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2018年12月29日 (土)

話題の新世代真空管「Nutube」搭載! ~ USB-DAC/ADC内蔵プリアンプ『 Nu 1 』 ついに、KORGより登場! ~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、新世代真空管「Nutube」を2基搭載した、KORG USB-DAC/ADC内蔵プリアンプ『 Nu 1 』をご紹介!
KORGとノリタケ伊勢電子(株)が共同開発した「Nutube」は、より多くのユーザーに真空管の音を楽しんでいただくために、現在の技術を駆使し、高品質で電池動作も可能とした、省電力で扱いやすい真空管です。




■ KORG『 Nu 1 』のコンセプト

KORG(コルグ)は、本来シンセサイザーやデジタルピアノなどの電子楽器、業務用レコーディング機器を製造、販売しているメーカーです。しかし、我々オーディオユーザー、特にPCオーディオファンにとっては、PCオーディオの入門機としてのUSB-DAC「DS-DAC-10」を2012年に、「DS-DAC-100」「DS-DAC-100M」を2013年に発売し、いずれも大ヒットとなりました。そして、2015年の発売以来、今もロングセラーを続けている「DS-DAC-10R」がKORGの代表的オーディオ機器といえます。

そのKORGが満を持して発売に漕ぎ着けたのが、今回ご紹介します新世代真空管「Nutube」搭載のUSB-DAC/ADC内蔵プリアンプ『 Nu 1 』です。この『 Nu 1 』は、楽器メーカー KORGならではの『 良い音を作り出す 』というコンセプトの基、開発されたのだといいます。

そのコンセプトを追求する手段は2つ。一つは、ノリタケ伊勢電子(株)との共同開発である、全く新しい考え方で開発された直熱双三極管「Nutube」を搭載すること。そしてもう一つは、独自技術である「S.O.N.I.C.リマスタリング・テクノロジー」の搭載です。

それでは、この2つのコンセプトを中心に『 Nu 1 』の魅力を探ってまいります。


■ 新世代真空管「Nutube」とは



従来の真空管では難しかった長寿命(連続期待寿命:3万時間)、省電力を実現した高品質な日本製真空管です。直熱管としてリニアリティに優れた特性を持ち、真空管特有の豊かな倍音が楽しめるとしています。

ノリタケ伊勢電子(株)の蛍光表示管の技術を応用しているため、通常は丸い真空管を上記写真のような形にできたのです。結果、従来の真空管に比べて、高品質、長寿命を実現できたのです。しかも発熱がないため、マイクロフォニック(振動)対策も通常の真空管に比べて、容易になったのです。

そして開発理由を、現在生産されている真空管はその製造装置も50年前のものを修理して使っており、製品の不良やばらつきが多く、なおかつ大きな電力が必要になるためとしています。より多くのユーザーに真空管の音を楽しんでいただくために、現在の技術を駆使し、高品質で電池動作も可能とした、省電力で扱いやすい真空管「Nutube」を開発したのだといいます。

『 Nu 1 』では「Nutube」を2基搭載しており、新開発の「Nutube HDFC(倍音抽出帰還回路)」によって、倍音の量の調整を3段階で行っています。その変化は、当社の日本橋1ばん館で体験させていただきました。

オフの状態ではストレートで切れ味を重視した現代的なサウンドでしたが、Nutubeボタンをオン(前面パネル左側にある横長のインジケーターで表示)にすると、HDFCセレクターが有効となり、「I」「II」「III」と3段階選択可能となります。数字が大きい程倍音の付加される量が増やされ、真空管ならではの滑らかで温かみのあるサウンドが強調されていきました。

筆者は通常は「I」で、ボーカルやクラシックでは「II」がベストと感じました。いずれにせよ従来機器にはなかった「自分の欲しい音」にアクセスできるという画期的な機能です。


■ S.O.N.I.C.(Seigen Ono Natural Ideal Conversion)リマスタリング・テクノロジー

DSDマスタリングの第一人者であるオノ セイゲン氏(本名:小野誠彦氏はレコーディング・エンジニア、マスタリング・エンジニアであり、音楽家[ミュージシャン、作曲家、音響コンサルタント、音楽プロデューサー]でもあります)がプロデュースした「DSDで遊べる」本機専用のオーディオ・ドライバ「S.O.N.I.C.リマスタリング・テクノロジー」が付属しています。

PCを使って再生する古いデジタル音源やMP3音源、YouTubeやVimeo等の動画、iTunesやradikoなどのデジタルサウンドや、もちろん通常CDをすべてリアルタイム変換によって、DSDクオリティにリマスタリングして『 Nu 1 』でDSD11.2MHzにコンバートして再生するというものです。しかもこれは一般的なアップサンプリングではなく、オノ セイゲン氏の豊富なノウハウを注ぎ込んだ「マジック」だとしています。


日本橋1ばん館では、YouTubeの音源や古い美空ひばりのボーカルを聴かせていただきましたが、非常に自然で帯域も十分広く、ライブ録音も臨場感が加わり、十分にハイエンドのオーディオシステムでも楽しめるグレードと感じました。これによって、YouTubeも新たな音源に加えることができそうです。


■ 『 Nu 1 』のUSB-DAC/ADC内蔵プリアンプとしての魅力


[1] DACチップは旭化成エレクトロニクスの「AK4490」を採用
USB-DACとしての対応フォーマットは、従来のDS-DACシリーズを大きく超える、DSD:2.8224MHz / 5.6448MHz / 11.2896MHz 1bit、PCM:44.1kHz / 48kHz / 88.2kHz / 96kHz / 176.4kHz / 192kHz / 352.8kHz/384kHz 16bit / 24bit、「S.O.N.I.C.リマスタリング・テクノロジー」使用時のみ DSD:3.072MHz / 6.144MHz / 12.288 MHz 1bitを実現しており、現時点では最高クラスのスペックを達成しています。

[2] ADCにはDACと同じ旭化成の「AK5574」を採用
本機のA/Dコンバーター機能は、DS-DACシリーズで実現したDSDによる高音質録音機能をさらに強化しており、付属ソフトウェア「AudioGate Ver.4.5(最新版)」との組み合わせで、DSD11.2MHz(従来はDSD5.6MHz)による録音/再生を実現しています。従来高価なプロの録音現場で使われるDSDレコーダーでのみ採用され、我々には手の届かなかったDSD録音が可能になったのです。 これによりライン入力に接続した貴重なオープンリールデッキや、カセットデッキの音源のデジタルアーカーブも可能です。

[3] MM/MCカートリッジ対応のフォノアンプ搭載
レコードプレーヤーの出力を直接接続しての再生(PCを使う必要のないANALOGモード搭載)はもちろん、アナログレコードを高音質にデジタル録音できます。さらに「DSDフォノ・イコライザー機能」を「AudioGate」に内蔵しており、一般的なRIAAカーブ以外にもLP用の5種類のカーブにも対応。「AudioGate Ver.4.5」ではSPレコード用の3種類のカーブが追加され、これはかなりマニアックな機能です。そして録音時に掛け録りするだけではなく、イコライザーを掛けず録音した音源に対して後掛けすることも可能です。

[4] DSD音源を手軽に持ち出し可能に
レコードなどお手持ちのソースをDSD録音して、ミュージック・プレーヤーとしての機能が充実した付属ソフト「AudioGate Ver.4.5」で曲順を入れ替えたり、シャッフルしたりしながら気軽に再生して楽しむことができます。「AudioGate」はほとんどのオーディオ・フォーマットに対応しており、DSDで録音したソースをmp3やFLACなどに変換してポータブル・デジタルオーディオプレーヤーで持ち運ぶことも簡単です。

[5] 充実のアナログ回路
DACチップ「AK4490」を2基搭載しており、左右独立で構成された出力回路、Nutube回路(バイパスも可能)を経由し、XLRバランス出力されます。アナログ信号は入力から出力まで、基板上でのノイズの影響を打ち消す差動増幅回路構成となっています。そしてオーディオ機器の音質を決める最重要部分の電源には、磁束漏れが少なく効率が良いことで高級オーディオ・アンプに使われているトロイダル・トランスを採用しています。

[6] 充実の入出力端子

入力は、XLRバランス×1系統、RCAアンバランス×1、フォノ×1、USB-B×1を装備。出力は、XLRバランス×1、RCAアンバランス×1に加え、「USB-DAC DIRECT OUT」としてXLR×1、RCA×1を装備しています。ヘッドホン出力は、標準ヘッドホン×1、XLRバランスヘッドホン×1まで搭載しており、万全を期しています。



■ 最後に
このようにKORG『 Nu 1 』は、DSDを主軸にデジタル音源の高度な再生はもちろん、プロの世界で鍛え上げられたKORGだからこそ可能な、DSD11.2MHzでのアナログレコードを含むダイレクト録音機能は、他メーカーでは恐らく将来的にもノウハウの面でかなり難しいのではないでしょうか。

そこに、新世代真空管「Nutube」によって、あえて『 良い音を作り出す 』ことまで楽しめる、KORGだけができる別次元のプリアンプ『 Nu 1 』の完成です。(あさやん)


2018年11月30日 (金)

【誰でも簡単にネットワークオーディオを!】アイ・オーデータのオーディオサーバーSoundgenicがお薦めです!


