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2019年7月11日 (木)

ミニコンポを超えたミニコンポ!! marantz『 M-CR612 』ヒットの理由とは?!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。

今回、このコラムでは初めてピックアップするCDレシーバー、しかもミニコンポサイズのmarantz『 M-CR612 』をレポートします。その理由はズバリ、予想以上の人気に驚いたからで、これほどのヒットになるとは2019年3月末の製品発表時点では予想できなかったためです。急遽、ジョーシン日本橋1ばん館にて試聴しました。


■ marantzのミニコンポサイズCDレシーバー
marantzのミニコンポサイズCDレシーバーは、2009年発売の「M-CR502」、2010年の「M-CR603」、2013年の「M-CR610」、2015年の「M-CR611」と続き、今回の『 M-CR612 』で5世代目となります。


▲ 初代機「M-CR502」

初代機「M-CR502」も今と同じ横幅28cmで、その製品コンセプトは、小型スピーカーと組み合わせるミニコンポ用のCD/FMチューナー内蔵アンプというものでした。

そして初代機から、ラウンドフォルムのユーロモダンデザイン、1台でバイアンプ可能な4chデジタルパワーアンプ、2系統のスピーカーターミナル装備、単品CDプレーヤーと同一のメカ搭載、USB入力端子搭載 、そして定格出力50W+50Wというスペックでした。さらに「M-CR603」からはネットワークやBluetoothにも対応したのでした。

しかし、我々オーディオファン、特に単品コンポユーザーにとっては、ミニコンポは歩んできた通過点であり、「今さら何故ここで取り上げるの?」と疑問を持たれるのは当然だと思います。しかも、ミニコンポと聞くだけで、どうしてもドンシャリの若者向けの派手なサウンドやペラペラの薄べったいサウンドをイメージしてしまいます。

ただ、初代機の企画段階では、marantzは元々他のオーディオメーカーと違い、ミニコンポにはあまり強くなく、ミニコンポサイズの製品を商品化するにあたっては、同社が持つ単品コンポのノウハウを生かして、真面目にひたすら音の作り込みを行うしかなかったのでした。勿論当時は、さほど売れるとも考えてなかったようですが・・・。

それがステレオコンポなのに、4chデジタルアンプを搭載したバイアンプ駆動(※)という仕様というレシーバーでした。発売後徐々にではありますが、ミニコンポ売場にちょっとまともな音のするレシーバーがあると、音の分かる一部のユーザーには目を付けられていたようです。
※バイアンプ駆動:2ウェイスピーカーのウーファーとツイーターを別々のアンプでドライブすること

しかも思いも寄らないことが海外で起きたのです。ヨーロッパではmarantzブランド製品は、販売ルートの関係で、家電店ではなくオーディオ専門店で展開されており、「M-CR502」もそうだったようです。そこで、耳の肥えた販売員がその音質の良さに目を付け、そこから快進撃が始まったそうです。その噂が日本にも聞こえて来るにつれ、人気が高まっていったのです。

そして『 M-CR612 』の前作に当たる「M-CR611」は、発売当初からこのクラスとしては異例のヒットを続け、惜しまれつつも今春生産終了を迎えてしまったのでした。その大ヒット作である「M-CR611」のどこをどのようにブラッシュアップしたのでしょう。しかも、値上げなしにです。そのあたりを見てまいりましょう。

■ CDレシーバー『 M-CR612 』とは
デザインは初代機から、銘機「MODEL7」を思わせるmarantz伝統の左右シンメトリーにこだわっていましたが、代を重ねるごとに高級感が増し、『 M-CR612 』ではラウンドのかかった3ピースのフロントパネル、ハードコートのアクリルトップパネル、そしてイルミネーションなど、marantzの単品コンポーネントを彷彿とさせる、高級感あるデザインに仕上がっています。

本機の「肝」は、何といってもパワーアンプです。前述のように、初代機から続く4chアンプというのは同じで、そのデバイスにはTI(テキサス・インスツルメンツ)製を使用しています。ただ、この素子は実際には8ch仕様となっており、これを2chずつまとめて4ch使いとしているそうで、ノーマル状態ですでにBTL接続になっているらしいのです。

スピーカー出力は2組あり、「バイアンプ接続」では対応スピーカーの低域/高域それぞれを独立したアンプで駆動することで、ウーファーからの逆起電力など相互干渉を排除します。また、「マルチドライブ接続」では2組同時または切替えて聴くことができ、別の部屋のスピーカーの音量もリモコンで別々に調整できます。ここまでは従来機と同じです。

ここに、あるデータがあります。前作「M-CR611」の利用者を調査した所、バイアンプで使用している人の割合が、日本:18%、ヨーロッパ:8%、アメリカ:10%と、バイワイヤリング対応のスピーカーの多いヨーロッパですら10%未満という状況だったのです。

結果、ほとんどのユーザーは、シングルワイヤ接続でしか「M-CR611」を使っておらず、A,Bあるスピーカー端子のAにスピーカーを繋ぐということは、Bすなわちあとの2ch分は使われないままで、「宝の持ち腐れ」状態だったということです。そこで、本機『 M-CR612 』の新機能の登場と相成るのです。

今回新たに搭載された「パラレルBTLドライブ」は、接続はシングルワイヤのまま、4組のアンプ全てを用いてスピーカーを駆動することを可能にしたのです。その結果、アンプのスピーカー駆動力を示すダンピングファクターは、通常(BTLドライブ)に比べ約2倍になり、中低域の量感と締まりを両立した低音再生を実現できたとしています。

シングルワイヤ接続時でも、内蔵している8chアンプをフル活用できるパラレル(並列)化した駆動方法なので「パラレルBTLドライブ」と名付けられています。これこそ、ミニコンポとは明らかに違う、ハイエンドオーディオ的発想といえます。


▲ 金メッキスピーカー端子


▲ 通常のシングル接続


▲ パラレルBTLドライブ接続


■ 多機能な『 M-CR612 』
さらに、『 M-CR612 』の多機能さには目を見張るものがあります。以下に列記します。
  1. 豊富なネットワークオーディオ機能
    ワイヤレス・オーディオシステム「HEOS」テクノロジー、Amazon Alexaでの音声コントロール、Bluetooth、ストリーミングサービス、インターネットラジオ、AirPlay 2に対応
  2. ハイレゾ音源の再生に対応
    ローカルネットワーク上のミュージックサーバーやUSBメモリーに保存したDSDファイル(5.6MHzまで)、PCM系ファイル(192kHz/24bitまで)が再生可能
  3. その他 主な機能と特長
    • 入力信号を検知して、電源を自動でオン可能な2系統の光デジタル入力を装備
      ※テレビと繋ぐことで、本機がさらに生かせる便利機能
    • データディスク(MP3 / MWA)の再生にも対応したCDプレーヤー搭載
    • 95MHzまでの「ワイドFM」に対応したFM / AMチューナー搭載
    • 低域の周波数特性を5種類切替可能 + 高/低±10dBのトーンコントロール機能
    • 3段階ゲイン切り替え機能付き本格的ヘッドホンアンプ搭載
    • 3行表示で読みやすい日本語対応有機ELディスプレイ
    • ホワイト、ブルー、グリーン、オレンジの4色のイルミネーション
    • クロック&アラーム再生機能、スリープタイマーなどの便利機能
    このように、まさに「てんこ盛り」状態です。やはりこれらは、ミニコンポとしては必要不可欠な機能なのでしょう。でも私のようなオーディオファンがサブシステムとして本機を使うには、少々多機能すぎる感がなきにしもあらずです。もっと機能を絞った、音質だけに特化したミニコンポがあってもいいと思うのは私だけではないでしょう。

    ■ 試聴しました

    『 M-CR612 』のサウンドは、日本橋1ばん館でB&W「607/MW」を使って確認しました。

    B&W「607/MW」は本来バイワイヤ仕様ですが、ジャンパーでシングル接続にして、リモコンで切り替えて「シングル」と「パラレルBTLドライブ」を比較しました。

    「シングル」でも十分「607/MW」を鳴らしきっており、低音が力強く、パワフルな安定感のあるサウンドで、私の過去の経験からくるミニコンポの音とは明らかに違うものでした。ミニコンポのドンシャリ音ではない、ハイファイを意識させるドッシリした正統派のサウンドでした。

    次に「パラレルBTLドライブ」に切り替えた途端、その変わりようにビックリです。低音がとてもこの大きさのシステムのそれではなく、生々しくスケール感たっぷりで、立体感を伴った本格的なサウンドが聴けたのです。とにかくハイスピードになり、情報量も多く「これで十分なのでは」と納得させられるほどでした。

    「ミニコンポでもここまで出せるのだ」が私の正直な感想です。ヒットも当然です。パラレルBTLによるミニコンポを超えたミニコンポ『 M-CR612 』の誕生です。
    (あさやん)

    2019年7月 8日 (月)

    LUXMAN史上最高峰のフラッグシップ真空管セパレートが完成しました!!

