが、バランス入力がなくなり、パワーも75W+75Wから60W+60Wに抑えられています。そこには、前作以降の技術的進化を取り入れるとともに、機能を取捨選択することでコストダウンを図り、広くヘーゲルサウンドをアピールしたいという意気込みを感じます。

上級機「H360」で採用された独自の「DualAmp Technology(デュアルアンプ テクノロジー)」を採用しており、一般的なアンプでは、電圧利得段と電流利得段は同一のアンプモジュールとして設計されますが、「DualAmp Technology」では、これら2つの電圧と電流の利得段(ステージ)を、完全に独立した異なるものとして専用設計されています。

本来、電流利得段はスピーカーへの大電流を供給する役割を担っていますが、この2つのステージを分離させることにより、スピーカー駆動の大電流に起因する影響が、感度の高い電圧利得段のパーツへ及ぶのを防いでいるのです。これは、プリメインアンプの形式を取りつつ、セパレート化したともいえ、更なる低歪み率と高ダイナミックレンジ特性を実現したのです。

また電源部でも、電源トランスの巻線を別にすることで同様の構成(デュアルパワー電源)をとって、電流増幅の影響を回避しているとしています。高品位でハイスピードな電源も、同社の従来からの特徴でもあります。

出力段はバイポーラ・トランジスタによるシングル・プッシュプル(PP)動作で、前述の「Sound Engine」という一般的なNFB(ネガティブ・フィードバック:負帰還)ではなく、フィードフォワード(出力に影響するような歪みを予測し、前もって打ち消してしまう制御方式)での補正回路を採用しています。

このフィードフォワード補正回路の動作原理は、PP動作を構成するNPN型とPNP型の非対称の特性をもつトランジスタでは、どうしても避けられないクロスオーバー歪みや混変調歪みを解消するための技術です。一般的に使われるバイアス電流の調整では、実際の音楽信号自体が非対称であるため、効果がないとの考えから開発されたといいます。

本機ではこれまでの製品より、これをさらに進化させており、さらなる低歪率を実現し、ダンピングファクターも前作「H80」の1000から2倍の2000にまで向上させています。

ボリュームには、高周波測定器レベルのテクノロジーに基づいた高精度で低ノイズレベルの電子ボリューム(※)が採用されています。スピーカーターミナルは1系統ですが、このクラスとしては贅沢なWBT製が使われています。※2013年のノーベル賞のヒックス粒子検出に採用された技術を応用

入力系では、バランス入力をなくした分、Ethernet(LAN)入力が採用されたのですが、本機は前作同様にD/Aコンバーターが搭載されており、従来の光(TOS×3系統)/同軸/USBにEthernetが加わることで、ネットワーク再生にも対応することになったのです。

光/同軸は、192kHz/24bitに対応。USB入力はドライバーなしで再生可能な96kHz/24bitまでにとし、あえて高スペックを目指すのではなく、コンピューター上のプレイリストでの再生では、プレイ/スキップ/ポーズを付属リモコンで操作できるという親切設計です。

フロントパネルには上位機種と同じ、有機ELディスプレイやヘッドフォン出力端子を装備しており、入力ソース切替およびボリュームコントロールは、コンパクトな付属リモコンで可能です。フロントパネルは複合素材による緩やかな美しい「ヘーゲル曲線」ともいわれる曲線を描いたシンプルなもので、優雅で北欧らしさを感じさせます。

■ ヘーゲル DAC内蔵プリメインアンプ『 H190 』

「H160」の後継機であり『 H90 』の上位機です。『 H90 』同様、「DualAmp Technology」と「Sound Engine」、そしてデュアルパワー電源を採用しています。出力段は、パワーバイポーラ・トランジスタのパラレル・プッシュプルとなっており、出力は 150W+150W(前作同様、4Ω負荷時250W+250W)です。

大型トロイダル電源トランスと6本の高品位フィルターコンデンサーを備えた強力でハイスピードな電源部を搭載しており、ダンピングファクターは驚異の4000以上を実現しています。

入力は、『 H90 』にXLRバランス1系統とRCAシアターパススルー入力1系統が加わり、もちろん本機もEthernet入力を備えておりAirPlay/DLNA/Spotifyなどのネットワーク再生、ストリーミング再生にも対応しています。

■ 日本橋1ばん館リファレンスルームで『 H90 』を試聴しました。

写真下段:HEGEL『 H90 』(上段:Mytek「Brooklyn DAC+」)



そのサウンドの第一印象はビロードのように滑らかで、静かで透明感が素晴らしく音場は澄みわたっていました。重苦しさは皆無で、音楽にどんどん引き込まれてしまいそうな、表現力の高さを実感しました。

