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2020年1月19日 (日)

究極のハイレゾ&生演奏!オルゴール”Primotone”

Mbx100hsr_3   Primotoneサクラモデル MBX-100HSRMbx100h528 Primotoneブラウンモデル MBX-100H528

一見、高級ラジオのような外観ですが、そこから奏でられる音を聴くと、まぎれも無いオルゴールの豊かな音が広がります。それは確かにラジオやオーディオセットのようにスピーカーから聞こえる音とは少し違って聞こえます。CDではデジタル記録のために20kHz以上の高域がカットされていますが、プリモトーンでは櫛歯で弾かれる微妙な音が出ています。

オルゴールの心臓部ともいえる櫛歯は、熟練の職人によって1本ずつ丁寧に調律され、電子制御による巧みなメカニズムによって、CDやスピーカーの音では味わえない、箱が共鳴する生のオルゴールの音色を、ゼンマイを巻かずに何時間でもお楽しみいただけます。

本体のディスプレイと操作つまみにより、従来のオルゴールでは不可能だった選曲や音量・テンポを簡単調整
でき、お好みに合わせジャンル再生やランダム再生などが選択できるほか、あらゆるシーンに対応すべくオフタイマー機能・アラーム機能・時報機能なども搭載しています。

サクラモデルは、日本を象徴する「サクラ」と縁起の良い幸せの木と謂われている「槐(えんじゅ)」を使用した、伝統工法の木組みで仕立てた筐体。一方のブラウンモデルは、高級マホガニー(本体)とナラ(共鳴台)による高級感のある仕上げです。

そしてPrimotoneの最大の売りは、高い”ド”の音を癒しの音色528Hzで奏でるように調律した特別な櫛歯を使用することで、心身を安静モードに導き、ストレス軽減にも役立つと言われています。心と体を整え、癒しの音色に包まれる、贅沢なひとときをお届けします。

信頼の日本製。熟練の技と最先端のテクノロジーの融合が、オルゴールの新たな扉を開きました。

オルゴール”Primotone”こそ究極のハイレゾであり、電気を使わない生演奏が自宅で体感できるのです。  

(あさやん)

2020年1月 5日 (日)

PMC『 fact・8 』のシグネチャーモデル『 fact・8 signature 』登場!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、世界中のオーディオマニアに愛用されてきた「fact・8 (日本未発売)」を再設計した『 fact・8 signature (受注発注品) 』をピックアップ。前作のバランスのとれた魅力的なサウンドとリアルなイメージングはそのままに、さらなる改良が加えられています。



■ 「PMC」とは
「PMC」は「BBC」に在籍していたエンジニアのピーター・トーマス氏と、「ディストリビューター(販売代理店)」のエイドリアン・ローダー氏によって、1991年に英国に創立されたスピーカー専門メーカーです。彼らのスピーカーに対する豊富な知識と音楽に対する情熱は、「PMC」の最初のモデルであるアクティブスタジオモニター「BB5-A」を生み出しました。このモデルは、メトロポリススタジオや、スティービーワンダースタジオなど、名だたるスタジオで採用されたのです。

近年の映画のテーマ曲の多くは「PMC」を使って作られており、タイタニック、パイレーツ・オブ・カリビアン、ミッションインポッシブル、GODZILLAなどの製作にも、「PMC」のモニタースピーカーが使われています。テレビに関連する様々な業績に与えられる賞である「エミー賞」も同社に贈られています。

映画・テレビを問わず「アーティストの思いを脚色することなく伝える」それが「PMC」のポリシーです。“音を正確に表現する”“いい音はいかなる場面においてもいい音である”というのは創業時から一貫しており、それが世界中のスタジオで、PMCが採用されるという実績につながっているのです。

そして、「PMC」に対する信頼感を高めているのは、同社のスピーカーがすべて英国国内で職人によってハンドメイドで製作されていることです。それぞれのユニットの特性もすべて記録され、キャビネットを含めた各コンポーネントは1台1台がベストマッチングになるように組み立てられているのです。

その「PMC」から新製品『 fact・8 signature 』が発売されました。同社のコンシューマー用スピーカーのフラッグシップモデル「fact fenestria(日本未発売)」の革新性と導入技術を引き継いで、世界中のオーディオマニアに愛用されてきた「fact・8(日本未発売)」 を再設計したのが『 fact・8 signature (受注発注品) 』です。

『 fact・8 signature 』のツイン・ウーファーやソフトドームツィーターは、ノルウェーのスピーカーユニットのOEM専業メーカー「SEAS」との共同開発によって、あらゆるジャンルの音楽を正確に再現する能力を獲得したのです。

因みに「SEAS」は、デンマークの「Scan-Speak」と並ぶ、OEMスピーカー・ユニットの大メーカーです。小型ウーファや中域のユニットに強く、ダリの「メヌエット」、ウィルソンの「CUB/WATT3」の中域、さらにはウエストレークの高級機「BBSMシリーズ」などにも搭載されています。まさに縁の下の力持ちといった存在です。

それでは『 fact・8 signature 』に採用された技術を順に見てまいりましょう。

■ ATL技術

「PMC」独自の「ATL(Advanced Transmission Line)」のエンクロージャーは、洗練されたキャビネットの構造、オリジナルのスピーカーユニット、 そして特許取得済みの吸音材料を使用して、巧みな技術によって設計されたものです。これは形状だけ真似しても成し得ない技術で、そこには、同社が誇る、多くのノウハウが注入されています。

ATLは、ウーファーユニットを長いATLの端に配置することにより、その経路と吸音材によって、ウーファーの背面から放出される高音域成分を減衰させて、低音成分はATLを通り、ウーファーの正面の位相と同じになるように開口部から出力され、第2のウーファーとして働くのです。本機のATL長は3mあります。

この方法の大きなメリットとして、ウーファーを駆動している時もキャビネット内部の圧力が変化せず維持されることです。これにより広帯域でウーファーを制御することができ、低域の歪みを大きく低減できるのです。その結果、中音域と高音域のディティールも、高調波歪の影響を受けることがなくなり、透明感のある中域とハイスピードな低域という「PMC」スピーカーの特徴を生み出しているのです。


『 fact・8 signature 』では、各スピーカーユニットの不要な干渉が最小限に抑えられる配置となっているため、小音量時においても、明確な解像度と低歪みにより、スムーズでバランスの取れた低域の再生が可能です。これは家庭用としての夜間や小音量でのリスニングには重要なファクターとなります。

「PMC」の担当者は言います。「ATLであれば、同じドライバーを密閉型エンクロージャーで設計するより、豊かな低音を再生することが可能であり、ATL以外の方法では、全ての音量レベルで解像度と安定性を実現することは困難だ」と。

■ ドライバーユニット

ATLの性能を最大限に生かすためには、キャビネットに合わせた、分解能が高く、超低歪のドライバーユニットが必要です。「PMC」のドライバーユニットは全てオリジナルで、信頼性が高く、ナチュラルで脚色のない純粋なサウンドを実現しています。

factシリーズ専用(日本未発売の上級機「fact・12 signature」にも採用)の140mm超剛性、軽量なコーンウーファーを2基搭載することで、鮮明な中域と深みのある低域を実現しています。 また、ツィーターには19mmのSONOMEX ソフトドームを1基搭載しており、滑らかな軸外特性で、広範囲で心地よい高域を再現します。

■ クロスオーバーネットワーク
スピーカー内の振動が与える影響を見直し、英国製のコンデンサーやドイツ製の抵抗など、厳選した部品を採用しており、コンピュータによるテストとリスニングテストで合格したものだけが製品になります。「PMC」のリファレンスとするセットと違いがないことを確認してからの出荷となるそうです。

クロスオーバー周波数:1.7kHz、遮断特性:24dB/oct.のクロスオーバーネットワークを採用。これらにより、音の透明度を高め、シグネチャーモデルにふさわしい仕上がりとしています。また、HF/LF出力レベル切替(各3段階)も装備しており、お部屋やお好みに合わせた設定が可能です。

■ エンクロージャー

キャビネットは自社で一台一台手作りされており、大量生産とは無縁です。最先端のコンピュータ制御の機械加工と伝統的な職人の技の連携によって生産されており、厳密に精度を指定した、安定性と長寿命が保証された材料をパネルに使用しています。

仕上げはメタリックグラファイト(MG)とホワイトシルク(WS)の2色で木目はありません。特にメタリックグラファイト仕上げは、従来の「PMC」のダイヤモンドブラック仕上げよりも、ほこりが目立たなくなっています。

スピーカーターミナルには、銀メッキのバイワイヤリング対応の「4mmソケット× 2ペア」、サランネットはマグネット着脱式となっています。鏡面加工された台座も付属しており、床材の硬さに合わせて3種類のスパイクが付属(スパイク受けは別売)しており、本機の性能を最大限に引き出すことができます。



■ 試聴してみました

『 fact・8 signature 』の試聴は、 Joshin日本橋1ばん館で、リファレンス機器(アキュフェーズの「DP-75」→「C-3850」→「P-7300」)を使用して行いました。

ジャズ(TBM:鈴木勲の黒いオルフェ)でのベースの量感が実に生々しくたっぷりで、迫ってくるような迫力を感じました。低弦の立ち上がりも素晴らしく、腹に響く、深く沈む低音でした。

ボーカル(ジェニファー・ウォーンズ)の口が小さく、温かくボリュームたっぷりで、詰まった感じの全くない開放的なものでした。シャウトした場面でも、全くうるささを感じないのは不思議なくらいでした。伴奏の低域の伸びの凄さ、高域のシンバルのクリアさも格別でした。

アコースティックギター(フェイキー)が非常に生々しく、エコー感も自然で、レコーディングスタジオの広さを感じる程リアルでした。ギターの胴鳴りが凄くリアルで、木質感もたっぷりでした。

