2020年3月 6日 (金)

ラックスマン待望のMQA-CD対応プレーヤー『 D-03X 』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、最初の発表から実に5ヶ月以上費やしたものの、ついに発売となった ラックスマン MQA-CD対応プレーヤー『 D-03X 』をご紹介します。




詳細は伏せますが、『 D-03X 』の開発段階、そして生産段階で、かなり予想外の高いハードルがあったようです。恐らく他のオーディオメーカーも苦労している、ハイエンド製品の構成部品の小規模生産に応えてくれる部品メーカーの減少が影響しているのだと想像します。私はかつての日本の高品質なものづくりが難しくなっている現状を危惧します。

そんな発売が遅れた原因はさておき、ラックスマンならではの、同社としてはミドルクラスに位置づけられる画期的な最新鋭CDプレーヤーがついに完成したのです。その『 D-03X 』の全容を見てまいりましょう。

■ ドライブメカ
『 D-03X 』は、2015年発売のSACD/CDプレーヤー「D-05u」の基本構成を受け継いでいます。ただ前作は同社フラッグシップ機である「D-08u」と同一の高剛性オリジナルメカ「LxDTM」を搭載し、SACDに対応していました。しかし本機では、実際のソフトの使用状況などを加味して、高信頼CD専用メカによるCD専用機として価格面での訴求力を上げています。

そのメカは、これまでも採用実績のある極厚アルミ製のメカベースと、アースループが発生しないループレス構造のシールド付きボックスシャーシで構成されています。メカニズム全体を強固なシャーシによって囲うことで、外来振動をリジッドに遮断できたのです。また新たにスチール製トッププレートを加えた最新仕様とすることで、読み取り精度と静音性もさらに高めています。

また、CDプレーヤーでは一般的なセンターメカ構造はとらず、物量投入型のアナログ回路のスペース確保や各種信号が筐体内をスムーズに流れること、さらには振動の伝わる経路にも配慮し、優れた重量バランスを得るため、非対称(アシンメトリー)構成の「レフトサイド・メカ・レイアウト」をとっています。

■ デジタル回路
USB入力によるPCM/DSDのハイレゾファイルの再生は、PCMでは最大384kHz/32bit、DSDは最大11.2MHz/1bit(最初の発表時点では5.64MHz)に対応しており、現状では万全のスペックです。S/PDIF入力は、最大192kHz/24bitのPCMに対応しています。

D/Aコンバーターには使い慣れた「D-05u」と同じ32bit対応TI社製「PCM1795」をデュアル構成(モノラルモード)で搭載しています。高性能DACを余裕を持たせた環境で動作させることで、高精度で精密な変換を可能にし、デジタル信号に刻まれた音楽信号を余すことなく引き出します。

特にUSB信号では、通常のアイソクロナス転送(リアルタイムに転送されるが、エラーが発生しても再送が行われない)に加え、バルクペット(Bulk Pet)転送(大量のデータを正確に伝えるのに適し、エラーがあれば再送される)にも対応しており、デジタル信号の送受信間の負荷が軽減でき、高品位で安定したファイル再生が可能で音質の向上が図れます。

クロックには、発振周波数(22.5792MHz/24.5760MHz)付近のノイズを低減する高精度かつ低ジッターの低位相雑音クロックモジュールを搭載しており、デジタル再生の要であるクロックにも万全を期しています。




■ アナログ回路
正確に読み取られたデジタル信号を、L/R独立のモノラルモードのD/Aコンバーターの差動出力を、フルバランス構成(同一構成のアンプ×4基)のI/V(電流/電圧)変換回路へ入力。次段のL.P.F(ロー・パス・フィルター)アンプを強力にドライブすることで、理想的なアナログ出力を得ているとしてます。



電源もラックスマンらしくこだわっており、大型の電源トランスを搭載。そのトランスから各回路独立のレギュレーターと大容量ブロックコンデンサーを経由することで、高慣性(ハイイナーシャ)の電源環境を構成しています。

■ 構造・機能
同社「L-509X」などの高級アンプにも採用されている「ループレスシャーシ」とすることで、シャーシ電流によるアースインピーダンスの上昇や発生磁界の影響を回避し、デジタルノイズを遮断するシールドシャーシとの複合構造とすることでノイズ対策も万全です。

電源ケーブルには、同社リファレンスモデルの「JPA-10000」を採用し、ACインレットもケーブルを強固に支える高剛性パーツを採用しています。またアナログ出力端子も高級機仕様の大型のRCAプラグにも対応する18mmピッチの金メッキ仕上げのRCA端子と、ノイトリック社製の高級XLR端子を採用し、手抜きはありません。

FLディスプレイは、ブラスターホワイト仕上げのフロントパネルに映える視認性の優れたもので、離れた場所からも見易い「ズームモード」が搭載された親切設計です。専用リモコンもブラスターホワイト仕上げのテンキー付きのアルミ製のしっかりしたものです。多彩な操作やディスプレイのディマー調整も可能です。



そしてUSB入力は、WAV/FLAC/MP3/DSF/DSDIFF/ALAC/AIFFのフォーマットに対応し、ラックスマンオリジナルの高音質音楽再生ソフト「LUXMAN Audio Player」(Windows/Mac共ダウンロード可能)によるシンプルかつ快適な操作が可能です。

ラックスマンの”MQA-CD”対応CDプレーヤー『 D-03X 』は、オーディオファイルが今現在望んでいるであろう、あらゆるフィーチャーに加え、ひたすら高音質を目指して開発された“最新鋭デジタルプレーヤー”と言える注目機です。

(あさやん)

2020年2月25日 (火)

ウエスギの新世代ハイパワー真空管アンプ『U・BROS-120R』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、上杉研究所が2014年末に発売した真空管式モノラル・パワーアンプ「U-BROS-120」の後継機種『 U-BROS-120R 』をご紹介。その完成度の程を順に見てまいりましょう。




■ 上杉がこだわる「サークロトロン」とは?
2014年末に発売の真空管式モノラル・パワーアンプ「U-BROS-120」は、上杉研究所の目指す『 真空管パワーアンプの音質的メリットを失わず、スピーカー対応範囲を広げるために、スピーカー駆動能力の高いハイパワーとシングル出力段アンプの持つ優れた低レベル再生能力との両立 』したアンプとして開発されました。そのため、1950年代前半に開発された「サークロトロン(Circlotron)」回路を現代によみがえらせることで、この目標に挑戦したパワーアンプでした。

今回、前作「U-BROS-120」で得た好評価を踏まえた上で、さらに主要部品や回路の見直しを行い、「サークロトロン」回路の完成度をより高めることで、型番末尾に「R」が付いた『 U-BROS-120R 』が開発されました。

1950年代に登場したこの回路は、同時代に開発されたマッキントシュの「ユニティカップルド出力回路(Unity Coupled Circuit)」とならんで、真空管のプレートとカソード両方から出力を取り出す基本構成(CSPP回路)で、それは当時プッシュプル出力の理想的な回路と言われました。

「サークロトロン」は、その構成・動作のシンプルさから「最も美しいプッシュプル回路」とも言われましたが、電源が複雑になることで、当時の技術ではなかなか実用化は難しかったようです。「サークロトロン」の名称はアンプ出力ステージの回路図に由来すると言います。


その難題でもあった電源は、モノラルパワーアンプでは動作原理上、プラスサイクル用出力回路とマイナスサイクル用出力回路それぞれに、アースから浮いた状態の独立した2組のフローティング電源が必要であると言います。これが「サークロトロン」方式の普及を妨げる要因となったそうです。

『 U-BROS-120R 』では、フローティング電源に侵入する同相ノイズを阻止する構造の電源トランスを新たに開発したことで、プラスとマイナスの独立した電源を形成し、これによって相互干渉が低減でき、ハイエンド真空管アンプに要求される音質面で、大きなメリットとなったとのことです。

また、サークロトロンの出力トランスは、1次巻線に直流の高電圧が発生しないため、高音質化のためのワニスの含浸や樹脂の充填が可能となったことで、真空管アンプの音質面での新たな可能性を広げることができたのだとしています。

出力トランスを新開発したことで、パワーバンドウイズス(出力帯域幅)が前作の30Hz(75W/8Ω)から20Hz(90W/8Ω)に拡張され、低域の再現能力が大幅に向上しています。一方で高域の位相特性も大幅に改善されたことで、真空管式パワーアンプとしての可能性を大きく引き出したとも言えます。

また、ドライバー回路は、前作では高耐圧トランジスターを併用したハイブリッド回路でしたが、本機では真空管のみで構成する回路に変更されています。使用真空管は、初段と位相反転段にゼネラルエレクトリック社(米国)製 12AX7A(真空管全盛時代に生産された貴重な高品質真空管)、ドライバー段にはエレクトロハーモニクス製 6CG7 を使用し、出力管のKT120(固定バイアス動作)を駆動しています。

