映画

2012年2月10日 (金)

ヤギと男と男と壁と (2009)

ヤギと男と男と壁と 三流ジャーナリストのボブ(ユアン・マクレガー)は、起死回生を狙ってイラクの戦場取材へと向かう。そこで彼が出会ったのが、自らを超能力者と名乗るリン・キャシディ(ジョージ・クルーニー)。実は彼がかつて所属していたという「新地球軍」は、超能力を使って戦争を終わらせることを研究していたというのだが…

 ジョン・ロンスンの、嘘ともホントとも取れるトンデモ本を原作にした、超能力系ブラックコメディ。しかしオープニングのテロップでは「実話かもしれない」なんて文字が躍る。超能力の有無はともかく、こういった部隊が実際に存在していたと言われたら、アメリカのことだけにそうなのかもしれないという気分にさせられてしまいます。

 くたびれた超能力者を演じるジョージ・クルーニー、ジェフ・ブリッジス、ケヴィン・スペーシーといったくせ者俳優が、怪しさ大爆発で好演。しかし物語が面白いかといえば、思ったほどは盛り上がりに欠け、何やら「マッシュ」の出来損ないみたいに終わってしまったのが残念。最も「マッシュ」も個人的にはあんまし面白かったと言えないので、この手のブラック映画には私が相性が悪いだけなのかもしれないけど。

THE MEN WHO STARE AT GOATS
グラント・ヘスロヴ監督。2009年アメリカ映画。

2012年2月 9日 (木)

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 1 (2010)

ハリー・ポッターと死の秘宝 Part1 ダンブルドア校長(マイケル・ガンボン)亡きあと、闇の帝王ヴォルデモート(レイフ・ファインズ)を倒すために分霊箱のありかを求めてさまようハリー(ダニエル・ラドクリフ)、ハーマイオニー(エマ・ワトソン)、ロン(ルパート・グリント)の3人だったが、死喰い人たちの追跡に誰の助けもなく3人で旅をすることとなり…

 J・K・ローリング原作のハリー・ポッターシリーズの最終章の2部作のパート1。学校(ホグワーツ)はもはや登場せず、成長した登場人物たちを中心に描いたダーク・ファンタジー。主人公たちの成長に合わせて、もう完全にターゲットは大人、しかもダークな内容について行けないとどうしようもないような内容である。

 2部作の1部なのでぷつんと終わるのはお約束なのかもしれないけど、すべての謎がそのまんまなので何と評していいのかわかりません。ハリー、ハーマイオニー、ロンの三角関係は、このストーリーを見る限りまだまだどう転ぶかはわからないです。

HARRY POTTER AND THE DEATHLY HALLOWS PART 1
デヴィッド・イェーツ監督。2010年イギリス=アメリカ合作。

2012年2月 7日 (火)

梟の城 (1999)

梟の城 戦国時代末期、織田信長は伊賀忍者の里を攻めてそのほとんどを根絶やしにする。10年後、生き残った葛籠重蔵(中井貴一)は、豊臣秀吉(マコ)暗殺の密命を受ける。信長亡きあと、その家臣の秀吉に対する仇討ちなど興味がなかった重蔵だったが…

 司馬遼太郎原作の時代小説を、篠田正浩監督がふんだんなCGとSFXを駆使して映画化。公開当時は、なるほど流行のCGはロケの難しい時代劇と相性がいいんだろうなと漠然と思ったのだが、今見ると技術も合成もかなり荒く過渡期の産物だったかなと思わされる出来である。

 ただし役者は鶴田真由、葉月里緒奈、根津甚八、火野正平、中尾敏、岩下志麻などなどそうそうたるメンバーがそろっており、大河ドラマとして見ればなかなか見応えがある大作となっている。ラスト近く、秀吉と重蔵が天下に関して語り合うシーンは、個人的にはかなり印象に残るシーンでありました。

 ところで梟の城ってどの城のことだったんだろう?

篠田正浩監督。1999年日本映画。

2012年2月 6日 (月)

マーティ (1955)

マーティ 肉屋に勤めるマーティ(アーネスト・ボーグナイン)は34歳の独身男。まわりは結婚結婚の大合唱でうるさく、週末は友人とバーでビールを飲むが、女の子を誘おうやめとこうで何とも歯切れが悪い。しかし意を決して行ったダンスホールで、地味な女の子のクララ(ベッツイ・ブレア)と意気投合して家へ誘ったのだったが…

 1955年のアカデミー作品賞、主演男優賞などを受賞。バディ・チャイエフスキー原作のテレビドラマの劇場版らしい。モノクロ・スタンダードのとにかく地味な映画なのだが、アーネスト・ボーグナインの等身大のキャラクターと、彼が好きになるベッツイ・ブレアの雰囲気が最高に良い。

 評判からして癒やし系の映画かなと思って見たんだけど、内容は実はかなり辛辣。一人息子をかかえる母親(エスター・ミンチオッティ)の苦悩とか、嫁姑の問題とか、老人問題とか、おまけに大卒で学校の先生の彼女との格差婚の問題とか、何やかやといろんな問題がこれでもかと詰め込まれていて、なるほどなと途中からは妙に納得させられた。

 それでも主人公の二人を応援したくなるのが、映画のマジックかも。ちなみにボーグナインは醜男と言われているようだが、かなり味のあるいい顔だと思う。ベッツイ・ブレアは単に色気がないだけで、これもとっても魅力的な女性に思えるのだが…

MARTY
デルバート・マン監督。1955年アメリカ映画。

2012年2月 4日 (土)

タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密 (2011)

タンタンの冒険 ジャーナリストの少年タンタン(ジェイミー・ベル)は、市場で美しい帆船模型を手に入れる。実はこれは宝の地図が隠されたアイテムだったのだが、そうとは知らないタンタンは正体不明の悪者サッカリン(ダニエル・クレイグ)に拉致されてしまう。愛犬スノーウィに助けられ、帆船ユニコーン号の船長の末裔だというハドック(アンディ・サーキス)に出会ったタンタンは、謎解きの旅に出るのだったが。

 エルジェのコミック「タンタンの冒険」を、スピルバーグ監督で3Dのモーションキャプチャー・アニメとして映画化。筆者の長男がこの原作にはまっていた時期があるらしく、一緒に鑑賞するとかなり作品に関して熱く語ってくれた。原作を知っている者でもなかなか好印象な作りになっているそうだ。

 物語はといえば、同じくスピルバーグのインディ・ジョーンズシリーズの主人公を少年に変えたような感じで、世界を股にかけて跳んだりはねたりの活劇はひさびさにスピルバーグ健在と思わされる内容。原作コミックの接点からかモーションピクチャー・アニメとなっているけど、この内容だったら実写版で作ってくれた方が良かったかな、というのが正直な感想。原作のタンタンのイラストと映画の顔ともずいぶんと違うんだから、これは実写でもOKでは。

 さらっと流れて後に残らない映画だけど、笑えるツボは結構多くて満足感も高い。見るなら3Dがおすすめかな。

THE ADVENTURES OF TINTIN : THE SECRET OF THE UNICORN
スティーヴン・スピルバーグ監督。2011年アメリカ映画。

2012年2月 3日 (金)

ハリウッド的殺人事件 (2003)

ハリウッド的殺人事件 ロサンゼルス市警殺人課の刑事ギャヴィランン(ハリソン・フォード)は副業で不動産売買を行っているが資金繰りに困っている。コンビのコールデン(ジョシュ・ハートネット)は副業にヨガのインストラクターをやりながら、ハリウッドの俳優でひと山当てることをもくろんでいる。そんな彼らの前に、ライブハウスでの乱射事件が発生してラッパーが射殺される。事件の捜査をはじめる二人だったが…

 「~殺人事件」というタイトルから、名探偵ものを想像したらこれは大外れ。いきなりクラブでサブマシンガンを乱射してというのが、どうやらハリウッド的殺人事件というわけのようだ。ストーリーはあってないがごとくで、ひたすら主人公二人の生き方やら交友関係やら女性関係やら人生観やらいろんなものがごちゃまぜに語られる。これがまたタルい(笑)。

 さすがにハリソン・フォードでアクション映画となると、しんどいものがあるのかもしれない。占い師のレナ・オリンとか、映画プロデューサーのマーティン・ランドーとか、まわりをかためる連中はなかなか癖があって面白かっただけに惜しい。ロバート・ワグナーも出てたらしいんだけど、どこに出てたんだろ…?

HOLLYWOOD HOMICIDE
ロン・シェルトン監督。2003年アメリカ映画。

2012年1月28日 (土)

アデル ファラオと復活の秘薬 (2010)

アデル ファラオと復活の秘薬 20世紀初頭のフランス、女性ジャーナリストで冒険家のアデル(ルイーズ・ブルゴワン)は復活の秘薬を求めてエジプトへ。同じ頃、パリでは博物館から翼竜プテロダクティルスが復活して大空を飛び回っていた。実はアデルは瀕死の妹アガット(ロール・ドゥ・クレルモン・トネール)を救うためにファラオの医者のミイラを復活させようとしていたのだったが…

 タルディのコミックの、リュック・ベッソンによる映画化。雰囲気は、最近見たスピルバーグの映画「タンタンの冒険」にそっくり。いずれもヨーロッパのコミックが原作のせいか、笑いの質が似ているんだろうね。面白いかといえば非常に微妙なところで、あまり笑えないんだけどヒロインの冒険譚と物語全体にただよう馬鹿騒ぎはジャンキーなタイプのフランス映画っぽくて悪くないなってところ。

 しかし…ベッソンもスピルバーグもそうなんだけど、かつてのパワーはなくなったんじゃないかな。

LES AVENTURES EXTRAORDINARIES D'ADELE BLANC-SEC
リュック・ベッソン監督。2010年フランス映画。

2012年1月27日 (金)

ザ・エッグ ロマノフの秘宝を狙え (2009)

ザ・エッグ 銀行強盗のガブリエル(アントニオ・バンデラス)は伝説の大泥棒リプリー(モーガン・フリーマン)に相棒になるように持ちかけられる。狙った獲物は、ロマノフ王朝の秘宝「ザ・エッグ」。ところが秘宝は難攻不落のハイテク要塞の金庫の中にあり…

 モーガン・フリーマンとアントニオ・バンデラスという、超濃い二人がコンビを組んだクライムサスペンス。いきなりリプリーの暗殺シーンからはじまり、おおっと思ったら物語は2転、3転という泥棒ものにお約束の展開。あ、あまり書いたら鑑賞のじゃまになるからやめときましょう、といった感じの映画です。お色気パートを受け持つラダ・ミッチェルの、微妙なふけ具合がとってもセクシーだと思います(笑)。

 やっぱ予備知識なしで見たのが正解だったかな。金庫のからくりを、ひとつひとつ破っていくあたりは爽快感あり。イースターエッグといえば、以前007でも扱われてたのが印象に残ってます。

THE CODE
ミミ・レダー監督。2009年アメリカ=ドイツ合作。

2012年1月26日 (木)

天国の大罪 (1992)

天国の大罪 女性検事の遼子(吉永小百合)と刑事の田辺(松方弘樹)は不倫の関係。かたやチャイニーズマフィアの葵(オマー・シャリフ)のからむ殺人事件にかかわっていたのだが、妊娠していながら堕胎を強いられた遼子は、田辺と別れて暮らしていくことを選び検事もやめる。2年後、子供を救ってくれた葵と遼子は同棲生活をおくっていのたのだったが…

 冒頭いきなりの吉永と松方のベッドシーンに、これは絶対やくざと情婦の関係だと思ったら、実は検事と刑事の不倫だったというオチ(笑)に唖然。そこはおいといても、いきなり登場の名優オマー・シャリフがこの吉永小百合と家族になっちゃって日本家屋で家族を営むという展開にもびっくり。あの「アラビアのロレンス」や「ドクトル・ジバゴ」のオマー・シャリフがですぞ。さすがバブル期に作られた映画だけあって、凄いとしか言いようがない。

 しかしストーリーといい雰囲気といい、映画の内容は東映三角マークのアクション以上でも以下でもない。これはある意味語り継がれるべきトンデモ映画だったのではないかと思えてしまった。

舛田利雄監督。1992年日本映画。

2012年1月24日 (火)

食べて、祈って、恋をして (2010)

食べて、祈って、恋をして バリ島で出会ったおじさんの予言どおり、夫(ビリー・クラダップ)と急に離婚して自分探しの旅に出かけることにしたジャーナリストのリズ(ジュリア・ロバーツ)。イタリアへ渡りひたすら美味しいものを食べまくる生活をしたり、インドでひたすら瞑想する生活に興じたりするのだが…

 エリザベス・ギルバートの同名ベストセラー小説を映画化。バリ男(笑)の進言に、いきなり離婚を決意してしまう主人公に「えっ」って感じだったんだけど、配偶者があるところからのスタートと、その配偶者がそんなに悪い人でない(あとでちょっと馬脚を現すシーンはあるが)ってのがなんか煮え切らずにくすぶりながら見てしまう。

 深く悩んでいるはずなんだけど、生活の心配はなく他人の心配もせず、ただただ自分の納得を追い求めていくあたりがある意味アメリカを象徴しているのかなぁなんて考えながら鑑賞。本質的な悩みを置いておけば、イタリアでうまいものを食べてインドで瞑想しまくって、ちょっぴりうらやましい生活に見えるってのは確か。

 いやいや、妥協せずに上を求める女性ってのはこういうものかと思ったり、こういう女性には本音としてはかかわりたくないと思ったりといろいろぐるぐる考えているうちに映画は終わってしまいました。彼女がバリ島で得た結論ってのは、本当に最後の結論だったのかな?

EAT PRAY LOVE
ライアン・マーフィ監督。2010年アメリカ映画。

2012年1月23日 (月)

オーケストラ! (2009)

オーケストラ! かつてはロシアのボリショイ交響楽団の天才指揮者だったアンドレイ・フィリポフ(アレクセイ・グシュホフ)だったが、ユダヤ人排除の折に国家に逆らったがために、今は雑用係に。ところがパリから届いた公演依頼のファクスを不法に手に入れたアンドレイは、かつての仲間を集めて公演依頼をジャックし、勝手にボリショイを名乗ってパリへ乗り込むことを画策する。人気ソリストのアンヌ・マリー・ジャケ(メラニー・ロラン)との共演を要求し、パリではエージェントに好き放題を持ちかけるアンドレイだったが…

 没落オーケストラの再生を描いた、なかなか感動的な物語。そこにソリストのアンヌとのドラマを持ち込んだり(これが後半の見せ場)、好き勝手な楽団員をユーモラスに描いたり、パリを旅行中にボリショフが乗っ取られたことを知りあたふたと駆け回るオーナーとか時にコミカルに、時にシリアスにと緩急自在に愉しませてくれる。そして最後の演奏会は…

 本番即練習というぶっつけでありながら、尻上がりに調子を取り戻していくあたりがああいうふうにドラマとからんでくるなんて、本当に驚かされました。

 マリー・ジャケを演じるメラニー・ロランは本当に綺麗な女優さんですね。懐かしいミュウ・ミュウも出ています。

LE CONCERT
ラデュ・ミヘイレアニュ監督。2009年フランス映画。

2012年1月19日 (木)

パンドラム (2009)

パンドラム 2174年、爆発的な人口増加で人類は絶滅の危機に。そこで、移住先の新惑星タニスへ向かって、人類や動植物を大量に積み込んだ巨大宇宙船が出航する。その宇宙船で冷凍睡眠から目覚めたペイトン(デニス・クエイド)とバウアー(ベン・フォスター)は状況が一変しているのを知る。宇宙船の動力が失われ、しかも船内は野獣のような生き物が大量発生している。原子炉を再起動するために、バウアーは船の中心部を目指すのだったが…

 ポール・W・S・アンダーソンの製作によるSFサバイバル・アクション。壮大なストーリーであるはずなんだけど、最初にちらっと宇宙船の外観が見られただけで、あとは闇の中。そのせいかずいぶんとこじんまりとしたスケール感の乏しさが感じられるのは悲しいところである。

 パンドラムとは何かとか、宇宙船はタニスへ向かっているのか、それとも「○の惑星」みたいに宇宙船は地球に戻っちゃってるんじゃないかとかいろんなことを考えさせられたんだけど、比較的正攻法な結末に、納得はさせられました。

 結局、ナンだかんだとお膳立てはあるんだけど、物語のほとんどは閉鎖空間で進むダンジョンバトルだというのが、乗り切れなかった敗因かも。ラストが悪くないだけに、とっても惜しいです。紅一点の、アンチュ・トラウェとか、癖のあるカン・リーとか、途中で登場する人物はキャラが立っていて印象に残りました。

PANDORUM
クリスティアン・アルヴァルト監督。2009年アメリカ=ドイツ合作。

2012年1月15日 (日)

怪盗グルーの月泥棒 (2010)

怪盗グルーの月泥棒 自称大泥棒のグルー(声:スティーヴ・カレル)だが、ライバルのベクター(ジェイソン・シーゲル)がギザのピラミッドを盗んだことがニュースになり、それよりも大きな物を盗むぞとグルーが目をつけたのが夜空に浮かぶ月。これを盗むためには何でも小さくする光線銃が必要なのだが、これまたベクターに奪われてしまう。奪還作戦を考えるグルーの目に飛び込んできたのは、養護施設に住む3姉妹のマーゴ(ミランダ・コスグローヴ)、イディス(ダナ・ガイアー)、アグネス(エルシー・フィッシャー)だったのだが…

 「月を盗む」という絵本の世界のような物語を、3DのCGアニメでアトラクション的に映像化した作品。本来はお子様向けの内容のはずなんだけど、泥棒合戦がテーマなだけに親の目線からしたら、子供に見せるのはどうかなぁと思いはする。考えすぎなのかもしれないけど。

 冷酷非情なはずのグルーが、養女にした3姉妹にほだされて…という「ペーパームーン」みたいなストーリーは新味はないんだけど、細かい部分のキャラクターが妙に立っていて最後まで飽きさせずに見せてくれます。グルーのまわりにたむろするミニオンという生き物(バナナで作られたらしい)が出色。トイ・ストーリーにもこんな宇宙人が出てたけど、こちらも負けず劣らず可愛い。仇役のベクターの憎々しさもなかなかのものだし、グルーの乗り物やメカがなんともすっとぼけているのもご愛敬である。

DESPICABLE ME
クリス・ルノー、ピアー・コフィン監督。2010年アメリカ映画。

2012年1月 4日 (水)

おっぱいバレー (2008)

Vpxt71079 70年代の北九州の中学校に、新任教師の寺嶋美香子(綾瀬はるか)がやって来る。彼女がまかされたのは、まったく練習する気がない男子バレーボール部。ところがそのダメ部員と、ひょんなことから大会で1勝でもしたらおっぱいを見せるという約束をしてしまう美香子だったのだが…

 タイトルがすべてを物語る性春スポコンドラマ。しかし綾瀬はるか主演というだけありさわやか系にまとめてあり、映画はエッチな笑いと70年代のヒット曲にまみれていてとっても健全である。オープニングの時速80キロで走るエピソードなんて、限りないバカでこの先どうなるんだろうかと心配させられたけど、そこは軌道修正がしっかりされていて、特に美香子先生と恩師のエピソードにはほろりとさせられ、仲村トオルはいいところをさらっていき、さわやかなラストになだれこみ…非常にまとまりのいい映画である。

 しかし…何か居心地の悪さを感じるのは何でだろう。たぶん、自分たちの中学時代とあまりに違うからかも。こんな爽やかな青春時代を過ごしてなかったんだろな。違和感なのか、うらやましさなのかはわかりませんが。

羽住英一郎監督。2008年日本映画。

2011年12月23日 (金)

プラクティカル・マジック (1998)

プラクティカル・マジック サリー(サンドラ・ブロック)とジリアン(ニコール・キッドマン)はタイプは違うが美しい姉妹。ところが彼女の一族と結婚した男性は早死にしてしまうというジンクスを持つ、魔女の一族だった。サリーの夫は早死にし、そしてジリアンは恋人のジミー(ゴーラン・ビスンジック)と飛び出して行ったのだが彼はとんでもない暴力男だった…

 魔女をテーマにしたラブコメもの。どうしようもないほど似てないサンドラとニコールが姉妹というのがポイントだが、この取り合わせで巻き込まれる騒動ってのがなぜか二人のキャラにぴったりで、特にジミーがああなってからは引き込まれるかのように最後まで見てしまった。10年以上前の映画なのでコメントするのもナンだが、この頃のニコールはお人形さんのように美しく、サンドラも健康的でいい。

 彼女たちの叔母のダイアン・ウィーストとストッカード・チャニングが、いかにも魔女って雰囲気を醸し出していているのもいい。刑事ゲーリー(アイダン・クイン)との化かし合いも味があるけど、ラストはちょっと強引だったかも。

PRACTICAL MAGIC グリフィン・ダン監督。1998年アメリカ映画。

2011年12月20日 (火)

メッセンジャー (1999)

メッセンジャー イタリアブランドの代理店でプレスを勤める清水尚実(飯島直子)は、衣食住すべて会社支給のブランド品で過ごすバブリーなOL。ところがイタリアのブランド会社が倒産して、マンションから車・持ち物まで差し押さえられ無一文でほうり出させる。あげくに自転車便の若者横田(矢部浩之)を車でぶつけたことから、彼のかわりに仲間の鈴木(草なぎ剛)、由美子(京野ことみ)、警察を退職した島野(加山雄三)らと自転車便をはじめることになるのだが…

 すべてがぽんぽんとテンポ良く進んでいく、ホイチョイ・ムービー第4弾。こういったトレンディドラマ風映画は当たり外れが激しいのだが、これは軽いラブコメのスタイルを取りながら不思議な爽快感があり安心して見ていられる。今時珍しいタカビー女が改心するストーリーなんてどうなんだろうって思うし、飯島直子もメッセンジャー姿が似合っているとも思えず微妙なところだけど、がんばってるなっていう気合いが感じられる。

 脇をかためている加山雄三がいい味を出している。さらにいいところをさらって行くのが、監査部に勤めるという太田こと小木茂光。ひょっとしてすべての事件は彼の手のひらの中でころころって転がされてたんじゃないか、なんて気がしてきます。

馬場康夫監督。1999年日本映画。

2011年12月18日 (日)

漂流死体 (1959)

漂流死体 横浜の新聞記者の永瀬(三國連太郎)は、アメリカ兵のロバーツが行方不明になったという情報を得る。神奈川県警では刑事の佐々木(河野秋武)、上村(須藤健)、原(菅沼正) たちが捜査に当たるが、やがて佐々木刑事は殺害され、ロバーツの漂流死体も発見される。大がかりな密輸組織がからんでいるとふんだ永瀬は、事件に関与したとみられる女性エミ(小宮光江)をマークするのだったが…

 今となっては猟奇的なタイトルに思えるが、密輸組織との対決をハードボイルドタッチで描いた推理ドラマ。モノクロの上に、戦後を色濃く感じさせる時代設定、横浜というロケーションなどなど、新鮮な感覚で楽しむことができる。若き日の三國連太郎は現在の佐藤浩市にそっくり。エミをめぐるエピソードも救いようのない話ではあるが、かなり余韻が残る。

 ビデオ化、DVD化はされていないようだが、スカパーの東映チャンネルにて鑑賞。こういった埋もれた映画で見応えあるものって結構あるんだろうね。

関川秀雄監督。1959年日本映画。

2011年12月15日 (木)

カティンの森 (2007)

カティンの森 第2次大戦直前のポーランド。ドイツとソ連の両国に侵略されたワルシャワで15000人のポーランド人将校が行方不明になる。アンナ(マヤ・オスタシェフスカ)は消息がわからない夫のアンジェイ(アルトゥル・ジミイェフスキ)を必死になって探すのだったが…

 ソ連にポーランド将校が虐殺された「カティンの森事件」を、社会派のアンジェイ・ワイダ監督によって映画化。長らくタブーとされてきた事件であり、我々日本人にはなじみのない出来事だけにいろいろと考えをめぐらせながらストーリーを追ったが、残念ながら淡々とした語り口は抑揚がなく後半はかなり退屈だったのも事実。こういう映画に娯楽性を求めても仕方ないのかもしれませんが。

 何も知らない日本人は、虐殺=ナチスと考えてしまいがち。この映画にあるような真実にも、目を向けないといけませんね。

アンジェイ・ワイダ監督。2007年ポーランド映画。

2011年12月11日 (日)

緋牡丹博徒 お命戴きます (1971)

緋牡丹博徒 お命戴きます
 上州は伊香保を旅するお竜(藤純子)は、いかさま賭博に巻き込まれる。実はこの土地では軍の精錬所が汚水をたれ流し、地元の百姓たちは農作物ができずに地獄の苦しみを味わっていた。ひと肌脱いだ地元の親分の菊太郎(鶴田浩二)に共感するお竜さんだったが…

 シリーズ第7作。公害問題・環境破壊を扱った今でも十分通用しそうなテーマ。設定をちょっと変えれば社会派の映画でも作れそうだが、そこに若山富三郎とか内田朝雄とかひとくせもふたくせもありそうな俳優を大挙投入して娯楽大作に仕上げてしまうのがやっぱり東映流なのであろう。お竜さんは相変わらず綺麗で、戦うヒロインの先駆けとも言えるだろう。

加藤泰監督。1971年日本映画。

2011年12月 6日 (火)

カーズ2 (2011)

カーズ2 イタリア車の挑発に乗り、ワールド・グランプリに出場することになったマックィーン(声:オーウェン・ウィルソン)。友人のメーター(ラリー・ザ・ケイブル・ガイ)、サリー(ボニー・ハント)を連れグランプリ第1戦の東京に乗り込んだマックィーンだったが、彼らはアメリカのスパイと誤解されて陰謀に巻き込まれることになり…

 擬人化された車たちが主人公のディズニー(ピクサー)アニメ「カーズ」の続編。比較的単純なレース映画だった前作とは打って変わり、東京・イタリア・イギリスと点線するF1GPみたいな内容に、さらに欲張ってスパイアクションを盛り込んだという内容。3D効果も加わって、世界旅行の臨場感抜群なんだけど、ストーリーがとっちらかってまとまりがなくなって、感情移入しにくかったのが痛いところ。思えば単純なスポ根ものだった前作は、スケール感も手頃で良かったです。

 ただし、いきなり始まった東京のシーンはなかなか面白かった。車の相撲取りには爆笑。Perfumeの曲は日本版だけでなく、ワールドワイドで使用されたというのはさすが。CG映画の日本語版は、文字部分はすべて日本語に差し替えられてるのは最近の風潮かな。個人的には、かなりの違和感があるんですが… 声優として、他にマイケル・ケイン、ジョン・タートゥーロ、フランコ・ネロ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ブルース・キャンベルが出てます。

CARS 2
ジョン・ラセター、ブラッド・ルイス監督。2011年アメリカ映画。

2011年12月 5日 (月)

ウッドストック 愛と平和と音楽の三日間 (1970)

ウッドストック 1969年にウッドストックの農場で行われたロック(フォーク?)の祭典を記録した音楽ドキュメンタリー。出演者はザ・フー、ジョーン・バエズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョップリン、テン・イヤーズ・アフター、そしてサンタナといったそうそうたる面々。

 40万人が集まったと言われる農場は「被災地」と呼ばれ、すべての機能が麻痺してみんな野宿をして炊き出しが行われたというが、その様子をつぶさにドキュメント。ベトナムの泥沼を背景に、当時のヒッピーたちが集まり、愛と平和を唱えて、数回の雷雨に泥まみれになりながら…とカメラは容赦なく舞台裏を記録。もちろんその前で繰り広げられるライブの様子も見応えたっぷり。映画らしいマルチスクリーンの多用で、この歴史的イベントを最初から最後まで見せてくれる。

 初見なんだけど、これって音楽好きな方にとっては定番のフィルムなんだろうね。監督やカメラマンたちも、泥まみれになりながら撮影を続けたんだろうか。編集にマーチン・スコシージの名前があります。

マイケル・ウォドレー監督。1970年アメリカ映画。

2011年11月30日 (水)

緋牡丹博徒 鉄火場列伝 (1969)

緋牡丹博徒 鉄火場列伝 服役していた子分を連れ戻しに行った、九州の侠客の緋牡丹のお竜(藤純子)。ところが旅の途中の徳島で子分は絶命してしまい、世話になった小作人たちが地元の親分に苦しめられていることを知る。元侠客の江口(待田京介)、子連れの旅人仏壇三次(鶴田浩二)らと共に事態を見守るお竜だったが…

 人気プログラムピクチャーの第5作。たぶんこのシリーズって初めて見るような気がするのだが、ストーリーはあまり複雑ではないので途中からでもすんなりと見ることができた。昨今の社会情勢からしても、こういう映画は結構肩身が狭いんじゃないかと想像するけどとにかく重厚に作られた娯楽編で、見せ場もいっぱいあってなかなか楽しませてもらった。

 全盛期の冨純子が美しくまたかっこいいのが印象的。いかにもといった勧善懲悪(勧悪懲悪?)のストーリーで、筋を通すという部分に関しては深い。脇をかためる、鶴田浩二、若山富三郎、丹波哲郎もいい。女性が主人公というのも、今風である。ひとつだけ残念なのは、冨純子が緋牡丹の入墨を見せて担架をきるのかと思ってたらそれがなかったこと。これはひょっとして初期の作品だけのお約束だったのかな?

山下耕作監督。1969年日本映画。

2011年11月26日 (土)

桜田門外ノ変 (2010)

桜田門外ノ変 幕末のペリーが黒船で来航した頃の日本。開国を迫る諸外国の圧力に、朝廷の命も受けずに開国を進めた井伊直弼(伊武雅刀)。彼らの弾圧を受ける水戸藩の関鉄之介(大沢たかお)をはじめとする有志たちは、井伊の暗殺を企てるのだったが…

 有名な桜田門外の変を、オールスターキャストで映画化した東映大型時代劇。原作は筆者が学生の頃に傾倒した吉村昭。吉村作品であるというだけで、この関という人物像とか、家内(長谷川京子)や妾(中村ゆり)とのドラマとか、暗殺隊のメンバー(柄本明、生瀬勝久他)のドラマなど、本当にそうだったんじゃないかという気分にさせられる。何せ、史実を徹底的に調べ上げる吉村作品である。

 というわけで、雪の襲撃シーンも、記録ではこんなふうに雪が降り積もっていたんじゃないかと想像させられる。意外と冗長な籠の襲撃と串刺しのシーンも、こんな感じにだらだらと戦ったんじゃないかと思わされる。裏付けがあるというのは不思議なもんで、結構偏った目線で映画を見てしまうもんだと自分ながらに思う。

 それにしても、悲惨な顛末がその後はえんえんと語られる。暗殺が世の中を変えるというのは、理由はともあれやっぱり正しくないのである。

佐藤純彌監督。2010年日本映画。

2011年11月22日 (火)

アーサーと魔王マルタザールの逆襲 (2009)

アーサーと魔王マルタザールの逆襲 前作から10回目の満月がやって来て、アーサー(フレディ・ハイモア)は再度ミニモイの国を訪れるのを楽しみにしているのだが、両親(ロバート・スタントン、ベニー・バルフォー)はその前日に町へ帰ろうと言い出す。失意の中でおばあちゃん(ミア・ファロー)の家を後にしたアーサーだったが、蜘蛛が届けた「HELP」というメッセージが気になって無理矢理おばあちゃんの家へ戻ったのだったが…

 アーサーとミニモイのセレニア姫(声:セレナ・ゴメス)のアドベンチャーを描いたファンタジー映画第2弾。今回はアーサーがミニモイの国を訪れるまでのエピソードが妙に長くて、こりゃ物語はちゃんと終わるんかと心配になってきた。そしたら、ミニモイの国に入ってからも、セレニア姫の登場までどれだけ引っ張るんだと思ってたら…そうなのか、これは3部作の第2作だったってのを、エンドクレジットが出て初めて気がついた。

 なんか、単独で語るには苦しい第2作だぞ、これ。完全に話は途中でほったらかしのまま。お話のバランスも、第3作とくっついてちょうどよくなるという感じで、我慢を強いられただけで終わってしまったってところ。ところで、資金不足やら何やらで、政策中止になるなんてことはないでしょうね。

ARTHUR AND THE REVENGE OF MALTAZARD
リュック・ベッソン監督。2009年フランス映画。

2011年11月21日 (月)

アーサーのミニモイの不思議な国 (2006)

アーサーとミニモイの不思議な国 コネチカットに祖母(ミア・ファロー)と一緒に住む少年アーサー(フレディ・ハイモア)。両親(ダグ・ランド、ベニー・バルフォー)とは離ればなれで、大好きな祖父も行方不明な上に、祖母の家は借金の抵当になり追い出されかけている。かくしてアーサーは、祖父が隠したルビーを探して身長2mmのミニモイの国を旅する決意をするのだったが…

 リュック・ベッソン監督によるファンタジー映画の第1作。前半は実写だが、アーサーが小人の国へ行ってからは画面はCGアニメとなる。以降はまるでミクロキッズのような世界で、アーサーは女王セレニア(声:マドンナ)と共に魔王マルタザール(デヴィッド・ボウイ)と戦うことになる。

 3部作の第1作ということだけど、このパート1は話も独立しておりこれだけで楽しむことができる。声優陣も豪華で、ロバート・デ・ニーロやハーヴェイ・カイテル、エミリオ・エステヴェスも出ているらしい。誰かわからなかったけど(笑)。登場人物としては、ミア・ファローのおばあちゃんがなかなか魅力的。どうしておばあちゃん?って感じだったんだけど、実年齢からしたら確かにアーサーのおばあちゃんであってもおかしくない。

 キャラクターはセレニア姫をはじめとして魅力的だったんだけど、惜しいのはストーリーの平板さ。原住民みたいなのが出てきたり、顕微鏡をくぐってあっちの世界へ行ったりと絵本の中の物語みたいに魅力的なんだけど、映画と言うにはストーリーでもうひとひねりしてほしかったところ。アーサー王伝説が根底にあるんだろうけど、剣(エクスカリバー?)を引き抜く以降には何もひねりがないぞ。まぁそのあたりは、10の満月を待って続編に期待することにいたしましょう。

ARTHUR ET LES MINIMOYS
リュック・ベッソン監督。2006年フランス映画。

2011年11月17日 (木)

火天の城 (2010)

火天の城 宮大工の岡部又右衛門(西田敏行)は、織田信長(椎名桔平)の気まぐれからか安土城の築城を依頼される。その構想は、当時最大の7層の天守閣と中央に吹き抜けがあるという壮大なものだった。岡部は妻の田鶴(大竹しのぶ)と娘の凜(福田沙紀)に支えられて建築の準備を進めるのだったが…

 山本兼一の原作を映画化。幻の城である安土城の誕生秘話を描いた物語。当時の匠であったろう岡部と、風雲児信長がいい感じでからんで大変面白いストーリー展開となっている。彼を支える妻(大竹しのぶが好演)とか、宮大工たちの人間模様が良い。木曽に屋台骨となる杉の木をもらいに行くエピソードも見応えがある。蛇石が暴れるエピソードは、後半の見せ場だったんだろうけど思ったよりも唐突で軽く感じた。

 この映画は、歴史は切り口を変えて見ると面白いという好例だったと思う。築城3年で焼失したとされる安土城だけど、史実をぐちゃっと曲げることで有名な東映大型時代劇だけに、もっと奇想天外なラストを期待してしまったかな。

田中光敏監督。2010年日本映画。

2011年11月16日 (水)

英国王のスピーチ (2010)

英国王のスピーチ 第2次世界大戦前のイギリス。英国王ジョージ5世(マイケル・ガンボン)の次男ジョージ6世(コリン・ファース)は、吃音に悩み人前でスピーチができない。何人もの医者に相談したがよくならず、夫人エリザベス(ヘレナ・ボナム・カーター)が見つけてきたライオネル(ジェフリー・ラッシュ)という男に身分を隠して治療を頼もうとするのだが…

 最も内気な英国王と言われたジョージ6世が、吃音を克服する様子を描いた物語で、アカデミー作品賞・主演男優賞・監督賞・脚本賞の受賞作品。タイトルからしてミニシアター系の映画を想像したんだけど、ストーリーが面白く、キャラクターが素晴らしく、あっという間の2時間であった。

 それにしても、英国王室のフレンドリーさはなかなかのもので、国民との距離がぐっと近いのが感じられる。吃音に悩んで、それを密かに克服しようとするジョージ6世、彼を毅然とした態度で人間として支えようとしたライオネルが時にかっこよく、時に等身大に描かれていて、見ていて本当に元気の出る映画である。

 エリザベス役のヘレナ・ボナム・カーターも久しぶりに正統派の役柄でほっとした。ティム・バートンにいじられまくった彼女も大好きなのだが、やっぱ本来は正統派の女優さんなんだと再認識させられた。

 スピーチの克服というすごく地味なテーマが、やがて国全体を勇気づけていくというあたりが説得力たっぷりに描かれる。優れた映画のネタなんて、どこに転がっているかわからないと感じさせられた。歴史もまだまだ切り口を変えて見たら、面白い物語が作れるものですね。

THE KING'S SPEECH
トム・フーパー監督。2010年イギリス=オーストラリア合作。

2011年11月14日 (月)

阪急電車 片道15分の奇跡 (2011)

阪急電車 阪急今津線に乗る人々を描いたオムニバスドラマ。婚約中の恋人を寝取られた翔子(中谷美紀)は当てつけにその結婚式に純白のドレスで挑む。同じ頃、彼氏(小柳友)の暴力に悩むミサ(戸田恵梨香)や、マナーの欠如したオバタリアン軍団の中で気をもむ主婦康江(南果歩)、地方から出てきて大学になじめない美帆(谷村美月)と圭一(勝地涼)、そして孫の亜美(芦田愛菜)を連れた時江(宮本信子)らが車内にいた…

 かつて阪急神戸線で通勤・通学をしていたことがあったので、大変懐かしい気分で見ることができた。神戸線だともっとツボにはまったのかもしれないけど、こちらは特急や急行が幅をきかせている路線だけに、普通電車が中心の今津線が選ばれたのだろう。住んでる方にとっては、かなりうれしい映画だろうと思う。

 ストーリーはいわゆる群像ドラマで、オープニングで10人ぐらい登場人物を紹介するあたりで記憶力の悪い私は「だめだ」と思ったけど、みんな再登場する時にいろいろと身辺の説明をしてくれるのでそれほど混乱することはなかった。扱っているのは男女の別れだったり、大学になじめない学生だったり、いじめられている小学生だったりと深刻なものなんだけど、それぞれにほのぼのとした結末が用意された癒やし系の映画である。路線に合わせて「往路」「復路」でストーリーが進んでいく内容も面白い。

 こういうのは青年誌のコミックが原作ってのが多いんだけど、有川浩の小説が原作。疲れた時に見ると、きっとほっとさせられると思う。

三宅喜重監督。2011年日本映画。

2011年11月 7日 (月)

ダブル・ミッション (2010)

ダブル・ミッション 中国から出向中のCIAエージェントのボブ(ジャッキー・チェン)は隣家の美女ジリアン(アンバー・ヴァレッタ)と恋愛中。ところがその結婚を阻むのは、彼女の連れ子の3人(マデリン・キャロル、ウィル・シャドリー、アリーナ・フォーリー)だった。子供たちと打ち解けようとするボブだったが、子供の一人がボブのパソコンからロシアの極秘ファイルをダウンロードしてしまい…

 ジャッキー・チェン主演のキッズコメディ。アクション映画のスターがたどる道にキッズコメディというのがあるけど(そのほとんどが成功していない)、ジャッキーの場合はこれを60に近くなってやってしまったという感じ。しかも、ダサくしたジャッキーは本当にダサい親父でしかなく、それで突然秘めていたアクションの立ち回りを演じても、やっぱりダサさが払拭できなかったという感じ。うーん、企画に無理があったのかな。

 オープニングでジャッキーが若い頃のアクションシーンのダイジェストがあったり、ラストにお約束のNGシーンが用意されてたりと、ファンにとってはツボを押さえた演出ではありました。同じような役柄でありながら、成功していた「ベスト・キッド」とは対照的かな。

THE SPY NEXT DOOR
ブライアン・レヴァント監督。2010年アメリカ映画。

2011年11月 5日 (土)

アイ・スパイ (2002)

アイ・スパイ アメリカのステルス戦闘機が強奪され、ハンガリーのブダペストで犯罪組織のガンダース(マルコム・マクダウェル)によって競売にかけられるという情報が入る。シークレット・エージェントのアレックス(オーウェン・ウィルソン)は顔が売れてないからという理由で、民間人でボクシング・チャンピオンのケリー(エディ・マーフィ)と共にこの奪還作戦にブダペスト入りしたのだったが…

 エディ・マーフィとオーウェン・ウィルソンが凸凹コンビとして主演するコメディーアクション。原作はテレビシリーズらしい。しかし舞台がハンガリーのブダペストに移ると聞いたとたん、一抹の不安が… その不安は的中して、ぐだぐだとした盛り上がらない展開とギャグ、軽すぎるノリに始終しているうちに映画は終わってしまった。ブダペストが舞台のアクション映画はB級になってしまうのはなぜだ? ロケ費が安い?

 ヒロインとして出ているファムケ・ヤンセンが、適度に色っぽくていい役どころだったかな。マルコム・マクダウェルが出てるのに、後半の雰囲気が締まらないのはなぜ? ステルス戦闘機は、ボロ過ぎ。あんなの売りつけられる方がサギだ。

I SPY
ベティ・トーマス監督。2002年アメリカ映画。

2011年11月 1日 (火)

里見八犬伝 完結篇 暁の勝鬨 (1954)

里見八犬伝 完結篇 暁の勝鬨 いよいよ勢揃いした八剣士(東千代之介、中村錦之介、他)だったが、彼らの前に立ちはだかった最後の敵は800年生きた魔女の夕顔(朝雲照代)と、彼女にそそのかされた網乾左母二郎(小柴幹治)だった…

 ついに最終回を迎えた、滝沢馬琴原作の里見八犬伝。とはいっても、1本50分の5作品なので、全部通して見ても4時間強。つまり普通の映画だと2本分ぐらいか。意外と駆け足に感じる里見八犬伝なのであります。

 ところで、最後の最後に登場した夕顔って魔女が玉梓の怨霊なんだろうか。くねくねと踊りながら魔術を使ったりして不気味な女ではあるが、最後の敵にしては線が細すぎるぞ。かくして八剣士勢揃いと言われても、できることならもっともっと活躍してほしかった。正直言って食い足りない。なかなかの役者がそろっているのに、惜しい。

河野寿一監督。1954年日本映画。

2011年10月31日 (月)

里見八犬伝 第四部 血盟八剣士 (1954)

里見八犬伝 第四部 血盟八剣士 5剣士(月形哲之介、東千代之介、中村錦之助、島田照夫、石井一雄)は石浜城を目指すのだったが、その石浜城には、どこか抜けた殿(大泉晃)がいて、女田楽(藤里まゆみ)の一座と浜路(田代百合子)が滞在していた。実は女田楽の且開野は、親の仇として城主の馬加大記(清川荘司)の命を狙っていたのだったが…

 滝沢馬琴の原作を映画化したシリーズ第四作。ここまで見て、これまでの映画はすべて1954年の1年間に作られていたことを知る。やはりプログラムピクチャー、恐るべしである。それなら4時間の映画1本にしてしまえばいいのにと思うんだけど、当時の映画はテレビの代わりなので、毎週映画館に観客を呼ぶためにこの「続く」が必要だったということでしょう。

 今回の舞台は石浜城というところで、女田楽の仇討ちがメインストーリー。しかし彼女の正体は…というのがキモであるけど、演じているのが女優さんなのでちょっと納得しがたかったぞ。ラストは例によって危機一髪パターンが用意されている。いよいよあと1本で最終回である。

河野寿一監督。1954年日本映画。

2011年10月29日 (土)

里見八犬伝 第三部 怪猫乱舞 (1954)

里見八犬伝 第三部 怪猫乱舞 処刑場での危機一髪を免れた犬塚信乃(東千代之介)、犬飼現八(中村錦之助)、犬川荘助(小金井修)、犬田小文吾(島田照夫)、犬山道節(月形哲之介)たちは、八剣士の残りのメンバーを探してまた別れて旅に出る。赤岩村というところへやって来た現八は、ここの山に妖怪が出るという噂をきいて、妖怪退治に繰り出すことになる。実はこの一体を牛耳る赤岩一角(薄田研二)はすでに殺されており、彼の正体は化け猫だということを耳にするのだったが…

 滝沢馬琴原作の里見八犬伝の第三作。今回は化け猫退治というわけで、当時のSFX満載(笑)の妖術編である。もちろん八剣士の玉も活躍するし、悪女船虫(赤木春恵)も登場する。あれ、そういえば八犬伝の悪役といえば玉梓の怨霊だけど、彼女は登場しないのかなと今更ながらに気がついた。

 ただし怪猫といっても、超なさけないメーキャップで登場するのでここらへんはカルト映画の風格もただよっていると思っても間違いないだろう。物語の幕切れはここまでと違って「危機一髪・つづく」ではなく、「石浜城へ」という謎の文字が壁に浮かび上がって、剣士たちが石浜城を目指すところで終わる。正直言って、3本見てなかなか進まないストーリーにだいぶ飽きてきたかも(笑)。 残るはあと2本、がんばろう。

河野寿一監督。1954年日本映画。

2011年10月28日 (金)

里見八犬伝 第二部 芳流閣の龍虎 (1954)

里見八犬伝 第二部 芳流閣の龍虎 前作でお堀に落ちた犬塚信乃(東千代之介)と犬飼現八(中村錦之助)だったが、運よく小舟の上に落ちて川を流されていく。彼らを救ったのは文吾兵衛という宿屋の主人だったが、信乃は高熱を出して寝込んでしまう。やがて町に信乃と現八の手配状が回ってきて、文吾兵衛は役人に捕らえられてしまったが…

 滝沢馬琴原作の里見八犬伝の第2部。予想どおり、お堀に落ちた二人は「そんなのあり?」といった展開で助かるのであったが、今回は信乃は寝込んでしまいあまり出番はない。前作のヒロインの浜路(田代百合子)も崖から落ちて行方不明である。その間に、文吾兵衛の息子の小文吾(島田照夫)やら妹の亭主の犬田荘八(加賀邦男)やらと一悶着がありと、八剣士が次々と集まっていくのがメインストーリー。

 うーん、今回は筋を追うのがやっとで、面白いというところまでいかないのが辛いところかな。れいによって、処刑場での危機一髪のシーンで「終」になるのはお約束か。次が見たいかというと、何となく予想がつく展開ではあります。(つづく?)

河野寿一監督。1954年日本映画。

2011年10月25日 (火)

里見八犬伝 第一部 妖刀村雨丸 (1954)

里見八犬伝 第一部 妖刀村雨丸 絶命した伏姫から諸国に散った8つの玉。その一つを持つ犬塚信乃(東千代之介)は、預かった天下の名刀村雨丸を御所へ献上して仕官しようと考えているが、許嫁の浜路(田代百合子)が義父母によって悪代官に嫁入りさせられそうになっているのを知る…

 おなじみ滝沢馬琴原作の「南総里見八犬伝」の5部作での映画化の第一作。モノクロの上に録音が悪く、さらに1部につき50分という中編ではあるが、それだけにストーリーもわかりやすく作ってありストレスなく見ることができた。物語はまだ動き出したところなんだけど、信乃と浜路のすれ違いとか、横恋慕する左母二郎(小柴幹治)とか、同じ八犬士同士の城の屋根の上での決闘とか(なんと相手は中村錦之助)見せ場はいっぱい。しかも最後は、二人そろってお堀へどぼーんと落ちたと思ったら「第一部 終」!

 げげっ、これってプログラムピクチャーというか、続きものの王道じゃんってうならされてしまった。CGはおろかSFXすらろくになかった時代なのに、これだけの冒険活劇を作ってしまう東映ってすごい。お城の屋根の上の一騎打ちは結構名場面なんじゃないかな。

河野寿一監督。1954年日本映画。

2011年10月24日 (月)

山猫は眠らない (1992)

山猫は眠らない パナマのジャングルに精通した、米軍のスナイパー・トーマス・ベケット(トム・ベレンジャー)。彼は、麻薬組織のオチョア(カルロス・アルバレス)をバックに政権を狙うアルバレス(フレデリック・ミラグロッタ)の暗殺の任務を受けるのだが、そのパートナーは現場を知らないエリート軍人のリチャード・ミラー(ビリー・ゼイン)だった…

 スナイパー(狙撃兵)が主人公のアクション映画。単なるどんぱちではなく、たとえば潜水艦映画とかにも通じるものがあるかのような頭脳戦と機動戦をかけ合わせたかのようなストーリー。ばりばりのスペシャリストと、その上官でありながら若くて現場を知らない元オリンピック射撃代表という、面白くなりそうな要素をぎゅっと詰め込んでしかも期待に応えてくれるという良作である。なぜ、この映画を今まで見逃してたんだろ?

 スナイパーって一番安全な地上戦闘員というイメージがあるけど(敵から一番遠い)、同時に敵のスナイパーに狙われる運命にあるわけね。「スターリングラード」なんかと見比べてみたら面白い映画かも。ところで「山猫」って単語は、どこで出てきたんだろう?

ルイス・ロッサ監督。1992年アメリカ映画。

2011年10月23日 (日)

茶々 天涯の貴妃 (2007)

茶々 天涯の貴妃 浅井長政と信長の妹、お市の方(原田美枝子)との間に生まれた茶々(和央ようか)。妹の小督(寺島しのぶ)、はつ(富田靖子)と共に暮らしていたが、父が織田信長(松方弘樹)との戦いで殺され、織田に引き取られる。その後母が嫁いだ柴田勝家も敗れてお市の方は娘たちに「生き抜け」と言い残して自害。激しい憎悪を胸に豊臣秀吉(渡部篤郎)に嫁いだ茶々だったが…

 大河ドラマで壕姫がブームだが、こちらはその姉の茶々こと淀君にスポットを当てた東映時代劇。井上靖の原作を映画化。主演の和央ようかは知らなかったので誰?って思ったけど、なるほど宝塚のトップスターでしかも男役。確かに茶々の人生を思うととんでもない憎悪を胸に生きていただろうってのは想像できるので、それをあの宝塚の台詞回しで熱演。賛否両論あるみたいだけど、私はこの映画、結構楽しんで見ることができました。

 妙にやさ男の渡部太閤とか、ケレン味たっぷりの中村獅童の家康とか、年齢順を無視したかのような浅井三姉妹とか(笑)キャラクターの面白さはたっぷり。シリアスな話のくせに、味付けがちょっとコミカル過ぎるかなという恨みはあるけど、中盤以降はどどどどっと大阪城炎上のスペクタクルシーンまで一気になだれ込んで見せてくれます。

橋本一監督。2007年日本映画。

2011年10月21日 (金)

同じ月を見ている (2005)

同じ月を見ている 幼なじみの鉄矢(窪塚洋介)、エミ(黒木メイサ)、ドン(エディソン・チャン)の3人。鉄矢はエミの心臓病を治したいがゆえに、インターンになっている上に、二人は婚約中。ところがドンは放火事件から刑務所に入っており、しかも脱走したという一報が入る。それぞれの思いを抱いたまま再開した3人だったが…

 土田世紀のコミックを深作健太監督で映画化。中盤から場をさらってくれるのが、ドンと深くからんでいくやくざの金子(山本太郎)。八方破れの彼が、ドンの心をぐわっとわしづかみにしていくのが何とも感動的に描かれる。逆に主人公カップルである窪塚と黒木には、何か人間の冷たさを感じて感情移入できなかったのが辛いところ。

 そのあたりが引きずって、ピュアに思われるドンにも同情は感じても何でそこまでってのがわからなくて戸惑った。ところで深作監督ってのは、何を撮ってもバイオレンスから離れることはできないんかなぁ。

深作健太監督。2005年日本映画。

2011年10月20日 (木)

必死剣 鳥刺し(2010)

必死剣 鳥刺し 海坂藩に仕える兼見三左エ門(豊川悦司)は、主君右京太夫(村上淳)の側室連子(関めぐみ)を突然宮中で刺し殺す。打ち首になるかと思われた兼見だったが、意外に軽い1年間の幽閉の刑となり、その後に上司の津田(岸部一徳)のはからいにより、再び宮中に仕える身となる。ところがそこには、敵対する帯屋隼人正(吉川晃司)がからんだ陰謀が隠されていた…

 藤沢周平原作の隠し剣シリーズからの映画化。このシリーズは、個人的にはどれを見ても外れなしの面白い時代劇なので期待して見たのだが、期待を外さぬ傑作であった。元気だったころの日本映画、元気だったころの時代劇を思い出させてくれる。決して大作とは言えないが、この時代の下級武士の生き様がじっくりと描き込まれていてうならされる。

 剣の使い手ながらも、はめられる豊川悦司がいいオーラを放っている。敵役の吉川晃司もかっこいい。ある意味、吉川の方に感情移入して見てしまいそうになった。二人とも農民を助ける立場のはずなんだけどね。関めぐみは、意地悪そうな顔つきがいい。村上淳のバカ殿もいい。本当の悪役の岸部一徳は、これはもう言うまでもないでしょう。

 そうそう、主人公の姪を演じた池脇千鶴の普通っぽさも意外と良かったです。たぶん原作にはないキャラクターのような気がするけど、彼女でラストをぐっと引き締めています。

平山秀幸監督。2010年日本映画。

2011年10月11日 (火)

日本の首領 (1977)

日本の首領 女遊びが元でゆすられた紡績会社の社長が、専務を通じて関西が拠点の中島組に仲介を申し出る。ところが仲介がもとで血の雨が降り、関東進出を目指す中島組の野望に巻き込まれていくのだったが…

 組長の佐倉に佐分利信、その子分たちに鶴田浩二、松方弘樹、渡瀬恒彦、千葉真一、娘婿に高橋悦史、敵対する石見組長に菅原文太と、蒼々たるメンバーで送る東映オールキャストの現代劇任侠映画。家庭に入って普通のおっちゃんに見える佐分利信ってところがミソだと思うんだけど、主役はあくまでも鶴田浩二ってことでやっぱり任侠映画である。

 飯干晃一の原作だけど、登場人物が「山口組三代目」と違って実名でないところもミソかな。それだけに実録ものか娯楽作なのかどっちつかずになっていて、意外とすっきりしない終わり方にちょっといらいらっとした。もっとも3部作の第1部だということは後で知ったが。

 やんちゃな千葉真一が見られるのが拾いもの。菅原文太の関東やくざは、マスコミ対応とかを迫られたりして、ミスマッチなところが面白い。堅気のはずだった高橋悦史が、どっぷり染まってしまうラストは意味深ですね。

中島貞夫監督。1977年日本映画。

2011年10月 9日 (日)

ウルトラ I LOVE YOU! (2009)

ウルトラ I LOVE YOU! 両親がセットしたお見合いで、クロスワード作家のメアリー(サンドラ・ブロック)とテレビカメラマンのスティーヴ(ブラッドリー・クーパー)がデートしようとするのだが、彼の仕事でドタキャン。ところが彼が忘れられないのと、自分に気があると勘違いしたメアリーは、持ち前の行動力で半ばストーカーのように彼のロケ先を追いかけ回すことに。さらに、道中ひょんなことから一緒になったハートマン(トーマス・ヘイデン・チャーチ)は、彼女をサポートすることになったのだが…

 サンドラ・ブロックが勘違い女を熱演するラブコメディ。しかしラブコメと呼ぶにはまったくロマンティックでなく、ひたすらシリアスなひきつり笑いが待っているという珍作である。デートムービーに選んじゃったら絶対公開する映画。日本では劇場未公開ではありますが。

 しかしこれをラブコメディと思って見た私は、後半の穴にまつわるギャグを笑いとばしながら、これをどうやってハッピーエンドにおさめるんだろうかと頭の中でぐるぐると画策。しかしどうおさまっても、これは見終わったあとしっくりいかないぞと思っていたら、いい感じで着地。ハッピーエンドを望まないロマコメなんて、やっぱり何かヘンではある。

 サンドラ・ブロックって、個性的な美女であるがゆえにこういった役柄にぴたっとはまるんでしょうね。スティーヴ役のブラッドリー・クーパーのひきつった笑いが、印象に残ります。メアリーの個性をちゃんと受け入れてしまうアメリカってのは、やっぱ懐が深いのか?

ALL ABOUT STEVE
フィル・トレイル監督。2009年アメリカ映画。

2011年10月 4日 (火)

影の軍団 服部半蔵 (1980)

影の軍団 服部半蔵 三代将軍の家光の死により混乱する江戸城下。かつて活躍した伊賀忍者は今や追われる身となり、上下に分家した服部家で、下の半蔵(渡瀬恒彦)は義賊となり奪った金品を貧乏人に配り、上の半蔵は名前を変えてひっそり暮らしている。ある時、世継ぎの幼い家綱が甲賀忍者の四郎兵衛(緒形拳)に誘拐される事件が起こり、服部家はその解決を依頼されるのだったが…

 テレビシリーズにもなったはずの(未見だが)「影の軍団」の劇場版。忍者ものだが、太平の世の中というわけで登場人物が必ずしも忍者の衣装を着てないのがミソ。語りぐさとなった、忍者がアメフトのフォーメーションで突進しるシーンも楽しめる。これがよく見ると、ヘルメットにフェイスガードみたいなのが見てとれるのも笑える。こういう一芸は好きである。ラストには、城の櫓の崩壊シーンという見せ場も用意されている。

 存在感抜群の緒形拳や、成田三樹彦は一見の価値あり。それに反して、主役の二人の影が薄いのは忍者であり「影の軍団」というタイトルからして仕方ないのかな?

工藤栄一監督。1890年日本映画。

2011年10月 3日 (月)

エクスクロス 魔境伝説 (2007)

エクスクロス 魔境伝説 秘境・阿鹿里村の温泉地を訪ねた、仲良しのしより(松下奈緒)と愛子(鈴木亜美)だったが、彼氏の浮気をめぐって仲違えしてしまう。ところがしよりが拾った携帯からは「今すぐ村から逃げろ、足を切り落とされるぞ」という警告が聞こえてきて…

 上甲宣之の原作を、深作健太監督が映画化した、ハイスピード・ハイテンションスリラー(?)。確かにハイテンションではあるが、これを恐ろしいと見るか笑い飛ばしてしまうかは観客次第かも。

 カルト村の雰囲気は及第点。わさわさと襲ってくる村人の動きののろさはゾンビ以下かも(足を切られている?)。ハサミを振り回す小沢真珠は一見の価値があるかも。中川翔子もしかるべき役で出てます。パワーだけはいっぱいある映画なので、C級カルト映画が好きな方は一見の価値があるかも。

深作健太監督。2007年日本映画。

2011年10月 2日 (日)

釜ヶ崎極道 (1973)

釜ヶ崎 釜ヶ崎に事務所を構える暴力団組長の島村(若山富三郎)だったが、警察署長の勧めで、ライバルの八ッ藤組の解散・企業化を習って組を解散することになる。気質になろうと旅回りの劇団・市川梅太夫一座と契約して興業を行うがうまくいかず、さらに付近の土地の買い占め・地上げをはかる八ッ藤組のあくどいやり口と衝突して…

 「極道」シリーズの第8作。悪をもって悪を制するという、元祖ヴィン・ディーゼルといった感じのストーリーである。悪といっても親分の島村はちょっと頭の悪そうな憎めないキャラクターで、この親分さんがどうやって財界ともつるんだ巨悪をやっつけられるんだろうかと思ったら…なるほど、ポカリとやっつけてしまうという非常にシンプルなお話でありました。

 しかもポカリどころか、ザクッ・バーンと2段構えにやっつけたあとは、警官隊に囲まれてどうするんだと思ったところであっさりとエンディング。たぶんシリーズの次回作では、窮地を逃れた島村組はってあたりから始まるんだろうな。東映恐るべし。

 登場人物も賑やかで、島村の妻に清川虹子、組の若い衆に山城新伍、思いを寄せる劇団の娘に東美千、謎の金持ちの女に加賀まりこなどなど。昨今の社会情勢では、ほとんどの俳優さんたちが出演に躊躇する映画なんじゃないかと思わされます。

山下耕作監督。1973年日本映画。

2011年9月30日 (金)

ヒート (1995)

ヒート ニール(ロバート・デ・ニーロ)、クルス(ヴァル・キルマー)、チェリト(トム・サイズモア)は鮮やかな手口の銀行強盗のプロ。裏切り者は容赦なく始末する冷酷な男でもあるが、本屋に勤めるイーディ(エイミー・ブレネマン)と愛し合い引退を決意する。ロス市警の敏腕刑事ヴィンセント・ハナ(アル・パチーノ)はニールを逮捕することにやっきになるが、妻や娘(ナタリー・ポートマン)とはしっくりいかず…

 ゴッドファーザーを除けば2大スターの初共演とされる本作。どうにも煮え切らなかった「ボーダー」を見た直後だっただけにめちゃ面白かった。純粋に2大スター激突というわけで、敵味方に分かれてドンパチやるというストレートなストーリーが良かったのかもしれない。

 マイケル・マンが監督だけにどんぱちが派手なのも見物で、クライマックスかと思ったドンパチが実はストーリー中盤だったのにはあっけにとられた。あれだけやりあったら死んでるだろと思っても、さらに別のクライマックスが用意されている贅沢さ。ブレイク寸前のナタリー・ポートマンが見られるのもいいですね。

HEAT
マイケル・マン監督。1995年アメリカ映画。

2011年9月27日 (火)

ファーゴ (1996)

ファーゴ 自動車のセールスマンのジェリー(ウィリアム・H・メイシー)は、金に困って妻の偽装誘拐を行い義父から身代金をせしめることを思い立つ。誘拐犯としてカール(スティーヴ・ブシェミ)とグリムスラッド(ピーター・ストーメア)の2人組を雇うのだったが、よりによって誘拐の途中で警官と目撃者を射殺してしまう。事件をかぎつけた村の警察官マージ(フランシス・マクドーマンド)は妊娠中にもかかわらず二人組を追うことになるのだったが…

 何だこりゃ、このすっとぼけた面白さは、とよくよく見ればコーエン兄弟の映画ではないか。そりゃ面白いはずだ。「実話です」と断っているにもかかわらず、かなりの部分が創作だという人を喰った部分(あとで知ったが)をはじめ、ブシェミとストーメアの二人組のすっとぼけた個性。見ていていらいらしてくることしきりの、根っからの悪人じゃないんだろうけど悪い方へばかり転がっていくウィリアム・H・メイシー、そして背中に夫、おなかに子供をしょって立つ婦人警官フランシス・マクドーマンド(なんとこれでアカデミー主演女優賞)の生活感ばりばりの面白さ。

 ヘンな映画といえばものすごくヘンな映画なんだけど、ツボにはまれば徹底的に楽しめる、それはそれはおもちゃ箱のような映画に思われます。マージ、妊娠中なのに無理すんなよとか、ブシェミって本当にヘンな顔とか、この映画に対する思いはつきません。

FARGO
ジョエル・コーエン監督。1996年アメリカ映画。

2011年9月24日 (土)

クリムゾン・リバー (2000)

クリムゾン・リバー アルプスのゲルノンで、両手首を切り落とされ、目玉をくりぬかれた変死体が発見される。猟奇事件の専門家ということで、パリからニーマンス刑事(ジャン・レノ)が派遣される。同じ頃、少女の墓荒らしの捜査をしていた刑事マックス(ヴァンサン・カッセル)は、猟奇殺人事件と関係があることをかぎ取るのだったが…。

 閉鎖的な山間の大学を舞台にした猟奇ミステリー。いきなり、死体をなめるようなタイトルバックにスプラッタ映画にも通じるような趣味の悪さを感じたが、映画の中身は至ってまとも。ただただ不気味な大学にスポットが当たるあたりから、ぐいぐいと物語に引き込まれた。

 キーマンとなる女性(ナディア・ファレス)はなかなか個性的でとっつきが悪かったんだけど、洞窟へ入っていくあたりのくだりからはぐいぐいその魅力に引き込まれた。母親役にドミニク・サンダと、往年の名女優を使っているあたりに何かあるんかなと思ってたら…やっぱりひとひねりありました。ラストのオチも見事で面白かった。

 続編も未見だけど、やっぱりこの大学が舞台なんかな?

LES RIVIERES POURPRES
マチュー・カソヴィッツ監督。2000年フランス映画。

2011年9月23日 (金)

悪魔を憐れむ歌 (1997)

悪魔を憐れむ歌 刑事ホブス(デンゼル・ワシントン)の手によって死刑台に送り込まれた凶悪犯リース(エリアス・コーティアス)。ところが彼は死ぬ前に、よみがえって復讐することをホブスに誓う。やがてリースを模倣したと思われる凶悪犯罪がホブスの回りに起こり、その手口からホブスは殉職した刑事の娘グレタ(エンベス・デイヴィディッツ)に協力を求めるのだったが…

 サスペンスか人間ドラマかと思わせた冒頭だったけど、中身はれっきとしたオカルト映画。しかも善人の刑事と悪魔との直接対決ものだというのには面食らった。とはいっても、事件の犯人を悪魔に結びつけていく展開がとっても自然で、悪魔の正体AZAZELとその弱点がわかってからはなかなかサスペンスフルで面白かった。

 弟と甥っ子がからむストーリーに、ラストの説得力を感じる。しかし悪魔が思ったよりもちま~んとしているのが唯一の難点で、あの程度の力で世界を滅ぼすなんて何万年もかかるんじゃないかな、なんて思わされてしまう。乗り移りシーンは不気味なんだけどなぁ。主人公の上司役でドナルド・サザーランド、同僚役でジョン・グッドマンも出ています。

FALLEN
グレゴリー・ホブリット監督。1997年アメリカ映画。

2011年9月22日 (木)

ボーダー (2008)

ボーダー ニューヨーク市警の刑事ターク(ロバート・デ・ニーロ)とルースター(アル・パチーノ)は長年のコンビ。ところが、凶悪犯ばかりを狙った連続殺人事件が発生。タークはその容疑者となるのだったが…

 デ・ニーロとパチーノの豪華共演による刑事アクション。しかしこの二人、どう見てももう定年を過ぎたかと思える老人である(笑)。重厚な役ならともかく、第一線に残る刑事というにはあまりにも痛々しいものを感じるぞ。

 とはいっても、タクシー・ドライバーへのオマージュっぽいシーンがあったり、ゴッドファーザーを思わせるシーンがあったりと映画ファンがにやりとさせられるシーンは用意されているんだけど、残念ながら笑えない、楽しめない。そんなことを考えてるうちに、あまりにひねりのない結末と共に映画は終わってしまった。うーん。二人のファンで特別に思い入れでもない限りおすすめできない映画かも。

RIGHTEOUS KILL
ジョン・アヴネット監督。2008年アメリカ映画。

2011年9月20日 (火)

ザ・ウォーカー (2010)

ザ・ウォーカー 文明が滅びた近未来のアメリカ。イーライ(デンゼル・ワシントン)は1冊の本を運んで、西を目指す旅を続けていた。ところが立ち寄った町のボスであるカーネギー(ゲイリー・オールドマン)は、彼の持つ本を狙って仕掛けてくるのだったが…

 何だか見終わったあとの余韻がすごく心地いい近未来荒廃アクション映画。聖書にそこまで人間を浄化したり支配したりする力があるのかと突っ込みたくなる部分はあるんだけど、少なくとも何かを守って一生をささげるって部分が何ともかっこよくて、聖書の件は置いといていい映画であった。主人公のイーライ、かっこよすぎ。

 カーネギーに幽閉されているミラ・クニスとジェニファー・ビールス(懐かしい、「フラッシュダンス」だ)の母娘も物語に華を添えて良いです。ゲイリー・オールドマンは、「レオン」の悪役再来といったねちっこさ。すべてがオススメ。

THE BOOK OF ELI
アレン・ヒューズ、アルバート・ヒューズ監督。2010年アメリカ映画。

2011年9月19日 (月)

Disney's クリスマス・キャロル (2009)

Disney''s クリスマス・キャロル 19世紀のロンドン。高利貸しの老人スクルージ(ジム・キャリー)のところに、死んだ共同経営者のマーレイ(ゲイリー・オールドマン)の亡霊が現れる。実は彼の運命を変えるがために、3人のゴーストが訪れると言い残して去って行くのだったが…

 古典文学のディケンズの「クリスマス・キャロル」を、ゼメキス監督がお得意のパフォーマンス・キャプチャー技術を使って映画化。つまりキャプチャーされた俳優のCGを使ったアニメーション映画というわけで、劇場公開時は3Dだったようだ。実際にソフトも3D版が発売されているが、今回はBSで放映された2Dの字幕版を鑑賞。

 やっぱこれって、3Dで見てこそなんぼのアトラクション映画なんじゃないかなあという感想。特にスクルージ老人がゴーストに連れられての浮遊シーンは2Dで見ていてもなかなかの迫力で、これってディズニーランドのアトラクションなんかになったら楽しいだろうなぁと思わされた。

 ストーリーは完全に陳腐化している感じで、決定的なのはラストに感動がない。スクルージが更正するあたりに説得力がないので、見終わっても妙な説教臭さだけが残る。かなり昔にゼメキスが言っていた「CGが発達すれば俳優はいらなくなる」というのは絶対嘘だと確信した。この映画に出てくるキャラクターに感情移入して見るのはかなり苦しい。「素晴らしき哉、人生」ほどとは言わないにしても、もうちょっと感動させてほしかったぞ。

A CHRISTMAS CAROL
ロバート・ゼメキス監督。2009年アメリカ映画。

2011年9月18日 (日)

THE WAVE ウェイヴ (2008)

THE WAVE ウェイヴ ドイツの高校で、教師のライナー(ユルゲン・フォーゲル)は独裁制を教える特別ゼミを担当する。集まった生徒たちで、実際に「ウェイヴ」という名前の組織を作り制服やマークなどを用意して団結をシミュレートしようとするのだが、一部の生徒が過剰な反応を起こして、やがてグループが町中でトラブルを起こし…

 モートン・ルーの原作を映画化。実話を元にしているらしく、グループが次第に暴走していく背景を、リアルなタッチで淡々と描く。映画の話としては単調なんだけど、実話というのが重たく、全体主義がいかにして起こるのかを順を追って説得力と共に見ることができる。こういうのって、家族でも宗教でも会社でも、グループと名がつくものだったらどこでも起こりそうな気がいたします。

 ドイツの高校って、こういった「独裁主義」「資本主義」といった社会制度別のゼミが行われているんだってのがひとつの驚き。インターネットが途中からからんでくるのも今風です。ネットが恐ろしいのは、こういった暴走中の組織ともカンタンにコンタクトがとれることではないでしょうか。

DIE WELLE
デニス・ガンゼル監督。2008年ドイツ映画。

2011年9月16日 (金)

君を忘れない (1995)

君を忘れない 第2次大戦末期の航空基地。望月隊長(唐沢寿明)の元に特攻隊として集まった上田(木村拓哉)、高松(松村邦洋)、早川(袴田吉彦)、三浦(反町隆史)たちパイロット。厳しい訓練に明け暮れる毎日ではあったが…

 現代版「雲流るる果てに」…というわけで、現代のイケメンたちが特攻隊に扮するドラマ。既成概念からしたらかっこ良すぎる特攻隊たちなんだけど、こういうのもありかなと思わされる不思議なリアリティを感じた。

 特に印象に残ったのは、太った松村でも長髪の木村拓哉でもなく、出撃前に食べるエビフライ弁当。ふだん何気なく食べているエビフライがこんなに大事なものに見えるとは… エビフライを忘れない…

渡邊孝好監督。1995年日本映画。

2011年9月12日 (月)

ベスト・キッド (2010)

ベスト・キッド 父親が亡くなり、母親シェリー(タラジ・P・ヘンソン)の転勤で北京へ引っ越してきた少年ドレ(ジェイデン・スミス)。少女メイ(ハン・ウェンウェン)とも仲良くなったドレだったが、クラスの悪ガキどもにいじめられているところをマンションの管理人ハン(ジャッキー・チェン)に助けられる。いじめっ子との決着をつけるために、カンフー大会に出ることになったドレをハンがサポートするのだったが…

 あの80年代のヒットシリーズ「ベスト・キッド」を、舞台を中国へ移してリメイク。仙人のようだったノリユキ・パット・モリタの「ミヤギ」を、ジャッキー・チェンがくたびれた親父としてバトンタッチ。主人公をウィル・スミスの息子にしたり(最初は女の子かと思った)、キャラクターと舞台はがらっと変えたのにストーリーはほとんどそのまんま。しかしジャッキーがカラテ(クンフー?)を教えてくれるってだけでわくわくしてしまうのは、彼のオーラがなせる技かも。

 途中にハンの過去を挟み込んだり、いじめっ子少年が最後だけさわやかだったり、見終わった後味が非常に良いのも特筆もの。安心して子供に見せられる映画。

ハラルド・ズワルト監督。2010年アメリカ=中国合作。

2011年9月11日 (日)

映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 はばたけ 天使たち (2011)

映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 はばたけ 天使たち ロボットのプラモデルを作って悦に入っていたのび太(声:大原めぐみ)だったが、スネ夫(関智一)の作ったロボットにやっつけられてぐうの音も出ない。ドラえもん(水田わさび)にいつものように助けを求めるのび太だったが、彼の庭に巨大ロボットの部品が降ってくる。かき集めて組み立て、ドラえもんの道具で作られた鏡の世界で試運転をするのび太だったが…

 おなじみ藤子・F・不二雄の人気漫画を映画化。旧作「のび太と鉄人兵団」のリメイクらしい。旧作は未見なのだが、何とも感動的な内容に仕上がっていて感心した。特にロボット世界からやってきたリルル(沢城みゆき)としずかちゃん(かかずゆみ)、そして主要メンバーたちの友情が心に残る。これは個人的には、「のび太と恐竜」を抜いて、泣けるドラえもんの第1位ではないかと思う。

 ストーリーは、惑星メカトピアが攻撃ロボットザンダクルスを送り込んでくるというきな臭い話がメインになっているんだけど、ほんわかとした登場人物たちがうまく話を包み込んで、お子様でも安心して見ていられるソフトな映画になっている。少女リルルが改心していくあたりが甘いといえば甘いのかもしれないけど、その甘さがまたいいのかもしれません。

寺本幸代監督。2011年日本映画。

2011年9月 9日 (金)

トラ・トラ・トラ! (1970)

トラ・トラ・トラ! 日米開戦までの水面下のやりとりと情報戦。そして山本五十六(山村聡)の指揮する日本軍がハワイのパールハーバーを攻撃するまでを描いた戦争スペクタクル映画。

 中学生の頃にテレビで見て以来の再会である。今見てもなかなかの迫力で、海戦シーンなどはミニチュアと思われるんだけどそれもかなりのサイズのミニチュアのようである。もちろん航空機は本物(違う飛行機を改装して撮影したようだが)。ドラマは思ったよりも淡泊な感じだが、東郷外相(野々村潔)をめぐるやりとりと、日本軍の戦闘の練習シーンが印象に残る。

 日本側とアメリカ側のドラマは均等だったと記憶していたんだけど、意外と日本側の視線が多く描かれている気がして感心した。東野英治朗の南雲中将が何ともかっこいい。山本五十六が、アメリカの怖さがわかっている点も、史実どおりなのかどうかは不明だが深いぞ。

TORA! TORA! TORA!
リチャード・フライシャー、舛田利雄、深作欣二監督。1970年アメリカ=日本合作。

2011年9月 4日 (日)

午後の遺言状 (1995)

午後の遺言状 軽井沢の別荘に、女優の森本蓉子(杉村春子)がやって来る。管理人の豊子(乙羽信子)とその娘あけみ(瀬尾智美)が彼女を迎えるのだったが、そこへ蓉子の旧友で今は認知症を患う登美江(朝霧鏡子)と夫の籐八郎(観世栄夫)がやって来る…

 乙羽信子の遺作として話題になった作品だが、日本アカデミー賞の作品賞や、キネマ旬報の邦画1位をとっていたというのは知らなかった。内容はタイトルと出演者の年齢からもわかるように、老いと死をテーマにしたものだけど、いろんなエピソードを突発的に積み上げていくような構成で、ちょっととっ散らかってるかなって印象はあるけど最後まで楽しめた。

 観世・朝霧の老夫婦のエピソードは、まさかが本当になってしまうある種の驚きがあり、脱獄囚の話はあまりにも非現実的で浮きまくりな印象。お達者ムービーにならないようにか、若い瀬尾智美のエピソードが差し込まれているけど、この足入れ式の儀式がなんとも爆笑もの。ありゃちょっと、恥ずかしすぎます(笑)。

 本流のエピソードは蓉子と豊子の後半のやり取りにあるんだろうけど、ぷっつんきちゃった豊子の言動が何とも爽快で面白い。対する蓉子も、修羅場をくぐってきた女優だけに負けていない。カンカンののしりあいながらも、不思議な信頼感でつながっている二人は、やっぱり年の功ってところなんかな。これ、20代の頃に見てたら絶対理解できない映画だったんじゃないかと思います。

新藤兼人監督。1995年日本映画。
※リンク先はサントラ盤です

2011年9月 2日 (金)

裸の島 (1960)

裸の島 瀬戸内海の小島で農業を営む夫婦(殿山泰司、乙羽信子)。本土から桶で水を運び、作物を作りながら二人の息子(田中伸二、堀本正紀)を育てる毎日。時には子供たちが鯛を釣り上げ、本土(尾道)で買い物を楽しんだりもしていたのだが…

 天まで耕す小島が舞台。家族の営みを、これでもかとモノクロの画面でなめるように描いていくのは圧巻。日本映画にはたまにものすごいものが転がっていたりするんだけど、これもそんな中の1本。台詞はほとんどなく、挨拶をしない家族にいらいらもさせられたけど、これはこれで様式美ってなもんでしょうか。

 押さえた前半だけに、事件が起こる後半は特に、二人の男の子を持つ父親の目で見ると他人事ではないようで身にしみました。乙羽信子の嗚咽と、刀のおもちゃの余韻がいつまでもいつまでも残りました。

 新藤兼人監督ってのは、私にとっては「北斎漫画」のイメージなので、ものすごく若々しい感じがするんだけど、実はもう99歳のおじいちゃん。そのギャップが、またたまらなく良いです。

新藤兼人監督。1960年日本映画。

2011年9月 1日 (木)

市川崑物語 (2006)

市川崑物語 アニメーション監督からはじまって、脚本家であり夫人の和田夏十と出会って監督として大成した市川崑監督の一生を、若手監督の岩井俊二が写真や字幕、一部の映画のフィルムを使って構成したドキュメンタリー。

 ほとんどが写真と字幕の繰り返しで、映画として考えると半分ぐらいが字幕で何だか損した気がしなくもないが、語りのリズムが面白くて思わず引き込まれてしまった。特に戦時中の「脊椎カリエス」のくだりとか、和田夏十さんとのエピソードのあたりは実際に映像を見ているかのような気分にさせられて楽しめた。本(活字)に没頭しているといったイメージかな。

 しかし、市川崑さんって今更ながら多作な監督さんなんだなぁと思わされる。見ているのは「犬神家の一族」以降で、それ以前には聞いたこともない映画がいっぱい。こういう映画を見ると、見たい映画が増えて困ってしまうんだよな。

岩井俊二監督。2006年日本映画。

2011年8月31日 (水)

8月のメモワール (1995)

8月のメモワール ベトナム戦争から帰還してきたスティーヴン(ケヴィン・コスナー)だったが家は取り壊されて職はなく、貧困を極める。子供たちのリディア(レキシー・ランドール)とステュ(イライジャ・ウッド)はそれでも森の中にツリーハウスを作って楽しく過ごしているのだったが、友人たちとのトラブルが絶えずに…

 そのものズバリの「戦争」というタイトルながら、戦闘シーンはほとんどなし。しかし主人公の戦争後遺症は痛々しく、家族たちどころかその帰還した村にも陰鬱なものをもたらしている。

 ケヴィン・コスナー絶好調の時代だけに、彼の演じる父親像が秀逸で心に残る。ツリーハウスでのわんぱく戦争に端を発しての、水タンクでのクライマックスなどなど、地味なドラマに思えてかなり涙腺を直撃するこの造りは実に心憎い。イライジャ・ウッドも良かったけど、敵対するガキ大将とか、姉のレキシー・ランドールとか、少年少女が実にリアルで心に残る。今更ながらみ見たわけだが、隠れた名作ではないかと思われる。

THE WAR
ジョン・アヴネット監督。1995年アメリカ映画。

2011年8月29日 (月)

ミラーズ2 (2010)

ミラーズ2 マックス(ニック・スタール)は婚約者を交通事故で亡くす。心の傷が癒えないままに、父親(ウィリアム・カット)の勧めでメイフラワーというデパートの警備員を勤めるのだったが、そこでは鏡にからんだ職員の急死事件が立て続けに起こるのだったが…

 テーマ曲「アストゥリアス」が印象深いホラー映画「ミラーズ」の第2弾が登場。といっても劇場公開されていないオリジナルビデオ作品だそうだが、作品のクオリティはそんなに悪くはない。物語は行方不明になったエレノアという女性と、その姉を中心に起こるのだが、きっちりしたストーリーが敷かれているだけにおおまかなネタがわかった瞬間から主人公たちの安全が約束されたところがあり、緊迫感が一挙に吹き飛んで安心して見てしまった。

 それでも何か想定外のことが起こるのかな…と身構えていたにもかかわらず、予定調和の中で終わってしまった。ホラーとしてはちょっと不満かな。安心して見てはいられるけど。

 とはいっても、ゴアシーン・スプラッタシーンはなかなか強烈なので、苦手な方は構えて見た方がいいかも。

MIRRORS 2
ヴィクター・ガルシア監督。2010年アメリカ映画。

2011年8月28日 (日)

スパイアニマル Gフォース (2009)

スパイアニマル Gフォース 遺伝子工学で生み出され、スパイとして高度に仕込まれたモルモットたちのチーム「Gフォース」。そのメンバーのダーウィン(声:サム・ロックウェル)、ブラスター(トレーシー・モーガン)、フアレス(ペネロペ・クルス)、ハーレー(ジョン・ファヴロー)、スペックルズ(ニコラス・ケイジ)たちだったが、なぜか政府から予算が打ち切られてペットショップに売り飛ばされてしまう。ところが家電メーカーのセイバリングのCEO レナード・セイバー(ビル・ナイ)が企んだ陰謀をかぎつけ、これを阻止しようとペットショップを脱走する彼らだったが…

 ディズニー+ジェリー・ブラッカイマー製作のCGアニメ+実写の合成映画。まぁディズニーマークが出たとたんに結末は予想がつくものだが、とにかく派手なアクション満載で、単に子供向けのアニメというだけでは片付けられない作品である。内容は「ミッション・インポッシブル」と「トランスフォーマー」を足して割ったような感じで、それに主人公たちがモルモットだというのがご愛敬。

 日本では吹き替え版が中心に上映されたんだろうけど、ここはニコラス・ケイジとかペネロペ・クルスが声を当てている英語版で見ておきたいところ。スティーヴ・ブシェミも声優のクレジットに上がっているけど、どの声なんだろう。

G-FORCE
ホイト・H・イェットマン・Jr.監督。2009年アメリカ映画。

2011年8月23日 (火)

ゾンビランド (2009)

ゾンビランド 引きこもり青年のコロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)はゾンビに占領された世界で、独自の32のルールを作って生き延びている。そんな彼がヒッチハイクした相手が、ゾンビ狩りを生き甲斐とするタラハシー(ウディ・ハレルソン)。やがて彼らの車にウイチタ(エマ・ストーン)とリトルロック(アビゲイル・ブレスリン)という美人姉妹が乗り込み、ゾンビがいないとされる「ゾンビランド」を目指して旅をはじめるのだったが…

 タイトルからわかるとおりのゾンビ映画なんだけど、かなりコメディにふった作りと、4人のキャラクターの面白さ、おかずがたっぷり詰まっているのに約90分といった短さから、ジェットコースターのように面白い快作であった。ゾンビものなので、もちろんゴア描写もあって嫌いな人は要注意だけど、それにしてもゾンビでこれだけ笑える映画は初めて見た。

 ゾンビ映画といえば、放射性廃棄物の恐怖にもつながる「バタリアン」が最高傑作だと思うんだけど、この「ゾンビランド」はテーマが違うので単純比較はできないけど私の中ではそれに続くベスト2に思う。オタク少年と無頼漢という主人公コンビの取り合わせがいいし、それに詐欺姉妹がからんで笑いのツボの刺激は十分である。ゲストスターとしてビル・マーレイが実名で登場して、自虐パロディをいっぱいやらかすのもいい。でもゾンビのかっこをして飛び出して行ったら…普通は撃たれるよな。

 注目子役のアビゲイル・ブレスリンが出てるけど、今回は姉役のエマ・ストーンに目が奪われた。この姉妹なら、だまされても無理もないかもしれない。ウディ・ハレルソンは今回は無頼漢だけど、彼の芸域が広いのもすごい。

ZOMBIELAND
ルーベン・フライシャー監督。2009年アメリカ映画。

2011年8月22日 (月)

火宅の人 (1986)

火宅の人 作家の桂一雄(緒形拳)は、後妻のヨリ子(いしだあゆみ)と共に5人の子供を育てている。ところが次男が日本脳炎を発症したのをきっかけに、新劇女優の恵子(原田美枝子)と共に家を飛び出し、同棲生活をはじめる。そんな生活も長続きせず、今度は町で知り合った葉子(松坂慶子)と九州を旅するのだったが…

 最後の無頼派と言われた作家の壇一雄の自伝小説を映画化。緒形拳といえば、いかれぽんち男を演じれば絶品というイメージだったんだけど、この映画も例にもれず世間の常識から外れた男を熱演。しかし、今までいかれぽんちで切り捨ててしまっていたこの手のキャラクターに、筆者は近頃一目置くようなものを感じるようになってきたのはなぜだろう。世間を騒がせるベストセラー作家だけに、そのむちゃくちゃな生き方のパワーに圧倒されたというところだろうか。

 ストーリーは愛人の原田美枝子と、微妙な立ち位置にいる松坂慶子のお色気対決といった様相なんだけど、最後にすべてを牛耳った感じのあるいしだあゆみが絶品である。色恋沙汰は子供のすることで、母はやっぱり強し、といったところなんだろうか。

深作欣二監督。1986年日本映画。

2011年8月21日 (日)

グリーン・ゾーン (2010)

グリーン・ゾーン イラン-イラク戦争直後のイラク・バグダッド。アメリカ陸軍のミラー隊長(マット・デイモン)とその部隊は、大量破壊兵器を発見するミッションを遂行中だったが、捜索はいつも空振りばかり。情報の出所と攻防総省のパウンドストーン(グレッグ・キニア)に疑問を抱いたミラーは、CIAのブラウン(ブレンダン・グリーソン)、ウォール・ストリート・ジャーナルの記者ローリー(エイミー・ライアン)と手を組んで捜査に乗り出すのだったが…

 大量破壊兵器をめぐるミステリーを描いた、異色の戦争アクション映画。そういえばアメリカ参戦の口実となった大量破壊兵器ってどうなったんだろうってもやもやっとした部分を思い出したけど、この映画に描かれるストーリーがあたらざれど遠からずといったところではないかと、納得させられる内容。明確な結論が出ているわけではないと思うので、見終わったあとももやもやが晴れるわけではありませんが。

GREEN ZONE
ポール・グリーングラス監督。2010年フランス=アメリカ=スペイン=イギリス合作。

2011年8月20日 (土)

ドラゴン危機一発 (1971)

ドラゴン危機一発 田舎から出てきて製氷工場に就職することになった青年(ブルース・リー)。けんかをするなと母からもらったペンダントをつけていたが、実は製氷工場は表向きで氷の中に麻薬を隠して販売することで社長はボロもうけ。事実を知った社員たちは次々と殺されていたのだったが…

 ブルース・リーの初主演作。かなりトホホな映画だった記憶があり、構えて見たんだけどC級映画だと構えて見たら非常に面白かった。リーがペンダントを見て反撃をためらうシーンではチャイムのようなメロディが流れ、また乱闘シーンで壁に人型の穴があくのはコレだったですね。あと、かき氷屋の屋台でノラ・ミャオが出てたり、敵の社長が岸谷五朗にそっくりだったりいろいろと発見があった。

 アクションシーンは、今見るとちょっとショボい。香港映画でも、パンチやキックが当たってないのが見えるぞ。リーのキックする写真をコラージュしたタイトルバックは、ヘタウマが大爆発していて笑えた。全体として、カルトな魅力がいっぱいの1本である。

唐山大兄
ロー・ウェイ監督。1971年香港映画。

2011年8月16日 (火)

クレイジー・ハート (2009)

クレイジー・ハート かつては一世を風靡したカントリー・シンガーのバッド・ブレイク(ジェフ・ブリッジス)だったが、今は場末の酒場でどさ回りを続ける日々。ところが地元紙の記者ジーン(マギー・ギレンフォール)と意気投合、シングルマザーの彼女に心を寄せる。かつての弟子で今は売れっ子のトミー・スウィート(コリン・ファレル)から前座を申し込まれ、旧友のウェイン(ロバート・デュバル)からは新曲を書くことを勧められるが、バッドは交通事故を起こしてしまい…

 トーマス・コッブの原作を映画化。どっかで見たことがあるストーリーだと思ったら、シチュエーションがミッキー・ロークの「レスラー」にものすごく似てるぞ。くたびれた独り身のおっさんの純情。酒におぼれながらの生き様。とっても熱いドラマ。なぜこんなにこの映画が心地よいのかというと、バッドを取り巻く人間模様がとっても暖かいからでしょう。

 離婚して傷つきながらも子育てと仕事で忙殺されるジーンが、強烈に女を感じさせて生々しくて良い。マギー・ギレンフォールってすごくいい女優さんだ。また、かつての弟子であるトミー・スウィートが師匠を気遣って立てるシーンがなんともかっこいい。もちろんコリン・ファレルのカントリー歌手ぶりははまっている。

 決してハッピーエンドではないんだけど、何なんだろう、この見終わったあとのすがすがしさは。小品でいつまで覚えているかわからない映画のような気もするが、あの「レスラー」のようにまた機会があるごとに思い出すような映画だと思う。

CRAZY HEART
スコット・クーパー監督。2009年アメリカ映画。

2011年8月15日 (月)

プレデターズ (2010)

プレデターズ 見知らぬジャングルに落下してきた、特殊部隊の傭兵ロイス(エイドリアン・ブロディ)をはじめとする兵士たち(ダニー・トレホ、トファー・グレイス、アリシー・ブラガ)や死刑囚、医者やヤクザ(ルーイ・オザワ・チャンチェン)たち。実は彼らは最強の獲物として、プレデターたちが世界中からかきあつめて来た者たちだった。かくしてジャングルでの命がけの死闘がスタートするのだったが…

 あの「プレデター」の最新作を、ロバート・ロドリゲスがプロデュースした話題作。最強の兵士たちがいきなり究極の状況に追い込まれるという「ソウ」や「キューブ」を思わせるソリッドステート・ホラーしているところは面白い。さらに、この状況を生き延びてきたというノーランド(ローレンス・フィッシュバーン)が途中参加してきたり、日本のヤクザがからんだりと見せ場もたっぷり。

 面白かったのはヤクザとプレデターの、刀でのタイマン勝負。こういった見せ場と観客の喜ばせ方はロバート・ロドリゲスならではだなあと思ってしまいます。もっともヤクザのコワいところはドスをきかせて凄むところで、プレデター相手にそういったシーンはさすがにありませんでした。微妙に線が細いエイドリアン・ブロディも、筋肉を見せながらがんばってた。アリシー・ブラガも、こういったキャラははまり役です。

PREDATORS
ニムロッド・アーントル監督。2010年アメリカ映画。

2011年8月14日 (日)

プロヴァンス物語 マルセルのお城 (1990)

プロヴァンス物語 マルセルのお城 前作で田舎の別荘で美しい夏を過ごした少年マルセル(ジュリアン・シアマーカ)、父ジョゼフ(フィリップ・コーベール)、母オーギュスティーヌ(ナタリー・ルーセル)、弟ポール(ビクトリアン・デラメア)だったが、町に帰ってからもあの丘のことが忘れられず、クリスマスに別荘へ行き親友リリ(ジュリ・モリナス)とも再会する。母の機転で、別荘の近くに仕事を得た父のために週末だけの別荘通いがはじまったのだが、それには私有地である3つの城を超えなければならなかったのだったが…

 「マルセルの夏」の続編。といってもほとんど同時に撮影されたのか、キャストはもちろんロケ地も雰囲気もそのまんまで、続けて見てもまったく違和感なく楽しむことができた。さらに前作よりもエピソードが増えていて、タカビーな美少女というよりも女王様といった感じのイザベル(ジュリー・ティメールマン)とマルセルの初恋とか、他人の私有地(これがタイトルにもなっているお城)をくぐり抜けるエピソードとかいろいろてんこ盛りで楽しめる。

 しかしこの映画、ふわふわとした居心地の良さにもかかわらず、エピローグに至ってはちょっと奈落の底に落とされるかのような感覚に見舞われました。思い出が美しいほどに、悲しみも深いってことなんでしょうね。

LE CHATEAU DE MA MERE
イヴ・ロベール監督。1990年フランス映画。

2011年8月13日 (土)

バウンティ・ハンター (2010)

バウンティ・ハンター 元警官ながら、今は借金まみれでおちぶれた賞金稼ぎになっちゃったマイロ(ジェラルド・バトラー)。ところが新しく飛び込んできた仕事は、新聞記者で元妻のニコール(ジェニファー・アニストン)を捕まえること。ところが彼女が追っているヤマに、とある殺人事件がからんでいたことから二人まとめて命を狙われることになり…

 いわゆる元サヤもののアクション・ラブコメディ。オープニングの雰囲気といい、90年代にこういった軽いアクション映画って量産されてたなぁって懐かしい気分にさせられた。ボディコン衣装でキュートにがんばってたジェニファー・アニストンと、脂っこさ全開のジェラルド・バトラーのかけあいが何とも笑えるというか、結婚生活が長い者にとってはもうひきつり笑いしかできないようなギャグ満載なのがおもしろい。トイレに歯ブラシを落として喜んでるなんて、セコすぎる!?

 ただしストーリーはお決まりの結末へ一直線なので、ひねりを期待する向きにはあまりおすすめできないかな。スティーヴ・マックィーンの「ハンター」とは対局にある映画かも。

THE BOUNTY HUNTER
アンディ・テナント監督。2010年アメリカ映画。

2011年8月 8日 (月)

月に囚われた男 (2009)

月に囚われた男 エネルギー資源が枯渇した人類は、月にヘリウム3という新たな燃料を発見し、月面に採掘基地を作って地球に資源を送り続けている。そのルナ産業の月面作業員はサム・ベル(サム・ロックウェル)1名とロボットのガーティ(声:ケヴィン・スペイシー)だけで、任期は3年と長い。その任期もあと2週間となり、妻テス(ドミニク・マケリゴット)と娘イヴ(カヤ・スコデラーリオ)との再会を楽しみにするサムだったが、採掘中に事故を起こしてしまう…

 デヴィッド・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズの初監督作品。イギリス製のSFなんだけど、ジェットコースターではなく練り込んだストーリーと雰囲気は結構心に響く秀作である。見終わったあとの感想は、あのSFの名作「サイレント・ランニング」をも彷彿とさせる。

 月でひとり勤務するサムの正体が物語のひとつの山場なんだけど、このあたりは映画の中盤で明かされる。SF好きな人だったら、もっと早くネタが読めてしまうだろう。しかし、そこから先のストーリー展開がこの映画の真骨頂で、サムとロボットのガーティの関係は、なかなか心を熱くさせてくれる。こういう映画って、テレビの深夜放送なんかで偶然見てしまうと何十年もずっと心に残るんだろうなって思わされます。

MOON
ダンカン・ジョーンズ監督。2009年イギリス映画。

2011年8月 7日 (日)

エアベンダー (2010)

エアベンダー 「気」「水」「土」「火」の4つの国に分かれた世界が舞台。水の国に住む兄弟カタラ(ニコラ・ベルツ)とサカ(ジャクソン・ラスボーン)は氷の中から不思議な少年アン(ノア・リンガー)を助け出す。実は彼は4つの世界の均衡を保つ存在である「アバター」だったのだが、同じ頃火の国の王子ズーコ(デヴ・パテル)が軍艦に乗って水の国へ攻め込んでくる…

 アメリカの人気アニメを、M・ナイト・シャマラン監督が映画化。シャマランといえばお約束のどんでん返し。このストーリーに何のハプニングが起こるんだろうかとわくわくしながらラストを待ったんだけど… 何だったんだろう。まぁ、シャマランもごくごく普通の一般商業映画に手を出すようになったってことなんかな。

 平和と秩序と言いながら、何とも物騒な世界を想像したもんだと思います。登場人物たちは、クンフーを思わせる技でひたすら戦い、地は砕け水柱が上がりと神話の世界さながら。待てよ、続編もできそうな流れだったから、これは続編で大変などんでん返しをシャマラン監督は用意しているのだと、勝手に期待してしまうのであった。

 登場人物では火の国の王子がどっかで見た顔だと思ったら、「スラムドッグ$ミリオネア」の主人公の少年だった。彼は演技がどうのこうの言うよりも、独特の存在感が一目見たら忘れられないかも。次回作が楽しみです。

THE LAST AIRBENDER
M・ナイト・シャマラン監督。2010年アメリカ映画。

2011年8月 6日 (土)

プロヴァンス物語 マルセルの夏 (1990)

プロヴァンス物語 マルセルの夏 小学校教師の父ジョゼフ(フィリップ・コーベール)と母オーギュスティーヌ(ナタリー・ルーセル)の間にマルセル(ジュリアン・シアマーカ)は生まれる。やがて弟ポール(ヴィクトリアン・デラメア)や妹が生まれ、さらに同居していたローズおばさん(テレーズ・リオタール)は公園で知り合ったジュール(ディディエ・パン)と結婚して、ある夏にふた家族で田舎の別荘で過ごすことになったのだったが…

 マルセル・バニョルの自伝的小説を、イヴ・ロベール監督で映画化。ほのぼのとした雰囲気の中にもぴりりとした風刺がきいていて、家族について考えさせられるシーンも多く、とっつきやすいが意外に深いフランス映画である。

 少年の目から見た父親像は、こうも立派じゃないといけないのかというのがぐさぐさっときました。それでも、最後は写真のフレームにおさまって、神父とうちとける父親ってのが人間味があっていいです。決めるところは決めて、折れるところは折れてってことかな。

LA GLOIRE DE MON PERE
イヴ・ロベール監督。1990年フランス映画。

2011年8月 5日 (金)

バイオハザードIV アフターライフ (2010)

バイオハザード4 アフターライフ 東京の地下に作られたアンブレラ社の要塞。ここを襲撃したアリス(ミラ・ジョボビッチ)とそのクローンたちだったが、結局アンブレラの黒幕には逃げられてしまう。軽飛行機に乗ったアリスは今度はアラスカにある生存者が集うとされるアルカディアを目指すのだったが、そこでは記憶喪失となった旧友クレア(アリ・ラーター)と出会う。

 3D公開となったシリーズ第4作。もはやゾンビは完全に脇役というか背景の一部となってしまい、物語は極悪アンブレラ社とレジスタンスの戦いに。もっともこの傾向は、第2作あたりから徐々に強まったわけなんだけど。東京が舞台になるのかと思いきや(ゾンビが中島美嘉だとは!?)アラスカへ移り、次は「ドーン・オブ・ザ・デッド」みたいにビルの中(今回はデパートではなく刑務所なのだが)になるのは笑った。さらに本当のラストの舞台は、「ウォーターワールド」みたいですな。

 しかしストップモーション多用というよりも、画面を止めてしまうのはどういうものなんだろうか? 刑務所の上を飛び立った軽飛行機が、ゾンビの上をかすめて飛ぶシーンだけは「おえっ」ですね(笑)。

RESIDENT EVIL : AFTER LIFE
ポール・W・S・アンダーソン監督。2010年アメリカ映画。

2011年8月 4日 (木)

NINE (2009)

NINE イタリア・チネチッタの映画監督のグイド(ダニエル・デイ・ルイス)は新作「イタリア」を準備中。しかし脚本はできあがらず、逃げ込んだホテルへは妻ルイザ(マリオン・コティヤール)と愛人のカルラ(ペネロペ・クルス)がやって来る。さらに彼の妄想は広がり、母親(ソフィア・ローレン)との思い出や幼い日にあこがれた女性サラギーナ(ファーギー)、主演女優のクラウディア(ニコール・キッドマン)、ヴォーグの記者ステファニー(ケイト・ハドソン)、衣装デザイナーのリリー(ジュディ・デンチ)たちへの想いがぐるぐると回るのだったが…

 フェリーニの作品から「8 1/2」「アマルコルド」「女たちの都」あたりをごった煮にしてリメイクしたような映画…と思いながら見たんだけど、ミュージカル版の「8 1/2」をさらに映画化した作品らしい。なるほどなるほど。しかし最初に8 1/2を見た時のような、わけわからないけどカリスマが感じられるような雰囲気は皆無。わけわかんない部分だけがリメイクされちまった感じ。

 さらに言うと、スランプに陥った映画監督に映画としてのおもしろみがまったく感じられないのだ。この映画をどう見たらいいのだろうか。豪華な女優陣の歌と踊り? それでは何とも空っぽだ。

 妖艶なペネロペ・クルスやファーギー、清楚なマリオン・コティヤールと女優陣には見るべきものが多い。しかしラストからすると、ジュディ・デンチが最後に勝利というのは、なかなか深いぞ。

NINE
ロブ・マーシャル監督。2009年アメリカ映画。

2011年8月 2日 (火)

花咲ける騎士道 (2003)

花咲ける騎士道 18世紀のフランス、プレイボーイのファンファン(ヴァンサン・ペレーズ)は女たちを追いかけ回していたが、知り合ったジプシーのアドリーヌ(ペネロペ・クルス)に王女と結婚する運命にあることを告げられる。お調子者の彼は軍隊に志願して、時の国王ルイ15世(ディディエ・ブルドン)に近づこうとするのだったが…

 リュック・ベッソンの製作・脚本による名作映画のリメイク。というわけで、ものすごく軽いフランス映画で、特に軍隊入り乱れる戦闘を皮肉るオープニングシーンはかなりの苦笑もの。当時の戦争って、あんなに軽くみんな命を張っていたのだろうかとびっくりするやらあきれるやら。まぁ、そこがこの映画の持ち味なんだろうけど。

 というわけで、プレイボーイのファンファンはとにかく強くて軽妙で茶目っ気もあって、それが真実の愛に気づくってストーリーなんだからもう見ていて恥ずかしいことこの上ない。やっぱ、ベッソンは「レオン」で燃え尽きちゃったんだろうかと思わざるを得ないです。

FANFAN LA TULIPE
ジェラール・クラヴジック監督。2003年フランス映画。

2011年7月30日 (土)

キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争 (2010)

キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争 脱毛クリームの中に落ちてとんでもないご面相となったキティ・ガロア(声:ベット・ミドラー)は、人間たちとそのペットの犬たちに復讐しようと、犬を狂わせる電波の発信を企てる。これを阻止しようと立ち上がったのが、元警察犬のディッグス(ジェームス・マースデン)、猫のキャサリン(クリスティナ・アップルゲイト)、ハトのシェイマス(カット・ウィリアムズ)だったが…

 犬と猫が裏で超ハイテク文明を持っているという、あのおバカ映画「キャッツ&ドッグス」の10年ぶりの続編。さすがに10年も経過するとストーリーなんて何にも覚えてないんだよなぁ。でも何の問題もなく見られたのは、これがおばか映画たる所以かも。

 初期の007を思わせるタイトルクレジットはにんまりさせられたんだけど、以降の犬と猫のかけあいはどうにも的を外して見るのがしんどくなってくることうけあい。それでもいろんな映画のパロディが詰め込んであるのは、映画好きにはお楽しみかな。別に地球がどっちの肉球に落ちようと知ったことじゃないけど、まぁワンワン・コミュニケーションをたぐればこの映画と似たり寄ったりのことを話し合ってるのかもしれないという気がしてきました。

CATS & DOGS: THE REVENGE OF KITTY GALORE
ブラッド・ペイトン監督。2010年アメリカ映画。

2011年7月29日 (金)

運命のボタン (2009)

運命のボタン アーサー(ジェームズ・マースデン)とノーマ(キャメロン・ディアス)夫婦宅の玄関に、謎の箱が届けられる。中には小さなボックスとひとつのボタンが付いていた。その日の夕方にやって来たスチュワード(フランク・ランジェラ)という男は、ボタンを押すと100万ドルが手に入るが、どこかでひとりの人間が死ぬという。悩んだ末にノーマはボタンを押すのだったが…

 キャメロン・ディアス主演だけにラブコメが入った人間ドラマかと思いきや、なかなかシリアスな展開で面食らってしまった。しかも運命のボタンは背景がどんどん広がっていって、気がついたら宇宙人がらみのSFになっていたり、ストーリーが連鎖していたり、カルトな味付けが何ともいえない余韻を残す。

 ボタンを押してお金が手に入るって単純な物語ではないところがミソ。夫婦の息子がああいう境遇に陥るってのはどう説明したらいいんだろうかとか、どうしてもすっきりしない部分が残ります。スチュワードは単なる従業員であって、あくまでも天使でもないところがミソかな。

THE BOX
リチャード・ケリー監督。2009年アメリカ映画。

2011年7月28日 (木)

ソルト (2010)

ソルト 北朝鮮にスパイとして捕らえられて拷問され、人質交換で上司ウィンター(リーヴ・シュレイバー)に引き取られたソルト(アンジェリーナ・ジョリー)。しかし彼女はロシアのスパイだという嫌疑がかけられ、逃亡したソルトはロシア大統領の命を狙うのだったが…

 話がころころ、ころころと転がっていく2重3重スパイ映画。何でロシア大統領を、何でアメリカ大統領をって風に流れがどんどん変わっていくのがミソ。そこは一本調子な007では見られない、かつて量産された2重スパイ映画の醍醐味であり、さらに「ニキータ」を思わせる恋愛的スパイスを加えたのが良かったのだろう。個人的には最後の最後まで楽しめた秀作である。

 まぁこれ以上書くと、ネタばらしをしそうなのでやめときます。頭を真っ白にして、予備知識なしで見た方が楽しめる映画。

SALT
フィリップ・ノイス監督。2010年アメリカ映画。

2011年7月26日 (火)

カサンドラ・クロス (1976)

カサンドラ・クロス ジュネーブの国際保健機関が襲撃され、危険な細菌をあびたテロリストが大陸横断列車に逃げ込む。事件を重く見たアメリカのマッケンジー大佐(バート・ランカスター)は、列車ごとポーランドの隔離施設へ運び入れようと画策する。列車の乗客であるチェンバレン医師(リチャード・ハリス)をはじめ、別れた妻のジェニファー(ソフィア・ローレン)や、その他の乗客たち(エヴァ・ガードナー、マーティン・シーン、O・J・シンプソン、アン・ターケル、レイモンド・ラブロック他)は異常に気がつき脱出を試みるのだったが…

 「タワーリング・インフェルノ」と同じ頃に公開されたパニック映画だけど、こちらはヨーロッパ製だけにひと味違うのが見どころあり。何たってひとりで悪役を引き受ける(笑)バート・ランカスターの白塗りっぽい顔が不気味で雰囲気満点である。当時のオールスターキャストで固めていて、ソフィア・ローレンがヨーロッパの雰囲気をかもし出しているのもいいね。

 リチャード・ハリスがアクションがんばってるのが拾いもの。これって、先頭車両(1等?)は結局切り捨てちゃってるんですね。「タイタニック」と逆のパターンなんだなと、今更ながらに気がついた。

THE CASSANDRA CROSSING
ジョージ・P・コスマトス監督。1976年イタリア=イギリス合作。

2011年7月25日 (月)

セックス・アンド・ザ・シティ2 (2010)

セックス・アンド・ザ・シティ2 2回目の結婚記念日を迎えたミスター・ビッグ(クリス・ノース)とキャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)だったがプレゼントを交わすも気持ちはすれ違い気味。友人のシャーロット(クリスティン・デイヴィス)は子育てに疲れ、ミランダ(シンシア・ニクソン)は家庭と仕事の両立に悩んでいた。そんなとき、唯一独身で元気なサマンサ(キム・キャトラル)が映画プロデューサーのコネで4人でのアブダビ旅行を持ちかけるのだったが…

 テレビシリーズの映画化第2弾。たぶんテレビでは全員独身だったんだろうけど、今や独身はサマンサだけ。というわけで、海外へいってはじけようというストーリーになっているけど、本当にそれっだけのお話。結婚して何年かして疲れた人たちの共感を呼ぶストーリーにしたかったんだろうけど、2時間半はかなり退屈な時間でありました。

 まぁ見るべきものはゴージャスな雰囲気ぐらいかな。ライザ・ミネリが実名で出て歌い踊ったり、なぜかペネロペ・クルスが登場したりとはっと思わせることも多かったけど、肝心のゴージャスなホテルとか彼女たちのファッションとかはおもしろいなと思いつつも気持ちは空回りするばかり。ニューヨーカーの本音なんかもしれないけど、彼女たちの言動・行動がどうにもしっくりこないってのが正直な気持ちかもしれません。

SEX AND THE CITY 2
マイケル・パトリック・キング監督。2010年アメリカ映画。

2011年7月24日 (日)

続・荒野の七人 (1966)

続・荒野の七人 前作で村の娘と結ばれて農民に戻ったチコ(ジュリアン・マテオス)だったが、村は無法者のロルカ(エミリオ・フェルナンデス)の一味に襲撃され、チコは村の男たちと誘拐されてしまう。知らせを受けたクリス(ユル・ブリンナー)とヴィン(ロバート・フラー)は、救出のために再び7人のガンマン(ウォーレン・オーツ、クロード・エイキンス他)を集めて救出に向かうのだったが…

 有名な「荒野の七人」の続編。これを見るために、実は前作もおさらいしたんだけど、主人公たちは絶体絶命の状態から悪人のおなさけで釈放され、それでも再び戻っていって悪人をやっつけちゃったストーリーがとっても違和感を感じる。悪人も、村人の食いぶちを残してやったり冬は山中で厳しい生活をおくったりと憎みきれない。

 同じ事は、本作のロルカにもいえるようで、息子との葛藤がお話のベースにあるあたりにどうにも憎みきれないというのが困ったところ。なおキャストはユル・ブリンナー以外は一新されていて、ヴィン(前作ではスティーヴ・マックィーン)やチコは別の俳優さんが演じているというあたりが違和感ばりばり。

 シリーズはあと2本あるらしいけど、これまたメンバー入れ替えでかなりのB級作品だという噂を聞く。機会があれば見てみたいものだけど… シリーズを通してテーマ音楽が同じだというのが、せめてもの救いかな。

RETURN OF THE SEVEN
バート・ケネディ監督。1966年アメリカ映画。

2011年7月22日 (金)

プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂 (2010)

P1_g5582728w 古代ペルシャの王は、市場で勇敢な少年ダスタン(ジェイク・ギレンホール)を第3子として養子にとる。若い勇者に成長したダスタンは、兄たちと共に聖なる都アラムートを征服して王女タミーナ(ジェマ・アータートン)を人質とするのだが、叔父のニザム(ベン・キングスレー)の陰謀に陥れられて…

 ジェリー・ブラッカイマー製作のディズニー・アドベンチャーといえば「パイレーツ・オブ・カリビアン」が有名だが、こちらも負けず劣らずのスケールの大きなアドベンチャー大作。しかしそのスケールの大きさの割に意外と盛り上がらなかったのは何でだろう。時間を戻す砂と短剣、といったギミックもおもしろいんだけど、やっぱりキャラクターの魅力がカリビアンよりは一段下だったってところかなぁ。

 それにしても、カリビアンと同じくみんな目の周り真っ黒のメイクは笑えます。「バグダッドの盗賊」(もちろんダグラス・フェアバンクス版ね)を思わせる、城壁を飛んだりはねたりのアクションは結構好きです。

PRINCE OF PERSIA: THE SANDS OF TIME
マイク・ニューウェル監督。2010年アメリカ映画。

2011年7月21日 (木)

オーシャンズ (2009)

オーシャンズ 嵐の大海原からはじまって、海中を舞う魚たちやアザラシ、ホッキョクグマ、鯨やイルカなどの生態をえんえんと綴ったドキュメンタリー。監督・ナレーションはジャック・ペランで、スクリーンにも彼自身が登場する。

 いかにもフランス流ドキュメンタリーって感じで、何ヶ月も何年もかけて撮ったかのような映像が説明もなしにぽんぽんと登場する。何も知らなければ「きれい」「すごい」とかいったひととおりの感想だけで終わってしまいそう。たまたま、ある日本のバラエティ番組でこの映画の追っかけみたいな撮影をやっていて、その映像を撮るのがどれだけすごいかが語られたんだけど、知らなければ知らないでツーと過ぎてしまいそうなもったいなさ、ある意味贅沢さである。

 ジャック・ペランがスクリーンに登場するのもおもしろかった。男の子と一緒なんだけど、あれは彼の子供か孫なんだろうか。そして後半に執拗に繰り返される、クジラやイルカやサメの漁。この部分は作り物(ロボットなどを使用)であることが明記されてはいるんだけど、前半の労作のドキュメンタリーにこんなシーンを加えたら作品全体の質はがくんと落ちるってもの。人間は食べるために殺さなければいけないという永遠のテーマに踏み込んだというのだったら納得もできるけど、どう見ても興味本位に事実を描いているとしか思えない展開である。もう少し、考えてほしかったかな。

OCEANS
ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾー監督。2009年フランス映画。

2011年7月19日 (火)

噂のモーガン夫妻 (2009)

噂のモーガン夫妻 不動産屋のメリル・モーガン(サラ・ジェシカ・パーカー)と、弁護士のポール・モーガン(ヒュー・グラント)は離婚寸前のカップル。何とか復縁したいポールはメリルを食事に誘うのだったが、その帰りに殺人事件の目撃者になってしまう。証人保護プログラムでマンハッタンを後にした二人は、ワイオミングの片田舎でクレイ(サム・エリオット)とエマ(メアリー・スティーンバージェン)の世話になることになったのだが…

 夫の浮気が原因で離婚寸前の夫婦が主人公なんだけど、その浮気の原因が不妊治療という、笑うに笑えない何ともありがちで微妙なシチュエーションがナイスである。で、夫婦の再生がテーマかと思いきや、舞台は思いっきりど田舎に移ってカルチャーギャップものになるところがまた楽しい。都会育ちの人って、ワイルドな田舎へ放り込まれるほど、生命力(?)が弱くて何ともなさけない状況になっちゃうわけですよね。これも見る人によっては笑えないかも。

 ひきつり笑いを繰り返しながらも、サム・エリオットが最後にびしっと決めてくれるところがかっこいい。田舎好きな筆者にとっては、たまらなくいい映画だったってことを付け加えておこう。

DID YOU HEAR ABOUT THE MORGANS?
マーク・ローレンス監督。2009年アメリカ映画。

2011年7月18日 (月)

ユニバーサル・ソルジャー リジェネレーション (2009)

ユニバーサル・ソルジャー リジェネレーション ロシア首相の子供たちが過激派のトポフ(ザハリーバハロフ)に誘拐される事件が発生。犯人はNGUと呼ばれる新型のユニバーサル・ソルジャー(ユニソル)を操っていた。これに対抗するために、かつてのユニソルであったリュック(ジャン・クロード・ヴァン・ダム)たちがアメリカから呼び出されたのだったが、その前にかつてのライバルのアンドリュー(ドルフ・ラングレン)が立ちふさがる。

 過激派が首相の子供を盾にチェルノブイリ原発に立てこもるという、とんでもないストーリーである。事故や自然災害に加えて、原発は運転するならテロリストにも備えておかなくちゃいけないという、この映画は海外では当たり前とも思える警鐘なのかも。

 もっとも映画のできは散々で、唯一見られるのはヴァン・ダムとドルフ・ラングレンの何年かぶりの共演って部分でしょう。しかも双方、かなり老けてしまっていて、時間の流れというものを切々と感じさせるところが憎い。なお監督のジョン・ハイアムズはあのピーター・ハイアムズの息子らしく、お父さんも撮影監督として参加してます。

UNIVERSAL SOLDIER : REGENERATION
ジョン・ハイアムズ監督。2009年アメリカ映画。

2011年7月14日 (木)

ユニバーサル・ソルジャー ザ・リターン (1999)

Blu29201 前作から7年。リュック(ジャン・クロード・ヴァン・ダム)は娘を得たが妻を失い、新型ユニバーサル・ソルジャー(通称ユニソル)の開発に携わっていた。ところがメインコンピューターのセスが反乱を起こし、自らを新型ユニソル(マイケル・ジェイ・ホワイト)の頭脳に埋め込んで人類に宣戦布告する…

 娘を育てるリュック、なぜか失った愛妻(肺がんかも?)と涙腺を刺激しそうな設定をいろいろ用意しながら、それが全然生かされていないストーリーは何なんだろう。またコンピューターの反乱という今となっては古典的なメインストーリーが用意されているけど、残念ながらこのセスってキャラはちまちまとした戦いを繰り広げるだけで妙に頭が悪い。これじゃ世界征服なんかできないんじゃない(その気もないかもしれないが)?