みな様、こんにちは!
前回から少し間が空いてしまいましたが。。。ハイエンドオーディオ担当のとうふです。
11月に入って徐々に気温が下がり、朝には息が白くなる日も増えてきましたね。

さて、11月と言えば各種オーディオイベントが各地で行われるのですが。。。
昨今は『音楽をCDで聴く』という方が減少の傾向にあり、
主な再生媒体がPCやDAP(デジタルオーディオプレーヤー)と言う方が多いようですね。。。
CDの売れ行きも同様に減少傾向にあるそうですが、それに反応してか昨今はCDプレーヤーの新作もめっきり減ったように感じます。

しかしそんな状況でも音楽機器業界にとっては決してマイナス要因では無く、
オーディオ再生のスタイルが変化しているだけで、
一家に一台(場合によっては1人一台)はお持ちのPCを再生機とした"PCオーディオ"
スマートホンやDAP(デジタルオーディオプレーヤー)等からのワイヤレスイヤホン/ヘッドホン再生で、音楽に触れるシーンはよりずっと身近になっているようです。

さて、今回ご紹介の製品"Soundgenic"はPCオーディオの一種、
ネットワークオーディオで使用される音源を保存する『オーディオサーバー』にあたります。

I/Oデータ
オーディオ用ネットワークサーバー
Soundgenic


本機は発表時にもハイエンドブログでもご紹介させて頂きましたが、やはり待ち望んでいた方が多かったのか。。。 しばらくは入荷完売入荷また完売、としばらく品薄の状況が続きました。


その後、容量が強化された兄弟機【HDL-RA3HG 】が初夏に発売。
品薄状態も解消されてきました。

さらに8月に新ファームウェアが公開され機能面が拡張、と利便性が更に向上!
特に私が大きな点と感じるのが
○DAP(デジタルオーディオプレーヤー)などのUSBマスストレージ機器に転送

ポータブルオーディオユーザーには非常に嬉しい機能です!
Soundgenicはオーディオサーバーという製品ですが、外付けCDドライブを取り付けることで
CDの取り込み機能CDトランスポーター機能を持ちます。
※対応ドライブにご注意ください。
CDを取り込んで、後はお気に入りのDAPに転送!という工程がPC要らずで行えるのです

○「DirectDSD」を新たにサポートし、最大DSD22.5MHzに対応

Soundgenicは先にも書きましたが本来はオーディオサーバーです。
しかし搭載のUSB端子に機器を接続する事でさまざまな事が行えます
なかでもUSB-DACを接続する事で、単体プレーヤーとしても楽しむ事が出来、今回のアップデートで更にオーディオプレーヤーとしての機能に磨きがかかりました!

その他の詳細なアップデート情報はメーカー該当ページをご確認くださいませ。
※動作の安定や機能拡張などが行われる為、ファームウェアは最新の状態に維持してください。

ファームウェアの更新で更に完成度を高めたSoundgenic。
ネットワークオーディオを検討中の方にはもちろん、秋のオーディオライフを楽しむツールとしてお薦めの製品ですっ!

それではいつもお買い得な「Joshin Web」でお待ちしております。

2018年11月29日 (木)

待ちに待った iFiのフラッグシップUSB-DAC『 Pro iDSD 』がついに登場!

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、PCオーディオマニアにおすすめの「一粒で五度も十度も美味しい」究極のデジタル機器 iFiオーディオのUSB-DAC『 Pro iDSD 』を取り上げます。
コンパクトなボディに最新技術やトレンドを詰め込み、PCオーディオの最先端を走り続けて来たiFiオーディオの集大成ともいえる製品です。




■ 『 Pro iDSD 』がついに発売

iFiオーディオより、注目の新製品USB-DAC/ネットワークプレーヤー『 Pro iDSD 』が発表されたのが今年(2018)6月のことでした。その衝撃的で圧倒的なフィーチャーに筆者を含め、多くのPC&ネットワークオーディオファンが驚かされ、その発売が待たれていました。

「nano iDSD」でDSD:11.2MHzを実現し、PCオーディオのその後の流れを大きく変えたiFiオーディオが、更なる高みを目指して、最新トレンドを追求しつつ、お家芸のデジタルはもちろんのこと、アナログ部分においても同社独自の魅力を追求し、ついに発売に漕ぎ着けたのです。その『 Pro iDSD 』の数々の最新性能と魅力に迫ってまいります。


■ iFiオーディオ

iFiオーディオは、イギリスの伝統あるハイエンドオーディオメーカー「AMR(Abbingdon Music Research)」を母体とするPCオーディオメーカーです。同社の理念は、「コンピューターやモバイルに親和性を持つ新しい世代に向けて、従来のオーディオの枠組みにとらわれない発想により、ハイエンド製品の技術を満載した製品をリーズナブルな価格で提供すること。」としています。

その理念の通り、iFiオーディオの製品群は、そのグレードと価格帯によって「nanoシリーズ」「microシリーズ」「Proシリーズ」に分けられており、 『 Pro iDSD 』はトップグレードの製品です。同社製品はいずれもこれまで、コンパクトなボディに最新技術やトレンドを詰め込み、PCオーディオの最先端を走り続けて来たのでした。その集大成となるのが本機 『 Pro iDSD 』です。

『 Pro iDSD 』は単なるUSB-DACではなく、バランス駆動に対応したヘッドホンアンプであり、アナログの可変出力を選択すれば高性能プリアンプにもなり、さらに同社初のネットワークプレーヤーでもあります。

DNLAやAirPlayにワイヤレスで対応し、ストリーミングによる音楽再生、micro SDカードやUSBメモリーでのファイル音源再生も可能で、機能はまさにてんこ盛り状態です。それでは、『 Pro iDSD 』のハイエンドオーディオ機器としての魅力を順に探っていきます。


■ 『 Pro iDSD 』の魅力とは!

★PCM:768kHz、DSD:24.6MHz(DSD1024)への対応
他の追随を許さない圧倒的なハイレゾ再生に対応していますが、それだけではありません。『 Pro iDSD 』のデジタル部は、4基のバーブラウン製DACチップをスタックすることで、最大8組の差動信号を引き出す構成を取っており、入力信号を内部のFPGA(設計者が構成を設定できる集積回路)を用いた独自のアルゴリズムにより、最大DSD45.2MHz(DSD1024、つまりCDの1024倍)にアップサンプリングした上で、D/A変換する「DSD1024マスタリング機能」を搭載しています。

しかもこのアップサンプリング機能は、後述のネットワーク入力時にも適用できるため、あらゆる音源をDSD1024にアップサンプリングして聴けるという、史上初の機能を搭載しているのです。

★GE製5670×2本を用いたA級・真空管バッファ搭載
『 Pro iDSD 』のユニークな機能として、アナログ出力モードが3種類用意されていることです。一般的なJ-FETを用いた半導体回路を動作させる「ソリッドステート」モード、GE製5670を採用した回路のみを動作させる「真空管」モード、そして前者のNFBを最小限に抑えて動作させる「真空管+」モードの選択が前面パネルで可能です。

高解像度でストレートな「ソリッドステート」モードから、多少丸みを帯び低域が豊かな「真空管+」モードまで、デジタルとアナログ両面の魅力が味わえ、お好みのサウンドで楽しめます。

★フェムト(1000兆分の1)秒精度のグローバル・マスター・タイミング(Global Master Timing)クロック装備
すべての入力データはメモリー・バッファーに送られ、ここでジッターが除去され、ソースに含まれていたジッターがDAC出力に伝送されないように取り除かれます。メモリー・バッファーからのデータは、続いて低ジッターのグローバル・マスター・タイミングクロックを用いて再クロックされます。

さらに同社としては初の外部クロックの入出力も装備しており、10MHzのマスタークロック入力も可能です。デジタルの要であるクロック部にも万全を期しています。

★すべての入力(USBを含む)にガルバニック・アイソレーションが施されています
「ガルバニック現象」とは、異種金属が接触した際、それぞれの金属のイオン化傾向の違いによって電流が流れるのですが、この電流が「ガルバニック電流」と言われるものです。金属製のスプーンや銀紙を噛むとピリッとすることがありますが、これが「ガルバニック電流」の仕業だそうです。

本機のガルバニック・アイソレーションは、信号ラインだけではなく、電力やアースラインを含めて完全な絶縁を行っており、USBでの高速伝送時のノイズの混入を防止し、アースループも遮断できたとしています。これにより正確でノイズのない高速伝送が実現できたのです。

★構成パーツには信頼性で多くの日本製を使用
ALPS(アルプス)製の第一級のモーター駆動式ロータリー・ボリュームを搭載しており、これを使うことで 『 Pro iDSD 』はフル・バランス仕様となっています。またコンデンサーにも、低音のダイナミック・パフォーマンスを最大限に引き出すために日本のELNA(エルナー)製の音響用アルミニウム電解コンデンサ「ELNA Silmic(シルミック)キャパシター」を使用。

さらにデジタル部の電源には、超低インピーダンス環境によって高速な電流供給を実現するため「ELNA Dynacap DZ」スーパー・キャパシターが使われており、これらはすべて最高の音質を達成するための「必須部品」としての選択だとしています。

★豊富な入出力端子を装備
入力端子は、USB3.0(Bタイプ)×1、AES/EBU×1、S/PDIF(RCA同軸/丸形光TOSコンボ)×1、BNC(S/PDIFまたはSync入力)×1。

出力端子は、XLR×1系統、RCA×1系統、ヘッドホン出力には、6.3mmと3.5mm(左右GND分離のS-バランス対応)、さらに2.5mmバランス駆動と万全です。筐体は小さい(213×220×63.3mm、1.98kg)のですが、あらゆる入出力に対応しています。

★同社初のネットワークプレーヤー機能
『 Pro iDSD 』はルーターにダイレクトにリンクして、オンライン・ミュージックを再生することができます。従来iFiオーディオはネットワークプレーヤーも、その関連アクセサリーも一切出さず、USB関連機器に集中してきた感がありますが、今回フラッグシップ機にネットワーク機能を初めて搭載してきたのです。今後の展開が楽しみです。

★MQAデコードにも対応予定
今後ファームウェアのアップデートでMQAデコードにも対応する予定(※)とのことです。(※ 現時点ではレンダラー対応かフルデコードタイプになるか内容は不明です。)



■ 最後に
さて『 Pro iDSD 』の音質の狙いは、(~輸入元にお聞きしました。)"Pro"の名が示す通り、モニターライクで鮮度感のあるストレートなサウンドを基本としつつ、真空管ならではの余韻感のある、ふくよかなサウンドも再現可能な懐の深さを持っています。

さらに「DSD1024マスタリング機能」では、しなやかでナチュラルなサウンドが実現し、リアルな音場再現力には他の追従を許さないものがあるとしています。

一粒で二度美味しいどころか、五度も十度も美味しい究極のデジタル機器と言えます。まさに「これでもか!」と思わせる機能てんこ盛り状態のiFiのフラッグシップ 『 Pro iDSD 』。

これだけのフィーチャーを詰め込んで、この価格は決して高くはないと思います。是非最先端のPC&ネットワークオーディオを使いこなす喜びを知っているPCオーディオマニアにお勧めします。

2018年9月22日 (土)

SOULNOTEフラッグシップD/Aコンバーター『 D-2 』が今、大注目!!
~ ESS製DACチップES9038PRO×4とフェムト・クロックにより具現化した究極のデジタルとは ~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
CSRがSOULNOTE(ソウルノート)ブランドを引き継いで丸2年。元気の無かった国内オーディオ市場に2016年には「A-1」「C-1」「A-0」、2017年には「E-1」「D-1」と、話題の製品を次々と投入し、少なからずミドルクラスのオーディオ市場を活性化してくれました。

2017年末にはアキュフェーズ、ラックス、エソテリックの御三家に対抗すべく、高級プリメインアンプ「A-2」とフォノイコライザー「E-2」を投入。ハイエンドオーディオ市場に参戦したのです。さらに今夏、フラッグシップD/Aコンバーター『 D-2 』がラインナップに加わりました。自宅での試聴を含めレポートしてまいります!