総合的には、この寸法(14cm)のウーファーとは思えない充実した低音で、中低域はハイエンドスピーカーに相応しく厚く充実したものでした。高域もヌケが良く伸びやかで、全く歪みを感じることはありませんでした。また、音量を下げても解像度が下がることはなく、大音量でも聴き疲れは全く感じませんでした。

■ まとめ
「PMC」は考えています。「ユーザーに迎合することでは、決して良いスピーカーは生まれないと・・・。」今日では大量生産されたドライバーユニット、キャビネット、およびクロスオーバーが一般的ですが、「PMC」は自らの基準を満たしたパーツのみを使い、低歪み、高解像度のスピーカーを生み出すために、細部にわたって、革新的かつ、オリジナリティを大切にして開発しているとしています。

『 fact・8 signature 』は、幅広いリスナーが中規模から大規模なお部屋でお使いになるのに最適な音圧が得られ、あらゆる音量で音楽を鳴らしても、決して誇張することなく、音楽が表現する感情と美しさを完璧に伝えるでしょう。

本機を一度体験すれば、単に音楽性だけではない、モニタースピーカーが本業の「PCM」ならではの深く心に染みる充実感が味わえることでしょう。
(あさやん)

2020年1月 3日 (金)

VPIが帰ってきた!! マニアックなアナログプレーヤー『 Prime Scout 』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
日本再登場のVPI Industries Inc.のマニアックなアナログプレーヤー『 Prime Scout 』をピックアップ。価格こそエントリークラスながら、超ハイエンド機に迫る【 新時代のアナログプレーヤー 】の魅力をご紹介いたします。



■ VPI Industries Inc. とは
VPI Industries Inc. (以下、VPI) は、アナログ再生とカーレースに情熱を傾けるアメリカの技術者 ハリー・ワイスフェルド (Harry Weisfeld) 氏によって、1978年に設立されました。

当初、ターンテーブルの構造を隅々まで研究し、試行錯誤しつつ、理想のターンテーブルを開発するための小さな工房を、地元のニューヨーク (その後、ニュージャージーに移転) に設立したのです。

同社のターンテーブルは、優れた剛性と制振性を誇る異種素材を組み合わせたハイマス/高剛性リジッド構造のキャビネット、および、ユニ・ピボット構造の独創的・合理的設計によるトーンアームを主軸に、重量級プラッター、安定した回転を誇るフォノモーターなど、一貫した基本設計思想を貫いてきています。

この設計思想は創業以来一貫しており、欧米のアナログ・ファイルの高い評価を確立しています。アメリカの個人工房から、世界のリファレンスターンテーブルが生まれたのです。

日本国内には、2000年代後半からエソテリックが輸入を始め、2007年の「Scout+J9」、2009年に「Classic Turntable」「Scout masterII」、そして2013年の「Traveler」と続きましたが、その後はVPIの定番商品であるバキューム方式のレコードクリーナー「HW-16.5」のみの状態が5~6年続き、もうプレーヤーは輸入しないのかと思われていました。

VPIの本国のホームページを見てみると、超ハイエンド機を含め、多数のプレーヤーやトーンアーム、フォノイコライザーなど、アナログ機器を幅広く展開しています。

この度、同社の社内体制が変わったこともあって、エソテリックはまずは手始めに、今回ご紹介いたします『 Prime Scout 』から輸入を再開したとのことです。

その『 Prime Scout 』は、同社としてはエントリークラスのプレーヤーで、輸入品としては比較的低価格に抑えられています。

少々マニアックではありますが、本機を使いこなすことができれば、超ハイエンド機にも迫るパフォーマンスを発揮できると思います。では、そのあたりを順に見てまいりましょう。

■ ユニ・ピボット構造のトーンアーム

トーンアームは自社開発の「JMW-9」です。スパイクによる1点支持で、ベアリング部の摩擦 (フリクション) を極限まで減らして、感度を高めています。この摩擦が、感度やトレーシング能力に大きな影響を与えるため、理想のベアリング構造として、ピンポイント・スパイクによるユニ・ピボット・ベアリングを採用したのです。

アーム支点部の黒い円筒は、アームベースに取り付けられた極めて鋭利なスパイクと内部でピンポイントで接しています。

そのままではフラフラの状態ですが、ひとたびレコードに針を下ろすとピタッと安定します。この結果、ベアリングの摩擦を事実上ゼロにすることができ、アームの感度、コンプライアンスを極限まで高め、安定したトレースと滑らかな動作を実現できたのです。

また、トーンアームはシェル一体型のインテグレート型ですが、ヘッド部からカウンターウェイトを含めた可動部全体が簡単に着脱できため、カートリッジ交換も容易に行えます。

アームをピボットに載せて、アームのケーブルをレモコネクター (スイス LEMO社製) にカチッと接続するだけの極めて合理的な設計です。これらによるアームの高感度こそが、カートリッジの特性を十分に引き出してくれるのです。

カタログにはありませんが、ラテラルバランスやインサイドフォースキャンセラー (VPIは不要と考えていますが、一応付属されています) 機能も装備されており、さらに完璧な調整が可能です。

■ 重量級プラッター(ターンテーブル)

アルミニウム削り出しの4.76kg重量級プラッターで、ランブルノイズ (レコード特有のゴロ音) を大幅に排除し、充分な慣性モーメントで安定した回転精度を実現しています。

また、レコードをターンテーブルに吸着させるためのデルリン (樹脂) 製のねじ込み式クランパー、ゴムワッシャーが付属しており、高音質再生が可能です。

■ フォノモーター

駆動力の高い300rpmのACシンクロナス・モーターは、強固な重量級スチールハウジングで本体とは独立構造としており、モーターの振動の影響を効果的に抑制し、漏洩磁束が外部に漏れるのも防止しています。

シンプルな回路構成とすることで、ターンテーブルの安定した回転をサポートしています。

33/45回転の切り換えはプーリーの掛け換えによって行い、プーリーの動力はゴムベルトを介してプラッターに伝わります。

■ キャビネット

キャビネットのベース部は重量級MDFと肉厚スチールプレートの異種素材積層構造とすることで、リジッド構造ながら制振性に優れ、高いハウリングマージンを確保できています。また、素材固有の共振モードを効果的に分散させることで、クリアでナチュラルな音質も獲得できたのです。

脚部はキャビネットの四隅にマウントされており、高さ調節が可能なデルリン製アイソレーションフットを採用しています。キャビネットの作り自体はシンプルですが、全体的には剛性は極めて高いものとなっています。

また、本機専用の国産の比較的安価なダストカバー「VP/COVER-PSC」 (ヒンジ式ではなく、スッポリ覆ってしまうタイプ) もオプションで用意されています。

■ さて、本機のパフォーマンスは?
VPI『 Prime Scout 』は、"オーディオセッション in 大阪" のエソテリック・ブースで説明を受け、試聴しました。

ESOTERIC担当者曰く、『 この作りでこのサウンドは絶対お買い得! 』『 このマニアックさもたまらない 』『 追い込めば追い込む程パフォーマンスが上がっていく、本来のアナログの世界が実現できるプレーヤー 』だと・・・。

本機のパフォーマンスを一言で表すと、高解像度かつ広ダイナミックレンジのプレーヤーです。ターンテーブルのS/N比の良さと、トーンアームの感度の高さが絶妙にコラボレーションした【 新時代のアナログプレーヤー 】と言える製品です。

具体的には、明確な定位、綺麗な余韻、しっかりした低域、繊細で透明な高域、艶っぽい女声ボーカルなど、従来のアナログの代名詞でもある、『 温かく・マイルド 』なだけの世界とは一線を画する本格的サウンドです。最新のハイエンドデジタルとも十分渡り合える、『 リアル感・繊細感 』も表現できます。

VPI『 Prime Scout 』は、価格こそエントリークラスながら、超ハイエンド機に迫る【 新時代のアナログプレーヤー 】と言えます。ヨーロッパ製のプレーヤーが主流のアナログ界ですが、アメリカ製プレーヤーの底力を感じました。
(あさやん)

2020年1月 1日 (水)

MAGICOが世に問うブックシェルフ『 A1 』。その完成度の高さを探る!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
これまで数百万円の超ハイエンドスピーカーばかりだったマジコ社から、驚異的な低価格の2ウェイ・密閉型ブックシェルフスピーカー『 A1 』が登場。その完成度の高さを探ってまいります。



■ 高級オーディオブランドMIGICO(マジコ)とは?
マジコ社(MAGICO, LLC、Hayward, CA USA)は、現代のスピーカー設計における可能性を徹底的に追求するため1996年、Alon Wolf(アーロン・ウルフ)氏によって創立されました。先進的なカーボンナノチューブのコーン紙を採用したドライバー、ベリリウムツィーターなど、すべて自社開発。キャビネットは5軸切削機器によって、航空機グレードのアルミニウム合金から作り出されています。

昨年(2018年)、それまで数百万円の超ハイエンドスピーカーばかりだったマジコ社から、比較的リーズナブルな価格の3ウェイ・密閉型トールボーイスピーカー『 A3 』が発売され、にわかに注目を集めたのはまだ記憶に新しい所です。私も当時このコーナーで、その素晴らしさを次のように記しています。

解像力・密度感を維持したままで、この美しいサウンドを百万円台で実現できたことに、MAGICOの技術力の凄さ・底力を実感させられました。これは想像を遙かに超えるレベルでした。決して数百万円でもおかしくない、まさにハイエンドサウンドで、幅広いオーディオファイルが導入可能な "M" マークを有するMAGICO製スピーカーです。ちょっと手を伸ばせば届く、MAGICO『 A3 』の登場です。

そして今回、そのマジコから驚異的な低価格の2ウェイ・密閉型ブックシェルフスピーカー『 A1 』が登場。その完成度の高さを探ってまいります。日本橋1ばん館での試聴結果も交えレポートします。

