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2020年7月 5日 (日)

ヤマハの新フラッグシップ・プリメイン『 A-S3200 』のポテンシャルを探る!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、フラッグシップ"HiFi5000シリーズ"の技術と思想を継承する、ヤマハのプリメインアンプの新製品をピックアップ。


最上位機『 A-S3200 』のほか、『 A-S2200 』『 A-S1200 』を詳しく見てまいりましょう。

■ ヤマハのプリメインアンプについて
ヤマハがピュアオーディオに本格参入したのが、今から約半世紀前の1973年発売のプリメインアンプ「CA-1000」からです。A級/B級動作切換式のパワーアンプを搭載し、シルバーパネルに淡いスプルース調のウッドケースに収まった斬新なデザインのプリメインで、その後の日本のオーディオシーンに多大な影響を与えた、エポックメイキングな製品でもありました。

ヤマハは、その後1980年代まではプリメインをはじめプリアンプ、パワーアンプでヒット作を連発し、一世を風靡したのでした。しかし、1986年世界初のデジタル・サウンドフィールド・プロセッサー「DSP-1」を発表し、にわかに雲行きが怪しくなって来たのでした。そして90年代以降、ピーク時には半年単位でおびただしい機種のAVアンプを出し続け、AVサラウンドブームを牽引したのでした。

そんなヤマハが、約20年ぶりに本格的なプリメイン市場に再参入したのが2007年発売の「A-S2000」からで、2008年下位機の「A-S1000」、2013年上位機の「A-S3000」を発売。再び人気を取り戻し、ピュアオーディオ市場での地位を確固たるものにしたのでした。2014年「A-S3000」の成果を反映させてグレードアップした「A-S2100」、さらに2015年に「A-S1100」と順調に進化&深化してきたのです。

そして2018年12月、遂に長い沈黙を破ってフラッグシップ"HiFi5000シリーズ"のセパレートアンプ『 C-5000 』『 M-5000 』を発売。ヤマハのオーディオ技術の集大成として、またアキュフェーズ、ラックスマン、エソテリックなどに続く、本格的国産ハイエンドオーディオの世界に完全復活を遂げたのでした。

ヤマハのサウンドコンセプトは、フラッグシップ"HiFi5000シリーズ"の技術と思想を継承しており、

 (1)"GROOVE"~演奏者と相対しているような、音楽がここにあるという実感
 (2)"OPENNESS"~小さな音でも遠くまで届ける、抜けの良い音の開放感
 (3)"EMOTION"~演奏者の身体で表現される深い情感表現
 (4)"DESIGN"~持つ歓び、使う歓びを満たす高品位な質感

というもので、これらを具現化すべく、楽器ブランド"ヤマハ"ならではの音楽表現を、今回ご紹介する新製品『 A-S3200 』『 A-S2200 』『 A-S1200 』では追求したのだとしています。

■ 『 A-S3200 』シャーシレイアウト

メカニカルグラウンド・コンセプト

前述のパワーアンプ「M-5000」で採用された機構的な接地方法で、電源トランスやブロックケミコンなど振動を伴う大型重量パーツを、左右完全対称に配置した理想的なシャーシレイアウトを採用。

左右の重量バランスを完全な均衡に保つことを設計基本として、シャーシ機構やパーツの搭載位置を決定。さらにベースフレームに溶接されたボルトに直接レッグを装着しています。

このように重量物を機構的に接地させ、圧倒的な安定化を図ることで、振動による音声信号への悪影響を徹底排除したのです。

■ 『 A-S3200 』のレッグ

真鍮削り出し特殊構造レッグ

これもセパレートアンプ「C-5000」「M-5000」の為に開発された特殊構造のレッグです。スパイクを内蔵することで通常設置でもラックなどをキズつけることなく、ピンポイント支持効果が得られるレッグです。

余分な振動を排除することで、実在感あふれる空間描写力と豊かな低音を目指したのです。

■ 『 A-S3200 』ローインピーダンス設計

ローインピーダンス

パワーアンプ部に50μm厚の銅箔を使用することで、電気回路内のローインピーダンス化を図っています。さらにスピーカーターミナルへの内部配線にはPC-Triple Cを採用し、全帯域にわたり情報量豊かで滑らかな音質を目指したのです。

大電流経路の基板間や22,000μFの大容量ブロックケミコンの配線は、非磁性で導電性に優れ、かつ安定した接続ができる「真鍮製ネジ」で固定しています。

■ 『 A-S3200 』フローティング&バランス・パワーアンプ
「A-S2000」以来同社のHiFiアンプに採用している、ヤマハの特許技術「フローティング&バランス・パワーアンプ」を本機にも搭載しています。

出力段の左右チャンネルに同一極性のMOS-FETを採用し、それぞれの+側と-側、計4組の電力増幅回路をフローティングすることで、プッシュプル動作の完全対称化と、全回路をグラウンドから完全に独立させることができ、微細な電圧変動やグラウンドを巡る外来ノイズの影響も徹底的に排除できたのです。

■ 『 A-S3200 』充実の構成パーツ

(1)大容量トロイダル電源トランス
電源トランスには、磁束漏洩が少なく、電力変換効率、電源レギュレーションに優れたトロイダル型を搭載。内部巻き線をそのままダイレクトに引き出し、ラグ端子で回路と直接接続することで低インピーダンス化を図っています。さらにトランス底面とインナーシャーシの間には3mm厚の真鍮製ベースプレートを挟み込み、トランスの振動もコントロールしています。

(2)大型レベルメーター
VU/ピークの切り替え表示とディマーが可能な高精度レベルメーターを装備。8mm厚のクリスタルガラス製メーターウィンドウと電球色で柔らかな雰囲気を意識したLEDライトが、メーターの動きを美しく演出します。

(3)フォノイコライザー
ハイゲインのフォノイコライザーではなく、本格的なMCヘッドアンプ付きディスクリート構成のフォノイコライザーを搭載しています。

■ その他『 A-S3200 』主な機能&仕様
・無垢の真鍮から削り出したオリジナルデザインの大型スクリュータイプのスピーカー端子
・高級感あるアルミ削り出し加工のボリュームノブやスイッチ類
・ヤマハのグランドピアノと同じ塗装・研磨工程を経て製作される美しいピアノブラック仕上げのサイドパネル
・入力端子はXLR:2系統、RCA:6系統(PHONO、MAIN IN含む)、スピーカー端子はA/B系統
・定格出力が100W+100W/8Ω(150W+150W/4Ω)、最大出力は130W+130W/8Ω(210W+210W/4Ω)、ダンピングファクターは250以上

続いて、同時発表された『 A-S2200 』と『 A-S1200 』を『 A-S3200 』との違いを中心に見てまいります。

 『 A-S2200 』の特徴
大容量トロイダルトランス搭載やPC-Triple Cの内部配線など、『 A-S3200 』とほぼ同様の仕様になっています。ただ、レッグが真鍮削り出しになっていることや、定格出力が90W+90W/8Ω、最大出力は120W+120W/8Ωと少し抑えたこと、そしてバランス入力が1系統になっている位で、スペックには数字上ほとんど違いは見られません。

細かくはシャーシの銅メッキを省いたり、フロントのレベルメーターが若干小さくなったこと、そして重量が2kg軽い22.7kgとなったことです。これらから、プリ部は上位機とほぼ共通で、パワー部に若干差を付けているようですが、正直この価格差29万円は大きいと感じました。情報量豊かで滑らかな音質は共通です。

■ 『 A-S1200 』の特徴
本機にも大容量トロイダルトランスを搭載、「メカニカルグラウンド・コンセプト」やローインピーダンス設計、MOS-FETによる「フローティング&バランス・パワーアンプ」など、主なフィーチャーは全て継承しています。ただ、バランス入力はなく、RCA入力専用設計とし、レッグを「シルバーメッキの鉄製削り出し」とするなど、最小限の簡略化は見られます。

定格出力が90W+90W/8Ω、最大出力は120W+120W/8Ωと『 A-S2200 』と同じで、重量は22.0kgと僅か700gの差しかありません。上位機並の無理なくスピーカーを鳴らしきるドライブ力、一体型の魅力を凝縮した高品位プリメインアンプです。お買い得感は抜群です。

全モデルに共通したアルミフェイスのリモコンが付属しており、シルバーパネルにピアノブラック仕上げのサイドパネルで高級感が溢れています。さらに自信の証である5年間のメーカー保証が付いており安心です。

■ まとめ
このようにフラッグシップ"HiFi5000シリーズ"の技術と思想を継承して、一体型プリメインアンプに凝縮した『 A-S3200 』『 A-S2200 』『 A-S1200 』は、それぞれの価格帯で最大のポテンシャルを引き出すべく設計し、それらを具現化した注目のプリメインです。オーディオファイルのみならず、楽器ブランド"ヤマハ"のサウンドが音楽ファンを釘付けにしそうです。
(あさやん)

2020年7月 3日 (金)

クアドラル注目のトールボーイスピーカー『 ORKAN 9 』登場!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、ドイツが誇る「QUADRAL(クアドラル)」から発売された注目のトールボーイスピーカー『 ORKAN 9 』をピックアップ。
某有名オーディオ専門店のご厚意で試聴も叶いました。詳しく見てまいりましょう。



■ ドイツが誇るスピーカーメーカー「QUADRAL(クアドラル)」とは?
ドイツのスピーカーと言えば、古くは「SIEMENS(ジーメンス、シーメンスとも)」や「BRAUN(ブラウン)」、近年では「エラック」や「オーディオフィジック」、プロ用では「アダム」や「ムジーク」等が有名です。

そんな激戦国ドイツの老舗スピーカーブランドが「クアドラル」です。「クアドラル」は、ハンス・ディッター・ホフマン氏によって、1972年ドイツの商工業の中心であり、歴史的にも知られるハノーバーに設立されました。

