アナログハイエンド情報 Feed

2016年12月 3日 (土)

【最後のCDプレーヤー!?】HegelのMOHICAN(モヒカン)をご案内します


みな様こんにちは!

私事も含め、本年は激動の年だったなぁ。。。と既に来年の事を考えつつあるとうふです。

さて年末と言えば大掃除。
皆様は年に一度の大イベントに備えて、清掃用具等の準備は整っているでしょうか?
もしまだの方は。。。年末に近づくと品切れ等で年内に手に入らない等の可能性がありますので...お早めにご検討下さいませ。
※そんな掃除機・クリーナーが豊富でお買い得なJoshin Webの特設コーナーはこちらより。

さて、今回ご案内の製品は...こちら

ヘーゲル
CD専用プレーヤー
MOHICAN

北欧・ノルウェーのオーディオメーカーHEGEL(ヘーゲル)のCDプレーヤー"MOHICAN(モヒカン)"です。
何故ノルウェーのメーカーがアメリカの部族の名前なのか。。。?と思うところはあるのですが、その理由はメーカーも公表の通り、小説「モヒカン族の最後」から命名。
"ヘーゲル社最後のCDプレーヤー"の意思の元、HEGELの今までのCDプレーヤーで培った技術の集大成として発表されたようですね。
『最後』の。
そう、このモヒカンはHEGEL社『最後のCDプレーヤー』なのです。

しかしCDプレーヤーの集大成として発表されただけあり、
CD再生のみに特化。デジタル入力やヘッドホン出力等余計な機能を排除し、CDからの情報を何一つ余すところなく取り出す』や
16bit/44.1kHzのネイティブ解像度でアップサンプリングしない』等なんとも男らしい仕様です。
また、通常デジタル出力と言えば同軸RCA端子やTOS光(角型)端子を採用しているものが多い中、しっかりとしたロック機構のある『BNC端子』だけと言うのもこだわりなのでしょうね。

発表したばかりでまだ実機の確認は出来ていませんが、前作のCDP2Aの発展系と想像するならば。。。
明瞭度の高さと鮮明さ、解像度の高さに空間表現力の広さは磨きがかかり、そこにアナログレコードのような密度感が加わる。。。と言った感じでしょうか?
実機は早い段階で、聴いてみたいところです。

しかし、『最後の』CDプレーヤーですか。。。
私はPCオーディオ(もちろんネットワークオーディオも)も聴きますが、まだまだCD(およびSACD)再生環境が主なので、ハイエンドオーディオメーカーからこうハッキリと"最後のCDプレーヤー"なんて聞いてしまうと少し切なくなってしまいます。
と言っても(伝聞系ですが)海外のオーディオショー等ではCDを再生する事はまず無く、大抵がPC/ネットワークやストリーミング再生、そしてアナログレコードらしく、メーカーも利便性の観点からもCDは敬遠気味なのかもしれません。
ハイエンドオーディオメーカーのLINN社などはかなり速い段階でCDには見切りをつけ、プレーヤーはネットワークプレーヤーとアナログプレーヤーにシフトし、一定の支持を得ている事から今後このような動向は進んでいくのかも知れませんね。。。
※昨今の新興メーカー等はそもそもCD再生を念頭に置いていないメーカーも多々ありますが。

私個人的にはジャケットなどを持つ、"所有感"も重要な要因と考えていますので、音源のみとなる昨今のPC/ネットワークオーディオ環境への完全移行には足踏みしてしまいます。
ジャケットはアルバムイメージとして端末やソフト上で確認できます。。。がやはり実物がないのはやはり物足りないというかなんと言うか、ですが。

しかしこれも時代の流れ、ハイエンドオーディオメーカーであるHEGELが脱・CDプレーヤー宣言を行った事により、今後同様の脱・CDプレーヤー宣言は増えていくのかも知れませんね。

純粋なCDプレーヤーも減りつつある昨今。
「CD再生に特化し、こだわり抜いたCD専用再生機」としてHEGELのMOHICAN(モヒカン)はいかがでしょうか?

それではいつもお買い得な「Joshin Web」でお待ちしております。

2016年10月 6日 (木)

画期的なアナログアイテムが誕生! アナログの歴史が変わるかも…

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、FIDELIX(フィデリックス)から誕生したトーンアーム『 0 SideForce (ゼロ・サイドフォース) 』をご紹介します。従来のオーディオの常識に一石を投じ、アナログの歴史が変わるかもしれない画期的なアイテムです!

FIDELIXが生み出すユニークな製品の数々!

FIDELIXの最近のヒット作と言えば、超高S/Nを実現した、知る人ぞ知るフォノイコライザーアンプ「LEGGIERO(レジェーロ)」や、トーンアームに密着合体する世界初のヘッドシェルとして話題の「MITCHAKU(みっちゃく)」があります。これらは他社では思いもつかない、例え思いついても挑戦できないような非常にユニークな製品です。いずれもサウンドはアナログマニアから認められる素晴らしい製品でもあります。

エンジニアの素朴な疑問からユニークな発想へ!

この様なFIDELIXのユニークな発想は、開発者(中川 伸氏)のオーディオ技術に関する素朴な疑問から生まれてきたものなのです。すなわち、オーディオの技術者やユーザーが、従来からやってきたことが本当に正しく、それが当たり前だと考えてきたことが本当に間違いないのか、との疑問から出たものなのです。

それらの原点こそ、1995年春に発表されるや一大ブームを巻き起こした、同社のCD音質改善装置ハーモネーター「SH-20K」です。それは最近のハイレゾブームの遙か前、SACD登場の前夜、CDの再生音に疑問を持った一人のエンジニアのユニークな発想から生まれたものでした。

その疑問とは、アナログとCDの音質の違いに対してです。当時CDが世に出てすでに10数年経過しているにもかかわらず、依然「音が固い」「音が冷たい」「音のエッジがきつい」「響きが少ない」「低音の分解能が悪い」「音が平面的」などなど、経験を積んだオーディオマニアほど、その不満が多く、一部のマニアのオーディオ熱は冷めつつありました。

そんなCDの再生音に不満をもつマニアが飛びついたのがFIDELIXの「SH-20K」(当時8万円前後)だったのです。原理は、その不満の原因を、当時誰も面と向かって言えなかった(今では、ハイレゾ音源の説明では当たり前ですが…)CDの高域限界(20kHzで急峻にカットされている)と結論づけた上で、20kHz以上にある種のノイズを付加することで解決したのでした。これによりCDに対するマニアの不満がかなりのレベルで改善できたのでした。

FIDELIX新製品トーンアーム『 0 SideForce 』とは!?

そのFIDELIXから最近発表された新製品が、これからご紹介しますトーンアーム『 0 SideForce 』です。残念ながら、私自身、自宅にはこの『 0 SideForce 』が使える環境がありませんので、開発者の中川氏に直接お電話でお聞きしました。

私がこのトーンアームを見て思い出したのは、遙か昔(20年以上も前)、オーディオ評論家の故 江川三郎氏がある技術雑誌で提案していたトーンアームです。

アームのオフセット角(※1)やインサイドフォースを無視してS字やJ字ではなく、パイプを真っ直ぐにしたストレートアーム(※2)を自作されたという記事のことです。そのアナログ再生の常識を覆した実験の結果は、「かつて経験したことがない程の素晴らしさであった。」と書かれていたことをはっきり記憶しています。

※1オフセット角:トラッキングエラー(レコードのカッティング時の針先は水平に移動するのに対し、再生時のアームは支点を中心に円弧を描くため生じる角度差)を少なくするために、カートリッジが少し内側に向くようにトーンアームが曲げられている。
※2 現在でもピュアストレート構造のアームは、ViV laboratory(ビブラボラトリー)などにもありますが、それらは高価であったり、固定式ではなくアドオン(置くだけ)タイプであったりで超マニア用のものでした。

当時、私自身はそれを体験していませんし、製品としても登場していませんので、ストレートアームの記憶は、頭の片隅にだけ残っていました。その後の私のアナログライフは「トーレンス+SME3009S2」というオーソドックスなプレーヤーでの再生環境がずっと続いて来ました。

中川氏が語るトーンアーム『 0 SideForce 』の魅力とは?