■ MAGICO『 A1 』の完成度の高さをチェック
◆ エンクロージャー

まずは見た目の想像を超えた1台 20.4kgのエンクロージャーです。厚みが1cm以上あるアルミ材(同社Qシリーズ用に開発されたエンクロージャーと全く同じ "6061 T6" 航空機グレードのアルミニウム)を使って、強固な密閉型エンクロージャーを構成しています。このエンクロージャーこそ、マジコ製スピーカー共通で、マジコ・エンジニアリングの代名詞とも言えます。

内部構造は、ツィーターとウーファーの間に振動を低減するためのブレース構造(補強材)のアルミ・フレームを使用し、更に天板と底板にも同じフレームを重ね合わせることで、徹底的な振動対策をしています。外観はブラシ加工を施された”ブラックアルマイト”スキンと呼ばれる外装材で、ボルトが一切見えないこだわりもマジコならではです。


◆ ツィーター

『 A3 』にも搭載されている28mmベリリウム振動板のドーム型です。同社のフラッグシップ "Mシリーズ" のツィーターの形状に基づいて、本機のために最適化されたドーム形状を採用しています。強力なネオジウム・マグネット磁気回路は、ウーファーの背圧の影響を受けないユニークな内部形状の堅牢なバックチャンバーに収容され、最新のダンピング素材により共振を低減し、ツィーターの動的能力を飛躍的に向上させています。

CEOであるアーロン・ウルフ氏は、同社の製品開発は測定のみに頼らず、聴感上の極わずかな不快音まで徹底的に排除していると言います。結果、ボイスコイルの正確なストロークに加え、超低歪みと高いパワーハンドリングおよび、広ダイナミックレンジを実現しているのです。


◆ ウーファー(ミッド‐バス)

そして注目すべきは、本機のために新開発された6.5インチ(約16.5cm)のウーファーです。マルチ・ウォール・カーボンファイバーコーン(振動板)の表面に、ナノグラフェン(XG Nanographene)を使用した超高硬度マルチウォールカーボンファイバー織布(Multi-Wall carbon fiber)によって、最適な重量対強度比と理想的な減衰係数を持つように設計されています。

解りやすく説明しますと、従来のグラフェン振動板を更に進化させ、軽量かつ高剛性というだけではなく、最適な内部損失、低域の再生能力までも計算の上でカーボン振動板を開発しています。また、ユニット・フレームも最適な剛性と振動減衰を実現するため、シミュレーションとテストを経て設計されていると言います。具体的には、共振振動モードを減らしながら振動板による空気の流動量を最大化しているそうです。

非常に強力な磁気回路は、安定した磁界を確保するために特大のフェライト・マグネットをダブルで使用し、39mm径の放熱効果が高く、駆動軸のぶれないピュアチタニウム・ボイスコイルとすることで、高い音圧時においても正確なピストンモーションを実現できたのです。

また、ウーファードライバーは、周波数領域と時間領域の両方において、最新の有限要素解析(FEA)を用いて設計されています。この解析方法は、製品の構造または性質における潜在的な問題や既知の問題を特定して、それらの解決のため、バーチャル環境でのシミュレーション(音響、構造、電磁、温度の複数要素におけるドライバーの挙動を包括的に解析)を行うのだそうです。


◆ クロスオーバー・ネットワーク

本機のネットワーク基板は底板に取り付けられています。同社仕様の最先端の独ムンドルフ製コンデンサーや空芯コイルが使われており、-24dB/oct.の急峻なリンクウィッツライリー(無限インパルス応答)フィルターで構成されています。これにより最適な位相特性やリニアな遮断特性が得られ、混変調歪みを低減し、再生周波数特性の拡張も実現できたとしています。


◆ その他仕様

『 A1 』はブックシェルということで、リビングのサイドボードなどでも使用することを想定し、メタル製のフット(専用丸足フィート)や専用スパイク+スパイク受けを標準装備しています。スピーカースタンドとしては、米サウンド・アンカー社製の重量級スピーカースタンドを推奨しています。更に仰角を持たせた設置に適した同社製「A1クレードル」やパンチングメタルの「A1専用グリル」(いずれもオプション)も用意されています。なおスピーカーターミナルは、シングルワイヤー仕様です。

■ 試聴しました
『 A1 』の試聴は日本橋1ばん館のリファレンスルームで、Accuphase「C-3850」+「A75」を使って行いました。


▲ 写真:MAGICO『 A1 』試聴室/MAGICO『 A1 』正面

予想通り超高解像度のサウンドなんですが、ブックシェルフとは思えない中低域の厚みがあって、特に低域はこの大きさのスピーカーのそれではないと感じました。高域もどこまでも伸びきり、詰まった感じは全く感じませんでした。

私の試聴メモには、以下の様な感動のコメントがぎっしりです。試聴する程に『 A1 』の音に引き込まれていったのでした。

  • 低域の音程が超低域まで明確で、量感を保ったまま沈み込んだ。
  • 超低域には風圧を感じる程のエネルギー感があった。
  • ベースの音にちゃんと艶が乗っており、生々しさは鳥肌モノでした。
  • 音の芯がしっかりしており、音楽の説得力が素晴らしい。
  • 音楽以外の余計な音が一切出ず、特に無音時の静けさは格別でした。
  • 定位が明確で音像のブレは全くなく、アーティストの位置がハッキリ解った。
  • 声が深く響き、伸びやかで、眼前に見えるような実在感があった。
  • ボーカルがシャウトした場面でも全くうるさく感じない。
  • サウンド全体にヌケが抜群で、弾ける感じが素晴らしい。
  • 音が消える場面でも余分な響きがなく、自然に消えていく。
  • 聴いていても全く疲れを感じないため、幾らでも聴いていたくなった。

  • この大きさのスピーカーから、これ程のサウンドが出てくるとは本当に驚異的です。特に比較的小さなお部屋なら、大型フロア型スピーカーより遙かに素晴らしい再現力を発揮することでしょう。その完成度の高さは、超ハイエンドスピーカーに勝るとも劣らないものでした。

    マジコの技術力の凄さを改めて実感させられました。
    (あさやん)

    2019年12月27日 (金)

    究極のデジタル再生ソリューションを目指した、ソウルノート SACD/CDプレーヤー『 S-3 』

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
    本日は、究極のデジタル再生システムとして、ソウルノートが同社の技術の粋を結集して遂に完成した、SACD/CDプレーヤー『 S-3 』を取り上げます。



    ■ 高級オーディオブランド「SOULNOTE」とは?
    SOULNOTE(以下:ソウルノート)は、2006年に高級オーディオブランドとして、株式会社CSRが立ち上げたブランドです。

    ソウルノートとは「魂を震わす音」を意味し、「そんな音を表現したい…」「そんな音を刻みたい…」「そんな音を受け止めたい…」という志のもとに設立された経緯から、その創り出すサウンドは、他の国内メーカーの製品とは一線を画する、オリジナリティにあふれたものです。

    「静特性」よりも「動特性」にこだわり、従来の常識にとらわれない独自の設計手法で、音源に込められた情報の全てを引き出したのだとしています。そのサウンドのスピード感や雑味の無さに共感するファンが非常に多いのです。

    設立10周年にあたる2016年、記念モデルとしてプリメインアンプの「A-1」とCDプレーヤーの「C-1」を発売。その後、アンプは同年に「A-0」、2017年に「A-2」、D/Aコンバーターは2017年に「D-1」、2018年には「D-2」「D-1N」と、上位クラスに新製品を投入してきています。しかし、CDプレーヤーは需要減速もあり、「C-1」に続く上位モデルは発売されませんでした。

    その沈黙を破って発表されたのが、今回取り上げる、SACD/CDプレーヤー『 S-3 』です。そのコンセプトは驚くなかれ「究極のデジタル再生ソリューション」です。それは、一体型のCD(SACD)プレーヤーこそが、ドライブメカからDACまで最短配線が可能で、しかも内蔵の高品質クロックに直近で同期でき、さらにファイル再生における様々な問題も回避できるというのです。

    また、SACD/CDドライブメカを内蔵することによる、メカの振動や電源ノイズなどのデメリットを完全に回避し、同社が最重要としているクロックの同期に特化した「究極のデジタル再生システム」が完成したのです。

    それでは、その手法を順に見てまいりましょう。

    ■ ソウルノートが『 S-3 』に投入した、数々の技術
    ◆ 無帰還回路「Type-R Circuit」

    ソウルノートの無帰還アンプの歴史は古く、その原型は約20年前のマランツプロ(ソウルノートの前身)の「PA-02」にまで遡るそうです。そのサウンドは当時の私(河口無線時代)には非常に鮮烈なサウンドで、コアなユーザーを中心に大ヒットしました。

    その無帰還アンプを現在の部品でフルチューンしたのが同社の「A-2」で、「D-2」「E-2」もほぼ同じ上下対称の電圧増幅(ラインアンプ)回路を採用しています。

    それを『 S-3 』では20年ぶりに見直し、上下対称を止めることで限界まで部品数を減らしたのが「Type-R Circuit」とのことです。本来、トランジスタアンプは部品を減らして基本性能を維持するのは難しいとされていますが、本機では回路規模をほぼ1/3に出来たといいます。

    その回路は高周波用のバイポーラトランジスタ 4個と抵抗 8本のみで構成した完全バランス伝送増幅回路で、初段は通常ハイゲインが基本ですが、音質優先でゲインのない差動合成とし、2段目は対アース増幅のシングルエンド(シングルエンド2つによるバランス)としています。

    そして、出力トランジスタとバイアス回路のトランジスタを物理的にくっつけて、温度を同じにすることで熱暴走が防止でき、従来22Ω程度だったエミッタ抵抗を実に1Ωまで下げることができたのです。

