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2015年9月 7日 (月)

レコードから最高のサウンドを引き出す「フォノイコライザー」2機種の実力とは?

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
かつてのアナログ全盛期には考えられなかった多くの手法で、アナログ・ハイエンドの世界を実現するフォノイコライザー 2機種を取り上げます。おそらく、国産として「最後のハイエンド・フォノイコライザー」になるのではないかと思うほどの仕上がりに、喝采を贈りたい思います。



アナログブームが再燃!

現在、巷では「アナログブーム」と言われていますが、CDが登場した1982年以来、過去に何度か「アナログブーム」が起こっています。

LPレコードの生産量のピークは1976年で、年間1億枚近くの生産があったのですが、CDが登場すると減少の一途を辿り、1990年には72万枚まで落ち込みました。

1992年に98万枚と若干盛り返しますが、1995年には再び53万枚に減少してしまいました。しかし、1997~2001年の5年間は100万枚をキープ、1999年には約300万枚を記録する一大ブームが起こりましたが、それも次第に沈静化し、2009年には10万枚と、ブームは完全に収束してしまいました。

私自身も「ついに、これでアナログもギブアップか?」と当時感じたものでした。

しかし、当時草創期にあった「PCオーディオ」「ネットワークオーディオ」など、ファイルオーディオの立ち上がりに呼応するように、再び「アナログブーム」が起こり始め、2012年の45万枚、2013年こそ27万枚と少し落ちたものの、翌2014年には40万枚に盛り返し、ブームが再燃して、現在に至っています。

ちなみにCDは、音楽のネット配信に押される形で、2014年の生産枚数は1億7000万枚と、1998年のピーク時の4億5700万枚の実に3分の1近くに激減してしまっています。


二極化する「アナログブーム」

第3次アナログブームとも呼べる昨今ですが、そのブームは完全に二極化しています。

一方は「フォノイコライザー内蔵型プレーヤー」の存在です。

フォノイコライザー内蔵型プレーヤー

(写真は、ION AUDIO「IA-TTS-012」)

USB出力を搭載していることで、パソコンと親和性のあるプレーヤーに位置づけされ、手軽にアナログレコードをファイル化して、自宅からレコード音源を持ち出して、ヘッドホンで聞く「若い音楽ファン」中心の需要だと思います。

もう一方は、PCオーディオなどのファイルオーディオを経験したオーディオファンが、CDとの違いにある程度は納得できたものの、ファイル音源が本当にアナログサウンドを凌駕できているのかとの疑念を抱きつつ、アナログレコードの真の素晴らしさ(例えば、味わいのあるサウンド、音の温もり、ジャケットのコレクション性など…)を再発見して、再度本格的なアナログオーディオへの取り組みを始められたオーディオファンの存在だと思います。

もちろん、全てのアナログレコードがCDやファイルオーディオに優っている訳ではありません。CDにはCDの、ファイルオーディオにはファイルオーディオの良さがあり、それらをすべて否定するものではありません。

しかし、最良のアナログディスクを最良のアナログ再生装置で再生したそのサウンドは、CDやファイルオーディオでは絶対に到達できない素晴らしい音の世界が厳然と存在するのもまた事実です。

このことは、経験の長いオーディオファンにとっては当たり前のことであり、ここで私がくどくどと説明するまでもないことだと十分承知しています。


国内ハイエンドメーカーが発売したフォノイコライザー2機種

そんな中、再度本格的なアナログオーディオへの取り組みを始められたオーディオファンにとって、最後のフォノイコライザー(?)ともいうべき2機種が、国内ハイエンドメーカーである「アキュフェーズ」と「ラックスマン」から相次いで発売されたのですから、話題にならないはずはありません。

アキュフェーズ「C-37」は昨年末に、ラックスマン「EQ-500」は今春の発売以来、高額でハードルが高いため、爆発的とまでは言えないものの、このクラスのフォノイコライザーとしては、異例の多数のご注文をいただいています。

それでは、両機種の特徴をご説明いたしましょう。


アキュフェーズ「C-37」


2014年末に発売されたアキュフェーズ「C-37」は、ベストセラーで技術的にはやり尽くした感のあった前作「C-27」とデザインこそほぼ同じですが、内部構造は全くの別物ともいえるフルモデルチェンジ機です。なお、機能的には全く変化はありません。

