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2019年8月16日 (金)

【デノンエントリーモデルがリニューアル!】DCD-600NE、PMA-600NEが登場!


みな様、こんにちは!
世間は長期休暇の真っ只中という方もいらっしゃるでしょう!!
しかしそんな中でも鋭意活動中のとうふです!

さて、今回ご案内させていただくのは先日発表となった新製品です
デノン製CDプレーヤーのニュー・エントリーモデル、

デノン
CDプレーヤー
DCD-600NE


そしてプリメインアンプのニュー・エントリーモデル

デノン
プリメインアンプ
PMA-600NE

です。

これまでデノンの"エントリーモデル"と言えば
CDプレーヤーの【DCD-755
そしてプリメインアンプの【PMA-390】でした。

その歴史は古く、
プリメインアンプの
1991年発売の【PMA-390】
1995年発売の【PMA-390Ⅱ】
1998年発売の【PMA-390Ⅲ】
2000年発売の【PMA-390Ⅳ】
2006年発売の【PMA-390AE】
2009年発売の【PMA-390SE】
2012年発売の【PMA-390RE】
と、実に28年、30年近くも続いていた歴史のあるアンプです。

特に私の印象に残っているのが、2000年発売の【PMA-390Ⅳ】です。
音に厚みがあり、家にあったハイコンポやパソコンに簡易で接続していたアンプ内蔵スピーカーと全く異なる表現に感動しました。
学生だった私に据置オーディオの面白さを体感させてくれた、非常に思い出深いアンプです。
2006年発売の【PMA-390AE】からアンプデザインがガラリと変ったのも印象的ですね。
それまでの質実剛健!といったデザインから流線型のお洒落なデザインに変っています。

CDである【DCD-755】を冠したモデルはアンプ程古くなく、
2000年発売の【DCD-755】が初代となります。
その後
2002年発売の【DCD-755Ⅱ】
2006年発売の【DCD-755AE】
2009年発売の【DCD-755SE】
2012年発売の【DCD-755RE】
と代を重ねていき、20年近くも続いたこちらもまた、歴史のあるプレーヤーといえるでしょう。
ちなみにCDプレーヤーも2006年発売の【DCD-755AE】から流線型のお洒落なデザインに変更されていますね。

さて、そんな名モデルも時代の流れ、と言うのでしょうか。
同じデノンでも2000シリーズ、1500シリーズがそれぞれ2500シリーズ、1600シリーズとなったように『NEシリーズ』に切り替わる時代がきたようです。
NEとはNew Era新時代新紀元という意味があり、サウンドマネージャーが現在の山内氏に代わった、新時代のデノンサウンドである意味が込められています。

山内氏がデノンサウンドに掲げるVivid&Spaciousの理念。
メリハリと繊細、そして広々とした音場的な表現で、いつまでも聴いていたい、音楽に没頭できる音作りを目指して作られたNEシリーズ。
その最新作は幅広い層にアピールできるエントリーモデルとして歴史のある390、755シリーズを装いも新たに"600シリーズ"として再スタートしたのです。

アンプである【PMA-600NE】では昨今のオーディオ事情を反映したのか、光/同軸入力とBluetooth入力に対応
最近は『音楽ソースはスマホやタブレットが専ら』という人が(世界的にも)増えた為、Bluetoothによる無線入力が追加されたようです。

逆にCDプレーヤーである【DCD-600NE】では原点回帰と言えばいいのでしょうか。
USB-A端子が廃され、純粋なCDプレーヤーに仕上がっています。

エントリーモデルでありながらこの600シリーズはNEシリーズ最新作だけあり、随所にこれまでのシリーズで得られたノウハウを活かした設計がされています。
その表現力は若干青さを感じさせながらも若々しく、エネルギッシュなサウンドで"音楽を耳にして楽しい"と感じさせてくれるオーディオというホビーの楽しさを教えてくれます。

これからオーディオをはじめる人たちにも、そして再びオーディオをはじめようとお考えの人にも。

この新エントリーモデル、600シリーズは"オーディオの楽しさ"、その原点を手軽に体感できるお薦めの組み合わせと言えるでしょう!
※両モデルは9月末発売予定です

それではいつもお買い得な「Joshin Web」でお待ちしております。

JBL伝統のホーン&ドライバー搭載『 STUDIO 6シリーズ 』に迫る!!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、お手頃価格で鳴らしやすい、良き時代のJBLのイメージそのままに現在に蘇ったスピーカー『 STUDIO 6シリーズ 』を取り上げます。


■ JBLについて
現在、JBLブランドのスピーカーには、「EVEREST DD67000」「L100 Classic」などの《 プレミアムモデル 》、「4367」「4312G」などの《 スタジオモニター 》、そして今回取り上げる「STUDIO 6シリーズ」「Stageシリーズ」などの《 スタンダードモデル 》の3ラインがあり、多彩です。

JBLは、ジェームス・バロー・ランシング氏によって、1946年に米カリフォルニアで設立されました。氏はJBL設立以前、アルテック・ランシングに籍を置いており、かの銘機「アルテック604」も開発しています。特に70年代、一世を風靡した「4343」をはじめとする「JBLスタジオモニター・シリーズ」は、私はもちろん、オーディオマニアの憧れの的でした。

同社のスタジオモニターは、プロオーディオの現場で鍛えられ、そして磨き抜かれ、そのノウハウを注入して卓越した音響特性を持つ、数々のホーム用スピーカーの傑作を世に送り出してきました。

そして、70年を越す歴史を持つJBLスピーカーの魅力は、何といっても「ホーン&ドライバー」にあるのは疑いのないところです。それが今に至るまで、アメリカを代表するスピーカーブランドであり続け、多くのオーディオファンから常に高い評価を受けている理由でもあると思います。

■ STUDIOシリーズについて
《 スタンダードモデル 》の「STUDIOシリーズ」はこれまで、2011年発売の「STUDIO 5シリーズ」、2013年発売の「STUDIO 2シリーズ」がありました。

これらはいずれもホーンを採用してはいましたが、「STUDIO 5シリーズ」は独特の縦型ホーンで違和感は否めず、ホームシアター指向であったため、今ひとつ人気は出ませんでした。

一方の「STUDIO 2シリーズ」は、25mmアルミベースのドームツイーターに、後にご説明しますHDIホーンを付けたもので、本格的ホーンとは少し違う構成を取っていました。

■ 最新モデル『 STUDIO 6シリーズ 』の特長を見てまいりましょう。


  • JBL伝統のコンプレッションドライバーと最新のHDIホーンを全モデルに採用

    やはり、『 STUDIO 6シリーズ 』で一番に目につくのは、JBLスピーカーのシンボルともいえるホーンで、JBL Professional直伝のHDI(ハイ・ディフィニション・イメージング)ホーンです。

    HDIホーンは、大型モニタースピーカー「4367」のために開発された技術で、「Xウェーブガイド・ホーン」を搭載することで、ホーンシステムならではの高密度かつ緻密なディテール表現と、広く一定した定指向性を獲得できたのだとしています。広いサービスエリア全体にわたり、フラットな周波数特性と均一な音圧で、正確な音像定位と共に明瞭なJBLトーンを実現できたのです。


        ▲ HDIホーン

    ドライバーは、前作「STUDIO 5シリーズ」と同じ「2441H」で高分子系のTeonexダイアフラム、マグネットはネオジュームのリングマグネット採用のコンプレッションドライバーです。世界中のコンサートで活躍するJBL ProfessionalのSRスピーカー「VERTEC SUBCOMPACT MODEL」のために開発されたドライバーです。


        ▲ コンプレッションドライバー

    ただ「STUDIO 5シリーズ」と比べ、ホーンの性能が格段に向上しており、指向性が広く、周波数特性も広いエリアにわたって制御されています。その結果、低歪みの高音を広く行き渡らせることができ、エネルギー感を伴った豊かな表現力と、しなやかでなめらかな音色を実現できたのだとしています。

  • PolyPlas(ポリプラス)コーン・ウーファー搭載

    ウーファー(STUDIO 698のスコーカー含む)ユニットには、軽さと剛性を両立したPolyPlasのコルゲーションつきコーンを採用。マグネットには、対称磁界を形成するポールピース構造と、変調歪低減技術を組み合わせたJBLお得意のSFG磁気回路を搭載しています。小音量時から大音量時まで、JBLならではのリズミカルな低音と歪みの少ないクリアな中低域再生を実現できたのです。

  • 最適化されたエンクロージャーとバスレフポート

    エンクロージャーはつなぎ目のないMDF製で、前後のバッフルとも両サイドがラウンドエッジ構造で、優美さに加え、回析による輻射を抑え、豊かな音場を再現します。また、背面にはフレア付きバスレフダクト(STUDIO 660Pは底面)を設けることで、ポートノイズを抑えることができたのです。内部の適切なブレーシングにより共振も抑えたとしています。なお、STUDIO 698/680はバイワイヤリング対応(他はシングル)となっています。

■ 日本橋1ばん館で試聴しました


『 STUDIO 680 』は、厚くたっぷりの低域、ハリのある中域、そしてキレの良い高域のバランスの良いフロアタイプです。この底抜けの明るさ、スピード感はホーンならではと感じました。かつてのJBLのような荒々しさやキツさはなく、あくまでもスケール感やゆとりを感じさせる、音楽を楽しく聴かせる音楽指向のスピーカーと感じました。

