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2010年12月

2010年12月31日 (金)

バタフライはフリー (1972)

バタフライはフリー サンフランシスコのアパートに住む、女優志望のジル(ゴールディ・ホーン)。続き部屋に住む青年ドン(エドワード・アルバート)が窓からこちらを見ているのに気づき、部屋へ招き入れる。青年が盲目なのを知り、ショッピングに連れ出して服を選んだりして仲良くなる2人だったが、彼の母親ベイカー(アイリーン・ヘッカート)が息子の様子を見に部屋にやって来て…

 ブロードウェイの舞台劇の映画化…というか、場面がほとんど続き部屋のアパートだけなので舞台劇を思わせる独特の雰囲気があったのだが、正にその通りだった。70年代の風俗を思わせるファッションに加えて、だらしないジル、マザコン気味の青年ドン、そしておせっかいやきの母親ベイカーと主要人物の3人が非常に密度の高い芝居を見せてくれる。

 このふらふらとした、正にバタフライのような女性ジルは、ゴールディ・ホーンのイメージにぴったりかも。嫌みたっぷりの母親のベイカーと、息子のドンが失恋をきっかけに立場が逆転するあたりがひとつの見物かな。そしてまさかのラストだったけど、意外とこういうカップルって長続きするんじゃなかろうかって気にさせられる。

ミルトン・カトセラス監督。1972年アメリカ映画。

2010年12月28日 (火)

エスター (2009)

エスター 3人目の赤ちゃんを流産したケイト(ヴァラ・ファミーガ)は、心の穴を埋めるためにエスター(イザベル・ファーマン)という女の子を養子にする。夫のジョン(ピーター・サースガード)、息子のダニエル(ジミー・ベネット)、娘のマックス(アリアーナ・エンジニア)らは彼女を家族に迎え入れるが、やがておかしな事件が起こり始める。やがて、エスターを世話したシスター・アビゲイル(C・C・H・パウンダー)が死体で見つかって…

 子供を主人公にしたサイコホラー。これ、すっごいおもしろコワい。少なくとも「ミザリー」を見て楽しめた方は、同じ種類のドキドキが感じられておすすめである。冒頭からスプラッタ系のホラーかと思ったら、実はイタい系、サイコ系のホラーであとは主役のエスターことイザベル・ファーマンちゃんのキャラクターでぐいぐい押し切られた感じ。

 それにしても… 妻を信じられなくなった夫への、観客を巻き込んだいらいらは相当なもので、こんな風にはなりたくないなぁとつくづく感じた。目の前であんな事件を見せられたマックスなんて、一体どんな娘に育つんだろうか。そちらを想像するとさらに恐怖がふくれ上がってきます。

ジャウマ・コレット・セラ監督。2009年アメリカ映画。

2010年12月27日 (月)

イマジン ジョン・レノン (1988)

イマジン ジョン・レノン ビートルズのジョン・レノンの半生を、膨大なフィルムやインタビュー・テープの再構成によって綴ったドキュメンタリー。前妻のシンシア、そして後妻のオノ・ヨーコのインタビューに加え、2人の息子のショーン・レノンとジュリアン・レノンもインタビューに登場して語り、人間としての、父親としてのジョン・レノンが浮き彫りになっていく印象である。

 個人的にはビートルズの活躍していた時代からは完全に外れていて、かろうじてソロになったジョン・レノン、そしてオノ・ヨーコの活動を知っている程度の世代なんだけど、かなり人間くさいジョン・レノンが見られて貴重なフィルムだという感想を持った。歌って活動するぐらいでは平和は訪れない、というのはわかっているんだけど、それでも引き込まれてしまう「イマジン」という曲にはやはりオーラが漂っている。

 しかもこの映画では、ジョン・レノンのかなり怪しい一面が垣間見られて面白い。オノ・ヨーコとのベッドインのインタビューってこうことだったんかと、何となく納得させられた。

アンドリュー・ソルト監督。1988年アメリカ映画。

2010年12月24日 (金)