創業者であるホフマン氏はベルリンに生まれ、大学卒業後、自ら音響機器を創造する熱い情熱を抑えきれず、その分野のスペシャリストを募り、少人数のチームでスピーカーシステムの開発をスタートさせました。

その後、ドイツでのマイスターの称号を持つルードビッヒ・リステマン氏が開発チームに加わり、強力なメンバーを得て「クアドラル」は数々の名器を生み出してきたのです。

初代「TITAN(1981年)」は、ドイツの権威あるオーディオ誌「ステレオプレイ」において高い評価を受け、リファレンススピーカーとして認められました。

その後30年以上に渡り、改良を重ねる毎にリファレンススピーカーの称号を与えられ続け、そのテクノロジーを踏襲したファミリーシリーズを含め、現在ではドイツ国内でのスピーカーの基準ブランドの地位を確立しています。

初代「TITAN」は、ドイツの音楽家である「バッハ」「ベートーヴェン」「ワーグナー」の雄大なフルオーケストラを再生するにあたり、周波数特性がフラットで、十分に伸びた高域と低域を実現したモデルでした。

その「TITAN」が現在9世代目の「AURUM TITAN 9」となり、その”AURUM 9シリーズ”のトールボーイ型 5機種の末弟に当たるのが、今回ご紹介します『 AURUM ORKAN 9 』です。

因みにシリーズ名の「AURUM(オーラム)」はラテン語で「金(元素記号:Au)」のこと、型番の「ORKAN(オルカン)」は「ハリケーン(台風)」を意味します。

■ リボン・ツイーター

3ウェイ・4スピーカー『 ORKAN 9 』の特長は、何と言っても上位機と同じツイーターを採用していることです。その最大のトピックは、新開発された独自の革命的な技術”quSENSE(キューセンス)”によるリボン・ツイーターです。

従来のユニットよりも垂直方向を短く、水平方向の幅を拡げたことで、過渡特性と指向性を確実にコントロールできるのだと言います。ミッドレンジと近接配置できる形状により、スムーズな繋がりを狙っています。

レスポンスは、3kHzから65kHzまで超低歪みを実現。この結果、ハイレゾコンテンツのみならず、あらゆるコンテンツの楽器や声を魅惑的で質感高く再生するとともに、奥行きのある空間再現力を実現できたとしています。さらにはリボン型ユニットの課題とされてきた機械的な強度も飛躍的に向上することに成功したのです。

この『 ORKAN 9 』の音質を大きく支配しているクアドラルのリボン・ツイーターは、前述の「TITAN」の第2世代目以降はずっとオリジナルのリボンを使っており、現在に至るまで進化し続けています。

■ ミッドレンジ&ウーファー

15.5cmミッドレンジと、18cm×2ウーファーの素材は、いずれも独自の複合素材”ALTIMA(アルティマ)”で、今回全面刷新されました。

アルミニウムをベースにチタンを僅かに混ぜ、マグネシウムを表面コーティングしたもので、単独金属では不可避な固有の分割振動を抑え、高い強度と軽さの両立を実現。これにより”quSENSE”によるリボンの音楽再現力と音響特性に合わせた、ハイスピードなレスポンスが達成できたのです。

さらに、ユニットからの音を遮るダストキャップ(センターキャップ)のないコンケーブ形状として放射特性を改善。ダストキャップを装着するための接着剤など異なる素材を徹底排除することで極限まで歪みをなくし、より繊細でダイナミックな音の再現力を大幅に向上させたのです。

また、気流ロスを最小化するために、頑丈なアルミダイキャスト製のフレームを新開発。ボイスコイルも従来機より大型化しています。そしてすべてのドライバーのポールコアに銅キャップを被せることで、高調波歪と混変調歪を大幅に軽減させたのです。

■ エンクロージャーと構造
高さ約1m、幅22cmとスリムで、少し後方に傾斜しています。これも同社のスピーカーに共通した特徴で、リスニングポイントでのタイムアラインメント(音が耳に到達する時間)を整えています。支柱と隔壁による構造で強度を高めるとともに、ユニット間の音響的な干渉による影響も極小化しています。

フロントの両サイドをカットしたデザインは特徴的です。本体と台座の間にインシュレーターを挟んだ構造で、このままでも直接床に設置できます(お部屋や床の条件によります)。


リアバスレフ構造のエンクロージャーでシングルワイヤリング仕様。端子は高級感のあるオリジナルでしっかりしており、アルミ製のプレートに取付けられています。

仕上げはハイグロスブラックのみです。”AURUM 9シリーズ”の他のトールボーイ4機種はウーファー前面が特徴的で好き嫌いも出そうですが、本機は落ち着いたオーソドックスなデザインに仕上がっています。

■ 試聴しました

試聴機器:Accuphase「DP-750」→同「E-800」→『 AURUM ORKAN 9 』

フルオーケストラでは、低音楽器の解像度が素晴らしく、決して膨らみ過ぎることなくドッシリとしたパワフルな低域でした。弦は実に伸びやかでしなやか、音量を上げても高域のうるささは全く感じませんでした。

ボーカルは口が小さくリアルで、声が濃密で生々しく、唇の湿気まで感じられました。特に私のリファレンスCDのジェニファー・ウォーズの声はグラマラスで艶っぽく抜群でした。

パイプオルガンは大音量でも全く崩れることなく、重低音は深く沈み込み、超高域の繊細感はやはりリボン・ツイーターの威力と感じました。スケール感は半端ではありませんでした。

ダブルウーファーのタップリとした低域、リボンならではの滑らかでしなやかな高域、ウーファーとリボンを音色的に上手く繋げる中域。ユニットが高域から低域までアルミ系の振動板で統一された結果、非常にナチュラルで金属っぽい癖は微塵も感じられませんでした。

『 AURUM ORKAN 9 』は、比較的広いお部屋で、クラッシックのフルオーケストラを大音量で楽しみたくなる”本場ドイツ”の魅力的なスピーカーです。

(あさやん)

2020年6月 9日 (火)

DALIを代表する「MENUET(メヌエット)」のスペシャル・エディション『 MENUET SE 』誕生!!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、ダリを代表するコンパクトなブックシェルフスピーカー「DALI MENUET」のスペシャル・エディション(SE)をご紹介します。


現行製品(レギュラーモデル)の「DALI MENUET」から、さらなる魅力と可能性を引き出すため、新たなチューニングが加えられ、デザインもSEならではの豪華なものに変更されています。その辺りを順に見てまいりましょう。

■ スピーカー専業メーカー「DALI(ダリ)」とは?
DALI(以下 ダリ)は、1983年世界有数のスピーカー生産大国デンマークで、ピーター・リンドルフ氏によって創業された、創業37年のスピーカー専業メーカーです。ダリは当時リンドルフ氏の傘下にあった販売店組織(ハイファイクラベン)のPBブランドだったそうです。当時同店で輸入販売していた「B&W」を目標に製品開発に取り組んだと言うことです。

因みに「DALI」は「Danish Audiophile Loudspeaker Industries」の頭文字をとったものです。同社製品のデザイン性の高さから、スペインの有名画家「サルバドール・ダリ」と関連があると思われがちですが、全く関係はないようです。

1983年に「DALI-2」や「DALI-3」などのオーソドックスなスピーカーを発売。1980年代後半からは、リボン型トゥイーター搭載の音場型スピーカー「SKYLINE 2000」や、平面型スピーカー「Dacapo」などのユニークなモデルを発売。そして1993年に初代「MENUET」を発売したのです。

その後はご承知の通り、2003年の「HELICON」あたりから急速に人気ブランドとなり、多数のラインナップを取り揃え、今や日本国内では「B&W」としのぎを削るブランドとなりました。

日本への輸入は、1986年にアブサートロンによって開始され、その後1990年からクロスオーバーに、そしてデノンラボ、そして2008年デノン(現D&M)と変遷してきました。

ダリは、当初から「オーディオ装置の存在を感じさせずに、もっと気軽に音楽を心から楽しんでもらいたい」という願いの下、”Musical Emotion(音楽の豊かな感情)”を標榜して開発を行ってきました。

通常スピーカーは周波数特性が重視されがちですが、ダリは特に位相特性に着目して、ドライバーとネットワーク回路の完全なマッチングを図るべく、時間と費用をかけて開発しています。そして何より、フラットなインピーダンス特性とすることで、急激な負荷変動をアンプに与えない”アンプに優しい”設計となっています。

余談ですが、2019年に改訂されたダリの新ロゴバッジが、スピーカーでは初めて本機で採用されました。ロゴマークがイタリック体からゴシック体に変更されています。


ダリ『 旧ロゴ 』


ダリ『 新ロゴ 』


■ 『 MENUET 』の歴史

「DALI MENUET」こそ、ダリを代表するコンパクトなブックシェルフスピーカーで、その系譜は、 1992年発売の「DALI150 MENUET」から始まりました。

そのデザインや音質傾向は、 1994年発売の「ROYAL MENUET」、 2009年発売の「MENTOR MENUET」に受け継がれ、現行の「DALI MENUET」(2015年発売)は、その第4世代モデルです。
(注:2013年に創業30周年記念モデル「MENTOR MENUET SE」が限定生産されています。)

「MENUET」のサウンドは、 27年余りに渡り熟成され、きめ細かな艶のある高域、コンパクトサイズのスピーカーとは思えないような迫力の低域等、様々な表情を見せることで、日本市場では特に高く評価されてきました。

『 MENUET SE 』は、すでに3年前に「MENUET」25周年記念モデルとして企画されたのですが、発売が遅れてしまったようです。また、ダリの製品はシリーズ展開されていますが、「MENUET」だけは従来から一機種のみのソロ製品です。