FIDELIXの中川氏は、トーンアームの開発当初は、オフセット角を付けたタイプのアームと、真っ直ぐなピュアストレートタイプのアームを併売し、ユーザーに選択してもらおうと考えていたそうです。しかし、比較試聴すると圧倒的な差があり、中川氏はオフセットアームは全く不要との結論に達したとのことです。さらに通常のオフセット角の半分(11.5度)のアームも試作したそうですが、それでも全く太刀打ち出来なかったとのことです。

氏曰く、ピュアストレートアームのサウンドは、低音楽器の明瞭度、力強さ、深さが圧倒的、劇的なものだったとのことです。この原因としては、レコード演奏ではフォルテシモ(音溝の振幅が大きい)では摩擦が大きくなり、この際レコード針は前方に引っ張られ伸びようとするのですが、オフセット角のあるアームに取りつけられたカートリッジのカンチレバーは、真上から見ると反時計方向に回ろうとするため、カンチレバーの根本がレコードの内周に寄って行こうとしているのだそうです。

この結果、音量の大小によってレコード針が前後するのと同時に、カートリッジ自体が左右に揺れる(サイドフォースがかかる)ことになり、時間軸がずれてしまうのだとの結論に達したそうです。デジタルオーディオでよく使われるジッター(もちろんデジタルとは周波数は全く違います)が、アナログでも音質を大きく左右していたのだと言うことです。

また、トーンアームは慣性を持っているため、早い周期(高音)では動きにくいのですが、遅い周期(低音)では容易に動いてしまいます。この結果、ピュアストレートアームでの低音楽器の再生において、地を這うような揺るぎない迫力で低音が再現されることになるのです。我々、経験の長いオーディオファンがかつて最終目標とした、マスターテープの音のような安定感だと言うことです。

従来からトーンアームの設計で最も重視されて来たのは、トラッキングエラーを可能な限り少なくすることでした。しかし現実には、サイドフォースの変動によって生じる時間の揺れの方が遙かに問題だったのです。『 0 SideForce 』では、サイドフォースが発生しようとしてもアームが水平に移動してバランスをとる動作をするので、通常のオフセットタイプのアームには必ず付いていたインサイドフォースキャンセラーも不要になっています。

アームの材質は加工が困難な硬質ステンレス(SUS304)で、宝石による軸受けを採用しています。さらに同社のヘッドシェル「MITCHAKU」によってカートリッジを確実に支えています。基本構造は宝石軸受けによるワンポイントタイプですが、左右のふらつきを回避するため、レコード側に錘を設けることで、支点の下20mmの位置を軽く接触させており、厳密に言えば2ポイントアームとも言えるものだそうです。

手に持つと若干ガタ(0.1ミリ程度)を感じるのはそのためのようですが、実際の演奏時には針先を含めた3点支持となり、極めて安定した曖昧さのない動作をするのだそうです。

このワンポイントサポート構造は、過去にはスタックスやサテンのアームに採用されていましたが、前述のガタが誤解を招くため、多くのメーカーは多数のボールベアリングを使用するジンバルサポート方式を採用し誤解を防いだのです。ただ、ベアリング構造では多点接触となるため、ミクロ的には動作も曖昧になってしまうという欠点がありました。

『 0 SideForce 』では、トーンアームの支点より先は前述のように非常にリジッドな構造にしていますが、支点の後ろのウエイト(錘)はゴムでオーソドックスに浮かすことで、僅かな共振音を排除しています。

最後に

このようにFIDELIXのピュアストレート・トーンアーム『 0 SideForce 』は、従来からのオーディオの常識に一石を投じる画期的なアイテムです。しかし、この恩恵に供することが出来るのは、自作プレーヤーやアーム交換が可能なプレーヤーをお持ちのごく僅かなオーディオマニアだけなのが実に残念です。アナログの歴史を変えるかも知れない画期的なアイテムなのにです・・・。

今回、我々が従来から当たり前、常識だと思っていることでも、今一度立ち止まって考えてみる必要があるとの認識を新たにしました。そして、アナログもデジタル同様、《時間軸の正確さ》が音の“肝”であると改めて納得した次第です。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2016年8月22日 (月)

レコードを極めるためのプレーヤー『 Solid 113 System 』

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、比較的リーズナブルな価格で、アナログ(レコード)の本当の素晴らしさを可能な限り引き出すプレーヤー『 Solid 113 System 』を取り上げます。また、オルトフォンの新作カートリッジ『 SPU#1 』も併せてご紹介いたします。

アナログのデジタルファイル化

巷ではアナログアーカイブが話題となり、私自身も自宅で実際に行っていますし、このコラムでもアナログプレーヤーやA/Dコンバーターを何度もご紹介しつつ、その面白さをお伝えして参りました。

しかし、本格的オーディオにはあまり興味のない、ほとんどの音楽ファンにとっては、いわゆるUSB出力付きのローコストのレコードプレーヤーを使ってのアーカイブで、恐らく十分満足されているのだと思います。

ただ、アナログをデジタル化することで、絶対に元のアナログ音源より音質が良くなる訳がないのも自明の理です。

出来る限りその原音に近づけることこそが、オーディオファイルの目指すアナログ音源のデジタルファイル化の究極の目標でもあります。

確かにデジタルファイル化することによる便利さは図り知れません。しかし、その便利さ以外の全ての要素で勝るのは、やはりアナログプレーヤーで直接レコード演奏をして、リアルタイムで聴くことです。それはまた揺るがしようのない事実でもあります。

そんなアナログの本当の素晴らしさを可能な限り引き出すための、比較的リーズナブルな価格の海外製アナログプレーヤーを今回ご紹介したいと思います。

内製化率は95%!品質に一切妥協がないアコースティック・ソリッド社

アコースティック・ソリッド社は、ドイツの自動車工業の音響エンジニアとして、長年設計や製造に携わってきたカール・ヴィルト(Karl Wirth)氏によって、1990年に設立されました。(当時の社名は、Wirth Tonmachinenbau GmbH)

その後1997年に、シュトゥットガルト近郊でレコードプレーヤー専業メーカー「Acoustic Solid」として創業されました。

アコースティックソリッド社が理想とするアナログプレーヤーは『レコード盤に刻まれた音楽情報を全て引き出す製品であり、トーンアームやカートリッジ、レコード盤を強固に支えることでそれを可能にし、レコードの高忠実度再生が実現できる。』と言うものです。

ヴィルト氏はそれまでの経験を生かし、摩擦係数の非常に小さいベアリングを開発したのです。

ダンピング効果が抜群で、焼き付けがなく、摩擦係数が限りなくゼロに近い「側面ベアリング(Sideway lining cast)【特許取得】」をオーディオ用ターンテーブルに応用したのです。

さらに、同社は超ハイエンド機から、今回ご紹介する『 Solid 113 』シリーズに至るまで、数々の製品を手がけていますが、特殊アルミの大型ブロックからターンテーブル、土台、脚を含めて、全てのパーツを自社で削り出し、内製化率は95%にも達しており、他社に依存することがないため、品質にも一切妥協がないと言います。

同社のアナログプレーヤーの本体ベース(キャビネット)には、アルミ、木材、アクリルと、それぞれ異なる素材を採用した製品がラインナップされており、それぞれの特質を生かして精密なターンテーブルの動作を支えており、それが同社プレーヤーの特徴ともなっています。

ただ、これまでの同社のプレーヤーは、モーターが別筐体になっており、これには回転時のノイズや振動がキャビネットに伝わらないという音質上の大きなメリットはあるのですが、一方で操作方法や置き場所、メンテナンスなどの面では使い勝手を犠牲にしていました。

これが初心者やメカが不得意なオーディオファンには、若干ハードルが高かったとも言えます。

『 Solid 113 System 』とは

今回の『 Solid 113 』シリーズでは、モーターがキャビネットに固定され、一般的なプレーヤーの形態となり、使い勝手は格段に向上しています。この構造を可能にしたのは、極めて振動の少ないACシンクロナス・モーター(ドイツ Berber Lahr社製)によるものと考えられます。

『 Solid 113 』シリーズにはアームレスタイプもあるのですが、今回取り上げる『 Solid 113 System 』は、輸入元のオルトフォンジャパン特別仕様の本格的9インチタイプのスタティックバランス型S字トーンアーム「WTB211」が搭載されています。

このアームは上級機にも採用されている高精度でシンプルな使いやすいもので、割安な価格設定(アームレスタイプとの価格差がメーカー希望小売価格で64,000円/税別)がされており、非常にお買い得なベルトドライブプレーヤーとなっています。

キャビネットは明るめの桜材による突き板仕上げ、中抜きなしのアルミ無垢材の削り出しによるターンテーブル(プラッター)は7.5kgの超重量級で、ターンテーブルシートには本革スウェード(ベージュ色)が採用されています。

軸受けには、摩擦係数の極めて小さい同社オリジナルの側面ベアリングに、テフロン板とセラミックベースボールを上級機同様採用しています。

前述のように、同社従来機と異なりモーターやコントロール部分がプレーヤーのウッドベースに組み込まれているのですが、この本体質量(12kg)の大半を占める質量の大きなプラッターを安定的に回転させることで、再生音質に影響するモーター振動を回避しようとしていると思われます。

『 Solid 113 System 』はシンプルでコンパクトにまとめられており、設置スペースも幅470mm・奥行400mmと抑えられ、使いやすいものとなっています。

ただし、設置場所については、本機が振動を吸収タイプのインシュレーターやバネなどを使用しないリジッドな設計であるため、置き台やラックには十分な振動対策が必要なのは言うまでもありません。

音質については、カートリッジやフォノイコライザーによる影響が大きいため、具体的な言及は控えますが、サウンド傾向は軽やかで吹っ切れ感のある、反応の速いものです。

さすがに超重量級のプレーヤーに見られる重厚感や深みの表現は一歩譲るものの、全く引っ掛かりのないダイナミックでハイスピードなサウンドにより、アナログのメリットは十分過ぎる位発揮されていると思います。

やはり、このクラスまで来ると、一般的なCD/SACDやファイルによるデジタル音源とは、一線を画したリアルさが味わえ、デジタル音源で感じる天井感(ダイナミックレンジが制限されている)を全く感じることがなく、伸びやかでストレスのないサウンドが実現しています。

アナログでのアーカイブを含め本格的にチャレンジしたい、アナログを極めたいとお考えの方、また一度はアナログ機器を処分され、もう一度チャレンジしてみたいとお考えの方に、このAcoustic Solid『 Solid 113 System 』はピッタリはまる理想のアナログプレーヤーではないでしょうか。

オルトフォンの新作カートリッジ『 SPU#1 』もご紹介!