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。

    LUXMANより、管球式コントロールアンプ『 CL-1000 』がついに発売! 2015年10月に発売された、真空管ステレオパワーアンプ『 MQ-300 』とのペアにより【 LUXMAN史上最高峰のフラッグシップ真空管セパレート 】が完成しました。


    ■ 憧れのデザイン
    これまでに幾度か述べていますが、LUXMAN(一般的には「ラックス」の方が通りが良いと思いますが)は、1925年ラジオ放送の開始とともに創業し、有名な「 SQ-5B (1962)」、「 SQ38FD/II (1974)」など、現在まで紆余曲折はあったものの、今でも国内屈指の真空管アンプメーカーであることには疑う余地はありません。

    LUXMAN創業90周年を記念して、2015年10月に発売された、300Bシングル・真空管ステレオパワーアンプ『 MQ-300 』のペアとなる真空管コントロールアンプの発売が待たれていました。『 MQ-300 』発売から3年、昨年の東京インターナショナル・オーディオショウでその姿が披露され(当時はまだ本番前の試作品でした)、今春ついに『 CL-1000 』として発売されました。

    東京インターナショナル・オーディオショウで見た『 CL-1000 』のデザインに私の目は釘付けとなり、思わずニヤリとして「やった!!」と叫んでいました。それは、何と懐かしい顔なのでしょう。

    C-1000(1975)
    オーディオ全盛期、私が本格的にオーディオを始めた1970年代半ば、それまでのLUXMANのイメージを一新して登場したトランジスタ式コントロールアンプ「 C-1000 」「 C-1010 」、さらには当時、同社の最上位に位置したトランジスタ式プリメインアンプ「 L-100 」のフロントパネルそのものだったからです。

    私は、「 C-1010 」とパワーアンプ「 M-4000 」を組み合わせたデザインに心底憧れたのですが、予算オーバーで購入は叶わず、結局オーディオ評論家の故 斉藤宏嗣氏推奨の真空管プリアンプ「 CL-32 」と、ソリッドステートのパワーアンプ「 5M21 」という、変則的な組み合わせに落ち着いたのでした。そんな憧れのデザインが目の前にあったのですから、興奮するのは当たり前です。

    それではその最新作『 CL-1000 』の特長を順に見てまいりましょう。

    ■ まずは『 CL-1000 』の内部

    右端に、《 LECUTA 》34タップのファインメット・コア・トランスと34個のリレー
    中央と左奥に、JJ製のE88CCが合計6本
    中央奥に、L/R独立のバランス入力と、L/R独立の出力用の計4基のスーパーパーマロイ・コア・トランス

    ■ LECUTA (Luxman Electric Controlled Ultimate Transfomer Attenuator) 搭載
    本機の最大のトピックは何と言っても、《 LECUTA(レキュタ) 》と名付けられた新開発ファインメット・コア採用の大型トランス式アッテネーターを採用した音量調節機構でしょう。通常のボリュームのように、抵抗器によって信号を減衰するのではなく、巻線比により低損失で音量調整を行う手法です。

    従来、同社のコントロールアンプやプリメインアンプには独自の固定抵抗切替型アッテネーター《 LECUA(レキュア) 》が使われてきました。その最新バージョンである《 LECUA1000 》は、アンプ回路と一体化した電子制御式アッテネーターで、その接点数は88もあり、キメ細かく精密なボリューム調節が可能です。勿論、それには抵抗が使われています。

    しかし、LUXMANはさらにその上を目指したのです。《 LECUTA 》の大型トランスは34タップで、しかも左右独立しており、そのトランスと対を成す34個のリレーを、音楽信号を通さないフロントパネルの位置情報検出用(リレー制御のためだけの)ボリュームノブで切り替えることで、小音量時も音痩せすることのない音量調節機構を新しく開発したのです。ボリュームノブの手応えは、高級機に相応しいものとなっています。

    《 LECUTA 》のアッテネーター用トランスのコアに使用されているファインメットは、独自のナノ結晶構造により、飽和磁束密度と比透磁率が高く、コアロスが少ない磁性材料です。また、トランスの弱点でもある帯磁による性能劣化対策としては、電源投入時に常に動作するアーティキュレーター(消磁機能/マニュアル作動も可能)を装備しており、万全を期しています。
    ※ファインメット:日立金属のナノ結晶軟磁性材料

    ■ スロバキアJJ製のE88CC (ECC88/6DJ8の高信頼管) 採用
    本機の真空管には、LUXMANが自社製品に初めて採用した、スロバキアJJ製のE88CCを合計6本搭載しています。2段増幅P-K NF型(プレート~カソード負帰還回路)で動作させています。回路間を接続するカップリングコンデンサーには、同社のオリジナル開発(『 MQ-300 』の開発過程で開発)によるオイルコンデンサーを採用し、厚みのある音質を実現できたとしています。

    アンバランス入力 (バランス入力にはL/R独立の高い透磁率を誇るスーパーパーマロイコアを採用したトランスで、アンバランス信号に変換) は、最初にE88CC×2のアッテネーター駆動アンプで6dBのゲインを稼ぎ、次の《 LECUTA 》に送られ、音量調整された後、E88CC×2の回路で増幅されます。

    トーンコントロール回路にもE88CC×2を使用し、BASS/TREBLE独立3段階周波数切替えLUX式トーンコントロールの搭載により、きめ細やかな音質調整が可能です。勿論バイパスも可能です。さらに、ラインストレートをONにすることで、信号系統に抵抗が直列に入らないため、純度の高いエネルギー感溢れる音質が実現できたとしています。

    ラインレベルの出力は、L/R独立のスーパーパーマロイコア (バランス入力時に使用されたトランスと同等) を採用したトランスを経由しており、出力はアンバランス2系統、バランス2系統の合計4系統あるものの、アンバランス出力かバランス出力かはフロントパネルでの切替式としています。出力の位相切替えまで装備しています。

    ■ レトロモダンな外装
    外装は3枚の肉厚アルミパネルを組合せ立体的で、前述の往年のデザインを彷彿させるフロントパネルに、確実な操作感と精密な加工が施された各種ノブ類のバランスが実に秀逸です。我々中高年には懐かしくもあり、新鮮さもある高品質なレトロモダンを具現化したデザインになっています。

    LUXMANアンプでは定番のコの字のウッドケースは、ウォールナットの突板に色鮮やかなローズウッドの配色を施したピアノ塗装で、ペアとなる『 MQ-300 』の木枠と同一仕上げとしています。脚部にもグラデーション鋳鉄製レッグを装着し、微小レベルのデリケートな音楽信号を不要な振動から守っています。

    RCA入力端子には、銅の導電率と真鍮の硬度を併せ持った新素材カッパーアロイ製を、ACインレットには非磁性ニッケル処理と金メッキが施され、電源ケーブルにもノンツイスト構造の3.5mm2 高純度OFC線と金メッキ仕上げのプラグを採用したJPA-15000(極性マーク付き)を付属し、万全を期しています。

    ■ 最後に
    LUXMANの開発者によりますと『 CL-1000 』と『 MQ-300 』の組み合わせでのサウンドは、従来の真空管アンプのサウンドイメージである「帯域が狭い」「柔らかい」「温かい」とは別次元の真の意味でのハイエンドサウンドを目指したのだと言います。

    そのため、LUXMANの永い歴史と伝統により培われた技術とノウハウを余すところなく注ぎ込み、こだわり抜いた回路やパーツをはじめとする内部構成と、磨き込まれた魅力的な外装を身にまとう、フラグシップの名に相応しい造り込みが施されたのです。

    音の狙いとしては、トランス式アッテネーターの最大のメリットである音痩せのないエネルギー感たっぷりのサウンドと、真空管ならではの充実した中域、伸びやかで繊細な高域の魅力だとしています。さらに、ボーカルの透明感と人肌を思わせる温かさ、オーケストラの実物大のスケール感と立体的で深々とした音場感を実現できたと言います。

    有機的で浸透力のある濃密なサウンドは、トランジスターアンプでは絶対味わうことのできない世界です。これこそ、『 ハイエンド真空管アンプ 』です。

    満を持して登場した『 CL-1000 』の純度の高い魅力あふれる真空管の音色は、『 MQ-300 』はもちろんのこと、他社のパワーアンプとの組み合わせでも、最高のパフォーマンスを発揮できると思います。
    (あさやん)

    2019年7月 7日 (日)

    【ポータブル?もはや据置型DAC/プレーヤー!】アステルアンドケルンのKANN-CUBEのご案内です。


    みな様、こんにちは!
    永らくご無沙汰しておりました"とうふ"です。
    更新履歴を辿っても、ハイエンドブログではなんと2月以降登場しておりませんでした。。。
    もう少し頻度を上げて色々な機器をご紹介できるように精進しますので、今後とも何とぞよろしくお願いいたします。

    さて、今回ご案内させていただくのはポータブルプレーヤーでございます。

    アステルアンドケルン
    デジタルオーディオプレイヤー 128GBメモリ内蔵+外部メモリ対応(ウルフグレイ)
    KANN CUBE


    ハイエンドブログをご覧頂いているオーディオ諸兄の皆様には
    何だよ、ポータブルプレーヤーかよ。。。(がっかり)』とされる方もいらっしゃるかも知れませんがそこは一寸お待ちください。
    この【KANN-CUBE】、ハイエンドブログでも"推したい"魅力が一杯なのです!

    なおメーカー様より試聴機をお借りして、一通りの使用感などは試用レポートでもご案内しております。
    もし宜しければそちらもご覧いただけましたなら幸いでございます。


    ①【KANN-CUBE】は凄い!
    何が凄いかと言うと、据置機器向けのDACチップ、ESSの"ES9038PRO"をデュアル構成で搭載している事です。
    この構成は一世を風靡した人気DAC、oppoの【SONICA】と同じ構成です。
    SONICAは既に生産完了ですがあさやんの書いたハイエンドブログ記事はこちらより。

    もちろんDACチップだけで音が決定するわけではありません。
    DAC以降の回路や電源周り等重要なポイントは多数ありますが、その辺りはメーカーは充分承知。
    なぜなら、【SE100】というモデルで既に採用しているからです。
    ※SE100では8chチップをシングル構成。つまり4ch/4chで使用しています。

    【KANN-CUBE】では既にもっているノウハウを更に昇華させ、大型ボディを採用した事で余裕のある回路設計と大容量バッテリーを搭載した事で問題点を解決しているのです。

    ②【KANN-CUBE】は大きい!
    これは見たままですね。
    私も仕様発表を見た当初、「サイズといい、仕様といいポータブルとは言い難いな。。。」と思い、軽く「ポータブルプレーヤーの定義って何だ?」と自問しました。

    しかし、実機をお借りしてみると思った以上に違和感はありません。
    試用レポートでもレビューしましたが、持ちやすさやボタン配置等が絶妙だったからです。

    大きいけど不思議と手への収まりが良く、使い勝手が良い。
    不思議なプレーヤーです。

    ③【KANN-CUBE】は楽しい!
    これは前モデル【KANN】同様ですね。
    KANNとはドイツ語です。意味は英語のCAN、つまり「可能」。
    ポータブルでの楽しみ方、据置プレーヤーとしての楽しみ方。ユーザー毎の「可能」があります。
    さらに【KANN-CUBE】ではMQA音源への対応光デジタルアウト「Open APP Service」対応による機能拡張等、機能面でも進化しており、
    "外ではポータブルプレーヤー"、"自宅ではUSB-DACや各種ストリーミングサービスの据置デジタルプレーヤー”等、更に「可能」の幅が広がっています。

    高出力なヘッドホン出力を搭載、そして独立したラインアウトも搭載。
    ポータブル機でありながら、据置プレーヤーのような使い方も楽しめる。
    ユーザー毎に「可能」がある、オーディオプレーヤー/DACとして【KANN-CUBE】、音質と使い手の良さ、両面でお薦めです!