■ 『 D-2 』に迫る!

『 D-2 』の外観はSOULNOTEの一連の製品と同じく、オリジナリティのある立体的で重量感のあるアルミフロントパネルを採用し、筐体は「A-2」と同じ大きさで、重量は17kgにも達しています。プラチナム・シルバーとプラチナム・ブラックの2色が用意されています。

『 D-2 』の最大のトピックは何と言っても、業界で初めて"ESS製DACチップ「ES9038PRO」"を合計4個搭載し、それにSOULNOTEの得意技「完全対称無帰還ディスクリートアンプ」を組み合わせたことです。初代の「D-1」は「ES9038PRO」を左右独立で2個搭載していましたが、『 D-2 』ではチャンネルあたり2個を割り当てるという徹底ぶりです。



「ES9038PRO」は、IV回路(電流-電圧変換回路)も抵抗1本によるシンプルな回路とし、NFBを採用するアンプで生じるTIM歪(過渡相互変調歪)を排除できたのです。120mAの強力な電流出力を誇る「ES9038PRO」を片チャンネルあたりダブルで使用することで、"さらに自然で生命力に満ち溢れた音楽再生が可能になる"としています。なお、「ES9038PRO」は最高音質の得られるシンクロナスモードで動作させているとのことです。



そしてもう一つのトピックは、DDS(Direct Digital Synthesizer:マスタークロックの出力回路) に、超高精度のTI(テキサスインスツルメント)のPLLatinum™RFシンセサイザー「LMX2594」を採用していることです。

オーディオ機器では数10ps(ピコ秒)オーダーのジッター(クロック立ち上がり波形の揺れ幅)性能のDDS用ICが一般に採用されていますが、『 D-2 』では測定器やレーダー用に開発されたジッター45fs(フェムト秒:フェムトはピコの1/1000)という、世界最高レベルのスペックのオーディオ用DDSを同社として初めて採用したのです。さらに、SOULNOTEとして初めて10MHz外部基準クロック入力も装備しています。やはりデジタルの"肝"はクロックということなのです。

また、従来のFIR(デジタルフィルター)オーバーサンプリングモードに加え、デジタル領域における無帰還化とも言えるNOS(ノンオーバーサンプリング)モードを新たに採用。これにより、FIRオーバーサンプリングのインパルス応答では避けられないプリエコーやポストエコーが発生しないということです。

FIRオーバーサンプリングフィルター
でのインパルス出力波形
NOS モードでのインパルス出力波形
プリエコーやポストエコーはデータを補間するために前後のデータから演算で作り出した人工的な「音」であり、これにより正弦波などの波形は見た目滑らかになりますが、演算のアルゴリズムで音質が変わったり、時間軸的な曖昧さが付加されます。

これは極めて過渡応答性能に優れた無帰還ディスクリートアンプとのコンビネーションで初めて実現できる波形です。音楽波形は高さの違うインパルス波形の連続であるため、NOS モードにより時間軸情報の曖昧さが払拭され、時間軸に対して非常に敏感な人間の聴覚に、よりリアルで自然な音質、空気感をもたらします。(※なお DSD はNOS モードにはなりません。)

デジタル入力はUSB×1と同軸デジタル×2、AES/EBU×1で、USBでは768kHz/32bitまでのPCMと22.6MHzまでのDSDに対応しています。同軸デジタルとAES/EBUではPCMが192kHzまで、DSDは2.8MHzまでです。アナログ出力はXLR(5.6Vrms)とRCA(2.8Vrms)を各1系統を装備しています。




SOULNOTEのお家芸でもあるディスクリート完全対称無帰還差動アンプは、電源整流部も含めて左右チャンネル完全独立のツインモノコンストラクションを採用しています。音声信号や電源経路からコネクターケーブルを排除し、大電流を扱うトランスからの配線も最短化しています。また、各ステージの整流回路を独立させて、相互干渉を防止しています。

電源トランスには、ハイパワーアンプ並の400VAの2次側8巻き線の大型トロイダルトランスを本機のため新開発して搭載。あえてトランスを1個としているのは、振動源であるトランスによって生じる筐体の振動モードのシンプル化を図るためで、不要な振動はトランス直下のスパイク足から筐体外に排出するのだとしています。

動作モードは「STEREO」の他「MONO Lch」「MONO Rch」を選択可能。MONOモード時は反対チャンネル側のES9038PROを停止することで電源の余裕が倍増され、チャンネルセパレーションが事実上無限大にすることができます。

そしてもう一つトピックがあります。それは画期的なデータ転送方法である「Bulk Pet」を採用していることです。一般的にPC-AudioではIsochronous(アイソクロナス:定期的にPCとデバイスの間にデータが流れる通信)転送方式によってデータを転送しています。『 D-2 』ではインターフェイス社が新たに開発したバルク転送方式(※)とする事で、パソコンおよびD/A コンバーターの負荷の軽減が実現でき、再現する音質をさらなる次元へ導くとしています。Bulk Petを使用するには、専用ドライバーのインストールが必要です
※転送するデータの量と転送サイクルをコントロールする事で、転送するデータをできるだけ少なくして、連続的なデータ転送ができ、パソコンやD/A コンバーターの処理負荷を下げることができる。

なお、SOULNOTE製品は音質と安全性を最重視して回路電流を決めています。一般的にトランジスタの温度が高いほど性能が上がり、音質も良くなる傾向にあります。SOULNOTE製品は全て問題のない範囲で高めのトランジスタの温度設定としており、一般的な製品と比較して、セット温度は高めとなっています。

また、筐体、特にトップカバーやシャーシを防振し過ぎると、オーディオ再生のために必要な良い鳴きも止めてしまうとの考えから、音質を最重視して、あえてトップカバーやシャーシ等の防振は行っていません。叩くと素材の音がします。

これらは旧SOULNOTE時代から一貫しており、初めてお使いの方は、夏場の発熱量の多さやトップカバーを叩いた際に驚かれると思います。これらは全て音質のためなのです。


■ 試聴しました
『 D-2 』は自宅でも短時間ですが試聴を行いました。



梱包を開けた際の本体の大きさ、重さに圧倒されました。まさに物量投入型の最たるもで、ちょっとしたパワーアンプ並の筐体でした。D/Aコンバーターとしては異例な大きさで実に存在感のあるものです。

まずは、CDプレーヤーのデジタル出力を同軸ケーブルで接続しました。スケールの大きな安定感のあるサウンドで、アナログを彷彿とさせる立体的なサウンドで、生き生きとした自然で、吹っ切れ感のある、実に伸びやかなサウンドでした。

良い意味で国産屈指のハイエンドサウンドと言えるもので、圧倒的な情報量の多さ、細部の表現力、力強く伸びきった低音は、高精度クロック、強力な電源、そして何よりDACチップ「ES9038PRO」に負う所が大きいとも感じました。

ただ、ゆったり感や抱擁力と言うより、正確無比で、エネルギー感、スピード感、そしてデジタルの素晴らしさを、さらに追求したい方にお勧めします。これだけの説得力のあるD/Aコンバーターはかつて聴いたことがないと断言します。

USB入力でのPCオーディオでも同様の傾向のハイエンドサウンドで、「Bulk Pet」の効果も大きく、細部の表現、安定感、透明感には一日の長があり、PCオーディオのさらなる可能性を大いに感じさせてくれました。

国産最高峰のD/AコンバーターSOULNOTE『 D-2 』が、かつてない究極のデジタルサウンドを実現します。(あさやん)


2018年9月18日 (火)

MQA-CD特集 第5弾!! デジタルオーディオの最先端をひた走るカクテルオーディオ『 X45pro 』 ~ カクテルオーディオのミュージックサーバーがさらに大きく進化! ~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、MQA-CD特集 第5弾!!と題しまして、"MQA-CD"にも早々と対応した最新鋭のミュージックサーバー カクテルオーディオ『 X45Pro 』に迫ります!




■ ミュージックサーバーとは!?

韓国NOVATRON社はユニークなマルチメディア・オーディオシステム(ミュージックサーバー)の開発・製造を目的に2003年に創設され、Cocktail Audio(カクテルオーディオ)は、そのハイファイオーディオ製品専用のブランドです。

ミュージックサーバーという単語は、様々な解釈の仕方があるため、日本ではあまり浸透していませんが、厳密に定義すれば、「音源の管理(サーバー)から再生機能(プレーヤー)までを備えるオーディオ機器」と言うことができます。すなわち「ストレージ(データを保管しておくための補助記憶装置)内蔵ネットワークオーディオプレーヤー」と言い換えることもできます。

このミュージックサーバーのメリットは、「1台でデジタルオーディオ再生に必要なことが全て賄える」ということにあります。

アナログレコードやCDがメインソースだった時代は、ごくシンプルだったオーディオシステムが、PCオーディオやネットワークオーディオの時代になって複雑になってしまいました。

PCオーディオならパソコンやUSB-DACが必要で、加えて複雑な設定も必要になりました。一方ネットワークオーディオでは、ネットワークプレーヤーに加えて、サーバーの働きをするNASや、CDをリッピングしたりメタデータを整理するためのパソコンも必要になりました。

オーディオ機器ではないパソコンや、NASを含めた複数の機器を、USBケーブルやLAN接続しなければ、音が再生できないという状況になってしまったのです。これでは従来からのオーディオファンがPCオーディオやネットワークオーディオを「難しい」と感じるのは当然のことだと思います。

そんな中、カクテルオーディオのミュージックサーバーは、こうした複雑さを排除して、1台でデジタルオーディオの魅力を存分に手軽に味わえる製品として登場したのです。

CDのリッピング、メタデータの管理、そしてファイル音源やネットワークでのストリーミング再生はもちろん、CDソフトの直接再生まで1台で行えます。本体大型ディスプレイと付属のリモコンで快適な操作が行えるように設計されているため、別途タブレットやスマホを用意する必要もありません。

そんなカクテルオーディオのミュージックサーバーの現行全機種がファームウェアのバージョンアップによって、今話題の"MQA-CD"のダイレクト再生が可能となったのです。もちろんリッピングしての再生も可能です。

そこで今回は、最新鋭の『cocktailAudio X45Pro(以下X45Pro)』を中心に、カクテルオーディオのミュージックサーバーの魅力に迫ります。


■ カクテルオーディオ『 X45Pro 』に迫る!

