ハイエンド注目製品はこれだ! Feed

2020年4月 6日 (月)

マランツ「12シリーズ」の国内専用プリメインアンプ『 PM-12 OSE 』の全貌に迫る!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、マランツの中核を担う、人気のプリメイン「PM-12」のもつ潜在能力を、限界まで引き出そうと果敢に挑戦した意欲作『 PM-12 OSE (Original Special Edition) 』をご紹介します。



次回取り上げる予定のSACD/CDプレーヤー『 SA-12 OSE 』と共に、”マランツの耳”とも言われる”マランツ サウンドマネージャー”の尾形氏に、日本橋1ばん館のリファレンスルームで試聴を交えながら、オリジナルとの違いを中心に、お話を伺いました。

オリジナルの「PM-12」は、その前年に登場したマランツのフラッグシップモデル「PM-10S1」のコア技術である「電流帰還型プリアンプ+スイッチング・パワーアンプ構成」を継承しながら、約半分の価格を実現するという、非常に難しい使命を帯びて誕生したのだと言います。具体的には「PM-10S1」の60万円に対して30万円と(いずれも税別)、本当に半額を実現したのでした。

そのために、構成パーツの選択にはコストと性能のバランスをとる必要があり、前作にはある程度の妥協は実際あったと、尾形氏は正直に述べられていました。しかしそのプリアンプ回路やパワーアンプ部などの完成度は現時点でも十分高いうえ、一から設計をやり直すとなると、開発期間と開発コストが必要で、かなりのコストアップは避けられないとの結論に達したのだそうです。

そこで、日本国内専用モデルとして音質にかかわる部分を見直すことで、音質の向上を目指したのです。仕様的にはマイナーチェンジと言えますが、実際には大幅なグレードアップを果たしたのです。その主な改良部分を順に見てまいりましょう。

■ オリジナルからの改良部分
(1)金属皮膜抵抗の採用
オリジナルの「PM-12」の潜在能力を引き出す、最も近道として選んだのが、音質に最も影響するプリアンプ部に使われている抵抗のうち、17個を高性能な金属皮膜抵抗に置き換えることでした。

なお尾形氏曰く、基板に使われているコンデンサーは一切変更してないとのことでした。設計段階ではコンデンサーの交換も考え、実際に試してみたものの、オリジナルの持つ”旨み”以上のものは引き出せなかったそうです。結果、抵抗のみの変更になったのです。

(2)銅メッキシャーシの採用

本機を前面から見ると分かりませんが、リアパネルや内部を見るとシャーシがオリジナルのシルバーのシャーシと違い、銅メッキされたシャーシに変更されているのが分かります。非磁性体で導電性の高い銅をシャーシにメッキすることで、うず電流を抑え、シャーシ上の電位差が少なくなり、結果ノイズを減らすことができると言います。見た目にも高級感があり、これは上級機「PM-10」に用いられた手法です。

(3)5mm厚アルミトップカバー
オリジナルの一般的な叩けば音のする通気口の開いた薄手スチール製の天板に換えて、重量級5mm厚のしっかりした天板になっています。これも上級機「PM-10」に採用された手法で、コストは明らかにアップしますが、音質的なメリットは計り知れないものがあります。

(4)アルミ削り出しインシュレーター
オリジナルのアルミダイキャスト(鋳造アルミ)製のインシュレーターに換え、アルミの無垢材から削り出されたインシュレーターを採用しています。実際に現物を手に持って比較しましたが、その重量、信頼感の差は歴然で、コストに見合う音質向上に貢献するのは疑いのない所です。

そして、オリジナル「PM-12」を継承した完成度の高い技術は以下の通りです。

■ オリジナルからの主な継承部分
(1)電流帰還型プリアンプ
マランツ独自の高速アンプモジュール「HDAM-SA3」を用いた電流帰還型アンプに、JFET入力とDCサーボ回路を組み合わせた1段構成のプリアンプとすることで、情報量が豊かでハイスピードなサウンドを実現。

(2)プリアンプ専用電源
大容量トロイダルコアトランスやエルナー製のカスタムブロックコンデンサーによるプリアンプ専用電源とすることで、パワーアンプの影響を受けることなく安定した電源の供給が可能。

(3)リニアコントロール・ボリューム
経年劣化のある可変抵抗ではなく、左右のクロストークや音量差を生じないJRC製の最新型のボリュームコントロールICを使用。ゆっくり回すと0.5dBステップで高精度に、早く回すと素早い音量調節が可能な加速度検出システムを採用。

(4)スイッチング・パワーアンプ・モジュール「NC500」
どうしてもスペース的に制約のあるプリメインで、音質を犠牲にせず、大出力と強力なスピーカー駆動力を実現する手段として、Hypex社製NCore「NC500」スイッチングアンプモジュールを採用。スピーカーのインピーダンスにかかわらず周波数特性が変化せず、200W/4Ωの大出力を獲得。パワーモジュールとスピーカー端子間が僅か1cmというのもメリット。

(5)その他のフィーチャー
MM/MCカートリッジ対応フォノイコライザー。純銅削り出しピンジャック&スピーカー端子。視認性に優れた有機ELディスプレイ。本機2台(最大4台)のボリュームを連動させられるF.C.B.S機能によりバイアンプドライブが可能。

■ 試聴しました
『 PM-12 OSE 』のサウンドは、SACD/CDプレーヤーを『 SA-12 OSE 』に固定して比較しました。


まず感じたのは静けさの違いです。明らかに透明度が上がり見通しが良くなっています。S/Nが良くなったため、スケール感も向上し、音楽が生き生きとしてきました。ボーカルにあった若干のかすれ感もなくなり、驚く程ヌケが良くなりました。そして、低音楽器はより深々と力強く沈み込み、鈍さが取れ、歯切れも良くなったのです。

マランツ サウンドマネージャーの尾形氏も、回路は一切変更せず抵抗を換えただけで電気的な変更はなく、実際測定しても全く差は出なかったと言います。しかし、”現実に出てくる音がこれ程変わるとは…”と、設計者自身でさえ正直驚いたそうです。


今回、快く取材に応じて頂いた「マランツ 尾形氏」

それが、5万円(税別)のアップで済んだことに正直驚くとともに、マランツの中核プリメインが大幅なグレードアップを成し遂げたにもかかわらず、それが限定モデルではなくレギュラーモデルだと言うのが最大のトピックです。成熟しつつある国内のオーディオ製品開発の今後の指針にもなりそうです。

(あさやん)

2020年4月 4日 (土)

いつかはマッキン! 最新&最強プリアンプ『 C53 』の魅力とは?

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、マッキントッシュが”今まさに世に問う”マッキンならではの超多機能プリアンプ『 C53 』を取り上げます。



事実上同社の一体型・半導体式プリのトップモデル『 C53 』を中心に、前作との違いや、見直しがあった部分を、日本橋1ばん館での試聴の印象も交えレポートします。

■ マッキントッシュのこだわり
オーディオは何より「超シンプルがベスト」で、余計な回路や機器を通さない直結が一番。「機能は最小限で多機能は不要」という考え方が、オーディオファンの間では長く続いていました。かく言う私も、トーンコントロールを通さないソースダイレクトは勿論、最終的にはプリアンプを使わないパワーアンプダイレクトにまで行き着き、「究極のシンプルイズベスト」を実践していた時期もありました。

しかしそれは、解像度や情報量は多いものの、無機的で面白みに欠ける、音楽ではなく音の純度のみを追求した結果であったと思います。ある時期オーディオ業界全体がその方向だったため、誰もがそれが当然と感じていたのです。しかしそんな中にあっても、マッキントッシュのアンプだけは違いました。世の中がどうであろうとも我が道を行くマッキントッシュは、ずっと多機能こそがオーディオには必要不可欠であるというスタンスを崩しませんでした。

マッキントッシュは現在、他のどのブランドより多い6機種ものプリアンプをラインナップしています。その内2機種は管球式、2機種はデジタル入力に特化したデジタルプリアンプです。そしてマッキンブランドのプリのメインストリームであるソリッドステートのアナログ入力を持った製品が『 C53 』と『 C49 』です。いずれも前作「C52」「C48」に代わる新製品です。