    それではいつもお買い得な「Joshin Web」でお待ちしております。

    2019年7月 1日 (月)

    『 JERN 12WP 』 凄い《達磨 スピーカー》が登場!

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。

    凄い 《達磨スピーカー》 が登場! 今回は、デンマーク発の鋳鉄製「オンリーワン」スピーカー『 JERN 12WP 』を取り上げます。


    ■ JERNとは
    JERNは「ヤーン」と読み、デンマークの歴史ある鋳造メーカーです。ちなみに、JERNとはデンマーク語で「鉄」(英語のアイアン)の意味だそうです。

    同社は、高度な鋳造技術を生かしたスピーカーエンクロージャーを開発。その素材は「特殊ネズミ鋳鉄(Vibrakill)」で、アルミニウムやMDFに比べて遙かに振動減衰率が高く、しかも比重が高いことが大きな特徴です。

    ※鋳鉄:2%以上の炭素を含む鉄合金で、一般的にいう鋳物(いもの)のこと。通常より多い、4%近くまで炭素量を増やしたものをハイカーボン鋳鉄といい、炭素量が多いと黒鉛(グラファイト)の結晶が固化するため黒色をしており、その断面の色からネズミ鋳鉄とも呼ばれます。

    ■ 鋳鉄製スピーカー『 JERN 12WP 』


    この後ろ姿、どう見ても夜店に並んでいた、あの赤い達磨そのものです。これが、JERNの鋳鉄製スピーカー『 JERN 12WP 』です。でも、このデザインは決して奇を衒(てら)ったのではなく、必然から生まれた姿・形なのです。

    鋳鉄製、しかも密閉型と聞いて、おそらく過去に鉄製スピーカーやガラスの球形スピーカーを一度でもお聴きになったオーディオマニアの皆様は、伸びやかさのない「ふん詰まり」で、乾いた「無機的なサウンド」を想像されるに違いありません。

    かく言う私自身も、実際に現物を聴くまではそう思っていました。(過去にそういうスピーカーが存在したのも事実なのですから…)

    JERNは、自由に形が作れる鋳造技術によって以下のメリットが得られるとしています。

    1. エンクロージャー全体を曲面で構成できるため、対向面を持たず、内側に定在を抑える凹凸加工を施すことで、特定の周波数で「共振しない」理想の形状です。

    2. エンクロージャー内部の角などで音波の波面が乱れ、はね返って周波数特性の劣化を招く「回析効果」が抑えられる。

    3. ウーファーとツイーターからの音波の到達時間を、形状によって調整できる「タイムアライメント」が図れます。いわゆる「リニアフェーズ」です。

    4. 鉄を使うことで、その剛性と重さを利用して、振動板以外のユニットの不要な振動を抑えつけ、箱鳴りを完全に回避できます。

    しかし、従来の同種のスピーカーは角形のエンクロージャーが殆どで、これらのメリットが享受できず、どうしても前述のようなヌケの悪い重苦しいイメージが付きまといました。

    『 JERN 12WP 』のユニット構成は、146mmウーファーと19mmツイーターの2ウェイで、低域にはWavecor(デンマーク由来で中国生産)製グラスファイバーコーンウーファー、高域にはSEAS(ノルウェー)製ソフトドームツイーターを採用しています。

    ネットワークは位相特性と音質を重視して、高品位Mundorf(ドイツ)製ポリプロピレンコンデンサーと、空芯コイルによるシンプルな6dB/octとしています。このネットワークとリニアフェイズにより、2ウェイでありながら、あたかもフルレンジの様な一体感を狙ったのです。




    また、付属のゴム製リングによる台座を使用することで、左右はもちろん、仰角の調整も可能で、ご使用シーンでの自由な設置が可能です。

    エンクロージャーのカラーは赤(デンマークレッド)の他に、黒(ノルディック・ブラック)、灰(キャスティング・グレー)、白(ポーラー・ホワイト)の4色あり、お部屋に合わせてお選びいただけます。なお、スピーカー端子は、定評のあるWBT(ドイツ)です。

    JERNの本国HPによりますと、『 JERN 12WP 』の開発意図は、「小さなお部屋の壁の近くに置いて、サブウーファーなしで聴くためのスピーカー」とあります。

    また、JERNは量産メーカーではなく、スピーカー一台一台を数十年の経験を持つ熟練工によって手作りされているとのことです。

    さらに、JERNはスピーカーは家具やアートと同様、私達の家の一部であり、美しくスタイリッシュなことも非常に重要だと考えています。鋳鉄を使うため、他のハイエンドスピーカーとは違い四角い箱にこだわる必要がなく、素材や形状を自由に選ぶことができ、音質を犠牲にすることなく、新しいスタイルのスピーカー作りにチャレンジできたのです。

    ■ 『 JERN 12WP 』の白色をお借りして、日本橋1ばん館で試聴しました。

    ▲ 正面から


    ▲ ネット付


    ▲ 後ろから


    ▲ 真上から


    写真のように、白は雪だるまそのものです。

    メーカー名の通りの鉄(JERN)製で、その大きさからは想像できない重さです。私自身、思わず落としそうになりました。

    重さ約12kgですが、見た目がかわいいだけに余計に重く感じるのでしょう。ゴムのリングの上に乗っていますので滑ることはないのですが、持ち上げたり移動する際は十分な注意が必要です。

    試聴には、ESOTERIC「P-05X」→「D05X」→「F-03A」を使用しました。

    一聴して、想像とは違うその高品位なサウンドに度肝を抜かれました。音を出した瞬間、思わずスピーカーセレクターを間違えたのかと思いました。いつも試聴室に置いてある後ろのB&Wが鳴っているのではないのかと、思わず耳を近づけたほどです。それほどにスケールが大きく、奥行き感があり、音離れが良いため、スピーカーから音がしなかったのです。

    過去に聴いた鉄箱やガラススピーカーとは真逆の、実にヌケの良い伸びやかなサウンドで、詰まった感じは微塵も感じませんでした。密閉方式ならではの反応の素早さが素材によってさらに生かされ、聴き手に迫って来るものを感じました。

    高域は滑らかで透明感があり、中域にはハリがあり、低域は締まり、まとわりつく感じもありません。超低域こそ大型システムのそれとは違いますが、中低域のキレが良く、解像度も高く、ダブついたりこもることは皆無でした。

    『 JERN 12WP 』の形状が最も生きているのが空間表現力です。スピーカーから完全に音が離れ、立ち上がりも素早く、立体的で、前後感も正確に表現されました。特に、ボーカルは口が非常に小さく、女声は艶めかしささえ感じました。

    そして音が消えた瞬間の静けさこそ、JERN(鉄)の本領発揮と言ったところで、とにかく静かで抜群のS/N感でした。また、刺激音がなく、長時間リスニングには持って来いではないかとも思いました。

    いつもの試聴ソフトであるLivingston Taylor「ink」の冒頭の口笛や、井筒香奈江「Laidback2018」のボーカルのリアルさは秀逸でした。ソフトはもちろん、オーディオ機器やアクセサリーの違いまでもダイレクトに出してくる、繊細なスピーカーでもあります。

    ■ 最後に
    確かに、解像度や迫力、スケールや大音量を狙うなら、ほかに幾らでも選択肢はあると思いますが、このJERNにしかない表現力、そして何よりこのユニークなフォルムこそ『 JERN 12WP 』が、新時代のオーディオへの一つの指針になるかも知れません。

    まさに、『 オンリーワン 』スピーカーです。
    (あさやん)

    2019年6月 4日 (火)

    TEACの「とんがった」製品を一挙にご紹介♪

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
    今回は私が選ぶ、TEACの回転系オーディオ機器(アナログプレーヤーなど)の「とんがった」製品を一挙にご紹介いたします。


    ■ TEAC(ティアック)について
    TEACは1953年(昭和28年)に、東京テレビ音響株式会社として設立。1964年に、ティアック株式会社として発足しました。

    私が本格的にオーディオをやり始めた1970年代。まずは、カセットデッキの平型「A-350」、続いて「A-450」、さらにオープンリールデッキは2トラ38の「A-3300-2T」を購入。当時、AKAIと覇を競っていた録音機メーカーでしたが、私は迷わずTEAC製品を選んだのでした。

    同社は創業当時から回転系にはめっぽう強く、1957年に開発されたオープンデッキの原器「TD-102」から、同社の歴史が始まっています。

    1968年には国産初のカセットデッキ「A-20」、1973年にはマグネフロートのダイレクトドライブターンテーブル「TN-400」、1997年にはMDデッキ「MD-10」を発売。そして、CDプレーヤーについては、ESOTERICの「Grandioso P1X + D1X」を始め、TEAC/ESOTERICは、今や世界中の誰もが認めるトップブランドとなったのです。

    その回転系に強いTEACは、同業他社が相次いで生産から撤退していく中にあって、我々オーディオファイルにとっては非常に有り難く、また心強いメーカーでもあります。そのTEACの回転系の「とんがった」アイテムで、今となっては「超希少」となりつつある製品群を、改めて一挙にご紹介します。

    ■ ダイレクトドライブ・アナログターンテーブル『 TN-4D 』

    (カラー:ウォルナット)

    型番からも前述の「TN-400」を意識しているのは明らかです。ベルトドライブが主流の現在において、本機のために薄型のダイレクトドライブモーターを新開発するという、並々ならぬ決意が感じられます。

    しかも、従来のDD方式ターンテーブルでは望めなかった、高さ117mm(ダストカバーを閉めた状態)のスタイリッシュな薄型ボディも実現しています。

    トーンアームにも大いにこだわりを見せており、高級トーンアームブランド SAEC(サエク)とコラボレーションして、SAECお得意の可動部にナイフエッジ機構を採用したスタティックバランス型S字トーンアームを搭載。一般的なベアリングによる可動方式に比べ、支点が明確で初動感度が高く、分解能の高いダイナミックなサウンドを目指したとしています。もちろんユニバーサルタイプで、お好みのヘッドシェルやカートリッジへの交換も容易です。