■ ワイルドウォルナット・ハイグロス仕上げのエンクロージャーを採用

エンクロージャーの素材こそ、レギュラーモデルと同じ高剛性のMDFですが、外装はワイルドウォルナット(天然木の突き板)を入念に仕上げたグロスフィニッシュになっています。

ワイルドウォルナットは高級車のダッシュボードにも使われる独特の玉模様が特徴です。全面ハイグロス塗装が施され、マット仕上げのレギュラーモデル(ブラックを除く)よりサウンド的にも良い影響を与えると思われます。

ただし、本製品では天然木の風合いを生かすため、個体によりその木目が異なり一品一様で、すべての個体に玉模様が現れるわけではないそうです。

ダリでは製造時、20セットずつスピーカーの音響特性を揃え、L/Rを決めてから、模様をできるだけ合わせて出荷するそうで、左右の模様が異なるのも『 MENUET SE 』の特徴です。

■ ネットワークやスピーカーターミナルをグレードアップ

ネットワークの内部配線は、一般的な銅線からダリオリジナルの銀メッキの無酸素銅(OFC)線へとグレードアップされ、ネットワークボードも、従来のハードボードからより堅牢なベークライト・ボードに変更されています。

音質に大きな影響を及ぼすコンデンサですが、レギュラーモデルは、高域用/低域用とも、汎用の中国製電解コンデンサだったのに対し、SEでは高域用にフィルム・コンデンサ、低域用には電解コンデンサを採用。いずれも独Mundorf製の高級コンデンサに変更されています。


さらに、入力部となるスピーカーターミナルについても、レギュラーモデルでは同社「RUBICON」グレードのターミナルでしたが、SEではより堅牢で大型の「EPICON」グレードのターミナルへとグレードアップされ、より確実にスピーカーケーブルをホールドします。

■ 真鍮製のシリアルナンバー・プレートを装着
本機はスペシャルエディションである証として、背面にあるシリアルナンバーをレギュラーのシールから真鍮製のプレートに変更。シリアルの刻印に加え、組立・検品担当者のイニシャルが書かれています。ダリのデンマーク本社の工場で、熟練の職人によってハンドメイドで丁寧に仕上げられた証拠でもあります。

■ レギュラーモデルとの共通点
(1)ウッドファイバーコーンを採用したウーファー

きめ細かなパルプ繊維と木繊維の混合物で形成された、ダリのトレードマークとも言えるランダムな木繊維を混入したウッド・ファイバー・コーンを採用。ユニット全体にわたって気流の流れを最適化することで、エネルギー損失を防止する低損失技術で設計され、驚異的な低域再生能力を発揮します。

一方、ダリの最新スピーカーでは当たり前の、磁気回路に逆起電力対策を施したSMC(ソフト・マグネティック・コンパウンド)をあえて採用せず、「MENUET」シリーズのサウンドを踏襲しています。

(2)大口径ソフト・ドームツィーター

ツィーターには強力なマグネットを使用した28mmサイズの大型ソフトドームを採用。中高域をパワフルに再生し、ウーハーとのつながりの良さは、大型ツィーターならではです。

(3)斜めにレイアウトされたバスレフポート

斜めにレイアウトされたリアのバスレフポートにより、壁際へ設置した場合でも影響を受けにくい設計です。

■ 日本橋1ばん館で『 MENUET SE 』を試聴しました
試聴環境:DENON「DCD2500NE」→ DENON「PMA-2500NE」→『 MENUET SE 』

レギュラーモデルとの比較では、さらにヌケが良くなり、コンパクトなスピーカーとしては異例な程の吹っ切れ感です。縮こまらず、伸びやかな鳴りっぷりの良い伝統の「MENUET」サウンドを踏襲しています。

また、ネットワークの改良や仕上げの良さが、さらなる低音の伸びや高域の滑らかさを実現。オリジナル以上に、スケール感の再現やボーカルの温かさを引き出していると感じました。特に口が小さく、空中に浮かぶ様は秀逸でした。

レギュラーモデルとの価格差を、どうお取りになるかは人によって違うとは思いますが、少なくとも、この仕上げの美しさや本国の職人によるハンドメイドの信頼感、そしてスペシャルエディションであるというのは何事にも代え難いと感じました。

(あさやん)

2020年5月 6日 (水)

最新エントリークラス「ブックシェルフ型スピーカー」5選

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、スタイリッシュなデザインに英国の伝統が息づく名門タンノイ「プラチナム」など、“いい音楽をいい音”でお聴きいただくための最新ブックシェルフ型スピーカー5機種を厳選しました。


タンノイ『 プラチナム 』

現在オーディオ製品の中で最も充実しているジャンルは、何と言ってもスピーカーでしょう。中でもペア10万円前後のエントリークラスが最も充実しています。国産スピーカーはご承知の様に今ひとつ元気がないのですが、海外ブランド、特にヨーロッパ・ブランドのスピーカーが大人気で、百花繚乱、乱立状態で、完全に国産を駆逐してしまっているのが現状です。

それらヨーロッパ・ブランドの製品が人気なのは、国産がおしなべてサウンドがオーソドックスで無機的、デザインも無個性な製品が多いのに対して、サウンドは勿論、そのデザインも個性的で、しかも国産に比べてもかなり割安感があるのが大きな理由だと思います。

私としては、これからオーディオを始めようとされるヘッドホン卒業生や、もう一度オーディオを始めようとお考えのシニア層で、かつてのオーディオファンや音楽ファンに、今回ご紹介しますスピーカーを使って、ぜひ豊かなオーディオライフを楽しんでいただきたいと思っています。

■ 名門タンノイのスタイリッシュなデザインのスピーカー”プラチナム”

ツィーターは、重圧なアルミ削り出しのウェーブガイドに組み込まれた新開発の25mmのユニットで、英国らしい伝統的なシルクドームを採用しています。今でこそ過渡特性重視でメタルドームが多く使われていますが、数十年前の英国製スピーカーはソフトドームが一般的でした。特にボーカルやストリングスに威力を発揮しました。

ウーファーは、本機専用の紙と複合素材の165mmのカスタム仕様。クロスオーバーを 2.5kHzと設定していることから、かなりワイドレンジで使われており、このクラスとしては異例なレアアース(Nd-Fe-B)の高磁力マグネットにより、ハイスピードで原音に忠実な低域を再現します。

エンクロージャーにも手抜きはなく、適所に内部ブレーシング(添木加工)を行うことで不要な振動を抑え、サウンドへのカラーレーションを抑制しています。バスレフポートはリアに設置されており、ウーファーとの干渉もなく、素直で豊かな低音を引き出します。スピーカー端子はバナナプラグ・Yラグに対応。24K金メッキ仕上げの大型で、極太の高級ケーブルも十分に接続できます。

仕上げはインテリアに調和する高品位なもので、全体はサテンフィニッシュの艶消し、ベース部はタンノイらしい木目調(ローズ)のツートンです。本機は通常のサランネットではなく、キャビネットに被せてジッパーで固定するジッパークロスグリルを採用。グリルのフレームがなく、音質の劣化を最小限に抑えたお洒落なデザインです。

サウンドは、かつての同社「マーキュリー」を上品にして、バランスの良い上質で聴き疲れのない穏やかな音色です。スタイリッシュでありつつ、タンノイの伝統と格式がしっかりと息づいた、まさに”プラチナム”です。

■ 人気のエラック『 Dedutシリーズ 』をベースにしたスペシャルモデル

『 デビュー・シリーズ 』は、著名なスピーカーエンジニアであるアンドリュー・ジョーンズ氏が、エラックブランドとして初めて手掛けたエントリーラインのシリーズです。本機「DBR62」は、同社としてはユニークでレトロな外観、屈託なく気持ちよく鳴るチューンを加えた、日本未発売の2ウェイ・ブックシェルフ「Debut B6.2」をベースにしたスペシャルモデルです。

ツィーターは25mmのクロスドームで、上級ラインのVELAシリーズで採用されているウェーブ・ガイドをツィーター周りに装着しています。物理的にドライバー・ユニットの高周波レスポンスを向上させ、歪みの少ない放射特性に優れたクリアな高音域が再現されます。

ウーファーには165mmアラミドファイバー・コーンウーファーを採用。これはオリジナルの「Debut B6.2」と同じ振動板ですが、フレームを剛性の高いアルミ・ダイキャスト製の新しいタイプとしており、ユニットが発する振動を抑えることで、バッフル強度を向上させています。

ウォールナット仕上げのエンクロージャーは、トップとサイドのパネルのジョイント方法を変更し、強度を大幅に向上させ、振動を大きく低減させたことで、低音の解像度は確実に上がっています。Debutシリーズの直線的なエッジとは違い、丸みを帯びたエッジにしたことは、『 Debut Reference 』の個性にもなっています。

サランネットは個性的なグレーで、柔らかで落ち着いたイメージを醸し出しています。マグネット装着タイプなので本体にダボを差し込む穴がなく、フロント・バッフルはすっきりとしたデザインになっています。

ウェーブ・ガイドのお陰で上質で滑らかな高域を実現。一方でウーファーとエンクロージャーが強化されたことで、曖昧さのない明確な中低域も実現しています。従来の『 デビュー・シリーズ 』の生々しさや軽快なサウンドを受け継ぎながら、より幅広い音楽に適する、刺激感のない穏やかさも併せ持っています。

■ Qアコースティクス『 3000iシリーズ 』に追加された、2ウェイブックシェルフ

Qアコースティックス『 3000iシリーズ 』の「3010i」「3020i」と「3050i」の間に追加された、2ウェイブックシェルフです。ウォルナット、ブラック、ホワイトの3色からお選びいただけます。

