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2018年8月 3日 (金)

MQA-CD特集 第3弾!! ~ユニバーサルミュージックの"MQA-CD"! そのサウンドに感動!!~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、ユニバーサルミュージックより、『 ハイレゾCD名盤シリーズ 』が発売されましたので、"MQA-CD"の特長と試聴結果をレポートいたします。

今回発売された、ユニバーサルミュージック(以下、ユニバーサル)の"MQA-CD"は通常のCD盤ではなく「UHQCD」仕様です。さらに「グリーン・レーベルコート」が施され、現時点では最高峰の高音質CD仕様となっています。
(※なお、音元出版・オーディオアクセサリー誌169号付録の"MQA-CD"は「UHQCD」ではなく通常CD仕様です。)

"MQA-CD"の説明に入る前に「UHQCD」仕様と「グリーン・レーベルコート」について少し触れておきます。


■ "UHQCD"の原理やメリットとは?



「UHQCD」はメモリーテックが開発した、既存のCD製法を根本から見直したCD規格に準拠した高音質のディスクメディアです。通常CDとは違い、スタンパーとポリカーボネートの間(上図参照)に、ピットの奥まで届く液体状のフォトポリマー(紫外線硬化樹脂)を注入することで、転写性能が飛躍的に向上(ピットのエッジが丸まらない)したのです。

一方、「グリーン・レーベルコート」とは、レーベル面にCDプレーヤー内で乱反射する不要なピックアップからの光を吸収する、緑色のレーベルコート(緑色は赤色のレーザー光とは補色の関係)で、過去にはCDエッジに塗る緑色のペイントや、緑色のターンテーブルシートが販売されていたことをご記憶の方もいらっしゃると思います。それらと同じ考え方です。

そして本題の"MQA-CD"ですが、過去このコーナーでもその原理やメリットについて縷々述べてきましたが、今回はユニバーサルの『 ハイレゾCD名盤シリーズ 』を中心にそのこだわりを探ってまいります。


■ ハイレゾデータを折り畳んでCDに収納する"MQA"

MQAはハイレゾのクオリティを維持しながらファイルサイズを小さく折りたたむ手法で、ハイレゾ配信サイトを中心に現時点で入手できる音源は、すでに約3,000タイトルに達しており、世界中で50社以上が音源とハードウェアを提供していると言います。

一方"MQA-CD"は、昨年(2017年)登場したものの、マイナーレーベルやバイノーラル仕様のCDなど約30タイトルしかなかったのですが、今回ユニバーサルから発売された100タイトルでかなり選択肢は増えたと言えます。

とは言うものの、今回の"MQA-CD"は過去のアナログマスターの音源を、一旦DSDに変換した後、352.8kHz/24bitのPCMにしているため、ほとんどが1970年代以前のアナログ音源です。実際の作業は、DSDマスターを英国のMQA社に送り、そこでMQAへのエンコード処理と44.1kHz/16bitへの変換処理を行った上で、CD規格の音源をユニバーサルが受け取るのだそうです。

過去の貴重なアナログマスターのテープの劣化がどんどん進んでいることから、早急なデジタル化が必要ですが、ユニバーサルは以前からSACD用にDSD化をしてきており、今回の"MQA-CD"には、新たにDSD化したものも含め、すべてDSDマスターを使用しています。

また、デジタル(PCM)黎明期からCD初期にかけて録音された、48kHzや44.1kHzのPCM録音のマスターでは、こういった作業(DSD化)があまり意味をなさないことから、やはり今回の"MQA-CD"は、1950年代~70年代のアナログ全盛期の高音質アナログマスターのMQA化が中心となっており、これは我々にとって非常に魅力的です。

筆者としては、かつてのアナログ時代に高音質音源として持て囃され、今や伝説となっている「シェフィールド」や「TBM(スリー・ブラインド・マイス)」、「オーディオラボ」などが"MQA-CD"で復活して欲しいと思っています。


■ "ハイレゾCD名盤シリーズ"はここが違う!

今回の『 ハイレゾCD名盤シリーズ 』は、その企画段階では、DSDマスターを176.4kHz/24bitに変換して収録する予定だったそうですが、製作段階において、より音質面でのアドバンテージが認められた、352.8kHz/24bitでの収録に変更されたのだそうです。確かにディスクの外装の帯には176.4kHz/24bitと表記されており、急遽決定したものと思われます。

前述のように今回の『 ハイレゾCD名盤シリーズ 』は、"MQA-CD"と「UHQCD」という2つの仕様を併せ持っており、従来のCDプレーヤーでも通常CDとして再生が可能です。そしてMQAデコードに対応したD/Aコンバーターにデジタル出力を繋ぐと、352.8kHz/24bitのハイレゾ再生が出来るという画期的なCDソフトとなったのです。

さらに通常のCDプレーヤーでの再生時にも、「UHQCD」としての長所はもちろん、MQAエンコードの際の時間軸解像度(音像のにじみ)の改善効果がそれに加わるため、既存のCDよりも高音質での再生が可能だとされています。

このあたりはSACDや過去にあったDVDオーディオとも違う"MQA-CD"の大きなメリットと言えます。そして何より価格が各3,000円、2枚組4,000円(いずれも税別)という所も見逃せないメリットです。

さらにユニバーサルが日本国内で一気に100タイトルもの"MQA-CD"を発売した訳は、ハイレゾとCDが両立する"MQA-CD"という形が、日本市場に適しているという判断からだと考えられます。

筆者を含めベテランのオーディオファンほど、ハイレゾには興味はあるものの、ファイル再生やストリーミング再生はハードルが高いし面倒と考える方が多いのではないかと思います。また、同じ音源を配信で入手できる場合でも、出来ればディスクの形で持っていたいという方も多いと思います。

そして、お好きなソフトをSACDでお持ちの方は別として、昨今対応プレーヤーが少なくなりつつあり、しかも高級機のみとなってきている現状では、どうしてもSACDの導入に二の足を踏んでしまいがちです。さらにポップスやロック、邦楽などがSACD化されるケースも少なく、恐らく今後も期待できないのではないかと思います。

その点、"MQA-CD"は馴染みのあるCDでハイレゾ音質が実現でき、手元にMQAの対応機器がなくても、とりあえず高音質CDとして楽しめるというメリットは非常に大きいと思います。またD/AコンバーターなどがアップデートでMQA対応化されれば、ハイレゾ再生が可能になることも十分に考えられます。

さらには、配信されているハイレゾ音源とほぼ同等の価格で、"MQA-CD"ディスクとそれをリッピングしたファイルの両方の形でハイレゾ音源が入手できるというのも、今後大きなメリットになるとも考えられます。欧米ではすでに音楽配信が頭打ちとなっており、無料のストリーミングでの聴取がメインとなりつつあるようです。

このように "MQA-CD"は、現時点では想像出来ない程の大きなメリットや可能性を秘めており、日本のハイエンドオーディオに大きな地殻変動が起こるかも知れません!


■ 最後に
今回"MQA-CD"の試聴は、筆者宅でリファレンスD/Aコンバーター MYTEK『 Brooklyn DAC+ 』と、輸入元:エミライよりお借りした『 Liberty DAC 』で行いました。

【 筆者宅で試聴 】



MYTEK『 Brooklyn DAC+ 』と『 Liberty DAC 』で聴いた「MQA-CD」のサウンドはほぼ共通したもので、深く厚みのある低域、エネルギーに満ち溢れた中域、高域の圧倒的な情報量、厚みのある豊潤なサウンド、生音のような立ち上がりや響きを再現し、非常に説得力のあるハイエンド・サウンドでした。

『 Liberty DAC 』は、表示こそLEDを多用し色分けすることで、かなり簡略化されてはいますが、バランス(TRS:要アダプター)出力やヘッドホン出力、AES/EBUやボリュームコントロール、さらにAC電源が直接使えるなど一切手抜きはありません。

『 Liberty DAC 』こそ、そろそろ限界を感じておられる国産USB-DACユーザーには打ってつけの製品であり、"MQA-CD"再生だけではなく、高性能な“新世代のUSB-DAC”としてお勧めします。

Libertydac 
■ 予告
『 Liberty DAC 』についての詳細とユニバーサルミュージック「MQA-CD」の試聴記は後日レポートいたします。

※音楽ソフトは、2,500円以上のご購入で《 送料無料 》。また、他の商品とは別精算となります。


2018年7月30日 (月)

MQA-CD特集 第2弾!! ~デジタルオーディオの最先端を突っ走るマイテック・デジタル~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、デジタルオーディオの最先端を突っ走るマイテックのMQA対応D/Aコンバーター3機種をご紹介! 今話題の"MQA-CD"をダイレクト(S/PDIFのデジタル入力)で再生できる、ほぼ唯一(2018年6月時点)の製品です。


■ MQA-CD特集 第2弾!

