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2015年4月28日 (火)

30年ぶりのフリオ/スペイン雑談集 (27)

Julio_i
 フリオ・イグレシアスは1980年ごろに世界中で大ブームとなったスペインのポピュラー歌手。元レアル・マドリードのゴールキーパーで、事故で引退したあと歌手に転向、大成功をおさめるという華々しい経歴を持つ。何回か来日してコンサートも行っており、カセットも何本か持っていたがすっかり聴かなくなって忘れ去っていた。

 しかしスペインの事とかを連載していたら急に聴きたくなって、ベスト盤のCDを入手する。フリオ様の曲は実に30年ぶりの再会である。しかしその間に、息子のエンリケ・イグレシアスの歌を聴いてたりしたので頭の中に独特のイメージが出来上がっていたのだが、いざ実際に耳にしてみると、あれ、こんな曲調だったんだってちょっとびっくりした。思っていたイメージと、かなり、違うのである。

 どう違うかというと難しいのだが、やっぱり30年以上前の楽曲である。全体的アレンジが時代がかっている。これは置いておいても、曲調が思ったよりスペインっぽくないのにはちょっぴりがっかりした。どちらかというと、以前に紹介したオペラのホセ・カレーラスやプリシラ・ドミンゴあたりに作風は近いかもしれない。非常にソフトで耳当たりが良い。しかし、ラテンやフラメンコをたっぷり聴いてきた耳にはちょっと物足りないかな、なんて感じだ。

 一番のヒット曲の「黒い瞳のナタリー」は、ロシア民謡っぽい。当時お気に入りだった「33歳」はボサノバである。その他いろいろ聴いたが、全体的に非常にソフトで耳当たりが良い。いい曲なんだけど逆にスペインが聴きたいなと思ったらずれを感じる。海外の人が、日本のアーティストに和風の旋律を求めるのがわかるような気がした次第である。

karaoke フリオ・イグレシアスのCDはこちら

2015年1月 4日 (日)

ホセ・カレーラスと悲恋のアリア/スペイン雑談集 (18)

ホセ・カレーラス
 三大テノールの一人として知られるホセ・カレーラスは、スペインのバルセロナ出身。芸術の都バルセロナは美術だけでなく音楽関係もさかんで、カレーラスも有名なリセウ音楽院の出身である。実は筆者はそれほどオペラに詳しくはないのだが、カレーラスの名前が最初にばしっと頭に入ったのはスペイン映画「悲恋のアリア」を見てからである。映画のストーリーとかはほとんど覚えてないんだけど、主演だったカレーラスのスケールの大きな歌いっぷりが頭の中に完全に刷り込まれた。

 日本でカレーラスが一般的に知られるようになったのは、90年代に大ブレイクしたおなじみ三大テノールではないだろうか。ちなみに他のメンバーは、ルチアーノ・パヴァロッティ(イタリア・モデナ出身:2007年に逝去)、プラシド・ドミンゴ(スペイン・マドリッド出身)で、見た目がそうであるようにカレーラスはメンバーの中で一番若い。最近、あらためてカレーラスの歌をCDで何枚か聴いたが、オペラからイタリア民謡まで実に幅広いレパートリーでオペラ初心者でも楽しめる内容であった。昨年は、スペインのビルバオで12年ぶりのオペラの舞台に立ったというニュースも流れていた。目が離せない歌手である。

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2014年12月25日 (木)

イエペスと禁じられた遊び/スペイン雑談集 (14)

Yepes
 ナルシソ・イエペスは1927年生まれ、スペインはロルカ出身のクラシックギタリスト。と紹介するより、「禁じられた遊び」を世界的に大ヒットさせたと言った方が通りはいいと思う。この曲はあまりにも有名で、そのおかげでクラシックギターはアルペジオでメロディを奏でるものだと思っている方もいるのには驚いた。

 映画「禁じられた遊び」は1952年に公開されたフランス映画。舞台はスペインの片田舎だとずっと思い込んでいたのだが、最近見て気づいたのはストーリーの運びからするとフランスの片田舎が舞台で、主人公のミシェルという名前もフランスっぽい。当時無名だったイエペスは監督のルネ・クレマンから音楽の依頼を受け、ギター1本でこの映画のBGMを弾ききったというのは有名な話である。正確に数えたわけではないが、劇中には少なくとも4~5曲のギター曲が使われていて、いずれも心に残る名曲である。その演奏はカラっとした明るいタッチが特長で、繊細な日本人のギタリストとは決定的に違う、素朴で純朴で土の香りがする気がする。

 イエペスと言えばもうひとつ有名なのが10弦ギター。通常のギターの弦は6本なのだが、これだと倍音で共鳴する音と共鳴しない音があるのが気持ち悪いと、弾かない4本の弦を追加して作られた。CDを聴くだけでは、個人的には6弦なのか10弦なのかはわからないというのが正直なところだが、こういう部分ってのはハイエンドオーディオやハイレゾオーディオが解決してくれる部分なのだろうか。

