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2020年5月 4日 (月)

PASS Labsの最新プリメインアンプ『 INT-25 』の実力とは?

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、FirstWattの繊細さとPASSの力強さを併せ持つ、PASS Labsの最新プリメインアンプ『 INT-25 』を取り上げます。


『 INT-25 』は、比較的コンパクトな筐体サイズのステレオA級プリメインアンプで、産業用のパワーMOS FET をシングルプッシュプルで使用し、あえて最大出力を抑え、よりシンプルなシングルエンドの回路構成を特徴としているのです。そのあたりを詳しく見てまいりましょう。

■ パス・ラボラトリーズについて
パス・ラボラトリーズ(以下PASS)は、1991年米カリフォルニア州フォレストヒルに、ネルソン・パス(Nelson Pass)氏によって設立されました。

そのネルソン・パス氏は、1974年スレッショルド社を設立し、伝説のパワーアンプ「800A」を開発し、業界にセンセーションを巻き起こしました。そのデザインやサウンドには、当時、私自身も大いに魅了され、憧れたものです。

同氏はカルフォルニア大学で物理学を専攻し、在学中にスピーカーの設計や、オーディオメーカーでのアンプの修理業などを経験。1974年に物理学の学士号を取得するとともに、独自にアンプ作りを決意したのでした。

その後、スレッショルドで17年社長を務め、インプルーブドAクラスのステイシス回路など、数多くの画期的なアンプ回路を開発したのでした。

PASS製品の多くは、同氏をはじめ、スタッフの「こうした製品が欲しい」という必然が、その開発動機になっていると言います。現在の開発スタッフは全員が音楽フリークで、氏の監修のもと「何が聴こえなければならないか」「何が聴こえてはいけないか」を理想的に実現すべく努力していると言います。

PASSのパワーアンプやプリメインアンプは、多数の「パワーMOS-FET」を使用した出力段、巨大なヒートシンクや大規模な電源回路の搭載というのが本来のコンセプトです。

しかし、今回ご紹介する『 INT-25 』は違います。このコンセプトを控えめに採用しているのです。

■ 『 INT-25 』の内部構造をチェック

『 INT-25 』の最大の特徴は、そのパワーアンプ部にあります。2017年に発売されたパワーアンプ「XA-25」をそのままパワー部に移植し、そこに同社プリメイン「INT-60(AB級ステレオ60W)」で採用された回路をベースとして、シングルエンド入力に特化したシンプルな回路構成のプリ部を加えてプリメイン化したのです。

パワー部の元となった「XA-25」は、本来のPASSのパワーアンプのコンセプトでもある「独自のアンプ回路による、巨大なヒートシンクや大規模な電源を備えた大型筐体」とは異なった、あくまでシンプルに徹した同社としては比較的小さな筐体のパワーアンプです。

これはどちらかと言うと、PASSのサブブランドとして1998年にスタートしたFirstWatt(ファーストワット:ネルソン・パスのハンドメイドブランドで、このコーナーでも「F7」「SIT-3」をご紹介しました。)の「非常にシンプルで高品質な低出力オーディオアンプの開発」というコンセプトに近いものと言えます。

パワーアンプ部の前段は、2組のコンプリメンタリーFETを採用し、カレントフィードバックで動作させ、さらにダイレクト・カップル方式としてDCサーボや周波数補正を用いない設計になっています。


700ワット/40アンペアの能力を有する産業用パワーMOSFETによるシングルプッシュプル構成の出力段。

出力段には、700W(ワット)/ 40A(アンペア) 規格の産業用パワーMOSFETを用い、片チャンネル1ペアのコンプリメンタリーによるシングルプッシュプル構成とし、高性能なA級出力を実現しています。信号経路のパーツ数もかなり削減しており、このあたりは「FirstWatt」のアンプを彷彿とさせます。

公称出力は25W×2(8Ω)、4Ωでは理論通り倍の50W×2を確保。出力素子はソース抵抗を介さずに直接スピーカーターミナルへ接続する構成として、ダンピングファクター500を実現。決してパワーを誇示するアンプではありませんが、力不足を感じないのは、十分なパワーが供給されているためだと思われます。

プリアンプ部は、ドライバー段に採用された高入力インピーダンスのJ-FETによって6dBのゲインが与えられ、電子ボリューム回路(ロータリーエンコーダー)へ送られます。その結果、アッテネーターの歪みは0.001%以下を実現しています。

このプリアンプ回路の設計は、スレッショルド時代から製品開発を行っているPASS Labsの当初からのメンバーでもあり、同社のプリアンプの設計を一任されている、プリアンプ・デザイナーのウェイン・コルバーン(Wayne Colburn)氏が担当してします。

本機の入力は、アンバランス(RCA)が3系統しか無く、バランス入力はありません。プリアウトやプロセッサーなどの付属入出力も一切無く、必要最小限にとどめシンプルに徹しています。リモコンは付属していますが、同社他機との共用となっているため、本機では使えないキーもあります。

このように『 INT-25 』は、機能はすこぶる単純で最少。それ故、音の鮮度は格別なのですが、一方で、大型トロイダルトランスや特大電流のパワーデバイスによる非常にタフなアンプでもあるのです。

■ 最後に
PASS Labsは、素晴らしい測定結果を得るのは簡単だと言います。しかし素晴らしいスペックの製品が、往々にして無味乾燥で退屈な音であることが多いとも言います。PASSの製品基準は「いかに音楽ソースから素晴らしい喜びを最大限に引き出すか」なのです。

『 INT-25 』の魅力は、恐ろしい程の鮮度感です。単純明快な回路、シンプルな機能、凝縮された筐体。そのどれもが無駄を排し、全てが音のために「何が聴こえなければならないか」「何が聴こえてはいけないか」を徹底的に突き詰めた結果の製品だと、そのサウンドを一瞬聴いただけで分かりました。

本機のサウンドを一言で言い表すと「3極真空管アンプの透明感と豊潤さ、シングルPPのソリッドステートアンプの鮮度感とキレの良さ」を併せ持った魅力だと言えます。また、パワーの数字から想像するひ弱さは微塵もなく、低域には力があり厚みもしっかり出してきます。

機能の少なさとパワーを問題としないのなら、本機は超ハイエンド・セパレートアンプにも十分対抗しうる、オールラウンドなパフォーマンスを備えていると断言します。

セパレートをも凌駕する、こんなプリメインを待ち望んでいたオーディオファイルもきっといらしゃると思います。
(あさやん)

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