本機は、トールボーイ型の「3050i」の165mmウーファーをそのまま採用。新たにエンクロージャーサイズへの最適化を考慮して、ボイスコイルを銅被覆アルミニウム巻線へ変更したことで、小型ブックシェルフでありながら、46Hzの低い周波数の再生を可能としています。

22mmツイーターは上位機「3050i」同様、バッフルからサスペンションシステムを介して切り離されており、ウーファーからの干渉を減少させています。これにより伸びやかな高域再生を実現できたのです。

また、スピーカー内部の強度を高め、筐体振動による歪みを低減させる「Point-to-Point(P2P)」を採用。加えて『 3000iシリーズ 』の他のブックシェルフに比べて内部容積が増大したことにより、コンパクトサイズながらパワフルかつ音楽性豊かなサウンドを獲得したのです。価格は安くコストパフォーマンスは抜群です。

■ フォーカル『 CHORAシリーズ 』の2ウェイブックシェルフ

フォーカル『 CHORA(コーラ)シリーズ 』の2ウェイブックシェルフです。ブラック、ダークオーク、ライトオークの3色展開です。

165mmの”ストレートファイバー”ウーファーと”インバーテッドドーム”ツィーターを搭載した2ウェイバスレフ型ブックシェルフで、クロスオーバー周波数は 3kHz、インピーダンスは最近珍しい 8Ωで、シングルワイヤー接続と使いやすいスピーカーです。

滑らかな中高域で、濁りや引っ掛かりを全く感じさせないヌケの良さが特長です。一方、低域もブックシェルとは思えない厚みがあり、付帯音を全く感じさせず、表現力はしっかりしています。決して解像度だけを狙った音作りではなく、音楽が重くならず、ソース本来のバランスに上手くまとめています。

■ ワーフェデール『 EVO4シリーズ 』のベースモデル

ワーフェデール『 EVO4シリーズ 』のベースモデルとなる2ウェイブックシェルフです。ウォールナットとブラックアッシュ仕上げの2色あります。

何と言っても、シリーズ上位機と同じツィーター”AMT”をこのクラスに搭載していることが画期的です。30×60mmのプリーツ状のダイヤフラムを採用しており、圧倒的な低歪み・高S/Nを実現できたのです。特に超高域の繊細な情報を正確に再現し、滑らかで明確な高域再生を実現しています。

ウーファーは130mmのケブラーコーンを採用。 リアバスレフではなく、バスレフポートがエンクロージャー底面にあるスロット分散ポートシステムにより、低域レスポンスの向上と歪みの低減を実現。背面の壁などの影響を受けずに設置できるのも大きなメリットです。

AMTならではのヌケの良い控えめな高域と落ち着いた低域。小型の割には安心感あるオーソドックスなブリティッシュサウンドのスピーカーです。

■ 最後に…
これら最新エントリークラス・ブックシェルフスピーカー5機種は、いずれも国産スピーカーにはない個性豊かなスピーカー達です。お好きな音楽を、お手頃なヨーロッパ・ブランドのスピーカーでぜひ聴いてみてください。

きっときっとオーディオが、音楽が、もっともっと楽しくなります。

(あさやん)

2020年5月 4日 (月)

PASS Labsの最新プリメインアンプ『 INT-25 』の実力とは?

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、FirstWattの繊細さとPASSの力強さを併せ持つ、PASS Labsの最新プリメインアンプ『 INT-25 』を取り上げます。


『 INT-25 』は、比較的コンパクトな筐体サイズのステレオA級プリメインアンプで、産業用のパワーMOS FET をシングルプッシュプルで使用し、あえて最大出力を抑え、よりシンプルなシングルエンドの回路構成を特徴としているのです。そのあたりを詳しく見てまいりましょう。

■ パス・ラボラトリーズについて
パス・ラボラトリーズ(以下PASS)は、1991年米カリフォルニア州フォレストヒルに、ネルソン・パス(Nelson Pass)氏によって設立されました。

そのネルソン・パス氏は、1974年スレッショルド社を設立し、伝説のパワーアンプ「800A」を開発し、業界にセンセーションを巻き起こしました。そのデザインやサウンドには、当時、私自身も大いに魅了され、憧れたものです。

同氏はカルフォルニア大学で物理学を専攻し、在学中にスピーカーの設計や、オーディオメーカーでのアンプの修理業などを経験。1974年に物理学の学士号を取得するとともに、独自にアンプ作りを決意したのでした。

その後、スレッショルドで17年社長を務め、インプルーブドAクラスのステイシス回路など、数多くの画期的なアンプ回路を開発したのでした。

PASS製品の多くは、同氏をはじめ、スタッフの「こうした製品が欲しい」という必然が、その開発動機になっていると言います。現在の開発スタッフは全員が音楽フリークで、氏の監修のもと「何が聴こえなければならないか」「何が聴こえてはいけないか」を理想的に実現すべく努力していると言います。

PASSのパワーアンプやプリメインアンプは、多数の「パワーMOS-FET」を使用した出力段、巨大なヒートシンクや大規模な電源回路の搭載というのが本来のコンセプトです。

しかし、今回ご紹介する『 INT-25 』は違います。このコンセプトを控えめに採用しているのです。

■ 『 INT-25 』の内部構造をチェック

『 INT-25 』の最大の特徴は、そのパワーアンプ部にあります。2017年に発売されたパワーアンプ「XA-25」をそのままパワー部に移植し、そこに同社プリメイン「INT-60(AB級ステレオ60W)」で採用された回路をベースとして、シングルエンド入力に特化したシンプルな回路構成のプリ部を加えてプリメイン化したのです。

パワー部の元となった「XA-25」は、本来のPASSのパワーアンプのコンセプトでもある「独自のアンプ回路による、巨大なヒートシンクや大規模な電源を備えた大型筐体」とは異なった、あくまでシンプルに徹した同社としては比較的小さな筐体のパワーアンプです。

これはどちらかと言うと、PASSのサブブランドとして1998年にスタートしたFirstWatt(ファーストワット:ネルソン・パスのハンドメイドブランドで、このコーナーでも「F7」「SIT-3」をご紹介しました。)の「非常にシンプルで高品質な低出力オーディオアンプの開発」というコンセプトに近いものと言えます。

パワーアンプ部の前段は、2組のコンプリメンタリーFETを採用し、カレントフィードバックで動作させ、さらにダイレクト・カップル方式としてDCサーボや周波数補正を用いない設計になっています。


700ワット/40アンペアの能力を有する産業用パワーMOSFETによるシングルプッシュプル構成の出力段。

出力段には、700W(ワット)/ 40A(アンペア) 規格の産業用パワーMOSFETを用い、片チャンネル1ペアのコンプリメンタリーによるシングルプッシュプル構成とし、高性能なA級出力を実現しています。信号経路のパーツ数もかなり削減しており、このあたりは「FirstWatt」のアンプを彷彿とさせます。

公称出力は25W×2(8Ω)、4Ωでは理論通り倍の50W×2を確保。出力素子はソース抵抗を介さずに直接スピーカーターミナルへ接続する構成として、ダンピングファクター500を実現。決してパワーを誇示するアンプではありませんが、力不足を感じないのは、十分なパワーが供給されているためだと思われます。

プリアンプ部は、ドライバー段に採用された高入力インピーダンスのJ-FETによって6dBのゲインが与えられ、電子ボリューム回路(ロータリーエンコーダー)へ送られます。その結果、アッテネーターの歪みは0.001%以下を実現しています。

このプリアンプ回路の設計は、スレッショルド時代から製品開発を行っているPASS Labsの当初からのメンバーでもあり、同社のプリアンプの設計を一任されている、プリアンプ・デザイナーのウェイン・コルバーン(Wayne Colburn)氏が担当してします。

本機の入力は、アンバランス(RCA)が3系統しか無く、バランス入力はありません。プリアウトやプロセッサーなどの付属入出力も一切無く、必要最小限にとどめシンプルに徹しています。リモコンは付属していますが、同社他機との共用となっているため、本機では使えないキーもあります。

このように『 INT-25 』は、機能はすこぶる単純で最少。それ故、音の鮮度は格別なのですが、一方で、大型トロイダルトランスや特大電流のパワーデバイスによる非常にタフなアンプでもあるのです。

■ 最後に
PASS Labsは、素晴らしい測定結果を得るのは簡単だと言います。しかし素晴らしいスペックの製品が、往々にして無味乾燥で退屈な音であることが多いとも言います。PASSの製品基準は「いかに音楽ソースから素晴らしい喜びを最大限に引き出すか」なのです。

『 INT-25 』の魅力は、恐ろしい程の鮮度感です。単純明快な回路、シンプルな機能、凝縮された筐体。そのどれもが無駄を排し、全てが音のために「何が聴こえなければならないか」「何が聴こえてはいけないか」を徹底的に突き詰めた結果の製品だと、そのサウンドを一瞬聴いただけで分かりました。

本機のサウンドを一言で言い表すと「3極真空管アンプの透明感と豊潤さ、シングルPPのソリッドステートアンプの鮮度感とキレの良さ」を併せ持った魅力だと言えます。また、パワーの数字から想像するひ弱さは微塵もなく、低域には力があり厚みもしっかり出してきます。

機能の少なさとパワーを問題としないのなら、本機は超ハイエンド・セパレートアンプにも十分対抗しうる、オールラウンドなパフォーマンスを備えていると断言します。

セパレートをも凌駕する、こんなプリメインを待ち望んでいたオーディオファイルもきっといらしゃると思います。
(あさやん)

2020年5月 2日 (土)

大型ソフトドームが魅力! ワーフェデール『 EVO4シリーズ 』を聴く!!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、ワーフェデールのスピーカー『 EVO4シリーズ 』をピックアップ。
日本橋1ばん館でシリーズ4機種の内、『 EVO4.2 』と『 EVO4.4 』が試聴できましたので、これら2機種を中心にレポートしてまいります。