 イエペスは日本への来日演奏も何回も繰り返し、1997年に亡くなっている。その演奏を見た友人によると、演奏が盛り上がってくるとあのおでこが徐々に真っ赤になっていくという。フラメンコのトマティートと一緒だな。彼の来日コンサートに行けば良かったというのが、筆者の後悔のひとつ。来日アーティストのチケットは、無理してでも取ったほうがいいと思うのである。

Sag141225
 本日のサグラダ・ファミリア
 2本目のファザードを建築中

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2014年12月17日 (水)

ラテン男エンリケ/スペイン雑談集 (12)

Enrique
 エンリケ・イグレシアスは、名前から想像できるように、あの80年代に一世を風靡したスパニッシュ・ポップスのフリオ・イグレシアスの息子である。実は私がエンリケの存在を知ったのは最近で、ラップのピットブルのアルバムを聴いていた時に、共演者にクレジットされていた「エンリケ・イグレシアス」の名前から。その時は単にラテン・アメリカの歌手だろうと気にもとめていなかったのだが、ラテン男特有にも思える妙に思い入れたっぷりのボーカルにひっかかるものを感じて頭に残っていた。

 そしてひょんなことから、フリオの息子だということを知って点と点がつながった。なるほど、彼のボーカルは親父の歌い方とそっくりである。2世タレントとして見られるのが嫌で、最初は素性を隠して活動していたそうだが、それでも人気が爆発したらしい。活動の中心がアメリカはフロリダということで、英語の曲が多いのだが、国内発売のアルバムには「バイランド」「ヒーロー」などヒット曲のスペイン語版も含まれている。日本でも一時期は人気がありCM出演歴があった上に、「レジェンド・オブ・メキシコ でスペラード」に端役で出演していたことは後で知った。ちょっと目が離せない歌手である。

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2014年12月14日 (日)

トマティート!のフラメンコ/スペイン雑談集 (10)

Tomatito
 トマティートはアンダルシアはアルメリア出身のフラメンコ・ギタリストである。パコ・デ・ルシアの一番弟子…というふうに勝手に思い込んでいたのだが、実は伝説のカンテ(フラメンコのボーカルのこと)のカマロン・デ・ラ・イスラが亡くなるまで20年間組んだギタリストだということを、恥ずかしながら最近知った。そこでトマティートとカマロンの共演作を聴いてみたくなったのだが、残念ながらCDで手に入るものは少ないようである。唯一、フラメンコのベスト盤によく収録されている「時の声」が印象的な名曲となっている。

 トマティートでもうひとつ忘れてはならないのが、ジャズピアニストのミシェル・カミロと共演したその名もずばり「スペイン」。これは私の愛聴盤であり、もうすりきれるほど聴いた(死語?CDとデジタルデータはすり切れないぞ)1枚である。この、ジャズとフラメンコの融合はぞくぞくするほどエキサイティングで感動的で、ピアノとフラメンコギターが激しく会話しているようで、ラテン・グラミー賞をとったというのも「わかる・わかる」という気持ちになってくる名盤である。これまた完売となってるのも悲しいところではあるが。

 トマティートの芸名は、演奏していると顔が真っ赤になっていくことからきているらしい。日本語にすると差し詰め「とまとちゃん」といったところだが、本人はテレビで見る限りはなかなか気さくなノリのおっちゃんである。パコ・デ・ルシア亡きあとのフラメンコ界での、今後の活躍に期待したい。

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2014年12月11日 (木)

カルロス・ヌニェスとゲド戦記/スペイン雑談集 (8)

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 カルロス・ヌニェスという名前は知らなくても、アニメ「ゲド戦記」のバグパイプの演奏と聞けば「あ、あれか」と思い当たるジブリファンの方は多いのではないだろうか。ヌニェスは、スペインはガリシア地方出身のガイタ奏者。ガイタといえばバグパイプの1種なのだが、その独特の哀愁を帯びた音色は万国共通の5感に訴えるものがあるというのか、一度聴いたらとりこになることうけあいである。

 ガリシア地方は、四角いスペインの地図の中で言うと左上の角の部分。あの有名なキリスト教の巡礼地「サンチアゴ・デ・コンポステーラ」がある場所である。山岳地帯に囲まれて古くから陸の孤島に近かったこの地に、ケルト民族が船でたどりついたのが古くからのガリシアの住民のルーツだという。だからアイルランド発祥のケルト文化がこの地に根付いていて、スパニッシュ・ケルトという音楽ジャンルが花開いた。そしてスペイン内戦に続くフランコ時代に禁止・弾圧されてしばらく下火になっていたスパニッシュ・ケルトを、再びメジャーに返り咲かせたのがこのカルロス・ヌニェスというミュージシャンである。

 親日家のヌニェスは来日公演も何回か行っており、東北の被災地を訪問したというニュースも流れている。「ゲド戦記」以外にもスペイン映画「海を飛ぶ夢」のサウンドトラックなど映画とのかかわりも深い。何よりもカルロス・ヌニェスの持つ音楽スタイルとガイタという楽器の発するメロディには、人をひきつけて離さない誘因力が備わっている。スパニッシュ・ケルトには、これからも注目していきたいと思うのである。