    更に、巧みな回路構成で電源ノイズの影響を回避しながら部品点数を減らしたことで、圧倒的な「音の鮮度」に結びついたといいます。これ以上シンプルに出来ない基本回路という意味で「Type-R(リファレンス)」と名付けたのだそうで、ここに恐ろしい程のS/N感とパワフルさを兼ね備えた無帰還アンプが完成したのです。


    ◆ 「ES9038PRO」を4個使用

    DACチップには評価の高い「ES9038PRO」を片ch2個、計4個を使用。ディスクリート無帰還DACとしては不可欠なチャンネル当たり120mAという強力な電流出力を、前述の「Type-R Circuit」初段の直前でIV抵抗1本によって電圧に変換しています。


    ◆ 超低ジッタークロック

    究極の低ジッター45fs(フェムト秒、フェムトはピコの1/1000)を誇るのDDS(シンセサイザー) LMX2594(テキサス・インスツルメンツ製)を搭載。出力されるマスタークロックで、DACからSACDメカまで完全に同期します。


    ◆ 巨大電源回路

    写真のように、大量のフィルターコンデンサを使った無帰還電源を搭載。アナログ系電源は勿論、デジタル系の電源はSACDメカの下に詰め込まれています。筐体内部は、殆どが電源回路で占められているのです。

    ◆ NOS モード採用

    同社D/Aコンバーター「D-2」で採用し、高評価を受けたNOS(ノンオーバーサンプリング)モードを採用。デジタルフィルター特性のインパルス応答で観測されるプリエコーやポストエコーが発生しません。

    写真左のプリエコーやポストエコーは、データを補間するために前後のデータから演算で作り出した「人工的な音」で、音質の劣化や人間が非常に敏感な時間軸のブレが出てしまいます。

    写真右はNOSモードの波形で、極めて過渡応答特性に優れた無帰還ディスクリートアンプとのコンビネーションによってのみ実現できるのだとしています。


    ◆ 2つの電源トランス

    電源トランスはデジタル系とアナログ系を分離しており、左右両サイドのアルミベースに、別々にチタンスペーサーを介して、3点で浮かせたサンドイッチ構造でマウントされています。

    更にトランスの振動は、それぞれのベースから1点スパイク接地によって逃がしています。これにより振動源が2つとなるダブルトランスによる混変調を回避しつつ、モーターやデジタルノイズのアナログ電源への混入も防止しています。


    ◆ SACDメカニズム

    SACDメカには定評のあるD&M製を採用。このメカをアルミ削り出しのベースを通じて、1点スパイク接地でマウントされています。メカの振動をダイレクトに外部に逃がし、メカはしっかり固定されるという、フローティングとは違う理想的な構造です。


    ◆ スパイクフローティング天板

    オーディオ機器の天板はない方が音が良いというのは常識です。しかし、ノイズの混入を考えればそれは不可能なことです。

    ソウルノートは従来から天板をフローティングさせてきましたが、本機では天板自体がステンレススパイクでシャーシに掘られたスパイク受けに3点接地しています。更にアルミ天板を部分的に切削することで軽量化し、天板のない状態に近づけたのだとしています。


    ◆ 外部クロック「ZERO LINK」

    外部クロックは10MHz(BNC 50Ω)に対応。また、「ZERO LINK」という正式には未発表のDVI端子による新しいリンク方式に対応しています。

    これは、HDMIを利用するI2Sの欠点を補う究極のリンクだとのことで、全てのデジタル機器が『 S-3 』のDAC側のクロックで動作するといいます。従って、ネットワークプレーヤーを接続した場合も最強のクロックを持つことになり、本機の目指す「究極のデジタル再生システム」が実現するのです。

    ■ 最後に
    SACD/CDプレーヤー『 S-3 』のコンセプト「究極のデジタル再生システム」(ソウルノートは「究極のデジタル再生ソリューション」と命名)は、これまでの説明である程度はご理解いただけたと思います。

    《 全てが良い音のために 》ソウルノートが持つ独自のノウハウを駆使して『 S-3 』を完成させたのです。


    ▲ オーディオセッション in OSAKA 2019のソウルノートブースにて(上段が『 S-3 』)

    従来、一体型CD(SACD)プレーヤーのデメリットといわれていた、ドライブメカや電源トランスの振動、それらから発生するノイズは、徹底的な振動&ノイズ対策で押さえ込み、PCMの弱点であるプリエコーやポストエコーによる時間軸のブレは「NOSモード」の採用で解決し、そして、SACDの弱点と巷でいわれる低域の厚み・押し出し感の欠如は、無帰還「Type-R Circuit」によって解決出来たのです。

    これらにより『 S-3 』は、一体型のメリットであるドライブメカからDACまで最短配線が可能で、しかも内蔵の高品質クロックに直近で同期できること、さらにPCオーディオでのファイル再生における様々な問題(再生ソフト、USBフォーマット変換、USBケーブルやネットワーク系のノイズ等による音質への影響)を回避できる「究極のデジタル再生ソリューション」でもあるのです。

    ソウルノートの技術者は、SACD、CDに関わらず、非常に分厚くダイナミックな低域と非常に繊細なS/N感抜群の高域という、相反する音が見事に達成できたといいます。奥行き表現と自然で生々しいサウンドは、従来のディスク再生の概念を打ち破ったと自信たっぷりでした。

    また、高級SACD/CDプレーヤーに新しい選択肢が加わりました。デジタルディスク再生は【 不滅 】です。
    (あさやん)

    2019年12月24日 (火)

    Phasemationからフォノアンプ『EA-550』とMC昇圧トランス『T-1000』が登場!

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
    Phasemationから、フォノアンプ『 EA-550 』と、MC昇圧トランス『 T-1000 』が登場!! 果たして、アナログブームの再々燃なるか?




    ■ アナログの世界
    Phasemation(以下:フェーズメーション)からアナログディスク愛好家向けに、同社ならではのオリジナリティ溢れるアナログ関連アイテムが2機種登場。アナログをとことん追求したいアナログマニアにこそお勧めです。

    嵐のように去っていったアナログブームですが、今から思えば、あの数年前のアナログブームは何だったのでしょうか。

    確かに、Joshin webショップでも、1万円前後から2~3万円台のプレーヤーを中心に爆発的な売れ行きでした。

    でもそれは、マスコミやネットでの口コミが盛り上げたもので、とりあえずアナログレコードを一度聴いてみたい若者や、かつて聴いたレコードをもう一度聴いてみたいという中高年のニーズがほとんどだったのではないでしょうか。

    ただほんの一握りではありますが、アナログの「デジタルにない魅力」を体感され、アナログに惚れ込んだ新たなアナログファンもいらっしゃるのも確かです。

    そして、本物のアナログ愛好家だけが残って、静かになったというのが現状だと思います。

    ここに来て、周囲の情報に惑わされることなく、ご自分の好きな音楽を心ゆくまでアナログで聴くという、本来の姿に戻ったことは喜ばしい限りです。

    今回はそんなアナログを心から愛し、デジタルでは得られない、血の通ったホットで聴き飽きないアナログレコードの世界を、もっともっと極めたいとおっしゃるファンのために開発された、フェーズメーションの2つの画期的アナログ製品をご紹介します。

    ■ 2機種共通の特徴
    まずは、『 EA-550 』『 T-1000 』両機に搭載されている、MCカートリッジ入力の《 バランス受け 》についての説明です。

    【 バランス伝送対応の入力部 】~外来ノイズの影響を受けずS/Nが大きく向上~

    MCカートリッジのコイルによる発電は、本来バランス動作しています。ほとんどのアンプのフォノ入力のようなアンバランス接続では、バランス型のメリットは勿論、外来ノイズの影響で音質を大きく損なってしまっています。



    バランス型のフォノケーブルを使うことで、微小信号のMCカートリッジのコイル部から昇圧トランスのコイル部までが、プッシュプルの平衡型で伝送され、それをシールドが包み込む形になることで、外来ノイズの影響を回避できるのです。

    また、トランスの入力部の中点と出力部のマイナス側を繋ぐことで、カートリッジ側から見ると、完全なバランス接続(2番ホット)になるのです。




    一般的なMC昇圧トランスとアンバランス型のフォノケーブルでの接続では、外部シールドと信号線となるため、どうしても外来ノイズに曝されてしまいます。信号線にノイズが混入し、少なからず音質的な影響を受けてしまいます。

    そして、『 EA-550 』『 T-1000 』両機に搭載されている《 MCトランス 》も、フェーズメーションが新規に開発したものです。

    【 MCトランス 】~細かな空間表現と明確な音像定位を実現~

    巻線構造には、従来ハンドメイドでなければ難しいとされていた、特殊分割巻線構造を採用。広帯域で優れた位相特性と、可聴帯域内の位相歪をも激減させ、明確な音像定位を実現したのです。

    さらに、2次巻線には人気の高純度銅線PC-Triple Cを使用。大型EIコアと相まって、広帯域で優れた周波数特性も実現したのです。

    まさに、低域の優れたリニアリティと高効率・低損失の昇圧という、理想のMCトランスとなったのです。

    ■ フォノアンプ『 EA-550 』

    フェーズメーションは言います「アナログもまだまだ極め尽くされていない。」と・・・。

    同社のフォノアンプ(フォノイコライザー)は、「EA-1000」「EA-500」「EA-350」「EA-300」「EA-200」といずれも無帰還回路で構成され、管球式の「EA-1000」を除き半導体式で、今回の『 EA-550 』は半導体フォノアンプの集大成を目指して開発されたものです。

    2筐体のセパレート型は「E-500」を踏襲。内蔵MCトランスの2次巻線PC-Triple Cを使用した新設計で、合わせて回路もブラッシュアップして、新次元の音を実現できたとしています。では、そのあたりを詳しく見てまいりましょう。