この度マイテック・デジタル製品の輸入代理店が、従来の今井商事(株)から、(株)エミライに替わり、D/Aコンバーターのエントリー機『 LIBERTY DAC 』が新たにラインナップに加わりました。

前回このコーナーでMQAの原理、そしてその音質の素晴らしさを述べさせていただきましたが、いよいよ待望のユニバーサルミュージックの"MQA-CD"を入手しましたので、マイテックの新製品『 LIBERTY DAC 』を含め、『 Brooklyn DAC+ 』『 Manhattan II 』の先進性を、音質を含めレポートしたいと思います。


■ 最先端を突っ走るマイテック

米国マイテック・デジタル社は、マンハッタンの2大レコーディング・スタジオである「ザ・ヒットファクトリー」と、「スカイライン・レコーディング・スタジオ」でエンジニアだったミハル・ユーレビッチ氏によって、1992年にニューヨークに設立されました。因みに今回ご紹介しますD/Aコンバーターの名前はいずれもニューヨークの地名です。

当初は、プロユースのマスタリング用A/Dコンバーターや、D/Aコンバーターの開発から始め、その後同社は、DSDのフォーマットを確立する際の、マスターレコーダーのプロトタイプを開発し、DSDの誕生に大いに貢献したのです。そして2012年同社初の民生機「Stereo 192 DSD」を投入。DSDに関する豊富なノウハウに裏打ちされた、高い技術力や完成度が認められ、当時大いに人気を博したのでした。

そして2014年に日本国内で発売された、ハイエンド機の「Manhattan DAC」が、さらに同社の評価を高め、2015年、小型化を果たした「Brooklyn DAC」、そして昨年発売された後継機『 Manhattan II 』『 Brooklyn DAC+ 』は、デジタルオーディオの最先端を走るD/Aコンバーターとして、オーディオ評論家やオーディオファイルに高い評価を受けたのです。今回そこにエントリー機『 LIBERTY DAC 』が加わりました。

これらマイテックのD/Aコンバーター3機種には、MQAフルデコーダーが搭載されており、本家のメリディアンのハイエンド機以外では、今話題の"MQA-CD"をダイレクト(S/PDIFのデジタル入力)で再生できる、ほぼ唯一(2018年6月時点)の製品であり、デジタルオーディオの最先端を突っ走る製品群なのです。

なお、MQAフルデコーダー以外のMQA対応機としては、CDを一旦リッピングしてデータ化すれば再生できるD/Aコンバーターや、特殊なプレイソフト(Audirvana Plus3等)を使用すればMQAソフトが聴けるMQAレンダラー機能を持つ機器などが存在します。

MQAが初めて英国メリディアンから提唱されたのが2015年ですから、同年発売の「Brooklyn DAC」がすでにMQAを採用していたことによる、マイテックの先見性には驚きを隠せません。現時点でもMQA採用に二の足を踏んでいる国内メーカーの数年先を行っている感じです。

筆者は昨年自宅に『 Brooklyn DAC+ 』を導入し、すぐに"MQA-CD"の可能性を確信しました。配信によりダウンロードしたハイレゾ音源やストリーミング音源とは違う安定感のあるサウンド、SACDとは違う切れ味、厚み、そして存在感を伴ったサウンドに魅了されたのでした。そして何より、筆者を含め日本のオーディオファンは、形のあるソフトを好むことからも"MQA-CD"が大いに期待できるとの確信に至ったのです。

さらに業界には、MQAの音質上のメリットについて、「折りたたみ」そして「データ展開」こそが、LP再生のイコライジング「RIAAカーブ」にも通じることから、"MQA-CD"の特に低音の魅力がアナログ的と感じるのでは・・・との意見もあるくらいで、筆者もそう感じました。

それではマイテックのD/Aコンバーター3機種について順に見てまいります。


■ マイテックのD/Aコンバーター3機種に迫る!

【1】 『 LIBERTY DAC 』 (Blackのみ)

Libertydac_4 1/3ラックサイズの横幅140mmのコンパクトな筐体ですが、上位機と同様PCM:32bit/384kHz、DSD:11.2MHz(DSD256)に対応したUSB-DACです。DACチップにはESS Technology社の「ES9018K2M」を採用しています。複数のデジタル入力(USB2.0 Class2、AES / EBU、S / PDIF、Toslink)をもち、上位機同様のデジタル音量コントロール機能、RCAアンバランス音声出力と、TRSバランス出力(TRS→XLR変換プラグが必要、TRSはステレオ標準プラグと同型)を搭載。

ヘッドホンアンプにも、出力インピーダンスが低く強力な駆動力を持つ、3W/300mAの大出力アンプが驕られており、ヘッドホンユーザーをも十分満足させる仕様となっています。さらには前述のMQAフルデコーダーには認証済みのハードウエアを搭載しています。そしてこれもプロ機で鍛えられたマイテックならではの、低ノイズタイプの10psマスタークロック回路を搭載し、エントリー機と言えども手抜きは一切ありません。

【2】 『 Brooklyn DAC+ 』 (Black・Silver)

Brooklyndac 本機は、元々スタジオでのリファレンスとしての音質を備えたUSB-DACとして開発されました。そして同時に、ライン入力とフォノ入力を装備したアナログプリアンプとして、さらにリファレンス・ヘッドホンアンプとしても高い性能を追求したとしています。

DACチップには、ESS のハイエンドグレード「ES9028PRO」を採用。もちろん32bit/384kHzまでのPCMデータ、11.2MHzまでのDSDデータのネイティブ再生に対応しています。そして前述の通り認証取得済みのMQAフルデコーダーを内蔵しています。

クロックには、内部ジッター0.82psを誇る「マイテック フェムトクロック・ジェネレーター」を搭載しています。さらに、外部クロック用のワードクロック入出力まで装備する徹底ぶりです。しかし、余程高性能な外部クロックでないと必要ないレベルです。筆者も従来使っていた外部クロックを使っていません。クロック出力は本機複数台でのスタック用で、マルチチャンネル用とのことです。まさにプロの世界です。

入力は、USB2.0/USB Audio Class2、AES / EBU、S/PDIF同軸デジタル入力2系統、TOS光デジタル入力、さらに SDIF-3入力(DSD最高DSD256、S/PDIF1,2入力兼用)まで装備しており完璧です。そこにアナログRCA入力を1系統を装備しており、ラインレベル入力とフォノ入力(MM/MC対応)をリレーで切り換えできます。フォノ入力も手抜きはなく、高性能アナログ・イコライザー回路を搭載しており、十分なレベルの音質です。

そして本機のもう一つのメリットであるプリアンプ機能です。ボリューム回路はヘッドホン出力にも対応しており、アナログ式とデジタル式(32ビット)の2通りの1dB刻みのアッテネータの切り換えが可能です。もちろんアッテネーターの影響を受けないバイパスモードもあります。

出力はRCA出力1系統とXLRバランス出力1系統を装備しており、同時出力も可能です。筆者はアナログボリュームを使い、パワーアンプにバランスケーブルでダイレクトに繋いでいます。2系統のヘッドホンジャック(500mA, 6W、出力Imp.:0.5Ω)は、高い駆動力を必要とするバランス駆動のヘッドホン用に設計されています。

そのサウンドは、深く厚みのある低域、エネルギーに満ち溢れた中域、高域の圧倒的な情報量、厚みのある豊潤なサウンド、生音のような立ち上がりや響きを再現し、非常に説得力のあるものです。その高性能・多機能さは「新世代のUSB-DAC」だと思います。

【3】 『 Manhattan II 』 (Black・Silver・Gold)

Manhattandac マイテックのコンシューマー用としては最上位のD/Aコンバーターです。DACチップにはESSのフラッグシップDAC「ES9038PRO」が搭載。これに「マイテック フェムトクロック・ジェネレーター」と独自のジッター低減回路「C777クロッキングアーキテクチャ」を組み合わせることで、DACチップの真価を引き出したとしています。

また、筐体を大きくしたことから、アナログ段・デジタル段で電源トランスから独立した電源回路とすることで、ノイズとクロストークを徹底的に低減できたのです。アナログ入力は、RCAライン入力2系統、XLRバランス・ライン入力1系統と強化されています。もちろんMQAフルデコーダー、内蔵アッテネーターもアナログ式と32ビットデジタル式を搭載、MM/MC対応のフォノ入力も装備しています。

さらに、オプションカード(別売)の取り付けによるグレードアップが可能です。高性能フォノプリアンプにグレードアップできるMM/MC対応の、カスタム仕様ニッケルコア昇圧トランスを搭載した、高精度フォノアナログプリアンプカード。"ROON READY"ネットワークカードを加えることで、最大スループット24bit / 192kHzまでのPCMデータと2.8MHzまでのDSDデータのネイティブ再生に対応するネットワークプレーヤーにも変身させることができます。


■ 最後に
マイテックのD/Aコンバーター3機種こそ、プロの世界で鍛えられた多機能と高音質、そしてMQA対応をはじめとした先進性をも兼ね備えた、世界のデジタルオーディオの最先端を突っ走っているといえます。(あさやん)

※お詫び:自宅リファレンスのため、どうしても『 Brooklyn DAC+ 』の説明が長くなってしまいました。

2018年7月14日 (土)

"MQA-CD"特集 第一弾 ~画期的なフォーマットがハイエンドオーディオの世界を変える!? ~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、画期的なハイレゾ音源"MQA-CD"を取り上げます。"MQA"というフォーマットとは何かという解説と、既存のSACDやBD/DVDとは違う、"MQA-CD"最大のメリットを試聴結果とともにご紹介いたします。



■ 最初に

"MQA"とは《Master Quality Authenticated(マスター品質認証済み)》の略です。筆者がこの単語を初めて目にしたのは、今から約2年前の2016年の秋口のことで、クリプトンが小型高級アクティブ・スピーカー『 KS-9Multi 』を発表した際でした。その謳い文句には「今一部のオーディオメディアや、最先端を自認するオーディオファイルが注目する、最新配信フォーマット"MQA"に対応した世界初のスピーカーシステム」とありました。

しかし当時、筆者には"MQA"の理論的な話(折り紙理論など)をお聞きしても、全くちんぷんかんぷんであり、しかも当初は、配信フォーマットのみということもあって、正直あまり興味が湧かなかったというのが本音です。まずは、"MQA"とは何ぞや?から話を始めたいと思います。

■ "MQA"とは

ハイレゾという言葉が一般化してかなりの年月が経過しますが、ハイレゾ音源の品質を高めようとすればするほど、その音楽ファイル1件当たりのデータ量が、ギガビット単位で膨らんでしまいます。結果、オーディオ機器のストレージ領域やネットワーク再生時の通信容量・速度が問題になってきており、それらを節約する技術が求められていました。

そんな中、2014年に英国メリディアン社が"MQA"を発表したのでした。"MQA"はスタジオの感動をマスター品質のまま、リスナーの耳に届けるべく開発された「アナログ・トゥ・アナログ」の音楽再生プロセスです。そのベースになっているのは「カプセル化」と呼ばれる独自のエンコーディング技術です。

従来のアナログ音声のPCM化の際の問題点は、音楽信号波形の直前と直後に、必然的にリンギング(ノイズ)が発生してしまい、時間軸の「音ボケ」(過渡的な音に滲み)が生じることです。結果、一つ一つの音がどこから来ているのか、厳密には聞き取れなくなってしまいます。録音された音楽がライブと比べて、平坦に聞こえるのはこのためだと言います。