一方の『 STUDIO 630 』は、ブックシェルフとしては若干大きめですが、その分低域が厚くしっかりしています。ボーカルはかつてのJBLとは違い、口は原寸大でヌケの良いもので、高域は爽やかで軽やかでした。スピーカーの大きさ以上にスケール感があり、この大らかさはJBLのホーンスピーカーならではと感じました。

久々にお手頃価格で鳴らしやすい、いかにもJBLらしいホーム用スピーカーの登場です。その魅力は何といってもこだわりのコンプレッションドライバー。快活・明快・鮮烈、そしてスケール。良き時代の【 JBL 】のイメージそのままに現在に蘇った、ハイC/P『 STUDIO 6シリーズ 』の登場です。
(あさやん)

2019年8月14日 (水)

TRIODE*真空管『 6BQ5 』搭載のかわいいアンプ3機種

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は「暑い季節にこそ、熱い真空管アンプを!」をテーマに、真空管『 6BQ5 』を搭載したトライオードのかわいいアンプ3機種をご紹介いたします。


■ 真空管『 6BQ5 』について
真空管『 6BQ5 』は、1953年にヨーロッパで「EL84」として誕生し、1955年頃に『 6BQ5 』として、米国EIA規格で登録されました。

この『 6BQ5 』を搭載したアンプとして有名なところでは、オーディオ黎明期の1962年に発売の銘機LUX「SQ5B」。近年では、2013年発売のLUXMAN「LX-32u」(生産完了)や、真空管ビギナーに人気のBUTLER「Vacuum 6W MK2」。さらに、今も品切れを起こすほどの人気商品で、2018年発売のLUXMAN「SQ-N150」。そして、今年2019年4月に登場したSoundWarrior(城下工業)「SWL-AA1」と、『 6BQ5 』は60年近くにわたって使われ続けています。

マニアに人気のある真空管KT88や300Bは大きくて見栄えが良く、いかにも真空管という存在感がありますが、『 6BQ5 』は比較的地味な存在です。しかし、『 6BQ5 』を使った小出力のアンプの音は、音の良さではずっと以前から定評がありました。

その『 6BQ5 』を使ったアンプは、昔から優しく、滑らかで、聴く人を疲れさせないサウンドを出すのだといわれてきました。そんな歴史ある『 6BQ5 』を使ったアンプを今も供給し続けてくれているトライオード(TRIODE)の『 6BQ5 』搭載 人気プリメインアンプ3機種(実質2機種)の魅力に迫ります。

■ 真空管プリメインアンプ『 Ruby 』、真空管プリメインアンプ『 Pearl 』

▲真空管プリメインアンプ『 Ruby 』



▲真空管プリメインアンプ『 Pearl 』


『 Ruby 』は2012年、それまでの鉄の塊のような真空管アンプに挑戦するように、以下のようなコンセプトのもと製品化されました。
  1. 「オーディオは男だけのものでは無い!」という概念から生まれ、小型でオシャレなデザイン感覚で設計
  2. プライベートルームやベットルームの片隅でセンスの良い音楽を楽しむ、現代の癒やしの新しい音楽スタイル
このように『 Ruby 』は、明らかに女性ユーザーをターゲットにしており、それまでの真空管アンプにはなかった斬新な考え方で開発されたコンパクトで可愛い製品です。そのオーディオ製品には珍しいレッドカラーの筐体も魅力的で、発売から7年が経過した今も人気を保ち続けています。もちろん、男性に・・・。

さらに今年(2019年)になって、筐体をパールホワイトにした『 Pearl 』も加わり、コンパクトでお洒落な真空管プリメインアンプ「ジュエリーシリーズ」としてラインナップされました。

使用真空管は、入力段とドライバー段が同じ双三極管の12AX7、終段にはMTタイプの5極管である『 6BQ5 』を、真空管の特色を生かすため、あえてシングル回路を採用して、余裕を持たせて定格出力を純A級 3W+3Wとしています。真空管は、自己バイアスで動作しています。

入力はRCA 2系統、スピーカー端子はバナナにもYラグにも対応しており、いずれも金メッキ削り出しの端子を採用、手抜きはありません。また、近年は必需でもあるヘッドフォン端子は6.3mmタイプを装備しており、ヘッドフォン回路ももちろんICではなく『 6BQ5 』真空管から出力されます。

真空管を下部から照らす照明には『 Ruby 』のオレンジ色から、『 Pearl 』ではパールホワイト塗装に合わせて、ブルーのLEDに変更しています。

出てくる音は到底3W+3Wと思えないしっかりしたもので、フロアタイプのスピーカーも朗々と鳴らしました。とにかく穏やかで、キメの細かなサウンド、爽やかな透明感に、ほのかな温もりが感じられ、それは小出力管でしか味わえない独特の世界です。力ずくでグイグイと迫ってくる大出力管のアンプとは対照的なサウンドです。

小型ブックシェルフスピーカーとの組み合わせ、一人静かに音楽に浸るならこれで十分です。照明を落としたお部屋で、淡い真空管の灯りを見ながら聴く女声ボーカルや小編成のクラシックは、絶品です。

■ 真空管プリメインアンプ『 Luminous 84 』


『 Ruby 』の非常にコンパクトな横幅190mmに比べると、一回り大きな305mm(同社製品の標準横幅は345mmですので若干小さめ)です。しかも、名前の「ルミナス」の「はでやかなイメージ」とは違い、トライオードの上級機TRXシリーズなどに通じる、本格的でスタイリッシュなデザインの真空管アンプで、『 Ruby 』と違い、こちらは男性的です。

真空管は、初段が12AU7×1、ドライバー段が同×2、終段は『 Ruby 』と違い "6BQ5" を左右2本ずつ、UL(ウルトラリニア)接続してAB級プッシュプル動作させ、11W+11Wの出力を得ています。出力管のバイアスは、無調整で安定性に優れた自己バイアス方式としています。

入力はRCA 3系統に加え、MMカートリッジ対応のフォノイコライザー(半導体式)も搭載して、アナログレコードも楽しめ、万全です。出力にはスピーカーが1系統とヘッドホン出力があり、ヘッドフォン回路はもちろん真空管で、真空管アンプの魅力が十分楽しめます。プラグは6.3mm標準プラグ対応です。

確かに、本機の出力管にはミニチュア管が採用されており、伝統的な三極管300BやKT-88・6CA7などのビーム管、五極管を使った他のトライオードの真空管アンプに比べると、デザイン的には少し迫力に欠けるのは否めません。

しかし一方で、ミニチュア管『 6BQ5 』ならではの小気味の良い軽やかなサウンドを評価する声もあり、何より大袈裟にならないコンパクトさと、レトロな雰囲気を併せ持つデザインの良さに惹かれる音楽ファンも多いのではないかと思います。

出力の11W+11Wは何とも貧弱に思われるかも知れませんが、ある意味では三極管のシングルよりパワフルで、ワイドレンジでもあります。スピーカーが余程の超低能率でない限り、十分な音圧は得られます。しかも出力トランスを介してスピーカーをドライブすることで、逆起電力の影響も回避し確実に制動できるため、しっかりした安定感の伴った低音も実現しています。

音場感こそハイエンドクラスのアンプには及ばないものの、濃密でエネルギーに溢れたホットなサウンドが、このクラスのアンプで得られることには正直驚かされます。とにかく音楽を楽しく聴かせることに関しては、同価格帯のトランジスタアンプを大きく超えていると思います。

期待通り、特に楽しいのはボーカルでした。眼前に生身のボーカリストを感じる程、温かく湿り気を伴ったボーカルは出色で、ダイナミックレンジを狙った大出力アンプではない、小出力の真空管アンプならではと感じました。

ジャズもなかなか魅力的で、汗が飛び散る脂ぎったサウンドとは対照的な、細身な音像表現ながら分離が抜群で、ソロ楽器が自然に浮かび上がる印象的なものです。大編成のクラシックもスケール感たっぷりに鳴らしきったのには驚かされました。

アナログレコードでも真空管ならではのたっぷり感のある豊潤なサウンドを楽しめることから、初心者や女性の音楽ファンはもちろん、酸いも甘いも知り尽くしたオーディオファンのサブシステムとしてもお勧めしたいと思います。

■ 最後に
『 Ruby 』『 Pearl 』は、お洒落に一人静かに、『 Luminous84 』は本格的に、でも堅苦しさを感じることなく、世の中の嫌なことを忘れ、ただゆったり、ひたすら好きな音楽に浸っていたい・・・。そんな気分にさせてくれます。

省エネとは真逆ですが、暑い季節にこそ、熱い真空管アンプを冷房のギンギン効いたお部屋で聴きたいですね・・・。
(あさやん)

2019年8月13日 (火)

FIDELIXがまたまた「ユニークなアナログ製品」を投入!!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
アナログアクセサリーで有名なFIDELIXより、オリジナリティ溢れるアナログ関連機器が発表されました。とても「ユニークな製品」でしたので、ご紹介いたします。


■ FIDELIX (フィデリックス) とは
FIDELIXというメーカーをご存知でしょうか。オーディオ歴の長い方は勿論、アナログアクセサリーに関心をお持ちの方には特に注目されている国内メーカーです。