電源が強化されたことで、動的レギュレーション(変動)特性が改善され、インラッシュ電流(突入電流)抑制回路を追加したことで、電源投入時の安定性の向上が図られています。更に、ハイパワーアンプに相応しいスピーカーや出力管に対する保護回路が装備され、信頼性を高めているとのことです。

入力は3系統あり、端子は全てRCA(アンバランス)で、内 2系統がボリュームを経由する「ノーマル」、1系統がボリュームをパスする「ダイレクト」となっています。

■ 『 U-BROS-120R 』の内部設計をチェック
筐体は1.6mm厚亜鉛メッキ鋼板による高剛性シャーシーとサブシャーシーによる構造とすることで、外部からの妨害を受けない無共振・無振動・無干渉構造がとられています。



電気回路や基幹部品には信頼性の高い実績のある国内メーカー品を採用して、余裕度の高い動作設定とすることで長寿命、高信頼設計となっています。

電源回路やバイアス調整、保護回路にはプリント基板が使用されていますが、重要な音声信号の伝達回路には、40余年のキャリアのある職人による芸術的ともいえる手配線が継承されており安心です。

サウンドは、前作同様に真空管アンプとしてはハイパワー(前作:75W、本機:90W)だけあって、特に低音は、真空管アンプからイメージするそれではなく、最近の鳴らしにくい低能率のスピーカーも力強く難なくドライブしました。

中高音に関しては、前作に比較して明らかに透明感が向上していると感じました。音場の見通しがさらに良くなり、しなやかで滑らかな、さすが真空管アンプといったサウンドです。

しかしよく聴くと、真空管アンプではあり得ないS/Nの良さが感じられるのです。細かな部分まで再現しつつ、決してトランジスタアンプのようにさらけ出す感じではない、そこはやはり優しく温かいのです。

『 U-BROS-120R 』は、真空管アンプ独自の血の通ったサウンドでありながら、駆動能力の高いアンプならではの全帯域にわたる安定感のあるサウンドと、シングル出力段アンプに匹敵する優れた低レベルの再生能力の両立を果たした、希有なパワーアンプと言えます。

上杉研究所は、オーディ界の永遠の課題でもある”大は小を兼ねる(ハイパワーかつ小音量時の再現性)”に、本機によってさらに一歩近づけることができたのです。

従来の真空管アンプの枠を大きく超えた、”新世代のハイパワー真空管アンプ”の登場です。

(あさやん)

■ 『 U-BROS-120R 』の設計者から以下のコメントをいただきました
本機が採用している「サークロトロン」出力回路は1950年代に開発され、現在に至るマッキントッシュのユニティカップルド出力回路とならび、プッシュプル出力回路の理想を求めたものです。特に、トランス外部でプッシュプルの波形合成がおこなわれる独自の動作原理は今日の真空管プッシュプルアンプの音質限界を打破する可能性があります。

2014年に登場した先行機「U-BROS-120」に対して本機は「サークロトロン」回路に最適な構造の出力トランスを新規開発したこと、ならびに回路の全面見直しにより、低域のパワーバンドウィズの拡大、高域の位相特性も大幅に改善されました。

本機の音質は高S/Nを基調とした密度の高いワイドレンジ再生が特徴で、その音はパワフルな真空管OTLアンプに近いと評されております。オーディオ界の永遠の課題である「ハイパワーとローレベルの両立」を高い次元で達成したと自負しております。

上杉研究所創業者の故 上杉佳郎氏が確立した、信頼性重視のアンプ設計製造理念は微塵もぶれることなく継承しております。

(設計者:藤原伸夫氏)

2020年2月24日 (月)

トライオードから、真空管バッファ搭載 MQA-CD対応プレーヤー『 TRV-CD6SE 』がついに登場!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、当初の予定より、かなり遅れての発売となりましたが、ついに登場したトライオードの”MQA-CD”対応CDプレーヤー『 TRV-CD6SE 』を取り上げます。




■ 『 トライオード 』CDプレーヤーの集大成
デザインはお馴染みの前作「TRV-CD5SE」をほぼ踏襲しています。また真空管とソリッドステートの両方のサウンドが楽しめるのも前作と同じです。しかし『 TRV-CD6SE 』は、同社が”トライオードCDプレーヤーの集大成”を目指したと言うだけあって、最先端の技術とノウハウを結集して開発されており、しかも国内生産にこだわった戦略モデルです。

トライオードは1994年、トライオードサプライジャパンとして現社長:山﨑 順一氏によって設立されました。その後、2001年に株式会社トライオードに組織変更されています。トライオードは真空管アンプのイメージが強いのですが、同社のCDプレーヤーの歴史は意外に古く、創業僅か5年後の1999年にまで遡ります。

その第1号機が「TR-CD1」でフィリップス・メカに、DACはバーブラウン(BB)PMC1702、そして真空管非搭載で標準サイズの一般的なソリッドステートのCDプレーヤーでした。

その後、2002年「TRV-CD2」と型番に"V"が付き真空管バッファが搭載され、真空管とトランジスターの2系統の出力が搭載され、トライオードならではのCDプレーヤーとなりました。DACはBB:PMC1732でした。そして2005年「TRV-CD3」、DACはBB:1792と標準サイズのプレーヤーが続きました。

2007年発売の「TRV-4SE」になってサイズが横幅34cmと小振りになり、真空管はミニチュア双三極管:6DJ8が搭載されていました。そして2012年、DACがBB:1798になり、メカも変更され、更にUSB-DAC機能も加わった「TRV-CD5SE」となり人気を博しました。そして、今年2020年『 TRV-CD6SE 』の登場となったのです。

『 TRV-CD6SE 』は国産初の”MQA-CD”対応プレーヤーです。製品発表はラックスマンの「D-03X」の方が僅かに早かったのですが、結局トライオードが先鞭をつけた格好です。

本機はCDソフト再生に特化しており、前作にあったUSB-DAC機能は省略されています。トライオードの技術者によると、アンケート等では前作では殆どUSB-DAC機能は利用されておらず、その分のコストをCD再生に振り向けて欲しいとの要望が多かったということで、本機は思い切って非搭載にしたとのことです。また同軸/光のデジタル入力も省略しており、CD再生に徹しています。

実際にUSBによるPCオーディオを楽しまれている方の多くは、単体のUSB-DACをお使いのことが多く、トライオードの選択は正しいと思います。限られたコストの中で、最高のCDサウンドを目指したということはユーザーにとっても有り難いことです。

■ 『 TRV-CD6SE 』の注目すべきフィーチャー
①真空管バッファ回路搭載

真空管には6DJ8の上位バージョンの「6922(E88CC)」が採用されています。これによって従来機以上の真空管サウンドが楽しめます。また勿論ソリッドステート出力も備えおり、真空管とソリッドステートの2種類の音が楽しめるトライオードならではの仕様となっています。お好みやお聴きになる音楽で選択可能という、これこそ他にない『 TRV-CD6SE 』の最大の”売り”です。

②DACチップにESS「ES9038Q2M」搭載

DACチップに採用されているESS Technology社のSABRE「ES9038Q2M」は、ハイエンドCDプレーヤーにも採用されている高性能、高音質で定評のあるデバイスです。ESSの32ビット SABRE 2M DACシリーズのフラッグシップでもあり、D/A変換には独自技術の HyperstreamⅡを採用。過渡応答特性やTHDのリニアリティに優れ、正確でクリアなサウンドが得られます。

③アップコンバート機能

CDの44kHz/16bitの音楽信号を内部で352.8kHz/32bitまたはDSD5.6MHzにアップコンバート処理してから、D/A変換を行う再生モードを搭載しています。D/Aコンバーターでは過去にもありましたが、CDプレーヤーでは珍しい機能です。PCMでの情報量の多いハイサンプリング/ハイビットのサウンドや、DSDでは繊細なアナログライクなサウンドが楽しめます。

④MQA-CD対応


本機で最も注目されているのが、MQA-CDへの対応です。勿論フルデコード対応であり、MQA-CDは「スタジオ」(MQA自身の手によってMQA化)と「オーセンティック」(ソフト側によってMQA化)のソフトの表示もされます。CDソフトで最大352.8kHz/24bitの高音質サウンドがお楽しみいただけます。


そして『 TRV-CD6SE 』のCDメカはティアック製(アルメディオ)でここにも国産へのこだわりがあります。また、従来機にはなかった外部クロック入力も装備しています。WORD CLOCK(BNC:75Ω)で44.1kHz/11.2MHz/22.6MZ/45.2MHzで同期可能で、プロ仕様の10MHzの基準信号(BNC:50Ω)入力も装備されており、本格的です。クロックの重要性を熟知されているオーディオファイルには朗報です。