低域は無理に下まで欲張ったり、グイグイ押しの強いタイプではないのですが、決して痩せることはなく、ブーミー感のない締まりあるもので、弾み感、スピード感も十分です。

中高域は暖かく穏やかで、耳に優しく感じました。特に印象的だったのは、ボーカルとアコースティック楽器で、ボーカルの生々しさは格別で人肌の温もり感、伸びやかさは生で聴いているようでした。ベースやアコ-スティックギターの木質感は抜群で、とにかく鮮度感が高くリアルでした。

ヘーゲルの一見地味なデザインは、日本人には好みの分かれる所ですが、しっかりした作りの落ち着いたデザインは、何年経っても飽きさせないものがあります。

『 H90 』は、20万円台の国産プリメインでは絶対味わうことのできないサウンドを提供してくれます。こういう音楽性たっぷりの本物のプリメインが、日本でもっと受け入れらるようになれば、いよいよ国内オーディオ市場も真の成熟期に入ったといえると思うのですが・・・。
(あさやん)

2019年4月27日 (土)

究極のデジタルプレーヤー! エソテリック『 Grandioso P1X / D1X 』遂に完成!!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。今回は、エソテリックより、遂に完成した究極のデジタルプレーヤー『 Grandioso P1X / D1X 』を取り上げます。


■ オーディオショウで注目の的
昨年(2018年)の「東京インターナショナルオーディオショウ」での出展ブースの中で、最も注目を集めたのがエソテリック。中でも、今回取り上げる最新トランスポート『 Grandioso P1X 』と、D/Aコンバーター『 Grandioso D1X 』に注目が集まっていました。

あまりの来場者の多さに、筆者もなかなか展示品まで近づけなかったのを思い出します。それほどにオーディオマニアはもちろんのこと、販売店の担当者でさえ、現物を一目だけでも自分で確かめたくて製品の前に殺到したのでした。

オーディオショウの時点では、まだはっきりとした製品価格や製品内容のアナウンスはありませんが、これは恐らくかなりの高額(国産としては)になるだろうことは想像できました。それくらいに同社の従来製品はもとより、世界中のデジタルディスクプレーヤーの中でも飛び抜けたフィーチャーが『 Grandioso P1X 』にも『 Grandioso D1X 』にも見られたためで、その詳しい内容の発表が待ち望まれていました。今回は、その全貌に迫りたいと思います。

■ エソテリック『 Grandioso P1X / D1X 』までの変遷
ティアックがハイエンドブランドとして「エソテリック」を初めて名乗ったのが、今から32年前の1987年。最初の製品がオリジナルのVRDSメカニズムを搭載した「P1」と、そのペアとなるD/Aコンバーター「D1」でした。

その後、1997年にブランド誕生10周年記念として、今や伝説となったCDトランスポートの名器「P-0」を発売。2004年には株式会社ティアック エソテリック カンパニー(その後、2008年エソテリック株式会社に社名を変更)として独立、フラッグシップとなるSACD/CDセパレートプレーヤー「P-01」「D-01」を発売したのでした。

そして2013年、《 ESOTERICのすべての英知を結実し、新たなる頂きへ向かう。グランディオーソと言う名の新たなるフラッグシップ 》として、「Grandioso P1」「Grandioso D1」「Grandioso M1」を発売。2017年にブランド生誕30周年を迎え、2019年春、遂に「究極のデジタルプレーヤー」の『 Grandioso P1X 』『 Grandioso D1X 』が誕生したのです。

それでは、その「究極」のフィーチャーを見てまいりましょう。

■ SACD/CDトランスポート『 Grandioso P1X 』(本体と電源部の2筐体)

前述の初代「Grandioso P1」が登場して6年。この間、CDメカ、とりわけSACDメカは開発メーカーSONYを含め、殆どがその製造から撤退してしまい、SACDのフォーマット自体が存亡の危機とも言える状況(もちろん、一部のレーベルはソフトの供給をし続けてくれていますが)です。そんな中、孤軍奮闘ともいえるのがエソテリックです。それこそが、自社でメカを作れる強みです。

2003年にSACD対応トランスポート・メカニズム「VRDS-NEO」が登場してから16年間、基本設計は変えてきませんでした。『 Grandioso P1X 』では新たなメカ「VRDS-ATLAS」を開発し、搭載したのです。これが今回の最大のトピックです。ちなみに、ATLASとはギリシャ神話の神様で、「両腕と頭で青空を支えるとされる、巨体の神」のことだそうです。