    【 L/R独立のモノラル2筐体 】~臨場感と豊かなサウンドステージを実現~

    2筐体こそ前作「EA-500」を引き継いでいますが、前面パネルは「EA-500」ののっぺらした顔ではなく、同社ハイエンド機の上部をスラントさせた高級感のあるデザインを踏襲しています。

    内部のベースシャーシは1.6mm厚の銅メッキした綱板、筐体にも1.6mmの銅メッキ綱板を採用。剛性の確保は勿論、磁気歪の低減にも貢献しています。さらに、脚部にも外部振動を遮断すべく重量級の金属インシュレーターを採用しています。

    【 オールディスクリート無帰還増幅回路 】~躍動感と音楽性を実現~

    アンプの主流となっている負帰還アンプは、ローコストで高精度の増幅は可能ですが、一方でどうしても入力信号と出力信号の間に時間遅れが発生してしまい、TIM(過渡変調)歪等をさせてしまうため音質的にはどうしても不満が出てきてしまいます。

    一方、フェーズメーションは半導体・真空管に関わらず、全てのアンプ回路を無帰還で構成しています。ただ、負帰還アンプのように補正されないため、同社は構成部品や回路に高い精度と技術を投入することで解決したのです。

    【 充実機能 】~徹底的にレコード再生を楽しむ~
    1. MM/MCが切り換え可能な3系統の入力装備。入力1、2はバランス対応。
    2. レコードの反り対策のため、CR2段の無帰還型のローカット・フィルター搭載。
    3. 3種類のイコライザーカーブ(ステレオRIAA/モノラル専用2種類)を装備。
    4. デノン・オルトフォンなどの鉄心入りMCカートリッジ用の消磁回路を搭載。

    【 高音質部品 】~並々ならぬ部品への拘り~
    1. RIAA回路の素子には、1%グレードの金属皮膜抵抗とシルバーマイカ板を使ったマイカコンデンサーを使用。
    2. 信号回路には、エルナーのシルミック・電解コンデンサーや1%グレードの金属皮膜抵抗を使用。
    3. 電源トランスには、Rコアを用いた漏れ磁束の少ないトランスを「+」電源と「-」電源に各々専用に計4ケ使用。
    4. 電源回路のダイオード、コンデンサーにはいずれも高音質、ローノイズ部品を採用。
    このように、アナログを知り尽くしたフェーズメーションが「半導体フォノアンプの集大成」を目指したというだけあって、プリアンプ内蔵のフォノイコライザーとは次元の違う内容のフォノアンプが完成したのです。

    ■ MC昇圧トランス『 T-1000 』

    本機はフェーズメーションの最高峰MCトランス「T-2000」で採用されたモノラル筐体を採用。左右の干渉がなくなることで、情報量の豊かな高音質を目指して開発されました。

    前述のように【 バランス伝送対応の入力部 】と【 MCトランス 】については、フォノアンプ『 EA-550 』と同じ構成です。

    【 L/R独立のモノラル2筐体 】

    前面パネルは10mm厚で上部をスラントさせ、シャーシは1.2mm厚の銅メッキ綱板、1.6mmの銅メッキ綱板カバーを採用することで、強靱な筐体を実現しています。

    また、トランス付近に磁気シールドを配置することで、外部からの誘導ハムや磁気歪を低減しています。

    さらに、トランス自体もハイダンピングラバー材で本体からフローティングして、外部振動の伝播を防止しています。

    【高音質部品】

    入出力端子は定評のあるFURUTECH製のロジウムメッキ端子、脚部にも外部振動を遮断する重量級金属インシュレーターを採用して、更なる解像度の向上を目指しています。

    ■ 最後に
    フォノアンプ『 EA-550 』は、本格的昇圧トランス内蔵のフォノイコライザー。しかも、モノラル2筐体という、他に類を見ない構成であり、本格的にアナログを極めたい方には打ってつけの理想のレコード再生が楽しめるでしょう。

    『 EA-550 』と『 T-1000 』の昇圧トランスは全く同じであり、すでに良質なフォノイコライザーをお持ちの方やMCヘッドアンプをお使いの方は、『 T-1000 』をお使いになることで、バランス伝送やトランスのメリットに加え、モノラル筐体という特に微小信号を扱うMCカートリッジにとっては理想の伝送環境が実現します。

    フォノ入力をモノラル筐体で受けることのメリットは、実際に体験していただかないと、なかなか理解していただけないかも知れませんが、モノラル録音のレコードでさえ立体的なサウンドが実現し、特に奥行き感が出てくるのは感動ものです。

    アナログをもっと極めることで、本物のアナログブームが長く続けば、オーディオの楽しさがさらに広がることでしょう。
    (あさやん)

    2019年12月19日 (木)

    Fyne Audio『 F500シリーズ 』より、ピアノグロス仕上げのモデルが登場!!

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    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
    今回は、元TANNOY社の精鋭達が技術の粋を集めて創り出した、Fyne Audioの主力モデル『 F500シリーズ 』を取り上げます。ピアノグロス仕上げのモデルが追加され、さらに選択肢が広がりました。この『 F500シリーズ 』は、上位機同様のオリジナル技術が豊富に盛り込まれています。まずはその説明から始めます。



    ■ スコットランド発スピーカーブランド『 Fyne Audio 』について,
    ,
    ,Fyne Audio(以下:ファイン・オーディオ)は、2017年創業の新進スピーカーメーカーで、社屋はスコットランド中南部のラナークシャー地域にあります。その主要スタッフは元TANNOY社の精鋭6名です。彼らは1980年代から17年間TANNOY社に在籍し、数々のプロダクトを手掛けたエンジニアリング・ディレクターであるポール・ミルズ博士を中心に、全員が長年ハイエンドオーディオ業界に深く携わってきており、豊富な創造的スキルや技術力を持った技術集団です。

    ,因みに、「Fyne」というブランド名は、スコットランドの美しい湖の「Loch Fyne (ファイン湖) 」に由来しているそうです。その近辺はスコッチウイスキーの産地であり、一方で時計や車などの精密工業も盛んな、自然にも恵まれた風光明媚なエリアだそうです。

    ,日本国内でのデビューは昨年(2018)9月ですが、2017年の創業からすぐにフラッグシップモデルを始め、中堅・入門モデルに至るまでの幅広いラインナップの設計・製造を開始し、発売と同時に瞬く間に世界のオーディオファイルの人気を集め、併せて海外のオーディオ専門誌からの極めて高い評価を獲得したのです。

    ,同社のラインナップには、フラッグシップモデル「F1シリーズ」、ハイエンドモデル「F700シリーズ」、主力モデル「F500シリーズ」、そして入門機「F300シリーズ」があり、創業僅か2年余りのメーカーとしては異例な充実度です。
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    ■ BassTrax Tractrix ポート・ディフューザーシステム(特許出願技術),
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    ,ファイン・オーディオの独自技術で、低域の放射特性を圧倒的に改善します。「トラクトリック」とは造船工学で用いられる理論で、低域成分を360度方向へ拡散させる構造のことで、一般的なバスレフとは異なり、エンクロージャー下部の仕切った小さな部屋の天井部分にバスレフポートを設け、さらにその直下の開口部に円錐状のディフューザーを設けるというものです。

    ,この独自のシステムは、ポートから垂直に発せられた音波のエネルギーを90度向きを変えて360度に亘る均一な波面に変換します。その結果、壁面からの部分的な強い低域反射が抑えられることで、スピーカーの設置条件は大きく緩和され、クリアで力強い低域再生が実現するとしています。またバスレフポートのチューニング周波数を下げることにも貢献しています。
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    ■ ISOFLARE ポイントソース・ドライバー設計,
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    ,Bass/MidドライバーとHFドライバーの音軸の中心を共有するポイントソースシステムは、一般的には同軸ドライバーと呼ばれます。ただ、点音源の効能と引き換えに鋭い指向性を持ってしまうことが多く、どうしてもスイートスポットが狭まってしまいます。

    ,ファイン・オーディオ独自の「アイソフレアー(※)」技術は、HFドライバーの開口部にひだ構造を設けると共に、Bass/Midドライバーコーンに放射角の綿密な計算によって湾曲形状を持たせることで、高域エネルギーを等方的に拡散放射する複合曲線を創り出すことに成功したのです。これによって指向特性が大きく改善され、音波が全方向に放射拡散されてリスニングエリアを広くカバーし、優れたステレオイメージを作り出します。
    (※あたかも宇宙の一点から発したフレアー光が全方向に放射拡散されるのに似ていることから命名)

    ,《 HFコンプレッションドライバー 》
    ,Bass/Midドライバーから独立した専用の磁気回路を搭載し、強磁界ネオジウムマグネットと高剛性チタンダイヤフラムで構成されています。高域の固有共振周波数は可聴帯域外の30kHz以上に、また低域共振はクロスオーバー周波数の遥か下方に追いやった結果、ミッドレンジとのつながりは自然で、滑らかに伸びきった高域レスポンスを獲得したのです。

    ,《 Bass/Mid & Bassドライバー 》
    ,中低域を受け持つBass/Midドライバーユニットと、フロア型の「F501」「F502」の低域を担うBassドライバーユニットのシャーシーフレームはいずれも高剛性アルミニウムダイキャスト製で、不要振動を徹底排除しています。コーンにはマルチファイバー・ペーパー素材を採用し、自然な響きとスムーズな応答を実現しています。
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    ■ FYNEFLUTE テクノロジー,
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    ,一般的なスピーカーユニットの単純な湾曲形状(ロールラバー)のエッジ構造では、エッジの材質に特有の固有周波数共振が存在します。振動板の動きを受けたエッジはそれを励起させ、反作用としてそれが振動板(コーン)に伝わってしまいます。その結果、本来フリーでなければならない振動板の動きが害され、音のカラーレーションが引き起こされるのです。