火垂るの墓 (2008)

火垂るの墓 1945年の終戦間近の神戸。空襲で焼け出された清太(吉武怜朗)と節子(畠山彩奈)は、遠縁の親戚(松坂慶子)をたよって西宮へ。ところが彼女は、清太たちが持つ食料を目当てに彼らを引き受けることにする。やがて彼女とぶつかった清太たちは、兄妹2人で生きることを決意して家を出るのだったが…

 野坂昭如の原作を映画化、というよりは、有名な高畑勲監督のアニメ版を実写化したという印象の方が強いだろう。節子のおかっぱ頭や、もんぺ姿などは嫌でもアニメ版がかぶってしまう。しかし回想場面を一切廃して、時間軸に沿った構成になっているので、また違った「火垂るの墓」という印象を持った。

 節子役の女の子がいい。演技がうまいわけでもないんだけど、その雰囲気がいいし、栄養不良でやせた、という部分もぐいぐい伝わってくる。逆に清太は、家を出てかなりたつのにどうしてこぎれいに坊主に散髪できているんだろうかとか、つまんない部分が気になった。

 蛍の墓を作るプロットは、「禁じられた遊び」を思わせる。いつも戦争の一番の被害者は子供たちってことか。本作では、その横に節子ちゃんの墓が並ぶのが何とも痛々しい。アニメ版のように後生には残らないかもしれないけど、一見の価値がある秀作。母親役で松田聖子も出てます。

日向寺太郎監督。2008年日本映画。

2010年12月22日 (水)

レスラー (2008)

レスラー 往年のプロレスラー「ザ・ラム」ことランディ・ロビンソン(ミッキー・ローク)は年老いた今もプロレス興行を続ける毎日。家賃が払えずアパートを追い出されたり、なじみのストリッパーのキャシディ(マリサ・トメイ)を口説いたりの毎日だったが、試合後に心臓発作で倒れてしまう。命の危険を感じたランディは、キャシディのすすめで離れて暮らす娘のステファニー(エヴァン・レイチェル・ウッド)に会いに行くのだったが…

 ひさびさのミッキー・ロークである。しかしあの2枚目のミッキー・ロークが、きったないおっさんになり… という出だしではあったが、むむむ、この人、いい人やん。しかも物語が進むに連れて、同僚のプロレスラーたちとの友情も熱く、彼のプロレスでしか生きられないという思いも熱く、気がつくとこっちまで熱くなってしまうなかなかハートウォーミングな映画である。久々に「拾い物」という言葉を使いたくなったぞ。

 時々キレるダメ親父でありながらも、ラムが子供好きのとってもいい人なのが心に残る。実の娘とはうまくいかないけど…というエピソードは、不変のテーマなんかなぁ。何十年も前に見た金子正次の「竜二」という映画を思い出した。そんなに共通点はないと思うんだけど、根っこの部分がつながってんのかな?

ダーレン・アロノフスキー監督。2008年アメリカ映画。

2010年12月21日 (火)

イントゥ・ザ・ブルー2 (2008)

イントゥ・ザ・ブルー2 ハワイでプロのダイバーをして暮らすセバスチャン(クリス・カーマック)とその恋人のダニー(ローラ・ヴァンダーヴォート)は沈没船の財宝を引き揚げるのが夢。ところが彼らはカールトン(デヴィッド・アンダース)とアズラ(マーシャ・トマソン)という怪しげなカップルに、海底に沈んだコンテナの引き揚げを依頼される。そのコンテナの中身とは…

 あのジェシカ・アルバ、ポール・ウォーカー主演の大ヒット映画の続編…らしいけど、本当に続編か? 主演の2人が変わってしまったのが、何だかなぁ。ヒロインのローラは確かにジェシカ・アルバ似で魅力的なので、ブレイクしてほしいと思うけど難しいかな。

 ストーリーは完全な腰くだけ状態で、意外とのんびりした展開が命取りな感じ。水中撮影だけは相変わらず美しく、一見の価値はあると思う。それにしても、後半の展開は生き残ったメンバーも完全にトラウマだろうって突っ込みたくてしょうがなくなった。あれで船買って人生も捨てたもんじゃないってのは、あまりにも乱暴で彼女が浮かばれない?

