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2019年10月14日 (月)

遂に発売日決定! YAMAHAレコードプレーヤー『 GT-5000 』予約受付開始!!

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
YAMAHAのフラッグシップである《5000シリーズ》のレコードプレーヤー『 GT-5000 』。発売が遅れに遅れて、発表(2017年9月)から実に丸2年。遂に発売日が決定し、予約の受け付けが始まりました。それでは『 GT-5000 』を詳しく見てまいりましょう。

■  "GT" を冠するプレーヤー

YAMAHAの "GT" を冠したプレーヤーは、1982年発売の「GT-2000」を皮切りに、83年の「GT-1000」、85年「GT-750」と限定生産の「GT-2000X」と続きました。因みに1982年はCDの登場年でもあり、当時はオーディオが最高に盛り上がった時代でした。

この "GT" シリーズは、マニア心を大いにくすぐる曖昧さのないリジッドな作り、大型ターンテーブル、本格的トーンアームなど信頼性の高いプレーヤーで、いずれも大ヒットしました。しかしCDが本格的に普及していく中で、1991年の限定生産品を最後に次第に店頭から姿を消していったのでした。

そして近年のアナログブームに呼応する形で、《5000シリーズ》に相応しい内容のプレーヤーの開発が始まったのです。しかしそこには予想以上に多くの困難を克服する必要があり、結局当初の発売予定から2年近くもかかってしまったのでした。それ程に構成部品の調達には困難を極め、本機のための新たな設計箇所が大幅に増えてしまったようです。


■ 『 GT-5000 』のデザイン・仕様

『 GT-5000 』の外観は、往時の「GT-2000」を彷彿とさせる、懐かしさと信頼性が同居した実に完成度の高いデザインです。サイズは「GT-2000」などとほぼ同じで、546W×223H×411Dmmで最近のプレーヤーとしては超大型です。寸法は勿論、重さ・素材(パーティクルボード)とも「GT-2000」とほぼ同じなのは、その寸法や重量配分、素材が音質的に最善であるとの考え方から、少しも変える必要がなかったからだとしています。

『 GT-5000 』が踏襲した《GT思想》は、音の本質をオーソドックスかつシンプルに、基本に忠実に追求する「GT-2000」で初めて提唱したYAMAHA伝統の設計コンセプトです。Gigantic&Tremendous(=途方もなく巨大な)の言葉が示す通り、音質的に必要な部分の巨大重量化と不必要な部分の大胆な省略を設計の基本に置いています。

「GT-2000」などのモデルが、いずれも当時主流だったダイレクトドライブ(DD)でしたが、本機では近年高級機や海外製品では常識でもある、滑らかな回転を狙ったベルトドライブを採用しています。モーターにはサーボを持たない24極2相ACシンクロナスモーターを搭載し、交流電源にはクォーツで生成された正確な正弦波を用いています。

ダイレクトドライブはスペックこそ優れていますが、ターンテーブル直下にモーターを置くため、どうしても振動を拾いやすく、正確な回転のためにはサーボ回路が不可欠なことから、コギング現象(僅かな回転ムラ)はどうしても避けられません。一方、ベルトドライブではモーターの回転をベルトを介して伝えるため、振動を吸収でき、コギングのない滑らかな回転が得られ、またサーボ電流による音質への影響も回避できます。

ターンテーブルは過去の製品と違い、ベルトドライブのため二重構造をとっており、ベルトを掛けるインナーターンテーブルは直径:143mmの真鍮製で2.0kg、メインのターンテーブルは直径:350mmアルミ製で5.2kgあります。異種金属の組み合わせで固有振動を回避しているようです。外縁部を肉厚にした結果、慣性モーメントは実に0.92t・cm²にも達しています。また、ターンテーブルシートはフェルトとシリコンゴムの2種類が付属しています。

そして『 GT-5000 』のコンセプトで、私が最も注目したのは以下の2点です。


■ 注目点その1:シンプル&ストレートを極めた《ピュアストレート・トーンアーム》

かつてオーディオ評論家の故 江川三郎氏が考案し、2016年FIDELIXが「0 SideForce」として蘇らせた、独自設計の「ピュアストレート・トーンアーム」を搭載しています。

オフセット角を持たさずカートリッジから支点まで一直線に配置されています。これはオフセット角によるトラッキングエラーの発生より、超ショートアームにすることでの優れた重量的・力学的バランスにより、インサイドフォースキャンセラーのないシンプルな構造にしたことのメリットの方を重視した結果といいます。ヘッドシェルは交換可能で汎用性が高まっています。

アームパイプはテーパーがかかった銅メッキアルミの表面を、銀メッキカーボンファイバーで覆った2重構造で、高剛性・低共振とノイズシールド効果を両立させています。微小信号を扱う内部配線には、定評のあるPC-Triple Cを使うことで情報量の多さを狙っています。


■ 注目点その2:特許機器「Wind Bell」社との共同開発《三次元バネ構造のインシュレーター》

Joshin webショップでも大好評のWind Bellの「スプリングコイル+特殊制振材+3次元特殊支持構造」によるフローティング方式のインシュレーターを採用しています。これにより低音域の有害振動はカットして、高音域の有益な振動をより効果的に活かすという、オーディオ機器、特にプレーヤーにとっての理想的なインシュレーターです。

また搭載質量には関係なく、低い水平方向の共振周波数(7Hz以下)を持ち、一定に保つことが可能だとしています。これにより、プレーヤーのモーターが水平方向の加振源となる振動によって、置き台や床面の振動が引き起こされることがなければ混変調歪が発生せず、有害振動の防止と音質向上に効果的だとしています。

その他の主な特長は、後部の音声出力端子に、通常のRCA音声端子に加えてフォノカートリッジ出力をバランス音声のまま取り出せるXLRバランス出力端子を装備しています。これにより同社のプリアンプ「C-5000」、パワーアンプ「M-5000」と組み合わせることで、カートリッジ ⇒ スピーカー出力間の完全バランス伝送が可能となります。

また、後部の専用端子に接続して使用するストロボライトとストロボスコープが付属しています。大径ターンテーブルに食い込む形で配置された円柱状の突起は、ディスクに針を下ろす際に掌がプラッター外周に触れることを防ぐフィンガーレストで、ここには±1.5%の範囲で回転数を微調整できるピッチコントロールノブもビルトインされています。

そしてキャビネットは、YAMAHA伝統の樺天然木黒色塗装仕上げを採用したブラック(B)と、YAMAHAならではのグランドピアノと同等の黒鏡面ピアノフィニッシュを採用したピアノブラック(BP)が用意されています。


■ 完全バランス伝送で試聴しました

音質は『 GT-5000 』→「C-5000」→「M-5000」→「NS-5000」の完全バランス伝送で確認しました。



クラシックではその圧倒的なリアル感、吹っ切れ感、そしてS/Nの良さから来るクリアネスと情報量の多さ、質感の豊かさに感動しました。ホールの隅々まで見通せる様な澄み切った空気感は、デジタル・アナログを問わず過去に経験のないレベルのものでした。

ジャズサウンドでは、録音スタジオに飛び込んだ様な生々しさ、ストレートに突き抜ける伸びやかさに感動しました。ミュージシャンの立ち位置が正確に表現され、グルーブ感もひしひしと伝わって来たのです。非常にフレッシュで音の立ち上がりがリアルでした。

そしてボーカルに至っては、中央にすっくと立ち、感情豊かに歌う様が目に見えるようでした。女声ボーカルは優しく滑らかに、男声ボーカルは厚みのある豊かな声が響きました。そのリアル感、吹っ切れ感、そして空気感に感動以上の、ある種恐ろしささえ感じました。

これは過去のアナログとは異質、ある意味、最上のデジタルを超越した《超アナログ》の世界です。回顧趣味とは別次元の《超アナログ》を『 GT-5000 』で実現できます。

(あさやん)


2019年10月11日 (金)

ESOTERIC 一体型SACD/CDプレーヤー『 Grandioso K1X 』の究極度とは?

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、究極のトランスポート「VRDS-ATLAS」を搭載した、ESOTERICの一体型SACD/CDプレーヤー『 Grandioso K1X 』の究極度に迫ります!!