    さらに、カートリッジもこだわっており、アメリカで40年の歴史を持つカートリッジブランド SUMIKO のMMカートリッジ「Oyster」(単体で1万円超)を付属しています。

    そして、当然賛否は分かれるところですが、現状フォノイコ非搭載のアンプが多いことや、アナログレコードのデジタルファイル化が盛んな中にあって、今風のフィーチャーも避けて通れなかったのでしょう。それは、ON/OFF可能なMMカートリッジ対応フォノイコライザーアンプと、USBのデジタル出力(最大16bit/48kHz)を装備していることです。

    キャビネットは高密度MDFをコア材に用い、衝撃吸収性能に優れたインシュレーターを直に固定しています。外装仕上げは多層塗りピアノブラックと天然ウォルナット突き板仕上げの2バージョンが用意されています。

    出力は直出しではなく、付属のRCAケーブルを使用するタイプで、将来のケーブルのグレードアップも可能です。

    サウンドは「Oyster」のパワフルな中低域に、SAECらしい反応の良い高域が乗った本格的なもので、当面これで十分レコード再生が楽しめると思います。ただ、内蔵フォノイコの限界を感じる可能性もあることから、将来的にはアンプ内蔵のフォノイコなどをお使いになることをお勧めしておきます。

    ■ ハイレゾ・マスターレコーダー『 SD-500HR 』


    アナログレコードやカセットテープなどの貴重なアナログ資産をハイレゾデジタルファイルとしてアーカイブ化できる、最大DSD:5.6MHz、PCM:192kHz/24bit対応のハイレゾ・マスターレコーダー。

    音源保管に記憶容量あたりの価格が手ごろなSDHC/SDXCカードや、接点不良の少ないCFカードに直接録音が可能で、カセットテープ感覚でメディアの交換が可能です。

    SDカードなどに保存されたデジタル音楽ファイルは、そのままパソコンに取り込むことはもちろん、無料のハイレゾ音源波形編集ソフト「TEAC Hi-Res Editor」(Windows/Mac版)を使って、必要に応じて曲ごとの分割やファイルフォーマット変換などの処理が可能です。

    様々な録音レベル状態にあるレコードやカセットテープから適切なレベルでデジタル録音できるよう、24ドットLEDレベルメーターを確認しながら、0.5dBステップの細かい録音レベルの設定が可能で、スマホやカーオーディオなどのソフト作りも可能です。

    左右各チャンネルの信号を完全に分離して処理するデュアル・モノーラル回路設計により、左右チャンネル間の干渉やノイズを抑えたピュアな信号処理を実現する高音質設計を採用。さらに、デジタル処理の要となる内部クロックには高精度なTCXOを採用しており、高精度な外部クロックからの信号を入力できるワード入力も装備しています。

    アナログ入出力はXLRとRCA各1系統、デジタル入出力は同軸とAES/EBU各1系統に加え、BNCまで装備しており、ハイエンド機器はもちろん、プロオーディオ機器との接続も可能な本格仕様となっています。

    手軽な録音機が欲しいオーディオファイルはまだまだ多いはずです。カセットデッキに替わる新しい形のハイレゾレコーダーです。パソコンが不要なのが、最大のメリットです。

    ■ CDプレーヤー/MDデッキ『 MD-70CD 』


    現在国内で入手できるMD(ミニディスク)の録再機器は、おそらく本機だけだと思います。もはやMDは過去のフォーマットであり、元々SONY(1992年発売)を中心に、ほぼ日本国内だけで流通しており、2011年には一部のミニコンポを除いて、市場から撤退してしまいました。

    本機は、独立駆動するCDプレーヤー部とMDデッキ部とのコンビネーションデッキで、独立してCDの出力とMDの入出力が可能で、連続再生やCDからMDへのダビングなども可能です。(CDレコーダーではないためCD-R等への録音はできません)

    MDレコーダー部は、LP2、LP4のロングプレーモードもサポートしています。

    アナログ入出力および同軸、光デジタル入出力を装備しており、様々なシステムと柔軟に組み合わせて使用できます。

    過去に録りためたMDをもう一度聴いてみたい方やMDのアーカイブとしては、おそらく最後のMD対応機だと思います。非常に貴重な製品です。

    ■ ダブルカセットデッキ『 W-1200 』


    こちらも、現存する唯一のダブルカセットデッキです。

    ワンウェイ(片道走行)カセットメカを録音・再生が可能な2基搭載したダブルデッキ(ダビング、同時録音可能)に、マイクミキシング機能やUSBデジタル出力を備えた多機能なカセットデッキです。

    レコードとともにアナログ音源の温もりや柔らかさが見直されているカセットテープ。本機は、デジタル時代にマッチしたインターフェースも備えており、カセットテープ・ライブラリーの忠実な再生だけでなく、カラオケ用途や会議の音声議事録のデータ化などにも対応するなど、幅広く活用できます。

    さらに、リアパネルのUSB端子からパソコンにオーディオ信号を出力し、パソコン側でデジタル録音が可能なデジタル音声出力(最大PCM:48kHz/16bit)での録音が可能で、貴重なカセットテープの音源をデジタルアーカイブとして保存も可能です。

    ■ カセットデッキ/CDプレーヤー『 AD-850 』


    カラオケにも使えるエコー機能付きマイク入力端子を装備。USBメモリーによる録音・再生が可能なカセットデッキとCDプレーヤーの複合機です。

    もちろん、それぞれのメディア間でのダビングが可能です。(CDレコーダーではないためCD-R等への録音はできません)

    ■ CDレコーダー『 CD-RW890MK2 』


    シンプルで使いやすい、シンクロ録音や多彩なオートトラック機能を搭載したCDレコーダー。レコード (フォノイコが必要) やカセットテープ、CD、MDなどを音楽用CD-R/RW(データ用は使用不可)に録音することができるCDレコーダーです。

    ■ 最後に
    このようにTEACは、同社ならではの「回転系のとんがったオーディオ機器」の数々を、我々オーディオファイルに供給し続けてくれている、今となっては大変貴重なメーカーです。

    なお、いずれの製品も生産台数が限られており、在庫切れを起こしてしまうケースが多いのが「玉にきず」ではありますが、私としては少々お待ちいただいてでも、ご購入されることをお勧めします。
    (あさやん)

    2019年5月17日 (金)

    マッキントッシュの出力トランス搭載パワーアンプ『 MC312 』『 MC462 』の実力を探る!

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
    今回は、伝統のスタイルを身に纏い、8年ぶりにリニューアルしたマッキントッシュの出力トランス搭載パワーアンプ『 MC312 』『 MC462 』を取り上げます。


    ■ いつかはマッキン!
    マッキントッシュのアンプに憧れを抱いている人、特に中高年の方には多いと思います。

    かくいう私自身も「JBL4311」を使い始めた頃、当時人気の「4343」をドライブする「C28」「MC2105」の素晴らしいサウンドと、何よりプリの美しいフルグラスのイルミネーション、そしてパワーのブルーメーターの存在感に圧倒され、『 いつかはマッキン 』と夢見たものでした。

    マッキントッシュは1949年、Frank H.McIntosh氏によって、米国ワシントンで創立されました。その後、現在のニューヨーク州に本拠地を移し、有名なGordon J.Gow氏とSidney Corderman氏がエンジニアに加わって、70年にも及ぶ同社の歴史の基礎を作り上げたのです。

    そして、製品には恒久的な信頼性と安定性を、そのデザインには完全性と永続性を求めたのでした。

    それこそが、マッキントッシュアンプの出力トランスを含む回路ポリシーと伝統的スタイルを、現在に至るまで継承させているのでしょう。

    今回ご紹介します、パワーアンプ『 MC312 』『 MC462 』の2機種も、もちろんそれらを継承して製品化されています。

    ■ McIntosh『 MC312 』
    型番の "3" が示すように、300W+300Wの大出力パワーアンプです。

    2011年発売の前作「MC302」の後継機で、電源を中心に強化され、ダイナミックレンジの拡大を図っています。そのあたりを中心に見てまいりましょう。

    本機には、スピーカーのインピーダンス(2~8Ω)に関わりなく、インピーダンス・マッチングが可能な出力トランス(オートフォーマー)が搭載されており、定格300Wで10Hz~100kHzという広い周波数レンジにわたって、均一な出力が取り出せます。

    このため出力段素子には、電源投入時から最大パワー時までのバイアス電流を正確にコントロールするThermalTrak(サーマルトラック)トランジスタという特殊な素子を、1chあたり6パラレル・プッシュプル構成で使用しています。

    このトランジスタは、一般的な足が3本の3ピンではなく5ピンで、その余分な2ピンにトランジスタの温度補償機能を持たせることで、一般的に行われるヒートシンクに外付けの温度補正デバイスを装着するのに比べ、速やかなバイアス電流補正と安定性が得られるのです。

    さらに本機は、微小レベルから最大出力まで、0.005%以下という測定限界に近い、超低歪率特性を達成。

    従来から、その音楽性には定評のあるアナログ音源はもちろんのこと、最先端のハイレゾ音源の再生にも十分対応できる最新スペックを、「出力トランスでの広帯域再生は難しい」という常識を覆して可能にしたのです。

    その他、マッキントッシュが特許を持つパワーガードは、光の速度で入力信号を監視して調整し、アンプのオーバードライブを防止して、スピーカーが破損するほどの強烈な歪みを含むクリッピングをリアルタイムで防止します。

    また、電流が安全な動作レベルを超える前に出力段を切り離し、動作条件が正常に戻ったときに自動的にリセットする、ヒューズレス短絡保護回路など、前作を踏襲しています。

    前作からの見た目での大きな違いは、まず伝統的な従来のデザインを継承しつつ、McIntoshの「Mc」をあしらい、放熱効率を高めた新デザインのヒートシンクです。

    そして、ピッチ(タール)を充填したトランスケース(ロの字型アルミ押し出し材とプレートがボルトで強固に固定)に収められ、シャーシ上に搭載された新型の電源トランスと出力トランスです。

    これにより、トランス自体の密閉度と強度が高まり、振動抑制とメカニカル・ノイズを大幅に抑制できたとしています。結果、トランスケースに収められた電源トランスは、実に12.7kgにも達しました。