既に、業界最高のメカと謳われた「NEO」のレベルを、これ以上に向上させるということは至難の技であったことは想像に難くありません。これこそ同社にとっては、社運を掛けた挑戦だったともいえます。「NEO」のメカ設計を根幹から見直し、類まれなる機構の構築と高音質を誇る新規設計の究極のメカ「ATLAS」が遂に完成したのです。

「ATLAS」はVRDSメカニズム史上最高の剛性と重量を誇り、剛性と力強い音色を両立するSS400スティール製フレーム、ブリッジを大型化し、「NEO」との比較で重さが+27%(メカ単体6.6kg、ベース部含め13.5kg)もの重量級コンストラクションが実現したのです。この結果、音質に悪影響を及ぼすあらゆる振動を極限まで減衰させたといいます。私はオーディオショウで、メカの見本を持ち上げさせてもらった際の重さには驚愕しました。

ターンテーブルには、すでに音質で定評のあるジュラルミンを採用。スムーズな回転のため、スピンドル軸受けには新設計のスティールボールによる点接触のスラスト軸受け(回転体の軸方向に働く力を受け止める軸受)を採用し、摩擦や回転ノイズを極限まで抑える設計としたのです。さらに、メカニズム全体を低重心化し、モーターをターンテーブルの下側に持ってくる駆動方式に変更することで振動の地面へのアースが強化され、機械的ノイズを圧倒的に低減することに成功したのです。

トレーの開閉機構には、「これぞハイエンド」といえる操作感・質感を実現。トレーは最も共振が少ない形状にデザインされ、スムーズな開閉、驚くほど遊びが少なく精密にロックします。さらに、特殊な振動吸収樹脂で音楽再生時のトレーの共振を最小限に防いでいます。

「ATLAS」メカ以外にも、
  1. HDMIケーブルを使って広帯域伝送を可能にする独自のES-LINKは最新鋭「ES-LINK5」と進化し、最大:DSD22.5MHz、PCM768kHz/48bitの伝送が可能になりました。『 Grandioso D1X 』との組み合わせで最高のパフォーマンスを発揮します(もちろん『 Grandioso D1X 』にも採用)。
  2. 伝統の本体と電源部を分離した、2シャーシ構成を採用。電源ユニットには、合計で4つの独立したトロイダル電源トランスを搭載。
  3. 電源回路にはスーパーキャパシター「EDLC」を38本(合計容量1,400,000μF)搭載し、低域の解像度などに目覚ましい音質向上を実現できたとしています。
  4. 新たにトップパネルをネジで締め付けないセミフローティング構造にすることで、伸びやかで開放感のあるサウンドを引き出したとしています(『 Grandioso D1X 』にも採用)。

■ D/Aコンバーター『 Grandioso D1X 』(モノラル2筐体)
今や、D/AコンバーターやCDプレーヤーに搭載されているDACチップ(ESSやAKM製)がマニアの注目を集め、少々騒ぎすぎの感なきにしもあらずの状況です。それはあたかも、DACチップが機器の音質を大きく支配しているかのような論調(※)があまりに多すぎるからでしょう。
※ここは筆者も大いに反省すべきだと思っています。

そんな中、エソテリックは集積回路によるチップよりも、更にハイグレードなパーツ、贅沢な物量を投入して、完全自社設計の64bit DAC回路「ESOTERIC Master Sound Discrete DAC」をディスクリートで作り上げてしまったのです。小さく詰め込まざるを得ないチップとは違い、大きく作れるメリットは計り知れないと思います。


写真のように、半円形に配置された8つの回路エレメントが1つのDAC回路を、それをチャンネルあたり4回路使って構成。合計で32回路(2つの円形として配列)を独立させる贅沢な構成を採用しています。もちろん、自社工場での厳密な管理下で製造し、バラツキを極力抑えているといいます。これこそ至難の技であり、そこにはエソテリック技術陣の執念さえ感じさせます。

前作「Grandioso D1」は、旭化成(AKM)の32bitDAC「AK4495S」を搭載し、PCM:384kHz/32bit、DSD:2.8/5.6MHzに対応していたのに対し、本機では64bit高解像度処理により、PCM:768kHz/32bit、DSD:22.5MHzまでネイティブで変換できるといいます。16bitのCDにおいても、その効果は絶大だといいます。しかも、今話題のMQAデコード(もちろん、MQA-CD)にも対応しています。