■ Grandiosoとは
今やハイエンドオーディオの世界では、日本を、いや世界を代表するブランドの一角を占めるESOTERIC。中でもGrandioso(グランディオーソ)は、同社の最高峰機器に付ける称号で、同社がもつ究極のテクノロジーやノウハウを投入して、2013年(平成25年)の10月にデビューしたのです。

「すべての英知が結実し、新たなる頂きへ。グランディオーソと言う名の新たなるフラッグシップ登場。」という決意の基、せかず慌てず、あくまでマイペースで、納得いくまで製品を練りに練って、年に1アイテム程度のペースで投入されてきました。

最初の作品は、SACD/CDトランスポート「Grandioso P1」、モノラルDAC「Grandioso D1」、そしてモノラルパワーの「Grandioso M1」でした。続いて、翌年2014年にプリアンプ「Grandioso C1」、2015年のステレオパワーアンプ「Grandioso S1」、2016年のクロックジェネレーター「Grandioso G1」、同年10月にはGrandioso初の一体型SACD/CDプレーヤー「Grandioso K1」、インテグレーテッドアンプ「Grandioso F1」と続きました。

そして今年(2019年)の3月、衝撃をもって迎えられ、まだ記憶に新しいSACD/CDトランスポート「Grandioso P1X」、モノラルDAC「Grandioso D1X」として大きく飛躍を遂げ、世界最高峰のセパレートプレーヤーとして登場したのでした。価格も、誰もが驚いた1000万円を越す、超々弩級でした。

半年前に登場したこの4筐体のセパレートSACD/CDプレーヤー「Grandioso P1X/D1X」に搭載された、ESOTERICの独自技術であるドライブメカ「VRDS-ATLAS」と、ディスクリートDAC「Master Sound DAC」を1つの筐体に組み込み、一体型SACD/CDプレーヤーの究極を目指して完成させたのが、今回ご紹介します『 Grandioso K1X 』なのです。

このように、わずか半年で一体型『 Grandioso K1X 』を完成させたのは、おそらく同時進行で開発を進めていたからだと推測されます。それでは、その『 Grandioso K1X 』の《 究・極・度 》を、前作「Grandioso K1」と比較しながら見てまいりましょう。(以下、Grandioso省略)

■ ドライブメカ「VRDS-ATLAS」


前作「K1」のVRDS-NEOから変更された「VRDS-ATLAS」は、先行発売されたSACD/CDトランスポート「P1X」で初めて採用されたメカで、ESOTERICとしては16年ぶりに新設計したVRDSメカです。

VRDSは、ディスクを同径のターンテーブルに確実にクランプして回転させ、ディスク自身の回転振動やメカニズムの不要振動を徹底して排除し、ディスクの反りも矯正します。これらにより、光ピックアップ精度を大幅に向上させ、サーボ電流を極小化することで、読み取りエラーの大幅な減少により優れた音質を実現しています。

「VRDS-ATLAS」ではさらに、NEOに比べ27%の重量増(メカ部 6.6kg、ベース部含め 13.5kg)とし、VRDS史上最高の剛性と重量で、音質に影響を及ぼすあらゆる振動を減衰したのです。SS400スティール製の大型筐体、ジュラルミン製ターンテーブル、新設計のスティールボールによる点接触のスラスト軸受けを採用するなど摩擦や回転ノイズを極限まで抑える設計で、これは「P1X」とほぼ同等とのことです。

また、VRDS史上最も静かなメカを実現できたのは、メカニズム全体を低重心化し、ターンテーブル駆動用モーターも従来のブリッジ最上部からターンテーブルの下側に移動したことです。さらに、トレーのくり抜きを最小限したり、振動吸収エラストマー樹脂製ストッパーでトレー収納時の共振を防止するなど徹底した結果です。

■ ディスクリートDAC「Master Sound Discrete DAC」


DACデバイスは前作で採用した旭化成エレクトロニクス社のAK4497ではなく、完全自社設計のDACで、先行の「D1X」と同一構成でディスクリートで組み上げられています。さすがに、4筐体の「P1X/D1X」と同じ規模の回路は物理的に不可能なことから、コンデンサーなど一部のパーツを変更し、パーツの配列を「D1X」の放射状から横一列に変更されています。

クロックドライバーやロジック回路、コンデンサー等々、チャンネルあたり32エレメントでの構成は継承するとともに、マルチビットDACで最も重要で音質を左右する抵抗素子は「D1X」と同一部品を採用したとしています。そして、デジタル基板を挟んで左右対称配置とすることで、信号経路を最短化しています。

さらに、独自開発の64bit/512Fs対応のΔΣモジュレーターを搭載し、DSD:22.5MHzやPCM:768kHzの再生にも対応しているのです。DSDもPCMも最適に再生するために、ディスクリートDAC専用のデジタル処理のアルゴリズムには、これも独自に設計したFPGA(電子制御機能を変更できる半導体)を使っているとしています。そのDAC基板は病院のオペ室と同レベルのクリーンルームで製造されているそうです。

■ その他の仕様
D/Aコンバーターは左右チャンネルで電源トランスを独立させ、合計で4つの独立トロイダル電源トランスを搭載。電源レギュレーターはディスクリート構成の「ローフィードバックDCレギュレーター」を採用して強化されています。また、通常のオーディオ用電解コンデンサーに比べて、驚異的な大容量のスーパーキャパシター「EDLC」を、合計76本(2,050,000μF=2.05F)も搭載しています。メカの低重心化やディスクリートDACとの相乗効果で、さらに瞬発力やエネルギー感の向上が図れたとしています。

出力は、アナログはRCAとXLRが各1系統、デジタルはRCAとXLRが各1系統装備されています。デジタル入力は、RCA同軸、光TOS、USB-Bが各1系統装備されています。クロックは前作から改良されていますが、ESOTERIC製品では常識の10MHzの外部クロック入力(BNC)も装備されています。

そして、今後必須になるであろう「MQA」にも対応しており、USBでのフルデコードは勿論、「MQA-CD」にも対応しています(後日アップデート予定)。また、将来的に想定している、さらなるグレードアップのための外部電源用の専用端子がリアパネル下部に2個装備されています。

■ 前作との音の違いをESOTERICの担当者にお聞きしました。
最も大きな違いは、全域にわたる解像度と密度感の向上で、特に低域の伸びと厚みは圧巻だといいます。それには、「VRDS-ATLAS」の搭載と低重心化による振動対策が大きく貢献しているようです。さらに、DACのディスクリート化が鮮度の高さや粒立ちの良さ、エネルギー感の向上にも繋がっているとしています。

そして、ここぞという所での瞬発力も明らかに向上しているといいます。これには電源部の強化が寄与しており、前述の外部電源の追加でどうなるのか今から楽しみだともいいます。また、余韻の再現性や開放的な低音は、ただ筐体を強化しただけではなく、「P1X/D1X」同様、トップパネルをネジで締め付けないセミフローティング構造としていることに起因しているのだともしています。

■ 最後に
ESOTERIC『 Grandioso K1X 』は、「Grandioso P1X/D1X」のコンセプトをそのままに、一体型として完成させたフラッグシップSACD/CDプレーヤーで、その内容を知れば知るほど、まさしく【 究極のデジタルプレーヤー 】だと納得させられました。
(あさやん)

2019年10月 7日 (月)

DENON次世代フラッグシップ『 SX1 LIMITED EDITION 』 満を持して登場!!

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
DENONのフラッグシップ、プリメインアンプ「PMA-SX1」とCD/SACDプレーヤー「DCD-SX1」が、5年ぶりにモデルチェンジします。いずれも型番に "Limited" を冠し、『 PMA-SX1 LIMITED 』『 DCD-SX1 LIMITED 』となり、満を持しての登場です。しかし、その開発の道のりは長く大変なもので、単なるマイナーチェンジとは明らかに一線を画するものです。


■ 4年もの歳月をかけてじっくりと開発された『 SX1 LIMITED EDITION 』

その原器といえる「Model X」の開発を始めたのが4年前だといいます。これは通常の数倍にもなる開発期間で、しかも「Model X」の更に原器である「PMA-SX1」「DCD-SX1」がすでに存在したにも関わらずです。

そもそも「Model X」は発売の予定がなく、同社の音の基準となるリファレンスアンプとして開発していたのですが、そのあまりの音の良さから「発売すべき」との声が社内から挙がったのだそうです。

通常の製品開発手法では、まず開発期間を設け、仕様やパーツコストなどを、競合他社を含めて、クラスで最良となるよう工夫しながら開発していきます。しかし、今回の "Limited" は違いました。開発期間やパーツコストの制限を設けず、同社技術者の経験、技術、そして感性を注いでじっくり開発したのです。現に、前作から部品交換した箇所は、いずれも400箇所以上に上るのだといいます。

その400箇所も、部品を再吟味しただけでなく、必要な部品は新たに作り直したり、コンデンサーや抵抗などは、それぞれの音色は勿論、その組み合わせによる変化も吟味しつつカット&トライを繰り返したといいます。通常製品のように、ある段階での妥協は一切しなかったのだといいます。それが常識はずれの開発期間、4年もの歳月となったのです。

更に電気回路の見直しだけに留まらず、機構面は勿論、インシュレーターなどにもわたったのです。インシュレーターやトップパネルには両機とも、超々ジュラルミン "A7075" が採用されました。音の粒立ちや高域の見通し、スケール感の向上に貢献したとしています。
※A7075は、アルミに亜鉛とマグネシウムが添加された合金で、非常に硬度が高く、高級自転車のフレームや航空機のボディに使われています。