■ 高度な機能を備えた「DA2」デジタルオーディオモジュール搭載
『 C53 』の最大のグレードアップポイントは、デジタル入力部分に最新型のデジタルオーディオモジュール「DA2」を搭載したことです。全てのデジタル入力信号を、独立したスロットイン・モジュールに統合して入力しています。モジュールが独立しているため、将来交換することが可能で、その時点での最新のフォーマットにも対応できるとしています。本機を長年にわたって常に最新の状態に保つことができるのです。

そのデジタルオーディオモジュール「DA2」は、次世代のデジタルオーディオファイルのグレードとも言える、クアッド(4重)バランス、8チャンネル、32ビットD/Aコンバーターを搭載しており、最大で「DSD512」および「DXD384kHz」までの高解像度デジタルフォーマットをサポートしています。

外部のデジタル機器などからPCM信号をデコードする同軸、TOS光デジタル入力、PCM信号とDSD信号をデコードするUSBデジタル入力、そして同社専用のDINデジタル入力を備えており、マッキントッシュ製SACD/CDトランスポートとのダイレクト接続でDSD信号のデジタル伝送も可能です。

各デジタル入力のスペックは、同軸/TOS光デジタル入力が最大24ビット/192kHz、USB デジタル入力はPCMが最大32ビット/384kHz、DSD64、128、256、そして最大512(前作はDSD256)までサポート、DXD352.8kHz/384kHzも可能です。いずれも現時点での最高のパフォーマンスを獲得しています。(※DXDは音楽制作の現場で使われる編集可能なフォーマット)

このように充実したデジタル入力付きプリアンプであるにもかかわらず、フォノイコライザーにも他社とは一味違う取り組み方をしています。

■ 完全セパレートされた、高音質「MCフォノ回路」と「MMフォノ回路」

MC、MMの別入力を持ち、完全にセパレートされた高音質の「MCフォノ回路」と「MMフォノ回路」を装備。最近あまり見られない、入力インピーダンスをかなりの自由度で選択できる「MM/MCフォノ回路」を搭載しています。MMの負荷抵抗は47kΩ固定で、キャパシタンスは50~800pFを50pFステップで可変、MCはキャパシタンスは100pF固定で負荷抵抗は25、50、100、200、400、1000Ωと大きく可変できます。

例えば、MMでキャパシタンスを上げることで高域にアクセントをつけることができたり、MCではカートリッジの数倍の抵抗値で受けるのが適切とされていますが、可変させることでカートリッジの新しい魅力を引き出せる可能性もあります。好みのサウンドを追求できるマニアックさが魅力です。

この最新設計の「MM/MCフォノ回路」は、ノイズ及び歪みを最小限に抑えこみ、誤差の少ない抵抗およびコンデンサーを採用したことで、極めてフラットな周波数レスポンスを実現できたとしています。『 C53 』は、決してデジタルのみにこだわったのではなく、ちゃんとアナログ再生にも最新技術を投入しているのです。

■ 8バンドイコライザーを装備

そして何と言っても本機の顔とも言うべき「8バンドイコライザー」の装備です。最新の高音質音源であっても、全てが完璧とは言えません。好みは人それぞれであり、好みに合わせたイコライジングにより、さらに音楽の魅力も深まります。周波数ポイントは25、50、100、200、400、1k、2.5k、10kの8つで、特にお部屋の影響を大きく受ける中低域を細かく調整できるのがメリットです。

ボリュームは「VRV(Variable Rate Volume)」電子ボリュームを使ってはいますが、アナログボリュームの感覚で0.5dB単位で214ステップでの高精度な音量調整が可能です。何より従来型ボリュームのような接点が存在しないため、長期間安定した動作が保証されています。

■ その他の機能
その他、本機の機能としては、音声専用のHDMIオーディオリターンチャンネル(ARC)入力、ヘッドフォン出力の前方定位を実現するHXDクロスフィード機能、ホームシアターパススルーなど充実しています。

外観はマッキントッシュ伝統の漆黒のガラスフロントパネルや、鏡面仕上げのステンレスシャーシを継承していますが、フロントパネルのイルミネーションには広角LEDを採用して照明の均一化を図り、より美しく仕上げられています。そして簡単なお手入れでいつまでも新品同様の輝きを保ち続けることができます。

■ 試聴しました
『 C53 』は日本橋1ばん館のリファレンスルームに設置されており、同社パワーアンプは「MC462」を使って試聴しました。


「C52」との同時比較ではなく記憶に基づいての比較になりますが、濃密で色彩感豊かなマッキンサウンドはそのままに、クリアさがさらに増し、キレが良くなっていると感じました。楽器の音色がより明瞭に感じられ、ボーカルの生々しさも加わっていました。

このように微妙な差ではありますが、確かなグレードアップが確認でました。この『 見て良し、聴いて良し 』のマッキントッシュ『 C53 』からは、重箱の隅をつつくような神経質なオーディオとは別次元の”ハイエンド・オーディオの醍醐味”が伝わってきます。

8バンドのイコライザーを無くし、大幅なコストダウンを果たしたプリアンプ「C49」、そして『 C53 』「C49」とも相性抜群のパワーアンプ「MC462」「MC312」でマッキンサウンドを存分にお楽しみ下さい。
(あさやん)

2020年4月 2日 (木)

エソテリック 最新鋭デジタルプレーヤー『 K-01XD 』『 K-03XD 』誕生!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、エソテリックのフラッグシップ「Grandioso(グランディオーソ)」のエッセンスを注入した、最新鋭デジタルプレーヤー『 K-01XD 』『 K-03XD 』をご紹介します。




エソテリック『 K-01XD 』『 K-03XD 』は、いずれも、2010年発売の「K-01」「K-03」、2014年の「K-01X」「K-03X」、そして、2018年の「K-01XS」「K-03XS」に続く、第4世代機です。

それでは、前作からのグレードアップの内容と『 K-01XD 』と『 K-03XD 』の違いについて、エソテリックの担当者に詳しくお聞きしましたので、レポートしてまいります。

■ まずは「エソテリック」のVRDSのメカの歴史から
1987年、CDトランスポート ESOTERIC「P-1」に初めてVRDSが搭載されました。一体型CDプレーヤーでは、1991年のESOTERIC「X-1」が最初です。普及機としては、1992年のTEACのCDプレーヤー「VEDS-10」、CDトランスポート「P-700」が最初でした。1997年、当時CDトランスポートの最終型と言われたVRDSメカを搭載した伝説の「P-0」を発売しました。

2003年、SACDに対応した新VRDS搭載の「X-01」、2004年には、さらに進化したVRDS-NEO搭載の「P-01」、そして、フラッグシップ”グランディオーソ”にも、2013年に登場した「Grandioso P1」、2016年「Grandioso K1」に改良型のVRDS-NEOが搭載され、エソテリックのCD/SACDプレーヤーはVRDSメカと共に進化してきました。

SACD対応トランスポートメカ「VRDS-NEO」が、基本設計は変えて来なかったものの、登場して16年目の昨春(2019年)遂に、SACD/CD トランスポート「Grandioso P1X」に新開発の『 VRDS-ATLAS 』が搭載され、登場したのです。業界最高のメカと謳われた「NEO」のレベルを更に向上させるということは至難の技であり、エソテリックにとっては、社運を掛けた挑戦だったともいえます。

「NEO」のメカ設計を根幹から見直し、類まれなる機構の構築と高音質を誇る新規設計の究極のメカとして『 VRDS-ATLAS 』が完成したのです。VRDSメカ史上最高の剛性と重量を誇り、「NEO」との比較で重さが+27%(メカ単体6.6kg、ベース部含め13.5kg)もの重量級コンストラクションとしたことで、音質に悪影響を及ぼす、あらゆる振動を極限まで減衰させたのです。

その「Grandioso P1X」の発売から僅か半年で、『 VRDS-ATLAS 』を搭載した一体型SACD/CDプレーヤー「Grandioso K1X」を完成させたのでした。ただ約300万円という超ハイエンドプレーヤーであり、その恩恵にあずかるのは、ほんの一部のハイエンド層に限られていました。