設立は1976年、主宰者は中川伸氏で、SONYやSTAXを経て27歳で独立。当時、マークレビンソンのローノイズヘッドアンプ「JC-1」が注目を集めていた頃で、同社のデビュー作はローノイズMCヘッドアンプ「LN-1」でした。

その後、プリアンプやパワーアンプも発売しています。かなりマニアックな製品が多く、当時はコアなユーザーからの支持に限られていました。

そして、広くマニアの間にFIDELIXの名を浸透させたのが、1994年発売のナチュラル・スペクトラム・ハーモネーター「SH-20K」でした。


    ▲ SH-20K


これは、CDプレーヤーとアンプの間に挿入することで、CD化の際に一度切り捨てられた20kHz以上の音を修復するというもので、大ヒットを記録したのでした。私が当時在籍していた河口無線での販売台数は、最終的に数百台にも達しました。

当時はCD発売から10数年が経過していましたが、相変わらず「冷たい」「硬い」「きつい」などのイメージが払拭されず、CDサウンドへの不満や人気に陰りが見え始めた頃でした。そこに登場したのが「SH-20K」で、多くのオーディオマニアが飛びついたのでした。

その原理は、音楽に合わせて20kHzの疑似信号 (いわゆるノイズ) を付加するというもので、理論は分からなくてもその効果には誰もが驚いたものでした。

これがFIDELIXブランドが有名になったきっかけですが、その後も同社はユニークな製品を発表し続けてきました。

2006年にスーパー・ツイーターと前述のハーモネーターを一体化したアコースティック・ハーモネーター「AH-120K」を、2009年にはDCパワーアンプ「CERENATE」、2010年には大ヒットとなったDACプリ「CAPRICE」、2014年にはフォノイコ「LEGGIERO」と、ヒット作が続きました。

そして近年、設立時に回帰したように、アナログ系アクセサリーの発表が続き、いずれもヒット作となっています。

まずは、2015年からヘッドシェル「MITCHAKU」全7アイテムを次々発表、同じく2015年にレコードスタビライザー「CRYSTAL-STABILIZER」、2016年にピュアストレート・トーンアーム「0 SideForce」、LPレコード用アウタースタビライザー「PURE-FLAT」と続きました。

そして今回ご紹介致します2アイテムの発表と続きます。いずれも実にオリジナリティ溢れるアナログ関連機器です。

■ MCヘッドアンプ『 LIRICO (リーリコ) 』


前述のFIDELIXのデビュー作「LN-1」と同じMCヘッドアンプです。フォノイコライザーでも、昇圧トランスでもありません。本機には、同社の長い経験で得たノウハウが投入されており、デビュー作同様、ヘッドアンプとイコライザー間に電源ノイズが混入するのを防ぐべく、バッテリー式となっています。

「LN-1」では単2乾電池4個でしたが、本機ではニッケル水素の006P型充電池6個とし、充電器が付属しています。充電器は1個ですが、+側と-側の両切りスイッチを使うことで、動作時は電源ラインからのノイズを完全にシャットアウトしています。満充電で約20時間使用可能です。

『 LIRICO (リーリコ) 』は、現行製品で世界最高レベルの超ローノイズとなる-156dBV(RIAA+IHF-A by Average Response)を達成しており、これは低出力の空芯MC型から、非常にデリケートなニュアンスまで再現するためのものだといいます。ここまでノイズを下げないと元気不足になってしまうのだそうです。

使用素子はオールJFETで利得は約26dBです。デリケートな信号を速やかに増幅素子へ伝達するために、カップリングコンデンサーや抵抗を介在させていないということです。使用FETは性能的にも音質的にも定評のある、今や貴重な東芝製超ローノイズ品(廃品種)を使用しており、ノイズやゲイン、最低動作電圧の左右誤差を無くすため、使えるものは僅か10%、多くても50%というシビアな基準で厳密に選別しているということです。

入力インピーダンスは「LEGGIERO」で大好評だったギガオーム(GΩ)受けですが、装置との相性や好みによって一般的な330Ωも底のディップスイッチの1番と3番をONにすることで選択可能にしています。

『 LIRICO (リーリコ) 』は主要パーツを非磁性としているため、磁化による雑音が発生せず、繊細な表情まで再生すると同時に、広大な臨場感が得られるとしています。MCトランスは間接音を抑えてしまう傾向があり、それによって直接音に近づいたかのような、時として効果的な作用をすることもありますが、本機は忠実性を追求した結果、MCカートリッジの理想のステップアップを実現できたということです。

中川氏は、本来MCトランスは大音量再生には有効ですが、ヘッドアンプ『 LIRICO (リーリコ) 』は、小音量や遠くの音源に適しており、広い空間の再現、優しく微細なニュアンスの表現が抜群だとしています。また音質的には、同社のフォノイコライザー「LEGGIERO」のヘッドアンプ部より、理想の電源であるバッテリー駆動の『 LIRICO (リーリコ) 』の方が優位としています。

ちなみに『 LIRICO (リーリコ) 』は、イタリア語で「叙情的(じょじょうてき)」という意味です。パワフルで元気な表現は当然として、デリケートで深い心情までをも目指しての命名だそうです。

■ カートリッジ消磁器『 DEGAUSS (デガウス) 』(限定200台)


オーディオ歴の長い方ならご存知でしょうが、過去にもあったMCカートリッジ消磁器です。ラックスマンの「XA-1」や並木宝石の「DM-100」が有名です。『 DEGAUSS (デガウス) 』は006Pの電池を使った消磁器で、鉄芯入りMC型カートリッジ、MM型カートリッジ、MC用ステップアップトランスに効果があります。

使い方は、電源を入れてパイロットランプが点灯することを確認してから、ボリュームを絞ってRCA端子に対応物を接続します。そして、ボリュームを最大にしてから絞り切るというローテク方法です。それによって、ほぼ消磁が行えるというわけです。付属のクリップを使えばカートリッジ単体、あるいはヘッドシェルに取り付けた状態でも対応可能です。

なお、本製品は空芯MCに使っても意味がありません。針交換可能なMM型やMI型は必ず針を外してご使用下さい。針が外れない場合は使用しないでください。MCトランスは1次側へ接続し、2次側は完全なオープンで行ってください。電池は006P形状なら何でも使え、電源表示が暗くなれば電池交換です。通常はマンガンタイプで十分です。

鉄芯入りMCやMCトランスを使った方が力感があるということで好まれる方がいらっしゃいます。こういった製品の中にはとても高価なものもありますが、それらがもしも磁化されていることによって本領が発揮されていないとすれば、非常に勿体ないことだと中川氏は言っています。
  • 『 DEGAUSS (デガウス) 』で効果がある【鉄芯入りMC】カートリッジの代表例
    audio-technicaのMC(AT-ART7を除く)、DENONのMC(DL305を除く)、Phasemationの全MC、ZYXのMC(Ultimate-DYNAMICを除く)、ortofonのMC(一部のハイエンドを除く)などです。

  • 『 DEGAUSS (デガウス) 』では効果がない【空芯MC】の代表例
    FR「FR-1MK3」、SONY「XL-55」、YAMAHA「MC-1S」、Victor「MC-L1000」「MC-1」などです。

■ 最後に
またまたユニークな製品を投入してきたFIDELIX。中川氏の発想には、いつもながら感服させられます。

他のオーディオメーカーが思いもつかない、同社製品がオーディオを更に楽しくしてくれるのは間違いありません。これからもFIDELIX製品に注目です。
(あさやん)

 

2019年8月10日 (土)

まだやることがあった! アキュフェーズ 純A級ステレオ・パワーアンプ『 A-48 』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。

アキュフェーズのパワーアンプは、AB級3機種(内モノラル1機種)、純A級4機種(内モノラル1機種)という豊富なラインナップを揃えています。その中でも現在同社の主力となっているのは、純A級ステレオパワーアンプ3機種です。そして、その中堅を担うのが、今回ご紹介します新製品『 A-48 』です。


■ 初代「A-45」の誕生について
「40」番台のパワーアンプは、2006年発売の「A-45」から、2011年「A-46」、2015年「A-47」と続きました。しかし実際には1993年発売の「A-50」が「A-50V」、「A60」に、一方1995年発売の「A-20」が「A-20V」、「A-30」に、それぞれバージョンアップを重ねて来ていた純A級パワーアンプでしたが、その中間を埋める形で登場したのが初代「A-45」でした。

その初代「A-45」は、当時「A-60では大きすぎる」、「A-30のパワーをもう少しアップして」とのユーザーの熱い要望に応えて誕生したものでした。現時点では上位機が「A-75」であり、下位に当たるのが「A-36」なのですが、実際『 A-48 』は、性能的にも価格的にもベストポジションのパワーアンプです。

以前にも、書いたことがありますが、私自身オーディオを本格的に始めた際の、最初に使ったプリメインアンプがYAMAHA「CA-1000」で、このアンプはパワー部にA級動作とB級動作を切り替える機能があり、私はそのA級サウンドが、自身のオーディオの原点になっている気がします。

その後、ミュージカルフィディリティーの「A-1」やラックスの「L-550」などのA級アンプにも食指は動かされましたが、購入には至っていません。しかし、A級アンプに対する憧れは今も持ち続けており、私にとっての最後のアンプ(まだ少し先になりそうですが)は、A級アンプだと心に決めています。