    4個のフィルターコンデンサーもさらに大型化され、エネルギー容量は2倍以上となり、最新のデジタル音源が必要とするワイド&ダイナミックレンジにも余裕で対応可能な、ダイナミックヘッドルーム(定格出力を超える瞬間最大出力までの余裕)を2.3dB(前作1.8dB)に向上させたのです。

    これら以外にも、特許の金メッキカスタム・スピーカー端子を2Ω、4Ω、8Ωの3組6個、設置間隔を広げてケーブル接続を容易にしています。内部配線材もより太いモノを採用し、信号伝達を一層確実なものにしているとのことです。

    外観は従来の漆黒のガラスパネルや、鏡面仕上げのステンレスシャーシを継承していますが、フロントパネルのイルミネーションには広角LED(従来は狭角LEDを光ファイバーで分散)を採用して、照明の均一化を図り、より美しく仕上げられています。

    ■ McIntosh『 MC462 』
    一方の『 MC462 』も、2011年発売の「MC452」からのモデルチェンジです。

    『 MC462 』はフロントパネルに取っ手が付いて、さらにゴージャスになっており、内部も『 MC312 』とは違い、前作同様、全段完全バランス回路で構成されています。

    もちろん、パワーも450W+450Wとマッキントッシュの伝統的筐体サイズのステレオパワーアンプとしては、最大級の超ハイパワーを実現しています。

    本機では、バランス入力されたプラスおよびマイナスの信号(アンバランス信号は入力直後バランス信号に変換)は、完全にバランス増幅された上で、出力トランス内で結合され、出力されます。合計4つの増幅回路を持つことから、クワッド(4重)バランス回路と同社は呼んでいます。

    電源トランスは新トランスケースに収められ、13.6kgに達しています。フィルターコンデンサーは前作の4個から6個になり、エネルギー容量が1.75倍に強化され、ダイナミックヘッドルームも3.0dB(前作1.8dB)に大幅に強化されています。

    結果、ハイレゾ音源の高解像度、高ダイナミックレンジも忠実に再現できる実力を備えたのです。

    ■ 試聴結果

    ▲ 上「C-52」、下「MC-462」

    『 MC462 』のサウンドは、展示のある日本橋1ばん館リファレンスルームで確認しました。マッキントッシュ プリアンプ「C-52」との組み合わせでの試聴です。

    まず、前作「MC452」との違いを一言で言い表すと『 ガッチリ&スッキリ 』でした。

    前作では、スピーカーによっては解像度が不足するケースもあり、多少大味で荒っぽさを感じることもありました。低域の迫力は十分あるものの、どうしても重心が低く鈍重になってしまう傾向もありました。

    『 MC462 』は、そのハイパワーからくる力強さや骨太さは継承しつつ、低域の曇りがスッキリと晴れ、音程のしっかりしたズッシリ感で迫ってきました。中高域は当たりが良く、荒っぽさが消え、ヌケが明らかに向上しています。

    低域から高域まで統一された音色で、堂々としたピラミッドバランスを実現してくれました。マッキントッシュ伝統の色合いの濃い、豊かなサウンドがグイグイと迫ってきたのです。

    小音量時でも音痩せすることはなく、繊細さや静けさも前作より明らかに改善されたと感じました。その上で、大らかでゆったりした、余裕のマッキントッシュ・サウンドが聴けました。

    これらの音質向上に大きく寄与したのは、何といってもピッチを充填したトランスケースに収められ、より強度を高め、振動を抑制した新型トランスの効果だと思います。

    また、パワーの差とバランス回路以外は、同じポリシーで設計され、しかも100万円を切った『 MC312 』には、お買い得感さえも感じてしまいます。

    音楽を心から愉しく聴かせてくれるマッキントッシュの説得力に、改めて感動させられました。

    この『 見て良し、聴いて良し 』のマッキントッシュこそ、最近の価格が高騰したハイエンドの世界に一石を投じるとともに、改めてハイエンド・オーディオの醍醐味を感じさせてくれました。
    (あさやん)

    2019年5月10日 (金)

    トップウイング(ENZO)扱いの「M2TECH」「XI AUDIO」より、大注目のデジタル機器登場!

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。今回は、トップウイングが扱う「M2TECH」と「XI AUDIO」の画期的なデジタル機器2機種を取り上げます。


    ■ トップウイングが扱うオーディオ機器
    最近、トップウイングの扱う海外ブランド製品が、次々ヒットを飛ばしています。

    これは、同社代表 佐々木原氏の「目の付け所」が素晴らしいからで、いつも感心させられます。そして同社は、欧米製品に殊更こだわるわけではなく、「良いモノは良い」との考え方のもと、グローバルにアンテナを張って、話題の製品を発掘してきているのだと思います。

    トップウイングの扱うピュアオーディオファンに人気のブランドは、「iFI-Audio」「M2TECH」、最近では「TELOS」、そして今回新たに「XI AUDIO(イレブンオーディオ)」が加わりました。その中から「M2TECH」と「XI AUDIO」の画期的なデジタル機器2機種をご紹介してまいります。

    ■ M2TECH フォノイコライザー機能搭載A/Dコンバーター『 JOPLIN MkIII 』


    ハイレゾ登場以降、さまざまなフォーマットや伝送方式が次々提案されてきましたが、そんな中にあってヨーロッパ、それもイタリアに本拠地を置くM2TECHの製品は特に注目に値します。

    開発者であるマルコ・マヌンタ氏は、世界的にもデジタルオーディオ界での重要人物で、そのユニークなアイデアとそれを具現化する高い技術力、そしてオーディオスタイルへの先見性には目を見張るモノがあります。

    同社は、PCオーディオ黎明期、192kHz/24bit対応モデルが世の中にまだ少ない中にあって、USBメモリーサイズのUSB-DDC「HIFACE」を発売し、一躍脚光を浴びました。またマルコ・マヌンタ氏は、他のハイエンドブランドにデジタルモジュールを供給するなど、業界でその名を轟かせています。

    M2TECHの考え方の基本にあるのは、ホーム・エンターテインメントのための革新的な製品を設計、製造し、販売することだそうです。

    M2TECHの製品群の中でも、近年特に注目を集めているのが「Rockstarsシリーズ」で、D/Aコンバーター+プリアンプの「YOUNG MkIII」、ステレオパワーアンプの「CROSBY」、ヘッドホンアンプの「MARLEY」、フォノイコライザーの「NASH」、そして今回ご紹介しますフォノイコライザー機能搭載A/Dコンバーターの『 JOPLIN MkIII 』があり、いずれもロックスターの名が付けられ、人気製品になっています。

    最新の『 JOPLIN MkIII 』は、2015年発売でフォノイコライザー・カーブの扱いに革新をもたらした「JOPLIN MkII」の後継機で、基本性能は継承しつつ、今回もあくまでA/D機能のみに特化して開発されています。その理由は、「D/Aコンバーターの選択肢を広げるため」だそうで、本機は世の中に数あるハイエンドD/Aコンバーターの実力を生かすためのソフト(アナログソースのデジタル化)を供給するための機器だという訳です。

    前作ではS/PDIFやAESの仕様の制約から、USB出力はPC経由のみでしか192kHz/24bit以上のA/D変換ができませんでしたが、『 JOPLIN MkIII 』ではHDMIケーブルを用いたI2S(アイスケアエス)の採用により、PCM384KHz・768KHz、DSD256といった「超ハイレゾ」まで対応することができるようになったのです。

    I2S入力を採用したD/Aコンバーターは、今の所まだ市場には多くはありませんが、M2TECHでは「Evo DAC Two Plus」、そして今回ご紹介しますXIAudio『 SagraDAC 』が同じI2S方式に対応しています。今後、USBやS/PDIFに代わってデジタル伝送の主流になる可能性も十分にあります。

    そして、『 JOPLIN MkIII 』のメイン機能でもあるフォノイコライザーには、前作のLPレコード用16のカーブ、SPレコード用7つのカーブに、米国のクラシックレーベル「Bartok Records」専用カーブを加え、さらに充実(※)させたのです。
    ※この結果、1925年から1954年にレコードを製造していたほとんどのレーベルがカバーできました。

    マルコ・マヌンタ氏は、オリジナル盤や初期盤の真の実力を正確に引き出すには、アナログ方式のカーブ補正には限界があり、100%正確な値を引き出せないと考えたのです。その結果A/Dコンバーター自体に、FPGA回路(設計者が構成を設定できる集積回路)で32Bit精度によるカーブ補正を行うフォノイコライザー機能を加えて製品化したのです。

    前作からは、
    1. 入力インピーダンス設定を無段階のポテンションメーター(可変抵抗器)に
    2. より多機能なリモコンに
    3. 丸みを帯びた外装に
    4. 表示をレベルメーターつきOLEDディスプレイに
    とそれぞれ変更し、グレードアップを果たしたのです。

    さらに、通常のDC電源アダプターに加え、よりお買い得なオーディオ用高品位電源アダプター「iFi iPower Plus(15v)」とのセット製品『 JOPLIN MkIII & iPower Plus 』も同時に発売されました。

    『 JOPLIN MkIII 』は、比較的低価格に抑えながら、曖昧さを残さない徹底したフォノカーブへの対応により、あらためてアナログレコードの真の再生のあり方を示した製品といっても過言ではありません。

    レコード以外にも、カセットテープなどの豊富なテープライブラリーをデジタルアーカイブすることで、お持ちのD/Aコンバーターをさらに有効に生かせそうです。

    ■ XI AUDIO D/Aコンバーター《R-2Rラダー抵抗変換方式》『 SagraDAC 』【受注生産品】


    XI AUDIOは、2017年にマイケル・シャオ氏によって設立されました。彼は長年、放送機器をはじめとした業務機のマネジメントを手掛け、かのナグラ・プロフェッショナルの責任者という経歴を持つ技術者です。

    彼が手掛ける製品は、業務機としての質実剛健さに加え、音楽を楽しむためのエッセンスが組み込まれており、「真実の音」を表現するのが最大の目標だとしています。

    XI AUDIOのアンプ(「Formula P1000」など)のボリュームは、全て11時(XI)の位置からスタートします。

    これは、普通のアンプはボリューム位置がおおよそ11時よりも上で使うことを想定して設計されているのに対して、XI Audioは絞り切りでさえ、それらの性能を超えているという自信の表れだといいます。