■ Wharfedale(ワーフェデール)とは?
ワーフェデールは、1932年、ギルバート・A・ブリックスによって英国ヨークシャー州で設立された、「セレッション」や「グッドマン」「タンノイ」などと並ぶ、英国の老舗スピーカーメーカーです。

同社は、1945年に高音質を目指した2ウェイスピーカーを製作し、1950年代になると、ロンドンのフェスティバルホールや、ニューヨークのカーネギーホールで、自社のスピーカーシステムと生演奏の聴き比べをするというデモンストレーションを行って有名になりました。

1950年には、有名な往年の名機「エアデール」を発売。その後、50~60年代にかけて次々と新しい技術を開発したのでした。その技術開発に貢献したひとりに、後にKEFを創業するレイモンド・クックがいました。その後、紆余曲折があり、1967年には「Denton」(初代)を、1981年には現在に続く「Diamond」を発売したのでした。

1990年代は停滞期でヒット作はなかったものの、1998年著名な高級オーディオブランドを数多く所有する、インターナショナル・オーディオ・グループ(IAG)の傘下に入りました。

一方、日本での販売は1950年代から行われ、それは「タンノイ」より早かったようですが、人気ブランドとして定着しませんでした。

その後も輸入元が、三洋電機貿易、テクニカ販売、ハイファイジャパンと変遷していきましたが、あまり注目はされませんでした。

その後2002年に、同社70周年記念モデルである「エアデール・ヘリテッジ」から、その年設立されたばかりのロッキーインターナショナルにより輸入が再開されたのです。

■ 大型ソフトドームが魅力
私が『 EVO4シリーズ 』で最も注目した点は、ミッドレンジ(スコーカー)に採用されている大型(※)の50mmソフトドームです。かつてヨーロッパ製をはじめ国産スピーカーにも数多く採用されていたソフトドームのスコーカーですが、近年はとんと見掛けなくなりました。(※直径50mm以上のものを大型ソフトドームとしています)

それはデジタル時代を迎え、トランジェント(過渡)特性を重視する余り、メタル系のドームスコーカーが採用されるケースが増えたことや、小型のドームツィーターによる2ウェイブックシェルフ型が全盛を極めているからだと思います。恐らくスコーカーに大型ソフトドームを使うのは、かなり設計や使い方のハードルが高いのだと思います。

因みに、過去には大型のソフトドームを採用した機種は結構存在していました。海外では、独「BRAUN(ブラウン)」や「Heco(ヘコー)」、英「ATC(現在はプロ機のみ)」「PMC(プロ機)」、そして「インフィニティ(ポリプロピレン・ドーム)」などがあり、国内ではビクターの「SXシリーズ」が超有名です。

かく言う私が、何故大型ソフトドームにこだわるかと申しますと、私のオーディオ歴が大型ソフトドームからスタートしたためです。最初の単品スピーカーはビクターの「SX-3」、その後最も長期間愛用したのがブラウンの「L-810/1」、さらにその後最近までサブで使用していた、大きさこそ25mmのソフトドームでしたが、ATCの小型2ウェイ「SCM10」と、基本的にソフトドーム、しかも高域のみではなく、中域に使ったサウンドが好きなのです。

■ 『 EVO4シリーズ 』の特長
その大型ソフトドームは、ワーフェデール『 EVO4シリーズ 』4機種の内、上位3機種に使われています。しかしメーカーカタログには「AMT(エアー・モーション・トランスフォーマー)ツィーター」がメインで訴求されています。これは全4機種に採用されていることに加え、このクラスのスピーカーでは画期的なことだからでしょう。


図:AMTの構造

この「AMTツィーター」はシリーズ共通で、30×60mmのプリーツ状のダイヤフラムを採用しています。これは、従来のソフトドームツィーターより、再生の際の移動するエネルギー量(空気量)が多く、AMTの作用によってエネルギーが圧縮されることで、低歪み・高S/Nを実現できるのだとしています。超高域の繊細な情報を正確に再現し、滑らかで明確な高域再生を実現しました。

AMTを詳しく説明しますと、通常のコーンやドームなどのユニットが、ダイアフラム(振動板)に接した空気を1対1の比率で動かすのに対し、AMTではアコーディオン状のプリーツによって圧縮された空気が、3~5対1の比率で外気を動かすエアー・モーション変換動作をします。

この圧縮・放射を行うダイアフラムによって、空気の動作スピードが何倍にも加速され、立ち上がり・立ち下りが良くなり、通常のユニットに比べ圧倒的なダイナミック・トランジェントが実現されるのだとしてます。

写真:50mmソフトドーム

次に、私が大注目している大型の50mmソフトドームですが、ワーフェデールの英本国のサイトにも詳しい記述はありません。それほど、奇をてらったモノではなく、ウーファーとAMTとの繋がりの良さを重視した結果採用したようです。

このスコーカーはバックキャビティを持っており、ウーファーの音圧の影響を回避し、共振による歪みを抑制しています。

このスコーカーの使用帯域は、機種によって若干違いはありますが、下は1.3kHzから上は4kHz前後と非常に重要な帯域を占めており、『 EVO4シリーズ 』の音質に大きく関わっていることは間違いありません。

そしてウーファーは、『 EVO4.1 』と『 EVO4.3 』は13cm、『 EVO4.2 』『 EVO4.4 』は15cmと、いずれも黒の編みこんだケブラーのコーン紙で、エッジはゴム製です。ケブラーは、振動を自然に自己減衰して、共鳴を実質的に無視できるレベルまで低減および分散するとしています。また、コーンの背圧の影響を受けないよう、十分コントロールしているようです。

『 EVO4シリーズ 』はリアバスレフではなく、いずれもバスレフポートがエンクロージャー底面にあり、気流はポートに「整流板」を付けることで10mm弱の隙間から左右に放射しています。結果、低域のレスポンスの向上と歪みの低減が、中高域では均一な周波数レスポンスによる解像度と低歪みを実現しています。これにより背面の壁などの影響を受けずに設置できるのは大きなメリットです。

このように『 EVO4シリーズ 』はAMT以外、特段の最新技術を謳っているのではなく、とにかくワーフェデールの持つオーソドックスなテクニックを駆使して、強調感のない自然なサウンドを目指したのです。

それはワーフェデールの創業当時からの理念である、「スピーカー」=「楽器」(スピーカーは、楽器になり得る)、そして「技術者」=「演奏家」(最高の技術を知る音楽家集団が生みだす、世界で最も楽器に近いスピーカー)を具現化したスピーカーを誕生させたのです。

■ 『 EVO4シリーズ 』のサウンド

EVO4.2

ブックシェルとしてはやや背が高く大きめです。エンクロージャーが大きいため低域がゆったり目で、全体としては、ピラミッド型のしっかりした落ち着いたサウンド傾向でした。

特にボーカルは、スコーカーが効いて温かくて厚めながら、こもることなく伸びやかでした。オーケストラの迫力もブックシェルフのそれではなく、スケール感たっぷりで迫力のある鳴りっぷりでした。

一方、高域はAMTが出しゃばるのではなく、サ行の刺激音や強調感も全くなく素直で、疲れを一切感じませんでした。また、弦の滑らかさやしっとり感は格別でした。

EVO4.4

1mを超すトールボーイです。さすがダブルウーファーだけあって、迫力たっぷりでスケール感がありますが、ここでもドームスコーカーが支配的で中域を重視していると感じました。

オーケストラの中低域の厚みは大型ならではですが、中高域はユニット(ドーム+AMT)の所為か、きつくなりそうでならない絶妙なバランスと感じました。お部屋が大きく離れて聴けるならやはりこちらに分がありそうです。

全体的には非常にノーマルで、肩肘を張っていない自然体のサウンドと感じました。安心感は半端ありません。

■ まとめ
ワーフェデール『 EVO4シリーズ 』を総括しますと、1番は安心感のあるサウンドです。大型ソフトドームならではのまったりサウンド。AMTならではのヌケの良い控えめな高域。そして落ち着いたたっぷりの低域。最近では珍しいユニット構成と、それによる安定感のあるサウンドは今や貴重な存在だと思います。

(あさやん)

2020年4月30日 (木)

MQA-CD対応 SACD/CDプレーヤー ラックスマン『 D-10X 』の全貌に迫る!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、MQA-CD対応 SACD/CDプレーヤー ラックスマン『 D-10X 』を取り上げます。


『 D-10X 』は、昨年(2019) 11月8日開催の大阪ハイエンドショーで初お披露目され、注目を集めましたが、その後、諸事情で発売が遅れに遅れ、この度改めて、2020年 4月20日発売予定と発表されました。

それでは、MQA-CD対応 SACD/CDプレーヤー『 D-10X 』の特長を順に見てまいりましょう。

■ 新ドライブ・メカニズム「LxDTM-i」採用と新高剛性メカサポートシステム
「LxDTM-i」とは、Luxman original Disc Transport Mechanism-improveの略で、前作に当たる「D-08u」に採用されていたメカ「LxDTM」をimprove(改善)した新しいメカです。同社としては唯一のSACD対応機でもある『 D-10X 』は、最高精度の読取能力を誇る新たなSACD/CDメカを採用し、外来振動をリジットに遮断する堅牢なオリジナル・ドライブ・メカニズムを完成させたのです。

その改善点とは…

フロントパネルからリヤパネルにまで貫く、シャーシを兼務した8mm厚のアルミ製のサイドフレームで、メカ全体を挟み込んでいます。さらに5mm厚のスチール製パネルを天板に組み付ける頑丈なBOX構造をとっています。まさにシャーシとの一体構造の高剛性のメカニズムです。