■ 「オーディオ折り紙」が「音ボケ」問題を解決
その「音ボケ」の解決のために"MQA"は、大容量の高解像度ファイルを扱いやすいサイズに、ロスレスで折りたたみます。これを折り紙に例えて「オーディオ折り紙」とも言われます。これによって、既存のプレイヤーでもCD以上の音質で再生でき、さらに"MQA"デコーダーや専用アプリがあれば、「オーディオ折り紙」を展開させて、臨場感に溢れるマスター・クオリティのサウンドを再現できるのです。これはあくまで「圧縮」ではなく「折り畳み」です。

具体的には、音楽を「0~24kHzまでの音楽信号」と「それよりも高周波な音楽信号」に分け、高周波な信号をまるで折り紙を折りたたむように、「0~24kHzまでの音楽信号」の中に、ある耳に聞こえないレベルのノイズ信号の中に移動させる、というイメージだそうです。これにより、192kHzのPCMデータが、48kHzのPCMデータ程度のサイズにカプセル化され、データレートは1Mbpsを少し超える程度になります。再生時には、ノイズの中から高周波を元に戻して再生するカタチだと言うことです。
※さらに詳しくはメリディアンHP( https://www.hires-music.jp/mqa/ )をご参照下さい。

■ "MQA-CD"の最大のメリット
"MQA"は、扱えるデータ量に限りがある環境下で、ハイレゾの高音質を維持しながら、ファイルサイズをWAVデータの数分の1程度に抑えられます。その"MQA"の保存や伝送が手軽という能力を存分に発揮するメリットを、既存のメディアで実用化したのが"MQA-CD"です。さらに"MQA"に対応していないCDプレーヤーやネットワークプレーヤーでデータを再生した場合もCD相当の音質ではありますが、そのまま再生が可能であるという互換性にも優れています。

すなわち、従来のCD製造時のプレス行程や、プレーヤーのドライブメカなどの基本的な部分を大きく変更することなく、あくまで通常CDとほとんど同じプロセスで、ハイレゾ音源を手にすることができるのです。これは実に画期的なことで、SACDやBD/DVDとは違う、"MQA-CD"の最大のメリットといえます。

■ ハイレゾ配信の"MQA"ソフトはすでに3000タイトル!
今回"MQA"の特集を組ませていただいたのには2つの理由があります。その1つが"MQA-CD"がユニバーサルミュージックから大量にリリースされたため。もう1つは、筆者のリファレンスD/Aコンバーターである『 Brooklyn DAC+ 』を含む、MQA完全対応のMytek Digital製品の輸入元が、従来の今井商事からエミライに変更になり、『 Brooklyn DAC+ 』と『 Manhattan DAC II 』に、よりリーズナブルな新製品『 Liberty DAC 』が加わったためです。

さらには、筆者が常用している『 Brooklyn DAC+ 』による"MQA-CD"のサウンドがあまりに素晴らしく、是非ともオーディオファイルの皆様に"MQA"の素晴らしさを知っていただきたく思ったからに他なりません。

そして、"MQA-CD"をそのままデジタル入力で楽しんでいただける"MQAデコーダー"を搭載した、Mytek Digital製品の他に、一旦"MQA-CD"をリッピングする必要はありますが、M2TECH『 Young III 』やCocktail Audio『 X45 』、ネットワーク経由で再生可能な機器ではLUMIN『 D2 』やTEAC『 NT-505 』、ESOTERIC『 N-01 』などがあります。

また、"MQAレンダラー"という"MQA"の直接デコードは出来ませんが、前段階の展開に対応した再生ソフトウエア(Audirvana Plus3以降やAmarra Luxe※なお6/1時点ではMacのみ対応)が必要ですが、iFi audioやaudioquestなどの製品があります。これら以外にも対応機が今後増えることは確実です。

現時点で、ハイレゾ配信の"MQA"ソフトはすでに3,000タイトルを数え、6月20日に大手レコード会社ユニバーサルミュージックから100タイトルの"MQA-CD"ソフトが発売されます。ジャンルはクラシック、ジャズ、ロック、ポピュラーと多岐に亘っています。

その「 ハイレゾCD 名盤シリーズ 」は"MQA-CD"と"UHQCD"という2つの仕様を併せ持ち、CDプレーヤーでは通常CDとして、"MQA"デコードに対応したDACにデジタル出力を繋ぐと24bit/352.8kHzのハイレゾ再生ができます。さらにCDプレーヤーの再生時にもUHQCDの長所だけでなく、"MQA"エンコードにより前述の通り、時間軸の「音ボケ」改善効果が得られるため、従来CDよりも高音質で楽しめるとしています。

その"MQA-CD"のサンプラー(音元出版オーディオアクセサリー誌169号付録)を筆者宅『 Brooklyn DAC+ 』と貸出機『 Young III 』で再生しました。

■ 試聴しました

CDプレーヤーのデジタル同軸出力を両機に繋ぎますと、『 Brooklyn DAC+ 』では24bit/352.8kHz、『 Young III 』では352.8kと表示されました。

サウンドは通常CDを大きく上回っており、試聴メモには、実にリアル、低域が深く沈む、音数が非常に多い、響きが豊か、ミュジシャンの気配さえを感じる、音像が立体的、楽器の一つ一つに実在感がある、Dレンジが広い、スケールが大きい、ホールの空調まで感じると、素晴らしいコメントが残っています。

一方『 Brooklyn DAC+ 』では"MQA"デコードをOFF出来るため、試してみると、OFFで再生しますとサウンドが全体に軽くなってしまい、左右のスピーカー間だけに集まり、奥行きは浅く、キメも粗くなった様に感じました。やはり44.1kHzの通常CDのサウンドとなってしまいました。


■ 最後に
このように"MQA"は、実感としてPCMの厚み・立体感とDSDの滑らかさ・音場感の"いいとこ取り"をしているとも感じました。

"MQA-CD"の素晴らしい可能性と簡便性を実感し、ハイエンドオーディオ界に新しいハイレゾ音源"MQA-CD"が普及することを大いに期待したいと思います。(あさやん)

2018年7月12日 (木)

ハイエンドオーディオに新たな息吹! M2TECH『 YOUNG MKIII 』 ~ イタリア発の革新的な超多機能USB-DAC&プリアンプ誕生 ~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、常に先を見据えた製品開発を続けるイタリア発のオーディオメーカーM2TECHより、超多機能USB-DAC&プリアンプ『 YOUNG MKIII 』をご紹介!





■ DDコンバーターで一躍有名に! イタリア発のオーディオメーカーM2TECH

M2TECH(エムツーテック)はPCオーディオ聡明期の2009年に、「HI-FACE」というDDコンバーターを発表して注目されるようになった、デジタルに特化したイタリア発のオーディオメーカーです。「HI-FACE」はPCのUSBスロットにそのまま挿せるUSBメモリサイズのDDコンバーターで当時大ヒットとなりました。

その後、2010年に据置型のUSB DAC「YOUNG」を発売、2014年に「YOUNG DSD」に進化したのでした。そして2017年末、今回取り上げます『 YOUNG MKIII 』となって登場したのです。前作「YOUNG DSD」の基礎設計を踏襲しつつ、DACチップには定評のあるTI「PCM1795」や、電子ボリュームなど、最新かつM2TECH独自のアイデアが多数盛り込まれて製品化されました。

■ 常に先を見据えた製品開発を続けるM2TECH

M2TECHは自社の使命を、「音楽再生方法におけるテクノロジーの内容と変化を考慮に入れながら、家庭での娯楽用の装置とソフトウェア・パッケージの形態で、新しい方法論で心地よく、簡単にオーディオ・コンテンツにアクセスできるようにすること、そして高品質な音楽探究の体験を保証する事」としています。

また同社は、重厚長大かつ高価格のハイエンド製品には一切手を染めず、ひたすらサイズ的にも価格的にも、海外製としては異例な程のリーズナブルで小型の製品を供給し続けており、前述の自社の使命に対する誇りを貫き通しているように見えます。

その結果、M2TECHは常に先を見据えた意欲的な製品開発を続けて来たのです。M2TECHの製品開発者のマルコ・マヌンタ氏は、これまで数多くのハイエンドブランドのデジタルモジュールの開発を手掛けて来ており、デジタルオーディオ界では大いに名を馳せた最重要人物だと言います。

「YOUNG」は2010年の発売時、当時一般的にはまだ24bit/96kHz対応が主流であった時期に、すでに32bit/384kHzに対応させており、市場では大きな驚きをもって迎えられました。これは8年経った今でもハイレゾ・オーディオとしてはトップクラスの仕様です。

当時のカタログには、「32/384のスペックを実現する録音機材はまだないが、24/192の楽曲を再生する際に、スペックが24/192のDACで再生するよりも、32/384のDACで再生した方が音が良いのは当然で、日進月歩で進化する今、32/384対応のADCが登場し、32/384で収録された楽曲が登場した時、24/192のDACでは音の良し悪し以前に再生することさえできなくなります。」としています。この同社の先見性には驚きです。

その8年前の予言通り、デジタル音源の移り変わりは非常に早く、様々なフォーマットや伝送方式が登場し、ユーザーにとってはもちろんメーカーにとっても混乱気味の昨今です。そんな中、M2TECHのもつ最先端のノウハウをつぎ込んで完成した『 YOUNG MKIII 』は、今後のハイレゾ・オーディオの指針ともなる製品と言えます。

■ 『 YOUNG MKIII 』のスペックとは
『 YOUNG MKIII 』のフロントのデザインは、前作「YOUNG DSD」に比べ筐体や表示機能が洗練され、かなり高級感を与えられています。スペックもDSDが5.6MHzから11.2MHz(DoPは5.6MHz)対応にグレードアップし、新たに同社としては初めてMQAにも対応しています。さらに伝送方式に高音質なapt-Xコーディングに対応したBluetooth機能まで装備しています。



もちろん、PCMは32bit/384kHzに対応しており、MQA-CDをリッピングしたソフト(※)の再生では、352.8kHz(44.1kHzの8倍)にデコードされ、実際に写真の様な表示となりました。DACチップはTI(バーブラウン)製の「PCM1795」でPCM/DSDともにネイティブで対応、電子ボリュームにはCirrus Logic「CS3318」を採用し、プリアンプとしても十分な実力を得ています。 (※CDプレーヤーからのデジタル接続でのMQA-CDの再生は出来ません。一旦リッピングしてのデータ化が必要です。)