そこで、今回ご紹介します『 K-01XD 』と『 K-03XD 』の登場と相成るのですが、『 VRDS-ATLAS 』を使う限り、やはりコストを下げるのには限界があり、下位の『 K-03XD 』でさえ、100万円強という高額なプレーヤーとなってしまいました。しかし、CD/SACDの可能性を極限の極限まで追求するのであれば、『 K-01XD 』『 K-03XD 』のご購入も検討されてみてはいかがでしょうか。

■ 究極のトランスポートメカ「VRDS-ATLAS」
VRDSメカニズムは、ディスクを同径のターンテーブルに確実にクランプして回転させ、ディスク自身の回転振動や、メカニズムの不要振動を徹底して排除し、ターンテーブルでディスクの反りを矯正します。これにより、光学ピックアップとディスクピット面の相対光軸精度を大幅に向上させ、サーボ電流を極小化できたことで、ディスク読み取りエラーの大幅な減少と優れた音質を実現したのです。

『 K-01XD 』に搭載された専用メカ「ATLAS 01」は、上位モデルと同一の20mm厚ブリッジを採用。極めて高い剛性と重量であらゆる振動を減衰します。ターンテーブルはジュラルミン製、SS400スティール製ブリッジはVRDS-NEOよりも大型化。スピンドルは、点接触で受けることで摩擦や回転ノイズを極限まで抑えています。

更にメカ全体の幅を広く、背が低い設計とすることで低重心化。ターンテーブル駆動用モーターを従来のブリッジ最上部からターンテーブルの下側に移動することで、振動をより効率的に減衰させています。トレーは最小限のくり抜きで高剛性化。特殊な振動吸収エラストマー樹脂製ストッパーでトレー収納時の共振も防止しています。


「Grandioso P1X/K1X」のATLASとの違いは、ローディングレールエンド(K-01XDでは金色の部分)の材質が変更されている点です。

また、『 K-03XD 』に搭載されている「ATLAS 03」は、「ATLAS 01」の20mmブリッジに対して、加工箇所を減らした18mmのブリッジとなっています。その他は全く同じで高剛性+重量級には変わりはありません。

■ DACチップではない「Master Sound Discrete DAC」
前作まで、DACには旭化成の最上位のチップが使われていました。しかし上位機「Grandioso D1X/K1X」にはエソテリックの完全自社設計のディスクリートD/Aコンバーター「Master Sound Discrete DAC」が搭載され注目を集めました。

従来の集積チップでは実現することのできない、吟味を重ねたディスクリート部品で回路を組み上げることで、音楽の「躍動感」や「エネルギー感」の完全なる再現を目指したとのことです。


『 K-01XD 』には、「K1X」版のエッセンスを凝縮しつつ、シンプルな回路構成としてコストダウンを図ったとのことです。DACは、1チャンネル当たり32のエレメントから構成され、主要部品は32エレメント分を全て独立させた贅沢な物量投入型です。プレミアム・グレードの高音質パーツを贅沢に採用しています。

また、『 K-03XD 』では設計自体は『 K-01XD 』のDACと同じで、見た目も全く同じですが、コンデンサー等に通常の高音質パーツを使用しているとのことです。しかし、これによる音質差はほぼ無いとのことです。

部品の公差が演算精度に直結するため、基板製造は病院のオペ室と同レベルのクリーンルームで、無酸素炉でハンダ付けを行うエソテリックの自社ファクトリーで行っており、これこそ同社の世界有数の基板マウント技術の成せる技だと言えます。

■ 音質の要となる強力な電源回路
『 K-01XD 』は合計4つの大容量トロイダルトランスを搭載。D/Aコンバーター部のL/R、メカニズム、デジタル回路をそれぞれ専用の電源トランスから給電する贅沢な仕様となっています。

一定電圧を供給するための電源レギュレーターは、集積回路を使わないディスクリート構成で、フィードバック量を最小限としています。コンデンサーには合計71本(合計容量1,850,000μF)のスーパーキャパシターを搭載。電源の大容量化は間違いなく低域の解像度を大きく改善します。

一方『 K-03XD 』は、合計2つの大容量トロイダルトランスを搭載し、デジタルとアナログの電源部を独立させています。また、合計26本(合計容量650,000μF)のスーパーキャパシターを搭載しており、ここが最もコストを抑えられた要因でもあります。やはり若干の余裕度に違いが出そうですが、それはあくまでニュアンスレベルだとエソテリックはしています。

■ その他「前作」との違い
1)クロック
「Grandioso P1X/D1X」用に開発された高音質クロックデバイス「Grandioso Custom VCXO II」を搭載。位相雑音が極めて少なく、優れた中心精度(±0.5ppm)を誇ります。

2)セミフローティングトップパネル
Grandiosoと同様、トップパネルをネジで締め付けない構造にすることで、伸びやかで開放感のあるサウンドを目指しています。

3)MQAにフル対応
MQA-CDのデコード再生やUSB入力をはじめとする各デジタル入力再生時のMQAコーデックにも対応。

4)シャッタートレイメカを廃止
メカ音を少しも漏らさないため、前作「K-01XS」に採用されていたシャッタートレイを『 K-01XD 』では廃止しています。これは、ATLASの静粛性と不要なメカの削減により音質が向上したためとしています。

■ まとめ
「Grandioso(グランディオーソ)」のエッセンスを注入した、最新鋭デジタルディスクプレーヤー『 K-01XD 』『 K-03XD 』。正直筆者を含め、それでもまだまだ”高嶺(高値)の花”ではありますが、”今こそ!”ハイエンドオーディオの王道である光ディスク(CD/SACD)から最高のパフォーマンスを引き出すことが可能であり、しかも、話題の「MQA-CD」にも対応している、ハイレゾディスク&ハイレゾファイル・フル対応機として大注目のデジタルディスクプレーヤーです。

(あさやん)

2020年3月31日 (火)

Pro-Ject「The Classic」を大幅にグレードアップした『 The Classic EVO 』誕生!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、Pro-Jectの創業25周年記念モデル「The Classic」を大幅にグレードアップした、アナログレコードプレーヤー『 The Classic EVO 』を取り上げます。



ジョーシン日本橋1ばん館で『 The Classic EVO 』の構造及び、改良点をD&Mの担当者に詳しくお聞きし、試聴も行いましたので、早速レポートしてまいります。

■ Pro-Ject(プロジェクト)の歩み
オーストリア・Pro-Ject(プロジェクト)の輸入代理店が、それまでのナスペックからD&M(ディーアンドエム)ホールディングスに替わったのが、約3年前の2017年6月でした。

その第一弾が、ビートルズの『 サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド 』50周年記念盤とコラボレーションした特別仕様のプレーヤーで、「Essential-3」をベースモデルにした特別仕様の「ESSENTIAL-3SGT」でした。しかし残念ながらヒットには至りませんでした。

続いて同月中頃、本命と言われた同社創業25周年を記念したモデル「The Classic」が発表され、一気に注目を集めました。名前の通り、1960~70年代に多く見られた、伝統的なフレームデザインを採用しており、10万円台前半という衝撃的な価格ということや当時のアナログブームにも乗って大ヒットし、同社のスタンダード・モデルとなりました。

この度、その「The Classic」が、大きく進化(Evolution)して『 The Classic EVO 』として登場しました。定評のあるオリジナルのサブシャーシー構造と往年のクラシカルな外観はそのままに、プレーヤーの要であるトーンアームやサブプラッター等に大きな改良が施されています。

さらには、前作では別売であったカートリッジをプリマウント(取付済みと)するなど、オーディオファイルのみならず、音楽ファンにも使いやすいプレーヤーとなって登場したのです。


■ プラッター(通称:ターンテーブル)
過去のアナログ・プレーヤーの最大の欠点はプラッターにありました。主にアルミの押し出し成形によって作られたプラッターは、重量さえあれば安定した回転やワウフラッターを数字上抑えることは可能でした。しかし一方で共振が発生(叩くと金属音がする)し、振動にはとても脆弱でした。

今回の『 EVO 』としての進化で最も大きいのは、そのプラッターの内側にあるサブプラッターです。これにモーターからベルトを介してトルクを伝えることで、上に乗る形のプラッター本体を回転させるのです。このため、ベルトは外からは見えない構造となっています。トーレンスやリン/LP-12などの高級機に採用されている方式です。直接モーターの振動がプラッター本体に伝わらないのがメリットです。