 ともかく「ユニソル」なんてかわいらしい愛称が付いたところでアウトだったのかも。続編として、ジャン・クロード・ヴァン・ダムが降りなかったところがせめてもの救いかな。

UNIVERSAL SOLDIER : THE RETURN
ミック・ロジャース監督。1999年アメリカ映画。

2011年7月13日 (水)

ユニバーサル・ソルジャー (1992)

ユニバーサル・ソルジャー ベトナム戦争で錯乱して虐殺をはじめた米兵スコット(ドルフ・ラングレン)を止めようとしたリュック(ジャン・クロード・ヴァン・ダム)だったが、同士討ちになる。それから25年後、ある極秘実験で肉体を強化された上で蘇生させられた二人だったが、失われたはずの記憶が戻り、リュックはテレビレポーターのヴェロニカ(アリー・ウォーカー)と共に逃走することになるのだったが…

 封切り時に見て、最低最悪の映画だと話題になった作品。カロルコがターミネーターでもうけた金を全部突っ込んでコケたとか、オライオン倒産の原因になった映画だとかいろいろ言われていたような気がするけど本当かな(未確認情報)。どっちにしてもおかしな映画だというのは確かで、久しぶりに再見してみたけど(続編が見たかったから、本編を思い出したかった)、ターミネーターを期待して見ちゃだめだけど、ヴァン・ダムやラングレン主演のB級アクション映画だと思って見たら及第点。

 肉体的に強靱だという意外に、ソルジャーたちに秘密兵器も得意技もないあたりが決定打。まぁ二人の空手チャンピオンの対決が拝めるのだから、良しとしようかって感じ。大作ずっこけ映画を得意とするローランド・エメリッヒの長編デビュー作らしい。ヒロインのアリー・ウォーカーは嫌いではないんだけど煙草ばっかり吸っているところがうっとうしい。

UNIVERSAL SOLDIER
ローランド・エメリッヒ監督。1992年アメリカ映画。

2011年7月11日 (月)

ジョン・レノンの僕の戦争 (1967)

ジョン・レノンの僕の戦争 第2次大戦のヨーロッパ戦線に出兵した兵士たち(マイケル・クロフォード、ジョン・レノン、ロイ・キニア)。戦場にクリケット場を作れだの、理不尽な命令に翻弄されながらも、いかにして戦ったかをコメディタッチで描いた映画。

 タイトルにジョン・レノンが入っているけど、彼は完全な脇役どころか牛乳を盗んで追いかけ回されるようなすっとぼけたキャラクターとして登場。主人公のマイケル・クロフォードもどこか足りないキャラクターで、笑えないギャグを連発する。こりゃ、何なんだろう。

 ビートルズ映画でおなじみのリチャード・レスター監督作なんだけど、ビートルズ映画もひょっとして音楽部分を全部抜いてしまったらこういう映画になっちゃうんじゃないかと思ってしまいました。シュールなんだけど笑えない。ジョン・レノンも後に「イマジン」を作る人とは思えない。それだけに一見の価値がある映画なのかもしれないが。劇場未公開。

HOW I WON THE WAR
リチャード・レスター監督。1967年イギリス映画。

2011年7月10日 (日)

インセプション (2010)

インセプション 他人の夢に忍び込んで情報を盗み出すスペシャリストのコブ(レオナルド・ディカプリオ)。ある事件から妻モル(マリオン・コティヤール)を亡くし、自身も指名手配されているコブは、すべてを精算するために新しい仕事を世界的エネルギー企業の責任者サイトウ(渡辺謙)から引き受ける。それは、エネルギーで世界制覇を狙うライバル企業の次期社長ロバート(キリアン・マーフィー)の夢に忍び込み、ある考えを植え付けるインセプションと呼ばれる危険な仕事だった…

 プロのチームで他人の夢に忍び込みコトを働くという、とんでもないアイディアをぐわっとふくらませた映画。いわゆる「世界観」ものであり、その世界観をどれだけの観客にわからせるかで半分ぐらい勝負は決まりそうな映画なんだけど、これってうまく処理されてるけどやっぱり半分ぐらいの観客は置いてけぼりにされそうな気がするぞ。

 というわけで、自分が理解しているのか置いてけぼりにされたのかさえもわからずに感想を書いているわけだが、少なくとも夢を設計するという部分と、4階層になった夢(夢の中の夢の中の夢の中の夢、ですな)とそれぞれの時間の流れる早さが違うという設定はおもしろかった。それをサスペンスフルにまとめてしまうあたりは、監督の力量を感じます。

 マリオン・コティヤールはさすがフランスのトップ女優だけに、どんどんいい女にグレードアップしていくような気がします。渡辺謙もこんな映画にこんな役で出るようになるなんて、本当にがんばってますね。しかも独特のオーラを出しまくりだし。調合士ユスフことディリープ・ラオ(インド系?「スペル」に出てた)や、相棒のジョセフ・ゴードン・レヴィットなんかも味があって印象に残ります。もうひとりのヒロインであるエレン・ページが「ジュノ」の主演女優だということは、だいぶ後で気がつきました(笑)。

INCEPTION
クリストファー・ノーラン監督。2010年アメリカ映画。

2011年7月 7日 (木)

ジェニファーズ・ボディ (2009)

ジェニファーズ・ボディ 美人で派手好きなジェニファー(ミーガン・フォックス)と地味なアニータ(アマンダ・セイフライド)は仲良しの女子高生。アニータにはチップ(ジョニー・シモンズ)というボーイフレンドがいる。ある日町のダンスパーティにローショルダーというバンドがやって来るが、彼らは実は悪魔信仰があり、ジェニファーは儀式のいけにえとなってしまう。戻ってきたジェニファーには悪魔がとりつき、回りの人間を食い殺していくのだったが…

 学園ホラー映画だけど、半端じゃないスプラッタ表現はなかなかのもの。タイトルがジェニファーの体とあるように、セクシー表現もちりばめられているんだけどそこはVシネマレベルである。トランスフォーマーシリーズで人気が出たミーガン・フォックス目当てに見るのであれば、まぁまぁ妥当な映画でしょう。

 個人的にはめがねで丸顔のアマンダ・セイフライドの方が好みかも。どこかで見た顔かと思ったら、「マンマ・ミーア」の彼女だった。「マンマ・ミーア」では思ったほど華がないなぁなんて思ったんだけど、彼女はこういった地味目な役柄の方が似合っているのかも。

 しかし、オープニングの刑務所のシーンとか、ラストの襲撃シーンとかは彼女のただものでなさを感じさせてくれます。あ、何かアマンダ・セイフライドの事ばっかり書いてしまった。

JENNIFER'S BODY
カリン・クサマ監督。2009年アメリカ映画。

2011年7月 6日 (水)

アイアンマン2 (2010)

アイアンマン2 自らアイアンマンであることを明かしたトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)だったが、リアクターの副作用によって体が蝕まれて、自暴自棄な日々を送る。同じ頃、トニーの父に恨みを持つウィップラッシュ(ミッキー・ローク)は公道レース開催中のモナコでパワードスーツを着て暴れてトニーに宣戦布告。トニーは新しい秘書(スカーレット・ヨハンソン)を雇い、社長をポッツ(グウィネス・パルトロゥ)に譲るのだったが…

 コミックが原作のシリーズ第2作。いろいろとおかずを積み上げたけどぐちゃぐちゃの寄せ鍋状態になっちゃったって感じで、肝心の美女2人もかなりもったいない扱いである。もっともラスト近くのスカーレット・ヨハンソンの暴れっぷりは一見の価値があるけど、本筋に食い込んでいるのかといえば微妙な感じである。

 うらぶれた親父役で本領を発揮するミッキー・ロークが本作では拾いものではあったが、彼もどう見ても逆恨み親父である上に同情の余地が少ないのがつらいところ。同情といえば、この武器産業を全面的に肯定する映画の雰囲気が苦手…というのが最大の敗因かなぁ。武器の新製品を見て歓声を上げる観客というのが、どうにも理解できないです。

IRON MAN 2
ジョン・ファヴロー監督。2010年アメリカ映画。

2011年7月 4日 (月)

あの日、欲望の大地で (2008)

あの日、欲望の大地で レストランに勤めるシルヴィア(シャーリーズ・セロン)は、同僚のコックと不倫中。そこへやってきた謎の男性と少女マリア(テッサ・イア)に心を動かされる。一方、トレーラーハウスで密会する主婦ジーナ(キム・ベイシンガー)とニック(ヨアキム・デ・アルメイダ)は不意に上がった火の手で命を落とす。残された2家族は激しく憎み合うのだったが…

 ほぼ3つのストーリーが徐々に1本にまとまっていく、パズルみたいな映画。最後のピースがパチンとはまった時が快感ですね。これだけややこしそうな話を時間軸までずらして構成しているのに、ごちゃごちゃにならないのは構成のうまさだと思う。ネタバレになるのであまり多くは書けないけど、シルヴィアの生きてきた歴史、そしてサンティアゴの生きてきた歴史が心に響きます。いい映画だと思う。

 どこかしら「21グラム」や「バベル」に作風が似てるな、と思ったら、同作品の脚本家の初監督作品らしい。なるほど、なるほど。ただし唯一難点を言えば、現在と幼少時代を別の俳優が演じているので、そのイメージが違うのが、パズルがぱちんとはまる邪魔をしたってことかな。

THE BURNING PLAIN
ギジェルモ・アリアガ監督。2008年アメリカ映画。

2011年7月 3日 (日)

山猫 (1963)

山猫 1860年代のイタリアはシチリア。島を統治していた貴族サリーナ公爵(バート・ランカスター)だったが、統一運動の革命の波に揺れる。ところが彼の甥のタンクレディ(アラン・ドロン)は革命軍に身を投じた上に、従兄弟のアンジェリカ(クラウディア・カルディナーレ)に言い寄る。彼のように流れにまかせた生き方ができないサリーナ公爵は苦悩するのだったが…

 ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランベドゥーサの原作による重厚なる貴族映画。よく監督のルキノ・ヴィスコンティが貴族出身であることが取り上げられる、雰囲気勝負みたいな貴族映画なのだが、貴族に興味のない身にとってはストーリーはかなり退屈である。強いて言えば好みのクラウディア・カルディナーレを楽しもうかとも思ったんだけど、美しいけど近づけないという高嶺の花を見事に演じたといった感じ。これが貴族が貴族たる所以なのか?

 ところでバート・ランカスターってアメリカの俳優さんですよね。なぜにこの頃は、ヨーロッパ映画にシチリア貴族の役で出てたんだろう? 彼自身がイタリア系なのかな。

IL GATTOPARDO
ルキノ・ヴィスコンティ監督。1963年イタリア=フランス合作。

2011年6月27日 (月)

レポゼッション・メン (2010)

レポゼッション・メン アメリカが経済崩壊した近未来が舞台。ユニオン社の人工臓器で人々は延命することができるようになったものの、高額な故にひとたびローンがこげつくと回収人ことレポ・メンが臓器を取り返しにやって来る。そのレポマンのレミー(ジュード・ロウ)とジェイク(フォレスト・ウィテカー)はいつもどおりに回収業務を行っていたが、家族の反対で仕事を営業に変えるように上司のフランク(リーヴ・シュレイバー)にたのみに行くのだったが…

 エリック・ガルシアの原作を映画化したスプラッター未来SF。いわゆるローン地獄を描いたストーリーなんだけど、借金のカタに持って行かれるのが自分の臓器で、しかも否応なく生きたまま切り刻んで持って行かれてしまうんだからこれはたまったもんではありません。以前に保険調査官の非道を描いた映画がありましたが、これも似たようなテーマで、もうけるためなら何でもありという資本主義の歪みを描いた作品です。といっても、このアクション&スプラッタ描写はそういう高尚なことを考える余地がありません。

 出演の3人(ジュード・ロウ、フォレスト・ウィテカー、リーヴ・シュレイバー)がそれぞれくせ者でいいですね。アリシー・ブラガのラテンの魅力も結構好きかも。しかしラスト近くの切り刻みながら臓器回収シーンは痛かったぞ。いつもいい人のフォレスト・ウィテカーだけど、今回だけは微妙。できれば夢のまま終わらせてあげたかったところ。まぁ改心したとはいえ、レポマンが主人公では無理かな。

REPO MEN
ミゲル・サボチニク監督。2010年アメリカ映画。

2011年6月26日 (日)

戦慄迷宮 (2009)

戦慄迷宮 10年前、閉鎖したお化け屋敷に肝試しで入った仲良しの少年少女(柳楽優弥、蓮佛美沙子、前田愛、他)だったが、そのうちのひとりのユキが螺旋階段から転落する。それから10年、再びお化け屋敷での事故が起こり…

 富士急ハイランドの人気アトラクションのお化け屋敷を、清水崇監督で映画化。劇場では3D公開だったそうだが、今回は2Dで鑑賞。そのせいか、怖さは10分の1ぐらい縮小されてるんじゃないかなぁなんて想像される内容である。見るならやっぱり、大画面+3Dでないと正当な評価は難しいかも。

 内容はホラーというよりもファンタジーに近く、いわゆる「ファンタズム」みたいな不条理なワールドをえんえんと繰り返してみせられるといった感じ。それはそれでカルト好きにはおもしろいんだけど、呪怨ほど怖くはなく、カルトとしても煮え切らずどっちつかずに終わってしまった。

 あの柳楽優弥がホラー初挑戦ってことだったんだけど、彼ってもっと演技うまかったんじゃなかったかってこれまた首をひねることしきり。向いてないのかな。終わってみて印象に残ったのは、赤い螺旋階段だけってのも寂しいぞ。

清水崇監督。2009年日本映画。

2011年6月22日 (水)

恍惚の人 (1973)

恍惚の人 立花茂造(森繁久彌)は妻を失ってからボケが進み、ついには息子信利(田村高廣)の嫁の昭子(高峯秀子)しかわからなくなる。突然奇声を発して飛び出して行ったり、夜寝ずに暴れたりと、介護する昭子の疲労は極限に達するのだったが…

 有吉佐和子のベストセラー小説を、豊田四郎監督がモノクロで映画化。筆者の母がこの小説も映画も見ていて、排泄物を畳になすりつけるという描写を聞かされていて結構頭の中に残っていたんだけど、ついに映像を見ることができたといった感じ。もっともこういった認知症に取り組んだ映画としてはパイオニア的存在であり、後の「花いちもんめ」や「ふるさと」などを見ている身としてはあまりにも話がストレートでひねりがなく、正直物足りなかった部分はある。

 しかし正攻法で描いているだけに、肝心なところで微妙に逃げている息子の信利とか、意外に健闘している孫の敏(市川泉)とか、今時の若者(当時)でありながら意外と常識人でおじいちゃんに優しいカップル(伊藤高、篠ヒロコ)とか、いろんな人物がしっかりと見えてきたのは良かったと思う。おせっかいおばさんの乙羽信子も、印象的なキャラ。

 悪戦苦闘の末に、鳥かごを前に呆然と涙を流す高峰秀子って心に残る。

豊田四郎監督。1973年日本映画。

2011年6月21日 (火)

裸で御免なさい (1956)

裸で御免なさい 匿名でベストセラー作家になったアグネス(ブリジット・バルドー)は実はお堅い将軍の娘。しかしこの件で父と仲違えをしたアグネスは、バルザック博物館で働く兄ユベール(ダリー・コール)を頼って家出する。道中の列車内で、新聞記者でプレイボーイのダニエル(ダニエル・ジェラン)と知り合いになったアグネスだったが…

 ブリジット・バルドーの初期のライトコメディで、ロジェ・ヴァディムが脚本。というよりも、刺激的なタイトルで私が子供の頃にはよくテレビの深夜放送で流れていたモノクロ映画である。なぜ裸かというと、金に困ったアグネスがストリップのコンテストに出場するシチュエーションから来ているのだけど、残念ながらブリジット・バルドーの露出はほとんどなし。そういう目的で見るなら、昨今のVシネマでも見ていた方がよっぽどましであろう(笑)。

 吹き替えで見たほうが楽しめそうなレトロ感たっぷりのコメディなんだけど、この頃のブリジット・バルドーってのは本当に可愛くて目の保養といった感じ。何であんなプレイボーイとくっついてしまってハッピーエンドなのかと、理解に苦しむストーリーではあるが。

EN EFFEUILLANT LA MARGUERITE
マルク・アレグレ監督。1956年フランス映画。

2011年6月20日 (月)

セイント (1997)

セイント 幼少時の孤児院での事故がトラウマとなっているサイモン(ヴァル・キルマー)は、今は名前を隠して強奪のプロとして名を上げている。ところがロシアのエネルギー危機を救うという低温核融合の技術を、(エリザベス・シュー)から盗む仕事を引き受けたまではよかったのだったが…

 トマス・モアなどいくつもの聖人の偽名を持つ怪盗セイントの活躍を描いた、テレビシリーズ(ロジャー・ムーアが主演してたらしい)の映画化。ヴァル・キルマーの変装が見物で、くたびれた親父から掃除のおばちゃんまで楽しそうに演じている。とはいっても、設定では彼は幼少時の事故から心に傷を負っているはずなんだけど、そんなことは映画を見ているうちに忘れてしまった。

 しかしヴァル・キルマーって今見直すと、かなり濃い顔立ちで何に変装しても実はばれてしまってるんじゃないかって思ってしまいます。恋する乙女を演じるエリザベス・シューも博士っぽくなくてミスマッチで可愛くていい。最近あまり見なくなったのが気になる女優さんです。ところで、悪人はロシアの石油を全部自宅の地下に隠していたってどういうこと? 彼は秘密の地下石油コンビナートの上に住んでいたのか?

THE SAINT
フィリップ・ノイス監督。1997年アメリカ映画。

2011年6月18日 (土)

エルム街の悪夢 (2010)

エルム街の悪夢 エルム街の高校生ディーン(ケラン・ラッツ)は夢に出てくるかぎ爪を持った男フレディ(ジャッキー・アール・ヘイリー)に悩まされる。そして、ついに夢の中で襲われるのと同時に自分の首をかっ切って死んでしまう。同じ夢に悩まされるナンシー(ルーニー・マーラー)、クリス(ケイティ・キャシディ)、クエンティン(カイル・ガルナー)、ジェシー(トーマス・デッカー)たち同級生は、眠るとフレディに襲われるということを悟るのだったが…

 ウェス・クレイヴン監督の有名なホラーシリーズをマイケル・ベイがリメイク映画化。「13日の金曜日」もそうだったけど、何で今更再映画化なんて気がするのは正直なところ。あの頃から比べたら技術も進歩しているんだけど、前作が記憶の彼方に行っちゃってるだけに何が違うのかがさっぱりわからない。もっともフレディという男の生い立ちがしっかり描写されているので、13日の金曜日よりはストーリーの完成度は高いような気がしたが。

A NIGHTMARE ON ELM STREET
サミュエル・ベイヤー監督。2010年アメリカ映画。

2011年6月15日 (水)

ショコラ (2000)

ショコラ フランスのある村に流れ着いて来たヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)と娘のアヌーク(ヴィクトワール・テヴィソル)はチョコレートショップをオープンする。彼女のチョコの不思議な魅力に取り付かれたアルマンド(ジュディ・デンチ)やジョゼフィーヌ(レナ・オリン)らは店で憩うようになるのだが、保守的な村の上に宗教上の断食の時期だっただけに村長のレノ伯爵(アルフレッド・モリーナ)はおもしろくない。やがて、ルー(ジョニー・デップ)をはじめとする船に乗ったジプシーの一団がこの村に流れ着く…

 フランスの美しい村を舞台にした物語。封建的な村で、因習と戦うという図式は、最近見た「マルタのやさしい刺繍」と同じテーマですね。ただしこちらは流れ者が主人公というのが違うのですが、すっかり魅力的なおばさんになったジュリエット・ビノシュの存在感が抜群で、非常に心地よく見ていられる癒やし系の映画となっています。

 そういえば、途中でああなってしまう重鎮?ジュディ・デンチも「マルタ~」で同じ役回りの女性がおりました。中年と子供ばっかり出てくるってのも同じ。ジョニー・デップは中盤から登場だけど、完全にスパイス扱いでいい場面だけさらっていった感じ。

 映画自体は因習とどう付き合って生きるか、なんてのがテーマなのかもしれないけど、この村みたいに忍耐することが目的になっちゃダメですね。ところでクレジットに懐かしのレスリー・キャロンが出てくるんだけどどこに登場したんだろう?

CHOCOLAT
ラッセ・ハルストレム監督。2000年アメリカ映画。

2011年6月14日 (火)

ポリス・ストーリー3 (1992)

ポリス・ストーリー3 香港警察のチェン(ジャッキー・チェン)は、麻薬王チャイバ(ケン・ツァン)を捕らえるための危険な潜入捜査に志願する。中国の杭州へ渡り、労働刑務所から、チャイバの弟分のパンサー(ユン・ワー)を脱獄させて、中国警察のヤン(ミシェル・ヨー)と一味にもぐりこんだのまでは良かったのだったが…

 ジャッキー・チェンの代表するスーパーアクションシリーズの第3作。今回は中国本土へ渡り、カーチェイスや市街戦、そしてヘリコプターによるアクションを交えて本来のスケールに戻ったのが売り。さらに出演者も後にボンドガールとなったミシェル・ヨーを加え、恋人役のマギー・チャンもストーリーの重要な部分にからむなど見応えたっぷりに作られている。

 元気のよかったころの香港映画ってやっぱりすごかったんだなぁって再確認。ジャッキーもミシェル・ヨーも文字通り体を張ってがんばってます。

POLICE STORY III : SUPER COP
スタンリー・トン監督。1992年香港映画。

2011年6月13日 (月)

ポリス・ストーリー2 九龍の眼 (1988)

ポリス・ストーリー2 香港でショッピングセンターの爆破事件が発生。犯人グループは、大企業相手に身代金の支払いを要求してくる。凄腕だが器物損壊でお騒がせのチェン刑事(ジャッキー・チェン)は交通課に配属になっていたが、この犯人グループを捕まえるために、恋人のメイ(マギー・チャン)と休暇を取ろうとしていたところを呼び戻されるのだったが…

 実はこのシリーズは「1」だけしか見てなかったことを思い出し、改めて2以降を鑑賞。なら1もおさらいしとけよなって言われそうだけど、あの村を破壊するシーンが冒頭でフラッシュバックされて「ああ、あれか」と思い出したらそれ以上の知識は不要でした。シンプルな筋立てなので、迷うところはありません。

 しかし、爆弾犯を相手にしながらも肝心のアクションはかなりトーンダウンといったところ。特にラストを廃工場に持って行ったところが、「西部警察」なんかを思い出してちょっとしらけてしまった。敵もイマイチ強いのがいない(あばあばギャグをかましているのはいたが)のも残念。ジャッキーとマギーのかけあいは面白いのに、かなり惜しいです。

THE POLICE STORY II
ジャッキー・チェン監督。1988年香港映画。

2011年6月12日 (日)

ジャージの二人 (2008)

ジャージの二人 32歳、無職の息子(堺雅人)と52歳のカメラマンの父(鮎川誠)が避暑に山荘へやって来る。古着のジャージを着て気ままに過ごす二人だったが、息子は妻(水野美紀)とうまくいってなかった。1年後、再び山荘を訪ねた二人だったが、今度は娘の花子(田中あさみ)もやって来て…

 シーナ&ロケッツの鮎川誠主演のゆるゆるドラマ。別荘生活というと聞こえがいいけど、昭和に取り残されたかのような山荘のスローライフをひたすらゆるゆると描く。個人的にはこういう父子関係がなかっただけに、ちょっぴりうらやましいんだけど鬱陶しくないんだろうかといろんな思いが頭によぎる。しかし、すねに傷持つ親子ってのはこういうシンパシーがつながってるんかなとも思う。なんせ、親はロッカー(笑)じゃなくて、カメラマンだもんな。

 携帯電話のアンテナのエピソードとか、ジャージに書いてある小学校の名前とか(親戚に先生でもいたのか?)、面白いエピソードがゆるゆるとつながっているので飽きずに最後まで見ることができた。花ちゃんは登場時には何者かと思ったんだけど、これがまた家族に見えないところが成功なのか失敗なのかわかんないな。涼しい以外に何にも取りえがない別送ってのは、うちの田舎といっしょ。もっともこういう良質の人間関係があるってのは、山荘のメリットとして箇条書きにできないもんだけどね。

中村義洋監督。2008年日本映画。

2011年6月10日 (金)

アリス・イン・ワンダーランド (2010)

アリス・イン・ワンダーランド 19歳になったアリス(ミア・ワシコウスカ)は、貴族の男性からプロポーズされる。返事に困ってその場を去ったアリスは穴に落ち、かつて夢に見たワンダーランドへ。マッドハッター(ジョニー・デップ)と白の女王(アン・ハサウェイ)は、彼女こそが赤の女王(ヘレナ・ボナム・カーター)と怪物ジャバウォッキー(クリストファー・リー)と対決しうる救世主だと歓迎するのだったが…

 「Dr.パルナサスの鏡」と続けてみたんだけど、やっぱりティム・バートンとテリー・ギリアムの世界はあきらかに違う。ティムの方が万人受けというか気軽に見られる雰囲気なんだけど、ある種の軽さがただよう。これがハリウッド的なんかな。  アリスの話自体が荒唐無稽なもんで、どれだけ原作に忠実かわからないんだけど、とりとめもなくて思ったほど感情移入できなかったのが残念なところ。ヘレナ・ボナム・カーターを顔の具以外は原型を残さずいじっちゃった赤の女王とか、なんとも不気味な双子とか、病的に白いアン・ハサウェイとかキャラクターの立て方は秀逸で印象に残るんだけど、ストーリーの方が頭に残らないってのは致命的かな。

 そういや、主演のアリス(新人)も微妙な感じで、個人的好みでは子役の方のアリスの方が可愛かったかな。主人公が意外と苦労していて、インスタント・ファンタジー(最近私が作った造語)みたいになってないのは良かったと思うぞ。

ALICE IN WONDERLAND
ティム・バートン監督。2010年アメリカ映画。

2011年6月 7日 (火)

Dr.パルナサスの鏡 (2009)

Dr.パルナサスの鏡 パルナサス博士(クリストファー・プラマー)は娘のヴァレンティナ(リリー・コール)やこびとのパーシー(ヴァーン・トロイヤー)を引き連れて、心の中が見える不思議な鏡の見世物を行う旅芸人。旅の途中で、橋に吊されているトニー(ヒース・レジャー)を助けて仲間に引き入れる。実は博士は悪魔のニック(トム・ウェイツ)と取引をしていて、永遠の若さとひきかえに娘の16歳の誕生日に、彼女を悪魔に引き渡すことになっていたのだが…

 撮影中にヒース・レジャーが亡くなって、鏡の中のトニーをジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルが演じて完成させたといういわくつきの作品。実はそういう事情は知らずに見たものだから、あれ、何でジョニー・デップ? う、今度はジュード・ロウじゃんって大混乱してしまった。やっぱ映画を見る前には最低限の予備知識はあった方がいいかも。

 映画自体も、ティム・バートンの映画かと思って途中まで見てしまったんだけど(ジョニー・デップも出てるし)何かが違う。作風変わったなと思いつつ最後のクレジットでテリー・ギリアムだとわかって疑問が氷解した私は大馬鹿者です。でもこういう悪夢のぐちゃぐちゃワールドはテリー・ギリアムの方が本家だという認識があります。最近彼の映画をとんと見てなかったもんで、すっかり忘れ去ってしまってましたが。

 ストーリーも映像にぴったりの悪魔と取引ものですが、不思議少女のリリー・コールの魅力によるところが大きい映画です。彼女が可愛いと思えるかどうか、あるいは守ろうという気になるかどうかが評価の分かれ目かな。私は結構、リリー・コールという名前が頭にすりこまれてしまいましたが。

THE IMAGINARIUM OF DOCTOR PARNASSUS
テリー・ギリアム監督。2009年イギリス=カナダ合作。

2011年6月 6日 (月)

新・平家物語 (1955)

新・平家物語 平安時代末期、西海の海賊征伐から帰った平忠盛(大矢市次郎)とその息子清盛(市川雷蔵)だったが、貴族や公家の対応は冷たく馬を売って祝宴を開く始末。その後清盛は、自分たちをかばってくれた藤原時信(石黒達也)を訪ね、その娘の時子(久我美子)にひかれる。そして、市場で商人の伴卜(進藤英太郎)から自分の出生の秘密をきいて愕然とするのだったが…

 市川雷蔵の出世作、そして溝口健二の末期の作にあたる「新、平家物語」を初見。新・平家物語といえば、子供の時に見た大河ドラマの印象がものすごく強いんだけど、記憶に残っているのは平家が落ち武者になって西へ西へと逃げていくエピソードと、清盛が亡くなるシーンがメイン。この初期の平家の物語ってのは、まったく別物という気がいたしました。

 評価の高い「ミゾグチ」は芸術映画という先入観が強いんだけど、これを見る限り「クロサワ」と同じく娯楽大作といった趣。特にモブシーンなんかはなかなかスペクタクルしていて、大作映画だったんだなぁと思わせてくれます。合戦のシーンがないのもミソで、清盛が弓を射るだけで比叡山の僧兵たちが逃げていくシーンなんかは、意外と史実に忠実なんじゃないだろうかと思わせてくれます。

 しかし、これだけで終わってしまうのはさすがにもったいない。清盛が「暗いのぉ」と言いながら没するシーンまで見せてもらいたいもんです。

溝口健二監督。1955年日本映画。

2011年6月 3日 (金)

パーフェクト・ゲッタウェイ (2009)

Tbr20221d 新婚旅行でハワイにやってきたクリフ(スティーヴ・ザーン)とシドニー(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は、トレッキングをしながら人里離れたビーチを目指す。ところが、カップルを狙った猟奇殺人が起こったというニュースが入り、二人はケイル(クリス・ヘムズワース)とクレオ(マーリー・シェルトン)というカップルと行動を共にするのだったが…

 犯人捜し型のサスペンス。ハワイといえども密林の中では結構密室に近く、はらはら・どきどき感はなかなかのもの。3組のカップルの中から誰が犯人だ…というのがストーリーの全てなんだけど、昔から言うこういう犯人捜しものの定番という結末にちょっとだけがっかり。まぁ、6人しかいないわけだからその中で犯人なんて、意外性を持たせるのは難しいとは思うんだけど。

 主人公のザーンの見せ方が秀逸で良かった。こいつ大丈夫かと思わせるたよりなさが、ひっくり返る瞬間が秀逸。ミラ・ジョヴォヴィッチに至っては、美女にかかわらずラスト近くの表情がこれまた彼女の醍醐味ですね。ハワイといっても結局はアメリカなんだから、あんまり人のいないところには足を踏み入れるべきではない、なんて思わされてしまいました。

 そうそう、「パーフェクト・ワールド」と「ゲッタウェイ」を足したようなタイトルは、B級っぽくてかなり損していると思うぞ。

A PERFECT GETAWAY
デヴィッド・トゥーヒー監督。2009年アメリカ映画。

2011年6月 2日 (木)

パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 (2010)

パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 高校生のパーシー・ジャクソン(ローガン・ラーマン)は、母親のサリー(キャサリン・キーナー)とさえない義理の父との3人暮らし。ところがある日友人のグローバー(ブランドン・T・ジャクソン)やブルナー先生(ピアース・ブロスナン)はクリーチャーで、自らもギリシャ神話の神ポセイドン(ケヴィン・マクキッド)の息子だと知る。さらにポセイドンとゼウス(ショーン・ビーン)やハデス(スティーヴ・クーガン)の兄弟喧嘩に巻き込まれ、ゼウスの稲妻を奪った疑いをかけられるのだったが…

 ギリシャ神話を現代に持ってきたファンタジーで、かなりのライト感覚で作られた映画。よって主人公の巻き込まれ方も非常に軽く、突然すごい能力を発揮してしまう高校生パーシー。訓練学校なんてものは存在してるんだけど、これも突然剣を渡されてチャン・チャン・バラ・バラ。うーむ。

 すべてがゲーム感覚でとんとんと進んでいくのがどうにも納得できなかったんだけど、それが今風のファンタジーだといえばそれまでなのか。クリス・コロンバス監督だけに、初期のハリポタシリーズが連想させられるけど、こちらの方が数段軽いです。

 ただし出てくる俳優は妙に豪華で、ピアース・ボロスナンのケイロンとか、ユマ・サーマンのメデゥーサなんて凄いキャスティングだと思うぞ。特にユマ・サーマンの首はインパクト大で、これは「学校の階段」の岸田今日子のろくろ首(どんなたとえや!)に匹敵する恐ろしさだと思うのであった。

PERCY JACKSON AND THE OLYMPIANS: THE LIGHTNING THIEF
クリス・コロンバス監督。2010年アメリカ映画。

2011年5月31日 (火)

レギオン (2010)

レギオン 地上に墜ちてきた天使ミカエル(ポール・ベタニー)は自らの首輪をはぎとり、パトカーを奪って逃走する。同じ頃、モハベ砂漠のダイナーではテレビが見えなくなり、電話も途切れる。外で何が起こっているかわからない中、取り残された人たち(ルーカス・ブラック、タイリース・ギブソン他)はクリーチャーと化した謎の老婆に襲われるのだったが…

 ノアの方舟と同じく、人類を見切った神が人間を一掃しようと天使軍団(レギオン)を使わすというお話。それを救うのが堕天使ミカエルというわけで、さらに人類を救う子供の存在とかいろいろあって… あれ、この設定って、「ターミネーター」と同じじゃんと途中で気がついた。ターミネーターが好きな誰かさんがターミネーターの設定をそのままぱくってまったく別の映画を作ってしまったというところか。

 ばあさんがクリーチャーになるくだりとか、アイスクリーム屋とかはスティーブン・キングが大好きな設定ですな。それに天使のワイヤーアクションをくっつけて、ジェットコースタームービーに仕上げたという感じ。寄せ集めというか集大成というか、何とも言えないんだけど最後まで楽しんでしまったというのが正直な感想。

 で、生まれてきた子供は本当に人類を救えるの? なぜそう決まってるの? このあたりがまったく説明されていないのは、続編の準備と言うよりも詰めの甘さを感じてしまうのだが。

LEGION
スコット・スチュワート監督。2010年アメリカ映画。

2011年5月30日 (月)

シャッター・アイランド (2009)

Pbw114536 連邦保安官のテディ・ダニエルズ(レオナルド・ディカプリオ)は、行方不明になった女性患者レイチェル(エミリー・モーティマー)を探すために、相棒のチャック(マーク・ラファロ)と共に精神病棟がある孤島「シャッター・アイランド」へやって来る。所長のジョン(ベン・キングズレー)やジェレマイアー医師(マックス・フォン・シドー)の協力により捜査を進めるが、実はテディの本当の目的は死んだ妻ドロレスを殺した放火魔のアンドルー・レディスをつかまえることだった…

 精神病棟が舞台のサスペンス・スリラー。こういうテーマってかなり難しい問題を含んでいるんだと思うけど、そこをサスペンスの舞台と割り切ってずんずんと話を進めていったという感じ。いちおう、はっとさせられるようなクライマックスは用意されているんだけど、このスタッフとキャストだったらもう1回ぐらいどんでん返しが用意されているだろうと思って見ていたらそこは肩すかしを食わされてしまいました。

 マーティン・スコセッシ監督のホラーサスペンスというわけで、雰囲気が近いのは「ケープ・フィアー」。それに壮大なオチをくっつけた感じ。「自分が信じられなくなる」という感覚を味わいたかったらおすすめ。レオナルド・ディカプリオは童顔だったのに凄く貫禄がでてきた感じ。存在自体が怪しさをにじませる、マックス・フォン・シドーも注目。

SHUTTER ISLAND
マーティン・スコセッシ監督。2009年アメリカ映画。

2011年5月27日 (金)

Q&A (1990)

Q&A 刑事から新任検事になったアル・ライリー(ティモシー・ハットン)の初仕事は、刑事マイク・ブレナン(ニック・ノルティ)が麻薬売人を射殺した事件の調書(Q&A)の作成。しかしマイクの正当防衛の主張は、麻薬ディーラーのボビー(アーマンド・アサンテ)の証言とは食い違う。調査が進むに連れて、ロスの警官の乱れた現実が浮かび上がってくるのだったが。

 正義感に燃える新任検事と、汚れたベテラン警官との対立を描いた社会派のポリスドラマ。シドニー・ルメットの骨太な演出に加えて、暴れまくりのダーティ刑事ニック・ノルティがなかなかの存在感である。といっても悪人相手に非道の限りを尽くすだけなので、庶民の目から見てもそれほどとんでもないやつに思えないのがミソかも。

 それにしても、こんな世界で正常な正義感を保っていくってのは本当に難しいだろうと思う。力がないとできないことだろうなぁ。ところでニック・ノルティは、結局おかまちゃんには手を出していたんだろうか(笑)。

Q&A
シドニー・ルメット監督。1990年アメリカ映画。

2011年5月26日 (木)

ザ・ダイバー (2000)

ザ・ダイバー 南部の農村で育った黒人カール・ブラシア(キューバ・グッディング・Jr.)は、小作人の父親の「俺のようになるな」という言葉を受けて、故郷をあとに海軍へ入る。コックとして働いていた彼は、水泳の腕を上官のビリー・サンデー(ロバート・デ・ニーロ)に認められてダイバーを目指す。ところが当時は黒人はダイバーの養成学校へは入れないという現実があった…

 黒人初のマイスター・ダイバーになったカール・ブラシアの実話を映画化。アクアラングなんてなかった時代の話なので、パイプのついた重い潜水服を着たダイバーが主役。物語はよくあるサクセスストーリーで、主人公の努力がすべてといった作り。

 それでも感動できてしまうのは何でだろうと思うと、ひとつは「俺のようになるな」と言った父親の存在。出番も台詞もあんまりないんだけど、すっごく心に残るキャラ。そしてもうひとつは、罵倒親父のロバート・デ・ニーロでしょう。この親父、最初から最後まで、生傷いっぱい作って罵倒しっぱなしなんだけど、うざかった罵倒がラスト近くの潜水服で歩くテストのシーンでは確かに愛情に昇華しているあたりはひたすら感動的です。

 ちょっと気に入らなかったのは、訓練シーンばかりで意外と実戦シーンがなかったこと。実際に活躍しているカール・ブラシアをもっと見たかったかな。

MEN OF HONOR
ジョージ・ティルマン・Jr.監督。2000年アメリカ映画。

2011年5月24日 (火)

ソウ6 (2009)

ソウ6 前作で惨殺されたFBI捜査官ストラム。一連の連続殺人は彼が犯人とされ、事件は終息したかに思えた。ところが殺人鬼ジグソウ(トビン・ベル)の後継者ホフマン刑事(コスタス・マンディロア)は、ジグソウの前妻ジル(ベッツィ・ラッセル)とジグソウの遺品を確かめる。そして、新たな殺人ゲームが開始されるのだったが…

 ソリッド・ステート・ホラー「ソウ」の第6作。痛い、暗い、陰惨、もう見たくないってのが正直な気持ちなんだけど、シリーズが続く限りは見届けてしまおうというのが映画ファンの悲しい性である。殺人鬼ジグソウは死んだのに、後継者だの遺品の箱だのでこれだけストーリーを引っ張っていくのはお見事。

 というわけで、今回の標的となるのは生前のジグソウを見捨ててしまった保険調査員である。本来なら逆恨みとなるところだろうけど、この調査員って結構悪徳で、いざ病気になった被保険者のあら探しをして会社のカネを守ろうというくわせもの。さらに彼の6人の同僚で2人だけ生き残れるゲームとか(当然彼らは激しくののしり合う)、保険会社にいじめられたことがある人ならいい気味と思う内容なのかも知れない。アメリカの保険会社ってこんな一面を持っているんかな? 日本の保険のおばちゃんはふだんはいろんな商品をすすめてくるけど、いざとなったら親身になって相談にのってくれるぞ。

 前作で謎だったジグソウの遺品は、そんなにびっくりするような内容ではありませんでした。それよりか、エンドロールの後に入っていたワンショットの意味がよくわからんぞ。続編が予定されているということだけはわかったが。

SAW VI
ケヴィン・グルタート監督。2009年アメリカ映画。

2011年5月23日 (月)

ハゲタカ (2009)

ハゲタカ 日本の代表的な自動車会社「アカマ」を、外資系ファンドのブルー・ウォール・パートナーズが公開株買い付けに動いた。ブルー・ウォールの代表は、自称中国残留孤児3世の劉一華(玉山鉄二)。買収防衛のために、アカマ自動車の柴野(柴田恭兵)は、今は引退した鷲津ファンド代表の鷲津政彦(大森南朋)に対抗処置を依頼する。

 真山仁原作の同名シリーズから「レッドゾーン」を映画化。NHKドラマで人気を得たシリーズらしく、主要なキャストはそのまま。そのせいか、栗山千明、松田龍平、中尾彬、嶋田久作といったそうそうたるメンバーが出ているにもかかわらず、人物紹介が中途半端に感じられる部分が多いのはテレビを見てることを前提にはしょっているってことなんでしょう。

 それにしても…個人的な好みもあるのかもしれないけど、このストーリーは面白い。まともに戦って勝ち目がない資金力を持つ相手に、どうやって対抗するかがポイントなんだけど…なるほどねぇ。まぁうまく罠にひっかかって来なかったらって疑問は残るけど、緊迫感が続く画面とストーリー、企業で働く人の思いとか、中国側の思いとかも盛り込んで、どどどどどっとストーリーがばく進するさまは見応えたっぷり。

 難を言えば、劉一華のエピローグにものすごく違和感を感じたんだけど… この結末じゃ、劉は完全な張り子の虎状態。あれだけの風呂敷が広げられる人物なら、もうちょっと頑張ってほしかったってところ。

 久々に、映画を見てテレビシリーズの方が気になった作品。映画の続編も見てみたい気がする。

大友啓史監督。2009年日本映画。

2011年5月22日 (日)

アウト・オブ・サイト (1998)

アウト・オブ・サイト 銀行強盗のジャック(ジョージ・クルーニー)は、車のエンジンがかからなかったがゆえに何回目かの刑務所送りになる。ところが仲間の脱走計画に便乗して逃走しようとしたところ、ひょんなことから連邦保安官のカレン(ジェニファー・ロペス)を人質に逃げる羽目になる。逃げおおせたジャックは、刑務所で得た情報からリプリー(アルバート・ブルックス)の自宅に隠されたダイヤの原石の強奪計画を立てるのだったが…

 エルモア・レナードの犯罪小説を映画化。全然盛り上がらないストーリーだけど、魅力的な登場人物を配して雰囲気勝負の、いかにもソダーバーグ監督といった映画。おそらくいろんなパロディが詰め込まれているんだろうけど、わかんないとさっぱりダメですね。正直言って、中盤はかなりだれました。

 この映画のポイントは、ジェニファー・ロペスに魅力を感じるかどうかなんだろうけど、個人的にはちょっとダメだったみたい。ジョージ・クルーニーの台詞から、彼もかっこよく散って終わるのかと思ったらそういうわけでもなかった。太く短く生きているように見せかけて、実はかなりの細かいジャックなんかもしれませんね。

OUT OF SIGHT
スティーヴン・ソダーバーグ監督。1998年アメリカ映画。

2011年5月20日 (金)

ヒトラーの贋札 (2007)

ヒトラーの贋札 贋札偽造の名人サリー(カール・マルコヴィクス)は、逮捕されたあとユダヤ人であるがためにナチの強制収容所へ送られる。そこでは印刷技師のアドルフ・ブルガー(アウグスト・ディール)をはじめとする印刷や金融関係の大物が集められ、ドイツが外貨を獲得すると共に連合国を金銭的に翻弄するための贋札作りを強要される。その見返りは、収容所での破格の待遇と生きていられることだった…

 生き残った印刷工アドルフ・ブルガーの原作を元にしたナチ収容所の物語。ナチ収容所に関しては、まだまだ目を変えたストーリーが登場するようで、こちらも生き残ったサリーことサロモン・ソロヴィッチが登場する冒頭のシーンから雰囲気たっぷりで、その後の収容所のシーンとの落差から一気に物語に引き込まれた。

 生きるために自分の持てる才能のすべてを突っ込んだサリーと、あくまでも自分の主義を貫いた原作者のブルガーが好対照。しかし生き残れたから良かったようなものの、ブルガーが原作者というのも何かすっきりしない、もやもやっとしたものが残る。ヒトラーの贋札と呼ばれながらも、ヒトラーが画面に一度も登場しないところもミソかな。

DIE FALSCHER
ステファン・ルツォヴィツキー監督。2007年ドイツ・オーストリア映画。

2011年5月18日 (水)

セブンティーン・アゲイン (2009)

セブンティーン・アゲイン 高校生のマイク・オドネル(ザック・エフロン)はバスケットボールの花形選手で、綺麗な恋人スカーレット(レスリー・マン)がいて、大学のスカウトもほぼ決まっていて、順風満帆な人生が広がっているかのように思えた…のだが、スカーレットの「子供ができた」の告白に人生の転機を迎える。そして20年後、マイク(マシュー・ベリー)はスカーレットとは離婚寸前、子供にはバカにされる、仕事ではうだつが上がらないととんでもない転落人生を送っていた。ところが…不思議な出来事が起こりマイクは17歳の外見に逆戻りしてしまう。人生をやり直すために、友人ネッド(トーマス・レイン)の助けを借りて高校へ再入学するのだったが…

 タイトルからストーリーの半分以上が想像できてしまう、ハイスクール・コメディ。冒頭のザック・エフロンがかっこつけまくり、踊りまくるシーンが生理的にまったく受け付けず、たまらなく嫌なやつに思えた。この人の映画を1時間半も見なきゃいけないのかとげっそりしていると、場面は変わって37歳のマイクこと、マシュー・ベリーの登場。ここでほっとしてしまった自分って一体?(ザックのファンの方、ごめんなさい)

 しかし若返ってからのマイクは落ち着きもあっていい奴でとっても親近感を持って見ることができた。やっぱり歳月が人間をオトナにするのか、そのあたりがきっちり描かれているということなんかな。あとは、息子アレックス(スターリング・ナイト)を助けるエピソードとか、娘マギー(ミシェル・トラクテン)が淫乱(これって悲しいよな)になってるエピソードとか、友人ネッドと校長ジェーン(メロラ・ハーディン)がオタクで盛り上がるエピソードとか、いろいろてんこ盛りで最後まで楽しめた。ありえない設定ながらも、各エピソードは「ありえる」って思わせてくれたのが勝因かな。

17 AGAIN
バー・スティアーズ監督。2009年アメリカ映画。

2011年5月16日 (月)

ハンナ・モンタナ ザ・ムービー (2009)

ハンナ・モンタナ ザ・ムービー マイリー・スチュワート(マイリー・サイラス)は普通の女子高生だが、実はウィッグを付けてステージに上がれば、スーパーアイドルのハンナ・モンタナに変身。そのことを知るのは父親のロビー・レイ(ビリー・レイ・サイラス)と彼女のまわりの一部の人間だけ。そんな彼女が、故郷のテネシーの祖母に会いにいくことになったのだが…

 「ザ・ムービー」とつくことから想像できるように、人気テレビシリーズの劇場版。日本で言うところのいわゆる変身もので、普通の女の子がスーパーアイドルに変身するという、日米共通の感覚でつくられた物語である。よって、変身してもコスチューム(ウィッグ?)以外は何も変わってないのに、誰も気がつかないというのは言ってはいけないお約束だと思う。ただただ、女の子の気持ちになってスーパースターと普通の女子高生の二重生活を楽しめばいいのである。

 しかし、故郷のボランティア活動に巻き込まれて、実はハンナ・モンタナだったということがばれちゃっても、村人たちの目は温かくて…というくだりは、「スパイダーマン2」の電車の中の名場面のようでなんだかいい気分にさせられた。主演のマイリー・サイラスはこのテレビシリーズで人気が出たそうだけど、うまいこと等身大の女子高生と、パワフルなアイドルを演じ分けていて好感が持てる。今後が楽しみな女優さんです。

HANNAH MONTANA: THE MOVIE
ピーター・チェルソム監督。2009年アメリカ映画。

2011年5月12日 (木)

幸せのきずな (2008)

幸せのきずな 大学教授のボブ・カーンズ(グレッグ・キニア)は、雨中のドライブ時の突然のひらめきから、間欠ワイパーを完成させる。友人とこの発明をフォード社へ売り込みへ行き、製造は自分がするということで契約にこぎつけようとするが、ある日一方的にフォード側から交渉を却下される。そしてフォードは、間欠ワイパー付きの新車を発明するのだったが…

 「実話の映画化」というテロップから始まる嘘のような物語。確かに間欠ワイパーなんてエポックメイキングな発明は、かなり慎重に運ばないととんでもない目にあうのは素人でも容易に想像できるけど、その中を自分の信念を曲げずに突き進んでいった物語。しかし家族を守るという立場から考えると、成功と失敗が入り交じったほろ苦いラストが用意されています。

 カネが正義だとばかりに、訴訟社会が発達したアメリカならではの映画。ジュリア・ロバーツの「エリン・ブロコビッチ」ほどの爽快感がないのが、ある意味現実的かも。信念と家族をてんびんにかけたら…自分の信念に家族が付いてくると賭けるのも、ある種の信念かもしれません。

FLASH OF GENIUS
マーク・エイブラハム監督。2008年アメリカ映画。

2011年5月10日 (火)

縞模様のパジャマの少年 (2008)

縞模様のパジャマの少年 父親(デヴィッド・シューリス)の出世に伴って、母親(ヴェラ・ファーミガ)、姉のグレーテル(アンバー・ビーティ)と共に郊外へ引っ越した少年ブルーノ(エイサ・バターフィールド)。ところが住居の裏庭は立ち入り禁止で、パジャマのような服を着た使用人パヴェル(デヴィッド・ヘイマン)が出入りし、時に何かを焼くものすごい臭いが立ちこめる。やがてブルーノは、裏庭の金網の中に住むパジャマを着た少年シュムエル(ジャック・スキャンロン)と仲良くなるのだったが…

 ジョン・ボインの原作をイギリスで映画化。何の予備知識もなく見たら、無垢な少年がだんだんはまりこんでいく蟻地獄が追体験できることうけあいである。

 以下はねたばれありなのだが、それにしても父親が強制収容所の所長で、裏庭にあるのはそのものずばりの強制収容所。そして日々大量虐殺が行われている。しかも父親は家族には優しく、真実を知った母親は精神を病んでいく。姉は徐々に洗脳されていき、物語は予想される最悪の結末にずんずんと突き進んでいくのは見ていて辛いものがありました。実際の結末は、想像していたものよりもかなり強烈ではありましたが。

 これは…変な言い方かも知れないけど、子供に見せたい映画。特に分別がつきはじめた10代以降の子供に見せたいです(実際にPG12だったと思う)。

THE BOY IN THE STRIPED PYJAMAS
マーク・ハーマン監督。2008年イギリス=アメリカ合作。

2011年5月 9日 (月)

ザ・ロイヤル・テネンバウムス (2001)

ザ・ロイヤル・テネンバウムス テネンバウム家の3兄弟、チェス(ベン・スティーラー)、マーゴ(グウィネス・パルトロウ)、リッチー(ルーク・ウィルソン)はいずれも若い頃に才能を発揮して、それぞれ実業家、劇作家、テニスプレイヤーの世界で頭角を現すのだったが、父ロイヤル(ジーン・ハックマン)と母エセル(アンジェリカ・ヒューストン)の不仲と裏切りにより失速。それぞれが堕落の道を歩む。ところが父の策略により、20年ぶりに家族が再会するのだったが…

 上記以外にもオーウェン・ウィルソン、ダニー・グローヴァー、ビル・マーレイといったオールスターキャストによるファミリーコメディ。いきなりの凝った画づくりに、「これは…」と思ったんだけど、物語はどんどん失速。画面に情報量が多く、何かが詰まっているように見えるんだけど理解できないのはこちらの理解力不足なのか、それとも本当につまらないのか理解に苦しむ。アカデミー脚本賞ノミネートってのがミソかな。

 ジャージを着たベン・スティーラーの一家とか、自堕落な生活を繰り返すぶっとんだグウィネス・パルトロウとか、とんでもないキャラだと感心させられるんだけど、面白いのはそこまで。さらに両親がくせ者のジーン・ハックマンとアンジェリカ・ヒューストンなんだもん。もうちょっと料理の仕様もあったんじゃないかと思ってしまう。

THE ROYAL TENENBAUMS
ウェス・アンダーソン監督。2001年アメリカ映画。

2011年5月 8日 (日)

マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと (2008)

マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと 新聞記者のジョン(オーウェン・ウィルソン)は、同じくジャーナリストのジェニー(ジェニファー・アニストン)と結婚してリゾート地のフロリダへ引越し、子犬のマーリーを飼うことにする。ところがこのマーリーがとんでもない馬鹿犬で、言うことをきかないのはもちろん部屋中を暴れ回り言うことをまったくきかない。あげくに訓練学校の先生(キャスリーン・ターナー)からは見放されたが、そんなときジェニーが妊娠した…

 ジョン・グローガンの同名小説を映画化。セールで買ったわんこがどうしようもないバカ犬で振り回されるお話なんだけど、犬が主役に見えて話の軸足はジョンとジェニーの夫婦関係、増えていく家族、夫婦の歴史である。もちろんそこにマーニーの一生がからんでくるのは他の犬映画と同じではあるが、ジェニーの流産や育児ノイローゼとかがからんで、単純に笑ってだけじゃ見ていられない辛口ムービーとなっている。

 育児なんてただでさえ大変なのに、加えてこんなバカ犬がいたらと考えるとぞっとする。でもこのラストシーン、犬を飼ったものじゃないと絶対にわからないんだろうなと想像だけはできる。

 クレジットにアラン・アーキンとキャスリーン・ターナーが出ていたので気にはしていたのだが、キャスリーン・ターナーの出番だけが最後までわからなかった。でも調べたら、あのドッグ・トレイナーの太ったおばちゃんだったとは…ちょっと驚いた。なかなかいい味を出してましたが。

MARLEY & ME
デヴィッド・フランケル監督。2008年アメリカ映画。

2011年5月 7日 (土)

続・菩提樹 (1958)

続・菩提樹 前作でナチスから逃れてアメリカへ亡命したトラップファミリー(ハンス・ホルト、ルート・ロイヴェリーク他)。ところが観光ビザにもかかわらず正直に「仕事」と言ったがために、税関で足止めを喰ってしまう。歌を披露して何とか難を逃れた一家だったが、今度はコンサートを開いても思ったようにお客さんが入らない。どうも、賛美歌にこだわる神父(ヨセフ・マインラート)に原因がありそうなのだが…

 「サウンド・オブ・ミュージック」では描かれていないトラップ一家の後日談。物語はハッピー・エヴァー・アフターというわけにはいかず、やっぱ歌だけではなかなか喰っていけない厳しさが切々と綴られる。しかしショウビズの国アメリカらしく、才能があって努力する者は報われるというわけでたっぷりたまったフラストレーションも後半にはすっきり解消されるという、安心して見ていられる映画です。

 ドイツ映画にもかかわらず、全編アメリカロケってのが面白い。アメリカで受けるには、やっぱキーワードはポピュラー音楽。それに故国の音楽で味付けってのが王道なんかな。マリアってのは、異国でも家族をぐいぐい引っ張っていく肝っ玉母さんだってのが実感できる。田舎に家を買うあたりのエピソードは、ちょっぴり移民の悲しさが感じられてほろりときた。ところでトラップの子供たちは学校に行ってたの?

DIE TRAPP-FAMILIE IN AMERIKA
ヴォルフガング・リーベンアイナー監督。1958年西ドイツ映画。

2011年5月 6日 (金)

菩提樹 (1956)

菩提樹 オーストリアのザルツブルグ。尼僧のマリア(ルート・ロイヴェリック)はおてんばで周囲をかき回してばかり。見かねた院長は、妻を失ったトラップ男爵(ハンス・ホルト)の7人の子供たちの家庭教師に彼女を派遣する。歌が大好きなマリアは子供たちに合唱を教え、さらに神父のバスナー(ヨーゼフ・マインラット)の指導のもとに一家はめきめきと実力をつけていくのだったが…

 ストーリーからわかるとおり、あの「サウンド・オブ・ミュージック」の原作を映画化した作品。ただしこちらの方が古いので、「サウンド~」の方がリメイクとなるわけだけど、エンタテイメント色が強いハリウッド版に対して、このドイツ映画はいかにも質実剛健なクラシカルな作り。それだけに地味な味が詰まっていて、楽しめる作品になっている。

 もちろん「ドレミの歌」も「エーデルワイス」もないけれど、こちらの方がトラップ合唱団が実際に歌っていた曲だろうと想像させられる。トラップ家の家庭教師がどうしてみんなつとまらなかったのか不明だけど、やっぱ音楽に関しての共通項があったのだろうと思われる。難関を合唱のうまさで次々と乗り越えていくあたりは、爽快感あり。元潜水艦乗りなのに、何か癒やし系の香りがするトラップ男爵と、快活なマリアはいいコンビ。

DIE TRAPP-FAMILIE
ヴォルフガング・リーベンアイナー監督。1956年西ドイツ映画。

2011年5月 2日 (月)

重力ピエロ (2009)

重力ピエロ 仙台に住む泉水(加瀬亮)と春(岡田将生)は、なぜか似てない兄弟。実は春は母親の梨江子(鈴木京香)が連続暴行犯にレイプされた時にできた子供で、父の正志(小日向文世)は悩んだ末に二人を兄弟として育てている。ある日仙台に連続放火事件が起こり、近くにはグラフィックアート(落書き)があることに二人は気がつく。落書き消しのバイトをしていた春は、兄弟で犯人捜しをしようと考えるのだったが…

 伊坂幸太郎の原作を映画化。いろいろと詰め込んでいてかなりぎくしゃくとした展開なんだけど、不思議と心に残る部分が多い佳作である。例えばレイプされ妊娠した妻を前に、神様にお伺いをかける父親正志なんて、小日向の癒やし系のキャラクターが相まってかとっても印象に残る。そして自分の癌の告白に加えて、春は実の子ではないけど俺たちは最強の家族だと告げるシーン。うすうす感づいていても、肉親の口から出る言葉には強烈な衝撃がある。

 しかし… 実の父親(渡部篤郎)に関する顛末と、父親にそれを見抜かれるシーン。最強の家族が本当に望んでいたのは、これじゃあないと思うんだけど。これじゃあ父親は死んでも死にきれません。一見ハッピーエンドに見えてこの重苦しさは何なんだろう。2階から飛び降りることはできても、結局は重力をコントロールするのは無理だったってことなのか。

森淳一監督。2009年日本映画。

2011年5月 1日 (日)

エルダー兄弟 (1965)

エルダー兄弟 母親エルダー・ケイティの訃報を受けて、その息子たちジョン(ジョン・ウェイン)、トム(ディーン・マーティン)、マット(アール・ホリマン)、バド(マイケル・アンダーソン・Jr.)が久しぶりにテキサスの片田舎に集まった。ところがかつての牧場はヘイスティングスという男に奪われ、さらにヘイスティングスに雇われた殺し屋(ジョージ・ケネディ)までが町にやって来ていた…

 タルボット・ジェニングスの原作を映画化。時代がかったタイトルに、エルマー・バーンスタインの音楽。これぞ正当派の西部劇というわけで、子供の頃にいっぱいテレビで見た思い出がじわ~とよみがえる。

 男の子の4兄弟というわけで、当然けんかのシーンもあれば、無鉄砲な掛け合いのシーンもあってにんまりさせられる。自由人として生きてきたジョンに、ギャンブラーのトム、勉学家で家族の期待を背負う末っ子のバドと兄弟キャラクターの描き分けも良い。イタリア製みたいに不必要に残酷でもなく、安心して見ていられる。いい気分にさせられる。やっぱ西部劇は、アメリカの時代劇です。

 最後のクレジットでデニス・ホッパーを見つけたんだけど、どこに出ていたんだろう。気がつかなかったなぁ。

THE SONS OF KATIE ELDER
ヘンリー・ハサウェイ監督。1965年アメリカ映画。

2011年4月29日 (金)

マルタのやさしい刺繍 (2006)

マルタのやさしい刺繍 スイスの小さな村に住むマルタ(シュテファニー・グラーザー)は、優しい夫に先立たれて寂しい日々をおくっている。ところが村の合唱団の旗の修理を依頼されたことをきっかけに、昔は刺繍が大好きだったことを思い出す。友人のリージ(ハイジ・マリア・グレスナー)やフリーダ(アンネマリー・デューリンガー)と共に夢だったランジェリーショップのオープンを画策するが、保守的な村に加えて牧師で息子のヴァルター(ハンスペーター・ミュラー・ドロサート)と激しく衝突して…

 パリにランジェリーショップを開くことが夢だったおばあちゃんの、夢を現実にと頑張る姿を描いた元気の出る映画。確かにおじいちゃんおばあちゃんには、けがをしないように回りに迷惑をかけないでと、必要以上に保守的に接してしまう傾向があってまわりの行動もわからなくもないんだけど、本人たちの元気とか生きる意欲とかを考えると、できる範囲で本人たちのやりたいことをやってもらいたいって気分になってきます。老いた親たちに自由に生きてもらうってのは、ある意味息子の甲斐性じゃないかと思います。難しいことだけど。

 本当に美しいスイスの村で、繰り広げられる生活や事件が普遍的で身近に感じられるのが心地よい。マルタ役のシュテファニー・グラーザーがとってもいいんだけど、冒頭に出てくるご主人の写真がこれまた優しそうで、彼女の落ち込みが伝わってくるところがいいです。そんなご主人から解き放たれて、胸に秘めていたランジェリーショップを開くというのがある意味深い。

ベティナ・オベルリ監督。2006年スイス映画。

2011年4月25日 (月)

ウルフマン (2010)

ウルフマン 19世紀のイギリス、舞台俳優のローレンス(ベニチオ・デル・トロ)は、兄ベンの訃報に故郷ブラックムーアのタルボット城へ帰る。そこには何者かに惨殺された兄と、久々に再開した父ジョン(アンソニー・ホプキンス)の姿があった。満月の夜に怪物が現れるという噂から、兄の敵討ちに向かうローレンスだったが…

 要するにホラー映画の古典「狼男」のリメイク。といっても狼男に関してはアメリカン(笑)とかハウリングとかウルフェンとか、亜流ばっかり見て育った世代だけに、どれがオリジナルなのかわからんぞ。どことなく無情を感じさせる暗いストーリーに、これはたぶんオリジナルに忠実に作られた、ジャクソンの「キング・コング」みたいな映画なんじゃないかと想像させられたんだけど、真偽はよくわかりません。

 ベニチオ・デル・トロはメイクしなくてもホラー映画してていいですね(笑)。ホプキンスもこうして見るとモンスター顔。兄の婚約者グエン(エミリー・ブラント)は正当派なのかもしれないけど思ったほど華がない。リック・ベイカーの特殊メイクは、失礼ながら今となっては過去のもの…という気がしなくもない。

THE WOLFMAN
ジョー・ジョンストン監督。2010年アメリカ映画。

2011年4月22日 (金)

ハート・ロッカー (2008)

Pcxe50045 2004年のイラク。爆弾処理班のブラボー中隊のリーダーが作業中に爆死したために、新たにジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナー)が赴任してくる。彼らを補佐するのはサンボーン軍曹(アンソニー・マッキー)、エルドリッジ技術兵(ブライアン・ジェラティ)といった癖のある面々。おまけにサンボーンは、いざ爆弾を目の前にすると遠隔操作のロボットに頼らずに自らの命を盾に処理に歩いて行くのだったが…

 「戦争の高揚感は、麻薬のように中毒になる」といった意味のナレーションからはじまるように、2時間妙な緊迫感に包まれた映画。確かに爆弾って怖い。戦場に繰り出していくのとは、また別の意味の怖さがあると思っていたら、その爆弾処理の周囲は敵とも味方ともわからない通行人や野次馬たち。そして時には銃撃戦もおっぱじまる。イラン・イラク戦争をすごくミクロの視線で見た映画なんだけど、それだけにものすごい臨場感で迫ってくる。

 除隊まであと何日…というテロップも印象的なんだけど、終盤その日数が終わったジェームズが自宅へ帰り、嫁さんに「シリアル選んで」とかこき使われて(笑)一般人なら幸せとも呼べる日常をおくって、それでも戦場へ戻っていくというくだりも印象的。高揚感? 戦争中毒? 日本人には理解しにくいけど、これがアカデミー作品賞を取ってしまうんだから現代アメリカを象徴している内容なんだろうかと思ってしまう。

THE HURT LOCKER
キャスリン・ビグロー監督。2008年アメリカ映画。

2011年4月20日 (水)

ジェット!! (2008)

ジェット!! 殺し屋の抗争に巻き込まれて幼い頃に両親を殺されたチャンス(リック・ユーン)は、自称ミュージシャンの殺し屋マックス(キース・デイヴィッド)に助けられて、義兄のマイルズ(ボキーム・ウッドパイン)と共に育てられる。やがて一流の殺し屋に育ったチャンスは、暗殺依頼を受けた歌手エンジェル(ダニア・ラミレス)のボディガードに離ればなれになっていたマイルズがいることに気がつくのだったが…

 バンコクを舞台にしたアクション映画。かつては香港あたりで量産されていたクンフー映画の雰囲気で、ジャズの味付けがされていたり宇崎竜童に似た殺し屋が出てきて殺戮の限りを尽くしたりと、やりたい放題のある意味バカ映画。でもそのチープさがいい味になっている。こういう映画、好きだな。

 だいたい登場するスター歌手の名前が「エンジェル」ってのが安直すぎるぞ。拾った子供を殺し屋として育てるか? バンコクって、めちゃめちゃいかがわしくて猥雑な街として描かれているけど、実際はどうなのよ? 住んでる人は迷惑してないか? お掃除といいながらバンコクまでやってきたパパは、そこまでやる必要があったのか? とまぁ、突っ込みどころがいっぱいあるところがこれまたいいです。劇場未公開ってところも、いいです。

ジェシー・V・ジョンソン監督。2008年アメリカ映画。

2011年4月19日 (火)

幸せのポートレート (2005)

幸せのポートレート ニューヨークで働くメレディス(サラ・ジェシカ・パーカー)はクリスマスに恋人エヴァレット(ダーモット・マローニー)の実家へ招かれる。ところが一家は母のシビル(ダイアン・キートン)、父のケリー(クレイグ・T・ネルソン)、弟のベン(ルーク・ウィルソン)、エイミー(レイチェル・マクアダムス)、ゲイのサッド(タイロン・ジョルダーノ)といった面々で自由奔放な家風でメレディスは完全に浮いた状態。助けを求めたメレディスは妹のジュリー(クレア・デーンズ)を呼び寄せるのだったが…

 ラブコメ、ファミコメに見せかけて、かなり辛口のクリスマスホームドラマ。恋人の家族に会いに田舎へ行ったニューヨークのOLが、自分とのソリの合わない家族にぐちゃぐちゃにされるってのがメインのストーリーなんだけど、癖の強いサラ・ジェシカ・パーカーが主演だけにこれはぴったりはまり役。特に中盤の食事のシーン、ゲイをめぐるやり取りのあたりははた目に「メレディス、そこまで言うか」って感じだけど、いっぱいいっぱいの彼女にとってはついつい飛び出した本音ってところか。でもこういう女性って、いるんだよなぁ。

 結局はカップルの組み替えっていう、この手のラブコメでは常套手段の展開が待っているんだけど、これは節操ないって見るよりも結婚する前に理想のパートナーがわかって良かったねって感じ。ベンの前で自分らしくなれるメレディスってのはすっごく説得力ありました。

 ラストは…父クレイグ・T・ネルソンのまなざしが心に残る。これは、母が願った家族の幸せってものなんかな。

THE FAMILY STONE
トーマス・ベズーチャ監督。2005年アメリカ映画。

2011年4月18日 (月)

シシー ある皇后の運命の歳月 (1957)

シシー ある皇后の運命の歳月 オーストリアとハンガリーの皇后であるシシー(ロミー・シュナイダー)は、大好きなハンガリーに居着いてしまい皇帝フランツ(カール・ハインツ・ベーム)とはやや疎遠に。ところがシシーは急に病に倒れて、ギリシャに転地療養することになってしまうのだったが…

 シシーシリーズ(パッケージタイトルでは「エリザベート」シリーズ)の3作目にして完結編。シシーの独特なスマイル外交(?)を前面に出し、それに観光地巡りといったスパイスを加えたライト感覚のストーリー。しかし画面の作りはかなり重厚で、今回もオーストリアはもちろん、ギリシャやベネチアなどにかなりの数のエキストラ(しかも衣装も凄い)を繰り出して、観光スペクタクル映画大爆発といった雰囲気。つくづくこの時代は、映画が庶民の海外旅行を代用していたのだと思わせてくれます。

 途中のジプシー占いの言葉から、不吉な展開を心配させられたのですが…強引にこういう結末に持って行くのは、ある種の夢物語として妥当だってところかも。可憐なロミー・シュナイダーはこの映画のあとはプライベートで茨の道を歩むそうですが、スクリーンの中では幸せそう。映画の余韻よりも、そっちの思いの方が心に残りました。劇場未公開。

SISSI - SCHICKSALSJAHRE EINER KAISERIN
エルンスト・マリシュカ監督。1957年オーストリア映画。

2011年4月15日 (金)

若き皇后シシー (1956)

若き皇后シシー フランツ(カール・ハインツ・ベーム)と結婚して皇后となったシシー(ロミー・シュナイダー)。つかの間の乗馬を楽しんだりするが、夫婦ともども公務に謀殺される。そんなある日、シシーは懐妊して女の子ソフィーが生まれる。ところが大公妃は赤ちゃんの教育は自分が行うと取り上げてしまい、怒ったシシーは実家へ馬車を走らせるのだったが。

 「プリンセス・シシー」の続編で、物語は二人が結婚した直後からはじまる。ストーリーとしては嫁姑の争いという普遍的なテーマであり、それに夫の立場とかがからんで等身大の目線で映画を楽しむこともできる。しかし舞台はオーストリアの皇室である。いろんなしきたりやしがらみに囲まれて、君主って本当に大変だなと思わされる。途中でシシーを迎えに来たフランツが、国内を観光して山小屋に泊まったりするシーンもあるが、公務って数日抜けても大丈夫なのってちょっと拍子抜けしながらも、新婚旅行にも行ってない二人はこのくらいの息抜きは必要だよなって気分にさせられた。

 後半でちょっとわかりにくかったのが、シシーがいきなりハンガリーの皇后になってしまったこと。後から調べて、当時はハンガリーはオーストリアの一部であったことを知って納得。天真爛漫なシシーではあるけど、前作ほどはその良さが生かされてなくて、皇室では単なるわがままなお嬢様程度にしか思えなかったのが残念。もっとも実在のエリザベートは自由気ままでものすごい浪費家だったそうですが。

SISSI - DIE JUNGE KAISERIN
エルンスト・マリシュカ監督。1956年オーストリア映画。

2011年4月14日 (木)

プリンセス・シシー (1955)

プリンセス・シシー バイエルンで侯爵の娘として育ったシシー(ロミー・シュナイダー)は、皇帝フランツ(カール・ハインツ・ベーム)のお后候補となった姉ネネ(ウッタ・フランツ)の付き添いで都へ行く。ところが、活発なシシーを見たフランツはお互い一目惚れしてしまい…

 タイトルからもわかるように、シシーが皇帝の花嫁になるまでを描いたシンデレラ・ストーリー。オーストリアという歴史ある舞台に加えて、ほとんどのシーンが宮廷がらみなので豪華絢爛たる別世界は一件の価値がある。その中でも、活発で自由奔放に生きるシシーがうまく皇帝の目にとまるあたりが今時のアレンジである。

 物語としては定番のシンデレラストーリーでそれほど見るべきものはないけど、若き日のロミー・シュナイダーのきらきらした美しさをスクリーンにとどめているのは素晴らしいと思う。結果はわかっているんだけど、ついついシシーを応援したくなってしまうそういう映画。ラストの結婚式のシーンがあまりに長いのでちょっと面食らってしまったけど、オーストリアの王族の結婚式なんてそうそうお目にかかれるものではないのでこれはこれで映画として正解なのでしょう。

SISSI
エルンスト・マリシュカ監督。1955年オーストリア=西ドイツ合作。

2011年4月12日 (火)

フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白 (2003)

フォッグ・オブ・ウォー 第2次大戦、戦争終結のためには大量殺戮もやむなし、というルメイ大佐のもとで参戦したマクナマラ。その後はフォードの社長を経て、キューバ危機・ベトナム戦争時には国防長官となったマクナマラの独白を綴ったドキュメンタリー。

 戦犯とか戦争犯罪人という言葉があるけど、一歩間違えばそうなっていたであろうマクナマラ元国防長官の半生を描いたドキュメント。教訓めいた章を連ねて、大量殺戮の時代を生きた彼の言葉を重く取るべきなのか、それともただの殺戮者と見るべきなのかは難しいところ。ただし、あたり前のように日本での空襲による大量殺人、ベトナムでの枯れ葉剤作戦などを語り、法律が禁じていたらやらなかった、なんて問題じゃないだろうって突っ込みどころ満載である。

 映画を見ながらふと思い出したのが「ひとりを殺せば殺人者、戦争でたくさん殺せば英雄」という「殺人狂時代」でのチャップリンの言葉。その言葉をまさしく地でいったかのような映画である。

THE FOG OF WAR: ELEVEN LESSONS FROM THE LIFE OF ROBERTS. MCNAMARA
エロール・モリス監督。2003年アメリカ映画。

2011年4月11日 (月)

パララックス・ビュー (1974)

パララックス・ビュー 大統領候補ともなっている上院議員が暗殺され、新聞記者のフレディ(ウォーレン・ベイティ)は暗殺現場であるタワーに居合わせる。追い詰められた犯人はタワーから転落死し、公聴会は単独犯であると結論を出す。しかしタワーにいた人間はひとり、またひとりと謎の死を遂げ、調査を始めたフレディは謎のパララックス社の存在を突き止めるのだったが…

 ローレン・シンガーの原作を映画化。70年代の香りがぷんぷんする硬質のサスペンス映画。殺人請負業のパララックス社なんてちょっと考えたら荒唐無稽な話ながら、心理テストやらひところ流行った洗脳を思わせる映像やら、だんだんこういう組織があってもおかしくないなという気分にさせられてくる。

 で、潜入調査をしているはずのフレディが陥った罠はあっけないながらも妙にぽっかりと開いた様子がこれまたリアル。ラスト近く、イスが並ぶパーティ会場を縫うように走る担架はかなり印象的な名場面だと思う。ベイティくんは、何回も殺されかけているのにもうちょっと用心しろよと言いたくなるぞ。

THE PARALLAX VIEW
アラン・J・パクラ監督。1974年アメリカ映画。

2011年4月10日 (日)

市民ケーン (1941)

市民ケーン 億万長者で、新聞王のケーン(オーソン・ウェルズ)が亡くなった… ザナドゥと呼ばれる山の上の豪邸に、膨大な数の美術品と「バラのつぼみ」という謎の言葉を残して。そのニュースフィルムを作っていた編集者は、フィルムにさらに深みを加えるためにばらのつぼみの謎を追ってケーンの旧友のリーランド(ジョセフ・コットン)や過去に妻であったオペラ歌手スーザン(ドロシー・カミンゴア)にインタビューを行うのだったが…

 映画史上に残る傑作と言われる「市民ケーン」を実は初鑑賞。ただし古い映画だけにかなりのプリントの乱れというか、視聴環境の悪さゆえにそのすべてを見たとは言えない状況なのが苦しいところ。問題の「バラのつぼみ」の正体がわかるまでにラストの暖炉のシーンを何回かビデオを巻き戻してしまった。こんな見方って、映画にしちゃ反則だろうと思うけど。しかし初期のSFXしかない時代に、かなりの手をかけて撮影されたフィルムだということはよくわかる。アイディアと熱意がほとばしるといったところだろうか。

 物語は非常にアメリカ的で、アメリカン・ドリームを手にしながらも本当に欲しいものは何一つ手に入らなかった男の物語。いや、金で手に入るものには限度があるという、60年代あたりによく流行った社会的メッセージをそのまま焼き直したかのようにも思える。そう考えると先見性のあった映画と言えるかもしれん。

 しかしこの時代の名作の例外にもれず、あとで思いっきり手本にされ模倣にされているがゆえに、現代の鑑賞では半分ぐらいは風化しているかのように思える。凄い映画ではあるとは思うのだが、新たに見るとどこが凄いかわからないってのも正直なところである。

CITIZEN KANE
オーソン・ウェルズ監督。1941年アメリカ映画。

2011年4月 8日 (金)

欲望という名の電車 (1951)

欲望という名の電車 破産して家も失ったブランチ(ビビアン・リー)は妹のステラ(キム・ハンター)を頼ってやって来る。ステラには粗暴な夫(マーロン・ブランド)がいて、彼女の持ってきた衣服を物色する始末。しかし彼の戦友ミッチ(カール・マルデン)はブランチに好意を寄せるのだったが…

 テネシー・ウィリアムズの有名な戯曲の映画化。大好きな「ガラスの動物園」みたいなストーリーを想像したんだけど、冒頭から登場人物たちががなり合うかなり辛口の作品。それでもブランチの素性が明かされていないうちは普通のホームドラマとして見ていたんだけど、こんな救いようのない方向へと物語が転がっていくとは知らなんだ。テネシー・ウィリアムズ恐るべし。

 壊れたビビアン・リーの熱演は一見の価値あり。元々が綺麗な人だけに、余計に痛々しく感じられるんだろうなあ。彼女を単純に悪役やサイコととらえずに、その生い立ちや境遇に思いをはせることができるのがこの映画の素晴らしいところ。粗暴なマーロン・ブランドに、離れられないキム・ハンターなども妙にリアル。そしてカール・マルデンの受けた衝撃は、予備知識なくこの映画を見た自分としては同時に体験してしまった気分である。

A STREETCAR NAMED DESIRE
エリア・カザン監督。1951年アメリカ映画。

2011年4月 7日 (木)

トコリの橋 (1954)

トコリの橋 朝鮮戦争で横須賀基地へやって来た、元弁護士のパイロットであるハリー(ウィリアム・ホールデン)。彼を追って、妻のナンシー(グレース・ケリー)が娘を連れてやって来る。つかの間の休日、戦友のマイク(ミッキー・ルーニー)とケイコ(淡路恵子)のごたごたを助けたりと奔走するハリーだったが、やがて朝鮮にあるトコリの橋を爆撃するという危険な任務を引き受ける…

 ジェームズ・A・ミッチェナーの原作を映画化。日本を舞台にした戦争映画で、アメリカ海軍が全面協力したらしく登場する航空母艦から爆撃機までほとんどが本物と思われる。トコリの橋のセットのみが、ややちゃちに思えるがそれも見えるのはパイロットの視点からであるのでほんの瞬間。かえってリアルに思えてくる、見事なカメラワークである。大規模な爆撃のわりに死傷者3名、しかしもの悲しいラストは余韻が残る。

 日本でもロケが行われたらしいが、古い洋画の例にもれずかなり変な日本である。混浴のシーンなんかは絶句ものであったけど、考えたらアメリカ人が家族風呂に入るなんて経験は珍しいんじゃないだろうか。そう考えると味のあるシーンに思える。グレース・ケリーって相変わらず美しいし、緑の帽子をかぶったミッキー・ルーニーもかっこいいというか、なぜ彼を見るとほっとするのかが映画のラスト近くになってわかりました。

THE BRIDGES AT TOKO-RI
マーク・ロブソン監督。1954年アメリカ映画。

2011年4月 6日 (水)

タイタンの戦い (2010)

タイタンの戦い 漁師に拾われて育てられた、実は大神ゼウス(リーアム・ニーソン)の子であるペルセウス(サム・ワーシントン)。ところが人間と神の争いに巻き込まれて、育ててくれた家族を皆失ってしまう。神々に復讐を誓ったペルセウスは、冥界の王ハデス(レイフ・ファインズ)と無敵の怪物クラーケンを倒すために、メデゥーサの首を手に入れる旅に出るのだったが…

 ギリシャ神話の映画化…というよりは、81年制作のハリーハウゼンのコマ撮り特撮映画のリメイク。「タイタンの戦い」ってのは「アルゴ探検隊の大冒険」とかシンドバッドシリーズと並ぶ特撮クラシックかと思ってたんだけど、実は「スターウォーズ」などからもずっと後に制作されていたと知ってちょっとびっくり。あの時代にハリーハウゼンでは、当時の邦画特撮と同じくけちょんけちょんの評価だったんじゃないかと心配になってきます。

 というわけで、3Dで製作された本作だけど…CG全盛の時代だけに、迫力はあるんだけどストーリーの弱さも含めて10年も経ったら記憶の彼方に忘れ去られてしまうんじゃないかと心配になってくるような映画です。ギリシャ神話の神々って、日本の古代神たちと同じく人間くさいというか、どうしようもないキャラとして描かれているのが面白い。こんな神を崇めろと言われてもねぇ…

 クラーケンは大きいだけですっごくあっけない怪物だったけど、メデゥーサはなかなか怖い。大サソりは昔からハリウッドの怪獣映画には定番ですね。ちょっと「スターシップ・トゥルーパーズ」とかぶるものがありましたが。

CLASH OF THE TITANS
ルイ・ルテリエ監督。2010年アメリカ映画。

2011年4月 4日 (月)

ハンナとその姉妹 (1986)

ハンナとその姉妹 マンハッタンに住む3姉妹の長女ハンナ(ミア・ファロー)は落ち着いた性格だが、夫のエリオット(マイケル・ケイン)は3女のリー(バーバラ・ハーシー)が気になってしょうがない。そのリーは、年の離れた画家のソーホー(マックス・フォン・シドー)と同棲中だがしっくりいっていない。一方、次女のホリー(ダイアン・ウィースト)は友人(キャリー・フィッシャー)と仕出し屋をしながら俳優を目指すのだが、長続きしない性格で次は作家になろうと言い出すのだったが…

 ウディ・アレンの群像もので、最高傑作とする人も多い作品。しかしシェークスピアもジャズもあまり理解しない私にとっては、アレン映画はやっぱり否定的に見てしまうのであった。アレン自身も病気に対して神経質になっている男として出演しているんだけど、彼にどうにも感情移入できないってところが敗因だと思う。

 とはいっても、ミハ・ファローを筆頭とする3姉妹は何とも魅力的。この中の二人の間で揺れ動くマイケル・ケインの存在は、わからんでもないけど…やっぱり見ていて理性の方が勝ってしまうのか、煮えきらなさにいらいらとさせられてしまいました。

HANNAH AND HER SISTERS
ウディ・アレン監督。1986年アメリカ映画。

2011年4月 3日 (日)

エビータ (1996)

エビータ アルゼンチンで不遇な少女時代からタンゴ歌手の愛人となったエバ(マドンナ)。やがて陸軍大佐のペロン(ジョナサン・プライス)と知り合って結婚。ペロンが大統領になると共に、民衆の心をがっちりととらえたエバ・ペロンだったが…

 アルゼンチンの聖母と呼ばれるエビータ・ペロンをミュージカルで描いた話題作。作詞作曲はティム・ライス、アンドリュー・ロイド・ウェーバーというゴールデンコンビで、最初から最後までマドンナに加えて狂言回しのチェ(ゲバラ?)役のアントニオ・バンデラスが歌いまくるという映画。

 しかし…これはこれで良いのかもしれないけど、筆者としてはエビータ・ペロンものでは20代の時に見たフェイ・ダナウェイ主演の同名テレビ映画の印象が強烈で(劇場作品だと思っていて、テレビ映画だというのは最近知った)、この映画だけでは物語があまりに表面をなぞっただけで、エバがどうして民衆にあんなに支持されたのかがよくわからない、というのが正直なところである。

 まぁマドンナのミュージック・クリップだと思って見たらそれなりに見るべきものはあるとは思うのだが。それにも増して、アントニオ・バンデラスがあんなに熱く歌い踊るとは想像できなかった(ラテンの男だから当然なのかもしれないが)。

EVITA
アラン・パーカー監督。1996年アメリカ映画。

2011年4月 1日 (金)

ココ・アヴァン・シャネル (2009)

ココ・アヴァン・シャネル 母親を早く亡くし、父親に捨てられた少女ココ(オドレィ・トトゥ)は姉と共に孤児院で育てられる。キャバレーで歌手として働くうちにやがて人気が出てきて、富豪エティエンヌ(ブノア・ボールヴォード)の愛人となり本格的な歌手デビューを目指すのだったが、そこにイギリスの実業家ボーイ(アレッサンドロ・ニヴォラ)が現れて…

 エドモンド・シャルル・ルー原作、あの「シャネル」の創始者ココ・アヴァン・シャネルの半生を描いた伝記映画。といってもそこはフランス映画だけあって、成功して富も名声も手に入れた後半の人生はほとんど無視。ひたすら不遇な境遇に耐えながらも愛人生活を送るココにスポットを当てた映画である。

 しかしこの映画、見ながらかなりのデジャヴー感覚に見舞われたんだけど、何でシャネルの半生にそんなものを感じるのかがわからない。愛人になりながら成功のチャンスをうかがうという物語が、結構普遍的なテーマなんかな。フリフリの衣装が当たり前の上流階級で、機能的なスーツを取り入れたのが新しかった、というわけなんだけど、確かにこの時代においてはかなりの異端児だったんでしょうね。何事も、人のしないことをするってのは大変だけど成功すれば実も大きいものです。

 「アメリ」や「ダヴィンチ・コード」でおなじみのオドレイ・トトゥはやっぱ不思議な魅力を持った女優さんで、本作ではシャネルスーツが似合っていて若い頃のシャーロット・ランプリングを思い起こさせる。待てよ、ランプリング自身がシャネラーだったってわけかな。

COCO AVANT CHANEL
アンヌ・フォンテーヌ監督。2009年フランス映画。

2011年3月31日 (木)

バイキング (1957)

バイキング 8世紀のイングランド。北方民族のバイキングが攻めてきて、その族長のラグナー(アーネスト・ボーグナイン)はイングランド王を殺して妃を襲う。それから数十年、妃が産んだバイキングの子エリック(トニー・カーティス)はバイキングの捕虜となり、バイキングの子エイナー(カーク・ダグラス)の虐待を受けていた。ところが略奪した英国妃モーガナ(ジャネット・リー)とラグナーをさらったエリックは船で英国へ向け脱出するのだったが…

 8世紀のイングランドとバイキングの争いを描いた冒険活劇超大作。2時間弱と尺は短いながらも、海戦シーンをふんだんに盛り込み、ラストの城の攻略をめぐる戦いまで一気に見せてくれる。バイキング役のカーク・ダグラスとその父アーネスト・ボーグナインなどまさにはまり役で、蛮族ながらもどこか憎めなく魅力的な役柄を思いっきり見せつけてくれる。

 見所はやっぱり城壁での戦いかな。この斧をのぼるシチュエーションとか、城壁の上でのちゃんばらとかは後の映画にかなりの影響を与えてるのではないかと想像されます。

THE VIKINGS
リチャード・フライシャー監督。1957年日本映画。

2011年3月26日 (土)

TEKKEN 鉄拳 (2009)

Tekken 鉄拳 近未来の世界は国家が崩壊し、アメリカは巨大財閥「三島」が支配していた。その本拠地TEKKENシティのスラムで生きる仁(ジョン・フー)は、武術を教わった母・準(タムリン・トミタ)を目の前で鉄拳衆と呼ばれる部隊に襲われ爆死させられる。復讐を誓った仁は、三島財閥を牛耳る親子の三島平八(ケイリー・ヒロユキ・タガワ)と三島一八(イアン・アンソニー・デイル)が主催する格闘技トーナメントに参加するのだったが…

 日本製ビデオゲームを原作とする格闘アクション映画。ベタな展開かと思いきや、三島財閥の壮大な親子げんかがからんできたあたりからがなかなか面白かった。何よりも、サリーちゃんのパパかと突っ込みたくなるような三島平八に、濃いさ大爆発の一八親子は存在自体が漫画かと突っ込みたくなることうけあい。まぁトンデモ映画の1本だと思って、思いっきり楽しむのがこの映画の正しい鑑賞法でしょう。

 ちょっとうれしかったのは、「ベスト・キッド2」のタムリン・トミタがひさびさに見られたこと。すっかりおばちゃんになりながらも、きりっとした強さ、美しさを保っているのはさすがです。

TEKKEN
ドワイト・リトル監督。2009年アメリカ映画。

2011年3月25日 (金)

ゲーム (1997)

ゲーム ニコラス(マイケル・ダグラス)は48歳の誕生日に、弟のコンラッド(ショーン・ペン)からCRSという謎の会員制クラブの招待券を贈られる。不振に思いながらも、クラブのオフィスに出向くニコラス。その日は心理テストなどが行われるが、クラブの正体は不明。やがてニコラスの身辺にありえない事件が起こり始めて…

 デヴィッド・フィンチャーが「セブン」の次に撮った映画。しかしこの映画が公開されていた記憶が個人的にまったくないのは、あまり話題にならなかった作品のせいなのか、それともありきたりなタイトルで損をしているせいなのか…

■以下はネタばれあり、見てない方は読まないで…
 これって一言で言うと、壮大などっきりテレビ。しかも2時間ずっとどっきりが持続していて、フィンチャーならではの異様な緊迫感が続いていくのが何とも言えない。その間、観客はどっきりとは知らないわけだから謎が謎を呼ぶフラストレーションにふり回されるわけだ。何なんだ、何が起こっているんだ!?

 で、ひととおりどっきりが終結して感じるのは「そんあのありか?」 この結末にたどり付くまでの一本道が異様に細い。例えば、車ごと海に落ちて脱出できなかったらダイバーに助けられるそうだが、それでゲームオーバーだったのかとか、ニコラスが銃を片手にああいうふうに暴れなかったらどうなっていたのかとか、ビルから飛び降りて落ちる場所がちょっとでもずれてたらどうなっていたのかとか…

 そのたどってきた道があまりに細いだけに、綱渡りの末のラストはどう考えても納得できない。

 そして… あそこまでコケにされたあげくに、みんなを許して弟と抱き合って、なんて絶対にありえない。ビルから飛び降りるまで追い詰められたんだぞ。だいたい、マイケル・ダグラスがそんなに聖人に見えるか? こりゃある意味ミスキャストかも。

 とまぁ、「セブン」や「エイリアン3」をはじめて見た時に友人と同じようにいろいろぐちゃぐちゃと話し合ったのを思い出した。当時のデヴィッド・フィンチャー恐るべし。最近はずいぶんと丸くなったような気がするんだけどね。

THE GAME
デヴィッド・フィンチャー監督。1997年アメリカ映画。

2011年3月24日 (木)

第9地区 (2009)

第9地区 南アフリカに巨大宇宙船が漂着し、乗っていた大量の宇宙人が住み着いてスラムと化す。第9地区と呼ばれたその居住区を別の場所に強制移住させるために、MNUという組織に責任者として任命されたヴィカス(シャールト・コプリー)は住民に立ち退きのサインをさせる任務を負うが、彼らの持つ謎の液体を体にあびてしまい…

 あのピーター・ジャクソンがプロデュース。ドキュメンタリー・タッチで描いた不思議な味を持ったSF映画。「エイリアン・ネイション」の焼き直しみたいな内容なんだけど、巨大宇宙船がアドバルーンのようにぽっかりと浮かんだ空が何とも雰囲気を盛り上げてくれる。見所はやっぱりスラムと化した宇宙人居住区で、汚さやにおいまで流れてきそうな画面の作り込みはなかなかのもの。冒頭の10分ぐらいで、かなりの拒絶反応を示す方も多いのではないかと想像する。

 とはいっても、物語は中盤から人情ものの様相を呈してくる。主人公のエイリアンの父子に思うのだが、私はこういった父子ものに弱いのである。ラスト近くの宇宙船の発進シーンには、はからずにもほろりときてしまったぞ。で、何十年か後には宇宙船は帰ってくるのだろうかとか、あの親子の行く末とか、ヴィカスの本当の運命はとか、不思議な余韻があとをひく、これは隠れた名作ではないかと思うのであった。

DISTRICT 9
ニール・ブロンカンプ監督。2009年アメリカ=ニュージーランド合作。

2011年3月23日 (水)

アンボーン (2008)

アンボーン 女子大生のケイシー(オデット・ユーストマン)は不思議な幻覚を見るようになり、やがてベビーシッターをしている子供のマティ(アッティカス・シェイファー)が「ジャンピーは生まれたい」と謎の言葉を言って暴れる事件が起こる。実は彼女には生まれなかった双子の兄弟がいることがわかり、悪魔払いに詳しいセンダック(ゲイリー・オールドマン)に相談するのだったが…

 悪魔払いをテーマにしたどろどろのホラー。マイケル・ベイがプロデュースしているだけあって、暗い映画ながらもストーリーはアクション寄りで、後半の悪魔払いのシーンなどはそれなりのスペクタクルに仕上がっている。お面をかぶった犬とか、頭が反対についた人間とか、ジャパニーズ・ホラーでよく使われそうな小道具(?)が光る。そんなに怖いわけではないが。劇場未公開。

THE UNBORN
デヴィッド・S・ゴイヤー監督。2008年アメリカ映画。

2011年3月22日 (火)

バレンタインデー (2010)

バレンタインデー ロサンゼルスのバレンタインの一日。花屋のリード(アシュトン・カッチャー)は恋人のモーリー(ジェシカ・アルバ)にプロポーズしてOKをもらい上機嫌。その友人のジュリア(ジェニファー・ガーナー)は恋人の医者ハリソン(パトリック・デンプシー)がバレンタインにサンフランシスコ出張になり、彼をこっそり追いかけることを決める。同じ頃、ロスへ向かう飛行機で乗り合わせたホールデン(ブラッドリー・クーパー)と軍人ケイト(ジュリア・ロバーツ)はいい雰囲気になり、老夫婦エドガー(ヘクター・エリゾンド)とエステル(シャーリー・マクレーン)は重大な夫婦の危機を迎えるのだったが…

 ロスのとあるバレンタインの日の文字どおり一日の馬鹿騒ぎをこれでもかと具だくさんにオールスターで綴った群像映画。ロバート・アルトマンが作った…と言われたら信じてしまいそうな内容。これって、10本ぐらいの映画をぎゅっと詰め込んだような状態で、顔の知れたスターのオンパレードなのでストーリーは追いやすいのだが…やっぱ見終わったあとには何が何だかわからなくなっていることうけあいである。

 ちなみに、上記のプロットに書いた以外にも出ているのが、ジェシカ・ビール、ジェイミー・フォックス、アン・ハサウェイ、クィーン・ラティファ、エマ・ロバーツ、エリック・デイン、などなど。それぞれの恋の結末は…というと、実はよくわかんない人も数名。なんか、すごいもったいないね。ジェシカ・アルバも出番はものすごく少なかったし。

VALENTINE'S DAY
ゲイリー・マーシャル監督。2010年アメリカ映画。

2011年3月19日 (土)

しあわせの隠れ場所 (2009)

しあわせの隠れ場所 南部で4人家族の母のリー・アン(サンドラ・ブロック)は、雨の中を薄着で歩く黒人少年マイケル(クィントン・アーロン)を車に乗せる。夫のショーン(ティム・マッグロウ)、長女のコリンズ(リリー・コリンズ)、長男のSJ(ジェイ・ヘッド)の心配をよそに、彼を家族の一員として迎え入れようとするのだったが、マイケルは無口な上に学校の授業にもさっぱりついて行けない。ところが彼のずばぬけた身体能力に気がついたリー・アンは…

 マイケル・ルイス原作、実在のアメフト選手マイケル・オアーの実話に基づいた物語。これが完全な創作であれば、かなり斜めに見てしまっちゃうような物語なんだけど、事実というだけに感心して見るしかないってところか。何よりも、サンドラ・ブロック演じる肝っ玉母さんの、マイケル・オアーを見いだした才能というか直感というか偶然には驚かずにいられない。これが天性の才能だというのであれば、彼女はスポーツのエージェントやマネージャーをすれば大成するんじゃないかと思われる。

 いや、純粋な人間を見る目が、マイケルという少年を見いだしたと取るべきか。アメフトの才能は後からついてきたってとこなのかな。希薄な存在に見えて、しっかり彼女をバックアップしている夫のショーンもいいキャラだぞ。彼を自然に受け止めてしまう長女のコリンズとか、完全に仲良しのSJとか、世の中こういう家族ばっかりだったらとってもいいと思う。

THE BLIND SIDE
ジョン・リー・ハンコック監督。2009年アメリカ映画。

2011年3月18日 (金)

男と女の不都合な真実 (2009)

男と女の不都合な真実 ニュースバラエティ番組のプロデューサーのアビー(キャサリン・ハイグル)は、理想の恋愛相手を探すもことごとく失敗。ところが隣にイケメンの上にマッチョな医師コリン(エリック・ウィンター)が引っ越してきて、この人こそはと思う。視聴率アップのために番組にやって来た、下ネタ満載のパーソナリティーのマイク(ジェラルド・バトラー)のアドバイスに従って、彼とのデートに成功する。マイクを軽蔑するアビーは、ことごとく衝突するのだったが…

 てきぱき美人のキャサリン・ハイグルと、野趣あふれるジェラルド・バトラーが共演のロマコメ。乙女の夢ががらがらとくずれて現実の良さに気がつくというあたりに、男としてはこの映画に爽快感を覚えるのかもしれません。まぁジェラルド・バトラーは野趣たっぷりでかっこいいので、当然と言えば当然の流れではありますが、中盤で甥っ子との関係とか自身の恋への臆病さ(ここはもっと突っ込んでほしかったが)を見せるところがこの映画の落としどころだとは思いますが。

THE UGLY TRUTH
ルバート・ルケティック監督。2009年アメリカ映画。

2011年3月17日 (木)

インクハート 魔法の声 (2008)

インクハート 魔法の声 古い本の修復を仕事とするモー(ブレンダン・フレイザー)は娘のメギーと二人暮らし。実はモーには魔法舌という本のキャラクターを現実に呼び出すという特殊な才能があり、その妻は「インクハート」という本の世界へ連れ去られたのだという。とある町でその「インクハート」を見つけたモーだったが、本の世界から抜け出した魔王カプリコーンから逃れるために叔母エレノア(ヘレン・ミレン)の屋敷へとたどりつき…

 コルネーリア・フンケの原作を映画化。本のファンタジーの世界と行き来する特殊能力を持った男が主人公のアドベンチャー映画。しかし魔法舌って訳してしまうと、私は頭の中に牛タンが浮かんで(笑)すんなりと物語の世界に入り込んで行けなかったぞ。相変わらず目玉ぐりぐりのブレンダン・フレイザーは等身大の父親ではまり役。大叔母のヘレン・ミレンも貫禄たっぷりでいい雰囲気。

 しかしストーリーがなんだかなぁ。書いた世界まで、読めば現実になるというのであれば…世界は意のままってことか。まぁ強力な魔法なんて手に入れてしまえばそんなものかもしれないけど、魔法に制約が少ないだけに乗り切れない後半とクライマックスでありました。劇場未公開。

INKHEART
イアン・ソフトリー監督。2008年アメリカ映画。

2011年3月 8日 (火)

セントアンナの奇跡 (2008)

セントアンナの奇跡 1983年のニューヨークのとある郵便局、局員のヘクター(ラズ・アロンソ)が客を射殺するという事件が発生する。しかもヘクターの家からは、行方不明になっていたイタリアの美術品・大理石の頭部が発見される。時は遡って第2次大戦末期のイタリアトスカーナ地方。黒人部隊として組織されたバッファロー・ソルジャーにヘクターの姿があった。他のメンバーはスタンプス軍曹(デレク・ルーク)、ビショップ軍曹(マイケル・イーリー)、トレイン上等兵(オマー・ベンソン・ミラー)など。ところが、黒人を良く思わない上長のせいで彼らは孤立してしまい、トレインはアンジェロという少年(ルイジ・ロ・カーショ)を救ってとある村へ転がり込むのだったが…

 サスペンスに見せかけて、なんと戦争映画。しかしスパイク・リー監督だけに一筋縄ではいかず、差別されながらもお国のために戦うことを余技なくされた黒人たちの物語である。大理石像が何を意味するかは最後まで明かされないままだったけど、それを狂言回しに感動のラストまでどどどどどっとストーリーは進む。ちょっぴり苦手なスパイク・リー作品にしては、すんなりと入り込めた不思議な作品である。

 群像劇のように見えて、ストーリーが黒人兵トレインとアンジェロ少年との関係にいい具合に絞り込まれていたところが勝因かな。大虐殺のシーンを見せつけられたあとで冒頭のニューヨークの殺人へと戻るのは納得の展開なのかもしれないけど、やっぱり虐殺→復讐ときて後の感動シーンでは、手放しで喜べないってのが正直な感想。「これが僕らの少年時代だ」という台詞があったけど、こういうのを見てると戦中派と戦後生まれは決定的に違うってのがわかるような気がする。

MIRACLE AT ST.ANNA
スパイク・リー監督。2008年アメリカ=イタリア合作。

2011年3月 6日 (日)

ザ・パッケージ 暴かれた陰謀 (1989)

ザ・パッケージ 暴かれた陰謀 冷戦時代の西ドイツベルリン。囚人兵トーマス(トミー・リー・ジョーンズ)のワシントンへの護送を命じられたたたき上げの軍曹ギャラガー(ジーン・ハックマン)だったが、寸前のところで逃げられてしまう。折しもワシントンでは、核兵器廃絶の条約が米ソ首脳のもとで結ばれようとしていた。陰謀を感じ取ったギャラガーは元妻で軍人のアイリーン(ジョアンナ・キャシディ)に協力を求めるのだったが…

 B級になる一歩手前で踏みとどまっているかのような、ポリティカル・サスペンス映画。邦題でかなり損している部分もあるとは思うのだが。ハックマン演じるギャラガー軍曹は、冒頭でも偽警察にだまされる失態、囚人護送でもはめられておいおい逃げられると、いいところなし。頭よりも体で解決するタイプだと、すりこまれて見てしまったのでラスト近くの大活躍はちょっと嘘っぽく感じてしまった。

 「ジャッカルの日」でも思ったんだけど、要人狙撃は狙撃手の後方をきちんとかためておけば、成功率が上がるってわけではないんかな?