アナログ出力は、RCAが真空管バファー出力とトランジスタ出力の2系統。XLRバランス(2番HOT)はトランジスタ出力のみとなっています。デジタル出力は、同軸/光各1系統の他に、一部のハイエンドD/Aコンバーターに採用され始めている、I2S HDMIジャック(44.1kHz/16bit、352.8kHz/32bit、DSD5.6MHz)まで搭載するというこだわりようです。

フロントパネルには、ボリューム付きの6.3mmステレオ標準ジャックのヘッドホン端子が装備されており、何とその出力は真空管出力(280mW+280mW/40Ω)となっています。これはヘッドホンユーザーには楽しみな機能です。

このようにトライオード『 TRV-CD6SE 』は、SACDは勿論、USB-DACやネットワーク機能などを一切排除し、ただ「MQA-CD」を含むCDソフト再生だけに、とことんこだわったCDプレーヤーです。

近年のSACD/CDプレーヤーの超ハイエンド化に立ち向かうように、トライオードが究極のミドルクラスのCDプレーヤーを目指した画期的プレーヤーです。ここに”トライオードCDプレーヤーの集大成”が完成しました。
(あさやん)

2020年2月23日 (日)

『 MQA-CD 』対応プレーヤー続々発売!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、TRIODE、LUXMANなど、対応プレーヤーが続々登場している『 MQA-CD 』の魅力に迫ってみました。また、筆者おすすめの「MQA-CD」ソフトもあわせてご紹介いたします。




■ 2020年「MQA-CD」元年となるか?

タイトルの "元年" に違和感を感じる方は多いと思います。私自身もすでに「MQA-CD」や「MQAファイル」にどっぷり浸かってしまっており、メインソフトの座を占めているのが現状です。しかし、その素晴らしさを享受できていないオーディオファンが如何に多いことか・・・。全く興味がないという方は少ないと思うものの、さてどうやって、どのようにMQA再生機器を導入しようか・・・という時点で、恐らくストップしてしまっている方が多いことと思います。

しかし、昨年(2019年)秋の製品発表から、様々な事情で数ヶ月遅れたものの、やっとのことで「TRIODE」1機種と「LUXMAN」1機種のMQA-CD対応CDプレーヤーが遂に正式発売に漕ぎ着けたのです。(今春にはLUXMAN「D-10X」が発売予定)

そこでこれを機に、選択肢が従来のMQAデコーダー搭載の「Mytek(マイテック)」のD/Aコンバーターや、「Cocktail Audio(カクテルオーディオ)」のマルチメディアプレーヤーなどに加え、純国産のMQA-CD対応プレーヤーにも広がってきたことで、今年(2020年)が本当の意味での「"MQA-CD元年"になれば良いなぁ」との希望的観測から、今回 "元年" を使わせていただいた次第です。

「MQA(Master Quality Authenticated)」が正式に発表されたのは2015年ですから、既に4年以上経過していることになります。しかしハードは、「SONY」や「Cayin」などのポータブルプレーヤーや「AudioQuest」「iFi-Audio」のポータブルDAC(レンダラー)が中心で、本格的なオーディオファンのための対応機器はかなり限定されており、殊にMQA-CD対応機ともなると選択肢が殆ど無かったのが現状です。

■ ソフト面も充実
ソフト面では、かなり早い段階から「e-onkyo」や「2L」のダウンロードサイトや、「TIDAL」のストリーミングサイトがMQA音源を供給してくれています。また「MQA-CD」は、2018年ユニバーサル・ミュージック、2019年ワーナー・ミュージックの大手レコード会社が参入し、マイナーレーベルや輸入盤を含めると、かなりのタイトル数が揃って来ています。

・参考:MQA-CDソフト情報 (MERIDIAN AUDIO) ※外部サイト

「MQA-CD」ソフトはMQA未対応のCDプレーヤーで再生しても、同じタイトルの通常CDより「良い音」で聴けるため、将来、対応ハードの購入をご検討の方は、お好みのアーティストの「MQA-CD」を先に入手しておかれることをおすすめします。その「良い音」で聴ける理由を、次項以降で、分かりやすくご説明させていただきます。

■ MQAが「良い音」で聴ける理由
それは「MQA」が音の時間軸解像度を飛躍的に高めたことによるものです。最新の神経工学では、人間の耳は周波数より「時間軸の音の解像度」に対して、遙かに敏感であることが解ってきたのです。

その「時間軸の音の解像度」とは、その音がいつ始まって、いつ終わったか、あるいは音の方向や奥行き、スピード、残響や反射などを感知するために重要な要素です。実際のPCM音源やCDソフトでは、どうしても本来のマスターに比べると人間の感知能力を遙かに上回る大量のプリエコーやポストエコー(ノイズ)が存在してしまっています。これが「音のボケ」とも言われるリンギング(時間軸のエコーノイズ)なのです。



実際に人間が検知できるとされる「時間軸情報の解像度」は3μ秒(マイクロ秒=100万分の1秒)といわれています。既存のPCM 192kHz/24bitの音源では約250μ秒のプリエコーが生じるのに対して、MQAでは5μ~8μ秒を達成しており、トータル(インパルスの前と後)では実に500μ秒から約10μ秒未満まで減少させているのです。これが通常CDにおいても滲みのないクリアで響きの美しいサウンドを実現できる理由です。

もう一つのMQAの画期的な所は、膨大な情報量のスタジオクオリティの音源を、CD並のコンパクトなサイズにロスレスで圧縮する『 オーディオ折り紙 』と呼ばれる独自技術を採用したことです。前述の音楽の時間軸解像度を重視し、スタジオマスターの時間軸情報にダメージを与えず、効率良く符号化する技術です。

具体的には、MQAでは帯域の中のハイレゾ音声信号の領域を、「折り畳んで」CD相当のデータ領域の検知閾下(いきか=ノイズレベル以下の知覚されないレベル)の領域に格納するのです。この圧縮方法を「オーディオ折り紙」とMQAでは呼称しています。再生する際にはその格納された領域から折りたたんだ部分を展開し、元のデータに戻すのです。

例えば、192kHzの音源では、CD品質(48kHz)のデータの閾下に48kHzから96kHzまでを、更にその下に96kHz以上で192kHzまでのハイレゾ成分を格納し、再生時にはそれを元に戻すのです。ただ折り方は、畳む時に二回折り返されており、元に戻すときには二回折り直さねばならないのです。はじめの一回目の展開のことを「コアデコード(これをデコードするのがレンダラー)」、二回に展開することを「フルデコード」と呼びます。

これらの結果、192kHz/24bitのハイレゾFLAC音源では150MBのサイズが必要なのに対して、MQAでは音質を維持した上で、それが30MBで済むのです。圧倒的な軽量化を達成していると言えます。また、現時点でMQAの音源データには2種類が存在します。一つがMQA自身の手によってMQA化された「MQA Studio」(MytekやLUXMANでは青のLED表示)、もう一つが配信側やソフト側によってMQA化された「MQA」(同・緑)です。

■ 筆者おすすめの「MQA-CD」ソフト
私はすでに30タイトル以上のMQA-CDやダウンロードしたMQA音源を所有していますが、その中でも特に気に入っているソフトを少しご紹介しておきます。
※音楽・映像ソフトは、他の商品とは別精算となります。

日本のミュージシャンとして初めての新譜MQA-CDです。南佳孝の声の質感はリアルで、特に2曲目は圧巻です。

1979年発表した彼女の初のスタジオ・アルバムですが、古さを感じされないリアルな声が魅力です。

1964年録音の名盤中名盤です。まさにアナログレコードの感動が蘇ります。

オムニバスのためすべてが高音質という訳ではありませんが、1980年代以降録音の曲は抜群のスケール感です。

【5】ボブ・ジェイムス・トリオ 「Espresso 」EVSA572M(※Joshin webショップでの取り扱いなし)
最新録音のMQA-CDです。とにかく高解像度サウンド、リアル感、グルーブ感はMQAの実力が遺憾なく発揮されています。

【 番外 】松任谷由美「45周年記念ベストアルバム ユーミンからの、恋のうた」MQA 96kHz/24bit(ハイレゾ音源配信サイト e-onkyo music
比較的新しい楽曲が中心で新たにリマスターされた録音は抜群です。CDでは絶対聴けないサウンドです。

2020年2月 9日 (日)

Joshin-webが選ぶ、2020年ブレイク必至のオーディオアクセサリー BEST 10選

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
2019年、オーディオアクセサリーは数年前の新製品ラッシュや高価格帯シフトにやや歯止めがかかった状況で、じっくり練られ、本質を追究した地味ながら効果の大きいアクセサリーが揃いました。今回は10万円以下の商品を中心に、比較的お求めやすい商品をピックアップ。その効果の程を簡潔にまとめてみました。


