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2019年7月15日 (月)

XI AUDIO『 SagraDAC 』はCDの真の実力を引き出す!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
以前このコーナーでご紹介しました XI AUDIO『 SagraDAC 』を、実際に自宅試聴しましたので、詳しくレポートさせていただきます。


その前に“XI AUDIO”の説明から、“XI AUDIO”(イレブン・オーディオと読みます)は2017年にマイケル・シャオ氏によって設立されました。彼は長年、放送機器をはじめとした業務機のマネジメントを手掛け、かのナグラ・プロフェッショナルの責任者という経歴を持つ技術者です。彼が手掛ける製品は、業務機としての質実剛健さに加え、音楽を楽しむためのエッセンスが組み込まれており、“真実の音”を表現するのが最大の目標だとしています。

“XI AUDIO”という名前は、同社のアンプのボリュームが全て11時(XI)の位置からスタートすることに由来しています。通常、アンプはボリューム位置が大体11時よりも上で使うことを想定して設計されていますが、“XI AUDIO”は絞り切ってもその性能を超えているという自信からのネーミングだと言います。


■ XI AUDIO『 SagraDAC 』
この変わった名前『 SagraDAC 』は“サグラダック”と発音し、その名は、マイケル・シャオ氏が実際に見てその姿に感銘したという、スペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリア(Sagrada Familia)から来ているそうです。その『 SagraDAC 』には、人々が驚く程の存在感があり、かつ感動する程の細部も備わっていなければならないという意味が含まれているそうです。

『 SagraDAC 』の最大の特長は、前面パネルにも書かれている「R-2R DAC」です。「R」はRegister(抵抗)のことで、抵抗をラダー型に組み合わせたD/A変換部を持っていることを意味していますが、一般的には「マルチビットDAC」と言われているものです。しかも一部のハイエンド機でしか見られないディスクリートで組まれたDACを採用しているのです。

デジタル機器の登場からしばらくの間は「マルチビットDAC」が主流でした。それは今に至るまでほとんど全てのデジタル録音が、PCMを使用して行われており、アナログ信号が一定の解像度とレートでサンプリング(※)されます。(※最新録音では384,000Hz、24ビットというものまであります。)

これをアナログに戻す最適な方法は、「R-2R DAC」を使用して直接アナログに変換することですが、優良なR-2Rチップを作るには技術的な困難を伴い、製造コストがかかるため、現在では1ビットのデルタシグマDACが一般的となっています。これは低コストでチップとして大量生産できるためで、マルチビットDACチップ(※)で必要な、高コストのトリミング(抵抗の微調整)工程が必要ないからです。(※代表的なマルチビットDACチップとして、バー・ブラウンの「PCM1704」がありましたが、現在それに代わるマルチビットDACは存在しません。)

そのディスクリートのマルチビットDACには、デンマークのスークリス社製のものを、本機のために特注したそうです。《0.0012%精度》の抵抗を216個(写真)も使用した高精度なもので、非常にコストの掛かる構成です。本機に採用されたのはサイン・マグニチュード方式と言われるもので、抵抗値「R」と「2R」の抵抗を使い、1bitあたり2個の「R+2R」とするもので、結果大規模なものになってしまったのです。『 SagraDAC 』がこの価格に抑えられたのは驚異的でさえあります。



PCオーディオには欠かせないUSB端子からのインプットに関しては一般的に使われるXMOSではなく、イタリアのAmanero社製のUSBコントローラーを採用しており、PCM384kHz/24bit、DSD11.2MHzに対応しています。なおDSDは352.8kHz/24bitのPCM信号へ変換したのち、D/A変換されます。

デジタル入力は、USB(B-Type)以外にはBNC、AES/EBU、I2S(HDMI端子)が各1系統ずつ。S/PDIFが3系統(RCA同軸×2、光TOS×1)用意されています。アナログ出力は、RCAとXLR(シングルエンド構成のため、バッファー回路を通してバランス化)を各1系統装備されています。

そして『 SagraDAC 』のもう一つの大きな特長は、「S-PDIF Blade機能」の搭載です。これは入力のS/PDIFの「RCA2」と「BNC」のみで機能し、S/PDIFデジタル信号の0か1かを判断する閾値(いきち:条件分岐の境目、ギリギリの値)を変えることで、ロックの安定性を上げ、音質を向上させる効果があるとしています。


S/PDIFの転送データは、クロック信号とデータを合成するバイフェース符号という簡単な方法で送られています。しかし端子やケーブルの影響で、パルスが正確な矩形波(くけいは:規則的かつ瞬間的に変化する波形)とはならず、台形になったり波形が乱れたりしてしまい、正しいクロックが復元できず、転送は不安定(最悪時はロックできない)になったり、ジッターが発生してD/A変換の精度が落ちてしまいます。
それを回避するため 、ある電圧(図の横点線)でこの矩形波を捉え、正確なクロックで復元しようとするのがブレイド(片刃の剣で横一文字に切ることからのネーミング)の考え方です。実際には電圧の低い[1]から一番高い「9」までの9段階を耳で聞きながら手動で決定します。これはCDプレーヤーの製造年代やメーカーで、この矩形波に違いがあるのを補正する機能とも言えます。



『 SagraDAC 』の自宅試聴に際しては、同社のフルバランスディスクリートプリアンプ『 Formula P1000 』も同時にお借りして、こちらでも試聴しました。

『 Formula P1000 』は、非常にシンプルでフロントパネルにはボリュームしかなく、電源スイッチはもちろん、XLR統の入力切り替えもリアパネルにあるという、究極のシンプルさです。しかもディスクリート方式にこだわる余り、XLRの4つの出力(L/R、Hot/Cold)をそれぞれ別電源とすることで、フルバランス仕様を実現しています。

入力はXLR×2、出力はXLR×1で、ゲインは最近の高出力のデジタル機器に合わせて、やや控えめな6dBと15dBの切替のみとしています。回路には駆動力に優れたプッシュプル回路を採用し、バイアス電流を通常必要量の10倍とすることで、滑らかなA級動作(極深度A級動作)が得られるのです。パワーアンプと違い、発熱に問題のないプリだから成し得たことだとしています。

『 Formula P1000 』は、マイケル・シャオ氏が過去に自作した真空管プリの経験を生かして製作したもので、真空管では不可能なスペックを実現した、自身最高傑作のトランジスタ・プリアンプだとしています。もちろんボリュームは11時から始まります。


▲「SagraDAC」
試聴は、最初に筆者のリファレンス機器に『 SagraDAC 』のみを接続し、ほとんどCDプレーヤーの同軸デジタル出力で行いました。

まずはその厚い中低域に感動しました。かつてCDでこんな密度の高い、ドッシリした音を聴いたことがありません。とにかく音が全体に太く、超低域は深く沈み込み、低域は張りがあって弾けます。中域にも力があり、充実感、安定感は抜群です。高域は素直かつ伸びやかで、存在感のある力強いものです。

音像がすっくと立ち上がり、どんどん聴き手に迫って来ます。この感じはかつて聴いた2トラ・38のオープンデッキのサウンドを彷彿とさせるものです。特にTBM鈴木勲トリオの「ブローアップ」は圧巻でした。実に生々しく、まさに目の前で演奏しているかのような臨場感。緊張感たっぷりのまさにアナログレコードの世界でした。

余りの存在感のある音に、思わず試聴メモを取るのも忘れ、次々CDソフトを取っ替え引っ替え聴いてしまっていました。バスドラやエレキベースの迫力、中域のしっかりした生々しいボーカル、ピアノや打楽器の立ち上がりの良さ、ギターの弦を擦る生々しさ、フュージョンサウンドの分厚い張り出し感・・・。

そして「Blade機能」を手動で設定してのベストな状態でのサウンドは、音像が鮮明になりフォーカスがピッタリ合ったのです。実在感がさらに高まって感じました。

過去に聴いたことのない、しかしどこか懐かしくもある(マルチビット)サウンドに、感動しっぱなしの試聴でした。

次に、プリアンプに『 Formula P1000 』を使い、パワーアンプに直接バランスケーブルで接続して試聴しました。


▲ 左「SagraDAC」 右「Formula P1000」


上の写真を見ていただくと分かりますが、同一メーカーでありながら大きさ、形、インジケーターの色など一貫性、関連性は全くありません。良い音のためには関係ないとの考えからなのでしょう。

結果は、前述の『 SagraDAC 』のサウンドをさらにバージョンアップしたような、ゴリゴリと迫ってくる骨太サウンド。吹っ切れ感を伴ったストレートで、ある種業務用っぽい、プロ機らしいサウンドでした。特に、ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビイ」は圧巻で、力強い迫真の演奏、バックの聴衆が見えるようなライブ感、1961年録音とは思えない生々しさには感動しました。

しかし一方で、ストレートなサウンドが倍加されたことで、しっとり感や滑らかさは多少後退し、左右への拡がりに比べ奥行き感が浅く、若干超高域の情報量も少なく感じました。ボーカルやクラシックなどは、『 SagraDAC 』単独の方がベターとも感じました。

『 SagraDAC 』は、この価格でマルチビットをディスクリートで組んだという画期的なD/Aコンバーターです。CDソフトから本当の実力を引き出したい方、今主流の1ビットDACの音にご不満(音が綺麗すぎる、音の芯がない等)をお持ちのオーディオファイルにこそお勧めしたい、『 マルチビットDAC搭載D/Aコンバーター 』です。
(あさやん)

2019年7月11日 (木)

ミニコンポを超えたミニコンポ!! marantz『 M-CR612 』ヒットの理由とは?!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。

今回、このコラムでは初めてピックアップするCDレシーバー、しかもミニコンポサイズのmarantz『 M-CR612 』をレポートします。その理由はズバリ、予想以上の人気に驚いたからで、これほどのヒットになるとは2019年3月末の製品発表時点では予想できなかったためです。急遽、ジョーシン日本橋1ばん館にて試聴しました。


■ marantzのミニコンポサイズCDレシーバー
marantzのミニコンポサイズCDレシーバーは、2009年発売の「M-CR502」、2010年の「M-CR603」、2013年の「M-CR610」、2015年の「M-CR611」と続き、今回の『 M-CR612 』で5世代目となります。


▲ 初代機「M-CR502」

初代機「M-CR502」も今と同じ横幅28cmで、その製品コンセプトは、小型スピーカーと組み合わせるミニコンポ用のCD/FMチューナー内蔵アンプというものでした。