THE PACKAGE
アンドリュー・デイヴィス監督。1989年アメリカ映画。

2011年3月 5日 (土)

リリィ、はちみつ色の秘密 (2008)

リリィ、はちみつ色の秘密 幼い頃に銃の暴発で母親を失ってしまったリリィ(ダコタ・ファニング)。桃園で父親Tレイ(ポール・ベタニー)と共に暮らしているが、家政婦で友人のロザリン(ジェニファー・ハドソン)が白人に乱暴されたのをきっかけに、二人で家出をする。行き先は、母の持ち物の中に書いてあったティブロンという地名。たどりついたティブロンのドラッグストアで見かけた蜂蜜をきっかけに、3姉妹メイ(ソフィー・オコネドー)、ジューン(アリシア・キーズ)、オーガスト(クィーン・ラティファ)が営む養蜂家で世話になることになったのだが…

 ずいぶんと大きくなったダコタ・ファニング(14歳?)の主演作。母親を撃ち殺してしまった少女という難しい役。さらに黒人の参政権問題とかややこしい背景を持っているにもかかわらず、この映画を爽やかにしているのは超いやし系のクィーン・ラティファのなせる技かも。ああいう女性は、どーんと存在しているだけでいいんです、と見ていてそういう気になってきます。

 おまえたち、本当に姉妹かと突っ込みたくなるような、メイ・ジューン・オーガストの3姉妹がまったくタイプが違うってのも面白い。オーガスト以外でも凛としたジューン、繊細なメイとみんな印象に残ります。メイ役ソフィー・オコネドーの仕草って、どこか深津絵里に似てるぞ。

 ひょっとしてこれ、原作のスー・モンク・キッドの私小説ではないかと思って調べてみたけど、わからなかった。彼女は弁護士になったザック(トリスタン・ワイルズ)に再会できたんかなぁ?

THE SECRET LIFE OF BEES
ジーナ・プリンス・バイスウッド監督。2008年アメリカ映画。

2011年3月 3日 (木)

ユージュアル・サスペクツ (1995)

ユージュアル・サスペクツ カリフォルニアで船の爆発事件が起こり、27人が死んで、生き残ったのは二人。原因はコカインをめぐる争いで、生き残りの一人ロジャー(ケヴィン・スペイシー)は尋問中だった。事件の6週間前、銃器強奪の容疑で5人の男(ガブリエル・バーン、スティーヴン・ボールドウィン、ベニチオ・デル・トロ、ケヴィン・ポラック、K・スペイシー)が常連容疑者(ユージュアル・サスペクツ)として逮捕されていた。釈放された5人は意気投合して、汚職警官が禁制品を運ぶパトカーの強奪を企てるのだったが…

 かなりこみ入ったストーリーの犯罪推理映画。最初から人物と名前をしっかり覚えていかないと、ストーリーに取り残されてしまうことうけあい。oga.はリモコン片手に時々巻き戻しながら見てしまったけど、劇場ではそんなことできないので要注意。しかしそのわりに、オチは凡庸だった気がしないでもない。でももうひとひねりされると、さらにストーリーから置いて行かれるかも。

 雰囲気で言うと、デ・パルマの「スネーク・アイズ」あたりが好きな人ならぴったりかも。ふてぶてしい連中のだまし合い映画なんだけど、軽快感と爽快感に乏しくて個人的には肌に合わなかったってところ。伝説の人物「カイザー・ソゼ」の盛り上げ方はいいんだけどなぁ…惜しい。ミステリーファンがあんまり期待せずに見たら面白いかもしれないけど、普通の人が予備知識なしに見たら…確実に取り残されるかも(笑)。

ブライアン・シンガー監督。1995年アメリカ映画。

2011年2月28日 (月)

イーグル・アイ (2008)

Eagle_eye コピーショップの店員のジェリー(シャイア・ラブーフ)は兄の急死の知らせを受ける。ところが彼の口座に突然大金が振り込まれた上に、武器や戦闘機のマニュアルが送りつけられ、さらに逃げよと言う女の声の電話を無視していると当局に逮捕されてしまう。同じ頃、シングルマザーのレイチェル(ミシェル・モナハン)は息子の命を助けたければ命令に従えという電話がかかってきて…

 謎の女の声の電話に翻弄される男女を描いた、サスペンス・ノンストップ・アクション映画。スピルバーグ印だけに派手な映画で、彼らを追う捜査官にロザリオ・ドーソン、ビリー・ボブ・ソーントンなど、配役も豪華な映画である。

 いわゆる監視ものの映画で、「エネミー・オブ・アメリカ」のパワーアップ版といったところ。しかも今回は、インプットされた情報に関する判断が非常に早くて人間たちを手玉に取るあたりが現実離れしていて「こんなのありか」などと思ってたら、なるほどそういうオチでしたか。コワイ怖い未来です。

 「デモン・シード」とか「ウォー・ゲーム」とか…こういう映画は絶えることなく作られていくんでしょうね。コンピューターによるオンライン社会が発展していく限り。

D・J・カルーソー監督。2008年アメリカ映画。

2011年2月26日 (土)

サロゲート (2009)

サロゲート 実に人類の9割が「サロゲート」という遠隔操作ロボットを使うようになり、自身は自宅に引きこもってしまった未来。このロボット「サロゲート」の開発者の息子のサロゲートが惨殺され、同時に操縦していた持ち主キャンター(ジェームズ・フランシス・ギンティ)までもが怪死する事件が起こる。FBI捜査官のトム・グリアー(ブルース・ウィリス)とジェニファー(ラダ・ミッチェル)は事件を追うのだが、そこにはサロゲートの開発者キャンター博士(ジェームズ・クロムウェル)と謎の予言者(ヴィング・レイムス)の影がちらつくのだったが…

 「マトリックス」を裏返しにしたような、究極の引きこもり映画。自宅からまったく出ることがなくなった未来の物語。こんなことしてたら、人類総運動不足になるんじゃないの。いやいや、体力ばかりでなく生殖能力も落ちて人類滅亡の危機に陥るんじゃないかと、いらん心配が頭によぎってしまった。

 まあつるんとした顔で髪があるブルース・ウィリスよりも、毛のないウィリスの方が数段魅力的というのは正直な感想。もうひとつ、ウィリスの妻役のロザムンド・パイクも老けた顔の方がかわいく感じられたのも、映画の意図に沿ってたのかな。突っ込みどころは満載だけど、スピーディーなアクションとB級テイストたっぷりで、ひさびさに楽しめるSFアクション映画でした。

ジョナサン・モストウ監督。2009年アメリカ映画。

2011年2月24日 (木)

恋するベーカリー (2009)

恋するベーカリー 夫ジェイク(アレック・ボールドウィン)と別れてベーカリーを経営するジェーン(メリル・ストリープ)は女手一つで3人の子供たちを育て上げる。ところが息子の卒業式でジェイクと鉢合わせになったジェーンは、夫と一晩だけよりを戻すのだったが…

 年下の女に走って妻と家族を捨てた男とのどろどろ不倫物語…になるはずなんだけど、妙にからっとさらっと仕上がっているのはメリル・ストリープとアレック・ボールドウィンという大人のカップルの成せる技? しかも本能のままに生きるジェイクのコメディ・パートが妙におかしくて、この優柔不断男を意外と暖かい目で見てしまうんだよな。そう考えると、三角関係の相手役となるスティーヴ・マーティンはちょっと分が悪い。彼のお得意とするコメディ・パートもすっかり封じ込められてしまっているし。

 とはいっても、キャスティングではスティーヴの方が上なのがちょっと注目点なのかも。子供たちにとっては、この三角関係はどう転んでほしいかは複雑なところでしょうね。なお、映画タイトルがベーカリーにもかかわらず、意外とベーカリーが本編にからんでないのが不満といえば不満でありました。

ナンシー・マイヤーズ監督。2009年アメリカ映画。

2011年2月22日 (火)

スパイ・ゲーム (2001)

スパイ・ゲーム CIA工作員のビショップ(ブラッド・ピット)は中国でスパイ容疑で逮捕される。その知らせを受けた彼の上司であり、今は引退しているミュアー(ロバート・レッドフォード)はCIA本部に呼び出しを受ける。彼はかつてのビショップの活躍に関して語り、彼の救出計画を模索するのだったが…

 トニー・スコット監督ならではのなんとも渋くスタイリッシュなスパイ映画。中国で逮捕された工作員をめぐり、過去と現在が入り乱れた構成はなかなかのスケール感で、まどろっこしいようで実はしかるべき手順を踏んでいるというところがなんともいい。しわくちゃに老けてしまったロバート・レッドフォードが、ほとんどCIA本部から出ることがないくせに世界を飛び回っている過去を語りまくるあたりが、饒舌さを感じさせる。

 雰囲気でいったら、ゴルゴ13あたりの劇画がそのまま動き出したといったところかな。「ワールド・オブ・ライズ」も思わせるけど、ストーリーの面白さはこちらの方が数段上。チョイ役だけど、シャーロット・ランプリングも出ていて画面を引き締めてます。

トニー・スコット監督。2001年アメリカ映画。

2011年2月18日 (金)

アニー・ホール (1977)

アニー・ホール コメディアンのアルビー(ウディ・アレン)は歌手の卵アニー(ダイアン・キートン)と意気投合して同棲生活をはじめる。ところがうまくいっていたのは最初のうちだけで、やがて2人の間にはどうしようもない溝ができはじめる。ニューヨークにこだわるアルビーと、開放的なカリフォルニアでの生活を夢見るアニーはやがて別離への道をたどるのだったが…

 ウディ・アレンの最高傑作という声もある作品で、アカデミー作品賞・主演女優賞・監督賞などを取った作品。しかし今見てみると…どうにもよく理解できないってのが正直な感想。男と女のすれ違いを描いてはいるのだが、普遍的な内容すぎてどうにもおもしろみを感じることができない。特に主人公のアルビーってのがどうしようもないヤツで、神経質そうなところが昔の封じ込めてしまった自分を見ているようでとても嫌な気分にさせられる。それが決定的にこの映画が好きになれない部分かも。

 突然、独白をはじめたり、人間が分裂してみたりと、面白いシーンはいろいろあるんだけど。アレンの映画は、好きな作品とダメな作品が私的にははっきり分かれるようです。

ウディ・アレン監督。1977年アメリカ映画。

2011年2月17日 (木)

黄金の7人 1+6 エロチカ大作戦 (1971)

黄金の七人 1+6 エロチカ大作戦 シシリーで問題を起こしてベルガモの街へやって来た若者(ランド・ブッツァンカ)が、上流階級の婦人ココ(ロッサナ・ポデスタ)に執事として雇われる。ところが彼は睾丸が3つある絶倫男で、メイドたちをはじめ次々とまわりの奥様たちに手を出していくのだったが…

 黄金の7人の番外編…というよりは、マルコ・ヴィカリオ監督と夫人のロッサナ・ポデスタ主演というだけであとはまったく黄金の7人とは関係がない別物の映画。かつてはこういう作品を続編扱いして観客を騙す(笑)ことが多かったんだけど、今考えるとそれも楽しい思い出というか、古き良き時代の笑い話って気がいたします。

 ストーリーはまったく単純なもので、シチリアからやってきた絶倫男が上流階級の婦人たちを次々とものにしていくも、ある事件が起こってしまい年貢をおさめてしまうというもの。エロティックな内容なはずなんだけど、現代のレベルからしたらまったくエロティックでないのが面白い。ロッサナ・ボデスタもシルヴァ・コシナも露出はすっごくひかえ目。まぁ主役というか、肝心の3つ玉が見られないんじゃどうしょうもない(見たくもないけど)。

マルコ・ヴィカリオ監督。1971年イタリア映画。

2011年2月15日 (火)

ふたりの男とひとりの女 (2000)

ふたりの男とひとりの女 チャーリー(ジム・キャリー)は善良な白バイ警官だったが、ある日最愛の妻にいけ好かない黒人の男と逃げられてしまう。残されたのは、3人の黒人の息子たち。彼らを大きく育てたチャーリーだったが、ある日任務でアイリーン(レニー・ゼルウィガー)を他州に届ける任務につく。ところが彼は、日頃の鬱憤からか2重人格の病気が前に出て来て…

 ファレリー兄弟監督、ジム・キャリー初期のコメディで、競演はこれまた初期のレニー・ゼルウィガーという今見ると結構豪華な映画。かなり毒々しい内容なんだけど、女房が置いていった黒人の3つ子を大事に育てるあたりがなんとも泣かせる。さらにこの3人が口は汚いながらもいい子に育ってるんだよなぁ。こういうの見てると、世の中って何がどう転んで幸福になるのかわからなくなってしまいます。

 それにしても、この4人を残して悪びれもせずに出て行ってしまう鬼嫁って一体… 連れ出す男も男なんだけど、このあたりは映画のストーリー的にはおとがめなしってのはちょっと腑に落ちないぞ。ジム・キャリーは二重人格の男を、持ち前の顔芸で楽しそうに演じておりました。

ボビー・ファレリー、ピーター・ファレリー監督。2000年アメリカ映画。

2011年2月14日 (月)

マックス・ペイン (2008)

マックス・ペイン 強盗に妻子を殺されたニューヨークの刑事マックス・ペイン(マーク・ウォールバーグ)は、迷宮入り事件の書類係に身を置きながら、復讐の機会を狙っている。ところがドラッグの取引現場で知り合ったナターシャ(オルガ・キュリレンコ)が殺されたことから、事件の裏に製薬会社の陰謀があることを知り…

 タイトルからしてホラー系の映画かと思いきや(痛さ最大?)、パソコンゲームを原作としたハードボイルド・アクションであった。主人公の名前が「マックス・ペイン」。途中に羽根の生えた悪魔が降りてくるシーンがありやっぱりホラー映画かと思わせるが、ドラッグによる幻覚のようである。予備知識なく見ると、途中まで映画のジャンルさえ読めなかった。面白い演出である。このダークなハードボイルドの元がパソコンゲームなんて、一体どんな内容なんだろうか?

 ヒロインのオルガ・キュリレンコは007のボンドガールですね。出番が少なくてとってももったいなかった。途中からその姉のモナ(ミラ・クニス)が登場するんだけど、思ったほど華がないのがちょっと難点。マーク・ウォールバーグはこのところちょくちょく見るけど、作品が小粒なせいか彼自身の存在感も薄くなっていってるような気がいたします。そうそう、すっかりおっちゃんになっちゃったボー・ブリッジスも出てます。

ジョン・ムーア監督。2008年アメリカ映画。

2011年2月12日 (土)

ダレン・シャン (2009)

ダレン・シャン 蜘蛛が大好きな高校生のダレン・シャン(クリス・マッソグリア)は友人のスティーヴ(ジョシュ・ハッチャーソン)と共に「シルク・ド・フリーク」という見せ物小屋を見に行く。ところがダレンは、中年吸血鬼のラーテン(ジョン・C・ライリー)が飼う蜘蛛マダム・オクタが気に入って盗んできてしまい、よりにもよって友人のスティーヴはその蜘蛛に噛まれて瀕死の重傷を負う。友人を救う交換条件としてハーフ・ヴァンパイアになったダレンは、ミスター・トール(渡辺謙)を団長とするシルク・ド・フリークに仲間入りして少女レベッカ(ジェシカ・カールソン)とも仲良くなるのだったが…

 イギリスの作家ダレン・シャンの原作を映画化。子供が買った小説版とコミック版が家にあった(私は未読だが)のと、渡辺謙が出演しているということで日本のファンタジー小説かコミックだと思っていたんだけど、原作はイギリスでした。しかも作者名と主人公の名前が同じってのはちょっと混乱するかも。

 内容は、武闘派のヴァンパニーと穏健派のヴァンパイアの戦いに2人の少年が巻き込まれていくというもの。友人のスティーヴの方が悪役に回ってしまうんだけど、元々は主人公のダレンが蜘蛛を盗んだことがすべての発端というのが複雑なところである。個人的には、どっちもどっちに思えてどちらにも感情移入できなかった。

 序盤の見せ場はシルク・ド・フリーク奇怪なサーカスなんだけど、トッド・ブラウニングの映画「フリークス」再来を狙ったのかビジュアル的にはかなり強烈。しかしフリークスたちがみんないい人ってのは今も昔も変わらず、このサーカスに安らぎを感じるのはわからなくもない。

 渡辺謙の団長は、特殊メイクも似合っていてなかなかケレン味たっぷりでかっこいい。ダレンを助けるラーテンが一見さえない中年男なのと、ヒロインがあかぬけてないあたりが新鮮かな。チョイ役だけどウィレム・デフォーやサルマ・ハエックも出てます。

ポール・ワイツ監督。2009年アメリカ映画。

2011年2月10日 (木)

スペル (2009)

スペル 銀行員のクリスティン(アリソン・ローマン)は、ローンの返済を待ってくれとたのんできた老婆(ローナ・レーヴァー)を、ルール通りに断る。その日の帰りがけに老婆に襲われたクリスティンは、不気味な呪文をかけられてしまう。やがて、彼女のまわりに怪奇現象が起こり始め、クリスティンは恋人のクレイ(ジャスティン・ロング)と共に霊媒師に助けを求めるのだったが…

 本来はホラー映画の巨匠だったサム・ライミ監督ひさびさのスプラッタ系ホラー映画。この盛りだくさんの内容を見てると、サム・ライミってホラーが撮りたくて結構たまってたんじゃないかって気にさせられます。おかず満載で、最後まで楽しませてくれます。気持ち悪いけど。

 内容は至って正統派で、スティーブン・キングの原作かと思ったら違いました。老婆の扱い方がキングっぽいし、呪いのかけ方もキングっぽいです。単にスプラッティーなシーンが用意されているのではなくて、どっちかというと食欲をなくしそうなシーンが満載なので要注意です。

 アリソン・ローマンって、あの「マッチスティック・メン」でニコラス・ケイジを翻弄した少女ですね。今回はすごく等身大な主人公を演じてて、特に最後の呪い返しのシーンなんかは完全に感情移入して見てしまいました。逆恨みの老婆はただただコワイ。金の貸し借りは、銀行といえどもつくづく恐ろしいものです。

サム・ライミ監督。2009年アメリカ映画。

2011年2月 8日 (火)

シャーロック・ホームズ (2009)

シャーロック・ホームズ 19世紀のロンドンで、若い女性が被害者の連続殺人事件が起こる。事件を調べるシャーロック・ホームズ(ロバート・ダウニー・Jr.)は友人の医師ワトソン(ジュード・ロウ)と共に犯人のブラックウッド卿(マーク・ストロング)をつかまえる。絞首刑になったブラックウッドだったが、彼が墓から抜け出したという噂が広まり…

 言わずと知れたコナン・ドイル原作の推理小説を映画化。ホームズは武道の心得があるというところをかなりふくらませた、跳んだりはねたりのアクション編のホームズ物語となっている。オカルトな味付けと見せ場の連続は、スピルバーグが製作した「ヤング・シャーロック」を思わせるものがあるけど、加えてロンドン名物の鉛色の空と、作りかけのロンドン橋(3丁目の夕陽の影響か?)とケレン味たっぷり。

 ホームズとワトソンの、凸凹コンビぶりも面白い。こりゃイギリスというよりも、アメリカの警官コンビって感じだな。ホームズの小説はひととおり読んだけど、こんなのもありだろうなってことで私は違和感はなかったぞ。

ガイ・リッチー監督。2009年アメリカ映画。

2011年2月 7日 (月)

ブライダル・ウォーズ (2009)

ブライダル・ウォーズ 子供の頃からプラザホテルでのジューンブライドを夢見てきた弁護士のリヴ(ケイト・ハドソン)と教師のエマ(アン・ハサウェイ)。偶然彼氏からプロポーズされる時期が重なった2人だったけど、ウェディング・プランナー(キャンディス・バーゲン)の手違いでなんと2人の結婚式の日取りが重なってしまう。お互い一歩も譲れずに、同じ日の結婚式を決める2人だったが、その関係はこじれにこじれて…

 女の子の夢…結婚式にまつわる騒動を描いたコメディ。これって笑えるか笑えないかは、人によってかなり微妙じゃないかと想像いたします。個人的には「勝手にやってろよ」という気分になってくるんだけど、一生に一度の結婚式はやっぱり女性が主役で男性は添え物です。命をかけてる彼女たちを単純に笑いとばしてしまうことはできません(笑)。

 ケイト・ハドソンって、どうしても母親のゴールディ・ホーンと比べちゃって悪いんだけど、芸風はとっても似てるながらも思ったよりも華がないのが難点。最初に登場した時に、彼女が主役だと気づかなかったぞ。食べ続ける女って役柄は似合ってるけど。アン・ハサウェイは典型的なミス・ユニヴァース顔というか、顔の具が大きいです。頑張ってコメディしてますって雰囲気をちょっとだけ感じました。

 対する男性陣の存在感のなさは、結婚式というものの本質を如実に物語っておりました。2人の花婿は、ぼーっと見てたらどっちがどっちかわからなくなりそうだった。あんな彼女たちを冷静に見ているあたりは、将来良い夫になるんだろうなとは思うが。

ゲイリー・ウィニック監督。2009年アメリカ映画。

2011年2月 5日 (土)

私の中のあなた (2009)

私の中のあなた アナ(アビゲイル・ブレスリン)は白血病の姉ケイト(ソフィア・ヴァジリーヴァ)のドナーとなるべく遺伝子操作で生まれてきた女の子。姉思いのアナではあったが、ある日弁護士のキャンベル(アレック・ボールドウィン)を雇い腎臓移植のドナーになることを拒否すべく両親(キャメロン・ディアス、ジェイソン・パトリック)を訴える。

 ジョディ・ビコーの原作を映画化。ドナーとなるべく生まれた女の子…というものすごい設定の主人公のドラマである。自己責任の国アメリカではこういうのもありなのかと想像するが、責任のとれる母親はともかく、生まれてきたアナの運命はどう考えたらいいんだろう。かといって母親が全面的に悪者ってわけではなく、子供を救うためのぎりぎりの選択というあたりはかなりの共感を持って見てしまった。この立場、自分がドナーになれないっていう悔しさは想像できないほど大きい。

 この映画で特筆すべきは、姉ケイトの初恋物語。娘(息子)の余命わずかとなると、何をしてあげたいかというときっと恋愛させてあげたいと思うかもしれない、なんて思って見ていると、画面の中では同じような展開が。坊主頭のテイラー(トーマス・デッカー)がかっこいいです。まったく唐突に挿入されかたのようなエピソードだけど、この部分が物語をぴりりと引き締めて印象的にしています。

 アビゲイル・ブレスリンは「幸せの1ページ」の女の子ですね。相変わらず芸達者なんだけど、今回は坊主頭での熱演が光るソフィア・ヴァジリーヴァの方に目が釘付けになりました。キャメロン・ディアスはやっぱコメディの人なので、こういったシリアスものはイメージが付いていかないかも。

ニック・カサヴェテス監督。2009年アメリカ映画。

2011年2月 4日 (金)

続・黄金の7人 レインボー作戦 (1966)

7_oro_2 懲りずに金塊を狙って銀行を目指してトンネルを掘る6人(ガストーネ・モスキン、ガブリエル・ティンティ、ホセ・スアレス他)と教授(フィリップ・ルロワ)、愛人ジョルジュ(ロッサナ・ボデスタ)だったが、作業途中にアメリカの秘密機関に拉致されてしまう。実は教授とアメリカの裏取引で、南米の某反米国家の活動資金である金塊を彼らが狙うことになったのだが…

 「黄金の7人」の正当な続編で、メンバーはそのまま。音楽も一部そのまま。しかも銀行強盗の手口もそのままと思わせて、気がついたら中米の某国へ舞台が移る展開は見事。一体なにが目的なのかはしばらく明かされないんだけど、タイトルからもわかるように目的はやっぱり金塊。かくして南米某国と黄金の7人との化かし合いがスタートするのだったが。

 今回のポイントは、某国の将軍とジョルジュの化かし合い…というかジョルジュのお色気攻撃に完全に蛇の生殺し状態で撃沈される将軍が面白おかしいコメディパートとなっている。そのぶん、メンバーの裏切り裏切られの化かし合いはトーンダウンしている。

 ここまで黄金にこだわる彼らの問題点は…あんだけかさばるブツを、どうやって奪うというか持ち去ってしまうかに尽きるんじゃないかな。結局、あるべき黄金は最後まであるべき場所におさまっていて、その場所を移動させるだけのために7人+1人は右往左往しているわけなのだ。

マルコ・ヴィカリオ監督。1966年イタリア映画。

2011年2月 3日 (木)

黄金の七人 (1965)

黄金の七人 ジュネーブにあるスイス銀行の前に、道路工事の車がやって来る。乗っているのは大泥棒の6人(ガストーネ・モスキン、ガブリエル・ティンティ、ホセ・スアレス他)。彼らを無線で指揮するのは、教授と呼ばれる男(フィリップ・ルロワ)とその愛人ジョルジュ(ロッサナ・ボデスタ)。トンネルを掘って7トンの金塊の持ち出しに成功した彼らだったが、実は教授はジョルジュと2人で金塊を持ち逃げすることを考えており…

 懐かしい…ってのはアルマンド・トロヴァヨーリのテーマ音楽で、実は中身には初めてお目にかかった65年製作のイタリア製コメディ。さすがイタリアだけあって、原色ばりばりの凄い色遣いの画面に、子供向けアニメを思わせる秘密兵器の数々。物語の半分くらいは金塊強奪の話なんだけど、後半は裏切り裏切られてぐちゃぐちゃ。そこに紅一点のロッサナ・ボデスタのお色気攻撃と、とにかく1回見たら脳細胞に強烈にすり込まれるアクの強い映画である。

 しかし、あれだけ裏切り裏切られてぐちゃぐちゃになりながらも、またまたチームを組んでしまう脳天気さってのは一体何なんだろう。彼らは正真正銘の仲良しなんかもね。

マルコ・ヴィカリオ監督。1965年イタリア映画。

2011年1月31日 (月)

ティーン・ウルフ (1985)

ティーン・ウルフ 高校生のスコット(マイケル・J・フォックス)はバスケットボールの選手ながらもぱっとせず、片思いのパメラ(ロリー・グリフィン)にも相手にされない。ところがある日自分の身体が狼に変身することを知ったスコットは父親のハロルド(ジェームズ・ハンプトン)に相談すると、実は父も狼男だったことを知る。そしてバスケットの試合で興奮したスコットは狼男に変身するが、その大活躍で人気者になってしまい…

 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でマイケルが大人気だった頃に公開された学園コメディ。冒頭の「じんましんだろうか」と悩むマイケルのメイク(?)が妙にリアルで見ていてかゆくなってきた。逆に狼男に変身してからは、逆にリアリティがなくてちょっぴり興ざめ。しかし怖さはないのでホラーが苦手な方でも安心して楽しめる内容。

 幼なじみのブーフ(スーザン・アーシティ)とパメラとの三角関係は、もう完全に結末ばればれ状態なんだけど、ブーフのキャラクターの良さで完全にカバーされている感じ。スコットの父ハロルドとブーフがバスケットで遊ぶださださのシーンは、ある意味名場面ではないかと思う。野心家の友人スタイルズ(ジェリー・レヴィン)もいいキャラです。ただし細かいところはいいんだけど、狼を封印して頑張るラスト・シーンはあれで勝ててしまえるなら、ちょっとお手軽過ぎる感じかな。

ロッド・ダニエル監督。1985年アメリカ映画。

2011年1月30日 (日)

シテール島への船出 (1983)

シテール島への船出 映画監督のアレクサンドロス(ジュリオ・ブロージ)はオーディションを行っているが難航する。偶然であった花売りの老人に(マノス・カトラキス)にインスピレーションを感じたアレクサンドロスだったが… 場面は変わって、ロシアに亡命した父スピロを待つアレクサンドロス。母カテリーナ(ドーラ・ヴァラナキ)と共に父を迎えるが、歓迎する家族とうまくいかなかったスピロは再び家を出て行く…

 ギリシャのアンゲロプロス監督の映画の中でも評価の高いものなので、心して見たのであったが… 芸術映画特有の語り口の舌足らずなところに足をすくわれてしまった。冒頭の映画のオーディションから、劇中劇と思われる父を待つシーンへ移る部分がよくわからなかったので、置いて行かれたってところかな。

 ロシアへ亡命した父やら、それを迎える村人たちとのやり取り。実は父はロシアにも家族があってという部分などは心情的には不変なものはあるのかもしれないけど、やはり社会的背景とかを知らないと完全に置いてけぼりにされるんじゃないかと思います。

 それにしても、法律上のことかもしれないけど、入国も出国もできない老人を筏みたいなものにつなぎとめておくってのはいかがなもんか。それがギリシャかロシアか知らないけど、当時の社会情勢を反映してるってことなんかな。

テオ・アンゲロプロス監督。1983年ギリシャ=イタリア合作。

2011年1月28日 (金)

あゝ結婚 (1964)

あゝ結婚 戦時中のイタリア、実業家のドメニコ(マルチェロ・マストロヤンニ)は、売春婦のフィルメーナ(ソフィア・ローレン)と意気投合する。戦争が終わって再会した2人だったが、結婚には結びつかずドメニコはフィルメーナを愛人のように囲う。20年の月日が過ぎ、元来がプレイボーイのドメニコだけにぶつかり合いながらも関係を続ける2人だったが、フィルメーナには3人の隠し子がいることが発覚して…

 「魂のジュリエッタ」に続く、何じゃこれはの夫婦とは摩訶不思議ものの映画。ローレン=マストロヤンニという定番の組み合わせなんだけど「ひまわり」とはまた変わったコミカルでとりとめのない内容。しかしラストでめちゃめちゃいがみ合って争っていた2人が、突然火が付いたようにああなってしまうラストって… この心情が理解できるほど、私は成熟してないのかも(笑)。

 彼らって結局、似たものカップルなわけなんですよね。こういったどろどろの争いになった時には、男の方がちょっとだけ分が悪いってのは万国共通なんかな。

ヴィットリオ・デ・シーカ監督。1964年イタリア映画。

2011年1月27日 (木)

魂のジュリエッタ (1964)

魂のジュリエッタ セレブな主婦ジュリエッタ(ジュリエッタ・マシーナ)は、夫(シルヴァ・パスー)といい関係を築いていたはずだったが、結婚記念日の夜に夫が寝言で他の女性の名前を口にしたことから、浮気を疑い始める。私立探偵に浮気調査を依頼するが、友人のスージー(サンドラ・ミーロ)は彼女に浮気をすすめて若い男を紹介するのだったが…

 「道」のジェリソミーナ役の印象が強烈なジュリエッタ・マシーナの主演作。フェリーニ監督の妻だけに、私小説映画みたいなのを想像したんだけどやっぱりフェリーニだけに一筋縄ではいかなかったってところ。途中から登場する、霊媒師とか占い師とかコックリさんとか天使とか、気がつけばもうぐちゃぐちゃのフェリーニワールドで何が何だか…

 ところが、平然として(平然とした顔に見える)その中に立ち尽くすジュリエッタ・マシーナが実に絵になっているのが凄い。女優のオーラってやつかもしれん。必死で平然を装っているとも見てとれる。

 このフェリーニとジュリエッタという夫婦、結局は最後まで添い遂げるんですよね。夫婦の関係ってのは、こういったぐちゃぐちゃを超越したところにあるんかな。

フェデリコ・フェリーニ監督。1964年イタリア=フランス合作。

2011年1月24日 (月)

若者のすべて (1960)

若者のすべて ミラノで働く長男のヴィンチェを頼って、パロンディ家の母ロザリア(カティーナ・バクシー)と4人の兄弟シモーネ(レナート・サルヴァトーリ)、ロッコ(アラン・ドロン)がやって来た。ところがヴィンチェはジネッタ(クラウディア・カルディナーレ)という女性と婚約パーティの最中で、彼女の家族と仲たがえをしたパロンディ家の面々は、翌日から職探しに奔走する。プロボクサーを目指すシモーネはナディア(アニー・ジラルド)という女性とつきあうのだがうまくいかず、やがてロッコも加えた三角関係がもつれて…

 貧困のため田舎から出てきた5人兄弟を描いた大河ドラマ。3時間という長尺にぐぐっとドラマが詰め込んであって、特にドロン、サルヴァトーリ、アニー・ジラルドのどろどろとした三角関係はぐいぐいと見せてくれる。ネオ・リアリスモというよりは、ハリウッド・クラシックに近いタッチで、ヴィスコンティ監督だけにこむつかしいものを見せられると身構えていた身にはちょっと肩すかしをくってしまった感じである。

 ドロンはこの頃は主役というよりも5人兄弟の真ん中ということで、この5人は均等に扱われている。兄弟でいえばサルヴァトーリの壊れかたが強烈で印象に残り、ドロンは受けに回っているような印象である。魔性の女アニー・ジラルドは、わからなくもないけど魔性の女と呼ぶのはどうなんだろう。母親ロザリオとの対決は見物であったが。

 一番もったいなかったのが、クラウディア・カルディナーレ。彼女の気の強そうな存在感はなかなかのもので、できればストーリーにもっと深くからんでほしかったところ。

ルキノ・ヴィスコンティ監督。1960年イタリア=フランス合作。

2011年1月21日 (金)

パニック・ルーム (2002)

パニック・ルーム 富豪の夫スティーヴン・アルトマン(パトリック・ボーショー)と離婚して娘のサラ(クリステン・スチュワート)と巨大なテラスハウスに引っ越してきたメグ(ジョディ・フォスター)。ところが引っ越しの夜に3人の押し込み強盗(フォレスト・ウィテカー、ジャレッド・レトー、ドワイト・ヨーカム)が入ってきた。とっさに、避難用の小部屋の通称パニックルームへ逃れた2人だったが、実は強盗の目的はこの部屋に隠された金庫にあった…

 デヴィッド・フィンチャー監督のサスペンス。舞台はこのでっかいテラスハウスのみ。登場人物も上記の5人でほとんど最後まで引っ張る密室劇なのだが、成功しているかというとかなり苦しい。中盤の2人が部屋のドアを開けるシーンはかなりはらはらさせられたが、それ以外はパニックというにはほど遠いのんべんだらりんとしたお話が展開する。

 何が敗因かというと、犯人役のフォレスト・ウィテカー、通称「ハリウッドの釣瓶」。彼は私の中ではいい人でしかありえない。そんな先入観で見ていたもんだから、とんとんと転がるストーリーから置いてけぼりにされることはなかったんだけど、ひねりの少なさには首をひねった。そう考えると、ラスト近くの警官たちとのやり取りもなんだかなぁ。

 この映画の収穫と言えば、2002年制作と中途半端に古いがために、子役時代のクリステン・スチュワートが見られることかな。ジョディ・フォスター相手に堂々と母娘を演じております。

デヴィッド・フィンチャー監督。2002年アメリカ映画。

2011年1月19日 (水)

マッチスティック・メン (2003)

マッチスティック・メン 詐欺師のロイ(ニコラス・ケイジ)は潔癖症で、自宅を常に綺麗にしておかないと気が済まない。主治医の夜逃げから、かかりつけの精神科医を変えるが彼の勧めで前妻の元に残した娘アンジェラ(アリソン・ローマン)に出会う。母親とうまくいっていないアンジェラはロイの元へ転がり込んできて、しかもロイとその相棒のフランク(サム・ロックウェル)の仕事に首を突っ込んできて…

 エリック・ガルシアの原作をリドリー・スコットが映画化。この映画は、まったく予備知識を持たずに楽しんだ方がいいと思います。久々にニコラス・ケイジははまり役だし、その娘を演じるアリソン・ローマンも雰囲気満点。突然登場した娘にでれでれっとなる父親の心情がすごくよく出てます。自動車に置いた犬の灰皿なんて、後で見たらうるうるきそうです。でもそこが落とし穴なんだよなぁ…なんて書いたらダメですね。

 マッチスティック・メンとは詐欺師のことだと、初めて知った。終わり良ければ、すべて良しかな。

リドリー・スコット監督。2003年アメリカ映画。

2011年1月18日 (火)

ニードフル・シングス (1993)

ニードフル・シングス 片田舎のキャッスルロックの町に「ニードフル・シングス」という古道具屋がオープンする。主人は初老の男リーランド・ガーント(マックス・フォン・シドー)で、来店する人たち(J・T・ウォルシュ、シェーン・メイヤー、アマンダ・プラマー、ヴァルリ・プロムフィールド他)に過去を見せたり、本当に欲しいものを提案したりしていく。不振に思う保安官(エド・ハリス)だったが、やがて住民たちの間の人間関係の歪みがふくれ上がって…

 スティーヴン・キングの原作を映画化。ただし残念ながら映画としては失敗している部類だろう。人々の深層心理にあるどろどろしたものを増幅する、ガーントという男がキャッスルロックの町へやってきて、いろいろとひっかき回す話なんだけど、ヴィジュアルで見せるにはどうにも無理がある話である。キングのねっとりと描き込まれた原作が想像される。

 とはいっても、悪魔(?)を演じるマックス・フォン・シドーの存在感はなかなかのもので、ちまちまと住民をいたぶる様子はスリラーの古典「恐怖の沼」のような雰囲気をかもし出している。基本的に「いい人」の役が多いエド・ハリスは、完全に脇をかためているといった感じ。  しかし、悪魔の目的ってのは一体何なんだろうね。「帝都物語」の加藤なんかを見ても思うんだけど、単純に大量殺戮とかでないところが恐ろしいところなのかも。なお監督は、チャールトン・ヘストンのご子息らしい。

フレイザー・C・ヘストン監督。1993年アメリカ映画。

2011年1月14日 (金)

96時間 (2008)

96時間 今は引退して、別れた娘キム(マギー・グレイス)との誕生日での再会を楽しみに暮らす、元工作員のブライアン(リーアム・ニーソン)。元妻のレノーア(ファムケ・ヤンセン)から、娘のパリへの海外旅行を相談されるブライアンだったが、そんな危険な場所へは行くなと一蹴する。それでもいくつかの条件をつけて旅行を許したブライアンだったが、キムはロシア系の人身売買組織に誘拐されてしまう。

 リュック・ベッソン製作・脚本によるアクション映画で、見事なまでのダーティな主人公と古典的なフラストレーション発散型の映画。リーアム・ニーソンが若い者には負けられないとばかりに、さらわれた娘を追いかけて破壊の限りを尽くす。これがまた何とも心地よいのが罪作りである。ノリとしては「ランボー2」的であり、ストーリーはシュワルツェネッガーのヒット作「コマンドー」を思わせる。娘に手を出すヤツは、徹底的に叩きつぶすのである。

 単なる過保護親父なのか、本物のコマンドーなのかは冒頭ではわからないんだけど、携帯電話で娘の危機を知ってからの動きは実に無駄がなくスリリングである。かかわった人間はことごとく血祭りだし、拷問の後には必ずとどめをさしてるし、あげくに旧友の奥さんまで撃っちゃうのは容赦ない。唯一後味が悪いのはこの部分だけなのだが、それでも主人公のパワーに押し切られたという感じ。

 見ていて一番許せない仇役は「私にも子供がいる、これはビジネスなんだ。」と言い訳する人身オークションのメンバー。ところで父親に助けられるのはいいけど、目の前で父親が犯人を射殺ってのはどんなものだろう。こういう映画でメンタル・ケアとか心配してもしゃぁないのかもしれないけど。タイトルの「96時間」ってのは、誘拐からこれ以上経つとまず見つからないってリミットらしい。ただし、なぜわざわざ邦題はこれにしたか不明。最終的に、何時間で助けられたかもわからないわけだし。

ピエール・モレル監督。2008年フランス映画。

2011年1月13日 (木)

カンフー・パンダ (2007)

カンフー・パンダ カンフーに憧れるパンダのポー(声:ジャック・ブラック)は、ラーメン屋の息子。食べることしか能がない彼が、ひょんな事からシーフー老師(ダスティン・ホフマン)に弟子入りする。実はシーフーとその弟子たち(アンジェリーナ・ジョリー、ジャッキー・チェン、ルーシー・リュウ、セス・ローゲン、デヴィッド・クロス)の宿敵であるタイ・ラン(イアン・マクシェーン)が脱獄して村を襲おうとしているのだったが…

 パンダにカンフーをさせるというゆる~い企画に、ジャック・ブラックをはじめとするハリウッドスターが声優として集結、というドリーム・ワークス・アニメーション作品。内容ももっとゆるいものを想像したんだけど、結構ツボをおさえた演出は往年の香港映画の面白さを思い出させてくれました。マスター・モンキー役で声優出演しているジャッキー・チェンや、同じくマスター・ヘビのルーシー・リュウ(なんか、もったいない!!)がかなり仕事しているんだろうね。

 ストーリー的には、尺がコンパクトなだけにポーの修行シーンからラストの対決までが一気なのがちょっと物足りなかったけど、それを差し置いても笑えるシーン満載なのは楽しめた。ハシで肉まんを奪い合うシーンがイチオシかな。

マーク・オズボーン、ジョン・スティーヴンソン監督。2007年アメリカ映画。

2011年1月11日 (火)

ドラえもん のび太の恐竜 (1980)

ドラえもん のび太の恐竜 スネ夫(声:肝付兼太)の持つ恐竜の化石の自慢に対抗して、自分も恐竜を発掘してやると宣言してしまったのび太(小原乃梨子)。ドラえもん(大山のぶ代)に泣きつくも相手にされず、やみくもに地面を掘っていたら本当に恐竜の卵の化石を掘り当ててしまう。タイムふろしきで卵を元の姿に戻したのび太は昼夜暖めた甲斐があって、中から首長竜のピー助が生まれたのだったが…

 映画版ドラえもんの記念すべき第1作。名作の評判が高いだけにちょっと期待して見たんだけど、ドラえもんの映画シリーズの中では標準的な内容。恐竜の卵をかえして育てて、そして古代へタイムマシンで返しに行くという物語は今見るとものすごく平板。

 とはいっても、その後のドラえもん映画のエキスがぎゅっと詰め込まれているという部分では記念碑的作品でしょう。悲しい別れをしたといっても、ドラえもんのタイムマシンがあるんだからいつでも会いに行けるんじゃない、なんて考えてしまうのはダメなんかな。

福富博監督。1980年日本映画。

2011年1月10日 (月)

インビクタス 負けざる者たち (2009)

インビクタス 負けざる者たち ネルソン・マンデラ(モーガン・フリーマン)政権下の南アフリカ。ラグビーのワールドカップ開催をひかえて、マンデラ大統領は弱体化していた代表チームの立て直しが国民がひとつになれる方策だと考え、キャプテンのフランソワ(マット・デイモン)を呼び拍車をかけるのだったが…

 あの95年のラグビーワールドカップ南アフリカ大会で、南アフリカチームが競合オール・ブラックスを破って優勝したという実話の映画化。というか、タイトル自体がねたばれ状態で、勝つとわかっている試合を描きながらも重厚なドラマの積み重ねで熱くさせてくれるのはスポーツ映画の醍醐味である。

 本来、政治とスポーツは別物…のはずなんだけど、みんながハッピーになれるんだったらそれでいいんじゃないかという気持ちにさせてくれる。何よりネルソン・マンデラを演じるモーガン・フリーマンが雰囲気そっくりさんで、温厚な感じがするところもまたいい。マット・デイモンが主将フランソワに似ているかどうかは不明ではあるが。

 クリント・イーストウッドが監督だってのは後で知った。彼の変幻自在でカメレオンなところは、やっぱり凄い。そういえば冒頭の新聞配達車がサスペンスタッチで登場するあたりは、彼のお遊びなのか?

クリント・イーストウッド監督。2009年アメリカ映画。

2011年1月 9日 (日)

パブリック・エネミーズ (2009)

パブリック・エネミーズ 1930年代のアメリカ。有名な銀行強盗のジョン・デリンジャー(ジョニー・デップ)は犯行を繰り返すが、庶民には手を出さないことからカリスマ的な存在に。デリンジャーを追う捜査チームのフーバー長官(ビリー・フラダップ)は、凄腕の捜査官メルヴィン・パーヴィス(クリスチャン・ベイル)にデリンジャーの逮捕を命じる。彼らが目をつけたのが、デリンジャーの恋人のビリー・フレシェット(マリオン・コティヤール)だったが…

 伝説のギャングであるジョン・デリンジャーの半生を、愛人であったビリー・フレシェットを軸にして描いた実録映画。あのタクシーシリーズのコティヤールってことで期待して見たんだけど、思ったほど彼女の魅力は生かし切れてない印象なのが惜しい。特にあのようなギャングの恋人になるのはどういった心情かってのは非常に興味のあるところなんだけど、単に日々が退屈だっただけってのがどうにも理解できんのだよなぁ。確かにああいう男にくっついていると、ジェットコースターのような人生が送れるだろうけど。

 ジョニー・デップとクリスチャン・ベイルの対決は、期待してなかっただけにクリスチャン・ベイルの勝ち。あの能面のような顔で相手を射殺するところは不気味さ大爆発で良い。そのくせ、最後を決めることができないってあたりが、映画の文法を無視していてこれまた魅力的に感じました。デップはじわじわ追い詰められていく様子がばんばん伝わってくるあたりがうまい。映画館を舞台にしたラストは、最近見た「イングロリアス・バスターズ」がかぶった。映画館が炎上するわけじゃないけど。

マイケル・マン監督。2009年アメリカ映画。

2011年1月 6日 (木)

病院で死ぬということ (1993)

病院で死ぬということ 40代で働き盛りの野口(塩野谷正幸)は手術の末に退院するが、主治医の山岡(岸部一徳)は、ガンを取り切れなかったことを伝えることができなかった。ほどなく山岡は再入院し、妻の容子(石井育代)と闘病生活に入る。同じ頃、年老いた川村健二(山内明)と秀子(橋本妙)夫婦は病室に枕を並べるが、それぞれ大腸ガンと肺ガンだったために別の病院へと別れ別れになってしまう…

 山岡医師の目を通して、4組の末期ガン患者を描いた人間ドラマ。当たり外れの非常に激しい市川準監督作品だけに非常に警戒して見たんだけど、これは当たりの部類に入る作品ではないだろうか。定点カメラによる画像は盗撮のようでもあり、登場人物がいくら芝居をしてもアップがないというのは最初は違和感を感じたが、慣れると物語にぐいぐいと引き込まれた。それよりも、4話のオムニバスが交互に描かれるあたりの「もっと続きが見たいのに」というフラストレーションの方が大きかったかな。

 実録風映像が成功しているのは、自分があたかも登場人物の身内になったかのような気分が味わえるところ。可愛そうとか気の毒だといった客観的感想でなく、看病大変だ、どうしようとか、亡くなったあとは子供たちをどうしようかとか本当にリアルな視線で映画を見てしまった。死んでも死にきれない…ってのはこういう感覚なんかな。

 挿入される日常風景も、うまく切り取られていて市川準らしさを感じさせてくれます。

市川準監督。1993年日本映画。

2011年1月 5日 (水)

ジュリー&ジュリア (2009)

ジュリー&ジュリア 1949年、外交官の夫ポール(スタンリー・トゥッチ)と共にフランスにやって来たジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)は食べることが大好き。やがてフランス料理に目覚め、アメリカにフランス料理を紹介するために料理本を書くことを決心するのだったが。そして現代のニューヨーク。作家志望ながらもやりたくない電話受付の仕事をしているジュリー・パウエル(エイミー・アダムス)は、自己表現のためにジュリア・チャイルドの料理本に掲載されている524のレシピを、1年間で作ってブログに掲載すると宣言するのだったが…

 ジュリー・パウエルの原作を映画化。実話というよりも、その書き綴ったブログがそのまんま映画になったという感じで、このネットに連載するという感覚は同じブログやホームページを書く身としてはものすごく共感できる部分が多数あった。まぁ、これをきっかけに本が出せるというのはブロガーとしては夢の部分でしょう。

 唯一気になったのが、365日で524のレシピという縛りを作った部分。自分だったら、1日1本で524日かけるか、あるいは無期限でだらだらと作り続けるだろう。でも緊張感ってのはある程度は必要なわけで、それが作品としてどう転ぶかは難しい部分ですね。映画では少々締め切りが夫婦のいらいらへと飛び火した部分もあったりして、もっと楽しんでやった方がいいものができるんじゃない、なんて思ったりしました。

 エイミー・アダムスってあの「魔法にかけられて」の女優さんだと後で気づいた。「ナイト・ミュージアム2」でも同じ感想を持ったんだけど、変幻自在な女優さんです。本作でもなかなかの可愛さでありました。メリル・ストリープはすっごく不自然な感じがしたんだけど、あれは実在のジュリア・チャイルドの真似だったから?

ノーラ・エフロン監督。2009年アメリカ映画。

2011年1月 4日 (火)

ハチ公物語 (1987)

ハチ公物語 犬好きの大学教授の上野(仲代達矢)は、秋田で働く教え子に秋田犬の子犬をもらう。ハチと名付けられた犬は教授の愛情を一身に受けて育ち、渋谷駅へ主人を出迎えに行くようになるのだったが…

 有名な忠犬ハチ公の物語を映画化。しかしかなりの短編を2時間近い映画にしたために、かなり無理してストーリーを引っ張ったような気がしなくもない。また、洋画リメイクの「HACHI 約束の犬」を先に見てしまったがゆえに、あちらはうまくアメリカにストーリーを持って行ったもんだと見ながら逆に感心してしまった。

 主人公のハチや仲代達矢はもちろんだが、脇役がなんともくせ者ぞろいで良かった。八千草薫の奥さんとか、書生とお手伝いさんで出ている尾美としのりと片桐はいり、おでん屋の長門裕之なんかもいい。古い邦画のいいところをぎゅっと凝縮したかのような一面も持っている。ハチを野良にしてしまう春川ますみなんて、ぱっと見にいい人に見えるのになかなか強烈な人物である。

 余談だけど、主人が亡くなったらあんな立派な家でも代替わりしてしまい、奥さんは和歌山の実家へ帰ってしまうというあたりがもの悲しく感じてしまったのは、トシのせいなんかな。

神山征二郎監督。1987年日本映画。

2011年1月 1日 (土)

レイチェルの結婚 (2008)

レイチェルの結婚 薬物中毒で施設から出たばかりのキム(アン・ハサウェイ)は姉のレイチェル(ローズマリー・デウィット)とミュージシャンのシドニー(ドゥンデ・アデビンベ)の結婚式のために実家に帰ってきた。ところが自らが起こした交通事故で弟のイーサンを死なせた過去があるキムだけに、まわりの彼女を見る目は険しい。結婚式を飛び出た彼女は、今は離婚して別に住む実母のアビー(デブラ・ウィンガー)を訪ねるのだったが…

 始終手持ちカメラで撮った、ある意味臨場感いっぱいの作品(正直、かんべんしてよ~とは思ったが)。しかし内容は濃厚で、家族の間ではやっかい者のキムがまたしても空気が読めずに爆走していくが、実はその影には…というわけで、見ているとだんだんしゅんとしてくる問題作。

 えんえんと続く結婚式に、テンション高いなぁと思いつつも、さすがにこれだけ続くとパワーが尽きるのかなぁ。最後は本音のぶつかり合いになり… これ、いい家族だと思います。明るく見せてるだけかと思ったら、やっぱり不幸を吹き飛ばすパワーが感じられる。ところで皿洗い機の皿並べが、あんな競技になるとは思わんかったぞ。ちょっと辛口のオチが用意されておりましたが。

ジョナサン・デミ監督。2008年アメリカ映画。

2010年12月31日 (金)

バタフライはフリー (1972)

バタフライはフリー サンフランシスコのアパートに住む、女優志望のジル(ゴールディ・ホーン)。続き部屋に住む青年ドン(エドワード・アルバート)が窓からこちらを見ているのに気づき、部屋へ招き入れる。青年が盲目なのを知り、ショッピングに連れ出して服を選んだりして仲良くなる2人だったが、彼の母親ベイカー(アイリーン・ヘッカート)が息子の様子を見に部屋にやって来て…

 ブロードウェイの舞台劇の映画化…というか、場面がほとんど続き部屋のアパートだけなので舞台劇を思わせる独特の雰囲気があったのだが、正にその通りだった。70年代の風俗を思わせるファッションに加えて、だらしないジル、マザコン気味の青年ドン、そしておせっかいやきの母親ベイカーと主要人物の3人が非常に密度の高い芝居を見せてくれる。

 このふらふらとした、正にバタフライのような女性ジルは、ゴールディ・ホーンのイメージにぴったりかも。嫌みたっぷりの母親のベイカーと、息子のドンが失恋をきっかけに立場が逆転するあたりがひとつの見物かな。そしてまさかのラストだったけど、意外とこういうカップルって長続きするんじゃなかろうかって気にさせられる。

ミルトン・カトセラス監督。1972年アメリカ映画。

2010年12月28日 (火)

エスター (2009)

エスター 3人目の赤ちゃんを流産したケイト(ヴァラ・ファミーガ)は、心の穴を埋めるためにエスター(イザベル・ファーマン)という女の子を養子にする。夫のジョン(ピーター・サースガード)、息子のダニエル(ジミー・ベネット)、娘のマックス(アリアーナ・エンジニア)らは彼女を家族に迎え入れるが、やがておかしな事件が起こり始める。やがて、エスターを世話したシスター・アビゲイル(C・C・H・パウンダー)が死体で見つかって…

 子供を主人公にしたサイコホラー。これ、すっごいおもしろコワい。少なくとも「ミザリー」を見て楽しめた方は、同じ種類のドキドキが感じられておすすめである。冒頭からスプラッタ系のホラーかと思ったら、実はイタい系、サイコ系のホラーであとは主役のエスターことイザベル・ファーマンちゃんのキャラクターでぐいぐい押し切られた感じ。

 それにしても… 妻を信じられなくなった夫への、観客を巻き込んだいらいらは相当なもので、こんな風にはなりたくないなぁとつくづく感じた。目の前であんな事件を見せられたマックスなんて、一体どんな娘に育つんだろうか。そちらを想像するとさらに恐怖がふくれ上がってきます。

ジャウマ・コレット・セラ監督。2009年アメリカ映画。

2010年12月27日 (月)

イマジン ジョン・レノン (1988)

イマジン ジョン・レノン ビートルズのジョン・レノンの半生を、膨大なフィルムやインタビュー・テープの再構成によって綴ったドキュメンタリー。前妻のシンシア、そして後妻のオノ・ヨーコのインタビューに加え、2人の息子のショーン・レノンとジュリアン・レノンもインタビューに登場して語り、人間としての、父親としてのジョン・レノンが浮き彫りになっていく印象である。

 個人的にはビートルズの活躍していた時代からは完全に外れていて、かろうじてソロになったジョン・レノン、そしてオノ・ヨーコの活動を知っている程度の世代なんだけど、かなり人間くさいジョン・レノンが見られて貴重なフィルムだという感想を持った。歌って活動するぐらいでは平和は訪れない、というのはわかっているんだけど、それでも引き込まれてしまう「イマジン」という曲にはやはりオーラが漂っている。

 しかもこの映画では、ジョン・レノンのかなり怪しい一面が垣間見られて面白い。オノ・ヨーコとのベッドインのインタビューってこうことだったんかと、何となく納得させられた。

アンドリュー・ソルト監督。1988年アメリカ映画。

2010年12月24日 (金)

火垂るの墓 (2008)

火垂るの墓 1945年の終戦間近の神戸。空襲で焼け出された清太(吉武怜朗)と節子(畠山彩奈)は、遠縁の親戚(松坂慶子)をたよって西宮へ。ところが彼女は、清太たちが持つ食料を目当てに彼らを引き受けることにする。やがて彼女とぶつかった清太たちは、兄妹2人で生きることを決意して家を出るのだったが…

 野坂昭如の原作を映画化、というよりは、有名な高畑勲監督のアニメ版を実写化したという印象の方が強いだろう。節子のおかっぱ頭や、もんぺ姿などは嫌でもアニメ版がかぶってしまう。しかし回想場面を一切廃して、時間軸に沿った構成になっているので、また違った「火垂るの墓」という印象を持った。

 節子役の女の子がいい。演技がうまいわけでもないんだけど、その雰囲気がいいし、栄養不良でやせた、という部分もぐいぐい伝わってくる。逆に清太は、家を出てかなりたつのにどうしてこぎれいに坊主に散髪できているんだろうかとか、つまんない部分が気になった。

 蛍の墓を作るプロットは、「禁じられた遊び」を思わせる。いつも戦争の一番の被害者は子供たちってことか。本作では、その横に節子ちゃんの墓が並ぶのが何とも痛々しい。アニメ版のように後生には残らないかもしれないけど、一見の価値がある秀作。母親役で松田聖子も出てます。

日向寺太郎監督。2008年日本映画。

2010年12月22日 (水)

レスラー (2008)

レスラー 往年のプロレスラー「ザ・ラム」ことランディ・ロビンソン(ミッキー・ローク)は年老いた今もプロレス興行を続ける毎日。家賃が払えずアパートを追い出されたり、なじみのストリッパーのキャシディ(マリサ・トメイ)を口説いたりの毎日だったが、試合後に心臓発作で倒れてしまう。命の危険を感じたランディは、キャシディのすすめで離れて暮らす娘のステファニー(エヴァン・レイチェル・ウッド)に会いに行くのだったが…

 ひさびさのミッキー・ロークである。しかしあの2枚目のミッキー・ロークが、きったないおっさんになり… という出だしではあったが、むむむ、この人、いい人やん。しかも物語が進むに連れて、同僚のプロレスラーたちとの友情も熱く、彼のプロレスでしか生きられないという思いも熱く、気がつくとこっちまで熱くなってしまうなかなかハートウォーミングな映画である。久々に「拾い物」という言葉を使いたくなったぞ。

 時々キレるダメ親父でありながらも、ラムが子供好きのとってもいい人なのが心に残る。実の娘とはうまくいかないけど…というエピソードは、不変のテーマなんかなぁ。何十年も前に見た金子正次の「竜二」という映画を思い出した。そんなに共通点はないと思うんだけど、根っこの部分がつながってんのかな?

ダーレン・アロノフスキー監督。2008年アメリカ映画。

2010年12月21日 (火)

イントゥ・ザ・ブルー2 (2008)

イントゥ・ザ・ブルー2 ハワイでプロのダイバーをして暮らすセバスチャン(クリス・カーマック)とその恋人のダニー(ローラ・ヴァンダーヴォート)は沈没船の財宝を引き揚げるのが夢。ところが彼らはカールトン(デヴィッド・アンダース)とアズラ(マーシャ・トマソン)という怪しげなカップルに、海底に沈んだコンテナの引き揚げを依頼される。そのコンテナの中身とは…

 あのジェシカ・アルバ、ポール・ウォーカー主演の大ヒット映画の続編…らしいけど、本当に続編か? 主演の2人が変わってしまったのが、何だかなぁ。ヒロインのローラは確かにジェシカ・アルバ似で魅力的なので、ブレイクしてほしいと思うけど難しいかな。

 ストーリーは完全な腰くだけ状態で、意外とのんびりした展開が命取りな感じ。水中撮影だけは相変わらず美しく、一見の価値はあると思う。それにしても、後半の展開は生き残ったメンバーも完全にトラウマだろうって突っ込みたくてしょうがなくなった。あれで船買って人生も捨てたもんじゃないってのは、あまりにも乱暴で彼女が浮かばれない?

スティーヴン・ヘレク監督。2008年アメリカ映画。

2010年12月19日 (日)

ビバリーヒルズ・チワワ (2008)

ビバリーヒルズ・チワワ チワワのクロエ(声:ドリュー・バリモア)は、ビバリーヒルズの金持ちのヴィヴ(ジェイミー・リー・カーティス)に飼われるセレブ犬。ヴィヴの留守に、姪のレイチェル(パイパー・ペラーボ)がクロエを預かるのだったが、奔放なレイチェルはメキシコにクロエを連れて羽根を伸ばしに行く。ところがクロエは闘犬家に誘拐されてしまい…

 セレブ生活を送るお犬様が誘拐され、メキシコで大冒険を繰り広げる話。動物映画が得意なディズニー映画だけあって、安心して見ていられるのはいつものとおり。冒頭の犬のセレブ生活には何とも居心地の悪いものを見せられてる感じがしたけど、彼らがメキシコへ飛ばされてからは冒険また冒険で最後まで楽しむことができます。ふやけたお犬様が、ワイルドな犬になって帰ってくるというステレオタイプなお話ではありますが。

 「ベイブ」なんかと同じく、べらべら口を動かせてしゃべりまくる犬たちが見物。声優も豪華で(ドリュー・バリモア、アンディ・ガルシア、ジョージ・ロペス、プラシド・ドミンゴ他)、途中から登場するイグアナとねずみのコンビなどは絶妙である。途中に登場するチワワの国のエピソードも笑えたなぁ。

ラージャ・ゴスネル監督。2008年アメリカ映画。

2010年12月17日 (金)

あなたは私の婿になる (2009)

あなたは私の婿になる 編集長のマーガレット(サンドラ・ブロック)はその猛仕事ぶりで部下たちからは煙たがられる存在。ところがカナダ人の彼女はワーキングビザが切れていることが発覚して、国外退去を命じられる。それを防ぐために彼女が思いついた奇策とは、アシスタントのアンドリュー(ライアン・レイノルズ)と結婚すること。究極のパワハラを受けながらも、編集者になる夢を捨てきれない彼はしぶしぶ受け入れて彼女を故郷のアラスカに連れて行く羽目に。そこには彼の両親(クレイグ・T・ネルソン、メアリー・スティーンバージェン)と祖母のアニー(ベティ・ホワイト)、そして元カノのガートルード(マリン・アッカーマン)が待っていた…

 久々に見るサンドラ・ブロックのラブコメである。しかもパワハラ上司にぴったりのきつい感じで最初はとばしまくるのだが、徐々に本性がばれて…というラブコメおきまりのパターン。十分予測できるストーリーながらも、心地よさを感じるのはやっぱり中盤から舞台になるアラスカの田舎町の心地よさと、そこに住む人たちの人情に流れていくあたりでしょう。

 年の差カップルものということで、最近見た「理想の彼氏」にもかぶるので、見比べてみるのも面白いかも。相手がサンドラ・ブロックやキャサリン・ゼタ・ジョーンズだったら、少々年上でも行っちゃうかもなぁ(笑)。

アン・フレッチャー監督。2009年アメリカ映画。

2010年12月16日 (木)

ブラッド・ワーク (2002)

P1_g1436153w FBI分析官のマッケイレブ(クリント・イーストウッド)は連続殺人犯の通称「コードキラー」の追跡中に心臓発作で倒れる。それから2年後、心臓移植で助かった彼のもとへ、グラシエラ(ワンダ・デ・ヘスース)という女性がやって来る。実は移植された心臓は強盗に殺された妹のもので、事件を解決してほしいという依頼だった。主治医フォックス(アンジェリカ・ヒューストン)の反対を押しきって、元同僚のバディ(ジェフ・ダニエルズ)と私的に調査に乗り出すマッケイレブだったが、そこにはコードキラーの影が…

 マイクル・コナリーの原作をイーストウッドの監督・主演で映画化。イーストウッドはやり手の心理捜査官で、心臓移植なんてテーマを扱っているにかかわらず、路上でショットガンはぶっぱなすわ、グラシエラとはできちゃったりわの往年のダーティ・ハリー様を思わせる部分があってファンとしては多少にんまりとさせられる内容となっている。イーストウッド爺さん、最後にはじけたぞってところかも。

 ところで、アメリカでは心臓移植ってこんなに一般的になってるんだなぁってちょっと意外でありました。そりゃ、提供者から捜査を依頼されたら断れんわ。意外なはずな犯人だけど、なぜか私は「ホワイトアウト」(もちろんベッキンセールの方ね)を思い出しました。

クリント・イーストウッド監督。2002年アメリカ映画。

2010年12月14日 (火)

理想の彼氏 (2009)

理想の彼氏 夫の浮気が原因で離婚したサンディ(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)は、2人の子供を連れて離婚、憧れのニューヨークで就職する。アパートの1階にあるカフェに勤めるフリーターのアラム(ジャスティン・パーサ)と意気投合してベビーシッターを任せるのだったが…

 「理想の彼氏」だったはずの夫と別れて、どう考えても「理想の彼氏」に思えない人とつきあうことになった。でもそうは見えなくても結局は「理想の彼氏」だったという映画。と言えば、ストーリーを最後まで言い切ってしまってるようにも思えるが、終盤のあれよあれよという時間経過の見せ方はうまくなかなか印象的なラストシーンになっている。一見の価値有り。

 40歳のサンディと24歳のフリーターのアラムという年の差カップルなんだけど、意気投合するって感覚はこういうもんだろうなって納得させられます。それにしても、ショーン・コネリーを相手役にしたこともあるキャサリンって何て年齢差に対する懐の深い女なんだ(笑)。

バート・フレインドリッチ監督。2009年アメリカ映画。

2010年12月13日 (月)

マスカレード 甘い罠 (1987)

マスカレード 甘い罠 ヨットレースの船長ティム(ロブ・ロウ)は、その甘いマスクから雇い主の夫人ブルック(キム・キャトラル)と不倫関係にある。やがて、その娘オリヴィア(メグ・ティリー)が膨大な遺産の相続人だと知ったティムは、彼女にプロポーズして結婚までしてしまうのだったが…

 2時間ドラマ系の軽いサスペンス映画。ロブ・ロウが人気絶頂だったころに作られた映画なんだろうけど、今見たらどうだかなぁといった感想。それよりも一見地味なメグ・ティリーがストーリーが進むに連れて結構魅力的で印象に残った。90年代以降はあまりぱっとしなかったようだが。

 とっても気になったのが、ヨットレースのくだり。2艇で戦うシーンが冒頭にあるんだけど、結局彼らは何の大会に出ているんだろう。船長以下、かなりの人数のクルーを雇っているようだが。

ボブ・スウェイム監督。1987年アメリカ映画。

2010年12月11日 (土)

スラムドッグ$ミリオネア (2008)

スラムドッグ$ミリオネア インドのムンバイのスラム街で育った少年ジャマール(アーユッシュ・マーヘシュ・ケーデカール/デヴ・パテル)は幼い頃に暴動で母を亡くし、兄のサリーム(アズルディン・モハメド・イスマイル/マドゥル・ミッタル)と幼なじみのラティカ(ルビーナ・アリ/フリーダ・ピント)とストリートチルドレンとして育つ。成長して、テレホンセンターの仕事からクイズ番組「ミリオネア」に出たジャマールは順調に勝ち進む。ところが警察は、彼が不正を働いたと思い取調室に呼び出すのだったが…

 アカデミー作品賞をはじめ、主要な映画賞を総なめした話題作。ヴィカス・スワラップの原作を映画化、というか、原作があることは知らなかった。インドを舞台に、出演者すべてインド人という作品なのでなぜ米アカデミー賞って気がしなくもないが、ストーリーの流れや盛り上げ方は明らかにハリウッド映画を感じさせる。

 アメリカのフィルターを通しているのかもしれないけど、インドのスラムという現実がひしひしと感じられる佳作。特に冒頭、母親が暴動で亡くなってからのジャマールたちの人生が痛々しい。しかし大河ドラマのように、離れては近づいてを繰り返す幼なじみラティカとのストーリーと彼の一途さが胸に残る。ラティカは原作にはない部分なんだそうだけど、ツボを得た脚色だと思う。

 インドの現実が暴力なら、アメリカの現実は施しなのか? どっちも的を得ていないってのが、作者のメッセージかも。

ダニー・ボイル監督。2008年イギリス=アメリカ合作。

2010年12月10日 (金)

華麗なる週末 (1969)

華麗なる週末 20世紀初頭のアメリカ南部の小さな町。ボスと呼ばれる祖父(ウィル・ギア)は町で初めての自動車を購入する。これにはまってしまった使用人のブーン(スティーヴ・マックィーン)は、祖父の留守をいいことに自動車を持ち出して孫の少年ルシアス(ミッチー・ボーゲル)と使用人ネッド(ルパート・クロス)と共に、メンフィスに住む娼婦コリー(シャロン・ファレル)のところへドライブへ行く。ところがネッドの賭けで自動車は人手に渡ってしまい…

 ウィリアム・フォークナーの小説「自動車泥棒」を映画化。西部劇の時代の終わり頃の、古き良き南部を描いた佳作。出てくる人間がいかにもといったステレオタイプの西部の人たちなんだけど、ユーモアと人情味にあふれていて見ていて本当にいい気分にさせてくれる。

 わずか4日間の自動車旅行なんだけど、少年にとっては大人への階段をのぼるエピソードがてんこ盛りで、こりゃ忘れられない旅になるだろうなって思わされます。マックィーンとクロスの凸凹コンビは、冒頭の喧嘩のシーンからそれはもう最後まですっとばして楽しませてくれる。美しい娼婦とのやりとりや、後半の競馬のエピソードと盛り上げ方はさすが。癒されるクラシカルな一遍といった作品です。

マーク・ライデル監督。1969年アメリカ映画。

2010年12月 9日 (木)

かいじゅうたちのいるところ (2009)

かいじゅうたちのいるところ 母(キャサリン・キーナー)と姉と暮らすマックス(マックス・レコーズ)の悩みは、友達ができずまわりが誰もかまってくれないこと。今日もオオカミの着ぐるみでいたずらを繰り返し、回りを激怒させて居場所を失ったマックスは、ボートに乗り見知らぬ島へ流れ着いてしまう。そこは等身大のかいじゅうたち(声:ローレン・アンブローズ、クリス・クーパー、ジェームズ・ガンドルフィーニ、キャサリン・オハラ、フォレスト・ウィテカー、ポール・ダノ)が住む世界だった。成り行きでかいじゅうたちの王になったマックスだったが…

 モーリス・センダックの絵本の映画化。そういえばこのかいじゅうたちの絵柄をどこかで見たことがあるような気がしないでもない… 3匹のやぎとガラガラドンみたいなロシア民話の世界かと思ったら、アメリカの絵本作家の作品だった。映画としては、着ぐるみとのやりとりがNHK「おかあさんといっしょ」の劇のように思えた。

 とはいっても内容はそれなりに辛口で、こっちの世界で悩みをかかえるマックスは、あっちの世界では他人(かいじゅう)の悩みの相談に乗る役柄である。かといってそれでマックスが成長するのかと思うと、何やらあっけない幕切れで肩すかしをくったような感じ。ストーリーの流れからして、かいじゅうの住む島はやっぱりマックスの頭の中の妄想であり、しかもオチのない妄想であったというものだろうか。

 まぁ監督が「マルコビッチの穴」のスパイク・ジョーンズだということで、一筋縄ではいかないのは当然ってところかも。製作にはトム・ハンクスも名前を連ねているところを見ると、彼もこの絵本がお気に入りなのかな。

スパイク・ジョーンズ監督。2009年アメリカ映画。

2010年12月 7日 (火)

アカルイミライ (2002)

アカルイミライ おしぼり工場で働く仁村雄二(オダギリジョー)は寡黙な青年。同僚の守(浅野忠信)には唯一心を許しているのだが、守は殺人容疑で逮捕されてしまう。残された雄二は守の育てていた猛毒のあるクラゲの世話に夢中になる。そして、守の父の真一郎(藤竜也)と知り合って…

 タイトルとは正反対の、真っ暗な未来しか見えない若者たちを主人公にしたドラマ。実の親子よりも他人の方が気が合うこともあるってことなのか、後半の真一郎と雄二の親子にしか見えないやりとりが胸をうつ。ちょっと前に見た「グラン・トリノ」を思い出して、これって不変のテーマかなって思った。

 川をびっしりと埋め尽くす猛毒クラゲ… 考えたら迷惑な話ではあるのだが。

黒沢清監督。2002年日本映画。

2010年12月 6日 (月)

イングロリアス・バスターズ (2009)

イングロリアス・バスターズ 第2次大戦中のフランス。ユダヤ人狩りを行うナチのハンス・ランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)により家族を皆殺しにされた少女ショシャナ(メラニー・ロラン)は、名前を変えてドイツ占領下のパリの映画館の館主におさまっている。ところがその映画館で、「国民の誇り」という戦意高揚映画のプレミアム試写会が行われ、ヒトラー(マルティン・ヴトケ)をはじめとするナチの要人が集まってくることに。このチャンスに、ナチを惨殺することを使命とする連合軍の秘密部隊「バスターズ」のアルド・レイン中尉(ブラッド・ピット)が乗り込んでくるが…

 ひさびさのタランティーノのアクション大作で、舞台は占領下のフランス。ナチの将校ばかりを狙い、頭の皮をはぎとるユダヤ系部隊といういかにもタランティーノらしいシチュエーション&バイオレンス映画で、テーマの取り方としては絶妙である。しかし単なるバイオレンス&復讐劇におさまるわけもなく、何章にも分かれた本編はショシャナという女性を中心にじっくり描きこまれており、見応え十分である。

 ユダヤ・ハンターのクリストフ・ヴァルツが一見いい人に見えるのが絶妙。妖艶なダイアン・クルーガー、憎々しいマルティン・ヴトケ、最後まで冷静沈着なブラッド・ピットなど、キャスティングもいい。 ハーケン・クロイツ彫りは、見るからにイタそうだ。

クエンティン・タランティーノ監督。2009年アメリカ映画。

2010年12月 4日 (土)

シャンプー (1975)

シャンプー ビバリーヒルズの売れっ子美容師のジョージ(ウォーレン・ベイティ)は、独立して自分の店を持つことを考えている。彼の客で愛人のひとりフェリシア(リー・グラント)は、夫のレスター(ジャック・ウォーデン)に彼への出資をかけあう。ところがレスターの愛人はジョージの元カノジャッキー(ジュリー・クリスティ)であり、それにジョージの恋人のジル(ゴールディ・ホーン)がからんで事態はあらぬ方向へ…

 ビバリーヒルズの上流階級の人々を描いた、ちょっとエロティックなラブコメディ。ウォーレン・ベイティの演じるプレイボーイというのがこれまた筋金入りで、彼の70年代ファッションも含めて懐かしいというよりは「うざったい」という気分にさせられるのは私だけか?

 公開当時は私は中学生だっただけに、結構どきどきもののストーリーだったように思うけど、今見たらどうってことないですね。印象に残るのはラストのあっけなさ(自業自得?)と、まだ20代だったゴールディ・ホーンの可愛さかな。彼女こそ元祖ラブコメの女王です。無名時代のキャリー・フィッシャーも、後のスターウォーズではお姫様とは思えないような役で出てます。

ハル・アシュビー監督。1975年アメリカ映画。

2010年12月 3日 (金)

シンシナティ・キッド (1965)

シンシナティ・キッド ニューオリンズのポーカー賭博師キッド(スティーヴ・マックィーン)は腕をあげ、もう近くではかなう相手がいない。そこへザ・マンと呼ばれる名人位を持つ初老のランシー(エドワード・G・ロビンソン)が現れ、キッドは勝負を挑むこととなる。とことんシブいギャンブル映画の決定版。

 最初に中学生の時に見たときはただただ映画の持つ雰囲気のシブさに圧倒された作品。でもそれ以上のものはあまり感じなかった。今回見直してみて、キッドの挫折にすごく感情移入したと同時に彼なら立ち直ってまた大勝負をやらかしてくれるという確信みたいなものを感じた次第。見方によっては元気の出る映画。

 恋人メルバ(アン・マーグレット)のかわいらしさや、同じくギャンブラーのシューター(カール・マルデン)との葛藤、その妻クリスチャン(チューズデイ・ウェルド)の妖艶さなどなど、脇をかためるのも芸達者ぞろい。さらに、舞台がニューオリンズだけあって、雰囲気を盛り上げるジャズ(ラロ・シフリン、レイ・チャールズによる)も見逃せない。映画の面白さを、ぎゅっと詰め込んだ名品である。

ノーマン・ジュイソン監督。1965年アメリカ映画。

2010年12月 2日 (木)

突撃隊 (1961)

突撃隊 第2次大戦中のドイツ戦線。連合軍の前線にリース(スティーヴ・マックィーン)が送り込まれて来る。前線にはコービー(ボビー・ダーリン)、パイク軍曹(フェス・パーカー)、ヘンショー(ジェームズ・コバーン)などひとくせもふたくせもある連中が集まっているが、一個小隊を残して味方が作戦のため撤退してしまう。残された彼らは、一個小隊しかいないことを敵に隠しながら、ひたすら味方の復帰を待つのだったが…

 無口で無骨な兵士を演じるマックィーンはキャラが立っていて恐ろしく印象的。独軍の隠しマイクのエピソードからはじまって、敵のトーチカの攻略、地雷原の突破、そして爆破と後半はハードな見せ場のつるべ落としで、たいしたスペクタクルシーンがあるわけでもないのに手に汗握られるのは、映画は単に金をかければいいだけではないというのを思い知らせてくれる。それにしても…トーチカひとつを攻略するのに、どれだけの男が死ななければならなかったのか。この損失は、ただものではありません。

 余談だけど、黎明期のビデオデッキの広告にこの映画が載っていたのが思い出されます(ベータマックスだったか、マックロードだったかは不明ですが)。当時はこんな映画が手軽にコレクションできるなんて、夢のまた夢だったような気がします。

ドン・シーゲル監督。1961年アメリカ映画。

2010年12月 1日 (水)

HACHI 約束の犬 (2008)

HACHI 約束の犬 大学教授のパーカー(リチャード・ギア)は、駅で迷子になっていた犬を拾う。日系の友人ケン(ケイリー・ヒロユキ・タガワ)が、首輪に付いたタグから「ハチ」という名前だということを教え、教授は犬を飼うことにする。ハチはいつの間にか、駅で教授の帰りを待つのが日課となったのだったが…

 あの「ハチ公物語」をハリウッドでリメイク。親日家のリチャード・ギア主演というだけあって、冒頭のエピソードからしてもいい意味で神秘的に描かれる日本にしても、いい気分にさせられる。とっても単純なストーリーだけに、1時間半の映画にしちゃうには無理がないわけではないが、そこはリチャード・ギアに加えてジョーン・アレン、サラ・ローマーといった面々がいい雰囲気を作り上げて気がつくとかなり感動させられていた、というところ。

 孫息子を語り部として使う、というアイディアも良かったです。駅でホットドッグを売ってたおっちゃんも、印象にのこったな。

ラッセ・ハルストレム監督。2008年アメリカ映画。

2010年11月30日 (火)

お買いもの中毒な私! (2009)

お買いもの中毒な私 園芸雑誌の編集者のレベッカ(アイラ・フィッシャー)は、ファッション雑誌への就職を夢見るのだがうまくいかない。そんな彼女のストレスの発散方法はブランド商品のお買い物だったが、ある日雑誌が休刊になって失業してしまう。こうなると、カードの支払いがこげつき、仕方なく金融雑誌への転職を試みるのだったが…

 ソフィー・キンセラの原作をジェリ・ブラッカイマーのプロデュースで映画化。ブランド大好き娘が、その特技を生かしたサクセスストーリーということで、「キューティー・ブロンド」なんかに近いストーリーなんだけど、主役のアイラ・フィッシャーがリース・ウィザースプーンほどは華がなくてちょっと減点かな。しかしこの映画、よく見ると買い物依存症という、人によっては笑えないテーマを扱っているところがある意味重いのが、ライトコメディとして見るには苦しいところ。主人公の相手役(ヒュー・ダンシー)とか、債権取り立て男とかももうちょっと活躍してほしかったかな。

 ジョン・グッドマンやジョン・リスゴーといった大物俳優が、気をつけて見てないと見逃すようなチョイ役で出ています。

P・J・ホーガン監督。2009年アメリカ映画。

2010年11月28日 (日)

傷だらけの栄光 (1956)

傷だらけの栄光 ニューヨークのダウンタウンでボクサーの息子に生まれたロッキー・グラジアーノ(ポール・ニューマン)は、幼い頃から盗みを繰り返すどうしようもないワルに育つ。少年院から軍隊へ入るのだが、金に困ってボクシングジムの扉をたたく。そこで強烈な右と闘争本能を見いだされるのだったが…

 あの「ロッキー」の原案ともなった実在のボクサー、ロッキー・グラジアーノの半生を描いた伝記映画。日本人だとロッキーに加えて「あしたのジョー」もかぶりそうな、典型的なボクシング物語。不良&少年院から成り上がる、というのはボクサーのスタンダード、というわけではないんだろうけど、そのあたりの要素をぎゅっと凝縮したような映画。

 ロッキーの女房役のピア・アンジェリもどことなくエイドリアンを思わせていい感じである。もっとも彼女がどうしてロッキーとくっついたのかがミステリアスな感じだけど、彼女には彼の魅力を見抜く先見の明があったというところなんかな。

 無名時代のスティーヴ・マックィーンがちんぴら役で出ているほか、クレジットにはアンジェラ・カートライトの名前も。当時4歳ということで画面では発見できなかったけど、ひょっとしてロッキーの娘役?

ロバート・ワイズ監督。1956年アメリカ映画。

2010年11月26日 (金)

愛を読むひと (2008)

愛を読むひと 50年代のドイツ、体調を崩した少年マイケル(デヴィット・クロス/レイフ・ファインズ)は、年上の女性ハンナ(ケイト・ウィンスレット)に助けられる。彼女の部屋で結ばれた2人は、つかの間の情事を重ねるのだがやがて疎遠になる。数年後、大学の法学部に通うマイケルがロール教授(ブルーノ・カンツ)に連れられて行った裁判所で出会ったのは、あのハンナだった…

 ベルンハルト・シュリンクのベストセラー小説を映画化。レイフ・ファインズの回想として語られる物語。「おもいでの夏」や「個人教授」を思わせる初体験物語かと思いきや、舞台がドイツということもあってか話はナチス・ドイツの軍事裁判へと進んでいき、一気に水をぶっかけられたかのような展開へと突き進んでいく。

 ケイト・ウィンスレットっていい女優さんなんだけど、もうそんな年齢だったんかなぁという気がした。思えば「タイタニック」も10数年前の映画だもんな。こんな大人の役ができるようになってるのは、感慨深い。

スティーヴン・ダルドリー監督。2008年アメリカ=ドイツ合作。

2010年11月25日 (木)

アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン (2009)

アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン かつて猟奇殺人犯をつかまえたことから、心に傷を負って警察をやめたクライン(ジョシュ・ハートネット)は今は私立探偵をやっている。ところが、大富豪の息子でボランティア活動から失踪したシタオ(木村拓哉)を見つける仕事を引き受けてフィリピンへ飛んだのだったが、他人の傷みを受け入れるシタオを追ううちにやがてとんでもない心の迷宮へと迷いこんでいく。

 ひさびさに見た、わけわからない系の猟奇映画。一時期は、デヴィッド・クローネンバーグあたりが好んで撮っていたテーマではないかと思うのだが、映画に本当に意味があるのかどうかも不明なのが始末が悪い。キリストの受難あたりもテーマにからんで、痛さは倍増していくのは、メル・ギブソンの作風も彷彿とさせるけど…何だかなぁ。

 キムタクは寡黙な役なので存在感とオーラのみ…のはずなんだけど、イ・ビョンホンに完全に喰われていた感じ。ジョシュ・ハートネットは線の細い雰囲気がいいです。

トラン・アン・ユン監督。2009年フランス映画。

2010年11月23日 (火)

ウルヴァリン X-MEN ZERO (2009)

ウルヴァリン X-MEN ZERO 戦闘的な超能力を持った少年ローガン(ヒュー・ジャックマン)は、兄のビクター(リーヴ・シュレイバー)と共にその持てる力を生かして戦場を転々とする。そんな2人を、チームXのリーダーのストライカー(ダニー・ヒューストン)はスカウトするのだが、その非人道的なやり方に嫌気が指したローガンはチームXを飛び出し、恋人ケイラ(リン・コリンズ)と静かな日々を送るのだったが…

 サイキック部隊を描いた人気シリーズ X-MENのビギニング編、というより、人気キャラクターのウルヴァリン誕生秘話を描いた作品。なるほど、記憶喪失で謎めいたウルヴァリンの過去がきっちりと明かされるし、恋人ケイラの存在などかなり余韻の残る作り込みである。前作を見ていても見てなくても、X-MENシリーズをもう一度見直したくなるように作られている。

 ウルヴァリンが、前作よりも歳をとって見えるのは愛嬌かな。逆に、つるつるの顔で登場するパトリック・スチュアートはかえって不気味だったぞ。世間を騒がせたスリーマイル島の原発事故には、ああいう隠されたドラマがあったのか(笑)。

ギャヴィン・フッド監督。2009年アメリカ映画。

2010年11月22日 (月)

THE 4TH KIND フォース・カインド (2009)

フォース・カインド アラスカ州の町ノーム。心理学者のアビゲイル・タイラー博士(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は不眠症に悩む住民たちに催眠療法を行っていた。ところが、彼らが思い出したのは衝撃の事実だった… 実際の映像(とされるもの)とミラ・ジョヴォヴィッチによる再現映像を織りなして見せるセミ・ドキュメントスタイルのトンデモ映画。

 予備知識なく見ると、途中までは結構楽しめる。しかし事態が宇宙人によるもの、という部分への持って行き方がかなり強引で、こりゃ「ブレア・ウィッチ」と同じドキュメントスタイルを借りたトンデモ映画だというのに気がつくまでさほど時間はかからなかった。ミラ・ジョヴォヴィッチ主演で作品にハクをつけているのがポイントかな。どちらかというと、「クローヴァーフィールド」あたりを見る心構えで楽しむ映画かも。

 それにしても、実際のアビゲイル・タイラーを演じる女優さん(もちろんノンクレジット)の、彼女自身が宇宙人かと思われるような雰囲気はなかなかのもの。ひょっとして、彼女をカメラテストしてこの企画が持ち上がったのではないだろうか。実際の映像と再現映像を画面分割で見せられるってのは新鮮なのだが、ミラ・ジョヴォヴィッチが綺麗すぎて、両方の画面がイメージの中で一致しないのが難点でしたが。

オラントゥンデ・オスサンミ監督。2009年アメリカ映画。

2010年11月21日 (日)

チョコレート・ファイター (2008)

チョコレート・ファイター ヤクザのマサシ(阿部寛)はタイのマフィアのボスのナンバー8(ポンパット・ワチラバンジョン)の彼女であるジン(アマラー・シリボン)と恋に落ちる。マサシの帰国後、ジンはゼン(ジージャー・ヤーニン)という娘を産む。脳に障害のあるジンだったが、格闘技に驚異的な才能があり、幼なじみのムン(タポン・ポップワンディー)と共に母を助けるために借金の取り立てを行おうとするのだったが…

 「マッハ!!!!!!!!」のプラッチャヤー・ピンゲーオ監督作。という予備知識なしに見たんだけど、とめどもないカンフーシーンの嵐はブルース・リーの時代をそのまま引き継いだかのような内容である。映画の最後に挿入されるメイキングでもわかるけど、このジージャー・ヤーニンという女の子のアクションは本物らしく、とにかく一見の価値はあるものすごさ。ラスト近くのビルの外壁での戦いなんて、落ちるところまでワンショットで入っているけどあれはCGじゃないんだろうなと思ったらぞっとする。

 日本人として阿部寛が頑張っているし、冒頭いきなりの日本語に「あれ、吹き替えか?」と思わされたけど… このアクション撮影の中にほうりこまれた阿部寛って結構大変だったんじゃないかと同情いたします。タイって、借金の取り立てに行ったらいきなり乱闘がはじまる恐ろしい国…じゃないよね。なお「チョコレート・ファイター」というタイトルは、主人公のゼンが常にチョコレートを食べてることに由来する。

プラッチャヤー・ピンゲーオ監督。2008年タイ映画。

2010年11月19日 (金)

斬撃 ZANGEKI (2009)

斬激 ZANGEKI ウィルスの蔓延で、人々がほとんどゾンビ化した町が舞台。ゾンビから逃れた一握りの人々(タノアイ・リード、ジェナ・ハリソン)はとあるビルに逃げ込むのだが、そこは汚染が一番進んだ地域のど真ん中だった。同じビルに、一掃作戦のために乗り込んだ自警のゾンビハンターのタオ(スティーヴン・セガール)たち一団だったが、軍隊は同地域を空爆しようとカウントダウンしていた…

 セガール主演のゾンビ映画。いきなり内臓をむしゃむしゃ喰らうシーンにあっけに取られたが、印象に残るのは内臓シーンと刀を持ってゾンビ相手に暴れ回るセガールのシーンばかり。それはそれで、近年のセガール映画に比べれば面白くはあったのだが、他に何にも印象に残ってないってのが何だかなぁ。

 ちなみに、ゾンビの血をかぶっても感染はしないようです。焼肉とかホルモンとか生レバーとか食べながら見たら、たいへんおいしくいただけるかもしれないです。

リチャード・クルード監督。2009年アメリカ映画。

2010年11月18日 (木)

ホワイトアウト (2009)

ホワイトアウト 南極に謎の輸送機が不時着してから数十年。アムンゼン・スコット基地では、唯一の連邦保安官としてキャリー・ステッコ(ケイト・ベッキンセール)は勤務していた。ところが、雪中で他殺と思われる死体が発見される。もうすぐ冬期で閉鎖される基地は、最終便が発つ日が迫ってきて…

 グレッグ・ルッカのグラフィックノベルを映画化。同名の邦画とはまったく関係がないので念のため。こちらは、南極を舞台にしたサスペンスで、アドベンチャーというよりも密室劇にしてしまったあたりが潔くて良かった。ただしストーリーは墜落事故を交えている割りにはスケールが広がらず、全体のストーリーで印象に残っているのはケイト・ベッキンセールの指だってのが何だかなあ…

 犯人に関しても、途中から「こいつやん!」と思った人間で大当たり。出演者は他に、ガブリエル・マクト、コロンバス・ショート、トム・スケリット他…

ドミニク・セナ監督。2009年アメリカ映画。

2010年11月16日 (火)

ガンシャイ (2000)

ガンシャイ 麻薬取締局のおとり捜査官チャーリー(リーアム・ニーソン)は潜入捜査中に正体がばれて殺されかけてから、心に痛手を負う。集団セラピーへ通ったりいろいろと治療を試みたのだが、腹痛で入った病院で浣腸された看護婦ジュディ(サンドラ・ブロック)にやがて心を開くこととなり…

 アクションをからめたラブコメディなんだけど、そこに「スティング」風のどんでん返しの妙を加えた作品。主人公が意気投合してしまうオリバー・プラットがいい味をだしていてマルです。最近見なくなったサンドラ・ブロックですが、浣腸されることによって芽生える恋ってのが何だか間が抜けていてゆる~くて(笑)いいです。集団セラピーまでもが伏線だとは思わなかった。しかし、全体としてはゆる過ぎのアホ映画です。

エリック・ブレイクニー監督。2000年アメリカ映画。

2010年11月15日 (月)

ザ・スピリット (2008)

ザ・スピリット 一度は死にながらも、奇跡的な復活を遂げた刑事デニー(ガブリエル・マクト)は「ザ・スピリット」としてセントラル・シティの治安を守っている。彼のライバルであるオクトパス(サミュエル・L・ジャクソン)とは壮絶な乱闘を繰り広げるが、その部下のシルケン(スカーレット・ヨハンソン)が水中で手に入れた宝箱の片方を持ち去っていく。もう1個の宝箱を持つのは、デニーのかつての恋人サンド・サレフ(エヴァ・メンデス)だと知るのだったが…

 ウィル・アイズナーのアメコミをあのフランク・ミラーが映画化。「シン・シティ」をそのままパワーアップしたかのような内容だったけど、ストーリーに関しては面白いかというとかなり疑問。サミュエル・L・ジャクソンはかなり楽しそうにオクトパスを演じていたけど、スカーレット・ヨハンソンに関しては完全に消化不良…というより、もったいない扱い。エヴァ・メンデスだけがかなりツボにはまった役どころのように思えたけど。

フランク・ミラー監督。2008年アメリカ映画。

2010年11月13日 (土)

2012 (2009)

2012 地質学者のエイドリアンは、太陽の放出するニュートリノが原因で大規模な地殻変動が起こっていることに気がつく。その予測によると、2012年には世界が大災害に見舞われるらしい。各国首脳は、選ばれた人々と文化遺産を残すために動き始める。同じ頃、作家のジャクソン(ジョン・キューザック)は別れた妻から子供たちを引き取ってキャンプに向かっていた。そこで出会った怪しいDJのチャーリー(ウディ・ハレルソン)から、世界の滅亡を聞かされるのだったが…

 ディザスタームービー3本立て…というつもりではなかったんだけど、「バビロンA.D.」「ノウイング」、そしてこの「2012」と3本立て続けに見た。そして、ごちそうさまになった(笑)。映画の中とはいえ、こうたびたび世界も滅亡させられては、迷惑なことではないだろうか。

 それはともかく、スケール的にビジュアル的に一番見応えがあったのはこの「2012」であった。いかにもエメリッヒといった大風呂敷の広げ方で、かつての「日本沈没」の地球版と言ってもいいような内容である。ただしストーリー的に凝っているのは「ノウイング」であり、個人的に面白かったと思えるのは「バビロンA.D.」であったような気がする。単なる好みの問題かもしれないが。

 それにしても…方舟だったわけね。それならもっといっぱい作れたんじゃないかなぁ、と突っ込みたい。「ディープ・インパクト」で山の上へ逃げたら助かった…というのと同じノリかな。ジョン・キューザック一家の、車にせよ飛行機にせよどんどこどんどこ逃げる様子は正に映画ならではの危機一髪の連続なんだけど、普通だったら死んでるだろってこれまた突っ込みたくて仕方なくなったぞ。

 タイトルが「2012」で制作年が「2009」なので、この映画の賞味期限は3年かな?