そのサブプラッターを『 EVO 』では、前作のABS樹脂(精度は高いが軽い)からアルミ削り出しで精密に成型された重量級のモノに大きく進化したのです。この超精密加工されたサブプラッターにより、ベアリングノイズとランブル(ゴロ音)を大幅に低減できたとしています。この変更が本機のサウンドクオリティの向上に最も大きく貢献したのです。

また、プラッター本体は、前作同様、大きなダンピング効果のあるTPE(サーモ・プラスティック・エラストマー)をプラッター裏側の溝に埋め込む処理が施されています。特殊なアルミニウム合金を正確に機械加工して製造されたプラッターは、安定性を維持しながら、共振にも強くなっているのです。

※サーモ・プラスティック・エラストマー:熱可塑性エラストマー、ゴムのように柔らかいプラスチック

■ シャーシ(筐体)構造

メインシャーシ-は前作同様、天然木の突板仕上げのMDFのウッドフレーム(ウォルナット色から濃いユーカリ色のマット仕上げに変更)で、上面には6個のTPEダンピングボールが埋め込まれ、駆動モーターはここにマウントされています。

そして、メインシャーシーの上にダンピングボールを介して載せられるサブシャーシーは、前作から更に固く重量のある素材に変更されています。アームベースとセンタースピンドルの軸受けは、このサブシャーシーにマウントされており、メインシャーシとは完全に分離されています。

この結果、外部からの振動やモーターからの余計な振動で生じるプラッターやアームの共振を防止しています。過去のプレーヤーで見られたバネによるフローティング構造のようなフラツキが無いにも関わらず、TPEを使うことで振動に強い構造となったのです。

■ トーンアーム「Classic EVO 9inch」
前作「The Classic」に搭載されていたトーンアーム(当時は新設計だった)は大きく改良が加えられました。Pro-Jectには25年以上のトーンアーム製造のノウハウがあり、同社のハイエンドモデルで開発された技術が注入されています。

トーンアームのチューブ(パイプ部分)は、前作同様カーボンとアルニミウムの2重構造で、カーボンはアームの剛性とハイスピードなサウンドに、アルミはカーボンの弱点であるダンピング(振動の減衰)特性の改善に貢献しています。


そして、今回の最大の改善点は、メイン・ベアリングを大型のジンバルハウジングに収めた、上位機種に採用されているトーンアーム「9cc Evolution」と同じタイプにグレードアップされたことです。これにより垂直・水平方向の摩擦が極めて少ない動きが可能となり、レコードを正確かつスムーズにトレースできるのです。

アームのカウンターウェイトにも前述のTPEが組み込まれており、トーンアームやカートリッジの共振を50%も低減できたとしています。

また、様々なカートリッジを使用できるよう、アジマス(カートリッジの盤面に対する水平度)の調整や高さ調整(VTA=Vertical Tracking Angle:カンチレバーの盤面に対する角度調整)も可能です。

■ カートリッジ「Ortofon Quintet RED」

前作「The Classic」では別売であったカートリッジが本機には付属しており、しかも工場出荷時に完全に取付けやオーバーハング調整などが完了しています。

しかも、そのカートリッジが定評のあるオルトフォン製のMCカートリッジというのですから、調整等が苦手な方には間違いなく朗報です。

この付属のカートリッジは、日本国内では流通していませんが、国内型番「MC-Q5」(税込33,000円)相当の人気カートリッジです。また、トーンアームが元々中質量のカートリッジに最適なこともあり、抜群のマッチングと言うことで選ばれたのです。もちろん、他のお気に入りのカートリッジとの交換も可能です。

ただし、ヘッドジェルは外れませんので、多少技術は必要です。


■ 試聴しました
試聴は、『 The Classic EVO 』→「DENON/PMA-SX1LTD」→「B&W/805D3」で行いました。「PMA-SX1LTD」のMCフォノ入力のインピーダンスは50Ω(Low)に設定しました。

音出し直後、まず「PMA-SX1LTD」のレコード再生能力の高さに驚きました。アナログレコードは比較的録音の新しい「ジェニファー・ウォーンズ/ハンター」など数枚で行いました。ハンターは私のリファレンスCDでもあり、聴き慣れているのですが、やはり密度の濃さや伸びやかさ、ゆったり感はデジタルには到底表現できないレベルでした。

こと情報量だけとれば、やはりCD/SACDなどのデジタルに一日の長は感じますが、この血の通ったホットなサウンドはアナログでしか味わえないものです。

また、ローコストのアナログプレーヤーでは絶対に不可能な上質で品位のあるサウンドは、オルトフォンMCとのコラボが大きく貢献していると感じました。

■ Pro-Ject『 The Classic EVO 』は以下のような方々にお勧めします
1)アナログブームに乗って10万円以下のプレーヤーを購入はしてみたものの、デジタルとの音の違いこそ分かるが、納得レベルには達しなかった方。

2)過去に使っていたアナログプレーヤー、特にダイレクトドライブのプレーヤーを引っ張り出して来て、レコードを聴いてはみたが、満足できるレベルには達しなかった方。

3)デジタルを極めようとすると大きなコストが掛かることが分かったオーディオファイル。

4)過去のレコードコレクションをじっくり楽しみたい音楽ファン。

本物のアナログの素晴らしさを今こそ手に入れたい方に『 The Classic EVO 』を自信を持ってお勧めします。

なお、前作に比べ定価が大幅にUP(税込み13万円台→21万円台)していますが、これはMCカートリッジが標準装備されたことに加え、サブプラッターやトーンアームなどが大幅にグレードUPされていることに起因しています。

C/Pは前作を遙かに凌ぐ製品になっています。もちろん、それらはサウンドに大きく貢献していました。


(あさやん)

2020年3月 6日 (金)

ラックスマン待望のMQA-CD対応プレーヤー『 D-03X 』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、最初の発表から実に5ヶ月以上費やしたものの、ついに発売となった ラックスマン MQA-CD対応プレーヤー『 D-03X 』をご紹介します。




詳細は伏せますが、『 D-03X 』の開発段階、そして生産段階で、かなり予想外の高いハードルがあったようです。恐らく他のオーディオメーカーも苦労している、ハイエンド製品の構成部品の小規模生産に応えてくれる部品メーカーの減少が影響しているのだと想像します。私はかつての日本の高品質なものづくりが難しくなっている現状を危惧します。

そんな発売が遅れた原因はさておき、ラックスマンならではの、同社としてはミドルクラスに位置づけられる画期的な最新鋭CDプレーヤーがついに完成したのです。その『 D-03X 』の全容を見てまいりましょう。

■ ドライブメカ
『 D-03X 』は、2015年発売のSACD/CDプレーヤー「D-05u」の基本構成を受け継いでいます。ただ前作は同社フラッグシップ機である「D-08u」と同一の高剛性オリジナルメカ「LxDTM」を搭載し、SACDに対応していました。しかし本機では、実際のソフトの使用状況などを加味して、高信頼CD専用メカによるCD専用機として価格面での訴求力を上げています。

そのメカは、これまでも採用実績のある極厚アルミ製のメカベースと、アースループが発生しないループレス構造のシールド付きボックスシャーシで構成されています。メカニズム全体を強固なシャーシによって囲うことで、外来振動をリジッドに遮断できたのです。また新たにスチール製トッププレートを加えた最新仕様とすることで、読み取り精度と静音性もさらに高めています。

また、CDプレーヤーでは一般的なセンターメカ構造はとらず、物量投入型のアナログ回路のスペース確保や各種信号が筐体内をスムーズに流れること、さらには振動の伝わる経路にも配慮し、優れた重量バランスを得るため、非対称(アシンメトリー)構成の「レフトサイド・メカ・レイアウト」をとっています。

■ デジタル回路
USB入力によるPCM/DSDのハイレゾファイルの再生は、PCMでは最大384kHz/32bit、DSDは最大11.2MHz/1bit(最初の発表時点では5.64MHz)に対応しており、現状では万全のスペックです。S/PDIF入力は、最大192kHz/24bitのPCMに対応しています。