現在、カクテルオーディオのミュージックサーバーは4機種(それぞれブラック・シルバーの2色合計8機種)あり、100W+100Wの大出力アンプまで内蔵した、まさにオールインワンの「X35」、機能的にも価格的にも中心的な存在の「X45」、D/Aコンバーター非搭載で筐体を大幅に強化してトランスポートに徹した「X50D」、そして高性能D/Aコンバーターを搭載した同社のフラッグシップとも言える『 X45Pro 』です。

同社メイン機種「X45」の上位モデルという位置づけですが、その外観にはかなりの違いが見られ、大型ディスプレイを中央に置き、CDスロットがそのディスプレイの上に来て、左右対称のスッキリしたデザインになっています。

また、13mmの極厚のフロントパネルを含め、全ての筐体が厚手のアルミプレートに精密な切削加工と、綺麗なブラスト処理(艶消し加工)を施した総アルミ仕上げとなり、上面パネルにはブランド名まで刻印されています。まさにハイエンド仕様と言えます。

機能面は「X45」と同じで、本体背面にストレージ(HDD/SSDドライブ)用のスロットを装備しており、2.5インチHDDやSSDは2TBまで、3.5インチHDDは8TBまで対応しており、それらを使い分けることもできます。

名前が示す通り、ネットワークに接続することで、プレーヤー機能、サーバー機能、さらにインターネットラジオ、TIDAL、Deezerなどのストリーミングサービスにも対応しています。

デジタル入力は、RCA同軸、TOSLINK、AES/EB、USBの4系統、デジタル出力は、RCA同軸、TOSLINK、AES/EBU、USB、HDMIの5系統を装備しています。さらにEthernet、USBメモリや外付けHDD用のUSB3.0×2、USB2.0を装備し、多彩なインターフェースが可能です。

アナログでは、RCA入力とPHONO(MMフォノイコライザー)入力が1系統ずつ、出力はXLRバランスとRCAアンバランスが1系統ずつ装備されています。さらにFMチューナーまで内蔵されており録音も可能です。

電源回路も「X45」より強化されており、アナログ系とデジタル系を分離し、アナログ系には大型のトロイダルトランスを採用。デジタル系のスイッチング電源も大型化されたようです。さらにトロイダルトランスとデジタル系の電源部はそれぞれアルミのシールドケースで覆うという徹底ぶりで、ノイズ干渉を抑えることで高音質を目指しています。

さて本機の最大のトピックであるデジタル系の内部構成を見てみましょう。

DACチップには言わずと知れた最新&最上位のESSの32bitタイプの「ES9038Pro」を1個、ステレオモードで搭載し、140dBものダイナミックレンジと低歪み、低ノイズを実現しています。因みに「X45」は同じESSの「ES9018K2M」です。

「ES9038Pro」には放熱器が付けられ、100MHzというマスタークロックが注入されています。元々発熱量が多い「ES9038Pro」ですが、あえて高い周波数のクロック信号を注入することで、更に発熱は増えるのですが、確実にジッターの低減とDA変換特性の向上が図れるとのことです。

この結果、現時点での再生フォーマットはほぼ網羅しており、PCM:32bit/768kHz、DSD:512(22.4MHz)、DXD:24bit/352.8kHz、HD FLAC:24bit/192kHz、HD WAV:24bit/192kHz、そして"MQA"などハイレゾフォーマットを含む様々なフォーマットに対応できたのです。

その他、同社の他機種との共通点は、
1) 内蔵CDドライブによる簡単CDリッピング。CD情報はFreeDBやGracenoteなどのサイトから取り込み可能。
2) 取り込んだ音楽データは、カバーアート表示、文字表示、使い易い検索機能などが可能な独自のミュージックデータベースに蓄積・管理。
3) PHONO入力(X50は非搭載) からアナログレコードを24bit/192kHzのハイレゾで録音可能。
4) フロントパネルには見やすい7インチの大型ディスプレイを搭載。操作画面、ファイル情報、カバーアートなどが表示可能。
5) 専用のリモートコントロールアプリNOVATRON「MusicX」をiOS/Androidなどのスマホやタブレットにダウンロードすることで、ネットワーク経由で操作可能。

■ 最後に
このように『 X45Pro 』は従来通りの使い易さに加え、内部構成の充実や筐体の強化により、他社製品を圧倒するハイエンド機器としてのパフォーマンスを獲得したのです。

さらに"MQA-CD"にも早々と対応した『 X45Pro 』こそ、デジタルオーディオの最先端をひた走る進化したミュージックサーバーです。これ一台で、いとも簡単にデジタルオーディオを極めることができます。

PC&ネットワークオーディオなどデジタルオーディオのパフォーマンスは認めつつも、その煩雑さにグレードアップを躊躇されていたオーディオファンにこそ、『 X45Pro 』をお勧めします。

カクテルオーディオのミュージックサーバーは、"MQA-CD"の魅力が最も手軽に高音質で味わえる最先端オーディオ機器なのです。(あさやん)

※カクテルオーディオの"MQA-CD"への対応内容は以下の通りです。DACを内蔵したX35/X45/X45Proでは、MQA-CDをフルデコード再生して、最大352.8kHz/24bitの信号をD/A変換してアナログ出力します。デジタル出力時は、MQAの規定に準拠したデジタル信号を出力します。DAC非搭載のX50Dについては、デジタル出力から、MQA規定に準拠したデジタル信号が出力されます。(新ファームウェアのバージョンはR1298です。)

2018年8月11日 (土)

"MQA-CD"特集 第4弾 ~ "MQA-CD"の凄さ! 対応機が続々登場! ~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
過去3回にわたって"MQA-CD"についてレポートしてまいりましたが、今回はリニアPCM、DSDに続く第3のオーディオコーデック(※)としての"MQA"の凄さを解き明かします。
※コーデックとは、データのエンコード(符号化)と、デコード(復号)を双方向にできるソフトウェアのこと


■ 全く新しいオーディオコーデック

"MQA"は2016年頃から音楽ファイルのダウンロードや、ストリーミング配信に使用され始め、ハイレゾ音源をCD並のコンパクトなサイズに限りなくロスレスで圧縮する「オーディオ折り紙」とも言われる技術を使った、全く新しいオーディオコーデックです。

これを開発したのは英国のメリディアン社で、創業者のボブ・スチュアート氏の「デジタルでもアナログのように柔らかく、広がりのある高音質を再現したい。」との思いから生み出されたのです。

スチュアート氏は「20世紀の英国におけるオーディオの巨人」とも評され、FLACの原型とも呼ばれるロスレスコーデック「MPL(Merideian Lossless Packing)」を1990年代に発表した、デジタルの最先端技術をもつエンジニアです。

氏は、「アナログ時代は凄くいい音を聞けていたのに、デジタルになって音が不自然で硬くなってしまった。」これを何とかしたいと考え、開発に着手、その集大成が"MQA"だとしています。


■ これまでの高音質CDとの違い

従来、音楽ファイルは帯域を拡張して情報量を増やすことで高音質を追求してきましたが、情報量が増えれば音は良くなるものの、必要な容量が大きくなってしまい、ダウンロードに時間が掛かったり、ストリーミング配信で聞ける環境が制限されたりしていました。

またスチュアート氏は、帯域を拡張することで《ありがたみカーブ》が寝てくることにも危惧していました。それはサンプリング周波数をCDの44.1kHzから96kHzにした場合、音の変化には非常に大きいものがあるものの、384kHz、768kHz当たりまで来ると音質の変化が少なく、《ありがたみカーブ》(=サンプリングを上げることによる御利益)が少なくなってしまうと言います。

そこで着目したのが「音の時間軸解像度」という考え方です。時間軸とは、どの位の短時間で音の変化を認識できるかの尺度で、人間は一説には50マイクロ秒(※)とも10マイクロ秒とも言われます。
※マイクロ秒=100万分の1秒、10マイクロ秒は10万分の1秒

それに対し、CDの時間軸解像度は4000マイクロ秒、ハイレゾ96kHz/24bitリニアPCMでさえ400マイクロ秒程度だそうで、これは人間より400倍も40倍も悪いことになります。その結果、音が硬く、不自然に感じるのだとの結論に至ったのです。

スチュアート氏は、既存のリニアPCM音源の時間軸解像度を細かく再設定できる特別なフィルターを開発し、これを使って音楽ファイルをエンコードすることで、高音質化を果たしたのが"MQA"で、解像度は何と10マイクロ秒を実現したと言います。

そもそも人間の耳は、周波数より時間軸解像度に対して5倍から50倍も敏感なのだそうです。特にハイレゾソースでは時間軸の精度を改善することで音質が向上するのですが、その悪化する一因はデジタル信号に含まれるリンギング(音のボケ)で、その対策として"MQA"ではリンギングを除去する処理をし、音のヌケ、透明度が向上するとのことです。

さらに"MQA"は、「オーディオ折り紙」効果により容量を抑えることができ、折りたたむことでCDと同等のデータ容量になり、通常のCDプレーヤーで音楽を聴くことができる上に、専用のデコーダーを通すことで「折り紙」が広がり、元の広帯域での再生できるのです。