    ,FYNEFLUTE (ファインフルート)テクノロジーは、コンピューター解析によって得られた特殊な溝(フルート)を刻み込んだ複雑な曲面形状を持たせています。この不均一な曲面形状が、コーンから伝わるエネルギーを効果的に制御し、音のカラーレーションをコントロールできたのです。
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    ■ キャビネット構造,
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    リアルウッドつき板仕上げ(PGはピアノグロス塗装)の美しいキャビネットは、ドライバーの後部支持も兼ねた高剛性クロスブレースMDF構成をとっており、堅牢で箱鳴りを徹底的に抑えてクリーンで重厚な響きを実現しています。

    ,また、フロアスタンディングモデル「F501」「F502」では、内部空間を二つに仕切ったツインキャビティー・チューニングシステムを採用しており、内部定在波の大幅な低減と、ポートチューニング周波数付近での不要なコーンの動きを抑制して、追従性を向上させています。そして、重量級のリジットなMDF台座には大型のフロアカップリングスパイクを装備して、重低音の再生能力とステレオイメージングの再現性を高めたとしています。
    ,
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    ■ 『 F500シリーズ 』のサウンド,
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    ファイン・オーディオの創業メンバーの一人は、「目指した音は自然な音」、別のTANNOYというイメージを持たれたくなかったといいます。そのため、メンバーが相当のディスカッションを重ね、前述の新技術が生まれたのだといいます。そして「バランス重視」のサウンドを目指したのです。それは、家に持ち込んでも、非常にバランス良く、ゆったりとして聴けるスピーカーが理想だとの考えからだそうです。

    ,大阪ハイエンドショーでの試聴では、量感のある低域と滑らかで聴き疲れしない高域が印象的でした。ここには【 BassTrax Tractrix 】や【 ISOFLARE 】、そして【 FYNEFLUTE 】の新技術が効いているのでしょう。

    ,力強く重厚で、弾力性のある低音、それでいて拡がりがあり、詰まった所の全くない開放感は魅力的です。また決してクールになることがなく、温もり感やしっとり感も備わっています。

    ,中高域はさすがにコンプレッションドライバーによる同軸ならではと感じさせる模写力で、リニアリティーやスピード感は格別です。

    ,全帯域に亘って音色感が統一されスムーズで、明瞭に模写される音像は点音源の成せる技でしょう。そして見通しが良く、空間感も正確に描き出しました。

    ,新たに仲間入りした「ピアノグロス・モデル」は、ピアノと同様に幾層にも丹念に重ね塗られ、バフ仕上げで美しい光沢を醸し出しています。しかも表面硬度が高い分、剛性が高く共振もし難いと言います。結果、よりヌケの良い、表情豊かなサウンドをもたらしたのです。

    ,総じてファインオーディオ「F500シリーズ」はC/Pが高く、『 TANNOYのようでTANNOYでない 』独自のサウンドを獲得したのです。今後の展開が非常に楽しみです。
    (あさやん)
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    2019年12月 6日 (金)

    アキュフェーズから、新フラグシップ・プリメインアンプ『 E-800 』登場!!

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
    アキュフェーズの近年のアンプにおける技術革新はめざましいものがあり、このコーナーでも何度となく「まだやることがあった!」「さらに頂点を極めた!」などのタイトルで同社の製品を取り上げて来ましたが、その集大成が、今回ご紹介する『 E-800 』だといえます。

    それでは、その集大成ぶりを詳しく見て参りましょう。きっとアキュフェーズが持つオーディオ技術の粋を集めて完成させたのだと納得されることでしょう。



    ■ 音元出版主催《 オーディオ銘機賞 2020 》金賞受賞
    アキュフェーズは今年(2019)から2022年にかけて発売する同社の《 創立50周年記念モデル 》の第一弾として、プリメインアンプのフラッグシップモデル『 E-800 』を発売。プリメインアンプとしてアキュフェーズ史上最高のスペックを目指して開発したという純A級プリメインアンプです。プリアンプ「C-3850」とA級パワーアンプ「A-250」などの技術を投入して、セパレートアンプのクオリティをプリメインで実現したとしています。

    同社の設立はご存知の通り1972年6月1日です。恐らく今後2年ほどかけて各ジャンルのフラッグシップ機をリニューアルしていくものと思われます。その第一弾が『 E-800 』という訳です。これからの同社の製品展開が非常に楽しみになってきます。

    まずはその外観です。一見するとパワーアンプかと見紛うほどの堂々たる寸法の筐体です。横幅465mmこそ、同社の他のコンポーネンツと共通ですが、その高さは実に239mmと、「E-650」より約5cmも背が高くなっています。重さも「E-650」より10kg以上重い35.9kgでプリメインアンプとしては限界とも思える超重量級です。

    ■ 大型パワーアンプ並の『 電源の構成パーツ 』

    電源の構成パーツもプリメインのそれではなく、大型パワーアンプ並の新開発の大容量トロイダル・トランスと、こちらも新開発(材料と内部構造を吟味)の実に60,000μFの平滑用のアルミ電解コンデンサ(「E-650」は50,000μF)を搭載するなど違例尽くしです。

    8Ω負荷での定格出力は純A級で50W(最大出力:90W)にも達しています。しかも4Ωで100W(165W)、2Ωで200W(272W)とリニアで、1Ωの超低負荷(音楽信号)でも300W(360W)の大出力を保証しています。

    ■ 『 S/Nの改善 』『 ダンピングファクターの向上 』

    次に回路を見てまいりましょう。最近のアキュフェーズ製品に見られるこだわりには、【 S/Nの改善 】と【 ダンピングファクターの向上 】が挙げられます。

    【 S/Nの改善 】

    プリアンプ部には今やアキュフェーズのお家芸ともいえる《 AAVA※ 》方式のボリューム・コントロールを採用していますが、それには最上位の「C-3850」で採用している《 Balanced AAVA 》回路を凝縮して搭載しているとのことです。

    パワーアンプ回路の入力部を「C-3850」のバランス入力アンプでも実績のあるアンプ回路とすることで、入力から出力に至るまで完全バランス構成となり、理想的な信号伝送を達成したのです。結果、S/N(ボリュームMAX時)は107dBを達成。全ボリューム位置において「C-3850」に匹敵する低雑音性能を実現しています。これは同じ《 Balanced AAVA 》が搭載され、究極といわれた「E-650」の105dBをも凌ぐ画期的な数値です。

    ※《 AAVA 》とは、可変抵抗ボリュームを使用しないボリューム・コントロール方式で、音楽信号(電圧信号)を16種類の電流信号に変換(重み付け)し、この中からボリュームの位置に応じて最適な組み合わせを選択。この選択した電流信号を1本の電流信号に合成して再度電圧に戻す、完全なアナログボリュームです。

    【 ダンピングファクターの向上 】

    パワーアンプ部の出力素子は、電気的特性が優れ、熱的に非常に安定した動作のパワーMOS FETによる6パラレルプッシュブル駆動としており、アンプ出力の低インピーダンス化によってスピーカーの定電圧駆動を実現したのです。増幅部には、超低雑音インスツルメンテーションアンプを導入し、驚異的なS/N比を実現しています。

    パワーアンプのNFBをスピーカー端子の直近から信号に加えGNDからも帰還を掛ける《 バランスド・リモート・センシング 》化すると共に、プロテクション基板を配線のないスピーカー端子直結としています。更に出力信号の切断に機械式リレーではなく「A-48」と同じ長期信頼性に優れたMOS-FETによる半導体スイッチにすることで、出力回路を徹底的に低インピーダンス化してダンピングファクターを1000と大幅に改善し(「E-650」は800)、スピーカーの特性を最大限に引き出すことが可能となったのです。

    保護回路も充実しており、ショートによる異常な大電流を検出したり、ヒートシンクに取り付けられた温度センサーが異常な温度を検出すると、MOS-FETスイッチをOFFにし、メーターランプをフラッシング(点滅)して異常を知らせてくれます。更に出力段のMOS-FETのアイドリング電流を下げて温度が上がらなくする回路が追加されており、純A級アンプとしては非常にユーザー・ファーストな機能です。

    【 拡張性も充実 】

    バランス入力端子”BAL 2”を追加して「C-3850」と同じバランス入力数としています。リアパネルにはオプションボード増設スロットを2箇所設けており、別売のUSB/光/同軸端子を備えたデジタル入力ボード「DAC-50」、アナログ入力ボード「AD-50」、ライン入力ボード「LINE-10」をお使いになることで、更なる機能強化が図れます。「DAC-50」では本機でのサンプリング周波数の表示も可能で、kHz/MHzの切り換えもできます。

    パワーメーターのバーグラフのドット数を、「E-650」の26ドットから30ドットに増やして-50dBの目盛りまで刻んでおり、滑らかに小音量時まで読み取りが可能です。文字盤の文字も大きくなっています。またボリュームノブとセレクターノブの周りのリング(台座)を「C-3850」と同様のより高級感のあるデザインにしています。勿論アルミの押し出し材を使用した重厚なリモコン、5芯マルチ構造による極太のOFC導体を採用した色づけの少ない電源ケーブルが付属しています。

    ■ 『 E-800 』の音質
    試聴は先日開催された「大阪ハイエンドショー」のアキュフェーズブースで確認しました。

    セパレート(「C-3850」+「A-250」)との比較では、音色的にはほぼ互角で、低域に関しては『 E-800 』の方がソースによって厚みを感じる場面もあり、全く遜色のないレベルでした。また中域の充実度はプリメインのレベルではなく、まさに高級セパレートの世界でした。

    安定感もプリメインのそれではなく、とにかくぶれない余裕を感じました。これこそ充実した大規模な電源のお陰だと思います。一方で小音量時でも密度感が維持されており、純A級アンプならではとも感じました。いわゆる、プリメインではもちろん高級セパレートでも難しい非常に貴重な、大音量にも小音量にも強い万能型のアンプといえます。

    S/Nが良いためか音の見通しが非常に良く、音場が広々と感じられ、その中の楽器の前後感や会場の奥行き感が実に明瞭に感じました。また音数が多く感じるほど情報量がたっぷりで、従来聴き取れなかった細かなニュアンスまで感じられたのでした。

    そして何より音楽性の高さが、プリメインアンプはもちろん、セパレートでも表現しきれないような本物の音楽を味わうことができたのには心底驚きました。ボーカルは生しく、ジャズは力強く、クラシックはしなやかに、ミュージシャンがまさにそこにいるのです。これは”事件”です。

    アキュフェーズの技術資料によりますと、『 E-800 』を設計したエンジニアは、セパレート「C-3850」「A-250」の組合せを超える音をプリメインアンプで目指し、時間をかけて音をつくり上げたのだとしています。

    その成果が十分発揮された非常に完成度の高いサウンドに感動し、セパレートが本当に必要なのかとの疑問まで湧いてきました。筆者のアキュフェーズに対する信頼度が益々高まりました。
    (あさやん)

    2019年12月 3日 (火)

    話題騒然!! ELAC(エラック)から最新鋭《 CARINAシリーズ 》登場!