「ディスクリートDAC」以外にも、
  1. 独自の電流伝送強化型出力バッファー回路(ESOTERIC-HCLD)には、応答速度を表すスルーレートが2,000V/μsという驚異的なハイスピードを誇る素子を採用しています。
  2. デジ/アナの分離を電源部まで徹底し、電源レギュレーターは、集積回路を使わないディスクリート構成としています(『 Grandioso P1X 』にも採用)。
  3. 『 Grandioso P1X 』同様、電源回路の随所に「EDLC」を合計50本(合計容量1,300,000μF)搭載。
  4. ソース、お好みに応じて、PCMデジタル信号を2 / 4 / 8 / 16倍(最大768kHz)へのアップコンバートや、PCM→DSDの変換機能も搭載しています。さらにデジタルフィルターのON / OFFも可能です。リスナーの好みの音質が選べます。

■ 最後に
このように、フラッグシップの名に相応しい究極のデジタルプレーヤー(トランスポート+D/Aコンバーター)の完成です。16bitのCDの音がハイレゾを上回ったとの噂も流れてきました。まさに、エソテリックは「そこまでやるか」を具現化してしまったのです。

エソテリックが、さらにその上を行く「超エソテリック」になった瞬間です。
(あさやん)

2019年3月27日 (水)

SOULNOTEのD/Aコンバーターが「D-1N」に進化!! 上位機のノウハウを惜しみなく注入!!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。今回は、上位機「D-2」のノウハウを惜しみなく注入したSOULNOTEのD/Aコンバーター『 D-1N 』を取り上げます。




■ 業界に衝撃を与えたD/Aコンバーター
2018年夏、オーディオ業界に衝撃を与えたSOULNOTEのD/Aコンバーター「D-2」。

とにかくその圧倒的な物量投入、そして何といっても当時最高級DACチップとしてその名を欲しいままにしていた(それは今も続いていますが)、ESS製DACチップ「ES9038PRO」を合計4個も搭載。国産最高峰のD/Aコンバーターの地位を築いたのでした。そして、この価格帯としては異例のヒットを記録しています。


同機のもう一つのトピックは、デジタル領域における無帰還化とも言える「NOS(ノンオーバーサンプリング)モード」を採用したことでした。通常使われるFIR(デジタルフィルター)オーバーサンプリングのインパルス応答では避けられない、プリエコーやポストエコー(デジタル特有の滲みや抜けの悪さの原因)が発生しないのです。


図1:FIRオーバーサンプリングフィルターでのインパルス出力波形


図2:NOSモードでのインパルス出力波形

通常のD/Aコンバーターでは、D/A変換時に生じるノイズを回避するために、オーバーサンプリングして高周波領域でアナログ変換するのですが、この際どうしても時間軸での正確さを損なって(図1)しまいます。そこでSOULNOTEが選択したのが、オーバーサンプリングをしない「NOSモード」(PCM時のみ)なのです。

これは、極めて過渡応答性能に優れた同社オリジナルの「無帰還ディスクリートアンプ」とのコンビネーションで初めて実現できるのです。音楽波形は高さの違うインパルス波形の連続であるため、「NOSモード」により時間軸(※)情報の曖昧さが払拭され、時間軸に対して非常に敏感な人間の聴覚に、よりリアルで自然な音質や空気感をもたらすとしています。
※ 時間軸のブレは、PCM:24bit/192kHzであってもパルス波の前と後ろで各250μ秒、トータルで500μ秒もあるのですが、人間の耳はわずか3μ秒を認識できるといいます。いかに「NOSモード」が効果的であるかがこれで分かります。CDなどのデジタルサウンドが、平面的で奥行きのない音と感じるのはそのためだったのです。

私は以前、「NOSモード」を初めて採用した「D-2」を自宅で聴く機会(スタッフブログでご覧ください)があったのですが、その時の衝撃を「スケールの大きな安定感、アナログを彷彿とさせる立体感、生き生きとした自然な吹っ切れ感、圧倒的な情報量の多さ、力強く伸びきった低音、正確無比なエネルギー感、スピード感、これだけ説得力のあるD/Aコンバーターをかつて聴いたことがないと断言します。」と記しています。

この「D-2」の開発で得られたノウハウを注入して、大きなアップグレードを果たしたのが『 D-1N 』です。

■ SOULNOTE D/Aコンバーター『 D-1N 』
SOULNOTE『 D-1N 』の前作「D-1」は、SOULNOTE 10周年記念モデルとして2017年に発売され、約30万円という価格ながら大ヒットとなりました。「D-1」はUSB-DACとしては勿論、デジタル入力は同軸2系統、AES/EBUを装備し、お持ちのCDプレーヤーと最新D/Aコンバーターとの組み合わせによる、大幅なCDプレーヤーのグレードアップにも貢献したのです。