しかし、氏は当初"MQA"はストリーミングに使うことが主眼で、CD化については全く考えていなかったのだそうです。日本のレコードレーベル:UNAMASの沢口氏とシンタックスジャパンの村井氏が"MQA"がCDと同等の容量になることに着目し"MQA-CD"を発想したのだそうです。実際に作ってみたら、通常CDプレーヤーで再生でき、MQAデコーダーを通すと、見事ハイレゾサウンドが再生できたのです。これは快挙という他ありません。

そして"MQA-CD"が日本から登場したのは、欧米ではすでにストリーミングがメインソース(ダウロードは減少に転じた)になる中、日本は未だにCD大国としてパッケージメディアが根強く人気を保っており、実際レコード各社はCDの高音質化を続け「SHM-CD」や「HQCD」などを投入して来ています。

しかし"MQA-CD"がこれまでの高音質CDと違うのは、従来の改良はCDの材料や製造方法であったのに対し、"MQA-CD"は信号処理方法にメスを入れたと言うことです。さらにMQAデコーダーを使わず通常のCDプレーヤーで再生した場合でも、MQAでエンコードされることで、CD帯域でも時間軸解像度が細かくなっていることで高音質化が図れるのです。これによって今後すべてのCDが"MQA-CD"になる可能性も出て来ました。

さらに朗報として、これまで取り上げてきた対応機種以外に、新たにトライオードが輸入元となっているオーディオブランド「cocktailAudio(カクテルオーディオ)」のマルチメディアプレーヤーが、ファームウェアのバージョンアップ(R1298)を行い、アップデートすることで"MQA-CD"に対応できるようになったとのことです。

X45prococktail Audio X45Pro

カクテルオーディオのアナログ出力を装備した「X35」「X45」「X45Pro」については、"MQA-CD"に記録された信号を352.8kHz/24bitなどのハイレゾ仕様にデコードし、アナログ出力ができます。これらにはフロントローディングのCDドライブが装備されているため"MQA-CD"のダイレクト再生が可能です。自己完結できる優れものです。また「X35」「X45」「X45Pro」及び「X50D」のデジタル出力からは、MQAの規定に準拠したデジタル信号が出力され、MQA対応の外部D/Aコンバーターでもハイレゾ再生できます。今後こういう形での製品化が増えてくる可能性が高くなって来ました。


■ 最後に


最後に、筆者が一部入手したユニバーサル・ミュージックの『 ハイレゾCD名盤シリーズ(生産限定版) 』の"MQA-CD"のサウンドについて少し触れておきたいと思います。いずれも「Brooklyn DAC+」を使用し352.8kHz/24bitで再生しています。

【1】カーペンターズ「シングルス1969~1973」
筆者自身学生時代、カーペンターズを聴きまくった人間で、LPはほとんど所有していますが、CDになって前述のスチュアート氏同様「音が違う」と感じ、その印象はSACD盤でもそれ程変わりませんでした。カレンの声が冷たく、リチャードのピアノが硬かったのです。しかし、"MQA-CD"では何と瑞々しいボーカルでしょう。滲みのピアノでしょう。アナログ時代のサウンドが蘇って来ました。

【2】オスカー・ピーターソン・トリオ「プリーズ・リクエスト」
お馴染みのJAZZのスタンダードで、アナログ時代はリファレンスにしていました。しかしCDになってからは薄っぺらく軽いサウンドになり、ピアノも甲高く、やはり1964年の録音はこの程度のものだと感じていました。しかし"MQA-CD"では魂を吹き込まれたようにホットで、臨場感たっぷりのサウンドに変身したのです。

【3】キャノンボール・アダレイ&マイルス・デイビス「サムシン・エルス」
音楽史上に輝く不滅の一枚。マイルスのトランペットの生々しさ、キャノンボールのアルトの伸びやかさ。これが1957年の録音とはにわかには信じられないリアルさです。ステレオ初期の単純な定位ながら立体感が素晴らしく、あの時代にこの録音ができたのは、現在の様にいじくり回さない単純な録音方式の賜だと改めて感じました。

【4】アントニオ・カルロス・ジョビン「イパネマの娘」
筆者が好きなボサノバナンバー。ジョビンのピアノが滲まずクリアに、ギターも小気味良く軽く流れ、心地よいサウンドです。CDジャケットには、米国でオリジナル・アナログ・テープから2004年に44.1kHz/24bitにリマスターされたものをDSD化し、さらにMQAエンコードしたとありますが、これは紛れもないハイレゾです。やはり時間軸解像度が効いているとしか考えられません。

これら"MQA-CD"のサウンドは、いずれも通常CDとは全く違う世界です。SACDの線の細さもありません。低音の音程がしっかりし、安定感があり、風圧さえも感じさせてくれます。中高域の張り出し感、突き抜け感は、アナログ時代を思い起こさせてくれます。

この凄い"MQA-CD"の世界を、一刻も早く多くのオーディオファンの皆様に体感していただきたいのです。(あさやん)

2018年8月 7日 (火)

マランツ『PM-12』『SA-12』はどこまで上位機に迫ったか

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、マランツから新たに登場した、プリメインアンプ『PM-12』とSACD/CDプレーヤー『SA-12』をご紹介! どちらも、これまでの上位機に迫る製品となっています。日本橋1ばん館での試聴内容と合わせてレポートいたします。

マランツ プリメインアンプ『PM-12』と、SACD/CDプレーヤー『SA-12』


■ マランツ製品の歩み

マランツのプリメインアンプには、「PM5005」「PM6006」「PM7005」そして「PM8006」に至るエントリーからミドルクラスまでの数字4桁のシリーズと、「PM-14S1(生産完了)」から「PM10」に繋がる数字2桁のプレミアムシリーズの2つのシリーズがあります。

またSACD/CDプレーヤーはさらに少なく、エントリークラスはCDプレーヤーの「CD5005」と「CD6006」、ハイエンドクラスも「SA-14S1(生産完了)」と「SA-10」に、さらに絞られていました。それは「ND8006」というネットワーク機能付きのCDプレーヤーという新しいコンセプトのプレーヤーが出現した結果でもあります。

そこに新たに登場したのが、今回ご紹介させていただきます、プリメインアンプ『PM-12』とSACD/CDプレーヤー『SA-12』です。


■ マランツ プリメインアンプ『PM-12』

D&M(マランツ)が輸入元となっているB&Wの製品を筆頭に、最近の人気スピーカーは、圧倒的なワイドレンジ、高分解能、高S/N、そして広大なサウンドステージと豊かなエネルギー感を実現したものになっています。

それら最新鋭スピーカーをドライブするために、アンプに求められる条件として、マランツが目標としたのが、【1】広帯域にわたり、音量の上下に対してフラットで音の質感が変わらないこと。【2】強力なドライバビリティがあり、最新のスピーカー特有の強力なキックバックに耐えられることでした。

また同社は、アナログアンプにはどうしてもサイズの壁が存在し、プリメインアンプという制限があることが、性能向上の大きなネックとなってしまっており、これを解決する手段として上級機「PM-10」で採用した、スイッチングアンプを『PM-12』でも導入したとしています。

この結果、電源が小型化され、しかもプリアンプとパワーアンプの電源が完全にセパレート化され、アナログプリアンプに使われるスペースが大幅に拡大されたことで、従来のプリメインアンプでは、到底不可能なグレードのプリアンプを搭載できたのです。


左:「PM-14S1」 右:「PM-12」


サイズの成約から解放された大型のプリアンプには、理想的な回路でもある新開発のDCサーボ搭載の電流帰還型を採用し、レイアウトも余裕があり、使用パーツ(JRC製高性能ボリューム素子やHDMA-SA3など)も高品質なものが使われています。

さらには、プリアンプ用としては異例な大型トロイダルトランスや6800μF/35V×2の平滑コンデンサなど、繊細なプリアンプステージを支えるべく高品位な専用パワーサプライを構成しています。この『PM-12』のプリアンプは、従来のプリメインアンプのプリ部とは大きく異なり、音質向上に優位に働くのは確実です。

一方、パワーアンプにはフラッグシップである「PM-10」と同型のスイッチングパワーモジュールHypex社製NC500を採用し、大出力200W/4Ω、100W/8Ωを実現しています。またスピーカーリレーを無くすことで出力経路が短縮化でき、スピーカーのドライブ力に影響するダンピングファクターを「PM-10」の2倍以上にすることができたと言います。そしてパワーアンプの電源部にも「PM-10」と同じHypex社製の「SMPS600」を採用し、入念な放熱対策と強固に固定することで振動対策も万全です。

『PM-12』に採用されているHypexのスイッチングパワーアンプは、いわゆるD級アンプですが、一般的なD級アンプに比べ、インピーダンス変動による周波数特性の変動が少なく、スピーカーによってアンプのキャラクターが左右されないのです。この結果、大出力と正確な再現性を併せ持つパワーアンプとなったのです。

その他、フォノイコライザーも新しく開発され、無帰還アンプ(ゲイン40dB)+MC用ヘッドアンプ(ゲイン20dB)の構成とし、2重シールドケースに封入するなど万全です。スピーカー端子やCD入力/ファノ入力端子を純銅削り出しとし、フロントパネルのディスプレイもフルドット有機ELを採用するなど視認性や操作性も向上しています。


■ マランツ SACD/CDプレーヤー『SA-12』

そのコンセプトはズバリ、全ステージをマランツのオリジナル技術で構成することです。一般的にデジタルプレーヤーやD/Aコンバーターなどでは、メカニズムやDACチップ、デジタルフィルターなどに何が使われているかに注目が集まりがちです。

『SA-12』のドライブメカには、上級機「SA-10」と同じマランツ7世代目にあたる最新の自社開発メカエンジン「SACDM-3」が採用されています。 高剛性スチールシャーシ、アルミダイキャストトレー、アルミ押し出しトレーカバー、そして2mm厚の高剛性スチールベース(「SA-10」は10mm厚でここは上級機には及ばず。)など、これこそ、さすがに今となっては数少ない自社メカを作れるメーカーの強みです。

このメカはCDやSACD以外に、DVD-ROMの再生が可能で、FLAC(32-192kHz/24bit)やDSD(2.8-5.6MHz)などのハイレゾフォーマットにも対応しています。(筆者的には、ここにMQA-CDがあれば完璧なのですが・・・。)