それでは『 SX1 LIMITED EDITION 』の2機種を詳しく見てまいりましょう。


■ プリメインアンプ『 PMA-SX1 LIMITED 』

前作の、もともとシンプルだった外観から、パネルのレタリングを少なくし、更にあっさりしたデザインとなっています。入力はアナログのみで、RCA:5系統、XLR:1系統(3番HOT/2番HOT切替)に加え、MM、MCのフォノ入力が1系統ずつ装備されています。更にホームシアターとのフロントSPの共用に便利な、EXT.PRE:1系統や、RCA出力:1系統を備えています。



内部中央下のプリアンプ部は、全ての主要なコンデンサーと、基板自体も前作から変更したといいます。中央上のパワーアンプ部は約80%のコンデンサーを、左奥のボリュームなどの制御基板は約50%、右奥の入力回路やフォノ回路部は約90%の主要なコンデンサーを変更したのだといいます。その数は実に37種に及ぶそうです。

それらのコンデンサーはその殆どがカスタムコンデンサーで、用いる素材の指定、スリーブの素材やその有無、加熱工程の温度指定、プレス工程の圧力などに、様々な経験とノウハウが注入されているといいます。このようにコンデンサーにこだわるのは、電解コンデンサーによって、空気感や色彩感の再現性に違いがあることを重視した結果だそうです。

また前作では動作の安定性を確保するため、保険的なニュアンスで使われていたパーツを、あえて音質には良くないとの考えで削減。更には音質向上のためとして使われていたものも、必要性を再吟味した上で10箇所ものパーツを削減したのだそうです。

回路的には前作から大きな変更はないとしています。それは裏を返せば、前作の完成度の高さだともいえます。全段バランス構成で、BTL接続することで高いスピーカードライブ力を得ています。この結果ドライブ電流がグラウンド回路に流れ込まず電位が安定するため、ノイズや回路間の干渉も低減され、正確に増幅されるのです。

そしてDENONアンプの最大のアドバンテージでもある "UHC-MOS" FETによるシングルプッシュプルのシンプルな構成も勿論継承しています。通常パワーアンプでは、多数の素子を並列駆動することで大出力を得ようとしていますが、DENONは「POA-S1(1996年)」の開発以来、1ペアの "UHC-MOS" という最小限の増幅素子とすることで「繊細さと力強さ」を両立できたのです。

勿論、名器「DL-103」を擁するDENONだけに、フォノイコライザーにも手抜かりはありません。MC/MMそれぞれ専用の入力端子を備え、「DL-103」などの中~高インピーダンスと、オルトフォンを代表とする2~10Ωの低インピーダンスのMCカートリッジに切替えで対応したMCヘッドアンプに、これも同社の「PRA-2000(1979年)」以来伝統のCR型イコライザーを搭載しています。イコライザー回路はPHONO入力時のみ電源が入る仕様です。


■ CD/SACDプレーヤー『 DCD-SX1 LIMITED 』

本機もアンプ同様、シンプルなデザインを追求。アナログ出力はRCAとXLRが各1系統。デジタル出力はRCA同軸とTOS光各1系統。デジタル入力はRCA同軸とTOS光各1系統。USB入力はUSB-BとUSB-Aが各1系統装備されています。



アンプの『 PMA-SX1 LIMITED 』同様、本機も4年もの開発期間を要しており、パーツを一から吟味し直し、カット&トライを繰り返し、結局変更したパーツ400超、37種のカスタムコンデンサーの大量投入に至ったのです。妥協を許さないその姿勢には感服します。

デジタル回路は、突き詰めれば突き詰める程、ドライブメカの機械振動により敏感になってしまう傾向があります。結果、独自設計の高精度メカ自体をよりリジットにしての低重心化や、メカを支えるアルミ砂型鋳造ベースにより振動を劇的に遮断できたことから、安定した読み取りが得られ、ピックアップ・サーボへの負担やエラー訂正などのデジタル回路への負荷が軽減できたのです。

DACチップは前作同様バーブラウンの32bit型 "PCM-1795" 。信号処理についても前作を継承して、 "アドバンスドAL32プロセッシング" により、本来のアナログ波形を理想的な補間処理で再現。更にD/Aコンバーターの直近にクロックモジュールを配置する "HDマスター・クロック・デザイン" を採用してD/A変換の精度を高めています。また最新の超低位相ノイズの水晶発振器を採用したことで、ジッターを10dBも低減できたとしています。

D/AコンバーターはL/R専用でフルバランス構成。信号ラインが最短になるミニマム・シグナル・パス。デジ/アナ専用アルミ砂型鋳物ベースの電源トランス。アンプでも採用している振動抑止構造 "ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクション" を本機も採用。電源トランスはもとよりディスク回転に伴う内部振動、スピーカーの音圧による外部からの振動にも対処。振動を効果的にグラウンドへ逃がす構造をとっています。

CDプレーヤーにとって今や必須となったUSB-DACも装備。DSDは5.6Mz、PCMは192kHz/24bitと、あえて欲張った設計は採らず、PCM入力時は "Advanced AL32 Processing" によりハイビット&ハイサンプリング化されます。

勿論クロックも、本機のクロックを使用するアシンクロナス転送としています。USB-BにはPCからの高周波ノイズをカットする高速デジタルアイソレーターを搭載しており、リアパネルにはUSBメモリ用のUSB-Aも装備してます。


■ 最後に

アンプ・プレーヤーともに外観には殆ど変化はないのですが、ここまで使用パーツを変更したことで、全く別モノといえる程の製品になっています。

裏を返せば前作でも十分完成度は高かったといえるのですが、そこに更に、新たに得られた技術的なノウハウを注入し、コンデンサーを中心に高性能・高音質パーツを大量投入することで、ここに単なるマイナーチェンジではない、全く新しい "LIMITED" が完成したのです。

そして何といっても "LIMITED" の魅力は、安心&安全の福島県白河の自社工場で、1台1台、心を込めて生産されているということです。
(あさやん)


~ 以下は、8月にD&M川崎本社で行われた新製品発表会に出席した弊社スタッフによる感想です ~

『 PMA-SX1 LIMITED 』
一聴して感じた事は、 "鮮度の高い表現" です。DENONらしい、低域の量感豊かで懐の深いサウンドを楽しめました。音の鈍さは全く無く、生楽器を聴くような "張り" を感じさせるスピード感と、余韻が滑らかに消えていく、音離れの良さを両立していました。

『 DCD-SX1 LIMITED 』
一聴して感じるのが "明瞭度とスケール感の向上" でした。音の粒立ちが良く、繊細でありつつも一音毎の表現は力強い。DENONらしい量感豊かな低域表現に、音の明瞭度が加算される事で、全体的なスケール感の向上に繋がっていました。特に音の奥行き感の向上は素晴らしく、演奏されているホールが変ったかのような広がりを見せました。

両モデルとも "NEシリーズ" を設計されたDENONサウンドマネージャー:山内氏の音作りらしい「Vivid & Spacious」 "生々しい演奏と空間模写" が表れています。

また、山内氏の目指す "いつまでも聴いていたい、音楽に没頭できるオーディオ" という、実に音楽的で、良い意味で国産離れした活き活きとしたサウンドをお楽しみいただけるでしょう。  (とうふ)


2019年10月 5日 (土)

ウエスギ最新作『 U-BROS-660 』から見えた《 上杉サウンド 》の魅力

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、真空管式プリメインアンプの最新作『 U-BROS-660 』から見えた《 上杉サウンド 》の魅力について、お話させていただきます。


■ 最新作『 U-BROS-660 』のデザインから、歴史を振り返る


『 U-BROS-660 』は、他のU-BROS型番のセパレートの正統派?上杉アンプのデザインとは違い、前面の上半分のアールが付いた保護カバーが印象的なプリメインアンプです。

このデザイン、実は歴史が長いのです。エソテリック(当時はティアック)が2002年に発売した、UESUGIブランドを付けた400台限定生産の「UT-50」に始まります。

それは、エソテリックが輸入元でもあるタンノイの中型スピーカー(スターリング等)を鳴らすのに最適なアンプとして開発されたのです。現に、当時タンノイ社のリファレンス用としても使用されていたそうです。

「UT-50」は、真空管全盛期に製造された真空管を使用しており、電圧増幅段にはドイツ・シーメンス社製ECC83とECC82、出力管にはアメリカ・ゼネラル・エレクトリック社製6L6GCを採用していました。