純A級アンプの魅力は何と言っても、その甘美で透明感あるサウンドでしょう。滑らかな肌触りの良さやしっとり感は格別で、これはB級アンプでは味わえない世界です。私の好きな女声ボーカルやクラシックのストリングスのパフォーマンスを、最高度に引き出してくれるのがA級アンプだと思います。

それでは、日本橋1ばん館での試聴結果も交え、新製品『 A-48 』を従来機「A-47」との違いを中心に見てまいりましょう。『 A-48 』は昨年(2018年)7月に発売された純A級ステレオパワーアンプの最高峰「A-75」の開発で培ったテクノロジーやフィーチャーを、可能な限り下ろしてきて完成させたのです。

■ 更なる低雑音化に挑戦 ~わずか1dB、されど1dB!
『 A-48 』は、ゲインMAXでのS/Nが117dBと「A-47」の116dBより1dB向上しています。前作では信号入力部にオペアンプICを採用していたのですが、本機では「A-75」と同じ回路構成の低雑音のディスクリート・アンプを搭載し、ゲイン配分を信号入力部:22dB、電力増幅部:6dBとすることで、雑音性能の向上を達成できたのです。この僅か1dBが、数字以上に非常に大きな効果となって音に現れています。

■ A級動作パワーアンプ ~なんと電力増幅部は「A-75」と同じ回路
アンプの最大の役目はスピーカーが持っているポテンシャルを100%引き出すことです。そのために必要なのは余裕です。スピーカーのインピーダンスは音楽によって激しく変動します。そのインピーダンスの影響から逃れるためには定電圧駆動が必要です。

しかし「電圧(V)=電流(I)×抵抗(R)」のオームの法則に従えば、インピーダンスに反比例する電流の供給が必要で(例えば:1Ωでは8Ωの時の8倍もの電流が必要)、こうすることで、低インピーダンス負荷時でも安定してスピーカーが駆動できるのです。

そのため『 A-48 』では、新規に採用したFairchild製の大電力オーディオ用パワーMOS-FETを、6パラレル・プッシュプルでA級動作させており、1ペア当たりのパワー負荷が1/6に軽減されたことで、A級動作で重要な小電力領域での動作が安定し、特性も向上したのだとしています。

さらに、トロイダルトランスを新型の大型高効率タイプとし(「A-47」より高効率化)、フィルターコンデンサーも(「A47」の56,000μFから60,000μFに)大容量化したのです。結果、出力は45W/8Ω、90W/4Ω、180W/2Ω、360W/1Ωと数字上は「A-47」と同じですが、明らかに余裕は違います。

■ ダンピングファクター ~スピーカーをねじ伏せる?
『 A-48 』も最近のアキュフェーズのアンプ群と同様、出力インピーダンスを徹底的に下げることで電流供給能力を上げ、インピーダンス変動やボイスコイルで発生する逆起電力に打ち勝つことを目指しています。前作「A-47」のダンピングファクター(DF※)が600で、これでも凄い数字なのですが、本機のDFは800と何と1.3倍になったのです。(※DF=スピーカーのインピーダンス÷アンプの出力インピーダンス)

■ 徹底した保護回路とロス低減策 ~そこまでやるか?
『 A-48 』では、従来機同様、プロテクションには酸化による接点不良がなく長期信頼性に優れた「MOS-FETスイッチ」を採用しており、音楽信号が機械的接点を一切通らないため一層の音質向上に寄与しています。

さらに、定格電流が非常に大きく(100A)、ON抵抗が非常に低い最新の「低オン抵抗MOS-FET出力リレー」を採用し(オン抵抗が「A-47」の2.3mΩから1.3mΩに低減)、さらにロスを減らしています。

そして、電力増幅部の出力配線を最短化し、スピーカー端子の直近からNFBを掛けることで端子位置での出力電圧を理想的に制御するとともに、スピーカーターミナルも基板に直付けしてロスを無くしています。

また、「A-47」にあった異常検出(直流検出、過温度検出)に加え、過電流検出機能が追加され、過電流を検出すると、出力リレーを切断すると同時にメーターランプを点滅させて異常を知らせてくれます。一旦電源を切り、スピーカーケーブルのショートなどの原因を取り除けば正常復帰します。

■ デザイン上の見た目の違いは?

写真上『 A-48 』、写真下「A-47」


『 A-48 』の高感度針式パワーメーターは、従来の-40dBに-50dBの指標を追加したことで、-60dBの小音量時からメーターが振れるようになっています。天板もダークブラウンに染色された厚手のアルミヘアライン仕上げとして高級感がアップ。ヒートシンクを新塗装にしたり、スピーカー切替をロータリースイッチ化するなど、細部にもこだわっています。

■ 『 A-48 』のサウンドは日本橋1ばん館で「A-47」との比較で確認
まず両機を交互に鳴らしてみて気付いたのは、音が澄んで、透明感に明らかな違いがあることです。これこそロスの徹底排除の賜(たまもの)だと確信しました。またサウンド全体が軽やかに弾け、伸びやかさも確実に向上していました。これはDFをはじめとしたドライブ力向上が効いているのでしょう。

クラシックやボーカルの無音部分の静けさは圧巻で、S/Nの良さは空間感を、微細な響きは音楽の描写力を向上させていると実感しました。また細かな部分の再現性も確実にアップし、とにかく音数が多く感じられたのです。中低域も前作より厚くなり、全体にダイナミックで豊かに感じられました。『 A-48 』の方が音楽を熱く聴けました。

■ 最後に
正直『 A-48 』の音を聴くまで、純A級アンプの良さは「A-47」で十分味わえますし、私にとっては満足なものでした。そして「本当にまだやることがあるのだろうか」と言うのが本心でした。しかし、それがあったのです。重量がわずか900gアップで、価格は約5万円アップ。前作と『 A-48 』のどちらを選ぶと聞かれたら、自信を持って言えます。迷わず『 A-48 』です。

2019年8月 8日 (木)

英国の老舗 2ブランド「Wharfedale」と「MUSICAL FIDELITY」の新製品を試聴!!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
英国の老舗 2ブランド「Wharfedale」と「MUSICAL FIDELITY」の新製品を試聴しましたので、詳しくレポートさせていただきます。

Wharfedale(ワーフェデール)は、1932年ギルバート・A・ブリックスによって英国ヨークシャー州で設立された、セレッションやグッドマン、タンノイなどと並ぶ英国の老舗スピーカーメーカーです。「Wharfedale」という名前は、ブリックスの生家があった地区の名前だそうです。

同社は、1945年に高音質を目指した2ウェイスピーカーを製作し、1948年ブリックスは「Loudspeakers: The Why and How of Good Reproduction」という、スピーカーの設計理論書を出版しています。

そして有名な話である1950年、ロンドンのフェスティバルホールで、ブリックスによって世界で始めて、試聴者の目の前でオーケストラと自社スピーカーの聴き比べのデモンストレーションを行ったのです。

ブリックスは、「スピーカーは楽器になり得る《「スピーカー」=「楽器」》、そして最高の技術を知る音楽家集団が、世界で最も楽器に近いスピーカーを生み出す」、すなわち《「技術者」=「演奏家」》との考えを持っていたのだと言います。彼はスタインウェイ使いの名ピアニストでもあり、現在の同社のデザイナーもエレキギターの名手だと言います。

同社は、1950年超有名な往年の名機「エアデール」を発売。そして50~60年代にかけて次々と新しい技術を開発したのでした。その技術開発に貢献したひとりに、後にKEFを創業するレイモンド・クックがいました。その後紆余曲折があり、1967年には「Denton」(初代)を、1981年には現在に続く「Diamond」を発売したのでした。

一方のMUSICAL FIDELITY(ミュージカルフィデリティー)も、英国を代表するHi-Fiブランドの一つで、30年以上にわたり実績を積み上げ(残念ながら日本国内には輸入されない時代もありました)、最高の製造品質と最新技術とを融合して、卓越したパフォーマンスを持つパワフルなHi-Fiコンポーネントを造り続けて来ました。

私のようなオールドファンには、MUSICAL FIDELITYと言えば何と言っても1984年発売の「A1」が頭に浮かびます。全段純Aクラス動作の小出力ながら、多くのユーザーに支持されロングランとなったプリメインアンプです。デザインも非常に魅力的で、当時ロジャースやスペンドールとの組み合わせが人気でした。

「A1」はA級動作のためか、真空管アンプのようなキャラクターのサウンドだったのですが、その発熱は半端ではなく、当時ヒートシンクを兼ねた天板で「卵焼きができる?」と噂されたものでした。薄型アンプでは異例な大型トロイダルトランスと40,000μFの電解コンデンサーを搭載していました。

その「A1」から最新のデジタルモデルまで、巧妙に設計された同社の製品群は世界中で称賛され、そのブランド名が示す通りの「音楽性に忠実なサウンド」を追求しているとしています。


日本橋1ばん館で試聴

これら2ブランドの最新機種を日本橋1ばん館で試聴することができました。その試聴レポートです。

■ Wharfedale『 LINTON HERITAGE


『 LINTON HERITAGE 』は、最近少なくなった中型ブックシェルフ型で、ロジャースやスペンドール、そしてハーベスなどの英国製スピーカーの典型的なデザインのスピーカーです。名前の「ヘリテージ」は継承・遺産の意味で、1965年発売の「LINTON」、1972年の「LINTON 2」に由来しています。