D/Aコンバーターには使い慣れた「D-05u」と同じ32bit対応TI社製「PCM1795」をデュアル構成(モノラルモード)で搭載しています。高性能DACを余裕を持たせた環境で動作させることで、高精度で精密な変換を可能にし、デジタル信号に刻まれた音楽信号を余すことなく引き出します。

特にUSB信号では、通常のアイソクロナス転送(リアルタイムに転送されるが、エラーが発生しても再送が行われない)に加え、バルクペット(Bulk Pet)転送(大量のデータを正確に伝えるのに適し、エラーがあれば再送される)にも対応しており、デジタル信号の送受信間の負荷が軽減でき、高品位で安定したファイル再生が可能で音質の向上が図れます。

クロックには、発振周波数(22.5792MHz/24.5760MHz)付近のノイズを低減する高精度かつ低ジッターの低位相雑音クロックモジュールを搭載しており、デジタル再生の要であるクロックにも万全を期しています。




■ アナログ回路
正確に読み取られたデジタル信号を、L/R独立のモノラルモードのD/Aコンバーターの差動出力を、フルバランス構成(同一構成のアンプ×4基)のI/V(電流/電圧)変換回路へ入力。次段のL.P.F(ロー・パス・フィルター)アンプを強力にドライブすることで、理想的なアナログ出力を得ているとしてます。



電源もラックスマンらしくこだわっており、大型の電源トランスを搭載。そのトランスから各回路独立のレギュレーターと大容量ブロックコンデンサーを経由することで、高慣性(ハイイナーシャ)の電源環境を構成しています。

■ 構造・機能
同社「L-509X」などの高級アンプにも採用されている「ループレスシャーシ」とすることで、シャーシ電流によるアースインピーダンスの上昇や発生磁界の影響を回避し、デジタルノイズを遮断するシールドシャーシとの複合構造とすることでノイズ対策も万全です。

電源ケーブルには、同社リファレンスモデルの「JPA-10000」を採用し、ACインレットもケーブルを強固に支える高剛性パーツを採用しています。またアナログ出力端子も高級機仕様の大型のRCAプラグにも対応する18mmピッチの金メッキ仕上げのRCA端子と、ノイトリック社製の高級XLR端子を採用し、手抜きはありません。

FLディスプレイは、ブラスターホワイト仕上げのフロントパネルに映える視認性の優れたもので、離れた場所からも見易い「ズームモード」が搭載された親切設計です。専用リモコンもブラスターホワイト仕上げのテンキー付きのアルミ製のしっかりしたものです。多彩な操作やディスプレイのディマー調整も可能です。



そしてUSB入力は、WAV/FLAC/MP3/DSF/DSDIFF/ALAC/AIFFのフォーマットに対応し、ラックスマンオリジナルの高音質音楽再生ソフト「LUXMAN Audio Player」(Windows/Mac共ダウンロード可能)によるシンプルかつ快適な操作が可能です。

ラックスマンの”MQA-CD”対応CDプレーヤー『 D-03X 』は、オーディオファイルが今現在望んでいるであろう、あらゆるフィーチャーに加え、ひたすら高音質を目指して開発された“最新鋭デジタルプレーヤー”と言える注目機です。

(あさやん)

2020年2月25日 (火)

ウエスギの新世代ハイパワー真空管アンプ『U・BROS-120R』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、上杉研究所が2014年末に発売した真空管式モノラル・パワーアンプ「U-BROS-120」の後継機種『 U-BROS-120R 』をご紹介。その完成度の程を順に見てまいりましょう。




■ 上杉がこだわる「サークロトロン」とは?
2014年末に発売の真空管式モノラル・パワーアンプ「U-BROS-120」は、上杉研究所の目指す『 真空管パワーアンプの音質的メリットを失わず、スピーカー対応範囲を広げるために、スピーカー駆動能力の高いハイパワーとシングル出力段アンプの持つ優れた低レベル再生能力との両立 』したアンプとして開発されました。そのため、1950年代前半に開発された「サークロトロン(Circlotron)」回路を現代によみがえらせることで、この目標に挑戦したパワーアンプでした。

今回、前作「U-BROS-120」で得た好評価を踏まえた上で、さらに主要部品や回路の見直しを行い、「サークロトロン」回路の完成度をより高めることで、型番末尾に「R」が付いた『 U-BROS-120R 』が開発されました。

1950年代に登場したこの回路は、同時代に開発されたマッキントシュの「ユニティカップルド出力回路(Unity Coupled Circuit)」とならんで、真空管のプレートとカソード両方から出力を取り出す基本構成(CSPP回路)で、それは当時プッシュプル出力の理想的な回路と言われました。

「サークロトロン」は、その構成・動作のシンプルさから「最も美しいプッシュプル回路」とも言われましたが、電源が複雑になることで、当時の技術ではなかなか実用化は難しかったようです。「サークロトロン」の名称はアンプ出力ステージの回路図に由来すると言います。


その難題でもあった電源は、モノラルパワーアンプでは動作原理上、プラスサイクル用出力回路とマイナスサイクル用出力回路それぞれに、アースから浮いた状態の独立した2組のフローティング電源が必要であると言います。これが「サークロトロン」方式の普及を妨げる要因となったそうです。

『 U-BROS-120R 』では、フローティング電源に侵入する同相ノイズを阻止する構造の電源トランスを新たに開発したことで、プラスとマイナスの独立した電源を形成し、これによって相互干渉が低減でき、ハイエンド真空管アンプに要求される音質面で、大きなメリットとなったとのことです。

また、サークロトロンの出力トランスは、1次巻線に直流の高電圧が発生しないため、高音質化のためのワニスの含浸や樹脂の充填が可能となったことで、真空管アンプの音質面での新たな可能性を広げることができたのだとしています。

出力トランスを新開発したことで、パワーバンドウイズス(出力帯域幅)が前作の30Hz(75W/8Ω)から20Hz(90W/8Ω)に拡張され、低域の再現能力が大幅に向上しています。一方で高域の位相特性も大幅に改善されたことで、真空管式パワーアンプとしての可能性を大きく引き出したとも言えます。

また、ドライバー回路は、前作では高耐圧トランジスターを併用したハイブリッド回路でしたが、本機では真空管のみで構成する回路に変更されています。使用真空管は、初段と位相反転段にゼネラルエレクトリック社(米国)製 12AX7A(真空管全盛時代に生産された貴重な高品質真空管)、ドライバー段にはエレクトロハーモニクス製 6CG7 を使用し、出力管のKT120(固定バイアス動作)を駆動しています。

電源が強化されたことで、動的レギュレーション(変動)特性が改善され、インラッシュ電流(突入電流)抑制回路を追加したことで、電源投入時の安定性の向上が図られています。更に、ハイパワーアンプに相応しいスピーカーや出力管に対する保護回路が装備され、信頼性を高めているとのことです。

入力は3系統あり、端子は全てRCA(アンバランス)で、内 2系統がボリュームを経由する「ノーマル」、1系統がボリュームをパスする「ダイレクト」となっています。

■ 『 U-BROS-120R 』の内部設計をチェック
筐体は1.6mm厚亜鉛メッキ鋼板による高剛性シャーシーとサブシャーシーによる構造とすることで、外部からの妨害を受けない無共振・無振動・無干渉構造がとられています。



電気回路や基幹部品には信頼性の高い実績のある国内メーカー品を採用して、余裕度の高い動作設定とすることで長寿命、高信頼設計となっています。

電源回路やバイアス調整、保護回路にはプリント基板が使用されていますが、重要な音声信号の伝達回路には、40余年のキャリアのある職人による芸術的ともいえる手配線が継承されており安心です。

サウンドは、前作同様に真空管アンプとしてはハイパワー(前作:75W、本機:90W)だけあって、特に低音は、真空管アンプからイメージするそれではなく、最近の鳴らしにくい低能率のスピーカーも力強く難なくドライブしました。

中高音に関しては、前作に比較して明らかに透明感が向上していると感じました。音場の見通しがさらに良くなり、しなやかで滑らかな、さすが真空管アンプといったサウンドです。

しかしよく聴くと、真空管アンプではあり得ないS/Nの良さが感じられるのです。細かな部分まで再現しつつ、決してトランジスタアンプのようにさらけ出す感じではない、そこはやはり優しく温かいのです。

