アナログハイエンド情報 Feed

2015年9月15日 (火)

アナログを始めるならコレ! 5万円前後のアナログプレーヤー3機種!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
ハイレゾ全盛の昨今ですが、アナログが見直されてきているのをご存じの方も多いことでしょう。
本日は、若い音楽ファンの方にアナログをお勧めしたいとの思いから、フォノイコライザーが内蔵されたタイプなど、比較的ローコストのプレーヤーを中心に、その利便性やサウンドとともにご紹介します。

また、ハイレゾによってオーディオの面白さ、その奥深さを知って、今オーディオに熱く燃えていらっしゃるオーディオファンや、ブラックディスクを一度は触ったり聴いたりしたことがあり、いつかはアナログをやってみたいとお考えになったことのある皆様にもお勧めしたいアナログプレーヤーです。ぜひ、導入をご検討ください。


アナログプレーヤー
(写真は、TN-350)


私がお勧めする『 5万円前後のアナログプレーヤー 3機種 』

アナログプレーヤーは、色々な点で矛盾の固まりともいえます。

例えば、レコードの傷やホコリによるスクラッチノイズ(パチパチ音)や、駆動モーターによる振動やノイズ(ハムや電磁波)の発生、モーターの回転ムラ(ワウフラ)、外部振動によるハウリング(ボリュームを上げた時のボワ~ン音)といった問題があります。

さらには、物理的なトーンアームの限界(針先が直線的に横に動くのではなく、円弧を描いてしまう)からは、完全に逃れることはできません。

メーカーエンジニアは、そのマイナス部分ともいえる問題点を、長年のノウハウの積み重ねによって得られた独自の工夫を凝らすことで、「少しでも減らそう」「聴感上は感じないレベルまで落とそう」と、努力を重ねて製品開発をしているのです。

私自身、今からアナログを始められる方に、数十万円もかけるべきだとは考えてはいません。

かと言って、プラスティックの軽量ボディや、華奢なストレートのトーンアーム(基本的にカートリッジ交換は不可能)の付いた低価格のアナログプレーヤーでは、アナログとデジタルのサウンドの違いこそ分かっても、アナログサウンドの本質的な良さは理解していただけないと考えています。

そこで今回は、前述のアナログの問題点を可能な限り克服して、アナログディスク(主にレコード)から、オーディオのメインソースとして十分楽しめるレベルのサウンドを引き出せると考えられる「アナログプレーヤー 3機種」を取り上げます。


TEAC「TN-350」

アルミダイカスト製のターンテーブルを、トルクの強いDCモーターと耐久性の高いゴムベルトにより回転させる「ベルトドライブ方式のマニュアルプレーヤー」です。

本体仕上げは2色。いずれも美しい光沢と木目の突板多層塗りが施され、薄型でスタイリッシュなデザインです。

フォノイコライザーを内蔵(オペアンプにはオーディオ用高音質の新日本無線製を採用)し、Texas Instruments製のA/Dコンバーターまで搭載しています。USB端子経由でPCMデジタルオーディオデータ(最大48kHz/16bit)として、パソコンに保存が可能です。このクラスのプレーヤーで、即、貴重なレコードのデジタルアーカイブができるということは大きなトピックでもあります。

トーンアームは本格的なS字型のユニバーサルタイプで、ヘッドシェルやカートリッジ(audio-technicaのVM型カートリッジ装着済み)の交換も可能です。カートリッジの交換でお好みのサウンドが楽しめます。

また、アンチスケーティングや針圧の微調整も可能、針の昇降ができるアームリフターも装備している、本格派のプレーヤーです。

サウンドは、バランスが良く、特に細部を強調するようなこともなく、心地よくアナログを楽しんでいただけるものです。低域方向に厚みを伴った「暖ったか系」のサウンドです。


ONKYO「CP-1050」

クォーツロックDD(ダイレクトドライブ)方式で、フォノイコライザーが内蔵されていない、純粋なマニュアルプレーヤーです。

重量は9kg近くあり、トルクの高いモーターを搭載したことで、アルミダイキャスト製のターンテーブルを短時間で低速回転させることができます。

キャビネットには、同社のスピーカーにも使われている強固なMDF材が採用されており、アナログ全盛期を思わせる、オーソドックスな作りのプレーヤーに仕上がっています。

トーンアームは、軽量級の高感度S字型アームを採用。安心して針先の上げ下げができる、アームエレベーション機構も装備されています。

audio-technica製のVM型カートリッジが付属していますが、ヘッドシェル・カートリッジが交換できるユニバーサルタイプで、交換により、更なるグレードアップもできます。振動を抑えるインシュレーターは、高さ調整が可能です。

サウンドは、厚みや艶のあるアナログらしいもので、細部にこだわるのではなく、大らかにゆったりと音楽を楽しめると感じました。カートリッジの個性を十分生かせる、安心感のあるプレーヤーです。


SPEC+「AP-50」

発売は2012年ですが、その古さを感じさせない、往年のテクニクス「SL-1200」を思わせるデザインは魅力的です。

当時のテクニクス製と同じ、クォーツロックサーボDD方式のマニュアルプレーヤーです。

キャビネットは樹脂製ですが、作り慣れた要所を押さえたものになっています。

マニアライクなターンテーブル外周のストロボでのスピード調整が可能。PHONO入力のないアンプにもすぐにご使用いただけるように、ON/OFF付のフォノイコライザーを内蔵した親切設計です。

カートリッジ(audio-technicaのVM型カートリッジ)も付属しており、直出しのアース線(2015年1月以降の製品)も付いています。
※ご注意:MCカートリッジでは内蔵イコライザーの影響で、ハム音が出る可能性があるため、交換用のカートリッジにはMM型またはVM型のカートリッジをお勧めしているとのことです。

また、DJ(ディスクジョッキー)仕様も兼ねているため、ピッチコントロールや逆回転機能まで付いています。

これらの機能は音楽ファンにとっては不要でしょうが、それらは本機の性能を犠牲にしたものではありません。

プロ仕様というのもあり、スタティック・バランス型のトーンアームは、シンプルで非常に剛性のあるしっかりしたものとなっています。

サウンドはDJ仕様ということで、荒っぽい馬力を狙った音作りだとついつい想像してしまいますが、意外や意外、非常に素直で癖のないものです。反応の速い、キビキビとした力強いものです。


最後に。

これら基本性能を押さえたアナログプレーヤーをお使いいただくことで、アナログの素晴らしさや人間味のある反応が体感できます。

例えば、カートリッジやヘッドシェルの交換で音が変わる楽しさ、設置条件(オーディオボードやインシュレーターの使用)による音質向上の微妙な世界。

さらには、レコードを最良の状態で演奏するために、各種アクセサリー類(クリーナー類、スタビライザー、ターンテーブルシートなど)を使う際の儀式など。

過去にアナログを経験されたオーディオファンは、その当時のノウハウがまた活かせますし、初めての方には、アナログの難しさや、それを克服した時の快感を、ぜひご体験いただければと思います。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2015年9月 7日 (月)

レコードから最高のサウンドを引き出す「フォノイコライザー」2機種の実力とは?

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
かつてのアナログ全盛期には考えられなかった多くの手法で、アナログ・ハイエンドの世界を実現するフォノイコライザー 2機種を取り上げます。おそらく、国産として「最後のハイエンド・フォノイコライザー」になるのではないかと思うほどの仕上がりに、喝采を贈りたい思います。



アナログブームが再燃!