6L6GCはプッシュプル動作では50W以上のパワーが出せますが、信頼性と長寿命化を考慮して22W+22Wの出力でした。

その後継機は、2010年の上杉研究所の「UTY-15」まで待たねばなりませんでした。真空管は「UT-50」と同じですが、トランスをタムラ製からISO(タンゴ)製に変更し、ボリューム位置をプリ部の後に移してS/Nを改善、さらに筐体のカラーリングをグレー系から「ウエスギカラー」に変更して、発売されました(販売終了は2015年)。

そして、ステレオサウンドのwebショップのみの期間限定販売でしたが、キット又は完成品として2018年「UT-66」を発売。始めの30台には1940年代生産のシルバニア製の高信頼軍用管の6L6GAYを、31台目以降はGE製6L6GCと、いずれも上杉研究所が保有する希少なビンテージ管を搭載していましたが、惜しまれつつ販売が終了したのでした。

その後、上杉研究所には、定番モデルとしての復活を望む声が寄せられ、それに応える形で製品化されたのが、前述の上杉ブランド「UTY-15」直系の後継モデルとして、同じ6L6系真空管を出力管に使った『 U-BROS-660 』と『 U-BROS-660S 』が登場したのです。

■ 真空管式プリメインアンプ『 U-BROS-660 』について
製品企画の背景にあるのが、上杉研究所の音楽愛好家を第一に考えた製品開発姿勢です。

それにはまず、(1) 使い易いこと (2) 長時間聴いても聞き疲れしないこと (3) 機械のことを忘れて音楽に没頭できること だとしています。

そして、『 U-BROS-660 』で採用されている技術は、この5つになります。

(1) 上杉研究所のプリメインでは初めて、L/R独立のチョークトランス(平滑用)とし、スクリーングリッド(制御格子)用の電源回路もL/R独立にし、さらに徹底したシールド構造をとることで、L/Rのチャンネル・クロストークを改善した。

(2) 同社U-BROSシリーズのプリアンプで採用実績のあるP-G帰還形の1段増幅のプリアンプとすることで、シンプルな構成がとれ歪みを低減し優れた音質が得られた。

(3) かつての真空管全盛時代に製造された低雑音真空管「ECC83」をプリアンプ部に、「ECC82」をドライバーに採用し、高い信頼性を確保できた。

(4) 出力管の4本の「6L6GC」はいずれも独立自己バイアスで動作させており、またスクリーングリッド電圧を抑えた設計としているため、6L6系の真空管なら幅広く無調整で差し替えが可能になった。

(5) 前作「UTY-15」ではGE製の「6L6GC(電力増幅用ビーム管)」の三極管接続でのプッシュプル出力段を構成していましたが、『 U-BROS-660 』ではこの6L6GC本来のビーム管接続にし、6L6系の真空管の本来の音の魅力を引き出せた。

また、『 U-BROS-660 』の機能及び仕様は、次の6つになります。



(1) 今となっては貴重なテープモニタースイッチ(IN/OUT)を装備。録音機やグライコなどの接続が可能。

(2) スピーカー出力端子は4Ω、8Ω、16Ωのスピーカーに対応しており、新旧幅広いスピーカーに対応。

(3) 上杉アンプ伝統の1.6mm厚亜鉛メッキ鋼板による高剛性シャーシを採用。無共振、無振動、無干渉構造を継承。

(4) 信号増幅回路には最近の真空管アンプに見られるプリント基板を使った配線ではなく、同社の40年を超えるキャリアをもつベテランの職人による、芸術的ともいえる手配線を採用。

(5) 『 U-BROS-660S 』は、『 U-BROS-660 』で使われているGE製の「6L6GC」に替えて、シルバニア製の「6L6GAY」となっており、定格出力が『 U-BROS-660 』の14W+14Wから12W+12Wになっています。

(6) 前述の限定品「UT66」ではオプションで別売になっていた真空管保護カバーが、本機では前作「UTY-15」同様標準装備されています。

■ 設計者の上杉研究所代表 藤原氏に、『 U-BROS-660 』について質問してみました。
(1) 本機のフロントパネルについて
2002年発売のエソテリック「UT-50」と全く同じパネル(ノブは改良)を採用。これは安易な物作りからではなく、販売価格を抑えるためだとしています。

(2) GE製の「6L6GC」とシルバニア製の「6L6GAY」の違い
音質差は善し悪しではなく、好き嫌いの範疇とのことです。「6L6GC」も十分ビンテージ管ですが、「6L6GAY」は更に30年以上前に生産された貴重なシルバニアのオールドビンテージ管で、真空管アンプマニアの嗜好に応えるべく採用したとのことです。

(3) プリアンプ部に使われている真空管
プリアンプ管としてテレフンケンの「ECC83」を、ドライバー管にシーメンス製「ECC82」が使用されています。これらはいずれも真空管全盛時代に先進国で生産された貴重な真空管で、ここにも上杉アンプならではの魅力があります。

(4) セパレートアンプと本機との設計方法の違い
規模の違いで達成レベルには相応の違いはあるものの、同一の部品を使用し設計上の妥協は一切ないと断言。機能的には絞られますが「U-BROS-31」のラインプリアンプ部と「U-BROS-30MKII」が同居していると考えて下さいとのことです。(いずれも生産完了)

(5) タンノイは勿論ですが、他のスピーカーでの音質について
メタルキャビの低能率スピーカー以外は十分な音量が得られたとしています。アコースティック楽器の瑞々しさ、切れ込み、弾力感などの真空管アンプに求められる音質的特長は十分クリアしています。

最新のB&W 800D3シリーズとの組み合わせでは、トランジスターアンプにはない魅力を発揮し、真空管アンプの芸術性の高い音質が加わることで想像以上の良い結果が得られたとしています。

タンノイやJBLなどの高能率スピーカーは勿論ですが、ヨーロッパ製の小型ブックシェルフとの混み合わせで、サブシステムとして楽しまれている方も多いようです。

■ 最後に
真空管式プリメインアンプの最新作『 U-BROS-660 』は、上杉研究所のセパレートアンプの凝縮版ともいえるプリメインアンプで、温度感の伴ったリアルなボーカルや木管楽器、真空管ならではの陰影表現や安定感のあるサウンド、そしてプリメインらしからぬ音場表現力は、真空管マニアならずとも注目していただきたいプリメインアンプです。
(あさやん)

2019年9月30日 (月)

Mark Levinson(マークレビンソン)最新プリメイン『 No5805 』の全貌に迫る!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、アナログラインソースはもちろん、アナログディスクからデジタル・ミュージックファイルやストリーミングまで、この1台であらゆる音楽ソースを最高レベルでこなす、Mark Levinsonの最新プリメインアンプ『 No5805 』の全貌に迫ります!!


■ 私とMark Levinson(マークレビンソン)


このロゴマークに憧れた、オールドファンは多いのではないでしょうか。

かくいう私も、特に同社の「JC-2」「LNP-2L」「No.26SL」「No.32L」など、1970~90年代に登場したプリアンプの「その鮮烈極まりないサウンド」に打ちのめされた記憶が、今でもありありと蘇ってまいります。それほど、当時はぶっ飛んだサウンドのプリだったのです。

■ Mark Levinsonアンプの足跡
Mark Levinson(以下、マークレビンソン)は、1972年 アメリカ・コネチカット州ウッドブリッジに新進気鋭のオーディオ工房MLAS(マークレビンソン・オーディオシステム)として誕生しました。創業者のマーク・レビンソン氏(後に同社を離れますが...)は、自身のミュージシャンやレコーディング・エンジニアとしての豊富な経験から、より高性能なプレイバック・システムの必要性を痛感していました。

マーク・レビンソン氏は、当時プロオーディオ用として開発されたばかりのBurwen(バウエン)社の高性能オペアンプ・モジュールに目をつけ、ローノイズ・プリアンプ「LNP-1」を開発したのでした。

1973年、実用的なサイズにリメイクして誕生したのが「LNP-2」で、当時世界中のオーディオメーカーがこぞってこれを研究したといわれています。「LNP-2」はハイエンド・オーディオという新しいジャンルを確立したという点でも、まさにエポックメイキングな製品でした。

翌1974年に、マークレビンソンは自社開発のオリジナル・モジュールを搭載した、スリム設計のフラット・プリアンプ「JC-2」を発表。徹底したシンプル化により、さらなる高音質化と共に薄型化を図り、その後のマークレビンソン・プリアンプの礎となったのです。

その後、「LNP-2」もオリジナル・モジュール仕様に変更され、1977年には医療機器や物理学測定器などの特殊な用途に用いられていた、CAMAC方式の接続端子〈LEMOコネクター〉による入出力端子を装備した「LNP-2L」へと進化します。



1984年、新生マドリガル・オーディオ・ラボラトリーズに生産拠点が移り、1988年 新体制下における初のオリジナル製品「No.26L」が登場しました。これまでのカード式モジュール形式の殻を破り、オプション基板を除く主要回路をワンボード構成とし、広い基板面積を有効に活用して、二つのモノラル回路をシンメトリーに搭載した、初の「デュアル・モノラル・コンストラクション」を採用したのでした。