本機は、20cmウーファーと13.5cmミッドレンジ、2.5cmツイーターを、余裕のある比較的大きなバスレフ・エンクロージャーに収納しています。ウーファーとミッドレンジのコーンには、同社の最近の製品に使われているのと同じケブラー素材が使われています。ツイーターはオーソドックスな布製ソフトドームを採用しています。

バスレフポートは背面に2つ開いており、プレッシャーを感じさせない低域のふくよかさに繋がっています。ツイーターはエンクロージャー中心から僅かにずらしてオフセットしており、左右チャンネル対称配置(左右指定)となっています。 ネットワークは独自に開発したソフトで、ユニット間の位相整合を徹底的に追求したとしています。

入力端子はシングルワイヤー専用で、スピーカーのデザインや色の揃った純正スタンドが用意されています。エンクロージャーの仕上げはウォールナットとマホガニーの2色で、それぞれ純正スタンド付きと本体のみ(既存のスタンドを使用される場合のため)の計4パターンからお選びいただけます。

純正スタンドを使って、後述のミュージカルフィデリティーのプリメインアンプ「M2-Si」とCDプレーヤー「M2-SCD」で試聴しました。

そのサウンドはスケールが大きく余裕を感じさせ、良き時代のヨーロピアンサウンドに限りなく近いものでした。低域はグラマラスでゆったりと鳴り、中域は厚くふくよかで、特に女声ボーカルの甘さは格別でした。

高域はソフトドームの穏やかで聴き疲れのないものですが、シンバルのスティックが柔らかく感じられ、切れ込みや立ち上がり、華やかさとは対極にある高域と感じました。迫力やきらびやかさを求めると欲求不満が出て来そうですが、ここはワーフェデールの世界ですから・・・。

試しにアキュフェーズ「C3850」+「A75」でもドライブしてみましたが、更にスケール感がアップし、明らかに解像度が上がってスッキリして、高域も滑らかに伸び切ったのには少々驚きました。やはりドライブ力の差は大きく、『 LINTON HERITAGE 』の可能性の高さを垣間見た気がしました。決してデザインからイメージするアンティークな音ではありませんでした。

■ MUSICAL FIDELITY『 M2 Si Integrated Amplifier 』『 M2scd CD Player


『 M2 Si Integrated Amplifier 』は、横幅44cmの標準サイズで、高さ10cmの薄型プリメインです。シルバーとブラックの2色あります。特にクリーミーなオフホワイト仕上げのシルバーは英国流の落ち着きを感じさせます。入力は懐かしいTAPEを含む6系統のRCA、出力もTAPE OUTとプリアウトの2系統装備されています。ボリュームは電子ボリュームで、フォノイコライザーは搭載されていません。

本機は、前述のようなA級ではなくトロイダルトランスを積んだオーソドックスなリニア電源回路を採用したAB級アンプで出力は60W+60Wです。とにかく動作の安定性を最重視し、多様なスピーカーを容易にドライブすることを目指したとしています。

『 M2scd CD Player 』は、スロットローディングタイプのCDプレーヤーで、RCAアナログ出力に加え、RAC同軸とTOSLINK光の2系統のデジタル出力を装備しています。CD再生に徹したオーソドックスなプレーヤーで、高性能なCD読み取り精度と低ジッター(135ps以下)を獲得したといます。

このプリメインアンプとCDプレーヤーでのサウンドは、実に優雅で包容力のあるもので、その音の方向性は、決して解像度を狙うのではなく、音楽の本質、エッセンスを描き出し、アーティストの人間としての温もりを感じさせてくれる実に大らかなものでした。

■ 最後に
英国の老舗2ブランド「Wharfedale」と「MUSICAL FIDELITY」は、いずれも日本をはじめとした世界の潮流である、高解像度指向やデジタル化とは無縁の、独自の路線を今も歩み続けてくれています。内心期待していたとは言え、ある面ほっとしたと言うのが本音です。

これら両ブランドは、本格的“ブリティッシュサウンド”の最後の砦とも言えそうです。往年の渋いデザインとサウンドを継承しつつ、最新機種にはない穏やかさとまったり感で音楽を心から楽しませてくれます。

2019年7月18日 (木)

MQA-CD特集『 MQA対応機器の可及的速やかな発売を! 』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。

2018年9月以来、久々のMQA-CD特集です。その間、我が家ではMQA-CDを約30タイトル揃え、存分に楽しんで参りましたが、遅々としてハードの普及が進まないことに、歯がゆさを感じておりました。

そんな折も折、音元出版のオーディオアクセサリー誌173号(2019 Summer)に、MQAを聴き比べるための「サンプラーCD」が付録として、付いてきました。そのCDを自宅のMytek「Brooklyn DAC+」で聴いたところ、その歴然とした差に驚くとともに、ぜひこのパフォーマンスを、一人でも多くのオーディオファイルに体験いただきたいと、心から願うようになったのでした。


■ サンプラーCDに収録のMQAについて
この「MQAサンプラーCD」の内容は、福岡出身のジャズボーカリスト 山口葵さんが歌う「祈りの伝統楽曲集」というタイトルで、4曲がそれぞれ3パターンの音源で合計12トラック収録されています。

MQAとは、従来CDと同じデータ容量の中に、ハイレゾ音源情報を折り畳んで入れ込む(エンコード)手法のことですが、これをCDにしたのがMQA-CDで、MQA対応機器で再生することで、折り畳まれたデータを正確に展開し、元のハイレゾデータとして再生することができるというものです。MQA対応機器を持っていなくても、通常の44.1kHz/16bitのデータとして再生は可能です。

さらにMQAの素晴らしいところは、通常の44.1kHz/16bitのCDデータでもMQA化することで、時間軸が正確に再現できることです。単にデータの容量を小さく詰め込むだけではなく、音源データそのものを本来あるべき音にする効果もあるのです。

その時間軸とは、どの位の短時間で音の変化を認識できるかの尺度のことですが、人間は一説には50マイクロ秒(2万分の1秒)とも10マイクロ秒(10万分の1秒)の変化を認識できるとも言われます。それに対し、CDの時間軸解像度は4000マイクロ秒、ハイレゾ96kHz/24bitリニアPCMでさえ400マイクロ秒程度だそうで、これは人間より400倍も40倍も悪いことになります。そのため、CDは音が硬く、平板で奥行きがなく、不自然なのだと言われています。

MQAでは、既存のリニアPCM音源の時間軸解像度をより細かく再設定できる特別なフィルター(De-Blur:デブラー)を開発し、音源をエンコードすることで高音質化を果たしたのです。その解像度は何と10マイクロ秒を実現したと言います。そもそも人間の耳は、周波数より時間軸解像度に対して、5倍から50倍も敏感なのだそうで、時間軸の精度を改善することで音質が向上するのです。

この時間軸解像度の改善を体感できるのが、今回のCDのトラック02、05、08、11の「44.1kHz/16bit MQA」の音源です。このトラックは従来のMQA非対応のCDプレーヤーで、その効果を確認することができるという画期的な、おそらく史上初の試みだと思います。ぜひ一度ご体験いただければと思います。

■ 聴いてみました
今回の試聴は、我が家のCDプレーヤーの同軸デジタルアウトをMytek Digital「Brooklyn DAC+」のS/PDIF1に入力し行いました。


「Brooklyn DAC+」にはMQAのインジケーターがあり、「44.1kHz/16bit PCM」は点灯せず、「44.1kHz/16bit MQA」はグリーンに、「88.2kHz/24bit MQA Studio」はブルーに点灯するため確実に確認できます。


▲ 44.1kHz/16bit PCM


▲ 44.1kHz/16bit MQA


▲ 88.2kHz/24bit MQA Studio

以下は3パターンのサウンドの第一印象のメモです。

◆ゴンドラの唄 ~ 1915年に発表された歌謡曲。黒澤明監督映画『生きる』の劇中歌。
・トラック01:44.1kHz/16bit PCM
44.1kHz/PCMでよく感じるように、ピアノの音が滲んでしまう。ボーカルの口が大きく膨らんでしまう。ヌケが悪く声を張り上げた時にきつく感じる。

・トラック02:44.1kHz/16bit MQA
ピアノがスッキリし、滲みがなくなる。ボーカルの口が見えてくる。ただ、声を張り上げた場合、まだ少しきつさが残る。

・トラック03:88.2kHz/24bit MQA Studio
ピアノがコロコロと小気味良くなり、滲みが全く感じられない。ボーカルの顔や姿が見える程にリアルになる。張り上げてもヒステリックにならず、声が落ち着いて自然になる。全体的にはダイナミックレンジが広くなったように感じる。


◆鳥の歌 ~ 作曲者不詳のスペイン・カタルーニャ民謡
・トラック04:44.1kHz/16bit PCM
弦がギコギコして不自然。ボーカルの位置が不明瞭で、詰まった感じに聞こえる。音場が平面的で、奥行き感に欠ける。