現在、巷では「アナログブーム」と言われていますが、CDが登場した1982年以来、過去に何度か「アナログブーム」が起こっています。

LPレコードの生産量のピークは1976年で、年間1億枚近くの生産があったのですが、CDが登場すると減少の一途を辿り、1990年には72万枚まで落ち込みました。

1992年に98万枚と若干盛り返しますが、1995年には再び53万枚に減少してしまいました。しかし、1997~2001年の5年間は100万枚をキープ、1999年には約300万枚を記録する一大ブームが起こりましたが、それも次第に沈静化し、2009年には10万枚と、ブームは完全に収束してしまいました。

私自身も「ついに、これでアナログもギブアップか?」と当時感じたものでした。

しかし、当時草創期にあった「PCオーディオ」「ネットワークオーディオ」など、ファイルオーディオの立ち上がりに呼応するように、再び「アナログブーム」が起こり始め、2012年の45万枚、2013年こそ27万枚と少し落ちたものの、翌2014年には40万枚に盛り返し、ブームが再燃して、現在に至っています。

ちなみにCDは、音楽のネット配信に押される形で、2014年の生産枚数は1億7000万枚と、1998年のピーク時の4億5700万枚の実に3分の1近くに激減してしまっています。


二極化する「アナログブーム」

第3次アナログブームとも呼べる昨今ですが、そのブームは完全に二極化しています。

一方は「フォノイコライザー内蔵型プレーヤー」の存在です。

フォノイコライザー内蔵型プレーヤー

(写真は、ION AUDIO「IA-TTS-012」)

USB出力を搭載していることで、パソコンと親和性のあるプレーヤーに位置づけされ、手軽にアナログレコードをファイル化して、自宅からレコード音源を持ち出して、ヘッドホンで聞く「若い音楽ファン」中心の需要だと思います。

もう一方は、PCオーディオなどのファイルオーディオを経験したオーディオファンが、CDとの違いにある程度は納得できたものの、ファイル音源が本当にアナログサウンドを凌駕できているのかとの疑念を抱きつつ、アナログレコードの真の素晴らしさ(例えば、味わいのあるサウンド、音の温もり、ジャケットのコレクション性など…)を再発見して、再度本格的なアナログオーディオへの取り組みを始められたオーディオファンの存在だと思います。

もちろん、全てのアナログレコードがCDやファイルオーディオに優っている訳ではありません。CDにはCDの、ファイルオーディオにはファイルオーディオの良さがあり、それらをすべて否定するものではありません。

しかし、最良のアナログディスクを最良のアナログ再生装置で再生したそのサウンドは、CDやファイルオーディオでは絶対に到達できない素晴らしい音の世界が厳然と存在するのもまた事実です。

このことは、経験の長いオーディオファンにとっては当たり前のことであり、ここで私がくどくどと説明するまでもないことだと十分承知しています。


国内ハイエンドメーカーが発売したフォノイコライザー2機種

そんな中、再度本格的なアナログオーディオへの取り組みを始められたオーディオファンにとって、最後のフォノイコライザー(?)ともいうべき2機種が、国内ハイエンドメーカーである「アキュフェーズ」と「ラックスマン」から相次いで発売されたのですから、話題にならないはずはありません。

アキュフェーズ「C-37」は昨年末に、ラックスマン「EQ-500」は今春の発売以来、高額でハードルが高いため、爆発的とまでは言えないものの、このクラスのフォノイコライザーとしては、異例の多数のご注文をいただいています。

それでは、両機種の特徴をご説明いたしましょう。


アキュフェーズ「C-37」


2014年末に発売されたアキュフェーズ「C-37」は、ベストセラーで技術的にはやり尽くした感のあった前作「C-27」とデザインこそほぼ同じですが、内部構造は全くの別物ともいえるフルモデルチェンジ機です。なお、機能的には全く変化はありません。

アナログの魅力をさらに引き出すべく、かつてのアナログ全盛期には考えられなかった最新回路や高音質素子を採用しているのです。

特に、MC部のヘッドアンプとイコライザーアンプを分離し、左右独立させることで、各種MCカートリッジに応じた最適な回路方式を実現できています。

また、超低雑音のトランジスタを採用することで、かつて考えられなかった低雑音化も実現できたといいます。

具体的には、前作「C-27」のMCには「ハイゲインイコライザー」、MMには通常のイコライザーと独立したイコライザーアンプを搭載していたのですが、「C-37」では、MCはヘッドアンプで昇圧後、MMと共通のイコライザーアンプに入力される仕組みに変更されています。

これにより、従来のMCではチャンネル当たり10個以上ものトランジスタを使用した構造でしたが、本機ではそれが3個となったことで、S/N比で実に2dB以上(これは、フォノイコライザーとしては大きい数値)も改善できたのです。

さらに、パーツの精度を高めた結果、RIAA偏差を±0.3dB未満に抑えたといい、これも画期的な数字です。

内部は、電源回路から全て左右完全分離としており、トロイダルトランス2個、15,000μFの平滑コンデンサを左右4個ずつ搭載するなど、ちょっとしたプリメインアンプ並の電源です。

S/Nの良さは、無音時の静けさ、音場の広さや立体感の表現に。左右完全分離は、アナログとしては画期的なセパレーションの実現を。電源の充実は、厚く力強い低域再現に結びついています。「C-37」は、アナログレコードの持ち味を、かつてなかったレベルで引き出す、最新鋭のフォノイコライザーアンプです。


ラックスマン「EQ-500」


2015年春に登場したラックスマン「EQ-500」は、今年創立90周年を迎えた老舗ラックスマンの記念すべき第一弾モデルとして開発された「管球式フォノイコライザー」です。

アナログ再生の奥深さを追求し、豊かな再現性を得るため、あえて増幅素子として全段にスロバキアJJ製の真空管を採用したのです。

MC入力にはフォノイコライザー単体機としては珍しく昇圧トランスを採用。特にこの昇圧トランスは凝りに凝っており、コアにはスーパーパーマロイ、しかもハイ(40Ω)・ロー(2.5Ω)と左右独立で計4基も搭載しています。

また、負荷インピーダンス(30k~100kΩの連続可変)と静電容量(6段階)の調整がそれぞれ可能で、これらはMCトランスの後に置かれています。この機能はMMカートリッジから本来のサウンドを引き出すには特に有効と思われます。

さらに、真空管を使ったNFBを用いないRIAA専用の無帰還CR型増幅回路で構成されており、これらは同社が長年積み上げてきた真空管回路技術の独自ノウハウの賜物だと思います。

また、電源にまで整流管とチョークトランスを採用するなど、徹底して管球式を貫いたフォノイコライザーになっています。

この他、ハイカット・ローカットのアナログならではの機能に加え、かつて同社が単体アクセサリーとして発売していたMCカートリッジの消磁(信号を逆に流すことでコアを消磁する)機能もあり、これは非常に有効なものです。さらには、真空管も吟味されたスロバキアJJ製を、カップリングコンデンサーにも有名な独ムンドルフ製を採用するという徹底ぶりです。

S/N感は、真空管ならではの数字以上の聴感上の静けさを実現しています。これも、一般的に真空管がトランジスタを超えるといわれる音色感であり、彫りの深さやエネルギー感の豊かさが実現できています。

そして、我々が真空管に抱いてる「甘ったるい、柔らかな懐古趣味的なサウンド」ではなく、真空管のハイスピードな増幅素子としての性能を引き出すことに成功したサウンドともいえます。

そして何より、フロントパネルのコンパクトな針式メーターやデザインにも大いに所有感をそそられます。


最後のハイエンド・フォノイコライザー(?)

両機種はほぼ同時期に発売されたにもかかわらず、その考え方は実に対照的。アナログ再生へのメーカー独自のこだわりを、独自の手法やノウハウで実現できたことに拍手を送りたいと思います。

ライバルともいえる両機は、アナログ・ハイエンドの世界において、おそらく国産の「最後のハイエンド・フォノイコライザー(?)」として、将来に亘り君臨するのではないでしょうか?

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2015年7月 1日 (水)

UESUGI管球式アンプの魅力を読み解く

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
皆さまは「上杉研究所(UESUGI)」というメーカー(ブランド)をご存知でしょうか? また、「上杉佳郎」氏という名前はご存知でしょうか?オーディオ歴が長い方にとっては今さら…とお感じだと思いますが、本日は今一度「上杉研究所」の歴史と、最近の製品について取り上げます。


上杉研究所の創業者について

雑誌「ステレオサウンド」のかつてのレギュラー評論家であり、西の上杉佳郎氏、東の菅野沖彦氏として、ハイエンドオーディオの頂点に君臨していた両氏ですが、上杉氏は、残念ながら2011年の年末に、69歳の若さで逝去されました。

上杉佳郎氏は1960年代、当時新進メーカーであった「エロイカ」で、大学生でありながら、エロイカ電子工業取締役技術部長として、同社のアンプ設計に当たっていたといいます。

また、天才ラジオ少年であった上杉氏は、3歳にして回路図を理解できたという伝説も残っている、まさに「アンプ設計の天才」だったのです。

その後、オーディオ評論家、真空管アンプ回路設計者として活躍されていた上杉佳郎氏が設立した専門メーカーが「上杉研究所(UESUGI)」です。

ちなみに、70年代には「初歩のラジオ」「ラジオ技術」などの技術誌をはじめ、前述の「ステレオサウンド」に菅野沖彦氏、瀬川冬樹氏らと共に、評論や記事を執筆されていました。


新進メーカー「エロイカ」というメーカー

UESUGIアンプのルーツともいえる「エロイカ・アンプ」です。アンプメーカーの御三家(パイオニア・サンスイ・トリオ)が注目されている中で、彗星の如く登場したのが「エロイカ」でした。

「エロイカ」の第一弾プリメインアンプ「オールマイティ55」や、セパレートアンプ「フェニックス70」などは、当時人気を博していたラックスの3極管プリメインアンプ「SQ38D」(10W+10W)に比べて、出力は倍以上もあり、真空管アンプとしては正統的で贅沢な作りの製品でした。