『 U-BROS-120R 』は、真空管アンプ独自の血の通ったサウンドでありながら、駆動能力の高いアンプならではの全帯域にわたる安定感のあるサウンドと、シングル出力段アンプに匹敵する優れた低レベルの再生能力の両立を果たした、希有なパワーアンプと言えます。

上杉研究所は、オーディ界の永遠の課題でもある”大は小を兼ねる(ハイパワーかつ小音量時の再現性)”に、本機によってさらに一歩近づけることができたのです。

従来の真空管アンプの枠を大きく超えた、”新世代のハイパワー真空管アンプ”の登場です。

(あさやん)

■ 『 U-BROS-120R 』の設計者から以下のコメントをいただきました
本機が採用している「サークロトロン」出力回路は1950年代に開発され、現在に至るマッキントッシュのユニティカップルド出力回路とならび、プッシュプル出力回路の理想を求めたものです。特に、トランス外部でプッシュプルの波形合成がおこなわれる独自の動作原理は今日の真空管プッシュプルアンプの音質限界を打破する可能性があります。

2014年に登場した先行機「U-BROS-120」に対して本機は「サークロトロン」回路に最適な構造の出力トランスを新規開発したこと、ならびに回路の全面見直しにより、低域のパワーバンドウィズの拡大、高域の位相特性も大幅に改善されました。

本機の音質は高S/Nを基調とした密度の高いワイドレンジ再生が特徴で、その音はパワフルな真空管OTLアンプに近いと評されております。オーディオ界の永遠の課題である「ハイパワーとローレベルの両立」を高い次元で達成したと自負しております。

上杉研究所創業者の故 上杉佳郎氏が確立した、信頼性重視のアンプ設計製造理念は微塵もぶれることなく継承しております。

(設計者:藤原伸夫氏)

2020年2月24日 (月)

トライオードから、真空管バッファ搭載 MQA-CD対応プレーヤー『 TRV-CD6SE 』がついに登場!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、当初の予定より、かなり遅れての発売となりましたが、ついに登場したトライオードの”MQA-CD”対応CDプレーヤー『 TRV-CD6SE 』を取り上げます。




■ 『 トライオード 』CDプレーヤーの集大成
デザインはお馴染みの前作「TRV-CD5SE」をほぼ踏襲しています。また真空管とソリッドステートの両方のサウンドが楽しめるのも前作と同じです。しかし『 TRV-CD6SE 』は、同社が”トライオードCDプレーヤーの集大成”を目指したと言うだけあって、最先端の技術とノウハウを結集して開発されており、しかも国内生産にこだわった戦略モデルです。

トライオードは1994年、トライオードサプライジャパンとして現社長:山﨑 順一氏によって設立されました。その後、2001年に株式会社トライオードに組織変更されています。トライオードは真空管アンプのイメージが強いのですが、同社のCDプレーヤーの歴史は意外に古く、創業僅か5年後の1999年にまで遡ります。

その第1号機が「TR-CD1」でフィリップス・メカに、DACはバーブラウン(BB)PMC1702、そして真空管非搭載で標準サイズの一般的なソリッドステートのCDプレーヤーでした。

その後、2002年「TRV-CD2」と型番に"V"が付き真空管バッファが搭載され、真空管とトランジスターの2系統の出力が搭載され、トライオードならではのCDプレーヤーとなりました。DACはBB:PMC1732でした。そして2005年「TRV-CD3」、DACはBB:1792と標準サイズのプレーヤーが続きました。

2007年発売の「TRV-4SE」になってサイズが横幅34cmと小振りになり、真空管はミニチュア双三極管:6DJ8が搭載されていました。そして2012年、DACがBB:1798になり、メカも変更され、更にUSB-DAC機能も加わった「TRV-CD5SE」となり人気を博しました。そして、今年2020年『 TRV-CD6SE 』の登場となったのです。

『 TRV-CD6SE 』は国産初の”MQA-CD”対応プレーヤーです。製品発表はラックスマンの「D-03X」の方が僅かに早かったのですが、結局トライオードが先鞭をつけた格好です。

本機はCDソフト再生に特化しており、前作にあったUSB-DAC機能は省略されています。トライオードの技術者によると、アンケート等では前作では殆どUSB-DAC機能は利用されておらず、その分のコストをCD再生に振り向けて欲しいとの要望が多かったということで、本機は思い切って非搭載にしたとのことです。また同軸/光のデジタル入力も省略しており、CD再生に徹しています。

実際にUSBによるPCオーディオを楽しまれている方の多くは、単体のUSB-DACをお使いのことが多く、トライオードの選択は正しいと思います。限られたコストの中で、最高のCDサウンドを目指したということはユーザーにとっても有り難いことです。

■ 『 TRV-CD6SE 』の注目すべきフィーチャー
①真空管バッファ回路搭載

真空管には6DJ8の上位バージョンの「6922(E88CC)」が採用されています。これによって従来機以上の真空管サウンドが楽しめます。また勿論ソリッドステート出力も備えおり、真空管とソリッドステートの2種類の音が楽しめるトライオードならではの仕様となっています。お好みやお聴きになる音楽で選択可能という、これこそ他にない『 TRV-CD6SE 』の最大の”売り”です。

②DACチップにESS「ES9038Q2M」搭載

DACチップに採用されているESS Technology社のSABRE「ES9038Q2M」は、ハイエンドCDプレーヤーにも採用されている高性能、高音質で定評のあるデバイスです。ESSの32ビット SABRE 2M DACシリーズのフラッグシップでもあり、D/A変換には独自技術の HyperstreamⅡを採用。過渡応答特性やTHDのリニアリティに優れ、正確でクリアなサウンドが得られます。

③アップコンバート機能

CDの44kHz/16bitの音楽信号を内部で352.8kHz/32bitまたはDSD5.6MHzにアップコンバート処理してから、D/A変換を行う再生モードを搭載しています。D/Aコンバーターでは過去にもありましたが、CDプレーヤーでは珍しい機能です。PCMでの情報量の多いハイサンプリング/ハイビットのサウンドや、DSDでは繊細なアナログライクなサウンドが楽しめます。

④MQA-CD対応


本機で最も注目されているのが、MQA-CDへの対応です。勿論フルデコード対応であり、MQA-CDは「スタジオ」(MQA自身の手によってMQA化)と「オーセンティック」(ソフト側によってMQA化)のソフトの表示もされます。CDソフトで最大352.8kHz/24bitの高音質サウンドがお楽しみいただけます。


そして『 TRV-CD6SE 』のCDメカはティアック製(アルメディオ)でここにも国産へのこだわりがあります。また、従来機にはなかった外部クロック入力も装備しています。WORD CLOCK(BNC:75Ω)で44.1kHz/11.2MHz/22.6MZ/45.2MHzで同期可能で、プロ仕様の10MHzの基準信号(BNC:50Ω)入力も装備されており、本格的です。クロックの重要性を熟知されているオーディオファイルには朗報です。

アナログ出力は、RCAが真空管バファー出力とトランジスタ出力の2系統。XLRバランス(2番HOT)はトランジスタ出力のみとなっています。デジタル出力は、同軸/光各1系統の他に、一部のハイエンドD/Aコンバーターに採用され始めている、I2S HDMIジャック(44.1kHz/16bit、352.8kHz/32bit、DSD5.6MHz)まで搭載するというこだわりようです。

フロントパネルには、ボリューム付きの6.3mmステレオ標準ジャックのヘッドホン端子が装備されており、何とその出力は真空管出力(280mW+280mW/40Ω)となっています。これはヘッドホンユーザーには楽しみな機能です。

このようにトライオード『 TRV-CD6SE 』は、SACDは勿論、USB-DACやネットワーク機能などを一切排除し、ただ「MQA-CD」を含むCDソフト再生だけに、とことんこだわったCDプレーヤーです。

近年のSACD/CDプレーヤーの超ハイエンド化に立ち向かうように、トライオードが究極のミドルクラスのCDプレーヤーを目指した画期的プレーヤーです。ここに”トライオードCDプレーヤーの集大成”が完成しました。
(あさやん)

2020年2月23日 (日)

『 MQA-CD 』対応プレーヤー続々発売!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、TRIODE、LUXMANなど、対応プレーヤーが続々登場している『 MQA-CD 』の魅力に迫ってみました。また、筆者おすすめの「MQA-CD」ソフトもあわせてご紹介いたします。




■ 2020年「MQA-CD」元年となるか?

