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2015年8月

2015年8月31日 (月)

悪の法則 (2013)

悪の法則 弁護士のカウンセラー(マイケル・ファスベンダー)は、美しい恋人ローラ(ペネロペ・クルス)にプロポーズしてOKをもらい、順風満帆の人生を歩んでいるかに思えた。しかし一攫千金を夢見て友人で実業家のライナー(ハビエル・バルデム)の口利きで、メキシコの麻薬シンジケートに手を出す。ライナーの恋人のマルキナ(キャメロン・ディアス)と売人ウェストリー(ブラッド・ピット)の協力もあり、事態はうまくいくかに思えたのだったが…

 何だ、こりゃ!? 要約すると、メキシコの麻薬組織は恐ろしいから手を出しちゃだめよって内容の映画か? 自信満々の弁護士カウンセラーが、シンジケートに手を出して破滅するだけの話…って一言で言っちゃえば身も蓋もない。しかしそれだけの話を、豪華な出演者と手の込んだ映像でこつこつと見せる、そんなリドリー・スコットの職人技が空回りしているかのような映画である。同じメキシコものだと、やっぱサム・ペキンパーの「ガルシアの首」あたりが映画としては数段上かも。

 しかし、空回りしてすべりながらも登場人物は頑張っているのである。完全に主役を喰っちゃったのがキャメロン・ディアス。この人、コメディアンかと思ってたらいつの間にか妖艶悪女に変化していた。しかも、フェラーリであり(笑)悪人としては数段上のはずのハビエル・バルデムが完全に喰われてしまってるのは苦笑ものだ。色仕掛けでは定評のあるペネロペ・クルスも本作では全然存在感がないのは何なんだろ。ブラピに至っては、おまえはカメオ出演かと突っ込みたくなる始末。

 待てよ、あまりけちょけちょ書いてると、メキシコのシンジケートから刺客がやって来て首をちんぎられるかもしれないからやめておこう。見終わって残ったのは、メキシコは怖いぞという刷り込みだけだったような気がする。余談だけど、ジョン・レグイザモがちょこっとだけ出てますのでお見逃しなく。

THE COUNSELOR
リドリー・スコット監督。2013年アメリカ映画。

2015年8月30日 (日)

永遠の0 (2013)

永遠の0 司法浪人の佐伯健太郎(三浦春馬)とジャーナリストである姉の慶子(吹石一恵)は、病気の祖父(夏八木勲)が血のつながりがなく、実の祖父は宮部久蔵(岡田准一)という人だったということを知る。興味を持った二人は零戦のパイロットで特攻兵だったという祖父のことが知りたくて、当時を知る長谷川(平幹二朗)に取材するが「操縦技術は凄かったが、海軍一の臆病者だった」とショックな証言を聞く。しかし続けて取材した井崎(橋爪功)、景浦(田中泯)らから、やがて宮部の真の姿が浮かび上がってくるのだったが…

 百田尚樹のベストセラー小説の映画化。家族を守るために、生きることを志向したという今で言えば当たり前、当時としてはありえない軍人を描いた物語である。現代パートよりも、当時を描いたドラマの方が秀逸で、特に宮部とその妻松乃(井上真央)とのからみや、当時の景浦(新井浩文)とのバトルに関するエピソードはぐっとくるものがあった。さらにラストの突撃シーンといい、間違いなく泣ける映画である。

 しかし…である。人間ドラマよりも何よりも、私がもったいないと感じたのは当時の宮部の操縦技術とその才能。時代が違えば、彼は間違いなくこの操縦技術を人助けのために使っていただろう。いや家族を思い自分の教え子を思う彼の行動を考えると、絶対にそうしていたに違いない。それを考えると、何とも言えない無念を感じてしまうのである。ちょっと前に見た、宮崎駿監督の「風立ちぬ」でも同じ思いだったことを付け加えておこう。

山崎貴監督。2013年日本映画。

2015年8月28日 (金)

木更津キャッツアイ 日本シリーズ (2003)