当時は、国産アンプの主流がレシーバーやプリメインアンプであり、さらに真空管からトランジスタへの過渡期でもありました。

トランジスターアンプがにわかに持てはやされ、球よりはトランジスタの方が特性が良いという論調が、オーディオ界で勢いを強め始めた時期でもありました。

そんな変革期に登場した「エロイカ」のセパレートアンプは、高性能にもかかわらず、世界のオーディオ界に君臨していた「マランツ」や「マッキントッシュ」のセパレートアンプに比べ、為替が1ドル360円や高関税の時代でもあったとはいえ、3分の1程の価格であったといいます。

その後、上杉佳郎氏は「エロイカ」を退職し、同社も解散したのでした。


上杉研究所を創業

上杉佳郎氏は、1971年に「上杉研究所」を創業し、第一作目は1973年に発表された管球式モノラルパワーアンプ「UTY-1」でした。

出力管には845を使い、シングル動作で出力は18W。上杉アンプの理念でもある「回路技術だけではなく徹底して良い素材を使った」製品でした。その後、数々のヒット作を世に送り出してきました。

現在の上杉研究所の取締役事業責任者である藤原伸夫氏は、2009年に上杉佳郎氏から「一緒に仕事をしませんか」との要請を受け、後継者として同社の事業に参加しようとされた矢先、創業40周年を目前にして上杉氏が急逝されたのでした。

当時、創業者を亡くしたことで、UESUGIユーザーやファンの多くは、同社の今後を非常に心配されたのでした。

しかし藤原氏が、故人の遺志を継ぐ形で2011年に正式に同社の事業責任者となり、開発の責任を受け継ぎ、事業の継続が決まった結果、修理体制が再構築され、新商品開発への期待も高まったのでした。

余談ですが、私自身、藤原氏がビクターのオーディオ技術者、とりわけアンプ開発の第一人者であった頃から存じ上げており、同社製品の試聴会の講師や新製品のプロモートの際に、その見識の深さ、オーディオに対する情熱には圧倒されたのを記憶しております。

その後、ビクターを退社され、フェーズテック(現:フェーズメーション)にオーディオ開発部の部長として招かれ、数々の画期的な製品を開発されました。

UESUGI製品は創業以来、1万台以上の製品を販売されているといわれますが、その殆どがいまだユーザーの元で現存しており、また、丁寧に扱われ、実際に綺麗な状態で使われているそうです。

UESUGIアンプのユーザーは、UESUGIアンプに対する思い入れから、そうした付き合い方をしたくなるのではないでしょうか。


上杉研究所の最近の製品を4機種ご紹介

2011年12月発売の「2011シリーズ」は、創業者である上杉氏の「アンプ哲学」を集大成したメモリアルモデルという位置づけの真空管式セパレートアンプです。

◆ 真空管式フォノアンプ搭載ステレオプリアンプ「U・BROS-2011P」


今や珍しい3系統のフォノ入力搭載。電源強化とLch/Rchへの独立電源供給により、エネルギー感に満ちた音像と空間再現性が向上。入力換算雑音値は真空管式フォノアンプの限界ともいえる-122dBVを達成。


◆ ウルトラリニアー、三極管動作切替可能モノラルパワーアンプ「U・BROS-2011M」


2アンプ構成によってオーバーオールでの負帰還を排し、増幅段の低インピーダンス化と各段での適正な負帰還により、高いスピーカー駆動力を実現。
また、スピーカーの個性に応じて、出力管の動作形式をウルトラリニアー(38W)と三極管動作(20W)の選択が可能。


藤原氏が事業責任者となって以降のパワーアンプ2機種

◆ モノラル300Bシングル 12Wパワーアンプ「U・BROS-300」


名出力管300Bシングルでは異例の12Wを実現。万全な保護回路を装備。プリント基板を使わず、ベテラン職人による手配線。300Bにはかつての松下電器産業の真空管を製造していた高槻電器工業製を採用。


◆ モノラルKT-120サークロトロンPP 75Wパワーアンプ「U・BROS-120」


本機に採用されたCirclotron(サークロトロン)回路とは、プッシュプルを構成しながらも、トランスによるプッシュプル波形の合成を必要としない動作原理。

サイクロトロンと同社オリジナルの高効率出力トランスの組み合わせにより、小音量での再生能力とハイパワー再生を両立できたのです。


まとめ

かつてのUESUGIアンプのサウンドは良い意味での「日本的で繊細なイメージ」が強かったのですが、新生UESUGIアンプでは、その繊細さを維持しつつ、音色がより豊富になり、味わいもより一層濃くなっています。

そして現代的な要素として不可欠な、解像度の高いヌケの良いサウンドも実現できたのです。ドライブ力もかつてのUESUGIアンプを明らかに超えており、ワイドレンジな真空管アンプとなったのです。

もちろん真空管の良さは維持しつつも、新しい現代的なエッセンスを加え、絶妙なハーモニーを奏でているUESUGIアンプの登場です。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2015年4月25日 (土)

まさにスタイリッシュ!アナログプレーヤー Pro-Ject「Elemental Esprit」をご紹介!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、スタイリッシュな新時代のアナログプレーヤー Pro-Ject「Elemental Esprit」をご紹介します!これからアナログを…とお考えのあなたに、ぜひお使いいただきたい製品です。


Pro-Ject社とは

Pro-Ject(プロジェクト)社は、創立者 Heinz Lichtenegger(ハインツ・リヒテネガー)氏によって、1991年に設立されたオーストリア ウィーンに拠点を置くオーディオブランドです。

音楽の都に生まれ、その伝統の中で育まれた感性豊かなオーディオ製品を展開しています。設立当初は、アナログレコードプレーヤーやフォノイコライザーアンプなどを中心に、アナログ関連製品を展開していましたが、現在は大きく分けて、「アナログプレーヤー・シリーズ」と、“オーディオで遊ぼう”をテーマにした小型オーディオコンポの「Box Component(ボックスコンポーネント)シリーズ」の2つの製品群を展開しています。

Heinz Lichtenegger氏が常に目指しているのは、社是でもある『リーズナブルで良質な音、そしてエレガントでシンプルである』ということです。その目標が、Pro-Jectのフィロソフィーである『シンプル・イズ・ベスト』として今日まで受け継がれ、それを基に「ハイレベルな音質」を「リーズナブル」な価格で、音楽を愛する多くの人々に提供できるように製品開発をしてきているのです。

結果として、どの製品にも威圧感がなく、世の中にはびこる物量投入型とは無縁の「シンプルな構造」と「精密なフィニッシュ」で仕上げられており、優れた音楽を音楽的で良質なサウンドで再現できる数々のハイクオリティな製品を提供しています。


最新のアナログプレーヤー

今回取り上げるアナログプレーヤー Pro-Ject「Elemental Esprit」のキャッチフレーズは、『Plug and Play ~手軽に楽しめるアナログサウンド~』。これまで、同社が積み上げてきたアナログプレーヤーの数々のノウハウを基に作り上げたプレーヤーです。

本体重量は、なんと3.3kgと軽量。高級機では、徹底的な振動対策を施した筐体や、慣性モーメントを稼ぐための重量級ターンテーブル採用などにより、総重量 数10kgが当たり前で、普及機でも10kgオーバーが珍しくない中、僅か3.3kgとは驚きです。このあたりが、Pro-Ject社の面目躍如といったところでしょう。

プレーヤー本体は、楕円を伸ばしたスケボーのように細長く、角を丸めた常識破りな形状をしており、素材にはローレゾナンス(無共振)MDFボディーを採用しています。土台には重量のある人造石を採用し、接地面から本体に及ぶ振動・共振から逃れるとともに、同社は今回、人造石をターンテーブル中央のベアリング直下に配することが、モーターの振動を吸収するベストポジションであることを発見したのです。これにより、スマートな本体でありながら、非常に効果的に振動対策が行われているのです。


プラッター(ターンテーブル)

プラッター(ターンテーブル)には、精密加工された真円のアクリルを採用。耐振動性に優れています。金属にしなかったのは、駆動モーターからの渦電流の影響を回避したかったのだと思われます。スピンドルは高精度のステンレススチール製で、それをブロンズ製のスピンドルホルダーで受けることで、低摩擦のスムーズな回転を実現できたようです。



トーンアーム

本体に取り付けられたトーンアームは、スマートかつ最小限の構成となるよう、徹底的にシンプルな超軽量アルミニウム製ストレートアーム「8.6 ultra low mass tonearm」を採用しています。左右両サイドから高精度のニードルベアリングによって支持され、高いトレース精度を実現。ウエイトも最初から取り付けられており、複雑な調整がまったく必要のない使いやすいアームです。