・トラック05:44.1kHz/16bit MQA
弦の振動が自然に感じる。ボーカルは立体的になるが、奥行きは余り出ない。

・トラック06:88.2kHz/24bit MQA Studio
弦が繊細でしなやかになる。声に響きが加わり立体感が出る。音場も奥行き方向に深くなる。


◆The Last Rose Of Summmer(録り下ろし) ~「庭の千草」として知られる名曲
・トラック07:44.1kHz/16bit PCM
ボーカルのサシスセソのヌケが悪い。弦がややきつく感じる。サウンドが左右スピーカーの間のみで、前後が出て来ない。

・トラック08:44.1kHz/16bit MQA
弦が滑らかでスッキリする。低音弦は深く沈む。ボーカルの顔は実物大になる。音場も奥に拡がり立体的になる。

・トラック09:88.2kHz/24bit MQA Studio
弦がまろやかで気持ちよく響く。ボーカルは生々しくなり、伸びやかで弾んでくる。中央少し後ろにボーカルの姿まで見えてくる。


◆The Water Is Wide(録り下ろし) ~ 山口葵さん作詞、作曲者不詳のスコットランド民謡
・トラック10:44.1kHz/16bit PCM
ピアノの抜けが悪く滲む。ボーカルがかなり膨らむ。シンバルは詰まって感じる。

・トラック11:44.1kHz/16bit MQA
ピアノがクリアで軽快にはずむ。声が自然でボーカルは中央に立体的に見える。シンバルがスッキリ分離する。ベースが沈み込み音程もしっかりしている。

・トラック12:88.2kHz/24bit MQA Studio ※本CDの最優秀録音トラック
ピアノが非常に生々しくなり、低音の響きが豊かになり沈む込む。ボーカルが中央に小さく実物大になる。それぞれの楽器が一つ一つ見えるように定位する。ベースは堂々として、シンバルはクリアに散りばめられる。

■ 最後に
この「MQAサンプラーCD」を聴いての印象は、44.1kHz/16bit MQAでの改善度合いが予想以上に大きいことで、さらに88.2kHz/24bit MQA Studioでここまで再現されるとは想像を絶するものがあります。この3パターンの差は目をつむっていても十分判別できました。

私自身、これまでユニバーサルのMQA-CDのサンプリング周波数が352.8kHzだからMQA-CDが素晴らしいのだと思っていました。しかし88.2kHzでここまで改善されるなら、これで十分とも感じました。CD制作時、88.2kHzのマスター録音が多いことから、もっともっと新録音のMQA-CDソフトの供給を望みたいと思います。

そして、現状(2019年6月)ではMQA-CDを聴けるハードが非常に少なく、多くのオーディオファイルにお聴きいただけないのが実に残念でなりません。可及的速やかな対応ハードの発売を望みたいと思います。

最新情報では、パイオニアが「PD-50AE」(発売未定)をはじめ、トライオード、マークレビンソンがMQA-CD再生機を発売予定とのアナウンスがされています。ソフトもワーナージャパンが参入予定です。ゆっくりですが、MQA-CDファミリーが増えてきています。期待しましょう!。
(あさやん)

2019年7月15日 (月)

XI AUDIO『 SagraDAC 』はCDの真の実力を引き出す!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
以前このコーナーでご紹介しました XI AUDIO『 SagraDAC 』を、実際に自宅試聴しましたので、詳しくレポートさせていただきます。


その前に“XI AUDIO”の説明から、“XI AUDIO”(イレブン・オーディオと読みます)は2017年にマイケル・シャオ氏によって設立されました。彼は長年、放送機器をはじめとした業務機のマネジメントを手掛け、かのナグラ・プロフェッショナルの責任者という経歴を持つ技術者です。彼が手掛ける製品は、業務機としての質実剛健さに加え、音楽を楽しむためのエッセンスが組み込まれており、“真実の音”を表現するのが最大の目標だとしています。

“XI AUDIO”という名前は、同社のアンプのボリュームが全て11時(XI)の位置からスタートすることに由来しています。通常、アンプはボリューム位置が大体11時よりも上で使うことを想定して設計されていますが、“XI AUDIO”は絞り切ってもその性能を超えているという自信からのネーミングだと言います。


■ XI AUDIO『 SagraDAC 』
この変わった名前『 SagraDAC 』は“サグラダック”と発音し、その名は、マイケル・シャオ氏が実際に見てその姿に感銘したという、スペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリア(Sagrada Familia)から来ているそうです。その『 SagraDAC 』には、人々が驚く程の存在感があり、かつ感動する程の細部も備わっていなければならないという意味が含まれているそうです。

『 SagraDAC 』の最大の特長は、前面パネルにも書かれている「R-2R DAC」です。「R」はRegister(抵抗)のことで、抵抗をラダー型に組み合わせたD/A変換部を持っていることを意味していますが、一般的には「マルチビットDAC」と言われているものです。しかも一部のハイエンド機でしか見られないディスクリートで組まれたDACを採用しているのです。

デジタル機器の登場からしばらくの間は「マルチビットDAC」が主流でした。それは今に至るまでほとんど全てのデジタル録音が、PCMを使用して行われており、アナログ信号が一定の解像度とレートでサンプリング(※)されます。(※最新録音では384,000Hz、24ビットというものまであります。)

これをアナログに戻す最適な方法は、「R-2R DAC」を使用して直接アナログに変換することですが、優良なR-2Rチップを作るには技術的な困難を伴い、製造コストがかかるため、現在では1ビットのデルタシグマDACが一般的となっています。これは低コストでチップとして大量生産できるためで、マルチビットDACチップ(※)で必要な、高コストのトリミング(抵抗の微調整)工程が必要ないからです。(※代表的なマルチビットDACチップとして、バー・ブラウンの「PCM1704」がありましたが、現在それに代わるマルチビットDACは存在しません。)

そのディスクリートのマルチビットDACには、デンマークのスークリス社製のものを、本機のために特注したそうです。《0.0012%精度》の抵抗を216個(写真)も使用した高精度なもので、非常にコストの掛かる構成です。本機に採用されたのはサイン・マグニチュード方式と言われるもので、抵抗値「R」と「2R」の抵抗を使い、1bitあたり2個の「R+2R」とするもので、結果大規模なものになってしまったのです。『 SagraDAC 』がこの価格に抑えられたのは驚異的でさえあります。



PCオーディオには欠かせないUSB端子からのインプットに関しては一般的に使われるXMOSではなく、イタリアのAmanero社製のUSBコントローラーを採用しており、PCM384kHz/24bit、DSD11.2MHzに対応しています。なおDSDは352.8kHz/24bitのPCM信号へ変換したのち、D/A変換されます。

デジタル入力は、USB(B-Type)以外にはBNC、AES/EBU、I2S(HDMI端子)が各1系統ずつ。S/PDIFが3系統(RCA同軸×2、光TOS×1)用意されています。アナログ出力は、RCAとXLR(シングルエンド構成のため、バッファー回路を通してバランス化)を各1系統装備されています。

そして『 SagraDAC 』のもう一つの大きな特長は、「S-PDIF Blade機能」の搭載です。これは入力のS/PDIFの「RCA2」と「BNC」のみで機能し、S/PDIFデジタル信号の0か1かを判断する閾値(いきち:条件分岐の境目、ギリギリの値)を変えることで、ロックの安定性を上げ、音質を向上させる効果があるとしています。


S/PDIFの転送データは、クロック信号とデータを合成するバイフェース符号という簡単な方法で送られています。しかし端子やケーブルの影響で、パルスが正確な矩形波(くけいは:規則的かつ瞬間的に変化する波形)とはならず、台形になったり波形が乱れたりしてしまい、正しいクロックが復元できず、転送は不安定(最悪時はロックできない)になったり、ジッターが発生してD/A変換の精度が落ちてしまいます。
それを回避するため 、ある電圧(図の横点線)でこの矩形波を捉え、正確なクロックで復元しようとするのがブレイド(片刃の剣で横一文字に切ることからのネーミング)の考え方です。実際には電圧の低い[1]から一番高い「9」までの9段階を耳で聞きながら手動で決定します。これはCDプレーヤーの製造年代やメーカーで、この矩形波に違いがあるのを補正する機能とも言えます。



『 SagraDAC 』の自宅試聴に際しては、同社のフルバランスディスクリートプリアンプ『 Formula P1000 』も同時にお借りして、こちらでも試聴しました。

『 Formula P1000 』は、非常にシンプルでフロントパネルにはボリュームしかなく、電源スイッチはもちろん、XLR統の入力切り替えもリアパネルにあるという、究極のシンプルさです。しかもディスクリート方式にこだわる余り、XLRの4つの出力(L/R、Hot/Cold)をそれぞれ別電源とすることで、フルバランス仕様を実現しています。

入力はXLR×2、出力はXLR×1で、ゲインは最近の高出力のデジタル機器に合わせて、やや控えめな6dBと15dBの切替のみとしています。回路には駆動力に優れたプッシュプル回路を採用し、バイアス電流を通常必要量の10倍とすることで、滑らかなA級動作(極深度A級動作)が得られるのです。パワーアンプと違い、発熱に問題のないプリだから成し得たことだとしています。

『 Formula P1000 』は、マイケル・シャオ氏が過去に自作した真空管プリの経験を生かして製作したもので、真空管では不可能なスペックを実現した、自身最高傑作のトランジスタ・プリアンプだとしています。もちろんボリュームは11時から始まります。