USB以外のデジタル入力は、AES/EBU、RCA同軸(前作はBNCもあった)、TOS光を装備、RCAアナログ入力が1系統あります。アナログ出力はXLRバランスを1系統持っており、シングルエンド接続をするためのRCA変換アダプターも付属しています。また、出力電圧の上限を2つの数値に設定することが可能で、真空管(10Vrms設定を推奨)を含むいかなるパワーアンプでも最高出力を得られる設計となっています。もちろん同社のパワーアンプ「CROSBY」ともデザインを含めベストマッチングとなります。



少々難しくなりますが、回路的には前作の基礎設計を踏襲しており、入力信号のコントロール部にはXilinx FPGA(設計者が構成を設定できる集積回路)を使用。バッファー回路には、パッシブ・アンチエイリアスフィルター、I/V変換に伴うオフセット除去回路を採用するなどして、圧倒的に低いノイズフロアを実現できたとしています。


■ 試聴しました
『 YOUNG MKIII 』のサウンドと操作性は、筆者自宅で確認しました。バランス出力を直接パワーアンプに入れ、本機のボリュームを使って試聴しました。

横幅200mmとコンパクトですが、筐体がしっかりしているため見た目以上の重量感があります。デザインも奇をてらったものではなく、シンプルで好感が持てます。付属のリモコンは中型の多機能なもので、プリアンプ機能もリモコンで全て操作出来ます。特に本体のボリュームツマミが小さいためリモコンの方が操作は確実です。またプレイソフト「foobar2000」の選曲もこのリモコンで可能なことには驚きました。

サウンドは実にハリのある若々しいもので、脚色を一切感じさせない生々しさが一番の魅力です。中低域には弾力感があり、高域には爽やか感があります。音楽を十分に楽しませてくれる、明るさたっぷりのサウンドでした。

ボーカルはしっかり前に張り出し実在感があり、声の肉質感をしっかり再現してくれました。低音の伸びは標準的ですが、ここでもダンピングの効いた実在感を伴ったものでした。ギターやブラス楽器のキレが良くカラッと明瞭に再現してくれました。

そしてMQAソフトの再生は圧巻で、通常CDフォーマットとの差は歴然でした。伸びやかさ、密度感、低域の伸び、中域の滑らかさなどなど、全ての面で大きく上回っており、ハイレゾの素晴らしさを実感しました。DSDの滑らかな質感にPCMのしっかりしたサウンドが加わったレベルの非常に高いハイエンドの世界が展開されました。

さらに『 YOUNG MKIII 』は、スマートフォンやタブレットから高品質な音楽を直接ストリーミングすることができるBluetooth(※)レシーバーをも内蔵しており、従来からのワイヤード環境一辺倒のハイエンドオーディオの世界を、より柔軟にしていきたいと言うM2TECHの考え方が垣間見えるような気がします。 (※BluetoothもMQAも信号のやりとりは、M2TECHが得意とするPCMフォーマットで行うため、信号処理能力に対する信頼性は極めて高い。)

『 YOUNG MKIII 』は、最新かつM2TECH独自のアイデアがたっぷり盛り込まれた超多機能USB-DAC&プリアンプです。イタリアからの"ハイエンドオーディオの新たな息吹"を感じます。(あさやん)

2018年7月10日 (火)

アキュフェーズから、さらに頂点を極めた『 DP-750 』と『 T-1200 』が登場! ~ SACDプレーヤーにも、FMチューナーにもまだやることがあった?! ~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
日本のハイエンドオーディオ市場を引っ張り続けている、アキュフェーズ。国内同業他社が普及モデルを含めSACDプレーヤーや、チューナー市場から次々撤退していく中、オーディオファイル待望の一体型ハイエンドSACD/CDプレーヤーと、貴重なアナログソース源でもあるFM放送を高音質で提供するFM専用チューナーを発表しました。今回は、その『 DP-750 』と『 T-1200 』をご紹介いたします。





■ アキュフェーズ デジタル・ディスクプレーヤー『 DP-750 』

2013年発売の一体型SACD/CDプレーヤー「DP-720」の後継モデルで、ドライブメカニズムを従来のSONY製SACD対応メカに換えて、新開発メカ(基本メカはD&M製)を搭載。音質を大きく左右するDACチップには、従来のESS社製「ES9018S」から同じESS社製の「ES9028PRO」にグレードアップしたことが大きな変更点です。それでは詳しく見てまいりましょう。

【ドライブメカニズム】

新開発ドライブメカニズム

総重量10.5kgにも及ぶ重量級で、スピンドルモーターにアウターローター型ブラシレスDCモーターを採用。駆動には半導体素子を用いているため、機械的な接点がなく低振動と低騒音を実現できたとしています。これにより演奏時の動作音を従来機「DP-720」の半分(-6dB)に低減できたのです。これはオーディオリスニングにおいては非常に大きなメリットです。

SACDでの高速回転時の遠心力に耐えるように、極めて太く短い回転軸とすることで、芯振れによって起こる振動を低減。さらに回転時の偏心、偏重心、反りのあるディスクからの不安定な遠心力に耐えるべく、モーターを固定するシャーシを従来より高剛性のメタルシャーシとすることで、さらに振動を減衰できたのです。


弾性ダンパー

メカとシャーシの間には、高性能の弾性ダンパーにより防振(最大共振倍率を4dB低減)すると共に、メカを囲むブリッジを従来機より大きくすることで、空気を伝わる音波を遮断できたとしています。そして電源トランスで発生する振動(50Hz or 60Hz)がピックアップのアクチュエーターに伝わるのを防ぐため、防振ゴムを搭載して大きな効果を上げました。

これらのメカと筐体の徹底した振動対策が、自身の回転による振動はもちろん、外部の僅かな振動も受けにくくすることで、従来機からのグレードアップに大きく貢献しているのは間違いありません。

【D/Aコンバーター】

ES9028PRO

DACチップは、上級機「DC-950」に搭載されている「ES9038PRO」に迫る電気的性能をもつ「ES9028PRO」にバージョンアップ。これは同社としては初の採用となります。片方のch当たり8回路を並列駆動(DSD時はMDSD、PCM時はMDS+回路として動作)させています。スペック上は、S/Nが「DP-720」から1dBアップの120dB、高調波歪率も0.0001%アップの0.0005%としています。いずれも保証値で、数値は僅かですが効果は大きいものがあります。また、あえてES9038PROを採用しなかったのは、音質的な差がほとんどないことと、一体型プレーヤーでは発熱対策が難しいためとしています。

『 DP-750 』は従来機同様USB-DACとしての機能を持ち、USB入力を装備しています。最大PCM:384kHz-32bit、DSD:11.2MHz対応(従来機は192kHz-24bitのみでDSD非対応)と大幅にグレードアップして、最新フォーマットにも対応しています。これでPCオーディオにも万全の体制となりました。

また、ケーブル1本でSACD/CDの両信号を再生できる同社独自の「HS-LINK」はVer.2規格(PLLが不要で送信側のクロックに依存)の送受信に対応し、PCM:384kHz-32bit、DSD:5.6MHzのデータ伝送が可能になりました。そのデジタル・オーディオ・インターフェースICには、旭化成エレクトロニクスの「AK4118A」を採用。ジッター量を大幅に削減したマスタークロックを生成することで、DACの変換精度を改善しており、COAXIAL/OPTICAL入力時にも効果を発揮しています。

デジタル入力時にはサンプリング周波数とビット数が表示(「DP-720」はサンプリング周波数のみ)されるようになり、データディスクとしてDVD-R/-RWやDVD-R/-RWに記録したWAV、FLAC、DSF、DSDIFFのフォーマット、サンプリング周波数はPCM:192-24bit、DSD:2.8/5.6MHz(「DP-720」はDSF:2.8MHzのみ)までの音楽ファイルに対応し、用途が大きく広がったのです。これは新しいメカの採用が功を奏しています。

このように『 DP-750 』は、スピードの速いデジタルオーディオの5年間の進化を全て取り込み、完全に消化したSACD/CDプレーヤーで、今や貴重なディスク・ソースとなったSACDソフトからも最高水準のパフォーマンスを引き出す、“究極の一体型ハイエンド・デジタルディスクプレーヤー”の完成です。

■ 「DP-750」を試聴


右最下段が「DP-750」です。左中が「C-2850」。右中が「A-70」。右上が「DP-720」。

そのサウンドは、日本橋1ばん館で確認しました。

従来機「DP-720」では多少静的と感じたサウンドが、『 DP-750 』では、エネルギー感、躍動感を与えられ、立体感・奥行き感を伴ったリアルで伸び伸びとしたハリのあるサウンドに大きく変化していました。

特に音数の多さと中域の厚み・エナルギー感は、最近のアキュフェーズの高級アンプに見られる傾向とも合致しており、S/Nの良さとともにアキュフェーズの最新ノウハウが全てつぎ込まれていると感じました。

■ アキュフェーズ FM専用チューナー『 T-1200 』
アキュフェーズは創業時の1973年発売の「T-100」以来、絶えることなくチューナーを発売し続けており、特に「T-100」は創業者(高周波に強いトリオ出身)のノウハウをつぎ込み、当時としては超高額(135,000円)な製品でした。『 T-1200 』は2010年発売の「T-1100」以来実に8年ぶりの新製品で、ワイドFM(受信周波数上限:95.0MHz)に対応させています。

本機は最新の高周波テクノロジーと最先端のデジタル技術を融合し、かつての高級FMチューナーとは全く違うアプローチをしています。送信アンテナ近くで発生する大入力妨害と遠距離の微弱電波のいずれにも対処すべく「2段複同調構成」のフロントエンドとし、「ダブル・スーパー・ヘテロダイン」方式で中間周波数の信号を得ています。