ローランド・エメリッヒ監督。2009年アメリカ映画。

2010年11月12日 (金)

ノウイング (2009)

ノウイング 1950年代のアメリカの小学校。タイムカプセルに入れる紙に絵を描く授業で、数字の羅列をびっしり書いた少女がいた。50年後、掘り起こされた紙は少年ケイレブ(チャンドラー・カンタベリー)の手に渡る。その父で宇宙物理学者のジョン(ニコラス・ケイジ)は、描かれた数字が世界の大災害の起こった日と被害者の人数と一致していることを知って驚愕する。しかし紙には、まだ起こっていない未来の日付も記されていた…

 最近の出演作の「バンコック・デンジャラス」や「ゴーストライダー」あたりでは、ちょっとB級路線に落ち込んでいるんじゃないかと心配したニコラス・ケイジだけど、ひさびさにハリウッドらしい大作+謎解きの面白い映画に出演していてほっとさせられた作品。基本的にディザスタームービーなんだろうけど、いい具合に謎解きがからんでいて、ラストは父子の思いにほろりとさせられて、いろいろと贅沢に詰め込まれていて見応えたっぷりの映画である。

 あんな数字の羅列、どうやって解読するんだろうかって思ってたら、単に日付の羅列だったというのはすごく単純だけど面白い。しかも犠牲者の人数と、GPSの座標というおまけつき。つまりこれらの数字を理解するってことは、人間の言葉を理解するのと同義ってわけですね。すごくご都合主義な気がしたんだけど、考えてみたら宇宙人が人間の言葉を理解してたってことだって納得です。

 話があそこまで広がって行くってのも、まったく予測がつかずにあっけにとられたぞ。飛行機事故や地下鉄事故で助かった人もいたけど… 何かむなしいな。

アレックス・プロヤス監督。2009年アメリカ映画。

2010年11月11日 (木)

バビロンA.D. (2008)

バビロンA.D. 戦争で世界が荒廃した近未来。傭兵のトーロップ(ヴィン・ディーゼル)はマフィアのボスのゴルスキー(ジュラール・ドパルデュー)から、謎の少女オーロラ(メラニー・ティエリー)と侍女のシスター・レベッカ(ミシェル・ヨー)をモンゴルからアメリカまで届ける仕事を引き受ける。アメリカから追放されていたトーロップは、祖国に戻ってやり直すチャンスと引き受けるのだったが…

 ストーリーから言うと「トランスポーター」のヴィン・ディーゼル版といったところで、積荷は少女だというあたりも「トランスポーター3」を思わせる。しかし、単なるアクションかと思えば、少女の特殊能力に加えて、カルト教団がからんできたあたりからぐちゃぐちゃとした展開になり、教祖様としてシャーロット・ランプリングが出てきたあたりにはぶっとんだ。彼女って、確かにカルトのオーラがある!! 逆にジェラール・ドパルデューは最後のクレジットを見るまで彼だとわからなかったぞ。

 と思ってたら話は一気にワープして、謎のラストへともつれこんでいくのである。謎が謎として残されてしまう最近のアメリカ映画としては珍しいパターンである。かつてのオカルト映画のように、キリスト教とかの知識がある程度ないと、感覚的に理解しにくい内容なのかもしれません。

 それにしても、オーロラの予知能力って一体何だったんだろう。彼女の生死と、トーロップの生死に関する部分はやっぱりわからない。アクション巨編ではあるんだけど、ひさびさに謎が謎を呼ぶ映画でありました。

マチュー・カソヴィッツ監督。2008年アメリカ=フランス=イギリス合作。

2010年11月 9日 (火)

ブレイド3 (2004)

ブレイド3 ヴァンパイア・ハンターのブレイド(ウェズリー・スナイプス)はいつものように襲い来る吸血鬼を始末していたが、そのうちのひとりが人間だったことからFBIに逮捕される羽目になる。相棒のウィスラー(クリス・クリストファーソン)と娘のアビゲイル(ジェシカ・ビール)、そして仲間のハンニバル・キング(ライアン・レイノルズ)の活躍により窮地を脱したブレイドだったが、かつてドラキュラと呼ばれたヴァンパイアの始祖ドレイク(ドミニク・パーセル)が復活したことを知る。

 シリーズ最終作。前作のリーパーズってのもなかなか気色わるくて強敵だったんだけど、この手のシリーズのお約束としてさらに強い敵を用意しなければならなくなり、登場したのがあのドラキュラ伯爵である。マッチョな傭兵風ドラキュラというわけだが、リーパーズよりも強かったかといったらちょっと微妙な感じ。

 ブレイドが逮捕されたり、魅力的なジェシカ・ビールを起用したりとシリーズ最終作としての見せ場はいろいろ用意されていたように思うが、どうしても薄味って部分は払拭できなかった感じ。それから、3本通してみたらきっとどれがどれかわからなくなるような気もする。

デヴィッド・S・ゴイヤー監督。2004年アメリカ映画。

2010年11月 8日 (月)

ブレイド2 (2002)

ブレイド2 前作から1年、混血のヴァンパイア・ハンターのブレイド(ウェズリー・スナイプス)のところに、宿敵のヴァンパイアのダマスキノス(トーマス・クレッチマン)の娘のニッサ(レオノア・バレラ)がやって来る。実はヴァンパイアさえ殺す最強の敵リーパーズの登場により、共同で戦おうと持ちかけてきたのだったが…

 1を見てからずいぶんと間が空いてからの2の観賞となったけど、ブレイドの相棒のウィスラー(クリス・クリストファーソン)救出のくだりだけがよくわからなかっただけで、あとはそれほど深いストーリーのつながりがなかったので抵抗なく見ることができた。最強の敵の登場というわけで、新型ウィルスに犯されたリーパーズ族ってのはなかなか印象的なクリーチャー。特に口がぱかっと割れるあたりは、かなりスプラッティーなビジュアルでダメな人はとことんダメかもしれない。

 ウェズリー・スナイプスは、ちょっとかっこつけ過ぎが鼻につく。クリス・クリストファーソンは70年代に活躍していた人だけど、最近よく見るね。なかなか渋いじいさんになったと思う。レオノア・バレラは凶暴だけど魅力的。ヴァンパイヤの解剖とか血のプールとか結構エグいシーンも多いんだけど、全体的に画面が暗いので印象が薄められてるってところ。

ギレルモ・デル・トロ監督。2002年アメリカ映画。

2010年11月 6日 (土)

サブウェイ123 激突 (2009)

サブウェイ123 激突 ニューヨークのペラム駅1時23分発の地下鉄が武装集団にハイジャックされる。地下鉄運行司令官のガーバー(デンゼル・ワシントン)は異常停止した地下鉄と連絡をとるが、ライダー(ジョン・トラヴォルタ)と名乗る犯人は市長(ジェームズ・ガンドルフィーニ)に1千万ドルの身代金を要求する。

 ジョン・ゴーディの原作をトニー・スコット監督で映画化、というよりは、70年代からの映画ファンだったら「サブウェイ・パニック」のリメイクだと言った方がわかりやすいだろう。あのウォルター・マッソーとロバート・ショウの行き詰まる対決を、デンゼル・ワシントンとジョン・トラヴォルタという2大俳優に置き換えた作品。おおまかなストーリーは同じだが、細かい味付けはまったくの別物となっている。地下鉄のジャックってのは当時は面白かったんだけど、今見るとかなり使い古されたストーリーかな、なんて思わなくもないが。

 前作でめちゃめちゃ印象に残っているのは、何と言ってもウォルター・マッソーがにゅっと出てくるラスト。同じ事をデンゼル・ワシントンがどう演じるのかなとちょっぴり期待したんだけど、ラストは全然違ってました。とはいっても、ミルクを買って帰るラストシーンは思わずしーんときた。名場面だと思う。

トニー・スコット監督。2009年アメリカ映画。

2010年11月 5日 (金)

アイス・エイジ3 ティラノのおとしもの (2009)

アイス・エイジ3 ティラノのおとしもの 氷河期に生きるナマケモノのシド(声:ジョン・レグイザモ)は大きな卵を3つ発見する。中から生まれたティラノの子供に、親と間違われて慕われるのだったが、本物のティラノの親が現れて3匹とシドを連れ去ってしまう。仲間のマンモスのマニー(レイ・ロマノ)とエリー(クイーン・ラティファ)夫婦はマタニティのまっただ中だったが、同じく仲間のサーベルタイガーのディエゴ(デニス・リアリー)と共にシドを救出する旅に出かける…

 人気CGアニメシリーズの第3弾。今回は地下に恐竜の生き残った世界があったということで、そこへの旅をスリリングに描く。映画館によっては3D上映もされていたということで、中盤以降の追いかけっこはかなりアトラクション的な要素が満載。まぁ元々このシリーズは、大迫力のカット割りが壮大なアトラクションを思わせてくれるような映画なわけですが。

 キャラクターに特に思い入れはないんだけど、マンモスの子供はなかなか可愛いしいいストーリーになってます。

カルロス・サルダーニャ監督。2009年アメリカ映画。

2010年11月 4日 (木)

嫌われ松子の一生 (2006)

嫌われ松子の一生 東京に住む若者の川尻笙(瑛太)は、父(香川照之)に会ったことのないはずの叔母の松子(奥ノ矢佳奈・中谷美紀)が死んだので彼女のアパートを整理するようにたのまれる。ゴミだめのような部屋を整理しながら、彼は遺品から松子の一生を追いかける。それは学校の先生をしながらも、不良の洋一(伊勢谷友介)への対処が悪くて退職、おかしな男とつきあってソープ嬢になり、ついには殺人まで犯してしまう転落人生だった…

 山田宗樹の人気小説を中島哲也がポップなミュージカルとして映画化。豪華なゲスト出演者(木村カエラ、柴咲コウ、片平なぎさ、濱田マリ、土屋アンナ、他)を交えての、おもしろおかしい大作へと仕上げた作品である。ただし歌い踊るシーンと画面の色使いが独特であり、ギャグも異様な部分が多いので見る人によっては強烈な拒絶反応を示すのではないかと心配する。

 一言で言うと、中谷美紀のような美人でも生き方によっては幸せになれないという非常に深い内容(笑)である。彼女はとにかく雰囲気が読めない人の代表格であり、特に学校のシーンで顕著なんだけど判断が非常にまずくて裏目裏目に出る人である。それでここまで人生を踏み外してしまうってのは、やっぱ家族や友達といったまわりの人間がイマイチだったんだと思う。あまりにも極端なんで共感なんて全然できなかったんだけど、気がつくと松子という架空の女性をふと偲んでしまう。そんな映画となっている。

中島哲也監督。2006年日本映画。

2010年11月 2日 (火)

そんな彼なら捨てちゃえば? (2009)

そんな彼なら捨てちゃえば 恋愛に前向きなジジ(ジェニファー・グッドウィン)は、デートしたコナー(ケヴィン・コナリー)の電話を待つ日々。その友達のベス(ジェニファー・アニストン)は、同棲中の恋人ニール(ベン・アフレック)との関係に決着をつけようとしている。ジジのもうひとりの友達ジャニーン(ジェニファー・コネリー)は、夫ベン(ブラッドリー・クーパー)が浮気を白状して…

 数々の恋愛模様を、架空のインタビューなどを交えながら描く群像型ラブコメディ。この手の作品はウディ・アレンが元祖だと思うんだけど、最近ではセックス・アンド・ザ・シティの成功あんかもあって増えているなぁ…なんて思ってたら、脚本家が同じでありました。納得。

 共感する…というよりは、こんなカップル、いるかもしれない…と興味本位でストーリーを追っかけてしまいました。とにかくキャストが豪華で、スカーレット・ヨハンソンやドリュー・バリモア、男性陣ではクリス・クリストファーソンやジャスティン・ロングも出てます。デートムービーとして見るには、ちょっと上級者向け(笑)かな。

ケン・クワビス監督。2009年アメリカ映画。

2010年11月 1日 (月)

トランスポーター3 アンリミテッド (2008)

トランスポーター3 アンリミテッド 凄腕の運び屋フランク(ジェイソン・ステイサム)は、かつては断った仕事を無理矢理請け負わされてしまう。その内容は謎の女性ヴァレンティーナ(ナタリア・ルダコーワ)を指定場所へ連れて行くことなのだが、フランクと彼女の腕には車から20m以上離れると爆発するブレスレットがはめられてしまう。

 リュック・ベッソン製作・脚本の人気シリーズ第3作にして、今度は車から離れられなくなる仕掛け付き。それをあれよあれよと利用したラストのアクションシーンはなかなか練られていて面白いです。アイディアは「バトルランナー」や、ルトガー・ハウアーの出演作に似たようなものがあったような気がするけど、料理の仕方がよくできてます。面白い。

 もうひとつのポイントは、ヒロインのナタリア・ルダコーワをどう評価するかというあたりでしょうか。うなじに入った「安」というタトゥーだけで、何だか日本人的感覚では軽い女というレッテルを貼ってしまうような気がしなくもありません。彼女の女学生姿(写真のみ)は魅力的に思えるんだけどなぁ。

オリヴィエ・メガトン監督。2008年フランス映画。

2010年10月31日 (日)

ナイト・ミュージアム2 (2009)

ナイトミュージアム 前作から数年後、博物館の夜警から小さな発明会社の社長になったラリー(ベン・スティーラー)だったが、古巣の自然史博物館の展示物たちが改装のためスミソニアン博物館の地下倉庫へ運ばれることを知る。ところが魔法の石版まで一緒に運ばれたために、スミソニアンの展示物たちも蘇る羽目になり…

 パワーアップした第2作…というわけで、舞台をより大きなスミソニアン博物館に移しての2。石版によって蘇った悪の帝王カームンラー(ハンク・アザリア)と、それを阻止するラリーと冒険家のヒロインアメリア(エイミー・アダムス)というのがメインのストリーなんだけど、要はストーリーそっちのけで登場人物たちのドタバタ騒ぎを楽しむコメディ映画となっている。

 雰囲気で言うと、まとまりのない「グレムリン2」を私は思い出したな。個々のギャグを楽しもうってのであればいいんかもしれないけど。余談だけど、ヒロインのエイミー・アダムスは物語が進むに連れて魅力的に見えてくる不思議な女優さんです。

ショーン・レヴィ監督。2009年アメリカ映画。

2010年10月30日 (土)

スターリングラード (2000)

スターリングラード ロシアの羊飼いの子供だったヴァシリ(ジュード・ロウ)が、第2次大戦の激戦地スターリングラードへ徴兵されて行く。ロシア軍に襲われ陥落寸前にもかかわらず、銃も与えられず弾だけを持って現地入りするヴァシリだったが、新聞記者ダニロフ(ジョセフ・ファインズ)の銃を借りたヴァシリは驚異的な狙撃能力で敵を倒す。一躍ロシア軍の広告塔となったヴァシリだったが、ドイツから凄腕のスナイパーのケーニッヒ少佐(エド・ハリス)がやって来て…

 実在したという伝説のスナイパーを描いた戦争映画。もちろんロマンス(相手役はレイチェル・ワイズ)もあり、ケーニッヒとの対決シーンは手に汗握りとエンタテイメント巨編となっている。悲惨なスターリングラードの状況も前半ではかなり描写されてはいるも、結局はヴァシリに続けとばかりのプロバガンダ的な映画になっているのが気にはなったが。

ジャン・ジャック・アノー監督。2000年アメリカ=ドイツ=イギリス=アイルランド合作。

2010年10月29日 (金)

G.I.ジョー (2009)

Gijoe 近未来、悪の組織「コブラ」に、あらゆる金属を腐食する物質「ナノマイト」が強奪される。これを奪還するために、デューク(チャニング・テイタム)をはじめとする秘密組織 G.I.ジョーが出動するのだったが…

 G.I.ジョーっていうと、あの兵隊フィギュア…というか男の子のリカちゃん人形だったアレのこと…と漠然と思い出しながら映画を見たのだが、内容はまったく違っていてハイテク兵器満載の部隊が悪の組織とアクロバティックに戦うという映画であった。「トランスフォーマ-」などと同じくかなり好戦的な内容で、はっきり言って子供には見せたくない感じ。

 もうひとつ問題なのは、実は見て数日しかたってないんだけど、この映画に関してはナノマイトがエッフェル塔を腐食するシーンとハイテクスーツを着た兵隊がアクロバティックに戦うシーンしか記憶にないのである。困ったもんだ。

スティーヴン・ソマーズ監督。2009年アメリカ映画。

2010年10月26日 (火)

真空地帯 (1952)

真空地帯 昭和19年の大阪の駐屯地。刑務所を出所した木谷(木村功)が軍隊に復帰する。そこでは、大住軍曹(西村晃)をたち古参兵が、大卒の初年兵たちをしごいていた。刑務所のことを隠す木谷は、花枝(利根はる恵)という娼婦と所帯を持つことを夢見ているのだったが、やがて戦局も悪化してきて…

 野間宏の原作を映画化。軍隊の内幕ものだが戦闘シーンとかはなく、ひたすら内地勤務の兵隊たちの腐敗ぶりや理不尽ないじめなどが描かれ、かなりリアリティを感じることができる作品。いわゆる日本版「MASH」なのだろうけど、ねっとりとした人間模様は日本独特なものを感じることができる。

 これに娯楽性や爽快モードを付け加えると「兵隊やくざ」になるんだろうね。キレた木村功は、爽快と言えなくもないが…

山本薩夫監督。1952年日本映画。

2010年10月25日 (月)

ドラえもん のび太の宇宙開拓史 (1981)

ドラえもん のび太の宇宙開拓史 いつも草野球をする空き地を中学生に奪われ、ジャイアン(声:たてかべ和也)はのび太(小原乃梨子)にみんなで野球が出来る場所を探せと迫る。のび太はドラえもん(大山のぶ代)に泣きつくのだったが、同じ頃コーヤコーヤ星の宇宙船が作った時空の歪みがのび太の部屋の畳へとつながり、のび太は宇宙人のロップル(菅谷政子)たちと知り合う。

 劇場版ドラえもんの第2作。「宇宙開拓史」という壮大なタイトルではあるが、中身はこじんまりとした宇宙の開拓村の物語。しかし引き出しのタイムマシンに続いて畳が宇宙につながるというアイディアは絶妙で、かなり夢のある物語になっている。

 藤子・F・不二雄原作・脚本らしく、全体のタッチは小学生向けの軽めのもので、殺し屋のギラーミン(柴田秀勝)すら可愛らしく見えてくるのが愛嬌である。子供たちには大変安心して見せられるのは言うまでもない。 ラストの別れのシーンは、ちょっぴりほろりとさせられます。

西牧秀夫監督。1981年日本映画。

2010年10月23日 (土)

ワイルド・スピード MAX (2009)

ワイルド・スピード MAX ドミニカ共和国へ逃亡して、ガソリンを積んだトレーラーの襲撃で生計を立てていたドミニク(ヴィン・ディーゼル)。ところが恋人のレティ(ミシェル・ロドリゲス)が殺されたことをきっかけに、復讐のためにロサンゼルスへ戻る。同じ組織を追うFBIのブライアン(ポール・ウォーカー)と再会し、組織に運び屋として潜入するためにまたもやストリートレースへ参加することになるのだが…

 傑作だった第1作の主人公コンビが復活したシリーズ第4作。続編がしぼんでいく要因としてある、登場人物のパワーダウンだけど、このシリーズでは第4作に至ってヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカーのコンビを復活。これは正しい判断と言えそうで、かくしてあの面白かった「ワイルド・スピード」が帰ってきたという気分を十分楽しませていただきました。

 ありえないカーアクションは、好き嫌いが分かれるところかもしれないけど(トンネルのシーンなんて、何やってるかわからない)、主役の2人のかけあいがすべてを許させてしまうといった感じ。ヴィン・ディーゼルは相変わらず悪人で、勧善懲悪なんてどこ吹く風。それだけに、一筋縄では終わらないこのラストシーンには思いっきり納得させられたし、軽い爽快感まで味わえてしまいました。

 日本車は…確かにニトロどっかんのアメリカの大味なレースでは勝てないだろうな。

ジャスティン・リン監督。2009年アメリカ映画。

2010年10月22日 (金)

シシリアン (1969)

シシリアン マフィアのボスのヴィットリオ(ジャン・ギャバン)は、用意周到な計画で護送車を襲撃して殺し屋のサルテ(アラン・ドロン)を脱走させる。実は彼らには大量の宝石を強奪する計画があり、サルテが必要なのだった。ところが事件をフランス警察のゴフ警部(リノ・ヴァンチュラ)がかぎつけて…

 オーギュスト・ル・ブルトンの原作をアンリ・ヴェルヌイユ監督が映画化。私にとっては、テレビの洋画劇場で見たっきりのちょっと思い入れのある映画である。当時ではイリナ・デミックとアラン・ドロンのラブシーン(ラストのオチにもつながるのだが)とハイウェイに着陸する旅客機のスペクタクルが強烈に印象に残っていたのだが、今見るとこれがまた「熱血」とは対局にあるかのような典型的にクールなフランス映画。

 しかしタイトルは「シシリアン」である。シシリー島に土地を買うことに執着するヴィットリオが、その執着をあっさりと捨てるあたりのクールさに男の美学を感じる…ってところなんかな。当時はかっこよく感じたんだけど、今見ると理解できんなあって気がしなくもない。

 もうひとつ印象に残るのが、エンニオ・モリコーネのマカロニ・ウェスタンを思わせる音楽。こりゃ耳に残ります。このストーリーにこの音楽をかぶせるあたりが、これまたセンスの良さとクールさを感じてしまうんですね。

アンリ・ヴェルヌイユ監督。1969年フランス映画。

2010年10月21日 (木)

シャッター (2008)

P1_g1521915w 新婚のカメラマンのベン(ジョシュア・ジャクソン)と新妻ジェーン(レイチェル・テイラー)は仕事で日本を訪れる。ところが富士のドライブで見知らぬ女性をはねたように思えた時から、写真に不気味な影が写るなど彼らのまわりに怪現象が起こり始める。

 日本を舞台にした、日本人監督による、アメリカ人が主人公のホラー。しかし彼らにつきまどう女性を奥菜恵がねっとりと怪演。このねっとり具合がこの映画のミソで、元々清純派だった彼女がここまでやれるってところがひとつの発見ではありました。

 まぁ何と言っても、オチが秀逸でコワイとは思わないけどなかなか気持ち悪いものではありました。肩こりや首のこりがひどい時は、一度疑ってみたほうがいいかも(笑)。

落合正幸監督。2008年アメリカ映画。

2010年10月20日 (水)

トランスフォーマー リベンジ (2009)

トランスフォーマー リベンジ 前作から2年。サム(シャイア・ラブーフ)は大学生になり、またアメリカ軍はロボット軍団のオートボットと組んでNESTという軍隊を作り、地球征服を企むディセプコンの一掃作戦を進めていた。ある日サムは、あらゆる情報が詰め込まれたキューブのかけらを見つけ、自分の脳裏にも不思議な文字が浮かぶようになってしまう…

 マイケル・ベイとスピルバーグが組んだロボット変形もの実写映画の第2弾。地球征服を狙う悪の軍団と、地球防衛軍の戦いというヒーローものの古典のようなストーリーに大学生のヒーローとヒロイン(ミーガン・フォックス)をからめて、これでもかという迫力のSFXをからめてパワーでどんどん押しまくったような映画。2時間半という長尺なんだけど…やっぱり長く感じた(笑)。

 実は、前作の後半では時々記憶が飛んでしまっているoga.としては、ディセプコンって何だ?キューブって?と本当に「?」の連続で、今回は意識がクリアだったのにとっても難解に感じてしまったのでありました。後半では世界遺産のエジプトのピラミッドをぐちゃぐちゃにして戦ったり、ビジュアル的には面白かったんだけどなぁ。目にもとまらない変形シーンはやっぱりスローモーションで見せてほしかったぞ。

マイケル・ベイ監督。2009年アメリカ映画。

2010年10月19日 (火)

ラストサマー (1997)

ラストサマー ある村の祭りの夜、パーティ帰りの若者たち(ジェニファー・ラヴ・ヒューイット、サラ・ミシェル・ゲラー、ライアン・フィリップ、フレディ・プリンゼ・Jr)が乗った車が人をはねる。誰も見ていないからと海へ遺棄して帰った彼らだった。やがて1年後、同じ祭りがやって来て大学へ進んだ彼らは故郷へ帰ってきたのだったが…

 ロイス・ダンカン原作、スクリームのケヴィン・ウィリアムソン脚本のホラー。しかし主人公たちが死体遺棄をやらかした若者ってことで、どんなオチがつこうとも彼らに全然感情移入できずに終わってしまったというのがミソかも。コワい映画として結構有名だったのでちょっと期待して見たんだけど、どきどき感は「13日の金曜日」や「エルム街の悪夢」と同レベルだったような気がする。青春映画を思わせるタイトルがナイスなんだけどなぁ。

ジム・ギレスビー監督。1997年アメリカ映画。

2010年10月15日 (金)

犬と私の10の約束 (2008)

犬と私の10の約束 函館に住むあかり(福田麻由子/田中麗奈)は外科医の父祐市(豊川悦司)と母芙美子(高島礼子)の3人暮らし。ある日母の入院をきっかけに、迷い込んできたのら犬にソックスと名前をつけて飼うことになる。そんなあかりに母は犬を飼う時の十戒を教えるのだったが…

 飼い犬をテーマにしたホームドラマ。物語はこれに、ギタリストを目指すボーイフレンド(加瀬亮)がからんだ15年間が描かれる。ただしドラマと脚本はあんまりこなれてなくて、いいストーリーだと思うんだけどちょっとのめりこめなかったのが残念なところ。犬の十戒というのも、作者不詳で愛犬家には有名なものだそうなのだが、母の口から語られるのはあまりに唐突過ぎて物語とあんまりくっついてなかったような印象が残る。

 しかし…である。そうこう言いながらも時間の流れってのがものすごく良く表現されていて、これは古き良き邦画を彷彿とさせる部分であった。特に好きなのは、お父さん役の豊悦がラスト近く海岸でビールを飲むシーン。年月が経って、家族がばらばらになりながらもいろんな思いがごっちゃになってるのが伝わってきて、このシーンはさすがにじーんときた。田中麗奈の少女時代を演じた福田麻由子も、爽やかで良かったです。

本木克英監督。2008年日本映画。

2010年10月12日 (火)

西の魔女が死んだ (2008)

西の魔女が死んだ 登校拒否になった女子中学生のまい(高橋真悠)は、田舎でひとり暮らしをするイギリス人のおばあちゃん(サチ・パーカー)の元で暮らすことになる。自給自足の不思議な暮らしにやがて打ち解けていくまいに、おばあちゃんは実は私は魔女だと打ち明けて…

 タイトルからしてファンタジーかと思ったら、すごく真面目に登校拒否の少女とおばあちゃんのふれあいを描いた、別の意味でのファンタジー。梨木香歩の児童小説の映画化ってことで、少年ドラマシリーズなんかで取り上げられそうな内容である。別におばあちゃんが本当に魔女だったとオチがあるわけではなく、奇抜な展開もまったくない。癒し系の映画なんだけど、映画として見るとちょっと平板過ぎるかなという印象を持った。

 おばあちゃん役のサチ・パーカーはなんとシャーリー・マクレーンの娘らしい。てことは、シャーリー・マクレーンって一体何歳なんだろう? まいとおばあちゃんのふれあいよりも、どうしていいかわからなくておろおろする両親(りょう、大森南朋)の方が妙な親近感を覚えたぞ。

長崎俊一監督。2008年日本映画。

2010年10月11日 (月)

ラスト・ブラッド (2008)

ラスト・ブラッド 70年代の日本、人間に姿を変えたオニたちを、ヴァンパイヤと人間の混血の少女サヤ(チョン・ジヒョン)が組織に言われるまま孤独に退治していた。オニの大将であるオニゲン(小雪)との対決のために、オニがはびこる東京のアメリカ軍基地に潜入したサヤは、オニに襲われた少女アリス(アリソン・ミラー)を助けたのだったが…

 日本のProduction I.G.による短編アニメを実写映画化。ストーリーからわかるように、「ブレイド」と「アンダーワールド」を足して、「キル・ビル」風味にしたようなアクションホラー映画。もっとも原作は上記の作品よりも古いらしく、「キル・ビル」のアニメパートは Production I.G.制作のものであるが。

 主役の少女は誰かと思ったら、あのチョン・ジヒョンだったのはエンドクレジットを見て初めて知った。新人かと思った。セーラー服着て暴れるあたりは、なかなかマニアックである。水玉のように血が飛び散る描写も、どこか浮世離れしていて生々しくなく安心して見ていられる。コミック風とも言える表現だからか。

 主役こそチョン・ジヒョンだが、日本人もなかなか活躍していて目が離せない。存在感だけで勝負する小雪(笑)に加えて、久しぶりに見た倉田保昭が身体を張って頑張っているのが後半の見せ場である。

クリス・ナオン監督。2008年香港=フランス合作。

2010年10月 9日 (土)

金環蝕 (1975)

Kinkanshoku 1964年の民政党総裁選で寺田(久米明)と酒井(神田隆)が双方約20億の実弾を使い次期首相を目指して争ったが、寺田が勝利する。同じ頃、星野官房長官(仲代達矢)の秘書官西尾(山本学)が高利貸しの石原(宇野重吉)に金策を申し入れるが断られる。ただならぬものを感じた石原は、西尾の身辺を私立探偵に洗わせるが、そこには九州の福竜川ダム入札をめぐる陰謀がからんでいた…

 石川達三の原作を映画化。前述の「華麗なる一族」と同じくモデルとなる人物や企業・事件がある物語だが、「華麗なる~」と違うのは登場人物に本当にろくな人物というか、まともな道徳観念を持っている人間がいないというところ。もっともこれだけの修羅場で生きていこうと思えば、そんな道徳とか生半可なことを考えている余裕はないのであろうけど…

 それにしても、この頃の山本薩夫監督の社会派どろどろドラマってのは脂がのりきっていて、見応えがあります。昭和のレトロな雰囲気が、今見るといいスパイスになっているような気もする。宇野重吉の金貸しの爺さんが特に印象的。高橋悦史の、業界紙編集長もいい。いずれもお知り合いになりたいとは思わないが(笑)。

山本薩夫監督。1975年日本映画。

2010年10月 7日 (木)

華麗なる一族 (1974)

華麗なる一族 60年代の神戸。阪神銀行の頭取万俵大介(佐分利信)は、銀行再編の時代を前にして、自行よりも預金規模の大きな大同銀行の吸収合併を模索する。彼の長男鉄平(仲代達矢)は阪神特殊鋼の専務であり、高炉建設の夢を実現しようとしていたのだったが…

 数年前にテレビドラマ化されて話題になった山崎豊子原作の70年代の映画化。公開時は結構話題になったので、おぼろげながらも記憶に残っているが、こんな日本版ゴッドファーザーとも呼べる(笑)ストーリーだったとは。しかも銀行頭取は家庭教師兼妾(京マチ子)をかかえこんでいるし、頭取と大蔵大臣(小沢栄太郎)のつるみ方はなんとも不敵であるし、ファミリーの面々は一筋縄でいきそうもなく、その中で比較的いい人の鉄平と三雲頭取(二谷英明)の運命が何とも可愛そう。  しかし、さらなる合併を思わせるラストは皮肉たっぷりでまさしく現代を予見していると言えるだろう。

 2007年版のテレビドラマはどんな感じだったのか、気になってきた。

山本薩夫監督。1974年日本映画。

2010年10月 6日 (水)

ブーリン家の姉妹 (2008)

ブーリン家の姉妹 16世紀のイングランド。トーマス・ブーリン卿(マーク・ライランス)には2人の娘アン(ナタリー・ポートマン)とメアリー(スカーレット・ヨハンソン)がいた。自分の勢力を広げるために、アンを子供のいないイングランド王のヘンリー8世(エリック・バナ)の愛人に仕立てて子供を産ませようと考えるのだったが、王が見初めたのは、新婚のメアリーの方だった…

 イングランド王朝の史劇を、ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンという2大女優を使って映画化。文芸大作というよりも、スキャンダルにまみれたストーリーはドロドロとした内容で、面白いと言っちゃえば失礼になるんかな。

 それにしても、ナタリーとスカーレットって本当に絶妙なキャスティングである。こうやって2人を並べると、ナタリーはぎすぎすした感じでそばにいてちょっとしんどい雰囲気が伝わってくる。決して悪い人ではないんだけど、いろんな意味で損をしている。最後まで裏目裏目に出る人生。

 かといって、気の利いたメアリーにせよ暗躍するブーリン家の面々にせよ、はたまたヘンリー国王にしたって誰もかれも散々のとんでもない人生をたどる物語である。面白いけど気が滅入る。ちょっと困った映画である。

 今、クレジットを調べていて気がついたんだけど、「ミツバチのささやき」のアナ・トレントが出演されているのには気がつかなかった。イギリス王妃役だったらしい。こりゃ、彼女の今が見られるなら見直してみる価値があるかな。

ジャスティン・チャドウィック監督。2008年イギリス=アメリカ合作。

2010年10月 5日 (火)

それでも恋するバルセロナ (2008)

それでも恋するバルセロナ 恋愛に慎重なヴィッキー(レベッカ・ホール)と、自由奔放なクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)は親友同士。2人はバカンスでバルセロナを訪れるのだが、そこで見るからに色男の画家アントニオ(ハビエル・バルデム)に2人まとめてあからさまに口説かれる。拒むヴィッキーを尻目に、ひょうひょうと付いていくクリスティーナだったが、さらにアントニオの元妻のマリア・エレーナ(ペネロペ・クルス)がからんで事態はあらぬ方向へ…

 タイトルどおりのスペインはバルセロナを舞台にした、ウディ・アレン監督のラブコメディ。バカンスの海外、特にバルセロナって土地柄は人を狂わせるなにかがある…って内容で、ありえない色男とその元妻にふりまわされる2人がなんともシュールに描かれる。

 ウディ・アレンってのは、本人が登場しない映画の方が楽しめるってのを再確認。とにかく女優の選び方がうまいんだけど、ペネロペ・クルスの毒気に翻弄される3人という図式が正しいんじゃないかと思えるほど、彼女が出てからは映画は彼女の独断場。最近注目していたスカーレット・ヨハンソンが、彼女の前では単なる小娘に過ぎないことを思い知らされてしまった(笑)。

ウディ・アレン監督。2008年スペイン=アメリカ合作。

2010年10月 4日 (月)

ドラえもん のび太の大魔境 (1982)

P1_g5595733w 魔境探検に憧れるジャイアン(声:たてかべ和也)はのび太(小原乃梨子)とドラえもん(大山のぶ代)をけしかけてアフリカ探検に行こうとするのだが、ドラえもんの出してきた道具による無数の衛星写真を前に途方に暮れる。ところが彼らの前に不思議な子犬ペコ(清水マリ)が現れて…

 藤子不二雄原作・脚本、劇場版ドラえもんの第3作。この頃は頑張るのび太というのはいなくて、映画全体もすごく素朴な作りである種の懐かしさを感じた。いつもの仲間のしずかちゃん(野村道子)、スネ夫(肝付兼太)も健在だが、今回大活躍するのはなんとジャイアン。前半はどこでもドアに守られたなさけないアフリカ探検なんだけど、彼らが窮地に陥ってからはジャイアンが結構見せてくれる。

 小粒な魔境探検に思えて、意外とスケールの広がりを見せてくれるのは見事である。見どころは、木の上の食事かな。

西牧秀夫監督。1982年日本映画。

2010年10月 1日 (金)

私がクマにキレた理由 (2007)

私がクマにキレた理由 大学を卒業するも就職しそこねたアニー(スカーレット・ヨハンソン)は、車にひかれそうになった少年グレイヤー(ニコラス・リース・アート)を助けたことから、彼の子守(ナニー)として雇われる。ナニーをしながら自分の道を探そうとしたアニーだったが。

 自分探しの若い女性を描いた女性映画。エマ・マクローリンの原作を映画化。クマにキレるってどういうことだろうって思ったら、なるほどそういうわけだったのね。納得。

 子供嫌いのアニーが子育てに目覚めていくというとってもまっとうな映画なんだけど、イケメンのカレシ(クリス・エヴァンス)とか彼女の母親(ローラ・リニー)とか芸達者な脇役にかためられて雰囲気は抜群。邦画の「バカヤロー」みたいなお約束な展開なんだけど、見終わった感想はとっても爽やかです。スカーレット・ヨハンソンってほんと、いい女優さんです。

シャリ・スプリンガー・バーマン、ロバート・ブルチーニ監督。2007年アメリカ映画。

2010年9月27日 (月)

スター・ウォーズ クローン・ウォーズ (2008)

スター・ウォーズ クローン・ウォーズ はるか彼方の宇宙、分離主義者と共和国は果てしない「クローン戦争」を繰り広げている。共和国のジェダイの騎士であるオビワン・ケノービ(声:ジェームズ・アーノルド・テーラー)、アナキン・スカイウォーカー(マット・ランター)、ヨーダ(トム・ケイン)らは前線に身を置いていたが、アナキンとそのパドワン(弟子)のアソーカ(アシュリー・エクスタイン)は、誘拐されたジャバの子供の救出を依頼される…

 エピソード2と3の間にあったという「クローン戦争」を描いたCGアニメーション。アニメとは言いながらも、おなじみの登場人物がずらっとそれっぽい顔で登場。後半にはアミダラ姫まで登場して、何じゃこれはという状態である。頭のスイッチをちゃんと切り替えて見られる人向けといったところか。

 それにしても、今回は何だか最初から最後まで登場人物は戦争ばっかりしているような印象が強く、やっぱタイトルに「ウォーズ」が2回も付いているだけあってこのシリーズは好戦映画だったんかなぁと複雑な気分にさせられた。フォースを持ったジェダイの騎士たちは、ライトセーバーでどんな攻撃もカンカンとかわせるし、これってハイテク兵器を身にまとった米兵と同義なんかなぁとうがった見方をしてしまった。

 細かいエピソードはテレビシリーズになっているらしいけど、そこまでチェックする気分には残念ながらなりませんでした。実写版(こちらもCGがいっぱいですが)とは何かが違う!?

デイヴ・フィローニ監督。2008年アメリカ映画。

2010年9月26日 (日)

がんばっていきまっしょい (1998)

がんばっていきまっしょい 80年代の四国松山。ボート競技に憧れて高校へ入学した悦子(田中麗奈)は、ボート部に女子部がないことを知ってがっかり。しかしあきらめきれずにひとりで入部して、やがて4人のメンバー(清水真実、葵若菜、真野きりな、久積絵夢)を集めてくるのだったが、日々の練習で自分は腰を痛めてしまう…

 このごろ良く制作される松山が舞台の青春映画。愛媛のおっとりした風土ってのが、青春映画とぴったりはまるんじゃないかと思う。福岡出身の田中麗奈の初期の主演作品だけど、伊予弁を使って熱演。というか、秘めたる情熱ってのがひしひしと感じられる好演と言えるだろう。

 ストーリーはべたべたの部活映画で、ボード部がない、なら作ってしまえ、一勝もできずに挫折、怪我でドクターストップ、強力な訳ありコーチ(中嶋朋子)の登場、そして… というもの。でもこの定番パターンは、日本映画として作り続けられなければいけないんだろうなって思ってしまうのであった。敷村良子原作。後にテレビドラマ化もされているらしい。

磯村一路監督。1998年日本映画。

2010年9月23日 (木)

ホワイトアウト (2000)

ホワイトアウト 日本最大の貯水量を誇る奥遠和ダムがテロリスト(佐藤浩市、他)に占拠される。吹雪のせいでダムは孤立し、ダム人質たち以外にダム作業員の富樫(織田裕二)が取り残される。かつての事故で同僚の吉岡(石黒賢)を失った富樫は、人質となっている吉岡の婚約者の千晶(松嶋菜々子)の救出を誓うのだったが…

 真保裕一のアクション小説の映画化。日本では珍しい本格的アクション映画ということで期待して見たのだが… うーむ、日本のアクションってのは西部警察の時代からあまり進歩していないんじゃないか、というのを実感させられました。

 ストーリーとしては、「ダイ・ハード」の雪山版といったところなんだけど、巨大なダムが本当に吹雪ぐらいで陸の孤島になりうるのかというのが大きな疑問。それに密室での攻防がメインで、思ったよりもスケール感が感じられなかったというのが敗因かも。後半はヘリを使ったり雪崩が起こったりといろいろと雪山アクションのお約束が散りばめられてはいるのだが。

 登場人物たちがまったく銃の扱いを知らなくていらいらさせられるところが、邦画アクションのミソでしょう。当時絶頂の織田裕二と松嶋菜々子が主演。2人の設定上の微妙な関係は、いい味を出してました。

若松節朗監督。2000年日本映画。

2010年9月20日 (月)

ビー・ムービー (2007)

ビームービー 新卒の働き蜂のバリー(声:ジェリー・サインフェルド)は就職を前にして、型にはめられた蜂の職業に疑問を持つ。巣の外に飛び出したバリーは、危機一髪のところを花屋の女性ヴァネッサ(レネー・ゼルウィガー)に救われる。人語をしゃべるバリーはたちまちヴァネッサと打ち解けるが、スーパーで蜂蜜が売られていることを知り蜂が人間に搾取されていることを訴訟することになったのだが…

 絵柄からして「みつばちハッチ」のドリームワークス版かと思いきや、風刺がいっぱい毒が散りばめられたCGアニメ。とはいっても小さなお子様が見てもわからないようなパロディねたが満載…という感じで、お子様連れでも心配することはなさそうだが。

 人間に搾取されていることに怒った主人公が、人間の裁判に訴える。ここまでは予測がつく内容。しかしいざ勝訴してみると、蜂は働かなくなり花は実を結ばなくなり、食物連鎖が崩れて生物絶滅の危機に…とエコロジーな内容になっているのが今風である。結局、生物は協力しなければというメッセージが心地よい。

 スティングとレイ・リオッタのギャグはなかなか笑えたぞ。しかもその吹き替えをちゃんと本人がやってるなんて、なんて懐が深いんだと感心してしまった。他にもマシュー・ブロデリック、クリス・ロック、ジョン・グッドマン、キャシー・ベイツ、バリー・レヴィンソンといった蒼々とした面々が声の出演をされてます。毎度のことながら、予備知識がないと声だけでは誰かわかりませんが。

スティーヴ・ヒックナー、サイモン・J・スミス監督。2007年アメリカ映画。

2010年9月18日 (土)

マンマ・ミーア! (2008)

マンマ・ミーア! ギリシャのリゾート地の小さなホテル。恋人スカイ(ドミニク・クーパー)との結婚式をひかえたソフィ(アマンダ・セイフライト)は、とんでもない計画を実行する。母ドナ(メリル・ストリープ)のかつての恋人で、この中に自分の実の父親がいると思われる3人の男性サム(ピアース・ブロスナン)、ハリー(コリン・ファース)、ビル(ステラン・スカルスガルド)を結婚式に招いたのだ。もちろん母親のドナはそんな事を知るすべもなく…

 ギリシャのリゾート地を舞台に、アバの代表曲を散りばめたラブ・ミュージカル。こういうのは、歌と画面と登場するスターで半分ぐらいは決まってしまって、あとはノリで押し切られていい気分にさせられておしまい、というリゾート的な映画だと言えるのではないだろうか。だから父親探しみたいな重いテーマはそっちのけに、ものすごいノリで歌い踊る熟女3人組(メリル、ジュリー・ウォルターズ、クリスティーン・バランスキー)に拍手をおくりたい気分になった。

 それにしても、「アバ・ザ・ムービー」もそうだったけど、40年近く前のアバの楽曲が現代も通用するなんて、当時はまったく想像もできなかったような気がいたします。メリル・ストリープはともかく、ピアース・ブロスナンが歌えるってことにも新鮮な驚きがありました。

フィリダ・ロイド監督。2008年イギリス=アメリカ合作。

2010年9月17日 (金)

イベント・ホライゾン (1997)

イベント・ホライゾン 2047年の近未来、消息を絶った調査船「イベント・ホライゾン号」が海王星で発見され、ミラー(ローレンス・フィッシュバーン)を船長とするルイス&クラーク号が救助と原因解明に飛び立つ。船にはホライゾン号の開発者であるウェアー博士(サム・ニール)も乗っていたが、やがてホライゾン号とドッキングしたルイス&クラーク号は原因不明の事態に襲われる。

 宇宙船を舞台にしたSFサスペンスホラー。しかし「エイリアン」というよりも「惑星ソラリス」と「禁断の惑星」と「スフィア」を足して割った上にスプラッタのスパイスをきかせた感じで、おまけにくら~い雰囲気はかなり見る人を選びそうな映画。

 「マトリックス」でブレイクする前のローレンス・フィッシュバーンが若くて線が細くて、別人のようなのが見物。後半はサバイバル・ゲームになるんだけど、何となく盛り上がりに欠けるのが残念。

ポール・アンダーソン監督。1997年アメリカ映画。

2010年9月 7日 (火)

ハリー・ポッターと謎のプリンス (2008)

ハリー・ポッターと謎のプリンス 放浪の生活をおくるハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)のもとに、ホグワーツ魔法学校のダンブルドア校長(マイケル・ガンボン)がやってきて復学を進める。実は宿敵ヴォルデモードの影響で学校も安全じゃないという噂が立っている。旧友のロン(ルパート・グリント)、ハーマイオニー(エマ・ワトソン)と再開したハリーだったが、校長に連れられて若き日のヴォルデモードであるトム・リドル(ヒーロー・ファインズ・ティフィン、フランク・ディレイン)の記憶を見せられる…

 シリーズ第6作にして、どんどんダークな世界になっていくファンタジー映画。ハリーたちはどんどんとっちゃん坊やに成長していくし、画面はどんどん暗くなっていくし、ストーリーもどんどん暗く沈んでいくので取り残されないように覚悟が必要かも。第1作の観客も、この登場人物のように成長しているんだろうしねぇ。しかしヴォルデモートの過去に迫る本作はストーリーがなかなか面白く、最後まで手に汗握って見てしまった。

 最大のポイントはタイトルにもなっている「謎のプリンス」なんだけど… 最後の最後で「そりゃないんじゃない」って思ってしまった。もっとも次回作はシリーズ最終話なので(前後編に分かれるようですが)、このオチがどうつながっていくのだろうかというのは楽しみではありますが。

デヴィッド・イェーツ監督。2008年イギリス=アメリカ合作。

2010年9月 6日 (月)

世界の果てへの旅 (1975)

Voyage_to_the_end_of_world ジャック・イヴ・クストーの海洋映画の第3作で、事実上の最終作。今回の舞台は南極大陸で、おなじみのカリプソ号は最新装備を積み込んで南下。氷山との衝突や海の氷結、そして吹雪と降雪による沈没の危機などを乗り越えながら、アザラシやペンギンなど南極の動物たちに遭遇。さらに世界初という氷の下への潜水も試みる。

 制作年は1975年ということで、潜水に関するかなり技術も進んだと思われるのだが、さらに困難な南極の海への挑戦である。本来は砕氷船の仕事であろう航路を、おなじみのカリプソ号で乗り切るというのが無鉄砲に感じながらもしっかりと感情移入して見てしまった。

 それにしても、クストーは3本の海洋ドキュメントを作りつつもすべての映画の切り口が違うってのが素晴らしいです。

ジャック・イヴ・クストー監督。1975年フランス映画。

2010年9月 4日 (土)

映画ドラえもん のび太の人魚大海戦 (2010)

映画ドラえもん のび太の人魚大海戦 ドラえもんの秘密の道具「架空水」で町を架空の水の中に沈めて楽しんでいたドラえもん(声:水田わさび)、のび太(大原めぐみ)たちだったが、町中を泳ぐ魚にまぎれて人魚族の王女ソフィア(田中理恵)が泳いでいるのに出会う。ソフィアと仲良くなるドラえもんたちだったが、やがて人魚族の秘密の剣を狙う怪魚族との争いに巻き込まれていく。

 新生ドラえもんシリーズの第5作。今回は子供を連れて劇場にて鑑賞したんだけど、意外とストーリーが込み入っていてこれって子供たちはちゃんと理解しているんだろうかって思ったのは、「のび太と緑の巨人伝」と同じである。もっとも子供たちは人魚スーツを着てビルの谷間をすいすい泳ぐというビジュアルをとっても楽しんでいたようであるが。

 今回は人魚と見せて宇宙人との交流を描いた内容であるが、どんどん広がって行くドラえもんの仲間たちは考えてみると凄い種類で一大サーガを築いている気がする。人魚の戦争に荷担するという内容では、「アンパンマン」にも似たような内容の映画があったなぁ。

楠葉宏三監督。2010年日本映画。

2010年8月30日 (月)

太陽のとどかぬ世界 (1964)

太陽のとどかぬ世界 紅海の海底10メートルに建設された海底基地。ジャック・イヴ・クストーをリーダーとするチームはこの基地に長期滞在し、さらに深い海底26メートルでの生活実験を行う。さらに基地内にドックを設置した深海艇に乗り込み、水深300mの世界に住む生物を撮影する。当時の深海探査をつぶさに記録したドキュメンタリー映画。

 前作「沈黙の世界」をパワーアップした感じで、海面下10mの海底基地と潜行艇をメインとした深海記録映画。シナリオが秀逸というか、まずは10mの海底に住むという危険(当時の)などを描いた上で、さらに深い26メートルの基地への滞在へと進む盛り上げ方が良い。わずか26mと思うかもしれないけど、当時の技術では十分危険でこの深度からでも一気に浮上すれば生命の危険があるという実感が画面から伝わってくる。

 そういった順序をふんだ上での300メートル潜水だからこそ、画面を見ながら「そんなにもぐって大丈夫なの?」という緊張感をひしひしと感じることができた。実に心憎い演出である。確かに世界に「冒険」があった頃の映画である。

ジャック・イヴ・クストー監督。1964年フランス=イタリア合作。

2010年8月29日 (日)

沈黙の世界 (1956)

Munde_du_silence ジャック・イヴ・クストーをリーダーとして、調査船カリプソ号で海洋調査の旅に出たフランスのクルー。海底の難破船、鯨の大群、鮫の群れ、ウミガメの産卵などなど、海の神秘な姿を次々と集めた海洋ドキュメンタリー映画の古典。

 最近では「アトランティス」「皇帝ペンギン」「オーシャンズ」などなど、海洋ドキュメントといえばフランスとも言えるルーツとなるのがこの作品だろう。おそらく当時の最先端と思われる装備を詰め込んだカリプソ号の冒険物語なのだが、海底で息が詰まれば死は免れないわけでそのあたりの緊迫感も随所随所に感じられるリアリティに富んだ映画である。

 手持ちの水中カメラも、何やら映画用のフィルムカメラを小型の缶に詰め込んだような構造で、よくぞあのカメラでここまでの映像を撮ったなぁと感心させられる。子クジラがスクリューに巻き込まれたり、ダイナマイトの爆破で魚の個体調査をしたりと、いい気持ちにさせられるだけではない部分があるのもフランス映画らしい。

 なお、監督は無名時代のルイ・マルが協力している。沈黙の世界だのに、オープニングからコポコポと泡の音に包まれているのがご愛敬。

ジャック・イヴ・クストー、ルイ・マル監督。1956年フランス映画。

2010年8月27日 (金)

ターミネーター4 (2009)

ターミネーター4 2018年の最終戦争後の世界。生き残った人間はスカイネットの機械軍に反してレジスタンスを結成している。自分が何者かも知らない流れ者のマーカス・ライト(サム・ワーシントン)は、ゴーストタウンで出会った少年カイル・リース(アントン・イェルチン)と意気投合して旅をする。一方でカイルの行方を追うレジスタンスのジョン・コナー(クリスチャン・ベイル)だったが…

 シリーズもついに終末戦争後の世界というわけで、少年カイル・リース(実は父)とジョン・コナー(実は子)の物語へと突入する。通して見ている者にはこのあたりのストーリーは「1」「2」を通しておぼろげに知っている部分なので、かなり感情移入して見ることができた。さながら、スケールダウンしているくせに面白い「猿の惑星」シリーズの後半部分を見ているような気分である。

 今回のキーマンは、歳が逆転した親子でもターミネーターでもなく、新登場のサイボーグ・マーカス・ライトだってところ。まぁターミネーターの屈強ぶりをがんがんパワーアップして見せるよりも、このひねった展開の部分が成功しているところだと思う。その出生の秘密にからむヘレナ・ボナム・カーターも、相変わらず怪しさ大爆発でいい味を出してます。

 次回作は、ついにカイル・リースがタイムマシンに乗る物語か?

マックG監督。2009年アメリカ映画。

2010年8月26日 (木)

アナコンダ3 (2008)

アナコンダ3 蘭のエキスから不老不死の薬を研究するアマンダ(クリスタル・アレン)は研究所で実験動物として巨大なアナコンダを飼育している。ところが急激な薬の投与で凶暴化したアナコンダは檻を破って脱走。研究の秘密流出を恐れたウェクセル・ホール社は、フリーのハンター(デヴィッド・ハッセルホフ)を雇ってアナコンダを捕獲しようとするのだが…

 シリーズ第3作にしてビデオムービー…とくれば、まったくの別作品をこじつけたものかと思いきや、ちゃんとストーリーはつながっていた。パート2からはじまった不老不死の蘭の花にまつわるエピソードとなっているのだが、ストーリーよりも何よりもアナコンダたちがぐじゃぐちゃと人間を食べまくるスプラッティー描写の方が目につくホラー作品となっている。

 ただしB級が好きな方にはおすすめで、あの「ナイトライダー」のデヴィッド・ハッセルホフが出ていたり、主役のクリスタル・アレンはなかなかの美形だったりと出演者もB級ながらもツボを得た配役となっている。気になるのは、アナコンダの顔の造形が何ともコミックっぽいあたり(黄色い目がウィークポイントかも)かな。

ドン・E・ファンルロイ監督。2008年アメリカ映画。

2010年8月21日 (土)

HANA-BI (1997)

HANA-BI 西(ビートたけし)は刑事だったが、同僚が身代わりになって撃たれたのをきっかけに今は仕事をやめている。彼には不治の病の妻(岸本加世子)がいて、さらに借金取りに追われる毎日。決心のもと銀行強盗を働く西だったが…

 ずいぶん久しぶりに見たたけし映画。ベネチア国際映画祭でグランプリを取りながら見逃していた1本だけど、いざ目にしてみるとその第1作「その男、凶暴につき」とそっくりな主人公。まわりをばしばしとまくし立てる展開。ちょっとクセのあるギャグと、これはどう評価したらいいんだろうと悩んでしまったのが正直なところ。

 ただしひとつだけ心に残ったのは、彼と妻(岸本加世子)の関係。この頃見かけなくなってしまった岸本だけど、この映画を見るといい女優さんだったなぁと思います。それだけにあのラストはどうも納得いかない。花火のように潔いのかもしれないけど、やっぱこういった生き方も主人公のキャラも私は苦手だわ…

北野武監督。1997年日本映画。

2010年8月20日 (金)

メメント (2000)

メメント 記憶が数分間しか持たないレナード(ガイ・ピアース)。実は彼の妻(ジョージャ・フォックス)は何者かによって殺害されてしまい、その時からレナードは記憶障害を起こしていた。しかも独自に犯人を捜す彼のまわりには、担当刑事のテディ(ジョー・パントリアーノ)、ナタリー(キャリー・アン・モス)、バート(マーク・ブーン・Jr)といった怪しい面々がうごめいている…

 記憶が持たない男の犯人捜しを描いたサスペンス。記憶がどんどん変わっていく意外性を観客にも体験させるために、時間を経過をひっくり返すという荒技に出ているのだが、これが意外と成功していて見ていてあれあれという気分にさせられる。でも、全体の流れを追うのはとっても大変で、頭をフル回転させなければいけない上に、このストーリーが面白いかといえば「???」って感じである。

 記憶を身体にきざむってわけで、全身入れ墨になったレナードは確かに映画的にも絵になる。カルトの風格をもった映画ではあると思うが、もう1回見て真相を確かめたいかといえばこれまた「???」である。

クリストファー・ノーラン監督。2000年アメリカ映画。

2010年8月19日 (木)

ワンダフルライフ (1999)

Wonderfullife 月曜日に天国の入り口にある古びた建物に、所長の中村(谷啓)をはじめ、望月(ARATA)、川嶋(寺島進)、杉江(内藤剛志)、しおり(小田エリカ)が集まってきた。彼らの仕事は、22人の死者(伊勢谷友介、吉野紗香、由利徹、白川和子、他)から聞き取りを行い、人生で一番の思い出のビデオを作ること。年寄りから若者まで、死んだ者の思い出は千差万別なのだったが…

 1週間の間に、一生の思い出をひとつだけ選びなさいというある意味究極の人生の精算をテーマにしたドラマ。恐ろしくレトロな建物を前に、映画セットを使ってアナログなセット撮影で思い出をひとつだけ残すというのが何とも面白い設定なんだけど、これを見て懐かしさを感じる人間は限られるんじゃないか、なんていらないことを考えることもしきり。

 結構印象に残ったのは、セスナでの飛行を選んだ男のエピソード。いわゆる大昔の特殊撮影シーンの再現といったところなのだが、綿や煙を雲に見立てたりあれよこれよの撮影が、古き良き時代の映画撮影を思わせて撮影スタッフたちもいい気分だったのではないかと想像される。で、自分が持って行く最良の思い出ってのは何なんだろう。この答えは本音と建て前では、きっと違うだろうなって思わされる映画でありました。

是枝裕和監督。1999年日本映画。

2010年8月18日 (水)

バンコック・デンジャラス (2008)

バンコック・デンジャラス バンコックにやって来た凄腕の殺し屋ジョー(ニコラス・ケイジ)は引退を意識して、今回の4回の殺しを最後の仕事にしようと決意する。ところがアシスタントに雇ったチンピラのコン(シャクリット・ヤムナーム)には正体を見破られ弟子にすると約束し、薬局で知り合ったフォン(チャーリー・ヤン)という女性に心をひかれたことから運命が狂い始める…

 ザ・パン・ブラザーズのタイ時代の映画「レイン」のセルフリメイク作品。しかし雰囲気は、何やらスティーヴン・セガールが東欧で撮った作品のように荒削りで何とも寒々しい雰囲気。4つの掟を持つストイックな殺し屋…のはずなのに、女に惚れるわ運びやに同情するわで素人目で見てもしくじるな…と思ったら案の定。しかも過去にひどいことを繰り返してきた主人公だけに、感情移入するにもちょっとね…と感じで何の余韻もなく映画は終わってしまった。

 聡明そうに見えるヤンという女性なんだけど、なんでこんな男に惚れてしまったんだろうか。それがニコラス・ケイジのご面相だったからといっても、ちょっと説得力に欠けるぞ。制作にも名を連ねるニコラス・ケイジだけど、セガールと同じ道を歩まぬように願う(笑)。

オキサイド・パン、ダニー・パン監督。2008年アメリカ映画。

2010年8月11日 (水)

天使と悪魔 (2009)

天使と悪魔 欧州原子核研究機構(セルン)から、生成された反物質が強奪される事件が発生する。宗教象徴学者のロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス)は、殺害された科学者の胸にアンビグラムの紋章が焼き印されていたことから、事件の捜査に協力を求められる。一報、ローマ法王死去のためバチカンでは新法王を決めるコンクラーベが行われていたが、候補者の4人が拉致される。秘密結社イルミナティの仕業としたラングドンは、研究所のヴィットリア(アイェレット・ゾラー)と共に事件を追うのだったが。

 ダン・ブラウン原作で、ヒット作「ダヴィンチ・コード」の続編(原作では前編らしい)とのことだが、ヴァチカンを中心にしたアクション編で頑張ってるにもかかわらず何やらスケール感はダヴィンチには至らない。たぶん、謎の部分が我々になじみのない部分だからなんだと思う。イルミナティやコンクラーベと言われても、ストーリーは破綻なくすすんで行くにもかかわらず何か乗り切れない感じ。

 だいたい反物質という設定からして、神がかりである。それを磁石でビンの中に浮かしておくなんて、核兵器が電磁石で浮いているのと同じようなめちゃめちゃ恐ろしい状態なのではないだろうか。

ロン・ハワード監督。2009年アメリカ映画。

2010年8月10日 (火)

グラン・トリノ (2008)

グラン・トリノ デトロイトで隠居暮らしをするコワルスキー(クリント・イーストウッド)は妻に先立たれ、その頑固な性格ゆえに息子たちともうまくいっていない。ところが隣に住むのアジア系の少年タオ(ビー・ヴァン)と姉スー(アーニー・ハー)を不良たちから救ったことから、家に招かれる。迷惑がりながらもタオを気にかけるコワルスキーだったのだが…

 私の中で常に賛否両論が渦巻くイーストウッドの近作。俳優業はこれでおしまいを宣言しているそうだが、なるほど人生の締めくくりを感じさせる作品。イーストウッドじいさんの命の扱いには、例えば「ミリオンダラー・ベイビー」では激しい拒否反応を感じてしまったのだが、この作品はどうだろう。否定しながらも感動している自分がいるのが空恐ろしい怪作である。

 この作品で胸を打つのは、やはり人生に対する悔いでしょう。朝鮮戦争での行いをずっと悔いつづけて、いこじな老人になってしまったコワルスキー。やっと見つけた心を開くことができる相手ってのが自分の子供たちではなく隣の男の子だったってのもありがちな話。しかし彼は男の子のために自分の人生の決着まで付けちゃうわけですね。

 感動はするし、復讐の負の連鎖も終わりそうだけど考えたらこのタオって男の子はどう育つんだろう。グラン・トリノって名車は重い十字架としてずっと乗っていくんじゃないか…そんな気分にさせられるラストシーンではありました。

クリント・イーストウッド監督。2008年アメリカ映画。

2010年8月 7日 (土)

オーストラリア (2008)

オーストラリア 1940年代、夫を訪ねてイギリスからオーストラリアの牧場にやってきたサラ・アシュレイ(ニコール・キッドマン)だったが、粗野な使用人ドローヴァー(ヒュー・ジャックマン)にいいようにあしらわれた上に、夫の突然の死を知る。屋敷の権利を守るために、ドローヴァーに加えアボリジニの少年ナラ(ブランドン・ウォルターズ)たちと牛追いの旅に出ることになったのだったが…

 戦前・戦中のオーストラリアを舞台にした大河ドラマ。牛追いのエピソードだけで1本の映画が作れそうなところだが、その後に悪徳商人たちとの食肉の競売やら、日本軍が攻めて来たりとか、いろんなエピソードがこれでもかと積み重ねられる。散漫といえば散漫なのかもしれないんだけど、実は個人的にこういうごった煮たたみかけ映画って映画を見たって気分になって好きなんですね。満足満足。

 粗野なオーストラリアにほうりこまれたニコール・キッドマンがなかなかコミカルで面白いです。彼女、トム・クルーズと別れた頃は綺麗になったと思ったものだけど、この映画では完全な汚れ役でお世辞にも綺麗ではない。でもそこが味があっていいんでしょう。競演のヒュー・ジャックマンもオーストラリア出身だとは、この映画を見て調べて初めて知りました。

 オーストラリアといえば観光地、リゾート地というイメージが強いんだけど、本当のオーストラリアを見た気分にさせられる映画。アボリジニの男の子の目線で語られるんだけど、彼が可愛かったな。

バズ・ラーマン監督。2008年オーストラリア映画。

2010年8月 6日 (金)

ザ・セル2 (2008)

ザ・セル2 猟奇殺人犯に監禁されながらも奇跡の生還を遂げたマヤ(テッシー・サンティアゴ)。それから彼女は、人の意識の中に入り込む能力を得て、ハリス捜査官(フランク・ホエーリー)と共に事件の犯人を追うのだったが…

 あの「ザ・セル」の続編。「ザ・セル」は牛の輪切りしか記憶がない(笑)んだけど、どうもこれはタイトルだけいただいたまったくの別ストーリーのようだ。主人公マヤの特殊能力は自然についたもののようだし、今回は科学的な背景がまったくない。サイコ犯を特殊能力を使って追い詰めていく、という部分にスポットを当てた物語となっている。「Xファイル」の映画版にも似たようなストーリーがあったなぁ。

 冷酷なシーンは、映画がスケールダウンしながらも相変わらず。ただし薄型モニターの部屋(?)は何とも意味不明で、意識化における記憶ってのはあんなふうに格納されてるっていう裏付けでもあるのかな?

ティム・イアコファーノ監督。2008年アメリカ映画。

2010年8月 5日 (木)

ウォッチメン (2009)

ウォッチメン 80年代のアメリカ、「コメディアン」と呼ばれたヒーローのエドワード・ブレイク(ジェフリー・ディーン・モーガン)が何者かに殺される。事件をかぎつけたロールシャッハ(ジャッキー・アール・ヘイリー)は、かつて「ウォッチメン」と呼ばれた引退したヒーローたち(マリン・アッカーマン、ビリー・クラダップ、マシュー・グード他)を呼び集めるのだったが…

 デイヴ・ギボンズのグラフィックノベルを映画化。かなりダークな内容は完全な大人向けで、しかも果てしなく暗い。それもそのはず、背景にはニクソン政権と日ソ冷戦である。

 やっぱ強烈にキャラが立ったドクター・マンハッタンがひとりで突っ走ってしまったという感じ。火星に別荘を持つあたりまではかろうじて許せるとしても、外宇宙にぶっとんでいってしまうってのは何なんだろう。もはやコワイものなし?

ザック・スナイダー監督。2009年アメリカ映画。

2010年8月 3日 (火)

路上のソリスト (2009)

路上のソリスト LAタイムズの記者のスティーヴ・ロペス(ロバート・ダウニー・Jr.)は、浮浪者が見事にバイオリンをかなでるのを目撃する。彼の名前はナサニエル・エアーズ(ジェイミー・フォックス)といい、かつてはジュリアード音楽院へ通っていたという。好奇心がむくむくとわき上がったロペスは、彼のコラムを連載するようになるのだったが…

 実話の映画化、というわけで、ロペスもエアーズも実在するということだ。エアーズは天才音楽家と言われているのだが統合失調症を患っており、普通の生活ができない。そんな彼の殻を、ロペスが徐々に解きほぐしていく様子が淡々と語られる映画である。

 しかし…殻が固すぎるのか個人的には共感も理解も、あるいは感動も得られないうちに映画は終わってしまった。彼を理解する手がかりがないまま、映画はするすると終わってしまったという感じである。波長が合わなかったというところか。せめて、演奏シーンをもっともっとたくさん用意してほしかったかな、とも思う。

 ナサニエルが注目されたのは天才音楽家だったからだけど、彼が普通の人だったら…普通の浮浪者ってことで、誰も注目しなかったんだろうな。

ジョー・ライト監督。2009年アメリカ映画。

2010年8月 1日 (日)

ベッドタイム・ストーリー (2008)

Vwbs1073 小さなホテルに育ちながら、大会社に乗っ取られて今はそのホテルの清掃係になっているスキーター(アダム・サンドラー)。ある日、小学校の校長で潔癖症の姉ウェンディ(コートニー・コックス)の子供たちパトリック(ジョナサン・モーガン・ハイト)とボビー(ローラ・アン・ケスリング)を預かることになる。なかなか寝ようとしない2人に、奇想天外な作り話(ベッドタイム・ストーリー)を聞かせるスキーターだったが、なんと話は翌日には現実になっていて…

 作り話が本当になってしまうという、嘘みたいな話。でも主人公も子供たちも無邪気で欲がなく、話はホテルの経営権に関するプレゼンと、ホテルを相続予定のケンドル(ガイ・ピアース)との一騎打ちに流れていく。何とも釈然としない展開なんだけど、話は観客(私だけ?)を置き去りにしてとんとことんとこ進んでいってしまったという感じ。

 アダム・サンドラーのコメディで、製作はディズニー。当然、絵に描いたようなハッピーエンドに終わるのはお約束だけど、久々に意味不明なコメディを見た感じ。新ホテルのプレゼンがサプライズもなく、どっちもどっちだったのが最大の敗因かも。

アダム・シャンクマン監督。2008年アメリカ映画。

2010年7月31日 (土)

海外特派員 (1940)

海外特派員 1940年、世界大戦の行方を決めるヨーロッパの動向の取材のために、クビになりかけの記者ジョーンズ(ジョエル・マクリー)が抜擢され派遣された。ところが交渉の鍵をにぎるオランダの要人ヴァン・メア(アルバート・バッサーマン)がジョーンズの目前で暗殺されてしまう。キャロル(ラレイン・デイ)と共に犯人を追うジョーンズだったが…

 階段での暗殺シーン、風車での追跡シーン、飛行機の墜落などなど、当時としてはかなりのジェットコースタームービーではなかったかと想像されるヒッチコックの古典映画。カメラで撮影しようとして暗殺するシーンは、カメラに銃が仕込んであるのかと思ったら単にカメラの横に銃を構えているだけだった。でもカメラの仕込み銃だったような印象だけが残るのが不思議。このシーンに至るまでは実にゆったりとした展開なのだが、ここから物語はころころと転がりはじめる。

 また、シチュエーションからして主人公が犯人と疑われ、警察に追われながら犯人を追うという「逃亡者」タイプの展開かと思ったらそれも違った。逃げながら追うというのもヒッチコックの定番かと思ってたのだが、それもすっかり外されたのが逆に面白かった。

 第2次大戦前の微妙な時期に作られた映画だけど、ぴりぴりとした時代背景を見事にフィルムに写し取った傑作だと思う。個人的には同年に撮られた「レベッカ」の方が好みなんだけど、こちらの方がヒッチコックらしい映画だと言えるでしょう。

アルフレッド・ヒッチコック監督。1940年アメリカ映画。

2010年7月29日 (木)

子猫物語 (1986)

子猫物語 子猫のチャトランは川に流されて、母猫と離ればなれになってしまう。友人の犬のプー助と共に旅を続け熊と戦ったりいろいろあったのだったが、やがて一匹の白猫と仲良くなって…

 結構ブームになったと記憶する、ムツゴロウ先生監督の動物映画。まったくノーマークで無視していた映画なんだけど、今回眼にして、ノーマークでも別に問題なかったと確認(笑)。まぁ猫が好きな人ならありかな、と思える内容だし、ぼーっと見ているだけには緑もたっぷりで癒し系でいい。小泉今日子の詩の朗読が入っているのもいい。坂本龍一が音楽を、市川崑が協力監督を務めているのが、ソツなくまとまっている勝因かな。

畑正憲監督。1986年日本映画。

2010年7月26日 (月)

アンナと王様 (1999)

アンナと王様 イギリスからシャムのモンクット王(チョウ・ユンファ)の子供の家庭教師として雇われて来たアンナ(ジョディ・フォスター)。一夫多妻制からその妻と子供の数に驚き、また東洋文化になじめないアンナは、持ち前の気の強さで自分の主張を押し通すのだったが…

 アンナ・レオノーウェンズの原作を映画化。というよりも、「王様と私」の再映画化といった方が往年の映画ファンだったらぴんとくるかも。前作のようにミュージカル仕立てではなく、ちょっと軽めの実録ものといった感じで、後半はクーデターがからんだアクションシーンへと展開していく。テレビムービーのような軽さが鼻につかなくもないが、さすがに2大スターで固めてあるだけに見るべきところは多い。

 言うならば異文化の衝突を描いた映画なんだけど、チョウ・ユンファがアジアを代表して一歩も引いてないところがかっこいい。お互いに、譲るべきところは譲る、というのがこれまたいいんだな。一夫多妻制がハードルになって、この2人を無理矢理くっつけることができなかった部分がちょっと不完全燃焼って感じがしなくもありませんが。

アンディ・テナント監督。1999年アメリカ映画。

2010年7月25日 (日)

ワルキューレ (2008)

ワルキューレ 第2次世界大戦のアフリカ戦線で、瀕死の重傷を負ったドイツ軍大佐のシュタウフェンベルク(トム・クルーズ)。ヒトラーに反感を持ちレジスタンスに誘われた彼は、クーデター鎮圧のための「ワルキューレ作戦」を逆手にとったヒトラー暗殺計画を思いつく。やがて、「狼の巣」と呼ばれる作戦司令室に爆弾の入ったカバンを持ち込むことに成功したシュタウフェンベルクだったが…

 最後のヒトラー暗殺計画を描いた実録戦記サスペンス。史実に基づくというわけで、当然結末はわかっているわけだけどこれは面白い。特に爆弾が爆発してから、ヒトラーの生死が確認できず右往左往するレジスタンス側の描き方は、彼らと同じくフラストレーションを感じる作りがさすがである。

 ナチス占領下のドイツにおいて、いろんな立場の人間がうごめいている描写も素晴らしい。これって、日本の戦時中を描いた邦画を見ているのと同じ感覚だと思うのだがどうだろう。ヒトラーが妙に生々しく描かれているのも、この映画の特長だろう。

ブライアン・シンガー監督。2008年アメリカ=ドイツ合作。

2010年7月23日 (金)

相棒 劇場版 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン (2008)

相棒 劇場版 警視庁特命係の杉下右京(水谷豊)、亀山薫(寺脇康文)は、連続猟奇殺人事件の捜査を行う。事件の現場にはペンキで記号が書かれており、それはチェスに関係すると右京は割り出す。同じ頃、議員の片山(木村佳乃)の主導による東京シティマラソンが開催されようとしていた…

 人気テレビシリーズの映画化第1弾。こういう映画の例にもれず、テレビ版はまったく知らずに観賞したのだがこれが結構面白かった。かつてのよくできた邦画といった雰囲気で、国会議員やテロや、治安の悪い国の国外退去問題や何やらうじゃ~っとまとめて、映画は終わるのかなと思ったらまた次のネタが、そのまた次のネタがどんどん出てきてしっぽまであんこがぎっしりという感じである。邦画はやっぱりこうでなくっちゃ、という感じである。

 主人公2人のタイプの違いがいい感じに物語を盛り上げている。こりゃ確かにテレビドラマ向けの設定なんだけど、うまく映画にスケールアップしていると感心した。続編も見てみたいかな。

和泉聖治監督。2008年日本映画。

2010年7月19日 (月)

ドラゴンボール EVOLUTION (2009)

ドラゴンボール EVOLUTION ハイスクールに通う悟空(ジャスティン・チャットウィン)は密かに祖父にカンフーの修行を受けているが、その祖父が復活した悪の大王ピッコロ(ジェームズ・マスターズ)に殺される。祖父の最後の言葉で、世界に散らばる7つのドラゴンボールを探す悟空は、祖父の師匠である亀仙人(チョウ・ユンファ)、山賊のヤムチャ(パク・ジュンヒョン)、科学者のブルマ(エミー・ロッサム)と出会い旅をはじめるのだったが…

 言わずと知れた鳥山明の人気コミックのハリウッド実写映画化。この手の企画で成功した試しはないのだが、本作も恐らく長大であろう原作をぎゅっと1時間半に凝縮して消化不良を起こしたであろうと思われる内容である。まぁ幸か不幸か原作もアニメもまったく見たことがないので先入観はゼロで見ることができたんだけど、ノリとしてはスーパーマリオやハワード・ザ・ダックの実写映画化と限りなく近いものがありました。  いっそのこと、チャウ・シンチーあたりの監督で徹底的におちゃらけに作られた方が面白かったかも、と無責任に考えてしまうのであったが、よく見たら彼は製作に別名(スティーヴン・チョウ)で名前を連ねているぞ。

 チョウ・ユンファって久しぶりに見たけど、コメディが似合っていた。チチ役のジェイミー・チャンが魅力的。田村英里子はもうちょっと出番があっても良かったかも。 もったいない。

ジェームズ・ウォン監督。2009年アメリカ映画。

2010年7月17日 (土)

地球が静止する日 (2008)

地球の静止する日 約50年前のインドに謎の球体が登場し、ひとりの男が行方不明になる。そして現代、またしても謎の球体が地球に飛来して、セントラルパークに落下。中から宇宙人クラトウ(キアヌ・リーヴス)が登場し、地球の代表たちに合いたいという。それは無理だと告げる国防長官(キャシー・ベイツ)だったが、クラトウは対策チームのひとりのヘレン(ジェニファー・コネリー)とその子ジェイコブ(ジェイディン・スミス)と姿を消してしまう…

 あのロバート・ワイズ監督のSFの古典「地球が静止する日」のリメイクである。というと、空飛ぶ円盤とひとつ目のロボットが思い浮かぶんだけど、そのあたりは忠実に再現。ただし円盤は「スフィア」を思わせる球体に、背景にあった冷戦は、エコロジーへと置き換えられている。当然、地軸を90度傾けるという制裁(人類以外も死んでしまう)のではなく、何やら虫の大群が襲ってきて人間だけが死んでしまうような設定になっている。

 とまあ、いろいろいじられているのは良いとしても…説明不足に唐突に終わってしまうラストにはどうにも納得できないものがあった。上映時間は1時間40分ぐらいだったと思うのだが、これって後ろの30分ぐらいがカットされてんのじゃないの?

 キアヌ様とジェニファー・コネリーのコンビはいい雰囲気なんだけど、もう1人気を吐いていたのが国防長官のキャシー・ベイツ。国連を目指して宇宙人はやって来たのに、何で各国代表を集めることができないんだろう。大統領に従うと言いながら、大統領が全然画面に出てこないのも何だかなあ…

スコット・デリクソン監督。2008年アメリカ映画。

2010年7月16日 (金)

ボーン・コレクター (1999)

ボーン・コレクター 捜査中に地下で鉄骨の直撃を受けて、全身麻痺になってしまった捜査官のライム(デンゼル・ワシントン)。しかし今はその才能を生かして、サイコ犯の捜査のアドバイザーを担当をしている。婦人警官のアメリア(アンジェリーナ・ジョリー)は、犯行現場の初動捜査の手際の良さから、このライムに見いだされる。ところが挑んだ連続殺人犯は、とんでもない相手であった…

 デンゼル・ワシントンがブレインで、アンジェリーナ・ジョリーが手足になって動くという、いわゆる二人三脚の推理サイコサスペンスである。新人警官+アドバイザー+猟期殺人犯という図式では「羊たちの沈黙」と非常に似ているが、2人の個性が際だっているのと、ストーリーの面白さから映画はまったくの別物になっている。

 しかしあのヒントから犯行現場まで割り出してしまうなんて…プロファイルの技術って凄いと見るべきか、ありえないと切り捨ててしまっちゃっていいのか迷うところ。とどのつまり、面白かったから良しとしようって感じになっちゃったけど。犯人は意外なところにいたけど、その伏線のあたりがまったくわからなかった。これは当方の注意力散漫か頭が悪いせいだろうけど。もう1回見れば気がつくかな。

 デンゼルの世話をするクイーン・ラティファが何か凄く魅力的だった。現在も印象的なバイプレイヤーというポジションにいるけど、彼女はもっとブレイクしてもいいんじゃないかな。

フィリップ・ノイス監督。1999年アメリカ映画。

2010年7月15日 (木)

スモーキング・ハイ (2008)

スモーキング・ハイ 裁判所の召喚状配達の仕事をするデール(セス・ローゲン)はマリファナ中毒。友人で売人のソール(ジェームズ・フランコ)から、「パイナップル・エクスプレス」なる麻薬のサンプルを手に入れて上機嫌だったが、召喚状の配達先である麻薬王テッド(ゲイリー・コール)が婦人警官と共に殺人を犯すところを目撃してしまう…

 マリファナ中毒の2人が主人公で、ラリりながら(?)殺人事件に巻き込まれて、麻薬王を相手に珍道中を繰り広げるという、日本人的な発想で見ると何とも反社会的な作品である。たぶんマリファナに関する感覚が違うんだろうね。さすがにセス・ローゲンとジェームズ・フランコの掛け合いは面白く、所々くすりとさせられたけど、そのマリファナにまつわる部分がしっくりこなくて、一歩引きながら見てしまったという感じである。

 ところで、途中から登場しなくなってしまった高校生の彼女、結局どうなっちゃったんだろう?  この映画で彼女が唯一まともだった気がするのだが。

デヴィッド・ゴードン・グリーン監督。2008年アメリカ映画。

2010年7月13日 (火)

13日の金曜日 (2009)

13日の金曜日 あの惨劇のキャンプ場クリスタル・レイクで若者たちが行方不明になる事件が起こる。妹ホイットニー(アマンダ・リゲッティ)を探してクレイ(ジャレット・バダレッキ)はクリスタルレイクへやって来るのだが、ジェナ(ダニエル・パナベイカー)をはじめとする大学生グループと合流する。そして再び、惨劇がはじまるのだったが…

 マイケル・ベイ制作による有名ホラー映画のリメイクである。なぜ今更ジェイソンを…って気がしなくもないんだけど、今までのシリーズのエッセンスをぎゅっと詰め込んだような内容を新作として見せられたら悪い気はしない。ちょっとデジャ・ヴーを感じるかのような内容ではあるが、13日の金曜日のエッセンスをうまい具合に凝縮した映画となっている。

 しかし、今見るとやっぱりこのシリーズって猥雑なのが何とも言えないです。学生たちが別荘で青春を謳歌しているように見えて、黒人やアジア系の人たちの扱いにちょっと人種差別っぽいものを感じたのは考えすぎかな。結局は十把ひとからげで、ジェイソンくんにばっさばっさとやられてしまうわけなんですが…

マーカス・ニスベル監督。2009年アメリカ映画。

2010年7月12日 (月)

パニッシャー ウォー・ゾーン (2008)

パニッシャー ウォー・ゾーン 家族を殺された過去のために、極悪人を処刑するパニッシャーになったフランク(レイ・スティーヴンソン)。ところが犯罪組織の重要人物ルソッティ(ドミニク・ウェスト)と戦った時に、誤ってFBIの潜入捜査官を殺してしまう。さらに顔を切り刻まれたルソッティは、ジグソウと名前を変えてパニッシャーへの復讐に燃えるのだったが…

 人気(?)アメコミ「パニッシャー」の映画化の続編。バイオレンス描写が半端ではなく、まるでスプラッタ映画を見ているかのような描写の連続である。根っこは必殺シリーズや香港クンフー映画と同じ、復讐&処刑ものであり、難しいことは考えずにぽかりとやってしまうようなストーリーである。頭をすっからかんにして、理屈なしで楽しむというのが正しい鑑賞法(?)だろう。

 防弾チョッキ(だよな?)に身を包んだ無敵のヒーローって設定なんだけど、誤射で善人を殺してしまったというのはこういう復讐ヒーローものでは絶対に論じられそうなテーマであり、正攻法だと思う。しかし、そこにオチをつけてまとめ上げるのは並大抵のことではありません。かくして、消化不良のまま終わってしまった感じなのだが、こういった理屈をこねるのはこの映画ではやっぱり正しい鑑賞法ではないのかもしれません。

レクシー・アレクサンダー監督。2008年アメリカ映画。

2010年7月10日 (土)

コラテラル・ダメージ (2001)

コラテラル・ダメージ 命知らずの活躍をする消防隊長のゴーディ(アーノルド・シュワルツェネッガー)だったが、目の前でテロリストに妻子を爆殺される。国家間の事情により何もできない政府を尻目に、ゴーディは犯人のウルフ(クリフ・カーティス)が潜むコロンビアに単身乗り込んでいく…

 あの9/11事件と重なって公開が延期されたといういわく付きの映画。しかし、敵がテロリストだという以外はいつものシュワルツェネッガー・アクションで特に政治的にメッセージが、とかいうたぐいの作品ではない。ただし軽いノリの映画だけに、妻子を奪われた民間人の復讐劇ってあたりが引っかかる。テロに復讐という解決法は、やっぱり無限の連鎖は断ち切れない。

 見るべきものがあるとすれば、敵役のウルフも妻子を殺された…というエピソードがちょこっと語られるあたりだけど、ストーリーにうまく生かされないまま終わってしまったのが残念である。主人公が消防士という設定も、斧を持って戦ったり、火に強かったりと生かされていたけど、さすがにゲリラに素手で立ち向かうのは苦しいのでは。このあたりはシュワちゃん主演の映画だから許されるマジックかな。

 余談だけど、ジョン・レグイザモとジョン・タトゥーロがちょこっとだけ出てきます。すぐに死んじゃって、すごいもったいない状態だけど。

アンドリュー・デイヴィス監督。2001年アメリカ映画。

2010年7月 8日 (木)

チェ 39歳 別れの手紙 (2008)

チェ 39歳 別れの手紙 キューバ革命を果たし、重要な地位についたチェ・ゲバラ(ベニチオ・デル・トロ)。しかしカストロ首相(デミアン・ビチル)に別れの手紙を残し、新たな紛争地帯であるボリビアへと渡っていく。独裁政権のバリエントス大統領(ヨアキム・デ・アルメイダ)を相手に再びゲリラ戦に挑むゲバラだったが…

 チェ・ゲバラ2部作の後編で、ボリビア編。ただしゲリラ戦の様子や淡々とした語り口は前作を引き継ぐかのようで、たぶん部分部分を見せられたらどちらがどちらかわからなくなるような気がする。BGMのないエンドロールをながめながら、結局ゲバラって何だったんだろうってしばし余韻にひたる。たぶん「ランボー」みたいに、戦場じゃないと生きられない人。いや、彼はランボーみたいなスーパーマンではない。

 やっぱ革命が一段落したキューバに自分の居場所を見つけられず、新たな紛争地帯に乗り込んでいく自分への厳しさがゲバラのゲバラたる所以か。映画だけでは、うまく伝わって来なかった部分ではありますが。

スティーヴン・ソダーバーグ監督。2008年フランス=スペイン合作。

2010年7月 6日 (火)

チェ 28歳の革命 (2008)

チェ 28歳の革命 1950年代の南米。貧しい人々の解放のために、ボートでキューバに上陸するチェ・ゲバラ(ベニチオ・デル・トロ)。カストロ首相(デミアン・ビチル)に肩入れをし、ゲリラを組織してバティスタ政権と様子をたんたんと描いた伝記映画。

 ゲバラの青年時代を描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ」が面白かっただけに期待して見たんだけど、これはいただけません。淡々とゲリラ戦のエピソードを積み重ねていく構成で、ゲバラに関する予備知識がないと何が起こっているのかさっぱりわかりません。裕福な生まれの青年が命をかけて何かを成し遂げようとするわけですから、そのあたりの説得力はスクリーンの中からも伝えてほしかったところ。

 前後編に別れているのだけど、こちらはキューバ編、後半はボリビア編ということらしい。というわけで、ボリビア編に期待することとしよう(笑)。

スティーヴン・ソダーバーグ監督。2008年アメリカ=フランス=スペイン合作。

2010年7月 5日 (月)

デュプリシティ スパイはスパイに嘘をつく (2009)

デュプリシティ 元CIA、今は産業スパイのレイ・コヴァル(クライヴ・オーウェン)は、雇われ先のエクイクロム社で過去につきあいのあった元MI6のクレア(ジュリア・ロバーツ)に再会する。実はエクイクロム社はライバルのB&R社の画期的な新製品の情報を盗もうとしており、2人はこの情報をさらにリークしようと企むのだったが…

 とあらすじを書いていても混乱してきそうな、どうにも大変なストーリーの2重スパイ・3重スパイ物語。この手の話はどっちがどっちについているという概念が希薄なので、感情移入しにくい上にああ、あっちの味方だったんかとか、いろいろとからくりを見せられても感心させられることは薄い。たぶん自分の理解能力の弱さ…だけじゃないと思うんだが。

 それにしても、ジュリア・ロバーツはかつての輝きを失ったような気がするのは何でだ? クライヴ・オーウェンは007ばりにかっこをつけているんだけど、どう見てもから回りしている感じである。だいたい日本語タイトルの「スパイはスパイに嘘をつく」だけど、嘘をつかないスパイなんて成立しないだろうって突っ込みたくなってしまった。

トニー・ギルロイ監督。2009年アメリカ映画。

2010年7月 3日 (土)

ワン・ミス・コール (2008)

ワン・ミス・コール 女子大生のシェリー(ミーガン・グッド)の携帯におかしな電話がかかってきて、その未来の着信時間に彼女は溺死する。不可解に思った彼女の友人のベス(シャニン・ソサモン)だったが、彼女の別の友人レアン(アズーラ・スカイ)にも同様の電話がかかってきて…

 未来の着信時間で自分の断末魔の悲鳴が携帯にかかってきて、その時間に死ぬ…という秋元康原作のホラー「着信あり」のハリウッド版リメイク。日本版は確か続編も含めて3本作られたが、本作はそのエッセンスをぎゅっと1本にまとめた感じで、クリーチャーなんかも登場してよりエンタテイメント性を高めようとしたように思える。しかし、着信=死というホラーな部分が薄まってしまい、正直言ってあまり面白くなかった。

 日本版ではぼやかされてしまった、赤いキャンディの謎が明かされているくらいで(大した謎ではなかったが)、あとはどうだかなって感じ。これはガラパゴス的な進化を遂げた日本の携帯が登場してこそ、楽しめる内容のネタだったんかな。

エリック・ヴァレット監督。2008年アメリカ映画。

2010年7月 1日 (木)

ミラーズ (2008)

ミラーズ 元警官のベン(キーファー・サザーランド)は同僚を誤射したせいで妻エイミー(ポーラ・パットン)や娘とも別居して落ちぶれた生活をしている。再起をかけて、デパートの焼け跡を管理する夜警の仕事を得るのだったが、このデパートでは鏡にまつわる怪現象が起こっていた…

 クラシックギターの名曲、アルベニス作曲のアストゥリアス(オーケストラバージョン)をテーマ曲にはじまるホラー映画…というわけで、個人的にはこのテーマ曲が頭に引っかかって冒頭ストーリーに入り込むまでに気が散ってしまった(笑)。でストーリーなんだけど、鏡の中になにかいるってわけで、のろいがふりかからないように鏡を割ったり塗りつぶしたりの展開。主人公の家って、あまりにも鏡が多すぎだって突っ込みを入れたくなった。こんだけ鏡が多い家だったら、怪奇現象が起こらなくても夜中に子供がコワがるんじゃないかい?

 加えて基本的にスプラッタ・ホラーなので、描写はかなりグロい。嫌いな方は要注意です。一番えげつなかったのは、主人公の妹(エイミー・スマート)がかかわった部分かな。ラストのオチは、結構ひねってて面白かったです。救いようないけど…  なお原作は韓国映画というわけで、またまたアジアンホラーであります。最近あんまり韓国映画見てないんだけど、韓国ホラーは容赦ないってことを思い出した。

アレクサンドル・アジャ監督。2008年アメリカ映画。

2010年6月29日 (火)

ザ・ムーン (2007)

ザ・ムーン アポロ計画の開始から、1969年のアポロ11号の月面着陸、そして最後の月着陸となった17号までの記録映像に当時の飛行士たちの証言を交えて構成したドキュメンタリー。

 人類でわずか12名しかいない、月着陸を経験した飛行士たち。未だに月着陸は再開されていないし、今後もその予定がないってのは、映画「アポロ13号」でもわかるように、その冒険が本当に危険なことだからだろう。そんな中で命がけで月に挑んだ飛行士たちの生の声が聞ける貴重なドキュメンタリーである。

 個人的にもアポロの月着陸ってのは、かろうじて子供時代にテレビで見た世代なのでなんとも懐かしいし、大好きなテーマである。あの時代の映像に再会できるのはとっても嬉しかったし、すっかりおじいちゃんになってしまった飛行士たちにはある種の感慨を感じずにはいられない。映画の枠を越えて、これは貴重な作品だと思う。

 オルドリン飛行士やジム・ラヴェル、エドガー・ミッチェル、ジョン・ヤングなど懐かしい名前と顔がいっぱい。できれば現在のニール・アームストロング船長も見てみたかったかな。

デヴィッド・シントン監督。2007年イギリス映画。

2010年6月27日 (日)

モンタナの風に抱かれて (1998)

モンタナの風に抱かれて 乗馬の事故で足と友人を失った少女グレース(スカーレット・ヨハンソン)と、同じく身体も心も傷ついた愛馬ピルグリム。雑誌編集者の母アニー(クリスティン・スコット・トーマス)と父ロバート(サム・ニール)は、馬と娘をモンタナの伝説のカウボーイのトム・ブッカー(ロバート・レッドフォード)のところへ連れて行く計画をする。電話では断られたアニーだったが、持ち前の強引な性格で、娘と馬をトレーラーに詰め込んでモンタナを目指したのだったが…

 ほのぼのとした癒し系の映画に思えなくもないが、友人と足を失った少女と大けがをして心にも傷を負った愛馬というかなり重たいテーマの映画である。さらに、ちゃきちゃきと仕切るキャリアウーマンのアニーが、モンタナで田舎生活をするうちにトムへのどうしようもない思いをかかえこんでしまうというおまけ付き。この彼女の、寸前のところで思いとどまっている感覚が妙にリアルで時々はっとさせられます。実は私はこういう映画を見ると、彼女の夫(サム・ニール)のような立ち位置の男に思いっきり感情移入してしまうわけなんですが。

 子役時代のスカーレット・ヨハンソンが見られるのが一番の収穫。彼女ってこの歳から、大物俳優を相手に一歩も引かずに頑張ってたんだなあと親目線で見てしまいました。母アニーのカリカリした部分も何だかものすごく身近な感じがして良かったです。子供たちの物語に見せかけて、主役の2人の関係がうまく織り込まれているのが憎い。ロバート・レッドフォードの風貌が若く見えるのがミソかな。

ロバート・レッドフォード監督。1998年アメリカ映画。

2010年6月25日 (金)

ブルグ劇場 (1936)

ブルグ劇場 ウィーンのブルグ劇場。ここの舞台に立つことを夢見る新進俳優のヨゼフ・ライナー(ヴィリー・アイヒベルガー)は、恋人レニ(ホルテンセ・ラキイ)のはからいで社交界に影響力を持つゼーバッハ男爵夫人(オルガ・チェホーワ)のパーティに参加して役を得ることができる。実はレニは有名俳優ミッテラー(ヴェルナー・クラウス)に密かに恋心を抱かれているのだったが…

 戦前のブルグ劇場を舞台にしたメロドラマ。単純な三角関係ものとも言えるんだけど、人情劇の要素を持っている上にストーリーも語り口もわかりやすく、古い映画に抵抗がある方でも安心して見られる映画ではないかと思う。

 年甲斐もなく…なんて言葉もあるけど、孫ほどの歳の若い娘に恋をしてしまうミッテラーが何とも可愛く思えてくるのがポイント。しかも恋に狂うのではなく、ちゃんと引きどころを知っているあたりが見ていてじーんときます。レニを演じるホルテンセ・ラキイは絵画のように綺麗なんだけど、相手役のヴィリー・アイヒベルガーはサイレント時代の俳優によくいたお目々ぱっちりタイプで、ちょっと苦手かも(笑)。何にせよ、オーストリアへ行く機会があったら、ブルグ劇場へ足を運んでみたくなりました。

ヴィリ・フォルスト監督。1937年オーストリア映画。

2010年6月22日 (火)

スター・トレック ネメシス (2002)

スター・トレック ネメシス ライカー副長(ジョナサン・フレイクス)とトロイ(マリナ・サーティス)の結婚のためにベタゾイド星へ向かったエンタープライズ号だったが、途中で緊急信号を受信して調査した惑星でデータ(ブレント・スピナー)そっくりのアンドロイドを回収する。やがてロミュラン帝国で反乱が起こり、一番近くにいたエンタープライズは急行するように指令を受けるのだったが…

 劇場版スタートレック・ジェネレーションズの最終話なのだそうだ。政変ものってのは、このシリーズの中でも意外と退屈なものなので半分あくびをしながら見ていたのだが、中盤からは空中戦を交えた派手なやりとりとなり、ラストまでは一気に楽しませてもらった。エンタープライズ捨て身の攻撃が強烈だったけど、なるほど、最終話を意識していたというのは後から知った。結局は修理されちゃったわけですが。

 意外と思い入れの少ない第2シリーズなんだけど、やっぱトレックは独特の雰囲気というかDNAを持っているようで、かつて見ていた者が違和感なく楽しめるのが凄いと思う。

スチュアート・ベアード監督。2002年アメリカ映画。

2010年6月21日 (月)

ファム・ファタール (2002)

ファム・ファタール カンヌ映画祭の会場に、女優ヴェロニカ(リエ・ラスムッセン)は宝石を散りばめた蛇の衣装でやって来る。ところがトイレで彼女に迫ってきたロール(レベッカ・ローミン・ステイモス)は見事な手腕で宝石を奪った上に、仲間を裏切って会場から姿を消す。それから7年、大使(グレッグ・ヘンリー)の妻となり、名前もリリーに変えたロールはフランスに戻ってきたが、パパラッチ(アントニオ・バンデラス)に写真を撮られてしまい…

 運命の女の顛末を描いた、デ・パルマ作品。こういう雰囲気はやっぱりデ・パルマの真骨頂で、「スネーク・アイズ」なんかと同じくやっぱりもう1回最初から見なければ凡人の頭では埋め込まれた謎は解けないかも、なんて思っていたら映画のストーリー自体が最初に巻き戻されてしまった。完全に手のひらの上でころころっと転がされた気分である。

 それにしても…冒頭のレベッカ・ローミン・ステイモスと、リエ・ラスムッセンのシーンなんて、何ともため息ものである。坂本龍一のボレロみたいな音楽も印象に残ります。

ブライアン・デ・パルマ監督。2002年フランス=アメリカ合作。

2010年6月19日 (土)

ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト (2008)

ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト 2006年にニューヨークのビーコンシアターで行われたローリング・ストーンズ(ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツ、ロン・ウッド)のライブを、あのマーティン・スコセッシ監督がフィルムにおさめたライブドキュメンタリー。冒頭からスコセッシが画面に出まくって、演目を出し渋るミック・ジャガーとのかけあいを執拗に追いかけるのが何とも面白いし、レアな映像ではないかと思う。

 ライブがはじまると、あとはノリにまかせて往年の名曲がえんえんと演奏され、時折古いインタビュー映像などがはさみこまれる構成。ストーンズとは若干時代がずれていて特にファンというわけでもないんだけど、ほとんどの曲に聞き覚えがあるってはやっぱ凄いと思う。しかも還暦を迎えてこのパワーである。

 カメラに関するスコセッシのこだわりか、とにかく画面があっちこっちと切り替わるのは圧巻である。見たい、と思う方向に視線がぴょこぴょこ切り替わるのである。さながら神の視線かも。これはライブではなく録画した映像で見る、ということへの最大のメリットを生かしたと言える世界だと感じた。

マーティン・スコセッシ監督。2008年アメリカ映画。

2010年6月17日 (木)

アイアンマン (2008)

P1_g1517484w_2 軍事企業スターク・インダストリーズの2代目オーナーのトニー(ロバート・ダウニー・Jr)はアフガニスタンでゲリラに拉致され、自らの開発したパワードスーツで命からがら脱出する。これを機会に武器の製造をやめ、自らのパワードスーツでアイアンマンへと変身するのだったが…

 マーベル・コミックの実写映画化。主演にロバート・ダウニー・Jr、秘書でヒロインにグウィネス・パルトロー、他にもジェフ・ブリッジスやテレンス・ハワード、ノークレジットのサミュエル・L・ジャクソンと豪華な面々をそろえたヒーローものなんだけど、いかんせん底の浅さは強烈で派手な飛行シーンを除いてはあまり見るものがないような出来でありました。

 武器産業からの脱却はいいんだけど、それで結局作っているのが「アイアンマン」という武器だというのが何だかなぁ。ロケット万のマスクが何やらなさけないのもご愛敬かも。

ジョン・ファヴロー監督。2008年アメリカ映画。

2010年6月15日 (火)

センター・オブ・ジ・アース (2008)

センター・オブ・ジ・アース 地質学者のトレバー(ブレンダン・フレイザー)は行方不明になった兄のあとを追い、甥のショーン(ジョシュ・ハッチャーソン)と共にアイスランドへ。山岳ガイドのハンナ(アニタ・ブリエム)を雇い、兄のメモに従って地球の中心へつながるという洞窟へ入るのだったが…

 ジュール・ベルヌの「地底探検」を3D映画化。どちらかというと3Dが前面に出たアトラクションのような映画で、地底探検をベースにしながらもあってないようなストーリー。しかしアトラクションだと割り切って見たら楽しめるって内容で、トロッコのジェットコースターはあるわ恐竜は出てくるわ地底湖で巨大な魚類に襲われるわ海底火山は噴火するわでもうはちゃめちゃである。トンデモ科学の設定がもうてんこ盛りだ。

 劇場ではまともな3Dだったんだろうけど、パッケージソフトやスターチャンネルでの放映ではなんと赤青めがねを使った3Dである。さすがにこれを120インチプロジェクターで見ると迫力満点…のはずだったけど、途中で気分が悪くなって数日調子が悪かった(笑)。どうも画面の巨大さよりも、赤青めがねが個人的に合わなかったような気がする。要注意であると共に、まともな3Dでの発売を期待したい。

エリック・ブレヴィグ監督。2008年アメリカ映画。

2010年6月14日 (月)

バガー・ヴァンスの伝説 (2000)

バガー・ヴァンスの伝説 1930年代のジョージア州サヴァンナ。傾いたゴルフ場の再起をかけて、経営者のアデール(シャーリーズ・セロン)は大きな試合を呼び込むことを計画する。ところが地元のプレイヤー代表としてゴルフ場に出入りする少年ハーディが呼んだのは、少年の憧れのヒーローでありアデールのかつての恋人で、戦役から帰ってからはすさんだ生活をしていたジュナ(マット・デイモン)。嫌がる彼を説得したのはキャディの少年と、そして謎の男バガー・ヴァンス(ウィル・スミス)だった…

 スティーヴン・ブレスフィールドの原作をロバート・レッドフォードが映画化。舞台は大恐慌時代のアメリカ、しかも邦題に伝説とつくとくれば、こりゃ否が応でもノスタルジックな世界が繰り広げられるのはお約束です。伝説のゴルフマッチを題材にして、やさぐれたゴルフプレーヤーとか、謎のキャディとか、伝説の生き証人となってしまった少年(今は老人)とかがからみ合って、何ともファンタジックな映画に仕上がっております。

 マット・デイモンが今見ると若いので最初に誰かわからなかった。ウィル・スミスはこういう正体不明の役柄はぴったり。そしてシャーリーズ・セロンは綺麗な女性だなぁとどの映画を見てもため息が出ます。ダイナミックなゴルフマッチの伝説と、それを回想する老人ってストーリーだけで、何やら酔える映画です。

ロバート・レッドフォード監督。2000年アメリカ映画。

2010年6月13日 (日)

チェンジリング (2008)

チェンジリング 1920年代のロサンゼルス。電話会社に勤めるシングルマザーのクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)が家に残した息子が行方不明になる。5ヶ月後、イリノイ州で見つかったという息子と再会するのだったが、彼は見たこともない別人。警察に訴えるもとりあってくれず、彼に手をさしのべてくれたのはブリーグレブ牧師(ジョン・マルコヴィッチ)だけだった…

 実在の失踪事件を、クリント・イーストウッド監督で映画化した話題作。「チェンジリング」といえば70年代のホラー映画が思い出されるんだけど、これはまったく別物。ミステリーだということで輪廻転生の物語かもと思わされたんだけど、それもまったく見当違いで正統派のミステリーでありました。

 日本人の感覚で言うとあり得ない「ロス市警」の怠慢に対する告発がストーリーの軸になっているところがポイントでしょう。安心して住めない町。今更80年以上前に起こった事件を取り上げても、なんて気もしなくはないけど、世界は広いんだからこういった腐敗した警察が今でも残っていないとも限らない、という事を考えると空恐ろしくなってきます。

 ばりばりのキャリアウーマンってことで、アンジェリーナ・ジョリーのキャラクターはぴったり。彼に協力するジョン・マルコビッチも頼れる感じが貫禄たっぷり。それにしても、警察にたてつくと精神病院へ強制入院、退院の条件は警察の責任を一切問わないという書類にサインってのは先進国とは思えない、恐怖をひしひしと感じさせてくれます。

クリント・イーストウッド監督。2008年アメリカ映画。

2010年6月11日 (金)

人生に乾杯! (2007)

人生に乾杯 ハンガリーの老夫婦エミル(エミル・ケレシュ)とへディ(テリ・フェルディ)は年金生活中だが家賃も払えない生活苦。ついに妻の大事なイヤリングを借金のカタに取られたのをきっかけに、エミルは古い拳銃を手に郵便局で強盗を働く。夫婦で強盗となった2人は、夫の愛車チャイカに乗ってあてどもない旅に出るのだったが…

 ひさびさに見る元共産主義国の映画で、ミニシアター系の雰囲気ぷんぷん。それもそのはず、公開はシネスイッチ銀座だったそうだ。しかし老夫婦と警官カップルの行動に絞り込まれたストーリーはテンポ良く進み、なかなか楽しめる一遍に仕上がっている。

 老夫婦の銀行強盗だってことだけど、年金で暮らせないという切実な社会背景もあってなりたくてなったんじゃないという2人の気持ちが切実。強盗しながらも人が良く、しかも死んだ息子のエピソードやら持ち出されたら彼らに感情移入しないわけにはいきません。大金を手にしながらもそれをがっさり使うわけでもなく、海が見たかったと言うだけというのも泣かされます。

 物語は「ボニーとクライド」かと思いきや「テルマ・アンド・ルイーズ」「バニシング・ポイント」の様相を呈してきて…と思ってたら、本当に乾杯したくなるような思わせぶりなラストが待っているのは何とも心憎いです。エミルとテリが何ともいい歳の取り方をしているのもまた憎いです。

ガーボル・ロホニ監督。2007年ハンガリー映画。

2010年6月 8日 (火)

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 (2002)

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 しんちゃん(声:矢島晶子)ちの庭から箱に入った手紙が掘り出される。そこには、戦国時代にいるしんちゃんから両親(ならはしみき、藤原啓治)に迎えに来てほしいという内容が。じつはしんちゃんは、戦国時代にタイムスリップして夢にでたお姫様の廉(小林愛)と、城に使える侍の井尻又兵衛(屋良有作)に仕えていたのだったが…

 最近公開されて話題の「BALLAD 名もなき恋のうた」の原作がこちら。大人も号泣したなんて話題になった作品なんだけど、こりゃ予備知識なしで見た方がよかったなとちょっぴり後悔である。BALLADを先に見たんだけど、驚くほど忠実にリメイクされていることにびっくりした。各エピソードもそのまんまである。それだけに、ストーリーを知った上での観賞はかなり残念としか言いようがない感じである。

 タイトルのクレーアニメとか、エンディングなんかはいかにもテレビアニメって雰囲気なんだけど、中身が意外と大人が見るに耐える内容に作ってあるギャップってのがしっくりこなかったのも残念なところ。リメイクしたってのはそこらあたりの不満を解消しようとしたんだろうね。残念ながら泣けなかったけど、意外とシリアスなクレヨンしんちゃんってことで楽しませていただきました。

原恵一監督。2002年日本映画。

2010年6月 7日 (月)

インスタント沼 (2009)

インスタント沼 編集長をしている雑誌が廃刊になり、家族とも恋人ともうまくいかないOLの沈丁花ハナメ(麻生久美子)は、ふとしたことから自分の母親翠(松坂慶子)の手紙を発見。自分の父親が骨董屋をしている電球(風間杜夫)であることを知る。ダメ男に思えた電球だったが、店に入り浸るガス(加瀬亮)のアドバイスもあり自分も骨董品店を開くことになったのだったが…

 何ともゆる~い感じのコメディで、元気いっぱいの麻生久美子はいい感じなんだけどストーリーは軽いしギャグはすべりまくるしで散々な感じ。どこかで見た雰囲気だと考えてたら、「亀は意外と速く泳ぐ」を思い出した。調べると監督は同じ三木聡である。なるほどなるほど。

 あちらの上野樹里もそうだったけど、この監督って意外と女優さんを使うのがうまいのかもって思わされた。しかも1本ねじがはずれた状態の女性を描かせると絶品である。インスタント沼なんていうからホラー映画か何かかと思ったら全然違った。その外し具合は絶妙なんだけど、やっぱギャグが肌に合わないってのが今回はとっても痛かった。

 龍はともかく、飼ってみたくなったぞ、あの河童。

三木聡監督。2009年日本映画。

2010年6月 5日 (土)

理想の恋人.com (2005)

理想の恋人.com 最近離婚して落ち込み気味のサラ(ダイアン・レイン)だったが、姉のキャロル(エリザベス・パーキンス)と妹のクリスティン(アリ・ヒリス)は勝手に出会い系サイトにサラを登録する。「犬好きの男性」という希望に何人かの申し出があったがどれも一長一短。そんな時にボート職人のジェイク(ジョン・キューザック)が彼女の前に現れる…

 クレア・クックの原作を映画化。最近増えてきた、出会い系サイトを舞台にしたラブコメ。というか主人公の男性が職人さんであるというシチュエーションも似たような映画があったなぁと気になってストーリーを追えなくなった。と思ったら、父親(クリストファー・プラマー)がかなり重要な役割を果たすって映画もどっかで見たぞ。もう頭の中でぐっちゃぐちゃだ。

 それにしても、離婚率の高さを逆手にとってこういう中高年のラブコメってのが最近のハリウッド映画の主流になっているのが面白い。若い人の恋愛って、かえってひねりがきかなくて絵にならないのかな。ダイアン・レインって本当にいろんなスターを相手にラブコメしまくってますね。

ゲイリー・デヴィッド・ゴールドバーグ監督。2005年アメリカ映画。

2010年6月 4日 (金)

ブロウ (2001)

ブロウ 父親の会社が倒産し、貧乏な中で育ったジョージ・ユング(ジョニー・デップ)はマリファナの売買に手を染める。中米からマリファナを仕入れてスチュワーデスのバーバラ(フランカ・ポテンテ)にたのんで密輸、大もうけをするのだったが、摘発されて禁固刑を喰らう。服役中にバーバラが病死するが、懲りないジョージは再び密輸をはじめて…

 実在の麻薬王ジョージ・ユングの半生を描いたドラマ。マリファナの売買という、非社会的な行為を描いているにもかかわらず、ジョージの日常は至って普通なのが印象的。もちろん彼の両親とは疎遠になったりというドラマは描かれるのだが、普通にやさぐれた息子に手を焼いている、といった風情なのである。

 それもこれも、マリファナや薬物(ブロウ)で廃人になったり死んだりといった生々しい部分が映画ではまったく描かれていない部分に起因するのかも。後半に彼の妻としてペネロペ・クルスも登場するんだけど、ジョージの金回りが悪くなったポイ、といったあたりは絵で描いたような冷たい女の象徴である。

 こんな親を持ってしまったら…やっぱ娘が一番かわいそうだよな。

テッド・デミ監督。2001年アメリカ映画。

2010年6月 3日 (木)

アンダーワールド ビギンズ (2009)

アンダーワールド ビギンズ 太古の昔、ビクター(ビル・ナイ)を長老とするヴァンパイア族は狼男族を奴隷として使っていた。ところが狼男族に生まれたルシアン(マイケル・シーン)は知力・体力とも優れていた上に、長老の娘ソーニャ(ローナ・ミトラ)と密かに愛し合ってしまう。

 アンダーワールドシリーズの第3作にして誕生編。すべてのはじまりというわけで、予備知識なく楽しめるかと思ったんだけど、やっぱり後のストーリーにどうつながっていくかは押さえた上で見た方がより楽しめるかもしれない。

 いわゆるゴシック・ホラーのスタイルをとっているだけに、画面が何とも暗いのに若干のストレスを感じてしまった。狼男とヴァンパイヤがいかにしていがみ合ったかというのがテーマなんだけど、そこに悲恋物語をからめるってのはある意味王道なのかもしれませぬ。ケイト・ベッキンセールはラストにちょこっとだけ出てきます。

パトリック・タトポロス監督。2009年アメリカ映画。

2010年6月 1日 (火)

ブラインドネス (2008)

ブラインドネス 車を運転していた日本人男性(伊勢谷友介)が突然視力を失う。医師(マーク・ラファロ)は原因不明だとしたが、失明は伝染し医師や日本人男性の妻(木村佳乃)へとどんどん伝染していき、街はパニックに陥る。なぜか失明しなかった医師の妻(ジュリアン・ムーア)も共に隔離施設へ入れられるのだったが…

 ジョゼ・サラマーゴの小説「白の闇」をフェルナンド・メイレレス監督で映画化。いきなりの失明がどんどん広がって行く様子は最近見た「ハプニング」と同じような展開でショッキングである。確かに人類がすべて失明してしまえば、滅亡するかもしれない。身体の能力が一様に奪われると、確かに種の保存に関しては壊滅的なダメージとなるだろう。

 とスケールの大きな話ではあるのだが、この映画は舞台が小さな収容所というのが何ともリアルで良い。「サイン」などの感想でも書いたが、一個人が見るパニックってのはこういう狭い視点であるってのがリアルである。目が見えなくなっても、欲望にとりつかれた一群がまともな者に危害を加えるというのも、社会の縮図なのかもしれない。その中で唯一目が見える医師の妻の背負った重荷を考えると、すごく説得力を感じてしまうのである。

フェルナンド・メイレレス監督。2008年日本=ブラジル=カナダ合作。

2010年5月28日 (金)

バイオハザード ディジェネレーション (2008)

バイオハザード ディジェネレーション あのラクーンシティーの事故から7年、NGOのクレア・レッドフィールド(声:アンソン・コート)は空港でゾンビが乗客に襲いかかる場面に遭遇。たちまち空港はパニックとなり封鎖される。駆けつけたエージェントのレオン(ポール・メルシエ)は事態の収拾に当たるのだったが…

 バイオハザードの番外編をCGアニメ化。洋画っぽいスタイルをとっているけどれっきとした日本映画で、日本のスタッフが名を連ねる。そう考えると、この「ファイナルファンタジー」を思わせる画面は、洋画が作りたかった日本人がCGという道具を得てせっせと洋画への思いを作り込んでいった日本映画、なんて雰囲気を感じてしまう。まぁ「バイオハザード」ってのは元々が国産のゲームなわけですが。

 ストーリーは結構ややこしい、というか前作とかヴィデオゲームからのつながりがあるのか、よくわからない部分があって大変でした。何やら強い新型ウィルスが登場するんだけど、感染するのが1人だけってのがちょっと納得できないぞ。

神谷誠監督。2008年日本映画。

2010年5月27日 (木)

デイブは宇宙船 (2008)

デイブは宇宙船 ニューヨークに隕石が落下して、少年ジョシュ(オースティン・マイヤーズ)がそれを手に入れる。ところがその後を追って、人間のカタチをした宇宙船(エディ・マーフィ)が自由の女神の麓に墜落する。実は隕石は故郷の惑星を救うために地球の海水を吸い上げる装置だった。装置を追った宇宙船は、やがてジョシュとその母(エリザベス・バンクス)の家を発見するのだったが…

 人間型宇宙船の中に極小宇宙人が住んでいて、なくした隕石を探すという何やら「メン・イン・ブラック」を瞬間芸にしたかのようなアイディア先行型の映画なんだけど…これって意外と笑える。最近ぱっとしないエディ・マーフィ作品の中で、光るものを感じたぞ。そう、ひところの、ジョン・ヒューズとかが量産していたキッズ・コメディっぽいんだけど、笑いが微妙に大人にふってあったりするあたりも良い。

 ストーリーは、侵略にやって来た宇宙人が人間の情にほだされて…というべたべたのものなんだけど、こういう映画はたまに見るとほっとするもんです。母親役のエリザベス・バンクスがとっても魅力的だったのが印象に残る。日本では劇場未公開なのは、わからんでもないけどちょっと納得いかないかも。

ブライアン・ロビンス監督。2008年アメリカ映画。

2010年5月25日 (火)

叫びとささやき (1972)

叫びとささやき 病床に苦しむアングネス(ハリエット・アンデション)には姉カーリン(イングリッド・チューリン)と妹マリア(リヴ・ウルマン)がいる三姉妹の真ん中。古城に住む彼女のところに、姉妹が訪ねてくる。久しぶりにそろった三姉妹だったが…

 ベルイマン監督の、人生を鋭くえぐるかごとくの人間ドラマ。末期ガンの女性を主人公に、姉妹を前にして人生を振り返る内容なんだけど、赤と白で構成された画面の派手さとはうらはらになんともどろどろとした内容と結末にはうならされる。姉妹の出会いを喜びながらも、姉も妹も幸福ではないという部分がじわじわとしみ出てくるストーリー。その暗さ重さに押しつぶされそうになるのは、ベルイマンの映画ならではといったところか。

 それにしても、ベルイマンの映画ってのはどうしてこんなに家族にたいして懐疑的なんだろう。よっぽど家族に恵まれない人だったんだろうかって斜めに見てしまいます。唯一、アングネスの侍女だった健康的なアンナ(カリ・シルバン)の存在にはほっとさせられますが。

イングマール・ベルイマン監督。1972年スウェーデン映画。

2010年5月24日 (月)

フロスト×ニクソン (2008)

フロスト×ニクソン イギリスのバラエティ司会者フロスト(マイケル・シーン)は、自身の起死回生のためにウォーターゲート事件で辞任したニクソン元大統領(フランク・ランジェラ)の単独インタビューをプロデュースする。実在の人物たちを登場人物に、伝説のテレビインタビューの裏側を再現した社会派ドラマ。

 ニクソンってあのニクソン? フロストって誰?ってな具合で見始めたんだけど、なかなか骨太なドラマにぐいぐいと引き込まれて最後まで一気に見てしまった。これは面白い。フロストってのが実在の人物かどうかは後から知ったとして、マイケル・シーンが演じているだけにこの前に見た「クィーン」のブレア首相とかぶって困った。しかしマイケル・シーンって本当に味があるというか、このうさん臭いテレビ司会者が格上のニクソンにまくしたてられてくしゅんとなる様子は相当にリアルである。

 そんな彼が、どうしてこのテレビインタビューを大成功におさめたのか… 映画を見ているだけでは推測の域を出ないって感じなんだけど、ニクソンってシラを切り通すことに疲れてたんだろうな、そんな考えがふと頭によぎりました。政治の世界に戻りたいと言ってはいましたが…

ロン・ハワード監督。2008年アメリカ映画。

2010年5月23日 (日)

Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼 (2007)

Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼 カップルの惨殺死体が発見され、刑事トレーシー(デミ・ムーア)は宿敵「指紋殺人鬼」の復活に捜査をはじめる。実は犯人は精神分裂を起こした真面目な実業家ブルックス(ケヴィン・コスナー、ウィリアム・ハート)であり、家庭では家族思いの良き父親だったのだが…

 ケヴィン・コスナーが精神分裂を起こしたサイコキラーを演じるサスペンス。彼の後ろに、分裂したウィリアム・ハートが常にぶらさがっているという設定はなかなか秀逸で気色悪い。これがナイト・シャマランあたりだと、実は分裂した主人公でした…なんて最後に明かすオチなのかもしれないけど、そこまでヒネた内容ではありません。

 とはいっても、善良な家族がどうなっていくんだろうって思ってたらブルックスくんのDNAがあんなカタチで引き継がれていたなんて…というあたりもこれまたショッキングではあります。2大スター(3大スター?)競演でありながらこじんまりとまとまった小品ですが、予備知識なしで見たら意外と面白いです。

 もったいないのはデミ・ムーアの扱いか。なかなか強そうな女刑事のキャラなのに、思ったよりブルックスの真相に迫らなかったはちょっと拍子抜け。これってやっぱり続編を意識してるのかな?