▲「SagraDAC」
試聴は、最初に筆者のリファレンス機器に『 SagraDAC 』のみを接続し、ほとんどCDプレーヤーの同軸デジタル出力で行いました。

まずはその厚い中低域に感動しました。かつてCDでこんな密度の高い、ドッシリした音を聴いたことがありません。とにかく音が全体に太く、超低域は深く沈み込み、低域は張りがあって弾けます。中域にも力があり、充実感、安定感は抜群です。高域は素直かつ伸びやかで、存在感のある力強いものです。

音像がすっくと立ち上がり、どんどん聴き手に迫って来ます。この感じはかつて聴いた2トラ・38のオープンデッキのサウンドを彷彿とさせるものです。特にTBM鈴木勲トリオの「ブローアップ」は圧巻でした。実に生々しく、まさに目の前で演奏しているかのような臨場感。緊張感たっぷりのまさにアナログレコードの世界でした。

余りの存在感のある音に、思わず試聴メモを取るのも忘れ、次々CDソフトを取っ替え引っ替え聴いてしまっていました。バスドラやエレキベースの迫力、中域のしっかりした生々しいボーカル、ピアノや打楽器の立ち上がりの良さ、ギターの弦を擦る生々しさ、フュージョンサウンドの分厚い張り出し感・・・。

そして「Blade機能」を手動で設定してのベストな状態でのサウンドは、音像が鮮明になりフォーカスがピッタリ合ったのです。実在感がさらに高まって感じました。

過去に聴いたことのない、しかしどこか懐かしくもある(マルチビット)サウンドに、感動しっぱなしの試聴でした。

次に、プリアンプに『 Formula P1000 』を使い、パワーアンプに直接バランスケーブルで接続して試聴しました。


▲ 左「SagraDAC」 右「Formula P1000」


上の写真を見ていただくと分かりますが、同一メーカーでありながら大きさ、形、インジケーターの色など一貫性、関連性は全くありません。良い音のためには関係ないとの考えからなのでしょう。

結果は、前述の『 SagraDAC 』のサウンドをさらにバージョンアップしたような、ゴリゴリと迫ってくる骨太サウンド。吹っ切れ感を伴ったストレートで、ある種業務用っぽい、プロ機らしいサウンドでした。特に、ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビイ」は圧巻で、力強い迫真の演奏、バックの聴衆が見えるようなライブ感、1961年録音とは思えない生々しさには感動しました。

しかし一方で、ストレートなサウンドが倍加されたことで、しっとり感や滑らかさは多少後退し、左右への拡がりに比べ奥行き感が浅く、若干超高域の情報量も少なく感じました。ボーカルやクラシックなどは、『 SagraDAC 』単独の方がベターとも感じました。

『 SagraDAC 』は、この価格でマルチビットをディスクリートで組んだという画期的なD/Aコンバーターです。CDソフトから本当の実力を引き出したい方、今主流の1ビットDACの音にご不満(音が綺麗すぎる、音の芯がない等)をお持ちのオーディオファイルにこそお勧めしたい、『 マルチビットDAC搭載D/Aコンバーター 』です。
(あさやん)

2019年7月13日 (土)

伝統と革新の融合! McIntosh "70周年記念" 真空管セパレートアンプ誕生!!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、McIntosh 70周年記念の真空管プリアンプ『 C70 』と、真空管パワーアンプ『 MC2152 』をピックアップいたします。


■ 始めに
McIntosh(マッキントッシュ)は、今から70年前の1949年、Frank H.McIntoshによって、米国ワシントンで創立されました。その後、ニューヨーク州に本拠を移し、現在に至っています。同社の製品には、恒久的な信頼性と安定性を、そのデザインには完全性と永続性を求めたのでした。

今回同社から、創業70周年を記念して、真空管プリアンプ『 C70 』と真空管パワーアンプ『 MC2152 』が発表されました。『 C70 』は伝統のデザインを踏襲し、あえてデジタル非対応とした完全なアナログアンプ構成です。一方の『 MC2152 』は、斬新なデザインと最新テクノロジーに果敢に挑戦した、マッキンファン待望の真空管パワーアンプです。

■ 真空管プリアンプ『 C70 』


往年のMcIntoshプリアンプのデザインを踏襲した、漆黒のフルグラスのフロントパネル、フロント両サイドのアルミのエンドキャップ、そしてグリーンに光るレタリング。見ているだけでうっとりさせられる、オリジナルティ溢れるデザインです。しかも、McIntoshのロゴの下には《 70th Anniversary 1949-2019 》の文字があしらわれています。

天板のガラス窓からは、ミニチュア管の12AT7×1本と12AX7A×5本のほのかな明かりが見え、操作はフロントパネルのシルバーの縁取りがされた、お馴染みのロータリーノブと5つのロッカースイッチで行います。過去の同社製品とは違い、LEDのインジケーターとなったことで、入力切り替えや音量レベルが非常に分かり易くなっています。

左上の大型ノブは入力切り替えで、バランス入力×2、アンバランス入力×3、そして、本格的なMM/MCの各入力が装備され、出力はバランス×2、アンバランス×2と充実しています。右上は、バランス調整も兼ねたボリュームノブです。

左下のノブは、BASS/TREBLEを2dBずつ調整可能なトーンコントロール、右下のノブはフォノ入力のインピーダンスとキャパシタンスの調整用です。そして、右端にはヘッドホンユーザーのために標準プラグのヘッドホン端子も用意されています。

中央下の5つのスイッチは、左からトーンコントロールのON/OFF、モノラル/ステレオ切替、ヘッドホンで前方定位を実現する独自の「HXD(クロスフィールドディレクタ)」のON/OFF、そして、出力1と2のそれぞれのON/OFF機能と万全です。

信号の流れは、セレクターで選択された入力信号は、電子制御された高精度アナログボリュームとトーンコントロール回路(OFFでバイパス)、そして1本の双三極管(12AX7A)の初段、そして1本の双三極管(12AT7)による出力アンプという、完全な真空管アナログアンプ構成です。ここまでで、真空管6本中2本が使われています。

ここからが本機のこだわりの部分で、MC/MMのフォノイコは各々独立しており、MCとMMにそれぞれ12AX7を2本ずつ計4本使われています。S/NはMM/MCとも75dBを確保しています。これは、最近の同社製品に見られる最短距離伝送、各回路のセパレート構造など、S/N重視の設計の賜と考えられます。

■ 真空管パワーアンプ『 MC2152 』


こちらはプリアンプと違い、同じKT88を搭載した往年の銘機「MC275」(現在はMC275VI)のシルバー鏡面ステンレスシャーシではなく、ボディは美しいビードブラスト・ブラックアルマイト・アルミニウム仕上げ。サイドパネルは艶消し仕上げのカーボンファイバー製と、高級感ある従来にない斬新なデザインに仕上がっています。

前面のスラントしたパネルには、レーザーカット加工されたMcIntoshのロゴがバックライトで浮かび上がるという凝ったもので、真空管は黒色のパウダーコート仕上げのステンレス・ワイヤーケージでカバーされています。

左右の2つのノブはクラシカルで、右側がパワースイッチ、左側が最前列のスモール真空管を下部から照らすLED照明の切り替え(ブルー、グリーン、消灯/真空管本来の琥珀色)のためのものです。プリアンプのイルミネーションとの相乗効果で、さらに雰囲気を高めることができます。この辺りの遊び心が実に嬉しいのです。

デザインは従来のMcIntoshとは違うものの、その中味は70年間に同社が蓄積してきた独自のノウハウや発明技術が遺憾なく注入されています。

創立と同じ1949年に発明された「ユニティー・カップルド・アウトプット・トランス技術(特許取得済み)」によって、スピーカーのインピーダンスが2、4、8Ωのいずれであっても、150Wのフルパワーをスピーカーに出力できます。

その「ユニティー・カップルド・アウトプット・トランス技術」は、シャーシ後部の3つのトランスの内の左右2台で、中央が電源トランスです。これらのトランスは押出成形ケースに収納されており、上面のガラストップには各トランスの結線図が描かれ、《 70th Anniversary Edition 》の文字がさり気なくレーザー刻印されています。

真空管構成は、入力段用のミニチュア管「12AX7A」が4本、ドライブ段用の「12AT7」が4本、傍熱出力管「KT88」が8本となっています。「KT88」は1ch当たり4本使用し、後部のアウトプット・トランスの1次側のホットとコールドに2本ずつ使ってトランスを駆動しています。

そして「Sentry Monitor™技術」により、常時出力電流を監視し、異常を検知した場合はLEDが即座に赤色になり、パワー・オフしてくれ、安心です。背面の入力はバランスとアンバランスの各1組、出力はスピーカーケーブルを確実に接続できる「Solid Cinch(特許取得済み)」スピーカー出力端子(バインディングポスト)を装備しています。

本機もプリアンプ同様、最近の同社製品に見られる入力から出力まで最短距離で増幅し、高いS/Nと低い歪み率を実現しています。再生音源の音質を重視した上で、真空管の音色をフルに発揮するためのMcIntoshならではの設計なのです。

■ 最後に
McIntosh "70周年記念" 真空管プリアンプ『 C70 』と真空管パワーアンプ『 MC2152 』には、オーディオ愛好家、特に私のようなオールドマニアにとっては、大いに購買意欲をそそられます。