木更津キャッツアイ 日本シリーズ またまたあと半年の命を宣告された21歳の青年ぶっさん(岡田准一)。仲間のバンビ(櫻井翔)、うっちー(岡田義徳)、マスター(佐藤隆太)、アニ(塚本高史)、モー子(酒井若菜)たちとつるんで馬鹿騒ぎの毎日をおくっていたが、死んだと思ったオジー(古田新太)が帰って来る。そしてぶっさんはユッケ(ユンソナ)という韓国女性と恋をして、キャッツアイは駅前でコンサートを開く氣志團(本人)から前座のオファーを受けるのだったが…

 宮藤官九郎脚本の伝説のドラマの映画化第1作。ふだんドラマをほとんど見ない私としては一番苦手なタイプの映画なんだけど、構えて見たせいかぶわ~っと最後まで楽しむことができました。クドカン作品はやっぱ勢いで見るもんだと思う。細かいギャグはテレビの視聴者向けだと思うので、さっさと右から左です。

 思ったとおりだった部分は、クドカン作品らしく不条理な笑いとビデオの巻き戻しのようなつなぎ、そしてありえない方向へ転がって行くストーリー。思ってたのと違うのは、タイトルから野球映画かと思ってたらほとんど野球をする場面がなかったこと。どっちかといえば彼らはバンドなのか? いや、ただビール飲んでくっちゃべってるだけの人々なのかもしれない。ラテンっぽくて個人的には嫌いではないのだが。

 怪獣が出てくるのは、不条理映画のお約束かな。氣志團はゲスト出演というより、後半のいいところを乗っ取っていた。無人島のくだりは何なんだろう。男の願望? カニ好きにはたまらない島かも(論点が違う?)。

金子文紀監督。2003年日本映画。

2015年8月27日 (木)

ビザンチウム (2013)

ビザンチウム クララ(ジェマ・アータートン)と妹のエレノア(シアーシャ・ローナン)は、身を寄せ合って生きるヴァンパイア。事件を起こして現在のアパートに住めなくなった二人は別の町へ引っ越すが、エレノアは病気で余命いくばくもない少年フランク(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)に出会い心ひかれる。一方のクララは青年ノエル(ダニエル・メイズ)を丸め込み母から相続した「ビザンチウム」という建物を売春宿に仕立て上げるのだったが…

 このところ、映画のジャンルのひとつとなりつつあるゴシック系ヴァンパイア映画の1本。画面が暗いのはこの手の映画のお約束だけど、吸血シーンも親指の爪が伸びるだけと意外と地味である。しかしそこは「ハンナ」のシアーシャ・ローナンに相手役がケイレブ・ランドリー・ジョーンズだけに一筋縄でいかない雰囲気を醸し出している。特にこのケイレブって俳優は病的な役が恐ろしいほどはまっていて痛々しい。

 個人的に気に入ったのは、吸血鬼の変身シーンというかその儀式。ただ血を吸っただけではヴァンパイアになれないのです…ってわけで、とある孤島へ行って洞窟へ入ってという手順が何かそれっぽくていい感じであり、またラストにつながる部分が感動的である。突き放したかのような母娘の関係もちょっと余韻が残ります。

BYZANTIUM
ニール・ジョーダン監督。2013年イギリス=アイルランド合作。

2015年8月26日 (水)

ウォールフラワー (2012)

ウォールフラワー 大人しい少年チャーリー(ローガン・ラーマン)は高校に入っても友達ができず、パーティでも壁の花状態。ところが勇気を持って上級生のパトリック(エズラ・ミラー)に話しかけることにより、彼の義理の妹であるサム(エマ・ワトソン)をはじめグループに迎えられ、しかもメアリー(メイ・ホイットマン)という恋人もできて…

 スティーブン・チョボスキーの原作を自らがメガホンを取って映画化。ハリポタのハーマイオニーことエマ・ワトソンに、少年は残酷な~のエズラ・ミラー共演ってことでどんな映画だろうって興味津々だったんだけど、その中で主人公のローガン・ラーマンはなかなか頑張ってるな、と思ったら、彼は「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」だったってのは後で気がついた。うーむ、なるほど。

 ものすごくストレートな感じがする学園ドラマだけど、この見も知らずの場所で仲間に入るという感覚がすごく懐かしくていい気分で鑑賞することができた。もうひとつ言うと、この年上の女性サムとの心がつながっている感覚も妙に懐かしい。本来のテーマはチャーリーが自分の殻に閉じこもってしまった事件の方なんだけど、個人的にはこのあたりはほとんど印象に残らなかった。ただただ、懐かしい映画や音楽、そして小説なんかが散りばめられた青春映画の王道とも言える映画。ぎすぎすした世界にも、自分の居場所ってものはあるのである。