付属カートリッジ Ortofon「OM 5E」

付属カートリッジは、Ortofon「OM 5E」を採用。単体では正規に輸入されていません。出力電圧4mV・適正針圧1.75gと使いやすく、しかも、工場出荷時にすでに1.75gに調整されているため、このままの状態ですぐお使いいただけます。一応、別のカートリッジに交換はできますが、あくまで「OM 5E」を基準に設計されているため、余程調整に自信のある方を除き、自重や高さが違うカートリッジのご使用はお控えになる方が無難でしょう。


開梱から再生まで

梱包から本体を取り出すと、すでにアクリルのプラッターは取り付けられています。後は、付属のACアダプターのプラグをモーター側に挿し、ベルトをモータープーリーにかけるだけです。ベルトをプーリーの上段にかけると33回転、下段にかけると45回転になるというシンプルさです。


本体から出ているピンケーブル

次に、アームの下の後方から出ているピンケーブルをアンプやフォノイコライザーのフォノ入力に接続します。レコードを載せ、メインボディの左下にある電源スイッチをオンすると、手で手伝ってやらなくても回り出します。そして、使いやすいアームリフターを操作して盤面に針を降ろすと、再生が始まります。


既成概念を覆すプレーヤー

私を含め、長年オーディオをやっているオーディオファイルは、「アナログプレーヤーはとにかく頑丈で重量級であるべき。ターンテーブルは金属製で重量級であるべき。トーンアームはS字型で針圧調整が可能であるべき。」などなど、既成概念がバッチリと染みこんでいます。しかし、それらの既成概念とは真逆に位置するアナログプレーヤーが、この「Elemental Esprit」なのです。

確かに、超重量級の高級プレーヤーの良さは長年の経験からも認めますが、ここまで書いてきたように、かくも華奢な軽量級プレーヤーからどんなサウンドが紡ぎ出されるのか、興味津々で演奏を始めました。

慣れ親しんだレコードから、CDやファイルオーディオとは違う、音の粒子の繋がった有機的なサウンドが聴けたのです。さすがに、部屋を揺るがすような重低音再生には限界を感じますが、それはいかにもレコードの音なのです。しかも、オルトフォンの付属カートリッジが優秀なのもあり、ボーカルが滑らかで、かつウェットでストレスを全く感じませんでした。アナログの良さを十分引き出してくれていると感じました。

肩肘を張らずにアナログレコードを気軽に楽しむことができるプレーヤーで、ハイエンドプレーヤーとある意味対極のサウンドではありますが、そこにはデジタルとはひと味もふた味も違う『これもアナログ!』と十分納得できるサウンドが広がります。音楽を知り尽くし、アナログを知り尽くした、Pro-Ject社ならではのプレーヤーだと思いました。


MMフォノイコライザーとA/Dコンバーターを内蔵したモデル


Elemental Esprit Phono USBのUSB端子

「Elemental Esprit」に、直接アンプに接続できるMMフォノイコライザーと、USBケーブルでPCと接続してアナログ出力をデジタルファイル化・データ保存できるA/Dコンバーターも内蔵した「Elemental Esprit Phono USB」もございます。気軽にPCオーディオやCDへのコピーが楽しめます。


最後に

「Elemental Esprit」と「Elemental Esprit Phono USB」、どちらもキュートなルックスながら、必要十分な機能を搭載したシンプルなプレーヤーです。これからアナログレコードを始めたいというオーディオファンはもちろん、もう一度、昔集めたアナログレコードをのんびり聴きたいとおっしゃるオーディオファイルの要求にも十分応えるターンテーブルです。

ぜひ、ご購入をご検討ください。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2015年3月20日 (金)

ノイズレス再生を実現するフォノイコライザーアンプ

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、FIDELIXのフォノイコライザーアンプ『 LEGGIERO(レジェーロ) 』を取り上げます。ノイズレス再生を実現する製品で、実際に試聴してみると、MCはもちろんのこと、MMでも別次元のサウンドでした。


FIDELIXと私

FIDELIX(フィデリックス)というメーカー名から、ハーモネーター「SH-20K」を思い浮かべられた方は、かなりのオーディオ経験とオーディオアクセサリーに関する深い見識をお持ちの方だと推測します。この製品は、1995年春に発売され、オーディオ業界で大変なセンセーショナルを巻き起こしたからです。

当時の私は店長をしており、お得意様に訴求するや爆発的なヒットとなりました。それ程に、ある意味画期的な製品だったのです。フォノイコライザーアンプの紹介をする前に、少しだけ寄り道します。


FIDELIXの製品について

当時、既にCDが発売されて10数年が経過していましたが、CDの音質に対する不満が、音にうるさいオーディオファイルの間で渦巻いていました。「音が固い」「音が冷たい」「エッジがきつい」「響きが少ない」「低音の分解能が悪い」「音が平面的」など、特にアナログ経験の長いオーディオファイルほどその不満は大きく、CD離れも起きようかとしていました。

そんな多くのオーディオファイルに受け入れられ、大ヒットとなったのが、FIDELIX「SH-20K」だったのです。当時の価格は8万円前後でしたが、高級CDプレーヤーをお使いのハイエンドマニアから音楽ファンに至るまで、多くの方に実際に体験していただいて、ご納得の上でご購入いただいたのでした。

原理としては、CDに対する不満の原因を、CDの高域限界が20kHzである(20kHz以上が急峻にカットされている)ことに起因していると結論づけ、CDプレーヤーの出力信号をこの「SH-20K」を通すことで、100kHzまでなだらかに減衰していく自然音の持つ音域分布と同じように、20kHz以上の疑似信号(ランダム波)を音楽信号(CD領域に割り込まないよう)に正確に付け加えるというものでした。これにより、CDに対する不満がかなりのレベルで改善した結果、後のSACDやDVDオーディオのフォーマットの開発や近年のハイレゾブームに結びついたと言えなくもないと、私は思っています。

そんな「SH-20K」というユニークな製品を開発したのが、ソニーのオーディオ設計部門出身で、同社の銘機として名高い「TA-F1120F」の設計を手がけた中川 伸氏です。スタックスを経て、1976年にFIDELIXを設立しました。今回取り上げるフォノイコライザーアンプ「LEGGIERO」を設計されたのも、もちろん中川氏です。

ちなみに、製品名の「LEGGIERO(レジェーロ)」は、イタリアの音楽用語で「軽快優美」という意味です。このイコライザーは、攻撃的で押し出しの強い表現は当然として、軽やかで優雅という、アンプにとっては最も難しい表現をもこなすことから、命名されています。


最近のフォノイコライザー事情

最近のアナログブームの影響からか、各社からフォノイコライザーが発売されることも増えてきています。しかし、MC用イコライザーやヘッドアンプは1970年代後半に発売されたものと比べると、一部のハイエンド製品を除いて、かなりノイズが多く、S/Nが悪くなっているのも事実のようです。これは、トランジスタなどにローノイズのデバイスが少なくなってきたことに加え、ローノイズの技術に長けた技術屋さん自体も少なくなっているからのようです。

現時点でフォノイコライザーを手っ取り早く製品化するため、ローノイズのオペアンプを探して使っても、入力換算雑音電圧(S/Nを表す数字:数字が大きい方が高S/N)は、せいぜい-144dBV程度にしかなりません。鉄芯入り(磁性材の巻き枠にコイルを巻いたタイプ)のMCカートリッジ(オルトフォンSPUやデノンDL103タイプ)なら、これでもあまりS/N的には不満は持たれないと思いますが、空芯(コイル巻き枠に非磁性体を使った空芯タイプ)のMCカートリッジ(かつてのFRやビクター・ヤマハ、最近の製品ではオーディオテクニカのAT-ART7)の良さを生かし切るには、ハッキリ言って能力不足でした。


-156dBVの超ローノイズ設計

そんな中「LEGGIERO」は、鉄芯入りのMCカートリッジから、空芯MCのような滑らかさと透明感を引き出すとともに、出力電圧の低い空芯のMCカートリッジを最高に鳴らすべく、-156dBVの超ローノイズ設計としたのです。設計された中川氏は、これにより出力電圧0.1mVクラスのカートリッジでもノイズレス再生が可能としていますが、当初私には「そこまで必要なのか?」と疑問はありました。

しかし、自宅での試聴では、空芯MCカートリッジのヤマハ「MC-1S(1978年製)」でも、かつて聴いたことのない音が出てきたのです。情報量が非常に多く、高密度でナチュラルな音場を再現し、ソースによっては、軽やかでナイーブ、艶やかで優雅なサウンドをも忠実に再現してくれました。それは間違いなく、高S/Nノイズレス再生の成せる技と確信しました。もちろん、オルトフォンのSPUでも実在感や音の深みが増したのには正直驚きました。