両機での再生音は、伝統のMcIntoshサウンドをベースに、最新テクノロジーによる高品位サウンドも加味した新時代のサウンドとなっています。しかし、ストレスを全く感じさせない豊潤でしなやかなサウンドは、やはり真空管サウンドです。

プリアンプ『 C70 』の漆黒のガラスに浮かぶ夜景のようなイルミネーション、パワーアンプ『 MC2152 』の真空管の自然でほのかな明かりと、新機軸のミニチュア管へのLED照明。

こんなオーディオがあっていいと思うのは、私一人だけではないと思います。
(あさやん)

2019年7月11日 (木)

ミニコンポを超えたミニコンポ!! marantz『 M-CR612 』ヒットの理由とは?!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。

今回、このコラムでは初めてピックアップするCDレシーバー、しかもミニコンポサイズのmarantz『 M-CR612 』をレポートします。その理由はズバリ、予想以上の人気に驚いたからで、これほどのヒットになるとは2019年3月末の製品発表時点では予想できなかったためです。急遽、ジョーシン日本橋1ばん館にて試聴しました。


■ marantzのミニコンポサイズCDレシーバー
marantzのミニコンポサイズCDレシーバーは、2009年発売の「M-CR502」、2010年の「M-CR603」、2013年の「M-CR610」、2015年の「M-CR611」と続き、今回の『 M-CR612 』で5世代目となります。


▲ 初代機「M-CR502」

初代機「M-CR502」も今と同じ横幅28cmで、その製品コンセプトは、小型スピーカーと組み合わせるミニコンポ用のCD/FMチューナー内蔵アンプというものでした。

そして初代機から、ラウンドフォルムのユーロモダンデザイン、1台でバイアンプ可能な4chデジタルパワーアンプ、2系統のスピーカーターミナル装備、単品CDプレーヤーと同一のメカ搭載、USB入力端子搭載 、そして定格出力50W+50Wというスペックでした。さらに「M-CR603」からはネットワークやBluetoothにも対応したのでした。

しかし、我々オーディオファン、特に単品コンポユーザーにとっては、ミニコンポは歩んできた通過点であり、「今さら何故ここで取り上げるの?」と疑問を持たれるのは当然だと思います。しかも、ミニコンポと聞くだけで、どうしてもドンシャリの若者向けの派手なサウンドやペラペラの薄べったいサウンドをイメージしてしまいます。

ただ、初代機の企画段階では、marantzは元々他のオーディオメーカーと違い、ミニコンポにはあまり強くなく、ミニコンポサイズの製品を商品化するにあたっては、同社が持つ単品コンポのノウハウを生かして、真面目にひたすら音の作り込みを行うしかなかったのでした。勿論当時は、さほど売れるとも考えてなかったようですが・・・。

それがステレオコンポなのに、4chデジタルアンプを搭載したバイアンプ駆動(※)という仕様というレシーバーでした。発売後徐々にではありますが、ミニコンポ売場にちょっとまともな音のするレシーバーがあると、音の分かる一部のユーザーには目を付けられていたようです。
※バイアンプ駆動:2ウェイスピーカーのウーファーとツイーターを別々のアンプでドライブすること

しかも思いも寄らないことが海外で起きたのです。ヨーロッパではmarantzブランド製品は、販売ルートの関係で、家電店ではなくオーディオ専門店で展開されており、「M-CR502」もそうだったようです。そこで、耳の肥えた販売員がその音質の良さに目を付け、そこから快進撃が始まったそうです。その噂が日本にも聞こえて来るにつれ、人気が高まっていったのです。

そして『 M-CR612 』の前作に当たる「M-CR611」は、発売当初からこのクラスとしては異例のヒットを続け、惜しまれつつも今春生産終了を迎えてしまったのでした。その大ヒット作である「M-CR611」のどこをどのようにブラッシュアップしたのでしょう。しかも、値上げなしにです。そのあたりを見てまいりましょう。

■ CDレシーバー『 M-CR612 』とは
デザインは初代機から、銘機「MODEL7」を思わせるmarantz伝統の左右シンメトリーにこだわっていましたが、代を重ねるごとに高級感が増し、『 M-CR612 』ではラウンドのかかった3ピースのフロントパネル、ハードコートのアクリルトップパネル、そしてイルミネーションなど、marantzの単品コンポーネントを彷彿とさせる、高級感あるデザインに仕上がっています。

本機の「肝」は、何といってもパワーアンプです。前述のように、初代機から続く4chアンプというのは同じで、そのデバイスにはTI(テキサス・インスツルメンツ)製を使用しています。ただ、この素子は実際には8ch仕様となっており、これを2chずつまとめて4ch使いとしているそうで、ノーマル状態ですでにBTL接続になっているらしいのです。

スピーカー出力は2組あり、「バイアンプ接続」では対応スピーカーの低域/高域それぞれを独立したアンプで駆動することで、ウーファーからの逆起電力など相互干渉を排除します。また、「マルチドライブ接続」では2組同時または切替えて聴くことができ、別の部屋のスピーカーの音量もリモコンで別々に調整できます。ここまでは従来機と同じです。

ここに、あるデータがあります。前作「M-CR611」の利用者を調査した所、バイアンプで使用している人の割合が、日本:18%、ヨーロッパ:8%、アメリカ:10%と、バイワイヤリング対応のスピーカーの多いヨーロッパですら10%未満という状況だったのです。

結果、ほとんどのユーザーは、シングルワイヤ接続でしか「M-CR611」を使っておらず、A,Bあるスピーカー端子のAにスピーカーを繋ぐということは、Bすなわちあとの2ch分は使われないままで、「宝の持ち腐れ」状態だったということです。そこで、本機『 M-CR612 』の新機能の登場と相成るのです。

今回新たに搭載された「パラレルBTLドライブ」は、接続はシングルワイヤのまま、4組のアンプ全てを用いてスピーカーを駆動することを可能にしたのです。その結果、アンプのスピーカー駆動力を示すダンピングファクターは、通常(BTLドライブ)に比べ約2倍になり、中低域の量感と締まりを両立した低音再生を実現できたとしています。

シングルワイヤ接続時でも、内蔵している8chアンプをフル活用できるパラレル(並列)化した駆動方法なので「パラレルBTLドライブ」と名付けられています。これこそ、ミニコンポとは明らかに違う、ハイエンドオーディオ的発想といえます。


▲ 金メッキスピーカー端子


▲ 通常のシングル接続


▲ パラレルBTLドライブ接続


■ 多機能な『 M-CR612 』
さらに、『 M-CR612 』の多機能さには目を見張るものがあります。以下に列記します。
  1. 豊富なネットワークオーディオ機能
    ワイヤレス・オーディオシステム「HEOS」テクノロジー、Amazon Alexaでの音声コントロール、Bluetooth、ストリーミングサービス、インターネットラジオ、AirPlay 2に対応
  2. ハイレゾ音源の再生に対応
    ローカルネットワーク上のミュージックサーバーやUSBメモリーに保存したDSDファイル(5.6MHzまで)、PCM系ファイル(192kHz/24bitまで)が再生可能
  3. その他 主な機能と特長
    • 入力信号を検知して、電源を自動でオン可能な2系統の光デジタル入力を装備
      ※テレビと繋ぐことで、本機がさらに生かせる便利機能
    • データディスク(MP3 / MWA)の再生にも対応したCDプレーヤー搭載
    • 95MHzまでの「ワイドFM」に対応したFM / AMチューナー搭載
    • 低域の周波数特性を5種類切替可能 + 高/低±10dBのトーンコントロール機能
    • 3段階ゲイン切り替え機能付き本格的ヘッドホンアンプ搭載
    • 3行表示で読みやすい日本語対応有機ELディスプレイ
    • ホワイト、ブルー、グリーン、オレンジの4色のイルミネーション
    • クロック&アラーム再生機能、スリープタイマーなどの便利機能
    このように、まさに「てんこ盛り」状態です。やはりこれらは、ミニコンポとしては必要不可欠な機能なのでしょう。でも私のようなオーディオファンがサブシステムとして本機を使うには、少々多機能すぎる感がなきにしもあらずです。もっと機能を絞った、音質だけに特化したミニコンポがあってもいいと思うのは私だけではないでしょう。

    ■ 試聴しました

    『 M-CR612 』のサウンドは、日本橋1ばん館でB&W「607/MW」を使って確認しました。

    B&W「607/MW」は本来バイワイヤ仕様ですが、ジャンパーでシングル接続にして、リモコンで切り替えて「シングル」と「パラレルBTLドライブ」を比較しました。

    「シングル」でも十分「607/MW」を鳴らしきっており、低音が力強く、パワフルな安定感のあるサウンドで、私の過去の経験からくるミニコンポの音とは明らかに違うものでした。ミニコンポのドンシャリ音ではない、ハイファイを意識させるドッシリした正統派のサウンドでした。

    次に「パラレルBTLドライブ」に切り替えた途端、その変わりようにビックリです。低音がとてもこの大きさのシステムのそれではなく、生々しくスケール感たっぷりで、立体感を伴った本格的なサウンドが聴けたのです。とにかくハイスピードになり、情報量も多く「これで十分なのでは」と納得させられるほどでした。

    「ミニコンポでもここまで出せるのだ」が私の正直な感想です。ヒットも当然です。パラレルBTLによるミニコンポを超えたミニコンポ『 M-CR612 』の誕生です。
    (あさやん)

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