THE PERKS OF BEING A WALLFLOWER
スティーブン・チョボスキー監督。2012年アメリカ映画。

2015年8月20日 (木)

ランナウェイ 逃亡者 (2012)

ランナウェイ 逃亡者 ベトナム戦争に反対した過激派組織ウェザーマンのメンバーであるシャロン(スーザン・サランドン)が、30年の隠蔽生活の果てに自首する。事件を追う地方紙の記者ベン(シャイア・ラブーフ)は、関係者と思われる弁護士のジム(ロバート・レッドフォード)を取材するが、ほどなく彼は娘を残して失踪する。実は彼の正体も、ウェザーマンのメンバーであるニック・スローンだったのだが…

 ニール・ゴードンの原作をレッドフォード自身の監督で映画化。実在のテロリスト「ウェザーマン」のその後を描いた社会派作品なのだが、ものすごく淡々としたタッチは「大統領の陰謀」あたりの映画を思わせる。逃亡慣れしたジムの動きと、新聞記者ベン、FBIのコーネリアス(テレンス・ハワード)のかけひきがストーリーのメインとなるのだが、映画としてはいささか盛り上がりに欠ける。またベトナム戦争当時の世相を知らない我々にとっては、本来の見方はできてないんだろうなぁと思わされる。

 とはいっても、出ている俳優がいいです。上記以外にも、ベンの上司にスタンリー・トゥッチ、ウェザーマンの重要人物としてジュリー・クリスティ。他にもサム・エリオットやニック・ノルティが脇をかためてます。30年前の事件が背景なので、無理のない年齢(笑)の方々ばかりです。ただし、ラストがイマイチよくわからなかったってのが正直ありました。銀行強盗の件で彼は無実だったんだろうけど、じゃあ彼はテロリストとしての活動には一切かかわってなかったんだろうか? 謎だ…

THE COMPANY YOU KEEP
ロバート・レッドフォード監督。2012年アメリカ映画。

2015年8月18日 (火)

スノーピアサー (2013)

スノーピアサー 近未来、地球温暖化を避けるために空中散布した化学物質CW-7により、地球は凍り付いて生物は死滅してしまう。生き残った一握りの人々は、スノーピアサーと呼ばれる長大な列車に乗り込みかろうじて命をつないでいる。前方車両は富裕層、後方は最下層と分けられた列車内で、最後尾に住むカーティス(クリス・エヴァンス)は反乱を起こして鍵師ナムグン(ソン・ガンホ)、仲間のギリアム(ジョン・ハート)、エドガー(ジェイミー・ベル)らと共に前へ前へと進んでいくが、行く手にはメイソン(ティルダ・スウィントン)率いる鎮圧軍が立ちはだかる。

 フランスのグラフィックノベルを韓国の監督ボン・ジュノが映画化。終末ものなんだけど、氷河期の中を疾走する列車が唯一の人間が生きられる世界というのがユニークである。前へ前へ進むに連れて、いろんな列車内の風景が繰り広げられて、徐々に謎が明かされているという展開も楽しめる。よく見ると突っ込みどころもありそうなんだけど、世界観の面白さから「まっ、いいか」という気分にさせられる。

 しかし、中盤以降から列車の管理者であるウィルフォード(エド・ハリス)が登場するあたりから物語はものすごくシリアスになる。列車は循環社会であり、生物が生き残るためのことをやってるだけ、というこのウィルフォードが予想外に重く感じられた。ある意味、人間ひとりひとりの感傷なんてふきとんでしまうかのような彼の哲学に軽いショックを受けたというところかも。そこから考えると、希望を見いだせるかのようなラストも意味深である。巨大な循環社会である地球を、彼らはどうやって生き抜いていくのだろうかと思いを馳せずにはいられなくなります。

SNOWPIERCER
ポン・ジュノ監督。2013年韓国=アメリカ=フランス合作。

2015年8月15日 (土)

恋するリベラーチェ (2013)