何といっても、このクラスD/Aコンバーターとしては異例な「ES9038PRO」をモノラル使用で2基、SOULNOTEオリジナルの「無帰還ディスクリートアンプ」、パワーアンプかと思わせるような260VAの「大型トロイダルトランス」の搭載などが、繊細な空間表現と骨太でエネルギー感に満ち溢れた再生音の両立を実現できたのです。オリジナルの「D-1」は「D-2」の下位モデルなどではなく、その元となったモデルだったのです。


『 D-1N 』の内部(中央下が「大型トロイダルトランス」)

左右の小さな円型に見えるコンデンサ群により、SOULNOTE伝統の、大型の電解コンデンサを使用せず小容量のコンデンサを多数パラレル接続することで高周波特性と総合容量をコントロールし、ハイスピード電源を実現しています。

「D-1」同様『 D-1N 』は、120mAにも及ぶ強力なDAC電流出力を、MHz領域まで伸びる「ディスクリート無帰還アンプ」で受け取り、これを強力に増幅し出力します。「ES9038PRO」と「無帰還ディスクリートアンプ」のコンビネーションにより、オペアンプ(集積)回路では得ることができない、エネルギーに満ち溢れた生々しい音楽再生を実現したのだとしています。

そして何より、デジタル機器としては最重視すべきクロックには、超低ジッタークリスタルを採用しています。位相ジッター:1ピコ(10-12)秒以下の超低ジッタークリスタルをDAC チップに極限まで近接させる回路基板のパターンレイアウトにより、理想的なクロック波形を得ているのです。

電源には同社オリジナル高速ディスクリートレギュレターを採用した8種類の、それぞれの回路専用の電源を搭載しており、特に大電流を必要とする「ES9038PRO」の実力を限界まで引き出すことができたとしています。

さらに「D-1」は発売1年後、新機能として画期的な転送方法「Bulk Pet」が追加されました。本機にももちろん採用されています。USB-DACでは一般的にアイソクロナス転送方式によってデータを転送していますが、インターフェイス社が開発したBulk(バルク)転送方式とすることで、パソコンおよびD/Aコンバーターの負荷の軽減が実現でき、再生音質が大きく向上したのです。

その「D-1」が、前述の上位機「D-2」に搭載され評価の高い「NOSモード」を採用し、価格上昇をわずか3万円(税別)に抑えて、『 D-1N 』として大きくアップグレードを果たしたのです。「NOSモード」以外は「D-1」との違いが全くなく、「D-1」を既にお持ちの方でも、その差額分+送料で『 D-1N 』へCSRにてアップグレード作業(※)が可能です。何と親切なメーカーでしょう、ますます信頼感が持てます。進歩の早いデジタル機器はこうでなくてはならないと思います。
※『 D-1N 』へのアップグレードは修理扱いでの受付けとなります: 料金30,000円(税別・送料別)。 詳しくは、SOULNOTEのホームページをご覧いただくか、Joshin webショップの《 連絡帳 》にてお問い合わせ下さい。

■ 試聴は日本橋1ばん館の店頭で行いました

日本橋1ばん館の展示品はブラックタイプ

「NOSモード」オフ時はオリジナルの「D-1」と同じということから、その音質(SOULNOTE伝統の吹っ切れ感と音楽性の両立)の確認は短時間で済ませ、早速「NOSモード」オンでの試聴を始めました。

吹っ切れ感、生々しさはオリジナルを明らかに上回り、音楽の隅々まで描ききり、個々の楽器がはっきり分離し、鮮度が大きく向上していました。低域はオリジナルとの差はほとんど感じませんでしたが、中高域の切れ味や解像度の高さは「NOSモード」が貢献していることを十分納得させる音質でした。これは3万円どころの差ではないとも確信しました。

国産最高峰の上位機「D-2」のノウハウを惜しみなく注入して誕生した『 D-1N 』の進化こそ、新たなPCオーディオの始まりともいえます。
(あさやん)

2019年3月20日 (水)

日本が世界に誇れるスピーカー!クリプトン『 KX-3Spirit 』 ~密閉型・アルニコマグネット・クルトミューラーコーンへのこだわり~

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。今回は、最激戦区の2ウェイ ブックシェルフ型スピーカーにおいて、国産でひとり気を吐くクリプトン『 KX-3Spirit 』を取り上げます。




■ 2ウェイ ブックシェルフ型の現状
2ウェイ ブックシェルフ型、それには入門機から超ハイエンド機まで存在し、スピーカーシステムの構成としては、シンプルさと広帯域再生を両立できる唯一無二の存在です。

かつては国産が、各価格ランクに多数の機種をラインナップしており、人気を博していました。国内のオーディオ草創期には、パイオニアやオンキヨー、そして一世を風靡したダイヤトーン、ヤマハ、ビクターなど、超ハイエンドを除いて、国産が台頭していました。