■ インフラノイズ『 AACU-1000 』

アナログラインに本機を挟むことで、アナログ信号に混入したノイズの時間軸と位相のズレを補正整合させるディレイラインです。トランスやアンプのように周波数特性を劣化させたり、アナログ信号に色付けしてしまうことも一切ありません。アナログ信号を何ら変形することなく、混じり込んだノイズ成分だけを無害化するアイテムです。

本機の使い方はかなり自由で、それはユーザーの感性に任されています。RCAプラグのオス、メス側は接続する都合で選んで下さい。基本的には入力側と出力側の指定はありません。ある意味オーディオ経験の豊かさが物を言うアイテムです。

音場感、空間感、立体感、奥行き感、全てが明らかに繋ぐ前を大きく上回ります。音色的には全く変化はないものの、滑らかさや生々しさが加わり、音の強弱がハッキリしてきて、声が空間に浮遊するようになりました。

■ フィデリックス『 NON-STAT 』

手に持てるサイズのアナログレコード用・静電気除去アクセサリーです。針を下ろす前に、盤から約20cmの位置で、約5秒間照射すれば完了です。マイナスに帯電したレコードにプラスイオンを吹き付けて中和させ、静電気をゼロにします。006Pの電池で動作し、内部には高圧トランスと電子回路が内蔵されています。

従来からある同種のスパークさせてパルス波を発生させるタイプではなく、サイン波を使うためノイズを撒き散らすこともありません。

針を下ろした瞬間から、明らかにスクラッチノイズが減ったと分かります。S/Nが良くなり、ノイズに邪魔されていた弱音部分が聞こえてきたのには驚きました。大音量時のビリ付きも無くなり、安心して内周部まで聴けるようになりました。乾式クリーナーをかける前に使うと埃が良く取れました。

■ フルテック『 NCF Booster-Brace 』

いずれも大ヒットを続けている「NCF Booster」シリーズの第4弾です。コンセントプラグの制振用ですが、その用途は壁コンセントや電源タップに装着することで、電源プラグを制振するのが目的です。もちろんNCFによる静電気除去効果も期待できます。

本体はNCF調合のナイロン樹脂、外周ハウジングは アルミ合金で作られています。本機は3Pの2口タイプの壁コンセントを前提に設計されており、付属の部材で位置を決め、本体を特殊な粘着テ ープで固定します。

壁コンセントに装着することで、全体にサウンドが落ち着き、静かで明らかにS/Nが向上しました。低域の締まりや迫力は圧倒的で、殊に低域の沈み込みが素晴らしく感動ものでした。ここまで改善できるとは想定外でした。

■ クリプトン『 SC-HR2000 』

4本の信号線を内蔵したスピーカーケーブルで、バイワイヤリング接続が可能なターミナルを持つスピーカーとアンプの間なら、本ケーブル1本でバイワイヤリングが完結します。

その4本に低域用と高域用として最適なケーブルを使うことで、スピーカーの性能を出し切りたいという、クリプトンのスピーカー設計者:渡邉氏の意向が大きく反映されたケーブルだとも言えます。

低域用はパイプの芯材の周りに PC-Triple C単線φ0.33mmx7本x6束、高域用はマグネシウム芯線の周りを PC-Triple C単線φ0.7mmx6本が取り囲む形でより合わされており、どちらもロープよりとすることで均一なテンションが掛かるとのことです。確実に音の密度がアップし、精細さとリアリティを併せ持つ、臨場感溢れたサウンドです。バイワイヤリングの優位さが確実に引き出せます。

■ IFiオーディオ『 PowerStation 』

UL規格のコンセント8個口の電源タップで、筐体は非常に強固なアルミで叩いても殆ど鳴きません。

本機の肝は何と言ってもベストセラーを続けている同社の並列型ACノイズフィルター「iPurifier AC」を搭載していることです。従って極性チェックも可能です。

通常のフィルター内蔵のパッシブな電源タップは特定の高域にしか効果がなく、しかも音楽信号にまで影響が及んでしまう製品が多い中にあって、本機は全帯域にわたってノイズのみを抽出し、それを40dBも減衰させるのだと言います。

解像度が向上し、音のにじみが取れて、コントラストの高い、彫りの深いサウンドになりました。低音のもやもや感が無くなり、力強く締まってきます。パワフルに音楽のもつ要素を出し切ってくれたと感じました。

■ コードカンパニー『 Ground ARAY 』

英国のケーブルブランドであるコードカンパニーが長年のケーブル開発で重視してきた高周波ノイズ対策の最終結論が本機「グランドアレイ」です。

使用法は簡単で、RCAやXLRの空き端子に挿すだけです。どんなケーブルでも機器に繋いだ途端、アンテナとしてノイズを拾ってしまっています。特に厄介なのは、デジタル機器からの高周波ノイズですが、同社独自のノウハウを駆使して、長さ90mm程のシリンダーケースに電気的にパッシブな5種類の素子を組み込むことで、高周波ノイズを吸収し、熱変換しているとのことです。

音楽に僅かにかかっていたベールがはぎ取られ、瑞々しい透明感が支配しました。S/Nが格段に向上し、静寂感が格別で、音源をありのまま再現するとこうなるのかと感じさせられました。

■ アコースティックリバイブ『 RES-RCA/XLR 』『 RET-RCA/XLR 』

本製品「リアリティエンハンサー」は、機器やアンプなどの空き入出力端子に接続して、端子周りの振動抑制と外部からの電磁波ノイズの侵入を防止するアイテムです。

入力端子(ショート)用のRCAとXLRタイプ「RES」と、出力端子(ターミネート)用のRCAとXLRタイプ「RET」の計4タイプがあります。(※「RES」は絶対に出力端子に使わないようご注意下さい。)

ボディは航空機グレードのアルミ合金、内部配線材は PC-Triple C/EX(導電率:105%)、内部には天然水晶、天然シルク、貴陽石(強力なマイナスイオン)や、リチアトルマリン(トルマリンと同類の電気石)といった同社ならではのノウハウがいっぱい詰まっています。

接続した瞬間ザワザワ感が取れ、S/Nが明らかに向上します。付帯音が減少し、一音一音が明瞭になり、音場がリアルに再現されました。端子周りの防振の効果は勿論、電磁波の影響が如何に大きいか改めて知らされました。

■ 光城精工『 Crystal 6.1 』

人気のForce Barシリーズ「Force bar 6.1」(接地極付の3P×6口+2P×1口)の電源タップの振動対策を強化し、更にC/Pが高まりました。

3パーツ構造は従来機と同様ですが、トップカバーと宙吊りさせたサブシャーシの結合部をチタン製から制振合金:M2052に変更し、不要な振動をシャットアウトしています。

ボトムシャーシは厚みを増し、TAOC製の振動吸収シートに変更。内部配線も4N無酸素銅単線から錫メッキ1.6mmの単線素材に変更されています。

聴感上は帯域が広く感じられ、クリア感も前作を上回っています。また低域も沈み込みが深く、中域は厚みを増し、高域は爽快で伸びやかです。使う人の立場に立ったユーザビリティの高さを備えた2万円台の電源タップとして自信を持ってお勧めします。

■ クライナ『 Palette-Cu 』

従来の「PaletteBoard」 のスパイク内蔵インシュレーター(T-PROP+AudioSpice)を挟み込んだ内部に、2mm厚の銅板を貼ることで、更に不要振動を抑制しシールド効果も加えています。

インシュレーターは菱形の「ダイアモンド・フォーメーション」で配置されており、これは近大の西村教授との共同研究によるものです。

仕上げは前作と同じで、固有の共振を自然に減衰させる漆仕上げ、重量は1.5kg増加し約7kgあり、ズシリとした重さです。銅板効果もあり、全体の重心が下がって安定感も増しています。内部の銅板と機器のシャーシ電位の差を無くすための接続用のネジ穴も2箇所に装備されています。

従来機との音質差は歴然で、色付けのない立体的で奥まで見通せる音場は圧巻です。機器の性能を限界まで引き出すとこうなると実感させられました。

■ サンシャイン『 SAC REFERENCE1.8 』

見た目はどうと言ったことのない普通のモールドの3P電源ケーブルですが、ひとたび付属の電源ケーブルと交換すると、そのC/Pの高さに唖然とされると思います。

かく言う私も最初はバカにしていたのですが、使うと、もう後戻りできなくなってしまいました。

導体には、6Nでも7Nでもない4Nのデップ・フォーミング無酸素銅線(溶銅に中心銅線を連続的に通してコーティングする製法)を使い、さらにHES(超飽和電流型ケーブル活性装置)処理まで施しています。