スティーヴン・ヘレク監督。2008年アメリカ映画。

2010年12月19日 (日)

ビバリーヒルズ・チワワ (2008)

ビバリーヒルズ・チワワ チワワのクロエ(声:ドリュー・バリモア)は、ビバリーヒルズの金持ちのヴィヴ(ジェイミー・リー・カーティス)に飼われるセレブ犬。ヴィヴの留守に、姪のレイチェル(パイパー・ペラーボ)がクロエを預かるのだったが、奔放なレイチェルはメキシコにクロエを連れて羽根を伸ばしに行く。ところがクロエは闘犬家に誘拐されてしまい…

 セレブ生活を送るお犬様が誘拐され、メキシコで大冒険を繰り広げる話。動物映画が得意なディズニー映画だけあって、安心して見ていられるのはいつものとおり。冒頭の犬のセレブ生活には何とも居心地の悪いものを見せられてる感じがしたけど、彼らがメキシコへ飛ばされてからは冒険また冒険で最後まで楽しむことができます。ふやけたお犬様が、ワイルドな犬になって帰ってくるというステレオタイプなお話ではありますが。

 「ベイブ」なんかと同じく、べらべら口を動かせてしゃべりまくる犬たちが見物。声優も豪華で(ドリュー・バリモア、アンディ・ガルシア、ジョージ・ロペス、プラシド・ドミンゴ他)、途中から登場するイグアナとねずみのコンビなどは絶妙である。途中に登場するチワワの国のエピソードも笑えたなぁ。

ラージャ・ゴスネル監督。2008年アメリカ映画。

2010年12月17日 (金)

あなたは私の婿になる (2009)

あなたは私の婿になる 編集長のマーガレット(サンドラ・ブロック)はその猛仕事ぶりで部下たちからは煙たがられる存在。ところがカナダ人の彼女はワーキングビザが切れていることが発覚して、国外退去を命じられる。それを防ぐために彼女が思いついた奇策とは、アシスタントのアンドリュー(ライアン・レイノルズ)と結婚すること。究極のパワハラを受けながらも、編集者になる夢を捨てきれない彼はしぶしぶ受け入れて彼女を故郷のアラスカに連れて行く羽目に。そこには彼の両親(クレイグ・T・ネルソン、メアリー・スティーンバージェン)と祖母のアニー(ベティ・ホワイト)、そして元カノのガートルード(マリン・アッカーマン)が待っていた…

 久々に見るサンドラ・ブロックのラブコメである。しかもパワハラ上司にぴったりのきつい感じで最初はとばしまくるのだが、徐々に本性がばれて…というラブコメおきまりのパターン。十分予測できるストーリーながらも、心地よさを感じるのはやっぱり中盤から舞台になるアラスカの田舎町の心地よさと、そこに住む人たちの人情に流れていくあたりでしょう。

 年の差カップルものということで、最近見た「理想の彼氏」にもかぶるので、見比べてみるのも面白いかも。相手がサンドラ・ブロックやキャサリン・ゼタ・ジョーンズだったら、少々年上でも行っちゃうかもなぁ(笑)。

アン・フレッチャー監督。2009年アメリカ映画。

2010年12月16日 (木)

ブラッド・ワーク (2002)

P1_g1436153w FBI分析官のマッケイレブ(クリント・イーストウッド)は連続殺人犯の通称「コードキラー」の追跡中に心臓発作で倒れる。それから2年後、心臓移植で助かった彼のもとへ、グラシエラ(ワンダ・デ・ヘスース)という女性がやって来る。実は移植された心臓は強盗に殺された妹のもので、事件を解決してほしいという依頼だった。主治医フォックス(アンジェリカ・ヒューストン)の反対を押しきって、元同僚のバディ(ジェフ・ダニエルズ)と私的に調査に乗り出すマッケイレブだったが、そこにはコードキラーの影が…