タイトルの "元年" に違和感を感じる方は多いと思います。私自身もすでに「MQA-CD」や「MQAファイル」にどっぷり浸かってしまっており、メインソフトの座を占めているのが現状です。しかし、その素晴らしさを享受できていないオーディオファンが如何に多いことか・・・。全く興味がないという方は少ないと思うものの、さてどうやって、どのようにMQA再生機器を導入しようか・・・という時点で、恐らくストップしてしまっている方が多いことと思います。

しかし、昨年(2019年)秋の製品発表から、様々な事情で数ヶ月遅れたものの、やっとのことで「TRIODE」1機種と「LUXMAN」1機種のMQA-CD対応CDプレーヤーが遂に正式発売に漕ぎ着けたのです。(今春にはLUXMAN「D-10X」が発売予定)

そこでこれを機に、選択肢が従来のMQAデコーダー搭載の「Mytek(マイテック)」のD/Aコンバーターや、「Cocktail Audio(カクテルオーディオ)」のマルチメディアプレーヤーなどに加え、純国産のMQA-CD対応プレーヤーにも広がってきたことで、今年(2020年)が本当の意味での「"MQA-CD元年"になれば良いなぁ」との希望的観測から、今回 "元年" を使わせていただいた次第です。

「MQA(Master Quality Authenticated)」が正式に発表されたのは2015年ですから、既に4年以上経過していることになります。しかしハードは、「SONY」や「Cayin」などのポータブルプレーヤーや「AudioQuest」「iFi-Audio」のポータブルDAC(レンダラー)が中心で、本格的なオーディオファンのための対応機器はかなり限定されており、殊にMQA-CD対応機ともなると選択肢が殆ど無かったのが現状です。

■ ソフト面も充実
ソフト面では、かなり早い段階から「e-onkyo」や「2L」のダウンロードサイトや、「TIDAL」のストリーミングサイトがMQA音源を供給してくれています。また「MQA-CD」は、2018年ユニバーサル・ミュージック、2019年ワーナー・ミュージックの大手レコード会社が参入し、マイナーレーベルや輸入盤を含めると、かなりのタイトル数が揃って来ています。

・参考:MQA-CDソフト情報 (MERIDIAN AUDIO) ※外部サイト

「MQA-CD」ソフトはMQA未対応のCDプレーヤーで再生しても、同じタイトルの通常CDより「良い音」で聴けるため、将来、対応ハードの購入をご検討の方は、お好みのアーティストの「MQA-CD」を先に入手しておかれることをおすすめします。その「良い音」で聴ける理由を、次項以降で、分かりやすくご説明させていただきます。

■ MQAが「良い音」で聴ける理由
それは「MQA」が音の時間軸解像度を飛躍的に高めたことによるものです。最新の神経工学では、人間の耳は周波数より「時間軸の音の解像度」に対して、遙かに敏感であることが解ってきたのです。

その「時間軸の音の解像度」とは、その音がいつ始まって、いつ終わったか、あるいは音の方向や奥行き、スピード、残響や反射などを感知するために重要な要素です。実際のPCM音源やCDソフトでは、どうしても本来のマスターに比べると人間の感知能力を遙かに上回る大量のプリエコーやポストエコー(ノイズ)が存在してしまっています。これが「音のボケ」とも言われるリンギング(時間軸のエコーノイズ)なのです。



実際に人間が検知できるとされる「時間軸情報の解像度」は3μ秒(マイクロ秒=100万分の1秒)といわれています。既存のPCM 192kHz/24bitの音源では約250μ秒のプリエコーが生じるのに対して、MQAでは5μ~8μ秒を達成しており、トータル(インパルスの前と後)では実に500μ秒から約10μ秒未満まで減少させているのです。これが通常CDにおいても滲みのないクリアで響きの美しいサウンドを実現できる理由です。

もう一つのMQAの画期的な所は、膨大な情報量のスタジオクオリティの音源を、CD並のコンパクトなサイズにロスレスで圧縮する『 オーディオ折り紙 』と呼ばれる独自技術を採用したことです。前述の音楽の時間軸解像度を重視し、スタジオマスターの時間軸情報にダメージを与えず、効率良く符号化する技術です。

具体的には、MQAでは帯域の中のハイレゾ音声信号の領域を、「折り畳んで」CD相当のデータ領域の検知閾下(いきか=ノイズレベル以下の知覚されないレベル)の領域に格納するのです。この圧縮方法を「オーディオ折り紙」とMQAでは呼称しています。再生する際にはその格納された領域から折りたたんだ部分を展開し、元のデータに戻すのです。

例えば、192kHzの音源では、CD品質(48kHz)のデータの閾下に48kHzから96kHzまでを、更にその下に96kHz以上で192kHzまでのハイレゾ成分を格納し、再生時にはそれを元に戻すのです。ただ折り方は、畳む時に二回折り返されており、元に戻すときには二回折り直さねばならないのです。はじめの一回目の展開のことを「コアデコード(これをデコードするのがレンダラー)」、二回に展開することを「フルデコード」と呼びます。

これらの結果、192kHz/24bitのハイレゾFLAC音源では150MBのサイズが必要なのに対して、MQAでは音質を維持した上で、それが30MBで済むのです。圧倒的な軽量化を達成していると言えます。また、現時点でMQAの音源データには2種類が存在します。一つがMQA自身の手によってMQA化された「MQA Studio」(MytekやLUXMANでは青のLED表示)、もう一つが配信側やソフト側によってMQA化された「MQA」(同・緑)です。

■ 筆者おすすめの「MQA-CD」ソフト
私はすでに30タイトル以上のMQA-CDやダウンロードしたMQA音源を所有していますが、その中でも特に気に入っているソフトを少しご紹介しておきます。
※音楽・映像ソフトは、他の商品とは別精算となります。

日本のミュージシャンとして初めての新譜MQA-CDです。南佳孝の声の質感はリアルで、特に2曲目は圧巻です。

1979年発表した彼女の初のスタジオ・アルバムですが、古さを感じされないリアルな声が魅力です。

1964年録音の名盤中名盤です。まさにアナログレコードの感動が蘇ります。

オムニバスのためすべてが高音質という訳ではありませんが、1980年代以降録音の曲は抜群のスケール感です。

【5】ボブ・ジェイムス・トリオ 「Espresso 」EVSA572M(※Joshin webショップでの取り扱いなし)
最新録音のMQA-CDです。とにかく高解像度サウンド、リアル感、グルーブ感はMQAの実力が遺憾なく発揮されています。

【 番外 】松任谷由美「45周年記念ベストアルバム ユーミンからの、恋のうた」MQA 96kHz/24bit(ハイレゾ音源配信サイト e-onkyo music
比較的新しい楽曲が中心で新たにリマスターされた録音は抜群です。CDでは絶対聴けないサウンドです。

2020年1月31日 (金)

FOCALの新ベーシックモデル『 CHORA(コーラ)シリーズ 』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、フォーカルの新たなベーシックモデルである『 CHORA(コーラ)シリーズ 』より、ブックシェルフ型の『 Chora 806 』を中心に、日本橋1ばん館での試聴結果を交えレポートします。



■ オーディオブランド「FOCAL」のおさらい
FOCAL(以下フォーカル)は、1979年に野心的かつ天才的なエンジニアであるジャック・マユール氏によって仏サンテティエンヌに設立されたオーディオブランドで、すでに創業40周年を迎えています。高性能ドライバーユニットの設計・製造メーカーとして、急速に世界各国で高く評価されたのでした。創業者の信念であるドライバーユニットにこだわる姿勢は、同社のDNAとして連綿と受け継がれています。

そして自社の技術力を背景にジャック・マユール氏が仕上げたスピーカーシステムは、当時JMラボ(JMはジャック・マユールの頭文字)のブランドで、精巧なエンクロージャーと先進的なドライバーユニットの技術で、確固たる地位を築いたのでした。その後スピーカーシステムのブランドもフォーカルに統一され、ホームオーディオのみならず、カーやプロの分野も含めたスピーカー総合メーカーとなったのです。