    また今回ご紹介します『 SagraDAC 』は、「サグラダック」と発音し、その名前は、マイケル・シャオ氏が感動したスペイン・バルセロナの《サグラダ・ファミリア》に由来しているそうです。

    『 SagraDAC 』の最大の特徴は、前面パネルに書かれている「R-2R DAC」ということです。

    「R」はRegister(抵抗)で、抵抗をラダー型に組み合わせたD/A変換部を持っていることを意味していますが、一般的には「マルチビットDAC」といわれているものです。その上で、一般的に使われるDACチップではなく、一部のハイエンド機で見られるディスクリートで組まれたDACを採用しているのです。

    そのディスクリートのマルチビットDACは、デンマークのスークリス社製のもので、本機のために特注したものだそうで、0.012%精度の抵抗を216個も使用した高精度なもので、非常にコストの掛かる構成となっています。

    本機に採用されたのはサイン・マグニチュード方式といわれるもので、抵抗値「R」と「2R」の抵抗を使い、1bitあたり2個の「R+2R」とするもので、結果大規模なものになってしまったのです。この価格に抑えられたのは驚異的でもあります。

    PCオーディオには欠かせないUSB端子からのインプットに関しては、一般的に使われるXMOSではなく、イタリアのアマネロ社製のUSBコントローラーを採用しており、PCM384kHz/24bit、DSD11.2MHzに対応しています。なお、DSDは352.8kHz/24bitのPCM信号へ変換したのち、D/A変換されます。

    デジタル入力はUSB(Type-B)以外に、BNC、AES/EBU、I2S(HDMI端子)が各1系統ずつ。S/PDIFが3系統(RCA同軸×2、光TOS×1)用意されています。アナログ出力は、RCAとXLRを各1系統装備されています。

    電源もD/Aコンバーターとしては異例の規模で、大型のRコア・トランスを使用し、各セクションに対して9つの独立した高品位なアナログ電源を構成しています。

    内部のアナログ回路はあえてシングルエンド構成としており、本機のXLR出力は最終段でバランス化され出力されています。これはバランス回路の場合、前述の「R-2R DAC」基板がもう1枚必要となり、電源構成も複雑化して音質面への影響が避けられないとの考え方からです。

    この価格でマルチビットをディスクリートで組んだという、画期的なD/Aコンバーターの登場です。私自身、久々に食指を動かされました。そのサウンドはアナログライクなもので、本来の音源を脚色することなく、高解像度で模写するとしています。ハイエンドの風格もあるとのことです。大いに期待したいと思います。
    (あさやん)

    2019年5月 1日 (水)

    クラスを超えたパフォーマンスに大注目!!『 DALI OBERONシリーズ 』

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
    今回は、お手頃な価格とクラスを超えたハイクオリティ・サウンドを実現した『 DALI OBERONシリーズ 』を取り上げます。

    ■ DALIのスピーカーについて
    DALIは1983年、ピーター・リンドルフによりデンマークに設立されました。

    同社は、北欧を代表するAudio Nordグループのスピーカー製造・販売部門で、DALIの名称は「Danish Audiophile Loudspeaker Industries」に由来します。欧米では、ハイエンドスピーカーブランドとして確固たる地位を築いています。

    DALIは「オーディオ装置の存在を感じさせずに、もっと気軽に音楽を心から楽しんでもらいたい」という願いから、「Musical Emotion(音楽の豊かな感情)」を標榜し、研究開発をスタートしたといいます。

    周波数特性を重視するだけではなく、位相特性にも着目し、ドライバーユニットとネットワーク回路の完全なマッチングを図るべく、一体となって開発。信頼性のあるパーツと確かな技術で入念に作り上げられ、低損失を実現したのです。

    また、フラットなインピーダンス特性は、急激な負荷変動を与えない「アンプにやさしい」設計ともいえます。

    そのDALIのスピーカーで、2011年の発売以来、世界規模でベストセラーを続けてきたエントリーモデルでもある「ZENSORシリーズ」(一説には日本国内での累計販売台数が10万台を超えたとか)は、オーディオ業界では珍しい7年以上も人気を保った希有なシリーズでした。

    しかし、遂にフルモデルチェンジすることになったのです。

    その後継である『 OBERONシリーズ 』は、「ZENSORシリーズ」のパフォーマンスを大きく上回るべく、DALIが創業以来35年に渡り培ってきた様々な技術的ノウハウを注ぎ込み、お手頃な価格とクラスを超えたハイクオリティ・サウンドを実現したのです。

    『 OBERONシリーズ 』のラインナップは、ブックシェルフ型『 OBERON1 』『 OBERON3 』の2機種、トールボーイ型『 OBERON5 』『 OBERON7 』の2機種、センタースピーカー『 OBERON/VOKAL 』の1機種、そして今回新しく追加された壁掛けスピーカー『 OBERON/ONWALL 』の1機種で、全6機種です。

    これらのラインナップにより、2チャンネルの純粋なハイファイ用としては勿論のこと、音質重視のホームシアターでの複数チャンネルのスピーカーに使用することで、音色の一貫性も図れたのです。

    それでは、『 OBERONシリーズ 』で採用された技術を順に見てまいりましょう。

    ■ SMCマグネット・システムを採用したウーファー・ドライバーを装備
    2012年発売、DALIの最上位機「EPICONシリーズ」で初めて採用し、その後下位モデルに順次採用されてきた「SMC(ソフト・マグネティック・コンパウンド)磁気回路」のウーファーが、このクラスで初めて採用されました。

    SMCはコンパウンド状の砂鉄一粒一粒に科学的コーティングを施すことで電気的な絶縁性を確保し、電流歪を極限まで抑えたものです。


    ▲ウーファー内部の磁気回路

    ウーファーユニットのポールピースの一部にSMCを使用することで、磁気回路内部で発生する磁気変調と渦電流を低減し、結果として1kHz付近の低い帯域の耳につきやすい3次高調波歪を10dB前後も改善でき、高音質化を実現できたのです。

    このSMCこそ、DALIのスピーカーメーカーとしての地位を確固たるものにしたとも言える技術です。(「EPICONシリーズ」ではボイスコイルの外側にもSMCを採用しているとのことです。ここはやはりコスト面からでしょう。)

    ■ 4層巻CCAWボイスコイルを採用
    ウーファーの駆動力強化のため、4層巻ボイスコイルを搭載。ただ、4層巻ボイスコイルは駆動力が向上する一方で、重量が増加し、中音域の特性が劣化する可能性も否定できません。そのため、従来より軽量なCCAW(銅被覆アルミニウム線)を採用することで、駆動力と音質向上の両立を果たしたのです。(ONWALLモデルのみ、2層巻ボイスコイル)

    ■ ウッドファイバー・コーン・ウーファー搭載
    ウーファーの振動板には、DALIのトレードマークともいえるウッドファイバー・コーンを採用。均等な振動特性を持っており、偏った振動を抑えることで、正確かつナチュラルな音質を実現できたのです。この振動板は、高分子パルプと木の繊維(細かく砕いたウッドファイバー)を配合した複合素材で、表面にはクリアコートを施しています。エッジのラバーにもリニアで微妙な動きに対応する「ローロスタイプ(良く弾む)」を使用しています。

    これにより、炸裂するようなハイレベルなサウンドから、微小な信号に至るまでリニアに反応します。『 OBERON3 』『 OBERON7 』には7インチ(180mm)ウーファーを搭載。通常、(「EPICONシリーズ」などの上位機)使われる6.5インチ(165mm)ウーファーよりも約15%ほど広い表面積を持つため、よりダイナミックな再生が可能となったとしています。

    ■ すべてのモデルに大口径29mmツイーターを採用
    「EPICONシリーズ」では、29mmソフトドーム・ツイーターが新開発されましたが、『 OBERONシリーズ 』では、専用の29mmの超軽量シルクファブリック(絹織物)ツイーターが新規に開発され、全モデルに搭載されています。


    ▲ツイーターの内部構造

    前作「ZENSORシリーズ」をはじめ、一般的な25mmのツイーターより大口径にすることで、大入力が可能で、従来より低い周波数帯域までカバーできたのです。

    前述のSMCとの相乗効果で、ウーファーとの繋がりがよりスムーズになったとしています。これにより自然でバランスのとれた均質な中音域再生を実現できたのです。

    ポールピースの上部にはソフトフェルトのアブソーバーが装着されており、このダンピング素材を追加することで、従来の簡単な構造のツイーターに使われる平坦なポールピースから生じる不必要な音の反射を抑制したとしています。

    また、取付部にはワイドな拡がりを実現する新型ツイータープレートを装備しています。

    ■ 高剛性MDFエンクロージャー


    エンクロージャーには従来機より強化された内部補強構造をもつ、高剛性MDFエンクロージャーを採用しています。内部の吸音材は2種類のものを使用(「ZENSORシリーズ」は単一素材)しており、モデルや配置箇所に応じて最適化しているとしています。

    また、よりストレートな低域再生を実現するため、『 OBERON/VOKAL 』を除き、リアバスレフ・ポートを採用(「ZENSORシリーズ」はフロント・ポート)し、さらに『 OBERON1 』『 OBERON3 』『 OBERON5 』『 OBERON7 』のポート開口部を拡がりのあるフレア形状とすることで、エアフロー(空気の流れ)を改善し、ノイズの低減も図れたとしています。

    ■ 洗練されたデンマーク・デザインを採用
    外観は大幅に刷新され、キャビネット・カラーは、ダークウォルナット(DW)、ブラックアッシュ(BA)、ライトオーク(LO)、ホワイト(WH)の4色展開となりました。

    DWやBAのモデルはより精悍な外観へ変貌、新しく追加されたLOやWHのモデルはより洗練され、よりスタイリッシュになりました。

    フロントグリルのデザインは4隅をラウンドとした斬新なものとなり、DW/BAのモデルにはシャドウブラック、LO/WHにはマウンテングレイのグリルが標準装備されています。

    フロント・バッフルは、ブラックとホワイトともに、よりインテリアにマッチする、マット(艶無)仕上げに変更されました。

    トールボーイ型の『 OBERON5 』『 OBERON7 』に標準装備された、不要な振動を抑制するアルミ・ベースも、従来よりエレガントなデザインになっています。なお、リアの入力端子は全機種シングル仕様となっています。