電源は別筐体


LEGGIEROの背面

「LEGGIERO」は、超ローノイズ設計を目指し、電源は別筐体の外部電源より供給しています。リアパネルにMMとMCの切り替えスイッチと、MCとMMの専用入力端子があり、本体の底面には入力インピーダンスの切り換え用のディップスイッチを備えています。入力インピーダンスを1ギガΩで受けることで、鉄芯MCでも空芯MCの音に近付くといいます。

鉄芯に起因するある種のノイズ(バルクハウゼンノイズ)が音の滑らかさを阻害しているのですが、MC入力インピーダンスを1ギガΩという超高抵抗にしてコイルに電流を流さず、電圧信号だけを取り出すことで、鉄芯に起因する前述のノイズを激減できたとのこと。この結果、ケーブルや接点での影響も受けなくなり、伝送信号の純度が著しく改善できたとのことです。

マニアックな機能では、イコライザーカーブの切り換え(RIAA以外にも対応)や、16Hzのサブソニックフィルターも装備しています。また、オルトフォンのSPUやデノンの103系をお持ちのMCトランスで使いたい場合は、MM入力でお使いいただけます。


最後に

ここまでMCカートリッジのお話ばかりでしたが、MMカートリッジでは力強く厚みがあり、音場感も豊かで、伸びやか。音楽に引き込まれるような、デジタルとは別次元のサウンドであったことを付け加えておきます。

また、FIDELIX「LEGGIERO」は、生産数が限られるため、お待ちいただく場合もございます。予めご了承ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2015年3月19日 (木)

アナログの実力を最大限発揮させるアクセサリー3種!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、アナログ全盛期には考えつきもしなかった製品で、現在においてこそ、アナログの実力を最大限発揮させることができるアクセサリー3種をご紹介します。30年前のアナログ全盛時代のサウンドを蘇らせるための必需品として、お勧めいたします。

アナログアクセサリー その1『 SPEC+ ターンテーブルシート 』


お持ちのプレーヤーのターンテーブルには、大抵の場合、ゴム製のシートが載っていると思います。それは、振動の吸収や滑り止めが主な役目です。しかし、かつてゴムはゴムでもブチル製のシートが大ヒットしたり、金属製やセラミック製、果ては空気を吸引して吸着させるシートまで登場しました。ゴム製にはオーバーダンプによるゴムの鈍さが、金属製に金属素材特有の音色が付くなど、それぞれ一長一短があります。

ちなみに私は、プレーヤーオリジナルのゴムシートに、これもかつてヒットした豚皮シートを敷いていました。

その後、数々の素材のターンテーブルシートが開発されましたが、いずれも高価で、ちょっと手の届かない製品がほとんどでした。そんな中、昨年(2014)末に、SPEC+(スペック)から画期的ともいえる素材のシートが発売されました。それが「AP-UD1」です。

レコード盤を作る際の、音楽信号を刻むカッティング原盤として使用されるラッカー盤と同様の素材で出来ており、薄いアルミ板の両面にラッカーを塗布したレコードより若干大きめ(直径305mm)。厚さ1.6mm、質量は337gという、まさにラッカー盤そのものです。それを開発中のプレーヤーの砲金製のターンテーブルに敷いたところ、音が良くなることを発見し、それがそのまま製品化されたとのことです。
※ラッカー盤 … 硝化綿にオイルやカーボンブラック等を混ぜてシンナーで溶いたものをアルミ盤に多重塗布したもの

一般的には、金属製のシートは針先の反作用でレコードが屈曲することがないため、立ち上がり・立ち下がりが良くなり、S/Nや定位感も向上する一方で、前述のようなクセが出てしまうことが往々にしてあるのですが、この「AP-UD1」では、アルミにラッカー塗装することで、アルミを制振し、その色付けを抑え込んでいるのです。

実際に自宅のプレーヤーで、前述のゴム製+豚皮製から替えてみたところ、高域から低域にかけてピラミッド状に音が安定し、クッキリと見通しが良くなりました。他の素材のように独特の音色が加わったり、ある種のクセのようなものが付くこともありませんでした。

しかしそのサウンドは、やはりアナログの世界の音であり、デジタルのようなキレを優先した、とにかく情報をえぐり出すようなサウンドではなく、中低域の適度な厚みと中高域の滑らかさは、やはりアナログならではと付け加えておきます。


アナログアクセサリー その2『 Wind Bell インシュレーター 』


昨年(2014)夏に発売の、特許機器が開発した「風鈴効果」を謳ったインシュレーターです。機器の重さに合わせて、2タイプ(WB-60、WB-30)がラインナップされています。

オーディオ用のインシュレーターには、従来から色々な考え方によって生まれた、多種多様の製品が存在しています。
例えば、
  • オーディオ機器の設置を安定させるもの
  • 機器自体の内部振動や音波により受けた振動を速やかに置き台や床に逃がしてしまうもの
  • 逆に置き台や床からの振動を機器に伝えず跳ね返すもの
があります。Wind Bellのインシュレーターは、これらと異なり、機器と床や棚の間を完全に遮断して双方に振動が伝わらないようにする、インシュレーター本来の意味(遮断するもの、絶縁物)を忠実に具現化した製品になります。

内部は、上部スリーブ(コップを伏せた形状の金属)に高品位のスプリングコイルが内蔵されており、振動はこのスプリングによって遮断され、スプリング固有の共振(サージング:コイル素線に沿って伝搬される衝撃波が、 バネの両端部を往復する共振現象)は、内蔵された特殊な部材によって防止しています。これにより、床や棚からの振動が伝わらないのです。振動に関する問題を同社では、長い年月をかけて特殊な制振材料を用いたサージング防止技術を開発し、オーディオ用インシュレーターに適した振動遮断性能を実現させているとのことです。

さらに、風鈴部材と呼ばれるスリーブがスプリングを包み込むことで、高音域をチューニングするのだとしています。これにより、低音域の振動遮断と高音域のチューニング効果を併せ持つ、かつてなかった、世界初(米国特許)のインシュレーターとなったのです。

自宅のプレーヤーで、「WB-60」をインシュレーターとして使用しました。低域のモヤモヤが晴れ、クッキリとして立体感が出てきました。また、非常にS/Nが良くなり、アナログサウンドであることから、スクラッチノイズやヒスノイズはある程度は不可避ですが、音楽自体は静寂感を伴って再現されるようになったのです。それは、プレーヤーが明らかに1クラス、いや2クラスグレードアップされたと感じるほどの効果でした。


アナログアクセサリー その3『 Elesta スタビライザー 』


最後にご紹介するのは、過去のアナログ全盛期には考えもしなかった効果をもつアナログアクセサリーです。

それは、エレスタが発売している「摩訶不思議」的な製品の一つです。会社名にもなっているエレスタ(Elesta)とは、常温でオーディオ機器に作用するレベルのマイナスイオンを発生する天然鉱石が充填されており、装着した機器の筐体やパーツ、レコード盤をイオン化させることをいいます。イオン化された筐体やパーツは、エネルギー損失が減少するため機器の効率が上がり、同時にマイナスイオンの除電効果で、オーディオ機器に何ら改良を加えることなく、機器の性能を最大限引き出すことを目的にしています。

スタビライザー「Disc Stabilizer vol.5」は、レコード盤に載せるだけで、再生中に直接大量のマイナスイオン(陰イオン)を供給し続け、レコード再生により常時帯電するプラスイオンと結びつき、帯電によるノイズや静電気によるゴミの吸着を防止して、S/Nの良い最高水準の音楽を再生し続けます。

木管楽器にも使われている響きの良い黒檀製で、重さも従来の重さで押さえつけるスタビライザーとは全く違い、僅か70gと軽量で、レコード盤との接触面はコルク素材が使われています。さらに、メンテナンスフリーを目指し、ターンテーブルシートの上に置いておくだけで、着脱の必要のない除電シート「for Analog Disc vol.1」(直径95mm、厚み0.4mmでプレーヤーのセンタースピンドルにはめる)を併用することで、さらに効果が大きいといいます。

特に、レコードでは素材自体が静電気の影響を強く受ける上、再生すると回転し、必ず空気との摩擦で静電気が発生しますので、除電しなくてはクリアな音は再生できません。このスタビライザーは、 レコードに載せる・敷くだけの簡単な操作でメンテナンスの必要のない製品です。

こちらも、自宅で「Disc Stabilizer vol.5」や「for Analog Disc vol.1」を試しました。感想は、「Disc Stabilizer vol.5」だけで十分かと思いますが、「for Analog Disc vol.1」の併用で、さらに除電効果は上がったようです。

確かに、冬の乾燥期、しかも20℃以上の部屋であり、静電気は避けられない条件ではあるものの、ダストカバーを外した状況でも、綿埃を吸い付けているとは感じられませんでした。また、クリーニングブラシで盤面のゴミを拭う作業を行っても、特にホコリが筋となって溜まってしまうこともありませんでした。

音質は、明らかにノイズが減少し透明度が上がったと感じました。しかも、静電気が発生しにくくなった効果は絶大で、レコードを聴く際の精神的落ち着きに繋がり、これが一番効果があったと感じました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2015年3月10日 (火)

本格的にアナログ再生を目指す方にお勧めするクリーナー3種!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、久々にもう一度アナログ再生にチャレンジしようとお思いの方にもお勧めする、クリーナー3種をご紹介します。30年前のアナログ全盛時代のサウンドが蘇ります!