ブルース・A・エヴァンス監督。2007年アメリカ映画。

2010年5月21日 (金)

BALLAD 名もなき恋のうた (2009)

Gnxd1006 小学生の真一(武井証)は、連日のお姫様の夢を不思議に思う。いじめっ子に立ち向かえずに逃げ帰ったり、普通の暮らしをしている真一だったが、ある日戦国時代にタイムスリップして夢の廉姫(新垣結衣)に出会ってしまう。侍大将の井尻又兵衛(草なぎ剛)に気に入られた真一だったが、やがて国は戦に巻き込まれ…

 名作と言われる「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」の実写映画化…らしい。原作を見てないが、しんちゃんが小学生になった他はかなり原作に忠実らしく、特に真一の両親(筒井道隆、夏川結衣)は妙にアニメに出てるキャラに似てて笑ってしまった。

 しかし映画としてはかなり厳しい出来で、中盤までのストーリーはとにかく、ラストがあまりに唐突でちぐはぐなのが気になった。戦国時代にランクルを持って行くあたりは戦国自衛隊みたいで面白いんだけど、乗ってる家族が命の危険があるはずなのに緊迫感ゼロなのは何なんだろう? このあたりが、この映画にのめりこめない一番の原因だろう。

 とはいっても、草ナギのキャラでずいぶんいい雰囲気になっているし、その主人の中村敦夫や、敵対する大沢たかおも存在感抜群である。デジタル合成で、城や合戦シーンが手軽に再現できてるのもいい。

山崎貴監督。2009年日本映画。

2010年5月19日 (水)

ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない (2009)

ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない ニートで引きこもりのマ男こと大根田真男(小池徹平)は、母の死をきっかけにソフト会社にプログラマーとして就職する。ところがここは、サービス残業は当たり前、横柄なリーダー(品川祐)が仕切るブラック会社だった。奴隷のように働きながら、最初の仕事をクリアしたがゆえに2週間で社長(森本レオ)からリーダーに抜擢されたマ男だったが…

 大手掲示板から生まれたストーリーってことで、「電車男」を思わせる雰囲気の映画。しかしこんだけ掲示板にいろんなことを書き連ねて、同僚に発見されなかったのはかえって不思議だと思ってしまった。

 それにしても、リアルというか大変なストーリーです。ブラック会社ときいて、ひところの「肝臓を売れ」とか言い出したり、悪徳商法がらみの会社かと思いきや、やってることは至ってまともなシステム開発。ただただリーダーの資質のなさがゆえに、ブラック会社に成り下がっているという感じ。まあシステムの下請けといえばかなりきつい仕事だというのは変わらないにしても、この映画の場合はリーダーさえ改心してしまえば何とななるっていうあたりに救いを感じます。

 派遣で途中から入ってくる亜矢子(マイコ)とか、いい人キャラの藤田(田辺誠一)とか、ブラック企業でうごめく社員たちの人間模様は面白い。藤田を前に、地獄に仏でほっとするマ男に「わかる、わかる。」ってところです。景気が悪い時だけに、他人ごととして笑い飛ばして見ることができないのが辛い映画です。

佐藤祐市監督。2009年日本映画。

2010年5月15日 (土)

野いちご (1957)

野いちご 医学博士のイサク(ヴィクトル・シェストレム)は名誉博士の受賞式典のためにルンドへ行くことになるが、持ち前のワンマンさで自動車を運転していくことを主張する。途中で立ち寄った旧宅で、かつての婚約者サラ(ビビ・アンデショーン)の夢を見る。さらに旅を続けると、ヒッチハイクの3人組を拾うのだが、そのひとりサラは婚約者とそっくりだった…

 久しぶりに見たベルイマン作品で、最高傑作との評判も高い映画。本作はベルイマンっぽいカンカンした本音のぶつかり合いではなく、老人がまどろみながら自分の人生をふり返るというある意味枯れた映画である。別れてしまった恋人を思い出し、あのときこうだったらと思い巡らすってのは普遍的なテーマかもしれませんが、視点が老人になると、世俗から離れて冷静な目でいろんなことが考えられるのかと想像させられます。

 とまあこの映画の哲学的な部分を理解するのは私には年齢が足りない(笑)…と思ったりしたわけですけど、ヒッチハイクの3人組の明るさ天真爛漫さ、そしてイサクとの交流はなかなか心地よく描かれていて、見ながらまどろみたくなりました。世俗を離れて好きなことを…ってのは、ある意味不幸なことなのかもと思わされます。

イングマール・ベルイマン監督。1957年スウェーデン映画。

2010年5月 2日 (日)

アイガー・サンクション (1975)

アイガー・サンクション 大学で美術を教えるジョナサン・ヘムロックは、実は政府に雇われた元殺し屋。そんな彼のところに、元上司のドラゴン(セイヤー・デイヴィッド)より呼び出しが入り、敵のエージェントを2名抹殺してほしいという。1名は難なく成功するのだが、もう1名は正体不明でしかもアイガー北壁を登る国際登山隊のメンバーだという。かくして、元同僚のベン(ジョージ・ケネディ)の指導のもと、アイガー登山の準備を整えるジョナサンだったが…

 トレヴェニアンの原作を、イーストウッド自身がメガホンをとって映画化。公開されたのは私が映画を見始めたころと重なるので印象深いのだが、実際に見たのは数年後のテレビ放映の時だった。覚えているのは異様な登山の緊張感と、クライマックスの意外な犯人とザイルにぶらんとぶらさがったイーストウッドのみ。今回改めて見直してみたんだけど、当時のアクション映画の雰囲気をぴりぴりと伝えてくれる、なかなか渋い一遍であります。

 ベルモンドの「恐怖に襲われた街」なんかも同時代だったと思いますが、アクションスターが身体をはって…というのがかっこいいです。ロッククライミングのシーンをこれでもかと見せつけられたあとで、あのあっけない幕切れ。犯人との折り合いの付け方。渋い、渋すぎます。

 ジェマイマことヴォネッタ・マギーとのからみとか、冒頭の女子大生とのエピソードとか、適度にエッチなエピソードを織り交ぜながらってのもスパイスがきいていて面白かったです。上司のドラゴンというキャラクターも結構キテますね。テレビ放映では、こういったあたりはカットされてたんかな?

クリント・イーストウッド監督。1975年アメリカ映画。

2010年5月 1日 (土)

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (2008)

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 1918年のニューオーリンズに、老人の風貌をした赤ん坊が生まれる。母親は出産と共に亡くなり、父は養護施設に赤ん坊を捨てるのだが、ベンジャミンと名付けられた赤ん坊(ブラッド・ピット)はクイニー(タラジ・P・ヘンソン)に育てられるが、成長と共に若返っていく。やがて彼は施設入居者の孫娘デイジー(ケイト・ブランシェット)に出会い心を奪われるのだったが…

 F・スコット・フィッツジェラルドの短編小説をデヴィッド・フィンチャー監督で映画化。老人として生まれ、成長と共に若返っていくベンジャミン・バトンのまさしく数奇な人生を描いたドラマ。面白そうなストーリーながらも、フィンチャー監督ってことで一抹の不安があったんだけど、普通の大河ドラマとして楽しめる作りとなっている。しかし欲を言えば、ウディ・アレンあたりが得意とするケレン味たっぷりの、さもありなんといった演出だった方がより好みかなってところ。

 逆行していく人生を、「なぜ」と医者にかけこんだり、科学の力で阻止しようとしないあたりはこの時代にしてはある意味不自然なんだけど、映画のテーマから考えるとこれはこれでいいんでしょう。それにしてもベンジャミンの人生が、なんとも恵まれているのにはちょっぴりうらやましかった。母がわりのクイニーとの出会いからはじまって、タグボートの船長(ジャレッド・ハリス)とか、彼を捨てたけど結局帰ってくる父(ジェイソン・フレミング)。そして思わずぞくぞくしたのはデイジーとの出会い。この幼少期デイジー(エル・ファニング)が、ケイト・ブランシェットのパートよりも輝いて見えるのは何だろう。彼女には「シベールの日曜日」のパトリシア・ゴッジを見た時の衝撃を思い出してしまったぞ。というわけで調べてみたら、エル・ファニングはダコタ・ファニングの妹なのだそうだ。なるほど。

 ケイト・ブランシェットは好きな女優さんなんだけど、本作では思ったほどは輝いてなかったのが残念である。ブラピは半分ぐらいはブラピの風貌をしてなかったのがもったいない。いずれにせよ、まわりの人と一緒に歳をとっていけるってことは幸せなことだってのがわかった。当たり前だけど。

デヴィッド・フィンチャー監督。2008年アメリカ映画。

2010年4月27日 (火)

7つの贈り物 (2008)

7つの贈り物 税務署の職員であるベン・トーマス(ウィル・スミス)は、税金滞納者の調査としてエミリー(ロザリオ・ドーソン)、エズラ(ウディ・ハレルソン)をはじめとする7人に近づく。実は彼は家族を亡くした過去を引きずっているようだったが…

 ウィル・スミス、ガブリエレ・ムッチーノという「幸せのちから」コンビによるヒューマンドラマ。予備知識なく見ると、本当にどっちへ転んでいくかわからないストーリーが楽しめるのだが、ほとんど前2/3ぐらいまで謎が謎なのでちょっとしたフラストレーションがたまるかも。ひょっとしてこの主人公、死神かもしれないなと個人的には思ったんだけど、それはしっかり外れ。まったくもって意外な結末が待っておりました。

 実は正直言って、あまり好きなタイプのストーリーではないかも。この対象になった7人に自分が入ってたら…素直に喜べないんじゃないか、あるいは何かを引きずったまま、余生を過ごさなければいけないんじゃない、なんて思ってしまった。まさかクラゲが最後にあんなふうに使われるとは思わなかったぞ。

ガブリエレ・ムッチーノ監督。2008年アメリカ映画。

2010年4月26日 (月)

マジェスティック (1974)

マジェスティック スイカ農場を経営するマジェスティック(チャールズ・ブロンソン)は、メキシコ移民を雇っての収穫の時期に入る。ところが地元のゴロツキのコパス(ボール・コスロ)に収穫を邪魔され刑務所に入れられた上に、殺し屋のレンダ(アル・レッティエリ)とは険悪な仲になる…

 70年代のアクション映画の1本で、今で言うところのセガールやヴァン・ダム主演で量産されているものに近いんだろうけど…映画の出来が数段上に感じるのは、やっぱりブロンソンの魔力とフライシャー監督の手腕だろう。何せ、主人公はスイカ命の偏執狂(?)で、しかもコワイもの知らずの凄腕とくる。

 実はこの映画、高校生ぐらいの頃にテレビの夕方の放映で見て結構印象に残っていたもの。なにが印象かというと、ラグビーボールのようなスイカの山と、マジェスティックことブロンソンのショットガンを手にしたきびきびとした動き。今見直してみると、なるほどスイカにこだわる主人公の行動を偏執狂と見るかかっこいいと見るかが評価の分かれ目なんだろうけど、私はかっこいいととってしまったぞ(笑)。ただしショットガン片手に屋敷のまわりでくるくると身を隠すブロンソンのシーンは思ったよりもひかえ目でした。

 それにしても、レンダ役のアル・レッティエリってあまりにも濃いいです。ブロンソンは画面では脂っこくなく、さらっとした感じに見えるのが面白い。

リチャード・フライシャー監督。1974年アメリカ映画。

2010年4月24日 (土)

スフィア (1998)

スフィア 太平洋の深海に墜落した宇宙船が発見される。心理学者のノーマン(ダスティン・ホフマン)、化学者のベス(シャロン・ストーン)、数学者のハリー(サミュエル・L・ジャクソン)らはこの謎を解くために招集され、潜行艇で海底に設営された基地へ向かう。宇宙船の中で謎の球体(スフィア)を発見した彼らだったが、ハリケーンのために海底に足止めをくうこととなり…

 マイクル・クライトンの原作をバリー・レヴィンソン監督で映画化。クライトン映画には「コンゴ」などどう評価していいか微妙なものも結構含まれるのだが、この「スフィア」もかなり怪しい映画といったところである。海底を舞台にしているので「アビス」や「ザ・デプス」に似ているけど、スフィアの存在感というか効果は「惑星ソラリス」や「禁断の惑星」っぽく、じゃあ哲学的映画かと思えば最後は密室スリラーとなるというかなり欲張りな内容である。

 それで成功しているかというと難しいところ。密室ものだけに、心理的なスケールの広がりを期待したいところだけど、やっぱり密室に終わってしまったというところ。できれば登場人物も観客もみんな、ラストですっぽ~んと宇宙まで飛んでいくことを期待したんだけどな。

 ダスティン・ホフマンのヘルメット姿は、「アウトブレイク」とすごくかぶった。シャロン・ストーンは、そこにいるだけでも綺麗です。チョイ役でクィーン・ラティファも出てます。

バリー・レヴィンソン監督。1998年アメリカ映画。

2010年4月21日 (水)

インクレディブル・ハルク (2008)

インクレディブル・ハルク 放射線を浴びて、怒りを感じると緑色の巨人「ハルク」に変身する能力を持ったブルース・バナー(エドワード・ノートン)は今は軍の追跡を逃れてブラジルに身を隠している。ところが、ネットの利用からその居場所がばれてしまい、ロス将軍(ウィルアム・ハート)の追跡をかわしてアメリカへ戻る。そこにはかつての恋人のベティ(リヴ・タイラー)が待っていた。

 「超人ハルク」の実写映画化第2弾。しかし登場人物ががらっと入れ替わってしまっているのに何となくストーリーはつながっているという不思議な状態で、こりゃ続けて見たら違和感ばりばりなんじゃないかと心配することしきり。エドワード・ノートンとエリック・バナじゃあまりにもタイプが違いすぎる。実を言うと前作を予習せずに見たおかげで、何でハルクに変身するようになったのかとか、なぜ南米へ逃れているのかとかがわからずにいきなり置いてけぼりを喰ってしまったような印象。ストーリー自体は単純なので、それでも楽しめてしまうのはご愛敬ですが。

 アクションシーンはいろいろ用意してあって楽しめますが、ハイライトはやっぱり中盤のヘリコプターと戦うあたりでしょう。前作と同じく、勧善懲悪というには軍人さんが恋人のパパだったりとひねりをきかせた設定だけに、一筋縄にはいかないのが面白いところです。第2のハルクになろうとする軍人さんだけが、あんまり変な感情移入されないようにさらっと描いてありましたが。

ルイ・レテリエ監督。2008年アメリカ映画。

2010年4月17日 (土)

単騎、千里を走る (2005)

単騎、千里を走る。 息子との確執を持つ高田剛一(高倉健)は、息子の嫁である理恵(寺島しのぶ)から息子が重体である知らせを受ける。会うことを拒否された剛一だったが、理恵から彼が中国の仮面劇「単騎、千里を走る」をビデオにおさめることに執念を持っていたことを知る。誰にも相談せず、単身中国へ乗り込んだ剛一だったが…

 チャン・イーモウ監督が高倉健を主演に迎えて撮った日中合作映画。しかし東映レーベルが付いているだけに、雰囲気は東映風ロードムービーになってしまっているのはどうなんだろう。ヴェンダース風といえばそうなんだけど、行き当たりばったりに撮ったといえなくもない世界はかなりの違和感を感じてしまった。  中国の人たちは暖かくていい感じに撮れている。まさしく「初恋のきた道」そのままの世界である。しかしこの世界にほうりこまれた高倉健はどうなんだろう。これまた個人的には、寡黙で扱いにくい親父そのものである。おかげで現地ガイドの2人は最後までふりまわされっぱなし。それでもぐいぐい押していって最後はまとめ上げてしまうあたりが、一種のカリスマなんだろうなって思う。

 まったくの素人だというヤンヤン(ヤン・ジェンボー)がいいです。スクリーンの前でうんこまでしてしまう根性には脱帽。息子が中井貴一だというのは最後に知ったんだけど、彼って顔を出してたっけ?

チャン・イーモウ、降旗康男監督。2005年中国=日本合作。

2010年4月16日 (金)

ヘアスプレー (2007)

ヘアスプレー 60年代のボルチモア。太めの女子高生トレーシー(ニッキー・ブロンスキー)はダンス番組のコーニー・コリンズ・ショーに夢中。巨体の母エドナ(ジョン・トラヴォルタ)は娘が人前に出ることを反対するのだが、ひょんなことから番組のレギュラーになってしまう。バラエティショップを営む父ウィルバー(クリストファー・ウォーケン)は彼女の味方になってくれるのだが、彼女の人気が面白くない番組の制作部長のベルマ(ミシェル・ファイファー)とその娘アンバー(ブリタニー・スノウ)はことごとく彼女の邪魔をしてくる…

 実はあの「ジョン・ウォーターズ」監督版かと思って見たら、リメイク版だった。リメイクがあった事を知らなかったぞ。しかし内容は豪華絢爛なミュージカルで、超巨漢美女(?)に女装したジョン・トラヴォルタをはじめ、ミシェル・ファイファー、クリストファー・ウォーケン、クイーン・ラティファ、アマンダ・バインズといった面々がゴキゲン・ノリノリで歌います、踊ります。特にトラボルタの女装姿なんて言われないとぜったいわからないキモカワ状態だし、ファイファーが歌い踊るのも「ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」以来見るのは20年ぶりかな。

 ところでこの映画なんだけど、キモカワ少女がブレイクするというストーリーにものすごいデジャーヴ感覚を覚えているんだけど、それが何だったのかまったく思い出せなくて気持ち悪い思いをしている。オリジナルが70年代なだけに、定番化しているストーリーなんかな?

 オリジナル映画をミュージカル化してその映画化というややこしい経路をたどって来ただけに、ウォーターズっぽい不敵な下品さは薄れてしまっているけど、マイノリティに対する愛とか良い部分だけが昇華されて、マイルドながらも元気が出る映画になっているような気がいたしました。

アダム・シャンクマン監督。2007年アメリカ映画。

2010年4月14日 (水)

メゾン・ド・ヒミコ (2005)

メゾン・ド・ヒミコ 塗装会社で働く沙織(柴崎コウ)のところへ、晴彦(オダギリジョー)という男が訪ねてくる。沙織が子供の頃に家を飛び出していったゲイの父・照雄(田中泯)が病気で余命いくばくもないので、その運営するゲイ専門の老人ホーム「メゾン・ド・ヒミコ」に週末だけ働きにきてほしいというのだ。家族を捨てた父が許せない沙織だったが、金に困っているためしぶしぶホームを訪ねるのだったが…

 年老いたゲイやオカマのための老人ホームというテーマのとりかたが斬新。小説ならともかく、これを映像にするとなかなかシュールである。中学生のやんちゃたちがいたずらしにやって来るのもわかる。しかし、彼らの扱いが実にすがすがしい。話せばわかる、いや知り合えばわかる、というところだろうか。

 ホームに集うオカマちゃんたちや、美少年オダギリに目が行ってしまいそうだけど、個人的には常に不機嫌そうなしかめっつらをしていた柴崎コウが妙に可愛く思えて仕方がなかった。彼女の魅力がやっと理解できた感じ。何とか借金を返そうとして、自分を捨てた父親と対峙して、ぎりぎりのところで生きている感じが伝わってくる。これを受ける田中泯も強烈な存在感が印象に残る。

 自分の好きなこと、やりたことをやることへの憧れ、というテーマには共感できます。特に他の人から見たら、理解できないことであるほどその思いは強いですね。

犬童一心監督。2005年日本映画。

2010年4月13日 (火)

バウンティ 愛と反乱の航海 (1984)

バウンティ 愛と反乱の航海 18世紀後半、イギリスの軍艦バウンティ号はブライ船長(アンソニー・ホプキンス)、一等航海士のクリスチャン(メル・ギブソン)、そして乗組員たち(ローレンス・オリヴィエ、エドワード・フォックス、ダニエル・デイ・ルイス、リーアム・ニーソン他)たちを乗せてタヒチを目指す航海に出る。その任務は、奴隷たちに食べさせるパンノキの苗木を持ち帰ること。危険なホーン岬に挑み、あきらめながらも目的地のタヒチに到達するのだったが…

 「船艦バウンティ号の反乱」の3度目の映画化。つい最近、第1作のクラーク・ゲーブル版を見たのだが、ストレートにブライ船長を悪人、クリスチャンを被害者として描いていた第1作に比べてこちらはそれぞれの事情を丹念に描いているあたりが説得力がある。しかしお話に共感できるかとか面白いかとか言われればそこは難しいところで、娯楽映画としえt楽しむにはちょっと盛り上がりに欠ける映画になっちゃってるのは確かである。

 この映画で見る限り、ブライ船長は軍人として当たり前のことをしただけというスタンス。逆にクリスチャンは自身の欲するものに忠実に生きたという感じなのだが、恋人を連れて船に乗るくだりは単に無責任としかとれないのが辛いところ。どちらかというと、王である父の涙の方に同情してしまいました。

 スターチャンネル・クラシックにて観賞。DVD化、ブルーレイ化はされてないようです。

ロジャー・ドナルドソン監督。1984年アメリカ映画。

2010年4月11日 (日)

20世紀少年 (2008)

20世紀少年 第1章 終わりの始まり アポロ宇宙船が月に着陸し、大阪万博が開催された1970年ごろ、小学生のケンヂ(唐沢寿明)、オッチョ(豊川悦司)、ユキジ(常盤貴子)、ヨシツネ(香川照之)、マルオ(石塚英彦)、モンチャン(宇梶剛士)、ケロヨン(宮迫博之)たちは草っぱらに秘密基地を作って遊んでいた。当時ケンヂは「予言の書」というノートを描いており、そこには世界征服をたくらむ謎の組織が記されていた。それから30年、ロック歌手になることをあきらめ、コンビニを経営しているケンヂだったが、よげんの書に描いたのと同じ事件が勃発する。同窓会で再会し仲間のドンキー(吉井克斗)の死を知った彼らは、団結して組織に立ち向かうことを誓ったのだったが…

 浦沢直樹の人気コミックの実写映画化第1弾。ものすごくとりとめのないストーリーなんだけど、話がそれなりに面白くて結構熱中して見てしまった2時間半だった。大阪万博やアポロ宇宙船の月着陸の頃に小学生時代を過ごしたという、まったく同世代である部分がツボを刺激したんだろうね。

 それにしても… 羽田空港爆破ぐらいまでは許せるとしても、よげんの書の最後の方に出てくる巨大ロボットをどう処理するのかと思いきや、本当に巨大ロボットが登場してしまったのには驚いた。シリアスなのかギャグなのかわからんぞと叫びたくなったけど、こういう荒唐無稽なストーリーを大まじめに映画化するってのが流行したのも70年代が走りだったんじゃないかと気がついた。

 謎が謎を呼ぶ展開なんだけど、結局この第1部で片付いたのは彼らのマークがデザインされた理由だけ。しかしちゃんと白黒つけてくれるところを見ると、3部作を全部見たらすべての謎が解けるのかなって気にさせられます。

堤幸彦監督。2008年日本映画。

2010年4月10日 (土)

レッドクリフ Part II 未来への最終決戦 (2009)

レッドクリフ PartII 未来への最終決戦 曹操(チャン・フォンイー)との戦いで処理した劉備(ユウ・ヨン)と孫権(チャン・チェン)の連合軍だったが、依然として水上には2000隻の曹操の水軍が赤壁を狙っていた。ところが疫病の蔓延により、孫権軍は赤壁を去り、孔明(金城武)だけがその場に残る。残った孔明は不足した10万本の矢の調達を、周瑜(トニー・レオン)は水軍を率いる武将の始末を約束するのだったが…

 1年ぶりに観賞の、三国志を映画化した「レッドクリフ」の続編。いきなりぼんぼんとばしたPart Iと違い、こちらは最終決戦まで至るドラマ重視とばかりに、前半3/4ぐらいはドラマをじっくり見せるというスタイル。しかし、圧倒的多数の水軍を相手にどうやって戦うかというタクティカルな要素とか準備作業、さらに周瑜の妻や、敵地に潜入する孫権の妹(コードネームはデブ助?)などドラマがぎしっと詰まっていて長さを感じさせない。

 そんなこんなしているうちに、ついに水軍との戦いがはじまり… 結末は史実のとおりなのだが、曹操の最後の扱いだけがちょっと違和感があったというか、違うんじゃないかと思えたのが難点。しかし全体的には見応えたっぷりで、見終わったあとはかつての邦画大作を見たような充実感がありました。三国志らしくキャラクターが多いにもかかわらずそれぞれがちゃんと生きていて、登場人物がごちゃごちゃにならないあたりは見事。これを機会に、ちょっぴり三国志に興味を持ったかな。

ジョン・ウー監督。2009年アメリカ=中国=日本=台湾=韓国合作。

2010年4月 9日 (金)

集団左遷 (1994)

集団左遷 バブル崩壊により経営が傾いた太陽不動産の社長横山(津川雅彦)は、経営アドバイザーの高杉(江波杏子)の計画に基づき一大人員リストラ計画を持ち上げる。それによると、営業の余剰人員を新規事業部に集めて、とうてい無理なノルマを課すというのだ。かくして、この事業部の営業部長となった篠田(中村敦夫)とその部下たち(柴田恭兵、小坂一也、高島礼子、他)の戦いがはじまった…

 江波戸哲夫の原作を東映が映画化。ちょうどバブルがはじけて日本が不況にあえぎ始めた頃の映画で、その不況は現在もデフレスパイラルになって続いているというわけで…

 16年経った今見ても笑えない、ある意味コワイ映画。  こういう映画を東映が作ると、どうしても任侠もののイメージがつきまどって正当な会社組織に見えないってのが難点かな。実際、社長を演じる津川なんてめちゃ品がないのがご愛敬。こんな会社は絶対勤めたくないって思ってしまうんだけど、生活を守るために勤めなきゃならないって悲哀も感じさせてくれます。

梶間俊一監督。1994年日本映画。

2010年4月 6日 (火)

ボルト (2008)

 サイボーグ犬のボルト(声:ジョン・トラボルタ)と少女ペニー(マイリー・サイラス)は迫り来る敵をばっさばっさとやっつけるスーパーエージェント。ところがそれはテレビドラマの中での話しだが、ボルトはすっかり自分はスーパードッグだと信じ込んでいる。ある日、荷物にまぎれてハリウッドから遠く離れたニューヨークの町中にほうり出されてしまったボルト。前回の撮影のおかげで、ペニーが誘拐されていると信じ込んでいるため、猫のミトンズ(スージー・エスマン)とハムスターのライノ(マーク・ウォルトン)を連れた大陸横断の旅がはじまった…

 ディズニーご本尊(ピクサーではない)によるCGアニメ。毎度ながら声の出演がトラヴォルタをはじめ豪華…なんだけど、吹き替えで見たらわからないか。デジタル作品だけに各国のカスタマイズがされていて、タイトルをはじめ看板やら手紙やら随所に日本語が登場する。それはそれでいいんだけど、海外作品を見ているって雰囲気が楽しめないので個人的にはベケかな。

 ディズニーの動物ものってことで、心温まる可愛い映画を連想していると冒頭5分で裏切られます。そうですね、ハンコックの動物版って感じで車はぶっこわすはヘリはミサイルを発射するは犬は車をぶっとばすわで、圧倒されます。でもそれはテレビの中のお話… これが全部長回しのワンテイクなんて、撮影現場を知ってる人ほどばりばり違和感を感じるでしょうけど、まぁ野暮をいうのはやめましょう。まるで「グレート・スタントマン」のクライマックスのようですが。

 中盤は、ニューヨークにほうり出されたボルトが、猫とハムスターを連れ立って西海岸を目指すというまるで「三匹荒野を行く」みたいな内容。ディズニーならではのわかりきった内容、わかりきったストーリーなんだけど、やっぱツボを押さえたギャグと感動シーンは、ちょっといい気分にしてくれます。

バイロン・ハワード、クリス・ウィリアムズ監督。2008年アメリカ映画。

2010年4月 5日 (月)

かあちゃん (2001)

 天保の飢饉で不景気に苦しむ江戸長屋。ここの泥棒に入っても何もないことにがっかりの勇吉(原田龍二)だったが、酒屋でくだをまく4人組(中村梅雀、春風亭柳昇、コロッケ、江戸家小猫)の無駄話で、おかつ(岸恵子)の家は5人の子供(うじきつよし、飯泉征貴、山崎裕太、紺野紘矢、勝野雅奈恵)が働いていて小金をためていると聞く。というわけでおかつの家に忍び込んだ勇吉だったのだが…

 山本周五郎の原作を市川崑+和田夏十(製作時にすでに故人だが)コンビで映画化。これぞ時代劇…と感じさせてくれる、ものすごーく古いタイプの江戸人情ものなんだけど、これがとっても新鮮に感じて引き込まれるから不思議である。映画の90%を担うのが岸恵子の凛としたキャラクターなんだろうけど、まわりを固める役者さんがどれもこれも職人芸を思わせるすごさ。長屋の4人組が持ち芸を披露しているだけではありません。小沢昭一の大家やら、石倉三郎の泥棒に入られる熊五郎、同心役の宇崎竜童なんて音楽も勤めている。なんか、キャラクターを見ているだけで凄い。

 ほとんど長屋だけが舞台の映画なんだけど、えんえんと続くでっかい屋根の瓦など、案外CGなんじゃないかと思わされてしまう。こういったさりげないところにこだわった感じに、映画のこだわりを感じる。タイトルバックの和田誠のイラスト(DVDのパッケージにもなっている)もいいね。

市川崑監督。2001年日本映画。

2010年4月 3日 (土)

ネゴシエーター (1997)

ネゴシエーター 刑事スコット(エディ・マーフィ)は優秀な交渉人(ネゴシエーター)だが、恋人のロニー(カルメン・イジョゴ)とはうまくいかず、鼻持ちならない元スワットの新人マコール(マイケル・ラバポート)の教育までまかされる。ところがある日、凶悪犯コーダ(マイケル・ウィンコット)に同僚が殺される事件が発生して…

 最近邦画でも話題になっている交渉人をエディ・マーフィが演じるアクション映画。ここではコメディ色はぐっと抑えられているんだけど、ノンストップアクションとして見れば王道を行くなかなか楽しめる内容。期待どおりのエディのマシンガントークに加えて、新人ネゴシエーターのマコールとのかけあい、残忍な凶悪犯コーダとのやり取り、そして恋人ロニーとのからみなどかなり欲張った作りになっている。

 クライマックスの、サンフランシスコの路面電車をめぐるアクションは迫力あります。以前同じことを千葉真一がハリウッド映画に出てやったことがありましたが、スピード感という点では雲泥の差があったような気がするぞ。

トーマス・カーター監督。1997年アメリカ映画。

2010年4月 2日 (金)

クィーン (2006)

クィーン ダイアナ妃の訃報が流れた直後のイギリス。エリザベス女王(ヘレン・ミレン)は対応を憂慮し、ブレア首相(マイケル・シーン)の進言に耳を傾ける。ところが夫のフィリップ殿下(ジェームズ・クロムウェル)は領地での鹿狩りで気分を晴らすだけで、国民はやがて王室へ厳しい目を向け始める…

 あのダイアナ妃の事故から葬儀までの王室内部を描いた内幕ものドラマ。登場する人物がものすごく人間くさくてリアル。日本では絶対に作れない映画だと思うし、まだ記憶も生々しいのにこういった描き方ができてしまうところに、逆にイギリスの懐の深さを感じてしまう。

 それにしても、この映画が真実だと仮定するとエリザベス女王って凄い人ですね。ひとりですべてのしわ寄せを受け止めて対処しちゃったあたりに、すげー共感いたしました。ダイアナ側につく大衆が妙に白々しく見えるのもミソ。この映画では暗にダイアナ批判をしているようにもとれるのですが、この描き方だとダイアナ側にも言い分はある、と深読みをしないと、自分も安易な大衆と同じだって気分になってしまいます。

 ヘレン・ミレンはこの作品でアカデミー主演女優賞をとっちゃったようですが、さすがの貫禄を感じます。ブレアー首相の等身大な感じもいいです。

スティーヴン・フリアーズ監督。2006年イギリス=フランス=イタリア合作。

2010年4月 1日 (木)

弾突 DANTOTSU (2008)

弾突 DANTOTSU 妻子を失い、酒とギャンブルと借金にまみれた元刑事のマット(スティーヴン・セガール)。借金の肩代わりをするからと謎の老人(ランス・ヘンリクセン)にマフィアの暗殺を頼まれるのだったが…

 「弾突」なんて単語あったっけ?と不思議なタイトルがついたセガール印のアクション映画。落ちぶれた元刑事という役で新味を出そうとしてるんだろうけど、セガール様はセガール様でやっぱり同じキャラに見える。しかしストーリーは一連のシリーズの中では面白い展開で、最後まで楽しんで寝ずに見ることができた。

 それにしても…である。借金のカタとはいえ、暗殺の仕事を軽く引き受けてしまうセガール。追い詰められた敵に「まさか本当に殺さないだろうな」「そんなことないよ」ズドンとやってしまって違和感を感じないのはさすがセガール様である。そのくせ後半では「この仕事はつじつまが合ってない」「逃げるのはや~めた」と正義に目覚めて、また何もなかったかのようにバキバキ・ズドンと暴れてしまうあたりは「やっぱりセガール様はどの映画でも変わってないやん」と突っ込みまくってしまった。

 そんなこんな書きながらも、またセガール映画がやって来たら、反射的に見てしまうんだろうな。

ロエル・レイネ監督。2008年アメリカ映画。

2010年3月31日 (水)

空軍大戦略 (1969)

空軍大戦略 1940年のヨーロッパ、フランスを占領した独軍は対岸のイギリスの空爆計画をたてる。これを迎え撃つのは、当時最新設備であったレーダーを備えたイギリス空軍。かくしてスピットファイヤーとメッサーシュミットの空中戦が幕を開けた…

 60年代に作られた戦争映画大作の1本。見所は、かなりリアルに展開する空中戦の数々で、飛行機好きであれば楽しめる内容。しかしメッサーやスピットがぼんぼん爆発するシーンはどうやって撮ったんだろう? 特撮にしてもかなりリアルだし、地上に置いてあるのが爆発するシーンは実物大モデルのように思えるぞ。

 といった空戦シーンのリアルさはともかく、ドラマ部分は意外と平板なのは難点。気がついたらドイツ軍がどんどん飛んできて、どんぱち空中戦を繰り広げるけど妙にイギリス軍機の強さが目立って、気がついたら映画が終わってしまった。そこに画期的な作戦があったわけでもなさそうだし、手動のアナクロな戦略会議室(?)の描写も面白いけど戦略決定に生きていたんだろうかって疑問を持ってしまった。

 そうそう、サー・ローレンス・オリヴィエをはじめ、名脇役のマイケル・ケイン、戦争映画には欠かせないロバート・ショウ、そしてクルト・ユルゲンス、紅一点スザンナ・ヨーク(懐かしい!)がドラマを繰り広げるのですが、こちらも全体的に希薄な感じがするのはガイ・ハミルトン監督の交通整理ができていないせいか?

ガイ・ハミルトン監督。1969年イギリス映画。

2010年3月29日 (月)

アバ・ザ・ムービー (1977)

アバ・ザ・ムービー オーストラリアでジャズ専門のDJであるアシュレイ(ロバート・ヒューズ)は、コンサートツアーでやって来る人絶頂のスウェーデンのポップグループ「ABBA」のインタビューを命じられる。テレコ片手にいそいそと出かけたアシュレイだったが、記者証を忘れた上にコンサート会場へ入るコネもない。やがてコンサートは次々に消化されていくのだったが…

 アバの最盛期に作られたセミドキュメンタリー映画。当時は空気のように流れていた音楽だけに、なんとも懐かしい。しかもライブ映像などを見ていると、当時は「カーペンターズ」なんかと同列の存在だと思っていたアバが、結構セクシーできわどい一面を持ってたりと新たな発見がありました。ラスト近くのエレベーターのシーンなんて、なかなか妖しいぞ。

 ストーリーはあってないようなもの…というよりも、DJのアシュレイくんの段取りの悪さにはいらいらさせられることしきり。これで取材が成功したってのなら、まさに奇跡以外の何者でもないでしょう。この映画の監督が、あの「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」や「ギルバート・グレイプ」で後に大化けするラッセ・ハルストレムだったのは驚きです。

ラッセ・ハルストレム監督。1977年アメリカ=スウェーデン=オーストラリア合作。

2010年3月28日 (日)

アバター (2009)

アバター 22世紀の未来、海兵隊員ながらも負傷で下半身不随となったジェイク(サム・ワーシントン)は、衛星パンドラで行われるアバター計画にスカウトされる。それは、鉱物資源の確保のために、先住民ナヴィと人間をかけあわせた「アバター」と精神をリンクさせて情報を集めようというものだった。グレース博士(シガニー・ウィーヴァー)の協力のもと、アバターとしてパンドラに降り立ったジェイクは、ナヴィの女性ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と知り合う…

 2009年度の米アカデミー作品賞を「ハート・ロッカー」と最後まで争った話題作。映画のために惑星をひとつ作ってしまったというわけで、そのドラマから背景・ビジュアルの作り込みはなかなかのもので3時間近くもある長尺のくせにあんこがぎっしり詰まっているのはさすがである。この時間が短く感じるのではなく、長いけどぎっしりを感じさせてくれるのだ。

 鉱物資源を求めてやって来た人類と、原住民ナヴィの戦いがメインストーリーなんだけど、かつてのアメリカ映画のように先住民を「蛮族」として描いていない点がやっぱり評価できる。巨大な木の存在や、ガイア理論を思わせる衛星パンドラの存在、部族が自分の体ひとつで自分と仲間たちを守っていく感覚など、最近忘れてしまった感覚がここにはぎっしり詰まっている。

 しかし…である。どうしてもしっくりこなかったのは、アバターが遠隔操作される別物であり、どこかにヴィデオゲームをやっているような、自分は安全な場所にいるという感覚が残ってしまうのが難である。これを映画を通して見ているわけだから、パンドラの世界と我々の間には2重の壁があるわけだ。感情移入しやすい物語だけに、このあたりの設定がどうにも残念である。

ジェームズ・キャメロン監督。2009年アメリカ映画。

2010年3月24日 (水)

愛に迷った時 (1995)

愛に迷った時 主婦グレイス(ジュリア・ロバーツ)は娘とドライブ中に夫のエディ(デニス・クエイド)がオフィスの女性とキスしているのを見かける。浮気を認めようとしない夫に怒りが爆発。家を飛び出して姉エマ(キーラ・セジウィック)の家に転がり込むのだったが…

 ジュリア・ロバーツのラブコメ…といった軽い感覚で見始めたのだが、内容は夫の浮気でてんてこ舞いさせられるという笑うに笑えないもの。しかも浮気が発覚してからの彼女のはじけぶりはなかなかのもので、わかるけどもうちょっと抑えたら…とたしなめたくなってしまった。とはいっても彼女の我慢していた獣医になる夢とか、好きだった乗馬にうちこむシーンなんかがたっぷり織り込まれていて、結果としてはいい雰囲気の映画になっているんだけどね。

 姉のエマを演じるキーラ・セジウィックってすごい存在感がある上に、どこかで見た…と30分ぐらいして思い出したのは「フェノミナン」のヒロイン!! あれは好きな役だっただけに、とっても懐かしい思いをさせられました。最近はあんまり映画に出られてないみたいです。ジュリア・ロバーツの両親役が、ロバート・デュバルとジーナ・ローランズだったのも豪華でいいです。特にデュバルのパパとしての存在感も抜群。こんな家族に囲まれてたら、夫は分が悪いです(笑)。

ラッセ・ハルストレム監督。1995年アメリカ映画。

2010年3月23日 (火)

めがね (2007)

めがね 南の島の宿「ハマダ」に、自由な時間を求めてやって来たタエコ(小林聡美)。しかし考えていた自由とはどこかが違う。宿の主のユージ(光石研)に食事をみんなで一緒に食べることをすすめられるし、朝はみんなで不思議なメルシー体操、同宿のサクラ(もたいまさこ)、ハルナ(市川実日子)もタエコのプライベートにずけずけと入り込んで来る。宿を変えることを決意したタエコだったのだが…

 「かもめ食堂」「バーバー吉野」の荻上直子監督最新作。作風はあんまり変わらずに、今回は南の島が舞台である。しかし海がとんでもなく綺麗な以外は、南の島といった雰囲気は希薄である。我々が一般的なイメージで持つリゾートとも違う。そこが作者の狙いなのかもしれないが。

 リゾートといえば世俗を忘れてのんびりすることかもしれないけど、この宿は結構世俗にまみれている。見ず知らずだった他人と気を遣いながら食事しなきゃいけないし、わけわかんないメルシー体操は踊らされる。かき氷はタダだけど、何とはなくの圧力で見返りを求められてたりする。都会の人が求めるリゾートとはほど遠い。

 というか、この映画で描かれるのは一般的な田舎の生活そのもののような気がする。この映画に癒しを感じるってのは、たぶん田舎への志向が強いってことじゃないのかな。最後までわからなかったのは「めがね」というタイトル。登場人物がみんなめがねをかけてるってこと以外に、意味がわからなかったぞ。

 目が覚めて、枕元にもたいまさこが座ってたらこあい…

荻上直子監督。2007年日本映画。

2010年3月21日 (日)

雨月物語 (1953)

雨月物語 戦国時代の近江の国、貧しい陶器職人の源十郎(森雅之)は、妻子(田中絹代、他)を置いて焼き物を売りに行く。そこで知り合った若狭の姫(京マチ子)の屋敷へ入り込み逢瀬を持つようになるのだったが、彼女の正体は死霊だった。同じ頃、源十郎の弟の藤兵衛(小沢栄太郎)も侍になるという野望を持って妻(水戸光子)を捨て町へ出ていたのだったが…

 溝口健二監督の最高傑作と言われている雨月物語を今更ながら観賞。原作はもちろん上田秋成で、短編集の2編を原作にしているだけに2つのストーリーが複雑にからみ合う後生である。ひとつの物語が佳境に入ると、もうひとつの物語に移る編集はちょっといらいらさせられるけどそこは計算の上なんでしょう。

 それにしても…男の野望と挫折って不変のテーマです。唯一違うのは、女性の扱いくらいか。この映画では、女性は男性に働きかけることで自分の夢をかなえようとしている。現代の映画だったら、野望を持って突き進むのは女の方かもしれない。

 この映画の京マチ子はメイクだけのせいではないと思うのだが、なかなか印象に残る。幽玄の世界である。シャキっとした水戸光子、おだやかな田中絹代と女性のキャラクターがはっきり描き分けられているのも印象的だ。

溝口健二監督。1953年日本映画。

2010年3月20日 (土)

終身犯 (1961)

終身犯 殺人を犯し投獄されたロバート・F・ストラウド(バート・ランカスター)は獄中でそりの合わない看守を刺殺して終身刑を言い渡される。ところが独房に舞い込んできたすずめを助けたことにより鳥に興味を持ち、やがて鳥の伝染病の研究を獄中ではじめるのだったが…

 獄中で鳥の権威になってしまった伝説の鳥男ロバート・F・ストラウドの実話を元にした伝記映画。時間をもてあましてしまうであろう独房でのことだけに、没頭できるものがあればありあまる時間を使って権威になってしまえるってのは、わかるわかるって感じ。逆に世俗を離れて独房で好きなことに打ち込んでみたい、なんて思うのは少々甘い考えなのかもしれませんが。

 ところで、気になったのは殺人犯に対する扱い。この映画ではほとんど触れられてなかったけど、殺された者の家族とかに関してはどうなんだろう。犯人の母親も、息子が殺人者になっちゃったという絶望感なんてまるでなし。このあたりが日本人との感覚の違いかな、なんて先日見た日本映画「手紙」を思い出しながら考えてしまいました。「ラストゲーム」でも同様だし、このあたりは国民性の違いって簡単に片付けちゃっていいんだろうか。

ジョン・フランケンハイマー監督。1961年アメリカ映画。

2010年3月19日 (金)

ソウ5 (2008)

ソウ5 5人の男女が目覚めると、密室で首輪をはめられていた。時間内に協力してそれぞれの鍵を取らないと、首を切り落とされるとビデオから流れる。同じ頃、前回のゲームで生き残ったストラム捜査官(スコット・パターソン)は、死んだ殺人鬼ジグソウ(トビン・ベル)の後継者はホフマン刑事(コスタス・マンディロア)ではないかと疑いを持つ…

 もういいかげん見るのをやめたいシリーズなんだけど、やっぱ見続けるのは映画好きとしては義務ではないかと思ってしまう(笑)。困ったもんだ。殺人鬼ジグソウが死んでも続く殺人ゲームはそのままで、見てるだけで痛いのなんのって。気分を滅入らせたい時にはおすすめの映画。こんな場所に閉じ込められて、しかも脱出のために血を流すことを強いられたら心の傷は一生もんだろうと思うと、やっぱり鬱になってしまう。人には絶対に勧めたくない映画です、これは。

 タイトルは「ソウ5」だけど、原題の「SAW V」の方がロゴがとんがっててコワイです。首切りマシーンがVの刃だったり、陥れられる男女が5人だったり、それなりにこだわりがあるようです。ストラム捜査官をめぐるストーリーは既にわけわかんなくなりました。ジグソウの妻ジル(ベッツィ・ラッセル)が受け取る遺品の中身は、結局ストレスをためるだけでした。でもこの謎を次回作を見るまで覚えていられるだろうか。

 やっぱこの手の映画は、ストーリーがシンプルなくせにパズル要素が際だっていた「CUBE」の方が好き(ただし第1作に限る)、と書いても今更か。

デヴィッド・ハックル監督。2008年アメリカ映画。

2010年3月17日 (水)

嵐が丘 (1992)

嵐が丘 通称「嵐が丘」と呼ばれる屋敷の主アーンショーにはヒンドリー(ジェレミー・ノーザム)とキャシー(ジュリエット・ビノシュ)という2人の娘がいたが、捨てられていた子供ヒースクリフ(レイフ・ファインズ)を連れ帰り養子とする。ところがアーンショーの死語、ヒンドリーは仲の悪かったヒースクリフを下男として扱い、ヒースクリフに好意を持っていたキャシーも裕福なエドガー(サイモン・シェパード)と結婚してしまう…

 エミリー・ブロンテの「嵐が丘」を、フランスの代表女優ジュリエット・ビノシュ主演で映画化。「嵐が丘」といえば、高校の頃にかなり苦労して読んだ(笑)のと、後半を切り落としてホラーっぽい結末で終わっていた映画化作品(たぶん70年版だと思うのだが)が印象に強いんだけど、本作は後半も切り離さずに2時間で映画化したのでもんのすごいジェットコースターのような展開となってしまった。この短時間でビノシュが娘と二役を演じてしまうのは、何だかなぁである。というか、ヒースクリフは変わんないわけだから、こりゃ戸惑うだろうし惑わされるだろう。わかるわかるって感じ。

 しかしそれ以前の問題ではあるが、ビノシュってキャシー役に向いてるんだろうか。何かちょっと違うのである。華がないといえば失礼なのかもしれないが、ビノシュの華は違う方向に向いているような気がして、この荒涼たる嵐が丘の中に彼女がいても意外とぱっとしないのである。逆に冷酷に見えて実は繊細なヒースクリフ像は、レイフ・ファインズにぴったりって感じである。坂本龍一の音楽も、大ヒットまではいかないけど印象に残って良かったです。

ピーター・コズミンスキー監督。1992年イギリス映画。

2010年3月15日 (月)

ノーカントリー (2007)

ノーカントリー テキサスの荒野でハンティングを行っていたモス(ジョシュ・ブローリン)は銃撃戦による死体の山と大金に出くわし、思わず金を持ち帰ってしまう。妻カーラ(ケリー・マクドナルド)をかくまい、カタをつけようと出て行くモスだったが追ってきたのは不気味な殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)とカーソン(ウディ・ハレルソン)だった。さらにエド・ベル・トム保安官(トミー・リー・ジョーンズ)も独自の視点から事件を追うのだったが…

 コーマック・マッカーシーの原作をコーエン兄弟が映画化。実は米アカデミー作品賞受賞作ってことを見終わってから知った。最近の作品賞はどうにも理解しがたいものが多いのだが、これもそんな1本なのかもしれない。荒野を舞台にした追跡劇、しかも殺し屋シガーの不気味さってのはありゃしない。これが米アカデミー賞って考えると、何かが違う。こりゃアカデミー賞に関する先入観を、根底から変えなさいって言われてるような気がするのである。

 不気味な殺し屋の映画、ってのが一言で言えばそうなんだけど、それだけじゃすまないのはたぶんベトナム戦争がからんでいるあたりだろう。なぜ今湾岸でもアフガンでもなくベトナム戦争? いややっぱりアメリカ人にとっては心の傷はベトナム戦争なのか。特に逃げるモスに、妻カーラがものすごい信頼を寄せているあたりが心に残る。ベトナムに比べりゃ、やくざの殺し屋の追撃なんて何でもないってことなの? うーむ。

ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン監督。2007年アメリカ映画。

2010年3月13日 (土)

エネミー・ライン3 激戦コロンビア (2008)

エネミー・ライン3 激戦コロンビア 政情不安のコロンビアで、反政府ゲリラFARCの拠点を偵察するという密命を受けたアメリカ軍SEALSのショーン(ジョー・マンガニエロ)たち。パラシュートで落下して目的地までたどりついたのはいいが、目的の建物内では政府とゲリラの和平交渉に続いて、激しい戦闘が行われる。孤立した上に突然の奇襲を行った米軍という汚名を着せられた彼らは、証拠のビデオが入ったメモリーの奪還と脱出を目指して敵地をさまようのだったが…

 「エネミー・ライン」シリーズの第3作だが実はオリジナルビデオらしい。SEALSのメンバーが敵地で孤立する、というプロットだけを踏襲しているけどストーリーはまったく別物で関連性はない。つまりどこから見てもそれなりに楽しめるけど、それなりにってところがミソかも。というかこのタイプの戦争アクションは個人的にちょっと食傷気味で、よっぽど面白いストーリーや見せ場が用意されてないと「何だかなぁ」って感想になってしまうのである。

 それでも本作の見せ場を考えたら、赤外線スコープをはじめとする米軍のハイテク兵器が見られるってところなんだけど、いくらハイテクで守られていてもやっぱり戦闘は戦闘で、死ぬ時はばたばたと殺されてしまうってところが無情です。はめられた汚名を晴らすために追い求めるのが、証拠の動画が入ったフラッシュメモリーだってところが今風といえば今風の設定でしょうか。

ティム・マシスン監督。2008年アメリカ映画。

2010年3月12日 (金)

X-ファイル 真実を求めて (2008)

X-ファイル 真実を求めて FBIの女性捜査官が失踪する事件が発生して、引退して女医になっているスカリー捜査官(ジリアン・アンダーソン)に捜査協力が求められる。実は透視能力を持つという神父ジョー(ビリー・コノリー)が登場して、失踪した捜査官の手がかりがつかめるという。スカリーは同じく引退したモルダー捜査官(デヴィッド・ドゥカヴニー)に助けを求めるのだったが…

 ずいぶん久しぶりに登場のX-ファイル劇場版第2作。テレビ版を見てたわけじゃないんだけど、テーマ曲だけは有名で結構耳に残ってます。前作ではUFOが登場する、トンデモ話としてはなかなかのスケール感を誇っていたんだけど、本作は心理サスペンスが中心で超常現象は添え物的な内容。もっともその方が、大人の寓話というかいい感じに物語が進んでいったと思われます。

 おさえた演出といえども、サイキック神父(しかも性犯罪者)やら、首のすげかえ手術やらトンデモ要素はそれなりに用意されているのが見物。もっとも怪しげな手術ネタはもっと掘り下げて描いてもらっても良かったんじゃないかと思いましたが。

クリス・カーター監督。2008年アメリカ映画。

2010年3月11日 (木)

王になろうとした男 (1975)

王になろうとした男 植民地時代のインド。さらに奥地にある秘境カフィリスタンの伝説の財宝を求めて、ドレイポット(ショーン・コネリー)とカーニハン(マイケル・ケイン)はヒマラヤを越える。苦労の末に未開の地にたどり着いた一行は、ドレイポットの胸にかけられたフリーメイスンのメダルから神と間違えられ、王として迎えられたのだったが…

 ルドヤード・キプリングの原作をジョン・ヒューストンが映画化。ちょうど007のイメージを抜けだそうとカミングアウトしていたショーン・コネリー主演の歴史アクション大作で、長い間見たいなあと思っていた作品。最近は名バイプレイヤーとしていろんな作品に出まくっているマイケル・ケインもまだ若い若い。アクションだけど妙にのんびりとしたテンポで、ゆるーい感じが冒険談にもかかわらずいやし系の雰囲気。苦労もなくドレイポットが王として迎えられるシーンはちょっぴり拍子抜けした。

 しかし…世の中はそんなに甘くないってことでかなり辛口の顛末が用意されていたのはお約束…というか、オープニングからしてそのことを予想させるすべり出しはもっと注目しておくべきだったかも。結局いくら財宝を手に入れても、秘境から持ち出せなければただのガラクタってのは強烈な人生哲学ですね。持ち出せても換金できなければ、やっぱりがらくたってことでしょうか。

ジョン・ヒューストン監督。1975年アメリカ映画。

2010年3月10日 (水)

ワールド・オブ・ライズ (2008)

ワールド・オブ・ライズ CIAの工作員フェリス(レオナルド・ディカプリオ)は中東に身を置いて、重要な情報をCIA本部に送るエージェント。彼の上司のホフマン(ラッセル・クロウ)は本土で家族の相手をしながら、フェリスに指令を流している。ところが保護を求めてきた現地の情報提供者の扱いでフェリスとホフマンに対立が起こり…

 デイヴィッド・イグネイシアスの原作をリドリー・スコット監督で映画化。このところアクション映画の定番となった中東アラブ社会を舞台に、いわゆる自爆テロを相手に戦う工作員を描いた物語である。しかし…登場人物の豪華さとリドリー・スコットってことで期待したんだけど、イマイチ盛り上がりに欠けるこの展開は何なんだろう。おそらく実際の諜報活動ってこんな単調な感じなんだろうけど、映画として2時間見せられるのはちょっと辛いかも。

 この手の映画が出たら必ず比較してしまうのが傑作「エネミー・オブ・アメリカ」なんだけど、監視カメラやら衛星(この映画では無人偵察機)などの使い方は明らかに「エネミー~」の方が面白い。嘘で塗り固めるんだったら、もっとあっと驚く嘘を用意してほしかったかな。ディカプリオは最初こいつがテロリストかなと思ったほどひと皮むけた感じだけど、ただのおっさんになってしまったのがラッセル・クロウ。もっともこれが計算された役作りだというのであれば、「見事」ですが。

リドリー・スコット監督。2008年アメリカ映画。

2010年3月 9日 (火)

北京のふたり (1997)

北京のふたり 国際メディア企業に勤めるジャック・ムーア(リチャード・ギア)は、自社の放映権を中国で取得する直前だったが、目覚めると一夜を共にした女性がホテルで死んでいた。無罪を主張するも逮捕され、中国人の法廷弁護人であるシェン・ユーリン(バイ・リン)がつけられるのだったが…

 現代の中国を舞台にした法廷もの。異国で裁かれる恐怖ってのは「ミッドナイト・エクスプレス」の頃から全然変わってないってわけで、しかも舞台が中国だけにあってもおかしくないって気分にさせられるのが何とも言えない。北京のゲリラロケとカリフォルニアでのセットで撮影された映画ってことだが、なかなか見事な仕上がりで最後まで手に汗握って見てしまった。リチャード・ギアはともかく、弁護士を演じたバイ・リンのきりっとした感じがいいです。かなりの拾い者といった映画でした。

 難を言えば、中盤の脱走と町中のアクションシーンは娯楽映画として無理矢理入れたような感じで無用だったかも。中国の裁判シーンは100%うのみにはできませんが、どこまで現実なんだろうってことで一見の価値ありです。まず罪を認めること、という裁判手順はコワイです。

ジョン・アヴネット監督。1997年アメリカ映画。

2010年3月 6日 (土)

ラストゲーム (1998)

ラストゲーム バスケットボールの天才高校生プレイヤーのジーザス(レイ・アレン)は、強烈なスカウト合戦の中でどの大学へ入るか悩んでいた。そこへ妻を殺して服役中の父シェイク(デンゼル・ワシントン)が現れる。実は彼を地元大学へ入学するように説得して成功すれば刑を軽くするという市長との取引があった…

 バスケットボールをテーマにした父子のドラマ。とはいっても、母親を殺して(あくまでも事故であったかのような描き方だが)服役中の父親が目の前に現れたら…なんてあまりにも現実離れしていてレベル高すぎというのが正直な感想。日本だったら、何本か前に見た映画の「手紙」みたいに、スキャンダルの方がどんどん先行してスター選手どころじゃなくなるってとこじゃないだろうか。でもそうならないのは、アメリカでこういった事件は日常茶飯事ってことなんでしょう。

 高校生といえども、スター選手に対するオファーのすごさを疑似体験できるのもこの映画の凄いところ。確かにあんなふうにちやほやされるんだったら、普通の人間だったら身を持ち崩すのがわかる、わかるって感じで説得力あります。子役スターとかもよく成人してから薬物中毒とかなってるけど、大変なんだろうな。

 「フィフス・エレメント」や「バイオハザード」でおなじみのミラ・ジョヴォヴィッチが売春婦役で出てますが、これがデンゼルとからむのはどうにも理解しがたいポジション。仮出所中の男と売春婦ってことで、設定としてはリアリティがあるんだけど、このストーリーの中ではどうにも浮いていた印象でありました。

スパイク・リー監督。1998年アメリカ映画。

2010年3月 4日 (木)

花とアリス (2004)

花とアリス 女子高生の花(鈴木杏)とアリス(蒼井優)は親友同士。花は落語研究会の宮本(郭智博)に思いを寄せていて弟子入りまでするのだが、彼がシャッターに頭をぶつけて一時的に記憶喪失になってしまう。それをいいことに、実は花と宮本はつきあっていて、アリスは元カノだというふうにでっち上げてしまうのだったが…

 ずいぶん久しぶり…というか、たぶん10年以上ぶりに見た岩井俊二作品。「スワロウテイル」の頃はかなり好きな監督さんだったんだけど、今見ると何かが違う。思ったほど物語に入り込んで行けないのだ。たぶん岩井作品はそんなに変わってないんだけど、見る私の視点ががらっと変わっちゃったんだと思う。女子高生の視点(あるいは宮本くんの視点)で物語が楽しめなくなっちゃたんだろうね。

 ストーリーとしての敗因は、記憶喪失にまつわるエピソード。うーん、40男にとっちゃ物忘れってのは日常茶飯事のレベルなんだけど、高校生が頭ぶつけて、あなたとつきあってたと言い出す女の子にまんまとだまされてしまうのはかなり無理を感じる。高校生の視点だと、こう騙されるのもまんざらじゃないんかもしれないけど、宮本くんの好みが明らかに花ではなくアリスだって点がポイントなんかな。

 この映画の見るべきシーンはやっぱりバレエ。特にクライマックスで蒼井優が踊るシーンは一見の価値ありで、物語も何もそっちのけで蒼井が突っ走ってしまったとも思える。

岩井俊二監督。2004年日本映画。

2010年3月 1日 (月)

手紙 (2006)

手紙 工場で働く直貴(山田孝之)はコメディアン志望ながらも、無口で同僚とは打ち解けようとしない。食堂で働く由美子(沢尻エリカ)が唯一気にかけてくれるのだが、彼女にもぶっきらぼうな態度をとり続ける。実は彼には殺人で服役中の兄剛志がおり、手紙でやり取りをしているのだったが…

 東野圭吾の同名小説を映画化。服役囚の家族というかなり重いテーマをどちらかといえばテレビドラマのタッチでさらりと描いているのだが、後半の吹石一恵・風間杜夫の父娘とのからみからぐいぐいと面白くなり、最後は引き込まれるように見てしまった。ハッピーエンドに思えて、その後がずるずるっと続くのがこの映画のメッセージでありポイントでしょう。

 犯罪発生率の低い日本だけに、この家族が娘も含めて生きていくのは大変だろうと感じます。ところで沢尻の大阪弁ってどうなんだろう? 自分の経験では、関東に行ったらそれなりに関西弁をおさえようとしつつも、ついつい出てしまうって感じなんだけど、彼女のはまったくのこてこてだってのがちょっと違和感ありました。

生野慈朗監督。2006年日本映画。

2010年2月25日 (木)

オーシャンと十一人の仲間 (1960)

オーシャンと11人の仲間 空挺部隊出身のオーシャン(フランク・シナトラ)は、かつての戦友たち(ディーン・マーティン、ピーター・ローフォード、サミー・デイヴィスJr.、リチャード・コンテ、リチャード・ベネディクト他)を集めてラスベガスのカジノ襲撃の計画を立てる。送電線を爆破し、5つのカジノを同時に襲う奇想天外な計画は着々と進められていったが…

 あの「オーシャンズ11」の元ネタ。60年代の映画だけに、シナトラ・ファミリーが楽しんで演じているという雰囲気がぷんぷん。前半の人集めは少々まだるっこしさを感じるけど、カジノ襲撃の計画立案から実行にかけては用意周到というよりも、そんなんでカジノの金が強奪できるんかいな拍子抜けさせられるような雰囲気。しかし世の中そんなに簡単にはいかないもんで、「ちゃらちゃ~」の結末にオーシャンの仲間たちがぞろぞろ教会を出るラストにはもう笑って笑って笑わさせられました。

 映画ではあんまり歌わない…って思ってたシナトラが、サミーと歌うシーンが入ってるのが拾いものかな。アンジー・ディキソンも出てるけどほんのわずかなシーンだけでした。

ルイス・マイルストン監督。1960年アメリカ映画。

2010年2月24日 (水)

ファースト・ワイフ・クラブ (1996)

ファースト・ワイフ・クラブ 自殺した友人の葬儀で再会したかつての大学の友人アニー(ダイアン・キートン)、エリース(ゴールディ・ホーン)、ブレンダ(ベット・ミドラー)の3人。お互い、夫の浮気問題や別居問題で悩んでいることを知り、ファースト・ワイフ(最初の妻)の会を結成してふがいない夫たちへの復讐を決意するのだったが…

 オリヴィア・ゴールドスミスの原作を映画化。この頃いっぱい作られていた、元気の出る女性映画の1本で今見ると90年代のにおいがぷんぷんする。なんせ主演のおばさんたちがダイアン・キートン、ゴールディ・ホーン、ベット・ミドラーときたもんだから、こりゃ夫たちも逃げ出さない、あるいは踏みとどまるほうがどちらかといえば希少価値といえば言い過ぎか(笑)。踏んだり蹴ったりの彼女たちの反乱は単なるワルノリ映画ととれなくもないんだけど、すぐに若い女に走ってしまう男どもってのは案外アメリカでは現実なんかもしれないなぁ、なんて思わせてくれる。

 しかし夫の浮気相手のひとりが当時は若かったサラ・ジェシカ・パーカーだというのが、今見るとひとつのポイントかもしれない。サラといえば「セックス・アンド・ザ・シティ」の主演でおなじみで、今ならファースト・ワイフ・クラブに入会してもおかしくない女優さんに育っておられるというのが笑えます。

ヒュー・ウィルソン監督。1996年アメリカ映画。

2010年2月20日 (土)

ヒマラヤ杉に降る雪 (1999)

ヒマラヤ杉に降る雪 終戦間もない頃のワシントンにある孤島の村。漁師のカールが水死体で見つかり、その容疑者として日系人のミヤモト・カズオ(リック・ユーン)が逮捕される。小さな島では話題の事件となり、カズオの妻ハツエ(工藤夕貴)も裁判にかけつける。ところがそこで出会った新聞記者イシュマール(イーサン・ホーク)とハツエはかつて愛し合った仲であり、ハツエはイシュマールに夫の無実を訴えるのだったが…

 デヴィッド・グターソンの原作を映画化。第2次世界大戦をはさんでのアメリカでの日系人差別を描いた重い内容の映画で、冒頭から暗い画面、寒々しい海、降りしきる雪とよどんだ空気のつるべ落としで、ある程度は覚悟して見ないと気分がノックアウトされること必至である。

 もっともこれだけの暗い映画をあえて作るだけのことはあるテーマ性のある作品で、日系人差別という社会問題に加えてイシュマールとハツエの恋物語はなかなか胸にずしんと残ります。タイトルにあるヒマラヤ杉って、2人が逢瀬を重ねる洞穴がある木ってほんとにそのままのタイトルやんって突っ込みを入れたくなりましたが。

 工藤夕貴は本当に実力でこの映画に出てるってのが伝わってきて、絞り出すような演技も良かった。相変わらずアメリカ人がイメージするアジア系を連想させるようなメイクをされておりましたが。少女時代を演じた鈴木杏も可愛かった。しかし彼女は87年生まれなので、出演時は12才?? いろんな意味で凄い。

スコット・ヒックス監督。1999年アメリカ映画。

2010年2月19日 (金)

戦艦バウンティ号の叛乱 (1935)

戦艦バウンティ号の叛乱 1787年の大航海時代のイギリス。戦艦バウンティ号はパンノキの苗木を得るためにタヒチを目指して出航する。艦長は冷酷なブライ(チャールズ・ロートン)で、力で秩序をとばかりに、ことあるごとに船員をむち打ちの刑に処す。温厚な航海士のクリスチャン(クラーク・ゲーブル)は事をおさめながらも、士官候補生のバイラム(フランチョット・トーン)と共に徐々に不満をためていくのだったが…

 18世紀末の実際の反乱事件を背景にしたアメリカ映画で、1935年のアカデミー作品賞を受賞。2時間を超す大作で、イギリスからタヒチに至る航海の物語はなかなか見応えがある。何よりも憎々しげなブライ艦長をはじめ、珍しくひげのないクラーク・ゲーブルとか役者も見所いっぱい。しかもストーリーも練られていて、あっという間に2時間を超えて見終わってしまったという印象。

 単純な勧善懲悪の物語ではなく、ブライ艦長にもボートで大海を乗り切る見せ場を用意したり、南海の楽園タヒチのシーンとロマンスがしっくりと描かれていたり、なかなか愛のある作りである。ブライがどうなるわけでもなく、クリスチャンもちゃんと南海の孤島で生き残る(その後どうなるかは知らないが)といった部分は余韻をひいて良い。今見ても結構見応えがあるので、アカデミー作品賞というのは納得である。モノクロ・スタンダード作品。

フランク・ロイド監督。1935年アメリカ映画。

2010年2月13日 (土)

ヘルボーイ ゴールデン・アーミー (2008)

ヘルボーイ ゴールデン・アーミー 前作で魔界からやって来て人間の世界で育ち、今は超常現象捜査防衛局のエージェントを務めるレッドことヘルボーイ(ロン・パールマン)。オークション会場が魔物の襲撃を受けたとのことで、同僚のリズ(セルマ・ブレア)、エイブ(ダグ・ジョーンズ)、ヨハン・クラウス(ジョン・アレクサンダー)たちと現場にかけつけるが、事件の背後には人類と戦うためにロボット軍団「ゴールデンアーミー」の復活を目論むエルフ族のヌアダ王子(ルーク・ゴス)がいた…

 シリーズ第2作にして、今度は人類と敵対するエルフ族の末裔を登場させてスケールアップ…と言いたいところだが、「ハムナプトラ3」と同じく最強軍団の復活というストーリーの最強軍団はたいして活躍しないのがお約束なのである。と思いながら見ていたら、この作品もお約束どおりであった(笑)。でもゴールデンアーミー同志のバトルとか、見所はいっぱい用意されているのでB級のにおいがぷんぷんする超大作として成功している映画だと思います。

 ヘルボーイが、見た目そのまんまで乱暴者ってのが、ちょっとひねりが感じられなくて残念。コメディパートをいっぱい入れてただの乱暴者になってないところがミソ。ヒロインのセルマ・ブレアはなかなか魅力的だとは思うのだが、ちょっとお疲れ気味のご面相は微妙なところ? 見方によっては、それが魅力なのかもしれないが。半漁人エイブは意外と泣けるキャラクターだし、ガス人間のヨハンに至っては日本の特撮やアニメで見たことあるような気分になったぞ。

 敵役の王子は「デトロイト・メタル・シティ」そっくりでこれまた笑えた。その妹のアンナ・ウォルトンは、森下愛子を白塗りにしたようなイメージだぞ。可愛いんだけど…

ギレルモ・デル・トロ監督。2008年アメリカ映画。

2010年2月12日 (金)

フィラデルフィア物語 (1940)

フィラデルフィア物語 上流階級の女性トレイシー(キャサリーン・ヘップバーン)がジョージ(ジョン・ハワード)との結婚を決める。ところがその婚約パーティ(前夜祭?)には呼びもしない前夫のデクスター(ケイリー・グラント)をはじめ、ゴシップ誌「スパイ」の記者コナー(ジェームズ・スチュワート)、とカメラマンのインブリ(ルース・ハッセイ)もやって来たから事態はあらぬ方向に…

 フィリップ・バリー原作、後に「上流社会」としてリメイクされるブロードウェイ・コメディの映画化。いわゆるくっついたり離れたりの恋愛もので、私はこういうのを見ると「もういいかげんにしてくれ」と言いたくなるのである。苦労を知らないお嬢様のキャサリン・ヘップバーンが人間らしさを取り戻していく…というストーリーのようだが、結婚式前の一夜でそれは無理だろうって感じでかなりはしょった設定なのは否めない。でも転々と話は転がって転がり先があそこってことは、上流社会の方々にとってはなかなかセンセーショナルな内容なのだろうって想像されます。

 ヘプバーン、ケーリー・グラント、ジョン・ハワード、ジェームズ・スチュワート、それにルース・ハッセイまでをくわえると見事な恋愛相関図ができ上がるのがミソかな。豪華なキャスティングなんだけど、イマイチ共感できないってのは時代の違いかも。やっぱ上流社会ってものがわかってないと、楽しめない映画なのかもしれません。

モノクロ作品。 ジョージ・キューカー監督。1940年アメリカ映画。

2010年2月 8日 (月)

イントゥ・ザ・ワイルド (2007)

イントゥ・ザ・ワイルド 大学を優秀な成績で卒業したクリス・マッカンドレス(エミール・ハーシュ)だったが、現在の生活と両親(マーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィリアム・ハート)に嫌気がさして、あり金をすべて処分して放浪の旅に出る。やがて乗っていた車も鉄砲水で動かなくなり、ヒッチハイクを重ねながらアラスカを目指すのだったが…

 自分探しのロードムービー。遅れてきたアメリカン・ニュー・シネマといったスタイルで、同じくヒッチハイカーやヒッピーの末裔たちとのふれあいを繰り返しながら、なぜかアラスカの荒野を目指すという映画。ジョン・クラカワーの「荒野へ」を原作に、名優ショーン・ペンが監督。しかも実話の映画化だそうだ。ふーん。予備知識なく見たのでラストはさすがにガツンと重かったけど、自分にもうすでに若さがないせいか主人公の行動にほとんど共感できずに取り残されてしまったような印象。どちらかというと、喪失感を徐々に深めていった両親の方が私に近いのかもしれない。

 それにしても…ヒッチハイクで旅をするってことは、映画で追体験するよりも自分で実践しないと絶対にわからないことなんでしょうね。自分が日本人であるせいか、屋久島を目指す「学校3」の方がずっとわかりやすくて共感できる感じがしました。アラスカで生きていくためにはライフルは必須かもしれないけど、網や釣り道具とかを持ってないのは片手落ちな感じ。毒草を食べて人里離れたマジック・バスの中で動けなくなってしまうってのは危機管理のなさを感じるけど、それが若さってことなのかもしれません。

 注目株のクリステン・スチュワートがヒッピーに混じって歌う歌手トレイシー役を好演。私なら彼女に出会った瞬間に旅が終わったかもしれない(笑)。主人公にからむキャサリン・キーナーやヴィンス・ヴォーンも渋くいい味を出してます。

ショーン・ペン監督。2007年アメリカ映画。

2010年2月 3日 (水)

グラスハウス (2001)

グラスハウス 友人と深夜遊び歩いていた女子高生ルビー(リーリー・ソビエスキー)が帰宅すると、突然の両親の交通事故死を知る。弟のレット(トレヴァー・モーガン)と2人で知人のグラス夫妻(ダイアン・レイン、ステラン・スカルスガルド)に引き取られるのだったが、実は彼女たちには両親から残された400万ドルの遺産があった…

 ビリー・ジョエルの「グラスハウス」などを思い出しながら見始めたのだが、冒頭からサイコキラーのシーンに、これはB級ホラー映画かと思ったら、それは場末の映画館の1シーン。実は遺産をめぐるサスペンスでありました。ストーリー的には2時間ドラマのノリであり、犯人もオチも早いうちにばれてしまっているんだけど、ストーリーがよく練られていて最後まで楽しむことができました。里親夫婦が徐々に正体を表していくところ、そして抜けだそうともがくルビーとレットの2人が小気味よく描かれるのが良い。しかしゲーム漬けにされてふぬけになっている弟がなんともそこらへんにいそうな子供って感じで、リアルでこわいです。

 ダイアン・レインが出てるあたりでかろうじて2時間ドラマではないって雰囲気に踏みとどまっている感じ。彼女の出演作を最近よく見かけますが、わかるわかるって感じの良い歳の取り方をされているような気がします。リーリーはこの頃はかなり若いはずですが(女子高生役)、サービスシーンも多く「これが高校生?」と思わされます。一見の価値あり…かな。

ダニエル・サックハイム監督。2001年アメリカ映画。

2010年2月 2日 (火)

ウォー・ゲーム2 デッド・コード (2008)

ウォー・ゲーム2 デッド・コード 高校生のウィル・ファーマー(マット・ランター)は、偶然手に入れた銀行口座のキーと賞金付きのオンラインゲームでひともうけしようと考える。ところがゲームは国防用のコンピューターリプリー上で行われていた罠であり、ファーマーはガールフレンドのアニー(アマンダ・ウォルシュ)と共にテロリストと間違えられて追い回されることになる。その上、世界滅亡も予感される軍事プログラムが起動して…

 あの「ウォー・ゲーム」の続編…というか、どうもオリジナルビデオのようである。とはいっても意外と見せてくれる内容で、主人公のカップルがテロリストとみなされるあたりの説得力のなさが気になるだけで、あとはリプリーと政府機関の攻防とか、リプリーと旧軍事コンピューターのジョシュアの対決とか、B級ならではの楽しさがぎゅっと詰め込まれていて個人的には結構楽しませてもらった。

 後半の展開が「エネミー・オブ・アメリカ」に似ているところがミソかな。進化したリプリーだけど、60年代に創造された2001年宇宙の旅のコンピューターHALに似ているってところが、逆に2001年って偉大なんだなと再認識させられた。

スチュアート・ジラード監督。2008年アメリカ映画。

2010年1月28日 (木)

リボルバー (2005)

リボルバー ギャンブラーのジェイク(ジェイソン・ステイサム)は、カジノ王マカ(レイ・リオッタ)にはめられ7年の刑務所暮らしを強いられる。そこで覚えたのは、チェスの転載と詐欺の達人の手ほどきによる必勝の方程式。かくして出所したジェイクはマカのカジノでボロ勝ちをするのだが、怒ったマカは凄腕の殺し屋ソーター(マーク・ストロング)を雇う…

 リュック・ベッソン製作、ガイ・リッチー監督によるアクション映画。といっても純粋なアクションではなk、勝利に関する賢人の言葉が繰り返され、話はぴょこぴょこと妙なところへすっとんで、哲学的とも象徴的とも取れる展開と内容に、気がつくとうとうと…というのが正直な感想。ちうか賢人の言葉の意味がよくわかんないのだ。「戦争を回避するには、敵を利するべき」とか、日めくりカレンダーよろしく出てくるんだけど本当にそれを実践してたのだかどうだが。

 とはいっても、殺し屋のソーターだけは妙に光っていた。どのくらいかというと、「ニキータ」に出てた掃除屋ジャン・レノくらいかな(笑)。彼のスピンアウト作品が見たい、などと思ったけど、死んじゃったら無理か。ジェイソン・ステイサムは本作では寡黙で立ってるだけというシーンも多いんだけど、存在感あります。レイ・リオッタが勝手に壊れていく様子は、面白いけど説得力なし。

ガイ・リッチー監督。2005年イギリス=フランス合作。

2010年1月27日 (水)

黙秘 (1995)

黙秘 富豪の未亡人(ジュディ・パーフィット)が階段から転落する事故が起こり、傍らには棍棒を持った家政婦ドロレス(キャシー・ベイツ)の姿が。一報を受けた新聞記者のセリーナ(ジェニファー・ジェイソン・リー)は故郷の島を訪れるのだが、2人には20年前の日蝕の日に起こった忘れられない事件があった…

 昨日に引き続いてスティーヴン・キング原作のサスペンス。といってもこちらはモンスターも亡霊も怪物も出てこない、正統派のサスペンスでコワイというよりも母と娘の深い関係を描いていて、ひたすら重い内容である。母親がかかわっている2件の殺人疑惑事件。果たして真相は…というのが主なストーリーなのだが、現代と過去をたくみに行き来して事件の真相へとじわり、じわりと迫っていく展開はかなり本格的で見せてくれる。

 キングとキャシー・ベイツといえば言わずとしれた「ミザリー」があるわけだけど、こちらもベイツがストーリーにぴたっとはまっていて見応え十分。公開10年を経て、一般的評価は圧倒的に「ミザリー」なのは何でだろう。たぶんあっちの方がシンプルで万人受けするストーリーだからだろうけど、この映画を10年間知らなかった自分も何だかなぁという気分にさせられた。  あんまり書くと物語の核心に触れるのでやめておくが、キーパーソンはやっぱりダメ親父(デヴィッド・ストラザーン)とねちこい警部(クリストファー・プラマー)でしょう。ジェニファー・ジェーソン・リーは地味な雰囲気がこの役柄にぴったり。

テイラー・ハックフォード監督。1995年アメリカ映画。

2010年1月26日 (火)

1408号室 (2007)

1408号室 オカルト作家のマイク・エンズリン(ジョン・キューザック)は、各地の幽霊スポット(ホテル)を渡り歩いてその評価記事を書いている。そんな彼のもとへ、「ニューヨークのドルフィン・ホテルの1408号室へは近づくな」という内容の葉書が届く。当然興味を持った彼はニューヨークへ向かうのだが、彼を迎えたのは支配人のオリン(サミュエル・L・ジャクソン)だった…

 スティーヴン・キングの短編ホラーを映画化。最近はキングの本も読んでないんだけど、この映画を見る限りはキング本来のテイストが生かされた映画のように思える。肉親(この場合は娘)の死を逆手にとったあざとさ、ある意味えげつなさが根底にあるのがキングらしい。まさに邪悪な部屋の物語である。それだけに、娘との再会シーン、そして一転してひからびた死体のシーンには底知れない戦慄を覚えた。この映画のハイライトだろう。

 サーフィンのシーンとこの部屋がつながっているのも面白い。まさに、逃れられない感がいっぱいである。これならいくら逃げても無駄だろう。死んだ娘のトラウマからは逃れられないってことかも。  オープニングシーンを見ながら、幽霊スポットのミシュランなんか縁起悪いからやめればいいのに、と思ったんだけど、あの仕事をやろうがやるまいが彼は既に1408号室に足を踏み入れた同然の状態だったってわけですね。主演のジョン・キューザックは目がコワいあたり、この映画にぴったりのキャスティング。妙にかっこいい支配人サミュエル・L・ジャクソンだったけど、思ったほど後半に活躍しなかったのは残念でした。録音テープは、やっぱりお祓いに出したほうがいいんでしょうか?

ミカエル・ハフストローム監督。2007年アメリカ映画。

2010年1月25日 (月)

恋するための3つのルール (1999)

恋するための3つのルール 絵画のオークション司会者のマイケル(ヒュー・グラント)は、恋人ジーナ(ジーン・トリプルホーン)にプロポーズ。しかし彼女は今の関係の方がいいと涙ながらに断る。ジーナを追いかけるために彼女の父の店を訪ねるのだが、実は彼女の父(ジェームズ・カーン)はマフィアの幹部だった。

 恋人の父親が極道だったら…という、邦画やドラマでも何かと定番となってるストーリーのアメリカ版。ラブコメの帝王とも言えるヒュー・グラントが、初老となったジェームズ・カーン(考えたら「ゴッドファーザー」の長男役だ)を相手になかなか茶目っ気たっぷりに見せてくれるブラックコメディ。

 そう言われて見ればコワモテのカーンを相手に映画は何やらいい雰囲気(?)だったのが、あのジーナの暴発事故から一気にシリアスな世界に引き戻された気がしたのは私だけかなぁ。マフィア相手でもできればほんわかとした世界で終わってほしかった、というのは虫の良すぎる話か…

 ヒュー・グラントとジェームズ・カーンが突っ走って行く中で、ジーン・トリプルホーンは2人を仕切って頑張っているのに置いてけぼりをくらってしまった印象。ところで邦題の「3つのルール」って何だったんだろう?

ケリー・メイキン監督。1999年アメリカ映画。

2010年1月24日 (日)

カンフー・ダンク (2008)

カンフー・ダンク 孤児で、カンフー学校に拾われて育ったファン(ジェイ・チョウ)だったが、バーで大暴れして学校を追い出される。浮浪者のような生活をするリー(エリック・ツァン)は彼の能力を見込み、バスケットの選手として大学チームへと売り込むのだったが…

 サッカーに続いてかどうかはわからないけど、カンフーをテーマにした異種球技格闘映画。確かに香港のカンフー+ワイヤーアクションの世界をバスケットに持ち込めば面白いだろうとは想像したけど、事態はどんどんあらぬ方向に転がって気がつけば超人格闘技になっちゃった。こんなんありかよぉと思ってたら、彼らは追い出され「何で俺たちが退場なんかよ」のセリフを…このあたりが個人的には大爆笑で、当たり前だろと突っ込みを入れまくってしまった。

 しかし、それ以外の部分はあまりの学園ドラマの軽さにかなり違和感を覚えてしまった。香港の谷啓ことエリック・ツァンの芸達者は相変わらず目立つんだけど、全体的にこじんまりとまとまった邦画風の雰囲気がかもし出されているのが、良いところでもあり悪いところでもある。ジェイ・チョウはこの映画でも頭文字Dの時も朴訥とした感じでうまいのか大根なのかわからないのがちょっとネック。役者もギャグもアクションも、もうちょっとはじけて「ありえねぇ」を連発させてくれたほうが良かったように思います。

チュー・イェンピン監督。2008年台湾=香港=中国合作。

2010年1月22日 (金)

HELP! 四人はアイドル (1965)

Help 生け贄が聖なる指輪をしていないことに気づいた邪教集団のメンバーが、ビートルズ(ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、ジョージ・ハリスン)のプロモフィルムから、リンゴが問題の指輪をしていることを発見する。というわけで、リンゴの指輪を奪うための数々の珍作戦が繰り広げられるのだったが…

 有名なビートルズ映画の1本。なんともシュールな世界で、レノンが床にあいた穴に住んでいたり(他の彼らの映画でもあったような気が)、指輪を奪うためにポストに化けたり床をくり抜いたり、あげくの果てに軍隊が出動したりとまるっきりコミック。でも何かデジャヴー感覚を感じるのは、私がドリフのコントなんかで育った世代だからでしょうねぇ。

 モンティパイソン風味と、007のパロディはイギリス映画からは外せないスパイスだというのがよくわかった。そうそう、悪人がスキンヘッドってのは、「サンダーバード」からの伝統かな。ストーリーに関係なく、4人がスタンダードナンバーを歌いまくるのはお約束です。

リチャード・レスター監督。1965年イギリス映画。

2010年1月21日 (木)

双葉十三郎さんと、「僕の採点表」

Boku_sai

 双葉十三郎さんが亡くなった。享年99才。大往生です。双葉さんといえば「ぼくの採点表」という映画評が有名。これは雑誌「スクリーン」で連載されていたんだけど、「ロードショー」を愛読していたoga.はほとんどリアルタイムで読んだことがない。今ではどちらの雑誌も休刊になってしまっていると思われるが。

 それでも「僕の採点表」が印象深いのは、単行本になっているのを読んでかなり衝撃を受けたから。これって辞書のようなかなりごっつい本に、映画の評がぎっしり。10年が1冊にまとめられているので、4~50年代、60年代、70年代、80年代、そして戦前編に分かれている。内容ぎっしりで、日本で公開された主な洋画はほぼ網羅。しかも「ぴあシネマクラブ」とは違い双葉さんの軽妙な文章での紹介は非常に面白く、読んでいて時間を忘れる。

 映画を見始めた70年代、見まくった80年代に加えて、ビデオやレンタルの普及でせっせと見まくった60年代、4~50年代の映画にとっても良いガイドブックでありました。おまけに、こういうふうにまとめていけば、自分が老人になった時に何かすごいものが残せるんじゃないかと、せっせと映画の感想を残し始めたのもこの本がきっかけ。最初はメモ帳だったけど、途中からパソコン(データベースソフト)、パソコン通信、インターネットと進化して現在はブログ。このブログのバックナンバーが70年代におよんでいるのは、その記録をコンバートしたからです。

 双葉さんの著作は80年代で終わり。寂しいです。現在も書き続けていたら、CG合成のあふれる最新作にどんなコメントを残していたことなんでしょうか。

Joshinブックストアからも「僕の採点表」は買えるようです、「双葉十」で検索してみて下さい。

2010年1月 6日 (水)

女優 ジェニファー・ジョーンズさんのこと

タワーリング・インフェルノ ジェニファー・ジョーンズさんが昨年暮れに亡くなった。老衰だったそうだ。享年90才。

 ジェニファー・ジョーンズといえば、「慕情」「終着駅」「武器よさらば」あたりが有名だが、oga.の世代だと最後の映画出演作となったあのパニック映画の傑作「タワーリング・インフェルノ」でのリゾレット役が強烈に印象に残る。真っ黒い髪に、真っ白いドレス。劇中でのフレッド・アステアとの淡いロマンス。飼い猫をめぐる、O.J.シンプソンとのからみ。そしてエレベーターの爆発事故で宙に舞う白いドレス。ラストのアステアの悲しい表情。と、ここまで一気に書けるほど、シーンが脳裏に残っている。子供好きで猫好きで、そして人柄の良さがスクリーンの中で強烈なオーラを放っていた。実は「タワーリング・インフェルノ」は私が中学生の時に初めて劇場で見た字幕の洋画であり、以降映画に傾倒するきっかけとなった作品でもある。

武器よさらば 彼女に次に再会したのが「武器よさらば」。テレビの名画劇場での鑑賞だったと思う。その名のとおりの反戦映画で、原作はもちろんヘミングウェイ。兵士と従軍看護婦の逃避行を描いた物語だが、この非条理な結末はストレートでシンプルなメッセージを放っており、清楚な看護婦のイメージのジェニファー・ジョーンズは完全に私の脳にすり込まれた。

 ジェニファーといえば白のドレス、というイメージも、これとタワーリングが重なってできたものなんだろうね。大プロデューサーデヴィッド・O・セルズニックの製作で、監督はチャールズ・ビダー。相手役はロック・ハドソンで、あの「ひまわり」の監督ヴィットリオ・デ・シーカが俳優として出ています。こちらも再見を希望したい名作。

慕情 次に印象的だったのが「終着駅」。こちらはNHK-BSにて観賞。ローマのテルミニ駅の中だけで完結するラブストーリーというのが斬新だった。スピルバーグの「ターミナル」の元ねたかも。ヴィットリオ・デ・シーカ監督。

 実は彼女の代表作となる「慕情」は私はテーマ曲以外はあまり印象に残っていない。香港が舞台のエキゾチックな物語だったが当時中学生か高校生だった私には理解しがたい大人のラブストーリーだったのだと思う。現在のところ再見する機会もないが、こちらもぜひハイビジョンで再開したい映画である。

 いずれの作品も、すでに古典と呼べるもの。映画館で見たくてもおいそれとは見られないのだが、「タワーリング・インフェルノ」はブルーレイ化されているし、「武器よさらば」「慕情」もDVDで見ることができる。ホームシアターでいずれは見たい映画である。

2009年12月27日 (日)

JUNO/ジュノ (2007)

JUNO/ジュノ 16才の普通の女の子のジュノ(エレン・ペイジ)が妊娠してしまう。お相手はボーイフレンドのポーリー(マイケル・セラ)で、たよりなくて的を得ない様子。仕方なく両親(J・K・シモンズ、アリソン・ジャネイ)に相談したあと、里親に出すことを決心するのだったが…

 予期せぬ妊娠を描いて予期せぬクリーンヒット作…なのだそうだが、わかる、わかるといった内容の面白さは絶品。ちゃきちゃきしているけど16才の普通の女の子でしかないジュノを筆頭に、たよりないポーリー、めちゃめちゃ良い父親、里親候補のヴァネッサ(ジェニファー・ガーナー)、それにジュノの話せる友人などなど、魅力的なキャラのオンパレードで一気に見せてくれた1時間半でありました。

 父親とのからみが特に秀逸で、娘がいるならかなり身につまされるものがあるかもしれません。子供が欲しくて悩んでいる様子がひしひしと伝わってくる主人公と対局の立場にいるヴァネッサも、見ていてじーんときた。妻が理解できないヴァネッサの夫も、自分なりの夢を持ってたりとキャラクターの作り込みが非常にていねい。こりゃ確かにアカデミー脚本賞ものです。

 内容の重さに反して非常に軽いタッチで描かれるのもいいです。結局、何も考えてなさげだったポーリーがちゃんと考えてて、ジュノは悩み抜いたあげくの決断をして、16才なりの最善の選択ができた…というあたりに爽やかな感動を覚えました。

ジェイソン・ライトマン監督。2007年アメリカ映画。

2009年12月14日 (月)

ダークナイト (2008)

ダークナイト ゴッサムシティに、ジョーカーと名乗る男(ヒース・レジャー)が暗躍し、マフィアの裏金をかすめ取ろうとする。同じ頃、新任検事のハービー・デント(アーロン・エッカート)は犯罪の一掃を公約し、バットマン(クリスチャン・ベイル)とも手を組もうとするのだったが…

 新生バットマンシリーズの第2作。タイトルは「暗い夜」かと思ったら「ダークな騎士」というわけでバットマンの意味でした。でもこれ、後生でシリーズだとわからずに埋もれてしまうんじゃないかと心配になるぞ。

 2時間半の長尺で、しかもいろんなストーリーがこれでもかと詰め込んであるのでかなり気合いを入れて見ないと迷子になることうけあい。しかも開始早々がクライマックスかのようなテンポの良い銀行強盗のシーンで、こんなに飛ばして大丈夫かと思ったら飛ばしっぱなしで最後まで行ってしまいました。かなり疲れる映画だと覚悟した方がいいかも。

 ストーリーは、ジョーカーが主役かと思ったら途中からトゥーフェースが悪役を交代。確かにバットマンシリーズってのは悪役が2人(2セット)登場するのが特長だったけど、そこに善悪の問題とかダースベイダーの誕生話みたいなのがからんで結構深みはある。でも深みがあるから面白いかといえば、そうと言い切れないところが複雑なのである。

 余談だけど、ヒロインのマギー・ギレンホールって日本人的には「?」なキャスティングかもしれません。もっともアメコミのヒロインにはこういうパターンが多くて(スパイダーマンとか、ロボコップとか、70年代のスーパーマンもそうかもしれない)、日米の女性観の違いみたいなものを感じてしまいました。

クリストファー・ノーラン監督。2008年アメリカ映画。

2009年12月 9日 (水)

ランボー 最後の戦場 (2008)

ランボー 最後の戦場 タイのジャングルで毒蛇狩りをして暮らしていた元グリーンベレーの精鋭ジョン・ランボー(シルヴェスタ・スタローン)だったが、アメリカからマイケル(ポール・シュルツ)、サラ(ジュリー・ベンツ)たちの率いる医師団が隣の内戦中のミャンマーに医療活動をするためにやって来る。気が乗らないランボーを説得して船を出させた彼らだったが、途中に海賊に襲撃され…

 20年ぶりに登場の「ランボー」シリーズ最新作。いきなりの残酷ニュース映像にこれはどういう映画なのかと不安になるも…うーむ、見終わる頃にはすっかりうならされる強烈なスプラッター戦争映画でありました。これだけの映像を見せられると、こんな場所で戦争反対や平和をとなえるなんて甘っちょろい、ガツンとやらなきゃ無理だ、なんて気分になるのはしょうがないけど、それを通り越してやっぱ戦争の残虐な本質を見た気分にさせてくれる90分間ではありました。こんな世界には近づかない方がいい、なんて消極的な気分になったのは私だけかなぁ。

 それにしても、ランボーも歳をとったのか、単なる肉弾戦ではなく重機関銃を奪ったあとはひたすら撃ちまくるのみ。カタルシスも何もかも肉片の彼方にぶっとばしてくれたんだけど、彼の姿と圧倒的な火力にアメリカの姿を見た気分になったのは何とも言えません。結局、彼のような存在は必要、なんて気分にさせられるのは映画の魔力なんでしょう。

 最後と言いながら、「ロッキー」の時のようにまだまだ続くんかな、このシリーズ。戦争や争いがこの世から消えても、映画はさらなる戦場を探して描いて行くんじゃないかと思うとちょっと恐ろしいです。

シルヴェスタ・スタローン監督。2008年アメリカ映画。

2009年12月 8日 (火)

渚にて (1959)

渚にて 核戦争が勃発し、北半球の人々は死滅。タワーズ艦長(グレゴリー・ペック)の率いるアメリカの原子力潜水艦がオーストラリアのメルボルンに入港する。そこではオーストラリア軍の大尉ホームズ(アンソニー・パーキンス)や学者ジュリアン(フレッド・アステア)、そしてタワーズに思いを寄せる女性モイラ(エヴァ・ガードナー)らの変わらぬ暮らしがあったが、徐々に汚染が南半球に迫るという情報が。事実を調査のためにタワーズ艦長以下は北極を目指して出航するのだったが…

 冷戦時代の空気を伝えてくれる、核戦争による世界の終末映画。この映画が異色なのは、原爆がぼんぼん破裂したり派手なSFXのシーンとかが一切なく、ひたすら迫り来る死の予感の中で暮らす普通の人々の日常を描いたところ。それでもサンフランシスコの調査シーンは名場面だと思うし、潜水艦のシーンは高揚感を感じる。

 あと6ヶ月の命だったらどうする…という命題をみんなが淡々とこなしているのが一番の見所かな。残ったワインを「飲みきれない」と嘆く年寄りの紳士グループがいたり(私はあの状況でウェイターをしているおじさんの方に男気を感じたが)。特にフレッド・アステアの科学者が、長年の夢だったレーシングカー(しかもフェラーリだ)を買ってレースに出るシーンなんてとっても説得力あり(しかし事故続出の危険なレースで、あれで命を縮めちゃった人は少々かわいそう)。アンソニー・パーキンスが演じる、赤ちゃんがいる若い夫婦(奥さんはドナ・アンダーソン)という存在が一番悲惨かな。

 何にせよ、2009年現在核戦争は起こらず、終末もやって来ていないのは素晴らしいことです。

スタンリー・クレイマー監督。1959年アメリカ映画。

2009年12月 7日 (月)

あの頃ペニー・レインと (2000)

あの頃ペニー・レインと ジャーナリスト志望の15才の少年ウィリアム(パトリック・フュジット)は書いた記事が目にとまり、ローリングストーンズ誌のライターとして雇われる。彼にまかされた仕事は、売り出し中のロックバンドの同行取材。ところがただの少年にしか見えない彼はバンドのメンバーもスタッフもまったく相手にされなかったのだが…

 15才の少年の、憧れのロックバンド同行、そして彼らのグルーピーである女性ペニー・レイン(ケイト・ハドソン)との微妙な関係を描いた青春音楽ロードムービー。ちょっと前に見た「ハイ・フィディリティ」と同じく、音楽大好きな方だと琴線に触れそうなストーリーだけど、ロックにそこまでのめりこんでいなかった私にとっては手放しで楽しめる、というところまではいかなかったみたい。

 とはいっても、主人公の少年がジャーナリスト志望でライターや編集者(フィリップ・シーモア・ホフマンも出てます)に認められるシーンや、原稿の催促シーンとかは昔ライターになることに憧れた自分としてはかなりの親近感を感じてしまいました。邦題にもなっている、ペニー・レインと少年のつかず離れずの微妙な関係もいいです。恥ずかしながら、ケイト・ハドソンがゴールディ・ホーンの娘だということを今回初めて知りました(笑)。

キャメロン・クロウ監督。2000年アメリカ映画。

2009年12月 5日 (土)

デス・レース (2008)

デス・レース 2012年の経済崩壊したアメリカ。民営化された刑務所ターミナル・アイランドでは、デス・レースと呼ばれるクローズドのテレビ中継が人気を集めていた。ここへ連行されて来たエイムズ(ジェイソン・ステイサム)は妻殺しの汚名を着せられ、自由になりたければ死亡したかつてのチャンピオン・フランクのマスクを付けてレースに出場せよと女所長のヘネシー(ジョーン・アレン)から強要される。かくして、マシンガンを積んだ車による死のレースが幕を開けた。

 あのロジャー・コーマンの「デス・レース2000」のリメークだそうだ。確かに「デス・レース2000」ってタイトルは強烈に頭に残っているんだけど、内容はさっぱり覚えてない(笑)。それに2000って、もう9年も前の話やん…って思ったら、こちらは2012年という設定になっている。2012年ぐらいに地上波放映する予定なんかな(笑)。

 ストーリーは、いかにもはめられましたって主人公が、いかにもはめましたっている女所長と対決して死のレースを争うもの。ところがこのレース、地面のボタンを踏んだら武器がオンになるってのはどう見てもヴィデオゲームです。でっかいトレーラー(ボスキャラ)が登場して殺しまくるってのも反則っぽいんだけど、ゲーム世代にとってはこのあたりは抵抗ないんでしょうね。「スピード・レーサー」のようなありえない車の動きってのがなかったというのだけは救いでした。

 かくして3ラウンドのレースはあれよあれよと進んで、生き残った2人がとった行動とは… ジェイソン・ステイサムって、コミックの主人公みたいなご面相がこの作品にぴったりですね。

ポール・W・S・アンダーソン監督。2008年アメリカ映画。

2009年12月 4日 (金)

ベガスの恋に勝つルール (2008)

ベガスの恋に勝つルール 仕切り屋の癖があるジョイ(キャメロン・ディアス)はフィアンセに愛想をつかされて失恋中。同じ頃、父親の工場(工房?)を首になった家具職人のジャック(アシュトン・カッチャー)は、旅先のラスベガスで部屋がダブルブッキング。酔った勢いで馬鹿騒ぎのあとに、なんと結婚してしまう。酔いが覚めて離婚手続きをしようとする2人だったが、たまたまコインを入れたスロットマシンがなんと300万ドルの大当たりで、事態は財産争いに発展してしまう…

 キャメロン・ディアス主演ってことで…まぁ内容は想像どおりのものでした。アシュトン・カッチャーは「守護神」ぐらいしか記憶にないんだけど、この映画でも意外に記憶に残らない。完全にキャメロンに振り回されるだけの添え物的存在におさまっております。でもこれが受けの演技だというのであれば、大したもんでしょう。

 しかし、若気の至りなんて言葉はあるけど、酔った勢い程度で結婚できてしまうあたりにベガスのすごさを感じてしまいます(笑)。しかも結婚は簡単だけど、離婚はそうはいかない、最後にはクイーン・ラティファのクリニックを受けなくちゃいけないってあたりもただものではありません。アメリカ社会の縮図を見た気分になりました(笑)。

トム・ヴォーン監督。2008年アメリカ映画。

2009年12月 3日 (木)

最後の初恋 (2008)

最後の初恋 浮気した夫と別居し、娘たちともうまくいっていない主婦エイドリアン(ダイアン・レイン)は、友人の小さなホテルを5日間だけ預かることになる。そこへ現れた宿泊客は、外科医のポール(リチャード・ギア)。共に問題をかかえた2人は、ディナーを共にしてお互いを語り始めるのだったが…

 ニコラス・スパークスの同名小説の映画化。ストーリー的にはいかにもありそうなラブストーリーで、べったべたの邦題が内容を言い得て妙ってところ。しかし、海辺に建てられた小さなホテル(バンガローというか、日本で言うと民宿ですね)のロケーションからはじまって主演の2人、彼らの息子、娘、エイドリアンの夫とかも含めて、無駄が一切ない、とびきりのおかずがてんこ盛りって部分がお見事。やっぱこれは、子育てを終えた人たちにおくるラブストーリー(だから最後の初恋?)かもしれません。

 かつてのアイドル女優、ダイアン・レインがいい味を出してます。彼女は最近ものすごく映画の出番が多いんだけど、わかるわかるって感じです。リチャード・ギアは意外と外科医に見えないのが不思議だった。ホテルで夕食を用意しますって言っても、あれじゃまるっきりの手料理じゃないですか。

ジョージ・C・ウルフ監督。2008年アメリカ=オーストラリア合作。

2009年12月 1日 (火)

88ミニッツ (2007)

88ミニッツ 若い女性を狙った連続猟奇殺人が起こり、フォースター(ニール・マクドノー)という男が逮捕されFBIの犯罪心理学者グラム博士(アル・パチーノ)の証言で死刑の判決が下る。それから9年後、フォースターの死刑執行を目前にして同様の手口の殺人事件が起こり、グラム博士には「おまえの命はあと88分だ」と脅迫電話がかかってくる。

 かなりチープな雰囲気のサスペンスで、アル・パチーノの登場で「おっ、映画だ、テレビドラマじゃないんだ」と引き戻された感じ。でも謎の犯罪者にぶんぶん振り回されるパチーノは、本当に犯罪心理学者なんかと突っ込みを入れたくなることしきり。さすがにフォースターが犯人だということには自信を持っているようなのだが、そう叫ぶだけでは説得力がないっちゅうもの。

 いい感じに老けたパチーノだけど、こういった小品ばっかりじゃなくて大作にも出てほしいなぁ、なんてまじ思ってしまいました。脇を固めるアリシア・ウィット、エイミー・ブレネマン、リーリー・ソビエスキーといったヒロインたちは、なかなか味があってポイント高いです。

ジョン・アヴネット監督。2007年アメリカ映画。

2009年11月29日 (日)

題名のない子守唄 (2006)

題名のない子守唄 北イタリアのトリエステという町に、ウクライナからひとりの女性イレーナ(クセニア・ラバポルト)がやって来る。イレーナはアダケル夫妻(クラウディア・ジェリーニ、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ)のメイドになり、その娘テア(クララ・ドッセーナ)の子守をするのだが、実は彼女には秘められた過去があった…

 と、ミステリー仕立てでスタートする物語なんだけど、トルナトーレ監督作品だけにただのサスペンスでは終わらない。彼女につきまどう「黒カビ」と呼ばれる男(ミケーレ・プラチド)の存在とか、時折挿入されるポルノ風の回想シーンとかがだんだんつながって行って、やがて感動のラストへ… かなり辛口の物語にもかかわらず、救いがあるのはトルナトーレの持ち味でしょうね。

 これって、ロシアの人身売買とか、売春組織なんかが社会問題化してる、なんて背景があったり告発映画になってたりとかいうことを連想させられたんだけど、ネットで調べる限りはそこらへんに触れたページは見あたりませんでした。

 主演のクセニア・ラバポルトは過去を持つ女性にぴったりの、ミステリアスな雰囲気が魅力的。髪の色を変えたりメイクで雰囲気ががらっと変わって、将来が楽しみな感じの女優さんですね。「黒カビ」ミケーレ・プラチドの不気味さも印象的。

ジュゼッペ・トルナトーレ監督。2006年イタリア映画。

2009年11月27日 (金)

幸せになるための27のドレス (2008)

幸せになるための27のドレス ジェーン(キャサリン・ハイグル)が凝っているのはブライド・メイドという花嫁付添人。過去に27回もこの役を務るが自分は上司のジョージ(エドワード・バーンズ)に片思いするだけで結婚とは無縁。ところが訪ねて来た妹のテス(マリン・アッカーマン)がジョージとあれよあれよという間に婚約してしまい、自身は結婚式専門のジャーナリストであるケビン(ジェームズ・マースデン)の取材を受けるのだったが…

 何でドレスが27着なんだろう…ってのが最初の疑問だったんだけど、なるほど、27回のブライドメイドをこなしたってわけね。こういう世話好きな女性というか、世話がとっても上手な女性って確かにいるなぁって納得。彼女が世話好きなだけに、妹がずぼらに育ってしまうってのもこれまた納得。結局は彼女の身から出たさびって言ってしまえばかわいそうなんだけど、ま、ラストはラブコメの定石どおりにおさまってくれたので良しとしましょう。

 キャサリン・ハイグルって可愛いんだけど美人かというとかなり微妙。対するマリン・アッカーマンはメイクのせいかもしれないけど悪魔系なところが印象に残る。ところで上司のジョージって、ヒロインがそんなに熱を上げるほど魅力的か?