ここからが本機の肝で、この信号をA/Dコンバーターでデジタル(PCM:48kHz-16bit)化し、DSPセクションに送られるのです。その後、混信に威力を発揮する「可変IF帯域フィルター」、都会で問題となるビルなどの反射波を軽減する「マルチパス・リダクション機能」などをDSPの領域で行うためS/Nも確保でき、かつてのFM受信時の難題を見事に解決してくれるのです。


リアパネル
リアパネル
最後がD/Aコンバーターで、各chにMDS(ΔΣ)方式のDAC回路が2系統用いられ、バランスとRCA端子から出力されます。D/A変換をせず同軸デジタル(S/PDIF)出力もあるため、他のD/Aコンバーターでも楽しめます。さらに従来機では10局だったステーションメモリー数を20局に倍増、電波の強弱やマルチパスのレベルをモニターするアナログメーターを装備するなど、"究極のFMチューナー"を完成させています。


レベルメーター

■ 最後に
FM放送をお聴きになるオーディオファイルが少なくなっているとは言うものの、NHK-FMでは貴重なソースが放送されることもあり、数少ないアナログソフトとして、まだまだオーディオファイルに楽しんでいただけると思います。

このようにSACDとFM放送という今となっては希少価値のあるソフトにも、価値を見出して新製品を出し続けてくれるアキュフェーズこそ"日本のオーディオ界の宝物"と言えるブランドではないでしょうか。(あさやん)

2018年7月 1日 (日)

ブライトーンの輸入品にはユニークなハイエンド製品が目白押し! ~ ブライトーン取り扱いブランド製品の掲載を再開しました

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
諸般の理由で長らく掲載を中止しておりました「Bright Tone(ブライトーン)」扱いの製品の掲載を復活致しましたので、新製品を中心にご紹介いたします。ブライトーンはネットオーディオからヘッドフォン、アクセサリー類まで幅広く輸入販売を行っています。
ブライトーンは実に多くのユニークなブランド製品を取り扱っていますが、今回はその第一弾として、最先端を走るネットワークプレーヤー関連『 LUMIN(ルーミン) 』『 SOtM(ソム) 』とオーディオアクセサリー関連の『 High Fidelity Cables(ハイフィディリティ・ケーブル) 』 の3ブランドを取り上げます。


■ LUMIN

香港に拠点を置くルーミンは、世界のネットワーク再生をリードしてきたブランドです。2014年の登場以来、ファームウェアのアップデートを重ね、様々な新機能を追加してきています。同社のネットワークプレーヤーはOpenHome※を経由せずに、「Lumin App」とダイレクトに通信できるため、超高速のレスポンス、安定した操作性、PCレスで即時反映できる環境設定機能を実現しています。(※UPnPをベースに構築されたネットワークオーディオのプラットフォームでDLNAの後継)


■ ルーミン ネットワークプレーヤー(シルバー) LUMIN D2-SILVER



■ ルーミン ネットワークプレーヤー(シルバー) LUMIN D2-BLACK



⇒ 同社の「D1」の後継機で、電源を内蔵(従来機は外部電源仕様)して基板レイアウトを見直し、筐体の幅が240mmから300mmに大きくなっています。DACチップは「D1」同様Wolfson「8741」をデュアルで使用しています。サウンドは厚く、熱く、前に張り出してくるエネルギー感の高いもので、濃密で分解能が高く音楽を十分楽しませてくれます。




■ ルーミン DSD256/MQA対応ネットワークトランスポート LUMIN U1-SILVER



■ ルーミン DSD256/MQA対応ネットワークトランスポート(ブラック)【受注発注品】 LUMIN U1-BLACK


⇒ デジタル出力に特化したネットワークトランスポートで、MQAとDSD256 11.2MHzに新たに対応しました。2つのUSB出力を含めた5種類のデジタル出力、ギガビットネットワークとUSBによる入力を装備し、高音質ストリーミングサービスのTidal、Qobuzにも ネイティブ対応したハイエンドオーディオ用ネットワークトランスポートです。



■ ルーミン ネットワークサーバー(NAS)【内部ストレージ:5TB HDD】 LUMIN L1-HDD5TB



■ ルーミン ネットワークサーバー(NAS)【内部ストレージ:960GB SSD】 LUMIN L1-SSD960GB


⇒ 従来、音楽データ保管にはPCまたはNASを必要としていました。本機があれば、シンプルにPCと接続してドラッグ&ドロップで曲を保存し、すぐにネットワークへ接続して、高音質な音楽を堪能できます。もちろん定評のある「Lumin App」との相性も十分考慮されています。対応フォーマットは、DSDは「DSF、DIFF、DoP」、PCMは「FLAC、Apple Lossless(ALAC)、WAV、AIFF」、LOSSYは「MP3、AAC(in M4A container)」です。

■ SOtM

ソムは、最先端のオーディオ技術を用いてSoul Of the Music(音楽の魂)を提供する気鋭のブランドです。音響PCパーツから最先端のデジタルオーディオまで取り扱っている韓国のメーカーです。従来からいち早くRoon対応機を出すなど、世界的にも最先端スペックのデジタル機器、先鋭的なUSB DACやDDCなどを送り出してきています。

■ ソム USBリジェネレーター《9Vスタンダード》SOtM tX-USBultra(9V)


⇒ デジタル再生において、クリティカルなUSB信号の生成と同期に着目し、定評のあるスーパークロック「sCLK-EX」でUSB信号をリジェネレート(再生成)します。入力はUSB-Bを1系統、出力はUSB-Aを2系統装備。トランスポートとなるパソコンやミュージックサーバーとUSB-DACの間に本機を割り込ませることで、クロックを打ち直し、ノイズキャンセルした後USBで出力されます。USB給電を切る機能もあり、USB伝送の根本的問題も解消します。S/Nが格段に向上しスピード感も圧倒的で改善効果は想像以上です。

※12V仕様や10MHzの外部マスタークロック対応モデル「tX-USB ultra + Clock」もオプションで用意されています。



■ ソム マスタークロック“sCLK-OCX10”SOtM SCLK-OCX10


⇒ 4系統に出力可能な10MHzマスタークロックジェネレーター。一般的な矩形のデジタル信号でのクロック信号ではなく、10MHzによるアナログ正弦波を生成することでノイズを抑制。全帯域で解像度やリアリティが向上し、機器のもつクォリティを確実に引き出すとともに、高音質でアナログライクなサウンドを実現します。



■ ソム ネットワークトランスポート(9V仕様)SOtM“sMS-200ultra” SMS-200ULTRA-9V


⇒ 従来機のUPnP、OpenHome、Roonと幅広い再生対応に加え、クロック(sCLK-EX)を強化し、Deezer HiFi、DSD 22.4MHz/PCM 768KHz 32bitにも対応したNAS機能付きオールインワン・ネットワークトランスポートのハイエンドカスタムモデルです。従来の小型ソース機器のサウンドの限界を超えた本格的ハイエンドサウンドを実現します。

■ High Fidelity Cables

米テキサスにあるハイエンド・アクセサリーブランドで、ケーブルの信号伝送に磁気伝導技術を採用する画期的な製品を提案しています。磁気を使うことで信号の品質を高めるというユニークな理論で、磁気フィールドを生成することで伝送ケーブルに流れる電子の流れを中心部に凝縮させ、歪みや干渉、損失を低減させると言います。

■ ハイフィディリティケーブル マグネチックアダプター(Magnetic Adapters)アナログ(RCA)信号の信号側(ソース側取付)用 (L+R)2個1組



■ ハイフィディリティケーブル マグネチックアダプター(Magnetic Adapters)アナログ(RCA)信号の出力側(アンプ側取付)用 (L+R)2個1組



■ ハイフィディリティケーブル マグネチックアダプター(Magnetic Adapters)デジタル信号の信号側(ソース側取付)用



■ ハイフィディリティケーブル マグネチックアダプター(Magnetic Adapters)デジタル信号の出力側(アンプ側取付)用


⇒ ケーブル伝送路には信号の電気フィールドと磁気フィールドが誘導された構造となっており、この磁気信号を磁性体でコントロールする仕組みが「磁気伝導」です。手持ちのケーブルに本機を指定の方向に取りつけるだけで磁気伝導技術の効果が得られると言う画期的製品で、お気に入りのケーブルに使用することで、高解像度で写実的な魅力が加わります。



■ ハイフィディリティケーブル マグネチックウェイブガイド【1個】


⇒ 本機を空いたコンセントに差し込むことで、音楽信号が劇的にクリーンかつクリアになり、 優れたダイナミクス、綿密な描写、音楽性を実現するとしています。一般のパワーコンディショナーと併用すればさらに効果的です。
なお本機は、効果を発揮するまでにしばらく時間を要します。通常のエージングと異なり、磁気フィールドが形成されて効果が出てきます。壁コンセントよりもなるべくシステムに近いところに複数挿した方が効果的です。50時間から効果が得られ1000時間までパフォーマンスが徐々に上がって行くとしています。 



■ ハイフィディリティケーブルズ ヘッドホンアクセサリー “トリニティ ゴー”


⇒ ヘッドフォン(イヤホン)とリスニングデバイスの間に取り付けるだけ(電源不要)で、磁気伝導技術の効果を得ることができます。本機には新しいコンパクトなウェイブガイドモジュールが組み込まれており、発生する磁気により音声信号の電子を導体の中心に引き寄せ信号をロスさせることなく伝達するとしています。軽く、持ち運びに便利なクリップも付属しており、DAPやスマホで音楽を最大限に楽しんでいただけます。


■ 最後に

以上のように、ブライトーンの輸入品にはオリジナリティ溢れたハイエンド製品が目白押しです。世界中からブライトーンが探してきたユニークな製品群は、他とは"目の付け所が違う"と感じました。今後の展開も大いに期待したいと思います。 (あさやん)

2018年6月21日 (木)

最近人気沸騰! ラックスマン・アキュフェーズのプリメインアンプ4機種 ~ 話題のオーディオアクセサリーを使って、その魅力をさらに引き出します ~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
ここの所、オーディオアクセサリーには話題の製品も多く活況を呈していますが、肝心のオーディオコンポーネント本体に目立った動きがありません。ただそんな中にあっても、オーディオ安定期によく見られる、オーディオの"要"であるアンプ、特にハイエンドクラスのプリメインアンプの引き合いが活発です。
そこで今回は、人気の高級プリメインアンプの魅力について、人気のオーディオアクセサリーの使いこなしを含めて、探っていきたいと思います。