    ▲アルミ・ベース


    ▲シングル仕様の入力端子

    ■ 『 OBERONシリーズ 』のサウンドを日本橋1ばん館でじっくり確認しました。(日本橋1ばん館には『 OBERON1 』『 OBERON3 』『 OBERON5 』『 OBERON7 』が展示されています)
    『 OBERON1 』


    試聴室の中では高さ27.4cmは想像以上に小さく、本来の意味でのブックシェルフ型といえる寸法です。

    しかし音を出した瞬間、「本当にこのスピーカーが鳴ってるの?」と思ったくらい低域がしっかりしており、量感も十分感じさせてくれました。特に、滑らかで自然なボーカルは、大型の高級機種でも難しいのではと感じました。

    デザインも前作の「ZENSORシリーズ」より高級感があり、サウンドも落ち着きがあり、奥行き表現は明らかに上回っていました。クラシックにも十分対応できる貴重な小型スピーカーといえます。


    『 OBERON3 』


    『 OBERON1 』より一回り大きい、標準的なブックシェルフ型です。中域は更に充実し、低域の量感も見た目以上にしっかりしたものでした。

    やはり大きさからくる余裕を感じさせ、さらに躍動感が出て来て、ジャズやポップス系の快活さも十分味わえます。ベースやピアノは力強くなり、オールマイティにどんな音楽でも楽しめそうです。


    『 OBERON5 』


    『 OBERONシリーズ 』の中では最もお買い得感のあるスピーカーです。小型トールボーイで場所を取らず、置き台も標準装備されていて、使い易いスピーカーです。

    さすがにブックシェルフ型より更に低域が充実しています。全体にバランスが良く情報量も多いのですが、決してモニター的にさらけ出すタイプではなく、音楽の美味しい部分を上手く引き出してくれ、DALIのセンスの良さが感じられます。


    『 OBERON7 』


    さすがに大型だけあって量感たっぷりで、音楽を朗々と聴かせてくれます。超低域から超高域まで実にスムーズに伸び、密度感も十分感じさせてくれます。中高域の艶やかさや滑らかさはDALIの本領発揮と言った印象です。音場は広く深く透明で見通しが良く、スタジオの空気感まで感じられる程です。この完成度でこの価格は値頃感を感じます。

    ■ 最後に
    『 OBERONシリーズ 』を聴いての筆者の印象は、そのC/Pの高さです。

    前シリーズ「ZENSORシリーズ」との価格差はほんの僅か(『 OBERON5 』はペアで2,000円アップ)なのにも関わらず、オーディオ的にも意匠的にもかなりブラッシュアップされたと感じました。

    「ZENSORシリーズ」の元気に張り出すタイプの音と違い、落ち着いたオーディオ的魅力を感じさせてくれるハイレベルな仕上がりのスピーカーでした。

    デザインも上品なもので、北欧メーカーの落ち着きやセンスの良さを感じさせてくれました。日本家屋にもピッタリです。
    (あさやん)

    2019年4月29日 (月)

    ヘーゲル 最新鋭プリメインアンプ『 H90 』『 H190 』の魅力とは?

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。今回は、ノルウェー発のハイエンドオーディオブランド「ヘーゲル (HEGEL)」の最新鋭プリメインアンプ『 H90 』と『 H190 』の魅力に迫ります。


    ■ ヘーゲル社とは
    ヘーゲル(HEGEL)社は、Bent Holterによって、1997年にノルウェー・オスロで設立されました。社名の由来は、著名なドイツの哲学者ヘーゲルからきているといいます。

    その理念は、アコースティック楽器を最も自然な音で再生することで、透明感や微細なディテール表現、抑揚感、臨場感あふれる描写力を追求しているといいます。そのため、半導体物理学の豊富な経験から、実際の音楽信号再生におけるトランジスタの動作を最適化させ、オリジナル音楽の忠実な再生を追い求めているとしています。

    ヘーゲル製品は、自然なスタイルで音楽ソース(特に、アコースティック楽器やボーカル)をオリジナル同様に正確に再現することを目指し、人工的に手を加えられることも欠けることもないといいます。ヘーゲルシステムで奏でられる音楽は、生のスタジオセッションに非常に近いもので、音楽愛好家に最も自然な音、及び、可能な限り魅力的な音を提供し、自然で魅力的な音楽再生を実現するとしています。

    また、ヘーゲル製品は創業当時から、そのドライブ力や音質が高く評価されており、JAZZファンにはお馴染みの音楽レーベル「ECM」のスタジオのリファレンスアンプとして採用されているとのことです。これこそ、信頼性を極度に要求されるスタジオで使用される程に、ヘーゲルの技術力が高いことを証明しています。

    ヘーゲル製品の第一の特徴は、高度な研究結果に基づいた最新のオーディオ・シグナルプロセシング技術を活用していることです。最も特徴的なのは、独自の「Sound Engine(サウンドエンジン)」技術で、それは多くの異なるタイプの静的・動的歪みを取り除く特許取得のフィード・フォワード技術です。さらに、動的なクロスオーバー歪みを取り除くことにも成功しています。これらは、ヘーゲルの全ての機器に採用されています。

    この「Sound Engine」こそヘーゲル設立の要因ともなったオリジナル技術なのです。

    今回、ヘーゲルのプリメインを紹介されていただく理由は、国産プリメインと遜色ない価格設定を実現した上で、国産にはない魅力的なサウンドを聴かせてくれるためです。それでは、最新鋭プリメインアンプ『 H90 』『 H190 』の特徴を順に見てまいりましょう。

    ■ ヘーゲル DAC内蔵プリメインアンプ『 H90 』

    まず、前作「H80」より価格が4万円も下がっていることに驚きました。前作同様にD/Aコンバーターを内蔵していますが、バランス入力がなくなり、パワーも75W+75Wから60W+60Wに抑えられています。そこには、前作以降の技術的進化を取り入れるとともに、機能を取捨選択することでコストダウンを図り、広くヘーゲルサウンドをアピールしたいという意気込みを感じます。

    上級機「H360」で採用された独自の「DualAmp Technology(デュアルアンプ テクノロジー)」を採用しており、一般的なアンプでは、電圧利得段と電流利得段は同一のアンプモジュールとして設計されますが、「DualAmp Technology」では、これら2つの電圧と電流の利得段(ステージ)を、完全に独立した異なるものとして専用設計されています。

    本来、電流利得段はスピーカーへの大電流を供給する役割を担っていますが、この2つのステージを分離させることにより、スピーカー駆動の大電流に起因する影響が、感度の高い電圧利得段のパーツへ及ぶのを防いでいるのです。これは、プリメインアンプの形式を取りつつ、セパレート化したともいえ、更なる低歪み率と高ダイナミックレンジ特性を実現したのです。

    また電源部でも、電源トランスの巻線を別にすることで同様の構成(デュアルパワー電源)をとって、電流増幅の影響を回避しているとしています。高品位でハイスピードな電源も、同社の従来からの特徴でもあります。

    出力段はバイポーラ・トランジスタによるシングル・プッシュプル(PP)動作で、前述の「Sound Engine」という一般的なNFB(ネガティブ・フィードバック:負帰還)ではなく、フィードフォワード(出力に影響するような歪みを予測し、前もって打ち消してしまう制御方式)での補正回路を採用しています。

    このフィードフォワード補正回路の動作原理は、PP動作を構成するNPN型とPNP型の非対称の特性をもつトランジスタでは、どうしても避けられないクロスオーバー歪みや混変調歪みを解消するための技術です。一般的に使われるバイアス電流の調整では、実際の音楽信号自体が非対称であるため、効果がないとの考えから開発されたといいます。

    本機ではこれまでの製品より、これをさらに進化させており、さらなる低歪率を実現し、ダンピングファクターも前作「H80」の1000から2倍の2000にまで向上させています。

    ボリュームには、高周波測定器レベルのテクノロジーに基づいた高精度で低ノイズレベルの電子ボリューム(※)が採用されています。スピーカーターミナルは1系統ですが、このクラスとしては贅沢なWBT製が使われています。※2013年のノーベル賞のヒックス粒子検出に採用された技術を応用

    入力系では、バランス入力をなくした分、Ethernet(LAN)入力が採用されたのですが、本機は前作同様にD/Aコンバーターが搭載されており、従来の光(TOS×3系統)/同軸/USBにEthernetが加わることで、ネットワーク再生にも対応することになったのです。

    光/同軸は、192kHz/24bitに対応。USB入力はドライバーなしで再生可能な96kHz/24bitまでにとし、あえて高スペックを目指すのではなく、コンピューター上のプレイリストでの再生では、プレイ/スキップ/ポーズを付属リモコンで操作できるという親切設計です。

    フロントパネルには上位機種と同じ、有機ELディスプレイやヘッドフォン出力端子を装備しており、入力ソース切替およびボリュームコントロールは、コンパクトな付属リモコンで可能です。フロントパネルは複合素材による緩やかな美しい「ヘーゲル曲線」ともいわれる曲線を描いたシンプルなもので、優雅で北欧らしさを感じさせます。

    ■ ヘーゲル DAC内蔵プリメインアンプ『 H190 』

    「H160」の後継機であり『 H90 』の上位機です。『 H90 』同様、「DualAmp Technology」と「Sound Engine」、そしてデュアルパワー電源を採用しています。出力段は、パワーバイポーラ・トランジスタのパラレル・プッシュプルとなっており、出力は 150W+150W(前作同様、4Ω負荷時250W+250W)です。

    大型トロイダル電源トランスと6本の高品位フィルターコンデンサーを備えた強力でハイスピードな電源部を搭載しており、ダンピングファクターは驚異の4000以上を実現しています。

    入力は、『 H90 』にXLRバランス1系統とRCAシアターパススルー入力1系統が加わり、もちろん本機もEthernet入力を備えておりAirPlay/DLNA/Spotifyなどのネットワーク再生、ストリーミング再生にも対応しています。

    ■ 日本橋1ばん館リファレンスルームで『 H90 』を試聴しました。

    写真下段:HEGEL『 H90 』(上段:Mytek「Brooklyn DAC+」)



    そのサウンドの第一印象はビロードのように滑らかで、静かで透明感が素晴らしく音場は澄みわたっていました。重苦しさは皆無で、音楽にどんどん引き込まれてしまいそうな、表現力の高さを実感しました。

    低域は無理に下まで欲張ったり、グイグイ押しの強いタイプではないのですが、決して痩せることはなく、ブーミー感のない締まりあるもので、弾み感、スピード感も十分です。

    中高域は暖かく穏やかで、耳に優しく感じました。特に印象的だったのは、ボーカルとアコースティック楽器で、ボーカルの生々しさは格別で人肌の温もり感、伸びやかさは生で聴いているようでした。ベースやアコ-スティックギターの木質感は抜群で、とにかく鮮度感が高くリアルでした。

    ヘーゲルの一見地味なデザインは、日本人には好みの分かれる所ですが、しっかりした作りの落ち着いたデザインは、何年経っても飽きさせないものがあります。

    『 H90 』は、20万円台の国産プリメインでは絶対味わうことのできないサウンドを提供してくれます。こういう音楽性たっぷりの本物のプリメインが、日本でもっと受け入れらるようになれば、いよいよ国内オーディオ市場も真の成熟期に入ったといえると思うのですが・・・。
    (あさやん)

    2019年4月27日 (土)

    究極のデジタルプレーヤー! エソテリック『 Grandioso P1X / D1X 』遂に完成!!