久々に、お気に入りのレコードを聴いてみませんか?

アナログプレーヤーを新たに買い換えられた方はともかくとして、多くのオーディオファン・音楽ファンの皆様は、ご自分やご家族が過去に使っていたアナログプレーヤーやカートリッジを引っ張りだして、久々に懐かしいお気に入りのアナログレコード(ブラックディスク)をお聴きになりたいのではないでしょうか。

しかし、保存状態が良くないプレーヤーは、最悪の場合、駆動モーターが壊れてしまっていることもあります。プレーヤー自体は比較的単純な構造のため、余程湿気の多い環境に放置されてない限り、無事の場合が多いと思います。

万一ターンテーブルが回転しない場合は、ベルトドライブならベルトの交換で済むこともありますので、まずはプーリーの回転をご確認下さい。もし、プーリーが回転していなかったり、ダイレクトドライブ(DD方式)のプレーヤーでターンテーブルが回転してしない場合は、モーターが故障している可能性が考えられます。ほとんどの場合、現時点ではサービスパーツがなく、修理は不可能と思われます。

また、カートリッジは非常に繊細ですので、プレーヤーのトーンアームに装着したまま、前述のような悪条件の場所に置かれていた場合は、非常に心配な事態です。アームから外して比較的乾燥した状態で保存されていたなら、おそらくカートリッジ自体は、無事な場合が多いと思います。

まずは、アナログレコードを聴くにあたり、プレーヤーやレコードをクリーニングするアイテムをご紹介します。私も愛用しているクリーニングアイテムです。


お勧めクリーナー その1『 レイカ スタイラスクリーナー 』


一流メーカー製で当時有名だったカートリッジをお持ちでしたら、この「DR-STYLUS」があれば、針先が蘇ります。過去に、スプレー式のレコードクリーナーや帯電防止剤をお使いになっておられた場合、虫眼鏡でご覧いただくと針先にコッテリとタール状の物質が固着していたり、綿埃で針先のダイヤチップが隠れてしまっていたりしていないでしょうか。

これらは、通常のスタイラスクリーナーではなかなか取れませんし、クリーナー液を付けすぎると最悪の場合、毛細管現象でカートリッジ内部に液体がしみこんでしまうことも考えられます。

そこで、この「DR-STYLUS」の登場です。付属の点滴用のプレートにほんの一滴だけクリーナー液を落とし、ミクロン・クリーナーブラシにそれを染みこませるだけです。そして、カンチレバーの針先をそっと撫でるだけで、「あら不思議!」と綺麗なダイアモンドの針先チップが現れます。

しかも、透き通るような(ダイヤの屈折率が高く全反射するため)綺麗な針先です。通常、針の寿命は500時間程度と言われますが、私の経験から、余程の悪条件で使用しない限り、モノは地上最高の硬度を持つダイヤですから、そう簡単にスリ減ることもないのです。おそらく、針先はこれで新品同様になります。

また、「DR-STYLUS」は約5ccしか入ってないのに高価だとお感じになると思いますが、スプレー式レコードクリーナーを使わなければ、針先のクリーニングはそんなに頻繁に行う必要がないことから、こぼしたり、蒸発でもしない限り、おそらく「一生モノ」といっても過言ではないと思います。事実、私は10数年使っていますが、まだまだ使えます。


お勧めクリーナー その2『 アコースティックリバイブ 導通向上クリーナー 』


カートリッジのお尻の4つの出力ピンやリード線、そしてヘッドシェルのリード線端子、トーンアームのシェルとの接合部分は、非常に小さい電力(電圧でライン系の100分の1程度)を扱っており、ちょっとした汚れやサビでも大きな影響を受けてしまいます。そこで、クリーニングが必須になってきます。

これには、通称 アコリバ(アコースティックリバイブ)の「ECI100」が使いやすく、クリーニングに加え、導通性の向上も図れることから、一石二鳥の効果があります。

綿棒にシュッと一押しスプレーして、それぞれの接点を優しく拭くと、あまり汚れが目立たなくても、「あら不思議!」と綿棒が黒く変色してしまいます。そして、端子は金色(もちろん金メッキの場合)に輝いてきます。これらは錆びで、空気中の水分などにより酸化が進んでいたものと思われます。

これにより音質はクリアになり、雑味が消え、サウンドの見通しが非常に良くなります。


お勧めクリーナー その3『 レイカ バランスウオッシャー33 』


アナログレコード全盛時代の1970~80年代前半に、このレコードクリーナーが存在していたなら、アナログレコードがあんなに急激にCDに取って代わられることは、なかったのではないかとさえ思ったクリーナーが、1993年にオーディオ界に登場したレイカの「バランスウオッシャー33」です。

アナログレコードの最大のネックは、ホコリが付きやすい(重力によるホコリの落下と静電気によるホコリの引き寄せ)ことです。当時、ありとあらゆる種類のクリーナーが国内外を問わず、数え切れない程のメーカーから、数多くの種類の製品が発売されていました。しかし、ことクリーニングに関しては、ついに決定打は現れず、数種類のクリーナーを組み合わせて、なんとか見えるホコリを除去するのが精一杯でした。

また、昔からあったスプレー式のレコードクリーナーは、不純物が入っていたりやレコードの素材である塩化ビニールにダメージを与え(あくまで当時の製品)、かえってノイズが増えたり、時には帯電防止剤が塩ビを溶かして、音溝の奥に溜めてしまうようなものまで存在しました。

果ては、先日亡くなられたオーディオ評論家の江川三郎先生などは、レコードを水で洗ったり、固く絞った雑巾で盤面をゴシゴシ拭くやり方なども提案されましたが、なけなしのお金で買った大切なアナログレコード盤に、それらを実行する勇気は、当時の私にはありませんでした。

レコードの新譜がほとんど発表されなくなっていた1993年、レイカという新しいブランドを立ち上げたのがレイカの大越さんです。「バランスウオッシャー33」は当時としては画期的な2液式のクリーナーで、A液でレコードのカビや汚れ成分だけを安全に落とし、B液で音質向上と保存作用を持たせたクリーナーで、レコードに有害な帯電防止剤を一切使わず、レコードの静電気を除電させる効果も併せ持っていました。また、B液でコーティングするとレコード針も長持ちします。

このように、大切な初期盤や廃盤、貴重盤などのデリケートな盤のクリーニングにももってこいで、安心してお使いいただける画期的なレコードクリーナーなのです。今回取り上げた「BW-33-EX」はあくまでお試しセットでして、ヘビーユーザー向けには200cc入りのA液「BW-33-A」とB液「BW-33-B」があり、専用のクリーニングクロス「ビスコ33(30枚入)」も用意されています。

お試しセットの「BW-33-EX」では、付属のクリーニングクロス(ビスコ33)5枚では必ず足りなくなりますので、一緒に1セット追加購入しておいていただければと思います。このセットで、10枚から20枚のレコードのクリーニングが可能(レコード盤の汚れ具合によって変わります)です。初めての方は、A液を使いすぎてしまいますのでご注意ください。

なお、SPレコード(78回転)の収集家には、SPレコード(LPレコードとは素材が違うため)専用クリーナー・バランスウオッシャー78 マスターセット「BW-78-MS」が用意されています。

発売から20年以上経過しているにも関わらず、非常に多くのリピーターがおられるということこそ「バランスウオッシャー33」の素晴らしさを証明しているともいえます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2015年2月14日 (土)

アナログブームの再燃か?オンキヨーが32年ぶりにアナログプレーヤーを発売!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
近頃、若者の間でアナログレコードが注目されている話を見たり・聞いたりします。しかし、それらはほとんどがフルオートプレーヤーでしかもUSB出力が付いた、いわゆる2~3万円までのアナログプレーヤーを前提としての話だと思います。

そんな中、オンキヨーが32年ぶりにアナログプレーヤーを発売しました。ハイレゾが注目され、ピュアオーディオはほぼデジタルに席巻された感のある現時点で、しかも敢えてマニュアルのアナログプレーヤーを発売してきたのです。そのオンキヨーの勇気に対して本当に『えらい』と言いたいと思います。

マニュアルプレーヤーとして発売!