ノイズ感が激減し、濁りが消え失せました。高解像度でダイナミックレンジも広く感じました。これだけの出費で入門機が中級機にランクアップします。ケーブルは価格だけではないことを思い知らされました。

いかがだったでしょうか。
このようにオーディオアクセサリーの話題作が続々と登場してきています。お持ちのオーディオ機器の2020年の活性化策として、いずれか1アイテムからで結構です。最新オーディオアクセサリーの導入をぜひご検討下さい。間違いなく新たな発見があり、あなたのオーディオライフが更に充実することでしょう。
(あさやん)

2020年1月31日 (金)

FOCALの新ベーシックモデル『 CHORA(コーラ)シリーズ 』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、フォーカルの新たなベーシックモデルである『 CHORA(コーラ)シリーズ 』より、ブックシェルフ型の『 Chora 806 』を中心に、日本橋1ばん館での試聴結果を交えレポートします。



■ オーディオブランド「FOCAL」のおさらい
FOCAL(以下フォーカル)は、1979年に野心的かつ天才的なエンジニアであるジャック・マユール氏によって仏サンテティエンヌに設立されたオーディオブランドで、すでに創業40周年を迎えています。高性能ドライバーユニットの設計・製造メーカーとして、急速に世界各国で高く評価されたのでした。創業者の信念であるドライバーユニットにこだわる姿勢は、同社のDNAとして連綿と受け継がれています。

そして自社の技術力を背景にジャック・マユール氏が仕上げたスピーカーシステムは、当時JMラボ(JMはジャック・マユールの頭文字)のブランドで、精巧なエンクロージャーと先進的なドライバーユニットの技術で、確固たる地位を築いたのでした。その後スピーカーシステムのブランドもフォーカルに統一され、ホームオーディオのみならず、カーやプロの分野も含めたスピーカー総合メーカーとなったのです。

JMラボの時代の日本の輸入代理店は(株)ノアでした。当時はやはりユニットのイメージの方が強く、完成品には「JMラボ」というブランド名を使っていたようです。その後輸入代理店が(株)ロッキーインターナショナルに移行し、更に2017年10月よりラックスマン(株)が新たな代理店になり、今日に至っています。

フォーカルの数多くの画期的な発明と独自の哲学に貫かれた製品は、今なお、多くのオーディオファイルを魅了し続けています。加えて、世界有数の規模のメーカーであるにもかかわらず、開発部門、工場などすべてがフランス国内の同一施設内(エンクロージャーはフランス国内の別工場)にあり、近接即応体制でスピーカーのユニットからエンクロージャーまで、高いクオリティでの一貫生産を可能としている世界でも数少ないスピーカーメーカーです。

■ ミッドウーファーには、ストレートファイバーを採用。

”CHORAシリーズ”には、4年以上の研究により、新たに開発された16.5cmの”ストレートファイバー(Slatefibercone)”がミッドウーファー(トールボーイ型のウーファー含む)に搭載されています。”ストレートファイバー”はカーボン繊維に熱硬化性ポリマーを含浸させ、サンドイッチ構造とした複合素材ということで、軽量かつ高剛性、しかも優れた振動減衰特性を併せ持つ画期的素材だそうです。

これは航空機や自動車の分野以外では、音響機器としてフォーカルが世界初とのことです。この新振動板を採用したドライバーユニットにより、ミッドレンジとしては抜群のバランス特性を発揮し、ウーファーではダイナミックで豊かな低域を再現できたのだとしています。

■ 低歪みを実現した理想的なツィーターユニット

ツィーターにも新たに特許を取得したというM字型ツィーターを搭載しています。ダイヤフラム素材にはTNFと呼ばれるアルミマグネシウム(アルミニウムとマグネシウムの合金)を採用して、軽量・高剛性、そして優れた減衰特性を兼ね備え、より一層の低歪みを実現した理想的なツィーターユニットだということです。従来からの”インバーテッド(逆ドーム)”型ユニットのエッジに、形状記憶素材でもある高機能ウレタンフォーム「PORON(ポロン)」を採用して、聴感上最も敏感な 2,000~3,000Hzでの歪みも大幅に改善できたとのことです。

『 Chora 806 』は、165mmの”ストレートファイバー”ウーファーと”インバーテッドドーム”ツィーターを搭載した2ウェイ・2スピーカー・バスレフ型ブックシェルフタイプで、クロスオーバー周波数 3kHz、インピーダンスは最近珍しい 8Ωでシングルワイヤー接続と使い易いスピーカーです。専用スタンド「Chora 800 Stand」も用意されています。

『 Chora 816 』は、2基の165mmユニットを270Hzでスタガードライブ(1基は270Hzまで、もう1基は2.7kHzまで受け持つ)し、ツィーターを加えた2.5ウェイ・3スピーカー・バスレフ型トールボーイタイプで、バスレフポートをウーファーに近接配置することで低域の位相差を補正しています。

『 Chora 826 』は、165mmの”ストレートファイバー”のミッドウーファーと、2基の”ストレートファイバー”ウーファーという、3ウェイ・4スピーカー・バスレフ型トールボーイタイプの本格派で、出力音圧レベル 91dB、推奨パワーアンプ出力 40~250Wと、大音量でのスケールの大きなサウンドにも十分対応できます。

ウッドキャビネットの仕上げは、いずれも「B:ブラック(バッフルもブラック)」「DO:ダークオーク(バッフルはブルー系)」「LO:ライトオーク(バッフルはベージュ系)」の3色が用意されており、使用環境に合わせた選択が可能です。サランネットはウーファーのみを覆うタイプです。ツィーターには保護ネットが装着されており安心です。

なおトールボーイタイプの『 Chora 816 』『 Chora 826 』には専用のアンダーベースが付属しており、傾斜角を設けることで、高品位な音場感と正確な音像定位を実現できるとのことです。

■ 日本橋1ばん館で試聴しました

今回は、ブックシェルフタイプの『 Chora 806(DO) 』を試聴。

日本橋1ばん館で、SACD/CDプレーヤー DENON「DCD-2500NE」と、プリメインアンプ DENON「PMA-2500NE」につないで、試聴しました。『 Chora 806 』はブックシェルとしては比較的大きめで、ペアで10万円のスピーカーとは思えない高級感があります。

一聴して感じたのは、実に滑らかな中高域で、濁りや引っ掛かりを全く感じさせないヌケの良さです。一方、低域もブックシェルとは思えない厚みがあり、付帯音を全く感じさせず、表現力はしっかりしています。決して解像度だけを狙った音作りではなく、音楽が重くならず、ソース本来のバランスに上手くまとめていると感じました。また、空間の表現もこのクラスとは思えない広さを感じさせてくれました。

小型ながらウーファーの”ストレートファイバー”コーンの軽量かつ高剛性、そして優れた振動減衰特性が音に表れ、タイトで鳴りっぷりの良い低域と、ツィーターのアルミマグネシウム振動板のシャープさと優しさが若々しさを感じさせます。やはり、国産や他のヨーロッパ系スピーカーとは違う、フォーカルならではの中高域の若干の明るさと優美さを感じさせてくれました。

Chora 816 』『 Chora 826 』は、『 Chora 806 』を離れて聴いた場合、少し不足気味に感じた低音をさらに充実させています。とにかく、いずれもコストパフォーマンスは抜群で、フランス・フォーカルならではの繊細さと華やかさを併せ持つ”CHORAシリーズ”のサウンドは、音楽や演奏が持つ本来の魅力を存分に楽しませてくれそうです。
(あさやん)

2020年1月27日 (月)

インフラノイズ・アキュライザー第3弾! アナログアキュライザー『 AACU-1000 』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、インフラノイズより登場した、音質を向上させるオーディオアクセサリー「アキュライザー」の第三弾『 アナログアキュライザー AACU-1000 』をピックアップ。アナログラインのRCA入力端子やRCA出力端子に接続するだけでドラマチックな音楽表現力が生まれます。



■ インフラノイズ・アキュライザーのおさらい
第一弾『 DACU-500 』は、2018年1月に登場した「デジタルアキュライザー(デジタル整合器)」で、同軸デジタルの途中に挿入して使用します。本機はパッシブであり、デジタル信号のタイミングを内蔵のディレイ用のコイル(鉛筆に単線を数回巻いた位)で揃えるのだと言います。これによってデジタル信号に混入したノイズによって生じる時間軸と位相のズレを《 ディレイライン整音 》することで、音質を向上させるオーディオアクセサリーです。

私は、D/Aコンバーターのデジタル入力の直前に『 DACU-500 』を使用していますが、その効果は抜群で、解像度が明らかに向上し、生々しくなり、CDもこんなに素晴らしかったのだと、改めて見直す切っ掛けになりました。結局、それ以来、手放せなくなってしまいました。一時期はPCオーディオにのめり込んでいましたが、今ではCDがメインソースに復帰しています。まさにデジタル伝送の救世主的な存在の製品で、《 MQA-CD 》再生にはもはや必要不可欠なアイテムとなってしまっています。

