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2020年2月25日 (火)

ウエスギの新世代ハイパワー真空管アンプ『U・BROS-120R』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、上杉研究所が2014年末に発売した真空管式モノラル・パワーアンプ「U-BROS-120」の後継機種『 U-BROS-120R 』をご紹介。その完成度の程を順に見てまいりましょう。




■ 上杉がこだわる「サークロトロン」とは?
2014年末に発売の真空管式モノラル・パワーアンプ「U-BROS-120」は、上杉研究所の目指す『 真空管パワーアンプの音質的メリットを失わず、スピーカー対応範囲を広げるために、スピーカー駆動能力の高いハイパワーとシングル出力段アンプの持つ優れた低レベル再生能力との両立 』したアンプとして開発されました。そのため、1950年代前半に開発された「サークロトロン(Circlotron)」回路を現代によみがえらせることで、この目標に挑戦したパワーアンプでした。

今回、前作「U-BROS-120」で得た好評価を踏まえた上で、さらに主要部品や回路の見直しを行い、「サークロトロン」回路の完成度をより高めることで、型番末尾に「R」が付いた『 U-BROS-120R 』が開発されました。

1950年代に登場したこの回路は、同時代に開発されたマッキントシュの「ユニティカップルド出力回路(Unity Coupled Circuit)」とならんで、真空管のプレートとカソード両方から出力を取り出す基本構成(CSPP回路)で、それは当時プッシュプル出力の理想的な回路と言われました。

「サークロトロン」は、その構成・動作のシンプルさから「最も美しいプッシュプル回路」とも言われましたが、電源が複雑になることで、当時の技術ではなかなか実用化は難しかったようです。「サークロトロン」の名称はアンプ出力ステージの回路図に由来すると言います。


その難題でもあった電源は、モノラルパワーアンプでは動作原理上、プラスサイクル用出力回路とマイナスサイクル用出力回路それぞれに、アースから浮いた状態の独立した2組のフローティング電源が必要であると言います。これが「サークロトロン」方式の普及を妨げる要因となったそうです。

『 U-BROS-120R 』では、フローティング電源に侵入する同相ノイズを阻止する構造の電源トランスを新たに開発したことで、プラスとマイナスの独立した電源を形成し、これによって相互干渉が低減でき、ハイエンド真空管アンプに要求される音質面で、大きなメリットとなったとのことです。

また、サークロトロンの出力トランスは、1次巻線に直流の高電圧が発生しないため、高音質化のためのワニスの含浸や樹脂の充填が可能となったことで、真空管アンプの音質面での新たな可能性を広げることができたのだとしています。

出力トランスを新開発したことで、パワーバンドウイズス(出力帯域幅)が前作の30Hz(75W/8Ω)から20Hz(90W/8Ω)に拡張され、低域の再現能力が大幅に向上しています。一方で高域の位相特性も大幅に改善されたことで、真空管式パワーアンプとしての可能性を大きく引き出したとも言えます。

また、ドライバー回路は、前作では高耐圧トランジスターを併用したハイブリッド回路でしたが、本機では真空管のみで構成する回路に変更されています。使用真空管は、初段と位相反転段にゼネラルエレクトリック社(米国)製 12AX7A(真空管全盛時代に生産された貴重な高品質真空管)、ドライバー段にはエレクトロハーモニクス製 6CG7 を使用し、出力管のKT120(固定バイアス動作)を駆動しています。

電源が強化されたことで、動的レギュレーション(変動)特性が改善され、インラッシュ電流(突入電流)抑制回路を追加したことで、電源投入時の安定性の向上が図られています。更に、ハイパワーアンプに相応しいスピーカーや出力管に対する保護回路が装備され、信頼性を高めているとのことです。

入力は3系統あり、端子は全てRCA(アンバランス)で、内 2系統がボリュームを経由する「ノーマル」、1系統がボリュームをパスする「ダイレクト」となっています。

■ 『 U-BROS-120R 』の内部設計をチェック
筐体は1.6mm厚亜鉛メッキ鋼板による高剛性シャーシーとサブシャーシーによる構造とすることで、外部からの妨害を受けない無共振・無振動・無干渉構造がとられています。



電気回路や基幹部品には信頼性の高い実績のある国内メーカー品を採用して、余裕度の高い動作設定とすることで長寿命、高信頼設計となっています。

電源回路やバイアス調整、保護回路にはプリント基板が使用されていますが、重要な音声信号の伝達回路には、40余年のキャリアのある職人による芸術的ともいえる手配線が継承されており安心です。

サウンドは、前作同様に真空管アンプとしてはハイパワー(前作:75W、本機:90W)だけあって、特に低音は、真空管アンプからイメージするそれではなく、最近の鳴らしにくい低能率のスピーカーも力強く難なくドライブしました。

中高音に関しては、前作に比較して明らかに透明感が向上していると感じました。音場の見通しがさらに良くなり、しなやかで滑らかな、さすが真空管アンプといったサウンドです。

しかしよく聴くと、真空管アンプではあり得ないS/Nの良さが感じられるのです。細かな部分まで再現しつつ、決してトランジスタアンプのようにさらけ出す感じではない、そこはやはり優しく温かいのです。

『 U-BROS-120R 』は、真空管アンプ独自の血の通ったサウンドでありながら、駆動能力の高いアンプならではの全帯域にわたる安定感のあるサウンドと、シングル出力段アンプに匹敵する優れた低レベルの再生能力の両立を果たした、希有なパワーアンプと言えます。

上杉研究所は、オーディ界の永遠の課題でもある”大は小を兼ねる(ハイパワーかつ小音量時の再現性)”に、本機によってさらに一歩近づけることができたのです。

従来の真空管アンプの枠を大きく超えた、”新世代のハイパワー真空管アンプ”の登場です。

(あさやん)

■ 『 U-BROS-120R 』の設計者から以下のコメントをいただきました
本機が採用している「サークロトロン」出力回路は1950年代に開発され、現在に至るマッキントッシュのユニティカップルド出力回路とならび、プッシュプル出力回路の理想を求めたものです。特に、トランス外部でプッシュプルの波形合成がおこなわれる独自の動作原理は今日の真空管プッシュプルアンプの音質限界を打破する可能性があります。

2014年に登場した先行機「U-BROS-120」に対して本機は「サークロトロン」回路に最適な構造の出力トランスを新規開発したこと、ならびに回路の全面見直しにより、低域のパワーバンドウィズの拡大、高域の位相特性も大幅に改善されました。

本機の音質は高S/Nを基調とした密度の高いワイドレンジ再生が特徴で、その音はパワフルな真空管OTLアンプに近いと評されております。オーディオ界の永遠の課題である「ハイパワーとローレベルの両立」を高い次元で達成したと自負しております。

上杉研究所創業者の故 上杉佳郎氏が確立した、信頼性重視のアンプ設計製造理念は微塵もぶれることなく継承しております。

(設計者:藤原伸夫氏)

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