 マイクル・コナリーの原作をイーストウッドの監督・主演で映画化。イーストウッドはやり手の心理捜査官で、心臓移植なんてテーマを扱っているにかかわらず、路上でショットガンはぶっぱなすわ、グラシエラとはできちゃったりわの往年のダーティ・ハリー様を思わせる部分があってファンとしては多少にんまりとさせられる内容となっている。イーストウッド爺さん、最後にはじけたぞってところかも。

 ところで、アメリカでは心臓移植ってこんなに一般的になってるんだなぁってちょっと意外でありました。そりゃ、提供者から捜査を依頼されたら断れんわ。意外なはずな犯人だけど、なぜか私は「ホワイトアウト」(もちろんベッキンセールの方ね)を思い出しました。

クリント・イーストウッド監督。2002年アメリカ映画。

2010年12月14日 (火)

理想の彼氏 (2009)

理想の彼氏 夫の浮気が原因で離婚したサンディ(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)は、2人の子供を連れて離婚、憧れのニューヨークで就職する。アパートの1階にあるカフェに勤めるフリーターのアラム(ジャスティン・パーサ)と意気投合してベビーシッターを任せるのだったが…

 「理想の彼氏」だったはずの夫と別れて、どう考えても「理想の彼氏」に思えない人とつきあうことになった。でもそうは見えなくても結局は「理想の彼氏」だったという映画。と言えば、ストーリーを最後まで言い切ってしまってるようにも思えるが、終盤のあれよあれよという時間経過の見せ方はうまくなかなか印象的なラストシーンになっている。一見の価値有り。

 40歳のサンディと24歳のフリーターのアラムという年の差カップルなんだけど、意気投合するって感覚はこういうもんだろうなって納得させられます。それにしても、ショーン・コネリーを相手役にしたこともあるキャサリンって何て年齢差に対する懐の深い女なんだ(笑)。

バート・フレインドリッチ監督。2009年アメリカ映画。

2010年12月13日 (月)

マスカレード 甘い罠 (1987)

マスカレード 甘い罠 ヨットレースの船長ティム(ロブ・ロウ)は、その甘いマスクから雇い主の夫人ブルック(キム・キャトラル)と不倫関係にある。やがて、その娘オリヴィア(メグ・ティリー)が膨大な遺産の相続人だと知ったティムは、彼女にプロポーズして結婚までしてしまうのだったが…

 2時間ドラマ系の軽いサスペンス映画。ロブ・ロウが人気絶頂だったころに作られた映画なんだろうけど、今見たらどうだかなぁといった感想。それよりも一見地味なメグ・ティリーがストーリーが進むに連れて結構魅力的で印象に残った。90年代以降はあまりぱっとしなかったようだが。

 とっても気になったのが、ヨットレースのくだり。2艇で戦うシーンが冒頭にあるんだけど、結局彼らは何の大会に出ているんだろう。船長以下、かなりの人数のクルーを雇っているようだが。

ボブ・スウェイム監督。1987年アメリカ映画。

2010年12月11日 (土)

スラムドッグ$ミリオネア (2008)

スラムドッグ$ミリオネア インドのムンバイのスラム街で育った少年ジャマール(アーユッシュ・マーヘシュ・ケーデカール/デヴ・パテル)は幼い頃に暴動で母を亡くし、兄のサリーム(アズルディン・モハメド・イスマイル/マドゥル・ミッタル)と幼なじみのラティカ(ルビーナ・アリ/フリーダ・ピント)とストリートチルドレンとして育つ。成長して、テレホンセンターの仕事からクイズ番組「ミリオネア」に出たジャマールは順調に勝ち進む。ところが警察は、彼が不正を働いたと思い取調室に呼び出すのだったが…

 アカデミー作品賞をはじめ、主要な映画賞を総なめした話題作。ヴィカス・スワラップの原作を映画化、というか、原作があることは知らなかった。インドを舞台に、出演者すべてインド人という作品なのでなぜ米アカデミー賞って気がしなくもないが、ストーリーの流れや盛り上げ方は明らかにハリウッド映画を感じさせる。