続いて、第二弾『 UACU-700 』は、同年10月に登場した「USBアキュライザー(USB信号整合器)」です。D/AコンバーターのUSB入力端子に差し込み、USBケーブルとD/Aコンバーターの間に入れるだけで、それまでの平面的で無機質な音楽が、ドラマチックな音楽に激変しました。PCオーディオがアナログオーディオのような生き生きとしたサウンドに生まれ変わるのです。特に低域の充実感やヌケの良さは、もはやPCオーディオの世界ではないと感じます。

果てさて、『 DACU-500 』を使ったCDサウンドか、『 UACU-700 』によるPCオーディオか、迷いに迷ったあげく、ほぼ互角に楽しんでいる今日この頃です。

そんな私のオーディオライフの安定期に、またもや、心悩ませるアイテムが登場したのです。その第三弾が、アナログアキュライザー(アナログ整合器)『 AACU-1000 』です。

でもちょっと考えてみて下さい。『 DACU-500 』も『 UACU-700 』もデジタル信号のタイミングを内蔵のディレイ用のコイルで揃えるもので、そこにはアナログ信号は一切介在していませんし、アナログ信号とデジタル信号は絶対に同居していません。そんなことをすれば雑音だらけの音楽となってしまうのは誰でも分かることです。

しかし、インフラノイズの秋葉社長は考えたのです。「デジタルでこれ程の向上があると言うことは、アナログでも同様の方法で音質が改善できるのではないかと・・・」。デジタル再生には見向きもしないアナログファンがカートリッジラインに挿入する「アキュライザー」。はたまた、私のようにデジタルでアナログに迫る音を目指しているオーディオファンがアナログ出力に加える「アキュライザー」ができないものかと考えたらしいのです。

そして「例え完全なアナログラインでも、量は少なくても必ずデジタルノイズが混入しており、それが音を悪くしているはずだと・・・」結論付けたとのことです。特に電源経路から侵入してくるデジタルノイズは無視できないレベルで、このノイズ成分がアナログ信号の高次倍音を変化させてしまい、元の音源には存在しない倍音が付け加えられてしまうと考えたのです。

ただ問題はありました。それが可能だとしても、デジタル環境と比べて、部品、線材、絶縁材による音質劣化が大きいのが試作段階で判明したのです。それは個々の部品の形や重量までもが倍音の忠実度に関係しており、0.1mm単位の精度の部材でも音が違ったのだそうです。結局、部材の組合せの相性を耳で確かめながら一台ずつ仕上げるという、気の遠くなるような、まさしく楽器作りのような作業が必要になったと言います。これこそ個人企業ならではの製品作りなのです。

■ アナログアキュライザーの使い方とは?
『 AACU-1000 』は、前述のようにアナログ信号に混入したノイズの時間軸と位相のズレを補正整合させるディレイラインです。極僅かな遅延なので周波数特性の劣化や位相は変化しません。トランスやアンプのように周波数特性を劣化させたり、アナログ信号に色付けしてしまうことも一切ありません。アナログ信号を何ら変形することなく、混じり込んだノイズ成分だけを無害化するのだとしています。

アナログアキュライザー『 AACU-1000 』が無い状態では、この僅かなノイズ成分が高次倍音を変化させてしまい、元の演奏にはなかった倍音が、知らぬ間に付け加えられてしまっていたのです。ここに目を付けるのはさすがと言う他ありません。

従来、一流のオーケストラの素晴らしい弦の音が、まるで一般のオーケストラのそれに聞こえてしまうことがあったのは、信号が変形してしまった訳ではなく、それはノイズ成分のいたずらだったのです。これまでこの有害なノイズ成分を減らすために、LC(コイル/コンデンサ)やトランスで高域をカットすることである程度効果はありました。しかし同時に高域の劣化が必然的に起こってしまっていたのも事実です。

でも、「”アナログアキュライザー”に興味はありますが、そんなコイルを巻いたチョークコイルみたいなものを、愛用中の数十万円もするMCカートリッジ出力に入れる気はしません。せっかくの信号のハイが落ちてしまって、どうしようもなくなるに違い無い。聴く前から音質が劣化するに決まっている。」とおっしゃる超ベテランのアナログマニアがいらっしゃったそうです。

こんな人にも秋葉社長はこう説明しています。「そのように思われるのは不思議ではありません。ただコイルと言っても鉛筆に単線を数回巻いたくらいであれば、L成分は極わずかなもので、おまけにそのターンにはシールドがしてあるディレイラインなので、L成分はゼロと言えます。これはカートリッジの出力ピンから出るリード線と同程度なのです。」

カートリッジのリード線を貴金属線やヴィンテージものに交換すると大きく音質が変化しますが、リード線の場合は音色が変わるのであって改善される訳ではありません。「アナログアキュライザー」はカートリッジが取り出した信号に乗ってくる高周波成分の害を無くすことができるのです。『 AACU-1000 』は、これまでは無かった発想のアクセサリーと言えます。

アナログアキュライザー『 AACU-1000 』の使い方はかなり自由で、それはユーザーの感性に任されています。RCAプラグのオス、メス側は接続する都合で選んで下さい。基本的には入力側と出力側の指定はありません。

アナログ信号の場合は本機のPASSシールの貼ってある側を右chにします。アナログラインならどこにでも使用できますが、低レベルのMCカートリッジの出力に使用する場合は、ループが形成されハムが出る可能性があります。通常レベルのライン信号ではレベルの変化やS/Nの劣化は一切ありません。

デジタル再生の場合は、アナログ信号への変換直後に使用するのが基本です。具体的にはCDプレーヤーやD/AコンバーターのL/Rのアナログ出力端子です。しかし、プリメインアンプの入力やプリアンプの出力などで効果が大きい場合もあり得ます。お好きな音楽でのヒアリングによって最適箇所をお選び下さい。

レコード再生の場合も、最上流(カートリッジ出力)にするか、最下流(パワーアンプ入力)に接続するかはシステムや聴く音楽によって変わります。またMCトランスなどのトランスに繋ぐ場合はトランスの入力側か出力側かはヒヤリングで決めていただきたいとしています。

このように『 AACU-1000 』の使い方はかなりユーザーに委ねられています。ある意味オーディオ経験の豊かさが物を言うアイテムです。また、ノイズフィルターやアイソレーター、トランスなどの音質改善アクセサリーとの併用はできるだけ避けて欲しいとしています。併用する場合は周波数レンジなどのオーディオ的要素で判断するのではなく、楽器の音色やグルーヴ感など、音楽的要素が損なわれていないかで判断して欲しいともしています。

■ 試聴してみました

一番左が『 AACU-1000 』

実際に自宅で『 AACU-1000 』をD/Aコンバーターの出力に繋いでRCAケーブルで聴きました。

一瞬でその変化に感動しました。音場感、空間感、立体感、奥行き感、全てが明らかに繋ぐ前を大きく上回ったのです。音色的には全く変化はないものの、滑らかさ、生々しさが加わり、音の強弱がハッキリしてきて、声が空間に浮遊するようになったのです。また、従来感じなかった極小さな鈴の音が聞こえたり、声に湿気が感じられたりと、明らかに情報量が増えています。この段階ですでに外せなくなってしまっていました。

さらに、数時間聴き込むうちに、エージングもあってか、音楽全体が深くなり、響きもより自然なものになってきました。バイオリンはとてもしなやかで繊細感に溢れ、トライアングルのチリンという音もまるでそこにあるように感じられたのでした。試しに、YouTubeの圧縮音源でも試しました。高音質ソフトなら、十分にハイエンドに比肩するグレードで聴けたのには驚きました。曲を替える度にどんどん新たな感動が味わえたのでした。

インフラノイズがオーディオ機器を開発、製造する目的である「偉大な演奏家が残した音源の中に入っている素晴らしいものを、残すことなくすべて味わいたい。」が『 AACU-1000 』によって具現化されたのです。

追伸:筆者宅では、パワーアンプ側に『 AACU-1000 』を使用した場合、立ち上がりが良くなり、サウンドが全体に積極的になり、若干メリハリが強くなったと感じました。アナログアキュライザーのバランスタイプの発売予定(半年後位)もあるとのことです。
(あさやん)

2020年1月19日 (日)

究極のハイレゾ&生演奏!オルゴール”Primotone”