アン・フレッチャー監督。2008年アメリカ映画。

2009年11月26日 (木)

マグノリア (1999)

マグノリア 余命いくばくもない大物プロデューサーのアール(ジェイソン・ロバーズ)には財産目当ての後妻リンダ(ジュリアン・ムーア)が付きそう。彼には、新興宗教まがいで儲ける疎遠の長男フランク(トム・クルーズ)がいた。一方で元少年クイズ王のドニー・スミス(ウィリアム・H・メイシー)は自堕落な生活を送り、実直な警官のジム・カーリングは、薬漬けの娘クローディア(メローラ・ウォルターズ)を職務質問していた。やがて彼らの人生は交差し…

 ロバート・アルドリッチ作品を思わせる群像劇なんだけど、彼らのかかわりが何ともシュールなのが印象に残る。イカレポンチのセックス教祖にトム・クルーズははまり役だし、彼と父親の関係はじわ~っときた。そういやジョン・C・ライリーのさえない警官とメローラ・ウォルターズの関係も泣けるし、クイズ少年のエピソードもいい。なぜタイトルがマグノリアなのかわかんないんだけど、この語り口は新鮮でとってもくせになる。

 それだけに…蛙ってオチは凄い。ラストはひたすらカエル、カエル、カエルである。何もかもぶっとばして降り続けるカエルの軍団。凄い、凄すぎるぞ。さすがに世紀末に作られた映画だけある(笑)。

ポール・トーマス・アンダーソン監督。1999年アメリカ映画。

2009年11月25日 (水)

モガンボ (1953)

モガンボ アフリカでハンターを営むビクター(クラーク・ゲイブル)の元へエロイズ(エヴァ・ガードナー)という美女がやって来る。実はインドの王子を訪ねて来たのだったが、すれ違いで出会えずビクターが1週間世話することになる。やがて船がやって来て、彼女と入れ替わりに動物学者のノードリー(ドナルド・シンデン)と妻リンダ(グレース・ケリー)がやって来るのだったが…

 サファリを舞台にしたロマンティック・アドベンチャー。つい先頃に「ハタリ!」を見たばっかりに、ひょっとしてシリーズか続編かと思ってしまったほど設定がそっくり。でもこちらの方が8年ばかり古くオリジナルのようである。ちなみにこちらの監督はジョン・フォードで主演はクラーク・ゲイブル。「ハタリ!」はハワード・ホークス監督でジョン・ウェイン主演である。ただしエヴァ・ガードナーとグレイス・ケリーという2大女優が出ているだけ、「モガンボ」の方が華があるかなってところ。

 ストーリーはというと、サファリを背景にはしているけど辛口の大人のメロドラマといった内容で、すれっからしのエヴァ・ガードナーと、温室育ちのグレイス・ケリーという2人の女性の対比が見事。特にグレース・ケリーが演じる「女」が見事だし、それを受ける夫役のドナルド・シンデンの見ていていらいら度もなかなかのもの。本来はエヴァ・ガードナーがヒロインのはずなんだけど、この2人の熱演にかっさらわれた感じである。

 クラーク・ゲイブルは久しぶりに見たけど…かなり油っこいおっちゃんである。

ジョン・フォード監督。1953年アメリカ映画。

2009年11月24日 (火)

ハプニング (2008)

ハプニング セントラルパークで突然人々が集団自殺するという事件が発生。同じ頃、近くのビル工事現場でも作業員が大量に落下事故を起こしていた… 高校教師のエリオット(マーク・ウォールバーグ)は妻アルマ(ゾーイ・デシャネル)と喧嘩の最中だったが、友人ジュリアン(ジョン・レグイザモ)とその娘ジェス(アシュリン・サンチェス)と共に列車で避難命令の出たニューヨークを後にするのだったが…

 M・ナイト・シャマラン監督の最新作を観賞。この人、全編タルいのに最後の5分ぐらいがどっか~ん、なんて作風が定着していたので、覚悟して見始めたんだけど、何と最初から飛ばしまくりのデザスター映画でありました。キングの「ミスト」によく似た内容だけど、事態の全貌が見えないというあたりでは「サイン」の延長線上かも。飛ばしまくるが故に、こりゃラストのどんでん返しも凄いに違いない…とわくわくしていると…

 完全に肩すかしを食らいました。やっぱりシャマランはただ者ではありません。赤潮という説明には納得させられたけど、衝撃のラストと呼ぶには全然足らない。まぁ普通のデザスター映画だと思って見たら当たりも外れもないかも。ヒロイン役のゾーイ・デシャネルは最初はぱっとしない女優さんだと思ってたけど、ラスト近くはぞくぞくするほど綺麗だったのが印象的。

M・ナイト・シャマラン監督。2008年アメリカ=インド合作。

2009年11月21日 (土)

ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子の角笛 (2008)

ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子の角笛 前作から1300年後のナルニア国は、テルマール人によって侵略され衰退していた。その王位継承者であるカスピアン王子(ベン・バーンズ)は命を狙われ、魔法の角笛を吹いたことにより伝説の四人の王ルーシー(ジョージ・ヘンリー)、エドマンド(スキャンダー・ケインズ)、ピーター(ウィリアム・モーズリー)、スーザン(アナ・ポップルウェル)が呼び寄せられたのだったが…

 現代(といっても大戦中ですが)からファンタジーの世界へ子供たちが旅をするという、C・J・ルイス原作のナルニア国物語の第2章。前作はまだファンタジー色が強かったんだけど、今回はテルマール人という人間が敵だけに、どうしても血なまぐさい戦争のイメージは払拭できず、何とも言えない居心地の悪さを感じてしまった。とはいっても、我々も子供の頃はチャンバラごっこをして時代劇の立ち回りを見て育ったわけだし、どうこういう問題ではないんかもしれないけど、どうにも子供たちが殺し合うという設定に違和感を覚えてしまいました。

 まぁその部分を除けば…かなり気合いの入ったファンタジー大作で、動物やら植物やらが入り乱れてのスペクタクルは一見の価値あり。最後は水親父(?)がとどめをするってのは、ちょっと反則っぽいけどなぁ(笑)。

アンドリュー・アダムソン監督。2008年アメリカ映画。

2009年11月20日 (金)

バーンヤード 牧場は大パニック! (2006)

バーンヤード 牧場は大パニック とある牧場の牛オーティス(声:ケヴィン・ジェームズ)は、牧場のリーダーである父ベン(サム・エリオット)とは正反対のトラブルメーカー。ところが父のベンがある日コヨーテの群れに襲われて… 2代目として牧場のリーダーとなったオーティスだったが…

 動物たちが主役のCGアニメ。実は2本足で歩けるし、人語もしゃべれるけど人間たちの前ではネコをかぶっているというすっとぼけた動物たちが主人公。いきなり主人公のオーティスが陸サーフィンをはじめるあたり、ほのぼの系の映画かと思いきや、コヨーテが襲来してからは急にシビアな内容に変貌。オーティスの成長物語を、おもしろおかしく語ってくれるなかなかの秀作です。  かなり楽しめる上にクオリティも高く、これが劇場未公開&ビデオ未発売ってのは不思議です。ちなみに日本ではスターチャンネルとWOWOWで見ることができます。

 声の出演は上記以外にダニー・グローヴァー、コートニー・コックス、アンディ・マクダウェルと豪華です。

スティーヴ・オーデカーク監督。2006年アメリカ映画。

2009年11月17日 (火)

スターシップ・トゥルーパーズ3 (2008)

スターシップ・トゥルーパーズ3 宇宙生物バグとの戦いを繰り広げる未来の地球。惑星ロク・サンを守るジョニー・リコ大佐(キャスパー・ヴァン・ディーン)のところへ総司令官でありロックスターのオマー・アノーキ(スティーヴン・ホーガン)をはじめ、旧友のハウザー将軍(ボリス・コジョー)とローラ(ジョリーン・ブラロック)たちが訪ねてくる。ところが突然のバグの攻撃にあい、基地は崩壊してしまう…

 あの…「スターシップ・トゥルーパーズ」に、ついに第3作が登場。といってもまったく話題にならなかった映画だけに、内容もそれなりのものでなかなかヒサンな仕上がり。見せ場はといえば、パワード・スーツの登場(ラストにほんのわずかだが)と、司令官がロックスターだというあたりか(笑)。何だか、日本のロボットアニメの影響をモロに受けてんのかな? こういうのを逆輸出というのかもしれない。

 元々スプラッタ色の強かった1作目だったけど、本作では画面が暗いせいかそのあたりは若干おさえ目。そのぶん、コミカルなシーンにふったような作りで、笑えるか笑えないかが評価の分かれ目かもしれない。個人的には…それなりに笑えたってところかな。

エド・ニューマイヤー監督。2008年アメリカ映画。

2009年11月16日 (月)

潜水服は蝶の夢を見る (2007)

潜水服は蝶の夢を見る 雑誌ELLEの編集長ジャン・ドー(マチュー・アマルリック)は脳梗塞で倒れ、気がつくと左目のまぶた以外は動かせない全身麻痺の状態になっていた。彼のリハビリのために言語療法士アンリエット(マリ・ジョゼ・クローズ)と理学療法士マリー(オラツ・ロペス・ヘルメンディア)がつきっきりで世話をし、やがて瞬きによるコミュニケーション方法を得る。彼が次にとった行動は、編集者クロード(アンヌ・コンシニ)の聞き取りによる自伝の執筆だった…

 「007慰めの報酬」での悪役が印象的だったマチュー・アマルリック主演の実話の映画化。脳梗塞で倒れた主人公の視線からはじまり、その重苦しさは相当のものであり、疑似体験によるフラストレーションはなかなか大変である。しかしELLEの編集長という大物だけあるのか、3人の美女(?)による必死の看病で細々としたコミュニケーション能力を取り戻し、ついには自伝まで書いてしまう物語である。

 最初の重苦しさを吹き飛ばしてくれたのは、瞬きによるコミュニケーションを取り戻した時でも家族の面会でもなく、彼が書く詩的な文章がクロードにより読み上げられたところかな。いくら文才があっても、それを外に伝える方法がなければどうしようもないってのを思い知らされました。

 「潜水服は蝶の夢を見る」というタイトルもいいです。重い潜水服を脱ぎ捨てて、蝶になったジョン・ドーはどこへ行ったんだろう…と考えるとちょっと悲しいものがありますが。

ジュリアン・シュナーベル監督。2007年フランス=アメリカ合作。

2009年11月11日 (水)

告発のとき (2007)

告発のとき 元軍人のハンク(トミー・リー・ジョーンズ)とジョアン(スーザン・サランドン)夫婦の息子マイクが、イラク戦争から帰還後行方不明になる。残された手がかりは、携帯に残された短い動画ファイル。息子の行方を追ってフォート・ラッドの基地へおもむき、刑事エミリー(シャーリーズ・セロン)に協力を求めるのだったが、やがて息子が焼死体で発見される…

 実話を元にした映画らしいが、あまりにもシリアスでひねりがなくて、正直拍子抜けした。それはたぶん、期待した反戦のストレートなメッセージや戦争で息子を失った夫婦の物語ではなく、かなり異質のものを見せられたせいもあるかもしれない。でもこの狂気の連鎖というか、帰国してからの普通の殺人事件に戦争の本質が込められているという部分に本質を見る気がした。平和な国に住む人間にとってはわからない感覚だろうなぁ。

 それにしても、トミー・リー・ジョーンズとスーザン・サランドンの夫婦ってのが良い。軍人一家なんだけど、息子2人を戦争(?)で失ってしまうんですよね。そして「あなたが入隊をすすめたから」という奥さんのセリフも心に残る。普通の生活と普通でない生活が当たり前のようにつながっているところに、強烈な違和感を感じる。

ポール・ハギス監督。2007年アメリカ映画。

2009年11月10日 (火)

イン・ディス・ワールド (2002)

イン・ディス・ワールド パキスタンの難民キャンプに住むジャマール(ジャマール・ウディン・トラビ)はいとこのエナヤット(エナヤトゥーラ・ジュマディン)はロンドンへと亡命することになる。かくしてトラックやコンテナ、バスなどを乗り継いで命がけの旅が始まったのだったが…

 ミニシアターの芸術映画…といった雰囲気の出だしだったけど、旅がはじまってからはひたすらドキュメンタリーのようなシリアスなタッチに、ぐいぐいと画面に引き込まれて見てしまった。どうして亡命の旅に出ることができたのかとか、なぜロンドンかといった説明は一切ないのでもやもやっとしたものが残るのだが、それでもこの少年の住む居心地の悪い世界ではなく、ロンドンには何かがあるという希望を感じさせるところが救いなのだが…

 でも先進国と呼ばれるヨーロッパ圏に入っても、フランスで対岸のイギリスを眺めながらでもこの居心地の悪さってのは全然払拭されないんですよね。たぶん難民たちが日本へやって来ても、同様の居心地の悪さを感じるんじゃないかと思ってしまった。結局彼らが救われるってのは、何なんだろう。安定した暮らし? 家族? そしてこの映画は、どこまでが映画でどこまでがドキュメントなんだろうね?

マイケル・ウィンターボトム監督。2002年イギリス映画。

2009年11月 9日 (月)

セックス・アンド・ザ・シティ (2008)

セックス・アンド・ザ・シティ エッセイストのキャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)は仕事も順調な上に、恋人のミスター・ビッグ(クリス・ノース)と婚約するなど順風満帆な人生を送っている。友人のサマンサ(キム・キャトラル)は年下の恋人と同棲中。弁護士のミランダ(シンシア・ニクソン)は家族に恵まれて暮らしていたが、夫の浮気が発覚。子供ができずに悩んでいたシャーロット(クリスティン・デイヴィス)は、中国人の養女を得るのだったが…

 人気テレビシリーズの後日談…というわけで、たぶんドラマを見てないぶんだけ面白くないだろうなぁと構えて見たらこれが意外といけた。たぶんアメリカ女性の夢と思われるブランド漬け恋愛漬けの都会暮らしに、ぴりりと人生のスパイスをふりかけたかのような映画ってところが勝因かも。キャラクターがいいんだろうね。本来なら、くっついて離れてもういいかげんにせえと言いたくなるキャリーとミスター・ビッグの関係なんかも、ちょっと肩入れして見ることができました。

 個人的に笑ったのは、サマンサの女体盛り。ちょっと小腹がすいた時に見ていたので、あれを見ながらなぜか妙に寿司が食いてぇ~なんて思ってたら話はアメリカ映画ならではの食べ物の投げ合いに発展。げっ、冷蔵庫の扉にべちょっとくっついたスシを見てると、食欲がなよ~んと減退してしまった。

 というわけで、最後まで飽きずに見ることはできたのだが、残った感想は「勝手にやってくれ」。結局印象に残ったキャラクターはキャリーの私設秘書役だったジェニファー・ハドソン。最後に彼女がすべてをかっさらっていった感じでありました。

マイケル・パトリック・キング監督。2008年アメリカ映画。

2009年11月 7日 (土)

ザ・ワン (2001)

ザ・ワン 125あるという多次元宇宙を支配しようとする男ユーロウ(ジェット・リー)は、各世界にいる自分の分身をすべて殺して全能の神の存在(ザ・ワン)になろうとする。彼を追いかける宇宙捜査局の刑事(ジェイソン・ステイサム)だったが、ついにユーロウは最後の一人であるロウレス(ジェット・リーの二役)に迫るのだったが…

 多次元宇宙なんてめんどくさそうなナレーションではじまるあたりに、こんなん理解できるんかとちょっと危機を感じたが…中身はどうってことないパラレルワールドもののアクション映画でありました。世界は125あるらしいんだけど、すでに123人のジェット・リーたちは始末ずみ。残る二人のバトルに、宇宙局の刑事が加わるんだけど、同胞たちを殺せば殺すほど強くなるという設定だけに彼らはすでに超人バトルの域に達しているというわけである。うーん、ジェット・リーなんて何もしなくても超人の域に達していると思うんだけどなぁ。

 とか思いながら、このおもいっきりB級具合とパラレルワールド、そしてラストのオチのまとめかたは何かに似ている、と思ったらジャン・クロード・ヴァン・ダム主演の「タイムコップ」を思い出した。再見までしてみよう、というつもりはないけど…

ジェームズ・ウォン監督。2001年アメリカ映画。

2009年11月 5日 (木)

スター・トレック (2009)

Startrek ロミュラン人ネロ(エリック・バナ)との戦闘中に宇宙船USSケルヴィンの中で生を受けたカーク(クリス・パイン)だったが、父は皆を救って壮絶な戦死を遂げる。青年になったカークは無軌道な青春をおくっていたが、USSエンタープライズの初代艦長パイク(ブルース・グリーンウッド)に、父を越える男になってみろとスターフリート入りをすすめられる。そこにはバルカン人のスポック(ザカリー・クイント)を始め、若き日のスルー(ジョン・チョー)、ウフーラ(ゾーイ・サルダナ)らがいた。

 テレビ版スタートレックのいわば「ビギニング」篇。以前、映画版が登場して「ジェネレーションズ」でカーク船長の最期が描かれた時に「映画版が登場しなければ、このシーンは見ることがなかったのに…」という感想を書いたことがあったのだが、この映画に関してはまったく逆の感想。映画版が誕生したからこそ、カークの誕生からおなじみのメンバーたちのはじまりの物語を見ることができたってところ。

 しかし、ストーリーは若干パラレルワールドを描いているためかテレビ版とは味付けが微妙に異なっているところも面白い。バルカンが破滅したり、スポックとウフーラが恋愛関係にあったりという部分はかなり面白い設定である。タイムパラドックスから、カークの父は救われるのか…と期待させておいてそうはいかない辛口な点もあったりする。

 スポックよりも、スルーやチェコフの方がちょこまかとしたノリで大活躍するのが笑えた。スコットやマッコイもいい味を出している。しかし、彼らがみんな同期だったとは知らなかったぞ。

J・J・エイブラムス監督。2009年アメリカ映画。

2009年11月 3日 (火)

NOセックス、NOライフ! (2005)

NOセックス、NOライフ 専業主夫のトム(デヴィッド・ドゥカヴニー)と女優のレベッカ(ジュリアン・ムーア)は性のすれ違いの問題からカウンセリングに通っている。レベッカの弟トビー(ビリー・クラダッブ)はエレイン(マギー・ギレンホール)と何年も同棲しているが、そろそろ子供が欲しいという彼女との意見の相違から別れてしまう。新しい彼氏を作ったエレインだったが…

 微妙にすれ違う二組のカップルを描いた、大人のラブストーリー。何とも言えない邦題がついているのが微妙だけど、内容は原題のとおり「人を信じろ」ってことなんですよね。ちょっとなさけない感じのトムが、セラピーで徐々に心を開いていく様子は、ありきたりだけど感動的。同じく、うだうだと距離をはかっているトビーとエレインの物語も見せてくれる。子供を作るってのは男女ともに大問題だとは思うのだが、これから逃げる男ってのはそんなに一般的なんかな。ちょっと不思議。

 さらに、チョイ役でエヴァ・メンデスとかエレン・バーキンが出てるのは、豪華というよりももったいない感じがした。

バート・フレインドリッチ監督。2005年アメリカ映画。

2009年11月 2日 (月)

ゲーム・プラン (2007)

ゲーム・プラン アメフトのスター選手ジョー・キングマン(ザ・ロック/ドゥエイン・ジョンソン)のところへ娘を名乗る少女ベイトン(マディソン・ベティス)が転がり込んでくる。独身を謳歌する彼は激しく拒絶するのだが、やがて叔母が彼女を引取にやって来て…

 古くはシュワちゃん、スタローン、最近ではヴィン・ディーゼルなどなど、人気が出たアクションスターが必ず通る道…って決まってるかどうか知らないけど、ザ・ロックよおまえもかというわけで登場したキッズコメディ。そりゃ「私はあなたの娘よ」と言われたら普通の男だったら戸惑うだろうけど、思い当たるフシだらけの彼はそれなりに受け入れてしまう。ワガママなダメ男って設定なのかもしれないけど、なかなか度量の深さを感じてしまったぞ。

 とはいっても映画の深さはそこまでで、あとは一般的なキッズコメディの王道をズボーンと突っ走るかのようなストーリー。ザ・ロックへの愛情がないと少々きついかなぁという感想です。独身男性の憧れの部屋は…やっぱ子育てには向いてないんでしょうね。そうそう、マッチョな男はバレエがよく似合います。劇場未公開作品。

アンディ・フィックマン監督。2007年アメリカ映画。

2009年10月31日 (土)

ブラックサイト (2008)

ブラックサイト シングルマザーのFBI捜査官ジェニファー(ダイアン・レイン)はサイバー捜査が専門だが、ある日ネット上にアクセスが増えるほど薬物が投与されてネコが殺されるというライブ映像を発見する。彼女の心配どおりに、次にネットに登場したのは拘束された人間。予測どおりアクセスはうなぎ昇りに増えて…

 ネット殺人予告や自殺サイトなどがマスコミを賑わせる中、あってもおかしくないなと思わせてくれるアクセス数による殺人を描いたスリラー。シリアスな役も似合うダイアン・レイン主演に加えて、安全と思われたネットのこちら側にいる人間がどんどん巻き込まれていく展開、そして犯人の動機付けなどなど、なかなかしっかりとした描き混みがされているところがまたリアリティがあって良い。

 強いて言えばワールドワードなウェブの世界なんだから、犯人は手の届かない遠方にいても良かったんじゃないの、なんて思いはしたが。

グレゴリー・ホブリット監督。2008年アメリカ映画。

2009年10月21日 (水)

デッド・サイレンス (2007)

Dead_silence ジェイミー・アーシェン(ライアン・クワンテン)とリサ夫婦のところに、差出人不明の小包が届けられる。中から出てきたのは腹話術の人形で、ジェイミーが夕食を買いに行っていた間にリサは惨殺されてしまう。事件の謎を解くために、故郷の村へ帰るジェイミーだったが…

 「SAW」のスタッフが作ったというサスペンス・ホラーで、なるほど雰囲気はSAWに近く、モノクロタッチの映像が恐怖心を誘う。内容は腹話術の人形が過去の怨念を晴らすという「チャイルド・プレイ」もどきの物語なのだが、人形の扱いが妙にうまくて特にラストのオチなどはうならされてしまった。怖いというよりも、アイディア賞ものですね。

 腹話術の最中に「口が動いている」と叫ぶなんてのは、反則というよりも単に空気が読めないだけの話なのかも。それを根に持ってネチネチ祟る…ってのも、何だかなぁ。

ジェームズ・ワン監督。2007年アメリカ映画。

2009年10月19日 (月)

ハイ・フィデリティ (2000)

ハイ・フィデリティ ロック大好きのロブ・ゴードン(ジョン・キューザック)は、バリー(ジャック・ブラック)とディック(トッド・ルイーゾ)の二人と小さなレコードショップを営む。しかし女性関係はうまくいっておらず、同棲中のローラ(イーベン・ヤイレ)は家を出て行ってしまう…

 ロックオタクの30代男性が、過去の女性遍歴から音楽に関する思いまでを語りまくる映画。これは波長が合う、合わないがかっちり分かれる映画だと思う。ロックを語るってのはおやじの領域にはいってきてるってことかなぁ(しみじみ)。

 というわけで、最近音楽に対する思い入れがすっかり冷めてしまっている自分としては、意外と冷ややかな目でこの映画を見てしまった。ジョン・キューザックって人は、このように微妙になさけない役どころがぴったり。それにしても、彼女の女性遍歴がキャサリン・ゼタ・ジョーンズとかリサ・ボネットとか、妙にレベルが高いのが気になるぞ。

スティーブン・フリアーズ監督。2000年アメリカ映画。

2009年10月17日 (土)

ブラザーサンタ (2007)

ブラザーサンタ フレッド(ヴィンス・ボーン)は出来のいい弟ニック(ポール・ジアマッティ)のおかげで肩身の狭い子供時代をおくる。そして現代、フレッドはとある事件から留置場に入れられてしまう。サンタ・クロースとして働くニックに、釈放の引き受けたのむフレッドだったが、その条件は弟のサンタの仕事を手伝うことだった。かくしてフレッドは空飛ぶソリに乗り、北極へと旅立つのだったが…

 70年代に「サンタクローズ初めての映画化」なんてコピーが踊った映画があったけど、このところでは定番化された感じのあるサンタクロース映画。今回はサンタに兄弟の確執といったテーマをからめてコメディに仕立ててるんだけど、これって結構人類普遍のテーマというか、身につまされる方もおられるのではないかと観賞しながら思ってしまった。途中からサンタ工場に入ってくるコストカッターの存在も含めて。

 とはいってもファミリー映画の作りに代わりはなく、空飛ぶソリの爽快感、プレゼント配りの見せ場などなどスピーディーに展開する画面は一件の価値があります。一晩で世界中の子供たちにプレゼントを配る、という物理的に絶対無理なことを、いかにもできそうに思わせてくれるのは映画の魔力でしょう。

デヴィッド・ドブキン監督。2007年アメリカ映画。

2009年9月30日 (水)

噂のアゲメンに恋をした (2007)

噂のアゲメンに恋をした 小さいときに、女の子に呪いをかけられてしまった歯科医のチャーリー(デイン・クック)は、一夜を共にした女性が次に見つけた男と幸せな結婚をするという「アゲメン」になってしまう。噂を聞きつけた美女たちが彼の回りに群がり、ウハウハの生活をおくるチャーリーだったが、ペンギンの飼育員でドジな美女キャム(ジェシカ・アルバ)に一目惚れしてしまう。しかし彼女が他の男と結婚する運命になってしまうことに耐えられないチャーリーは、異常行動に出てしまい…

 いわゆる艶笑コメディものだけど、え~ジェシカ・アルバがこういうのに出ているの~って驚きがありました。下ネタもヌードシーンも満載なんだけど、彼女が最後まで脱がないってのは期待した方には肩すかしかもしれない。それにしても笑いのツボは外してないし、友達の外科医がいいキャラクターだったりとか見所はいっぱい。強いて言えば、注意しなければいけないのは下ネタがかなり強烈なので一緒に見る人を選ぶ映画だって部分ぐらいかな。

 冒頭のビンをくるくる回して、当たった男女がクローゼットにこもるって遊びが笑えた。やってるのが自分の娘だったら、笑えないだろうけど(笑)。

マーク・ヘルフリッチ監督。2007年アメリカ映画。

2009年9月29日 (火)

スピード・レーサー (2008)

スピード・レーサー スピード・レーサー(エミール・ハーシュ)は父(ジョン・グッドマン)の作ったマッハ号を操る新人レーサー。彼の才能を見抜いたロイヤルトン社のオーナーからスポンサーのオファーが来たが、ただならぬ雰囲気を感じたスピードはこれを断る。ロイヤルトンの裏工作で、次のレースでは他のドライバーがスピードに向かって襲いかかってくるのだったが…

 日本のアニメ「マッハGoGoGo」をウォシャウスキー兄弟がハリウッドで映画化。このマンガは小さい頃見ていたはずなんだけどストーリーが全然思い出せない。こんな雰囲気だったのかな? くるくるとスピンしながら戦う様子は、本物のレースと比べても違和感ありありだし、画面がどう見てもヴィデオゲームのようで好きになれない。レース映画というよりも、レースゲーム映画といった感じである。マリオカートとかの画面を見る感じで楽しまなければいけないんだろうか。

 とにかく不思議な映画なんだけど、登場人物が豪華なのが救いかな。ジョン・グッドマンとスーザン・サランドンの両親に、恋人がクリスティーナ・リッチとくればオールスターキャストではないですか。このメンバーがプライベート・ヘリに乗ってレースを追いかけ、これまたアニメキャラのようなレーサーX(マシュー・フォックス)が登場して主人公家族とからんだりと、かなり頭のねじを外してみなければいけない映画であります。そうそう、日本の真田広之も出てますけど、何の役かさっぱりわからなかったぞ(笑)。

アンディ・ウォシャウスキ-、テリー・ウォシャウスキー監督。2008年アメリカ映画。

2009年9月28日 (月)

ストレンジャー・コール (2006)

ストレンジャー・コール 女子高生のジル(カミーラ・ベル)はベビーシッターのバイトでジョンソン氏(クラーク・グレッグ)の屋敷へやって来る。二人の子供は寝ているから、起こさずに留守を過ごしておけばいいだけの楽なバイトのはずだったが、やがていたずら電話が執拗にかかってきて、しかも犯人はどこからか彼女を監視していることがわかり…

 かなりデジャヴー的な感覚を味わうことができるホラー・サスペンス。「スクリーム」とかにありがちなパターンだなぁと思ってたら、なんと「夕暮れにベルが鳴る」のリメイクらしい。「夕暮れ~」のストーリーなんて完全に忘れてしまったけど、ひとりの部屋で犯人の攻撃におびえる少女の姿はおぼろげに頭の中に残っている。これも同様に、20年ぐらい経ったらそういうシチュエーションだけが頭に残る映画だろうな。あ、タイトルを覚えていたらの話だけど。

 ストーリーは完全なびっくり箱ホラーで、ひねりがないのが特長。彼女をベビーシッターに雇った夫婦とか、電話に出た警官とか、登場しない大学生の息子とか、彼女をこの屋敷におくってきた父親とか、怪しげな人物がいっぱいいるのに結局誰も時間の犯人ではなかった…というのが一番のひねりなのかも(笑)。主演のカミーラ・ベルってのはなかなかの美少女です。

サイモン・ウェスト監督。2006年アメリカ映画。

2009年9月24日 (木)

NEXT ネクスト (2007)

NEXT マジシャンのクリス・ジョンソン(ニコラス・ケイジ)は実は自分にかかわる2分先が見える予知能力者。ところが彼の予知能力を目当てに、FBIのカリー(ジュリアン・ムーア)はテロリストの阻止への協力を求めてくる。いったんは断り、運命の人リズ(ジェシカ・ビール)と山荘に泊まったクリスはそこでテロリストの襲撃を受けて…

 フィリップ・K・ディックの「ゴールデンマン」を映画化。映画もコンパクトに小気味よくまとまった佳作で、アクションファンもSF好きもニコラス好きもそれなりに楽しめる内容。2分間先が見通せる…というよりも2分間しか見通せないという縛りがなんともいい効果を上げていて、そのくせ肝心なところでは妙に先まで見渡せたり首をかしげる部分はあるんだけど面白い物語になっている。

 運命の人、ジェシカ・ビールが普通っぽいくせに色っぽくていい雰囲気。ジュリアン・ムーアは相変わらず捜査官役がぴったりです。中途半端とも、いやこれでいいんだ的とも言えるところで終わっちゃったけど、続編はあるのかな?

リー・タマホリ監督。2007年アメリカ映画。

2009年9月21日 (月)

ラブ・ザ・ドッグ 犬依存症の女 (2007)

Year_of_the_dog 一人暮らしのペギー(モリー・シャイン)は愛犬のペンシルと楽しい日々を過ごしていたが、ある日ペンシルは急死してしまう。寂しさをまぎらすために、隣人のアル(ジョン・C・ライリー)とデートしたり、妹(ローラ・ダーン)の家に通ったりするのだったが、犬つながりで知り合ったニュート(ピーター・サースガード)から捨て犬を譲り受けて…

 愛犬を失った愛犬家の暴走を描いたブラック系コメディ。あまりに気の毒で笑うに笑えない、というのが正直なところで、このペギーさん後半はかなりはた迷惑な行為に及ぶのですがスクリーンのこちら側から一部始終を見ているだけに、つきあいきれないってばっさり切り捨ててしまえないのが辛いところ。まあそれがこの映画のテーマであり、しっかり考えさせられるところなんですが。

 ライトコメディに思えて、動物愛護、殺して食べること、ベジタリアンと、かなり重いテーマに踏み込んでいるのが考えさせられます。そのあたりが、スタッフ・キャストにブラッド・ピットやジャック・ブラックなどが名前を連ねている所以でしょうか。どうしてもベジタリアンになれない私は、しっかり残さず感謝して食べることだけは心がけます。この映画、日本では劇場未公開、DVD未発売、スター・チャンネルでだけ見られるという状態です。

マイク・ホワイト監督。2007年アメリカ映画。

2009年9月19日 (土)

叫 (2006)

叫 湾岸で海水を飲まされて溺死した女性の遺体が発見される。捜査を担当する吉岡刑事(役所広司)は、現場の遺留品と自分のつながりに引っかかるものを感じる。恋人の春江(小西真奈美)ともしっくりいかず、同僚の宮地(伊原剛志)ともぶつかり合っていたが、やがて第2の殺人事件が起こり吉岡は赤い服を着た幽霊(葉月里緒菜)に悩まされるようになる。

 黒沢清監督のジャパニーズホラー。建物を建てたり壊したり液状化したりという、得体の知れない湾岸地帯の雰囲気が満点でこういう地縛霊みたいなのもいても不思議じゃないなぁ、という気分にさせてくれるところは立派である。しかしストーリーが微妙に舌足らずで、1回見終わったところで謎が多くてフラストレーションがたまる。なぜ恨む、葉月? なぜああいう目にあう、伊原、なぜなぜ小西といったところか(ねたばれになるので伏せてます、すみません)。

 精神科医のオダギリジョーも、なぜ突然診察を投げてしまったかが謎。なんとなく想像はつくんだけど、想像の域を出てないんですよね。葉月は色白だけに、赤い服がこれまたよく似合って立ってるだけで怖いです。まさか飛ぶとは思いませんでしたが。

黒沢清監督。2006年日本映画。

2009年9月18日 (金)

奇跡のシンフォニー (2007)

奇跡のシンフォニー 孤児院で育ったエヴァン・テイラー(フレディ・ハイモア)は回りの音がすべて音楽に聞こえる音感の持ち主。会ったことのない両親にを求めて孤児院を脱走してニューヨークへ。同じ頃、彼の母であるチェリストのライラ(ケリー・ラッセル)は久しぶりの演奏の準備中。同じくミュージシャンだった父ルイス(ジョナサン・リス・マイヤーズ)は、バンドを再結成したところだったが…

 音楽が家族を結びつける…というテーマのドラマ。最初のお膳立てからして、ラストがどうなるのかがもう完全にわかってるんだけど物語はレールの上にのってずんずん進んで行く。途中で、ストリート・チルドレンたちを仕切るウィザード(ロビン・ウィリアムズ)によって物語は「オリバー・ツイスト」と化するんだけど、これも完全にお約束の展開かも。ハンス・ジマーの音楽で物語を盛り上げろうとがんがん演奏するあたりも良いが、若干から回り気味。

 定番ストーリーながら何で感動が薄いのだろうかと思ったら、キャラクターたちに魅力が少ないせいかな。特に主人公のフレディ・ハイモアくんは神童とあがめられて音楽を思うがままに操るんだけど…もちろんミュージシャンである両親のDNAなんだろうけど、これを見てたら自分は子供に何も残してあげられなかったなぁと、ちょっと自己嫌悪を感じてしまった。ふう。

 と酷評しながらも、ひとつだけ好きなシーンはエヴァンと父のルイスがお互いの素性を知らずにギターでセッションをするシーン。こういう親子関係には、ちょっぴり憧れます。

カーステン・シェリダン監督。2007年アメリカ映画。

2009年9月17日 (木)

最高の人生の見つけ方 (2007)

最高の人生の見つけ方 歴史マニアで自動車整備士のカーター(モーガン・フリーマン)が末期ガンで入院する。同室となったのは、この病院のオーナーで大金持ちのエドワード(ジャック・ニコルソン)。まったくタイプの違う二人だったが、共に余命いくばくもないことを知り意気投合して、人生にやり残したことをリストにしてそれを消化する旅に出ることになったのだったが…

 モーガン・フリーマンとジャック・ニコルソンという、個性派老優(?)による人間ドラマ。ニコルソンは最近こういう枯れたストーリーの作品での名演が目立つけど、これもそんな1本。しかし欲を言えば、家庭に恵まれ奥さんに恵まれたよい人フリーマンと、大金持ちだけど毒気だらけ人間関係ズタボロのニコルソンって二人の雰囲気そのままやん。いっそのところ、役どころが逆だったら面白かったのでは、なんてうがった見方をしてしまいました。

 とはいっても、この二人の名優にロブ・ライナー監督とくれば、見せてくれないはずがありません。二人の旅がスカイダイビングやカーレースからはじまるあたり、こりゃアメリカらしい金持ちの道楽映画かと思わせておいて、話がだんだん家族や人間関係へと収束していく終盤、安心したと同時にうーんとうならせてくれました。世界一の美女とキスするなんて項目は、これは落としどころですね。最後を締めてくれたエドワードの秘書(ショーン・ヘイズ)と、泉ピン子似のカーターの奥さん(ビヴァリー・トッド)も良かった。奥さんは最後の日々をエドワードに取られてちょっとかわいそうだったけど。

 本来だったら一生かけて棺桶リストを実行すればいいのに、人間ってせっぱつまってみないと何もできないってことでしょうか。ちょっと身につまされるものがあったりします。

ロブ・ライナー監督。2007年アメリカ映画。

2009年9月13日 (日)

フールズ・ゴールド カリブ海に沈んだ恋の宝石 (2008)

フールズ・ゴールド トレジャー・ハンターのベンジャミン(マシュー・マコノヒー)は借金まみれの上に妻テス(ケイト・ハドソン)とは離婚寸前の危うい仲。ところがスペイン王の財宝の手がかりを手に入れた上に、大富豪ナイジェル(ドナルド・サザーランド)とその娘ジェマ(アレクシス・ジーナ)というスポンサーがつく。かくして金貸しのギャング(ケヴィン・ハート)に追われながらもクルーザーで金塊探しの旅に出るのだったが…

 またもや登場、トレジャー・ハンターの物語。ストーリーとしては「イントゥ・ザ・ブルー」寄りの海洋アドベンチャーなんだけど、緊迫感なんてまるでなしの、超コメディにふったライトな作りである。デートムービーとして見た方が向いているかな。離婚寸前の主人公夫婦に加えて、スポンサーのドナルド・サザーランドはど~んと締めているにもかかわらず、壊れた娘アレクシス・ジーナが強烈なキャラである。微妙なお色気もあって、ロリコン受けするかもしれない(笑)。対する敵キャラもギャングの借金取りが用意してあるのだが、たいした敵ではないので全然記憶に残っていない(笑)。

 かくして、敵味方の船が並んで、これまたのどかに宝探しをする映画である。水中で爆破作業とかするんだったら、もうちっとは緊張感持てよなぁ。まぁ、楽しくて海が美しいからいいか。

アンディ・テナント監督。2008年アメリカ映画。

2009年9月12日 (土)

フィクサー (2007)

フィクサー ニューヨークの法律事務所で、もみ消し屋(フィクサー)として働く弁護士のマイケル・クレイトン(ジョージ・クルーニー)。大手企業U・ノース社の集団訴訟事件を担当した弁護士アーサー(トム・ウィルキンソン)の突然のご乱心をもみ消す仕事が舞い込んできたが、実は彼は会社が隠している農薬中毒事件の決定的証拠をつかんでの行動だった。U・ノース社の顧問弁護士のカレン(ティルダ・スウィントン)は証拠をもみ消すための行動に出るのだったが…

 企業サスペンスなのだが、前半は渋すぎる…というか妙にタルくて睡魔に襲われたが、ティルダ・スウィントンが暗躍しはじめてからは話が急に面白くなりクライマックスまで一気に楽しめた。彼女がアカデミー助演女優賞というのは後で知ったんだけど、なるほどね~と納得。彼女のご面相といい雰囲気といい、そして演技は一度見たら忘れない。ヒールとしてはトップクラスで、殺人依頼をしながらも自分は日常の中にとどまっていたい…なんて思いが彼女の目を通して伝わってきたぞ。凄い凄い。

 ストーリーは強いて言えば、地味にしたエリン・ブロコビッチといったところかな。集団訴訟はいいけど、それでどれだけの被害が出てるのかがわからないのがちょっと本作の弱いところ。まぁそれは本筋ではないんでしょうけど。乗ってる自動車を爆破されたら、そりゃ気持ちも変わるかもしれない。そんなところから大金もらっても、落ち落ちと寝てられないでしょ。主人公の上司でシドニー・ポラックも出てます。

トニー・ギルロイ監督。2007年アメリカ映画。

2009年9月11日 (金)

ディセンバー・ボーイズ (2007)

ディセンバー・ボーイズ 全員12月生まれなので、ディセンバー・ボーイズと呼ばれる孤児院の少年マップス(ダニエル・ラドクリフ)、スパーク(クリスチャン・バイヤーズ)、スピッツ(ジェームズ・フレイザー)、ミスティ(リー・コーミー)の四人は、夏休みのプレゼントとして海辺の村で過ごすことになる。そこで年長のマップスは大人びた少女ルーシー(テリーサ・パーマー)に恋をする。他の3人も、海辺に住む夫婦(ジャック・トンプソン、ヴィクトリア・ヒル)が養子を求めていることを知るのだったが…

 マイケル・ヌーナンの原作を映画化した青春映画。ハリ・ポタのラドクリフ主演。雰囲気としては、オーストラリア版「おもいでの夏」といった感じだが、マップス以外はみんな子供で、ストーリーも養子縁組にはいりたい、といった部分に焦点がおかれていたあたりがちょっと違う。養子縁組で家族を作ることと、初めてのガールフレンドができるという2つのストーリーが平行して語られるのが面白かった。

 意外とたんたんとした内容は、美しい風景も手伝ってか癒し系。ただしストーリーに期待したらちょっと外されるかもしれない。ガールフレンド役のちょっとすれた感じのするテリーサ・パーマ-が良かった。それからラストの年寄りたちはいい余韻が残ったんだけど、それ以外には風景以外に印象的なシーンが少ないのがちょっと辛いところ。

ロッド・ハーディ監督。2007年アメリカ映画。

2009年9月10日 (木)

アイ・ラブ・トラブル (1994)

アイ・ラブ・トラブル 大きな列車事故が起こり、たまたま記者不在だったためにコラムニストのピーター・ブラケット(ニック・ノルティ)が取材することになる。かつての事件記者で誰が書いても同じと軽くこなしたピーターだったが、ライバル誌のサブリナ・ピーターソン(ジュリア・ロバーツ)にスクープをすっぱ抜かれて面目丸つぶれにされる。やがて二人は共同で事件を追うことになるのだが…

 ジュリア・ロバーツとニック・ノルティという2大スター競演の豪華なサスペンス劇場。こうなると、もう列車事故に関するミステリーなんてあってないようなもので、ひたすら二人のかけあいとぶつかりあい、そしていかに最後は仲良くなるかを見る映画。それはそれでいいのかもしれないけど、筆者としては若干見飽きてしまった、と感じるジャンルかな。

 二人が成り行きで結婚式のまねごとをしたり、といったシーンはなぜかデジャヴー感覚を覚えてしまった。かつて古き良きアメリカ映画で使われてたパターンなのかな。ところでジュリアとニックの年齢差ってどれだけあるんだろう。

チャールズ・シャイア監督。1994年アメリカ映画。

2009年9月 8日 (火)

笑う大天使(ミカエル) (2005)

笑う大天使 唯一の身内だった母を亡くした司城史緒(上野樹里)は、再会した大金持ちの兄・一臣(伊勢谷友介)の紹介で全寮制の超お嬢様学校・聖ミカエル学園へ転校する。お嬢様たちの中で息苦しさを覚える史緒だったが、クラスメートの斎木和音(関めぐみ)と更科柚子(平愛梨)が自分と同じ心境だったことを知り…

 川原泉の人気少女コミックの映画化。いかにもコミックといったぶっとんだ設定で、あまりの現実離れに冒頭から頭のネジを1本抜いて見る覚悟が必要。しかもストーリーはどんどんエスカレートして、ついに中盤は超能力戦争からヒロインの巨大化へと正に何でもありである。凄い…映画である。

 デジタル合成とかが一般化して、こういう映画がぽんぽんと飛び出すようになったんだろうね。しかもコミックという割り切りからか、妙にリアルに見せようと思わないゲームのような質感の画面はいいかもしれない。上野樹里って意外と可愛かったんだと再発見すると共に、手足のすらっと長い関めぐみもはまり役。ゲスト出演的に菊地凛子も出ています。

小田一生監督。2005年日本映画。

2009年9月 7日 (月)

アストロノーツ・ファーマー 庭から昇ったロケット雲 (2007)

アストロノーツ・ファーマー 庭から昇ったロケット雲 かつての宇宙飛行士でありながら実際に飛ぶことはなく、現在は農場を営むチャーリー(ビリー・ボブ・ソーントン)は、宇宙への夢があきらめきれず次作の宇宙ロケットを作っている。妻のオーディ(ヴァージニア・マドセン)と子供たち(マックス・シエリオット、ジャスパー・ポーリッシュ、ローガン・ポーリッシュ)はチャーリーを支えるのだが、借金で首が回らなくなった上にFBIの捜査官(マーク・ポーリッシュ、ジョン・グライス)にも目をつけられ…

 邦画で言えば「明日があるさ」のような、個人で宇宙ロケットを作って飛び立つ物語。「明日~」と同じく、宇宙船が妙に小型なのと完成システムがチャチく見えるのが気になるのだが、現代の技術と高性能パソコンをもってくればこのくらいのことはできてしまう、と理解すべきなのか?

 その割りには、1回目の発射でチャーリーが真横にすっ飛んで行ったのは、そのチャチなイメージを裏付けるかのような描写で、恐ろしいシーンながらも内心にんまりしてしまったわけなのだが…

 とは言いながらも、映画の出来不出来にかかわらずoga.はこの手の物語が大好きなのである。宇宙なんて個人では無理、なんて常識がばんとくつがえされていく当たりが、やっぱり映画の醍醐味なんだろうと思う。実際は借金を重ねるだけ重ねてロケットは飛ばず、自己破産するなんて人がアメリカにはいっぱいいそうな気がします。チョイ役でブルース・ウィリスも出てます。

マイケル・ポーリッシュ監督。2007年アメリカ映画。

2009年9月 1日 (火)

アメリカを売った男 (2007)

アメリカを売った男 FBIの捜査官エリック・オニール(ライアン・フィリップ)はベテラン捜査官ロバート・ハンセン(クリス・クーパー)の助手となり監視することを命じられる。重要な事件から退屈な任務への変更に不満を隠せないエリックだったが、実はハンセンは重要な国家機密を20年にわたりロシアに売り続けた史上最悪のスパイだった…

 邦題のとおり、アメリカの機密を売り続けて20年のとんでもない男の逮捕劇で、もちろん実話。物語を逮捕前の2ヶ月にしぼったことで、緊迫感あるいい映画になっている。クリス・クーパーの屈折ぶりはなかなかのもので、あの眼光で「嘘を見抜く訓練を」なんて言われたらちびってしまいそうである。監視はひよっこだと言われながら、賢明についていくけなげなエリックも立派で共感を呼ぶ。

 奥さんとの葛藤をからめた部分もリアルです。宗教と教会も重要なモチーフになっているのが印象的。結局、自分を止められなくなったハンセンは早く逮捕してほしかったというんだけど、その気持ちを理解するのはなかなか難しい。ハッカーがハッキング行為を行う動機にも似てますね。

ビリー・レイ監督。2007年アメリカ映画。

2009年8月31日 (月)

ディボース・ショウ (2003)

ディボース・ショウ 離婚専門の敏腕弁護士マイルズ・マッシー(ジョージ・クルーニー)は大富豪レックスロス(エドワード・ハーマン)とマリリン(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)の離婚訴訟を引き受ける。絶体絶命の状況から勝利を勝ち取ったマイルズだったが、実はマリリンに一目惚れ。ところが金持ちと結婚して慰謝料をふんだくることに生き甲斐を感じるマリリンは、今度は石油王ハワード(ビリー・ボブ・ソーントン)と結婚するのだったが…

 コーエン兄弟によるブラック・ラブコメ・離婚劇。まぁ男がすんなりと騙されそうということでは天下一品のキャサリン・ゼタ・ジョーンズが中心なだけに、物語の説得力は十分。余裕たっぷりのジョージ・クルーニーの目線で、たっぷりと騙されたり煙に巻かれたりと楽しめた1時間半でした。

 難を言えば、終盤の殺し屋のくだりがあまりに現実離れしていて(全体的に現実離れはしているのだが)、素直にラストを喜べない…というのが辛いところかも。でもブラックな笑いはたっぷりと用意されていて、ケレン味たっぷりだけど後半崩れていくジョージ・クルーニーは正にはまり役といった感じでありました。

ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン監督。2003年アメリカ映画。

2009年8月25日 (火)

アメリカン・ホーンティング (2006)

アメリカン・ホーンティング テネシーに住む少女ジェーン(レイチェル・ハード・ウッド)は、ひどい悪夢にうなされる。そのきっかけは、屋根裏で見つけた古い書簡だった。その書簡には、かつてこの家に住んでいたジョン(ドナルド・サザーランド)とルーシー(シシー・スペイセク)、娘(レイチェルの二役)が、魔女と呼ばれる女性に金を貸して逆恨みされ呪われたという事件が書かれていた…

 魔女に呪い殺される殺人事件として有名な「ベル・ウィッチ事件」の映画化。といったもoga.も含めて日本人にはぴんとこないかもしれないが、あちらでは結構有名な話なのだそうだ。ひとつ賢くなりました。

 話はエクソシストとポルターガイストが合体したような感じで、じわじわと恐怖を盛り上げていく演出はホラーの常套手段といった感じ。しかし実話(?)の映画化だけにおさえるときはびしっとおさえてあり、描かれる怪奇現象のわりにはストーリーが意外と単調である。やっぱ背景を理解してないと、楽しめない映画なのかもしれません。

 現代からスタートするんだけど、描かれるのはほとんどが書簡に残された1818年の怪奇現象。徐々におかしくなっていくドナルド・サザーランドは熱演である。シシー・スペイセクは、キャリーをリアルタイムに知る世代としては、ホラーの大御所といった位置づけかも。

コートニー・ソロモン監督。2006年イギリス=カナダ=ルーマニア=アメリカ合作。

2009年8月24日 (月)

スターダスト (2007)

スターダスト 壁に囲まれたウォール村に父と二人で住むトリスタン(チャーリー・コックス)は、片思いの美女ヴィクトリア(シエナ・ミラー)のために外の世界へ行って流れ星を取ってくることを決意する。ところが星が落ちた場所にはイヴェイン(クレア・デインズ)が倒れていて、彼女が流れ星だと知ったトリスタンは村へ連れ帰ろうとするのだったが…

 ニール・ゲイマンの原作を映画化。ストーリーはさらに、ストームホールド王(ピーター・オトゥール)の後継者争いやら永遠の命を求める魔女ラミア(ミシェル・ファイファー)やら、空賊のキャプテン・シェイクスピア(ロバート・デ・ニーロ)やらがからんで混沌とした様相。それでもストーリーが単純なおかげか、ぼーっと見ていても迷子になることはない。

 実は全然期待せずに見たら、意外と楽しめたというのが正直な感想。トリスタンの出生の秘密からはじまって、壁に囲まれた村、落ちてきた流れ星、空飛ぶ船などなど、イマジネーションを刺激する仕掛けはたっぷり。王族の兄弟が殺されるたびにゴーストになっていくくだりや、ミシェル・ファイファーの怪演などなどおかずがいっぱいでもうごちそうさま状態であった。クレア・デインズが実はヒロインだったというのは、ストーリーの流れからしてもお約束ごとかな。

 ちょっとだけ納得できないのが、彼がふってしまうヴィクトリアの扱いかな。王位継承についても、あまりにも軽すぎるんだけど映画全体が軽いんだからこれはこれでいいんでしょう。続編はなさそうな雰囲気です。

マシュー・ヴォーン監督。2007年アメリカ=イギリス合作。

2009年8月23日 (日)

ストップ・ロス 戦火の逃亡者 (2008)

ストップ・ロス 戦火の逃亡者 イラクで戦ったブランドン(ライアン・フィリップ)は徴兵期間が終わって除隊する予定だったが、ストップ・ロスという徴兵期間延長の制度を適用されて再び戦場へ行くことを命じられる。抵抗して脱走兵となったブランドンは、友人の恋人ミシェル(アビー・コーニッシュ)と共にロスに住む知り合いの議員を訪ねようとするのだったが…

 冒頭のイラクでの戦闘シーンが強烈である。こじんまりとした市街戦であるにもかかわらず、待ち伏せされまさに血の雨が降るといったシーンに強烈なメッセージが感じられる。ここにかり出されているのは普通の若者であり、しかも子供たちを含んだ人殺しを強制される理不尽さ。そして生きて帰ってももう一度行けと書類1枚で指示される理不尽さなど、この映画で感じたことは非常に多い。

 映画の出来はというと、決して及第点とは言いかねる。おそらくいくつかのイラク戦争映画にまぎれて、10年後には忘れてしまうような映画のような気がする。でもこの映画の持つメッセージ性と「ストップ・ロス」という言葉は、意外と長く脳裏に刻まれるのではないだろうか。

キンバリー・ピアース監督。2008年アメリカ映画。

2009年8月22日 (土)

タイタンズを忘れない (2000)

タイタンズを忘れない 70年代のバージニア州。人種差別撤廃により高校が統合し、白人と黒人混合のフットボールチーム、新生タイタンズが結成される。それまでコーチを務めていたビル(ウィル・パットン)は新任の黒人コーチのハーマン(デンゼル・ワシントン)にコーチの地位を明け渡す。しかしハーマンの方針でキャンプで打ち解けたタイタンズのメンバー(ウッド・ハリス、ライアン・ハースト、キップ・バルデュー他)は、州大会で快進撃を繰り広げるのだったが。

 正に「タイタンズを忘れない」を忘れない、ってなことになりそうな映画。ものすごくストレートなスポ根もので、絵に描いたようなスポーツを通じた世界平和物語なんだけど、理屈抜きに熱くなれることうけあい。強烈なリーダーシップとカリスマ性を持ったデンゼル・ワシントンがいい。ウィル・パットンの、頑張ってる姿もいい。ジュリアスとゲーリーの母親の抱き合うシーンの、なんと暖かいことか。

 うーん、ブラッカイマーもこんな映画を作るんだなぁとちょっと感心。タッチストーンでなくディズニーブランドで出しているのも納得。ひねりはなく、ハッピーエンドなのでとっても安心して見ていられる。これが実話だってのが希望を感じさせられていいですね。

ボアズ・イェーキン監督。2000年アメリカ映画。

2009年8月21日 (金)

ランド・オブ・ウーマン 優しい雨の降る街で (2007)

ランド・オブ・ウーマン ロスに住むポルノライターのカーター(アダム・ブロディ)は仕事に行き詰まり、恋人にもふられて、ほとんど会ったことのない祖母フィリス(オリンピア・デュカキス)を泊まり込みで世話するためにミシガンへ引っ越す。ところが隣に住む主婦サラ(メグ・ライアン)とその娘ルーシー(クリステン・スチュワート)と仲良くなり…

 人生の転機をテーマにした人間ドラマ。傷心のポルノライターと、母に反抗する高校生の娘、乳がんを宣告されるその母、そして半分ぼけかけながらも、たまにどきっとすることを口走る祖母などなど、舞台のお膳立てというか設定は非常にドラマチック。でもストーリーは映画にするにはあまりにも日常的すぎて、ある意味肩すかしをくらわされたかのような映画である。

 監督はあのローレンス・カスダンの息子のジョナサン・カスダン。主演のアダム・ブロディは何ともぱっとしない上に、ポルノライターに見えないのが難。悩める彼が母娘にふらふらするあたりが、心情的に納得できなくていらいらしてしまったのが敗因かも。逆にクリステン・スチュワートはあまり出演作を見ているわけではないのだが印象に残る。メグ・ライアンはお久しぶりなんだけど、やっぱり綺麗だなと再発見。なおタイトルにある「優しい雨」は、劇中1回しか降っておりません。

ジョナサン・カスダン監督。2007年アメリカ映画。

2009年8月20日 (木)

失踪 (1993)

失踪 恋人ダイアン(サンドラ・ブロック)と旅行中のジェフ(キーファー・サザーランド)だったが、あるパーキングで目を離した隙に彼女は失踪してしまう。3年間執念で探し続け、その間に新しい恋人リタ(ナンシー・トラヴィス)もできるのだったが、彼の前に犯人だと名乗る男(ジェフ・ブリッジス)が現れ…

 いかにもありそうな、アメリカを旅行中の失踪事件をテーマにしたスリラー。なさけない犯人(ジェフ・ブリッジス)は最初から登場してエーテルか何かをかがせる練習とかをしているのだが、こいつが本当に犯罪なんて起こせるのかと思ってたらとんでもないサイコ野郎に変貌していくあたりが強引なんだけど、妙にぐいぐいと引き込まれる説得力を持っているのがさすがである。

 サンドラ・ブロックは「スピード」でブレイクする前年なのでチョイ役ってことでしょうか。ものすごくもったいなく感じる。逆にラスト近くはナンシー・トラヴィスの独断場というか出ずっぱりで頑張ってくれます。そういやポーの小説に生きたまま墓に埋められるってのがなかったっけ。そのあたりをヒントにしてるのかもしれないけど、確かに生き埋めってのは想像しただけで怖いです。

ジョルジュ・シュルイツァー監督。1993年アメリカ映画。

2009年8月17日 (月)

アース (2007)

アース 北極点をスタートに、えさを求めて旅をするホッキョクグマの親子、ツンドラ地帯、ゴクラクチョウ、水を求めてさまようゾウの群れ、オキアミを求めて赤道から南極まで親子で泳ぐザトウクジラなど、様々な動物のエピソードを追ったドキュメンタリー映画。ナレーションはあのスタトレのピカード艦長ことパトリック・スチュワート。

 BBCのドキュメンタリー「プラネット・アース」の再編集版、ということで、動物の行動にストーリーを持たせたあたりはディズニーの「自然の驚異」シリーズを思わせる。しかし撮影技術が進んだせいか、時々挿入される宇宙からの映像や、四季の移り変わりを合成画像で見せるあたりなどはうならされる。しかも大画面で見ると効果満点で、プロジェクターなどを購入された方はまずはコレを見ることをおすすめしたい。昨今のアクション映画のように無駄にカメラを振り回すこともしていないので、ただただ映像の美しさを堪能することができると思います。

 弱肉強食を描いたシーンもありますがディズニー映画と同じく残酷シーンの手前で止めてあります。しかし、生きていくためとはいえ、狙われるのはいつも弱い子供というのは考えさせられます。ある意味、ラストで語られる地球温暖化よりも哲学的に重いテーマなんじゃないかと思ってしまいました。

アラステア・フォザーギル、マーク・リンフィールド監督。2007年ドイツ=イギリス合作。

2009年8月16日 (日)

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝 (2008)

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝 中国統一を成し遂げた皇帝(ジェット・リー)は不老不死を求めて呪術師ツィ・ユアン(ミシェル・ヨー)に依頼するが、騙された彼女は皇帝とその兵士たちに呪いをかけて兵馬俑に変えてしまう。それから2000年後の1946年、不老不死と関係があるブルー・ダイヤを中国に返還すべくリック・オコーネル(ブレンダン・フレイザー)と妻エヴリン(マリア・ベロ)は中国へ行くのだが、そこで息子のアレックス(ルーク・フォード)と彼が発掘した皇帝のミイラに出会うのだった…

 シリーズ第3作。エジプトのミイラ・イミホテップとは決着がついたというわけで、今回の舞台は中国である。あれ、中国の皇帝はミイラだったっけとか、兵馬俑がよみがえるといった苦しい設定ではあるけれども内容は盛りだくさんでサービス精神満点の娯楽大作である。ただし昨日見た新生007とはまったく作りが違い、主な登場人物は無敵であり、とんでもない危険の中へ命知らずに飛び込んでいくファミリーはいかにも現実離れした感じがする。

 中国が舞台だけに、ジェット・リー(リー・リン・チェイ)にミシェル・ヨー、それに香港の宇津井健ことアンソニー・ウォンとアジアン・スターがいっぱい出ているのが楽しめる。さらにイェティ(雪男)や3つ首のドラゴンなどなど、ケレン味たっぷりの怪獣キャラも多数出演。次回作はペルーが舞台というオチまでついておりました。インディ・ジョーンズが好きなら文句なく楽しめる映画でしょう。

ロブ・コーエン監督。2008年アメリカ映画。

2009年8月15日 (土)

007 慰めの報酬 (2008)

007 慰めの報酬 前作「カジノ・ロワイヤル」で愛した女ヴェスパーを失ったジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は捕らえたミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)を護送中に激しい襲撃にあう。しかも上司のM(ジュディ・デンチ)の目前で彼を取り逃したボンドは、背後に広がる組織の手がかりを追ってボリビアへ飛ぶ。そこではクーデターを画策するメラドーナ将軍(ホアキン・コシオ)と謎の男ドミニク・グリーン(マチュー・アマルリック)が暗躍し、密かに彼らの命を狙うカミーユ(オルガ・キュリレンコ)をボンドは助けるのだったが…

 今まで一話完結だったせいでどこから見ても大丈夫だった007シリーズだけど、本作は完全に「カジノ・ロワイヤル」の続編。しかもストーリーは複雑にからみ合っているので、前作をおさらいしてからかからないとちょっと手こずりそうな内容です。リアルな方向にふった演出は本作でも新鮮で、何よりも生傷だらけになりながら戦うボンドの姿が強烈。秘密兵器も、メインに使われるのが多機能携帯電話というのが面白い。

 とはいいながらも、ボートチェイスやビル伝いの追跡、飛行機での空中戦からラストのホテル爆破まで、えんえんと続くアクションの数々はリアルで興奮度も高い。誇大妄想狂の敵は姿をひそめ、クーデターを狙う将軍、水の利権で一儲けしようという実業家などなど、出てくる敵が妙にリアルなのも気に入ってしまった。あとは敵に体育会系の傭兵みたいな無敵キャラが登場してくれたら完璧かな。

マーク・フォースター監督。2008年イギリス=アメリカ合作。

2009年8月14日 (金)

GSワンダーランド (2008)

GSワンダーランド 60年代のグループサウンズブームが吹き荒れる日本。レコード会社に勤める佐々木(杉本哲太)は、社長松田(岸部一徳)の命令でGSに参入することに。そのバンド探しの網にひっかかったのが、三人組で日劇を夢見るマサオ(石田卓也)、シュン(水嶋ヒロ)、ケンタ(浅利陽介)で、試行錯誤の末に彼らに歌手志望の娘ミク(栗山千明)を男に仕立てて加えて「ザ・タイツメン」という名前で売り出したら大ヒットし…

 グループサウンズブームを背景にしたミュージカル・コメディ。CGをこういった時代ものに使うというのはなかなか効果的で、60年代のまさしくワンダーランドがスクリーンに広がるのが印象的。さらに社長の横暴で、音楽的方向を無視して翻弄されるメンバー、恥ずかしい「タイツメン」が大ヒットしてしまう成り行きなどなど、つくづく世の中ってわからないもんだなという気分にさせてくれる。

 しかしこの主題歌の「海岸線のホテル」、劇中で何回歌われているのか知らないけど不思議と耳に残る。栗山千明が意外と歌がうまいのもびっくりした。

本田隆一監督。2008年日本映画。

2009年8月 9日 (日)

スコーピオン・キング2 (2008)

スコーピオン・キング2 若きマサイアス(マイケル・コポン)は父のような戦士になるために精鋭部隊のブラック・スコーピオンに入隊して主席で卒業する。ところが国へ戻ってみると国王はサルゴン(ランディ・クートゥア)に謀殺され、自身も兄弟を殺せと命令される。復讐を誓ったマサイアスは、サルゴンを倒すために魔力を持った剣を求めて黄泉の国への旅に出るのだったが…

 あのスコーピオン・キングの続編と言うことで、いよいよマサイアスがダークな世界へ落ちていく映画…かと思いきや、時代は戻って彼の誕生秘話だった。いわゆる「バットマン・ビギンズ」と同じです。仇役にマッチョなプロレスラーを配して、復讐ものからダンジョンの魔物退治、そして最後はモンスター対決へとファンタジーものの王道を歩むかのような作りでなかなか楽しませてくれます。ヒロインのカレン・デヴィッドも見せてくれます。

 難点はというと、ハムナプトラはともかく、前作の「スコーピオン・キング」ともつながりが弱いといったところでしょうか。完全に別物として楽しむか、あるいは1と2の間にもうひとつぐらいエピソードがあると見た方が良いかもしれません。

ラッセル・マルケイ監督。2008年アメリカ映画。

2009年8月 8日 (土)

クローズZERO (2007)

クローズ ZERO 不良少年の巣窟である鈴蘭男子高校。この高校を制覇するために、やくざの息子である滝谷源治(小栗旬)は転入してくる。ところが高校は最大派閥である芹沢(山田孝之)を中心に群雄割拠の状態。源治は鈴校OBでやくざの片桐(やべきょうすけ)に出会い、鈴校制覇の夢を託されるのだったが…  

高橋ヒロシのコミックを映画化。コミック原作ならではの「ありえね~」世界で、間違いなく入学したくない高校(笑)のビジュアルが凄い。やっぱ中途半端はいかんってことで、荒廃した学舎はペンキの落書きでニューヨークの地下鉄のよう。そこにウォーリアーズを思わせる不良少年たちが凶暴な生物のようにたむろし、抗争を繰り広げる世界は凄い。

 しかし物語を見ていくと、これが単純なバイオレンス映画じゃないことがわかってくるあたりが面白い。結局、荒っぽい中に人間味のあふれるシーンとかが挿入されてたりして、いい効果を上げてるんですね。殴り合って血をだらだら流しながら、実は仲良しみたいな。これはラストのやくざの決着シーンに引き継がれているのが面白い。

 ヒロインとして黒木メイサが出てるんだけど、どうしてこの不良たちの中に飛び込んでいくのかが不思議。小栗旬にせよ山田孝之にせよ、キレまくりの演技は一見の価値あり。余談だけど、「鈴高」と呼ばれる高校に通っていた筆者としては、この映画の存在はちょっと微妙だぞ。

三池崇史監督。2007年日本映画。

2009年8月 7日 (金)

ウォーター・ホース (2007)

ウォーター・ホース 第2次大戦中のスコットランド。父親は出征し、母(エミリー・ワトソン)と姉(プリヤンカ・クシ)と三人で暮らす少年アンガス(アレックス・エテル)は湖で不思議な卵を拾う。そこから生まれた恐竜の子供に「クルーソー」と名前をつけて大切に育てるのだったが…

 ディック・キング・スミスの原作を映画化。いわゆるネス湖の恐竜映画なのだが、背景に戦争を置いて動物と少年の友情物語を感動的にそつなく作り上げたという感じ。雰囲気でいえば「フリー・ウィリー」の第一作目に似てるかも。こちらの少年はそれほど屈折しているわけではありませんが、父親が出征してたり、村にやってきた軍隊との微妙な関係があったりと、背景はかなり複雑です。

 それにしても、軍の隊長はいい人になっちゃうし、母親は最後は協力的だし、みんなでウィリー…じゃなかった、クルーソーの大ジャンプを喜んで大円陣。何だか気持ちがいいというか、ファミリー向けに安心して見られる映画になってますね。クルーソーがアンガスを連れて水中を泳ぎ回るシーンも、息もつんかいなと心配ながらもとっても楽しいです。

ジェイ・ラッセル監督。2007年アメリカ映画。

2009年8月 4日 (火)

Jの悲劇 (2004)

Jの悲劇 ピクニックを楽しんでいた大学教授のジョー(ダニエル・クレイグ)と恋人のクレア(サマンサ・モートン)のところへ真っ赤な気球が舞いおりてくる。かごに乗っている少年を助けようと、数人の大人がぶらさがるのだが突風で気球は再び舞い上がり、手を放し損ねた老人が墜落死する。事件で心に傷をおったジョーに、ジェッド(リス・エヴァンス)という男がしつこく付きまとってくるのだったが…

 イアン・マキューアンの「愛の続き」を映画化。ピクニック中の野原に熱気球が舞いおりてくるという、一見楽しそうなハプニングが恐怖の入り口になるという発想にはうならされた。安全そうな気球といえども航空機である。当然、転落の危険もつきまどう。そしてどきっとさせられる落下シーン。心の傷。壊れていく恋人との関係。謎の男の登場などなど、地味ながらもサスペンスとしては一級品である。

 007でおなじみになったダニエル・クレイグは本作ではさえないおっさんである。これが演技だというのであれば、器用な役者さんだ。サマンサ・モートンは妙にぽっちゃりしたせいかこちらも普通のおばさんになっちゃった感じ。でもその普通さが、このサスペンスの鍵だろうし、リス・エヴァンスの不気味さを引き立てる結果になっているのがいい。難点があるとすれば、ラストのオチがこれまたこじんまりとまとまってしまったことぐらいだろうか。怖いのは怖いんだけどね。

ロジャー・ミッシェル監督。2004年イギリス映画。

2009年8月 2日 (日)

クローバーフィールド HAKAISHA (2008)

クローバーフィールド HAKAISHA ニューヨークのアパートの一室で、日本へ栄転するロブ(マイケル・スタール・デヴィッド)のサプライズパーティが行われていた。ところが突然の地響きと共に事態は一転。何者かの襲撃と、爆発炎上するビルに路上へ飛び出した彼らだったが…

 家庭用ムービーで撮影されたという設定の、怪獣映画。アイディアとしては、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」に近いものがあるが、視点が登場人物に絞られていて事件の全体像が見えていない、というリアルな部分にはナイト・シャマラン監督の「サイン」にも通じるものがあるなと感じた。とにかくめまぐるしくぐるぐる動く、素人風ホームビデオの映像は大画面で見たら気分が悪くなることこの上ない。

 しかし、リアルさという点ではなかなかの効果を上げていたのも事実。普通の映画のように神の視点から事件を見ているのならともかく、現実に事件に巻き込まれた当事者からすればこんな風に感じるのは当然でしょう。交通事故で亡くなった方が、何が起こったかわからずに…ってのはこういう感覚ではなかったかと思わせてくれます。プロデューサーは最近は「ロスト」「MI:III」「スタートレック」などで気を吐くJ・J・エイブラムス。

マット・リーヴス監督。2008年アメリカ映画。

2009年8月 1日 (土)

十五才 学校IV (2000)

十五才 学校IV 不登校の中学三年生・川島大介(金井勇太)は、屋久島の縄文杉を見るためにふらりと家出してヒッチハイクを繰り返す。長距離トラックのドライバーの佐々木(赤井英和)、すみれ(麻実れい)らに助けられて、順調に鹿児島までやって来た大介だったが…

 シリーズ四作目にして現在のところ最終作。夜間中学、養護学校、職業訓練校ときて次は何が出るのかと思ったら普通の中学校。しかも不登校をテーマにしたがためにタイトルは学校なのに学校のシーンはほとんどなし。この外し方が何とも心地よい。家出少年の大介を助ける大人たちが、一癖二癖ありながらもいい人ばっかりなのが気になりつつも何とも心地よい。いわゆる人情劇なのに加えて、日本映画には珍しい本格的ロードムービーとして成功している。

 赤井英和、麻実れいをはじめ、高田聖子、丹波哲郎とどのエピソードも天下一品。侍のエピソードも良かった。こりゃ山で遭難しようとも、あのジグソーパズルは手放せないわな。特に丹波哲郎の息子役の前田吟に向かって大介がたんかをきるシーンでは、はからずもじーんときてしまった。

山田洋次監督。2000年日本映画。

2009年7月31日 (金)

学校III (1998)

 大企業をリストラされた高野(小林稔侍)は、職業訓練校を紹介されビル管理を習う。学校になじめない高野だったが、障害のある子供(黒田勇樹)を育てる同級生の紗和子(大竹しのぶ)に心をひかれ…

 学校シリーズ第3弾は、西田敏行がどんな学校の先生になるんだろうか…と思ってたら設定はすべてリセット。主役は先生ではなく生徒の、ちょっといい大人のラブストーリーといった内容でした。どう見てもイヤな親父である小林稔侍がどう変わっていくかがポイントで、そのあたりは思ったとおりの展開。映画というよりもテレビドラマに近い内容で、後半の2転3転はよりドラマチックな展開でありました。

 最近見ない黒田勇樹がいい仕事しています。同窓の脇役陣(寺田農、ケーシー高峰、田中邦衛、笹野高史ほか)がひとくせもふたくせもあるのが、山田作品っぽくて良いです。 山田洋次監督。1998年日本映画。

2009年7月28日 (火)

学校II (1996)

学校II 青山竜平(西田敏行)は北海道の全寮制の養護学校の教師だが、妻とは離婚していてミュージシャン志望の娘(浜崎あゆみ)ともうまくいっていない。ある日彼が教える高志(吉岡秀隆)と佑矢(神戸浩)が行方不明になり、新人教師の小林(永瀬正敏)と探しに出るのだったが…

 タイトルからわかるとおり「学校」シリーズの第2作だが、主演が西田敏行だということを除いてまったくの別物というかパラレルワールド。前作では夜間学校だったが、今回は養護学校が舞台。つまりこのシリーズは、いろんな学校の人間模様という部分だけでくくられた連作といった感じである。それにしてもテーマのとらえどころが見事というか、全寮制の養護学校でいかにも起こっていそうな出来事を実にたんねんに描いてある。邦画らしく音楽(富田勲)も含めて少々ウェットな部分が気になるが、なかなか感動的な映画である。

 新任教師の永瀬正敏が、いかにもといった弱音をはくところがいい。吉岡秀隆が、より障害の重い神戸浩を雪の中に置いていこうとするシーンも、なぜだかわからないけどじーんときた。この二人を気球に乗せてしまう通りがかりのカップルって、ひょっとしてめちゃめちゃいい人?

山田洋次監督。1996年日本映画。

2009年7月26日 (日)

学校 (1993)

学校 黒ちゃんこと、黒井(西田敏行)は、東京の下町にある夜間中学の教師。卒業を間近にひかえて、いろいろな問題をかかえた生徒たち(裕木奈江、萩原聖人、中江有里、田中邦衛、神戸浩、新屋英子、翁華栄)の卒業文集に思いをめぐらすのだったが、ある日入院していた生徒の訃報が届き…

 夜間学校を舞台にした人情ドラマ。良くも悪くも典型的な日本映画で、富田勲のもの悲しいテーマ曲もあわさって涙腺を直撃しそうな雰囲気をかもし出している。夜間学校だけに中年の生徒も多く、田中邦衛の生徒が教師の竹下景子にラブレターを出す話とか、登校拒否の中江有里、不良少女の裕木奈江などなど、ひとりひとりのエピソードが丁寧に作られている。しかしあまりに内容が優等生的で、ちょっと斜めに構えて見てしまったのが正直なところ。

 山田洋次の世界だけに、渥美清や坂上二郎などゲスト出演者が豊富なのも楽しいところ。頑張れ夜間中学生という強烈なメッセージはしっかり伝わってきました。

山田洋次監督。1993年日本映画。

2009年7月25日 (土)

フライ・ダディ (2006)

フライ・ダディ 平凡なサラリーマンのチャン・ガビル(イ・ムンシク)は、一人娘ダミ(キム・ソウン)が深夜のカラオケボックスで、同じく高校生のテウク(イ・ジュ)に乱暴されたことを知る。謝りに来ながらも無粋な態度をとるテウクにきれたチャンは彼の高校へ包丁を持って乗り込むのだったが、別の高校生スンソク(イ・ジュンギ)にノックアウトされてしまう。かくしてスンソクの弟子になったチャンは、打倒テウクを目指して会社を休みトレーニングを始めるのだったが…

 タイトルからわかるとおり、金城一紀原作の日本映画「フライ、ダディ、フライ」の韓国版リメイクである(ん、ダディがひとつ足りない?)。まったくと言っていいほどのそのまんまリメイクであり、カラオケボックスのくだりから高校ボクシング・チャンピオンのテウクの無粋な態度、そして訓練に至るまでほぼ原作に忠実(?)である。

 こうなるとなぜ韓国版が必要?と思わなくもないが、少なくとも娘のために加害者に鉄拳制裁するというテーマは韓国が舞台の方が何だか信憑性というか説得力があるような気がする。比較的二枚目だった日本版の父親役の堤真一に対して、韓国版のイ・ムンシクが完全なださださ親父だったのも勝因かもしれません。

チェ・ジョンテ監督。2006年韓国映画。

2009年7月24日 (金)

ダーウィンの悪夢 (2004)

ダーウィンの悪夢 アフリカのビクトリア湖に放たれた肉食魚「ナイルバーチ」は、生態系を壊してものすごい繁殖を見せている。これを捕って白身魚に加工、ヨーロッパやロシア、日本に輸出するという産業が芽生えたのだが… アフリカの現状を見せつけてくれるドキュメンタリー映画。

 唐突に始まるドキュメンタリーに、何がテーマなのかしばらく迷走状態になってしまった。異常繁殖した肉食魚、それを捕って加工する工場。外国へ輸出…普通やん、何が問題なのってのが正直な感想。同時に魚を加工したあとのアラ(うじがたかっている!!)を食べる貧しい人たちとか、ストリートチルドレンとか、彼らが魚の梱包材を燃やしてラリっている姿(げっ、ダイオキシン!)とかが描かれるんだけど、それと魚の産業との責任関係が希薄なので何を訴えたいのかわからなかったってところである。

 実はこのビクトリア湖、ダーウィンの箱庭とも呼ばれた生物の宝庫だったってことは映画が終わってから知った。ナイルバーチが誰によって放たれたかってのは結局不明らしい。日本のブラックバスみたいなものかな。映画が自然破壊を訴えているものなのか、資本主義の功罪を訴えているか、あるいは貧困がテーマなのがはっきりしないのが敗因かな。

フーベルト・ザウバー監督。2004年オーストリア、ベルギー、フランス合作。

2009年7月23日 (木)

ブラック・スネーク・モーン (2006)

Black_snake_moan  レイ(クリスティナ・リッチ)とロニー(ジャスティン・ティンバーレイク)は恋人だが、彼が兵役に出たあとはレイは男をとっかえひっかえの自堕落な生活を送り、やがて暴力を受けて道に捨てられる。それを拾ったのは元ミュージシャンのラザラス(サミュエル・L・ジャクソン)で、自らも離婚の傷を負ったことからレイを鎖で縛って更正をさせようとするのだったが…

 これぞ正に意外な拾い物。というか、映画を半分ぐらい見てからでないと拾い物であることがわからないという憎き作りである。レイのあばずれぶりが、生い立ちからくるものだとわかってくるあたりから心の琴線にぐいぐい響いてくるし、何よりも受けて立つサミュエル・L・ジャクソンがかっこ良すぎるぞ!! しかも彼が歌えるのはまったく知らなかったので、新鮮な驚きがありました。

 ずんずん自分の世界を作って突き進んでいくクリスティーナ・リッチ。彼女の居場所はハリウッドに完全に確保した、といった感じなんだけど、ヘンな方向に進んで行かないかちょっとだけ心配です。この映画や「モンスター」のように、作品はしっかり選んでほしいなあと思ってしまいます。

2009年7月20日 (月)

アメリカン・スウィートハート (2001)

アメリカン・スウィートハート エディ(ジョン・キューザック)とグウェン(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)は公私ともどもアメリカを代表するカップル。ところが9本のヒット映画を残して、グウェンの浮気でコンビは崩壊してしまう。起死回生を狙う広告マンのリー(ビリー・クリスタル)は、二人の復活をかけて大物監督ハル・ワイドマン(クリストファー・ウォーケン)に次回作を依頼。ところがグウェンの付き人で妹のキキ(ジュリア・ロバーツ)は…

 ストーリーを書いててわかるように、この映画ってジュリア・ロバーツが実は主役。でも予備知識なく見てたらそれが途中まで(最後まで?)わかんないのがこの映画の最大の問題かもしれない。これだけの大物俳優を集めながら、誰一人にも共感できないってのはある意味職人技かも。唯一面白かったのは、新作映画の発表会場をひとりでかっさらっていったワイドマンことクリストファー・ウォーケンかも。

 そうそう、どう見ても普通の男であるジョン・キューザックを、こんな美人姉妹いるのかって叫びたくなるようなグウェンとキキが三角関係になってしまうあたりがどうにも納得できない。世の中ってそんなものだろうとは思うのだが。

ジョー・ロス監督。2001年アメリカ映画。

2009年7月17日 (金)

バイオハザードIII (2007)

バイオハザードIII 前作から数年後、地上はゾンビだらけになり、難を逃れたアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は仲間を案じて一人で旅をしている。事件の原因となったアンブレラ社のアイザックス博士(イアン・グレン)は、ゾンビを飼い慣らすべくアリスのクローンを多数作って、その抗体を研究するがうまくいかない。そしてアリスは仲間のカルロス(オデッド・フェール)たちと再会するのだったが…

 人気ヴィデオゲームの映画化、というよりもすっかりシリーズとして独り立ちした第3作。密室でのゾンビ映画というよりも、マッドマックスを思わせる砂漠に舞台は広がり、ゾンビの恐怖というよりもアンブレラ社と抗体を持つアリスとの頭脳戦といった内容に変化してきている。一企業の陰謀が地球規模のデザスターに発展するってのは、「エイリアン」何かと同じ展開ですね。

 それにしてもアリス、理不尽に強すぎって感じ。ミラ・ジョヴォヴィッチは相変わらず魅力的な女優さんなんだけど、スーパーマンにしてしまうのはどうだかなって気がしなくもない。ゾンビはもう恐怖の対象からすっかりはずれてしまって、可愛そうな存在である。このストーリーでいくとさらに続編がありそうだけど、今度の舞台は日本なのかな? 監督はあの「レーザーバック」が強烈な印象だったラッセル・マルケイ。

ラッセル・マルケイ監督。2007年アメリカ映画。

2009年7月16日 (木)

紀元前1万年 (2008)

紀元前1万年

 年に1度、1頭のマンモスを捕って暮らす狩猟民族のデレー(スティーヴン・ストレイト)は、最後の刈りでマンモスを仕留めて青い目の少女エヴァレット(カミーラ・ベル)と結婚することになる。伝説では彼らが種族を救うはずだったが、マンモスを仕留めたのは偶然だというのが納得できないデレーに加えて、襲ってきた異民族にエヴァレットをはじめ多くの村人がさらわれてしまう。彼らの後を追うデレーたち戦士だったが…

 マンモス、サーベルタイガーの登場とくれば「アイス・エイジ」なんだけど、この妙なデジャーヴー感覚は何だ…としばし考えて、こりゃ「アポカリプト」とそっくりな物語だということに気がついた。しかしあちらはアメリカ大陸発見の頃の話で、ピラミッドの主はマヤ文明だということがはっきりしてたんだけど、こちらは紀元前1万年だぞ。あのピラミッドと帆船の文明は何なんだ…とまじめに考える必要もないか。何せ場所不定の紀元前1万年なんだから。

 それにしても、予言や巫女を中心に話がとんとんと進んでいって、ラストの強引な予定調和にはのけぞってしまったぞ。見るべきものは、ストーリーよりも、広大な砂漠や帆船、マンモスの群れ、サーベルタイガーや恐竜みたいな鳥との戦い、そしてピラミッドのモブシーンです。大風呂敷を広げたらこの上ない、エメリッヒらしい映画です。

ローランド・エメリッヒ監督。2008年アメリカ=ニュージーランド合作。

2009年7月15日 (水)

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー (2007)

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー アメリカの下院議員のチャーリー・ウィルソン(トム・ハンクス)は、いつものように美女をはべらしている時にテレビでソ連軍と戦うアフガンゲリラの現状を知る。これは一大事と、CIAのガスト(フィリップ・シーモア・ホフマン)、富豪のジョアン(ジュリア・ロバーツ)らと組んでアフガンを視察、政府をあげてのゲリラ支援に動き出すのだったが…

 タイトルは戦争なんだけど、戦闘シーンはほとんど出てこない戦争映画。何たって美女をはべらしてジャグジーしてる時に流れてたテレビでアフガン問題にかかわるようになった議員…ってわけで、お馬鹿議員に見えて実はうつけ者をよそおっていた信長タイプの議員だったのかな、なんて思ってしまった。

 ただしとっかかりとか、役者はなかなか面白いんだけど、物語自体は意外と平板で中だるみしたのが残念。ジュリア・ロバーツはケバい化粧がなかなかマッチしていてうさん臭さ抜群。フィリップ・シーモア・ホフマンやエイミー・アダムスもうまい。確かに弱きを助けるアメリカなのかもしれないけど、武器の供与なんてのは一歩間違えば火に油を注ぐ行為。ハッピーエンドに思えて、素直に安堵できる映画ではありません。

 美人秘書をはべらして、彼女らを「チャーリーズ・エンジェル」と呼んでたのには笑った。

マイク・ニコルズ監督。2007年アメリカ映画。

2009年7月14日 (火)

将軍の娘 エリザベス・キャンベル (1999)

Generals_daughter ジョージアの陸軍基地でCID(軍犯罪捜査部)の捜査官をするブレナー(ジョン・トラボルタ)は、魅力的な大尉エリザベス(レスリー・ステファンソン)にパンク修理をしてもらう。彼女は実は引退間近なキャンベル将軍(ジェームズ・クロムウェル)の娘で、翌日に全裸絞殺死体となって見つかる。ブレナーはサラ(マデリーン・ストー)と組んで捜査をはじめるのだったが…

 ネルソン・デミルのベストセラー小説の映画化。軍隊にどんどん女性が進出し、その中で起こったレイプ事件をテーマにした物語。まったく予備知識なく見たがゆえに、絞殺死体のくだりには驚かされたし、逆に意外と平静なキャンベル将軍に「まさかね」なんて思ってたら、まったくその「まさかね」に話が転がっていってしまった。う~む。

 本来はタイトルにもなっていて、主役とも言えるエリザベスがなかなか魅力的。というか、もったいない感じ。ジェームズ・クロムウェルといえばベイブの飼い主が頭にすり込まれているんだけど、将軍役もできるのかとちょっと驚き。マデリーン・ストーは完全に添え物状態でこれまたもったいない。そうそう、ジェームズ・ウッズも出てます。こちらもさえない役でしたが。

 結末を一言で言えば、「仕事と家族とどっちを取る」と言われて、家族を見殺しにして仕事を取っちまった男の悲劇とでもいいましょうか。最後に映し出される、娘の生い立ちの写真をとっても感情移入して見てしまいました。

サイモン・ウェスト監督。1999年アメリカ映画。

2009年7月10日 (金)

ミスト (2007)

ミスト デヴィッド(トーマス・ジェーン)は息子のビリー(ネイサン・ギャンブル)と共にスーパーに買い物に出かける。ところが店は激しい霧におおわれ、しかも外には触手を持つ怪物がいることで、身動きが取れなくなる。やがて狂信者のミセス・カーモディ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)に人々は扇動されはじめる。脱出を考えるデヴィッドとその一団だったのだが…

 スティーヴン・キングの原作をフランク・ダラボン監督が映画化。といえば「ショーシャンク?」や「グリーンマイル」が思い出されるが、この作品はもっとぐっと小粒にまとまった正統派ホラー、いやパニック映画といったところで、いかにもキングといった触手の怪物やら巨大昆虫やら、はたまた狂信者などが人々をけむにまいていくあたりは懐かしさににんまりさせられた。(キングをよく読んでたのは、20年近く前だったもんで)

 しかも無駄に積み上げられていくエピソード、そして救いのないラストなどなど、さすがダラボンはキングのことがよくわかっている…と思ったんだえけど、この映画のラストは原作とは違うらしい。「え…」と思うと同時に、これってひょっとして原作以上にキングらしいラストじゃないの、と思うことしきり。

 しかしこの強烈にあと味の悪いラスト、しばらく糸をひきそうだ。怪物が出てきてびっくりさせるだけがホラーじゃない、というのを実感させてくれます。

フランク・ダラボン監督。2007年アメリカ映画。

2009年7月 8日 (水)

ザ・シーカー 光の六つのしるし (2007)

ザ・シーカー 光の六つのしるし イングランドへ引っ越してきたウィル・スタントン(アレクサンダー・ルドウィグ)は14歳の誕生日をむかえた少年。ところが彼は世界を救うために、6つのしるしを見つけなければいけない「ザ・シーカー」だということを告げられる…

 シーカーということで、ハリポタを想像したらまったく違う内容だった。類似点はイギリスが舞台のファンタジーだということだけ。スーザン・クーパーのファンタジー小説「闇の戦い1 光の六つのしるし」を映画化。ごく普通の少年少女がとつぜん世界を救う戦いに巻き込まれるというストーリーは児童文学の定番で、最近でも「ナルニア国物語」や「ライラの冒険」を思い出してしばしデジャヴ感覚にあってしまった。

 しかもこの映画、お手軽に感じるのは6つのしるしを見つける戦いが非常に短くて、短編というかゲームのステージを見ているかのようである。おまけに最後のしるしは「俺の魂だ」ってしめくくるあたりはのけぞってしまったぞ。

 とはいっても、ウィルを演じるアレクサンダー・ルドウィグはとんがった感じで、しかも英国が舞台だけあって雰囲気だけは満点である。原作がシリーズだけに、続編もあるのかな? 双子の兄とかは、今後どうからんでいくのだろうかとか、お楽しみも残してあるのがいいですね。

デヴィッド・L・カニンガム監督。2007年アメリカ映画。

2009年7月 6日 (月)

キサラギ (2007)

キサラギ アイドル如月ミキの一周忌に、ファンサイトのメンバーが出会って思い出を語り合うことになる。初対面の家元(小栗旬)、オダ・ユージ(ユースケ・サンタマリア)、スネーク(小出恵介)、安男(塚地武雅)、いちご娘(香川照之)だったが、やがて自殺と思われていたミキの死因の謎がひとつひとつ明かされていき…

 あの「12人の優しい日本人」を思い出させる、密室で繰り広げられる事件もの。パソコン通信世代のoga.としては、ハンドル名で呼び合うオフ会なんて懐かしいなあなんて思って見てたんだけど、事態はどんどんあらぬ方向に転んでいき、転がった先は…

 少々強引な展開(マネージャーの件や、ミキの父親のことなどなど)は鼻につくのだが、全体として密室とアイドルオタクたちの知識によって事件の糸がだんだんとほぐれていくのは面白い。アイディア賞ものの展開だと思う。

 しかしこれだけ彼らをひきつける如月ミキなる人物、どんなにいい女なのだろうかと思わせておいて…まぁ女性の好みは人それぞれなのかもしれないけど、こりゃ凄すぎます。あの如月ミキさんを演じていた女優さん(酒井香奈子)、地でやってるのかな???

佐藤祐市監督。2007年日本映画。

2009年7月 3日 (金)

ジャンパー (2008)

ジャンパー 高校生のデヴィッド(ヘイデン・クリステンセン)は凍った池に転落したことから自身のテレポート(瞬間移動)能力に気づく。折り合いの悪い父の家を出て、テレポート能力を使って銀行の金を盗み、かつてのガールフレンドのミリー(レイチェル・ビルソン)とのローマでのデートを楽しんだりするのだったが、謎の男ローランド(サミュエル・L・ジャクソン)とグリフィン(ジェイミー・ベル)につけ狙われる。

 スティーヴン・グールドのSF小説「ジャンパー 跳ぶ少年」の映画化。瞬間移動能力を手にした少年の、いかにもといった堕落(笑)が何とも微笑ましい。私だったらどうするだろう…衣装を作ってスーパーマンにでもなるかな、と思っていたらジャンパーをつけ狙う敵というか、組織が登場。どうやって世界の果てまで瞬間移動できる連中を生身の人間が追うのかと思いきや、ハイテク機器の登場。なるほどとは思ったけど、所詮道具ではジャンパーに勝てないという思ったとおりの展開に…

 しかし瞬間移動するっていっても、服とかも一緒に移動するってのがちょっと納得できないなとか、世界のどこでもジャンプできるようだけど地表に飛べなかったら転落死したり、地中に埋まってしまったりするんじゃない、なんて考え出したら映画に集中できなかった。困ったもんだ。

 ただしジャンプシーンというか、瞬間移動シーンは技術が進んでいるおかげかなかなかの迫力で一見の価値があります。主人公の母親役でダイアン・レインも出てます。

ダグ・リーマン監督。2008年アメリカ映画。

2009年7月 2日 (木)

つぐない (2007)

つぐない 1935年のイギリス。裕福な家庭の少女ブライオニー(シアーシャ・ローナン)は作家志望。ところが初恋の人ロビー(ジェームズ・マカヴォイ)と姉セシーリア(キーラ・ナイトレイ)の大人の関係を見てしまったがために、後に起こるレイプ事件の犯人はロビーだと偽証してしまう…

 イアン・マキューアンの「贖罪」を映画化。一言で言えば少女の嫉妬の話なんだけど、なんせ時代が1935年なだけに後の世界大戦へとつながっていくあたりが悲惨である。かといってテーマはあくまでも少女の贖罪であり、反戦映画ではないわけで背景として大戦(ダンケルクの戦い?)が使われるあたりがうまいといえばうまいし、話がぶれるといえばぶれる。

 しかしブライオニー役のシアーシャ・ローナンの持つ雰囲気がいかにもイギリス娘って感じでいいです。一生かけても成せないつぐない、を語る晩年のブライオニーをバネッサ・レッドグレープが演じるあたりも見せ場。ただし彼女にはあまりにも貫禄がありすぎて、この人は結局どんな一生や恋をおくってきたんだろうかというのがよくわからないってのが難点ではありました。

 再会したロビーとセシーリアが彼女の想像の産物だったってのは、ちょっとびっくりさせられました。ふたりの身分の違いというのも、この時代背景にしては見逃せないポイントですね。キーラ・ナイトレイは相変わらず綺麗です。

ジョー・ライト監督。2007年イギリス映画。

2009年6月30日 (火)

魔法にかけられて (2007)

魔法にかけられて アニメの国アンダレーシアで王子との出会いを夢見るプリンセス・ジゼル(エイミー・アダムス)。ところが王子エドワード(ジェームズ・マースデン)と出会うもつかの間、魔女ナリッサ(スーザン・サランドン)の罠にかけられて現実のニューヨークへと追放されてしまう。幸い、親切な親子ロバート(パトリック・デンプシー)とモーガン(レイチェル・カヴィ)に拾われるのだったが、彼女を追って王子と魔女もニューヨークへやって来て…

 いわゆるディズニー・プリンセスが主役で、アニメと実写が融合した作品。メリー・ポピンズあたりを思わせる。とはいってもストーリーは今風にブラッシュアップされていて、ヒロインは単なる夢見るヒロインかと思いきや現実世界へ来たとたんに妙に考え方が現実っぽく変わっていく。逆に夢見るもう一組のカップルが夢の世界へとトリップしていくってのが面白い。

 それにしても、おとぎの動物たちはニューヨークではどぶねずみやゴキブリたちに変貌するってのがこれまたリアルですねぇ。ナレーションはジュリー・アンドリュースが担当しております。

ケヴィン・リマ監督。2007年アメリカ映画。

2009年6月29日 (月)

キューティー・ブロンド2 ハッピーMAX (2003)

キューティー・ブロンド2 ハッピーMAX 法律事務所に勤めるエル(リース・ウィザースプーン)は恋人エメット(ルーク・ウィルソン)と婚約中で、相変わらずきゃぴきゃぴと仕事を回す。ところが愛犬ブルーザーの母親が化粧品会社で実験動物にされていることを知り、これを禁止する法律を作ろうと思い立つのだったが…

 ブランド大好き娘のエルが活躍するシリーズ第2作。感想は第1作とまったく同じで、冒頭の10分間は激しい拒絶反応。だめだこりゃと思ったあたりでストーリーが動き出し、途中でエルがぎゃふんと言わされ意気消沈したあたりでは元気づけたくなり、ラストでは拍手しているといった具合。完全に計算されつくした映画だな、こりゃ。

 とどのつまり、すべてに勝るのは「コネ」なのか…? 仇役にサリー・フィールドも出てます。ハッピーMAXってサブタイトルが、すべてを象徴しているかも。

チャールズ・ハーマン・ワームフェルド監督。2003年アメリカ映画。

2009年6月28日 (日)

ライラの冒険 黄金の羅針盤 (2007)

ライラの冒険 黄金の羅針盤 イギリスのオックスフォード、人々はダイモンと呼ばれる、自分の分身の動物を引き連れて暮らしていた。親を知らず寮で暮らす12歳のライラ(ダコタ・ブルー・リチャーズ)は、学長から真実を知ることができる黄金の羅針盤をもらう。それを手に、さらわれた子供たちを取り戻すために叔父アスリエル卿(ダニエル・クレイグ)を追って、謎のコールター夫人(ニコール・キッドマン)と北極を目指す旅に出るのだったが…

 フィリップ・プルマンの有名な児童文学の映画化なのだそうだが、これって児童が理解できるの?と疑いたくなるような摩訶不思議な世界。まずはダイモンという背後霊みたいな動物を引き連れた世界ってのが異様だし、真実を写す羅針盤やら、ダストやら、教権やら、飲んだくれてしゃべる熊(笑)やらと、こりゃ混乱必至。いや、頭の柔らかい子供たちだからこそすんなりと入っていける世界なのかな?

 主演のダコタ・ブルー・リチャーズが気が強そうで可愛くないところが魅力かも。ニコール・キッドマンは怪しすぎです。飛行船で空を飛ぶシーンは気持ちよさそうでいいですね。

 3部作の第1作ということで、これからってところでスパっと終わっているのは「ロード・オブ?」や「ナルニア?」あたりと一緒です。しかし次作が出るころまでストーリーを覚えていられるのか不明。DVDが売れるわけですね。

クリス・ワイツ監督。2007年アメリカ映画。

2009年6月26日 (金)

トム・ホーン (1980)

トム・ホーン 開拓時代末期のアメリカ西部、騎兵隊などで名をあげたトム・ホーン(スティーヴ・マックィーン)は牛泥棒を退治する用心棒として牧場に雇われる。学校教師(リンダ・エヴァンス)とのロマンスなど平和な日々を暮らしているように思えたが、牛泥棒を容赦なく射殺してきたためついには殺人罪で捕らえられる…

 実在の人物トム・ホーンの晩年を描いた伝記映画。主演のスティーヴ・マックイーンもまさに死をむかえる前年の作品であり、淡々とした映画でありながらも何かただならぬ雰囲気がただよう。

 それにしても…である。彼は無実なのか、それともそうではないのか? 映画を見ていただけではわからないし、彼の冷静さも常人では理解しがたいものがある。いや、西部劇の登場人物ってのは本当に理解できない行動をするもんだと子供の頃に思ったのをまた思い出した。

 マックィーンの映画ってのはリアルタイムに見たのは晩年の作品だけなんだけど、テレビの名画劇場で見た「シンシナティ・キッド」や「砲艦サンパブロ」あたりがやはり思い出深い。

ウィリアム・ウィヤード監督。1980年アメリカ映画。

2009年6月25日 (木)

おくりびと (2008)

おくりびと 所属するオーケストラの解散によって職を失ったチェリストの小林大悟(本木雅弘)と妻の美香(広末涼子)は、東京から山形の田舎へ帰ることを決意する。ところが求人広告訪ねた佐々木(山崎努)から得た仕事は、葬式で遺体を清めて棺におさめる納棺師。高額な給料に、妻に仕事内容を伝えることもできずに仕事をはじめる大悟だったが…

 アカデミー外国語映画賞受賞で一気にブレイクした作品。とはいっても、滝田洋二郎監督だからばりばりの娯楽映画だろうなと思ってみたら…そのとおりでした(笑)。題材の見つけ方は良いし、ストーリーも気がきいているんだけど今一歩ふみこみ足りないというか、旧来の邦画のレベルでおさまってしまっているのが残念。例えば主人公と父親とのエピソードにしても、石のアイディアってのはいいんだけど握っていたというのが逆にありえないって思ってしまった。実は息子の元へ行きたかったという気持ちは伝わってくるんだけど…

 とはいっても、妻との和解のシーンもなければ、納棺師を続けていくかどうかもはっきりしない終わり方は良いと思う。この二人に、どんな子供が育つんだろうかという部分でも余韻が残る。

滝田洋二郎監督。2008年日本映画。

2009年6月22日 (月)

マーシャル・ロー (1998)

マーシャル・ロー ニューヨークでバスジャック事件が発生する。FBIのアンソニー(デンゼル・ワシントン)の機転で事なきを得たが、別のバスジャックが発生して今度は自爆テロへと発展する。事件を収束しようとするCIAのエリース(アネット・ベニング)、そして陸軍のデヴィロー将軍(ブルース・ウィリスが乗り込んでくるが、彼らの思惑は対立して、ニューヨークの戒厳令へと発展する。

 911事件の前に作られたテロ映画なんだけど、そうとは思えないほどリアルな映画でぐいぐいと引き込まれていくものがあった。結局は裏工作、裏取引の国アメリカってわけで、割を食っているのはアラブ諸国の住人たちってのは説得力がある。

 久しぶりにアネット・ベニングを見たと思ったんだけど、これは10年以上前の映画だったわけですね。今は彼女何をしているんだろう? 役柄とのアンバランスさが、本作ではいい味を出してたと思うんだけど。

エドワード・ズウィック監督。1998年アメリカ映画。

2009年6月20日 (土)

サボテン・ブラザース (1986)

サボテン・ブラザース 山賊に襲われるメキシコの村から助けを求めに町に出た娘カルメン(パトリス・マルティネス)。たまたま入った映画館で上映中のヒーロー、スリー・アミーゴス(スティーヴ・マーティン、チェヴィー・チェイス、マーティン・ショート)は実在すると思った彼女は、ハリウッドに電報をうつのだったが…

 あのブルース・ブラザースのジョン・ランディス監督作品で、なぜかコアなファンの多い本作を初めて観賞… うーん、なんてコメントしたらいいんだろ?

 基本的には「七人の侍」(荒野の七人かもしれないけど)のパロディっぽい、山賊から村人を救うストーリーなんだけど、黎明期のハリウッドから芸人たちがショーと勘違いして山賊退治にやって来るというのがポイント。現実だったらみんな殺されちゃっておしまい、なんてことになりかねないんだけど、敵も味方も残虐ではなく妙に余裕で生きているあたりがいい雰囲気を出してるのかな。相手を威嚇するも銃口は常に空を向いているあたりが、妙にほのぼのとした雰囲気なのが良い。

 80年代のスティーヴ・マーティン、チェヴィー・チェイス、マーティン・ショートといえば、本当に脂ののりきった時期でまさに全盛期といったところでしょうか。さすがに2000年代後半に見る(しかも初見!)にはギャグも厳しいものがあるけど、彼らの芸達者ぶりにもじわ?っとくる部分が多数あります。

ジョン・ランディス監督。1986年アメリカ映画。

2009年6月19日 (金)

フレディVSジェイソン (2003)

フレディVSジェイソン フレディ(ロバート・イングランド)とジェイソン(ケン・カージンガー)の惨劇から10年…すでに2人の殺人鬼のことなど忘れていたエルム街の住人だったが、恐怖を呼び戻したいフレディは殺人鬼ジェイソンを復活させてその恐怖で自分も復活しようと企むのだったが…

 何だこりゃ? エイリアンVSプレデターみたいな映画を想像して見たのだったが、実際に画面に登場したのはキングコング対ゴジラ…を連想させるような珍作。おなじみ「13日の金曜日」シリーズのジェイソンと「エルム街の悪夢」シリーズのフレディを対決させようという発想までは面白かったんだけど…

 悪夢を栄養にして強くなるというフレディが、ジェイソンを復活させてその恐怖で強くなろうというストーリーは面白い。ただしいけないのは、2人が同時にスクリーンに登場してからである。夢から引きづり出されたフレディが、怪獣映画さながらに戦うのはパロディ以外の何者でもない、という印象を残してくれた。それでも両シリーズのファンにとっては、けっこうにんまりさせられるシーンも用意されているのは楽しめるのであるが。

 さすがに…この映画の続編は作られないだろうなぁ。

ロニー・ユー監督。2003年アメリカ映画。

2009年6月16日 (火)

ジェシー・ジェームズの暗殺 (2007)

ジェシー・ジェームズの暗殺 西部史上初の銀行強盗とされるジェシー・ジェームズ(ブラッド・ピット)。アウトローながらも民衆に人気のある彼のもとへ、ジェシーを崇拝するロバート・フォード(ケイシー・アフレック)が仲間にしてくれとやって来る。最初は面白い男だと相手にしていたジェシーだったが…

 うーん、何なんだろう、この映画の空虚さは。ジェシーが意外と魅力的に見えなかったのが敗因かもしれないけど、それにも増してロバートの鼻をつくような気に障る部分。これは計算されたものだとは思うんだけど、とどのつまり2人のどちらにも魅力を感じないがゆえに、映画も空虚なものに感じてしまったのかも。

 ただしストーリーとしては面白いところも多い。特に暗殺を行って以降の、ロバートが劇場で自分自身を演じたりといったパートは意外と見所だったと思う。アウトローを殺したってことでヒーローなんだろうけど、もちろん劇中では額のガラスごしに殺されるのを予見したジェシー(こちらが一枚上手ってわけですね)は描かれるわけもなく… でも観客はそんな部分もこのロバートって男に感じ取ってしまったのだろうかってフシがあったりする。

 崇拝から殺人に至るってのは、やっぱりおきまりのコースのひとつなんかな。自分としてはよく理解できないけど。

アンドリュー・ドミニク監督。2007年アメリカ映画。

2009年6月14日 (日)

サーフズ・アップ (2007)

サーフズ・アップ 南極に住むイワトビペンギンのコディ(声:シャイア・ラブーフ)は伝説のサーファー・ビッグZ(ジェフ・ブリッジス)に憧れてペングー・アイランドのワールドカップへ出場する。そこで出会ったのは最強のチャンピオンであるタンク(ディードリック・ベーダー)。彼はプロサーファーのギークや、ライフガードのラニ(ズーイー・デシャネル)に支えられて大会に備えるのだったが…

 またまた登場のペンギンが主人公のCGアニメ。そう、「ハッピー・フィート」の続編か、あるいは姉妹編かと思ったんだけど関係はないみたい。でも10年ぐらい経ったらこの2本は私の記憶の中でごっちゃになるような気がする。

 ストーリーは、ハッピーフィートというよりは「カーズ」に近いような印象。がつがつと勝つだけが人生じゃないよ、と言ったら聞こえはいいんだけど、同じテーマの映画が続くと何だかなあって感じである。

 ドキュメンタリー風(というかテレビ中継風)の演出はなかなか面白かった。ビッグZと主人公のコディもいい関係。全体的に、そつなくまとめられているけどお話がかなり軽いといった印象。サーフィンのシーンは、なかなか迫力あります。

アッシュ・ブラノン、クリス・バック監督。2007年アメリカ映画。

2009年6月12日 (金)

シルク (2007)

シルク フランスの片田舎に住むエルヴェ(マイケル・ピット)は、戦争から帰り美しい娘エレーヌ(キーラ・ナイトレイ)と結婚する。ところが村の産業である製糸工場が、蚕の伝染病により打撃を受ける。健康な卵を求めてエルヴェはアフリカから日本まで旅をするのだったが…

 アレッサンドロ・バリッコのベストセラー小説を映画化。日本側からも役所広司、中谷美紀などが出演。ところが思ったほどにスケール感がなくこじんまりした映画になってしまったのは何でだろう。短時間にエルヴェがヨーロッパと日本の間を何回も行ったり来たりしたからかなぁ…

 それにヨーロッパの恋愛映画にしては、メッセージ性が希薄な感じ。日本人の美女にくらくらっときて、そして実はエレーヌの手紙だったなんて結末はいったい何を意味しているのか? 実は何も意味してないんじゃないか、なんて気分になってしまった。キーラ・ナイトレイは綺麗だったけど、中谷美紀にしても芦名星にしても、あんまりオーラ出てなかったしなあ…

フランソワ・ジラール監督。カナダ=フランス=イタリア=イギリス=日本合作。

2009年6月11日 (木)

Presents うに煎餅 (2007)

Presents うに煎餅 印刷会社に就職した羽月(戸田恵梨香)は、理想と現実のギャップに疲れ気味。おまけに大学で留年を繰り返す恋人の悟(平岡祐太)にも愛想をつかしている。そんなとき、合コンで良さげな男健介(黄川田将也)と知り合いデートを繰り返すのだったが…

 角田光代の短編小説を映画化した、中編映画の第2弾。理想だと思える、かっこいい男とつきあってはみたけど…というストーリー。いわゆる青い鳥的ないい話だとは思うのだが、悟がいい男かと言えばかなり微妙なのが敗因。確かに確かめもせずにピアスを贈る男なんてかなりひいてしまいそうだが…

 ポップな画風といい、これが今風な映像なんかな? 登場人物がおっそろしくビビッドな服を着ているのはかなりひいてしまったが。

石井貴英監督。2007年日本映画。

2009年6月 9日 (火)

Presents 合い鍵 (2006)

Presents 合い鍵 OLの由加里(広末涼子)は8年間つきあってこのところ疎遠ぎみの恋人の博明(玉山鉄二)に久しぶりに合う。彼から切り出されたのは、好きな人ができたから別れてほしいとのこと。今までの8年間は何だったのかと途方に暮れる彼女は気がつくと彼の部屋の合い鍵を持っていて…

 角田光代の短編集「Presents」を元にした中編映画。8年間つきあった彼との別れという、何やらありがちな光景をじっくり描いて見せてくれる秀作。女性監督の持つ感性もさることながら、倦怠期でたどたどしい2人と、8年前の生き生きした2人のやりとりのコントラストがこれまた秀逸である。何回も見たい映画ではないけど、ちょっと心に残る映画。こういう思い出って、誰でも心の中に一つか二つしまってるんじゃないかな。

日向朝子監督。2006年日本映画。

2009年6月 8日 (月)

ストーカー (2002)

ストーカー スーパーのDPEコーナーに勤める写真技師のサイ(ロビン・ウィリアムズ)は、お得意様のニーナ(コニー・ニールセン)、ウィル(ミシェル・ヴァルタン)、ジェイク(ディラン・スミス)一家に好意を持っている。ところがひょんなことから父親ジェイクの浮気を知り…

 タイトルどおりのストーカー映画なんだけど、主人公のサイが本当に普通のおじさんというのが、逆に哀れを誘う。こういう店員さんってたまにいるし、客側から見るととってもいい人なんですよね。それが一線を越えてしまうあたりが妙にリアルに描かれるのがポイント。本当に、善人と悪人の境界線は紙一重というのを感じさせてくれます。ロビン・ウィリアムズは相変わらずうまいです。

 こう考えると、写真屋さんって本当に個人のプライバシーに入り込んでくる職業のひとつですね。個人情報に敏感になった現代だからこそ、この映画の怖さがじわりと感じられるのではないでしょうか。もうひとつ、家族は大切にしましょう。

マーク・ロマネク監督。2002年アメリカ映画。

2009年6月 4日 (木)

大いなる陰謀 (2007)

大いなる陰謀 上院議員のアーヴィング(トム・クルーズ)は、軍のテロ対抗作戦を女性記者のジャニーン・ロス(メリル・ストリーブ)にリークする。その裏にただならぬものを感じて、記事にするのをためらうジャニーン。同じ頃、大学で政治を教えるマレー(ロバート・レッドフォード)は、教え子たちに持論を説くのだったが…

 上院議員を独占インタビューする記者、大学のゼミ、そして作戦遂行中の戦場(実は兵士は、マレーの教え子)と3元中継で話が進んでいくドラマ。大学や学生と、戦地がつながっているというアメリカの日常感覚にまずは驚かされる。次に隠密作戦のリークが、大統領になる布石だという大いなる陰謀。このくらいで陰謀って呼べるんだろうか(笑)ってのが正直な感想である。日常茶飯事に、転がってそうな事件のような気がする。

 そう考えると大いなる陰謀って何だったんだろうか。学生の選択肢として、戦場へ赴くことが含まれるというアメリカの実情と、それが教育システムに組み込まれているってこと? いや、「大いなる陰謀」とは邦題なので、あまり深く考えるのが馬鹿馬鹿しいことなのかもしれない。

 というわけで、豪華顔合わせの割にはちょっと肩すかしをくったかのような作品。テーマの割に、上映時間がコンパクトだったのも敗因かな。

ロバート・レッドフォード監督。2007年アメリカ映画。

2009年6月 2日 (火)

28週後... (2007)

28週後... 噛まれると凶暴になる新種ウィルスに襲われたイギリス。ドン(ロバート・カーライル)は絶体絶命の状況から、妻アリス(キャサリン・マコーマック)を見捨てて自分だけ助かる。やがてウィルスは沈静化し、スペインに旅行に行っていた娘タミー(イモージェン・ブーツ)と息子アンディ(マッキントッシュ・マグルトン)が帰ってきたのだったが…

 「28日後...」の続編だけど、背景の事件がつながっているだけで前作とのキャラクターのつながりはなし、というか微妙に何かがつながっているのかもしれないけど、1回の観賞では見つけることはできなかった。

 今回はとあるファミリーが主人公なんだけど、妻を見捨てて逃げるという父親のなさけなさが、妙に身につまされる。本来はばっさり切り捨ててしまいそうなキャラなんだけど、自分もいざという時にああなってしまうんじゃないだろうかという不安感があおられてしまう。

 その後のストーリーも情け容赦ないのがなんとも凄い。ああ良かったと思わせておいて…そりゃないだろうという展開。これはラストのエンドクレジット近くまで引き継がれる。聞けばこれは3部作の予定なのだそうだが、どんな完結編が用意されるのか楽しみである。ロメロのゾンビシリーズと同く、ばしっと話が収束することは期待できそうにないが。

フアン・カルロス・フレスナディージョ監督。2007年イギリス=スペイン合作。

2009年5月28日 (木)

28日後... (2002)

28日後... 動物実験の施設が愛護団体に襲われ、逆に新種のウィルスが流出する。噛まれて感染した人間は凶暴になり、別の人間を襲う。かくしてロンドンは廃墟となり、病院で目覚めた自転車メッセンジャーのジム(キリアン・マーフィ)は生存者のセリーナ(ナオミ・ハリス)、ハンナ(ミーガン・バーンズ)らとラジオ放送の流れる合流地点へと脱出を試みるのだったが…

 いわゆる新種のゾンビ映画なのだが、イギリスが舞台だけにハリウッドものとは何やら空気が違う。そう、70年代の「赤ちゃんよ永遠に」みたいな乾いた雰囲気がただよう。さすがに世界的なインフルエンザ騒ぎの中で見ただけに、肌で映画の世界を感じられるかのような臨場感がある。

 ちょっと気になったのは、1滴の血で感染するという恐ろしい病原体だったら、ゴーグル(できればシューティング用)ぐらいしろよな、と思ってしまった。目鼻口、粘膜はちょっと露出してるとやばいんじゃないの?