そして1991年、アンプ史に残る傑作プリアンプ「No.26SL」が登場します。「No.26L」での洗練された回路構成はそのままに、優れた誘電率で理想の絶縁素材と謳われたテフロンをプリント基板に用いることで、優れたダイナミクスの表現とスムーズな音色、そしてまさしく、モノラル・アンプを思わせる広大なサウンドステージを獲得したのでした。



1999年、リファレンスの名を冠した初のプリアンプ「No.32L」が登場。すべての妥協を廃すことで最高峰の音質性能を実現するため設計されました。過去のレビンソン・アンプが持つ、すべての技術要素を継承しながら、さらに最新の技術と最高の素材を融合した、まさに「究極のアナログ・プリアンプ」となったのでした。

しかし近年、デジタル機器やアナログプレーヤーなどを次々に開発。本来、同社がアドバンテージを持っていたはずの分野の製品に、往年のような話題作が少なくなっていました。そんなマークレビンソンから、話題のプリメインアンプ『 No5805 』が登場したのです。しかも、100万円を大きく下回る価格でです。早速、その全貌に迫ります。

■ 最新プリメイン『 No5805


ズバリ『 No5805 』は、超多機能プリメインアンプです。

アナログラインソースはもちろん、アナログディスクからデジタル・ミュージックファイルやストリーミングまで、この1台であらゆる音楽ソースを最高レベルの【 Mark Levinson クオリティ 】で再生可能なプリメインアンプなのです。

■ 各部の構成と仕様
《 プリアンプ部 》
ラインレベルのプリ部は、同社伝統のフルディスクリート、ダイレクトカップリング、デュアル・モノラル構成のアナログ回路を踏襲しています。入力は3系統のアナログ入力(XLR:1系統、RCA:2系統)で、いずれも独立したスイッチングリレーが装備されています。RCA端子にはマークレビンソン専用設計のパーツが使われています。

ボリュームコントロールには、極めて高精度でワイドレンジな音質を確保するため、マークレビンソンの独創的な15bit R-2Rラダー抵抗と、ローノイズ・アナログスイッチを用いたディスクリート構成のステップアッテネータ方式が採用されています。

新規開発されたフォノイコライザー部は上級機で好評のPure Phono思想を継承して、CR型とNF型を組み合わせたRIAAフィルターを採用し、使用する部品も高精度な抵抗器やポリプロピレンフィルムコンデンサーなど音質にこだわって採用されています。

MM/MCのゲインコントロールやサブソニック・フィルターのON/OFFは、セットアップメニューから行えます。また、お使いのカートリッジに合わせた負荷容量(MM)と負荷抵抗(MC)の調整はリアパネルに配置されたディップスイッチにより操作できるというこだわりようです。


《 パワーアンプ部 》
ドライバー段は2基のハイスピードトランジスターでA級動作を、出力段はバイポーラトランジスター(260V,15A)の3パラプッシュプルで、AB級125W/ch / 8Ω(4Ω負荷時≒250W/ch)の余裕の出力を叩き出します。2Ω負荷でのドライブにも対応しています。

電源部にはチャンネルあたり10,000μF×4基のコンデンサーと、シャーシ中央前方には大容量500VAの大型電源トランスを搭載しています。左右に独立しているパワーアンプ部のそれぞれ直近に、電源整流部を配置して一体化することで、高い瞬時電流供給能力を得たとしています。




《 デジタル部 》
デジタル回路もアナログ回路に匹敵するハイクオリティーを実現しています。DACには最新のESS Sabre 32bit D/Aコンバーターを採用。独自のジッター除去回路や完全バランス設計のディスクリート構成I/Vサーキットが、デジタルオーディオ・プロセッシングステージの中核を形成しています。

4系統のデジタル入力(光:2系統、同軸:1系統、非同期USB:1系統)を備え、PCM(384kHz/32bit)とDSD(2.8/5.6/11.2MHz)の再生に対応しています。さらに、MQAにも対応しており、MQAファイルの再生が可能です。7通りのPCMデジタルフィルター、352.8kHzおよび384kHzへのアップサンプリング、4通りのDSDデジタルフィルターも選択可能とするなど、最新のデジタル機能がフル装備です。



また、ピュアオーディオとは相容れない部分ではありますが、Bluetoothレシーバーも搭載しており、AptX-HD再生にも準拠しているとのことです。スマホやタブレットからのストリーミング再生も可能です。本体とPCを直接接続することで、専用Webページから各種の設定やソフトウェアのアップデートなども可能としています。


《 デザイン 》


一目でマークレビンソンと分かるデザイン。歴代モデルから受け継いだ外観仕上げは堅牢さと信頼性を誇り、25mm厚の前面パネルはアルミ削り出し。黒色アルマイト処理とブラスト加工が施され、中央のガラスディスプレイ部と滑らかにつながったデザインです。

操作ノブはオリジナリティのある砂時計型の削り出しで、柔らかな曲線が手になじむクリアーアルマイト処理とブラスト仕上げが施されています。天板の放熱用通気口の形状、ディスプレイの背面にプリントされた文字やロゴ、削り出し加工の操作ボタンなど、すべてがマークレビンソンそのものです。付属のリモコンのデザインにも凝っています。

また、米国ハイエンドの雄 マークレビンソンの新たなラインナップ「No5000シリーズ」の第一弾モデルということで、設計開発から生産までのすべての工程をアメリカ国内で行なわれており、信頼感も高まります。

輸入元:ハーマンインターナショナルの藤田氏によりますと、信号経路が最短化されたお陰で、スピード感溢れる明るく伸びやかなサウンドを実現。アナログ再生は勿論、ハイレゾ音源によるデジタル再生においても、クリアに冴えた音色で音楽を存分に楽しませてくれるといいます。また、強力なアナログ電源に支えらた駆動力はマークレビンソンならではで、プリメインとしては非常に駆動力が高く、中低域に厚みのある、いわゆるピラミッド型のバランスで、大型スピーカーをも楽々ドライブしてくれるとしています。

■ 最後に
透明かつ緻密、ナチュラルで生々しく、全体に品位までも感じさせ、これぞまさしく【 ハイエンドオーディオの世界 】であり、【 Mark Levinson クオリティ 】のサウンドだといえます。そして、そこに艶やかさが加わったのが、本機の最大の魅力ともいえそうです。

憧れのMark Levinson(マークレビンソン)が、国産ハイエンドプリメインと同程度の価格で手に入るのですから、これは画期的なことです。このデザイン、操作感、そしてサウンドは、貴方のオーディオライフをより豊かで充実したものにしてくれると思います。
(あさやん)

2019年9月21日 (土)

【こんなアンプを待っていた!?】HDMI入力に対応したHi-Fiアンプ、NR1200のご案内です!


みな様、こんにちは!
朝の気温も下がり、ようやく秋の訪れを感じつつあるとうふです!

しかし毎度の事とはいえ、前回からまた1ヶ月。。。
もう少しブログに登場しないと。。。存在をわすれられてしまいそうです。
さて、今回ご案内させていただくのも、先日発表となった新製品。

4951035069912 マランツ
ネットワークオーディオレシーバー
NR1200


マランツから新ジャンルとなる、『HDMI入力に対応した』ステレオプリメインアンプです!

モデルネームにある「NR」はニューレシーバーの意味だそうです。

NRと言えば、
NR1501から始まり、NR1600シリーズ、NR1700シリーズへ。
間で機能特化の弟分NR1400シリーズなどと、薄型AVアンプの高品位モデルを開発し続けてきた事でいまや薄型AVアンプの絶対的存在のモデルネームですね。

さて、そんな「NR」を関するNR1200ですが。。。AVアンプではありません
なんだ、多chのAVアンプをステレオ用にして搭載アンプを削った廉価モデルか』とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんがそれも違います。

このNR1200は
HDMI入力機能を持った』、『専用に設計された部材や回路で構成された新設計のHi-Fiステレオアンプなのです!

昨今HDMI対応のゲーム機や、メディアストリーミング端末も増えており、
AVアンプでは大仰過ぎたり、もっと気軽に使える映像入力に対応したアンプの需要は増えているのでしょう。
実際(メーカー調べですが)NRシリーズを利用しているユーザーの中でも高確率で2chのステレオ運用がされているようです。
さらに、海外でも映像機器との融和性が高いHi-Fiレシーバーアンプの需要が増加傾向にあると聞きます。
このNR12000はそんな、時代のニーズに応じて生まれ出てきた新世代のアンプ、と言えるかもしれませんね。

TVとの融和性も高いARC対応のHDMI出力や、ネットワークやBluetoothへの対応。
ピュアオーディオとホームシアターの間を繋ぐ、新世代のオーディオアンプとしてこのNR1200は注目のアンプですね!
10月中旬頃発売予定です

それではいつもお買い得な「Joshin Web」でお待ちしております。

2019年8月16日 (金)

【デノンエントリーモデルがリニューアル!】DCD-600NE、PMA-600NEが登場!