 アメリカのフィルターを通しているのかもしれないけど、インドのスラムという現実がひしひしと感じられる佳作。特に冒頭、母親が暴動で亡くなってからのジャマールたちの人生が痛々しい。しかし大河ドラマのように、離れては近づいてを繰り返す幼なじみラティカとのストーリーと彼の一途さが胸に残る。ラティカは原作にはない部分なんだそうだけど、ツボを得た脚色だと思う。

 インドの現実が暴力なら、アメリカの現実は施しなのか? どっちも的を得ていないってのが、作者のメッセージかも。

ダニー・ボイル監督。2008年イギリス=アメリカ合作。

2010年12月10日 (金)

華麗なる週末 (1969)

華麗なる週末 20世紀初頭のアメリカ南部の小さな町。ボスと呼ばれる祖父(ウィル・ギア)は町で初めての自動車を購入する。これにはまってしまった使用人のブーン(スティーヴ・マックィーン)は、祖父の留守をいいことに自動車を持ち出して孫の少年ルシアス(ミッチー・ボーゲル)と使用人ネッド(ルパート・クロス)と共に、メンフィスに住む娼婦コリー(シャロン・ファレル)のところへドライブへ行く。ところがネッドの賭けで自動車は人手に渡ってしまい…

 ウィリアム・フォークナーの小説「自動車泥棒」を映画化。西部劇の時代の終わり頃の、古き良き南部を描いた佳作。出てくる人間がいかにもといったステレオタイプの西部の人たちなんだけど、ユーモアと人情味にあふれていて見ていて本当にいい気分にさせてくれる。

 わずか4日間の自動車旅行なんだけど、少年にとっては大人への階段をのぼるエピソードがてんこ盛りで、こりゃ忘れられない旅になるだろうなって思わされます。マックィーンとクロスの凸凹コンビは、冒頭の喧嘩のシーンからそれはもう最後まですっとばして楽しませてくれる。美しい娼婦とのやりとりや、後半の競馬のエピソードと盛り上げ方はさすが。癒されるクラシカルな一遍といった作品です。

マーク・ライデル監督。1969年アメリカ映画。

2010年12月 9日 (木)

かいじゅうたちのいるところ (2009)

かいじゅうたちのいるところ 母(キャサリン・キーナー)と姉と暮らすマックス(マックス・レコーズ)の悩みは、友達ができずまわりが誰もかまってくれないこと。今日もオオカミの着ぐるみでいたずらを繰り返し、回りを激怒させて居場所を失ったマックスは、ボートに乗り見知らぬ島へ流れ着いてしまう。そこは等身大のかいじゅうたち(声:ローレン・アンブローズ、クリス・クーパー、ジェームズ・ガンドルフィーニ、キャサリン・オハラ、フォレスト・ウィテカー、ポール・ダノ)が住む世界だった。成り行きでかいじゅうたちの王になったマックスだったが…

 モーリス・センダックの絵本の映画化。そういえばこのかいじゅうたちの絵柄をどこかで見たことがあるような気がしないでもない… 3匹のやぎとガラガラドンみたいなロシア民話の世界かと思ったら、アメリカの絵本作家の作品だった。映画としては、着ぐるみとのやりとりがNHK「おかあさんといっしょ」の劇のように思えた。

 とはいっても内容はそれなりに辛口で、こっちの世界で悩みをかかえるマックスは、あっちの世界では他人(かいじゅう)の悩みの相談に乗る役柄である。かといってそれでマックスが成長するのかと思うと、何やらあっけない幕切れで肩すかしをくったような感じ。ストーリーの流れからして、かいじゅうの住む島はやっぱりマックスの頭の中の妄想であり、しかもオチのない妄想であったというものだろうか。

 まぁ監督が「マルコビッチの穴」のスパイク・ジョーンズだということで、一筋縄ではいかないのは当然ってところかも。製作にはトム・ハンクスも名前を連ねているところを見ると、彼もこの絵本がお気に入りなのかな。