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
    今回は、オーディオ業界のカリスマ「アンドリュー・ジョーンズ」氏が手掛けた初の「JETツイーター」搭載スピーカー ELAC《 CARINAシリーズ 》をご紹介します。

    その優位性から最近目にすることが多くなってきた「エアモーション・ドライブ方式」のパイオニアであるELACが、長年手掛けてきた「JETツイーター」。その名ドライバーを著名なスピーカー・エンジニアがどう使いこなしたのか、大注目です。


    ■ ELAC(エラック)について
    ELACは今やドイツを代表するスピーカー専業メーカーですが、私のようなオールドファンには《 ELAC=カートリッジ 》がどうしても頭に浮かびます。かの大ベストセラー「STS-455E」はMM型としてはSHURE「V15-TYPE3」と双璧で、多くのユーザーが使っていました。SHUREの切れ込みの良さとは対照的な穏やかで温かみのある音で、クラシックやボーカル再生には欠かせませんでした。

    ELACの創業は1926年(昭和元年)ですから、90年を超える老舗オーディオメーカーです。創業当時は潜水艦用のソナーなどの製造を手掛けていて、オーディオメーカーとしてのスタートは戦後の1945年です。音の歴史は70年余りということになります。最初に成功したのはレコードプレーヤーで、「ミラコード」というヒット・モデルがありました(2017年復活)。1957年にはカートリッジを開発。MMカートリッジの特許を取得したのでした。

    1980年代のCD登場後、本格的にスピーカー開発を始めました。4PIリボン・ツイーター、そしてハイルドライバーというユニークなアイディアを自らの手で改良を重ね、高性能オリジナル・ユニットに昇華させることに成功。日本には1997年、初めて「JETツイーター」を搭載した「CL 310 JET」が入って来たのですが、同時にその年、一世を風靡したカートリッジの供給を終了したのでした。

    20数年に及ぶELACのスピーカー開発ですが、そのターニングポイントとなったのは、2015年著名なスピーカー技術者である「アンドリュー・ジョーンズ氏(以下ジョーンズ氏)」を同社に迎え入れたことです。ジョーンズ氏は、数々の傑作スピーカーを生み出してきた“天才”エンジニアとされる人物で、KEFにて11年、INFINITYで3年、1997年からは日本のTADにて17年にわたりスピーカーを設計してきたオーディオ業界のカリスマです。

    そして、ジョーンズ氏がELAC入社後に手掛けた第一弾が「Debut Line」で、ジョーンズ氏によってデザインされたウーファーとツイーターを搭載したエントリークラスのスピーカーでした。その後「Debut Line」は2.0へと進化し、ドライバー・ユニット、ネットワーク、エンクロージャーといった主要アイテム全てが新規に開発され、エントリー・ラインでありながらも、ジョーンズ氏のキャリアの中で培ってきたノウハウが惜しみなく注がれ、大きくそのパフォーマンスを向上させたのです。

    《 CARINAシリーズ 》は、ジョーンズ氏がELACの既存モデル(中心モデルともいえる「240 LINE」)のリファインを手掛けるのは今回が初めてということもあり、その点でも注目されます。ちなみに《 CARINA(カリーナ) 》とは、竜骨(船底の隆起部分)のことで、先にリリースされた「VELA」はラテン語で帆を意味しています。いずれもELACがあるドイツのKIEL(キール)がバルト海に面していることに由来しているようです。

    ■ JETフォールデッド・リボン・ツイーター
    ELACのハイエンドスピーカーに搭載されている「JETツイーター」は、1970年代 ESSというメーカーが出した「amt1」というスピーカーに初めて搭載された「ハイルドライバー」を進化させたものです。「ハイルドライバー」はオスカー・ハイル博士が発明した「Air Motion Transformer」のことで、当時私はその繊細さや透明感に大変感動したものです。

    その見た目も美しいアルミとパルプのハイブリッドドライバーであるELACの「JETツイーター」は、サウンドは勿論のこと、外観も非常に魅力的なものです。「JETツイーター」こそ、ELACのハイエンドスピーカーの人気の源でもあり、今や《 ELAC=JETツイーター 》と言っても過言ではありません。

    今回《 CARINAシリーズ 》に採用された新バージョン「JET folded ribbon」は、従来からの「JETツイーター」の基本構造は受け継ぎ、応答性の良さや高耐入力などの圧倒優位点を維持しながら、「JETツイーター」をもっと幅広いラインアップで使うべく開発された新設計ドライバー・ユニットです。基本性能を損なうことなくコストダウンに成功したこの「New JET」が完成したことで、従来のクラスの常識を打ち破る、画期的なスピーカーの誕生に至ったのです。

    「JET folded ribbon」は、呼称にフォールデッド・リボンとありますが、従来のJETと同様の製作工程で製造されるダイナミック型ドライバー・ユニットです。ただ現行の「JET-V」とは区別されており、高域の周波数特性は30kHzまでと実用的な数値となっています(「JET-V」は50kHzまでカバー)。

    ■ コンパウンド・カーバチュア(複合曲率)135mmアルミニウム・コーンウーファー
    ウーファーも新たに設計されたアルミニウム・コーンドライバーを採用。振動板は、従来のELAC製品で見慣れたクリスタル形状ではなく、異なる曲率を組み合わせたコーン形状を採用しており、この特殊な形状により、分割振動の共振周波数を巧みにコントロールすることで、分割振動による歪みを再生帯域外に追いやっているのです。

    またポールピース(ボイスコイルの中心にある導磁率の高い鉄製の円柱)にベント構造(通気口)を設けることで、ボイスコイルの冷却とウーファーダクト内の空気排出をスムーズに行なえ、強力な磁気回路で駆動される大口径ボイスコイルの反応が良くなり、低域の音質向上にも繋がったようです。

    ■ 高品位なエンクロージャー
    《 CARINAシリーズ 》のエンクロージャーは、仕上げは艶消しのサテンブラックで、断面はリアを絞り込んだ台形形状、コーナーは緩やかなラウンド形状となっています。このため、外形寸法の数字から想像するよりスリムに感じます。エンクロージャー内部は、上級機「VELAシリーズ」と同様リブを効果的に入れることで強度を高め共振を抑えているようです。十分な剛性の高さを感じます。

    また、正面からはちょっと見分かりにくいのですが、フロア型は勿論ブックシェルフ型もスチール製フレームに固定されており、底部にバスレフポートが下向きに設けられて、耳障りな風切り音をシャットアウトしており、壁などに左右されず、設置環境の影響が受けにくくなっています。

    エンクロージャー内のクロスオーバー・ネットワークは、ツイーター用とウーファー用それぞれ独立した基板で構成されており、上級機と同様の設計だとのことです。スピーカーターミナルはバイワイヤリング接続に対応しており、造りが堅牢で太めのスピーカー・ケーブルもしっかり固定できます。

    ■  《CARINAシリーズ》の音の印象

    いずれのスピーカーもJETツイーターとウーファーが近接しているため、ボーカルや楽器がピンポイントで定位し、不自然に広がったり曖昧に感じることはありません。特にボーカルは滑らかで、かすれたり、きつく感じることは全くありませんでした。また超高域のエネルギー密度が高く、線が細くなってしまうことがなく、芯のあるしっかりした高域が再現されました。これこそ新作JETツイーターの威力で、コーンやドームでは絶対に叶わないな表現力だと感心しました。

    一方、JETツイーターの応答の良さに合わせるべく新たに開発されたウーファーだけあって、フロア型は勿論ブックシェル型でも低域から中低域にかけても、曇ったりヌケが悪くなることがなく、とにかく歯切れの良さ、音離れの良さは格別で、全帯域にわたってスピード感が統一されていると感じました。そして音楽の鮮度が高く感じられ、生々しいリアル感も十分味わえます。

    特にブックシェルフの『BS243.4』の小音量時のリアリティは必聴に値します。一方低域の量感を求めるならやはりフロア型の『FS247.4』に一日の長があります。

    ■ 最後に

    《CARINAシリーズ》は、ELACとしては「VELAシリーズ」とともに中心的な存在で、新たに開発したJETツイーターを採用したことからも、そしてジョーンズ氏を起用したことからも分かるように、同社の主力機種という位置づけです。

    音楽情報の細部まで引き出すクオリティの高さ。そして音楽を楽しませる有機的な躍動感は、ELACが築いてきたサウンド・パフォーマンスに新しい魅力を加えたとも言えます。

    Joshin-WEBがELAC製品を本格的にプロモートする第一弾が《CARINAシリーズ》です。自信を持ってお勧めします

    (あさやん)

    2019年11月28日 (木)

    性能の極限に迫る!! Accuphase『 E-380 』が登場!!