『SA-12』の最大の"売り"は、オリジナルのディスクリートで組んだD/Aコンバーターです。いわゆる、バーブラウンやESSなどのDACチップを使うのではなく、マランツのポリシーを具現化できるオリジナルのアルゴリズムを採用でき、高品位なパーツが自由に使え、DAC内部でデジタル段とアナログ段をアイソレートできるなど、他社との圧倒的な差別化が図れます。

さらに「SA-10」同様、全てのPCMデータを一旦1bitのDSDデータにΔΣ変換(11.2MHzまたは12.3MHz)し、DSDデータと全く同じD/A変換プロセスでCD等が再生できるため、後段はアナログフィルターのみというシンプルな構成を取れるのです。(DSDデーターの時はそのままで信号処理はしません。)

リアパネルには、一般的な同軸と光入出力の他に、B-Type(DSD:11.2MHz、PCM/DXD:384kHz/32bit)1系統、A-Type(DSD:5.6MHz、PCM:192kHz/24bit)1系統のUSB入力を装備しており、USB-DACやUSBメモリからの音楽ファイル再生としても十分な性能を持っています。

デジタル機器の要でもあるクロックには、最新世代の超低位相雑音クリスタルを採用し、後出しジャンケンのメリットでもあり、位相雑音が「SA-10」採用品より15dBも改善されているとのことです。(クロックの強化は確実に音に表れます。)

アナログ回路も電流帰還型差動アンプやパーツを見直すなどで高音質化を実現できたとしています。特に電源部はデジタルプレーヤーとしては異例な規模で、「SA-10」と同一の110VAの大型トロイダルトランス(SA-10は銅メッキシールドケースに封入)やカスタム仕様のブロックコンデンサなど徹底した高音質指向としています。

ヘッドホン回路にまでフルディスクリート電流帰還型アンプを採用するなど、高音質にこだわっています。また、ヘッドホン回路のオン・オフ機能を装備するなど徹底しています。


■ 試聴しました


マランツ『PM-12』と『SA-12』の試聴は、日本橋1ばん館のリファレンスルームで、同社シニアサウンドマネージャー:澤田氏の製品説明に続き行いました。澤田氏はここだけの話として、製品資料にはないことも色々お話いただけました。(一部をご披露)

『PM-12』はスイッチングアンプのシングルエンド構成のプリメインアンプに徹したことで、あらゆる面で余裕が生まれ、音にも表れていると言います。それは張り出し感や、吹っ切れ感といった伸びやかなリアルなサウンドでもあります。

「PM-10」には、ゆったりした音調で、どちらかというと、クラシックを優しく繊細に奏でるという大人のイメージがあったのですが、『PM-12』はあらゆるジャンルの音楽に適し、厚くホットなサウンドは、ジャズやポップスも楽しく聴かせてくれました。

さらに、ダンピングファクターが実質1000を超え、当日使用したスピーカーB&W「802D3」をも難なくドライブし、低音の伸びや厚みを伴った充実感は圧巻でした。とてもプリメインの音とは思えないもので、さすがアンプの設計がB&Wを中心に行われていることから、この難しいスピーカーをこれ程簡単に鳴らせるのだと納得させられました。他社のスピーカーは、もちろんさらに軽々と鳴らしきりました。

『SA-12』はアンバランス出力のみとした結果、アナログアンプは半分の規模になったにも関わらず、トランスが「SA-10」と同様と言うことで、余裕のサウンドを実現できたと言います。さらにマスタークロックの精度が「SA-10」を上回っていることも、音質的にもクラス超えたものになったと言えるかも知れません。

滲みや、まとわりつきの無いクリアなサウンド、中低域の厚みや余韻の長さ、S/Nの良さはCDの可能性を十分に引き出してくれました。さらにSACDも聴けるのですから、この価格でこのサウンドは絶対買いだと思います。


■ 最後に

『筆者は、この『PM-12』『SA-12』がいずれも約30万円(税込)というのは、かなり戦略的な価格だと思います。フラッグシップの良い所は残しつつ、ある部分は音質に悪影響がでない範囲で簡略化し、そしてそこに最新のノウハウをつぎ込んで完成した、実にお買い得なプリメインアンプとSACD/CDプレーヤーです。(あさやん)


2018年8月 3日 (金)

MQA-CD特集 第3弾!! ~ユニバーサルミュージックの"MQA-CD"! そのサウンドに感動!!~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、ユニバーサルミュージックより、『 ハイレゾCD名盤シリーズ 』が発売されましたので、"MQA-CD"の特長と試聴結果をレポートいたします。

今回発売された、ユニバーサルミュージック(以下、ユニバーサル)の"MQA-CD"は通常のCD盤ではなく「UHQCD」仕様です。さらに「グリーン・レーベルコート」が施され、現時点では最高峰の高音質CD仕様となっています。
(※なお、音元出版・オーディオアクセサリー誌169号付録の"MQA-CD"は「UHQCD」ではなく通常CD仕様です。)

"MQA-CD"の説明に入る前に「UHQCD」仕様と「グリーン・レーベルコート」について少し触れておきます。


■ "UHQCD"の原理やメリットとは?



「UHQCD」はメモリーテックが開発した、既存のCD製法を根本から見直したCD規格に準拠した高音質のディスクメディアです。通常CDとは違い、スタンパーとポリカーボネートの間(上図参照)に、ピットの奥まで届く液体状のフォトポリマー(紫外線硬化樹脂)を注入することで、転写性能が飛躍的に向上(ピットのエッジが丸まらない)したのです。

一方、「グリーン・レーベルコート」とは、レーベル面にCDプレーヤー内で乱反射する不要なピックアップからの光を吸収する、緑色のレーベルコート(緑色は赤色のレーザー光とは補色の関係)で、過去にはCDエッジに塗る緑色のペイントや、緑色のターンテーブルシートが販売されていたことをご記憶の方もいらっしゃると思います。それらと同じ考え方です。

そして本題の"MQA-CD"ですが、過去このコーナーでもその原理やメリットについて縷々述べてきましたが、今回はユニバーサルの『 ハイレゾCD名盤シリーズ 』を中心にそのこだわりを探ってまいります。


■ ハイレゾデータを折り畳んでCDに収納する"MQA"

MQAはハイレゾのクオリティを維持しながらファイルサイズを小さく折りたたむ手法で、ハイレゾ配信サイトを中心に現時点で入手できる音源は、すでに約3,000タイトルに達しており、世界中で50社以上が音源とハードウェアを提供していると言います。

一方"MQA-CD"は、昨年(2017年)登場したものの、マイナーレーベルやバイノーラル仕様のCDなど約30タイトルしかなかったのですが、今回ユニバーサルから発売された100タイトルでかなり選択肢は増えたと言えます。

とは言うものの、今回の"MQA-CD"は過去のアナログマスターの音源を、一旦DSDに変換した後、352.8kHz/24bitのPCMにしているため、ほとんどが1970年代以前のアナログ音源です。実際の作業は、DSDマスターを英国のMQA社に送り、そこでMQAへのエンコード処理と44.1kHz/16bitへの変換処理を行った上で、CD規格の音源をユニバーサルが受け取るのだそうです。

過去の貴重なアナログマスターのテープの劣化がどんどん進んでいることから、早急なデジタル化が必要ですが、ユニバーサルは以前からSACD用にDSD化をしてきており、今回の"MQA-CD"には、新たにDSD化したものも含め、すべてDSDマスターを使用しています。

また、デジタル(PCM)黎明期からCD初期にかけて録音された、48kHzや44.1kHzのPCM録音のマスターでは、こういった作業(DSD化)があまり意味をなさないことから、やはり今回の"MQA-CD"は、1950年代~70年代のアナログ全盛期の高音質アナログマスターのMQA化が中心となっており、これは我々にとって非常に魅力的です。

筆者としては、かつてのアナログ時代に高音質音源として持て囃され、今や伝説となっている「シェフィールド」や「TBM(スリー・ブラインド・マイス)」、「オーディオラボ」などが"MQA-CD"で復活して欲しいと思っています。


■ "ハイレゾCD名盤シリーズ"はここが違う!

今回の『 ハイレゾCD名盤シリーズ 』は、その企画段階では、DSDマスターを176.4kHz/24bitに変換して収録する予定だったそうですが、製作段階において、より音質面でのアドバンテージが認められた、352.8kHz/24bitでの収録に変更されたのだそうです。確かにディスクの外装の帯には176.4kHz/24bitと表記されており、急遽決定したものと思われます。

前述のように今回の『 ハイレゾCD名盤シリーズ 』は、"MQA-CD"と「UHQCD」という2つの仕様を併せ持っており、従来のCDプレーヤーでも通常CDとして再生が可能です。そしてMQAデコードに対応したD/Aコンバーターにデジタル出力を繋ぐと、352.8kHz/24bitのハイレゾ再生が出来るという画期的なCDソフトとなったのです。

さらに通常のCDプレーヤーでの再生時にも、「UHQCD」としての長所はもちろん、MQAエンコードの際の時間軸解像度(音像のにじみ)の改善効果がそれに加わるため、既存のCDよりも高音質での再生が可能だとされています。

このあたりはSACDや過去にあったDVDオーディオとも違う"MQA-CD"の大きなメリットと言えます。そして何より価格が各3,000円、2枚組4,000円(いずれも税別)という所も見逃せないメリットです。

さらにユニバーサルが日本国内で一気に100タイトルもの"MQA-CD"を発売した訳は、ハイレゾとCDが両立する"MQA-CD"という形が、日本市場に適しているという判断からだと考えられます。

筆者を含めベテランのオーディオファンほど、ハイレゾには興味はあるものの、ファイル再生やストリーミング再生はハードルが高いし面倒と考える方が多いのではないかと思います。また、同じ音源を配信で入手できる場合でも、出来ればディスクの形で持っていたいという方も多いと思います。

そして、お好きなソフトをSACDでお持ちの方は別として、昨今対応プレーヤーが少なくなりつつあり、しかも高級機のみとなってきている現状では、どうしてもSACDの導入に二の足を踏んでしまいがちです。さらにポップスやロック、邦楽などがSACD化されるケースも少なく、恐らく今後も期待できないのではないかと思います。

その点、"MQA-CD"は馴染みのあるCDでハイレゾ音質が実現でき、手元にMQAの対応機器がなくても、とりあえず高音質CDとして楽しめるというメリットは非常に大きいと思います。またD/AコンバーターなどがアップデートでMQA対応化されれば、ハイレゾ再生が可能になることも十分に考えられます。

さらには、配信されているハイレゾ音源とほぼ同等の価格で、"MQA-CD"ディスクとそれをリッピングしたファイルの両方の形でハイレゾ音源が入手できるというのも、今後大きなメリットになるとも考えられます。欧米ではすでに音楽配信が頭打ちとなっており、無料のストリーミングでの聴取がメインとなりつつあるようです。

このように "MQA-CD"は、現時点では想像出来ない程の大きなメリットや可能性を秘めており、日本のハイエンドオーディオに大きな地殻変動が起こるかも知れません!