そして初代機から、ラウンドフォルムのユーロモダンデザイン、1台でバイアンプ可能な4chデジタルパワーアンプ、2系統のスピーカーターミナル装備、単品CDプレーヤーと同一のメカ搭載、USB入力端子搭載 、そして定格出力50W+50Wというスペックでした。さらに「M-CR603」からはネットワークやBluetoothにも対応したのでした。

しかし、我々オーディオファン、特に単品コンポユーザーにとっては、ミニコンポは歩んできた通過点であり、「今さら何故ここで取り上げるの?」と疑問を持たれるのは当然だと思います。しかも、ミニコンポと聞くだけで、どうしてもドンシャリの若者向けの派手なサウンドやペラペラの薄べったいサウンドをイメージしてしまいます。

ただ、初代機の企画段階では、marantzは元々他のオーディオメーカーと違い、ミニコンポにはあまり強くなく、ミニコンポサイズの製品を商品化するにあたっては、同社が持つ単品コンポのノウハウを生かして、真面目にひたすら音の作り込みを行うしかなかったのでした。勿論当時は、さほど売れるとも考えてなかったようですが・・・。

それがステレオコンポなのに、4chデジタルアンプを搭載したバイアンプ駆動(※)という仕様というレシーバーでした。発売後徐々にではありますが、ミニコンポ売場にちょっとまともな音のするレシーバーがあると、音の分かる一部のユーザーには目を付けられていたようです。
※バイアンプ駆動:2ウェイスピーカーのウーファーとツイーターを別々のアンプでドライブすること

しかも思いも寄らないことが海外で起きたのです。ヨーロッパではmarantzブランド製品は、販売ルートの関係で、家電店ではなくオーディオ専門店で展開されており、「M-CR502」もそうだったようです。そこで、耳の肥えた販売員がその音質の良さに目を付け、そこから快進撃が始まったそうです。その噂が日本にも聞こえて来るにつれ、人気が高まっていったのです。

そして『 M-CR612 』の前作に当たる「M-CR611」は、発売当初からこのクラスとしては異例のヒットを続け、惜しまれつつも今春生産終了を迎えてしまったのでした。その大ヒット作である「M-CR611」のどこをどのようにブラッシュアップしたのでしょう。しかも、値上げなしにです。そのあたりを見てまいりましょう。

■ CDレシーバー『 M-CR612 』とは
デザインは初代機から、銘機「MODEL7」を思わせるmarantz伝統の左右シンメトリーにこだわっていましたが、代を重ねるごとに高級感が増し、『 M-CR612 』ではラウンドのかかった3ピースのフロントパネル、ハードコートのアクリルトップパネル、そしてイルミネーションなど、marantzの単品コンポーネントを彷彿とさせる、高級感あるデザインに仕上がっています。

本機の「肝」は、何といってもパワーアンプです。前述のように、初代機から続く4chアンプというのは同じで、そのデバイスにはTI(テキサス・インスツルメンツ)製を使用しています。ただ、この素子は実際には8ch仕様となっており、これを2chずつまとめて4ch使いとしているそうで、ノーマル状態ですでにBTL接続になっているらしいのです。

スピーカー出力は2組あり、「バイアンプ接続」では対応スピーカーの低域/高域それぞれを独立したアンプで駆動することで、ウーファーからの逆起電力など相互干渉を排除します。また、「マルチドライブ接続」では2組同時または切替えて聴くことができ、別の部屋のスピーカーの音量もリモコンで別々に調整できます。ここまでは従来機と同じです。

ここに、あるデータがあります。前作「M-CR611」の利用者を調査した所、バイアンプで使用している人の割合が、日本:18%、ヨーロッパ:8%、アメリカ:10%と、バイワイヤリング対応のスピーカーの多いヨーロッパですら10%未満という状況だったのです。

結果、ほとんどのユーザーは、シングルワイヤ接続でしか「M-CR611」を使っておらず、A,Bあるスピーカー端子のAにスピーカーを繋ぐということは、Bすなわちあとの2ch分は使われないままで、「宝の持ち腐れ」状態だったということです。そこで、本機『 M-CR612 』の新機能の登場と相成るのです。

今回新たに搭載された「パラレルBTLドライブ」は、接続はシングルワイヤのまま、4組のアンプ全てを用いてスピーカーを駆動することを可能にしたのです。その結果、アンプのスピーカー駆動力を示すダンピングファクターは、通常(BTLドライブ)に比べ約2倍になり、中低域の量感と締まりを両立した低音再生を実現できたとしています。

シングルワイヤ接続時でも、内蔵している8chアンプをフル活用できるパラレル(並列)化した駆動方法なので「パラレルBTLドライブ」と名付けられています。これこそ、ミニコンポとは明らかに違う、ハイエンドオーディオ的発想といえます。


▲ 金メッキスピーカー端子


▲ 通常のシングル接続


▲ パラレルBTLドライブ接続


■ 多機能な『 M-CR612 』
さらに、『 M-CR612 』の多機能さには目を見張るものがあります。以下に列記します。
  1. 豊富なネットワークオーディオ機能
    ワイヤレス・オーディオシステム「HEOS」テクノロジー、Amazon Alexaでの音声コントロール、Bluetooth、ストリーミングサービス、インターネットラジオ、AirPlay 2に対応
  2. ハイレゾ音源の再生に対応
    ローカルネットワーク上のミュージックサーバーやUSBメモリーに保存したDSDファイル(5.6MHzまで)、PCM系ファイル(192kHz/24bitまで)が再生可能
  3. その他 主な機能と特長
    • 入力信号を検知して、電源を自動でオン可能な2系統の光デジタル入力を装備
      ※テレビと繋ぐことで、本機がさらに生かせる便利機能
    • データディスク(MP3 / MWA)の再生にも対応したCDプレーヤー搭載
    • 95MHzまでの「ワイドFM」に対応したFM / AMチューナー搭載
    • 低域の周波数特性を5種類切替可能 + 高/低±10dBのトーンコントロール機能
    • 3段階ゲイン切り替え機能付き本格的ヘッドホンアンプ搭載
    • 3行表示で読みやすい日本語対応有機ELディスプレイ
    • ホワイト、ブルー、グリーン、オレンジの4色のイルミネーション
    • クロック&アラーム再生機能、スリープタイマーなどの便利機能
    このように、まさに「てんこ盛り」状態です。やはりこれらは、ミニコンポとしては必要不可欠な機能なのでしょう。でも私のようなオーディオファンがサブシステムとして本機を使うには、少々多機能すぎる感がなきにしもあらずです。もっと機能を絞った、音質だけに特化したミニコンポがあってもいいと思うのは私だけではないでしょう。

    ■ 試聴しました

    『 M-CR612 』のサウンドは、日本橋1ばん館でB&W「607/MW」を使って確認しました。

    B&W「607/MW」は本来バイワイヤ仕様ですが、ジャンパーでシングル接続にして、リモコンで切り替えて「シングル」と「パラレルBTLドライブ」を比較しました。

    「シングル」でも十分「607/MW」を鳴らしきっており、低音が力強く、パワフルな安定感のあるサウンドで、私の過去の経験からくるミニコンポの音とは明らかに違うものでした。ミニコンポのドンシャリ音ではない、ハイファイを意識させるドッシリした正統派のサウンドでした。

    次に「パラレルBTLドライブ」に切り替えた途端、その変わりようにビックリです。低音がとてもこの大きさのシステムのそれではなく、生々しくスケール感たっぷりで、立体感を伴った本格的なサウンドが聴けたのです。とにかくハイスピードになり、情報量も多く「これで十分なのでは」と納得させられるほどでした。

    「ミニコンポでもここまで出せるのだ」が私の正直な感想です。ヒットも当然です。パラレルBTLによるミニコンポを超えたミニコンポ『 M-CR612 』の誕生です。
    (あさやん)

    2019年7月 7日 (日)

    【ポータブル?もはや据置型DAC/プレーヤー!】アステルアンドケルンのKANN-CUBEのご案内です。


    みな様、こんにちは!
    永らくご無沙汰しておりました"とうふ"です。
    更新履歴を辿っても、ハイエンドブログではなんと2月以降登場しておりませんでした。。。
    もう少し頻度を上げて色々な機器をご紹介できるように精進しますので、今後とも何とぞよろしくお願いいたします。

    さて、今回ご案内させていただくのはポータブルプレーヤーでございます。

    アステルアンドケルン
    デジタルオーディオプレイヤー 128GBメモリ内蔵+外部メモリ対応(ウルフグレイ)
    KANN CUBE


    ハイエンドブログをご覧頂いているオーディオ諸兄の皆様には
    何だよ、ポータブルプレーヤーかよ。。。(がっかり)』とされる方もいらっしゃるかも知れませんがそこは一寸お待ちください。
    この【KANN-CUBE】、ハイエンドブログでも"推したい"魅力が一杯なのです!

    なおメーカー様より試聴機をお借りして、一通りの使用感などは試用レポートでもご案内しております。
    もし宜しければそちらもご覧いただけましたなら幸いでございます。


    ①【KANN-CUBE】は凄い!
    何が凄いかと言うと、据置機器向けのDACチップ、ESSの"ES9038PRO"をデュアル構成で搭載している事です。
    この構成は一世を風靡した人気DAC、oppoの【SONICA】と同じ構成です。
    SONICAは既に生産完了ですがあさやんの書いたハイエンドブログ記事はこちらより。

    もちろんDACチップだけで音が決定するわけではありません。
    DAC以降の回路や電源周り等重要なポイントは多数ありますが、その辺りはメーカーは充分承知。
    なぜなら、【SE100】というモデルで既に採用しているからです。
    ※SE100では8chチップをシングル構成。つまり4ch/4chで使用しています。

    【KANN-CUBE】では既にもっているノウハウを更に昇華させ、大型ボディを採用した事で余裕のある回路設計と大容量バッテリーを搭載した事で問題点を解決しているのです。

    ②【KANN-CUBE】は大きい!
    これは見たままですね。
    私も仕様発表を見た当初、「サイズといい、仕様といいポータブルとは言い難いな。。。」と思い、軽く「ポータブルプレーヤーの定義って何だ?」と自問しました。

    しかし、実機をお借りしてみると思った以上に違和感はありません。
    試用レポートでもレビューしましたが、持ちやすさやボタン配置等が絶妙だったからです。

    大きいけど不思議と手への収まりが良く、使い勝手が良い。
    不思議なプレーヤーです。

    ③【KANN-CUBE】は楽しい!
    これは前モデル【KANN】同様ですね。
    KANNとはドイツ語です。意味は英語のCAN、つまり「可能」。
    ポータブルでの楽しみ方、据置プレーヤーとしての楽しみ方。ユーザー毎の「可能」があります。
    さらに【KANN-CUBE】ではMQA音源への対応光デジタルアウト「Open APP Service」対応による機能拡張等、機能面でも進化しており、
    "外ではポータブルプレーヤー"、"自宅ではUSB-DACや各種ストリーミングサービスの据置デジタルプレーヤー”等、更に「可能」の幅が広がっています。

    高出力なヘッドホン出力を搭載、そして独立したラインアウトも搭載。
    ポータブル機でありながら、据置プレーヤーのような使い方も楽しめる。
    ユーザー毎に「可能」がある、オーディオプレーヤー/DACとして【KANN-CUBE】、音質と使い手の良さ、両面でお薦めです!