最新情報として、オルトフォンから新発売されたSPUの新作カートリッジ『 SPU#1 』も少しご紹介しておきましょう。

1959年発表の銘機『 SPU 』。その最新後継にあたる『 SPU#1 』(ナンバーワン)は、かつての「オールドサウンド」に最大限にこだわり、シェル素材にも木粉および樹脂の複合素材を採用し、当時を思わせる図太いサウンド、豊かな低域、完璧なまでの「THE SPUサウンド」を再現しています。

『 SPU#1 』は、SPUシリーズの中で最もコストパフォーマンスが高く導入し易い価格帯で、丸針の『 SPU#1S 』(Spherical Stylus)と、楕円針の『 SPU#1E 』(Elliptical Stylus) の伝統の2種類が用意されています。

この新型SPU『 SPU#1 』(自重30g)を今回取り上げた『 Solid 113 System 』でお使いになりたいというオーディオファイルもいらっしゃると思います。

その場合は、オルトフォンのオプションウエイト「Type C」を別途ご購入いただきますとお使いいただけます。

SPUならではのコテコテのアナログの世界に一歩足を踏み入れたら、きっと貴方はオーディオにさらにのめり込んしまうに違いありません。それほどに、最新デジタルとは真逆のサウンドとも言えると思います。こんな世界もあったのかと…。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2016年5月28日 (土)

国産としては久々! TEACから本格的アナログプレーヤー登場!!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、私が待ち望んでいた本格的アナログプレーヤー「TEAC TN-570」を取り上げます。レコードを再生するだけではない、色々なこだわりや機能などが沢山詰まった欲張りプレーヤーの登場です! それでは、魅力をご紹介いたしましょう。


最近のアナログブームについて

アナログブームと言われだして久しい今日この頃ですが、多くのオーディオファンがこぞって、レコードの再生に再度チャレンジされているとは、私にはどうしても思えないのです。

今回のアナログブームは、二つの世代(グループ)で構成されているのではないかと、私は考えています。

その一つは、初めてレコードというものを知り、レコード音楽の面白さやレトロ感に魅せられた、若い世代です。彼らの間では、今流行りのハイレゾブームもあり、レコードのデジタルアーカイブ化によって、携帯音楽プレーヤーなどで持ち出して聴くというスタイルが、話題になったからのブームだと考えられます。

そして、もう一つは、若い頃にレコードをよくお聴きになった世代で、大半はCDが発売された1982年10月以前から音楽に親しまれていた熟年層です。この世代がアナログに再チャレンジすることになったきっかけは「レコードが懐かしい」ということもありますが、それ以外にも理由があります。

それは、当時はレコードを聴きたくても、ある程度のオーディオシステムが必要であり、かなりハードルは高かったのが実情でした。しかし、ここに来て、前述の需要が顕在化したお陰で、一万円前後のお手軽アナログプレーヤーが続々と発売され、簡単にレコードが聴ける環境が整ったからではないかと思います。

私を含め従来、一部のマニア層でしか楽しまれてこなかったレコードの再生に、若い世代や熟年層の一部の方々がその魅力に目覚め、本格的に再チャレンジされている姿も見られるようになってきました。

しかし、本格的となるとコストが掛かる上に、操作方法はもちろん、カートリッジなどの周辺機器やクリーナーなどのアクセサリー類など、知っておかなければならないことも沢山あります。

私としては、レコードの良さを知っていただくために、最低限必要なグレードを持った上で、PCオーディオでも楽しめるデジタルアーカイブにも対応した、本格的アナログプレーヤーの出現を待っていました。そんな中、遂に自信を持ってお勧めできるアナログプレーヤーが登場したのです。

私が待ち望んでいたアナログプレーヤーがついに登場!

それは、フォノイコライザー内蔵デジタル出力付きアナログプレーヤー『 TEAC TN-570 』です。

TEACには、2014年の年末に発売され、人気となっている「TN-350」(筐体色はチェリー、翌年3月にナチュラルウッドが発売)がありますが、その上級モデルに位置します。

筐体は、MDFのベースにラバーを挟んで、人造大理石を乗せた、35mm厚の高級感のあるもの。ターンテーブルには、印象的な透明のアクリル製を採用するなど、デザイン的にも凝っています。

もちろん、使用されているアクリルは、そのデザインからだけではなく、アクリル自体の比重も大きく、制振材にも使われるくらいに共振が少ない素材でもあるためです。それを16mmの厚みを持たすことで重量は1.4kgにもなり、お手軽プレーヤーとは一線を画す、本格的ハイエンド仕様となっています。

ターンテーブルの駆動方式は、テクニクスで話題になっているダイレクトドライブではなく、高トルクDCモーター駆動のベルトドライブを採用しています。しかしここでも、お手軽プレーヤーのような原始的なメカ式ではなく、その制御には「PRS3」という回転数自動制御機構を採用しています。

これは、回転軸の直下にエンコーダーを取り付け、回転を光学式センサーで読み取り、マイコンを使ってモーターを制御する方式です。

ダイレクトドライブのように、ターンテーブルの回転を直接制御(高性能のためにはコストが掛かる)するのでもなく、一般のベルトドライブのように慣性モーメントだけに頼るのでもない、ベルトを駆動するモーター自体の回転数を微調整することで、非常に高精度な回転が維持できるとのことです。

トーンアームは、S字のスタティックバランス型の本格仕様で、カートリッジの付け替えに有効な±6mmの高さ調整や、アンチスケーティング(針先がレコードの内側に引っ張られる力を打ち消す)機構まで採用。

針先を任意の場所に手動で降ろせる、アームリフターも装備しています。さらにアームパイプ内部の導線には、PC-TripleCを採用するというこだわりようです。

カートリッジは、オーディオテクニカ「AT-100E」同等品で、使い易いVM型が付属。明るいシャキっとした抜けの良いサウンドで、当面はこれで十分楽しんでいただけると思います。

インシュレーターは、高さ調整可能なアルミ削り出しの本格仕様で、メカニカルアースも完璧に取れます。

ターンテーブルシートは一般的なゴム製ではなく、芯材に湿度による反りを抑え、適度な質量のあるストーンペーパーの両面に和紙を貼り合わせた「TA-TS30UN-BW」を採用。これにより、固有の振動をもたないため、制振効果を高め、帯電も抑制されるとのことです。このシートは、別売されており、人気商品となっています。

今までになかった、さらなる魅力とは?