■ 人気の高級プリメインアンプ4機種

■ ラックス プリメインアンプ ブラスターホワイト LUXMAN L-505uXII


高級プリメインアンプとしては、今や低価格の部類に入る20万円台です。本機は音とデザインでハイエンドっぽさを維持しつつ、コストを抑える事に成功したプリメインアンプです。しかし機能面での手抜きは一切見られず、トーンコントロールやMC/MMに対応したフォノイコライザー、バランス入力、ヘッドホン端子など充実した装備となっています。

特に音量調整には、同社のオリジナル方式の高純度電子制御アッテネーター「LECUA」が搭載され、従来は難しかった音質の変化を最小限に抑えつつ、スムーズでキメ細かな88ステップの音量調節が可能となっています。リモコンとの連動も果たしながら、従来型の摺動式ボリュームの直感的なフィーリングの操作感も実現しています。

そして、これもオリジナル技術の増幅無帰還回路「ODNF」の最新バージョンの4.0を搭載しており、歪みの低減や高域特性の改善を果たすとともに、低インピーダンス化と高S/N化を実現できたのです。電源部も540VAのEI型の大型の電源トランスと、10000μF×4本の大容量のブロックコンデンサーを組み合わせ、上級機並みに強化されています。

結果、パワー感のある厚めの低域、音の鮮度・透明度の高い中高域は魅力的で、音場も広がりがあり、スケール感や深み感が音楽のディテールの再現性をさらに向上させたと感じました。音色は暖色系の伝統的なラックストーンで、デジタルの分解能を重視した傾向が強い最新のアンプとは一味違う、音楽を楽しく聴かせてくれるタイプのアンプです。

【使いこなしⅠ】電源ケーブル Zonotone「6NPS-3.0 Meister-1.5M」

ダイナミックレンジが改善されエネルギー感が増します。たっぷり感が欲しい方におすすめです。

【使いこなしⅡ】制振アダプターFURUTECH「NCF Booster-Signal」

電源プラグはもちろんRCAプラグを支えるだけで、ヌケや歯切れが良くなります。



■ ラックス 純A級プリメインアンプ LUXMAN L-550AXII


現在、純A級プリメインアンプはいくつか存在しますが、いずれも50万円を超える高額な製品ばかりです。そんな中、唯一30万円台の製品が本機です。直系の上位機の「L-590AXII」や、セパレートアンプの開発で培われた、多くの技術やノウハウをフィードバックして完成したのです。

A級アンプは、クロスオーバー歪のないリニアな増幅特性が得られることから、アンプの動作方式としては理想的なのですが、大出力を得るのが難しく、無信号の状態でもバイアス電流を常にかけ続けるため、発熱や消費電力が大きく効率は良くありません。大出力のアンプを作ろうとすると、大規模なアンプとなってしまい実用的ではなくなります。

本機にもラックスマン独自技術の「ODNF Ver.4.0」、そしてLECUAは上位機「L-590AXII」と同等の最新バージョン「LECUA1000」を搭載。電源部もEI型電源トランスと、大容量ブロックコンデンサーを組み合わせたハイイナーシャ電源を搭載しています。ダンピングファクターも200とし、音声信号をスピーカーまで最適最短ルートで届けようとしています。

結果、滑らかで密度感のあるサウンドは純A級ならではのもので、ラックスマンのいう「浸透力(心に染みる)のある上質サウンド」であり、思わずその魅力的な音に引き込まれます。通常音量ではパワー不足は全く感じられませんし、純A級増幅方式ならではの艶と密度感のある音を獲得しながら、クラスを超えた解像力と表現力を実現できたのです。

【使いこなしⅠ】電源ケーブルACOUSTIC REVIVE「AC-2.0 TripleC」

エネルギッシュで高密度で高S/Nを実現。バランスの良いハイエンド・サウンドを実現。

【使いこなしⅡ】制振アダプターAiTEC「Λ8.24 The Professional」

劇的に静かになり透明度がアップ。余韻の再現性が向上し純A級アンプとの相性は抜群。



■ アキュフェーズ E-270


同社のアンプを含む全コンポーネントの中でも、最も低価格の製品であり、同社として入門機的扱いになってしまいますが、どうしてどうして手抜きなど一切見られません。アキュフェーズの会社としての生真面目さが全てに表れています。上位機種「E-600」と同等の性能を有し、音楽の持つ個性や優れた潜在能力を引き出すアンプを目指しています。

本機の最大の売りは、同社のオリジナル技術の「AAVA方式ボリューム・コントロール」で、可変抵抗体を使用しないためノイズの発生が無く、インピーダンス変化の影響もありません。全てが電子回路で構成されているので、長期に亘り信頼性に優れ、高S/N、低歪率を実現でき、音量による音質変化がほとんどないという理想のボリュームです。

さらに、これもオリジナルの「インスツルメンテーション・アンプ」構成によりパワーアンプをバランス伝送化し、機器内で発生する雑音除去や低歪率を実現し、安定性・信頼性を実現しています。大電力オーディオ用パワートランジスターをパラレルPP構成とし、大型ヒートシンクによる効率的な放熱により、90W/ch(8Ω)の大出力を叩き出します。

過去の同社製品に若干感じた、静的で几帳面なサウンドとは少し異なり、音楽の躍動感がグイグイ伝わってくるダイナミックで音楽的なものです。とにかく曲中の音のない‘間’の部分が実に静かで、S/Nの良さを実感させられます。同社のハイエンド機に通じるサウンドで、空気感までも再現されていることは、このクラスのアンプでは驚異です。

【使いこなしⅠ】ケーブルインシュレーターKRYNA「Helca1」

電源ケーブルやラインケーブルに使うことで、さらにS/Nが向上し生命力が加わります。

【使いこなしⅡ】仮想アースシステムKOJO「Force bar EP」

従来聴き取れなかった微妙なニュアンスも再現。クリアでクッキリ・サウンドになります。



■ アキュフェーズ E-370


同社の中心的な存在のプリメインアンプで、その歴史は古く、バブル期1987年発売の「E-305」まで遡ります。最高峰「E-600」やハイパワーの上位機「E-470」などで培った高度な設計テクノロジーを結集して、セパレートアンプ並の音質とパワーを両立するため、プリ部ではボリューム回路、パワー部を全段バランス化に注力したプリメインアンプです。

パワーアンプ部には、高域の位相特性や音質に優れたカレント・フィードバック増幅回路を搭載、帰還回路の低インピーダンス化により従来比1dBの低雑音化を実現。強力パラレル・プッシュプルのパワーアンプは100W/ch(8Ω)を実感。さらにアンプの出力インピーダンスを下げ、ダンピングファクター400以上を保証しています。

これらの結果、プリメインアンプとしては異例な程の低雑音と、スピーカーの駆動力を実現。こだわりは「ねちっこい」ボリューム・フィーリングにも及び、ロジック式の信号切替により信号経路を最短化、大型電源トランス、大容量電解コンデンサーを搭載した電源など、プリメインアンプとしては十分過ぎるほどのスペックとなったのです。

大出力アンプにありがちなゴリゴリ感や、馬力一辺倒のそれではなく、スピード感のある立ち上がりの良さ、クリアで鮮度感のある充実したダイナミックなサウンドです。しかし同時に、S/Nの良さから来る静けさ、ワイドレンジ、量感とハイエンドサウンドに要求される安定したピラミッドバランスを実現出来ています。まさにセパレートアンプの世界です。

【使いこなしⅠ】電源ノイズクリーナーiFi-Audio「iPurifier AC」

空いた壁コンセントや、タップに挿し込むことで、S/Nが高くなり、分解能や音場の透明度が向上。

【使いこなしⅡ】電源ボックスACOUSTIC REVIVE「YTP-4R」

内部配線にPC-TripleC単線を使用。締まりの良い低音、解像度の高い中高域を実現。



■ 最後に

ハイエンド・プリメインアンプは「生かすも殺すも、オーディオアクセサリー次第」です。ここに取り上げたアクセサリー達は、比較的リーズナブルで効果の大きい製品ばかりです。

ただこれらは、ほんの一例をご紹介させていただいたに過ぎず、まだまだ筆者がご紹介したいアクセサリーは沢山あるのですが、それは今後このコーナーで順次ご紹介させていただきます。ぜひご期待下さい。(あさやん)

2018年5月25日 (金)

一歩先行く!“ ハイエンド・電源対策アクセサリー BEST 5 ”


ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" で す。
オーディオシステムを最大限活かすためには、「電源供給経路の最適化」が最も重要です。今回は、筆者が選 ぶ電源対策が可能なアクセサリーBEST5をご紹介いたします。いずれもオーディオコンポーネント並に高価ではあります が、それらを入れ替える以上に効果のあるものばかりです。ぜひ、一度思い切ってチャレンジされてみてはいかがでし ょうか。



■ 電源対策で機器の能力を最大限発 揮!