みな様、こんにちは!
世間は長期休暇の真っ只中という方もいらっしゃるでしょう!!
しかしそんな中でも鋭意活動中のとうふです!

さて、今回ご案内させていただくのは先日発表となった新製品です
デノン製CDプレーヤーのニュー・エントリーモデル、

デノン
CDプレーヤー
DCD-600NE


そしてプリメインアンプのニュー・エントリーモデル

デノン
プリメインアンプ
PMA-600NE

です。

これまでデノンの"エントリーモデル"と言えば
CDプレーヤーの【DCD-755
そしてプリメインアンプの【PMA-390】でした。

その歴史は古く、
プリメインアンプの
1991年発売の【PMA-390】
1995年発売の【PMA-390Ⅱ】
1998年発売の【PMA-390Ⅲ】
2000年発売の【PMA-390Ⅳ】
2006年発売の【PMA-390AE】
2009年発売の【PMA-390SE】
2012年発売の【PMA-390RE】
と、実に28年、30年近くも続いていた歴史のあるアンプです。

特に私の印象に残っているのが、2000年発売の【PMA-390Ⅳ】です。
音に厚みがあり、家にあったハイコンポやパソコンに簡易で接続していたアンプ内蔵スピーカーと全く異なる表現に感動しました。
学生だった私に据置オーディオの面白さを体感させてくれた、非常に思い出深いアンプです。
2006年発売の【PMA-390AE】からアンプデザインがガラリと変ったのも印象的ですね。
それまでの質実剛健!といったデザインから流線型のお洒落なデザインに変っています。

CDである【DCD-755】を冠したモデルはアンプ程古くなく、
2000年発売の【DCD-755】が初代となります。
その後
2002年発売の【DCD-755Ⅱ】
2006年発売の【DCD-755AE】
2009年発売の【DCD-755SE】
2012年発売の【DCD-755RE】
と代を重ねていき、20年近くも続いたこちらもまた、歴史のあるプレーヤーといえるでしょう。
ちなみにCDプレーヤーも2006年発売の【DCD-755AE】から流線型のお洒落なデザインに変更されていますね。

さて、そんな名モデルも時代の流れ、と言うのでしょうか。
同じデノンでも2000シリーズ、1500シリーズがそれぞれ2500シリーズ、1600シリーズとなったように『NEシリーズ』に切り替わる時代がきたようです。
NEとはNew Era新時代新紀元という意味があり、サウンドマネージャーが現在の山内氏に代わった、新時代のデノンサウンドである意味が込められています。

山内氏がデノンサウンドに掲げるVivid&Spaciousの理念。
メリハリと繊細、そして広々とした音場的な表現で、いつまでも聴いていたい、音楽に没頭できる音作りを目指して作られたNEシリーズ。
その最新作は幅広い層にアピールできるエントリーモデルとして歴史のある390、755シリーズを装いも新たに"600シリーズ"として再スタートしたのです。

アンプである【PMA-600NE】では昨今のオーディオ事情を反映したのか、光/同軸入力とBluetooth入力に対応
最近は『音楽ソースはスマホやタブレットが専ら』という人が(世界的にも)増えた為、Bluetoothによる無線入力が追加されたようです。

逆にCDプレーヤーである【DCD-600NE】では原点回帰と言えばいいのでしょうか。
USB-A端子が廃され、純粋なCDプレーヤーに仕上がっています。

エントリーモデルでありながらこの600シリーズはNEシリーズ最新作だけあり、随所にこれまでのシリーズで得られたノウハウを活かした設計がされています。
その表現力は若干青さを感じさせながらも若々しく、エネルギッシュなサウンドで"音楽を耳にして楽しい"と感じさせてくれるオーディオというホビーの楽しさを教えてくれます。

これからオーディオをはじめる人たちにも、そして再びオーディオをはじめようとお考えの人にも。

この新エントリーモデル、600シリーズは"オーディオの楽しさ"、その原点を手軽に体感できるお薦めの組み合わせと言えるでしょう!
※両モデルは9月末発売予定です

それではいつもお買い得な「Joshin Web」でお待ちしております。

JBL伝統のホーン&ドライバー搭載『 STUDIO 6シリーズ 』に迫る!!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、お手頃価格で鳴らしやすい、良き時代のJBLのイメージそのままに現在に蘇ったスピーカー『 STUDIO 6シリーズ 』を取り上げます。


■ JBLについて
現在、JBLブランドのスピーカーには、「EVEREST DD67000」「L100 Classic」などの《 プレミアムモデル 》、「4367」「4312G」などの《 スタジオモニター 》、そして今回取り上げる「STUDIO 6シリーズ」「Stageシリーズ」などの《 スタンダードモデル 》の3ラインがあり、多彩です。

JBLは、ジェームス・バロー・ランシング氏によって、1946年に米カリフォルニアで設立されました。氏はJBL設立以前、アルテック・ランシングに籍を置いており、かの銘機「アルテック604」も開発しています。特に70年代、一世を風靡した「4343」をはじめとする「JBLスタジオモニター・シリーズ」は、私はもちろん、オーディオマニアの憧れの的でした。

同社のスタジオモニターは、プロオーディオの現場で鍛えられ、そして磨き抜かれ、そのノウハウを注入して卓越した音響特性を持つ、数々のホーム用スピーカーの傑作を世に送り出してきました。

そして、70年を越す歴史を持つJBLスピーカーの魅力は、何といっても「ホーン&ドライバー」にあるのは疑いのないところです。それが今に至るまで、アメリカを代表するスピーカーブランドであり続け、多くのオーディオファンから常に高い評価を受けている理由でもあると思います。

■ STUDIOシリーズについて
《 スタンダードモデル 》の「STUDIOシリーズ」はこれまで、2011年発売の「STUDIO 5シリーズ」、2013年発売の「STUDIO 2シリーズ」がありました。

これらはいずれもホーンを採用してはいましたが、「STUDIO 5シリーズ」は独特の縦型ホーンで違和感は否めず、ホームシアター指向であったため、今ひとつ人気は出ませんでした。

一方の「STUDIO 2シリーズ」は、25mmアルミベースのドームツイーターに、後にご説明しますHDIホーンを付けたもので、本格的ホーンとは少し違う構成を取っていました。

■ 最新モデル『 STUDIO 6シリーズ 』の特長を見てまいりましょう。


  • JBL伝統のコンプレッションドライバーと最新のHDIホーンを全モデルに採用

    やはり、『 STUDIO 6シリーズ 』で一番に目につくのは、JBLスピーカーのシンボルともいえるホーンで、JBL Professional直伝のHDI(ハイ・ディフィニション・イメージング)ホーンです。

    HDIホーンは、大型モニタースピーカー「4367」のために開発された技術で、「Xウェーブガイド・ホーン」を搭載することで、ホーンシステムならではの高密度かつ緻密なディテール表現と、広く一定した定指向性を獲得できたのだとしています。広いサービスエリア全体にわたり、フラットな周波数特性と均一な音圧で、正確な音像定位と共に明瞭なJBLトーンを実現できたのです。


        ▲ HDIホーン

    ドライバーは、前作「STUDIO 5シリーズ」と同じ「2441H」で高分子系のTeonexダイアフラム、マグネットはネオジュームのリングマグネット採用のコンプレッションドライバーです。世界中のコンサートで活躍するJBL ProfessionalのSRスピーカー「VERTEC SUBCOMPACT MODEL」のために開発されたドライバーです。


        ▲ コンプレッションドライバー

    ただ「STUDIO 5シリーズ」と比べ、ホーンの性能が格段に向上しており、指向性が広く、周波数特性も広いエリアにわたって制御されています。その結果、低歪みの高音を広く行き渡らせることができ、エネルギー感を伴った豊かな表現力と、しなやかでなめらかな音色を実現できたのだとしています。

  • PolyPlas(ポリプラス)コーン・ウーファー搭載

    ウーファー(STUDIO 698のスコーカー含む)ユニットには、軽さと剛性を両立したPolyPlasのコルゲーションつきコーンを採用。マグネットには、対称磁界を形成するポールピース構造と、変調歪低減技術を組み合わせたJBLお得意のSFG磁気回路を搭載しています。小音量時から大音量時まで、JBLならではのリズミカルな低音と歪みの少ないクリアな中低域再生を実現できたのです。