そして、メカの取り付け方も、前作でのサイドフレームの内側にある金具に固定する方法から、シャーシを兼ねたサイドフレームに切り込みを入れることで、メカを強固に固定し、一体化を図っています。その結果、高精度で安定したディスクの読み取りを実現したのです。


本機は、あえてハイエンド機では一般的なセンターメカ構造を取らず、物量を投入した大規模なアナログ回路の容積を確保するためと、筐体内を流れる各種信号の流れ、さらには振動経路、重量バランスまでも考慮した結果、アシンメトリー(非対称)構成のレフトサイド・メカ・レイアウト(左側トレイ)を採用したのです。

また、防塵と静穏性を高めるため、ディスクトレイ部を専用設計のシーリングカバー付きダストプルーフ・シャッター機構としており、前作を継承しています。

■ 世界初搭載となる最新のROHM社製高音質オーディオ用DACを採用したデジタル回路
前作「D-08u」にはTI(テキサス・インスツルメンツ)社製PCM1792Aをデュアル構成(モノラルモード)で搭載していました。そして近年、多くのハイエンドデジタル機器には、カナダのESSテクノロジー社や日本の旭化成エレクトロニクス(AKM)のDACチップが多く使われており、中にはエソテリックやマランツのように自社でDACをディスクリートで組み上げるメーカーも登場してきました。


そんな中、ラックスマンは世界有数の半導体メーカーである、京都のROHM(ローム株式会社)のDAC「MUS-IC BD34301EKV」に白羽の矢を立てたのです。これは世界に先駆けての快挙です。そのスペックは、現時点での業界最高クラスを誇る低歪率(THD+N:-115dB)、低ノイズ(S/N比:130dB)というものです。

このDACを2個 L/R独立のモノラルモードで使用することで、S/N感がさらに向上し、音楽データに含まれる微細な空気感やニュアンスまでも克明に再現できたとしています。

USB入力では、i-Fiなどの一部を除けば最高のスペックであるPCMでは768kHz/32bit(「D-08u」は384kHz/32bit)、DSDでは22.4MHz(同 5.64MHz)を実現しており、将来にわたっても安心です。光:2系統、同軸:1系統のS/PDIFデジタル入力は、最大192kHz/24bitのPCMに対応しています。

そして何より、本機の最大の注目点は「MQA(MQA-CD/MQAファイル)」へのフルデコード対応です。MQAソフトの3種類のステイタス(スタジオ/オーセンティック/レンダラー)の全てに対応しており、それぞれ青/緑/赤紫の3色のLEDで明示してくれます。

デジタル機器で最重要なクロックには、発振周波数付近のノイズを低減する、高精度・低ジッターの新しい超低位相雑音のクロックモジュールを搭載。SACDやDSDファイルの再生時には、2モードのアナログFIRフィルターにより、好みの音質調整も可能です。

■ 増幅回路も第4世代の「ODNF-u」にバージョンアップ
ラックスマン独自の増幅回路である「ODNF」は1999年にカーオーディオ用のアンプ「CM-2100」に初搭載されて以来、常に改良を重ねてきた同社アンプの中核技術です。音楽成分はそのままに歪成分のみを検出しフィードバックすることで、S/Nに優れ躍動感にあふれる、みずみずしい音質を実現しています。これは同社アンプ群で実証済みです。

今回採用した第4世代となる「ODNF-u」は、パラレル駆動する歪検出アンプのインピーダンスをより低く抑えることで、歪検出の精度を極限まで向上させ、広帯域まで澄み渡り、純度が高くエネルギー感に満ちた新次元の音質を達成できたとしています。

通常使われる独立した急峻な出力フィルターではなく、ODNF回路内部での緩やかな(1次フィルターx3)帯域処理により、自然なアナログ波形が再現できたのです。

また、電源部には、ラックスマン伝統の大型の新電源トランス(約25%アップ)と各回路独立のレギュレーター+大容量ブロックコンデンサーで構成されたハイイナーシャ(高慣性)電源を搭載しています。


基板には、インダクタンス成分を持つレジスト(被膜)を排除することで高域のノイズ成分を減少させるピールコート基板を採用。基板の配線もゆるやかな曲線で構成する、こだわりのラウンド配線パターンとするなど、細部にも徹底的にメスを入れています。

■ その他の特長
アナログ出力には、硬度と銅の導電率を併せ持つ「高品質カッパーアロイRCA端子」と「ノイトリック社製XLR端子」を装備しています。

ディスプレイは、「ズームモード(ホールド可)」があり、視認性が高く老眼には有り難い機能です。

筐体は、磁界やアースインピーダンス、デジタルノイズ対策を施した「ループレス&シールドシャーシ」の複合構造とすることで、理想的な信号経路(読取⇒変換⇒出力)でのノイズと電源トランス(振動源)との最大乖離を実現しています。

USB入力では、通常のアイソクロナス転送に加え、話題の処理負荷の低減により高音質を実現する「4モードのBulk Pet転送」にも対応しており万全です。

微小レベルのデリケートな音楽信号を不要な振動から守る「グラデーション鋳鉄製レッグ」を装着しています。

独自のノンツイスト構造による3.5スクエアの高純度無酸素銅(OFC)芯線と金メッキプラグを採用した、フラグシップ専用リファレンス電源ケーブル「JPA-15000」を標準装備しています。

ブラスターホワイトとヘアラインが織りなす上品なコントラストが特徴的な外観は、フロントパネルとトップ及びサイドパネルとの間にくびれをつけることで、立体的でダイナミックな新しいデザインとなっています。

また本機は、ラックスマン オリジナルのシンプルで使い易い高音質音楽再生ソフト「LUXMAN Audio Player(HPよりダウンロード可能)」を使うことで、様々なフォーマットのファイル音源を再生でき、PCオーディオにも万全の対応です。勿論MQAエンコードされた音源にも対応しています。

■ ラックスマン『 D-10X 』を総括
確かに120万円(税別)は超ハイエンドデジタルプレーヤーです。しかしそこには、ラックスマンが誇るアナログ技術の粋を集めた、こだわりの回路設計があり、本機だけのために練り上げたSACD対応の最新のドライブ・メカニズムを搭載し、さらに今オーディオ界で最大の話題でもある「MQA-CD/MQAファイル」へのフル対応と、最高スペックを実現しています。

アナログオーディオを知り尽くしたラックスマンが、同社の持つあらゆるノウハウを投入して、ひたすらアナログを超えるサウンドのために本機を開発したのです。

MQA-CDから最高の音質を引き出せるラックスマン『 D-10X 』は、今後のハイエンドのデジタルオーディオ・シーンにおいて、ターニングポイントになるのは間違いと思います。
(あさやん)

2020年4月28日 (火)

さらに進化を遂げた、フルバランス構成のフォノイコライザー アキュフェーズ『 C-47 』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回ご紹介します、アキュフェーズのフォノイコライザー『 C-47 』は、同社としては、2007年発売の「C-27」、2014年の「C-37」に続く、第3世代機です。


「C-27」は、アキュフェーズが創業以来プリアンプのメイン機能として内蔵していたフォノイコライザーや増設オプションのフォノイコライザーを別筐体とすることで、当時はまだ少なかったハイエンドのフォノイコとして発売されたのでした。今思えば、この「C-27」こそ、本格的なアナログブームの火付け役となったのでした。

■ 音質を重視した「フォノイコライザー」が各社から続々発売
数年前の異常な程のアナログブームは沈静化し、本当のアナログディスクの素晴らしさを理解したオーディオファイルやレコード愛好家だけが残って、正常な姿に戻ったと感じる今日この頃です。

その本物のアナログファンに向けて、音質を重視したフォノイコライザーが各社から続々と発売され、このコーナーでも何度か取り上げています。それらはいずれも底堅い需要があり、数千円から100万円を超えるハイエンドまで、ダイナミックレンジが広く、まさしく百花繚乱です。

ちなみに、当サイトのフォノイコライザーの掲載数は実に58機種にも上ります。本来プリメインアンプやプリアンプに付いているはずのフォノイコを、あえて別にすることのメリットは、恐らく実際にお使いになられた方しか分からないのかも知れません。中級以上のフォノイコなら確実なグレードアップは間違いのない所です。

その理由は、アナログプレーヤーの出力信号が微弱なため、フォノイコの増幅率が非常に高く設定されているため、極めて低い雑音性能が要求される上、低域から高域までの正確なイコライジング特性(RIAA等)が要求されます。そのため、プリメインアンプなどに同居させた場合、S/Nの確保が難しくなり、何らかのノイズ対策を講じなければなりません。また音量の大小により安定した電力供給も難しくなってしまいます。

その対策には余計なコストが必要となり、どうしても、ある程度妥協せざるを得なくなってしまっています。しかし、フォノイコを別筐体にすることで、これらの呪縛から解放され、とことん性能向上にのみ、コストが掛けられるのです。アキュフェーズは基本的に、プリもプリメインもフォノイコは別売としているのはそのためでもあります。(※1990年代半ばまではフォノイコを内蔵していました。)

■ 6年ぶりの新製品となる『 C-47 』
『 C-47 』は、同社の近年のアンプ技術を融合し、入力から出力までフルバランス伝送を実現したフォノイコライザーです。プリアンプ「C-3850」や同社の現行パワーアンプ、そしてプリメイン「E-800」と組み合わせることで、アナログレコード再生でのフルバランスのシステムを構築できます。