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。今回は、エソテリックより、遂に完成した究極のデジタルプレーヤー『 Grandioso P1X / D1X 』を取り上げます。


    ■ オーディオショウで注目の的
    昨年(2018年)の「東京インターナショナルオーディオショウ」での出展ブースの中で、最も注目を集めたのがエソテリック。中でも、今回取り上げる最新トランスポート『 Grandioso P1X 』と、D/Aコンバーター『 Grandioso D1X 』に注目が集まっていました。

    あまりの来場者の多さに、筆者もなかなか展示品まで近づけなかったのを思い出します。それほどにオーディオマニアはもちろんのこと、販売店の担当者でさえ、現物を一目だけでも自分で確かめたくて製品の前に殺到したのでした。

    オーディオショウの時点では、まだはっきりとした製品価格や製品内容のアナウンスはありませんが、これは恐らくかなりの高額(国産としては)になるだろうことは想像できました。それくらいに同社の従来製品はもとより、世界中のデジタルディスクプレーヤーの中でも飛び抜けたフィーチャーが『 Grandioso P1X 』にも『 Grandioso D1X 』にも見られたためで、その詳しい内容の発表が待ち望まれていました。今回は、その全貌に迫りたいと思います。

    ■ エソテリック『 Grandioso P1X / D1X 』までの変遷
    ティアックがハイエンドブランドとして「エソテリック」を初めて名乗ったのが、今から32年前の1987年。最初の製品がオリジナルのVRDSメカニズムを搭載した「P1」と、そのペアとなるD/Aコンバーター「D1」でした。

    その後、1997年にブランド誕生10周年記念として、今や伝説となったCDトランスポートの名器「P-0」を発売。2004年には株式会社ティアック エソテリック カンパニー(その後、2008年エソテリック株式会社に社名を変更)として独立、フラッグシップとなるSACD/CDセパレートプレーヤー「P-01」「D-01」を発売したのでした。

    そして2013年、《 ESOTERICのすべての英知を結実し、新たなる頂きへ向かう。グランディオーソと言う名の新たなるフラッグシップ 》として、「Grandioso P1」「Grandioso D1」「Grandioso M1」を発売。2017年にブランド生誕30周年を迎え、2019年春、遂に「究極のデジタルプレーヤー」の『 Grandioso P1X 』『 Grandioso D1X 』が誕生したのです。

    それでは、その「究極」のフィーチャーを見てまいりましょう。

    ■ SACD/CDトランスポート『 Grandioso P1X 』(本体と電源部の2筐体)

    前述の初代「Grandioso P1」が登場して6年。この間、CDメカ、とりわけSACDメカは開発メーカーSONYを含め、殆どがその製造から撤退してしまい、SACDのフォーマット自体が存亡の危機とも言える状況(もちろん、一部のレーベルはソフトの供給をし続けてくれていますが)です。そんな中、孤軍奮闘ともいえるのがエソテリックです。それこそが、自社でメカを作れる強みです。

    2003年にSACD対応トランスポート・メカニズム「VRDS-NEO」が登場してから16年間、基本設計は変えてきませんでした。『 Grandioso P1X 』では新たなメカ「VRDS-ATLAS」を開発し、搭載したのです。これが今回の最大のトピックです。ちなみに、ATLASとはギリシャ神話の神様で、「両腕と頭で青空を支えるとされる、巨体の神」のことだそうです。

    既に、業界最高のメカと謳われた「NEO」のレベルを、これ以上に向上させるということは至難の技であったことは想像に難くありません。これこそ同社にとっては、社運を掛けた挑戦だったともいえます。「NEO」のメカ設計を根幹から見直し、類まれなる機構の構築と高音質を誇る新規設計の究極のメカ「ATLAS」が遂に完成したのです。

    「ATLAS」はVRDSメカニズム史上最高の剛性と重量を誇り、剛性と力強い音色を両立するSS400スティール製フレーム、ブリッジを大型化し、「NEO」との比較で重さが+27%(メカ単体6.6kg、ベース部含め13.5kg)もの重量級コンストラクションが実現したのです。この結果、音質に悪影響を及ぼすあらゆる振動を極限まで減衰させたといいます。私はオーディオショウで、メカの見本を持ち上げさせてもらった際の重さには驚愕しました。

    ターンテーブルには、すでに音質で定評のあるジュラルミンを採用。スムーズな回転のため、スピンドル軸受けには新設計のスティールボールによる点接触のスラスト軸受け(回転体の軸方向に働く力を受け止める軸受)を採用し、摩擦や回転ノイズを極限まで抑える設計としたのです。さらに、メカニズム全体を低重心化し、モーターをターンテーブルの下側に持ってくる駆動方式に変更することで振動の地面へのアースが強化され、機械的ノイズを圧倒的に低減することに成功したのです。

    トレーの開閉機構には、「これぞハイエンド」といえる操作感・質感を実現。トレーは最も共振が少ない形状にデザインされ、スムーズな開閉、驚くほど遊びが少なく精密にロックします。さらに、特殊な振動吸収樹脂で音楽再生時のトレーの共振を最小限に防いでいます。

    「ATLAS」メカ以外にも、
    1. HDMIケーブルを使って広帯域伝送を可能にする独自のES-LINKは最新鋭「ES-LINK5」と進化し、最大:DSD22.5MHz、PCM768kHz/48bitの伝送が可能になりました。『 Grandioso D1X 』との組み合わせで最高のパフォーマンスを発揮します(もちろん『 Grandioso D1X 』にも採用)。
    2. 伝統の本体と電源部を分離した、2シャーシ構成を採用。電源ユニットには、合計で4つの独立したトロイダル電源トランスを搭載。
    3. 電源回路にはスーパーキャパシター「EDLC」を38本(合計容量1,400,000μF)搭載し、低域の解像度などに目覚ましい音質向上を実現できたとしています。
    4. 新たにトップパネルをネジで締め付けないセミフローティング構造にすることで、伸びやかで開放感のあるサウンドを引き出したとしています(『 Grandioso D1X 』にも採用)。

    ■ D/Aコンバーター『 Grandioso D1X 』(モノラル2筐体)
    今や、D/AコンバーターやCDプレーヤーに搭載されているDACチップ(ESSやAKM製)がマニアの注目を集め、少々騒ぎすぎの感なきにしもあらずの状況です。それはあたかも、DACチップが機器の音質を大きく支配しているかのような論調(※)があまりに多すぎるからでしょう。
    ※ここは筆者も大いに反省すべきだと思っています。

    そんな中、エソテリックは集積回路によるチップよりも、更にハイグレードなパーツ、贅沢な物量を投入して、完全自社設計の64bit DAC回路「ESOTERIC Master Sound Discrete DAC」をディスクリートで作り上げてしまったのです。小さく詰め込まざるを得ないチップとは違い、大きく作れるメリットは計り知れないと思います。


    写真のように、半円形に配置された8つの回路エレメントが1つのDAC回路を、それをチャンネルあたり4回路使って構成。合計で32回路(2つの円形として配列)を独立させる贅沢な構成を採用しています。もちろん、自社工場での厳密な管理下で製造し、バラツキを極力抑えているといいます。これこそ至難の技であり、そこにはエソテリック技術陣の執念さえ感じさせます。

    前作「Grandioso D1」は、旭化成(AKM)の32bitDAC「AK4495S」を搭載し、PCM:384kHz/32bit、DSD:2.8/5.6MHzに対応していたのに対し、本機では64bit高解像度処理により、PCM:768kHz/32bit、DSD:22.5MHzまでネイティブで変換できるといいます。16bitのCDにおいても、その効果は絶大だといいます。しかも、今話題のMQAデコード(もちろん、MQA-CD)にも対応しています。

    「ディスクリートDAC」以外にも、
    1. 独自の電流伝送強化型出力バッファー回路(ESOTERIC-HCLD)には、応答速度を表すスルーレートが2,000V/μsという驚異的なハイスピードを誇る素子を採用しています。
    2. デジ/アナの分離を電源部まで徹底し、電源レギュレーターは、集積回路を使わないディスクリート構成としています(『 Grandioso P1X 』にも採用)。
    3. 『 Grandioso P1X 』同様、電源回路の随所に「EDLC」を合計50本(合計容量1,300,000μF)搭載。
    4. ソース、お好みに応じて、PCMデジタル信号を2 / 4 / 8 / 16倍(最大768kHz)へのアップコンバートや、PCM→DSDの変換機能も搭載しています。さらにデジタルフィルターのON / OFFも可能です。リスナーの好みの音質が選べます。

    ■ 最後に
    このように、フラッグシップの名に相応しい究極のデジタルプレーヤー(トランスポート+D/Aコンバーター)の完成です。16bitのCDの音がハイレゾを上回ったとの噂も流れてきました。まさに、エソテリックは「そこまでやるか」を具現化してしまったのです。

    エソテリックが、さらにその上を行く「超エソテリック」になった瞬間です。
    (あさやん)

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