高級オーディオシステムでは一応 そのままでも、あくまで構成するコンポーネントの基本的な性能の範囲内の音ではありますが、それなりに楽しむこと はできます。そしてオーディオアクセサリーの有用性を理解しようとされない一部の方は、これで十分と考えられてい ます。しかしそれでは非常にもったいない話です。恐らく機器の持つ真価の何割かしか発揮されていないのではないで しょうか。

それらを生かすオーディオアクセサリーの中でも特に「電源供給経路の最適化」が最も重要です。 文字通りオーディオシステムにエネルギーを供給する源(みなもと)は電源です。マイ電柱(オーディオ専用の電柱)を 建てられた一部の超マニアを除き、一般的には、オーディオの電源経路は分電盤の出力ケーブルから始まり、屋内配線 、壁コンセント、電源ケーブル、電源タップ(BOX)、そして機器に直結されるケーブルで構成されています。

そして日本国内で特に電源を重要視しなければならない理由がもう一つあるのです。日本では一般的には「単相三線式 」を基本に安定した高品位な電源が供給されています。ただし住宅用の単相電圧は、世界的に見ると今や非常に珍しい 100Vという低い電圧で供給されています。さらに電源周波数も50Hzと60Hzが併存している点も非常に異色です。

この結果、機器の消費電力が同じ場合には、機器が必要とする消費電流が多くなってしまうため、より電源環 境による影響を受けやすくなってしまうのです(例えば230Vの機器の場合、100Vの機器の半分以下の電流量で済む)。 さらには、古い家屋の一部にはまだ単相二線式も残っている上、一般家庭の殆どは本格的なアース(大地アース)も取 られていません。

過去に度々このコーナーで述べていますように、電源経路を強化することで、機器の能力を 最大限発揮できるのはもちろんのこと、近年特に問題となってきている、電磁波や静電気の影響からの回避、電源経路 の振動対策、さらには電源アース対策に至るまで、我々ができる電源対策はまだまだ沢山あるのです。

電源ケ ーブルの交換は、今や常識となりつつありますし、壁コンセントから直接電源を取るより、電源タップ(BOX)を経由す る方が音が良いと言うのも今や常識です。そんな中でも壁コンセントの交換、屋内配線材の変更、本格的なアース工事 などは工事業者に依頼しなければなりません。しかし今回はコストは掛かりますが、ご自身でも十分な電源対策が可能 なアクセサリー5種をご紹介します。

いずれも、筆者が考える【絶対失敗しない】オーディオアクセサリーばか りです。



■ 電源対策アクセサリーBEST 5

■ 中村製作所 《電源雑音軽減機(床据置型)》 
電源タップ(出力アナログ用・デジタル用 合計7口/黒クローム・サイドパネル)
NS 『NXP-001SE-BLACK』


中村製作所の床据 え置き型「NXP-001」、壁コンセント直接接続型「NXP-001V」からなる、電源タップ「NXP-001」シリーズのSE(スペシ ャル・エディション)バージョンです。外観全体を高級感のある梨地黒焼付塗装とし、特殊金属製ベースボード・制振 側面パネル・高さ調整可能な特殊金属フットなど大幅に強化されており、重量もオリジナルの約3倍の1.8kgになってい ます。サイドパネルのメッキ処理は金メッキ・クロームメッキ・黒クロームの3種類から選択可能です。

本シリ ーズに搭載されている「角形アモルメットコア」のメリットは、通常のトロイダルのドーナツ型に対し、コイルの「整 列密巻き」が可能なため、漏れ磁束がほとんどゼロとなり、電源雑音を強力に吸収すると言います。結果、音質面・特 性面・安全面・省スペース面で、より高効率な電源対策が実現できたのです。

自宅USB-DACでの試聴では、音場 が広々と感じられ、音楽のスケール自体が大きくなりました。音質は全体的にふくよかになり、デジタル音源とは思え ない程音に厚みが出てきたのです。高域の情報量もハイレゾ音源ならではの伸びやかさ、微細な部分も聴きとれるよう になりました。これはS/Nの向上が大きく効いた結果だと感じました。自宅の電源環境が悪いと感じていらっしゃるオー ディオファイルに一押しの、アモルメットの効果を最大限生かした電源タップです。



■ 中村製作所 超大型ノイズ吸収リングコア【サウンドエンハンサー 】
Amormet(アモルメット・コア) 『NSSE-01B』


中村製作所が2年前に開発・発売した、トロイダル構造のア モルメットを使ったオーディオ用のノイズフィルター「アモルメットコア」は、音質面での副作用が極めて少ないとい うことで、今も大ヒットを続けています。それは、一度お使いになると効果を実感され、結果リピーターがどんどん増 えているためでもあります。ただ、従来のアモルメットコアでは、市販の大型プラグ付きの電源ケーブルは太すぎて、 そのままでは使えませんでした。

本機は、巨大なアモルメットコア(外径70mm、穴径43mm)を内部に搭載し、重 量のある40mm厚の削り出しアルミブロックを2枚合わせて成型された超弩級バージョンです。付属の台座も床面からの振 動対策として、音響的に選び抜いた木材が使われています。その効果はこれまでのアモルメットコアと同様で、サウン ド全体がナチュラルで、輪郭鮮明・繊細、歪みを感じさせないクリアなものになります。

また、低音の伸びも 明らかに向上しており、押し出し感も強力になっており、特に電源ケーブルでは顕著でした。 電源を含めて、高周波ノ イズがいかに再生音に"悪さ"をしていたか、改めて思い知らされました。市販の電源ケーブルを分解することを躊躇さ れていたオーディオファイルや、アモルメットコアの効果をスピーカーケーブル(左右のスピーカーケーブル2本同時な ど)にも活かしてみたかった方にもお勧めです。



■ アコースティックリバイブ 電源コンディショナー
ACOUSTIC REVIVE 『RPC-1』


本機は、赤外線マウスの発明者である故・柴田潤氏のアイデアをHWTとアコースティックリバ イブの共同研究によって発展、製品化させたもので、内部の特殊コイルの組み合わせによる独自の回路設計により、電 源経路に乗る超高周波ノイズの除去だけを行うという製品です。

本機には、コンデンサーや抵抗などのパーツ 類は一切使用されていないため、エネルギーのロスが一切ありません。この結果、従来の直列型(挿入タイプ)や並列 型(吸収 タイプ)を問わず、ノイズフィルターの使用時に感じることのあった、ある種の色づけやエネルギー感の後退 、音像が痩せてしまうような副作用が一切ありません。一方でS/N感や透明度が向上するという、通常は相反する要素を 両立させている画期的な製品です。

自宅壁コンセントに本機を繋いだ途端、再生音にまとわりついていた僅か なザワザワ感が払拭され、中高域が非常に滑らかになりました。さらに顕著であったのは低域が深々と沈み、お腹に響 く様なぶ厚い重低音が感じられる様になったのでした。これまでスピーカーの置き場所や置き方を替えたり、アンプを 交換しても実現できなかった、実にリアルな低音が実現したのです。

ハイレゾのデジタル音源でも、全体に一 本芯の通った音離れの良いサウンドになり、よく言われるデジタル臭さが明らかに改善できたのです。 これは超高周波 ノイズに的を絞った電源対策の大発見であり、副作用がないどころか、従来どうしても叶わなかった音質改善効果を実 現した画期的な電源アイテムです。



■ テロス アクティブアース発生器【GNR Mini 3.1】
TELOS Audio 『Design Grounding Noise Reducer Mini 3.1』


本機は、市場にあるパッシブタイプの「仮想アース」と同様、 オーディオ機器のシャーシアースに1本の付属ケーブルで接続する機器です。これによりオーディオシステム全体のアー ス電位をほぼ0Vにできると言います。従来の「仮想アース」では、音質の変化はあるもののアース電位の変化は殆どな いことから、これだけでもテロスの凄さに驚かされます(0Vに近いかはiFi-AudioのAC電源用アクティブ・ノイズクリ ーナー「iPurifierAC」で確認可能)。

一般的にオーディオ機器の増幅回路は、基準電圧(0V)を前提に設計さ れています。しかし機器を電源に接続するだけで、機器自体がそれぞれ違う電位を持ってしまいます。さらに、これら をラインケーブルで接続すると、平均化されて共通したある電位となってしまい、結局基準電位とは違う電位でオーデ ィオ機器が動作することになります。これまでは、この問題の解決策は本格的な「大地アース」の設置しかなかったの です。

自宅リスニングルームでの使用では、空間が澄みわたり、楽器の前後感がはっきりし、楽器が実在する かのようなリアル感でした。ベースの吹き出し感に圧倒され、分解能の良い低域がググッと下まで伸びきったのです。 ボーカルと楽器の掛け合いでは、さらにボーカルが前に出て来て、楽器はその後ろにと、はっきり確認出来る程リアル でした。従来は楽器と重なって多少邪魔されてぎみだったボーカルが、すっきり前に出て来たのです。

楽器の 立ち上がりが良くなり、ベースが出しゃばることなくクッキリ分離し、低音がズシンと響くのです。スピード感のある 楽しいサウンドになりました。

効果は予想を遙かに超えるもので、機器のシャーシ電位が下がることで、信号 電圧とアース電位の差が大きくなり、エネルギーロスがなくなることが、大きく貢献しているのではないかと考えられ ます。今さらながら、こんな所にも信号ロスがあったのかと思い知らされます。



■ アコースティックリバイブ 3P-6口電源ボックス
ACOUSTIC REVIVE 『RTP-6 ABSOLUTE』


フルテックとの間で共同開発された、世界で初めて電極に純銅が使用された「GTX-D NCF (R)」を採用しています。本来コンセントの電極部はバネの特性が必要となるため、純銅を使用できず、どうしても音質 は低下していました。しかし本機では、ステンレス製の加圧バネで電極を保持することで、長期間の安定と通常の電極 素材を上回る保持力が得られたのです。差し込んだ際の感触は実にスムーズで気持ちの良いものです。

純銅の 導電率を100%とした場合、導電率が最も高いといわれている電極素材であるベリリウム銅でさえ53%しかないとのことで す。この差は非常に大きいと言わざるを得ません。さらに、電極部分は-196度での超低温処理を施されており、導通特 性はかつてなかったレベルに達しているのです。

コンセントボディーには、フルテックの新製品の壁コンセン トやプラグで使用され、既にオーディオファンの間で評判となっている特殊素材「NCF(ナノクリスタルフォーミュラ) 」を採用しています。これまでの制振効果に加え、コンセント自体の帯電を防止することで、ノイズの発生を抑え、静 寂感がさらに向上し、音の濁りがなくなることで、埋もれていた微妙なニュアンスまで再現できるといいます。まさに 、最先端のハイテク音響用コンセントです。

音質はとにかく静かで、透明度が半端でないほど向上し、立ち上 がりも素晴らしく、非常に純度の高いサウンドです。音源を丁寧に生々しく描き、中低域の充実、低域はさらに下に伸 びきったのです。従来の電源タップでは、電源供給の何処かにロスがあったのだと改めて思い知らされ、明らかにシス テム全体がグレードアップしたのを感じました。『 RTP absoluteシリーズ 』こそ、再生音にプラスになることは全て やり尽くした電源タップで、それは明らかにクリーン電源やアイソレーショントランスをも上回る鮮度を実現したので す。


■ 最後に

電源事情は、それぞれの住環境によって全く違います。しかしオーディオシステム の「音」の源は自宅に給電されている商用電流です。音楽はその商用電流を加工した結果であり、電源を強化すること が、やはり良い音を得られる最短ルートなのです。

筆者の考えとしては、やはりお金を掛けるなら電源対策が 最も確実で"失敗しない"方法です。電源の高周波ノイズ対策とアース対策こそが、間違いなく今後のオーディオの主要 テーマになると思います。オーディオ界の流れより一歩先を進んでみてはいかがですか。(あさやん)


2018年5月20日 (日)

【伝説が再び。。。】STAXのフラッグシップイヤースピーカー"SR-009S"のご案内です!


