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2016年10月 6日 (木)

画期的なアナログアイテムが誕生! アナログの歴史が変わるかも…

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、FIDELIX(フィデリックス)から誕生したトーンアーム『 0 SideForce (ゼロ・サイドフォース) 』をご紹介します。従来のオーディオの常識に一石を投じ、アナログの歴史が変わるかもしれない画期的なアイテムです!

FIDELIXが生み出すユニークな製品の数々!

FIDELIXの最近のヒット作と言えば、超高S/Nを実現した、知る人ぞ知るフォノイコライザーアンプ「LEGGIERO(レジェーロ)」や、トーンアームに密着合体する世界初のヘッドシェルとして話題の「MITCHAKU(みっちゃく)」があります。これらは他社では思いもつかない、例え思いついても挑戦できないような非常にユニークな製品です。いずれもサウンドはアナログマニアから認められる素晴らしい製品でもあります。

エンジニアの素朴な疑問からユニークな発想へ!

この様なFIDELIXのユニークな発想は、開発者(中川 伸氏)のオーディオ技術に関する素朴な疑問から生まれてきたものなのです。すなわち、オーディオの技術者やユーザーが、従来からやってきたことが本当に正しく、それが当たり前だと考えてきたことが本当に間違いないのか、との疑問から出たものなのです。

それらの原点こそ、1995年春に発表されるや一大ブームを巻き起こした、同社のCD音質改善装置ハーモネーター「SH-20K」です。それは最近のハイレゾブームの遙か前、SACD登場の前夜、CDの再生音に疑問を持った一人のエンジニアのユニークな発想から生まれたものでした。

その疑問とは、アナログとCDの音質の違いに対してです。当時CDが世に出てすでに10数年経過しているにもかかわらず、依然「音が固い」「音が冷たい」「音のエッジがきつい」「響きが少ない」「低音の分解能が悪い」「音が平面的」などなど、経験を積んだオーディオマニアほど、その不満が多く、一部のマニアのオーディオ熱は冷めつつありました。

そんなCDの再生音に不満をもつマニアが飛びついたのがFIDELIXの「SH-20K」(当時8万円前後)だったのです。原理は、その不満の原因を、当時誰も面と向かって言えなかった(今では、ハイレゾ音源の説明では当たり前ですが…)CDの高域限界(20kHzで急峻にカットされている)と結論づけた上で、20kHz以上にある種のノイズを付加することで解決したのでした。これによりCDに対するマニアの不満がかなりのレベルで改善できたのでした。

FIDELIX新製品トーンアーム『 0 SideForce 』とは!?

そのFIDELIXから最近発表された新製品が、これからご紹介しますトーンアーム『 0 SideForce 』です。残念ながら、私自身、自宅にはこの『 0 SideForce 』が使える環境がありませんので、開発者の中川氏に直接お電話でお聞きしました。

私がこのトーンアームを見て思い出したのは、遙か昔(20年以上も前)、オーディオ評論家の故 江川三郎氏がある技術雑誌で提案していたトーンアームです。

アームのオフセット角(※1)やインサイドフォースを無視してS字やJ字ではなく、パイプを真っ直ぐにしたストレートアーム(※2)を自作されたという記事のことです。そのアナログ再生の常識を覆した実験の結果は、「かつて経験したことがない程の素晴らしさであった。」と書かれていたことをはっきり記憶しています。

※1オフセット角:トラッキングエラー(レコードのカッティング時の針先は水平に移動するのに対し、再生時のアームは支点を中心に円弧を描くため生じる角度差)を少なくするために、カートリッジが少し内側に向くようにトーンアームが曲げられている。
※2 現在でもピュアストレート構造のアームは、ViV laboratory(ビブラボラトリー)などにもありますが、それらは高価であったり、固定式ではなくアドオン(置くだけ)タイプであったりで超マニア用のものでした。

当時、私自身はそれを体験していませんし、製品としても登場していませんので、ストレートアームの記憶は、頭の片隅にだけ残っていました。その後の私のアナログライフは「トーレンス+SME3009S2」というオーソドックスなプレーヤーでの再生環境がずっと続いて来ました。

中川氏が語るトーンアーム『 0 SideForce 』の魅力とは?