また『 C-47 』は、MC、MMカートリッジそれぞれに最適なヘッドアンプを用意しており、その出力は共通のイコライザーアンプに入力されます。

MCヘッドアンプは、MCカートリッジの低い内部インピーダンスと低い出力電圧に対応するため、9素子の低雑音バイポーラ・トランジスターを採用。

一方のMMヘッドアンプは、MMカートリッジのハイインピーダンスに適した3素子の低雑音JFET(接合型電界効果トランジスター)を、どちらも素子を並列駆動する差動入力回路とカレント・フィードバック増幅回路を搭載することで、低い残留ノイズを実現しています。

それぞれのヘッドアンプから入力される共通のイコライザーアンプは、各ヘッドアンプからのバランス出力をバランス信号のまま増幅します。正確なRIAA特性を得るためのアンプは、高精度のイコライザー素子を搭載しており、RIAA偏差は±0.3dB(10Hz~20kHz)を実現しています。

そしてこれが本機の最も注目すべきポイントなのですが、通常フォノイコライザーアンプは、低雑音性能と正確なイコライジングを1つのアンプで行っています。しかし本機はヘッドアンプに低雑音性能を、イコライザーアンプには正確なイコライジング特性をそれぞれ分担させる「2段構成のゲイン配分」としたのです。

これはヘッドアンプに大きなゲインを割り当て、増幅率を可能な限り高くすることで、イコライザーアンプの雑音が、ほぼ無視できるレベルとなり、入力換算雑音はヘッドアンプの雑音性能次第になるのだと言います。

結果、イコライザーアンプはあえて雑音性能を追求せず、RIAAの反転型の理想的なイコライジング特性が実現できたとしています。

また、低出力カートリッジ対応のゲイン切り替え機能(GAINボタンを押すことで、MM/MCの各ゲインを6dBアップ可能)もイコライザーアンプ側に割り当てることで、入力換算雑音がゲインに依存しなくなったのです。

具体的には、MCカートリッジ接続時のゲイン配分(ヘッドアンプ+イコライザーアンプ)は、前作「C-37」の(30dB+30/40dB)に対し『 C-47 』では(50dB+14/20dB)、MMでは(0dB+30/40dB)が(20dB+14/20dB)とヘッドアンプの増幅率が20dBも上がっています。


さらに、MM/MC両ヘッドアンプとイコライザーアンプは、信号経路が最短となるよう、同じ基板上に配置されており、左右ch別々の基板としています。基板には誘電率が低い(高伝播速度)、漏れ電流が少ない(低損失)などの高周波特性に優れ、耐熱性にも優れたガラス布フッ素樹脂基板を採用しています。

その基板上には、科学的に安定していて、経年変化が殆ど無いゴールドプレート処理を施しており、長期にわたる安定性を確保しています。特に入出力端子は約10倍の厚みを持たせた産業機器用の処理が施されています。

電源回路にもこだわっており、直流変換のための平滑コンデンサーと、15,000μFのアルミ電界コンデンサーを各chに4個ずつ搭載し、リップル電圧等の影響を限界まで排除したとしています。

さらに雑音電圧が低く負荷変動にも強い安定化電源を新開発し、電源回路からのノイズ混入も防止しています。トロイダルトランスも2台搭載し、ch間の相互干渉を防いだフル・モノ・コンストラクションとしています。


機能としては、MCの負荷インピーダンスは10/30/100/200/300/1kΩ、MMは1k/47k/100kΩと選択可能、サブソニックフィルターは10Hzで-12dB/oct.、前述のようにヘッドアンプのゲインを6dBアップ可能です。

入力はMC専用のフォノバランスXLR端子1系統と、通常のアンバランスRCA端子が3系統、出力はXLRとRCAがそれぞれ1系統装備されています。

仕上げは、厚手のアルミ材にアルマイト染色とヘアライン仕上げを施したトッププレート(天板)、自然木の本木目仕上げのサイドパネル、そしてアキュフェーズ伝統のシャンパンゴールドのフロントパネルと高級感抜群です。大いに所有感を満たしてくれそうです。

■ 試聴しました
『 C-47 』のサウンドについては、時間が取れず、短時間の試聴のため、第一印象のみとさせていただきます。

やはり前作「C-37」とは静寂感が違いました。S/Nが良くなっているため、見通しが良くなり、空間が拡がり、臨場感が確実に向上していました。

特に低域の重心が下がり、高域は倍音の成分が増え、超ワイドレンジかつ高解像度で、非常にナチュラルなサウンドでした。

全帯域にわたってダイナミックで、詰まった所を一切感じさせない、のびのびとしたサウンドは、デジタル・アナログを含めた、他のいかなるソースより魅力的なサウンドでした。

本当のアナログの凄さをお望みのオーディオファイルやレコード愛好家に、『 C-47 』をぜひお使いいただきたいと思います。まさに究極とも言えるアナログサウンドを実現できます。

(あさやん)

2020年4月10日 (金)

マランツ「12シリーズ」の国内専用SACD/CDプレーヤー『 SA-12 OSE 』の全貌に迫る!!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、SACD/CDプレーヤー『 SA-12 OSE 』を取り上げます。マランツの中核を担う人気SACD/CDプレーヤー「SA-12」が持つ潜在能力を限界まで引き出そうと果敢に挑戦した意欲作で、日本国内専用モデルとして、プリメインアンプ「PM-12 OSE」と同時に発売されました。ちなみに、型番にある「OSE」とは「Original Special Edition」の略です。




■ マランツ サウンドマネージャーの尾形氏にお聞きしました。

『 SA-12 OSE 』(最上段)、『 SA-12 』(最下段)

SACD/CDプレーヤー『 SA-12 OSE 』について、"マランツの耳"とも言われる、マランツ サウンドマネージャーの尾形氏に、オリジナルの「SA-12」との違いを中心に、日本橋1ばん館 リファレンスルームでの試聴を交えながらお話を伺いました。

オリジナルの「SA-12」は、マランツのフラッグシップモデル「SA-10S1」のコア技術である「ディスクリートDAC (Marantz Musical Mastering)」を継承しながら、半分の価格を実現するという、常識的には非常に困難な使命を帯びて開発されました。その価格は、「SA-10S1」の60万円に対して30万円(いずれも税別)と、本当にそれを実現してしまったのでした。

しかし、そこにはどうしても、ある程度妥協しなければならなかった部分があったそうです。

使用パーツは、コストと性能のバランスを考えながら選択する必要があり、やむを得ず採用を諦めたものもあったと、尾形氏は正直に述べられていました。とは言え、前作の「SA-12」はその価格としては非常に完成度が高く、今回新たに一から設計をやり直す「全面的なモデルチェンジ」となると、膨大な開発期間とコストが必要になり、当然、製品価格も跳ね上がってしまうと言います。

そこで今回、日本国内専用モデルとして、耳の肥えた日本のユーザー向けに「SA-12」の音質傾向は変えることなく、クオリティにかかわる重要な部分のパーツのみを再度見直すことで、僅かなコストアップで大幅な音質向上を目指したのです。その主な改良部分を順に見てまいりましょう。

■ オリジナル「SA-12」からの改良部分
  1. 金属皮膜抵抗の採用

    オリジナルの潜在能力を引き出す最も近道として尾形氏が選んだのが、DAC以降のアナログステージで使用されている抵抗の一部をカーボン抵抗から金属皮膜抵抗に変更することでした。その数、何と35個(プリメインアンプ「PM-12 OSE」は17個)に上り、それにより若干ではあるものの(ハイエンドではそれが大きい)雑味が取れ、音場空間がさらに広がったのだと言います。

    アンプ同様、コンデンサーは一切変更してないとのことでした。実際にコンデンサーの種類を変えた結果は、明らかに音質傾向が変わってしまったのだそうです。オリジナルの「SA-12」の音質チューニングも手掛けた尾形氏としては、あえて大きく音質を変えたくなかったのだと言います。

  2. 銅メッキシャーシの採用


    リアパネル

    写真のリアパネルや内部を見ると、シャーシがオリジナルのシルバーシャーシと違い、銅メッキされたシャーシに変更されているのが分かります。尾形氏によりますと、銅メッキシャーシの起源は、実に1989年発売のマランツが設計した、フィリップスのセパレートCDプレーヤー「LHH-1000」まで遡るのだそうです。

    非磁性体で導電性の高い銅をシャーシにメッキすることでノイズが低減し、明らかにS/Nが向上して静寂感が改善され、情報量の多さや音楽の深みの再現に結びついたと言います。勿論、見た目の高級感にも繋がっています。

  3. 5mm厚アルミトップカバー

    オリジナルの一般的な、叩けば音のする通気口の開いた薄手スチール製の天板に換えて、重量級5mm厚のしっかりとした天板になっています。コストは明らかにアップしますが、音質的なメリットは計り知れないものがあったと言います。

    ここにも実はマランツ伝統のノウハウが生きているのです。確かに、私が同社の試聴室を訪ねた時、天板を外したリファレンス機器がズラリと並んでいました。それは音の開放感を引き出すためだと、その時聞いた記憶があります(私もある時期、それをまねてプリアンプの天板を外していました)。

    しかし、その状態では市販はできないため、オリジナルの「SA-12」では天板裏側に特殊素材を貼って同様の効果を得ようとしましたが、やはりアルミ製の天板の方が一枚上手だったそうで、空間感が増し、音場感が損なわれなかったとのことです。

  4. アルミ削り出しインシュレーター

    オリジナルのアルミダイキャスト(鋳造アルミ)製のインシュレーターに換え、アルミの無垢材から削り出されたインシュレーターを採用しています。実際に現物を手に持って比較しましたが、その重量、信頼感の差は大きいものがありました。実際に余韻や透明感が向上したのだと言います。

    そして、オリジナルの「SA-12」から受け継がれている基幹技術は以下の通りです。


■ オリジナル「SA-12」からの継承された技術
  1. ディスクリート DAC(Marantz Musical Mastering)