そして、ここからはいままでの本格派プレーヤーにはなかったプラスαです。

「TN-570」は従来からあるプレーヤーと同様、カートリッジの出力信号を直接アンプのフォノイコライザーに入力することは可能ですが、MMカートリッジ対応のフォノイコライザーも内蔵しており、専用スイッチの切替でフォノイコのないアンプやアンプ内蔵スピーカーでも使用可能です。

また、シーラスロジック製のCS5361をチップに採用したA/Dコンバーターを内蔵しており、192kHz/24bitの出力を光デジタル(TOS)で出したり、48kHz/16bitのUSB(Bタイプ)での出力もできます。

お勧めしたい二つのこと

ここまで仕様を見てきましたが、本格的アナログ再生にもう一度チャレンジしたいとおっしゃるオーディオファンの皆様に、本機をどうしてもお勧めしたい理由が二つあります。


その一つは、トーンアームの高さが調整できることです。

従来から、同社の人気弟機である「TN-350」やONKYO「CP-1050」、そしてロングセラーのDENON「DP-500M」は、性能的には良くできているものの、残念ながら高さ調整はできませんでした。高さが調整できるということは、カートリッジやヘッドシェルの交換が容易になり、高級MCカートリッジも使うことができるということです。

さらに、フォノケーブルやシェルリード線まで交換可能で、この「TN-570」は、ベテランのオーディオファンにとっても「腕が振るえる」、久々の本格仕様のアナログプレーヤーなのです。

そしてもう一つは、何といってもデジタル出力の装備でしょう。お持ちのD/Aコンバーターに光ケーブルで接続したり、USB-DACやパソコンにつないでのPCオーディオなど、色んな使い方・音の変化を楽しむことができる、欲張りプレーヤーでもあります。

最後に

私としては、KORGのUSB-DAC「DS-DAC-10R」を使っての「DSDによる再生やアーカイブ化」も楽しいと思います。

今の時代だからからこそのアナログプレーヤー、TEAC「TN-570」の登場です。オーディオファンが一人でも多く、「本格的なアナログ再生の世界」へ来ていただくことを願うばかりです。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2015年12月27日 (日)

こんなスピーカーが欲しかった! AIR TIGHT『 AL-05 』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、オーディオファイルのサブシステムとしてピッタリ(いやメインとしても使えるかも…)、10cmフルレンジユニットを使用したコンパクトなスピーカー、AIR TIGHT(エアー・タイト)の『 AL-05 』(愛称:BONSAI[盆栽])を取り上げます。


AIR TIGHTとは

AIR TIGHTは、ラックスから独立した三浦篤氏と、設計の石黒正美氏が1986年に設立したブランドです。社名は「A&M(エイ・アンド・エム)」です。これは、篤の「 A 」と正美の「 M 」の頭文字から命名されています。

プリント基盤を一切使用せず、高品位パーツの手配線にこだわった真空管アンプの製品群は、日本国内よりも先に海外のマニアの間で評判となり、アメリカを中心に海外のハイエンドオーディオ市場で火が点きました。

その後、国内でも徐々に認められ、現在では、世界に通用する数少ない「国産真空管アンプの老舗メーカー」となっています。

AIR TIGHTが何故、デジタル全盛の時代に、真空管を使用した「こだわりのオーディオ機器」を開発するのでしょうか?

時流はすでに約半世紀前より真空管からトランジスターへと移行していたのですが、それは真空管の性能が劣っているからという理由からではなく、大量生産・コスト低減など、単に近代工業生産のシステムに合わなかったからと考えたからです。

その結果、「エイ・アンド・エム社は本当に音楽を楽しみ使い込むことに、より喜びを感じられるような製品創りを目指して始まりました」と同社のホームページにはあります。

また、同社アンプ群の洗練されたデザインや安心感のある回路は、現代のオーディオファイルの感性を満足させる事を目標に定めた姿勢で、不変のものです。

夢のあるオーディオ製品の開発をAIR TIGHTというブランドに託し、今では日本国内のみならず、アメリカをはじめ、ドイツ、フランス、イギリス、スペイン、香港など、30ケ国の有名オーディオショップにAIR TIGHT製品が展示されているとのことです。

そのAIR TIGHTが、数年かけてこだわり抜いたスピーカーを発売しました。以前から、各オーディオショーには試作機が出展され、一部は製品化もされましたが、この度『 AL-05 (BONSAI) 』として、本格的デビューを果たしました。試聴もできましたので、レポートしてみたいと思います。

AL-05誕生までの道のり

この『 AL-05 』に対するAIR TIGHTのコンセプトは「一本のフルレンジユニットで何処まで音楽の感動が再現できるのか?」です。

同社がフルレンジにこだわる理由は、ネットワーク回路による帯域分割の存在しない理想の形態であることにあるのですが、その一方で、一つのユニットに全てを委ねるという過酷な方式でもあります。

過去、多くのメーカーが挑戦してきましたが、一部のニアフィールドモニターや簡易用途のスピーカーに限られ、残念ながら現在に至っても、オーディオシーンにおいて市民権は得られておりません。

しかし、そのシンプルさに魅せられたスピーカーエンジニアの大村孝則氏が試行錯誤の結果、辿り着いたのが『 AL-05 』でした。大村氏は「音の響き、情感、そして音楽のダイナミクス、そしてその先にあるエキサイティングな音楽の感動」を求めたのです。

また大村氏は、微細な信号のリニアリティやダイナミックスの表現は当然であり、それ以上に「豊かで美しい響きが伴わなければ感動は生まれない」との信念のもと、新たに開発したのが、4インチ(10cm)のフルレンジユニット「VOCAL DRIVE 5.1」です。

特徴は、固有のカラーレーションの少ない美しい響きを持つ振動板「M-クロスポリマー」の採用です。紙の固有の響きに限界を感じていた大村氏は、長い年月の地道な研究の結果、繊維系の素材と特殊コーティング技術のコンビネーションに辿り着いたのです。

その軽くてしなやかな振動板を軽量のサスペンションで支えるとともに、磁気回路に高価なアルニコマグネットを採用することで、響きにこだわり、極力無駄を排除したシンプルなスピーカーユニットとしたのです。

その結果、低域から高域まで素直に表現する、4インチフルレンジユニットが完成。その響きを活かすべく、美しく仕上げられたピアノフィニッシュのエンクロージャーを採用しました。さらに、不要な雑音を避けるため、スリットのようなバスレフポートをリアの下部に設けています。

試聴しました。


試聴は、ファイルオーディオとアナログディスクで行いました。

まずは、私のリファレンスソフトである、ビル・エヴァンス「Waltz for Debby (FLAC/96/24)」から始めました。音出しの瞬間、そのライブ感にハッとさせられました。聴衆の気配がスピーカーの外側までリアルに感じるのです。

続いて、ソニー・ロリンズ「Saxophone Colossus (FLAC/96/24)」では、フルレンジだけとは思えない等身大のサックス、しかもハリのある音色は1950年代の録音とは思えないリアルなものでした。

ジョージ・ベンソン「Breezin' (FLAC/96/24)」もギターが籠もらずハリがあり、響きも非常に素直なものでした。

クラシックでは、さすがにフルオーケストラでは若干箱庭的にはなりましたが、かなりの大音量再生でも解像度は維持されており、ストリングスもギスギスせず、生き生きとしなやかに再現されました。小編成では小型フルレンジの良さが存分に発揮され、実に心地よく聴けました。

ファイルオーディオの最後に、私が『 AL-05 』に最も期待するボーカル曲を聴きました。リヴィングストン・テイラーの「Ink」から、1曲目の口笛はやや擦れ気味で、少し不満が残りました。しかしボーカルになった途端、口が実物大に小さくスピーカーの間にピッシと定位し、温度感・湿度感の伴ったナチュラルなもので、フルレンジのメリットを十分感じました。

女性ボーカルのニッキ・パロットでは、渋く枯れた声で耳元で囁かれるようにリアルでした。山下達郎では、情報量自体は広帯域スピーカーには及ばないものの、美味しい所を上手く表現しており、達郎節を伸び伸びと歌い上げました。

次に、アナログディスクで試聴。ケニー・バレル「Out Of This World 」のギターは絶品で、引き込まれる様に聴いてしまいました。聴き慣れたオスカー・ピーターソン「We Get Requests」も、時代を感じさせない自然な音色に聴き入ってしまいました。

最後に、竹内まりやの最新LP「TRAD」では、彼女のキレの良いボーカルが前面にしっかり定位し、安定感のある非常に聴きやすいものでした。デジタルとは違うアナログサウンドの魅力が十分味わえました。

最後に。

AIR TIGHT『 AL-05 』の魅力は、何と言っても「素直な中域とアルニコならではの音離れの良さ」と見ました。聴き疲れもなく、正直「もうこれで十分」と感じさせるほど。

大型スピーカーで聴くのはちょっと「しんどく」感じている方、たまには緊張感なく音楽に浸ってみたいオーディオファンのサブシステムに最高と思います。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2015年9月15日 (火)

アナログを始めるならコレ! 5万円前後のアナログプレーヤー3機種!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
ハイレゾ全盛の昨今ですが、アナログが見直されてきているのをご存じの方も多いことでしょう。
本日は、若い音楽ファンの方にアナログをお勧めしたいとの思いから、フォノイコライザーが内蔵されたタイプなど、比較的ローコストのプレーヤーを中心に、その利便性やサウンドとともにご紹介します。

また、ハイレゾによってオーディオの面白さ、その奥深さを知って、今オーディオに熱く燃えていらっしゃるオーディオファンや、ブラックディスクを一度は触ったり聴いたりしたことがあり、いつかはアナログをやってみたいとお考えになったことのある皆様にもお勧めしたいアナログプレーヤーです。ぜひ、導入をご検討ください。


アナログプレーヤー
(写真は、TN-350)