(まだまだ…)

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※シリーズタイトルの「スペイン小物集」ですが、大物アーティストにつけるタイトルにしては失礼なのと、大物(ギターなど)も混じってきたので「スペイン雑談集」に改名しました。

2014年11月30日 (日)

古色蒼然…セゴビアのギター/スペイン雑談集 (6)

Segovia
 現代ギターの父と言われるアンドレス・セゴビア。その演奏に「古色蒼然」というイメージがつきまどうのは、戦前にニューヨークやロンドンでレコーディングされたSP盤の音源があまりに有名だからだと思います。筆者もこのレコードを学生の頃に聴いて、最初はそのあまりの古めかしさにものすごい拒絶反応を感じたのですが、何回も聴き直すうちにその自由奔放な演奏に魅せられて、そのうちにすっかりととりこになってしまった過去があったりします。クラシックギターのクラシック(?)の代名詞になっているセゴビアですが、ギターを自分の手足のように弾きこなす演奏は強烈な魅力を感じます。

 セゴビアは1893年スペイン生まれ。ギタリストであり編曲者。それまで単なる民族楽器だったギターをクラシック音楽の楽器として普及させたことで有名です。今では若者にギターというとエレキギターがデフォルトになってしまいましたが、そんなギターの地位もセゴビアの存在がなければなかったかもしれません。セゴビアの演奏盤は現在のところ、クラシックギターのオムニバスを除いてほぼ絶版になっているのですが、再販も期待できる演奏家なので、興味がある方は新作予約メールに登録しておくことをお勧めします。

(つづけるぞ…)

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2014年11月17日 (月)

パコ・デ・ルシアとフラメンコ/スペイン雑談集 (4)

Paco
 フラメンコといえば、「歌(カンテ)」「踊り(バイレ)」「ギター(トケ)」の3つの要素があるとよく言われます。じゃ、その中で何かメインなのかというと、これは「歌(カンテ)」だというのは半ば常識。元々はロマ(スペイン語で「ヒターノ」、いわゆるジプシーのことです)の音楽で、彼らの日常を歌ったのがフラメンコですが、今ではすっかりスペインを代表する音楽になって、重要な観光資源のひとつだというのも事実です。

 そんな中、フラメンコの「ギター」の部分を思いっきりメジャーにしてくれたのがこのパコ・デ・ルシアというギタリスト。筆者が学生の頃は、フラメンコギターを愛好する者にとってはもう神様のような存在で、その神業ともいえる早弾きには魅了されたものです。また、パコはスーパー・ギター・トリオとしてジャズやフュージョンのアーティストとの共演があったり(アル・ディ・メオラ、ジョン・マクラフリン)、カルロス・サウラ監督の映画に出てギターだけでなく演技も見せてくれたりとメディアの露出が多いことも特筆もので、何かと身近に感じることが多い存在でした。

 実はこの2月、突然のパコ・デ・ルシア氏の訃報がメディアで流れます。まだ66歳とのことで、これにはかなり驚かされました。インターネットが発達しているので当日は現地の日本人のブログなどを読みあさったりしましたが、やはりみんなかなりのショックを受けていた様子です。さっそく彼のCDを聴きかえしたりしましたが、そのうねるようなギターの調べには改めて凄いギタリストだったんだということを思い知らされました。

(つづく…つづけたいな)

cd パコ・デ・ルシアのCDはこちら

2014年11月14日 (金)

歌姫 ロシアン・レッド/スペイン雑談集(2)

 スペインの音楽といって思い浮かぶのがまずはフラメンコ。ラテン音楽が続いて(ブラジルを筆頭に南米勢の方が強いですが)あとはクラシックギターに代表されるクラシック音楽。スパニッシュ・ポップスという分野もあるのですが(実際、有線にはチャンネルがあります)、80年代のフリオ・イグレシアスのブーム以来ぱっとしないというのが実情のようです。
Russian_red
 ところが最近、ちょっと注目を集めているのがこの「ロシアン・レッド」というシンガー・ソングライター。名前からしてロシアの歌手かと思いそうなんだけど(「ロシアン・レッド」というステージネームは愛用の口紅の色で、本名はルルデス・エルナンデス)れっきとしたスペイン人。作風はフレンチ・ポップスを思わせるメロディーラインでしかも歌詞は英語。何か無国籍の極みだなぁと最初は思ったんだけど、聴いていると癒やされるという感じで耳について離れなくなって、すっかりはまってしまいました。

 日本では「フエルテベントゥーラより愛をこめて」「エージェント・クーパー」の2枚しかリリースされていないようなんだけど、本国ではさらに何枚か出されているようで、日本版の上記アルバムには輸入盤にはないボーナストラックとしていろいろ入っていたりします。来日もしているようなので、ちょっと目が離せないな、と感じているところだったりします。

(さらに続く…かもしれない)

cd ロシアン・レッドのアルバムはこちらから

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