  • 最適化されたエンクロージャーとバスレフポート

    エンクロージャーはつなぎ目のないMDF製で、前後のバッフルとも両サイドがラウンドエッジ構造で、優美さに加え、回析による輻射を抑え、豊かな音場を再現します。また、背面にはフレア付きバスレフダクト(STUDIO 660Pは底面)を設けることで、ポートノイズを抑えることができたのです。内部の適切なブレーシングにより共振も抑えたとしています。なお、STUDIO 698/680はバイワイヤリング対応(他はシングル)となっています。

■ 日本橋1ばん館で試聴しました


『 STUDIO 680 』は、厚くたっぷりの低域、ハリのある中域、そしてキレの良い高域のバランスの良いフロアタイプです。この底抜けの明るさ、スピード感はホーンならではと感じました。かつてのJBLのような荒々しさやキツさはなく、あくまでもスケール感やゆとりを感じさせる、音楽を楽しく聴かせる音楽指向のスピーカーと感じました。

一方の『 STUDIO 630 』は、ブックシェルフとしては若干大きめですが、その分低域が厚くしっかりしています。ボーカルはかつてのJBLとは違い、口は原寸大でヌケの良いもので、高域は爽やかで軽やかでした。スピーカーの大きさ以上にスケール感があり、この大らかさはJBLのホーンスピーカーならではと感じました。

久々にお手頃価格で鳴らしやすい、いかにもJBLらしいホーム用スピーカーの登場です。その魅力は何といってもこだわりのコンプレッションドライバー。快活・明快・鮮烈、そしてスケール。良き時代の【 JBL 】のイメージそのままに現在に蘇った、ハイC/P『 STUDIO 6シリーズ 』の登場です。
(あさやん)

2019年8月14日 (水)

TRIODE*真空管『 6BQ5 』搭載のかわいいアンプ3機種

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は「暑い季節にこそ、熱い真空管アンプを!」をテーマに、真空管『 6BQ5 』を搭載したトライオードのかわいいアンプ3機種をご紹介いたします。


■ 真空管『 6BQ5 』について
真空管『 6BQ5 』は、1953年にヨーロッパで「EL84」として誕生し、1955年頃に『 6BQ5 』として、米国EIA規格で登録されました。

この『 6BQ5 』を搭載したアンプとして有名なところでは、オーディオ黎明期の1962年に発売の銘機LUX「SQ5B」。近年では、2013年発売のLUXMAN「LX-32u」(生産完了)や、真空管ビギナーに人気のBUTLER「Vacuum 6W MK2」。さらに、今も品切れを起こすほどの人気商品で、2018年発売のLUXMAN「SQ-N150」。そして、今年2019年4月に登場したSoundWarrior(城下工業)「SWL-AA1」と、『 6BQ5 』は60年近くにわたって使われ続けています。

マニアに人気のある真空管KT88や300Bは大きくて見栄えが良く、いかにも真空管という存在感がありますが、『 6BQ5 』は比較的地味な存在です。しかし、『 6BQ5 』を使った小出力のアンプの音は、音の良さではずっと以前から定評がありました。

その『 6BQ5 』を使ったアンプは、昔から優しく、滑らかで、聴く人を疲れさせないサウンドを出すのだといわれてきました。そんな歴史ある『 6BQ5 』を使ったアンプを今も供給し続けてくれているトライオード(TRIODE)の『 6BQ5 』搭載 人気プリメインアンプ3機種(実質2機種)の魅力に迫ります。

■ 真空管プリメインアンプ『 Ruby 』、真空管プリメインアンプ『 Pearl 』

▲真空管プリメインアンプ『 Ruby 』



▲真空管プリメインアンプ『 Pearl 』


『 Ruby 』は2012年、それまでの鉄の塊のような真空管アンプに挑戦するように、以下のようなコンセプトのもと製品化されました。
  1. 「オーディオは男だけのものでは無い!」という概念から生まれ、小型でオシャレなデザイン感覚で設計
  2. プライベートルームやベットルームの片隅でセンスの良い音楽を楽しむ、現代の癒やしの新しい音楽スタイル
このように『 Ruby 』は、明らかに女性ユーザーをターゲットにしており、それまでの真空管アンプにはなかった斬新な考え方で開発されたコンパクトで可愛い製品です。そのオーディオ製品には珍しいレッドカラーの筐体も魅力的で、発売から7年が経過した今も人気を保ち続けています。もちろん、男性に・・・。

さらに今年(2019年)になって、筐体をパールホワイトにした『 Pearl 』も加わり、コンパクトでお洒落な真空管プリメインアンプ「ジュエリーシリーズ」としてラインナップされました。

使用真空管は、入力段とドライバー段が同じ双三極管の12AX7、終段にはMTタイプの5極管である『 6BQ5 』を、真空管の特色を生かすため、あえてシングル回路を採用して、余裕を持たせて定格出力を純A級 3W+3Wとしています。真空管は、自己バイアスで動作しています。

入力はRCA 2系統、スピーカー端子はバナナにもYラグにも対応しており、いずれも金メッキ削り出しの端子を採用、手抜きはありません。また、近年は必需でもあるヘッドフォン端子は6.3mmタイプを装備しており、ヘッドフォン回路ももちろんICではなく『 6BQ5 』真空管から出力されます。

真空管を下部から照らす照明には『 Ruby 』のオレンジ色から、『 Pearl 』ではパールホワイト塗装に合わせて、ブルーのLEDに変更しています。

出てくる音は到底3W+3Wと思えないしっかりしたもので、フロアタイプのスピーカーも朗々と鳴らしました。とにかく穏やかで、キメの細かなサウンド、爽やかな透明感に、ほのかな温もりが感じられ、それは小出力管でしか味わえない独特の世界です。力ずくでグイグイと迫ってくる大出力管のアンプとは対照的なサウンドです。

小型ブックシェルフスピーカーとの組み合わせ、一人静かに音楽に浸るならこれで十分です。照明を落としたお部屋で、淡い真空管の灯りを見ながら聴く女声ボーカルや小編成のクラシックは、絶品です。

■ 真空管プリメインアンプ『 Luminous 84 』


『 Ruby 』の非常にコンパクトな横幅190mmに比べると、一回り大きな305mm(同社製品の標準横幅は345mmですので若干小さめ)です。しかも、名前の「ルミナス」の「はでやかなイメージ」とは違い、トライオードの上級機TRXシリーズなどに通じる、本格的でスタイリッシュなデザインの真空管アンプで、『 Ruby 』と違い、こちらは男性的です。

真空管は、初段が12AU7×1、ドライバー段が同×2、終段は『 Ruby 』と違い "6BQ5" を左右2本ずつ、UL(ウルトラリニア)接続してAB級プッシュプル動作させ、11W+11Wの出力を得ています。出力管のバイアスは、無調整で安定性に優れた自己バイアス方式としています。

入力はRCA 3系統に加え、MMカートリッジ対応のフォノイコライザー(半導体式)も搭載して、アナログレコードも楽しめ、万全です。出力にはスピーカーが1系統とヘッドホン出力があり、ヘッドフォン回路はもちろん真空管で、真空管アンプの魅力が十分楽しめます。プラグは6.3mm標準プラグ対応です。

確かに、本機の出力管にはミニチュア管が採用されており、伝統的な三極管300BやKT-88・6CA7などのビーム管、五極管を使った他のトライオードの真空管アンプに比べると、デザイン的には少し迫力に欠けるのは否めません。

しかし一方で、ミニチュア管『 6BQ5 』ならではの小気味の良い軽やかなサウンドを評価する声もあり、何より大袈裟にならないコンパクトさと、レトロな雰囲気を併せ持つデザインの良さに惹かれる音楽ファンも多いのではないかと思います。

出力の11W+11Wは何とも貧弱に思われるかも知れませんが、ある意味では三極管のシングルよりパワフルで、ワイドレンジでもあります。スピーカーが余程の超低能率でない限り、十分な音圧は得られます。しかも出力トランスを介してスピーカーをドライブすることで、逆起電力の影響も回避し確実に制動できるため、しっかりした安定感の伴った低音も実現しています。

音場感こそハイエンドクラスのアンプには及ばないものの、濃密でエネルギーに溢れたホットなサウンドが、このクラスのアンプで得られることには正直驚かされます。とにかく音楽を楽しく聴かせることに関しては、同価格帯のトランジスタアンプを大きく超えていると思います。

期待通り、特に楽しいのはボーカルでした。眼前に生身のボーカリストを感じる程、温かく湿り気を伴ったボーカルは出色で、ダイナミックレンジを狙った大出力アンプではない、小出力の真空管アンプならではと感じました。

ジャズもなかなか魅力的で、汗が飛び散る脂ぎったサウンドとは対照的な、細身な音像表現ながら分離が抜群で、ソロ楽器が自然に浮かび上がる印象的なものです。大編成のクラシックもスケール感たっぷりに鳴らしきったのには驚かされました。