Mbx100hsr_3   Primotoneサクラモデル MBX-100HSRMbx100h528 Primotoneブラウンモデル MBX-100H528

一見、高級ラジオのような外観ですが、そこから奏でられる音を聴くと、まぎれも無いオルゴールの豊かな音が広がります。それは確かにラジオやオーディオセットのようにスピーカーから聞こえる音とは少し違って聞こえます。CDではデジタル記録のために20kHz以上の高域がカットされていますが、プリモトーンでは櫛歯で弾かれる微妙な音が出ています。

オルゴールの心臓部ともいえる櫛歯は、熟練の職人によって1本ずつ丁寧に調律され、電子制御による巧みなメカニズムによって、CDやスピーカーの音では味わえない、箱が共鳴する生のオルゴールの音色を、ゼンマイを巻かずに何時間でもお楽しみいただけます。

本体のディスプレイと操作つまみにより、従来のオルゴールでは不可能だった選曲や音量・テンポを簡単調整
でき、お好みに合わせジャンル再生やランダム再生などが選択できるほか、あらゆるシーンに対応すべくオフタイマー機能・アラーム機能・時報機能なども搭載しています。

サクラモデルは、日本を象徴する「サクラ」と縁起の良い幸せの木と謂われている「槐(えんじゅ)」を使用した、伝統工法の木組みで仕立てた筐体。一方のブラウンモデルは、高級マホガニー(本体)とナラ(共鳴台)による高級感のある仕上げです。

そしてPrimotoneの最大の売りは、高い”ド”の音を癒しの音色528Hzで奏でるように調律した特別な櫛歯を使用することで、心身を安静モードに導き、ストレス軽減にも役立つと言われています。心と体を整え、癒しの音色に包まれる、贅沢なひとときをお届けします。

信頼の日本製。熟練の技と最先端のテクノロジーの融合が、オルゴールの新たな扉を開きました。

オルゴール”Primotone”こそ究極のハイレゾであり、電気を使わない生演奏が自宅で体感できるのです。  

(あさやん)

2020年1月 5日 (日)

PMC『 fact・8 』のシグネチャーモデル『 fact・8 signature 』登場!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、世界中のオーディオマニアに愛用されてきた「fact・8 (日本未発売)」を再設計した『 fact・8 signature (受注発注品) 』をピックアップ。前作のバランスのとれた魅力的なサウンドとリアルなイメージングはそのままに、さらなる改良が加えられています。



■ 「PMC」とは
「PMC」は「BBC」に在籍していたエンジニアのピーター・トーマス氏と、「ディストリビューター(販売代理店)」のエイドリアン・ローダー氏によって、1991年に英国に創立されたスピーカー専門メーカーです。彼らのスピーカーに対する豊富な知識と音楽に対する情熱は、「PMC」の最初のモデルであるアクティブスタジオモニター「BB5-A」を生み出しました。このモデルは、メトロポリススタジオや、スティービーワンダースタジオなど、名だたるスタジオで採用されたのです。

近年の映画のテーマ曲の多くは「PMC」を使って作られており、タイタニック、パイレーツ・オブ・カリビアン、ミッションインポッシブル、GODZILLAなどの製作にも、「PMC」のモニタースピーカーが使われています。テレビに関連する様々な業績に与えられる賞である「エミー賞」も同社に贈られています。

映画・テレビを問わず「アーティストの思いを脚色することなく伝える」それが「PMC」のポリシーです。“音を正確に表現する”“いい音はいかなる場面においてもいい音である”というのは創業時から一貫しており、それが世界中のスタジオで、PMCが採用されるという実績につながっているのです。

そして、「PMC」に対する信頼感を高めているのは、同社のスピーカーがすべて英国国内で職人によってハンドメイドで製作されていることです。それぞれのユニットの特性もすべて記録され、キャビネットを含めた各コンポーネントは1台1台がベストマッチングになるように組み立てられているのです。

その「PMC」から新製品『 fact・8 signature 』が発売されました。同社のコンシューマー用スピーカーのフラッグシップモデル「fact fenestria(日本未発売)」の革新性と導入技術を引き継いで、世界中のオーディオマニアに愛用されてきた「fact・8(日本未発売)」 を再設計したのが『 fact・8 signature (受注発注品) 』です。

『 fact・8 signature 』のツイン・ウーファーやソフトドームツィーターは、ノルウェーのスピーカーユニットのOEM専業メーカー「SEAS」との共同開発によって、あらゆるジャンルの音楽を正確に再現する能力を獲得したのです。

因みに「SEAS」は、デンマークの「Scan-Speak」と並ぶ、OEMスピーカー・ユニットの大メーカーです。小型ウーファや中域のユニットに強く、ダリの「メヌエット」、ウィルソンの「CUB/WATT3」の中域、さらにはウエストレークの高級機「BBSMシリーズ」などにも搭載されています。まさに縁の下の力持ちといった存在です。

それでは『 fact・8 signature 』に採用された技術を順に見てまいりましょう。

■ ATL技術

「PMC」独自の「ATL(Advanced Transmission Line)」のエンクロージャーは、洗練されたキャビネットの構造、オリジナルのスピーカーユニット、 そして特許取得済みの吸音材料を使用して、巧みな技術によって設計されたものです。これは形状だけ真似しても成し得ない技術で、そこには、同社が誇る、多くのノウハウが注入されています。

ATLは、ウーファーユニットを長いATLの端に配置することにより、その経路と吸音材によって、ウーファーの背面から放出される高音域成分を減衰させて、低音成分はATLを通り、ウーファーの正面の位相と同じになるように開口部から出力され、第2のウーファーとして働くのです。本機のATL長は3mあります。

この方法の大きなメリットとして、ウーファーを駆動している時もキャビネット内部の圧力が変化せず維持されることです。これにより広帯域でウーファーを制御することができ、低域の歪みを大きく低減できるのです。その結果、中音域と高音域のディティールも、高調波歪の影響を受けることがなくなり、透明感のある中域とハイスピードな低域という「PMC」スピーカーの特徴を生み出しているのです。


『 fact・8 signature 』では、各スピーカーユニットの不要な干渉が最小限に抑えられる配置となっているため、小音量時においても、明確な解像度と低歪みにより、スムーズでバランスの取れた低域の再生が可能です。これは家庭用としての夜間や小音量でのリスニングには重要なファクターとなります。

「PMC」の担当者は言います。「ATLであれば、同じドライバーを密閉型エンクロージャーで設計するより、豊かな低音を再生することが可能であり、ATL以外の方法では、全ての音量レベルで解像度と安定性を実現することは困難だ」と。

■ ドライバーユニット

ATLの性能を最大限に生かすためには、キャビネットに合わせた、分解能が高く、超低歪のドライバーユニットが必要です。「PMC」のドライバーユニットは全てオリジナルで、信頼性が高く、ナチュラルで脚色のない純粋なサウンドを実現しています。

factシリーズ専用(日本未発売の上級機「fact・12 signature」にも採用)の140mm超剛性、軽量なコーンウーファーを2基搭載することで、鮮明な中域と深みのある低域を実現しています。 また、ツィーターには19mmのSONOMEX ソフトドームを1基搭載しており、滑らかな軸外特性で、広範囲で心地よい高域を再現します。

■ クロスオーバーネットワーク
スピーカー内の振動が与える影響を見直し、英国製のコンデンサーやドイツ製の抵抗など、厳選した部品を採用しており、コンピュータによるテストとリスニングテストで合格したものだけが製品になります。「PMC」のリファレンスとするセットと違いがないことを確認してからの出荷となるそうです。

クロスオーバー周波数:1.7kHz、遮断特性:24dB/oct.のクロスオーバーネットワークを採用。これらにより、音の透明度を高め、シグネチャーモデルにふさわしい仕上がりとしています。また、HF/LF出力レベル切替(各3段階)も装備しており、お部屋やお好みに合わせた設定が可能です。

■ エンクロージャー

キャビネットは自社で一台一台手作りされており、大量生産とは無縁です。最先端のコンピュータ制御の機械加工と伝統的な職人の技の連携によって生産されており、厳密に精度を指定した、安定性と長寿命が保証された材料をパネルに使用しています。

仕上げはメタリックグラファイト(MG)とホワイトシルク(WS)の2色で木目はありません。特にメタリックグラファイト仕上げは、従来の「PMC」のダイヤモンドブラック仕上げよりも、ほこりが目立たなくなっています。

スピーカーターミナルには、銀メッキのバイワイヤリング対応の「4mmソケット× 2ペア」、サランネットはマグネット着脱式となっています。鏡面加工された台座も付属しており、床材の硬さに合わせて3種類のスパイクが付属(スパイク受けは別売)しており、本機の性能を最大限に引き出すことができます。



■ 試聴してみました

『 fact・8 signature 』の試聴は、 Joshin日本橋1ばん館で、リファレンス機器(アキュフェーズの「DP-75」→「C-3850」→「P-7300」)を使用して行いました。