    それではいつもお買い得な「Joshin Web」でお待ちしております。

    2019年6月 4日 (火)

    TEACの「とんがった」製品を一挙にご紹介♪

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
    今回は私が選ぶ、TEACの回転系オーディオ機器(アナログプレーヤーなど)の「とんがった」製品を一挙にご紹介いたします。


    ■ TEAC(ティアック)について
    TEACは1953年(昭和28年)に、東京テレビ音響株式会社として設立。1964年に、ティアック株式会社として発足しました。

    私が本格的にオーディオをやり始めた1970年代。まずは、カセットデッキの平型「A-350」、続いて「A-450」、さらにオープンリールデッキは2トラ38の「A-3300-2T」を購入。当時、AKAIと覇を競っていた録音機メーカーでしたが、私は迷わずTEAC製品を選んだのでした。

    同社は創業当時から回転系にはめっぽう強く、1957年に開発されたオープンデッキの原器「TD-102」から、同社の歴史が始まっています。

    1968年には国産初のカセットデッキ「A-20」、1973年にはマグネフロートのダイレクトドライブターンテーブル「TN-400」、1997年にはMDデッキ「MD-10」を発売。そして、CDプレーヤーについては、ESOTERICの「Grandioso P1X + D1X」を始め、TEAC/ESOTERICは、今や世界中の誰もが認めるトップブランドとなったのです。

    その回転系に強いTEACは、同業他社が相次いで生産から撤退していく中にあって、我々オーディオファイルにとっては非常に有り難く、また心強いメーカーでもあります。そのTEACの回転系の「とんがった」アイテムで、今となっては「超希少」となりつつある製品群を、改めて一挙にご紹介します。

    ■ ダイレクトドライブ・アナログターンテーブル『 TN-4D 』

    (カラー:ウォルナット)

    型番からも前述の「TN-400」を意識しているのは明らかです。ベルトドライブが主流の現在において、本機のために薄型のダイレクトドライブモーターを新開発するという、並々ならぬ決意が感じられます。

    しかも、従来のDD方式ターンテーブルでは望めなかった、高さ117mm(ダストカバーを閉めた状態)のスタイリッシュな薄型ボディも実現しています。

    トーンアームにも大いにこだわりを見せており、高級トーンアームブランド SAEC(サエク)とコラボレーションして、SAECお得意の可動部にナイフエッジ機構を採用したスタティックバランス型S字トーンアームを搭載。一般的なベアリングによる可動方式に比べ、支点が明確で初動感度が高く、分解能の高いダイナミックなサウンドを目指したとしています。もちろんユニバーサルタイプで、お好みのヘッドシェルやカートリッジへの交換も容易です。

    さらに、カートリッジもこだわっており、アメリカで40年の歴史を持つカートリッジブランド SUMIKO のMMカートリッジ「Oyster」(単体で1万円超)を付属しています。

    そして、当然賛否は分かれるところですが、現状フォノイコ非搭載のアンプが多いことや、アナログレコードのデジタルファイル化が盛んな中にあって、今風のフィーチャーも避けて通れなかったのでしょう。それは、ON/OFF可能なMMカートリッジ対応フォノイコライザーアンプと、USBのデジタル出力(最大16bit/48kHz)を装備していることです。

    キャビネットは高密度MDFをコア材に用い、衝撃吸収性能に優れたインシュレーターを直に固定しています。外装仕上げは多層塗りピアノブラックと天然ウォルナット突き板仕上げの2バージョンが用意されています。

    出力は直出しではなく、付属のRCAケーブルを使用するタイプで、将来のケーブルのグレードアップも可能です。

    サウンドは「Oyster」のパワフルな中低域に、SAECらしい反応の良い高域が乗った本格的なもので、当面これで十分レコード再生が楽しめると思います。ただ、内蔵フォノイコの限界を感じる可能性もあることから、将来的にはアンプ内蔵のフォノイコなどをお使いになることをお勧めしておきます。

    ■ ハイレゾ・マスターレコーダー『 SD-500HR 』


    アナログレコードやカセットテープなどの貴重なアナログ資産をハイレゾデジタルファイルとしてアーカイブ化できる、最大DSD:5.6MHz、PCM:192kHz/24bit対応のハイレゾ・マスターレコーダー。

    音源保管に記憶容量あたりの価格が手ごろなSDHC/SDXCカードや、接点不良の少ないCFカードに直接録音が可能で、カセットテープ感覚でメディアの交換が可能です。

    SDカードなどに保存されたデジタル音楽ファイルは、そのままパソコンに取り込むことはもちろん、無料のハイレゾ音源波形編集ソフト「TEAC Hi-Res Editor」(Windows/Mac版)を使って、必要に応じて曲ごとの分割やファイルフォーマット変換などの処理が可能です。

    様々な録音レベル状態にあるレコードやカセットテープから適切なレベルでデジタル録音できるよう、24ドットLEDレベルメーターを確認しながら、0.5dBステップの細かい録音レベルの設定が可能で、スマホやカーオーディオなどのソフト作りも可能です。

    左右各チャンネルの信号を完全に分離して処理するデュアル・モノーラル回路設計により、左右チャンネル間の干渉やノイズを抑えたピュアな信号処理を実現する高音質設計を採用。さらに、デジタル処理の要となる内部クロックには高精度なTCXOを採用しており、高精度な外部クロックからの信号を入力できるワード入力も装備しています。

    アナログ入出力はXLRとRCA各1系統、デジタル入出力は同軸とAES/EBU各1系統に加え、BNCまで装備しており、ハイエンド機器はもちろん、プロオーディオ機器との接続も可能な本格仕様となっています。

    手軽な録音機が欲しいオーディオファイルはまだまだ多いはずです。カセットデッキに替わる新しい形のハイレゾレコーダーです。パソコンが不要なのが、最大のメリットです。

    ■ CDプレーヤー/MDデッキ『 MD-70CD 』


    現在国内で入手できるMD(ミニディスク)の録再機器は、おそらく本機だけだと思います。もはやMDは過去のフォーマットであり、元々SONY(1992年発売)を中心に、ほぼ日本国内だけで流通しており、2011年には一部のミニコンポを除いて、市場から撤退してしまいました。

    本機は、独立駆動するCDプレーヤー部とMDデッキ部とのコンビネーションデッキで、独立してCDの出力とMDの入出力が可能で、連続再生やCDからMDへのダビングなども可能です。(CDレコーダーではないためCD-R等への録音はできません)

    MDレコーダー部は、LP2、LP4のロングプレーモードもサポートしています。

    アナログ入出力および同軸、光デジタル入出力を装備しており、様々なシステムと柔軟に組み合わせて使用できます。

    過去に録りためたMDをもう一度聴いてみたい方やMDのアーカイブとしては、おそらく最後のMD対応機だと思います。非常に貴重な製品です。

    ■ ダブルカセットデッキ『 W-1200 』


    こちらも、現存する唯一のダブルカセットデッキです。

    ワンウェイ(片道走行)カセットメカを録音・再生が可能な2基搭載したダブルデッキ(ダビング、同時録音可能)に、マイクミキシング機能やUSBデジタル出力を備えた多機能なカセットデッキです。

    レコードとともにアナログ音源の温もりや柔らかさが見直されているカセットテープ。本機は、デジタル時代にマッチしたインターフェースも備えており、カセットテープ・ライブラリーの忠実な再生だけでなく、カラオケ用途や会議の音声議事録のデータ化などにも対応するなど、幅広く活用できます。

    さらに、リアパネルのUSB端子からパソコンにオーディオ信号を出力し、パソコン側でデジタル録音が可能なデジタル音声出力(最大PCM:48kHz/16bit)での録音が可能で、貴重なカセットテープの音源をデジタルアーカイブとして保存も可能です。

    ■ カセットデッキ/CDプレーヤー『 AD-850 』


    カラオケにも使えるエコー機能付きマイク入力端子を装備。USBメモリーによる録音・再生が可能なカセットデッキとCDプレーヤーの複合機です。

    もちろん、それぞれのメディア間でのダビングが可能です。(CDレコーダーではないためCD-R等への録音はできません)

    ■ CDレコーダー『 CD-RW890MK2 』


    シンプルで使いやすい、シンクロ録音や多彩なオートトラック機能を搭載したCDレコーダー。レコード (フォノイコが必要) やカセットテープ、CD、MDなどを音楽用CD-R/RW(データ用は使用不可)に録音することができるCDレコーダーです。

    ■ 最後に
    このようにTEACは、同社ならではの「回転系のとんがったオーディオ機器」の数々を、我々オーディオファイルに供給し続けてくれている、今となっては大変貴重なメーカーです。

    なお、いずれの製品も生産台数が限られており、在庫切れを起こしてしまうケースが多いのが「玉にきず」ではありますが、私としては少々お待ちいただいてでも、ご購入されることをお勧めします。
    (あさやん)

    2019年5月10日 (金)

    トップウイング(ENZO)扱いの「M2TECH」「XI AUDIO」より、大注目のデジタル機器登場!