■ 最後に
今回"MQA-CD"の試聴は、筆者宅でリファレンスD/Aコンバーター MYTEK『 Brooklyn DAC+ 』と、輸入元:エミライよりお借りした『 Liberty DAC 』で行いました。

【 筆者宅で試聴 】



MYTEK『 Brooklyn DAC+ 』と『 Liberty DAC 』で聴いた「MQA-CD」のサウンドはほぼ共通したもので、深く厚みのある低域、エネルギーに満ち溢れた中域、高域の圧倒的な情報量、厚みのある豊潤なサウンド、生音のような立ち上がりや響きを再現し、非常に説得力のあるハイエンド・サウンドでした。

『 Liberty DAC 』は、表示こそLEDを多用し色分けすることで、かなり簡略化されてはいますが、バランス(TRS:要アダプター)出力やヘッドホン出力、AES/EBUやボリュームコントロール、さらにAC電源が直接使えるなど一切手抜きはありません。

『 Liberty DAC 』こそ、そろそろ限界を感じておられる国産USB-DACユーザーには打ってつけの製品であり、"MQA-CD"再生だけではなく、高性能な“新世代のUSB-DAC”としてお勧めします。

Libertydac 
■ 予告
『 Liberty DAC 』についての詳細とユニバーサルミュージック「MQA-CD」の試聴記は後日レポートいたします。

※音楽ソフトは、2,500円以上のご購入で《 送料無料 》。また、他の商品とは別精算となります。


2018年7月30日 (月)

MQA-CD特集 第2弾!! ~デジタルオーディオの最先端を突っ走るマイテック・デジタル~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、デジタルオーディオの最先端を突っ走るマイテックのMQA対応D/Aコンバーター3機種をご紹介! 今話題の"MQA-CD"をダイレクト(S/PDIFのデジタル入力)で再生できる、ほぼ唯一(2018年6月時点)の製品です。


■ MQA-CD特集 第2弾!

この度マイテック・デジタル製品の輸入代理店が、従来の今井商事(株)から、(株)エミライに替わり、D/Aコンバーターのエントリー機『 LIBERTY DAC 』が新たにラインナップに加わりました。

前回このコーナーでMQAの原理、そしてその音質の素晴らしさを述べさせていただきましたが、いよいよ待望のユニバーサルミュージックの"MQA-CD"を入手しましたので、マイテックの新製品『 LIBERTY DAC 』を含め、『 Brooklyn DAC+ 』『 Manhattan II 』の先進性を、音質を含めレポートしたいと思います。


■ 最先端を突っ走るマイテック

米国マイテック・デジタル社は、マンハッタンの2大レコーディング・スタジオである「ザ・ヒットファクトリー」と、「スカイライン・レコーディング・スタジオ」でエンジニアだったミハル・ユーレビッチ氏によって、1992年にニューヨークに設立されました。因みに今回ご紹介しますD/Aコンバーターの名前はいずれもニューヨークの地名です。

当初は、プロユースのマスタリング用A/Dコンバーターや、D/Aコンバーターの開発から始め、その後同社は、DSDのフォーマットを確立する際の、マスターレコーダーのプロトタイプを開発し、DSDの誕生に大いに貢献したのです。そして2012年同社初の民生機「Stereo 192 DSD」を投入。DSDに関する豊富なノウハウに裏打ちされた、高い技術力や完成度が認められ、当時大いに人気を博したのでした。

そして2014年に日本国内で発売された、ハイエンド機の「Manhattan DAC」が、さらに同社の評価を高め、2015年、小型化を果たした「Brooklyn DAC」、そして昨年発売された後継機『 Manhattan II 』『 Brooklyn DAC+ 』は、デジタルオーディオの最先端を走るD/Aコンバーターとして、オーディオ評論家やオーディオファイルに高い評価を受けたのです。今回そこにエントリー機『 LIBERTY DAC 』が加わりました。

これらマイテックのD/Aコンバーター3機種には、MQAフルデコーダーが搭載されており、本家のメリディアンのハイエンド機以外では、今話題の"MQA-CD"をダイレクト(S/PDIFのデジタル入力)で再生できる、ほぼ唯一(2018年6月時点)の製品であり、デジタルオーディオの最先端を突っ走る製品群なのです。

なお、MQAフルデコーダー以外のMQA対応機としては、CDを一旦リッピングしてデータ化すれば再生できるD/Aコンバーターや、特殊なプレイソフト(Audirvana Plus3等)を使用すればMQAソフトが聴けるMQAレンダラー機能を持つ機器などが存在します。

MQAが初めて英国メリディアンから提唱されたのが2015年ですから、同年発売の「Brooklyn DAC」がすでにMQAを採用していたことによる、マイテックの先見性には驚きを隠せません。現時点でもMQA採用に二の足を踏んでいる国内メーカーの数年先を行っている感じです。

筆者は昨年自宅に『 Brooklyn DAC+ 』を導入し、すぐに"MQA-CD"の可能性を確信しました。配信によりダウンロードしたハイレゾ音源やストリーミング音源とは違う安定感のあるサウンド、SACDとは違う切れ味、厚み、そして存在感を伴ったサウンドに魅了されたのでした。そして何より、筆者を含め日本のオーディオファンは、形のあるソフトを好むことからも"MQA-CD"が大いに期待できるとの確信に至ったのです。

さらに業界には、MQAの音質上のメリットについて、「折りたたみ」そして「データ展開」こそが、LP再生のイコライジング「RIAAカーブ」にも通じることから、"MQA-CD"の特に低音の魅力がアナログ的と感じるのでは・・・との意見もあるくらいで、筆者もそう感じました。

それではマイテックのD/Aコンバーター3機種について順に見てまいります。


■ マイテックのD/Aコンバーター3機種に迫る!

【1】 『 LIBERTY DAC 』 (Blackのみ)

Libertydac_4 1/3ラックサイズの横幅140mmのコンパクトな筐体ですが、上位機と同様PCM:32bit/384kHz、DSD:11.2MHz(DSD256)に対応したUSB-DACです。DACチップにはESS Technology社の「ES9018K2M」を採用しています。複数のデジタル入力(USB2.0 Class2、AES / EBU、S / PDIF、Toslink)をもち、上位機同様のデジタル音量コントロール機能、RCAアンバランス音声出力と、TRSバランス出力(TRS→XLR変換プラグが必要、TRSはステレオ標準プラグと同型)を搭載。

ヘッドホンアンプにも、出力インピーダンスが低く強力な駆動力を持つ、3W/300mAの大出力アンプが驕られており、ヘッドホンユーザーをも十分満足させる仕様となっています。さらには前述のMQAフルデコーダーには認証済みのハードウエアを搭載しています。そしてこれもプロ機で鍛えられたマイテックならではの、低ノイズタイプの10psマスタークロック回路を搭載し、エントリー機と言えども手抜きは一切ありません。

【2】 『 Brooklyn DAC+ 』 (Black・Silver)

Brooklyndac 本機は、元々スタジオでのリファレンスとしての音質を備えたUSB-DACとして開発されました。そして同時に、ライン入力とフォノ入力を装備したアナログプリアンプとして、さらにリファレンス・ヘッドホンアンプとしても高い性能を追求したとしています。

DACチップには、ESS のハイエンドグレード「ES9028PRO」を採用。もちろん32bit/384kHzまでのPCMデータ、11.2MHzまでのDSDデータのネイティブ再生に対応しています。そして前述の通り認証取得済みのMQAフルデコーダーを内蔵しています。

クロックには、内部ジッター0.82psを誇る「マイテック フェムトクロック・ジェネレーター」を搭載しています。さらに、外部クロック用のワードクロック入出力まで装備する徹底ぶりです。しかし、余程高性能な外部クロックでないと必要ないレベルです。筆者も従来使っていた外部クロックを使っていません。クロック出力は本機複数台でのスタック用で、マルチチャンネル用とのことです。まさにプロの世界です。

入力は、USB2.0/USB Audio Class2、AES / EBU、S/PDIF同軸デジタル入力2系統、TOS光デジタル入力、さらに SDIF-3入力(DSD最高DSD256、S/PDIF1,2入力兼用)まで装備しており完璧です。そこにアナログRCA入力を1系統を装備しており、ラインレベル入力とフォノ入力(MM/MC対応)をリレーで切り換えできます。フォノ入力も手抜きはなく、高性能アナログ・イコライザー回路を搭載しており、十分なレベルの音質です。

そして本機のもう一つのメリットであるプリアンプ機能です。ボリューム回路はヘッドホン出力にも対応しており、アナログ式とデジタル式(32ビット)の2通りの1dB刻みのアッテネータの切り換えが可能です。もちろんアッテネーターの影響を受けないバイパスモードもあります。

出力はRCA出力1系統とXLRバランス出力1系統を装備しており、同時出力も可能です。筆者はアナログボリュームを使い、パワーアンプにバランスケーブルでダイレクトに繋いでいます。2系統のヘッドホンジャック(500mA, 6W、出力Imp.:0.5Ω)は、高い駆動力を必要とするバランス駆動のヘッドホン用に設計されています。