恋するリベラーチェ 派手な衣装と抜群のピアノテクニック、そして観客を沸かせる話芸で一世を風靡したエンタティナーであるリベラーチェ(マイケル・ダグラス)。ところがゲイの彼とひかれ合った若者スコット(マット・デイモン)は彼に誘われるままに住み込みの運転手になり、その派手な生活にどっぷりと溺れていくのだったが…

 実在のエンタティナーを主人公にした伝記映画…ではなく、どちらかというと有名人に翻弄される若者スコットの方が主人公の映画である。バイの彼はリベラーチェとの底知れぬリッチな暮らしにどっぷりと浸り、そして怪しい医者(ロブ・ロウ)に身をまかせたりしながら彼のショーをささえ、そして恋人同士にお決まりの倦怠期を迎えて…

 ほとんど予想どおりのストーリーを流れていくんだけど、きらびやかなエンタティナーの生活が目の保養になって飽きさせない。それだけに、結末とのギャップが生きてくるんだろうなと思わされます。それにしても、主演の二人の体当たり演技は強烈そのもので、かなり刺激的でありました。ごちそうさま。

BEHIND THE CANDELABRA
スティーヴン・ソダーバーグ監督。2013年アメリカ映画。

2015年8月13日 (木)

キリング・ショット (2011)

キリング・ショット ドラッグの売人のテス(マリン・アッカーマン)は仲間のカラ(ニッキー・リード)、ドーン(デボラ・アン・ウォール)を伴って場末のダイナーへ向かう。その目的は、ボスのメル(ブルース・ウィリス)に縄張りを荒らしているのは誰か突き止めろと命令されたことによるのだが、途中で偽警官のロニー(フォレスト・ウィテカー)にしつこく付き惑われることになり…

 フィルム・ノワール風ハードボイルド・アクションと言いたいところだけど、このスタイルに微妙に懐かしさを感じるのは何だろうかと考えると、90年代のタランティーノ映画を思い出した。あれってこういう雰囲気だったなぁと思うんだけど、何かが足りない。パワー不足? 役者? 何なんだろう。

 といっても女性3人組は頑張ってた。特に主役のマリン・アッカーマン。妙に肝が据わっていて、見ていて小気味よい。キレた役を演じさせたフォレスト・ウィテカーもいいんだけど、一時期ほどのキレがない。強いて言えば、コワくないんだな。ウィリスに至っては、出番少なすぎ。と書くとけちょんけちょんっぽいんだけど、嫌いな映画かというとそうではない。たぶんこういうの好きなだけに、予想どおりの面白さに落ち着いてくれなかったのが個人的に悔しかったんだろうと思う。

CATCH .44
アーロン・ハーヴィー監督。2011年アメリカ映画。

2015年8月 8日 (土)

アンチヴァイラル (2012)

 セレブから採取したウィルスを注射して、セレブとの一体感を楽しむことが流行している近未来。シド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は、ウィルス販売会社の職員。主力商品であるハンナ(サラ・ガドン)のウィルスを売り歩いているが、ウィルスのプロテクトを外して闇市場に流通させるという海賊行為も行っている。ところがハンナの新しいウィルスを自身に注射したところ、激しい幻覚に襲われ、さらに数日後にハンナが急死してしまうという事件が起こる。

 デヴィッド・クローネンバーグ監督の息子であるブランドン・クローネンバーグの初監督作品。という予備知識はなく見始めたために、病院を思わせる真白い画面と鮮血、そして肉体変形の病的なアイコンの羅列に、これは絶対クローネンバーグ(父)の新作だろうって思ったんだけど… 息子の作品だと知って唖然とした。というか、父親のDNAがウィルスとなって息子に感染したとしか思えない作品である。

 特にイメージが近いのが、70年代にクローネンバーグが撮った「クジョー」と「ヴィデオドローム」という2本。理性で見てもわけわかんなくて、感覚で楽しむ映画だってところもそっくり。強いて言えばブランドンの方が美女の使い方がうまく、繰り返し登場するハンナのポスターも魅力的で効果的だ。いわゆるセレブ愛(日本だとアイドル命の方がわかりやすいか)みたいなものを描いてるんだろうけど、その病気まで取り込みたいってのはやっぱビョーキである。わからんでもないけど。医師役でマルコム・マクダウェルも出ています。

ANTIVIRAL
ブランドン・クローネンバーグ監督。2012年アメリカ映画。

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