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。今回は、トップウイングが扱う「M2TECH」と「XI AUDIO」の画期的なデジタル機器2機種を取り上げます。


    ■ トップウイングが扱うオーディオ機器
    最近、トップウイングの扱う海外ブランド製品が、次々ヒットを飛ばしています。

    これは、同社代表 佐々木原氏の「目の付け所」が素晴らしいからで、いつも感心させられます。そして同社は、欧米製品に殊更こだわるわけではなく、「良いモノは良い」との考え方のもと、グローバルにアンテナを張って、話題の製品を発掘してきているのだと思います。

    トップウイングの扱うピュアオーディオファンに人気のブランドは、「iFI-Audio」「M2TECH」、最近では「TELOS」、そして今回新たに「XI AUDIO(イレブンオーディオ)」が加わりました。その中から「M2TECH」と「XI AUDIO」の画期的なデジタル機器2機種をご紹介してまいります。

    ■ M2TECH フォノイコライザー機能搭載A/Dコンバーター『 JOPLIN MkIII 』


    ハイレゾ登場以降、さまざまなフォーマットや伝送方式が次々提案されてきましたが、そんな中にあってヨーロッパ、それもイタリアに本拠地を置くM2TECHの製品は特に注目に値します。

    開発者であるマルコ・マヌンタ氏は、世界的にもデジタルオーディオ界での重要人物で、そのユニークなアイデアとそれを具現化する高い技術力、そしてオーディオスタイルへの先見性には目を見張るモノがあります。

    同社は、PCオーディオ黎明期、192kHz/24bit対応モデルが世の中にまだ少ない中にあって、USBメモリーサイズのUSB-DDC「HIFACE」を発売し、一躍脚光を浴びました。またマルコ・マヌンタ氏は、他のハイエンドブランドにデジタルモジュールを供給するなど、業界でその名を轟かせています。

    M2TECHの考え方の基本にあるのは、ホーム・エンターテインメントのための革新的な製品を設計、製造し、販売することだそうです。

    M2TECHの製品群の中でも、近年特に注目を集めているのが「Rockstarsシリーズ」で、D/Aコンバーター+プリアンプの「YOUNG MkIII」、ステレオパワーアンプの「CROSBY」、ヘッドホンアンプの「MARLEY」、フォノイコライザーの「NASH」、そして今回ご紹介しますフォノイコライザー機能搭載A/Dコンバーターの『 JOPLIN MkIII 』があり、いずれもロックスターの名が付けられ、人気製品になっています。

    最新の『 JOPLIN MkIII 』は、2015年発売でフォノイコライザー・カーブの扱いに革新をもたらした「JOPLIN MkII」の後継機で、基本性能は継承しつつ、今回もあくまでA/D機能のみに特化して開発されています。その理由は、「D/Aコンバーターの選択肢を広げるため」だそうで、本機は世の中に数あるハイエンドD/Aコンバーターの実力を生かすためのソフト(アナログソースのデジタル化)を供給するための機器だという訳です。

    前作ではS/PDIFやAESの仕様の制約から、USB出力はPC経由のみでしか192kHz/24bit以上のA/D変換ができませんでしたが、『 JOPLIN MkIII 』ではHDMIケーブルを用いたI2S(アイスケアエス)の採用により、PCM384KHz・768KHz、DSD256といった「超ハイレゾ」まで対応することができるようになったのです。

    I2S入力を採用したD/Aコンバーターは、今の所まだ市場には多くはありませんが、M2TECHでは「Evo DAC Two Plus」、そして今回ご紹介しますXIAudio『 SagraDAC 』が同じI2S方式に対応しています。今後、USBやS/PDIFに代わってデジタル伝送の主流になる可能性も十分にあります。

    そして、『 JOPLIN MkIII 』のメイン機能でもあるフォノイコライザーには、前作のLPレコード用16のカーブ、SPレコード用7つのカーブに、米国のクラシックレーベル「Bartok Records」専用カーブを加え、さらに充実(※)させたのです。
    ※この結果、1925年から1954年にレコードを製造していたほとんどのレーベルがカバーできました。

    マルコ・マヌンタ氏は、オリジナル盤や初期盤の真の実力を正確に引き出すには、アナログ方式のカーブ補正には限界があり、100%正確な値を引き出せないと考えたのです。その結果A/Dコンバーター自体に、FPGA回路(設計者が構成を設定できる集積回路)で32Bit精度によるカーブ補正を行うフォノイコライザー機能を加えて製品化したのです。

    前作からは、
    1. 入力インピーダンス設定を無段階のポテンションメーター(可変抵抗器)に
    2. より多機能なリモコンに
    3. 丸みを帯びた外装に
    4. 表示をレベルメーターつきOLEDディスプレイに
    とそれぞれ変更し、グレードアップを果たしたのです。

    さらに、通常のDC電源アダプターに加え、よりお買い得なオーディオ用高品位電源アダプター「iFi iPower Plus(15v)」とのセット製品『 JOPLIN MkIII & iPower Plus 』も同時に発売されました。

    『 JOPLIN MkIII 』は、比較的低価格に抑えながら、曖昧さを残さない徹底したフォノカーブへの対応により、あらためてアナログレコードの真の再生のあり方を示した製品といっても過言ではありません。

    レコード以外にも、カセットテープなどの豊富なテープライブラリーをデジタルアーカイブすることで、お持ちのD/Aコンバーターをさらに有効に生かせそうです。

    ■ XI AUDIO D/Aコンバーター《R-2Rラダー抵抗変換方式》『 SagraDAC 』【受注生産品】


    XI AUDIOは、2017年にマイケル・シャオ氏によって設立されました。彼は長年、放送機器をはじめとした業務機のマネジメントを手掛け、かのナグラ・プロフェッショナルの責任者という経歴を持つ技術者です。

    彼が手掛ける製品は、業務機としての質実剛健さに加え、音楽を楽しむためのエッセンスが組み込まれており、「真実の音」を表現するのが最大の目標だとしています。

    XI AUDIOのアンプ(「Formula P1000」など)のボリュームは、全て11時(XI)の位置からスタートします。

    これは、普通のアンプはボリューム位置がおおよそ11時よりも上で使うことを想定して設計されているのに対して、XI Audioは絞り切りでさえ、それらの性能を超えているという自信の表れだといいます。

    また今回ご紹介します『 SagraDAC 』は、「サグラダック」と発音し、その名前は、マイケル・シャオ氏が感動したスペイン・バルセロナの《サグラダ・ファミリア》に由来しているそうです。

    『 SagraDAC 』の最大の特徴は、前面パネルに書かれている「R-2R DAC」ということです。

    「R」はRegister(抵抗)で、抵抗をラダー型に組み合わせたD/A変換部を持っていることを意味していますが、一般的には「マルチビットDAC」といわれているものです。その上で、一般的に使われるDACチップではなく、一部のハイエンド機で見られるディスクリートで組まれたDACを採用しているのです。

    そのディスクリートのマルチビットDACは、デンマークのスークリス社製のもので、本機のために特注したものだそうで、0.012%精度の抵抗を216個も使用した高精度なもので、非常にコストの掛かる構成となっています。

    本機に採用されたのはサイン・マグニチュード方式といわれるもので、抵抗値「R」と「2R」の抵抗を使い、1bitあたり2個の「R+2R」とするもので、結果大規模なものになってしまったのです。この価格に抑えられたのは驚異的でもあります。

    PCオーディオには欠かせないUSB端子からのインプットに関しては、一般的に使われるXMOSではなく、イタリアのアマネロ社製のUSBコントローラーを採用しており、PCM384kHz/24bit、DSD11.2MHzに対応しています。なお、DSDは352.8kHz/24bitのPCM信号へ変換したのち、D/A変換されます。

    デジタル入力はUSB(Type-B)以外に、BNC、AES/EBU、I2S(HDMI端子)が各1系統ずつ。S/PDIFが3系統(RCA同軸×2、光TOS×1)用意されています。アナログ出力は、RCAとXLRを各1系統装備されています。

    電源もD/Aコンバーターとしては異例の規模で、大型のRコア・トランスを使用し、各セクションに対して9つの独立した高品位なアナログ電源を構成しています。

    内部のアナログ回路はあえてシングルエンド構成としており、本機のXLR出力は最終段でバランス化され出力されています。これはバランス回路の場合、前述の「R-2R DAC」基板がもう1枚必要となり、電源構成も複雑化して音質面への影響が避けられないとの考え方からです。

    この価格でマルチビットをディスクリートで組んだという、画期的なD/Aコンバーターの登場です。私自身、久々に食指を動かされました。そのサウンドはアナログライクなもので、本来の音源を脚色することなく、高解像度で模写するとしています。ハイエンドの風格もあるとのことです。大いに期待したいと思います。
    (あさやん)

    2019年4月29日 (月)

    ヘーゲル 最新鋭プリメインアンプ『 H90 』『 H190 』の魅力とは?

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。今回は、ノルウェー発のハイエンドオーディオブランド「ヘーゲル (HEGEL)」の最新鋭プリメインアンプ『 H90 』と『 H190 』の魅力に迫ります。


    ■ ヘーゲル社とは
    ヘーゲル(HEGEL)社は、Bent Holterによって、1997年にノルウェー・オスロで設立されました。社名の由来は、著名なドイツの哲学者ヘーゲルからきているといいます。

    その理念は、アコースティック楽器を最も自然な音で再生することで、透明感や微細なディテール表現、抑揚感、臨場感あふれる描写力を追求しているといいます。そのため、半導体物理学の豊富な経験から、実際の音楽信号再生におけるトランジスタの動作を最適化させ、オリジナル音楽の忠実な再生を追い求めているとしています。

    ヘーゲル製品は、自然なスタイルで音楽ソース(特に、アコースティック楽器やボーカル)をオリジナル同様に正確に再現することを目指し、人工的に手を加えられることも欠けることもないといいます。ヘーゲルシステムで奏でられる音楽は、生のスタジオセッションに非常に近いもので、音楽愛好家に最も自然な音、及び、可能な限り魅力的な音を提供し、自然で魅力的な音楽再生を実現するとしています。

    また、ヘーゲル製品は創業当時から、そのドライブ力や音質が高く評価されており、JAZZファンにはお馴染みの音楽レーベル「ECM」のスタジオのリファレンスアンプとして採用されているとのことです。これこそ、信頼性を極度に要求されるスタジオで使用される程に、ヘーゲルの技術力が高いことを証明しています。

    ヘーゲル製品の第一の特徴は、高度な研究結果に基づいた最新のオーディオ・シグナルプロセシング技術を活用していることです。最も特徴的なのは、独自の「Sound Engine(サウンドエンジン)」技術で、それは多くの異なるタイプの静的・動的歪みを取り除く特許取得のフィード・フォワード技術です。さらに、動的なクロスオーバー歪みを取り除くことにも成功しています。これらは、ヘーゲルの全ての機器に採用されています。