私がお勧めする『 5万円前後のアナログプレーヤー 3機種 』

アナログプレーヤーは、色々な点で矛盾の固まりともいえます。

例えば、レコードの傷やホコリによるスクラッチノイズ(パチパチ音)や、駆動モーターによる振動やノイズ(ハムや電磁波)の発生、モーターの回転ムラ(ワウフラ)、外部振動によるハウリング(ボリュームを上げた時のボワ~ン音)といった問題があります。

さらには、物理的なトーンアームの限界(針先が直線的に横に動くのではなく、円弧を描いてしまう)からは、完全に逃れることはできません。

メーカーエンジニアは、そのマイナス部分ともいえる問題点を、長年のノウハウの積み重ねによって得られた独自の工夫を凝らすことで、「少しでも減らそう」「聴感上は感じないレベルまで落とそう」と、努力を重ねて製品開発をしているのです。

私自身、今からアナログを始められる方に、数十万円もかけるべきだとは考えてはいません。

かと言って、プラスティックの軽量ボディや、華奢なストレートのトーンアーム(基本的にカートリッジ交換は不可能)の付いた低価格のアナログプレーヤーでは、アナログとデジタルのサウンドの違いこそ分かっても、アナログサウンドの本質的な良さは理解していただけないと考えています。

そこで今回は、前述のアナログの問題点を可能な限り克服して、アナログディスク(主にレコード)から、オーディオのメインソースとして十分楽しめるレベルのサウンドを引き出せると考えられる「アナログプレーヤー 3機種」を取り上げます。


TEAC「TN-350」

アルミダイカスト製のターンテーブルを、トルクの強いDCモーターと耐久性の高いゴムベルトにより回転させる「ベルトドライブ方式のマニュアルプレーヤー」です。

本体仕上げは2色。いずれも美しい光沢と木目の突板多層塗りが施され、薄型でスタイリッシュなデザインです。

フォノイコライザーを内蔵(オペアンプにはオーディオ用高音質の新日本無線製を採用)し、Texas Instruments製のA/Dコンバーターまで搭載しています。USB端子経由でPCMデジタルオーディオデータ(最大48kHz/16bit)として、パソコンに保存が可能です。このクラスのプレーヤーで、即、貴重なレコードのデジタルアーカイブができるということは大きなトピックでもあります。

トーンアームは本格的なS字型のユニバーサルタイプで、ヘッドシェルやカートリッジ(audio-technicaのVM型カートリッジ装着済み)の交換も可能です。カートリッジの交換でお好みのサウンドが楽しめます。

また、アンチスケーティングや針圧の微調整も可能、針の昇降ができるアームリフターも装備している、本格派のプレーヤーです。

サウンドは、バランスが良く、特に細部を強調するようなこともなく、心地よくアナログを楽しんでいただけるものです。低域方向に厚みを伴った「暖ったか系」のサウンドです。


ONKYO「CP-1050」

クォーツロックDD(ダイレクトドライブ)方式で、フォノイコライザーが内蔵されていない、純粋なマニュアルプレーヤーです。

重量は9kg近くあり、トルクの高いモーターを搭載したことで、アルミダイキャスト製のターンテーブルを短時間で低速回転させることができます。

キャビネットには、同社のスピーカーにも使われている強固なMDF材が採用されており、アナログ全盛期を思わせる、オーソドックスな作りのプレーヤーに仕上がっています。

トーンアームは、軽量級の高感度S字型アームを採用。安心して針先の上げ下げができる、アームエレベーション機構も装備されています。

audio-technica製のVM型カートリッジが付属していますが、ヘッドシェル・カートリッジが交換できるユニバーサルタイプで、交換により、更なるグレードアップもできます。振動を抑えるインシュレーターは、高さ調整が可能です。

サウンドは、厚みや艶のあるアナログらしいもので、細部にこだわるのではなく、大らかにゆったりと音楽を楽しめると感じました。カートリッジの個性を十分生かせる、安心感のあるプレーヤーです。


SPEC+「AP-50」

発売は2012年ですが、その古さを感じさせない、往年のテクニクス「SL-1200」を思わせるデザインは魅力的です。

当時のテクニクス製と同じ、クォーツロックサーボDD方式のマニュアルプレーヤーです。

キャビネットは樹脂製ですが、作り慣れた要所を押さえたものになっています。

マニアライクなターンテーブル外周のストロボでのスピード調整が可能。PHONO入力のないアンプにもすぐにご使用いただけるように、ON/OFF付のフォノイコライザーを内蔵した親切設計です。

カートリッジ(audio-technicaのVM型カートリッジ)も付属しており、直出しのアース線(2015年1月以降の製品)も付いています。
※ご注意:MCカートリッジでは内蔵イコライザーの影響で、ハム音が出る可能性があるため、交換用のカートリッジにはMM型またはVM型のカートリッジをお勧めしているとのことです。

また、DJ(ディスクジョッキー)仕様も兼ねているため、ピッチコントロールや逆回転機能まで付いています。

これらの機能は音楽ファンにとっては不要でしょうが、それらは本機の性能を犠牲にしたものではありません。

プロ仕様というのもあり、スタティック・バランス型のトーンアームは、シンプルで非常に剛性のあるしっかりしたものとなっています。

サウンドはDJ仕様ということで、荒っぽい馬力を狙った音作りだとついつい想像してしまいますが、意外や意外、非常に素直で癖のないものです。反応の速い、キビキビとした力強いものです。


最後に。

これら基本性能を押さえたアナログプレーヤーをお使いいただくことで、アナログの素晴らしさや人間味のある反応が体感できます。

例えば、カートリッジやヘッドシェルの交換で音が変わる楽しさ、設置条件(オーディオボードやインシュレーターの使用)による音質向上の微妙な世界。

さらには、レコードを最良の状態で演奏するために、各種アクセサリー類(クリーナー類、スタビライザー、ターンテーブルシートなど)を使う際の儀式など。

過去にアナログを経験されたオーディオファンは、その当時のノウハウがまた活かせますし、初めての方には、アナログの難しさや、それを克服した時の快感を、ぜひご体験いただければと思います。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2015年9月 7日 (月)

レコードから最高のサウンドを引き出す「フォノイコライザー」2機種の実力とは?

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
かつてのアナログ全盛期には考えられなかった多くの手法で、アナログ・ハイエンドの世界を実現するフォノイコライザー 2機種を取り上げます。おそらく、国産として「最後のハイエンド・フォノイコライザー」になるのではないかと思うほどの仕上がりに、喝采を贈りたい思います。



アナログブームが再燃!

現在、巷では「アナログブーム」と言われていますが、CDが登場した1982年以来、過去に何度か「アナログブーム」が起こっています。

LPレコードの生産量のピークは1976年で、年間1億枚近くの生産があったのですが、CDが登場すると減少の一途を辿り、1990年には72万枚まで落ち込みました。

1992年に98万枚と若干盛り返しますが、1995年には再び53万枚に減少してしまいました。しかし、1997~2001年の5年間は100万枚をキープ、1999年には約300万枚を記録する一大ブームが起こりましたが、それも次第に沈静化し、2009年には10万枚と、ブームは完全に収束してしまいました。

私自身も「ついに、これでアナログもギブアップか?」と当時感じたものでした。

しかし、当時草創期にあった「PCオーディオ」「ネットワークオーディオ」など、ファイルオーディオの立ち上がりに呼応するように、再び「アナログブーム」が起こり始め、2012年の45万枚、2013年こそ27万枚と少し落ちたものの、翌2014年には40万枚に盛り返し、ブームが再燃して、現在に至っています。

ちなみにCDは、音楽のネット配信に押される形で、2014年の生産枚数は1億7000万枚と、1998年のピーク時の4億5700万枚の実に3分の1近くに激減してしまっています。


二極化する「アナログブーム」

第3次アナログブームとも呼べる昨今ですが、そのブームは完全に二極化しています。

一方は「フォノイコライザー内蔵型プレーヤー」の存在です。

フォノイコライザー内蔵型プレーヤー

(写真は、ION AUDIO「IA-TTS-012」)

USB出力を搭載していることで、パソコンと親和性のあるプレーヤーに位置づけされ、手軽にアナログレコードをファイル化して、自宅からレコード音源を持ち出して、ヘッドホンで聞く「若い音楽ファン」中心の需要だと思います。

もう一方は、PCオーディオなどのファイルオーディオを経験したオーディオファンが、CDとの違いにある程度は納得できたものの、ファイル音源が本当にアナログサウンドを凌駕できているのかとの疑念を抱きつつ、アナログレコードの真の素晴らしさ(例えば、味わいのあるサウンド、音の温もり、ジャケットのコレクション性など…)を再発見して、再度本格的なアナログオーディオへの取り組みを始められたオーディオファンの存在だと思います。

もちろん、全てのアナログレコードがCDやファイルオーディオに優っている訳ではありません。CDにはCDの、ファイルオーディオにはファイルオーディオの良さがあり、それらをすべて否定するものではありません。