スパイク・ジョーンズ監督。2009年アメリカ映画。

2010年12月 7日 (火)

アカルイミライ (2002)

アカルイミライ おしぼり工場で働く仁村雄二(オダギリジョー)は寡黙な青年。同僚の守(浅野忠信)には唯一心を許しているのだが、守は殺人容疑で逮捕されてしまう。残された雄二は守の育てていた猛毒のあるクラゲの世話に夢中になる。そして、守の父の真一郎(藤竜也)と知り合って…

 タイトルとは正反対の、真っ暗な未来しか見えない若者たちを主人公にしたドラマ。実の親子よりも他人の方が気が合うこともあるってことなのか、後半の真一郎と雄二の親子にしか見えないやりとりが胸をうつ。ちょっと前に見た「グラン・トリノ」を思い出して、これって不変のテーマかなって思った。

 川をびっしりと埋め尽くす猛毒クラゲ… 考えたら迷惑な話ではあるのだが。

黒沢清監督。2002年日本映画。

2010年12月 6日 (月)

イングロリアス・バスターズ (2009)

イングロリアス・バスターズ 第2次大戦中のフランス。ユダヤ人狩りを行うナチのハンス・ランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)により家族を皆殺しにされた少女ショシャナ(メラニー・ロラン)は、名前を変えてドイツ占領下のパリの映画館の館主におさまっている。ところがその映画館で、「国民の誇り」という戦意高揚映画のプレミアム試写会が行われ、ヒトラー(マルティン・ヴトケ)をはじめとするナチの要人が集まってくることに。このチャンスに、ナチを惨殺することを使命とする連合軍の秘密部隊「バスターズ」のアルド・レイン中尉(ブラッド・ピット)が乗り込んでくるが…

 ひさびさのタランティーノのアクション大作で、舞台は占領下のフランス。ナチの将校ばかりを狙い、頭の皮をはぎとるユダヤ系部隊といういかにもタランティーノらしいシチュエーション&バイオレンス映画で、テーマの取り方としては絶妙である。しかし単なるバイオレンス&復讐劇におさまるわけもなく、何章にも分かれた本編はショシャナという女性を中心にじっくり描きこまれており、見応え十分である。

 ユダヤ・ハンターのクリストフ・ヴァルツが一見いい人に見えるのが絶妙。妖艶なダイアン・クルーガー、憎々しいマルティン・ヴトケ、最後まで冷静沈着なブラッド・ピットなど、キャスティングもいい。 ハーケン・クロイツ彫りは、見るからにイタそうだ。

クエンティン・タランティーノ監督。2009年アメリカ映画。

2010年12月 4日 (土)

シャンプー (1975)

シャンプー ビバリーヒルズの売れっ子美容師のジョージ(ウォーレン・ベイティ)は、独立して自分の店を持つことを考えている。彼の客で愛人のひとりフェリシア(リー・グラント)は、夫のレスター(ジャック・ウォーデン)に彼への出資をかけあう。ところがレスターの愛人はジョージの元カノジャッキー(ジュリー・クリスティ)であり、それにジョージの恋人のジル(ゴールディ・ホーン)がからんで事態はあらぬ方向へ…

 ビバリーヒルズの上流階級の人々を描いた、ちょっとエロティックなラブコメディ。ウォーレン・ベイティの演じるプレイボーイというのがこれまた筋金入りで、彼の70年代ファッションも含めて懐かしいというよりは「うざったい」という気分にさせられるのは私だけか?