    この「Sound Engine」こそヘーゲル設立の要因ともなったオリジナル技術なのです。

    今回、ヘーゲルのプリメインを紹介されていただく理由は、国産プリメインと遜色ない価格設定を実現した上で、国産にはない魅力的なサウンドを聴かせてくれるためです。それでは、最新鋭プリメインアンプ『 H90 』『 H190 』の特徴を順に見てまいりましょう。

    ■ ヘーゲル DAC内蔵プリメインアンプ『 H90 』

    まず、前作「H80」より価格が4万円も下がっていることに驚きました。前作同様にD/Aコンバーターを内蔵していますが、バランス入力がなくなり、パワーも75W+75Wから60W+60Wに抑えられています。そこには、前作以降の技術的進化を取り入れるとともに、機能を取捨選択することでコストダウンを図り、広くヘーゲルサウンドをアピールしたいという意気込みを感じます。

    上級機「H360」で採用された独自の「DualAmp Technology(デュアルアンプ テクノロジー)」を採用しており、一般的なアンプでは、電圧利得段と電流利得段は同一のアンプモジュールとして設計されますが、「DualAmp Technology」では、これら2つの電圧と電流の利得段(ステージ)を、完全に独立した異なるものとして専用設計されています。

    本来、電流利得段はスピーカーへの大電流を供給する役割を担っていますが、この2つのステージを分離させることにより、スピーカー駆動の大電流に起因する影響が、感度の高い電圧利得段のパーツへ及ぶのを防いでいるのです。これは、プリメインアンプの形式を取りつつ、セパレート化したともいえ、更なる低歪み率と高ダイナミックレンジ特性を実現したのです。

    また電源部でも、電源トランスの巻線を別にすることで同様の構成(デュアルパワー電源)をとって、電流増幅の影響を回避しているとしています。高品位でハイスピードな電源も、同社の従来からの特徴でもあります。

    出力段はバイポーラ・トランジスタによるシングル・プッシュプル(PP)動作で、前述の「Sound Engine」という一般的なNFB(ネガティブ・フィードバック:負帰還)ではなく、フィードフォワード(出力に影響するような歪みを予測し、前もって打ち消してしまう制御方式)での補正回路を採用しています。

    このフィードフォワード補正回路の動作原理は、PP動作を構成するNPN型とPNP型の非対称の特性をもつトランジスタでは、どうしても避けられないクロスオーバー歪みや混変調歪みを解消するための技術です。一般的に使われるバイアス電流の調整では、実際の音楽信号自体が非対称であるため、効果がないとの考えから開発されたといいます。

    本機ではこれまでの製品より、これをさらに進化させており、さらなる低歪率を実現し、ダンピングファクターも前作「H80」の1000から2倍の2000にまで向上させています。

    ボリュームには、高周波測定器レベルのテクノロジーに基づいた高精度で低ノイズレベルの電子ボリューム(※)が採用されています。スピーカーターミナルは1系統ですが、このクラスとしては贅沢なWBT製が使われています。※2013年のノーベル賞のヒックス粒子検出に採用された技術を応用

    入力系では、バランス入力をなくした分、Ethernet(LAN)入力が採用されたのですが、本機は前作同様にD/Aコンバーターが搭載されており、従来の光(TOS×3系統)/同軸/USBにEthernetが加わることで、ネットワーク再生にも対応することになったのです。

    光/同軸は、192kHz/24bitに対応。USB入力はドライバーなしで再生可能な96kHz/24bitまでにとし、あえて高スペックを目指すのではなく、コンピューター上のプレイリストでの再生では、プレイ/スキップ/ポーズを付属リモコンで操作できるという親切設計です。

    フロントパネルには上位機種と同じ、有機ELディスプレイやヘッドフォン出力端子を装備しており、入力ソース切替およびボリュームコントロールは、コンパクトな付属リモコンで可能です。フロントパネルは複合素材による緩やかな美しい「ヘーゲル曲線」ともいわれる曲線を描いたシンプルなもので、優雅で北欧らしさを感じさせます。

    ■ ヘーゲル DAC内蔵プリメインアンプ『 H190 』

    「H160」の後継機であり『 H90 』の上位機です。『 H90 』同様、「DualAmp Technology」と「Sound Engine」、そしてデュアルパワー電源を採用しています。出力段は、パワーバイポーラ・トランジスタのパラレル・プッシュプルとなっており、出力は 150W+150W(前作同様、4Ω負荷時250W+250W)です。

    大型トロイダル電源トランスと6本の高品位フィルターコンデンサーを備えた強力でハイスピードな電源部を搭載しており、ダンピングファクターは驚異の4000以上を実現しています。

    入力は、『 H90 』にXLRバランス1系統とRCAシアターパススルー入力1系統が加わり、もちろん本機もEthernet入力を備えておりAirPlay/DLNA/Spotifyなどのネットワーク再生、ストリーミング再生にも対応しています。

    ■ 日本橋1ばん館リファレンスルームで『 H90 』を試聴しました。

    写真下段:HEGEL『 H90 』(上段:Mytek「Brooklyn DAC+」)



    そのサウンドの第一印象はビロードのように滑らかで、静かで透明感が素晴らしく音場は澄みわたっていました。重苦しさは皆無で、音楽にどんどん引き込まれてしまいそうな、表現力の高さを実感しました。

    低域は無理に下まで欲張ったり、グイグイ押しの強いタイプではないのですが、決して痩せることはなく、ブーミー感のない締まりあるもので、弾み感、スピード感も十分です。

    中高域は暖かく穏やかで、耳に優しく感じました。特に印象的だったのは、ボーカルとアコースティック楽器で、ボーカルの生々しさは格別で人肌の温もり感、伸びやかさは生で聴いているようでした。ベースやアコ-スティックギターの木質感は抜群で、とにかく鮮度感が高くリアルでした。

    ヘーゲルの一見地味なデザインは、日本人には好みの分かれる所ですが、しっかりした作りの落ち着いたデザインは、何年経っても飽きさせないものがあります。

    『 H90 』は、20万円台の国産プリメインでは絶対味わうことのできないサウンドを提供してくれます。こういう音楽性たっぷりの本物のプリメインが、日本でもっと受け入れらるようになれば、いよいよ国内オーディオ市場も真の成熟期に入ったといえると思うのですが・・・。
    (あさやん)

    2019年3月27日 (水)

    SOULNOTEのD/Aコンバーターが「D-1N」に進化!! 上位機のノウハウを惜しみなく注入!!

    こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。今回は、上位機「D-2」のノウハウを惜しみなく注入したSOULNOTEのD/Aコンバーター『 D-1N 』を取り上げます。




    ■ 業界に衝撃を与えたD/Aコンバーター
    2018年夏、オーディオ業界に衝撃を与えたSOULNOTEのD/Aコンバーター「D-2」。

    とにかくその圧倒的な物量投入、そして何といっても当時最高級DACチップとしてその名を欲しいままにしていた(それは今も続いていますが)、ESS製DACチップ「ES9038PRO」を合計4個も搭載。国産最高峰のD/Aコンバーターの地位を築いたのでした。そして、この価格帯としては異例のヒットを記録しています。


    同機のもう一つのトピックは、デジタル領域における無帰還化とも言える「NOS(ノンオーバーサンプリング)モード」を採用したことでした。通常使われるFIR(デジタルフィルター)オーバーサンプリングのインパルス応答では避けられない、プリエコーやポストエコー(デジタル特有の滲みや抜けの悪さの原因)が発生しないのです。


    図1:FIRオーバーサンプリングフィルターでのインパルス出力波形


    図2:NOSモードでのインパルス出力波形

    通常のD/Aコンバーターでは、D/A変換時に生じるノイズを回避するために、オーバーサンプリングして高周波領域でアナログ変換するのですが、この際どうしても時間軸での正確さを損なって(図1)しまいます。そこでSOULNOTEが選択したのが、オーバーサンプリングをしない「NOSモード」(PCM時のみ)なのです。

    これは、極めて過渡応答性能に優れた同社オリジナルの「無帰還ディスクリートアンプ」とのコンビネーションで初めて実現できるのです。音楽波形は高さの違うインパルス波形の連続であるため、「NOSモード」により時間軸(※)情報の曖昧さが払拭され、時間軸に対して非常に敏感な人間の聴覚に、よりリアルで自然な音質や空気感をもたらすとしています。
    ※ 時間軸のブレは、PCM:24bit/192kHzであってもパルス波の前と後ろで各250μ秒、トータルで500μ秒もあるのですが、人間の耳はわずか3μ秒を認識できるといいます。いかに「NOSモード」が効果的であるかがこれで分かります。CDなどのデジタルサウンドが、平面的で奥行きのない音と感じるのはそのためだったのです。

    私は以前、「NOSモード」を初めて採用した「D-2」を自宅で聴く機会(スタッフブログでご覧ください)があったのですが、その時の衝撃を「スケールの大きな安定感、アナログを彷彿とさせる立体感、生き生きとした自然な吹っ切れ感、圧倒的な情報量の多さ、力強く伸びきった低音、正確無比なエネルギー感、スピード感、これだけ説得力のあるD/Aコンバーターをかつて聴いたことがないと断言します。」と記しています。

    この「D-2」の開発で得られたノウハウを注入して、大きなアップグレードを果たしたのが『 D-1N 』です。

    ■ SOULNOTE D/Aコンバーター『 D-1N 』
    SOULNOTE『 D-1N 』の前作「D-1」は、SOULNOTE 10周年記念モデルとして2017年に発売され、約30万円という価格ながら大ヒットとなりました。「D-1」はUSB-DACとしては勿論、デジタル入力は同軸2系統、AES/EBUを装備し、お持ちのCDプレーヤーと最新D/Aコンバーターとの組み合わせによる、大幅なCDプレーヤーのグレードアップにも貢献したのです。

    何といっても、このクラスD/Aコンバーターとしては異例な「ES9038PRO」をモノラル使用で2基、SOULNOTEオリジナルの「無帰還ディスクリートアンプ」、パワーアンプかと思わせるような260VAの「大型トロイダルトランス」の搭載などが、繊細な空間表現と骨太でエネルギー感に満ち溢れた再生音の両立を実現できたのです。オリジナルの「D-1」は「D-2」の下位モデルなどではなく、その元となったモデルだったのです。