ジャズ(TBM:鈴木勲の黒いオルフェ)でのベースの量感が実に生々しくたっぷりで、迫ってくるような迫力を感じました。低弦の立ち上がりも素晴らしく、腹に響く、深く沈む低音でした。

ボーカル(ジェニファー・ウォーンズ)の口が小さく、温かくボリュームたっぷりで、詰まった感じの全くない開放的なものでした。シャウトした場面でも、全くうるささを感じないのは不思議なくらいでした。伴奏の低域の伸びの凄さ、高域のシンバルのクリアさも格別でした。

アコースティックギター(フェイキー)が非常に生々しく、エコー感も自然で、レコーディングスタジオの広さを感じる程リアルでした。ギターの胴鳴りが凄くリアルで、木質感もたっぷりでした。

総合的には、この寸法(14cm)のウーファーとは思えない充実した低音で、中低域はハイエンドスピーカーに相応しく厚く充実したものでした。高域もヌケが良く伸びやかで、全く歪みを感じることはありませんでした。また、音量を下げても解像度が下がることはなく、大音量でも聴き疲れは全く感じませんでした。

■ まとめ
「PMC」は考えています。「ユーザーに迎合することでは、決して良いスピーカーは生まれないと・・・。」今日では大量生産されたドライバーユニット、キャビネット、およびクロスオーバーが一般的ですが、「PMC」は自らの基準を満たしたパーツのみを使い、低歪み、高解像度のスピーカーを生み出すために、細部にわたって、革新的かつ、オリジナリティを大切にして開発しているとしています。

『 fact・8 signature 』は、幅広いリスナーが中規模から大規模なお部屋でお使いになるのに最適な音圧が得られ、あらゆる音量で音楽を鳴らしても、決して誇張することなく、音楽が表現する感情と美しさを完璧に伝えるでしょう。

本機を一度体験すれば、単に音楽性だけではない、モニタースピーカーが本業の「PCM」ならではの深く心に染みる充実感が味わえることでしょう。
(あさやん)

2020年1月 3日 (金)

VPIが帰ってきた!! マニアックなアナログプレーヤー『 Prime Scout 』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
日本再登場のVPI Industries Inc.のマニアックなアナログプレーヤー『 Prime Scout 』をピックアップ。価格こそエントリークラスながら、超ハイエンド機に迫る【 新時代のアナログプレーヤー 】の魅力をご紹介いたします。



■ VPI Industries Inc. とは
VPI Industries Inc. (以下、VPI) は、アナログ再生とカーレースに情熱を傾けるアメリカの技術者 ハリー・ワイスフェルド (Harry Weisfeld) 氏によって、1978年に設立されました。

当初、ターンテーブルの構造を隅々まで研究し、試行錯誤しつつ、理想のターンテーブルを開発するための小さな工房を、地元のニューヨーク (その後、ニュージャージーに移転) に設立したのです。

同社のターンテーブルは、優れた剛性と制振性を誇る異種素材を組み合わせたハイマス/高剛性リジッド構造のキャビネット、および、ユニ・ピボット構造の独創的・合理的設計によるトーンアームを主軸に、重量級プラッター、安定した回転を誇るフォノモーターなど、一貫した基本設計思想を貫いてきています。

この設計思想は創業以来一貫しており、欧米のアナログ・ファイルの高い評価を確立しています。アメリカの個人工房から、世界のリファレンスターンテーブルが生まれたのです。

日本国内には、2000年代後半からエソテリックが輸入を始め、2007年の「Scout+J9」、2009年に「Classic Turntable」「Scout masterII」、そして2013年の「Traveler」と続きましたが、その後はVPIの定番商品であるバキューム方式のレコードクリーナー「HW-16.5」のみの状態が5~6年続き、もうプレーヤーは輸入しないのかと思われていました。

VPIの本国のホームページを見てみると、超ハイエンド機を含め、多数のプレーヤーやトーンアーム、フォノイコライザーなど、アナログ機器を幅広く展開しています。

この度、同社の社内体制が変わったこともあって、エソテリックはまずは手始めに、今回ご紹介いたします『 Prime Scout 』から輸入を再開したとのことです。

その『 Prime Scout 』は、同社としてはエントリークラスのプレーヤーで、輸入品としては比較的低価格に抑えられています。

少々マニアックではありますが、本機を使いこなすことができれば、超ハイエンド機にも迫るパフォーマンスを発揮できると思います。では、そのあたりを順に見てまいりましょう。

■ ユニ・ピボット構造のトーンアーム

トーンアームは自社開発の「JMW-9」です。スパイクによる1点支持で、ベアリング部の摩擦 (フリクション) を極限まで減らして、感度を高めています。この摩擦が、感度やトレーシング能力に大きな影響を与えるため、理想のベアリング構造として、ピンポイント・スパイクによるユニ・ピボット・ベアリングを採用したのです。

アーム支点部の黒い円筒は、アームベースに取り付けられた極めて鋭利なスパイクと内部でピンポイントで接しています。

そのままではフラフラの状態ですが、ひとたびレコードに針を下ろすとピタッと安定します。この結果、ベアリングの摩擦を事実上ゼロにすることができ、アームの感度、コンプライアンスを極限まで高め、安定したトレースと滑らかな動作を実現できたのです。

また、トーンアームはシェル一体型のインテグレート型ですが、ヘッド部からカウンターウェイトを含めた可動部全体が簡単に着脱できため、カートリッジ交換も容易に行えます。

アームをピボットに載せて、アームのケーブルをレモコネクター (スイス LEMO社製) にカチッと接続するだけの極めて合理的な設計です。これらによるアームの高感度こそが、カートリッジの特性を十分に引き出してくれるのです。

カタログにはありませんが、ラテラルバランスやインサイドフォースキャンセラー (VPIは不要と考えていますが、一応付属されています) 機能も装備されており、さらに完璧な調整が可能です。

■ 重量級プラッター(ターンテーブル)

アルミニウム削り出しの4.76kg重量級プラッターで、ランブルノイズ (レコード特有のゴロ音) を大幅に排除し、充分な慣性モーメントで安定した回転精度を実現しています。

また、レコードをターンテーブルに吸着させるためのデルリン (樹脂) 製のねじ込み式クランパー、ゴムワッシャーが付属しており、高音質再生が可能です。

■ フォノモーター

駆動力の高い300rpmのACシンクロナス・モーターは、強固な重量級スチールハウジングで本体とは独立構造としており、モーターの振動の影響を効果的に抑制し、漏洩磁束が外部に漏れるのも防止しています。

シンプルな回路構成とすることで、ターンテーブルの安定した回転をサポートしています。

33/45回転の切り換えはプーリーの掛け換えによって行い、プーリーの動力はゴムベルトを介してプラッターに伝わります。

■ キャビネット

キャビネットのベース部は重量級MDFと肉厚スチールプレートの異種素材積層構造とすることで、リジッド構造ながら制振性に優れ、高いハウリングマージンを確保できています。また、素材固有の共振モードを効果的に分散させることで、クリアでナチュラルな音質も獲得できたのです。

脚部はキャビネットの四隅にマウントされており、高さ調節が可能なデルリン製アイソレーションフットを採用しています。キャビネットの作り自体はシンプルですが、全体的には剛性は極めて高いものとなっています。

また、本機専用の国産の比較的安価なダストカバー「VP/COVER-PSC」 (ヒンジ式ではなく、スッポリ覆ってしまうタイプ) もオプションで用意されています。

■ さて、本機のパフォーマンスは?
VPI『 Prime Scout 』は、"オーディオセッション in 大阪" のエソテリック・ブースで説明を受け、試聴しました。

ESOTERIC担当者曰く、『 この作りでこのサウンドは絶対お買い得! 』『 このマニアックさもたまらない 』『 追い込めば追い込む程パフォーマンスが上がっていく、本来のアナログの世界が実現できるプレーヤー 』だと・・・。

本機のパフォーマンスを一言で表すと、高解像度かつ広ダイナミックレンジのプレーヤーです。ターンテーブルのS/N比の良さと、トーンアームの感度の高さが絶妙にコラボレーションした【 新時代のアナログプレーヤー 】と言える製品です。

具体的には、明確な定位、綺麗な余韻、しっかりした低域、繊細で透明な高域、艶っぽい女声ボーカルなど、従来のアナログの代名詞でもある、『 温かく・マイルド 』なだけの世界とは一線を画する本格的サウンドです。最新のハイエンドデジタルとも十分渡り合える、『 リアル感・繊細感 』も表現できます。

VPI『 Prime Scout 』は、価格こそエントリークラスながら、超ハイエンド機に迫る【 新時代のアナログプレーヤー 】と言えます。ヨーロッパ製のプレーヤーが主流のアナログ界ですが、アメリカ製プレーヤーの底力を感じました。
(あさやん)

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