ダニー・ボイル監督。2002年イギリス=アメリカ=オランダ合作。

2009年5月26日 (火)

悪霊喰 (2003)

悪霊喰 司祭のアレックス(ヒース・レジャー)は恩師の謎の死を調べてローマへ。事件の鍵を握るイーデン(ベンノ・フユルマン)に行き着くのだが、彼は教会では異端とされる罪喰い(シン・イーター)だった…

 れいによってたまに出てくる難解なオカルト映画。聖書やキリスト教に精通してないと楽しめない内容なんじゃないかと想像する。だいたい罪食いの儀式が何を意味するのかがよくわからず、また暗いシーンが多いのも難解さに拍車をかける…

 今は亡きヒース・レジャー主演ってのが因縁めいたものを感じなくもない。「オーメン」あたりが好きな人だったら楽しめるのかな?

ブライアン・ヘルゲランド監督。2003年アメリカ=ドイツ合作。

2009年5月25日 (月)

何がジェーンに起ったか? (1962)

何がジェーンに起ったか 名子役でならしたジェーン(ベティ・デイヴィス)だったが性格は異様にわがままで、成長してからは鳴かず飛ばず。女優として成功した姉のブランチ(ジョーン・クロフォード)に食べさせてもらっている状態だった。ところが2人が年取ってから姉が事故で車いすの生活になり、過去の栄光よ再びと思うジェーンはブランチの財産をだまし取り…

 ヘンリー・ファレル原作。サイコ・サスペンスの古典…といったところでしょうか。実は初見で予備知識なく見たんだけど、ぐいぐい引き込まれるストーリーと2大女優の競演に2時間半がとても短かった。こりゃ、怖い映画です。本当にこんな姉妹の確執ってあるのかどうか知りませんが、とにかくぞくぞくさせられるえげつなさ。

 「裏窓」と同じく、車いすの使い方が秀逸です。軟禁状態の姉が妹にいたぶられる…というのが基本的なストーリーなんだけど、ただただ救いようもなく怖いだけではなく、時々姉が哀れな様子を見せたり、妹を思いやったりするのが一筋縄ではいかない。そのあたりが余韻として残るんでしょうね。やっぱこういう姉妹が育ってしまったのは、親の責任かも…なんてほとんど描かれることのない両親のことを考えてしまいました。

 ひたすら怖い印象のベティ・デイヴィスだけど、ラストの海岸シーンはとても綺麗に撮られていたのがまた印象的でありました。

ロバート・アルドリッチ監督。1962年アメリカ映画。

2009年5月22日 (金)

デッドフォール (1989)

デッドフォール ロス市警の名物刑事のタンゴ(シルベスター・スタローン)とキャッシュ(カート・ラッセル)はライバル心を持ち互いの活躍を競い合う。ところがこれを良く思わないギャングのボスのイヴ・ベレット(ジャック・バランス)の罠にはまり、刑務所送りになってしまう。復讐を誓い協力して脱獄した2人ではあったが…

 うーん、今見ると80年代の雰囲気がたっぷり楽しめる。スタローンもラッセルも若くて、しかもこんなゆる?い役をやってたんだと思うとにんまりさせられる。説得力ほとんどなしのアクションコメディだけど、突っ込みを入れまくるのは野暮ってものかも。とにかく2人のかけあいに始終楽しませられました。

 ロシアの監督がハリウッドのコメディを撮るってのも、いい話だと思います。コンチャロフスキーは最近ぱっとしないけど…

アンドレイ・コンチャロフスキー監督。1989年アメリカ映画。

2009年5月21日 (木)

ソウ4 (2007)

ソウ4 殺人鬼ジグソウ(トビン・ベル)の死体を解剖すると、胃の中から録音テープが出てくる。それはまたもやホフマン(コスタス・マンディロア)をはじめとする刑事たちに当てた死のゲームのはじまりだった。同じ頃SWATの隊員リッグ(リリク・ベント)はバスルームで目を覚ます。彼はジグソウのテープに90分以内に行方不明の2人の刑事を救えと言われるのだが…

 まだ続くのか…といいかげん食傷気味になってきたスプラッタ・シリーズの第四作。いきなり悪役のジグソウの解剖シーンから始まるあたりが何ともごちそうさまであるが、さらにスプラッタシーンもエスカレート。ただしシリーズ通じてあった密室のシチュエーションは薄まったので、逃げようと思えば逃げ出せるってのが何やら追い込まれ型のスリラーを薄めているって感じ。

 ジグソウの子供や、結婚時のエピソードが語られるのはちょっと切り口が変わって楽しめた。「ハンニバル・ライジング」でレクター博士の生い立ちをたどるのと同じ趣向かな。でもさすがに以降の残酷に関しては、とうてい理解も共感もできるもんじゃないけど。

 このシリーズ、いいかげん見るのをリタイアしたいところだけど、「ソウ5」がすでに作られているらしい…

ダーレン・リン・バウズマン監督。2007年アメリカ映画。

2009年5月19日 (火)

ハサミを持って突っ走る (2006)

ハサミを持って突っ走る 詩人を夢見る母ディアドラ(アネット・ベニング)と父ノーマン(アレック・ボールドウィン)のもとに育つ中学生オーカステン(ジョセフ・クロス)は、両親の不仲と母親の依存症のおかげで、精神科医フィンチ(ブライアン・コックス)のもとに預けられることになる。ところがここの家族(グウィネス・パルトロ?、エヴァン・レイチェル・ウッド、他)はひとくせもふたくせもあり…

 うーん、元の家庭も、預けられた精神科医の家庭も、こりゃ究極の選択。どちらかを選べと言われても、安住の地はない。中学生だったら自立するにはまだ早いし、でもこれはアメリカの中学生がよく置かれているありきたりな状況下もしれないな、などと考えてしまいました。

 これってオーガステン・バロウズの自伝…ってことだけど、必ずしも映画向けの物語ではないような気がした。日常生活ではウンコ崇拝(?)をするピンクの家の精神科医に預けられるってのは大事件だけど、映画にしたらどうよって感じ。少なくともハサミを持って突っ走っているようには見えませんでした。

ライアン・マーフィー監督。2006年アメリカ映画。

2009年5月18日 (月)

アメリカン・ギャングスター (2007)

アメリカン・ギャングスター 70年代のハーレム、黒人ギャングの運転手だったフランク(デンゼル・ワシントン)はボスが死んでシンジケートの一切を受け継ぐ。ファミリーを従え、ベトナム戦争の軍用機を使って麻薬を密輸して富を築くのだったが、そこに捜査の手を伸ばしたのは決して買収されない刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)だった…

 リドリー・スコットが近年お得意とする裏社会の年代記ものの1本。とにかくモラルがぐちゃぐちゃで勧善懲悪とは無縁の世界が描かれる。警察側ですら押収した大金を正直に署に届ける(当たり前やん!)だけで「馬鹿かこいつは」と有名になるのである。見ているだけで感覚が麻痺してきて、麻薬でのし上がるなんて当たり前のことのように思えてくる。

 いきなりネタばれで恐縮だが、ラストにフランクが司法取引で短い刑期で出所してくるのも何とも言えない。ギャング映画にしては回数は少ないながらも、このフランクって劇中で殺人もやらかしてるのに…である。正義の警官リッチーも、家族ぼろぼろで幸せになってないってのがやるせないなぁ。麻薬取締官がぼろぼろ逮捕されるのは拍手ものではあったが。

リドリー・スコット監督。2007年アメリカ映画。

2009年5月16日 (土)

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 (2007)

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 19世紀のイギリスはロンドン、理髪師のベンジャミン・バーカー(ジョニー・デップ)はタービン判事(アラン・リックマン)に無実の罪をきせられて投獄。妻は自殺し娘ジョアナ(ジェーン・ワイズナー)は判事の養女となってしまう。ロンドンに帰ってきたベンジャミンはスウィーニー・トッドと名前を変え、ミセス・ラベット(ヘレナ・ボナム・カーター)のロンドン一まずいパイ屋の二階に店を開くのだったが、復讐鬼となった彼は客をどんどん惨殺し…

 何じゃ、こりゃあ… ティム・バートンの作品は結構好きなんだけど、最近はちょっと波長が合わないかもしれない。ジョニデが、ヘレナが、アラン・リックマンが歌うホラーミュージカルってのが斬新といえば斬新なんだけど、何というか心にぐっとくる部分が希薄。たぶん、復讐と言いながらも無差別殺人に走る主人公に感情移入ができないのが最大の理由だろうし、楽曲もタイトル曲以外は全然耳に残らないのが敗因だろうね。

 もうひとつ気に入らないのが、ヘレナ・ボナム・カーターの演じる毒婦。彼女は完全にティム・バートンワールドの住人になりきっているんだけど、どこか可愛さと哀れさが同居して心にひっかかる…という役どころのはずなのに、ここでは単なる毒婦に過ぎない。う?ん、期待したものが見られなかったという部分かな。

 ほとんどモノクロに近い画面は一見の価値があります。強いて言えば、血の赤が際だったパートカラー作品といったところか。予備知識なく見てどん引きした「リトル・ショップ・オブ・ホラー」をラスト近くになって思い出しました。

ティム・バートン監督。2007年アメリカ映画。

2009年5月11日 (月)

TATARI (1999)

TATARI テーマパークのプロデューサーのプライス(ジェフリー・ラッシュ)は妻エヴリン(ファムケ・ヤンセン)の誕生パーティーをかつて大虐殺が行われた病院跡で行おうとする。招待されたのは5人の男女(テイ・デイヴィス、アリ・ラーター、ブリジット・ウィルソン、ピーター・ギャラガー、クリス・カッテン)だったが、やがて館は自動的に閉鎖されてひとり、またひとりと惨殺されていく…

 続編から見てしまった「TATARI 呪いの館」の正編をついに発見。しかし続編とのつながりはあまりなく、結末よりといってもストーリー自体がホラー映画の定番(サバイバルもの)なのであまり続編とは関係なく見ることができた。

 実は私が一番面白かったのは、冒頭のジェットコースターのエレベーターのシーン。本物だったら絶対に騙されることはないんだろうけど、そこは映画のマジックというかまんまとトリックにはまった。同じギミックが後半もいっぱいあるのかな、と期待したらすっかり外されたというのが正直なところ。うーん、ホラーはちょっと食傷気味になってきたぞ。

 しかしこんなB級ホラーを、ロバート・ゼメキスとジョエル・シルヴァーという一流どころが大まじめにプロデュースしているのが懐の深さを感じさせてくれます。ホラーでは独特の地位を築きつつある「ダーク・キャッスル」の第1回作品だそうです。

ウィリアム・マーロン監督。1999年アメリカ映画。

2009年5月 9日 (土)

ニュールンベルグ裁判 (1961)

ニュールンベルク裁判 戦後間もないドイツ。ナチの本拠地であったニュールンベルグにアメリカの判事ヘイウッド(スペンサー・トレイシー)がやって来た。目的は、軍事裁判でドイツの司法長官ヤニング(バート・ランカスター)ら戦犯を裁くこと。やがて検事(リチャード・ウィドマーク)、弁護士(マクシミリアン・シェル)らによるニュールンベルグ裁判がはじまった…

 「東京裁判」と並ぶ2大軍事裁判を描いたドラマ。あくまでもドラマであり、裁かれるヤニングをはじめとする法務関係者はすべて架空の人物らしい。とはいってもモノクロの画面とドキュメントタッチの骨太な演出、上記出演者に加え、証人として登場するモンゴメリー・クリフトやジュディ・ガーランド、ヘイウッドの話し相手になるマレーネ・デートリッヒなどなど重厚なドラマで見応えがある。

 フィクションとはいっても、ナチが行ったとされる大量虐殺、断種法などは事実を基にしているのだろう。特にラストのヤニングとヘイウッドの刑務所内でのやり取りは名場面だと思う。

スタンリー・クレイマー監督。1961年アメリカ映画。

2009年5月 4日 (月)

スリー・キングス (1999)

スリー・キングス 湾岸戦争終結後のイラク。捕虜を整理していたアーチー(ジョージ・クルーニー)、トロイ(マーク・ウォールバーグ)、チーフ(アイス・キューブ)たちは、1人の兵士の尻の穴に突っ込まれた紙を発見する。それはフセインのお宝のありかが書かれた地図だった。手ぶらで国に帰るわけにはいかないと、軍紀違反も何のその、金塊強奪に乗り出す彼らだったが…

 湾岸戦争ものには違いないのだろうけど、その舞台で金塊強奪をたくらむというアウトロー映画。いかにもアメリカ的で、人情ものに振った戦争映画よりもこちらの方が説得力があるというのも困ったものだ。

 もっとも作品の出来はそんなに良いものではなく、アクションシーンは迫力あるんだけど(特にこちらに何か物が飛んでくるシーン)、他は中だるみしたり人命救助に焦点がぶれたり、何やら混沌とした内容。もっともこの混沌ぶりが湾岸戦争そのものなのかもしれない。金の延べ棒をビトンのカバンに入れて運んだり、フセインを語ってリムジンを走らせるシーンとかは面白かったぞ。

デヴィッド・O・ラッセル監督。1999年アメリカ映画。

2009年5月 2日 (土)

エリザベス ゴールデン・エイジ (2007)

エリザベス ゴールデン・エイジ ヨーロッパで唯一のプロテスタントの女王としてイギリスを治めていたエリザベス1世(ケイト・ブランシェット)。ところが周囲ではスペインのフェリペ2世(ジョルディ・モリャ)、イギリスの王位継承権を主張するスコットランド女王メアリー(サマンサ・モートン)の存在と謀略が渦巻く。そんな中でエリザベスは新世界から帰ってきた航海士のウォルター(クライヴ・オーウェン)に心ひかれるのだったが…

 混沌としたストーリーで混沌とした中で「私は国と結婚します」と言い放って終わった「エリザベス」の続編。またまたこの混沌につきあわなければいけないのか、と正直ごちそうさま状態で観賞に入ったんだけど、これは続編の方が面白い。たぶん今回の相手役となるクライヴ・オーウェンをはじめ、スコットランド女王のサマンサ・モートン、そして侍女のアビー・コーニッシュ(実はニコール・キッドマンが出演しているのかと思ったほどそっくり)たちの好演、そして後半のスペイン無敵艦隊との戦いとかが面白くて、内容が充実しているからだと思います。

 無敵艦隊を破ったのは、結局戦略が優れていたというよりも神風が吹いた…ってことなんでしょうか(元寇のように)。あの戦いで無敵艦隊全滅…ってのはちょっと納得いかないかも。

シェカール・カブール監督。2007年イギリス=フランス合作。

2009年4月30日 (木)

AVP2 エイリアンズVS.プレデター (2007)

AVP2 エイリアンズVS.プレデター 前作で南極から脱出した宇宙船が、コロラドの田舎町へ墜落する。中から出て来たのは、プレデターやエイリアンの生き残りと、プレデターに寄生して生まれた新種「プレデリアン」。やがて町はエイリアンに占領され、軍が投入されるのだったが…

 本当に作るの?と思ってたエイリアンVSプレデターの続編。こういうのは新味がないと面白くないんだけど、舞台が片田舎の町で登場するのは新種のプレデリアン。何か悪い冗談じゃないかと思ったけど、それ以上に悪い冗談だったのは画面の暗さ。これは暗に「映画館で見なさい」という作者のメッセージなのかもしれない(笑)。

 とにかくBSを録画したDVDでは何が行われているのかさっぱりわからないシーンが多数。落武者のようなプレデターなんだけど、プレデリアンはこれを踏襲。暗いところで戦うとどっちがどっちかわからなくなるおまけつき。映画館は無理としても、これはハイビジョン+プロジェクターで見直せ、という作者のメッセージなのかもしれない(苦笑)。

コリン・ストラウス、グレッグ・ストラウス共同監督。2007年アメリカ映画。

2009年4月28日 (火)

シッコ (2007)

シッコ アメリカの医療問題を描いたドキュメンタリー。医療保険制度が民営のため、高い保険料を払わないと医療保険に入れない事実。そして、医療保険に入っていても次々と何癖をつけては人々を医療から遠ざける保険会社。病院から捨てられる人々といった、先進国にはありえないような医療事情が次々と描かれる。

 もういいかげんアメリカ的資本主義はうんざり…なんて気分にさせられる映画。マイケル・ムーアって人は癖が強くてかなり斜めに構えて話三分ぐらいに聴かなきゃいけないなぁなんて気はするのだが、それでもぐいぐいと引き込まれていく作品力はさすがである。この映画で描かれるアメリカってのは、まさしくカネカネカネである。

 ぐっと盛り上がって、ラストはキューバに近い軍刑務所(で正しいのかな?)への突撃取材…に思わせて、あっさりと行き先はキューバに変更。でもキューバの医療制度、加えてフランスやカナダの医療制度。アメリカ人はどう感じるんだろうか。アメリカ至上主義のハリウッド映画の中で、やっぱりマイケル・ムーアの映画は光っている。

マイケル・ムーア監督。2007年アメリカ映画。

2009年4月27日 (月)

カジノ (1995)

カジノ 70年代、ラスベガスのカジノの支配人となった、プロの賭博士のサム・ロスティーン(ロバート・デ・ニーロ)。カジノの売り上げは右肩上がりで、美しいギャンブラーのジンジャー(シャロン・ストーン)を見初めて結婚する。ところが旧友のニッキー(ジョー・ペシ)が暴走をはじめ、ジンジャーが元カレのレスター(ジェームズ・ウッズ)と切れてないこともわかり…

 ニコラス・ビレッジ原作の、いわゆるやくざ実録映画ベガス版である。こういうのをやらせれば、デ・ニーロはもちろん、ペシもストーンもウッズもみんなはまり役。3時間もの長尺を一気に見せてくれる上に、カジノの金が親分衆に流れていくシステムを解説する以外は何も残らないというおまけつき。結局親分衆もまとめて逮捕されて、最後は誰がトクしたんでしょうね。

 いきなり吹き飛ばされるサムというオープニングもぶっとんでてて面白い。しかし最初に結末を見せる映画ってのは、ただでは転ばないってのはお約束である。サムとジンジャーの結婚も、観客目線で見ればうまくいかないのは明白。ペシもなるべくしてなった結末を迎える… 一番かわいそうなのは、修羅場を見て育ったサムとジンジャーの娘かも。どういうコに育ったんだろう。

マーティン・スコセッシ監督。1995年アメリカ映画。

2009年4月24日 (金)

テラビシアにかける橋 (2007)

テラビシアにかける橋 小学生のジェス(ジョシュ・ハッチャーソン)は絵が得意で空想好きな男の子だが、学校ではいじめられ、家でも女の子の兄弟(ベイリー・マディソン他)に囲まれて居場所がない。ところが転校生のレスリー(アンナソフィア・ロブ)と仲良くなり、二人で森の中の空想の国テラビシアを作って遊ぶようになるのだが…

 空想を映像を見せてくれる映画。でも映画の中でもそれは空想なわけで、二人の空想に付き合わされるのは正直しんどいな、なんて思いながら見ていたら…終盤にとんでもない展開が待っていた。正に突き放されたかのような映画で、こりゃある意味トラウマものかもしれない。

 というわけで、映画を見終わってからはこのジェスとレスリーという二人がとっても気になる存在になってしまった。決して出来はよくないしもう一度見ようとも思わない映画なんだけど、なぜか二人の姿だけが頭に残る。ジョシュ・ハッチャーソンもアンナソフィア・ロブも、そして妹約のベイリー・マディソンもうまい。ちょっと注目の3人かもしれない。

 原作はキャサリン・パターソンの児童文学。この内容だったら本で読んだ方が、想像が広がって面白いかも。

ガボア・クスボ監督。2007年アメリカ映画。

2009年4月23日 (木)

ロッキー・ザ・ファイナル (2006)

ロッキー・ザ・ファイナル 現役を引退した元ヘビー級ボクシング世界チャンピオンのロッキー(シルヴェスタ・スタローン)。妻エイドリアン(タリア・シャイア)を亡くし息子ロバート(マイロ・ヴィンティミリア)とは疎遠になり、イタリアン・レストランを経営して細々と暮らしていたが、テレビ番組のコンピューター・シミュレーションで現役チャンプのディクソン(アントニオ・ターヴァー)を負かすと予想されたことから一躍時の人となり…

 ロッキーシリーズ16年ぶりの新作にして最終作(予定?)、高校生の時にリアルタイムで見ながらここのところは忘れていたシリーズなんだけど、こうやって久々に続きを見ても(しかも予習もなしに)頭の中で話がちゃんとつながるってのが凄いと思う。それにしても、冒頭のエイドリアンにからむシーンは悲しい。この感覚を味わえるのはシリーズをリアルタイムで見ている特権だろうね。

 ただしシリーズのお約束である(と私が思っている)、ロッキーが一発奮起して試合に臨む部分の盛り上がりに欠けるのがちょっと悲しい。これは、第一作と同じテンションで作られてるのかもしれないけど、私が歳をとって逆にこの感覚がわからなくなったのかもしれない。歳とってわかんなくなる映画ってのもあるのかも。

 それにしても…スタローンも歳とった。ヘビー級チャンプと互角に勝負するってのは無理があるんじゃないか、なんて思うんだけど、気合い一発というこれまたシリーズを通してのメッセージに熱くなれるのは良いです。スタローンはロッキーといいランボーといい、2大ドル箱シリーズを完結させてくるってのは…現役引退でも考えてるんかなぁ。

シルヴェスタ・スタローン監督。2006年アメリカ映画。

2009年4月20日 (月)

ケータイ刑事 THE MOVIE2 石川五右衛門一族の陰謀 決闘!ゴルゴダの森 (2007)

ケータイ刑事2 多聞殺のため、何をやってもうまくいかない岡野刑事(国広富之)が赤坂のゴルゴダの森で消息を絶ち、彼を追ったケータイ刑事こと銭形雷(小出早織)も行方不明になる。警視庁は彼らを助けるために銭形零(夏帆)と同じく多聞殺の松山刑事(松崎しげる)を送り込むのだったが、事件は石川五右衛門の子孫(星野真里)の仕業だった…

 人気シリーズ(?)の劇場版第2弾。これって本当に劇場公開されたんだろうか??? まさしくアイドルの学芸会といった様相を呈しているんだけど、ファンにとってはたまらない内容なのであろう。

 往年の人気ドラマ「トミーとマツ」の復活も話題なんだろうけど(私は見てなかったけど)、二人の発するおやじギャグはとてつもなく寒い。

 と書いたけど、個人的に気に入ったのはゴルゴダの森にあるレンタルビデオショップ(すげ?設定だ)と、ゲスト出演の水野晴郎。宍戸錠は割り切っているのか、完全にポーカーフェイスだ。「シベリア超特急」を見るのと同じ心構えでかかったら、案外楽しめるかも。

田沢幸治監督。2007年日本映画。

2009年4月17日 (金)

プロヴァンスの贈りもの (2006)

プロヴァンスの贈りもの 株トレーダーのマックス(ラッセル・クロウ)はボロ儲けをしながらも当局の告発寸前になり、休業中。1ヶ月前に亡くなった叔父ヘンリー(アルバート・フィニー)の遺産の屋敷やぶどう畑を整理しに南フランスのプロヴァンスへ行くのだが、レンタカーで女性ファニー(マリオン・コティヤール)をひきかける…

 血も涙もない、激務のデイ・トレイダーが田舎生活に目覚める話…と一言で内容が書けるぞ。でも、この映画をあの「ブレードランナー」や「グラディエイター」を撮ったリドリー・スコットが監督し、同じく「グラディエイター」のラッセル・クロウが楽しく演じているのがいい。そういえばラッセル・クロウのくたびれ具合がリアルで何ともいい感じだし、「Taxi」シリーズのマリオン・コティヤールが相手役ってのも彼をプロヴァンスにひきとめる上で説得力あり。プールのエピソードなんて、何だかほろずっぱいですよね。

 最近よく見かけるアルバート・フィニーがここでも大活躍。とにかく役者だけでたっぷり見せてくれる映画なんだけど、結局ぶどう畑は一般的価値はないままだし、ワインはおいしくならないしってあたりの外し方もただものではない。ゆったり楽しめる癒し系の映画です。

リドリー・スコット監督。2006年アメリカ映画。

2009年4月16日 (木)

オープン・シーズン (2006)

オープン・シーズン グリズリー・ベアーのブーグ(声:マーティン・ローレンス)は、レンジャーのベス(デブラ・ミッシング)に飼われて舞台で芸もこなす人気者。ところがならず者ハンターにつかまった鹿のエリオット(アシュトン・カッチャー)を助けたことから運命が変わり…

 ソニー・ピクチャーズ初のCGアニメ。切り絵細工のような質感の町、そしてヴィデオゲーム風の大自然の中で繰り広げられる物語だけど、ディズニー以上に本流を外してないストーリーとはらはらどきどきの見せ場の連続で飽きさせない。いわゆるキッズムービーとしては安心して見せられる作品。

 グリズリー・ベアーが怖いというよりも可愛いところがポイント。鹿のエリオットがお調子者のトラブルメーカーだというのはお約束ですね。

ロジャー・アラーズ、ジル・カルトン、アンソニー・スタッチ監督。2006年アメリカ映画。

2009年4月14日 (火)

カッコーの巣の上で (1975)

カッコーの巣の上で 精神病院に転院してきたマクマーフィ(ジャック・ニコルソン)は始終反抗的な態度をとるが、病院の仲間たち(ウィリアム・レッドフィールド、クリストファー・ロイド、ダニー・デヴィート他)には人気を集める。ワールドシリーズのテレビ中継を見せろと騒いだり、仲間を連れ出して釣り船をジャックしたりするのだが、やがて看護婦長のラチェッド(ルイーズ・フレッチャー)の逆鱗に触れ…

 ケン・キージーの原作をミロス・フォアマンが映画化。アカデミー作品賞や主演男優&女優賞をとって有名な映画だったけど、実は未見だった1本。アメリカン・ニューシネマの流れをくむんだろうけど、何か雰囲気が違う。反骨精神やらアメリカ的自由を描いた映画なんだろうけど、またしてもそれは馬鹿騒ぎか…ってのにちょっとげんなりさせられる。でも印象に残る映画というのは間違いない。

 たぶんネイティブ・アメリカンのチーフ(ウィル・サンプソン)の存在が大きいんだろう。堅物の看護婦長のルイーズ・フレッチャーも印象には残るが、彼女は単に空気が読めない女なだけな気がする。空気を読んで規律を守らせようとすれば、それはそれでいい人だったかもしれない。殺されかけたから頭カチ割られた…ととれば、しゃ?ないなぁで終わってしまうストーリー。そう終わらせないのがチーフの功績だったかも。

 まさかとは思ったけど、患者の中に若き日のロイド・ブリッジスやダニー・デビートが混じっていたのには驚いた。この頃から芸達者だったんですね。

ミロス・フォアマン監督。1975年アメリカ映画。

2009年4月12日 (日)

レッドクリフ PartI (2008)

レッドクリフ 西暦208年の漢の時代の戦乱の中国。曹操(チャン・フォンイー)は80万の大群を率いて中国統一のために南下する。対する劉備(ユウ・ヨン)、孫権(チャン・チェン)は同盟してこれを迎え撃とうとするが、その数わずかに6万。ただし彼らには、知力・体力に長ける周瑜(トニー・レオン)、諸葛孔明(金城武)、趙雲(フー・ジュン)、尚香(ヴィッキー・チャオ)、甘興(中村獅童)らが着いていた…

 タイトルから洋画?「クリフハンガー」の続編?なんて思ったんだけど、中身はなんと三国志の映画化、有名な赤壁の戦いを2部作で描いたパート1である。スタッフ・キャスト共にアジアのメンバー中心で、100億の制作費を投入したとか。こういうふれこみの映画で大コケしたものはいっぱいあるのでちょっぴり心配したのだが、前評判そのままの見応えのある大作映画にと仕上がっておりました。

 スランプかと思われたジョン・ウー監督も完全復調かな。要所要所に鳩を飛ばして、あとは戦いの日々とCGとロマンスとドラマが適度にブレンド。少ない軍勢で多勢と戦うという戦争ものの基本とも言えるストーリーをケレン味たっぷりに描いております。こりゃ最近の映画だと「300」なんかと見比べてみるのも面白いかもしれません。やっぱ圧倒的に強い者をやっつけるってのは痛快ですね。

 肝心の「赤壁の戦い」に至る前に「つづく」になっちゃうんですが、これはかなり期待してしまいます。字幕が登場人物の解説つきで非常に親切なのもいいです。

ジョン・ウー監督。2008年アメリカ=中国=日本=台湾=韓国合作。

2009年4月 9日 (木)

キャッツ&ドッグス (2001)

キャッツ&ドッグス 犬アレルギーを研究するブロディ教授(ジェフ・ゴールドブラム)の愛犬が誘拐され、代わりにもらわれて来たのはビーグル犬のルー(声:トビー・マグワイア)。実は失踪した犬は犬の世界のシークレット・エージェントで、世界征服を狙う猫のティンクルズと激しく争っていたのだった…

 このところどうコメントしていいのかわからないようなバカ映画が続くのだが、これもその1本(笑)。犬と猫は古代からハイテク文明を持っていて、人間の知らないところでずっと争っていたというのがその設定なんだけど、その地下に広がるハイテクシステムとかもうとんでもなくおバかで絶句もの。大体ネコにリーダーはいるけど死にかけの婆さんに飼われていてメイドに頭が上がらないってのが…笑いどころなんだろうけどねぇ。

 とばっさりと切り捨てようと思ったら、声優陣が凄いのにエンドクレジットを見て気がついた。主役のトビー・マグワイアをはじめ、アレック・ボールドウィン、マイケル・クラーク・ダンカン、スーザン・サランドン、チャールトン・ヘストン… 誰の声をあててたんだ!?(笑)

ローレンス・ガターマン監督。2001年アメリカ映画。

2009年4月 8日 (水)

ぐるりのこと。 (2008)

ぐるりのこと。 できちゃった結婚の佐藤カナオ(リリー・フランキー)と翔子(木村多江)。先輩(木村祐一)の紹介で法廷画家の職を得て生活も安定してきた二人だったが、幼い子供は亡くなってしまい翔子は鬱状態になる…

 映画初主演だそうだけど、木村多江って凄い。リアルである。それを受けて立つリリー・フランキーも強烈に味がある。何もしないように見えて、雰囲気を読めない人のように見えて、実はしっかりまわりを見ているところが良い。

 普通の夫婦の普通の10年の物語であるんだけど、この二人の死んだ子供を廻る葛藤と夫婦の関係がすごくすごくリアルで考えさせられることも多い。かといって退屈な映画ではなく、脇をかためる親戚一同(寺島進、安藤玉恵、寺田農、倍賞美津子)のリアルさ、そして法廷で繰り広げられるエピソード(実際の90年代の事件をモデルにしています)で飽きさせない構成などなど、見事としか言いようのない映画です。

 個人的に好きなのは、ツボをめぐるエピソードかな。後半特に驚異的な長回しのシーンが多いんだけど、あのツボのシーンだけは子供たちもからんでいるだけに圧巻。鼻水ぐじゅぐじゅのシーンも泣けます。この映画で木村多江って名前が強烈に頭にインプットされました。

橋口亮輔監督。2008年日本映画。

2009年4月 7日 (火)

スコーピオン・キング (2002)

スコーピオン・キング 古代エジプトのゴモラの町。王メムノン(スティーヴン・ブランド)は周辺国を強引に統治して残虐の限りを尽くす。そのメムノンとおつきの予言者カサンドラ(ケリー・フー)の暗殺をたのまれた凄腕の刺客マサイアス(ザ・ロック)は、カサンドラが女性だったことを知り殺すのをためらい、彼女を連れて逃げるのだったが…

 あの「ハムナプトラ2 黄金のピラミッド」の悪役スコーピオン・キングが主役のスピンオフ作品。とはいってもこの作品でのスコーピオン・キングことマサイアスは最初から最後まで男気のあるものすげ?いい人で、彼がどうして悪役になっちゃったかは一切不明。なんかスターウォーズのエピソード1や2を見ているような気分である。

 マサイアスのザ・ロックに加えて、盟友にマイケル・クラーク・ダンカン。こういうマッスルアクションものにははまり役ですね。上映時間1時間半と短いこともあり、かなりのジェットコースター状態で楽しめるのは確か。予言者役のケリー・ヒューも、セクシー衣装が似合っていて魅力的である。この映画がどういうふうにハムナプトラにつながっていくのか、久々に再見したくなりました。できることならイムホテップの生前の物語も見てみたくなったぞ。

チャック・ラッセル監督。2002年アメリカ映画。

2009年4月 5日 (日)

ケータイ刑事 THE MOVIE バベルの塔の秘密 銭形姉妹への挑戦状 (2006)

ケータイ刑事 警視総監の孫娘で警視正の中学生(!)、銭形泪(黒川芽以)・舞(堀北真希)・零(夏帆)に挑戦状が届けられる。マンガ家の殺人事件、占い師の事件などを次々と解決していく3姉妹だったが、ついに泪がバベルの塔にとらえられてしまう…

 BS-iで放映された連続ドラマの映画版第一作。長女はあの宮崎あおいだったそうだが本作には出演がなく、3姉妹ということになっている。しかし… なんじゃこりゃ!?

 映画以前の問題だろうと突っ込みたくなるような怪作珍作なんだけど、突っ込みを入れまくりながらも最後まで見ることができるのはこの映画の持ち味なのかもしれない。とにかく見ているこっちが恥ずかしくなるようなノリの映画だけど、主演の3人が可愛いから許す…ってなとこだろうね。彼女をサポートする草刈正雄と山下真司も、絵に描いたようなバカっぷりがほほえましくもある。

 ノリとしては、昨今の戦隊ものに近いかも。最初からそう身構えて見るべきだったかもしれない。続編もあるようだが(すでに録画ずみ)どうしようか思案中(笑)。

佐々木浩久監督。2005年日本映画。

2009年4月 3日 (金)

Mr.ビーン カンヌで大迷惑?! (2007)

Mr.ビーン カンヌで大迷惑 くじ引きの一等賞でカンヌへの旅とビデオカメラを当てたMr.ビーン(ローワン・アトキンソン)。ところがビーンのせいで父(カレル・ローデン)と離ればなれになってしまったステバン(マックス・ボルドリー)と旅をすることになる。やがてカーソン(ウィレム・デフォー)の率いる映画の撮影現場に巻き込まれたり、その出演女優サビーヌ(エマ・ドゥ・コーヌ)の車に拾われたりしながら一同は旅を続けるのだったが…

 今度はロードムービーだってわけで、なんと10年ぶりに作られたビーンシリーズの第二作。暑苦しいギャグはそのまんま。ギャグのキレもそのまんまなんだけど、今回は出演者が魅力的な上にラストの大円陣がちょっぴり爽快でいい感じに見終わることができた。ビーンが大好きな息子たち(小学生と幼稚園児)にはまだ見せてないんだけど、どんな反応を示すんだろうか。

 ヒロインが可愛くて良かったんだけど、さすがにビーンとくっつけてハッピーエンド…というわけにはいかなかったようだ(笑)。

スティーヴ・ベンデラック監督。2007年イギリス映画。

2009年4月 1日 (水)

ビッグ・フィッシュ (2003)

ビッグ・フィッシュ フランスに住むジャーナリストのウィル・ブルーム(ビリー・クラダップ)の妻ジョセフィーン(マリオン・コティヤール)は妊娠中。ところが父エドワード(アルバート・フィニー)の具合が悪いとの母サンドラ(ジェシカ・ラング)の知らせで、会いに戻る。空想癖のある父の話がもとでウィルとエドワードは喧嘩中にもかかわらず、性懲りもなくエドワードはジョセフィーンに空想話をしてきかせるのだったが…

 う?ん、傑作。物語の半分以上はエドワードのホラ話なのだが、そこに登場する若き日のエドワード(ユアン・マクレガー)、サンドラ(アリソン・ローマン)、魔女(ヘレナ・ボナム・カーター)、詩人ウィンズロー(スティーヴ・ブシェミ)、サーカスの団長エーモス(ダニー・デヴィート)、巨人(マシュー・マッグローリー)とみんなとっても魅力的。それぞれのキャラクターにまつわるエピソードがてんこ盛りで何から書いていいのかわからないのももどかしい。

 その中で苦しいながらも絞り出すなら、まずは主人公エドワードと巨人の関係かな。分かれ道でエドワードが巨人と別れながらもちゃんと再会できるあたりが最初の感動。靴がぶらさがった町は「シザーハンズ」を思わせるもこれまた圧巻。再会を約束する女の子(この時点で片思いだとわかるのだが)もいい。あとは何だろう。さらに印象深いのはブシェミの詩人が銀行強盗するシーンとか、車が水没するシーンとか、サーカスの双子とか、花畑でのプロポーズとか、傾いた家とか… これだけのホラ話を詰め込んで上映時間はほぼ2時間。凄すぎるぞ、ビッグフィッシュ。

 そしてラストシーン。実際のホラ話の登場人物たちが登場。そう、やっぱこのシーンが一番好きです。ちょうど映画を見たあとに、実際の登場人物の舞台挨拶を見ているかのよう。あるいはメイキングフィルムを見たり、撮影に使われたセットを見ているかのような感覚になりました。不思議な縁で結ばれた父子の関係。久々に、もう一度見たいと思わされた作品です。

ティム・バートン監督。2003年アメリカ映画。

2009年3月31日 (火)

沈黙の激突 (2006)

沈黙の激突 米軍から謎の物質の強奪未遂事件が起こる。それを防いだ将校のマーシャル・ローソン(スティーヴン・セガール)だったが、事件のあとで息抜きをしていた3人の部下を惨殺される。ローソンの恋人で科学者のティア(リサ・ラヴブランド)によると、強奪されかけたのはCTXという薬物で、これを注入すると瞳孔が開き超人になるというのだったが…

 こりゃ…ひどい(笑)。セガールの映画の中でも1・2を争う作品ではないだろうか。注入すると超人になる薬物…ということで、すげ?ファイトを期待したんだけどせいぜいブロック塀をばんばん破るくらいで、セガールは手先で戦っているだけという様子。突然はじまって突然終わるんだけど、フランス映画のようにかっこいいわけではない。あくまでも太く短くぶつ切り。ストーリーはあってないようなもので、上水道にこのCTXなる薬を投入しただのしなかっただの騒いでいたけど、結局何もせずに一件落着とはどういうことか。とどのつまり、投入されてなかったってこと?

 なんかまじめに書くのがバカらしくなってきた。間違いなく最低映画の1本だとは思うのだが、論じるのが時間の無駄に感じるのはなかなかのものである。ところでタイトルにある「激突」って、何が何と激突したんだろうか。

ミヒャエル・ケウシュ監督。2006年イギリス=アメリカ=ルーマニア合作。

2009年3月28日 (土)

恋する日曜日 私。恋した (2007)

恋する日曜日 私。恋した 女子高生のなぎさ(堀北真希)はがんで余命いくばくもないことを知らされる。初恋の人の石川聡(窪塚俊介)に会いたくなった彼女は、父に内緒で生まれ育った町を訪れる。ところが久しぶりに会った聡は、妻子ある人妻絵里子(高岡早紀)と不倫をしていることを知る…

 BSデジタルで放送のドラマシリーズの劇場版第2作。手持ちカメラの映像や長回しなど、雰囲気はよく言えばヌーヴェルバーグ、悪く言えば低予算映画って感じか。でも主演の堀北真希と窪塚俊介の存在感で画面がぐっと引き締まって見える。

 死ぬ前に会っておきたかった初恋の人が不倫してたなんて、とんでもなく悲しい話なんだけど意外と彼女はドライで悲壮感が感じられないのが逆にリアルである。絵里子の娘を連れ出して半日を過ごすところ、絵里子と対等に話し合うところなどなど、説得力満点。でも意外と映画に酔えないってのがこの作品のウィークポイントに思える。やっぱBSドラマ独特の雰囲気が鼻につくのかもしれない。

廣木隆一監督。2007年日本映画。

2009年3月27日 (金)

ターザン (1999)

ターザン 船が難破して無人島に流れ着いた親子だったが、両親は猛獣に襲われて残された赤ちゃんはゴリラ(声:グレン・クローズ)に育てられる。ターザン(トニー・ゴールドウィン)と名付けられ若者に育つが、ゴリラの探検にやって来たジェーン(ミニー・ドライヴァー)に出会い…

 あのエドガー・ライズ・バローズ原作の「ターザン」のディズニーによるアニメ化。アニメは無機質な感じがすると私は先入観を持っているのだが、この密林はいかにも何かいそうな鬱蒼とした雰囲気にうまく描かれているのにはちょっと驚いた。ムキムキのターザンも、うっすらと体臭まで感じられそうな雰囲気なのも不思議である。絵柄がいいのかな。

 ストーリーはおなじみのターザンそのままなので新味はないのだが、ゴリラや象などの動物たちとのからみが楽しいのはディズニーならではの味つけ。加えて密林を飛びまくる疾走感は秀逸です。ラストにジェーンの父がどうなったかだけが描かれてないのが気になってどうしようもない!?

ケヴィン・リマ、クリス・バック共同監督。1999年アメリカ映画。

2009年3月26日 (木)

デトロイト・メタル・シティ (2008)

デトロイト・メタル・シティ 九州から上京したミュージシャン志望の内気な青年根岸崇一(松山ケンイチ)。渋谷系のポップミュージックをやりたかったのに、気がついたら社長(松雪泰子)にスカウトされてやっていたのはデスメタルバンドの「デトロイト・メタル・シティ」。しかも音楽雑誌社に就職した憧れの相川由利(加藤ローサ)に再会し、彼女がメタル大嫌いだったから…

 若杉公徳の人気コミックを映画化。松山ケンイチが二重人格にも思える、素顔の根岸くんと変身したヨハネ・クラウザーII世(通称クラウザーさん、またはクラちゃん)を怪演。しかし二人のタイプといい、演奏する音楽といいまったくの両極端で、正直言ってどっちにも拒絶反応に近いものを感じる私としては音楽的には辛いものがありました。

 邦画のコミック原作ものにはありがちの突っ込みどころ満載。例えばクラウザーII世ってことはI世がいるのかとか、あの衣装を彼はいつも持ち歩いているのかとか、ラストのバトルステージ(なんと相手はKISSのジーン・シモンズ!!)は明らかに筋書きのあるステージじゃないかとか… 加えて、デスメタの取り巻きたちが妙におバカに描かれているのが気になったのだが。

 という穴だらけの映画にかかわらず、結構笑えました。いい感じにおばちゃんになった宮崎美子のおかげで、ほっこりした大分パートが特にいい感じ。ところで根岸くんが素顔で歌う甘々のラブソングって、そんなにおしゃれ?

李闘士男監督。2008年日本映画。

2009年3月24日 (火)

フライボーイズ (2008)

フライボーイズ 第一次大戦中、アメリカの参戦前に義勇兵としてフランス空軍に入隊したローリングス(ジェームズ・フランコ)、リード(マーティン・ヘンダーソン)らは、訓練の末にパイロットとなりセノール大佐(ジャン・レノ)のもとで複葉機に搭乗する。作戦に参加するローリングスは、地元の娘ルシエンヌ(ジェニファー・デッカー)が好きになるのだったが…

 「華麗なるヒコーキ野郎」と「メンフィス・ベル」を足して割ったような物語で、ストーリーはありきたりで新味はないんだけど、ヒコーキ好きが見たらもう涙が止まらないような映画。何よりものどかな(でも残酷な)空戦シーンは一見の価値があるし、ステージごとに爆撃任務だったりツェッペリンの飛行船が出て来たりといったあたりはよくできたヴィデオゲームのようでもある。

 しかしこの時代にさえ生まれなければ、空を飛ぶ夢というのは殺し合いじゃなかったはずなのになぁ、と思うと悲しくもなってくる映画。どうせ命がけだったら、平和に飛びたいもんです。

トニー・ビル監督。2006年フランス=アメリカ合作。

2009年3月23日 (月)

それいけ! アンパンマン 妖精リンリンのひみつ (2008)

それいけ!アンパンマン 妖精リンリンのひみつ アンパンマン(声:戸田恵子)の顔を焼く時に混ぜる勇気の花のジュース。アンパンマンの強さの秘密はこのジュースだと知ったばいきんまん(中尾隆聖)は、勇気の花を守っている妖精リンリン(土屋アンナ)をだまして、花をめちゃめちゃにしてしまう。これに怒ったアンパンマンは、勇気の花を求めて旅に出るのだったが…

 土屋アンナを声のゲストに迎えたシリーズ第20作目。しかし併映の「ヒヤ・ヒヤ・ヒヤリコ?」が小粒でギャグもぴりりときいて光っていたせいか、ちょっと中だるみしてしまった印象。がらっパチの妖精というキャラクターはなかなかいい感じだったんだけどなぁ。いずれにせよ映画版の「アンパンマン」のクオリティの高さは再認識。大人が見ても楽しめる作りになっているのはさすがです。

永丘昭典監督。2008年日本映画。

2009年3月20日 (金)

アポカリプト (2006)

アポカリプト 狩猟民族のジャガー・パウ(ルディ・ヤングブラッド)は仲間と平和に暮らしていた。ところが突然村が他の部族に襲われ、ジャガーは妊娠した妻と子を深い穴の中に隠すも捕虜となり街へ連れて行かれる。そこでは生け贄の儀式が行われていた…

 崩壊寸前のマヤ文明を舞台にしたアクションで、監督としてのメル・ギブソンの持つ作風というかこだわりというか、ある意味フェチとも思われるスプラッティーで痛いシーン満載である。こりゃ普通の神経をしていたら通してみるのはかなりきつそうだし、彼らは蛮族だったとの偏見を持ってしまうんじゃないかと心配になってくる。

 とはいっても、妻子を助けるというベタなテーマ、走って走って走りまくるスピーディな展開などなど、文明を離れたとっつきにくそうな世界を舞台にしながらもぐいぐいと見せてくれるあたりはさすがである。

 マヤ文明なんて教科書の中の世界なのに、体験した気分にさせられるのは映画の持つ魔力に違いない。新大陸発見も、反対側から見たらこういうふうに見えるんだと妙に納得してしまった。

メル・ギブソン監督。2006年アメリカ映画。

2009年3月19日 (木)

ウォンテッド (2008)

ウォンテッド 平凡な毎日に嫌気がさしている若者ウェスリー(ジェームズ・マカヴォイ)だったが、ある日壮絶な銃撃戦に巻き込まれる。言われるがままに美女フォックス(アンジェリーナ・ジョリー)に連れられて暗殺者集団フラタニティのアジトへやってきたウェスリーは、そこのボスのスローン(モーガン・フリーマン)から彼の殺された父は凄腕の殺し屋だったことを知らされる…

 「マトリックス」の再来を思わせるぶっとんだアクション映画。登場人物たちはアドレナリンが放出されると特殊能力を発揮するらしく、物がゆがんで見えたりカーブする弾丸が撃てたりとはちゃめちゃに思えるのだが、視覚効果が素晴らしくてさもできそうな気分になってくるから不思議である。

 しかもダメージをくらっても、ロウのお風呂に入るとすぐに回復するというおまけつき。まさしくヴィデオゲームの世界ですね。違うのは、撃たれたり突かれたり斬られたり痛そうなことぐらいか。

 しかし…平凡な毎日から抜け出して、本当に行きたかったのはこの暗殺者の世界なの?ってのがどうにも引っかかる。確かに刺激的ではあるけど、こんな太くて短い刺激ならいらないってのが正直な感想かな。だから映画の中だけで楽しんで起きたい物語なのかもしれません。それだけにラスト近くの親父のセリフは、ちょっとだけ泣けたかも。

ティムール・ベクマンベトフ監督。2008年アメリカ映画。

2009年3月18日 (水)

ハンコック (2008)

ハンコック ジョン・ハンコック(ウィル・スミス)は不死身で空も飛べるスーパーヒーローだが、酒びたりで下品な言動とやたらと物を壊すことから市民に嫌われている。ところがいつものように悪人退治を行ったあと、踏切で立ち往生していた広告会社勤務のレイ(ジェイソン・ベイトマン)を救ったことから、彼がハンコックのイメージアップを引き受けることになるのだが…

 「スーパーマン」を思わせる特撮映画だが、その実態はコメディ。品行方正であるはずのヒーローが自堕落な男で、その更正物語かと思いきや物語は意外な方向へごろごろごろ… 伏線といえば、意外と地味な位置(レイの妻)にシャーリーズ・セロンがキャスティングされていることでしょうね。

 それにしても、アメリカってのはスーパーヒーローが好きなのは今も昔も変わらずで、よっぽど治安の悪さに悩まされてるんかなって気になります。悪人どもも、ハンコックみたいなのがいるのに強盗しようなんて考えるのはヘン。刑務所におとなしくはいっていると考えるのもヘン。

 本作では強い敵がいなかったので、続編では悪役登場ってのが自然な流れでしょうか。それとも本作で明かされたヒーロー(ヒロイン?)の弱点が逆手に取られるのかな? いずれにせよ、次作が作られそうな映画です。

ピーター・バーグ監督。2008年アメリカ映画。

2009年3月16日 (月)

プレステージ (2006)

プレステージ 19世紀のロンドン。マジシャンのグレート・ダントンことロバート・アンジャー(ヒュー・ジャックマン)とザ・プロフェッサーことアルフレッド・ボーデン(クリスチャン・ベイル)は互いに競い合うライバルだったが、アンジャーの妻が脱出マジックの最中に命を落としたことから二人の関係がおかしくなっていく。

 クリストファー・プリーストの「奇術師」を映画化。マジシャンを主人公にした映画を私が見るのは「恐怖の沼」以来でないかと思うのだが(笑)、ケレン味たっぷりのストーリーに伏線と騙しの数々、あっと驚くラストなどなどこりゃ力作だと思います。本当は数回見ないとわからないほどいろいろ張り巡らされている映画だそうで、1回見ただけでこの映画を語るってのがおこがましいような気もいたします。またそのうち、大画面で楽しむことにしましょうか。

 主演の二人に加えて、トリックを提供するカッターことマイケル・ケイン。またしてもいい仕事してます。反してスカーレット・ヨハンソンはもったいない。彼女が後半にもっとストーリーにからむ、という予測がはぐらかされた気分。デヴィッド・ボウイに関しては、それとわからない使い方がもったいないです。

 それにしても…マジシャンの映画を見ていたら、最後は「ザ・フライ」を見せられたってのが正直な感想かもしれません。

クリストファー・ノーラン監督。2006年アメリカ映画。

2009年3月13日 (金)

スウィート・ノベンバー (2001)

スウィート・ノベンバー 広告代理店のやり手社員ネルソン(キアヌ・リーヴス)は、運転免許試験場でサラ(シャーリーズ・セロン)という風変わりな女性に出会う。彼のおかげで試験に落ちたせいで、ネルソンにしつこくつきまどうサラだったが、やがてネルソンの仕事もうまくいかずに…

 ものすごく嫌みなエリートをキアヌが好演。奔放に生きるサラのおかげで自分を取り戻していくのだったけど、実は彼女は…ってのが主だったストーリー。つかり彼女は凄い「あげまん」だと思うんだけど、この11月だけの彼女って設定がどうにもしっくりこなくて、見終わったあとに違和感ありまくり。結局のところ、薬棚を見せたくなかったり、美しいまま自分を思い出にしてほしかったりと、自分の殻をやぶれなかったのは彼女自身ってことなんかな。そう考えると、何だか悲しい結末だな。

 シャーリーズ・セロンって、こういう庶民的な女を演じても、手足がすらっと長くてなんとも言えないオーラを出している。普通の男なら、眺めてるだけで癒されるかも…

パット・オコナー監督。2001年アメリカ映画。

2009年3月10日 (火)

シャンハイ・ヌーン (2000)

シャンハイ・ヌーン 19世紀の中国・紫禁城からペペ姫(ルーシー・リュウ)が誘拐され、犯人から金貨10万枚をアメリカのネバダ州カーソンシティへ持ってこいという要求がある。近衛兵のひとりだったチョン・ウェン(ジャッキー・チェン)はアメリカへ渡るが、仲間とはぐれた上にならず者のロイ・オバノン(オーウェン・ウィルソン)と成り行きで行動を共にすることになるのだったが…

 ジャッキー主演とタイトルからして上海が舞台のアクション映画かと思いきや、これが「レッド・サン」「イースト・ミーツ・ウェスト」顔負けの東西交流西部劇。要するにジャッキーを西部で暴れさせたかっただけの企画、と言えなくもないが(身代金を西部で、という設定が強引)、まぁ楽しいから許すといったところか。そうなると、タイトルは西部劇の名作「ハイ・ヌーン(真昼の決闘)」からのパクリってことですね。

 そういやジャッキーの役名(チョン・ウェン)も相棒のオバノンの正体もかなり人を食ったもの。このあたりはマカロニをパロった「スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ」と同じで、ある種の西部劇への愛を感じるぞ。

 ジャッキーとオーウェンのコンビは、往年の「西部二人組」を思わせる楽しさだけど、ルーシー・リュウはプリンセスと呼ぶにはどうかな?

トム・デイ監督。2000年アメリカ映画。

2009年3月 9日 (月)

百万円と苦虫女 (2008)

百万円と苦虫女 フリーターの初子(蒼井優)は実家を出て同僚と共同生活をはじめようとするが、トラブルに巻き込まれて刑務所に入れられてしまう。出所した初子は、100万円がたまると引っ越すという生活を繰り返すのだったが…

 映画というよりは、連続ドラマにしたほうが似合いそうなオムニバスドラマ。100万円がたまったら引っ越すというのがお約束のようだが、実は本当に100万円たまったのはそれほど多くない。ほとんどが人間関係から引っ越すというのがこの映画のポイントなのかもしれない。

 主人公はとにかく不器用で引っ込み思案な女の子である。でも結局演じているのが蒼井優だからか、ものすごくもてる(笑)。これって作者の本来の意図からは外れているんじゃないかと思ってしまった。考えてみれば、農家の青年(ピエール瀧)、海の家の少年、ガーデニングの大学生(森山未來)とみんな鈴子のことが好きなんですよね。でもみんな気持ちが微妙にすれ違っていく。何か昔解けなかった女の子の気持ちの謎を、神の視点になって見ているかのような気分。

 微妙な距離をおいてつきあう弟(齋藤隆成)との関係が、特に秀逸。両親の影がものすごく薄いのも、昨今の家族関係を反映してのことなのかな。

タナダユキ監督。2008年日本映画。

2009年3月 6日 (金)

純喫茶磯辺 (2008)

純喫茶磯辺 建設作業員の磯辺裕次郎(宮迫博之)は、妻(濱田マリ)と別れて高校生の娘咲子(仲里依紗)と二人暮らし。ところが死んだ父の遺産が転がり込んだおかげで、仕事をやめて喫茶店を開くと言い出す。その内装のダサさから閑古鳥がなく「純喫茶磯辺」だったが、アルバイト店員のモッコ(麻生久美子)がコスプレ衣装を着て店に立ったおかげでお客さんが増えて…

 素人が開業した喫茶店を舞台にしたコメディ。といっても職業How toものや、喫茶店が主役ではなくて、あくまでも妻と別れた父娘が主人公である。堕落したダメ親父をコメディアンの宮迫がいい感じで熱演。ふつ?の女子高生の仲里依紗も光る。父はアルバイト店員のモッコに、娘は小説家の客に思いを抱き、そして破れるのがポイント。

 この展開って、まさしく古き良き時代の日本映画を思い出します。そういや喫茶店の内装に流れるセンスも、同じく古き良き時代。古い邦画と唯一違うのは、見せかけだけのハッピーエンドに終わらないところ。でもこれって、どう考えてもハッピーエンドなんだけどな。

 ちなみに私はモッコは咲子の話に合わせただけで、そんな女ではなかったとふんだんだけどどうなんだろう。ラストの彼女の登場でそのあたりが思いっきり覆された気分になったんだけど。

吉田恵輔監督。2008年日本映画。

2009年3月 5日 (木)

フレンチ・コネクション2 (1975)

フレンチ・コネクション2 前作で取り逃がした麻薬王シャルニエ(フェルナンド・レイ)を追ってフランスのマルセイユへやって来たポパイことドイル刑事(ジーン・ハックマン)。ところが現地のバルテルミー警部(ベルナール・フレッソン)とはうまくいかず、いらいらしているところを組織に誘拐され麻薬づけにされてしまう…

 アメリカが舞台の前作に対して、こちらはフランスに舞台を移したパート2。何かもやもやっとした前作からしても、完全に続編を意識したというか2本で1本って感じの映画で見終わったあとの満足度が高い。確かに「フレンチ・コネクション」ってタイトルなんだから、半分はマルセイユを舞台にしてくれなきゃなぁとは思ってしまいます。

 これの監督って、1作目がフリードキンで2作目がフランケンハイマーだったんだというのは新たな発見。しかも2作目の常らしく、アクションがパワーアップしているように見えるのだがストーリーがいささか破綻気味。最も気になったのは、麻薬づけのポパイがなぜ警察に送り返されたのかと、その後のホテルにガソリンぶちまけておとがめなしって部分。

 ラストの疾走シーンは、確かに名場面です。走って走って走りまくって、もうだめかと思ったら、実は丸腰じゃなかったってのはかっこ良すぎるかも。突き放したようなラストはお約束かな。これ、テレビの洋画劇場だったら、突然コマーシャルになってそれっきりという何ともなさけない終わり方になるんじゃないだろうか。

ジョン・フランケンハイマー監督。1975年アメリカ映画。

2009年3月 3日 (火)

D-TOX (2002)

D-TOX 警官連続殺人を追うFBIのジェイク・マロイ(シルヴェスタ・スタローン)は、犯人に婚約者を惨殺されて心に傷を負う。友人の薦めで、ドック(クリス・クリストファーソン)が所長を務める人里離れた警官専用の療養センターに入ったマロイだったが、実は犯人はこのセンターに忍び込んでいた…

 スタローンといえば派手なアクションが定番なのだが、これは密室スリラー。途中で吹雪になったりして、舞台の閉塞感はなかなかのものなんだけど、何とも期待はずれの幕切れに感じるのは犯人に全然意外性がないことと、スタローンに期待するものが別ってことなのかも。閉鎖空間であってもゾンビやバイオハザードみたいなストーリーだったら楽しめるってことを考えると、ちょっと練り方が足りないんかな。あるいは羊たちの沈黙みたいに犯人に超人的カリスマ性を与えるって手もあったと思う。ICUのメッセージだけじゃ、そんなに怖くないぞ。

 D-TOXって何なんだろうって思ったら、デトックス(毒抜き?)のことらしい。個人的には、クリス・クリストファーソンが懐かしかったのでどんでん返しか何かでさらに活躍するのかと思ったら、それっきりだったのでがっかりしたぞ。他にチャールズ・ダットン、ポリー・ウォーカー、トム・ベレンジャー、ロバート・パトリックなんかが出ています。

ジム・ギレスビー監督。2002年アメリカ映画。

2009年2月27日 (金)

フレンチ・コネクション (1971)

フレンチ・コネクション フランスはマルセイユの麻薬シンジケートの大物アラン・シャルニエ(フェルナンド・レイ)がニューヨークでの取引を目論む。これをかぎつけた市警のポパイことジミー・ドイル刑事(ジーン・ハックマン)は、相棒のバディ・ルッソ(ロイ・シャイダー)と麻薬組織を追うのだったが…

 1971年度のアカデミー作品賞を受賞。見たか見てないかも記憶の彼方だった本作を再見。これって、良くも悪くも70年代アクション映画とニューシネマの流れをくむアクション映画。麻薬シンジケートとそれを追う刑事にストーリーを絞り込んで、それ以外のおかずは一切なし。地味な張り込みシーンを積み上げたかと思うと、突然疾走するチェイスシーン。ポパイがとにかく走る、走る、走る。アクションは走ることだと言わんばかりですね。

 シュッポーンと突き放したかのようなラストも印象的なんだけど、これがなぜアカデミー作品賞なのかと思うとちょっと不思議な感じ。たぶんこの時代としてはエポックメイキングな作品だったんかなぁ。

ウィリアム・フリードキン監督。1971年アメリカ映画。

2009年2月26日 (木)

THE 焼肉MOVIE プルコギ (2006)

プロコギ 北九州の人気焼肉屋「プルコギ」を営む韓老人(田村高廣)、ヨリ(山田優)、そしてタツジ(松田龍平)の3人。タツジには幼少時代、韓国で泣き別れになった兄がいるという過去を引きずっている。同じ頃、大手焼肉チェーン店のトラオ(ARATA)は、焼肉バトルという料理番組で連戦連勝を誇っていた…

 スキヤキウェスタンに対抗して作られたかのようなタイトルだが、内容はまったくの別物。しかしこの手のジャンク邦画(失礼!)の持つパワーや笑いのツボはしっかり押さえた作りとなっており、バラエティ番組のように楽しめる。料理対決ってのは若干見飽きてきた気がしなくてもないけど、不変のテーマなんかな?

 幼い頃に韓国で泣き別れになった兄弟、それを拾って育てる韓老人、同居の手足が長いおてんば美女のヨリとキャラクターの魅力は抜群。特にすっとぼけた韓老人は凄いぞ。ヤキニクバトルも、竹内力、前田愛、津川雅彦といったひとくせもふたくせもある出演者たちで、いかがわしさ満点。これは面白くなるのでは…とおもったのだが…

 落としどころはイマイチだったかな、というのが正直な感想。結局、本当の赤肉と白肉の対決は、どうだったんだろう? タツジとヨリがああなっちゃうのも、不自然だったような気が。

グ・スーヨン監督。2006年日本映画。

2009年2月23日 (月)

ベオウルフ 呪われし勇者 (2007)

ベオウルフ 呪われし勇者 デンマークの王フロースガール(アンソニー・ホプキンス)は、魔物グレンデル(クリスピン・グローヴァー)の度重なる襲撃に悩まされていた。そこへやって来た勇者ベオウルフ(レイ・ウィンストン)は王と契約して見事にこの魔物を倒すのだったが、次に現れたのは魔物の母(アンジェリーナ・ジョリー)だった…

 有名な古典文学をフルCGを使って映像化。仕掛けたのはまたもや、あのロバート・ゼメキスである。ファンタジーとしても完成度が高く、魔物やドラゴンとの戦いも迫力があり、見終わったあともそれなりに余韻が残る。いい映画だとは思うんだけど…何か食い足りないのはやっぱりそのCGの部分かもしれない。

 ここまで役者をフルCG化するんだったら、そこだけ生身の人間を合成すれば良かったのに…というのが個人的な感想。動きがやっぱりどことなくぎこちないので、素直に感情移入できないのが残念。最近は人間の動きも一部CG化されているのかもしれないけど、そこは見てわからないうちが華。ここまであからさまにCGを前面に出されると、ちょっと萎えてしまうんだよなぁ。

 太く長く(?)生きたベオウルフはともかく、このグレンデルの母ことアンジェリーナ・ジョリーは何考えてこういう呪わしい行動に及んだんだろう? 謎だ。蜜酒ってやっぱり甘いのかな?

ロバート・ゼメキス監督。2007年アメリカ映画。

2009年2月22日 (日)

デンジャラス・ビューティ (2001)

デンジャラス・ビューティ 男まさりのFBI捜査官グレイシー(サンドラ・ブロック)は、踏み込みに失敗して犯人に逃げられたために内勤にまわされてしまう。ところがミス・アメリカコンテストに爆破予告がされたことから、彼女に潜入捜査が命じられることとなる。かくして同僚(ベンジャミン・ブラット)、ミスコンのコーディネーター(マイケル・ケイン)と共にミス・アメリカに乗り込んでいくグレイシーだったが…

 サンドラ・ブロックが場違いなミスコンに乗り込んでいくカルチャー・ギャップが楽しめるアクション・コメディ。大作というよりも、2時間ドラマにありがちな場当たり的なロケをつなぎ合わせた推理ドラマといった雰囲気なんだけど、適度に散りばめられたギャグの数々と、キャラが立っているせいで最後までそれなりに楽しむことができた。

 ボーイッシュだけど元々綺麗なサンドラ・ブロックだけに、後半のミスコンでの変化は予想できたところ。邦画でいうところの古尾谷雅人的な役回りのベンジャミン・ブラットなどは予定調和(?)の世界。安心して見ていられるといえばそうなんだけど、やっぱ物足りない、食い足りないって感想はありました。

 本来なら男気のある役もできるマイケル・ケインが、こういうキャラも演じられるってのはさすがにうまい。ウィリアム・シャトナーとキャンディス・バーゲンは、70年代に映画をよく見ていた身にとっては「懐かしい」以外の何者でもないですね。

ドナルド・ペトリ監督。2001年アメリカ映画。

2009年2月20日 (金)

それいけ!アンパンマン ヒヤ・ヒヤ・ヒヤリコとばぶ・ばぶ・ばいきんまん (2008)

それいけ!アンパンマン ヒヤ・ヒヤ・ヒヤリコとばぶ・ばぶ・ばいきんまん<br />
 ドクター・ヒヤリの弟子のヒヤリコ(声:柳原可奈子)は、強くなる薬を作る。ところがそれを飲んだバイキンマン(中尾隆聖)は赤ちゃんになってしまい、ヒヤリコがこの薬を街にばらまいたおかげでアンパンマン(戸田恵子)をはじめとする主要メンバーもみんな赤ちゃんになってしまう…

 「妖精リンリンのひみつ」併映の20分の短編映画なんだけど、これが何とも面白い。いわゆるスラップスティック映画の王道を行くような作りで、ヒラリコのずっこけたキャラの面白さ、どんどん赤ちゃんにされていくメンバーとの騒動はなかなかの爆笑もの。さらに20分というテレビアニメのような短さも、面白さをぎゅっと凝縮したようないい効果を上げている。

 アンパンマンの劇場版ってのは、短編1本+中編1本で、全部見て普通の映画の長さになるって寸法。小さなお子様に配慮した、良い構成です。

矢野博之監督。2008年日本映画。

2009年2月19日 (木)

ナンバー23 (2007)

ナンバー23 野犬の駆除を仕事としているウォルター・スパロウ(ジム・キャリー)は犬に噛みつかれて取り逃がし、すべての予定が狂ってしまう。そんな彼に妻アガサ(ヴァージニア・マドセン)は「ナンバー23」という古本をプレゼントする。ところが本の内容と自分に類似点を見つけたウォルターは、すっかり23という数字のとりこになってしまい…

 数字をテーマにしたミステリーということで、グリーナウェイの「数に溺れて」あたりを期待したんだけど期待したものとはまったくの別物でありました。最大の期待はずれは、23という数字に思ったほど深みが感じられない。32でも2と3を逆にしたということでOKだし、回帰線の23.5度は23と2+3だと読み解くなど、どちらかというとこじつけに近い。画面にたまに23という数字が現れると、ハリウッド映画らしくちゃんと説明してくれる。数字を探してみようという楽しみもあんまり感じられない。

 退屈だなぁと思いつつ、1時間23分で映画は終わるんだろうかと思ったらその時間もつ?と過ぎていった(DVDで見ながら経過時間が気になるってのは、退屈している証拠かも)。オチは悪くないんだけど、物語を検証するためにもう1回見直してみたい…とは思わない。何だかなぁ。

 ジム・キャリーって強烈なキャラから抜け出そうと、頑張っているって感じが逆に抜けないような気がする。ヴァージニア・マドセンは、相変わらず綺麗です(笑)。

ジョエル・シューマカー監督。2007年アメリカ映画。

2009年2月18日 (水)

ミス・ポター (2006)

ミス・ポター 20世紀初頭のロンドン。上流階級に育つ32歳のビアトリクス・ポター(レニー・ゼルウィガー)はいくつもの縁談を断って独身。自身の書く童話「ピーター・ラビット」を出版しようと奔走中。そんな彼女のもとへ、編集者のウォーン(ユアン・マクレガー)がやって来る…

 陶器や洗面器(笑)がうちにあるのでなじみ深いピーター・ラビットなんだけど、本来は子供向けの絵本(実は知らなかった)。というわけで、その誕生秘話を描いた物語が本作である。例によってレニー・ゼルウィガーがアメリカ人ながらもイギリス女性を熱演。こじんまりとしたドラマながらも、なかなか胸に迫る物語となっている。こりゃこの映画を見たら新たなファンも生まれるんじゃないかな。

 ピーター・ラビットの作者がこんな悲しい恋をしていたなんて…とかなり新鮮な驚きがありました。レニー・ゼルウィガーはますますおばちゃんっぽくなってるんだけど、そこがまた魅力というのが凄い女優さんだと思います。ウォーンの姉を演じるエミリー・ワトソンもかなり印象に残ります。全然毒のない癒し系の映画が見たくなったら、おすすめ。

クリス・ヌーナン監督。2006年イギリス=アメリカ合作。

2009年2月14日 (土)

クリスティーナの好きなコト (2002)

クリスティーナの好きなコト 可愛いけど思わせぶりな態度で男性からの評判は最悪のクリスティーナ(キャメロン・ディアス)。今日も友人のコートニー(クリスティナ・アップルゲイト)とジェーン(セルマ・ブレア)を引き連れてクラブへ繰り出したが、そこで出会ったピーター(トーマス・ジェーン)に本気の一目惚れをしてしまう。というわけで、彼の兄の結婚式に隣町まで乗り込んでいったクリスティーナだったが…

 タイトルからも想像できるように、最初っから最後まで女の子の明るい下ネタ満載のコメディ。これを笑えるかどうかっていうと…悲しいけど結構面白いし笑えてしまった。クリスティーナとコートニーのコンビも最高だけど、我が道を突っ走るジェーンことセルマ・ブレアが個人的には気に入った。こりゃある意味、チャーリーズ・エンジェルの別バージョンなのかもしれない。

 結局なところ、タカビーな女は実は恋愛に臆病で…ってのが本音だってことなのかな。見てていらいらするシーンも多いけど、着せ替えシーンも含めてこの3人だったら何をやっても絵になってしまいます。つくづく美人(+スタイル良し)はお得だと思ってしまいます。

ロジャー・カンブル監督。2002年アメリカ映画。

2009年2月13日 (金)

ブレイブワン (2007)

ブレイブワン DJのエリカ(ジョディ・フォスター)は、結婚目前のフィアンセのデイヴィッド(ナヴィーン・アンドリュース)を暴漢に殺され、自らも重傷を負う。失意の底からはい上がった彼女は護身のために違法な拳銃を手にするが、ドラッグストアで偶然出会った殺人犯を射殺する。彼女に何かを感じたマーサー刑事(テレンス・ハワード)は、彼女のインタビューを受けるのだったが…

 女復讐ものってことで、ブロンソンの70年代のヒット作「狼よさらば」を思い出してしまった。あるいはグリッケンハウスの「エクスタミネーター」にも近いものがあるけど、ジョディ・フォスターが出てるだけあって本作のほうが丁寧でまじめな作りである。

 感受性豊かな普通のDJの女性が、いかにしてダークサイドへ墜ちていくかを描いたのはなかなか見応えがあり、「私みたいな女性はいくらでもいる」という彼女のセリフも心に響く。また違法拳銃が簡単に手に入り、その気になれば人を殺しまくれるというのも銃社会への批判? 事実はそんなに簡単ではないと思うんだけど、この映画はそのあたりを丁寧に描いているので彼女が殺人マシーンになっていく描写は説得力があります。

 未来がばさっと切り落とされたら、人ってこんなふうに変われるだろうなって思う。しかしどうしても納得できないのがそのラスト。結局ああ言われてああしてしまうってことは、彼女の決意の甘さ? そのラストだけで、見終わったあとにどうしても彼女に共感できないんだよなぁ。

 監督はあの「クラゲ(クライング・ゲームのこと)」のニール・ジョーダンです。

ニール・ジョーダン監督。2007年アメリカ=オーストラリア合作。

2009年2月12日 (木)

幸せの1ページ (2008)

幸せの1ページ 無人島に海洋学者である父ジャック(ジェラルド・バトラー)と二人で住む少女ニム(アビゲイル・ブレスリン)。ところが海洋調査に出た父が嵐で帰って来なくなり、インターネットで助けを求めた相手はアメリカに住む引きこもりのベストセラー作家アレクサンドラ(ジョディ・フォスター)だった。かくして家を一歩出ることもできない彼女の冒険がはじまった…

 ウェンディ・オルーの児童文学「秘密の島のニム」の映画化。「幸せのレシピ」のアビゲイル・ブレスリン主演。彼女の父にバトラー、助けに来る作家にジョディという蒼々たるキャストである。映画が始まったとたんの絵本のような画面も秀逸。なかなかの出だしではあったが…

 あれっ…と思うようなこじんまりとした物語で、とんとんとんと進んで終わってしまったなというのが第一印象。無人島は美しいし、ジョディは似合わない引きこもり役を思いっきり熱演しているし、動物は出てくるし、途中から「ホーム・アローン」みたいな展開になるし、思いっきり頑張っているのはわかる。でも何だかわからないけど物足りないのは、キャストとオープニングから期待しすぎたのかもしれません。

 雰囲気で言えば、「フリントストーン モダン石器時代」あたりに近いのかな。少女のいたずらで火山が噴火するあたりは特に。でもこれ、子供が見たら大受けなんじゃないかとふと思いました。DVDが出たら(明日だけど)試してみようっと。

マーク・レヴィン、ジェニファー・フラケット共同監督。2008年アメリカ映画。

2009年2月11日 (水)

臨死 (2007)

臨死 高校生のニック(ジャスティン・チャットウィン)は母ダイアン(マーシャ・ゲイ・ハーデン)と二人暮らしの優等生。ところが同じ暮らすの不良少女アニー(マルガリータ・レヴィエヴァ)の強盗を密告したと勘違いされて、森の中で半殺しにされてしまう。幽体離脱したニックは、死にかけた自分の体を発見してもらおうと奔走するのだったが…

 ホラーのようなタイトルだが、中身は意外と人間ドラマ。特に主人公の少年と幼なじみのアニーとの関係、そして母親との関係が思ったよりも深くて考えさせられる。昔は仲が良かったニックとアニー、これまた父の同僚の刑事に「お嫁さんになる」と言っていたアニーなど、彼女が素直さを取り戻していく後半につながって説得力がある。

 母ダイアンとの屈折した関係も妙に納得できる。惜しいのは、後半が妙にテレビムービー風になってしまい盛り上がりにイマイチ欠けるところ。それにこのラストは、余韻が残るというよりも後味がすごぶる悪い。更正したアニーには、ぜひとも幸せになってもらいたかったかな。

デヴィッド・S・ゴイヤー監督。2007年アメリカ映画。

2009年2月10日 (火)

インベージョン (2007)

インベージョン スペースシャトルが墜落して、付着していた結晶が人間に次々感染していく。分析医のキャロル(ニコール・キッドマン)は、夫がある朝別人になったという相談を受ける。ウィルスの存在を察知したキャロルは、同僚の医師ベン(ダニエル・クレイグ)と共に事態を収拾しようとするのだが、息子のオリバー(ジャクソン・ボンド)ともども感染してしまう…

 ジャック・フィニー原作の「盗まれた街」の映画化、といえば、懐かしくも「ボディ・スナッチャー」の再映画化ですね。個人的には桑田次郎の漫画の方が印象に強いのですが。

 というわけでわくわくしながらの再会だったんだけど、なんじゃあ、こりゃーって感じの小品。やっぱ最大の敗因は、感染した人間たちがあんまり頭良くないこと。せめてラストのヘリのパイロットが感染してたぐらいのどんでん返しは当たり前にあるんだろうかと思ったら…かなりがっかり。

 ボディ・スナッチャーの怖さってのは、じわじわとやってくる眠れない恐怖なんだろうけど、そのあたりはストーリーにほとんど生かされてないのがつらいところ。それにしてもニコール・キッドマンってのは相変わらず綺麗で、彼女を見てるだけでもこの映画の値打ちがあります。ダニエル・クレイグも、まるっきり007とは別の普通の人ができるのが凄いです。

オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督。2007年アメリカ映画。

2009年2月 9日 (月)

ワンダーボーイズ (2000)

ワンダーボーイズ 作家で文学部教授のグレイディ(マイケル・ダグラス)は書けないスランプの真っ最中。作家パーティに苦手な編集者のテリー(ロバート・ダウニー・Jr.)がやって来たり、不倫相手の学長夫人サラ(フランシス・マクドーマンド)が妊娠したりと身の回りのごたごたに振り回される。ところが彼は教え子のジェームズ(トビー・マグワイア)に作家の才能があることに気がついて…

 スランプの中年作家の身の回りを描いた、人間ドラマ、というかコメディの部類に入るのかな。妻に逃げられ、学長夫人とできている作家先生というのがポイントなんだけど、彼に共感できる部分がまったくなくて、物語の半分ぐらいは非常に退屈した。ちょっと自閉症気味のジェームズがからむパートはエピソードもてんこ盛りでそれなりに面白かったんだけど、映画全体を楽しめる、という部分まではいかなくて苦しいところ。

 ロバート・ダウニーJr.とケイティ・ホームズは完全に脇役に回っていて、主人公たちのまわりをちょこまかと走り回っているだけという感じ。面白くなりそうなストーリーなんだけど、最後の表彰式がまったく盛り上がらなかったのは何でだろう。「L.A.コンフィデンシャル」もそうだったんだけど、私はつくづくカーティス・ハンソンとは相性が悪いのかも。

カーティス・ハンソン監督。2000年アメリカ映画。

2009年2月 5日 (木)

夫以外の選択肢 (2004)

夫以外の選択肢 大学教授のハンク(ピーター・クラウス)と妻エディス(ナオミ・ワッツ)は、同僚のジャック(マーク・ラファロ)とその妻テリー(ローラ・ダーン)と家族ぐるみのつきあいをしている。ところがエディスとジャックは不倫関係にあり、ジャックの自分に対する何ともあいまいな態度に怒りをぶちまけたテリーは、やがて自身もハンクと関係を持つようになるのだったが…

 アンドレ・デュバスの原作を映画化。タイトルからしてフランス映画かと思って構えて見たんだけど、れっきとしたアメリカ映画でした。ナオミ・ワッツ目当てに見たってのもあるんだけど、場を完全にかっさらっていってたのはローラ・ダーンの方。浮気の後に帰ってきた夫のジャックに、愛に関して問い詰めるシーン、そして自身の浮気を独白しながらやり直そうというシーンは圧巻。完全にナオミ・ワッツがかすんでしまった。うーん。

 それにしてもこの映画、タイトルでだいぶん損している気がする。一体夫以外の選択肢って何だったんだろう。家を出ることだけ? やっぱ一番かわいそうなのは子供かな。

ジョン・カーラン監督。2004年アメリカ=カナダ合作。

2009年2月 3日 (火)

サイボーグ (1989)

サイボーグ 文明が崩壊し伝染病と暴力が蔓延する近未来。ペストを防ぐ方法がインプットされた女性サイボーグのパール(デイル・ハドン)がアトランタを目指す。兵士のギブソン(ジャン・クロード・ヴァン・ダム)は途中で助けた女性ナディ(デボラ・リクター)を引き連れて、家族を奪ったギャングのパイレーツ(ヴィンセント・クライン)を追うのだったが…

 とまあ「マッド・マックス」以降に量産された暗黒の近未来映画の1本なんだろうけど、ただただ廃墟が続く中でヴァン・ダムお得意のガチンコファイトが繰り返されるだけの映画。と、酷評したいところなんだけど、妙に悪役のヴィンセント・クラインに存在感があって意外と楽しむことができた。そういえば主人公にくっついていく女性ナディが妙に魅力的だったり、サイボーグというタイトルながらも別にサイボーグが戦う映画ではないという外し方など、低予算ながらも意外と面白いセンスで作られているのが好感度が高い。

 主人公よりも、パイレーツの首領の方が明らかに強いというあたりも物語を面白くさせてくれる要素かな。磔のシーンはなかなか壮絶でした。

アルバート・ピュン監督。1989年アメリカ映画。

2009年2月 2日 (月)

バルジ大作戦 (1965)

バルジ大作戦 第2次対戦末期のドイツ。連合軍の侵攻に総崩れのドイツ軍は、形勢逆転を狙って総力戦をかける。連戦連勝の独軍ヘスラー大佐(ロバート・ショウ)はタイガー戦車隊の指揮をとり、パラシュート部隊が米軍を攪乱するが、異変に最初に気づいたのは米軍偵察隊のカイリー中佐(ヘンリー・フォンダ)だった…

 ノルマンジー上陸以降のヨーロッパでの戦車戦を描いたスペクタクル映画。半端でない数の戦車がぞろぞろと現れてその攻防戦は見応えあり。この時期に量産された戦争娯楽映画の1本だけど、3時間近い長尺がストーリーの面白さ、役者の多彩さ、そして見せ場の多さで非常に短く感じられた。

 しかしこのストーリー、気合いの入ったロバート・ショウ率いるドイツ戦車部隊ばかりが印象に残って、米軍は何をやってたんだろうって気にさせられます。頑張ってるのはヘンリー・フォンダの偵察兵のみ。あとはチャールズ・ブロンソンやテリー・サヴァラスが気を吐いているぐらいか。それでも米軍が勝てたのは最後のヘンリー・フォンダの機転のせいって感じで、最初から最後まで独軍の手のひらの上でころころと頃がされていたかのような部分が目につく。史実もそうだったのかな。

ケン・アナキン監督。1965年アメリカ映画。

2009年1月30日 (金)

スクリーム3 (2000)

スクリーム3 かつての連続殺人事件をテーマにした映画「ネーヴ3」がクランクインする。事件のモデルとなったシドニー(ネーヴ・キャンベル)は心に傷を負って山奥に隠れ住んでいる。ところが撮影現場をめぐり再び殺人事件が起こり…

 いよいよ完結編、すべての謎が明かされる…ってわけで本来ならばすっきり映画のはずなんだけど… なんと、3だけ間隔をあけすぎたせいか、以前のストーリーを覚えていない(絶句)。まぁ映画の性格上、こういう場合は再度1からDVDで見直せばいいわけなんだけど、そこまでするほどの映画でもない…なんて書いたらファンに怒られるかな。

 主要な人物は覚えていたので、ネーヴ・キャンベルをはじめデヴィッド・アークエットやコートニー・コックス・アークエット(なんと名字が一緒になってるのは、結婚したらしい)あたりの掛け合いはそれなりに楽しめたんだけど、今回は映画ファンにひっかけたようなギャグもちょっとから回り気味でちょっと辛かったかな。

 ハリウッドに舞台を移してパワーアップってことも話題だったようだけど、家を1軒ふっとばすだけというスペクタクルシーンのチープさ加減も何とも言えないぞ。

 余談だけど、キャリー・フィッシャーがチョイ役で出てます。本人に劇中で自己申告されないとわからなかったけど。

ウェス・クレイヴン監督。2000年アメリカ映画。

2009年1月29日 (木)

沈黙のステルス (2007)

沈黙のステルス レーダーに映らないどころか、透明になるという新型ステルスがデモ飛行中に消息を絶つ。その飛び先がアフガニスタンのテロリストのアジトだということで、最強パイロットのジョン・サンズ(スティーヴン・セガール)が奪還作戦に乗り出すのだったが…

 世界滅亡をはかるテロリスト、精鋭パイロットとその教え子の対決といういかにもハリウッド超大作になりそうなプロットなんだけど…このチープさは一体何なんだろう? 最新鋭の透明ステルスのパイロットが透明になって逃げ出したのを予測もできずに、止めるすべも考えてなかった米軍のマヌ?さ加減、強奪されてからの緊迫感のなさ(個人の責任でおさめておく範囲か!?)、出撃するセガールのやる気のなさとかいろいろ原因はあるのではあろう。

 肝心のアクションシーンも、ミサイルが発射されて次は爆発シーンだったり(中間がない)、同様につなぎが悪くて何が行われているのかわからなかったりと散々であった。こりゃスペシャルドラマの方が頑張ってるんじゃないかと思えてくる。頑張れセガール!?

ミヒャエル・ケウシュ監督。2007年イギリス=アメリカ=ルーマニア合作。

2009年1月26日 (月)

真珠の耳飾りの少女 (2003)

真珠の耳飾りの少女 17世紀のオランダ。家計をささえるために、少女グリード(スカーレット・ヨハンソン)は画家フェルメール(コリン・ファース)の家へ住み込みの女中奉公へ行く。騒々しい家ではあったが、アトリエを掃除していた彼女はフェルメールの目に入り、やがて絵のモデルとなるのだったが…

 トレーシー・シュヴァリエの原作を映画化。まったく予備知識なくスカーレット・ヨハンソン目当てに見たのだったが、途中から絵がテーマであることに気づき、そして後半近くにそれが有名な「青いターバンの少女」であることに気づきびっくり。絵の少女とヨハンソンはそんなに似ているわけではないのだが、彼女の透き通るような白い肌と真珠の対比は印象に残る。そして映画の絵作りはまさに17世紀のヨーロッパの雰囲気である。

 あとで調べて知ったのだが、この作品が撮られたのは「ロスト・イン・トランスレーション」と同じく2003年。正にヨハンソンの飛躍の年であったわけですね。彼女の輝きが文字通りスクリーンに焼き付けられている印象。ただし映画自体は、名画の秘話ということで興味の尽きない物語なんだけど、思ったよりも淡泊で尻切れトンボな感じがしました。結局、画家と少女のプラトニックな関係は何だったんだろう。果たせぬ思いが肉屋の若者にぶつけられたってこと? それなら彼はちょっとかわいそうなんだけど…

ピーター・ウェーバー監督。2003年イギリス=ルクセンブルク合作。

2009年1月23日 (金)

グッド・シェパード (2006)

グッド・シェパード 1961年、アメリカ軍のビッグス湾侵攻作戦は失敗に終わる。内通者がいると知ったCIAの指揮官エドワード(マット・デイモン)は匿名で送られて来たテープとフィルムを分析に回すのだったが、そこに記録されていたものは…

 キューバ危機時代のアメリカで起こった情報漏れ事件と、第2次世界大戦の前後のエドワードがCIAに入るエピソードを交互に綴ったドラマ。エドワードと妻クローバー(アンジェリーナ・ジョリー)の出会い、サリヴァン将軍(ロバート・デ・ニーロ)からのCIAの前身であるOSSへのスカウト、そして開戦と淡々と続くのだが、交互に描かれるドラマが徐々につながっていくパズルのような構成はなかなか見応えがある。

 家族をほったらかして、情報戦に没頭するエドワードなんだけど…結局行き着く先は家族との葛藤と、究極の選択。結局のところ家族の前では仏頂面でほったらかしだったエドワードにとって、家族とは単にできちゃっただけの存在だったわけで、同乗の余地なし、なんて感想を持ってしまった。どちらかというと、息子の方が可愛そう。ラスト近く父親と抱き合って何を思ったんだろう?

ロバート・デ・ニーロ監督。2006年アメリカ映画。

2009年1月16日 (金)

逢びき (1945)

逢びき 子供のいる女性(シリア・ジョンスン)と、こちらも妻子のある医者(トレヴァー・ハワード)との不倫物語。ラフマニノフのコンチェルトがいい雰囲気を作っている。何よりも、女性の夫の愛情の懐の深さに感動しました。

 暗いイメージのつきまどう不倫を、無邪気な子供っぽい中年の二人という取り合せで見せてくれる。とりわけ彼女の夫が秀逸で、妻のこの恋物語までも包み込んでしまうラストは感動させられた。このシーンで、夫は「旅に出ていたんだね。でもよく帰って来てくれた」というセリフがあるけど、この女性にとってはこの短い逢いびきが「旅情」のベニスであり「戦場にかける橋」のビルマ奥地であり「アラビアのロレンス」の砂漠だったのかなあって、妙な事を思い込んでしまった。

 やっぱデビッド・リーンって監督は、こんなちっぽけな物語さえも酔わせてくれます。

デヴィッド・リーン監督。1945年イギリス映画。

2009年1月15日 (木)

デッドゾーン (1983)

デッドゾーン 交通事故で予知能力を持ってしまった男(クリストファー・ウォーケン)の悲劇を描く。事故で5年間昏睡している間に恋人(ブルック・アダムス)は別の男と結婚。傷心の男はその地を離れるのだが自分に予知能力があるのに気付く。そして恐ろしい未来を知るのだが。

 とにかく凄いの一言! 超能力を持ってしまった者がいかに社会からはみ出して行くかも説得力があるし、それにも増して主人公とヒロインの運命に押し流されて行くラブロマンスが悲しい。逆境に立ち上がる主人公の行動も凄いし。ラストを見て、ここまで人間がヒューマンになれるはずが無いと言う人もあるかもしれないけど、「誰もわかってくれなくてもいい」と言い切る彼に惜しみない拍手を送りたい気分にさせられました。

デヴィッド・クローネンバーグ監督。1983年アメリカ=カナダ合作。

2009年1月14日 (水)

ラ・パロマ (1974)

ラ・パロマ 富豪の息子イジドール(ペーター・カーン)が、余命いくばくとないキャバレーの歌姫ラ・パロマ(イングリット・カーフェン)に恋をする。彼女は彼を愛してないのだが二人は結婚。ところがイジドールの友人である美青年ラウル(ペーター・カテル)と歌姫は恋に落ちてしまう。ショッキングな映像美とショッキングなラストは見応えあり。

 美しいを通り越して不気味の領域まで入り込んだ世界。登場人物たちもみんな異常。尋常ではありません。でも毒が強いだけに、波長が合うと癖になりそうな不思議な味を持った作品。20年ぐらい前にも見たことがあるのだが、「退廃的」という言葉を初めて意識した映画だったかも。

ダニエル・シュミット監督。1974年スイス=フランス合作。

2009年1月13日 (火)

アニー (1982)

アニー 虐待的な孤児院に入れられたおてんばアニー(アイリーン・クイン)が、大金持ちの家へ招待されることになる。金の亡者だったそこの主人(アルバート・フィニー)の心はほぐれるのだが、孤児院の院長(キャロル・バーネット)たちの陰謀にあい… ファミリー向けミュージカル作品。

 孤児院の女院長がとにかくオバタリアン顔負けの熱演ですごかった。アニーちゃんが可愛かった。ラストは手に汗握った。感想はこんなとこかな。しかしアメリカ人の金持の浪費癖ってのは筋金入りだなあとも思いました。アニーちゃんには、やっぱ普通の家で普通の優しい両親に囲まれてハッピーエンドであってほしかったです。

ジョン・ヒューストン監督。1982年アメリカ映画。

2009年1月11日 (日)

眺めのいい部屋 (1986)

眺めのいい部屋 イギリスの厳格な家の娘ルーシー(ヘレナ・ボナム・カーター)がイタリアのフィレンツェに旅行へ。そこで知り合った青年ジョージ(ジュリアン・サンズ)と恋に落ちかけるのだが。美しい画面を背景に、保守的なイギリスと開放的なイタリアを対象的に描いたラブストーリー。

 しかしこんな映画を見てると、イギリスの名門の家庭ってのはいったい何を楽しみに生きているんだろうなあって気にさせられます。

 すっかりティム・バートン・ワールドの住人になってしまったヘレナ・ボナム・カーターが、文芸映画の主人公しているのが今となっては新鮮かもしれません。

ジェームズ・アイヴォリー監督。1986年イギリス映画。

2009年1月 9日 (金)

コブラ (1986)

コブラ 1匹狼の刑事、通称コブラをシルベスタ・スタローンが演じるヒーロー・アクション。連続殺人鬼集団の犯行を目撃したがために、追われる羽目になった女性(ブリジット・ニールセン)を守るスタローンの大活躍。

 ちょっとこれ、かっこいいを通り越していやらしい領域まで入ってるんじゃないですか? それに、ここまでコブラの八方破りをファッション的に見せてくれるのなら、サングラスは最後まで取らない方がよかったのではないでしょうか。なんたって、スタローンの目はたれ目ですから。

ジョージ・P・コスマトス監督。1986年アメリカ映画。

2009年1月 7日 (水)

パーフェクト・ストレンジャー (2007)

パーフェクト・ストレンジャー 新聞記者のロウィーナ(ハル・ベリー)の幼なじみのグレース()が失踪、死体で発見される。彼女がつきあっていたという広告代理店社長のハリソン・ヒル(ブルース・ウィリス)が怪しいとにらんだ彼女は、友人のハッカー・マイルズ(ジョヴァンニ・リビシ)と共に彼を調査するのだったが…

 「ラスト7分11秒まで、真犯人は絶対わからない…」なんてコピーが付いているおかげで、あらゆる登場人物が犯人である可能性を頭の中に思い描いて映画を見てしまった。そうしたら、思考回路が消去法になっていって、実際に真犯人がわかっても全然驚かなかったしすべて想定内という感じでぜ?んぜん面白くなかったぞ。こりゃコピーを考えた人の責任だと思う。何の予備知識もなく見たらそれなりに楽しめたと思うのだが。

 とはいっても、雰囲気はなかなか極上。何と言っても主役のハル・ベリーに華があるし、遊び人のおやじを楽しそうに演じるブルース・ウィリスもいい味を出している。凄腕のハッカーを演じたジョヴァンニ・リビシは消去法で最後まで残ったあたりは熱演賞ものかな。

ジェームズ・フォーリー監督。2007年アメリカ映画。

2009年1月 3日 (土)

アドレナリン (2006)

アドレナリン プロの殺し屋のチェリオス(ジェイソン・ステイサム)は、気を失っている間に宿敵リッキー(ホセ・パブロ・カンティージョ)から新型の中国製毒薬を盛られたことを知る。アドレナリンを出し続けないと死んでしまうチェリオスは、恋人のイヴ(エイミー・スマート)を含めた周囲を巻き込みながら解毒剤を追うのだったが…

 ノリ的には「スピード」あたりに似ていて、アドレナリンを出し続けないと死んでしまう主人公は手段を選ばず疾走。その様子を、テレビゲームやGoogleの画面などをあしらいながらゲーム感覚で見せてくれる映画。とはいってもさすがに1時間半もアドレナリンを出し続けるのは大変のようで、いささか中だるみのシーンがあったことは否定できない。もっと究極まで走ってくれても良かったんじゃないかな。

 ジェイソン・ステイサムって、本当に真面目な顔をしてバカをやるのが似合っているのがさすが。ちょっとくたびれた感じのエイミー・スマートも良かった。

マーク・ネヴェルダイン、ブライアン・テイラー共同監督。2006年アメリカ=イギリス合作。

2008年12月30日 (火)

ベビーシッター・アドベンチャー (1987)

ベビーシッター・アドベンチャー 恋人(ブラッドレー・ホワイトフォード)にデートをすっぽかされた17才の女の子(エリザベス・シュー)が、仕方がないからと引き受けたベビーシッターのバイト。しかし彼女の友人(ペネロープ・アン・ミラー)が家出したとの電話を受けて、ほっておけずに悪ガキ3人(キース・クーガン、マイア・ブリュートン、アンソニー・ラップ)を連れて車を出したクリスだったが・・・

 レッカー車のいかつい修理工にはじまり、車泥棒の一団やら黒人バンドたちやらにからまれての少年少女の一夜のアドベンチャー。わりとこじんまりとまとまったTVサイズの青春コメディ。怖いの大好きの小さな女の子がなかなか笑いを誘ってくれる。

クリス・コロンバス監督。1987年アメリカ映画。

2008年12月28日 (日)

悪名桜 (1966)

悪名桜 大阪でやきとり屋を営む元やくざの朝吉(勝新太郎)と、その子分清次(田宮二郎)が活躍する悪名シリーズの第12作。対立する暴力団と、その間に挟まれて潰されていくひとりの若者をメインに描く。

 どっしりと座った朝吉とぴょんぴょん飛びまわる清次の関係がとてもホットで、キャラの魅力抜群だなと見ていて感心することしきりだったんだけど、何だか朝吉の押掛け女房役の市原悦子さんが浮いている感じでがっかり。

 TVの時代劇なんかと同じ展開なので、このシリーズも何本も見ているとマンネリ化するんでしょうが、あまり知らない私はたっぷり楽しむことができました。

田中徳三監督。1966年日本映画。

2008年12月27日 (土)

足ながおじさん (1955)

足ながおじさん 富豪の3代目のベンドルトン(フレッド・アステア)は、仕事を秘書にまかせて自由気ままにやっているが、フランスの孤児院でみつけた少女(レスリー・キャロン)に一目惚れ。彼女をアメリカの大学へ匿名で入れてやる。有名な童話を、音楽を交えて楽しく描く。

 汗も涙も知らない富豪が、またまたその上に幸せを手に入れるなんてなんてアメリカ的なおおらかさなんだと思ってしまいました。まあ、この作品は少女の目で見るのが正しいんでしょうけど。

 しかし、数々のダンスシーンは理屈抜きに楽しめます。余談だけど、レスリー・キャロンとナスターシャ・キンスキーっておんなじ体形やなあ!?

ジーン・ネグレスコ監督。1955年アメリカ映画。

2008年12月26日 (金)

ザ・コップ (1987)

ザ・コップ ある女性の惨殺事件から、ジェームズ・ウッズ演じる刑事は過去の美女殺人事件を関連づけて連続殺人だと主張する。しかし孤立したウッズは、署内からもはじかれて単独捜査に。刑事ものの定石で特に目新しさはなかった。

 この映画で私は発見した。ジェームズ・ウッズには眉毛がない!! というのは置いといて、事件にひかれてのめりこんで行くウッズ君の姿に、そして時々美女をつまみ喰いする姿に、そしてラストで頭に血が昇ってああなってしまうところにも、ウッズくんにぴったりの役だなあと思わされたのでした。

ジェームズ・B・ハリス監督。1987年アメリカ映画。

2008年12月25日 (木)

ノーライフキング (1989)

ノーライフキング ファミコンソフト、「ライフキングの伝説」に呪いがかかっているという噂が流れる。根拠のない噂に翻弄される現代の子供たちの周辺を描いた作品。しかし、描こうとしたものがピント外れに思えてならない。

 週刊誌などによると、今の子供は噂によるものすごい伝達能力を持つという。そんな子供たちの風俗を描いた作品。しかし情報能力はあっても思考は相変らず幼稚で、「ライフキング」を解かないと死んでしまうなんて噂を信じてしまう始末。

 しかし、映画のラスト20分の締めくくり方はどうにもしっくりこなかった。子供ってああいった形での感性は持ち合せてないような気がするんだけど。それに「リアル」って言葉が後半のキーワードになっているけど、現代の子供にとってはファミコンや情報機器を含めた全てが「リアル」なんじゃないかなあ? 大人の目から見て理解できないものをリアルでないなんて考え方はおかしいなんて思いました。

 とは言っても納得した部分もいくつか。主人公の男の子が「ライフキング」を解かないと死ぬことになって(どうして死ぬかって疑問を持たないのが子供ならでは)、思い悩むシーンはとても説得力がありました。その悩みから脱却するってことが「リアル」だってことだったのでしょうか?

市川準監督。1989年日本映画。

2008年12月23日 (火)

バットマン (1989)

バットマン アメコミのヒーロー、バットマン(マイケル・キートン)がスクリーンデビュー。悪役のジョーカー(ジャック・ニコルソン)とデッドヒートを繰り広げる。アクションはともかく舞台のブレードランナーを思わせるゴッダム・シティーは雰囲気たっぷり。

 とにかくゴージャスな作品です。なんたって、この物語のために架空の街をひとつ作ってしまったわけですから。特に、あちこちの建物の室内装飾などは一見の価値があります。

 物語は、昔からあるヒーローものの定石そのもの。ラストの高所恐怖症の人はダメなシーンを除いて、安心して見ていられます。一部、バットマンは面白くないなんて噂が乱れ飛びましたが、私は結構楽しめましたけど。どうしてもだめな人は、画面が渋目に(暗めに)設定されているのとちょっと感傷的な部分が多いせいでしょうか。

 作品ごとに、貫禄というよりも怖さを増していくジャック・ニコルソンが不気味な一編でした。

ティム・バートン監督。1989年アメリカ映画。

2008年12月22日 (月)

ボルベール 帰郷 (2006)

ボルベール 帰郷 失業中の夫パコ(アントニオ・デ・ラ・トレ)と娘パウラ(ヨアンナ・コボ)を養うライムンダ(ペネロペ・クルス)だったが、夫はなんとパウラに関係を迫りパウラはなんと父を刺し殺してしまう。死体の処理に困って冷凍庫にほうりこんだライムンダだったが、今度は故郷のラ・マンチャから叔母(チョス・ランブリアベ)の訃報が届き…

 久しぶりのアルモドバル監督作品だけど、昔ほどのけばけばしさやてんこ盛りの毒は薄まって枯れてきたような印象。しかし本来は本筋になりそうな義父の刺殺事件はほったらかしにして、ライムンダと死んだはずの母イレーネ(カルメン・マウラ)の幽霊や、飲食店にまつわるエピソードがずんずん進んでいくあたりはただならぬ語り口を感じてしまう。で、結局埋められたパコは発見されずにめでたし、めでたしなのか? いや、それなら同居をはじめた母の方がやばやばでは? なんてひっかかる部分が山積み。

 実はスペイン映画に出ているペネロペ・クルスを初めて見たんだけど、確かにこの世界の方が生き生きとしていて、パワフルなラテンのお母さんがお似合いです。やっぱスペイン映画と極彩色の生と死は、切っても切れない関係のようです。

ペドロ・アルモドバル監督。2006年スペイン映画。

2008年12月19日 (金)

エル・シド (1961)

エル・シド 11世紀のスペインで宗教の壁を越えてスペインの軍隊を統一し、アフリカからの侵略を防いだ闘将エル・シド(チャールトン・ヘストン)の半生を描いたスペクタクル大作。とにかく画面に並ぶ人物の多さには圧倒される。

 考えたらアメリカのヘストンとイタリアのソフィア・ローレンが英語でスペインの史劇を演じるのは面白い取り合せだな、なんて思ったのですが…

 ドラマは「ベン・ハー」や「十戒」あたりを期待したのでいまいちでしたが、相変らずのハリウッド全盛期の物量映画には圧倒されっぱなしでした。美しいスペインの城や自然をバックに、登場する兵士の数の多いこと多い事。

アンソニー・マン監督。1961年アメリカ映画。

2008年12月18日 (木)

キングコング対ゴジラ (1962)

キングコング対ゴジラ 北極海での冬眠から覚めたゴジラと、南方の島からいかだで連れ来られたキングコングがともに日本に上陸する怪獣バトル映画。この頃のゴジラはまだまだ狂暴で、自衛隊との闘いも面白い。熱海城も出ます。

 アンギラスの登場した第2作に続くゴジラの出演第3作です。アメリカの怪獣スターであるキングコングの登場ということで、あちらの作品も随所にぱくってあって笑えます。たとえば走って来る列車をコングが体当りで止めて屋根を引き剥がすシーン。美女を右手につかんで、この映画ではなんと形が似ているからか国会議事堂によじ登ったりと。

 この作品を見ながら、私は元気だった頃の香港映画を思い出してしまいました。外国の作品は徹底的にぱくり、面白いとおもった映像は真似をして、おまけに登場人物の頭の構造はちょっと低めに設定してある。まるで一時期ブームを巻き起こした香港映画とまったく同じ姿勢で創られた作品なわけです。

 そしてちょっぴり文明批判をして、作品は終わります。キングコングは本当に泳げるんだろうかという不安を残して。

本多猪四郎監督。1962年日本映画。

2008年12月15日 (月)

鉄路の闘い (1945)

鉄路の斗い クレマン監督の長編処女作。第2次大戦のドイツ占領下のフランスで、レジスタンスとしてノルマンジー上陸作戦の後方支援をした鉄道員たちをセミ・ドキュメンタリータッチで描く。

 主役らしい主役はいないのですが、こまぎれのストーリーがそれぞれ面白く熱中して見入ってしまいました。前半はドイツに占領された鉄道員たちがどうやって連絡を取りながら軍事物資の輸送を送らせたかが。後半は、ノルマンジー上陸作戦を知った鉄道員たちが、戦車や大砲の鉄道輸送をいかにして妨害するかが描かれます。特に戦車を満載した列車が脱線転覆するシーンは、手に汗握るスペクタクルになっています。

 なんといっても、役者でなく実際に現場を体験した人達が演じているというのが重い作品です。

ルネ・クレマン監督。1945年フランス映画。

2008年12月14日 (日)

ヘンリー&ジューン 私の愛した男と女 (1990)

ヘンリー&ジューン 私が愛した男と女 30年代のパリ。銀行家ヒューゴ(リチャード・E・グラント)の妻アナイス・ニン(マリア・デ・メディロス)はロレンスなどのエロティックな文学に傾倒し、日記を書き続けている。ある日出会った無名時代の作家ヘンリー・ミラー(フレッド・ウォード)とその妻で映画女優のジューン(ユマ・サーマン)にただならぬ魅力を感じ、やがて深く付き合うようになるのだったが…

 マリア・デ・メディロスの演じるアナイス・ニンや、ユマ・サーマン演じるジューンなど確かに魅力的なんだけど、もやもやっとしたストーリーは正直よくわからない部分が多い。結局あとからネットでアナイス・ニンやヘンリー・ミラーに関して調べる羽目に。まぁ彼らに興味を持つきっかけとなった映画ってことでは良かったのかも。

 ただの中年おやじにしか見えないヘンリー・ミラーの魅力を瞬時に見抜くあたりにアナイス・ニンの鋭さってものがあったのかも。可愛い顔をしてるけど、彼女の日記に書かれたら、丸裸にされてしまいそうな恐ろしさを感じます。

フィリップ・カウフマン監督。1990年アメリカ映画。

2008年12月 9日 (火)

マザー・テレサ (2003)

マザー・テレサ インドのカルカッタで女子校の先生をしていたマザー・テレサ(オリヴィア・ハッセー)だったが、貧民街で貧しい人々のために何かしたいと思い立って修道院を出る。従来の組織の限界を感じて「神の愛の宣教者会」を設立しようとするのだったが…

 あのマザー・テレサを「ロミオとジュリエット」のオリビア・ハッセーが演じる伝記映画。見事に枯れた感じのあるオリビアは好演で、存在感抜群。収賄事件に巻き込まれてもまったく動ぜず、「神の思し召し」と言って切り抜けてしまうあたりは爽快感がある。ただし映画自体は彼女の一生をさらりと描いたという感じで、イマイチ踏み込んだものが感じられなかったのは自分が「神の愛」をはじめとするキリスト教的なものを理解していないところもあるんでしょう。

 実はこの映画を見る直前に、息子の国語の教科書で「マザー・テレサ」を読んだ(朗読を聞かされた)ところだったんだけど、教科書の方が彼女のエピソードに詳しく、映画が何となく舌足らずになっているところが面白かった。映画ってのはやっぱりビジュアルで見せる、感じさせるものだってことなのかもしれません。

ファブリツィオ・コスタ監督。2003年イタリア=イギリス合作。

2008年12月 8日 (月)

親密すぎるうちあけ話 (2004)

親密すぎるうちあけ話 ビルの一室に事務所を構える税理士のウィリアム(ファブリス・ルキーニ)のところへ、美しい人妻アンナ(サンドリーヌ・ボネール)が訪ねてくる。実は同じ階の精神科医(ミシェル・デュショーソワ)の部屋と間違えたのだが、勘違いのままアンナは夫との生活を話し始める…

 久しぶりに見るパトリス・ルコント監督の最新作。以前見た「髪結いの亭主」「仕立て屋の恋」もそうだったけど、本当にいかにもフランスの恋愛映画といった作りの作品群は見ていて懐かしささえ覚えるし、典型的フランス映画が見たいと思ったら手にしてみるのがおすすめ。

 内容は夫とうまくいっていない人妻が、精神科医と間違えて税理士を訪ねてしまう。ところが本家の精神科医よりもこっちの方が居心地がいいし、税理士も興味を持って話を聞き入ってしまう…というもの。本当はこういう関係が夫婦間で持てればベストなんだろうけど、なかなかそうも言っておられない。また税理士は税理士で一歩踏み込めば関係が壊れそうで、結局立ち位置を変えることができないんですよね。

 人妻アンナを演じるサンドリーヌ・ボネールはバレエ姿が美しくて印象に残ります。対するファブリス・ルキーニは演技としては固まってるだけ…って気がするんだけど、それも妙に味がある。

 こういう微妙な関係ものってのはやっぱハリウッドでも日本映画でもなくて、フランス映画だなって思わせてくれます。長いすから消えた二人は、どこへ行ってしまったんでしょう?