    『 D-1N 』の内部(中央下が「大型トロイダルトランス」)

    左右の小さな円型に見えるコンデンサ群により、SOULNOTE伝統の、大型の電解コンデンサを使用せず小容量のコンデンサを多数パラレル接続することで高周波特性と総合容量をコントロールし、ハイスピード電源を実現しています。

    「D-1」同様『 D-1N 』は、120mAにも及ぶ強力なDAC電流出力を、MHz領域まで伸びる「ディスクリート無帰還アンプ」で受け取り、これを強力に増幅し出力します。「ES9038PRO」と「無帰還ディスクリートアンプ」のコンビネーションにより、オペアンプ(集積)回路では得ることができない、エネルギーに満ち溢れた生々しい音楽再生を実現したのだとしています。

    そして何より、デジタル機器としては最重視すべきクロックには、超低ジッタークリスタルを採用しています。位相ジッター:1ピコ(10-12)秒以下の超低ジッタークリスタルをDAC チップに極限まで近接させる回路基板のパターンレイアウトにより、理想的なクロック波形を得ているのです。

    電源には同社オリジナル高速ディスクリートレギュレターを採用した8種類の、それぞれの回路専用の電源を搭載しており、特に大電流を必要とする「ES9038PRO」の実力を限界まで引き出すことができたとしています。

    さらに「D-1」は発売1年後、新機能として画期的な転送方法「Bulk Pet」が追加されました。本機にももちろん採用されています。USB-DACでは一般的にアイソクロナス転送方式によってデータを転送していますが、インターフェイス社が開発したBulk(バルク)転送方式とすることで、パソコンおよびD/Aコンバーターの負荷の軽減が実現でき、再生音質が大きく向上したのです。

    その「D-1」が、前述の上位機「D-2」に搭載され評価の高い「NOSモード」を採用し、価格上昇をわずか3万円(税別)に抑えて、『 D-1N 』として大きくアップグレードを果たしたのです。「NOSモード」以外は「D-1」との違いが全くなく、「D-1」を既にお持ちの方でも、その差額分+送料で『 D-1N 』へCSRにてアップグレード作業(※)が可能です。何と親切なメーカーでしょう、ますます信頼感が持てます。進歩の早いデジタル機器はこうでなくてはならないと思います。
    ※『 D-1N 』へのアップグレードは修理扱いでの受付けとなります: 料金30,000円(税別・送料別)。 詳しくは、SOULNOTEのホームページをご覧いただくか、Joshin webショップの《 連絡帳 》にてお問い合わせ下さい。

    ■ 試聴は日本橋1ばん館の店頭で行いました

    日本橋1ばん館の展示品はブラックタイプ

    「NOSモード」オフ時はオリジナルの「D-1」と同じということから、その音質(SOULNOTE伝統の吹っ切れ感と音楽性の両立)の確認は短時間で済ませ、早速「NOSモード」オンでの試聴を始めました。

    吹っ切れ感、生々しさはオリジナルを明らかに上回り、音楽の隅々まで描ききり、個々の楽器がはっきり分離し、鮮度が大きく向上していました。低域はオリジナルとの差はほとんど感じませんでしたが、中高域の切れ味や解像度の高さは「NOSモード」が貢献していることを十分納得させる音質でした。これは3万円どころの差ではないとも確信しました。

    国産最高峰の上位機「D-2」のノウハウを惜しみなく注入して誕生した『 D-1N 』の進化こそ、新たなPCオーディオの始まりともいえます。
    (あさやん)

    2019年3月11日 (月)

    ますます面白くなる『 PC&ハイレゾオーディオ 』に新たな「うねり」が!

    ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
    ますます面白くなる『 PC&ハイレゾオーディオ 』に、いま新たな「うねり」が始まりました。今回は、過去の反省を踏まえ、今後のオーディオの流れを私なりに読み解いてまいります。


    ■ 新たな「うねり」とは?
    2008年頃に注目され始めた『 PC&ハイレゾオーディオ 』。私がこのコラムを担当し始めたのが2013年で、これまで何度も当時の状況やその後について私見を述べて来ました。

    その中には、「USB-DACが雨後の竹の子のごとく登場」(2013)、「USB-DAC台頭、最後のディスクプレーヤーか?」(2013)、「ハイレゾの数字競争に警鐘」(2014)、「PCオーディオに再チャレンジ」(2017)、「OPPOが大ヒット!PCオーディオに再注目」(2018)と、続きました。

    その間、オーディオメーカー製USB-DACの音質的優位性や、ディスクプレーヤーの終息宣言とも受け取れる内容を述べていますが、その後国内では一部のハイエンドメーカーを除いてデジタル関連機器の開発力が急速に落ち、新規にチャレンジするメーカーが減ってしまいました。

    また、SACDには大きな動きはなかったものの、数年前に異常な盛り上がりを見せたアナログブームを経て、メインソースとしてのCDが再度見直され、そこにMQA-CDの話題が加わったことで、CDプレーヤーの買い替えが始まったのでした。

    その後、ハイレゾの数字競争もPCM 384kHz、DSD 11.2MHzが上限でほぼ落ち着き、それ以上のスペックによる音質改善効果には疑問の声も上がりはじめ、オーバースペックによる弊害さえ囁かれはじめました。

    また2017年には、PCオーディオの救世主として彗星のごとく登場したOPPO「Sonica DAC」が一次爆発的な売れ行きを示したものの、2018年の年初になっていきなり生産中止となってしまい、我々販売側としては梯子を外された格好で、同時に急速にPCオーディオ市場の熱も冷めてしまったのでした。

    そして今年(2019年)、昨年末からハイエンドDACに「うねり」とも言える新たな動きが始まったのです。それはかつて、PCオーディオの黎明期に購入されたUSB-DACの買い替えによる最新鋭機へのグレードアップ。そして、CDソフトの魅力再発見から始まった、最新D/AコンバーターによるCDサウンドの見直し機運の高まりだと思います。さらには、話題のMQA-CDという新たなソースを一度聴いてみたいという新たな動機も見逃せません。

    そこで今注目を集め、実際人気となっているミドルクラスからハイエンドグレードのD/Aコンバーターを8機種、その優位点、人気の秘密を探りながら取り上げてまいります。

    ■ 人気のD/Aコンバーター 8機種をピックアップ

    ■ Mytek Digital 『 Manhattan DAC II 』
     Silver/Black/Goldの3色

    Mytekのコンシューマー用としては最上位のD/Aコンバーター。DACチップにはESSのフラッグシップDAC「ES9038PRO」を搭載。これに、フェムトクロックと独自のジッター低減回路を組み合わせて、DACチップの真価を引き出すとともに、デジ・アナを独立電源とすることでノイズとクロストークを徹底的に低減しています。

    話題のMQAのフルデコーダー、アナログ式と32ビットデジタル式の内蔵アッテネーターやMM/MC対応のフォノ入力も装備。振動対策や電源ケーブルをグレードアップすることで、更に音質を追い込めます。さらに、オプションカード(高精度フォノ・アナログプリアンプカード、ネットワークカード)によるグレードアップも可能です。

    サウンドはプロの世界で鍛え上げられたMytekならではの芯のしっかりした安定度の高いもので、電源の強化がダイナミックスや瞬発力をさらに高め、音楽的な説得力は超一流です。100万円を切るD/Aコンバーターの中ではダントツの完成度の高さです。




    ■ Mytek Digital 『 Brooklyn DAC+ 』
     Silver/Blackの2色

    元々、スタジオでのリファレンスとしての音質を備えたUSB-DACとして開発されました。DACチップにはESS「ES9028PRO」を採用。超高精度のフェムトクロックを搭載。アナ/デジの2通りのアッテネータを装備、フォノ入力も持ち、DACプリとしても機能します。勿論MQAにもフル対応です。

    サウンドは深く厚みのある低域、エネルギーに満ち溢れた中域、高域の圧倒的な情報量、厚みのある豊潤なサウンド、生音のような立ち上がりや響きを再現します。ハイエンドの王道を行く安定感のあるサウンドです。コストパフォーマンス抜群で大ヒット中です。




    ■ SOULNOTE 『 D-2 』
     Silver/Blackの2色

    業界で初めてESS「ES9038PRO」を4個搭載し、それにSOULNOTEの得意技「完全対称無帰還ディスクリートアンプ」を組み合わせています。マスタークロックには超高精度のTI「LMX2594」を採用。これは測定器やレーダー用に開発されたジッター45fsという世界最高レベルのものです。

    また、従来のオーバーサンプリングモードのデジタルフィルターに加え、デジタル領域における無帰還化とも言える「NOS」モードを採用。オーバーサンプリングのインパルス応答では避けられないプリエコーやポストエコーが発生しません。リアルで自然な音質、空気感をもたらします。画期的なデータ転送方法である「Bulk Pet」も採用。

    サウンドはスケールの大きな安定感のあるもので、アナログを彷彿とさせる立体的で、生き生きとした、吹っ切れ感のあるものです。圧倒的な情報量の多さ、細部の表現力、力強く伸びきった低音は正確無比で、説得力のある国産屈指のハイエンドサウンドを実現。




    ■ SOULNOTE 『 D-1N 』
     Silver/Blackの2色

    ESS「ES9038PRO」2基を「モノラルモード」で使用。「ES9038PRO」と「無帰還ディスクリートアンプ」のコンビネーションにより、オペアンプ(IC)では得ることができない、エネルギーに満ち溢れた生々しい音楽再生を実現。1ps以下という、超低ジッタークリスタルを採用。新たに上級機同様、「NOS」モード採用して、バージョンアップを果たしました。

    サウンドは非常に透明度が高く鮮烈で抜けの良いものです。ストレートで立ち上がりが良く、音程はしっかりして、安定感があります。音楽を実に楽しく聴かせてくれます。ミドルクラスの国産D/Aコンバーターでは屈指の実力機です。




    ■ cocktail Audio 『 X45Pro 』
     Silver/Blackの2色

    本機はデジタルオーディオの魅力を存分に手軽に味わえる超多機能な製品で、CDのリッピング、メタデータの管理、ファイル音源やネットワークでのストリーミング再生はもちろん、CDソフトの直接再生まで1台で行えます。もちろん、MQA-CDの再生も可能です。