    何と言っても、フラッグシップ「SA-10」と同一回路構成の完全オリジナルのディスクリートDACです。一般的なESSやAKMなどのDACチップを使うのではなく、パーツ選定が自由なディスクリートで組むことができます。独自のアルゴリズムによってPCM信号を一旦1bit DSDデータ変換し、アナログFIR(デジタルフィルター)によって、ダイレクトにD/A変換します。

    また、デジタルフィルター(2通り:トーンバランスを変える)、ノイズシェーパー(4通り:デジタル負帰還技術により、リニアリティとノイズ特性を改善)、ディザー(3通り:信号処理の過程で発生する誤差を回避するため、入力信号にランダムな値を加える機能)はユーザーが任意に設定変更でき、トータル24通りの組合せから好みの音色が選べるという非常にマニアックな機能です。

  2. オリジナルメカ「SACDM-3」

    フラッグシップ「SA-10」と同様のメカで、高剛性なスチールシャーシとアルミダイキャストトレイによって、ディスク回転による振動を抑制し、データの読み取り精度を上げています。さらに、2mm厚のスチールメカブラケットを介して、2重構造のボトムシャーシに強固に固定し、制振性を高めています。

  3. USB-DAC機能

    最大DSD:11.2MHz、PCM:384kHz/32bitに対応。DSD入力時はASIOドライバー(Windowsのみ)でのネイティブ再生とDoPの両方式に対応しています。

  4. フルディスクリート・オーディオ回路「HDAM-SA3」

    マランツ独自の高速アンプモジュールにより、ハイスピードかつ情報豊かなサウンドが得られたとしています。

  5. その他のフィーチャー

    最大192kHz/24bitのPCMに対応する同軸/光デジタル入力。上位機「SA-10S1」に搭載されているクロックより15dBもの位相雑音を改善した超低雑音クロック。純銅削り出しニッケルメッキ出力端子。


■ 新旧試聴比較
SACD/CDプレーヤー『 SA-12 OSE 』のサウンドは、プリメインアンプ『 PM-12 OSE 』に固定して、新旧比較しました。


まず感じたのは音の深みです。オリジナルが綺麗でクリアなサウンドながら、何となく薄く感じられたのに対し、低域の厚みが増し、超低域への沈み込みも感じられるようになりました。しかもそれは透明感を維持したままで、これにより全帯域に渡って透明感が統一されたように感じました。

また、明らかにS/Nが良くなっており、微妙なニュアンスやミュージシャンの動きまで感じたのには正直驚きました。そして余計な音が取れたためか、余韻が増え、空間も広く感じられ、音場感も確実に向上していました。そして極めつきはボーカルで、スピーカーの間にすっくと実物大に浮かび上がったのには驚きました。

マランツ サウンドマネージャーの尾形氏は、回路は一切変更せず抵抗を換えただけで電気的な変更はなく、実際測定しても全く差は出なかったと言います。しかし、正攻法である銅メッキシャーシやアルミトップカバー、アルミ削り出しインシュレーターの採用によるS/Nの改善効果が大きくものを言ったのだそうです。


マランツ サウンドマネージャーの尾形氏

SACD/CDプレーヤー『 SA-12 OSE 』も、プリメインアンプ『 PM-12 OSE 』と同様に、5万円(税別)のアップで済んだことに驚きます。明らかに、1クラス以上グレード上がっています。実力派のミドルクラスのSACD/CDプレーヤーとして本機を自信を持ってお勧めします。

(あさやん)

2020年4月 6日 (月)

マランツ「12シリーズ」の国内専用プリメインアンプ『 PM-12 OSE 』の全貌に迫る!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、マランツの中核を担う、人気のプリメイン「PM-12」のもつ潜在能力を、限界まで引き出そうと果敢に挑戦した意欲作『 PM-12 OSE (Original Special Edition) 』をご紹介します。



次回取り上げる予定のSACD/CDプレーヤー『 SA-12 OSE 』と共に、”マランツの耳”とも言われる”マランツ サウンドマネージャー”の尾形氏に、日本橋1ばん館のリファレンスルームで試聴を交えながら、オリジナルとの違いを中心に、お話を伺いました。

オリジナルの「PM-12」は、その前年に登場したマランツのフラッグシップモデル「PM-10S1」のコア技術である「電流帰還型プリアンプ+スイッチング・パワーアンプ構成」を継承しながら、約半分の価格を実現するという、非常に難しい使命を帯びて誕生したのだと言います。具体的には「PM-10S1」の60万円に対して30万円と(いずれも税別)、本当に半額を実現したのでした。

そのために、構成パーツの選択にはコストと性能のバランスをとる必要があり、前作にはある程度の妥協は実際あったと、尾形氏は正直に述べられていました。しかしそのプリアンプ回路やパワーアンプ部などの完成度は現時点でも十分高いうえ、一から設計をやり直すとなると、開発期間と開発コストが必要で、かなりのコストアップは避けられないとの結論に達したのだそうです。

そこで、日本国内専用モデルとして音質にかかわる部分を見直すことで、音質の向上を目指したのです。仕様的にはマイナーチェンジと言えますが、実際には大幅なグレードアップを果たしたのです。その主な改良部分を順に見てまいりましょう。

■ オリジナルからの改良部分
(1)金属皮膜抵抗の採用
オリジナルの「PM-12」の潜在能力を引き出す、最も近道として選んだのが、音質に最も影響するプリアンプ部に使われている抵抗のうち、17個を高性能な金属皮膜抵抗に置き換えることでした。

なお尾形氏曰く、基板に使われているコンデンサーは一切変更してないとのことでした。設計段階ではコンデンサーの交換も考え、実際に試してみたものの、オリジナルの持つ”旨み”以上のものは引き出せなかったそうです。結果、抵抗のみの変更になったのです。

(2)銅メッキシャーシの採用

本機を前面から見ると分かりませんが、リアパネルや内部を見るとシャーシがオリジナルのシルバーのシャーシと違い、銅メッキされたシャーシに変更されているのが分かります。非磁性体で導電性の高い銅をシャーシにメッキすることで、うず電流を抑え、シャーシ上の電位差が少なくなり、結果ノイズを減らすことができると言います。見た目にも高級感があり、これは上級機「PM-10」に用いられた手法です。

(3)5mm厚アルミトップカバー
オリジナルの一般的な叩けば音のする通気口の開いた薄手スチール製の天板に換えて、重量級5mm厚のしっかりした天板になっています。これも上級機「PM-10」に採用された手法で、コストは明らかにアップしますが、音質的なメリットは計り知れないものがあります。

(4)アルミ削り出しインシュレーター
オリジナルのアルミダイキャスト(鋳造アルミ)製のインシュレーターに換え、アルミの無垢材から削り出されたインシュレーターを採用しています。実際に現物を手に持って比較しましたが、その重量、信頼感の差は歴然で、コストに見合う音質向上に貢献するのは疑いのない所です。

そして、オリジナル「PM-12」を継承した完成度の高い技術は以下の通りです。

■ オリジナルからの主な継承部分
(1)電流帰還型プリアンプ
マランツ独自の高速アンプモジュール「HDAM-SA3」を用いた電流帰還型アンプに、JFET入力とDCサーボ回路を組み合わせた1段構成のプリアンプとすることで、情報量が豊かでハイスピードなサウンドを実現。

(2)プリアンプ専用電源
大容量トロイダルコアトランスやエルナー製のカスタムブロックコンデンサーによるプリアンプ専用電源とすることで、パワーアンプの影響を受けることなく安定した電源の供給が可能。

(3)リニアコントロール・ボリューム
経年劣化のある可変抵抗ではなく、左右のクロストークや音量差を生じないJRC製の最新型のボリュームコントロールICを使用。ゆっくり回すと0.5dBステップで高精度に、早く回すと素早い音量調節が可能な加速度検出システムを採用。

(4)スイッチング・パワーアンプ・モジュール「NC500」
どうしてもスペース的に制約のあるプリメインで、音質を犠牲にせず、大出力と強力なスピーカー駆動力を実現する手段として、Hypex社製NCore「NC500」スイッチングアンプモジュールを採用。スピーカーのインピーダンスにかかわらず周波数特性が変化せず、200W/4Ωの大出力を獲得。パワーモジュールとスピーカー端子間が僅か1cmというのもメリット。

(5)その他のフィーチャー
MM/MCカートリッジ対応フォノイコライザー。純銅削り出しピンジャック&スピーカー端子。視認性に優れた有機ELディスプレイ。本機2台(最大4台)のボリュームを連動させられるF.C.B.S機能によりバイアンプドライブが可能。

■ 試聴しました
『 PM-12 OSE 』のサウンドは、SACD/CDプレーヤーを『 SA-12 OSE 』に固定して比較しました。


まず感じたのは静けさの違いです。明らかに透明度が上がり見通しが良くなっています。S/Nが良くなったため、スケール感も向上し、音楽が生き生きとしてきました。ボーカルにあった若干のかすれ感もなくなり、驚く程ヌケが良くなりました。そして、低音楽器はより深々と力強く沈み込み、鈍さが取れ、歯切れも良くなったのです。

マランツ サウンドマネージャーの尾形氏も、回路は一切変更せず抵抗を換えただけで電気的な変更はなく、実際測定しても全く差は出なかったと言います。しかし、”現実に出てくる音がこれ程変わるとは…”と、設計者自身でさえ正直驚いたそうです。


今回、快く取材に応じて頂いた「マランツ 尾形氏」

それが、5万円(税別)のアップで済んだことに正直驚くとともに、マランツの中核プリメインが大幅なグレードアップを成し遂げたにもかかわらず、それが限定モデルではなくレギュラーモデルだと言うのが最大のトピックです。成熟しつつある国内のオーディオ製品開発の今後の指針にもなりそうです。

(あさやん)

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