JMラボの時代の日本の輸入代理店は(株)ノアでした。当時はやはりユニットのイメージの方が強く、完成品には「JMラボ」というブランド名を使っていたようです。その後輸入代理店が(株)ロッキーインターナショナルに移行し、更に2017年10月よりラックスマン(株)が新たな代理店になり、今日に至っています。

フォーカルの数多くの画期的な発明と独自の哲学に貫かれた製品は、今なお、多くのオーディオファイルを魅了し続けています。加えて、世界有数の規模のメーカーであるにもかかわらず、開発部門、工場などすべてがフランス国内の同一施設内(エンクロージャーはフランス国内の別工場)にあり、近接即応体制でスピーカーのユニットからエンクロージャーまで、高いクオリティでの一貫生産を可能としている世界でも数少ないスピーカーメーカーです。

■ ミッドウーファーには、ストレートファイバーを採用。

”CHORAシリーズ”には、4年以上の研究により、新たに開発された16.5cmの”ストレートファイバー(Slatefibercone)”がミッドウーファー(トールボーイ型のウーファー含む)に搭載されています。”ストレートファイバー”はカーボン繊維に熱硬化性ポリマーを含浸させ、サンドイッチ構造とした複合素材ということで、軽量かつ高剛性、しかも優れた振動減衰特性を併せ持つ画期的素材だそうです。

これは航空機や自動車の分野以外では、音響機器としてフォーカルが世界初とのことです。この新振動板を採用したドライバーユニットにより、ミッドレンジとしては抜群のバランス特性を発揮し、ウーファーではダイナミックで豊かな低域を再現できたのだとしています。

■ 低歪みを実現した理想的なツィーターユニット

ツィーターにも新たに特許を取得したというM字型ツィーターを搭載しています。ダイヤフラム素材にはTNFと呼ばれるアルミマグネシウム(アルミニウムとマグネシウムの合金)を採用して、軽量・高剛性、そして優れた減衰特性を兼ね備え、より一層の低歪みを実現した理想的なツィーターユニットだということです。従来からの”インバーテッド(逆ドーム)”型ユニットのエッジに、形状記憶素材でもある高機能ウレタンフォーム「PORON(ポロン)」を採用して、聴感上最も敏感な 2,000~3,000Hzでの歪みも大幅に改善できたとのことです。

『 Chora 806 』は、165mmの”ストレートファイバー”ウーファーと”インバーテッドドーム”ツィーターを搭載した2ウェイ・2スピーカー・バスレフ型ブックシェルフタイプで、クロスオーバー周波数 3kHz、インピーダンスは最近珍しい 8Ωでシングルワイヤー接続と使い易いスピーカーです。専用スタンド「Chora 800 Stand」も用意されています。

『 Chora 816 』は、2基の165mmユニットを270Hzでスタガードライブ(1基は270Hzまで、もう1基は2.7kHzまで受け持つ)し、ツィーターを加えた2.5ウェイ・3スピーカー・バスレフ型トールボーイタイプで、バスレフポートをウーファーに近接配置することで低域の位相差を補正しています。

『 Chora 826 』は、165mmの”ストレートファイバー”のミッドウーファーと、2基の”ストレートファイバー”ウーファーという、3ウェイ・4スピーカー・バスレフ型トールボーイタイプの本格派で、出力音圧レベル 91dB、推奨パワーアンプ出力 40~250Wと、大音量でのスケールの大きなサウンドにも十分対応できます。

ウッドキャビネットの仕上げは、いずれも「B:ブラック(バッフルもブラック)」「DO:ダークオーク(バッフルはブルー系)」「LO:ライトオーク(バッフルはベージュ系)」の3色が用意されており、使用環境に合わせた選択が可能です。サランネットはウーファーのみを覆うタイプです。ツィーターには保護ネットが装着されており安心です。

なおトールボーイタイプの『 Chora 816 』『 Chora 826 』には専用のアンダーベースが付属しており、傾斜角を設けることで、高品位な音場感と正確な音像定位を実現できるとのことです。

■ 日本橋1ばん館で試聴しました

今回は、ブックシェルフタイプの『 Chora 806(DO) 』を試聴。

日本橋1ばん館で、SACD/CDプレーヤー DENON「DCD-2500NE」と、プリメインアンプ DENON「PMA-2500NE」につないで、試聴しました。『 Chora 806 』はブックシェルとしては比較的大きめで、ペアで10万円のスピーカーとは思えない高級感があります。

一聴して感じたのは、実に滑らかな中高域で、濁りや引っ掛かりを全く感じさせないヌケの良さです。一方、低域もブックシェルとは思えない厚みがあり、付帯音を全く感じさせず、表現力はしっかりしています。決して解像度だけを狙った音作りではなく、音楽が重くならず、ソース本来のバランスに上手くまとめていると感じました。また、空間の表現もこのクラスとは思えない広さを感じさせてくれました。

小型ながらウーファーの”ストレートファイバー”コーンの軽量かつ高剛性、そして優れた振動減衰特性が音に表れ、タイトで鳴りっぷりの良い低域と、ツィーターのアルミマグネシウム振動板のシャープさと優しさが若々しさを感じさせます。やはり、国産や他のヨーロッパ系スピーカーとは違う、フォーカルならではの中高域の若干の明るさと優美さを感じさせてくれました。

Chora 816 』『 Chora 826 』は、『 Chora 806 』を離れて聴いた場合、少し不足気味に感じた低音をさらに充実させています。とにかく、いずれもコストパフォーマンスは抜群で、フランス・フォーカルならではの繊細さと華やかさを併せ持つ”CHORAシリーズ”のサウンドは、音楽や演奏が持つ本来の魅力を存分に楽しませてくれそうです。
(あさやん)

2020年1月19日 (日)

究極のハイレゾ&生演奏!オルゴール”Primotone”

Mbx100hsr_3   Primotoneサクラモデル MBX-100HSRMbx100h528 Primotoneブラウンモデル MBX-100H528

一見、高級ラジオのような外観ですが、そこから奏でられる音を聴くと、まぎれも無いオルゴールの豊かな音が広がります。それは確かにラジオやオーディオセットのようにスピーカーから聞こえる音とは少し違って聞こえます。CDではデジタル記録のために20kHz以上の高域がカットされていますが、プリモトーンでは櫛歯で弾かれる微妙な音が出ています。

オルゴールの心臓部ともいえる櫛歯は、熟練の職人によって1本ずつ丁寧に調律され、電子制御による巧みなメカニズムによって、CDやスピーカーの音では味わえない、箱が共鳴する生のオルゴールの音色を、ゼンマイを巻かずに何時間でもお楽しみいただけます。

本体のディスプレイと操作つまみにより、従来のオルゴールでは不可能だった選曲や音量・テンポを簡単調整
でき、お好みに合わせジャンル再生やランダム再生などが選択できるほか、あらゆるシーンに対応すべくオフタイマー機能・アラーム機能・時報機能なども搭載しています。

サクラモデルは、日本を象徴する「サクラ」と縁起の良い幸せの木と謂われている「槐(えんじゅ)」を使用した、伝統工法の木組みで仕立てた筐体。一方のブラウンモデルは、高級マホガニー(本体)とナラ(共鳴台)による高級感のある仕上げです。

そしてPrimotoneの最大の売りは、高い”ド”の音を癒しの音色528Hzで奏でるように調律した特別な櫛歯を使用することで、心身を安静モードに導き、ストレス軽減にも役立つと言われています。心と体を整え、癒しの音色に包まれる、贅沢なひとときをお届けします。

信頼の日本製。熟練の技と最先端のテクノロジーの融合が、オルゴールの新たな扉を開きました。

オルゴール”Primotone”こそ究極のハイレゾであり、電気を使わない生演奏が自宅で体感できるのです。  

(あさやん)

Joshin webショップ

  • Joshin webショップ 家電・PC・ホビーの大型専門店

ジョーシン店舗
高級オーディオ情報!

  • 下記店舗では、ハイレゾからアナログまで、Accuphase・B&Wなどのハイエンド オーディオ製品やオーディオアクセサリーが充実。試聴室完備で比較試聴も できます。

    日本橋1ばん館 4F
    (大阪 日本橋)

    三宮1ばん館 B1F
    (神戸 三宮)