    13mmの極厚のフロントパネル、筐体は厚手のアルミプレートに精密な切削加工した総アルミ仕上げです。背面にはストレージ用のスロットを装備。アナログRCAとPHONO入力が1系統ずつ、出力はXLRとRCAが1系統ずつ装備。さらにFMチューナーまで内蔵。

    サウンドは筐体の確かさやS/Nの良さから、制動力のあるしっかりしたスケール感のある低域に、厚みのある中域、ヌケの良いハリのある高域が加わり、情報量も圧倒的です。機能満載でこの音質を実現したことで、cocktail Audioの実力を再認識させられました。




    ■ cocktail Audio 『 X45 』
     Silver/Blackの2色

    最先端のデジタルフォーマットに対応し、音質に磨きをかけたマルチメディアプレーヤー。デュアルDAC搭載、DSD 11.2MHzにも対応したミュージックサーバー。CDを簡単に様々なフォーマットでリッピングでき、もちろんCD再生も可能です。

    本体背面には記録媒体用のスロットを装備。MQA-CDも再生可能な新時代のCDプレーヤーでもあります。




    ■ iFi-Audio 『 Pro iDSD 』


    PCオーディオの最先端を走り続けて来たiFiオーディオ。その集大成ともいえる製品です。他の追随を許さないPCM 768kHz、DSD 24.6MHzの圧倒的なハイレゾ再生に対応。A級・真空管バッファ、フェムト秒精度のマスタークロック、すべての入力にガルバニック・アイソレーションが施されています。

    同社初のネットワークプレーヤー機能まで搭載。MQAにも対応予定です。サウンドは鮮度が高くキレの良い鳴りっぷりの良さが魅力です。




    ■ M2TECH 『 Young III 』


    海外製としては異例な程のリーズナブルなD/Aコンバーター(USB-DAC)+プリアンプ。DACチップはTI「PCM1795」で、PCM/DSD(11.2MHz)ともにネイティブで対応。電子ボリュームにはCirrus Logic「CS3318」を採用し、プリアンプとしても十分な実力を備えています。

    サウンドは、実にハリのある若々しいもので、脚色を一切感じさせない生々しさが魅力。中低域には弾力感、高域には爽やか感があります。

    ■ 最後に
    今回はいま注目を集め、実際に市場で人気のある製品ばかりをご紹介しました。いずれもスペック的には、PCオーディオ黎明期とは雲泥の差があり、サウンドにおいてもいわゆるデジタル臭さを全く感じさせない、ハイエンドオーディオ特にレコード再生ともほぼ遜色ないレベルにまで達しているのは間違いありません。

    そしてお手持ちのCDライブラリーを生かすためにも、今こそ最新・高性能のUSB-DAC搭載D/Aコンバーターを導入されてみてはいかがでしょうか。

    MQA-CDを含め『 PC&ハイレゾオーディオ 』が、ますます面白くなってきました。(あさやん)

    2019年2月21日 (木)

    cocktailAudioのデジタルミュージックサーバー&トランスポート『 X50Pro 』 ~お使いのD/Aコンバーターが最大限生かせます。

    ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
    今回は、お使いのD/Aコンバーターを最大限活かせる、超々多機能なトランスポート型ミュージックサーバーのcocktailAudio『 X50Pro 』を取り上げます。




    ■ cocktailAudioの製品について
    いま、cocktailAudio(カクテルオーディオ)製品が大人気です。
    cocktailAudioは、韓国NOVATRON社のハイファイオーディオ製品専用のブランドです。NOVATRON社は2003年に、従来なかったユニークなマルチメディアオーディオシステムを開発、製造するために創設されたのです。常に最先端のデジタルフォーマットに対応し、便利で使いやすく、オーディオの楽しみを広げる革新的な製品をずっと供給し続けています。

    日本国内で最初に登場した同社製品は、2015年12月発売の「CA-X40」でした。超多機能で注目はされましたが、当時まだブランド自体が浸透しておらず、正直なところ、ヒットにまでは至りませんでした。そして2017年10月、アンプを内蔵し、スピーカーを接続するだけで簡単に、最新のハイレゾサウンドが楽しめるマルチメディアプレーヤー「X35」が登場。続いて同年11月、あえてD/Aコンバーターを非搭載とし、デジタル機能に特化したハイパフォーマンスマシン「X50D」と続きました。

    人気に火が点いたのが、2018年4月に発売された「X45」でした。高性能D/Aコンバーター(ES9018K2M)を内蔵し、アンプを内蔵していないマルチメディアプレーヤーで、最先端のデジタルフォーマットに対応し、音質にも磨きがかけられた製品でした。続いて同年6月発売の「X45Pro」は、最先端の高性能D/Aコンバーター(ES9038PRO)を搭載し、電源や筐体を大幅に強化し、同社ラインアップの最高級モデルとして、性能、音質の頂点を目指して投入してきたのでした。

    そして、2018年の年末ギリギリに発表されたのが、今回ご紹介いたします『 X50Pro』です。本機は「X50D」の上級機という位置付けの製品で、「X50D」同様にD/Aコンバーター非搭載のトランスポート型ミュージックサーバーで、本機をお使いになるには別途D/Aコンバーターが必要になってきます。

    それでは『 X50Pro 』の先進性&発展性を見てまいりましょう。とにかくその機能の豊富さに、筆者は圧倒されっぱなしでした。

    ■ cocktailAudio『 X50Pro 』とは
    cocktailAudio『 X50Pro 』は最上級機「X45Pro」の開発で得られたノウハウを注入して開発されています。CPUは「X50D」では「Dual Core ARM Cortex A9(1.0GHz)」であったのに対し、本機はその倍に当たるA9のクアッドコア仕様の「Quad Core ARM Cortex A9(1.0GHz)」にグレードアップされており、高い処理能力と快適な操作性を実現したとしています。

    また、音質を大きく左右するクロック発振器には、高性能、低ノイズのCrystek「CCHD-575」を搭載。電源部全体をアルミシールドケースでカバーすることでシールドを強化し、トランスからの放射ノイズを遮断。さらに「X45Pro」同様、13mm極厚フロントパネルをはじめ、本体を含むすべての筐体を、厚手のアルミプレートに精密な切削加工と美しいブラスト処理を施した総アルミ仕上げとしています。これらにより、高音質を目指したのです。

    本体背面には、記録媒体用のスロットを2基装備しており、それぞれに6TBまでのSATA3.5インチ/2.5インチのHDDドライブ、または、2.5インチのSSDが装着可能です。これにより、最大12TBにも及ぶストレージを実現できるのです。着脱も可能なため、ソースのジャンルなどにより複数のドライブの使い分けもできるのです。(ストレージは別売)

    フロントのディスプレイには視認性の高い日本語対応の7インチ大型カラー液晶を採用。操作画面や音楽ファイル情報、カバーアートなどが表示され、快適な操作が可能です。さらに本機のHDMI出力を、お持ちの大型ディスプレイやプロジェクターに接続すれば大画面に映し出すこともできます。

    デジタル出力は、RCA同軸、TOS光、AES/EBU、USB2.0、I2S(RJ45×1、HDMI×2)、ワードクロック出力(最大192kHz)を装備。デジタル入力は、RCA同軸、TOS光を各1系統を装備しています。

    ただ、「X50D」に2系統あった同軸出力が1系統になったのはI2S(※)のHDMI出力を2系統としたためで、I2S規格の対応幅を広げています。
    ※I2S:アイスケアエスと読みます。市販品ではM2TECH「Evo DAC Two Plus」などに採用され始めており、今後対応機が増えることが予想されます。

    USBホスト(本機から制御可能)端子は、前面に1系統(USB2.0)と背面に2系統(USB3.0)を装備しており、USBメモリや外部ストレージも接続可能です。

    本機にはフロントローディングのCDプレーヤーが内蔵されており、CDトランスポートとしては勿論、PC不要で簡単にリッピングもできてしまいます。WAV以外にもFLAC、ALAC、MP3など様々なフォーマットでリッピングが可能です。

    CDのメタデータやカバーアートはGracenoteやFreeDBのサービスを利用してインターネット経由でタグ付けできます。取り込んだ音楽データは、カバーアート表示、文字表示、使い易い検索機能など本機独自のミュージックデータベースに蓄積され、管理できます。

    本機の対応ハイレゾフォーマットは、DSD(11.2MHz)、DXD(24bit / 352.8kHz)、HD FLAC(24bit / 192kHz)、HD WAV(24bit / 192kHz)などほぼ網羅しており、他社に先駆けて対応しているMQAにも対応しています。MQA-CDもD/Aコンバーターが対応していれば、勿論再生可能です。

    さらに、家庭内のネットワークに接続することで、ネットワークプレーヤーまたはミュージックサーバーとしても機能します。TIDAL、Spotify、DEEZERなどのストリーミングサービスも利用できます。TIDAL、DEEZERではMQA音源もお聴きいただけます。

    また、専用のリモコンアプリのNOVATRON「MusicX」をiOS / Androidのスマホやタブレットにダウンロードすることで、ネットワーク経由で本機の操作が可能となり、操作画面やカバーアート、ファイル情報を手元で見ながら操作できてしまいます。

    cocktailAudio『 X50Pro 』の多機能さは、まさに「てんこ盛り」状態と言えるでしょう。

    ■ 試聴しました
    私が所有する使い慣れたD/Aコンバーター Mytek Digital「Brooklyn DAC+」に本機を繋いで、短時間ですが試聴しました。

    まずは、個人的に最も興味のある「MQA-CD」の直接再生から始めました。難なく「Brooklyn DAC+」に352.8kHz/24bitの表示(ユニバーサルミュジックのMQA-CD)が出て、通常CDとは全く違う奥行き感や立体感が再現されました。パソコンのハイレゾ音源からのUSB入力では、MQA-CDのリッピングソフトやダウンロードしたMQA音源も問題なく再生し、MQAの素晴らしさを改めて実感させられました。

    通常のハイレゾPCM音源は勿論、44.1kHzのCDからのリッピングソフトも、本機の筐体の確かさやS/Nの良さから、制動力のあるしっかりした低域に、深く沈む重低域が加わったスケール感の豊かな余裕のある低音でした。一方中高域は、厚みのある中域にヌケの良さ、ハリのある高域が加わり、情報量も圧倒的で、PCM音源ならではのピラミッド型のハイエンドサウンドを聴かせてくれました。

    一方DSD音源では爽やかさや瑞々しさが加わり、アナログっぽさも感じさせました。PCM、DSDそしてMQAと、それぞれの個性をそのままの形で引き出し、『 何も足さない、何も引かない 』オリジナル音源の良さを大事に、そして素直に引き出してくれました。

    cocktailAudio『 X50Pro 』は、お使いのD/Aコンバーターを最大限活かせる超々多機能なトランスポート型ミュージックサーバーです。(あさやん)

    2019年2月 5日 (火)

    ソニーの超弩級DAP『 DMP-Z1 』を徹底解説!

    ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
    今回は、ソニーの超弩級デジタルオーディオプレーヤー『 DMP-Z1 』を取り上げます。この小ささの中にハイエンドオーディオのノウハウを詰め込んだ【 とんがったモデル 】でした。




    ■ 私とデジタルオーディオプレーヤー
    私はここでデジタルオーディオプレーヤー(以下、DAP)を取り上げることに、正直とても躊躇していました。と言いますのも、私には「オーディオとはスピーカーの音を空間を介して(部屋の空気を動かして)聴くもの」と言う信念があります。演奏会場やスタジオはそれ自体が空間=音場であり、その音場も含めて録音されているのですから、空間を介する(空気を動かす)必要があると考えるためです。

    そのDAPなどでのヘッドホンリスニングは、録音された音や楽器のチェック、演奏の善し悪しの判断は十分可能だと思います。しかし、耳の直近や耳の中に振動板が存在するヘッドホンには、音場(=空間)の表現ができない(※バイノーラル録音ではある程度音場の再現は可能です)と考えます。それは、スピーカーリスニングとは別次元の再生システムなのです。ただ、私も通勤電車内ではヘッドホンにお世話になっており、ヘッドホンリスニング自体を否定するつもりは毛頭ありません。

    少し講釈が長くなってしまいましたが、だったら何故『 DMP-Z1 』なら良かったのかを、ハイエンドオーディオの視点で見てまいることにいたしましょう。

    ■ DMP-Z1とは
    ソニー『 DMP-Z1 』は、日本での発表の前、2018年8月の香港、9月のベルリンのオーディオショーで先行発表され、当地で話題騒然となり、日本でも異常なほど注目を集めました。そして遅ればせながら、10月に国内発表、12月に発売とのアナウンスがあったのでした。

    ソニー『 DMP-Z1 』は、Joshin webショップの「試用レポート」や「特設ページ」に詳しくご覧いただけますので、今回私は「ハイエンドオーディオの担当者」の立場から、本機をレポートします。

    まず気になったのは、その大きさ・重さです。ソニーとしては「ウォークマン」ではなく、「ハイレゾプレーヤー内蔵アンプ」と呼び、「ポータブル」ではなく「キャリアブル」という言い方をしています。要するに、今までにない新しいコンセプトのDAP(ソニーでは、DMP=デジタルミュージックプレーヤー)だとしています。

    ■ DMP-Z1のハイエンド機器としてのこだわり
    重さは約2.5kgありますが、「キャリアブル」と呼ぶ所以はバッテリーを搭載していて、4時間のフル充電で、9~10時間程度の再生が可能だというためです。

    オーディオ歴の長いマニアの方はお分かりだと思いますが、オーディオ機器の理想はバッテリー駆動であり、AC電源のデメリットを如何に克服するかが、オーディオの大きな目標であり続けています。バッテリー駆動は究極のクリーン電源なのです。

    そのバッテリー駆動の電源は合計5セル(単電池)のバッテリーパックで供給しており、デジタル回路には角形を1セル、アナログ回路はプラス/マイナス用に円筒型の2セルをそれぞれ使っています。これによりデジタルとアナログは勿論、左右チャンネルも完全に独立させ干渉を回避した、徹底的にこだわったバッテリー電源です。しかもバランス駆動なのです。


    ▲ バッテリー電源

    そして本機では、「NW-WM1Z」をはじめ、現行のウォークマンで採用されているフルデジタルアンプ「S-Master HX」ではなく、あえてアナログアンプを搭載したことで、この巨大なプレーヤーになってしまったのです。デジタルの覇者 ソニーの技術陣が如何に音質のためとはいえ、本機にアナログアンプを選択したことには敬意を表するとともに、並々ならぬ意気込みさえ感じます。

    ただ、我々オーディオマニアにとっては、どうしても「S-Master PRO」を搭載した、2003年発売のSONY最後の高級プリメイン「TA-DR1」を思い出してしまいます。やはり「S-Master」はSONYのオーディオ技術のメインストリームのはずなのですが・・・。如何に高出力のためとはいえ、従来からの主張との矛盾はちょっと気になるところではあります。

    そのアナログアンプには、TI(テキサスインスツルメンツ)のステレオHi-FiヘッドホンアンプIC「TPA6120A2」を2基搭載。ロータリーボリュームは、世界最高性能を誇り、高級プリアンプで使われることの多いALPS(アルプス電気)製50型金属軸高音質タイプボリューム「RK501」を、本機のためにカスタマイズ(重厚な真鍮ケースを接触抵抗の少ない銅でコーティングした上に更に金メッキ)して搭載。ノブもアルミの削り出しという贅沢の極みです。


    ▲ TPA6120A2


    ▲ RK501


    ▲ ロータリーボリュームのノブ

    そしてそして、DACには何と、AKM(旭化成エレクトロニクス)の最高峰DACチップ「AK4497EQ」をチャンネルセパレーションを有利にするため、左右独立で2基搭載しています。この「AK4497EQ」こそ、エソテリックなどのハイエンド機器の多くに採用され、その実力の程は既に実証済みです。DAPではあり得ない快挙ともいえます。これにより、「DSD:11.2MHz」や「PCM:384kHz/32bit」のネイティブ再生、さらにはMQAも再生可能です。


    ▲ AK4497EQ

    さらに極めつけは筐体構造です。軽量かつ高剛性という難題をH型アルミ押し出し材を切削加工して、側面とシャーシを一体化。アンプ基板とデジタル基板を上下分離し、デジタル基板の下には金メッキした無酸素銅プレートを挟み込むなどして、GND(アース)を強化し、ノイズの影響を抑えるという、ここにもハイエンド機器の手法を投入しています。ゴム脚は内部にソルボセインを使用した3層構造にするなど振動対策も万全を期しています。


    ▲ H型アルミ押し出し材を切削加工

    また、瞬間的な大電力にも対処するため、「電気二重層コンデンサ」を合計5個搭載。内部配線にも手抜きはなく、定評のある米国KIMBER KABLEが使われています。更に基板の配線も一般的な角張ったモノではなく、ハイエンド機器で見られる曲線で描かれ、信号が自然に流れるパターンを採用。ハンダに至るまで、新開発の金入り「高音質ハンダ」を使うなど、そのこだわりは半端ではありません。


    ▲ KIMBER KABLE


    ■ DMP-Z1のこだわりの機能
    新開発の「バイナルプロセッサー」が注目されます。これはアナログレコードの再生時に生じる「サーフェイスノイズ(針が盤面を滑ることによって生じるサーというノイズ)」が音の立ち上がり(初動感度)を良くするという考え方。

    そしてもう一つは、スピーカーの音圧がレコード盤やそれを支えるプレーヤーに伝わること(空間フィードバック)で針先に影響を与え、豊かな響きが得られるという考え方です。これらがアナログの音が良く感じられる理由だとしています。

    この理論に基づいてDSP処理を加えることで豊かな音の再生を可能にしたのです。しかし、これは私の考え方とは少し違う点もあり、諸手を挙げて賛成とはいきません。私の考えるアナログの良さとは

     ①デジタルのように入れ物に制限が無く、歪みながらも伸び切る良さ
     ②物理的に針を溝に引っかけることによる立ち上がりの良さ
     ③何より音の連続性による自然さ

    だと考えます。ノイズや振動の影響とは考えにくく、ここは個人の意見の分かれる所です。

    そしてこだわりの(削減)機能の極致は、アナログ出力がヘッドホン出力(4.4mmバランス、3.5mmアンバランス、いずれも高出力)のみで、外部機器への入出力はデジタル(USBまたはBluetooth)のみのシンプルさです。これは、ラインアウトや切り換えスイッチを付けることで、ヘッドホンリスニングに多少なりとも影響が出ると考えた結果だといいます。ただ、やはりアナログアウトが欲しいと思うのは、私だけではないと思います。

    トップパネルには800×480ピクセルの3.1型タッチパネル液晶、音楽再生画面を中心に上下左右にスライドすることでスムーズな操作が可能です。256GBの内蔵メモリーに加え、microSDカード用スロットを2つ搭載。

    さらに、外出先に本機を持ち出すための専用キャリングケースも付属しています。背面のUSB Type-C端子により、パソコンから本機へ楽曲を転送したり、接続したパソコンの音楽を本機を通して(USB-DACとして)ヘッドホンで聴くことも可能です。

    本機の細部の仕上げにこだわった質感は抜群で、ハイエンド機器ならではのシンプルな外観となっています。私の所有欲を大いにかき立てる優れたデザインです。

    ■ 最後に
    ヘッドホンリスニングでの音質に一切妥協しない【 とんがった挑戦的なモデル 】それが『 DMP-Z1 』です。「ソニーらしさ」「It's a sony.」の復活を確信しました。

    その再生音については、ヘッドホン個々での印象の違いがあり、ここでは多くは述べませんが、私のようなスピーカーリスニング派にとってもそれは衝撃のサウンドでした。

    第一印象は低域から高域にわたる全帯域でのスピードが揃っていることです。これはスピーカーでは至難の技です。また細部のディテイルがさすがにスピーカーでは無理なレベルまで再現され、その情報量の多さには圧倒されました。音の鮮度、凝縮感、伸びやかさはヘッドホンリスニングならではと感じました。

    今回『 DMP-Z1 』を聴いて、スピーカーリスニングとヘッドホンリスニングには、それぞれ別次元の異なる楽しさがあるのだと、改めて感じました。(あさやん)

    Joshin webショップ

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    ジョーシン店舗
    高級オーディオ情報!

    • 下記店舗では、ハイレゾからアナログまで、Accuphase・B&Wなどのハイエンド オーディオ製品やオーディオアクセサリーが充実。試聴室完備で比較試聴も できます。

      日本橋1ばん館 4F
      (大阪 日本橋)

      三宮1ばん館 B1F
      (神戸 三宮)