しかし世は流れ、現状では国産スピーカー全体に今や見る影がないのはご承知の通りです。その国産が総崩れとなっていく過程で、ヨーロッパ系スピーカーがドドーッと押し寄せ、今や国内市場を席巻してしまった感さえあります。

その理由は、C/Pの高さはもとより、メーカーごとの音質・デザインの個性、さらには日本のマニア層、特にクラシックファンやボーカルファンが好むヨーロピアン・サウンドが牽引したのだと思います。

■ 独自の道を歩み続けるクリプトン
こんな中、独自の道を歩み続けるクリプトンは、今や国内では貴重な存在です。そして同社は、スピーカー事業に参入(2005年)して以来、一貫したポリシーのもと、世の中の動向に惑わされることなく、コンスタントに製品を開発し続けてきたのです。

初代機の「KX-3」以来、その製品開発と音決めを担っているのは、言わずと知れた元ビクターのスピーカーの設計者で、スピーカー技術者としてはレジェンドとも言える存在の渡邉 勝氏です。渡邉氏のスピーカー設計の出発点ともいえるスピーカーこそ、かの有名な名機ビクター「SX-3」なのです。
(余談:私が初めてのオーディオシステムに導入したのが「SX-3」でした。)

その「SX-3」こそ、クリプトン『 KX-3Spirit 』の原点ともいえます。まず型番からして「3」であり、いずれも密閉型2ウェイ、独クルトミューラーコーンのウーファー、ソフトドームツイーター、そしてアルニコマグネットなのです。更にそのまた原点こそ、エアーサスペンション方式で有名な米国Acoustic Research社の「AR-3a」だったと渡邉氏は言います。

渡邉氏がそのぶれることないポリシーを貫けてこられたのは、音楽性が豊かな中高域と、躍動感のある伸びやかな低音再生のために、かたくなに密閉型とMade in Japanにこだわってきたのだと言います。「KX-3」シリーズの第5世代にあたる『 KX-3Spirit 』こそ、渡邉イズムの集大成でもあります。

■ クリプトン『 KX-3Spirit 』とは
前作からの大きな変更点は2つ。ツイーターとエンクロージャーです。

【ツイーター】
これまでのピュアシルクドーム型から、上位機で採用されていた35mmピュアシルク・リングダイアフラム型ツイーターに変更され、高域再生限界が35kHzから50kHzへと大きく拡大しています。中心部分に砲弾型のフェイズプラグを持たせることで、高域反射波が中心軸をまたいでの干渉を防止し、高域特性を伸ばせたのだとしています。元来ハイレゾに積極的なクリプトンとしてはこれは当然の成り行きだと思います。

【エンクロージャー】
前作までの針葉樹系高密度のパーチクルボード・天然木突き板仕上げから、高級家具にも使われ音響的に優れて、見た目も美しい木目の「スモークユーカリ」のエンクロージャーに高級塗料のポリエステル仕上げ(ピアノ塗料と同じ)を施し、響きの豊かな中低音再生に貢献したのです。

更に外からは見えないため意外と見逃されがちですが、内部配線材には「マグネシウム単芯にPC-Triple Cの撚線を巻きつけた」特殊な最新のスピーカーケーブルを採用。定評ある「かしめ方式」を採用した低歪みの高音質ネットワーク回路と併せて、濁りのない透明でナチュラルな高音域再生を実現できたとしています。

勿論、同社のポリシーを具現化した従来技術を本機も踏襲しています。

【アルニコマグネット】
ウーファーとツイーターには、高価で貴重な「アルニコマグネット磁気回路」を採用しています。アルニコマグネットを継続して使い続けていることに敬意を表するとともに、同社の執念さえ感じます。ウーファーはこだわりの内磁型アルニコとしています。
※アルニコは希少金属のコバルトが必要で、国際情勢や戦争などよって価格が影響されやすく、かつてはJBLの4343と4343Bなどで音質の差に失望したマニアも多かったのではないでしょうか。それ程にアルニコマグネットは、締まりのある低域と密度感のある味わい深い高域再生が魅力です。

【クルトミューラーコーン】
前述の「SX-3」やタンノイ、かつての独ブラウンなどにも採用され、音質の良さと音楽性に定評のある伝統の「クルトミュラーコーン」をウーファーに採用しています。十分な剛性と内部損失を持ち、エッジワイズ巻ボイスコイルやハイコンプライアンス設計により、低域再生限界 35Hzを達成し、熟成した魅力的な中低域再生を実現しています。

【内部吸音材】
「ミスティックホワイト」と「ウール(純毛)」のハイブリッド吸音材と独自の吸音材チューニングにより、理想的な制動特性を獲得し、密閉型エンクロージャーのピュアな低域再生というメリットを生かすことに成功したのです。