 公開当時は私は中学生だっただけに、結構どきどきもののストーリーだったように思うけど、今見たらどうってことないですね。印象に残るのはラストのあっけなさ(自業自得?)と、まだ20代だったゴールディ・ホーンの可愛さかな。彼女こそ元祖ラブコメの女王です。無名時代のキャリー・フィッシャーも、後のスターウォーズではお姫様とは思えないような役で出てます。

ハル・アシュビー監督。1975年アメリカ映画。

2010年12月 3日 (金)

シンシナティ・キッド (1965)

シンシナティ・キッド ニューオリンズのポーカー賭博師キッド(スティーヴ・マックィーン)は腕をあげ、もう近くではかなう相手がいない。そこへザ・マンと呼ばれる名人位を持つ初老のランシー(エドワード・G・ロビンソン)が現れ、キッドは勝負を挑むこととなる。とことんシブいギャンブル映画の決定版。

 最初に中学生の時に見たときはただただ映画の持つ雰囲気のシブさに圧倒された作品。でもそれ以上のものはあまり感じなかった。今回見直してみて、キッドの挫折にすごく感情移入したと同時に彼なら立ち直ってまた大勝負をやらかしてくれるという確信みたいなものを感じた次第。見方によっては元気の出る映画。

 恋人メルバ(アン・マーグレット)のかわいらしさや、同じくギャンブラーのシューター(カール・マルデン)との葛藤、その妻クリスチャン(チューズデイ・ウェルド)の妖艶さなどなど、脇をかためるのも芸達者ぞろい。さらに、舞台がニューオリンズだけあって、雰囲気を盛り上げるジャズ(ラロ・シフリン、レイ・チャールズによる)も見逃せない。映画の面白さを、ぎゅっと詰め込んだ名品である。

ノーマン・ジュイソン監督。1965年アメリカ映画。

2010年12月 2日 (木)

突撃隊 (1961)

突撃隊 第2次大戦中のドイツ戦線。連合軍の前線にリース(スティーヴ・マックィーン)が送り込まれて来る。前線にはコービー(ボビー・ダーリン)、パイク軍曹(フェス・パーカー)、ヘンショー(ジェームズ・コバーン)などひとくせもふたくせもある連中が集まっているが、一個小隊を残して味方が作戦のため撤退してしまう。残された彼らは、一個小隊しかいないことを敵に隠しながら、ひたすら味方の復帰を待つのだったが…

 無口で無骨な兵士を演じるマックィーンはキャラが立っていて恐ろしく印象的。独軍の隠しマイクのエピソードからはじまって、敵のトーチカの攻略、地雷原の突破、そして爆破と後半はハードな見せ場のつるべ落としで、たいしたスペクタクルシーンがあるわけでもないのに手に汗握られるのは、映画は単に金をかければいいだけではないというのを思い知らせてくれる。それにしても…トーチカひとつを攻略するのに、どれだけの男が死ななければならなかったのか。この損失は、ただものではありません。

 余談だけど、黎明期のビデオデッキの広告にこの映画が載っていたのが思い出されます(ベータマックスだったか、マックロードだったかは不明ですが)。当時はこんな映画が手軽にコレクションできるなんて、夢のまた夢だったような気がします。

ドン・シーゲル監督。1961年アメリカ映画。

2010年12月 1日 (水)

HACHI 約束の犬 (2008)

HACHI 約束の犬 大学教授のパーカー(リチャード・ギア)は、駅で迷子になっていた犬を拾う。日系の友人ケン(ケイリー・ヒロユキ・タガワ)が、首輪に付いたタグから「ハチ」という名前だということを教え、教授は犬を飼うことにする。ハチはいつの間にか、駅で教授の帰りを待つのが日課となったのだったが…

 あの「ハチ公物語」をハリウッドでリメイク。親日家のリチャード・ギア主演というだけあって、冒頭のエピソードからしてもいい意味で神秘的に描かれる日本にしても、いい気分にさせられる。とっても単純なストーリーだけに、1時間半の映画にしちゃうには無理がないわけではないが、そこはリチャード・ギアに加えてジョーン・アレン、サラ・ローマーといった面々がいい雰囲気を作り上げて気がつくとかなり感動させられていた、というところ。

 孫息子を語り部として使う、というアイディアも良かったです。駅でホットドッグを売ってたおっちゃんも、印象にのこったな。

ラッセ・ハルストレム監督。2008年アメリカ映画。

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