そのサウンドは、深く厚みのある低域、エネルギーに満ち溢れた中域、高域の圧倒的な情報量、厚みのある豊潤なサウンド、生音のような立ち上がりや響きを再現し、非常に説得力のあるものです。その高性能・多機能さは「新世代のUSB-DAC」だと思います。

【3】 『 Manhattan II 』 (Black・Silver・Gold)

Manhattandac マイテックのコンシューマー用としては最上位のD/Aコンバーターです。DACチップにはESSのフラッグシップDAC「ES9038PRO」が搭載。これに「マイテック フェムトクロック・ジェネレーター」と独自のジッター低減回路「C777クロッキングアーキテクチャ」を組み合わせることで、DACチップの真価を引き出したとしています。

また、筐体を大きくしたことから、アナログ段・デジタル段で電源トランスから独立した電源回路とすることで、ノイズとクロストークを徹底的に低減できたのです。アナログ入力は、RCAライン入力2系統、XLRバランス・ライン入力1系統と強化されています。もちろんMQAフルデコーダー、内蔵アッテネーターもアナログ式と32ビットデジタル式を搭載、MM/MC対応のフォノ入力も装備しています。

さらに、オプションカード(別売)の取り付けによるグレードアップが可能です。高性能フォノプリアンプにグレードアップできるMM/MC対応の、カスタム仕様ニッケルコア昇圧トランスを搭載した、高精度フォノアナログプリアンプカード。"ROON READY"ネットワークカードを加えることで、最大スループット24bit / 192kHzまでのPCMデータと2.8MHzまでのDSDデータのネイティブ再生に対応するネットワークプレーヤーにも変身させることができます。


■ 最後に
マイテックのD/Aコンバーター3機種こそ、プロの世界で鍛えられた多機能と高音質、そしてMQA対応をはじめとした先進性をも兼ね備えた、世界のデジタルオーディオの最先端を突っ走っているといえます。(あさやん)

※お詫び:自宅リファレンスのため、どうしても『 Brooklyn DAC+ 』の説明が長くなってしまいました。

2018年7月14日 (土)

"MQA-CD"特集 第一弾 ~画期的なフォーマットがハイエンドオーディオの世界を変える!? ~

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、画期的なハイレゾ音源"MQA-CD"を取り上げます。"MQA"というフォーマットとは何かという解説と、既存のSACDやBD/DVDとは違う、"MQA-CD"最大のメリットを試聴結果とともにご紹介いたします。



■ 最初に

"MQA"とは《Master Quality Authenticated(マスター品質認証済み)》の略です。筆者がこの単語を初めて目にしたのは、今から約2年前の2016年の秋口のことで、クリプトンが小型高級アクティブ・スピーカー『 KS-9Multi 』を発表した際でした。その謳い文句には「今一部のオーディオメディアや、最先端を自認するオーディオファイルが注目する、最新配信フォーマット"MQA"に対応した世界初のスピーカーシステム」とありました。

しかし当時、筆者には"MQA"の理論的な話(折り紙理論など)をお聞きしても、全くちんぷんかんぷんであり、しかも当初は、配信フォーマットのみということもあって、正直あまり興味が湧かなかったというのが本音です。まずは、"MQA"とは何ぞや?から話を始めたいと思います。

■ "MQA"とは

ハイレゾという言葉が一般化してかなりの年月が経過しますが、ハイレゾ音源の品質を高めようとすればするほど、その音楽ファイル1件当たりのデータ量が、ギガビット単位で膨らんでしまいます。結果、オーディオ機器のストレージ領域やネットワーク再生時の通信容量・速度が問題になってきており、それらを節約する技術が求められていました。

そんな中、2014年に英国メリディアン社が"MQA"を発表したのでした。"MQA"はスタジオの感動をマスター品質のまま、リスナーの耳に届けるべく開発された「アナログ・トゥ・アナログ」の音楽再生プロセスです。そのベースになっているのは「カプセル化」と呼ばれる独自のエンコーディング技術です。

従来のアナログ音声のPCM化の際の問題点は、音楽信号波形の直前と直後に、必然的にリンギング(ノイズ)が発生してしまい、時間軸の「音ボケ」(過渡的な音に滲み)が生じることです。結果、一つ一つの音がどこから来ているのか、厳密には聞き取れなくなってしまいます。録音された音楽がライブと比べて、平坦に聞こえるのはこのためだと言います。

■ 「オーディオ折り紙」が「音ボケ」問題を解決
その「音ボケ」の解決のために"MQA"は、大容量の高解像度ファイルを扱いやすいサイズに、ロスレスで折りたたみます。これを折り紙に例えて「オーディオ折り紙」とも言われます。これによって、既存のプレイヤーでもCD以上の音質で再生でき、さらに"MQA"デコーダーや専用アプリがあれば、「オーディオ折り紙」を展開させて、臨場感に溢れるマスター・クオリティのサウンドを再現できるのです。これはあくまで「圧縮」ではなく「折り畳み」です。

具体的には、音楽を「0~24kHzまでの音楽信号」と「それよりも高周波な音楽信号」に分け、高周波な信号をまるで折り紙を折りたたむように、「0~24kHzまでの音楽信号」の中に、ある耳に聞こえないレベルのノイズ信号の中に移動させる、というイメージだそうです。これにより、192kHzのPCMデータが、48kHzのPCMデータ程度のサイズにカプセル化され、データレートは1Mbpsを少し超える程度になります。再生時には、ノイズの中から高周波を元に戻して再生するカタチだと言うことです。
※さらに詳しくはメリディアンHP( https://www.hires-music.jp/mqa/ )をご参照下さい。

■ "MQA-CD"の最大のメリット
"MQA"は、扱えるデータ量に限りがある環境下で、ハイレゾの高音質を維持しながら、ファイルサイズをWAVデータの数分の1程度に抑えられます。その"MQA"の保存や伝送が手軽という能力を存分に発揮するメリットを、既存のメディアで実用化したのが"MQA-CD"です。さらに"MQA"に対応していないCDプレーヤーやネットワークプレーヤーでデータを再生した場合もCD相当の音質ではありますが、そのまま再生が可能であるという互換性にも優れています。

すなわち、従来のCD製造時のプレス行程や、プレーヤーのドライブメカなどの基本的な部分を大きく変更することなく、あくまで通常CDとほとんど同じプロセスで、ハイレゾ音源を手にすることができるのです。これは実に画期的なことで、SACDやBD/DVDとは違う、"MQA-CD"の最大のメリットといえます。

■ ハイレゾ配信の"MQA"ソフトはすでに3000タイトル!
今回"MQA"の特集を組ませていただいたのには2つの理由があります。その1つが"MQA-CD"がユニバーサルミュージックから大量にリリースされたため。もう1つは、筆者のリファレンスD/Aコンバーターである『 Brooklyn DAC+ 』を含む、MQA完全対応のMytek Digital製品の輸入元が、従来の今井商事からエミライに変更になり、『 Brooklyn DAC+ 』と『 Manhattan DAC II 』に、よりリーズナブルな新製品『 Liberty DAC 』が加わったためです。

さらには、筆者が常用している『 Brooklyn DAC+ 』による"MQA-CD"のサウンドがあまりに素晴らしく、是非ともオーディオファイルの皆様に"MQA"の素晴らしさを知っていただきたく思ったからに他なりません。

そして、"MQA-CD"をそのままデジタル入力で楽しんでいただける"MQAデコーダー"を搭載した、Mytek Digital製品の他に、一旦"MQA-CD"をリッピングする必要はありますが、M2TECH『 Young III 』やCocktail Audio『 X45 』、ネットワーク経由で再生可能な機器ではLUMIN『 D2 』やTEAC『 NT-505 』、ESOTERIC『 N-01 』などがあります。

また、"MQAレンダラー"という"MQA"の直接デコードは出来ませんが、前段階の展開に対応した再生ソフトウエア(Audirvana Plus3以降やAmarra Luxe※なお6/1時点ではMacのみ対応)が必要ですが、iFi audioやaudioquestなどの製品があります。これら以外にも対応機が今後増えることは確実です。

現時点で、ハイレゾ配信の"MQA"ソフトはすでに3,000タイトルを数え、6月20日に大手レコード会社ユニバーサルミュージックから100タイトルの"MQA-CD"ソフトが発売されます。ジャンルはクラシック、ジャズ、ロック、ポピュラーと多岐に亘っています。

その「 ハイレゾCD 名盤シリーズ 」は"MQA-CD"と"UHQCD"という2つの仕様を併せ持ち、CDプレーヤーでは通常CDとして、"MQA"デコードに対応したDACにデジタル出力を繋ぐと24bit/352.8kHzのハイレゾ再生ができます。さらにCDプレーヤーの再生時にもUHQCDの長所だけでなく、"MQA"エンコードにより前述の通り、時間軸の「音ボケ」改善効果が得られるため、従来CDよりも高音質で楽しめるとしています。

その"MQA-CD"のサンプラー(音元出版オーディオアクセサリー誌169号付録)を筆者宅『 Brooklyn DAC+ 』と貸出機『 Young III 』で再生しました。

■ 試聴しました

CDプレーヤーのデジタル同軸出力を両機に繋ぎますと、『 Brooklyn DAC+ 』では24bit/352.8kHz、『 Young III 』では352.8kと表示されました。

サウンドは通常CDを大きく上回っており、試聴メモには、実にリアル、低域が深く沈む、音数が非常に多い、響きが豊か、ミュジシャンの気配さえを感じる、音像が立体的、楽器の一つ一つに実在感がある、Dレンジが広い、スケールが大きい、ホールの空調まで感じると、素晴らしいコメントが残っています。

一方『 Brooklyn DAC+ 』では"MQA"デコードをOFF出来るため、試してみると、OFFで再生しますとサウンドが全体に軽くなってしまい、左右のスピーカー間だけに集まり、奥行きは浅く、キメも粗くなった様に感じました。やはり44.1kHzの通常CDのサウンドとなってしまいました。


■ 最後に
このように"MQA"は、実感としてPCMの厚み・立体感とDSDの滑らかさ・音場感の"いいとこ取り"をしているとも感じました。

"MQA-CD"の素晴らしい可能性と簡便性を実感し、ハイエンドオーディオ界に新しいハイレゾ音源"MQA-CD"が普及することを大いに期待したいと思います。(あさやん)

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