これらの徹底したこだわりこそ、国産クリプトンのKRIPTONたる所以だと思います。

■ 日本橋1ばん館リファレンスルームで試聴


癖を全く感じさせない自然な音調で、ヌケの良さは抜群。付帯音やザワザワ感が皆無で、歪みのない透明感はまさに生音(なまおん)そのもの。

弦楽器は繊細で滑らか、棘や歪みっぽさは皆無で、素材の良さから来る木質感は絶品です。ピアノの立ち上がりがスムーズで、響きが豊かで混濁感は微塵もありません。

声は澄み切って爽やかに伸びきり、決して出しゃばり過ぎることはありません。特に日本人の女声ボーカルは抜群で、ちょっと他では味わえないしっとり感です。

密閉箱ならではの締まった低音ながら、厚みは十分確保しており痩せることはありません。この温かみを伴った鮮度感こそが、海外製にはない"クリプトンサウンド"なのです。

■ 最後に
日本が世界に誇れるスピーカー、クリプトン『 KX-3Spirit 』。これこそ、ポジティブな意味において、真の『 ジャパニーズ・サウンド 』の確立です。
(あさやん)

2019年3月14日 (木)

JBLスタジオモニター「43シリーズ」の系譜。最新鋭『 4312G 』登場!!

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。今回は、JBLスタジオモニター「43シリーズ」の系譜、JBL 3ウェイ スタジオモニタースピーカー『 4312G 』を取り上げます。




以前、JBL「L100 Classic」を取り上げた際にも書きましたが、私は学生時代(70年代初頭)スピーカーを選ぶにあたって、JBLのコンシューマ用「L100」にするか、プロ用「4311」にするか大いに悩んだ末、そのカッコ良さに惚れて「4311」の購入に至ったのでした。

プロ用で最も小型の「4310」(1971年発売)を原器として、「4311」(1973)、「4311A」(1976)、「4311B」(1979)と、「4311」が3代続きました。その後、「4312」(1982)となり、「4312A」(1986)、「4312XP」(1990)、「4312MK2」(1996)、「4312BMK2」(1999)、そして20世紀最後の年に「4312SX」(2000)、「4312D」(2004)、「4312E」(2010)、「4312SE※」(2016)と連綿と続いて来ました。(※JBL創立70周年記念スペシャルエディションモデル)

今回ご紹介します『 4312G 』は、先にリリースされた「L100 Classic」の開発で得られた数々のノウハウを「4312シリーズ」に移植した最新鋭機です。

■ 『 4312G 』のデザイン


「4310」から「4311」シリーズにかけてのユニット配置は、ウーファーが上にきて、アッテネーターと銘板が下部にくる、変則的なデザインでした。これはスタジオの天井近くに設置してモニターすることを前提に、レベル調整が可能なように配置したものでした。

しかし、私のようなホームユーズでも、そのカッコ良さに憧れ、そのままの形で設置して聴いていました。その後「4312」になってウーファーが下、アッテネーターが上の通常のスピーカーのスタイルになり、現在まで続いています。

■ 『 4312G 』のユニット構成


ウーファーは「Project K2 S5800」のために開発された、JBL史上最強の12インチ(300mm)ユニットともいわれる1200FE系ユニットをベースに、「4312SE」に用いられた《 1200FE-8W 》や、「L100 CLASSIC」の《 JW300PW-8 》の特徴を受け継ぎながら、最新技術により更なる低歪化を実現した《 JW300SW 》を搭載しています。コーン紙にはホワイト・ピュアパルプコーンを採用しています。




ミッドレンジは、125mm口径の新型コーン型《 JM125PC 》(4312SEとL100 CLASSICは105H-1)で、更なる低歪とフラットレスポンスを目的に開発され、少し光沢のあるポリマーコーティングが施されています。




ツイーターは、前作「4312SE」と同じ1インチドームツイーター《 054AlMg-1 》で、良好な超高域レスポンスを獲得するために開発されたアルミ-マグネシウム合金ダイアフラムと、強力なネオジム・マグネット採用の25mm径ドームツイーターです。

ちなみに、「L100 CLASSIC」では明るく伸びやかなサウンドを狙って、ピュアチタン・ドームツイーターが採用されています。

■ 『 4312G 』の特徴
エンクロージャーは歴代モデルと全く同じ寸法(W362×H597×D305mm)の前面バスレフタイプで重量は25.2kgあり、これは記念モデル「4312SE」と同じですが、歴代モデルが20kg以下であったことからすると、かなり強化されてもいるようです。