しかし、最良のアナログディスクを最良のアナログ再生装置で再生したそのサウンドは、CDやファイルオーディオでは絶対に到達できない素晴らしい音の世界が厳然と存在するのもまた事実です。

このことは、経験の長いオーディオファンにとっては当たり前のことであり、ここで私がくどくどと説明するまでもないことだと十分承知しています。


国内ハイエンドメーカーが発売したフォノイコライザー2機種

そんな中、再度本格的なアナログオーディオへの取り組みを始められたオーディオファンにとって、最後のフォノイコライザー(?)ともいうべき2機種が、国内ハイエンドメーカーである「アキュフェーズ」と「ラックスマン」から相次いで発売されたのですから、話題にならないはずはありません。

アキュフェーズ「C-37」は昨年末に、ラックスマン「EQ-500」は今春の発売以来、高額でハードルが高いため、爆発的とまでは言えないものの、このクラスのフォノイコライザーとしては、異例の多数のご注文をいただいています。

それでは、両機種の特徴をご説明いたしましょう。


アキュフェーズ「C-37」


2014年末に発売されたアキュフェーズ「C-37」は、ベストセラーで技術的にはやり尽くした感のあった前作「C-27」とデザインこそほぼ同じですが、内部構造は全くの別物ともいえるフルモデルチェンジ機です。なお、機能的には全く変化はありません。

アナログの魅力をさらに引き出すべく、かつてのアナログ全盛期には考えられなかった最新回路や高音質素子を採用しているのです。

特に、MC部のヘッドアンプとイコライザーアンプを分離し、左右独立させることで、各種MCカートリッジに応じた最適な回路方式を実現できています。

また、超低雑音のトランジスタを採用することで、かつて考えられなかった低雑音化も実現できたといいます。

具体的には、前作「C-27」のMCには「ハイゲインイコライザー」、MMには通常のイコライザーと独立したイコライザーアンプを搭載していたのですが、「C-37」では、MCはヘッドアンプで昇圧後、MMと共通のイコライザーアンプに入力される仕組みに変更されています。

これにより、従来のMCではチャンネル当たり10個以上ものトランジスタを使用した構造でしたが、本機ではそれが3個となったことで、S/N比で実に2dB以上(これは、フォノイコライザーとしては大きい数値)も改善できたのです。

さらに、パーツの精度を高めた結果、RIAA偏差を±0.3dB未満に抑えたといい、これも画期的な数字です。

内部は、電源回路から全て左右完全分離としており、トロイダルトランス2個、15,000μFの平滑コンデンサを左右4個ずつ搭載するなど、ちょっとしたプリメインアンプ並の電源です。

S/Nの良さは、無音時の静けさ、音場の広さや立体感の表現に。左右完全分離は、アナログとしては画期的なセパレーションの実現を。電源の充実は、厚く力強い低域再現に結びついています。「C-37」は、アナログレコードの持ち味を、かつてなかったレベルで引き出す、最新鋭のフォノイコライザーアンプです。


ラックスマン「EQ-500」


2015年春に登場したラックスマン「EQ-500」は、今年創立90周年を迎えた老舗ラックスマンの記念すべき第一弾モデルとして開発された「管球式フォノイコライザー」です。

アナログ再生の奥深さを追求し、豊かな再現性を得るため、あえて増幅素子として全段にスロバキアJJ製の真空管を採用したのです。

MC入力にはフォノイコライザー単体機としては珍しく昇圧トランスを採用。特にこの昇圧トランスは凝りに凝っており、コアにはスーパーパーマロイ、しかもハイ(40Ω)・ロー(2.5Ω)と左右独立で計4基も搭載しています。

また、負荷インピーダンス(30k~100kΩの連続可変)と静電容量(6段階)の調整がそれぞれ可能で、これらはMCトランスの後に置かれています。この機能はMMカートリッジから本来のサウンドを引き出すには特に有効と思われます。

さらに、真空管を使ったNFBを用いないRIAA専用の無帰還CR型増幅回路で構成されており、これらは同社が長年積み上げてきた真空管回路技術の独自ノウハウの賜物だと思います。

また、電源にまで整流管とチョークトランスを採用するなど、徹底して管球式を貫いたフォノイコライザーになっています。

この他、ハイカット・ローカットのアナログならではの機能に加え、かつて同社が単体アクセサリーとして発売していたMCカートリッジの消磁(信号を逆に流すことでコアを消磁する)機能もあり、これは非常に有効なものです。さらには、真空管も吟味されたスロバキアJJ製を、カップリングコンデンサーにも有名な独ムンドルフ製を採用するという徹底ぶりです。

S/N感は、真空管ならではの数字以上の聴感上の静けさを実現しています。これも、一般的に真空管がトランジスタを超えるといわれる音色感であり、彫りの深さやエネルギー感の豊かさが実現できています。

そして、我々が真空管に抱いてる「甘ったるい、柔らかな懐古趣味的なサウンド」ではなく、真空管のハイスピードな増幅素子としての性能を引き出すことに成功したサウンドともいえます。

そして何より、フロントパネルのコンパクトな針式メーターやデザインにも大いに所有感をそそられます。


最後のハイエンド・フォノイコライザー(?)

両機種はほぼ同時期に発売されたにもかかわらず、その考え方は実に対照的。アナログ再生へのメーカー独自のこだわりを、独自の手法やノウハウで実現できたことに拍手を送りたいと思います。

ライバルともいえる両機は、アナログ・ハイエンドの世界において、おそらく国産の「最後のハイエンド・フォノイコライザー(?)」として、将来に亘り君臨するのではないでしょうか?

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2015年7月 1日 (水)

UESUGI管球式アンプの魅力を読み解く

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
皆さまは「上杉研究所(UESUGI)」というメーカー(ブランド)をご存知でしょうか? また、「上杉佳郎」氏という名前はご存知でしょうか?オーディオ歴が長い方にとっては今さら…とお感じだと思いますが、本日は今一度「上杉研究所」の歴史と、最近の製品について取り上げます。


上杉研究所の創業者について

雑誌「ステレオサウンド」のかつてのレギュラー評論家であり、西の上杉佳郎氏、東の菅野沖彦氏として、ハイエンドオーディオの頂点に君臨していた両氏ですが、上杉氏は、残念ながら2011年の年末に、69歳の若さで逝去されました。

上杉佳郎氏は1960年代、当時新進メーカーであった「エロイカ」で、大学生でありながら、エロイカ電子工業取締役技術部長として、同社のアンプ設計に当たっていたといいます。

また、天才ラジオ少年であった上杉氏は、3歳にして回路図を理解できたという伝説も残っている、まさに「アンプ設計の天才」だったのです。

その後、オーディオ評論家、真空管アンプ回路設計者として活躍されていた上杉佳郎氏が設立した専門メーカーが「上杉研究所(UESUGI)」です。

ちなみに、70年代には「初歩のラジオ」「ラジオ技術」などの技術誌をはじめ、前述の「ステレオサウンド」に菅野沖彦氏、瀬川冬樹氏らと共に、評論や記事を執筆されていました。


新進メーカー「エロイカ」というメーカー

UESUGIアンプのルーツともいえる「エロイカ・アンプ」です。アンプメーカーの御三家(パイオニア・サンスイ・トリオ)が注目されている中で、彗星の如く登場したのが「エロイカ」でした。

「エロイカ」の第一弾プリメインアンプ「オールマイティ55」や、セパレートアンプ「フェニックス70」などは、当時人気を博していたラックスの3極管プリメインアンプ「SQ38D」(10W+10W)に比べて、出力は倍以上もあり、真空管アンプとしては正統的で贅沢な作りの製品でした。

当時は、国産アンプの主流がレシーバーやプリメインアンプであり、さらに真空管からトランジスタへの過渡期でもありました。

トランジスターアンプがにわかに持てはやされ、球よりはトランジスタの方が特性が良いという論調が、オーディオ界で勢いを強め始めた時期でもありました。

そんな変革期に登場した「エロイカ」のセパレートアンプは、高性能にもかかわらず、世界のオーディオ界に君臨していた「マランツ」や「マッキントッシュ」のセパレートアンプに比べ、為替が1ドル360円や高関税の時代でもあったとはいえ、3分の1程の価格であったといいます。

その後、上杉佳郎氏は「エロイカ」を退職し、同社も解散したのでした。


上杉研究所を創業

上杉佳郎氏は、1971年に「上杉研究所」を創業し、第一作目は1973年に発表された管球式モノラルパワーアンプ「UTY-1」でした。

出力管には845を使い、シングル動作で出力は18W。上杉アンプの理念でもある「回路技術だけではなく徹底して良い素材を使った」製品でした。その後、数々のヒット作を世に送り出してきました。

現在の上杉研究所の取締役事業責任者である藤原伸夫氏は、2009年に上杉佳郎氏から「一緒に仕事をしませんか」との要請を受け、後継者として同社の事業に参加しようとされた矢先、創業40周年を目前にして上杉氏が急逝されたのでした。