アナログレコードでも真空管ならではのたっぷり感のある豊潤なサウンドを楽しめることから、初心者や女性の音楽ファンはもちろん、酸いも甘いも知り尽くしたオーディオファンのサブシステムとしてもお勧めしたいと思います。

■ 最後に
『 Ruby 』『 Pearl 』は、お洒落に一人静かに、『 Luminous84 』は本格的に、でも堅苦しさを感じることなく、世の中の嫌なことを忘れ、ただゆったり、ひたすら好きな音楽に浸っていたい・・・。そんな気分にさせてくれます。

省エネとは真逆ですが、暑い季節にこそ、熱い真空管アンプを冷房のギンギン効いたお部屋で聴きたいですね・・・。
(あさやん)

2019年8月13日 (火)

FIDELIXがまたまた「ユニークなアナログ製品」を投入!!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
アナログアクセサリーで有名なFIDELIXより、オリジナリティ溢れるアナログ関連機器が発表されました。とても「ユニークな製品」でしたので、ご紹介いたします。


■ FIDELIX (フィデリックス) とは
FIDELIXというメーカーをご存知でしょうか。オーディオ歴の長い方は勿論、アナログアクセサリーに関心をお持ちの方には特に注目されている国内メーカーです。

設立は1976年、主宰者は中川伸氏で、SONYやSTAXを経て27歳で独立。当時、マークレビンソンのローノイズヘッドアンプ「JC-1」が注目を集めていた頃で、同社のデビュー作はローノイズMCヘッドアンプ「LN-1」でした。

その後、プリアンプやパワーアンプも発売しています。かなりマニアックな製品が多く、当時はコアなユーザーからの支持に限られていました。

そして、広くマニアの間にFIDELIXの名を浸透させたのが、1994年発売のナチュラル・スペクトラム・ハーモネーター「SH-20K」でした。


    ▲ SH-20K


これは、CDプレーヤーとアンプの間に挿入することで、CD化の際に一度切り捨てられた20kHz以上の音を修復するというもので、大ヒットを記録したのでした。私が当時在籍していた河口無線での販売台数は、最終的に数百台にも達しました。

当時はCD発売から10数年が経過していましたが、相変わらず「冷たい」「硬い」「きつい」などのイメージが払拭されず、CDサウンドへの不満や人気に陰りが見え始めた頃でした。そこに登場したのが「SH-20K」で、多くのオーディオマニアが飛びついたのでした。

その原理は、音楽に合わせて20kHzの疑似信号 (いわゆるノイズ) を付加するというもので、理論は分からなくてもその効果には誰もが驚いたものでした。

これがFIDELIXブランドが有名になったきっかけですが、その後も同社はユニークな製品を発表し続けてきました。

2006年にスーパー・ツイーターと前述のハーモネーターを一体化したアコースティック・ハーモネーター「AH-120K」を、2009年にはDCパワーアンプ「CERENATE」、2010年には大ヒットとなったDACプリ「CAPRICE」、2014年にはフォノイコ「LEGGIERO」と、ヒット作が続きました。

そして近年、設立時に回帰したように、アナログ系アクセサリーの発表が続き、いずれもヒット作となっています。

まずは、2015年からヘッドシェル「MITCHAKU」全7アイテムを次々発表、同じく2015年にレコードスタビライザー「CRYSTAL-STABILIZER」、2016年にピュアストレート・トーンアーム「0 SideForce」、LPレコード用アウタースタビライザー「PURE-FLAT」と続きました。

そして今回ご紹介致します2アイテムの発表と続きます。いずれも実にオリジナリティ溢れるアナログ関連機器です。

■ MCヘッドアンプ『 LIRICO (リーリコ) 』


前述のFIDELIXのデビュー作「LN-1」と同じMCヘッドアンプです。フォノイコライザーでも、昇圧トランスでもありません。本機には、同社の長い経験で得たノウハウが投入されており、デビュー作同様、ヘッドアンプとイコライザー間に電源ノイズが混入するのを防ぐべく、バッテリー式となっています。

「LN-1」では単2乾電池4個でしたが、本機ではニッケル水素の006P型充電池6個とし、充電器が付属しています。充電器は1個ですが、+側と-側の両切りスイッチを使うことで、動作時は電源ラインからのノイズを完全にシャットアウトしています。満充電で約20時間使用可能です。

『 LIRICO (リーリコ) 』は、現行製品で世界最高レベルの超ローノイズとなる-156dBV(RIAA+IHF-A by Average Response)を達成しており、これは低出力の空芯MC型から、非常にデリケートなニュアンスまで再現するためのものだといいます。ここまでノイズを下げないと元気不足になってしまうのだそうです。

使用素子はオールJFETで利得は約26dBです。デリケートな信号を速やかに増幅素子へ伝達するために、カップリングコンデンサーや抵抗を介在させていないということです。使用FETは性能的にも音質的にも定評のある、今や貴重な東芝製超ローノイズ品(廃品種)を使用しており、ノイズやゲイン、最低動作電圧の左右誤差を無くすため、使えるものは僅か10%、多くても50%というシビアな基準で厳密に選別しているということです。

入力インピーダンスは「LEGGIERO」で大好評だったギガオーム(GΩ)受けですが、装置との相性や好みによって一般的な330Ωも底のディップスイッチの1番と3番をONにすることで選択可能にしています。

『 LIRICO (リーリコ) 』は主要パーツを非磁性としているため、磁化による雑音が発生せず、繊細な表情まで再生すると同時に、広大な臨場感が得られるとしています。MCトランスは間接音を抑えてしまう傾向があり、それによって直接音に近づいたかのような、時として効果的な作用をすることもありますが、本機は忠実性を追求した結果、MCカートリッジの理想のステップアップを実現できたということです。

中川氏は、本来MCトランスは大音量再生には有効ですが、ヘッドアンプ『 LIRICO (リーリコ) 』は、小音量や遠くの音源に適しており、広い空間の再現、優しく微細なニュアンスの表現が抜群だとしています。また音質的には、同社のフォノイコライザー「LEGGIERO」のヘッドアンプ部より、理想の電源であるバッテリー駆動の『 LIRICO (リーリコ) 』の方が優位としています。

ちなみに『 LIRICO (リーリコ) 』は、イタリア語で「叙情的(じょじょうてき)」という意味です。パワフルで元気な表現は当然として、デリケートで深い心情までをも目指しての命名だそうです。

■ カートリッジ消磁器『 DEGAUSS (デガウス) 』(限定200台)


オーディオ歴の長い方ならご存知でしょうが、過去にもあったMCカートリッジ消磁器です。ラックスマンの「XA-1」や並木宝石の「DM-100」が有名です。『 DEGAUSS (デガウス) 』は006Pの電池を使った消磁器で、鉄芯入りMC型カートリッジ、MM型カートリッジ、MC用ステップアップトランスに効果があります。

使い方は、電源を入れてパイロットランプが点灯することを確認してから、ボリュームを絞ってRCA端子に対応物を接続します。そして、ボリュームを最大にしてから絞り切るというローテク方法です。それによって、ほぼ消磁が行えるというわけです。付属のクリップを使えばカートリッジ単体、あるいはヘッドシェルに取り付けた状態でも対応可能です。

なお、本製品は空芯MCに使っても意味がありません。針交換可能なMM型やMI型は必ず針を外してご使用下さい。針が外れない場合は使用しないでください。MCトランスは1次側へ接続し、2次側は完全なオープンで行ってください。電池は006P形状なら何でも使え、電源表示が暗くなれば電池交換です。通常はマンガンタイプで十分です。

鉄芯入りMCやMCトランスを使った方が力感があるということで好まれる方がいらっしゃいます。こういった製品の中にはとても高価なものもありますが、それらがもしも磁化されていることによって本領が発揮されていないとすれば、非常に勿体ないことだと中川氏は言っています。
  • 『 DEGAUSS (デガウス) 』で効果がある【鉄芯入りMC】カートリッジの代表例
    audio-technicaのMC(AT-ART7を除く)、DENONのMC(DL305を除く)、Phasemationの全MC、ZYXのMC(Ultimate-DYNAMICを除く)、ortofonのMC(一部のハイエンドを除く)などです。

  • 『 DEGAUSS (デガウス) 』では効果がない【空芯MC】の代表例
    FR「FR-1MK3」、SONY「XL-55」、YAMAHA「MC-1S」、Victor「MC-L1000」「MC-1」などです。

■ 最後に
またまたユニークな製品を投入してきたFIDELIX。中川氏の発想には、いつもながら感服させられます。

他のオーディオメーカーが思いもつかない、同社製品がオーディオを更に楽しくしてくれるのは間違いありません。これからもFIDELIX製品に注目です。
(あさやん)

 

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