そして、今時は珍しくなったミッドとハイのレベルアッテネーターも、従来機通り装備されています。リアのスピーカーターミナルも伝統的なシングルワイヤー仕様となっており、強度も上がっています。

「4312」シリーズは伝統的にウーファーをフルレンジ駆動してきており、本来の3ウェイ構成ではなく、フルレンジにミッドとハイを重ねる変則3ウェイとでも呼べるものでした。

過去に私もJBLのフルレンジ「D131」にツイーター「075」を加えたり、更にフォステクスのフルレンジを中域に使ったりした経験もありますが、出てくる音はウーファーが支配的になり、安定感のある豪快なサウンドでした。

これが「4312」シリーズ独特の立ち上がりの良さや吹っ切れ感、リアル感に繋がり、ジャズ・ポップス系のファンに支持されて来たのです。高域の伸びはあまり欲張らず、あくまで中域の厚みや充実感を狙った音作りに徹してきたのでした。

良い意味でのドンシャリが「4312」シリーズの持ち味ともいえます。

しかしハイレゾ音源の普及に伴い、やはり再生帯域の限界を感じていたのは私だけではなかったと思います。そこで前作の記念モデル「4312SE」では、初めてウーファーの上を640Hzでロールオフさせて、本当の意味での3ウェイ化を実現させたのでした。

また、高域も「4311」時代は15kHzまで、「4312」も「4312BMK2」までは20KHzまでと欲張ってはいませんでした。しかしハイレゾが云々が言われ出した2010年発売の「4312E」からは再生帯域を拡大し、ハイレゾにも対応可能な40kHzまでとしたのでした。

この結果、『 4312G 』では記念モデルとしてではなく、レギュラーモデルとして初めて広帯域再生を実現し、より幅広いジャンルに対応できるようになったといいます。

しかし、後述するように、本機が並の平凡な3ウェイスピーカーになってしまったのではなく、そこは伝統を大切にした音作りに徹しており、エネルギー感、押し出し感のある明るいサウンドが息づいています。

■ 日本橋1ばん館での試聴結果


手前から『 4312G 』「4312SE※」「4319」です。※試聴時には、まだ前作「4312SE」が店頭にありましたので、比較試聴しました。

まず第一印象は『 これぞJBLサウンド!! 』でした。私のようなかつての「4311」ユーザーにとっては、近年のJBLスピーカーには少々欲求不満気味なところもあったのです。それはオールマイティを狙うあまり、滑らかでフラットなサウンド傾向が強かったためで、かつてのじゃじゃ馬的な大らかさが影を潜めていたためでもあります。

『 4312G 』の音の張り出し感、鳴りっぷりの良さは抜群で、中域の厚みもたっぷりで最近のスピーカーでは珍しいものです。ただ、超低域や超高域はあまり欲張っておらず、音楽の美味しい部分を積極的に出そうとしていると思います。特に、ピアノやボーカルの生々しさは秀逸でした。これこそJBLスピーカーのDNAを受け継いだサウンドだと思います。

ちなみに「4312SE」に切り換えますと途端にハイファイ調になり、フォーカスがはっきりし、荒々しさのないスムーズなサウンドになりました。これはこれで優等生のJBLサウンドですが、私的には少々物足りなさも感じたのでした。

『 4312G 』の使いこなしのコツは、あえて最新の高純度SPケーブルや高剛性のSPスタンドを使う必要はなく、その方が本機の良さが生かされると思います。また、設置時ツイーターは必ず外側にくるように、アッテネーターの位置は真ん中にこだわらず、お部屋の状況に合わせて積極的にいじっていただきたいと思います。

そして、今やこのエンクロージャーサイズでは珍しい30cmウーファーならではの小音量時の痩せない低音も魅力的です。夜間のリスニングも楽しめそうです。

最後に駆動アンプとしては、ハイファイ一辺倒でなく音楽性を大事にした、マランツやラックスマンあたりのプリメインアンプとの相性が良いのでは?とも感じました。

『 4312G 』は、間違いなくJBLスタジオモニター「43シリーズ」の系譜です。

※ご注意:JBL『 4312G 』は1台の価格です。必ず左右(L/R)を1台ずつ計2台ご注文下さい。スピーカーユニットの配置が左右対称になっています。
(あさやん)

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高級オーディオ情報!

  • 下記店舗では、ハイレゾからアナログまで、Accuphase・B&Wなどのハイエンド オーディオ製品やオーディオアクセサリーが充実。試聴室完備で比較試聴も できます。

    日本橋1ばん館 4F
    (大阪 日本橋)

    三宮1ばん館 B1F
    (神戸 三宮)