当時、創業者を亡くしたことで、UESUGIユーザーやファンの多くは、同社の今後を非常に心配されたのでした。

しかし藤原氏が、故人の遺志を継ぐ形で2011年に正式に同社の事業責任者となり、開発の責任を受け継ぎ、事業の継続が決まった結果、修理体制が再構築され、新商品開発への期待も高まったのでした。

余談ですが、私自身、藤原氏がビクターのオーディオ技術者、とりわけアンプ開発の第一人者であった頃から存じ上げており、同社製品の試聴会の講師や新製品のプロモートの際に、その見識の深さ、オーディオに対する情熱には圧倒されたのを記憶しております。

その後、ビクターを退社され、フェーズテック(現:フェーズメーション)にオーディオ開発部の部長として招かれ、数々の画期的な製品を開発されました。

UESUGI製品は創業以来、1万台以上の製品を販売されているといわれますが、その殆どがいまだユーザーの元で現存しており、また、丁寧に扱われ、実際に綺麗な状態で使われているそうです。

UESUGIアンプのユーザーは、UESUGIアンプに対する思い入れから、そうした付き合い方をしたくなるのではないでしょうか。


上杉研究所の最近の製品を4機種ご紹介

2011年12月発売の「2011シリーズ」は、創業者である上杉氏の「アンプ哲学」を集大成したメモリアルモデルという位置づけの真空管式セパレートアンプです。

◆ 真空管式フォノアンプ搭載ステレオプリアンプ「U・BROS-2011P」


今や珍しい3系統のフォノ入力搭載。電源強化とLch/Rchへの独立電源供給により、エネルギー感に満ちた音像と空間再現性が向上。入力換算雑音値は真空管式フォノアンプの限界ともいえる-122dBVを達成。


◆ ウルトラリニアー、三極管動作切替可能モノラルパワーアンプ「U・BROS-2011M」


2アンプ構成によってオーバーオールでの負帰還を排し、増幅段の低インピーダンス化と各段での適正な負帰還により、高いスピーカー駆動力を実現。
また、スピーカーの個性に応じて、出力管の動作形式をウルトラリニアー(38W)と三極管動作(20W)の選択が可能。


藤原氏が事業責任者となって以降のパワーアンプ2機種

◆ モノラル300Bシングル 12Wパワーアンプ「U・BROS-300」


名出力管300Bシングルでは異例の12Wを実現。万全な保護回路を装備。プリント基板を使わず、ベテラン職人による手配線。300Bにはかつての松下電器産業の真空管を製造していた高槻電器工業製を採用。


◆ モノラルKT-120サークロトロンPP 75Wパワーアンプ「U・BROS-120」


本機に採用されたCirclotron(サークロトロン)回路とは、プッシュプルを構成しながらも、トランスによるプッシュプル波形の合成を必要としない動作原理。

サイクロトロンと同社オリジナルの高効率出力トランスの組み合わせにより、小音量での再生能力とハイパワー再生を両立できたのです。


まとめ

かつてのUESUGIアンプのサウンドは良い意味での「日本的で繊細なイメージ」が強かったのですが、新生UESUGIアンプでは、その繊細さを維持しつつ、音色がより豊富になり、味わいもより一層濃くなっています。

そして現代的な要素として不可欠な、解像度の高いヌケの良いサウンドも実現できたのです。ドライブ力もかつてのUESUGIアンプを明らかに超えており、ワイドレンジな真空管アンプとなったのです。

もちろん真空管の良さは維持しつつも、新しい現代的なエッセンスを加え、絶妙なハーモニーを奏でているUESUGIアンプの登場です。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2015年4月25日 (土)

まさにスタイリッシュ!アナログプレーヤー Pro-Ject「Elemental Esprit」をご紹介!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、スタイリッシュな新時代のアナログプレーヤー Pro-Ject「Elemental Esprit」をご紹介します!これからアナログを…とお考えのあなたに、ぜひお使いいただきたい製品です。


Pro-Ject社とは

Pro-Ject(プロジェクト)社は、創立者 Heinz Lichtenegger(ハインツ・リヒテネガー)氏によって、1991年に設立されたオーストリア ウィーンに拠点を置くオーディオブランドです。

音楽の都に生まれ、その伝統の中で育まれた感性豊かなオーディオ製品を展開しています。設立当初は、アナログレコードプレーヤーやフォノイコライザーアンプなどを中心に、アナログ関連製品を展開していましたが、現在は大きく分けて、「アナログプレーヤー・シリーズ」と、“オーディオで遊ぼう”をテーマにした小型オーディオコンポの「Box Component(ボックスコンポーネント)シリーズ」の2つの製品群を展開しています。

Heinz Lichtenegger氏が常に目指しているのは、社是でもある『リーズナブルで良質な音、そしてエレガントでシンプルである』ということです。その目標が、Pro-Jectのフィロソフィーである『シンプル・イズ・ベスト』として今日まで受け継がれ、それを基に「ハイレベルな音質」を「リーズナブル」な価格で、音楽を愛する多くの人々に提供できるように製品開発をしてきているのです。

結果として、どの製品にも威圧感がなく、世の中にはびこる物量投入型とは無縁の「シンプルな構造」と「精密なフィニッシュ」で仕上げられており、優れた音楽を音楽的で良質なサウンドで再現できる数々のハイクオリティな製品を提供しています。


最新のアナログプレーヤー

今回取り上げるアナログプレーヤー Pro-Ject「Elemental Esprit」のキャッチフレーズは、『Plug and Play ~手軽に楽しめるアナログサウンド~』。これまで、同社が積み上げてきたアナログプレーヤーの数々のノウハウを基に作り上げたプレーヤーです。

本体重量は、なんと3.3kgと軽量。高級機では、徹底的な振動対策を施した筐体や、慣性モーメントを稼ぐための重量級ターンテーブル採用などにより、総重量 数10kgが当たり前で、普及機でも10kgオーバーが珍しくない中、僅か3.3kgとは驚きです。このあたりが、Pro-Ject社の面目躍如といったところでしょう。

プレーヤー本体は、楕円を伸ばしたスケボーのように細長く、角を丸めた常識破りな形状をしており、素材にはローレゾナンス(無共振)MDFボディーを採用しています。土台には重量のある人造石を採用し、接地面から本体に及ぶ振動・共振から逃れるとともに、同社は今回、人造石をターンテーブル中央のベアリング直下に配することが、モーターの振動を吸収するベストポジションであることを発見したのです。これにより、スマートな本体でありながら、非常に効果的に振動対策が行われているのです。


プラッター(ターンテーブル)

プラッター(ターンテーブル)には、精密加工された真円のアクリルを採用。耐振動性に優れています。金属にしなかったのは、駆動モーターからの渦電流の影響を回避したかったのだと思われます。スピンドルは高精度のステンレススチール製で、それをブロンズ製のスピンドルホルダーで受けることで、低摩擦のスムーズな回転を実現できたようです。



トーンアーム

本体に取り付けられたトーンアームは、スマートかつ最小限の構成となるよう、徹底的にシンプルな超軽量アルミニウム製ストレートアーム「8.6 ultra low mass tonearm」を採用しています。左右両サイドから高精度のニードルベアリングによって支持され、高いトレース精度を実現。ウエイトも最初から取り付けられており、複雑な調整がまったく必要のない使いやすいアームです。


付属カートリッジ Ortofon「OM 5E」

付属カートリッジは、Ortofon「OM 5E」を採用。単体では正規に輸入されていません。出力電圧4mV・適正針圧1.75gと使いやすく、しかも、工場出荷時にすでに1.75gに調整されているため、このままの状態ですぐお使いいただけます。一応、別のカートリッジに交換はできますが、あくまで「OM 5E」を基準に設計されているため、余程調整に自信のある方を除き、自重や高さが違うカートリッジのご使用はお控えになる方が無難でしょう。


開梱から再生まで

梱包から本体を取り出すと、すでにアクリルのプラッターは取り付けられています。後は、付属のACアダプターのプラグをモーター側に挿し、ベルトをモータープーリーにかけるだけです。ベルトをプーリーの上段にかけると33回転、下段にかけると45回転になるというシンプルさです。


本体から出ているピンケーブル

次に、アームの下の後方から出ているピンケーブルをアンプやフォノイコライザーのフォノ入力に接続します。レコードを載せ、メインボディの左下にある電源スイッチをオンすると、手で手伝ってやらなくても回り出します。そして、使いやすいアームリフターを操作して盤面に針を降ろすと、再生が始まります。


既成概念を覆すプレーヤー

私を含め、長年オーディオをやっているオーディオファイルは、「アナログプレーヤーはとにかく頑丈で重量級であるべき。ターンテーブルは金属製で重量級であるべき。トーンアームはS字型で針圧調整が可能であるべき。」などなど、既成概念がバッチリと染みこんでいます。しかし、それらの既成概念とは真逆に位置するアナログプレーヤーが、この「Elemental Esprit」なのです。