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
    Accuphaseのメインストリーム《 300番台 》に最新鋭機『 E-380 』が登場!! 本日は、徹底解説いたします。

    Accuphaseから4年ぶりとなる、同社のプリメイン中核機でもある《 300番台 》の最新鋭機『 E-380 』が登場。前作の「E-370」はプリメインとしての性能の高さは勿論、その信頼性においても、このクラスのハイエンドプリメインとしては圧倒的な人気を獲得しました。そんな完成度の高い「E-370」に、さらにどのように改良の手を加えたのか、興味津々です。



    ■ Accuphase 300番台とは
    最新鋭機『 E-380 』をご説明する前に、Accuphaseのメインストリーム《 300番台 》の歴史に少し触れておきましょう。300番台のプリメインアンプのルーツは、バブル真っ只中の1987年12月まで遡ります。当時はオーディオ業界もピークを迎え、バブルに沸いていた時代でした。

    その後、3~4年おきにモデルチェンジを重ねつつ、確実に進化を遂げ、いずれも人気を博して来ました。

    「E-305」(1987.12)→「E-305V」(1991.11)→「E-306」(1994.12)→「E-306V」(1997.12)→「E-307」(2000.12)→「E-308」(2004.04)→「E-350」(2007.11)→「E-360」(2011.11)→「E-370」(2015.11)」と変遷し、今回の『 E-380 』が記念すべき10世代目となります。

    「まだ何をすることがあったのか?」「何が出来るのか?」ほとんどのオーディオマニアの方は、疑問に思われることでしょう。かく言う私自身もそうでした。実際に『 E-380 』の音を聴くまでは・・・。

    ■ いきなり、核心に迫る
    『 E-380 』を詳しく見ていく前に、先に結論をバラしてしまいますと、前作「E-370」とサイズ的には全く同じで、重量も僅か100gアップの22.8kgです。しかし、パワーは20%もアップ(180W/4Ω、120W/8Ω)したのです。

    従来の感覚では、プリメインアンプの筐体サイズとパワーには正比例とは言わないまでも、確かに相関関係はあると感じていました。実際Accuphaseもそう考えていたようです。

    開発当初それは容易ではなく、試行錯誤を繰り返した末に辿り着いたのが、電源部や電力増幅段の強化で、それが実を結んだのです。たかが20Wですが、されど20W。実際出てくる音は確かに違いました。「E-370」との比較試聴結果は最後にございます。

    それでは、Accuphaseが『E-380』に注入した独自技術を、4項目に分けて、ご説明いたします。

    ■ 1.《 AAVA(Accuphase Analog Vari-gain Amplifier)方式ボリューム・コントロール 》の採用
    あえて「Analog」を入れているのは、デジタル・ボリュームと違うことを強調したかったからだと思います。

    抵抗体を使う一般的なボリュームと違うため、ちょっと見、デジタルボリュームではないか。まして、リモコンでボリューム調整ができるのですから当然です。

    しかし、《 AAVA 》は違います。

    音楽信号(電圧信号)を16種類の電流信号に変換(重み付け)し、この中からボリュームの位置に応じて最適な組み合わせを選択。この選択した電流信号を1本の電流信号に合成して、再度電圧に戻すのです。《 AAVA 》基板の上位の電流信号を扱う部分(VIアンプ)に改良を加え、全体のインピーダンスを1/2に下げて低インピーダンス化を図りました。

    これによって何がどう違うのでしょう。

    デジタル・ボリュームは音楽信号を一旦デジタル信号に変換して音量調整するため、どうしてもデジタル特有のノイズを回避できず、クールで痩せぎすのサウンドであったり、味わいのない無機的な音というのがマニア共通の認識で、多かれ少なかれ体感されたことだと思います。

    一方、一般的なアナログ・ボリュームは、入力信号を可変抵抗器(いわゆるボリューム)や固定抵抗器の組合せで一旦減衰させた後、固定ゲインのアンプで増幅して音量を変化させています。そのため、抵抗体を通ることでノイズが多くなり、回転角度で異なる性能となってしまうのです。結果、S/N比や歪率の低下を招くとともに、可変抵抗器の接点が常に空気に触れていることで経年変化が起こり、よく経験するガリを発生させてしまうのです。信頼性に難ありです。

    このように《 AAVA方式ボリューム・コントロール 》はデジタルのようでアナログであり、しかも可変抵抗器を使わない画期的なボリュームなのです。このため、ボリューム位置により周波数特性が変わることがなく、音質変化もありません。また、アンプのゲインで音量を直接調整するため、高S/N比、低歪を実現でき、しかも回路全てが電子部品でできているため、長期にわたって信頼性が非常に高いのです。

    ボリュームノブの感触も高級機のそれと同様の滑らかさで適度な粘性もあります。さらに《 AAVA 》のメリットとしては、可変抵抗器ではないため左右の音量バランスが正確であり、左右のチャンネルが独立した回路となるためクロストークがなく、チャンネル・セパレーションも大きく取れています。バランスコントロールやアッテネーター機能は《 AAVA 》で行うため、音楽信号が余分な回路を経由することがなく高音質に結びつくのです。

    《 AAVA 》はAccuphaseの最上位のプリアンプ「C3850」をはじめ、全てのプリアンプ、プリメインアンプに採用されており、同社製品への信頼性がさらに高まったのです。特に『 E-380 』では、前作の「E-370」から回路の見直しによる低インピーダンス化や高精度な薄膜抵抗を多く採用することで、定格出力時のS/N比が2dB改善できたとのことです。

    ■ 2.電力増幅段と電源部の強化で定格出力がアップ
    出力素子は前作と同じバイポーラ・トランジスターによる2パラレル・プッシュプルなのですが、『 E-380 』ではヒートシンクを大型化し、放熱効率を上げ、電源部の電源トランスを新開発の大容量EI型トランスにして強化しています。

    さらに、電解コンデンサーを本機のために開発したカスタム仕様の大容量コンデンサーとし、容量を前作の30,000μFから33,000μFに10%大容量化することで、「E-370」と同サイズでありながら出力の20%アップを達成したのです。

    歴代の《 300番台 》の定格出力が100W/8Ωであったのに対し、その殻をついに破って120W/8Ωとしたのです。これは数字以上に大きなことです。

    ■ 3.ダンピングファクターもアップ
    ダンピングファクター(DF)は、スピーカーの逆起電力を吸収して、スピーカーをコントロールする能力示す指標ですが、前作の「E-370」に比べ25%も向上し、実にDF:500を達成したのです。

    このクラスのプリメインアンプではちょっと見掛けない数字で、《 300番台 》の初代機「E-305」でDF:100、「E-350」でもDF:120でしたから、その差は圧倒的です。これはプロテクション回路に、一般的なリレーに代えて使われている「MOS-FETスイッチ」を、最上位のパワーアンプ「A-250」と同じ部品にすることや、基板パターンをより太く短くすることで実現できたとのことです。

    ■ 4.その他の進化点
    「MOS-FETスイッチ」を使った保護回路は、配線をなくしスピーカー端子と直結されており、リレーのような機械的接点がなく、劣化などの経年変化がないため信頼性の高いものです。

    しかも、定格電流が160Aと非常に大きく、ON抵抗(通過時の抵抗)が0.002Ω(E-370は0.0026Ω)と低くなり、音質の劣化も防いでいます。そして、スピーカー端子がショートされた時やパワートランジスターが異常発熱した場合、スピーカー出力をOFFし、メーターランプを点滅させて知らせてくれます。

    音質には直接関係のない改良ですが、大型のパワーメーターの目盛りを-50dB(従来-40dB)まで増やすことで、小音量時でもパワーが視認できるようになりました。

    また、リアパネルのオプションボード増設スロットにデジタル入力ボード「DAC-50」を使用した場合のサンプリング周波数の表示が、PCMで384kHz(前作192kHz)まで、新たにDSDも11.2MHzまで対応しています。

    ■ 試聴しました
    このように過去9世代にわたって改良を積み重ねてきて、まだやることがあるのかと当初大いに疑問でした。その上で、新しく注入した独自技術の数々を技術者に説明していただいても、なお「本当に良くなっているの?」という疑問はなかなか消えませんでした。

    今回、『 E-380 』を前作「E-370」と比較しながら試聴しました。スピーカーは、B&W「805D3」を使用しました。



    「E-370」での音は、当webサイト専用試聴室でのリファレンスアンプでもあり聴き慣れた音で、安定したまさにAccuphaseの音で、特に不満を感じることもありませんでした。

    しかし、『 E-380 』に変えた瞬間サウンドが一変したのです。

    透明感が上がり、「E-370」でほんの少し感じた色付けもなくなり、生の音のような滑らかな清々しいサウンドが広がったのです。音の粒子が細かくなり、高音域の僅かなディテールも感じられるようになりました。

    低域方向への伸びも顕著で立ち上がりや締まりが良くなり、厚みが加わり雄大で落ち着いたサウンドです。これは、ダンピングファクターが効いているように感じました。

    S/Nが良くなったためか響きが豊かになり、小音量時に少し感じた、くすみや歪み感が消えていました。このためボリュームを上げていってもうるささは感じなくなっています。

    女性ボーカルもリアルで顔の表情まで感じられる位でした。しっとりと落ち着いた魅力的なもので、いつまでも聴いていたくなりました。

    これはハッキリ言って別のアンプであり、間違いなく1ランク以上グレードが上がったと感じました。性能の極限に挑戦したAccuphaseの技術陣の凄さを改めて感じます。とにかく、このクラスのアンプとしての完成度の高さは海外製を含めダントツだと思います。
    (あさやん)

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    • 下記店舗では、ハイレゾからアナログまで、Accuphase・B&Wなどのハイエンド オーディオ製品やオーディオアクセサリーが充実。試聴室完備で比較試聴も できます。

      日本橋1ばん館 4F
      (大阪 日本橋)

      三宮1ばん館 B1F
      (神戸 三宮)