先月発売されたアナログプレーヤー「CP-1050」は、オンキヨーとしては1983年発売の「PX-55F」以来、実に32年ぶりとなるアナログプレーヤーの新製品です。しかもそれは、マニュアルプレーヤーなのです。マニュアル(手動)ですので、レコードに針を降ろす作業はもちろん、再生が終了した後も手でトーンアームを元に戻し、ストップする作業まで必要なのです。それは、実に人間的なものなのです。

そのため、デジタル音源しかご存じない40代以下のオーディオファン・音楽ファンにとっては少々敷居が高い商品と思われます。でも、このアナログプレーヤーを使いこなすことができれば、それはそれは至福のアナログサウンドが味わえるのもまた事実です。

オンキヨーが敢えてマニュアルとしたことで、同価格帯のフルオートプレーヤーより、間違いなくワンクラス上の性能を獲得しているのです。筐体にはスピーカーにも使用され、強固で振動抑制に効果的な「MDF」を採用し、ターンテーブルには本格的な厚みのある高剛性の「アルミダイキャスト」を採用しています。

ダイレクトドライブ方式を採用するなど、随所にこだわりを感じます!

そして、これこそこのクラスでは異例となる「クォーツロックDD(ダイレクトドライブ)方式」が用いられているのです。近年発売されるアナログプレーヤーは、国内外問わずほとんどがベルトドライブ方式なのにです。

ベルトドライブ方式が多用されている理由は、駆動モーターとターンテーブルがベルトで連結される構造のため、技術的な難易度が低く、コストを抑えての安定的な回転と低雑音を実現できることによります。しかし、一方でパーツが増え、耐久性にはベルトの伸びなど問題点もあります。

一方、ダイレクトドライブ方式は、ターテーブルの回転軸がすなわちモーターの回転軸と言うように直結しているため、モーター自体の性能や回転の制御方法が即、音質に影響してしまうという難しさがあります。この制御(サーボ)が安定していない場合は、回転がカクカクするコギング現象となって音質を大きく損ねてしまうのです。いかに回転を安定させ、モーターから発生する振動や雑音を抑制するかが腕の見せ所ともいえます。

「CP-1050」では、モーターの振動を抑えるため敢えて減速機構を持たない「超低速ブラシレスDCサーボモーター(低トルクモーター)」を採用し、音溝として刻まれた繊細な音楽情報を正確に拾い出すことを可能にしています。

さらに、コギング現象を回避するため、モーターに送る電流波形を根本的に見直すことで、スムーズな回転(ワウ・フラッターは、0.15%以下)を実現したのです。

また、トーンアームには、「アンチスケーティング」(レコード盤上をカートリッジがトレースしている時、ベクトルの法則によって回転の中心に引っ張られる力を、逆に外向きに引っ張って打ち消す仕組み)の調整も可能な、本格的で高精度な「スタティックバランスS字型」を搭載しています。安心して針先の上げ下ろしができるアームエレベーション機構や高さ調整が可能なインシュレーターも採用しています。

高級カートリッジのご使用もお勧めいたします

ヘッドシェルの取り外しを可能とすることで、ヘッドシェル込みの重量が15~20gの各種カートリッジも使用可能です。付属のカートリッジはMMで出力電圧が2.5mVと標準的なもので、アナログの素晴らしさはこれでも十分堪能できますが、過去にアナログ経験をお持ちの年配のオーディオファンや音楽ファンは、保存状況さえ良ければ当時のカートリッジを一度使ってみて下さい。当時の音が蘇ると思います。

また、後日新たにMCカートリッジや高級MMカートリッジをご購入いただいて、ご使用になることもお勧めしておきます。それら高級カートリッジの性能を十分出し切れるトーンアームだと思います。「CP-1050」が基本性能の優れたマニュアルプレーヤーということで、カートリッジのグレードアップ以外にも、ターンテーブルシートの交換やスタビライザーの追加などで、更なる高音質も目指せます。

アナログ音源も愉しんでいただくためのマニュアルプレーヤー

オンキヨーは、この「CP-1050」を音源に込められた制作者の想いまでもリスナーに届ける「Emotion.Delivered.」というコンセプトの元、近年の「ハイレゾ音源=マスター音源」というイメージが定着する中、敢えて「マスタークォリティ」はデジタルだけではなく、アナログ音源でも愉しんでいただくため、再生品質にトコトンこだわった本格的なマニュアルプレーヤーを発売したのです。

デジタルオーディオしかご存じない若いユーザーには新たな発見が、アナログ経験豊富でしばらくアナログから遠ざかっていたオールドユーザーには、懐かしさとともにアナログを今一度見直すきっかけにも成りうる高性能なハイC/Pアナログプレーヤーとして、「CP-1050」を自信を持ってお勧めします。

特に、過去アナログ全盛時代を経験した私としては、これだけの基本性能を押さえたアナログプレーヤーがオーディオ市場に再出現したことで、「一度はアナログを捨てた」、あるいは「アナログプレーヤーが壊れてしまった」という「もう一度オーディオ世代」のシニアの方に、ぜひともお使いいただきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2015年2月13日 (金)

audio-technica 定番MCカートリッジの最新鋭機『 AT33Sa 』を聴く!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、audio-technicaのMCカートリッジ AT33シリーズの最新版『 AT33Sa 』を取り上げます。ベストセラー AT33シリーズの集大成として、またシリーズで初めて「シバタ針」を採用したモデルとして、企画・設計された製品です。ちなみに、音元出版主催「オーディオ銘機賞2015」では、銅賞を獲得しています。

MCカートリッジ AT33シリーズの歴史

昨年末、audio-technica(オーディオテクニカ)より、MCカートリッジ『 AT33Sa 』が発売されました。この製品は、1981年に発売されたMCカートリッジの初代機「AT33E」(私も使用していました)をはじめとする、AT33シリーズの最新版としての位置づけになります。

初代機「AT33E」が発売された1981年はまさにCD発売(1982年)の前夜であり、当時はアナログプレーヤーの関連製品が性能的にも市場的にもピークであった時代でもありました。また、オーディオテクニカの創立20周年記念の製品ではなかったものの、この記念すべき時期に開発されたのでした。

この「AT33E」のベースとなったのは、当時ユニークな形状であった円筒に近いヘッドシェル一体構造のカートリッジ「AT34E II」で、それを単体化したものでした。以来、1993年「AT33ML/OCC」、1994年「AT33LTD」、1997年「AT33TPG」、2002年「AT33R」、2007年「AT33ANV」「AT33MONO」、2008年「AT33EV」、2010年「AT33PTG II」と変遷を重ね、今作の『 AT33Sa 』に至ったのです。実に、型番通りの33年を迎えることになるのです。


AT33シリーズは、世界中の多くのアナログファンに愛され続けてきたオーディオテクニカのMCカートリッジであり、その中でも特に愛好者の多い同社のMC型を代表するベストセラーモデルです。シリーズ最大の販売数を上げた「AT33E」、雑誌の基準モデルとしても取り上げられ評価の高かった「AT33ML/OCC」、AT33シリーズの新しい方向性を示した「AT33LTD」、音質評価の高かった「AT33PTG」など、現在に至ってもなお、愛され続けています。長期にわたって進化し続けてきたAT33シリーズの集大成として企画・設計されたリファレンスモデルが『 AT33Sa 』なのです。

ターニングポイントとなった「AT33ANV」

初代機「AT33E」以来、基本的な構造・考え方に大きな変化はないのですが、2007年の「AT33ANV」で初めて、内部インピーダンスを従来の17Ω(ミドルインピーダンス)から10Ω(ローインピーダンス)に変更(これはコイルの巻き数を減らし、振動系を軽くしたと言うことなのですが)されたことで、出力電圧が従来の0.5mVから0.3mVに減少したのでした。

これにより使いこなしが難しくなったわけではないのですが、インピーダンスが同じならば出力電圧が高い方が有利なことには間違いなく、微小信号がノイズに埋もれることなく、情報量がアップすることは確かです。しかし近年、フォノイコライザーのS/N比が向上した結果、あまり問題とはなりませんでした。

「AT33ANV」はある意味、AT33シリーズのターニングポイントともいうべき製品であり、「AT33E」以来、我々オーディオファイルが同シリーズに抱いていた《 切れ込みの良い、立ち上がり重視のシャープで明るいサウンド 》(特にOrtofonとは対極で、ポピュラーやジャズ向きのMCカートリッジ)というイメージから、中低域に適度な厚みを持たせ、温かみも加わった良い意味でのニュートラルなサウンドに変身したのでした。