確かに、超重量級の高級プレーヤーの良さは長年の経験からも認めますが、ここまで書いてきたように、かくも華奢な軽量級プレーヤーからどんなサウンドが紡ぎ出されるのか、興味津々で演奏を始めました。

慣れ親しんだレコードから、CDやファイルオーディオとは違う、音の粒子の繋がった有機的なサウンドが聴けたのです。さすがに、部屋を揺るがすような重低音再生には限界を感じますが、それはいかにもレコードの音なのです。しかも、オルトフォンの付属カートリッジが優秀なのもあり、ボーカルが滑らかで、かつウェットでストレスを全く感じませんでした。アナログの良さを十分引き出してくれていると感じました。

肩肘を張らずにアナログレコードを気軽に楽しむことができるプレーヤーで、ハイエンドプレーヤーとある意味対極のサウンドではありますが、そこにはデジタルとはひと味もふた味も違う『これもアナログ!』と十分納得できるサウンドが広がります。音楽を知り尽くし、アナログを知り尽くした、Pro-Ject社ならではのプレーヤーだと思いました。


MMフォノイコライザーとA/Dコンバーターを内蔵したモデル


Elemental Esprit Phono USBのUSB端子

「Elemental Esprit」に、直接アンプに接続できるMMフォノイコライザーと、USBケーブルでPCと接続してアナログ出力をデジタルファイル化・データ保存できるA/Dコンバーターも内蔵した「Elemental Esprit Phono USB」もございます。気軽にPCオーディオやCDへのコピーが楽しめます。


最後に

「Elemental Esprit」と「Elemental Esprit Phono USB」、どちらもキュートなルックスながら、必要十分な機能を搭載したシンプルなプレーヤーです。これからアナログレコードを始めたいというオーディオファンはもちろん、もう一度、昔集めたアナログレコードをのんびり聴きたいとおっしゃるオーディオファイルの要求にも十分応えるターンテーブルです。

ぜひ、ご購入をご検討ください。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2015年3月20日 (金)

ノイズレス再生を実現するフォノイコライザーアンプ

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、FIDELIXのフォノイコライザーアンプ『 LEGGIERO(レジェーロ) 』を取り上げます。ノイズレス再生を実現する製品で、実際に試聴してみると、MCはもちろんのこと、MMでも別次元のサウンドでした。


FIDELIXと私

FIDELIX(フィデリックス)というメーカー名から、ハーモネーター「SH-20K」を思い浮かべられた方は、かなりのオーディオ経験とオーディオアクセサリーに関する深い見識をお持ちの方だと推測します。この製品は、1995年春に発売され、オーディオ業界で大変なセンセーショナルを巻き起こしたからです。

当時の私は店長をしており、お得意様に訴求するや爆発的なヒットとなりました。それ程に、ある意味画期的な製品だったのです。フォノイコライザーアンプの紹介をする前に、少しだけ寄り道します。


FIDELIXの製品について

当時、既にCDが発売されて10数年が経過していましたが、CDの音質に対する不満が、音にうるさいオーディオファイルの間で渦巻いていました。「音が固い」「音が冷たい」「エッジがきつい」「響きが少ない」「低音の分解能が悪い」「音が平面的」など、特にアナログ経験の長いオーディオファイルほどその不満は大きく、CD離れも起きようかとしていました。

そんな多くのオーディオファイルに受け入れられ、大ヒットとなったのが、FIDELIX「SH-20K」だったのです。当時の価格は8万円前後でしたが、高級CDプレーヤーをお使いのハイエンドマニアから音楽ファンに至るまで、多くの方に実際に体験していただいて、ご納得の上でご購入いただいたのでした。

原理としては、CDに対する不満の原因を、CDの高域限界が20kHzである(20kHz以上が急峻にカットされている)ことに起因していると結論づけ、CDプレーヤーの出力信号をこの「SH-20K」を通すことで、100kHzまでなだらかに減衰していく自然音の持つ音域分布と同じように、20kHz以上の疑似信号(ランダム波)を音楽信号(CD領域に割り込まないよう)に正確に付け加えるというものでした。これにより、CDに対する不満がかなりのレベルで改善した結果、後のSACDやDVDオーディオのフォーマットの開発や近年のハイレゾブームに結びついたと言えなくもないと、私は思っています。

そんな「SH-20K」というユニークな製品を開発したのが、ソニーのオーディオ設計部門出身で、同社の銘機として名高い「TA-F1120F」の設計を手がけた中川 伸氏です。スタックスを経て、1976年にFIDELIXを設立しました。今回取り上げるフォノイコライザーアンプ「LEGGIERO」を設計されたのも、もちろん中川氏です。

ちなみに、製品名の「LEGGIERO(レジェーロ)」は、イタリアの音楽用語で「軽快優美」という意味です。このイコライザーは、攻撃的で押し出しの強い表現は当然として、軽やかで優雅という、アンプにとっては最も難しい表現をもこなすことから、命名されています。


最近のフォノイコライザー事情

最近のアナログブームの影響からか、各社からフォノイコライザーが発売されることも増えてきています。しかし、MC用イコライザーやヘッドアンプは1970年代後半に発売されたものと比べると、一部のハイエンド製品を除いて、かなりノイズが多く、S/Nが悪くなっているのも事実のようです。これは、トランジスタなどにローノイズのデバイスが少なくなってきたことに加え、ローノイズの技術に長けた技術屋さん自体も少なくなっているからのようです。

現時点でフォノイコライザーを手っ取り早く製品化するため、ローノイズのオペアンプを探して使っても、入力換算雑音電圧(S/Nを表す数字:数字が大きい方が高S/N)は、せいぜい-144dBV程度にしかなりません。鉄芯入り(磁性材の巻き枠にコイルを巻いたタイプ)のMCカートリッジ(オルトフォンSPUやデノンDL103タイプ)なら、これでもあまりS/N的には不満は持たれないと思いますが、空芯(コイル巻き枠に非磁性体を使った空芯タイプ)のMCカートリッジ(かつてのFRやビクター・ヤマハ、最近の製品ではオーディオテクニカのAT-ART7)の良さを生かし切るには、ハッキリ言って能力不足でした。


-156dBVの超ローノイズ設計

そんな中「LEGGIERO」は、鉄芯入りのMCカートリッジから、空芯MCのような滑らかさと透明感を引き出すとともに、出力電圧の低い空芯のMCカートリッジを最高に鳴らすべく、-156dBVの超ローノイズ設計としたのです。設計された中川氏は、これにより出力電圧0.1mVクラスのカートリッジでもノイズレス再生が可能としていますが、当初私には「そこまで必要なのか?」と疑問はありました。

しかし、自宅での試聴では、空芯MCカートリッジのヤマハ「MC-1S(1978年製)」でも、かつて聴いたことのない音が出てきたのです。情報量が非常に多く、高密度でナチュラルな音場を再現し、ソースによっては、軽やかでナイーブ、艶やかで優雅なサウンドをも忠実に再現してくれました。それは間違いなく、高S/Nノイズレス再生の成せる技と確信しました。もちろん、オルトフォンのSPUでも実在感や音の深みが増したのには正直驚きました。


電源は別筐体


LEGGIEROの背面

「LEGGIERO」は、超ローノイズ設計を目指し、電源は別筐体の外部電源より供給しています。リアパネルにMMとMCの切り替えスイッチと、MCとMMの専用入力端子があり、本体の底面には入力インピーダンスの切り換え用のディップスイッチを備えています。入力インピーダンスを1ギガΩで受けることで、鉄芯MCでも空芯MCの音に近付くといいます。

鉄芯に起因するある種のノイズ(バルクハウゼンノイズ)が音の滑らかさを阻害しているのですが、MC入力インピーダンスを1ギガΩという超高抵抗にしてコイルに電流を流さず、電圧信号だけを取り出すことで、鉄芯に起因する前述のノイズを激減できたとのこと。この結果、ケーブルや接点での影響も受けなくなり、伝送信号の純度が著しく改善できたとのことです。

マニアックな機能では、イコライザーカーブの切り換え(RIAA以外にも対応)や、16Hzのサブソニックフィルターも装備しています。また、オルトフォンのSPUやデノンの103系をお持ちのMCトランスで使いたい場合は、MM入力でお使いいただけます。


最後に

ここまでMCカートリッジのお話ばかりでしたが、MMカートリッジでは力強く厚みがあり、音場感も豊かで、伸びやか。音楽に引き込まれるような、デジタルとは別次元のサウンドであったことを付け加えておきます。

また、FIDELIX「LEGGIERO」は、生産数が限られるため、お待ちいただく場合もございます。予めご了承ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

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