アナログの魅力をさらに引き出すべく、かつてのアナログ全盛期には考えられなかった最新回路や高音質素子を採用しているのです。

特に、MC部のヘッドアンプとイコライザーアンプを分離し、左右独立させることで、各種MCカートリッジに応じた最適な回路方式を実現できています。

また、超低雑音のトランジスタを採用することで、かつて考えられなかった低雑音化も実現できたといいます。

具体的には、前作「C-27」のMCには「ハイゲインイコライザー」、MMには通常のイコライザーと独立したイコライザーアンプを搭載していたのですが、「C-37」では、MCはヘッドアンプで昇圧後、MMと共通のイコライザーアンプに入力される仕組みに変更されています。

これにより、従来のMCではチャンネル当たり10個以上ものトランジスタを使用した構造でしたが、本機ではそれが3個となったことで、S/N比で実に2dB以上(これは、フォノイコライザーとしては大きい数値)も改善できたのです。

さらに、パーツの精度を高めた結果、RIAA偏差を±0.3dB未満に抑えたといい、これも画期的な数字です。

内部は、電源回路から全て左右完全分離としており、トロイダルトランス2個、15,000μFの平滑コンデンサを左右4個ずつ搭載するなど、ちょっとしたプリメインアンプ並の電源です。

S/Nの良さは、無音時の静けさ、音場の広さや立体感の表現に。左右完全分離は、アナログとしては画期的なセパレーションの実現を。電源の充実は、厚く力強い低域再現に結びついています。「C-37」は、アナログレコードの持ち味を、かつてなかったレベルで引き出す、最新鋭のフォノイコライザーアンプです。


ラックスマン「EQ-500」


2015年春に登場したラックスマン「EQ-500」は、今年創立90周年を迎えた老舗ラックスマンの記念すべき第一弾モデルとして開発された「管球式フォノイコライザー」です。

アナログ再生の奥深さを追求し、豊かな再現性を得るため、あえて増幅素子として全段にスロバキアJJ製の真空管を採用したのです。

MC入力にはフォノイコライザー単体機としては珍しく昇圧トランスを採用。特にこの昇圧トランスは凝りに凝っており、コアにはスーパーパーマロイ、しかもハイ(40Ω)・ロー(2.5Ω)と左右独立で計4基も搭載しています。

また、負荷インピーダンス(30k~100kΩの連続可変)と静電容量(6段階)の調整がそれぞれ可能で、これらはMCトランスの後に置かれています。この機能はMMカートリッジから本来のサウンドを引き出すには特に有効と思われます。

さらに、真空管を使ったNFBを用いないRIAA専用の無帰還CR型増幅回路で構成されており、これらは同社が長年積み上げてきた真空管回路技術の独自ノウハウの賜物だと思います。

また、電源にまで整流管とチョークトランスを採用するなど、徹底して管球式を貫いたフォノイコライザーになっています。

この他、ハイカット・ローカットのアナログならではの機能に加え、かつて同社が単体アクセサリーとして発売していたMCカートリッジの消磁(信号を逆に流すことでコアを消磁する)機能もあり、これは非常に有効なものです。さらには、真空管も吟味されたスロバキアJJ製を、カップリングコンデンサーにも有名な独ムンドルフ製を採用するという徹底ぶりです。

S/N感は、真空管ならではの数字以上の聴感上の静けさを実現しています。これも、一般的に真空管がトランジスタを超えるといわれる音色感であり、彫りの深さやエネルギー感の豊かさが実現できています。

そして、我々が真空管に抱いてる「甘ったるい、柔らかな懐古趣味的なサウンド」ではなく、真空管のハイスピードな増幅素子としての性能を引き出すことに成功したサウンドともいえます。

そして何より、フロントパネルのコンパクトな針式メーターやデザインにも大いに所有感をそそられます。


最後のハイエンド・フォノイコライザー(?)

両機種はほぼ同時期に発売されたにもかかわらず、その考え方は実に対照的。アナログ再生へのメーカー独自のこだわりを、独自の手法やノウハウで実現できたことに拍手を送りたいと思います。

ライバルともいえる両機は、アナログ・ハイエンドの世界において、おそらく国産の「最後のハイエンド・フォノイコライザー(?)」として、将来に亘り君臨するのではないでしょうか?

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

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