今回初めて「シバタ針」を採用

最新鋭機『 AT33Sa 』の型番にある「Sa」とは《 シバタ針 》を採用したことを意味し、過去には「AT15Sa」というVM型カートリッジも存在していますが、おそらく同社としてはそれ以来の採用だと思います。

「シバタ針」は1974年当時、日本ビクター(株)の柴田憲男氏が発明した「ラインコンタクト針」の一種で、ディスクリートの4チャンネル再生方式であるCD-4の4chステレオ用のレコード針の形状です。レコード溝に対して接触面が「線状」になるように開発されており、CD-4用のレコードの溝は普通の溝よりもはるかに細かいもので、楕円針や丸針での点接触より、線状接触によって応力が分散され負担が少なくなることで、50kHzまでの再生を可能としたのでした。

一方ラインコンタクト針は、その名前の通り、線状接触面をもつレコード針の総称ですが、CD-4用のカートリッジには各メーカーが「シバタ針」という名称を使い、ワイドレンジ2chカートリッジには「ラインコンタクト針」という名称を使い分けていました。

針先やレコード溝への負担が少なくて寿命が長く、針圧の重いカートリッジにも向きます。ただ、針の取付角度が重要なため、固定しやすいように角柱のダイヤモンドに特殊なカットが必要となり、コストがかかるため高級カートリッジにのみ採用されてきた経緯があります。

今回『 AT33Sa 』で敢えて「シバタ針」を採用したのは、高域再生能力の向上はもちろんですが、中低域を重視して「芯」のあるサウンドを目指した結果だと説明されています。基本構造は前作の「AT33PTG II」を継承しており、カンチレバーは無垢のボロンにテーパーをかけたもので、ダンパーを2重としつつ、振動系などすべての設計を見直したとのことです。

その結果、インピーダンスを10Ωとしながらも、マグネットを高磁力のネオジウムとし、パーメンジュールのヨークを採用したことで、コイルギャップの磁界を強化でき、出力電圧は0.4mVに上昇しています。ボディはアルミ合金ベースに硬質樹脂で共振を抑えた剛体設計としています。また、PCOCCのリード線1セット、取付ビスと非磁性体のドライバー、さらにクリーニングブラシまで付属しています。

試聴しました

今回は、自宅のSME3009S2付きトーレンス「TD126MK3」で試聴しました。

音質傾向は前述の「AT33ANV」以来の音調を、さらにウォームな方向に振ったサウンドで、中低域はかつての「AT33E」の音調とは違ったバランスのとれたマイルド系のもので、中高域は情報量も多く繊細です。

クリアなサウンドはAT33シリーズ系のものではありますが、過去の切れ味を重視したサウンドとは決別したオールマイティで穏やかなものとなっています。また、低域の充実が音楽を豊かに聴かせます。

過去のAT33シリーズのイメージとはまったく異なり、クラシック音楽でも緻密で滑らかな中に、豊かな余韻と明るさをともなったもので、鋭さをまったく感じさせない最上級のリアルサウンドでした。

『 AT33Sa 』に、今や稀少なPCOCCが使えたのは、線材の使用量が少ないカートリッジだからともいえます。従来機に比べ、「シバタ針」による最大の効果は、レコード表面の汚れやキズによるサーフェスノイズだけではなく、音溝に付いたキズに対してもノイズレベルがかなり減少して、S/N比が向上したことが大きいと思われます。これこそ、AT33シリーズのDNAを受け継いだ『 AT33Sa 』の最大のメリットだと思います。

少々高価ではありますが、ファイルオーディオによるハイレゾとは次元の違う《 究極のアナログサウンド 》を目指される方にこそ、お勧めです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

2014年11月10日 (月)

アナログレコードをより良い音で聴くための高音質MCトランス!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、完全バランス対応の入力部を備えたMCカートリッジ用昇圧トランス フェーズメーション『 T-500 』を取り上げます。私自身、アナログを極めつつあると思っていましたが、「T-500」の存在を知ったことで、アナログを極めるにはまだまだやることがあったと痛感させられました。

私自身「目からうろこ」だったこと

今回のフェーズメーション『 T-500 』を取り上げるにあたり、私自身、「目からうろこ」だったことが2つありました。
  ◆ ステレオレコードのL/Rは、逆相で記録されている
ステレオレコードの規格として、当初、ステレオフォニック信号を溝の深さを変えて記録する「高低変調記録方式」と、左右方向に変調させた「横波変調記録方式」を組み合わせた英デッカが提唱する「VL方式」と、米RCAが主導するレコード盤への記録角度を45度傾け、L/R逆相にして記録する「45/45方式」が検討されました。しかし、左右の音質バランスが揃っていることと、モノラル再生との互換性にも優れていることから、結局「45/45方式」が採用されたのでした。

L/Rを逆相にした理由は、斜め45度の方向の振幅のため、大振幅時に針が飛んでしまうということが起きます。これを避けるために、LchとRchを逆相にして音溝をカッティングすることで、この針飛びを解決したのです。この逆相状態を補正するため、ステレオカートリッジの出力部分は、LchとRchが逆相になっているのです。その副作用として、モノラル盤をステレオカートリッジで再生した場合、信号の打ち消し合いが発生して、音が痩せて聴こえてしまうことが往々にしてあり、モノラル盤はモノラル用カートリッジで聴いた方が力強く聴こえるのはそのためだったのです。
  ◆ MCカートリッジの出力はバランス信号である
MCカートリッジは、内蔵コイルによって発電されるため、コイルの両端にはプッシュプルの信号が発生し、それはバランス信号となっています。本来、MCカートリッジの出力のような微弱なバランス信号はバランス伝送するのが理想なのですが、アンプのフォノ入力はRCA端子によるアンバランス受けになっているため、バランス伝送のフォノケーブルがほとんど存在しないのが現状です。

また、本来フォノイコライザーは、MMカートリッジでゲインを得られるように設計されているため、MCカートリッジではゲインが不足し、ヘッドアンプや昇圧トランスを介するのが一般的でした。その昇圧トランスの一次側(入力側)を『 バランス入力で受けることに目を付けた 』のが、フェーズメーションなのです。
フェーズメーション『 T-500 』とは

前述のように、MCカートリッジはコイルによって発電するため、コイルの巻き始めと巻き終わりでプッシュプルで動作するバランス動作をしています。その特徴を最大限に活かすべく、完全バランス対応の入力部を備え、高音質を目指したMC昇圧トランスが「T-500」です。

T-500 背面

本来、バランス動作しているコイルからの出力を、従来から我々は何の疑問も持たずにアンバランス接続(RCA→RCAピンケーブル)で伝送していました。その結果、MCカートリッジの微弱信号をバランス伝送することのメリットを大きく損なってしまうだけでなく、外部ノイズにさらされることで直接音質にも影響してしまっていました。

そこで「T-500」では、バランス型のフォノケーブル(同社のCC-1000D/CC-1000R)を使用することで、カートリッジのコイル部と「T-500」の内蔵トランスのコイル部までがプッシュプルの平衡型で伝送され、それをシールドが包む形となることで、誘導ノイズ等の外部ノイズをほぼ完全にシャットアウトできたのです。また、トランス入力部の中点と出力部のマイナス側を接続することで、カートリッジから見ると完全バランス接続(2番HOT)になるのです。


T-500とCC-1000の接続原理

(別ウィンドウで開きます)

さらに、従来ハンドメイドでなければ難しいとされていた特殊分割巻き線構造のトランスの量産化を自社で実現し、広帯域かつ優れた位相特性を獲得したのです。この結果、可聴帯域内の位相歪みが激減し、非常に音像定位が明確になったのです。

内部のトランス部は、外部振動が伝播しないように発泡ポリエチレンフォームで支持され、高S/Nを実現しています。またシャーシ中央に左右分割のシールド板を追加することで、聴感上のセパレーションを大幅に向上させたのです。

もちろん、従来のアンバランス型フォノケーブルでも高音質を実現できますが、別売のバランス型フォノケーブルを使用することで、更なる高音質が実現します。結果、「T-500」とバランス型フォノケーブルを使って、お持ちのプリメインアンプやプリアンプのMMのフォノ入力で受けることで、アンプのMC入力で直接受けるより、遙かに高音質のアナログサウンドが実現するのです。

このバランス型フォノケーブルとの組み合わせこそ、「アナログもまだまだ極め尽くされていない!」というフェーズメーションの主張を実感しました。「T-500」をご購入の際は、バランス型フォノケーブルの同時購入を絶対にお勧めします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)

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