みな様、こんにちは!
夏本番!ともいえる気温が続き早くも夏バテの様子を見せているとうふです。

さて、それでは今回ご案内の製品はこちら!

スタックス
最高峰・イヤースピーカー
SR-009S


スタックス、といえば
"ヘッドホン"ではなく、イヤースピーカー。
こだわり抜いた素材と仕上げ、そして"スタックスでないと味わえない表現"で国内外に熱烈なファンを持つメーカーです。

今年で創業80年を迎え、限定モデルも発表(既に完売です)。
そしてさらに今回フラッグシップモデルSR-009に更に改良を施した新モデルが発表されたのです!
※なお、SR-009は今後も生産を続けるとの事です。

さて、前モデル"SR-009"といえば、2011年4月に発売
繊細で緻密1つ1つの音を丁寧に丁寧に表現してくれるスタックスのイヤースピーカーは
低域の耳あたりも非常に優しく、よく言えば"上品な低域"、わるく言えば不足感は否めないともいえました。
しかし、【SR-009】はそれまでの"スタックスの低域"と言うイメージを完全に覆し、
"スタックスならではの高反応な低域"にパンチの効いたエネルギッシュな表情が加わり、まさに死角なし!ともいえる完成度に至ったのです。
ハイエンドヘッドホンを楽しんでいたユーザーも【SR-009】の表現力に魅せられ、スタックスを導入される方も多数いらっしゃいました。

そして2018年。。。7年の時を経て改良モデルとしてこの【SR-009S】が登場

「超」微に入り、「超」細を穿って、「仕立て」の極上を目指した。

とカタログに記載しているように、メーカーのこだわりの極地に仕上げているようです。

今回機会があり、視聴する事ができましたので簡単な感想を。

非常に滑らかかつ広がりのある表現はスタックスならでは
包み込まれるようなスケール感のある表現と独特の空気感は、弦楽器の繊細で高反応な音を見事に再現します。
低域もあえてハードロックを鳴らしてみましたが、ズンッと響く低域と打楽器の高反応な低域を見事に両立。
【SR-009】の低域表現力が少し粗いように感じてしまう程の上質サウンド

全ての部材にこだわり、職人が一つ一つ仕上げる職人魂の集大成
スタックスのフラッグシップモデルに相応しい、最上のひと時を楽しめました

なお、ひと月の生産量が限られており、今ご注文いただくと9月上旬頃のお届けとなってしまいます
しかし、お待ち頂いても必ずご満足頂けるであろう、圧巻の表現力。

イヤースピーカーの極地ともいえる必聴のモデルとしてお薦めです。

それではいつもお買い得な「Joshin Web」でお待ちしております。

2018年5月19日 (土)

懐かしい! あのモニタースピーカー『 LS3/5a 』をファルコン・アコースティックスが復元!!

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、ファルコン・アコースティックス社が復元したモニタースピーカー『 LS3/5a 』を取り上げます! 単なる復刻版ではない、オリジナルの再生産とも言える本物の銘機の登場です。日本橋1ばん館での試聴内容もレポートいたします。





■ 放送用スピーチモニター『 LS3/5a 』

英国BBCモニターとして有名な『 LS3/5a 』は、放送用スピーチモニターとしてスペンサー・ヒューズ(スペンドール創業者)がBBC在籍中に基本設計したもので、1975年頃からロジャースをはじめスペンドール、チャートウェル、ハーベス、KEFなどがBBCとライセンス契約を交わして、同じ型番で各社から発売された珍しいスピーカーです。

BBCのモニタースピーカーの型番には必ず「LS」が付いています。これは「Loudspeaker」を意味し、BBCのモニタースピーカーの規格名です。「LS」の次の数字は用途、「/」(スラッシュ)の次の数字は開発順を表しています。ちなみに、LS3はスタジオ用小型モニターのことで、『 LS3/5a 』は小型で5番目に開発されたモニタースピーカーの規格ということになります。

『 LS3/5a 』は超小型の移動用モニタースピーカーで、ユニットには有名なKEFの「B110」と「T27」が使われていました。箱の規格とユニットは決められてはいるものの、内部のネットワークは各社で少しずつ違いがあり、実際音も少しずつ違っていました。

今回ご紹介します『 LS3/5a 』は、ファルコン・アコースティックス社のモデルで、オリジナルの『 LS3/5a 』を"忠実"に復元したものです。

■ ファルコン・アコースティックス社が復元! 本物の銘機『 LS3/5a 』

ファルコン・アコースティックス(Falcon Acoustics)社は、1972年、マルコム・ジョーンズ氏が「ファルコン・エレクトロニクス」として創業したと言いますから、結構歴史のあるメーカーです。元々はDIY用としてのコイルや、ドライバーユニットなどのオーディオパーツの製造・販売を行うとともに、メーカーへのOEM供給も行っていたと言います。


そのマルコム氏は、KEF社(1961年創立)の最初期のエンジニアで、KEFのドライバーユニットの殆どの設計や開発に関わっていたようです。 もちろん今回取り上げた『 LS3/5a 』のオリジナルモデルにも採用された138mm(ロジャースは10cmと表記)、ウーファー「B110」(業界初のベックストレン・コーンを使用)、ツイーター「T27」(メリネックス・ダイヤフラムを用いた19mmの半球ドーム型)もそうです。いずれも1967年に発表されています。

ファルコン・アコースティックスの『 LS3/5a 』は、本来の開発者であるマルコム氏の設計で、オリジナルと同じ「B110」「T27」を用い、いずれもオリジナル通りの15Ω仕様としています。またクロスオーバーネットワークもBBC仕様によるクロスオーバー3kHzの「FL6/23」で、これにもオリジナル仕様の特性を持つトランスを搭載しているとのことです。さらにエンクロージャーもBBC仕様のバーチ合板やビーチ材を使い、天然木による突板仕上げとしています。容量はオリジナル通りもちろん5.5リットルです。

このように、ファルコン・アコースティックスの『 LS3/5a 』は、単なる復刻版や複製品ではなく、オリジナルの再生産とも言える、まさに『 LS3/5a 』の"復元"なのです。過去に何度か復刻された『 LS3/5a 』とは全く違う、1970年に時空を超えてタイムスリップしたとも言える本物の銘機『 LS3/5a 』なのです。

■ 試聴しました
試聴は日本橋1ばん館で行いました。試聴にはSACD/CDプレーヤーDENON「DCD-SX1」、プリメインアンプAccuphase「E-650」を使用しました。


写真右がファルコン・アコースティックス『 LS3/5a 』、左がHARBETH「HL-COMPACT7ES-3」です。価格はほぼ同じではありますが、大きさにはかなり違いがあります。しかし、しかし『 LS3/5a 』を一度聴いてしまうと、その大きさからは想像できない、素晴らしい可能性を秘めていました。

試聴を始めてまず『 LS3/5a 』の説得力のあるサウンドに魅せられてしまいました。まさに数十年前聴き込んだ(筆者は一時期ロジャース製を所有)あの『 LS3/5a 』そのものでした。ただ当時と現時点との違いは、日本を代表する最新のオーディオ機器で『 LS3/5a 』をドライブしている点です。しかしそれだけではありません。このファルコン・アコースティックスの『 LS3/5a 』が、最新機器を使うことで新たなパフォーマンスを発揮できたのだと思います。

筆者のリファレンスCD「ink/Livingston Taylor」では、冒頭の口笛のヌケの良さには感服しました。大型システムでは絶対不可能な実物大の口がそこにありました。その後の男声ボーカルは落ち着きのある渋い声で、リラックスした安定感を感じました。

同じく「The Hunter/Jennifer Warnes」の女声ボーカルは艶やか、かつ自然なもので、等身大で生身の人間を感じました。バックの演奏の低音も十分で、アコースティック楽器は実にリアルな鳴り方をしました。

TBM(three Blind mice)のジャズは、時代を感じさせない新鮮さで、低域はスピーカーの大きさからは予想を裏切る程に沈み込み、中高域の歯切れも鮮やかで、想像以上のスケール感が出たのには驚きです。通常きつく感じる部分も、うるさくなる寸前で上手くまとめて聴かせてくれました。粒立ちの良いピアノ、ドラムのキレの良さもサイズを感じさせませんでした。

小編成のクラシックではサウンドステージの奥行きが深く感じられ、弦楽器には木質感や樹脂の艶っぽさ、ピアノはバランスが良くコロコロと小気味良く、まろやかで硬さはどこにも感じませんでした。人工的な強調感や詰まった息苦しさは皆無でした。いつまでも聴いていられるリラックスできるサウンドでした。

オーケストラもかなり音量を上げても崩れることはなく、腰のある粘り気を感じさせ、十分説得力のあるサウンドでした。合奏時の楽器の分離も明確で、ちゃんとそれぞれ分離されて出てきたのは驚きです。

試聴に際して、筆者は久々に時間の許す限り、次から次へと手持ちCDソフトを聴いてしまいました。最新のA級アンプでドライブする『 LS3/5a 』は、数十年前には実現不可能なパフォーマンスを発揮したのでした。


■ 最後に
懐かしさはもちろんですが、この『 LS3/5a 』の実力に、筆者の再び本機を"所有したい感"が沸々と沸き上がってくるのを感じました。

このファルコン・アコースティックスの『 LS3/5a 』こそ、単なる"復活"ではなく、まさに銘機の"復元"でした。(あさやん)


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