FIDELIXの中川氏は、トーンアームの開発当初は、オフセット角を付けたタイプのアームと、真っ直ぐなピュアストレートタイプのアームを併売し、ユーザーに選択してもらおうと考えていたそうです。しかし、比較試聴すると圧倒的な差があり、中川氏はオフセットアームは全く不要との結論に達したとのことです。さらに通常のオフセット角の半分(11.5度)のアームも試作したそうですが、それでも全く太刀打ち出来なかったとのことです。

氏曰く、ピュアストレートアームのサウンドは、低音楽器の明瞭度、力強さ、深さが圧倒的、劇的なものだったとのことです。この原因としては、レコード演奏ではフォルテシモ(音溝の振幅が大きい)では摩擦が大きくなり、この際レコード針は前方に引っ張られ伸びようとするのですが、オフセット角のあるアームに取りつけられたカートリッジのカンチレバーは、真上から見ると反時計方向に回ろうとするため、カンチレバーの根本がレコードの内周に寄って行こうとしているのだそうです。

この結果、音量の大小によってレコード針が前後するのと同時に、カートリッジ自体が左右に揺れる(サイドフォースがかかる)ことになり、時間軸がずれてしまうのだとの結論に達したそうです。デジタルオーディオでよく使われるジッター(もちろんデジタルとは周波数は全く違います)が、アナログでも音質を大きく左右していたのだと言うことです。

また、トーンアームは慣性を持っているため、早い周期(高音)では動きにくいのですが、遅い周期(低音)では容易に動いてしまいます。この結果、ピュアストレートアームでの低音楽器の再生において、地を這うような揺るぎない迫力で低音が再現されることになるのです。我々、経験の長いオーディオファンがかつて最終目標とした、マスターテープの音のような安定感だと言うことです。

従来からトーンアームの設計で最も重視されて来たのは、トラッキングエラーを可能な限り少なくすることでした。しかし現実には、サイドフォースの変動によって生じる時間の揺れの方が遙かに問題だったのです。『 0 SideForce 』では、サイドフォースが発生しようとしてもアームが水平に移動してバランスをとる動作をするので、通常のオフセットタイプのアームには必ず付いていたインサイドフォースキャンセラーも不要になっています。

アームの材質は加工が困難な硬質ステンレス(SUS304)で、宝石による軸受けを採用しています。さらに同社のヘッドシェル「MITCHAKU」によってカートリッジを確実に支えています。基本構造は宝石軸受けによるワンポイントタイプですが、左右のふらつきを回避するため、レコード側に錘を設けることで、支点の下20mmの位置を軽く接触させており、厳密に言えば2ポイントアームとも言えるものだそうです。

手に持つと若干ガタ(0.1ミリ程度)を感じるのはそのためのようですが、実際の演奏時には針先を含めた3点支持となり、極めて安定した曖昧さのない動作をするのだそうです。

このワンポイントサポート構造は、過去にはスタックスやサテンのアームに採用されていましたが、前述のガタが誤解を招くため、多くのメーカーは多数のボールベアリングを使用するジンバルサポート方式を採用し誤解を防いだのです。ただ、ベアリング構造では多点接触となるため、ミクロ的には動作も曖昧になってしまうという欠点がありました。

『 0 SideForce 』では、トーンアームの支点より先は前述のように非常にリジッドな構造にしていますが、支点の後ろのウエイト(錘)はゴムでオーソドックスに浮かすことで、僅かな共振音を排除しています。

最後に

このようにFIDELIXのピュアストレート・トーンアーム『 0 SideForce 』は、従来からのオーディオの常識に一石を投じる画期的なアイテムです。しかし、この恩恵に供することが出来るのは、自作プレーヤーやアーム交換が可能なプレーヤーをお持ちのごく僅かなオーディオマニアだけなのが実に残念です。アナログの歴史を変えるかも知れない画期的なアイテムなのにです・・・。

今回、我々が従来から当たり前、常識だと思っていることでも、今一度立ち止まって考えてみる必要があるとの認識を新たにしました。そして、アナログもデジタル同様、《時間軸の正確さ》が音の“肝”であると改めて納得した次第です。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

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