パトリス・ルコント監督。2004年フランス映画。

2008年12月 5日 (金)

幸せのルールはママが教えてくれた (2007)

幸せのルールはママが教えてくれた 問題ばかり起こす17歳のレーチェル(リンジー・ローハン)は、母リリー(フェリシティ・ハフマン)に連れられて実家の祖母ジョージア(ジェーン・フォンダ)の世話になることに。嫌々ながらも獣医(ダーモット・マローニー)のところで働くことになったレーチェルだったが…

 母娘3代のホームドラマ。とはいってもアメリカ製らしく、男運が悪い3人は派手にぶつかりあいながらも結束が強い強い。おまけにラストでははからずもほろりとさせられる、強引ながらも良質の人情ドラマになっている。

 何よりも祖母ジョージアが暮らす田舎がいい。見るからにど田舎ってのではなくて、住んでいる人間が良い意味で田舎。都会が好きな人が「ダサい」「うざい」と考えそうな人間関係の田舎なんだけど、それがラストではじわ?っときいてくる。何よりもトラックに乗ってる登場人物の組み合わせがいい。

 女子高生のカリスマ的な立ち位置を感じさせるリンジー・ローハンは今回も色気いっぱいの不良娘役で頑張ってる。以前に「バーバー」でスカーレット・ヨハンソンが同じような役をやってたけど、あっちがまじめそうに見えて…に対してリンジーはいかにもって感じがしたのが面白かった。ジェーン・フォンダは久しぶりに見たけど、おばあちゃん役ができる歳になったんですねぇ。

ゲイリー・マーシャル監督。2007年アメリカ映画。

2008年12月 4日 (木)

ベイブ 都会へ行く (1998)

ベイブ 都会へ行く 前作で牧羊犬コンテストで優勝して時の人(ブタ?)となったベイブ(声:ダニー・マン)だったが、牧場の借金は増えるばかり。ホゲット叔父さん(ジェームズ・クロムウェル)が井戸で怪我をしたのをきっかけに、エズメ叔母さん(マグダ・ズバンスキー)と共にテレビに出て稼ぐために都会へと旅立つベイブだったが…

 あのスマッシュヒット映画「ベイブ」の続編。今回は借金で傾いた牧場を救うためにベイブが出稼ぎをする話なのだが、途中で足止めをくった二人は動物ホテルに泊まっるのだが、話はまっすぐ進まない。映画はこのホテルでのエピソードを中心に描かれるのだが、ストーリーの焦点が定まらないだけに、前作ほどの爽快感がないのが辛いところ。

 しかしベイブの人の良さってのは健在で、あの川に落ちた番犬を助けるシーンにはジーンときてしまいました。箱庭のような魔都として描かれれている大都会とか、ブラックな味付けとか、オーストラリア映画はやっぱりひと味違うって思ってたんだけど、あのシーンですべて帳消しになってしまいました。

 とどのつまり、田舎が一番ってこと? 確かに動物たちにとってはそうかもしれません。

ジョージ・ミラー監督。1998年オーストラリア映画。

2008年12月 2日 (火)

キングダム 見えざる敵 (2007)

キングダム 見えざる敵 サウジアラビアの外国人居住区で爆破テロがあり、300人以上の死者が出る。フルーリー(ジェイミー・フォックス)、ジャネット(ジェニファー・ガーナー)ら5人のFBI捜査官は、周囲の反対を押して現地で捜査をはじめるのだが…

 中東情勢・アルカイダ・自爆テロといった難しいテーマを、かみくだいて説明しようというのがタイトルで感じられたのだが…やっぱりややこしい。DVDだったら3回ぐらい巻き戻して見ないと理解できないかもしれない。とはいっても映画のストーリー自体は比較的シンプルなテロ捜査もので、国家間の反対を押して現地入りしたFBI捜査官たちはお約束のようにテロの嵐に見舞われるのである。

 しかし後半、なぜか雨あられと降ってくる自動小銃の銃弾やロケット弾をもろともせず、かすり傷を負ったのみで事件は無事収束に向かう。う?ん、不死身のヒーロー映画とは本質的に違うはずなんだけど。そのテロリストの巣窟での決戦も、妙な爽快感があるのはいかがなもんだろう。

 結局のところ、憎しみの連鎖を否定したいのかもしれないけど、これを見ている限り映画を見てさらなる憎悪とやっつける爽快感を感じる人の方が多いんじゃないかと思ってしまいます。見えざる敵って結局、映画の観客のことかもしれない。

ピーター・バーグ監督。2007年アメリカ映画。

2008年12月 1日 (月)

ザ・スナイパー (2006)

ザ・スナイパー 元軍人の工作員カーデン(モーガン・フリーマン)は暗殺任務の遂行中に事故にあい、警察に捕まってしまう。護送中に仲間の機転で脱出しようとするが、これまた車ごと川に転落。彼を救ったのはハイキングに来ていたレイ(ジョン・キューザック)とクリス(ジェイミー・アンダーソン)父子だった。元警官のレイはカーデンを連行しようとするが、逆に彼の仲間に追われる羽目になる。

 森を舞台にした山狩りアクション映画(笑)で、タイトルにある狙撃のシーンはほんのわずかである。実は良い人のイメージが強いモーガン・フリーマンだけに、殺し屋なんて似合わない。巻き込まれてしまった父子を葛藤しながらも助けて大活躍である。彼の登場で、意外と安心して見ることができる映画になってしまった。

 たよりなさげに見えるレイが中盤から大活躍するんだけど…この彼が元警官で体育教師って設定は、ひょっとして後からとってつけたんじゃないかと思ってしまった。まあそうでないと自動小銃の扱いからナイフを持った男の扱いまで知ってるわけないんだけどね。

ブルース・ベレスフォード監督。2006年アメリカ映画。

2008年11月30日 (日)

サマータイムマシン・ブルース (2005)

サマータイムマシン・ブルース 田舎のとある大学のSF研究会のメンバー5人(瑛太、与座嘉秋、川岡大次郎、ムロツヨシ、永野宗典)は、何をするとはなく野球をやって夏休みを過ごし、それを撮影している写真部の女性二人(上野樹里、真木よう子)。ところが突然彼らの前にタイムマシンらしき物体が現れ、その効果を試すために彼らは昨日壊れたエアコンのリモコンを壊れる前に回収しにいこうということになるのだが…

 本編と関係ない台詞だらけで、非常にタルいすべり出し。いわゆるただ集うだけの文化系の部活の無駄話をえんえんと聞かされるだけの映画かと思いきや、タイムマシンが登場してからお話が混沌としてがぜん面白くなってくる。要するにタイムパラドックスものだったわけね。そうなると前のシーンにタイムトラベルのシーンがかぶっているんじゃないかとか、再見して確認したくなってしまいます。面白い作りです。

 こういった物語はルール(タイムトラベルの制限)がひとつのポイントになるわけだけど、1日単位でしか行ったり来たりできないという部分と、最大99年までという制限が秀逸ですね。しかも99年前のこの町は沼だったので、行ってしまうと沈没する(笑)ってのも面白い。

 一番面白いのは、こんなものすごいマシンを目の前にしながらも、クーラーのリモコンを取りに行くことぐらいしか思いつかない彼らのバカさ加減。私なら、未来へ行って超ハイテクエアコンを1台調達してくるに違いない(むむ、こちらもセコいか)。待てよ、そんなことすると、タイムパラドックスにはまりこんで世界が消滅してしまうかもしれないかな。

本広克行監督。2005年日本映画。

2008年11月28日 (金)

ガーフィールド2 (2006)

ガーフィールド2 太っちょ猫のガーフィールド(声:ビル・マーレー)の飼い主のジョン(ブレッキン・メイヤー)はガールフレンドのリズ(ジェニファー・ラヴ・ヒューイット)にプロポーズしようとするがことごとくタイミングを逃し、出張の彼女を追ってイギリスへ行く羽目になる。ところがイギリスのある古城ではプリンスと呼ばれる猫が遺産を相続し、よりによってガーフィールドがこの猫と間違われてしまう…

 本来はアニメキャラのガーフィールドをCGで描いて実写と合成したシリーズの第2作。他愛もない話…といえばそうなんだけど、なぜかディズニーの「101」や「102」よりは面白いのはなぜだろう。ベタなギャグが意外に面白いのと、ガーフィールドをはじめとするキャラが立っているところもあるんだろうと思う。

 古城に住む動物たちが、「ベイブ」よろしく大活躍するのもほほえましい。ご家族でも、安心して楽しめる映画です。

ティム・ヒル監督。2006年アメリカ映画。

2008年11月27日 (木)

エネミー・ライン2 北朝鮮への潜入 (2006)

エネミーライン2 アメリカの軍事衛星が、北朝鮮のミサイル基地に配備された核弾頭らしきものをキャッチする。大統領(ピーター・コヨーテ)は秘密裏にその壊滅作戦を指示するのだが、4人の降下部隊(ニコラス・ゴンザレス他)を現地に残して作戦は失敗。激戦の末二人が死亡、二人が捕虜になる…

 あのミリタリー・アクション映画「エネミー・ライン」の続編…らしいんだけど、敵地(Behind Enemy Lines)に潜入しての物語だという以外はあまり共通点はない。劇場未公開だったことが納得できるような内容かな。

 とはいってもストーリーはなかなかタイムリーで、北朝鮮が部隊で沖縄からも米軍の爆撃機が飛び立つなど他人事ではない内容。将軍様はどんな気持ちでこの映画を見てるんだろうか。大風呂敷を広げた割には、拷問からの脱出劇も、ミサイル基地への潜入も妙にあっさりしていて、あれよあれよという間に物語は終わってしまった。昔テレビの洋画劇場でよくやっていた、戦争アクション映画の雰囲気にそっくりだった。懐かしいぞ。

ジェームズ・ドッドソン監督。2006年アメリカ映画。

2008年11月26日 (水)

ヒッチャー (2007)

ヒッチャー 長距離ドライブに出かけた大学生のグレース(ソフィア・ブッシュ)とジム(ザカリー・ナイトン)は、豪雨の中でハイウエイに立つ男をひきかける。ただならぬものを感じたジムは男をハイウェイに置き去りにしたのだが、次のドライブインでその男ジョン・ライダー(ショーン・ビーン)に遭遇し乗せてやることになる…

 カルト的人気を持つというサスペンススリラーのリメイク。前作のルトガー・ハウアー版は見てないので何とも言えないが、映画としては適度にはらはらさせられて適度に派手でサスペンス映画としてもアクション映画としても楽しめる内容。最初は普通のコワモテのヒッチハイカーだったのが途中から豹変、最後はターミネーターばりに警察署まで壊滅させてしまうという、いかにもマイケル・ベイがプロデュースしましたって映画になってるけど、前半の緊迫感と後半の緊迫感はあきらかに別物。まぁ好意的に取れば一粒で2度おいしいってことになるんでしょうけど。

 ヒロインのソフィア・ブッシュが、ふつーっぽいんだけど何とも魅力的で印象に残る。逆にボーイフレンドのザカリー・ナイトンがぱっとしないのは、計算の上でのキャスティングでしょう。それにしてもショーン・ビーン、切れた役がはまってて前半はとってもコワかったです。

デイヴ・マイヤーズ監督。2007年アメリカ映画。

2008年11月25日 (火)

ウィッカーマン (2006)

ウィッカーマン 警官のメイラス(ニコラス・ケイジ)のところへ、元婚約者で疾走したウィロー(ケイト・ビーハン)から娘が行方不明になったので助けて欲しいとの手紙が届く。彼女の住むサマーズアイル島へ向かうメイラスだったが、そこは奇妙な共同生活を営む人たちが住む、絶海の孤島だった…

 イギリスのカルト映画「ウィッカーマン」のリメイク…だそうだが、こちらは見たことないので思い入れなし。いわゆるカルト教団系の物語で、ものすごくストレートでひねりがないのがポイントかも。最後まで見て、あまりのひねりのなさにかえってショックを受けてしまった。まぁこういった役柄はニコラス・ケイジにとってははまり役ではあるのだが。

 気味の悪い島民キャラクターとか、蜂をモチーフにしたところとか、アンジェロ・バダラメンティの音楽とか、メイラスの見る幻覚とか思いっきり雰囲気勝負に出てすべってしまった映画という感じ。たぶんオリジナルの方はそこらへんが成功していたのではないかと想像する。

 ところで最近見るハリウッド映画って、カルトな村人ってテーマが多い。アメリカって広いから、町ぐるみでとんでもないことやってるケースが多いってことかな。なんか旅行をする気がしなくなる、罪な映画です。

ニール・ラビュート監督。2006年アメリカ映画。

2008年11月21日 (金)

プラネット・テラー・イン・グラインドハウス (2007)

プラネット・テラー・イン・グラインドハウス テキサスでゴーゴーダンサーをしていたチェリー(ローズ・マッゴーワン)は元カレのレイ(フレディ・ロドリゲス)に出会うが当然うまくいくはずはない。その頃、マルドゥーン(ブルース・ウィリス)の仕切る軍事施設に異変が起こり化学兵器をあびてゾンビ化した人間が町にあふれかえる。ゾンビに襲われたチェリーは片足を食いちぎられてしまうのだったが…

 タランティーノがプロデュースするグラインドハウス2本立てのうちの1本で、監督は彼のお友達(?)のロバート・ロドリゲス。「デス・プルーフ」が究極のバカ映画だとしたら、こちらは究極のゲロ映画。70?80年代に、ロメロやフルチ、アルジェントあたりが量産したぬめぬめ・ぐちょぐちょのスプラッターゾンビ映画をこれでもかとパロって再現したかのような映画。唯一の違いは、本家イタリア製ゾンビ映画は意外とドライで乾いていたんだけど、この映画はひたすらウェッティでじめ?っとしていて、駄目な人が見たらかなり気が滅入ることうけあい。見る人を選ぶと思う。

 ゲスト出演するタランティーノのワルノリ度も強烈です。タランティーノの××がタランティーノ…なんて凄すぎる!! ウィリスもよくこんな映画に出たもんだと思う。かっこいいのは、片足マシンガンのチェリーことローズ・マッゴーワン。後半は彼女がひとりで場をさらってくれました。ラストの亀とタランチュラとサソリも、サスペンス映画には欠かせない動物たちにもかかわらずなぜかほのぼのとした味が…

 そうそう、冒頭に入るパロディ版予告編「マチェーテ」も最高。あれ、絶対にグラインドハウスの第3弾として映画化してほしいぞ。

ロバート・ロドリゲス監督。2007年アメリカ映画。

2008年11月20日 (木)

デス・プルーフ・イン・グラインドハウス (2007)

デス・プルーフ 人気DJのジャングル・ジュリア(シドニー・タミーア・ポワチエ)は仲間を集めて酒場でヨタ話をしている。同じバーで飲んでいるスタントマン・マイク(カート・ラッセル)は彼女たちのひとりを車で送っていく約束をつけるが、やがて本性をむき出して…

 70年代のアメリカでB級映画の2本立て、3本立て興行をやっていた「グラインドハウス」の再来というわけで、タランティーノが企画した2本立て映画のうちの1本。オマージュを捧げるのは70年代のカーアクション映画…なんだけど、そこはタランティーノだけに一筋縄では終わらない。とんでもないバカ映画に仕上がっていて、中盤からはバカバカバカとスクリーンに向かって絶叫しながらも最後まで楽しんでしまった。

 残念ながら70年代のグラインドハウスってのは知らないんだけど、このあたりの映画はテレビで見たって記憶が大きいですね。わざと作られたフィルムの傷とかコマ飛びとかに思いっきり気分をくすぐられて、えんえんと続くセクシー美女の下品なヨタ話に「たる?」なんて思いながらひたすら耐えて、中盤の山場、そして疾走するラストなどびんびんに気分は高揚。カート・ラッセル、ぼこぼこのラストとTHE ENDのクレジットの間の取り方なんて本当に絶妙で凄い。こちらもノックアウトされてしまいました。

 70年型ダッジ・チャレンジャー(バニシング・ポイントに登場)が後半の主役となってたけど、個人的な思い入れではムスタング・マッハ1(バニシングin60ですね)が映画と同じイエローにブラックのラインが入った姿で、スタントウーマンのゾーイ(ゾーイ・ベル)たちの愛車として登場したあたりがもう嬉しかったです。

 そういやタル?い前半を必死で耐えるという構成も、昔のアクション映画観賞としては王道というか、懐かしい。うーん、とんでもないバカ映画にかかわらず、何もかもひいき目に見てしまうのがタランティーノマジック健在ってとこでしょう。

クエンティン・タランティーノ監督。2007年アメリカ映画。

2008年11月19日 (水)

下妻物語 (2004)

下妻物語 ロココ文化に傾倒するロリータファッションの女子高生・桃子(深田恭子)は、洋服代を稼ぐためにダメ親父(宮迫博之)の作ったパチものベル×ーチのシャツをネット通販に出す。すると反応してやって来たのは、地元ヤンキーで原チャリ暴走族のイチゴ(土屋アンナ)だった…

 嶽本野ばらの人気小説を映画化。ポップでビビッドな映像は強烈で、ロリータとヤンキーが疾走するストーリーと自虐的なギャグの数々のインパクトは絶大。「真夜中の弥次さん喜多さん」あたりが好きな人ならピタっとはまる映画ではないだろうか。

 しかし…下妻と同じく適度に田舎に住む身としては…ジャスコのギャグとか、おかしいけど笑えないぞ(!!) 同様にヤンキーをやってる方とか、ロリータやってる方とかだとやはり自虐的に見えるんじゃないだろうか、この映画。

 もひとつ気になったのが、桃子が過去に住んでいたという尼崎に近い都市。この安物ばっかり追い求めるパチもの天国の町って、一体どこのことなんだ!?

 下妻って町はよく知らないんだけど、ああいうふうに野っ原の向こうに大仏がそびえ立っているのだろうか。その前に仁王立ちする桃子とイチゴ、なかなかかっこよかったです。これってNaNaのヤンキー版?

中島哲也監督。2004年日本映画。

2008年11月17日 (月)

キンキーブーツ (2005)

キンキーブーツ 靴工場の跡取り息子のチャーリー・プライス(ジョエル・エドガートン)はロンドンに婚約者と引っ越そうとしていた矢先に父(ロバート・バフ)の訃報にあい、急遽呼び戻される。ところが工場は倒産寸前。八方ふさがりの彼はドラッグクイーンのローラ(キウェテル・イジョフォー)に出会い、起死回生のために男性向けのセクシーブーツをミラノに出品することを思い立つ。

 ドラッグクイーンとそのショーの楽しさに目が行ってしまう作品だけど、本来はビジネスもので、ニッチ市場を狙う伝統産業という図式である。その舵取りをするのがふにゃふにゃと頼りない若社長だというのがポイントで、ビジネスの成功とは思いつきとそれを実現する行動力だというのを語っているような気がする。

 いや、そんな真面目な部分よりも、いかついキウェテル・イジョフォーの女装とパワフルなショーは文句なく楽しい。そういう意味ではダブルで元気が出る映画です。なおこのストーリーはかなりが脚色だけど、工場は実在するらしい。

ジュリアン・ジャロルド監督。2005年アメリカ=イギリス合作。

2008年11月15日 (土)

幸せのレシピ (2007)

幸せのレシピ やり手だが堅物シェフのケイト(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)の姉が急死して、姪のゾーイ(アビゲイル・ブレスリン)を引き取ることになる。なかなか心を開かないゾーイに手を焼くケイトだったが、ある日店の副料理長として雇われたニック(アーロン・エッカート)の作ったパスタを食べ…

 ドイツ映画「マーシャの幸せレシピ」のリメイク…らしい。未見だけど。厨房ものといえば「レミーのおいしいレストラン」が記憶に新しいけど、それに負けず劣らずのほんわかとした持ち味を持った作品。

 「ターミナル」では、わからなかったと絶句してしまったキャサリン・ゼタ・ジョーンズだけど、本作では登場シーンから彼女のオーラがぷんぷん。シェフ姿がなんとも似合ってました。結局のところ、シェフってのは段取り仕事なんだってのが目からウロコ。アーロン・エッカートの陽気なイタリアンというのもぴったり。芸達者なアビゲイル・ブレスリンはどこかで見た記憶があるんだけどわからない…

 記憶があるといえばセラピストのボブ・バラバンも何だかわからないけど記憶に残っている顔。フィルモグラフィー見るとそうそうたる映画が並んでるんだけど、どこに出ていたかの記憶がない(!?)。こういうのを、名倍プレイヤーと言うんかな。

 本格的料理映画という触れ込みだけど、思ったほど料理のウンチクに走ってなかったのは肩すかしを喰った感じ。そのあたりをハリウッド映画に期待しちゃいけないのかも。

スコット・ヒックス監督。2007年アメリカ映画。

2008年11月14日 (金)

エンジェルス (1994)

エンジェルス 最下位の野球チーム・エンジェルスを応援する少年ロジャー(ジョセフ・ゴードン・レヴィット)は短期の里親マギー(ブレンダ・フリッカー)の元でJP(ミルトン・デイヴィス・Jr.)と暮らしている。父親の「エンジェルスが優勝したらまた一緒に暮らせる」という言葉を信じて、天使にお祈りするのだったが…

 ディズニーのファミリー向けスポーツ映画。天使が降りてきて野球選手を勝たせてしまうという大甘のシチュエーションは、同じくディズニーの「フラバー」あたりとそっくりの雰囲気である。このまま行けば映画としてはまったく成立しない、面白くないと思っていたら、後半にはしっかりと見せ場が用意されていてラストはほろりとさせられるのはさすがディズニー印です。

 エンジェルスの監督をダニー・グローヴァーが演じるのですが、子供嫌いの彼がどんどん変化していくのがいかにもディズニー的。天使として登場するクリストファー・ロイドも、出番は思いっきり少ないにもかかわらず場をしっかりとさらっていってくれる。

ウィリアム・ディア監督。1994年アメリカ映画。

2008年11月13日 (木)

ダイヤルM (1998)

ダイヤルM 実業家のスティーヴン(マイケル・ダグラス)には美しい妻のエミリー(グウィネス・パルトロー)がいるが、彼女は画家の卵のデヴィッド(ヴィゴ・モーテンセン)と不倫中。ところがこの事実を知ったスティーヴンは、デヴィッドに大金を払って妻の殺害を持ちかけるのだったが…

 タイトルからわかるとおり、ヒッチコックの「ダイヤルMを廻せ!」のリメイク。ダイヤルMってのが今となっては意味不明ではあるのだが… というのは置いておいても、かなり苦しい出来でテレビのサスペンス劇場以上でも以下でもないような印象。グウィネスは確かに美しい女優さんではっとさせられるシーンも多いんだけど、グレイス・ケリーのように「伝説」になってないってのがちょっと辛いかな。

 ストーリーはかなり前作に近いらしいんだけど、悲しいかな前作を見たのが何十年も前で「ケ・セラ・セラ」をヒロインが歌っていたこと以外は覚えていない!? マイケル・ダグラスは裏表のあるギラギラした役柄だし、グウィネスもアウトローっぽいヴィゴと不倫中ってことじゃ素直に感情移入できるキャラクターじゃない。このあたりも敗因のひとつ。ただしバブリーなシチュエーションと軽快なカメラワークはすばらしく、雰囲気を楽しむには面白い映画です。

アンドリュー・デイヴィス監督。1998年アメリカ映画。

2008年11月12日 (水)

呪い村436 (2006)

呪い村436 国勢調査員のスティーヴ(ジェレミー・シスト)はロックウェル・フォールスという小さな村を調査にやって来る。ところが村の入り口で乗っていた自動車がパンク。保安官のボビー(フレッド・ダースト)に連れられて村の集落へ入ったのだが、この村には奇妙な風習が残っていた…

 いわゆる集団カルトもののサスペンスホラー。タイトルに数字が入っていることからも連想できるように、タネを明かせばこの436人しか生きられない村での帳尻あわせの物語である。まぁこのストーリーで描かれるように一人二人増えた場合はいいんだけど、逆に天変地異か何かで大量に死んでしまったり、あるいは人が押しかけて来た場合はどうなるんだろう。それでも帳尻は合ってしまうのだろうか。

 しかし呪われた風習が残っていることを除いては、ロックウェル・フォールスってのはのどかで本当に良い村です。呪いさえなければ、こんなところにほけ?っと住んでみたいもんです。

マイケル・マックスウェル・マクラーレン監督。2006年カナダ=アメリカ合作。

2008年11月11日 (火)

神童 (2006)

神童 高校生の和音(松山ケンイチ)は、音大受験をひかえているが失敗すると家業の八百屋を継ぐことになっている。ボートで知り合った中学生のうた(成海璃子)は、神童と呼ばれたピアノの名手だが音楽には嫌気がさしてスランプになっている。ところが和音のピアノ受験の日に、うたが応援にやって来て…

 さそうあきらのコミックを映画化。日本初の本格的クラシック映画だそうだけど、本当かな? 最近旬の成海璃子と松山ケンイチ主演ということで、キャラクターのおもしろさだけでもぐいぐい引っ張って行ってくれるのはさすがである。音楽でつながった二人の関係は、ちょっと心くすぐるものがあります。

 うたが和音の手を握っただけで、乗り移ったかのような演奏… そんなバカな、なんてシーンだけど、音楽ってテクニックの先にあるのはそんなハートや気持ちなんだよな、そんな事を考えさせてくれます。でもそれ以降、和音は2度とそんな神がかりの演奏をしないってところもいいです。

 こういう映画を見ると、楽器が弾きたいな、なんて気持ちになります。

萩生田宏治監督。2006年日本映画。

2008年11月 7日 (金)

102 (2000)

102 前作から3年。逮捕された毛皮マニアのクルエラ(グレン・クローズ)は精神療法を受けて仮釈放される。捨て犬を保護するケヴィン(イオン・グラファド)とクルエラの保護観察官のクロエ(アリス・エバンス)の心配どおり、急に元の残酷な性格に戻ったクルエラは、毛皮デザイナーのピエール・ルペル(ジェラール・ドパルデュー)と組んで新しいダルメシアンの毛皮コートを作ろうとするのだったが…

 ディズニーの名作「101匹わんちゃん」を実写映画化した「101」の続編。前作はジョン・ヒューズのプロデュースってことで主人公と犬とクルエラの対決シーンは完全に「ホーム・アローン」化していたが… ストーリーが前作に比べてイマイチの本作は、ただうるさいだけのドタバタ映画に成り下がっていた。1時間半が長かったなぁ…

 とはいっても、ブチのないダルメシアンのオッドや、悪態をしゃべりまくるオウムとかキャラクターは面白い。グレン・クローズは相変わらず楽しそうにクルエラを怪演。それだけで楽しめるんなら良い映画なんかもしれないんだけど、この退屈さって一体…

ケヴィン・リマ監督。2000年アメリカ映画。

2008年11月 6日 (木)

大誘拐 RAINBOW KIDS (1991)

大誘拐 RAINBOW KIDS 刑務所を出所したばかりのスリの健次(風間トオル)、正義(内田勝康)、平太(西川弘志)の3人は、更正するためには金が必要だと和歌山の地主のおばあちゃん柳川とし子(北林谷栄)を誘拐して5,000万円を要求する計画を立てる。ところが「どうして私が5,000万円?」と激高したおばあちゃんにより、要求額は100億円にアップ。県警のやり手である井狩(緒形拳)と真っ向対決する羽目になる。

 これも見逃していた、天藤真原作の映画化で話題作。システマティックな世界とは対局にある田舎の山奥の物語で、とにかく登場人物のおもしろさ、スケールの大きさで見せてくれるところが良い。山林王で、警察署長とも顔なじみで、誘拐犯なんてほんの子供にしか見えない、そんなおばあちゃんが何とも頼もしく見える反面、ラストの化かし合いでは、修理したほこらをめぐってちょっとだけびくびくするあたりが可愛らしくて、とっても気に入ってしまった。

 龍神温泉に遊びに行くと、この映画のロケ記念としてスチル写真が貼ってあったりします。もう一度遊びに行きたくなりました。

岡本喜八監督。1991年日本映画。

2008年11月 4日 (火)

ピエロの赤い鼻 (2003)

ピエロの赤い鼻 ジャック(ジャック・ヴィルレ)は田舎の小学校の先生。日曜日にピエロになって人々を笑わせるのが習慣になっていたが、息子のリュシアン(ダミアン・ジュイユロ)はこれが気に入らない。ところが父の旧友アンドレ(アンドレ・デュソリエ)は、戦時下に二人でレジスタンスのまねごとをした過去を語り始める…

 ミシェル・カンのベストセラー小説を映画化。最近大味な映画ばっかり見つづけていたので、こういった繊細な味わいを持った作品を見るとなぜか新鮮でほっとさせられた。

 レジスタンスのまねごとをしたことから命のやり取りをする羽目になり、残ったのは死んだ敵兵のピエロの鼻…というのがおおまかなストーリー。そんなに簡単に爆破ができるのかとか、ピエロのまねなんかするドイツ兵がいるのかとかいう批判はありそうだけど、意外と戦争と末端の人々のかかわりっていうのはこういったものかもしれない、なんて気分にさせられます。

 かっちょ悪くて全然笑えないピエロなんだけど、映画をひととおり見てラストの同じシーンが違って見えるのがいい。とっても後をひく反戦映画です。

ジャン・ベッケル監督。2003年フランス映画。

2008年11月 3日 (月)

こわれゆく世界の中で (2006)

こわれゆく世界の中で ロンドンに住む建築家のウィル(ジュード・ロウ)は、リヴ(ロビン・ライト・ベン)とその娘で鬱病のビー(ボビー・ロジャース)と長く同棲している。ある日ウィルの建築事務所に立て続けに泥棒が入り、ウィル自ら見張りに付く。そして突き止めた犯人は、ボスニア難民のミロ(ラフィ・ガヴロン)だった。ミロの家を突き止めたウィルはその母のアミーラ(ジュリエット・ビノシュ)に近づくのだったが…

 とまぁあらすじを書いてみれば複雑なストーリーだが、波瀾万丈ながらも非常に面白い展開で最後まで飽きずに見ることができた。ロビン・ライト・ベンとビノシュの間で揺れるジュード・ロウというのが基本ストーリーなんだけど、そこに鬱の入ったビーや、盗難団に入ったミロがからんで事態が複雑になっている。一筋縄ではいかない、いわゆる八方ふさがりになっているわけである。

 このストーリーでウィルを非難するのはたやすいんだろうけど、まさしくこわれゆく世界の中で複雑な状況に置かれた二人の女性を相手にするウィルには、ある意味同情まで感じてしまうのは不思議です。久しぶりに見たビノシュはすっかりおばさんになってたけど、華のあるおばさんです。

 「わかってよ」と叫ぶロビンにもびっくりした。ボスニアへ帰るアミーラとミロも含めて、これはハッピーエンドなのかどうなのか私には判断できないぞ。

アンソニー・ミンゲラ監督。2006年イギリス=アメリカ合作。

2008年10月31日 (金)

タラデガ・ナイト オーバルの狼 (2006)

タラデガ・ナイト オーバルの狼 スピード狂のリッキー(ウィル・フェレル)はNASCARのレースで、ふがいないチームドライバーの代わりにアグレッシブな走りを見せ、一気に人気レーサーになる。ところがフランスからやって来たF1レーサー・ジャン・ジラール(サシャ・バロン・コーエン)に散々こけにされた上に、大クラッシュをして運転が怖くなってしまう…

 ウィル・フェレルがオーバルの狼?ってわけで冒頭は思いっきりミスキャストを思わせてくれたんだけど、大味な彼の持ち味がアメリカンレースとぴったりマッチして、さらにギャグのキレも良くて結構笑わせてくれました。内容的には同じNASCARを描いた「デイズ・オブ・サンダー」のコメディ版ってところで、アウトラインも何やらそっくりである。

 しかし仇役のジャン・ジラールがこれまた笑わせてくれます。ルパン三世みたいな風貌なんだけど、F1ドライバーをアメリカ人が見たらこういう風に見えるのかもって気がしてきます。たぶんフランス人が見たら、「洋画に出てくる間違った日本人」と同じような感想を持つんだろうけどね。

 ラストシーンは、どっちかというと「カーズ」を彷彿とさせてくれるようなオチなんだけど、「カーズ」の方が感動できるってのが…何だかなぁ。劇場未公開作品ですが、車好きなら一見の価値はあるかも。

アダム・マッケイ監督。2006年アメリカ映画。

2008年10月30日 (木)

コヨーテ・アグリー (2000)

コヨーテ・アグリー シンガー・ソングライターを夢見るヴァイオレット(パイパー・ペラーボ)は、二人暮らししていた父(ジョン・グッドマン)を故郷に残してニューヨークへ出る。ところが生活に困った彼女は派手なパフォーマンスバー「コヨーテ・アグリー」で働くことになり…

 いわゆるアメリカン・サクセス・ストーリー青春編で妙に雰囲気が「フラッシュダンス」に似てるなぁと思ったら、どっちもプロデューサーがジェリー・ブラッカイマーだった。なるほど。彼の映画は血の気の多いアクションの方が目立ってるので、こういう世界があるのを忘れてました。

 それにしても…凄いバーだな。あのバーで自分の娘が働いていると思えば、そりゃ父親は心配でしょう。それだけにラストはなかなか太っ腹でかっこいいぞ、グッドマン。

 主演のパイパーはあの雰囲気は似合わないのに頑張ってるって感じがGoodですね。応援したくなります。バーのマダムのちょっとすれた感じもいいし、「私にはバーしかない」って台詞のあたりはぞくぞくしました。男性目線と親目線で見てしまったので、上記のような部分とノリの良さばかりが印象に残ったんですが、女性にとっては元気の出る映画でしょう。

デヴィッド・マクナリー監督。2000年アメリカ映画。

2008年10月28日 (火)

GO! GO! ガジェット (1999)

GO! GO! ガジェット 警官になることが夢の警備員のブラウン(マシュー・ブロデリック)はブレンダ博士(ジョエリー・フィッシャー)の研究所を襲った賊と戦って重傷を負い、GO!GO!ガジェットという全身武器…というか小道具(ガジェット)の改造人間として生まれ変わる。ところが彼女の研究を狙うスコレックスことDr.クロウ(ルパート・エヴェレット)はガジェットをつけ狙い…

 人気アニメの映画化ということで、とんでもないほどノリが軽いヒーローもの。なんせ主人公が瀕死の重傷から改造人間としてよみがえるのだが、悲壮感は一切なし。黙っておもちゃ箱のようになった自分の肉体を受け入れてしまうのである。こりゃ仮面ライダーよりも数段軽いぞ。この役をひゅうひゅうと楽しそうに演じるマシュー・ブロデリックって凄い。

 とはいってもすっとぼけた味で繰り出されるギャグの数々は結構笑える。子供と一緒に見るにはおすすめかな。ガジェットの乗る生意気な車はどうでもいいが、タケコプターみたいな装置は、実際にあるならちょっと欲しいぞ。

デヴィッド・ケロッグ監督。1999年アメリカ映画。

2008年10月27日 (月)

勇気あるもの (1994)

勇気あるもの 広告代理店に勤めるビル(ダニー・デヴィート)は、大切な商談に渋滞で遅れて会社をクビになる。失意の中で手に入れた次の仕事は、陸軍の訓練学校で生徒たちに座学を教えることだった。落ちこぼれの生徒たち(クリフ・ロバートソン、ジェームズ・レマー他)を前に戸惑うビルだったが、彼らが「ハムレット」に興味を示したことから事態は好転し…

 90年代のにおいがぷんぷんする、ちょっと元気が出る小品。「勇気あるもの」というタイトルから連想させられるバリバリの軍隊映画ではなく、舞台が陸軍学校というだけで普通の教師と生徒ものである。こないだ見た「フリーダムライターズ」とかぶるといえばかぶるのだが、こちらの方が切羽詰まったものがないだけに安心して見ていられる。生徒たちの置かれた境遇は似たり寄ったりではあるが。

 何よりも生徒たちが「ハムレット」をラップにして歌い踊るシーンは名場面。デヴィートが「平和の塔」にチャレンジする場面は、本当に頑張ったのかな? グレゴリー・ハインズの無口な教官という役柄もいいです。

 ペニー・マーシャル監督。1994年アメリカ映画。

2008年10月24日 (金)

レストストップ デッドアヘッド (2006)

レストストップ デッドアヘッド ボーイフレンドのジェスと共に家出したニコール(ジェイミー・アレクサンダー)はハリウッドを目指す旅に出る。途中で立ち寄ったレストストップの汚いトイレを出たニコールは、ジェスが車ごと姿を消していることを知る。次の休憩所まで96キロあることを知ったニコールはトイレで彼が帰ってくるのを待つのだが、やがて黄色いピックアップに執拗に狙われる。

 「テキサス・チェーンソー」を連想させるホラーサスペンス。怖いというよりも、尋常ではないヒロインのいじめられ方に見ていて気分が悪くなるというのが正直な感想である。正に蛇の生殺しとはこのことで、目の前にかつての失踪者が現れてリンチされたり、助けに来た警官が目の前で殺されたり、これまた乗せてくれたキャンピングカーに異常者家族が乗っていたりとなんとも気が滅入る。

 結局のところ、アメリカの片田舎にはこういったサイコ野郎が蔓延しているので、近づかないほうがいいよ?というメッセージまで感じられる。何だか「エイリアン」を初めて見たあとで、宇宙って怖いところだなぁって思いっきり思わされたのを思い出します。それとも家出なんてするもんじゃない、という教訓的映画なんかな?

ジョン・シャイバン監督。2006年アメリカ映画。

2008年10月23日 (木)

ジョー・ブラックをよろしく (1998)

ジョー・ブラックをよろしく 会社社長のパリッシュ(アンソニー・ホプキンス)は、深夜に死神の声を聞く。パリッシュの娘で医者のスーザン(クレア・フォーラニ)はコーヒーショップで好青年(ブラッド・ピット)に出会い好意を抱くのだが、その直後に青年は事故死する。青年の姿で二人の前に姿を現したのは、パリッシュの枕元に立った声の主だった…

 いきなり大金持ちの大金流し込みのパーティ準備にびっくりさせられるのだが、そんな舞台に似合った生と死のドラマ。死神が青年の姿で現れるというシリアスなファンタジーものだが、無垢な感じのブラピと人生を黄昏を感じさせるホプキンスの競演でストーリーを無理なく見せてくれるのが凄い。

 ヒロインのクレア・フォーラニは知らない人だったが、医者の姿で出て来た時には妙に存在感があって印象に残った。不振に思いながらもブラピの死神と恋に落ちていくところは、これまた繊細な演技が光る。映画が3時間近い長尺で、ゆったりとじっくりと描き込まれるのもいい。

 結局、これって死を受け入れるための物語なんかな。死ぬ前にこうしてじっくりと身辺整理ができるのって、ある意味幸せなんかもしれない。

マーティン・ブレスト監督。1998年アメリカ映画。

2008年10月21日 (火)

リンガー! 替え玉選手権 (2005)

リンガー! 替え玉選手権 人のいいスティーヴ(スティーヴ・ノックスヴィル)は上司に昇進を願い出るが、その条件は管理人のスタヴィ(ルイス・アヴァロス)をリストラすること。スティーヴにそんなことができるわけがなく、結局自分の家の庭師として雇うことに。ところがスタヴィは芝刈り機で指を落とし、手術に大金が必要になる。仕方なく相談した叔父のゲイリー(ブライアン・コックス)のアドバイスは、知的障害者のふりをしてスペシャル・オリンピックに出場せよという罰当たりなものだったが…

 とことんいい人が、いい人ゆえにどんどん深みに落ち込んでいくという、一昔前だったらスティーヴ・マーティンあたりが得意としていた内容のコメディ。癖のあるスタヴィ、ゲイリーに加えて、なさけな系のスティーヴがいい味を出している。あの声で「指なんていらないんです」と言われたもんにゃ、やっぱスペシャルオリンピックに出てしまうかもしれない。ヒロインのリン(キャサリン・ハイグル)も爽やかで可愛い。

 障害者のふりをしてひともうけという毒のあるストーリーに果敢に挑んで、寸前のところでさらりとうまくまとめて最後は暖かい気持ちにさせてくれるのは製作のファレリー兄弟の成せる技か? 見事…です。

バリー・W・ブラウスタイン監督。2005年アメリカ映画。

2008年10月20日 (月)

恋とスフレと娘とわたし (2007)

恋とスフレと娘とわたし 洋菓子店を経営するダフネ(ダイアン・キートン)には、女手一つで育てた3人の娘(マンディ・ムーア、ガブリエル・マクト、パイパー・ペラーボ)がいた。男運が悪い末娘メイのために、ネットで花婿募集の公告を出すダフネだったが、母の差し金とは知らないメイはその男ジェイソン(トム・エヴェレット・スコット)と意気投合するのだったが…

 父と息子ものの映画は定番だけど、これは最近また増えてきた一卵性母娘の物語。女4人ということでここまであけすけに仲良くなれるのかと、ちょっと面食らったような内容。男の目としては、この彼女たちと恋愛関係に落ちたら何もかもばらされそうでちょっとコワいです。

 才女やキャリアウーマンのイメージが強かったダイアン・キートンはすっかりおばあちゃんになったなぁという印象。それでもばりばりとした仕切り屋+恋愛もちゃっかり現役という役柄はある意味凄いかも。それに比べて、娘たちの恋はイマイチ印象に残らなかったのは貫禄負け(笑)といったところか。やたらとおいしそうなスィーツの数々は、空腹で見るのはちょっと辛かったです。

マイケル・レーマン監督。2007年アメリカ映画。

2008年10月17日 (金)

ゴースト・ハウス (2007)

ゴースト・ハウス 娘のジェス(クリステン・スチュワート)が問題を起こしたことで、ノースダコタの田舎の一軒家に引っ越してきたソロモン一家。父のロイ(ディラン・マクダーモット)はここでひまわりの栽培をはじめようとする。ところが口のきけない弟のベン(エヴァン・ターナー)はこの家に何者かがいることを感じるのだったが…

 いわゆるお化け屋敷映画なんだけど、家はそんなに大きいわけでもなく昼間でも幽霊は出る。じわじわと恐怖を盛り上げる手法は、「呪怨」あたりとそっくりで、いわゆるハリウッド風のホラー映画とは違う。このあたりはアジア系のパン兄弟が監督していることや、日本通のサム・ライミがプロデュースしているあたりと深く関係してるんだと思う。意外と人が死ぬシーンがなく、後味は悪くないホラーになっている。

 主演のクリステン・スチュワートのきりっとした顔立ちが印象的。反対に、もっちゃりしたディラン・マクダーモットも特長のある顔で記憶に残る。母親役で懐かしいペネロープ・アン・ミラーも出てます。

オキサイド・パン、ダニー・パン共同監督。2007年アメリカ=カナダ合作。

2008年10月16日 (木)

僕たちのアナ・バナナ (2000)

僕たちのアナ・バナナ ユダヤ教のラビ・ジェイク(ベン・スティーラー)とカトリックの神父のブライアン(エドワード・ノートン)は大親友。ところが二人の幼なじみながらも小さい頃に引っ越していったアナ(ジェナ・エルフマン)と再会して、美しく育った彼女に思いを寄せる二人だったが、立場上彼女とは恋愛できない二人は微妙な三角関係に陥り…

 エドワード・ノートンの初監督作品。どろどろ恋愛映画になりそうなストーリーをこれだけさっぱりさわやかにまとめるあたりは、エドワードの成せる技なんかなぁ。もっとも劇中のブライアンはちょっといい人過ぎるような気もしたけど、彼のキャラクターに合っているつうたら合ってるんだよな。

 幼い頃の3人を演じた子役たちが、主演の3人にそっくりなのがいい。特にアナを演じた女の子。主演女優さんを知らなかったので、このおてんばがどんな風に育つのかなと思ったら、そのまんま大きくなってたのには笑えた。

 結局のところ、登場人物たちがみんな無理なくいい人なのが爽やかさと感動を呼ぶんだろうね。宗教がらみの紛争も、個人レベルではこんな風に片付けばいいという願望があるんかな。

エドワード・ノートン監督。2000年アメリカ映画。

2008年10月14日 (火)

鉄板英雄伝説 (2007)

鉄板英雄伝説 ルーブル美術館で育ったルーシー(ジャイマ・メイズ)、メキシコの孤児エドワード(カル・ベン)、ハイジャックから奇跡の生還をしたスーザン(フォーネ・チェンバース)、超能力コミュニティに通うピーター(アダム・キャンベル)の4人は、偶然に手に入れたチケットでチョコレート工場に招待される。ところがチョコレートの材料にされかかり、逃げた先はクローゼットの奥に広がるグナルニア国だった…

 EPIC MOVIEというタイトルからわかるとおり大作映画のパロディ編。「最終絶叫計画」や「最愛絶叫計画」のスタッフよ再び…ということらしいが、相変わらず脈絡なく有名映画をパッチワークしたストーリーやお色気+お下品なギャグの数々は健在で、まじめに見ていると疲れること疲れること。今回は大作映画ということで、元ネタをほとんど見ていたにもかかわらず、ほとんど笑えないってのがカルトとなりうる映画なんじゃないかと思われてくる。

 救いといえば、主演のジェイマ・メイズがなかなか可愛いのにかかわらずこの役に大まじめに取り組んでいることぐらいか。思わず頑張れ?と声援をかけたくなってくる。ところでこの邦題、何で鉄板英雄伝説なんだろう?

ジェイソン・フリードバーグ、アーロン・セルツァー共同監督。2007年アメリカ映画。

2008年10月10日 (金)

フーリガン (2005)

フーリガン ルームメイトの罪をかぶってハーバードを退学になったマット(イライジャ・ウッド)は、姉シャノン(クレア・フォーラニ)の住むロンドンを訪れる。そこで出会った義弟のピート(チャーリー・ハナム)はフットボールチームのウェストハム・ユナイテッドのサポーターのカリスマリーダーだった。やがてサポーター間の乱闘に巻き込まれたマットは、仲間たちに迎え入れられるのだったが…

 フーリガン…いわゆるファームと呼ばれる熱狂的ファンを描いた物語。本来は彼らにとって嫌われ者だったヤンク(アメリカ人)でありながらも、乱闘に参加したことで受け入れられて暴力に目覚めて(?)、ところがジャーナリズム専攻だったがためにスパイと疑われて…と、イギリス映画の雰囲気を持ちながらも2転、3転するストーリーのおもしろさはアメリカ映画譲りである。

 大乱闘をやらかすフーリガンだけど、戦う武器は拳かせいぜい棍棒ってのが、ある意味自制ができていて偉いんじゃないかと思ってしまった。それでも悲劇が起こるときには起こるわけなんですけど。くしゃっとつぶれたかと思ったら、勢いづいてアメリカへ帰ったマットの結末はハッピーエンドと見ていいのかな? イライジャ・ウッドって、すっかり性格俳優になっちゃったような気がします。

レクシー・アレクサンダー監督。2005年アメリカ=イギリス合作。

2008年10月 9日 (木)

主人公は僕だった (2006)

主人公は僕だった 国税庁に勤めるハロルド(ウィル・フェレル)は毎日を時計のように正確な行動で刻む男。ところがある日、自分の行動を語る声が頭の中に響きだした。しかも自分の死を予告するフレーズまで飛び出したので、文学者のヒルバート教授(ダスティン・ホフマン)に相談する。さらにパン屋を経営するアナ・パスカル(マギー・ギレンフォール)と仲良くなるのだったが…

 ザック・ヘルム脚本、自分がある小説の主人公だったら…というifをふくらませていった摩訶不思議なストーリー。でも小説と現実がなぜリンクしているかの理論的な説明は一切なしなので、いわゆるファンタジーとして見るのが正しいだろう。ちなみにこの小説を書いてる作家はエマ・トンプソン、その助手がクイーン・ラティファという陣容である。久しぶりに見たエマ・トンプソンってこういう病的なキャラだったかなぁってちょっと意外。いい味を出してましたが。

 ウィル・フェレルのうざったさ(失礼)はいつもどおりなんだけど、今回出色だったのがアナ・パスカルを演じるマギー・ギレンフォール。片腕にタトゥの入った姿はちょっとひくものがあったけど、この彼女がストーリーが進むに連れて魅力的になっていくんですよね。結局、この映画の登場人物ってのがみんな第一印象と実際が違う…ってわけで、人は見かけによらないものだと思わせてくれました。

マーク・フォースター監督。2006年アメリカ映画。

2008年10月 8日 (水)

フリーダム・ライターズ (2007)

フリーダム・ライターズ ロス暴動後、治安の悪化したウィルソン高校に赴任してきた国語教師のエリン・グルーウェル(ヒラリー・スワンク)。彼女は教育の現場から荒廃を救おうという理想を持っているが、人種対立による暴力や殺人がはびこる学校は想像を絶した状態。彼女は生徒たちにノートを渡し、日記を書くようにすすめるのだったが…

 実話を元にしたエリン・グルーウェルのベストセラーの映画化。洋画にしては珍しい泣ける学園もの。殺人とドラッグ、人種対立がはびこる学園ってテーマはさすがに重く、本当に日記を書くだけで心が開くんだろうかと斜めに構えてみてしまった。まさにペンは剣よりも強しを地でいったような物語である。

 冒頭、教室でずっとニコニコしているエリンは確かにかんに障る。新任教師の勘違いってことだろうけど、このあたりの描き方はさすがにうまい。その彼女のニコニコが消えてから物語が動き出すのである。アウシュビッツとこの学園の関連ってのはよくわからないと思ったんだけど、「教えてもらっていない」ってことが重要だったてことなんでしょうね。関係者を学校にまで呼ぶパワーは凄いと思った。

 国語教師役でイメルダ・スタントンが出てるけど、ハリポタで意識するようになってから彼女っていろんなところに出てるんだと感心した。他にパトリック・デンプシー、スコット・グレン、マリオ、エイプリル・リー・エルナンデスなどが出演。

リチャード・ラグラヴェネーズ監督。2007年アメリカ映画。

2008年10月 7日 (火)

恋におちたシェイクスピア (1998)

恋におちたシェイクスピア 16世紀のロンドンには2つの芝居小屋が競っていた。劇作家のシェイクスピア(ジョセフ・ファインズ)はスランプだったが、芝居のオーディションに来たトマス・ケント(グウィネス・パルトロー)と貴族の娘ヴァイオラにインスピレーションを得て新作を書き始める。ヴァイオラと恋に落ちるシェイクスピアだったが、彼女には婚約者(コリン・ファース)がおり…

 いわゆる「ロミオとジュリエットができるまで」の物語であり、市井の人々と役者、劇作家、貴族、そして女王(ジュディ・デンチ)たちが比較的こじんまりとした世界にまとまっているのが印象的。ジュディ・デンチの髪型は強烈で夢に出て来そうだが、さすがに名優だけあってその存在感はぴかいちである(アカデミー助演賞)。

 グウィネス・パルトローは綺麗で可愛くて清楚で激しくてこの作品では光り輝いている。逆にシェイクスピアは線が細くてかなりイメージと違うのだが、若かりし日ということでこういうのもありかなぁという気がする。ひとつだけ難点があるとすれば、グウィネス・パルトローの男装。誰が見てもすぐわかりそうなものを…

ジョン・マッデン監督。1998年アメリカ映画。

2008年10月 3日 (金)

愛と追憶の日々 (1983)

愛と追憶の日々 夫に先立たれたオーロラ(シャーリー・マクレーン)は女手一つで娘のエマ(デブラ・ウィンガー)を育て上げる。エマはフラップ(ジェフ・ダニエルズ)と結婚し、オーロラは隣家の宇宙飛行士ギャレット(ジャック・ニコルソン)に心ひかれるのだったが…

 母娘の関係を30年にもわたって描いたドラマ。こじんまりとまとまっていて大河ドラマという雰囲気ではなく、移り変わっていく家族のカタチにおもいっきり時の流れを感じさせてくれる秀作。母と娘の関係が軸になっているんだけど、個人的にはラストのギャレットと子供たちの会話にじんときた。ただの脂ぎったおやじだったギャレットが光り輝く瞬間を見たような気がした。

 デブラ・ウィンガーも昔はそれほど意識してなかったんだけど、魅力的な女優さんですね。普通なんだけど知的な雰囲気があって、いい味を出している。激情型のシャーリー・マクレーンはお家芸といったところか。孫が生まれたのに素直に喜ばないところなんて、屈折具合は絶妙。他にも出番は少ないながらもジョン・リスゴーやダニー・デヴィートも出てます。

ジェームズ・L・ブルックス監督。1983年アメリカ映画。

2008年10月 2日 (木)

大災難 P.T.A. (1987)

大災難 P.T.A. 広告代理店に勤めるニール(スティーヴ・マーティン)は、感謝祭の休暇で家族の待つシカゴへ帰ろうとする。ところが雪で飛行機は欠航して空港に足止め。ひょんなことから、セールスマンのニール(ジョン・キャンディ)とレンタカーを借りて旅をすることになるのだったが…

 スティーヴ・マーティン全盛期(といっても日本ではぱっとしなかったが)に作られたコメディ。在りし日の太っちょキャンディ競演というわけで、ぼけと突っ込み…というよりも、迷惑男キャンディにひたすら耐えるお人好しのマーティン、という組み合わせは絶妙である。oga.が日本人ゆえにオリジナル脚本に込められたギャグで笑えないのが、とってももったいない気がする。

 今更ながらに80年代のマーティンを再見したけど、本当にいらいらさせられるほどいい人。それだけにラストシーンにはほろりとさせられます。ほんのワンシーンだけだけど、ケヴィン・ベーコンも出ています。なおタイトルのP.T.A.とは、原題のPlanes, Trains and Automobilesの略。二人が旅に使った乗り物のことですね。

ジョン・ヒューズ監督。1987年アメリカ映画。

2008年10月 1日 (水)

追跡者 (1998)

追跡者 元CIAのシェリダン(ウェズリー・スナイプス)が殺人容疑で逮捕され、捜査官のジェラード(トミー・リー・ジョーンズ)は彼を護送する任務を負う。ところが専用機が墜落して、ジェラードはシェリダンを密林に追うことになるのだったが…

 あのハリソン・フォードの「逃亡者」の捜査官ジェラードを主役にしたドロップアウト作品、なのだそうだが、逃亡者から5年後に作られた映画を10年後に見たわけで15年間のブランク。「逃亡者」を裏返しにしたストーリーだってことはわかるんだけどそれ以上は「逃亡者」と比較しては楽しめなかったことが悔やまれる。

 ストーリーはいかにも大作って作りで面白い。量産されるセガールやヴァン・ダムのアクション映画とあきらかに空気が違うのはどんなものなんだろうか? 逃げるシェリダンが陰謀に巻き込まれているのに加えて、飛行機の墜落シーン、意外な黒幕などなど見せ場はいっぱい。

 ロバート・ダウニー・Jr.やイレーヌ・ジャコブも出てます。もう一人、ビリー・ボブ・ソーントンも出てるんだと思ったらクレジットに載ってなかった。あのそっくりさんは誰なんだ!?

スチュアート・ベアード監督。1998年アメリカ映画。

2008年9月30日 (火)

恋は突然に。 (2007)

恋は突然に。 結婚式を目前にして、婚約者に先立たれてしまったグレイ(ジェニファー・ガーナー)。ところが彼には元カノのモーリーン(ジュリエット・ルイス)との間に隠し子がいることがわかってしまう。失意のグレイは彼の友人のフリッツ(ティモシー・オリファント)たちを相談相手にするのだったが…

 主演の女優さんどっかで見たことが…と考えてたら、エレクトラのヒロインのジェニファー・ガーナーだったんですね。私の中ではアクション女優がすり込まれている人だったのでわからなかった。でも彼女ってこういう普通の役をやると…本当に普通の女の人だ(笑)。等身大って言葉がぴったりで、すごく親しみを感じてしまった。

 ストーリーとしては、冒頭でサイテーの出会いをするフリッツが、結局は一番の相談相手になっちゃうところが面白い。ジュリエット・ルイスも久しぶりに見たけど、変わってないというかこういうふてくされたような役がよく似合います。

スザンナ・グラント監督。2006年アメリカ映画。

2008年9月26日 (金)

スコア (2001)

スコア レストランを経営するニック(ロバート・デ・ニーロ)は実は凄腕の金庫破りのプロ。なじみのブローカーであるマックス(マーロン・ブランド)に持ちかけられた仕事は、保税倉庫に価値が理解されずに保管されているお宝の強奪。内部情報に詳しいジャック(エドワード・ノートン)と組むことになるのだが、「仕事はひとりで」「地元では仕事をしない」という信条に反するので気が乗らない。やがって決行の日がやって来るが…

 正統派のクライムサスペンス、というわけで、往年のフィルムノワールを思い出させてくれるいい意味での小品。「オーシャンズ13」のあとで見ただけに、似たようなテーマながらもこれだけ渋く撮れるってのは面白いなぁと感心した。

 見所はやっぱりマーロン・ブランド(遺作らしいです)、ロバート・デ・ニーロ(最近大作には出ないですね)、エドワード・ノートン(ちんぴらを演じたら絶品)の競演。もちろん後者二人の間には、どんでん返しが用意されていないはずがない…というわけで、金庫破りの華麗なテクニックからラストの展開までは思いっきり楽しませていただきました。気になったのはタイトルが音楽映画と間違えそうなことぐらいかな。

フランク・オズ監督。2001年アメリカ映画。

2008年9月25日 (木)

最愛絶叫計画 (2006)

最愛絶叫計画 もてないけど王子様がやって来ることを夢見る少女ジュリア(アリソン・ハニガン)は恋愛請負人のヒッチのところで肉体改造を行い、いい女に変身する。かつてから思いを寄せていたグラント(トニー・コックス)と付き合うようになるのだが、元カノ(ソフィー・モンク)が登場して…

 タイトルからわかるように、ホラーのパロディ映画「絶叫計画」シリーズの1本のようだが、実際のタイトルは「DATE MOVIE」。しかしこんなエロくてグロくて下品で苦笑いしかできない(失礼)映画をデートで見たら、すべてがぶちこわしになるんじゃない…って心配になってくる。あ、劇場未公開なので、ビデオで見たらってことか。

 パロられてるのは「ブリジット・ジョーンズの日記」「ロード・オブ・ザ・リング」「キル・ビル」「プリティ・ウーマン」…あと何かあったかな? 恋愛映画はあんまり見てる方じゃないので、元ねたがわからないものが多い。かといって知ってたからって笑えるもんじゃないんだけど。

アーロン・セルツァー監督。2006年アメリカ映画。

2008年9月24日 (水)

ドラえもん のび太と緑の巨人伝 (2008)

ドラえもん のび太と緑の巨人伝 植物自動化液をかけて歩き回るようになった苗木。キー坊と名付けて、のび太(声:大原めぐみ)、ドラえもん(水田わさび)、しずかちゃん(かかずゆみ)らはかわいがっていたのだが、ある日みんなは巨大な渦に巻き込まれて緑の惑星に飛ばされてしまう。そこでは植物の姿をした宇宙人たちが地球の環境破壊に怒り、制裁を加えようとしていた…

 声優陣が変わってから第3弾のドラえもん映画なのだそうだ。原作はもちろん藤子・F・不二雄だが、ストーリーはオリジナル。主要メンバーが宇宙に飛ばされていくあたりは、こないだ見た「リトル・スターウォーズ」にそっくりなディテール。でも内容はエコロジー寄りにふられている上に、後半はパラレルワールドになっていてシュールな展開である。子供たちはちゃんと理解しているんだろうかと心配になったが、結構楽しんで見ていたようである。

 ドラえもん依存症ということで一時期叩かれたのび太くんだけど、映画版ではどれもなかなかしっかりしていて今回も頑張ってた。後半になると、ドラえもんの小道具が使えなくなる状況下でなんとかしなければならなくなるのがポイントですね。ゲストスターとして堀北真希、三宅裕司も声の出演をしています。

渡辺歩監督。2008年日本映画。

2008年9月22日 (月)

ファンタスティック・フォー 銀河の危機 (2007)

ファンタスティック・フォー 銀河の危機 超能力を持ってしまったヒーロー4人組・ファンタスティック・フォーのリード(ヨアン・グリフィズ)とスー(ジェシカ・アルバ)が結婚するという話題で世間は持ちきり。ところが結婚式の当日に、ニューヨークに宇宙からUFOが飛来して式をめちゃめちゃにしてしまう。かくして仲間のジョニー(クリス・エヴァンス)とベン(マイケル・チクリス)と一緒に、宇宙からやって来たシルバーサーファー(ダグ・ジョーンズ)と戦う羽目になるのだったが…

 シリーズ第2作、というわけで、余計な説明は省いていきなり結婚式の準備からスタートである。あれ、この二人ってそんなとこまでいってたっけとか、ジェシカ・アルバってえらいケバくなったなぁなんて思いながら見ていたら途中から舞台は宇宙・地上とびゅんびゅん飛びまくって忙しいことこの上ない。

 正に荒唐無稽としか言いようのないストーリーなんだけど、お互いの能力が入れ替わったりスーのお色気パートが入ってたりと、笑いのツボもちゃんと心得てるのは偉いと思う。かくして宇宙規模の戦いに物語は発展。これを大まじめに大作映画にしちゃうところが、いい意味でアメコミパワー全開である。

 ところでシルバーサーファーって何者だったんだろう。きちんと説明されないところが、それっぽくて良いとも言えるけど。

ティム・ストーリー監督。2007年アメリカ映画。

2008年9月19日 (金)

沈黙の奪還 (2007)

沈黙の奪還 元CIAのエージェントのジャック・フォスター(スティーヴン・セガール)は娘アマンダ()と共に亡き妻の故郷ルーマニアを訪れる。ところが娘は何者かに誘拐され…

 沈黙シリーズの第12弾…だそうだ。もうどれがどれかはわからなくなっている、さながらアメリカのVシネマのようなシリーズである。娘の奪還物語ということでちょっとは期待したのだが、驚くほどの緊迫感と悲壮感のなさは驚異的でさえある。シュワちゃんの過去の映画「コマンドー」あたりと見比べてみるといいかもしれない。

 そういえばルーマニアロケって最近他の映画でも見たような気がするなぁ。流行ってるのかな?

ミヒャエル・クウシュ監督。2006年アメリカ映画。

2008年9月18日 (木)

ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記 (2007)

ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記 歴史学者のベン・ゲイツ(ニコラス・ケイジ)は、講義中にウィルキンソン(エド・ハリス)という男からリンカーン暗殺者の日記を持っていると知らされる。それによると、彼の祖先のトーマス・ゲイツが暗殺に荷担していたというのだが。汚名を晴らすために、元恋人のアビゲイル(ダイアン・クルーガー)、父親のパトリック(ジョン・ヴォイト)、ハッカーのライリー(ジャスティン・バーサ)たちと黄金都市を探すのだったが…

 大統領に代々伝わる秘密の本とか、パリの自由の女神に隠された文書、ラシュモア山の謎など、いわゆる史実にぶらさがったトンデモ話をいっぱい散りばめたアドベンチャー宝探し映画の第2弾。とはいっても謎のほうはベン・ゲイツが恐ろしいスピードでぱらぱらと説いていくので、観客はふり落とされないように見ているしかないってところかも。各エピソードに関しての詳細は、興味があったら後からネットででも調べてみるのが面白いかもしれません。

 ディズニー印の映画だけあって、アドベンチャーものにしては比較的ソフトな作りで安心して見ていられます。驚きの47ページの内容って、一体何なんでしょうね。実はビデオを巻き戻してまで見てしまったけど、よくわかりませんでした。

ジョン・タートルトーブ監督。2007年アメリカ映画。

2008年9月17日 (水)

ハタリ! (1962)

ハタリ! アフリカで動物園へ送る動物を捕まえるハンターのショーン(ジョン・ウェイン)、ポケッツ(レッド・バトンズ)、チップス(ジェラール・ブラン)たち。そこへ、イタリアのカメラマン・ダラス(エルザ・マルティネリ)が取材にやって来て同行することになるのだが…

 サイやキリンやカバやバッファローなど、野生動物たちをトラックとジープ、そしてロープで捕まえるハンターの姿を、いろんなエピソードと笑いやロマンスを交えて描いた娯楽編。ちょっとだけ物足りなかったのは、ストーリーらしいストーリーがないことだけど、アフリカ旅行をしている気分で見るのが正しい鑑賞法かもしれません。

 さすがにCGがない時代だけに、体当たりで撮影されたと思われる動物の捕獲シーンは迫力満点。このあたりはぜひ大画面で見たいところ。ジョン・ウェインのハンターってのもはまり役で、コメディパートを務めるポケッツや魅力的なダラスなど、キャラクターは申し分ありません。やっぱ盛り上げてくれるようなストーリーがほしかったかな。

ハワード・ホークス監督。1962年アメリカ映画。

2008年9月16日 (火)

ボーン・アルティメイタム (2007)

ボーン・アルティメイタム 記憶を失ったCIAの暗殺者ジェイソン・ボーン(マット・デイモン)は、自分を陥れたトレッドストーン計画とそのアップグレードであるブラックブライアー計画について知る新聞記者のサイモン・ロス(パディ・コンシダイン)と密かに接触する。ところがロスは殺され、謎を追ってやって来たスペインのCIA支局で出会ったニッキー(ジュリア・スタイルズ)と共に追跡を逃れるのだったが…

 ロバート・ラドラム原作、ボーンシリーズの第3作にして完結編。上映時間がコンパクトな上に、ストーリーも非常にコンパクト。にもかかわらず、ロンドン・マドリッド・モロッコ・アメリカと世界を飛び回る展開は小気味よく、最近見たアクション映画の中では別格のおもしろさである。原作がいいんでしょうね。

 死んだ恋人のマリーを引きずるボーンだけに、ニッキーとの関係が微妙なところがまた良いです。彼女の笑顔で物語りを締めるあたりは、アメリカ映画というよりもヨーロッパ風のエスプリを感じます。

ポール・グリーングラス監督。2007年アメリカ映画。

2008年9月15日 (月)

オーシャンズ13 (2007)

オーシャンズ13 オーシャン(ジョージ・クルーニー)の仲間のルーベン(エリオット・グールド)はホテルの共同経営者のバンク(アル・パチーノ)に裏切られて体調を崩し、一時は危篤状態になる。復讐を誓ったオーシャンと仲間たち(ブラッド・ピット、マット・デイモン、バーニー・マック他)はバンクの経営するホテル兼カジノを破産させる計画をたてるのだったが…

 シリーズ第3作にして、メンバー13人。しかし本当に13人もいたのかが疑問。ジュリア・ロバーツが登場しないのが決定的だったかな。

 ストーリーもやや薄味になっちゃった感じで、AIシステムに守られた難攻不落のカジノを落とす…というわくわくしてくる内容にもかかわらず、意外とあっけない。まぁ何にせよ口八丁・手八丁はハイテクに勝るというわけで、すべてはころりと騙されてしまうあたりが楽しめるかどうかが鍵になりますね。個人的には、オンラインの人相書きを改ざんするあたりやシステムを騙すあたりは大いに楽しめたんだけど、全体的に何かわからない物足りなさを感じた、といったところです。

 たぶん、肝心な13人もいる(はず)のキャラクターが立ってない、というか主要な数人しか生かされてないあたりが不満だったってとこかな。反面、芸達者なアル・パチーノとか、ちょっと登場するだけで笑わせてくれるアンディ・ガルシアとか(ゴッドファーザーのコンビやん!)が頑張ってくれてはいましたが。

 スティーヴン・ソダーバーグ監督。2007年アメリカ映画。

2008年9月12日 (金)

恐怖のメロディ (1971)

恐怖のメロディ 地方局の人気DJのデイブ(クリント・イーストウッド)は、いつも「ミスティ」をリクエストしてくるファンの女性イヴリン(ジェシカ・ウォルター)に出会い、誘われるがままに一夜を共にする。ところが昔の恋人(ドナ・ミルズ)とよりを戻そうとした彼の前にイヴリンが再び現れ、その行動は常軌を逸してくる…

 クリント・イーストウッドの初監督作品。実は中学生の頃にテレビで見たことがあったのだが、ラブシーンばかりが印象に残って妙にねちこい映画だったという感想。ところが今回再見してみると、こりゃぁ今で言うストーカーを扱ったかなりテーマ的には世相を先取りした作品だということがわかった。しかもじわじわとコワイ。

 70年代初期のアメリカ映画だけに、妙に乾いた雰囲気も時代を感じさせてくれる。ちりちりとサスペンスを盛り上げていく、たたみかけるような演出はイーストウッド監督のルーツを感じさせてくれます。その割にラストが妙にあっけないのが、この頃の映画のお約束かな。

 ラストシーンは、私の記憶では断崖の底の川に浮かぶイヴリン…だったんだけど、今回見直してみるとものすごい絶壁の海岸だということがわかりました。あのビジュアルは強烈です。どうやって撮ったんでしょう?

クリント・イーストウッド監督。1971年アメリカ映画。

2008年9月11日 (木)

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトル・スター・ウォーズ) (1985)

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトル・スター・ウォーズ) 宇宙戦争の特撮ビデオを撮っていたすね夫(声:肝付兼太)、ジャイアン(たてかべ和也)、のび太(小原乃梨子)の3人だったが、ドジなのび太はすぐに仲間はずれにされる。気を取り直してドラえもん(大山のぶ代)、しずかちゃん(野村道子)とメルヘンビデオを撮り始めたのび太だったが、そこに宇宙人のパピ(潘恵子)がやって来て一同は本物の宇宙戦争に巻き込まれる…

 藤子不二雄原作、劇場版ドラえもんの第6作。タイトルからもわかるとおりスター・ウォーズのパロディ版なのだが、ドラえもん一行が操る空飛ぶ戦車軍団がなかなかかっこよくて面白い。これは子供が見たら、結構ハートをぐわっとつかまれる内容なんじゃないかと思います。宇宙人たちのサイズを一段小さくして、それに合わせてのび太たちもスモールライトで小さくなって入っていくというのがアイディアですね。

 ひとつだけひっかかったのが、武田鉄矢の主題歌。ちょっともの悲し過ぎて映画に合ってないような気が…

芝山努監督。1985年日本映画。

2008年9月 9日 (火)

TATARI 呪いの館 (2007)

TATARI 呪いの館 姉の死の謎を解くために、廃墟となった精神病院にやって来たアリエル(アマンダ・リゲッティ)。ところが「パフォメットの像」という悪魔の彫刻を手に入れるために、冷酷なデズモンド一味もやって来る。中に入った彼らは閉じ込められ、亡霊たちに襲いかかられるのだったが…

 見終わってから「やられた?」と思ってしまったのは、これは続編でありひとつ前に「TATARI」という正編があるってのを知ったこと。単純なびっくり箱ホラーだからあまり前後関係は気にしなくてもいいのかもしれないけど、物語でちょびっとだけ語られる姉の死に関しては知っていた方がより楽しめたのかな。

 81分の映画だけど、事件が片付くのが1時間10分あたりと、意外と短くてあっけないなってのが正直な感想。ショックシーンとスプラッティなシーンはそれなりに用意されているので、ダメな人はダメだと思います。悪魔の像ってアイディアは小粒だけど良かったかな…

ヴィクター・ガルシア監督。2007年アメリカ映画。

2008年9月 8日 (月)

ザ・ディフェンダー (2006)

ザ・ディフェンダー 元ボクシングのチャンピオンのウェインは、敵対するギャングが釈放されたことを知る。ボディガードとして雇ったのは元特殊部隊のフィリップ(ジャン・クロード・ヴァン・ダム)だったが…

 ずいぶん久しぶりに見たジャン・クロード・ヴァン・ダム映画である。とはいっても劇場未公開であるだけあって、バリバリのB級アクション映画なのは予想したとおり。ヴァン・ダムといえば「タイムコップ」あたりでは面白い企画ものに出てたし、足がびゅっと開くアクションとか妙な特技が思い出されるんだけど、この作品ではひたすらサブマシンガンを撃ちまくる地味な役どころでした。

 しかし…敵対するギャングの怖?い雰囲気はよく出ていたと思うぞ。やっぱアクション映画は敵が強くなくっちゃね。

シェルドン・レティック監督。2006年アメリカ映画。

2008年9月 6日 (土)

ザ・シューター (2007)

ザ・シューター 元CIAのスナイパーのジェームズ(ウェズリー・スナイプス)は、イギリスでのテロリストの狙撃を依頼される。機転をきかせて狙撃に成功したジェームズだったが脱出に失敗。怪我をした上で心に傷を負った少女エミリー(イライザ・ベネット)にかくまわれるのだったが…

 タイトルは「シューター」だが、狙撃シーンはほんの一回限り。あとはカーアクションを交えながら、逃げろよ逃げろの脱出劇である。彼をかくまう少女エミリーがなかなか魅力的なんだけど、それ以上の見せ場に乏しいのが辛いところ。

 しかしスナイプスって、どう考えても一回見たら忘れられない顔しているだけに、隠れるとか潜伏するとかってストーリーには思いっきり無理があるような気がするのだが。変装してパスポート作ったとしても、誰が見てもスナイプスってわかるのが笑えるぞ。

ジョセフ・ラスナック監督。2007年アメリカ映画。

2008年9月 5日 (金)

シャフト (2000)

シャフト 型破りな刑事ジョン・シャフト(サミュエル・L・ジャクソン)はつまらない喧嘩で黒人を殺害したウォルター(クリスチャン・ベイル)を逮捕する。ところが富豪の父親のおかげで釈放されたあと、海外へ逃亡。本人は辞職を決意するのだったが…

 冒頭のテーマ曲から「おおっ」と思わされた。オリジナルの「黒いジャガー」とテーマ曲が同じやん、これは懐かしい。最近見た「犬神家の一族」でもそうだったけど、テーマ曲がそのままってのはリメイクの王道かもしれないですね。まったく出で立ちの違うサミュエルが、オリジナルのシャフトに見えてくるから不思議です。

 ダーティ・ハリーをはじめとする、はみだし刑事が幅をきかせていた時代のドラマだけに、シャフトの行動もなかなか八方破れ。それだけに、憎々しげなウォルターが生きており、冒頭からかなり気持ちよく見せてくれました。最近見た刑事ドラマの中では、かなり上位にランクされるかな。

ジョン・シングルトン監督。2000年アメリカ映画。

2008年9月 2日 (火)

ゾディアック (2006)

ゾディアック カリフォルニアでドライブデート中の男女が射殺される。通報者による犯行声明。そしてサンフランシスコ・クロニクル誌に「ゾディアック」と名乗る犯人から暗号文が届く。この暗号解読に取り憑かれたのが、同誌に勤めるコミック作家のグレイスミス(ジェイク・ギレンフォール)と記者エイブリー(ロバート・ダウニーJr)だった。

 実在の迷宮入り殺人事件をテーマに、事件に取りつかれた記者と漫画家を軸にした年代記。3時間近い上映時間の中で、事件発生から10年以上の年月が語られるのはさながら年代記といった趣きである。しかも事件の核心へは近づいては遠ざかりを繰り返し、いわゆる最初の劇場型犯罪をこうやって見る羽目になるってのはある意味犯人の思うつぼなんじゃないかなぁって中盤にふっと思わされた。

 暗号をテーマにしているのに、映画ではあまり暗号の核心へと入っていかないのが不満といえば不満かな。「セブン」のデヴィッド・フィンチャー監督なんだけど、あの「セブン」のような人の気分を逆なでするような居心地の悪さはなく、オーソドックスな演出でした。

デヴィッド・フィンチャー監督。2006年アメリカ映画。

2008年9月 1日 (月)

オール・ザ・キングスメン (2006)

オール・ザ・キングスメン 群の職員ウィリー・スターク(ショーン・ペン)は、小学校建設の汚職を摘発したことで逆に職を追われる羽目になる。ところが欠陥工事の事故で脚光をあびたウィリーは、知事選に出馬するのだったが…

 ロバート・ベン・ウォーレンのピューリッツァ賞をとった原作を映画化…というよりも、初期のアカデミー作品賞受賞作の再映画化といった方が映画ファンにはなじみが深いかもしれない。

 狂言回し役の新聞記者ジャック・バーテン(ジュード・ロウ)とウィリーが同じ車に乗ったシーンから映画は始まるのだが、これは彼が知事になった後。そして群の出納官だった過去にぴょーんと話が飛ぶ。つまり、使用前・使用後てなわけで、汚職にまみれる前後ってのがテーマなはずなんだけど、何だか映画にメリハリがなくてわかりにくいのが辛いところ。

 ただしさすがに芸達者なショーン・ペンを使っているだけあって、怒りの演説シーンなどは正に真骨頂である。このまんま突っ走っていたら良かったのにね…ってところだろう。

 アンソニー・ホプキンスやケイト・ウィンスレットなんかも出ているけど完全に脇にまわっちゃって印象が薄い。色をわざと抜いたかのようなざらついた画質は、昨今の流行か。

 最大の敗因は、政治家に汚職や収賄はつきものってわけで、ストーリーに昔ほど新鮮味を感じなくなったことかもしれません。

スティーヴン・ザイリアン監督。2006年アメリカ映画。

2008年8月29日 (金)

憑神 (2007)

憑神 幕末、下級武士の別所彦四郎(妻夫木聡)は養子先から追い出されて、今はひっそりと暮らしている。ところが友人の勧めで拝んだ三廻りの神を間違えたがために、貧乏神(西田敏行)、疫病神(赤井英和)、そして死神(森迫永依)に取り憑かれる羽目になり…

 浅田次郎の原作を、降旗康男監督で映画化。ストーリーをきいて、「鬼太郎」とか「陰陽師」みたいなSFXばりばりの映画を想像していたら、妙に人間くさい神たちがばらばらと登場する、ある意味人情喜劇みたいな作品であった。

 それにしても、西田敏行の貧乏神なんて雰囲気ぴったりで(笑)なかなかのもの。赤井英和の疫病神も、彼のぶっきらぼうな感じがよく合っていて絶妙なキャスティングだと感心した。可愛らしい森迫永依が死神ってのも、意外性があって良いです。やっぱ映画の主役はSFXではなくて人間なんだと思わされます。

 武士道とは死ぬこと…なのかもしれませんが、後半がこのテーマに流れ込んでいくのはどうなんでしょうね。ここだけが個人的にしっくりいかなかった部分かな。

降旗康男監督。2007年日本映画。

2008年8月28日 (木)

リーピング (2007)

リーピング 家族を失い、宣教師だった過去を捨てたキャサリン(ヒラリー・スワンク)は超常現象を解明する専門家として活動している。ところが彼女が呼ばれたヘブンという町では、川が真っ赤に染まる事件が起こっていた…

 「オーメン」や「エクソシスト」の再来、というわけではないが、聖書をからめたオカルトもの。こういった作品は予備知識がなくてもそこそこ楽しませてくれるものだが、この「リーピング」だけは違ったという感じ。川が真っ赤に染まる冒頭からはじまって、イナゴの大群もは虫類も不気味な少女も雰囲気満点なんだけど、旧約聖書の10の災いなるものがちんぷんかんぷんでそこがわからなくてストーリーに入っていけなかったというのが敗因だったかもしれない。

 ヒラリー・スワンク、なかなか頑張ってただけにとっても残念。オカルト映画として見てもアクションとして見ても、作りが少々地味だったかも。

スティーヴン・ホプキンス監督。2007年アメリカ映画。

2008年8月22日 (金)

ムーンライト・マイル (2002)

ムーンライトマイル 結婚式を目前にして、発砲事件で恋人を失ったジョー(ジェイク・ギレンホール)。共に事業をする予定だった義理の父ベン(ダスティン・ホフマン)と母ジョージョー(スーザン・サランドン)と暮らすジョーだったが、郵便局で出会ったパーティ(エレン・ポンピオ)にひかれ…

 死んだ恋人の両親と暮らすというシチュエーション自身が強烈な設定な上に、その両親がダスティン・ホフマンとスーザン・サランドンだったら… うーん、想像しただけで恐ろしくなってくるぞ。というわけでシチュエーションだけは強力なんだけど映画は至って静かで波風の少ないものでした。最近のホフマンってよく映画に出てるけど、こういう枯れきった役が多いような。逆にサランドンが後半の見せ場をかっさらっちゃてる印象もあります。

 なんか、ジョーの一見無責任に見える外し方が逆に新鮮。この頃のギレンフォールってまだ無名だったんかな。検事役で最近見なくなったホリー・ハンターも出ています。

ブラッド・シルバーリング監督。2002年アメリカ映画。

2008年8月21日 (木)

モンスター・ハウス (2006)

モンスター・ハウス 少年DJ(声:ミッチェル・ムッソ)の向かいにはネバークラッカー(スティーヴ・ブシェミ)という頑固親父が不気味な家に住んでいる。彼が心臓麻痺で倒れた夜、DJと友達のチャウダー(サム・ラーナー)、そして通りがかったジェニー(スペンサー・ロック)は家に食べられそうになる。大人に言っても信じてもらえず、3人で家を退治しようと奮戦するのだったが…

 スティーヴン・スピルバーグ、ロバート・ゼメキス製作総指揮のCGアニメーション。映像の質感から言うと、登場人物が実写かCGかの違いだけで、あとは本物そっくり。襲ってくる家の描写なんて、アニメでも実写でももう関係ないかなって気分にさせられます。

 ホラーというよりもアドベンチャー色の強い内容。いや、もの悲しい後半はかなり異彩を放っているという印象を受けました。子供たちはこの物語をどう見るんだろう? 憎らしげなネバークラッカーが、最後は可愛く思えてくるのはお約束ですね。

 大林監督の「HOUSE」をはじめ、「家」「ポルターガイスト」「ヘルハウス」なんかをごちゃまぜにしたような映画です。家が襲ってくるストーリー自体が、70年代テイストなんかな。

ギル・キーナン監督。2006年アメリカ映画。

2008年8月20日 (水)

パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド (2007)

パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド 東インド会社のベケット卿(トム・ホランダー)はタコ男デイヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)の心臓を手に入れて手下にし、海賊どもの殲滅をはかる。ウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)やエリザベス(キーラ・ナイトレイ)らはこれに対抗するために、バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)やサオ・フェン(チョウ・ユンファ)をはじめとする9人の伝説の海賊を招集して戦おうとするのだったが、9人目が前作で大タコに飲み込まれたジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)だった…

 いよいよシリーズ完結編というわけで、どちらかというとストーリーのおもしろさというよりも今までのエピソードに決着をつけにかかったという感じの物語。よって1と2を見てないとほとんど楽しめないと思うけど、何回も見ている人にとってはかなりテンション上げて見られるんじゃないでしょうか。もちろん派手な海戦やアドベンチャーも用意されていて、この世の果て(ワールド・エンド)を思わせる映像の数々も見逃せない。

 しかし…ウィル・ターナーとエリザベスの恋の行方ってこんなふうになっちゃうわけですか。ハッピーエンドとは言い切れないところが何だかなぁ。余韻は残るけど。これをネタにもう1本続編が作れるかも。

ゴア・ヴァービンスキー監督。2007年アメリカ映画。

2008年8月19日 (火)

スパイダーマン3 (2007)

スパイダーマン3 恋人MJ(キルスティン・ダンスト)へのプロポーズを決めたスパイダーマンことピーター(トビー・マグワイア)だったが、舞台を降板させられた彼女とは心がすれ違う。父の復讐を誓うハリー(ジェームズ・フランコ)はスパイダーマンと激しくやり合うが、頭を打ち記憶を失ってしまう。やがて新たな敵サンドマン(トーマス・ヘイデン・チャーチ)の登場により、事件は意外な展開を…

 スタン・リー、スティーヴ・ディッコの人気コミックの映画化第3弾。上記以外にブラック・スパイダーマンやヴェノム(トファー・グレイス)の登場により事態はバトルロワイヤル状態に…

 アクションシーンはこれまたスピーディなんだけど、動体視力が悪いせいか(笑)何が起こっているかわからない部分も多々あった。というか、液晶テレビや液晶プロジェクターでは完全に表示しきれてないんじゃないかという疑問も生じてきた。物理的限界…かな。

 まぁスピードはさておき、これだけの敵と事件とエピソードを盛り込んで、ちゃんとストーリーがまとまっていくのは凄いといえば凄い。宇宙からの不明物体、人間の慢心を増幅するなんて言いながらも手でむしりとられてしまうのは意外となさけないやつだったのかも。サンドマンのエピソードはちょっといい話で泣ける。スパイダーマンって基本的に敵をやっつけても殺したことはなかったわけですね、なるほど。

サム・ライミ監督。2007年アメリカ映画。

2008年8月16日 (土)

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 (2007)

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 休暇中に突然ディメンダー(吸魂鬼)に襲われて、人間界で魔法を使ってしまったハリー(ダニエル・ラドクリフ)。その事が処罰の対象となった上に、魔法省からは魔王ヴォルデモート(レイフ・ファインズ)復活をでっち上げたとダンブルドア校長(マイケル・ガンボン)と共に糾弾されてしまう。さらにホグワーツ魔法学校には魔法省から監視役の教師ドローレス(イメルダ・スタントン)が送り込まれる。これに抵抗するハリーは、仲間のロン(ルパート・グリント)、ハーマイオニー(エマ・ワトソン)らとダンブルドア軍団を作って抵抗するのだったが…

 J・K・ローリングのベストセラーを映画化したシリーズ第5作。上にストーリーを書いていて思ったんだけど、どんどん複雑化していってもう1から順番に見ている人じゃないと内容を理解するのは到底無理かも。さらに主演の3人もずいぶんと成長して、当初のイメージとはかけ離れてしまった。しかし…ですね、シリーズが着々と作られ続けるのに加えて、メンバーが替わっていない、しかも原作とほぼ同じく年齢を重ねている(実際は彼らの方が2?3歳上だそうですが)ってのはとっても貴重です。できればメンバー変更などなく、このまま最終話まで続けてほしい、最後まで見せてほしい、と原作を読んでないひとりとしては切に願ってしまいます。

 ストーリーは今まで見た5作の中では一番暗い(笑)。それぞれの作品に「大蛇と戦った」「魔法学校の対抗戦」とかハイライトシーンが思い浮かぶんだけど、この作品だけはそれがないのが辛いところ。シリウス・ブラック(ゲイリー・オールドマン)の活躍や、ティム・バートンの世界から抜け出てきたかのようなヘレナ・ボナム・カーター、教育委員会ならぬ魔法省からやって来た風紀の先生(?)イメルダ・スタントン、それにいつものメンバーとキャラクター的にはものすごく豪華。

 何だかんだ言っても、続編が来たらまた見てしまうでしょう。これだけ広がったストーリー、ちゃんと完結するのかな?

デヴィッド・イェーツ監督。2007年イギリス=アメリカ合作。

2008年8月15日 (金)

激動の昭和史 沖縄決戦 (1971)

沖縄決戦 太平洋戦争末期の沖縄。硫黄島が敗れ、米軍の上陸は間近と思われたところ、牛島中将(小林桂樹)、八原高級参謀(仲代達矢)、長参謀長(丹波哲郎)らが沖縄守備の任務に就く。沖縄を天然の要塞として作戦を立てる彼らだったが…

 オールスターキャストで描く沖縄攻防戦。というかこの映画が印象深いのは、筆者が小学生の頃に恐らくゴジラか何かの映画を見に行った時の予告編として流れていたことだろう。予告編を一回見ただけで記憶にちゃんとすり込まれているだけあって、凄惨な沖縄戦を描いたショットは今見ても強烈で地獄そのものである。

 ただし惜しいなぁと思うのは、戦時中の言葉なのか軍人たちが話している内容が何言ってるのかわからないものが多いこと。エピソードを積み重ねるような演出スタイルをとっているんだけど、やはりそれぞれが細切れで、つながりが薄いのが残念。例えば吉村昭著の「殉国」を読むと、軍隊や住民たちが追い込まれていくのが実感されるんだけど、その感覚がこの映画では希薄である。惜しい!!

 日本の戦争映画なので、ミニチュア特撮満載かなと思ってたら、戦闘シーンはほとんどセット撮影なのには驚いた。相当量の火薬を使ったんじゃないだろうか。

岡本喜八監督。1971年日本映画。

2008年8月14日 (木)

ザ・シューター 極大射程 (2007)

ザ・シューター 極大射程 海兵隊のスナイパーのボブ・リー・スワガー(マーク・ウォールバーグ)はアフリカで特殊任務に就いている。ところが米軍と現地軍が交戦状態に入り、スポッターが命を落とした上にスワガーも戦場に取り残される。退役して隠居生活をしていたスワガーだったが、かつての上司のアイザック大佐(ダニー・グローヴァー)から大統領狙撃阻止の依頼を受けて…

 スティーヴン・ハンターの原作を元に、すご腕スナイパーの活躍を描いたアクション。日本にはゴルゴ13なんてのもいるけど、スナイパーの話に外れなしなのか、それとも元ガンマニアの琴線に触れるだけなのかは定かではないけど、とにかく最初から最後までわくわくするほど面白かった。

 ウォールバーグがそんなに強そうに見えないところがミソだろうね。これを見たあと、急に「ジャッカルの日」が見たくなって数十年ぶりに再見してしまった。

アントワーン・フークア監督。2007年アメリカ映画。

2008年8月13日 (水)

ターミネーター3 (2003)

ターミネーター3 前作から10年。審判の日は結局やって来ず、生き残ったジョン・コナー(ニック・スタール)は悪夢を見ながら放浪の旅をしている。ところが新たに2体のターミネーター(アーノルド・シュワルツェネッガー、クリスタナ・ローケン)がやって来て、ジョンは居合わせた幼なじみのケイト(クレア・デインズ)と難を逃れるのだったが…

 実に12年ぶりの続編。前作がド派手なアクションシーンで大ヒットしたんだけど、本作は不発弾みたいに終わってしまった。でもあえて前作と見比べてみると、アクションの派手さでは3はまったく2にひけをとっていない印象。ストーリーも似たような展開だし、そう考えると不当な世間の評価の低さは映画全般のアクションのレベルがCGの発達もあってかアップしていること、そしてすべてにおいての新味のなさかもしれない。

 シュワルツェネッガーは初期の頃と比べるとずいぶん歳をとったんだけど、メイクでうまくごまかしてんのかな。ニック・スタールは前作のファーロングが成長したように見えないところが辛いところ。もうひとりのターミネーター、クリスタナ・ローケンはよく見ると意外と可愛い(笑)。

 このシリーズって10年くらいの間をあけて作られているようだけど、実際は5年おきくらいの方が評価は上がったかもしれません。何にせよ、最終戦争がついにビジュアル化されたのは良かったのではないかと思います。あとは今後、猿の惑星シリーズみたいにならないように祈るだけです。

ジョナサン・モストウ監督。2003年アメリカ映画。

2008年8月10日 (日)

サンシャイン2057 (2007)

サンシャイン2057 2057年の未来、太陽は終焉を迎えようとしていた。太陽を活性化させるために、カネダ(真田広之)を艦長とする宇宙船イカロス2号とクルー(キリアン・マーフィ、ミシェル・ヨー、クリス・エヴァンス他)はマンハッタン島と同サイズの核爆弾を積んで太陽を目指す。ところが行方不明のイカロス1号の信号を受信した彼らは、進路変更を試みるのだが…

 日本人俳優も参加しているしストーリーが酷似しているので、ひょっとして大コケした日本製SFのリメイク?なんて思って調べてみたら、あちらのタイトルは「クライシス2050」でした。作品としてはこちらの方が数段上なんだけど、全体像のわからない宇宙船と状況がよくわからない映像で2時間船内劇を引っ張るのはかなりしんどいものがありました。

 とはいっても真田が出ている前半はSFしていて面白い。これからストーリーがどう広がっていくんだろうかという期待感もあるんだろうけど、それだけにわけわからない世界へとなだれこんでいく後半にはかなりの戸惑いを感じてしまいます。そもそもあの前船長の存在って何だったんだろう?

 一番の敗因は、地球温暖化が叫ばれる今なのに地球は太陽を失って氷河期になっているとこでしょうね。猛暑の真夏に見たのも良くなかったかな。

ダニー・ボイル監督。2007年アメリカ映画。

2008年8月 8日 (金)

恋は五・七・五! (2004)

恋は五・七・五! 統廃合をひかえた静岡の松尾高校では、校名を残そうといろんな競技会へ選手を送り込もうとしている。白羽の矢が立ったのが松山で行われる俳句甲子園。かくして国語教師の高田マスオ(杉本哲太)の元に集まったのは、帰国子女の高山治子(関めぐみ)、チアガール部を追い出された内山マコ(小林きな子)、ウクレレが大好きなPちゃん(蓮沼茜)、野球部で万年補欠の山岸実(橋爪遼)、そしてひとりだけ写真部に在籍する土山義仁(細山田隆人)だった…

 独特のゆるゆるの雰囲気でファンの多い荻上直子監督作。今回のテーマは俳句というわけで、スポ根ものかと思わせぶりなオープニングからはじまって実は文化系バトルという面白いスタイルの映画である。似た映画といえば「ロボコン」あたりが近いかな。ヒロインが出場しないと単位がもらえないと追い込まれるのも同じだし。

 松山は俳句がさかん、というのは知っていたけどああいうイベントが開かれているというのは目からウロコ。しかも俳句って楽しむものかと思ったら、バトルってのがまたまたびっくり。「質疑」って結局相手のあげ足を取ることじゃないの、なんて思ってしまったけど、ないと確かに試合としては成り立たないって感じ。

 関めぐみって細い手足にきつい顔(失礼)で確かにインパクト大。彼女に惚れてしまう土山くんってのもわかるわかるって感じだし、最後に彼女が詠んだ句ってのも絶品。もうちょっとテンポが良かったら言うことなかったんだろうけど、このぎくしゃくとした話の流れもこの映画の魅力かもしれません。

荻上直子監督。2004年日本映画。

2008年8月 7日 (木)

Dear Friends ディア・フレンズ (2007)

Dear Friends ディア・フレンズ クラブの女王・リナ(北川景子)は容姿端麗な女子高生。友達は利用するものと突っ張り、人気DJの洋介(黄川田将也)を誘惑しながら袖であしらったりしていたのだが、ある日倒れて入院することになる。そこには彼女を友達と信じて疑わないマキ(本仮屋ユイカ)がいた。

 携帯小説でティーンに人気のYoshiの原作を映画化。役柄とはいえ、リナは劇中では相当に性格が悪く見ていていらいらしてくることうけあい。対するマキはいい子なんだけど、「友達友達」と言って迫ってくるのがちょっと鬱陶しくて斜めに構えて見てしまった。

 今時の不良けた女子高生ってこんな感じなのかな、とやっぱ親目線で見てしまうのは仕方ないところかな。感動的なストーリーであるはずなんだけど、意外と感動できないのは練り込み不足(?)かも。こういう分野は、映画よりもテレビドラマの方が最近はレベルが高かったりするんだよなぁ。

両沢和幸監督。2007年日本映画。

2008年8月 4日 (月)

鑓の権三 (1986)

鑓の権三 松江藩の笹野権三(郷ひろみ)は鑓の名手で女性にも人気が高い。すでにお雪(田中美佐子)という女性と婚約している身ではあったが、茶道の極意を伝授されるためにおさゐ(岩下志麻)に許嫁はいないと嘘を言う。ところが権三に気があるおさゐが言い争っているところを誤解したお雪の兄(火野正平)のおかげで、二人はしたくもない駆け落ちをする羽目になり…

 近松門左衛門の鑓の権三重帷子を映画化。いわゆる道行きものですね。郷ひろみが超美男子を売りにしていた頃に撮られた映画だけに、タカラヅカの男役のような出で立ちは一件の価値があります。田中美佐子もむちゃくちゃかわいかった。

 世話浄瑠璃が原作なだけに、様式美というか時代のしきたりにがんじがらめにとらわれた主人公たちの様子が、哀れでもありはかなげでもあります。一番不憫でかわいそうなのは、ととさまがかかさまを討ちにいくのを目の当たりにする子供たちかもしれませんね。

篠田正浩監督。1986年日本映画。

2008年8月 3日 (日)

ゴーストライダー (2007)

ゴーストライダー バイクスタントマンのジョニー・ブレイズ(マット・ロング)は癌の父を救うために、現れた悪魔(ピーター・フォンダ)に魂を売り渡す。ところが父はショーの最中に死に、傷心のジョニーは恋人ロクサーヌ(エヴァ・メンデス)を残して去っていく。やがて成人したジョニー(ニコラス・ケイジ)の前に、魔界からブラックハート(ウェス・ベントリー)が現れて…

 マーク・スティーヴン・ジョンソンのアメコミを映画化。燃えるドクロという出で立ちはさながらアメリカの黄金バットである。この奇想天外なストーリーを、ニコラス・ケイジとピーター・フォンダという2大スターでケレン味たっぷりに作ってしまうところにハリウッド映画の懐の深さ(笑)を感じることができる。

 しかし燃えるドクロに燃えるバイクというヒーロー、あまりにもとらえどころがなくて、地獄の番人と戦うも何をどう応援していいのかわからなくて困ったぞ。確かにラストのオチはパイレーツ・オブ・カリビアンの第1作みたいにひねりがきいていて悪くないのだが、「なるほど!」以上の感想がわいてこないのが辛いところ。

 ニコラス・ケイジ目当てに見ていただけに、変身したとたんにちょっとがっかり…というのはしょうがないかな。

マーク・スティーヴン・ジョンソン監督。2007年アメリカ映画。

2008年8月 1日 (金)

インサイダー (1999)

インサイダー ニュース番組のプロデューサー・バーグマン(アル・パチーノ)は、タバコメーカーのトップがニコチンの習慣性に関して偽証しているという情報を得る。内部事情に通じるワイガンド(ラッセル・クロウ)に証言を依頼したバーグマンだったが、その前に会社との守秘契約が立ちはだかる…

 実話を元にした、骨太の社会派ドラマ。タバコの害悪に関する偽証と、それを社会正義から内部告発する決心をするワイガンド、証言者の彼を体を張って守るアル・パチーノと、テーマとしてもこれは面白くならないわけはないといった感じ。最初はスロースタートな映画だけど、尻上がりに熱くなるのはアル・パチーノとラッセル・クロウという2大実力派スターのぶつかりあいだからでしょう。

 ちょっとだけひっかかったのは、タバコが健康に良くないってのは周知の事実。タバコ会社のトップがそろって「ニコチンに習慣性はない」と証言する映像にどれだけ説得力があるのかなぁってところ。冒頭でテロリストのインタビューシーンがあったけど、あっちの方が怖く感じてしまうのは、私の感覚がおかしいのかな。

 しかしこれだけ熱いアル・パチーノを見たのは「ゴッドファーザー」以来かもしれない。

マイケル・マン監督。1999年アメリカ映画。

2008年7月31日 (木)

HERO (2007)

HERO 東京地検の検事久利生公平(木村拓哉)は事務官の雨宮舞子(松たか子)と共に、ある傷害致死事件を担当する。ところが単純に思えた事件も突然容疑者が容疑を否認。その陰には、ある大物政治家(森田一義)の収賄事件のアリバイがからんでいた…

 人気テレビシリーズの映画化。この手の映画の中ではものすごく良くできている作品で、テレビをまったく見たことがなくても最後まで楽しむことができた。中盤、中井貴一がからむエピソードとかは意味不明であったが、それ以外はテレビを見ていればさらに楽しめる、といったレベルにとどめてあるのだろう。

 すっきりとまとまった勧善懲悪のドラマで、普通の青年っぽく見える木村拓哉にストーリーが進むに連れて感じるのはやっぱり映画的な華がある。特に後半の裁判所のシーンは秀逸で、なかなか感動させられた。ひねりの少ない、安心して見ていられる映画である。

鈴木雅之監督。2007年日本映画。

2008年7月30日 (水)

サンキュー・スモーキング (2005)

サンキュー・スモーキング タバコ研究団体の広報マンであるニック・ネイラー(アーロン・エッカート)はタバコの箱にどくろマークを義務づけようという議員のフィニスター(ウィリアム・H・メイシー)と交戦中。さらに煙草の地位を上げようと、映画でスターに煙草を吸わせようと息子のジョーイ(キャメロン・ブライト)を連れてハリウッドに乗り込むのだったが…

 クリストファー・バックリーの「ニコチンウォーズ」を映画化。物事には両面がある…というわけで、タバコの広報マンを主人公にしたドラマ。これを見ると、ビジネスチャンスなんて本当にいろんなところに転がっているわけで、みんな生きていってローンを返すために必死なんだとある意味共感まで覚えてしまいます。そんな父親に、ヒーロー像を見るってのもアメリカらしい。日本にも悪役、ヒール、嫌われ者の大物はいっぱいいるけど、その本質に迫ると妙に魅力的だったりするんですよね。この映画の主人公のニックも、そんなヒールの一人でしょう。

 話は違うけど、古い映画をデジタル処理して喫煙シーンを消去するなんて本当にやってるんだろうか。最近は映画の言葉狩りはなくなってきたけど(テロップ付きで放映したりする)、新手の歴史の改ざんとして、映画ファンとしては気になるぞ。

ジェイソン・ライトマン監督。2006年アメリカ映画。

2008年7月26日 (土)

少年時代 (1990)

少年時代 戦時中の富山に、東京から親戚を頼って疎開してきた小学5年生の風間進二(藤田哲也)。級長の大原武(堀岡裕二)と仲良くなり、たちまち副級長に指名されるのだったが、彼のことを良く思わない太(山崎勝久)たちとの争いに巻き込まれ…

 柏原兵三の原作を藤子不二雄Aが漫画化し、それを篠田正浩がメガホンをとって映画化、というよりは今となっては井上陽水の同盟主題歌のほうが有名になってしまった感じがある作品。芦田伸介の校長先生が妙に時代がかっていたり、担任の先生がけんかをした生徒を「おまえらの体はお国に仕えるためにある」とたしなめたり、戦時中の空気をうまく描いていると関心させられる。逆に大橋巨泉の写真屋が妙に気取った自由人しているのも本人とオーバーラップして面白い。

 子供たちの抗争と友情を描いた小さな村での物語なんだけど、こういったストーリーって誰でも心の中にいくつか持っているものじゃないだろうか。小学生の時の友人って、もう会うこともないし、おそらく今後もずっと会うことはないだろうなって思うとちょっと寂しい気分にさせられた。

篠田正浩監督。1990年日本映画。

2008年7月25日 (金)

メリーに首ったけ (1998)

メリーに首ったけ ハイスクールでみんなの憧れの女性メリー(キャメロン・ディアス)とプロムに行く約束をしながら、寸前でトイレで挟んでしまって(笑)大騒動になりいけなかったテッド(ベン・スティーラー)。それから13年後、彼女を忘れられないテッドはメリーがフロリダに住むことを知り、私立探偵のヒーリー(マット・ディロン)に彼女の消息を調べさせるのだが…

 これは…面白い!! みんなの憧れメリーをとりまく男たちと、さえないけど性格のいいテッドを軸に描いた下ネタ満載のコメディ。かなりきわどいネタを散りばめながらも、カラっとした映画に仕上がっているのはキャメロン・ディアスとベン・スティーラーのキャラが立っているおかげでしょう。逆に男前キャラのはずのマット・ディロンが話が進むとどんどんキモくなっていくのも面白い。

 結局、みんなメリーが好きだったってオチが最高。狂言回しのミュージシャン(ジョナサン・リッチマン)はちょっとかわいそうかな。

ボビー・ファレリー、ピーター・ファレリー共同監督、1998年アメリカ映画。

2008年7月24日 (木)

スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ (2007)

スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ 平家の埋蔵金が隠されていると噂の村に流れ着いた謎のガンマン(伊藤英明)。すでに村は平清盛(佐藤浩市)と源義経(伊勢谷友介)に仕切られ、激しい抗争を繰り返していたのだが…

 タイトルからわかるとおり、マカロニウェスタンの古典「皆殺しのジャンゴ」をはじめとする、西部劇のパロディ映画である。冒頭からクエンティン・タランティーノが血まみれの卵を割ってスキヤキを食すあたりからぶっとんでいたのだが(スキヤキの卵を割って血が混ざってたら結構気になりますよね)、テンション落ちないままに全編英語で黒澤の「用心棒」そっくりの舞台で繰り広げられる血みどろの物語には最初から最後までお口あんぐり。前述のメンバーに加えて、妖艶な木村佳乃、ひょうひょうとした石橋貴明、他にも桃井かおり、香川照之、安藤政信、石橋蓮司などなど癖のある俳優たちがスキヤキの具のごとく登場する。

 イタリア製西部劇が世界を席巻した(らしい)んだから、日本製西部劇(それをスキヤキ・ウエスタンと呼ぶってことだろう)があってもいいんかな…なんてそんな気分にさせられる。このストーリーが「皆殺しのジャンゴ」へつながっていくラスト(笑)、そして北島三郎のテーマ曲へつながるセンスの凄まじさには開いた口がふさがらなかった。意外と「キル・ビル」よりも凄い映画なのかもしれない。

三池崇史監督。2007年日本映画。

2008年7月22日 (火)

宇宙人の解剖 (2006)

宇宙人の解剖 ロンドンで海賊ビデオ屋を営むレイ(デクラン・ドネリー)は友人のゲイリー(アント・マクパートリン)と共に、プレスリーの未公開ビデオを買い付けてひともうけしようとする。ところが手に入ったのはロズウェル事件を撮影したという、宇宙人の解剖フィルム。さっそく上映しようとしたが劣化が激しく、借金を返すために同様のフィルムをねつ造しようとするのだが…

 タイトルからしてトンデモ映画かおバカ映画とふんでかかったんだけど、これが「実話を元に」宇宙人解剖フィルムをでっち上げて大もうけをしたコンビの物語。セミ・ドキュメントスタイルをとりながらも、アパートの一室での撮影シーンが妙に馬鹿馬鹿しくてたっぷり笑えるのがご愛敬。さらにフィルムは世界中で大騒ぎになり、マフィアを巻き込んだ騒動へと発展していく。

 一時期は空飛ぶ円盤とか幽霊とかネッシーとかの特番がゴールデンタイムに放映されて子供の頃にはどきどきして見ていたけど、その正体がこれだったんかなと、今更ながらサンタさんの正体を聞いたような気分にさせられました。

ジョニー・キャンベル監督。2006年ドイツ=イギリス合作。

2008年7月21日 (月)

はなれ瞽女おりん (1977)

はなれ瞽女おりん 大正時代、盲目に生まれたおりん(岩下志麻)は芸を覚え、瞽女(ごぜ)として旅をする。やがて瞽女の掟を破ってしまったおりんは仲間から見放され、はなれ瞽女となる。ところが下駄職人の平太郎(原田芳雄)がおりんと旅をすることとなり…

 水上勉の原作を篠田正浩監督で映画化。瞽女という今はない職業を叙情豊かに描いて印象に残る。劇中、最初から最後まで一度も目を開けることのない岩下志麻に何とも言えない存在感があるのが凄い。むさくるしい風貌の原田芳雄が妙にすがすがしく見えるのも面白い。

 一言で言うと、不幸な境遇で歯車の合わない男女が、つかの間の幸せを教授するってお話。湿っぽいストーリーながらも、見終わってそんなに落ち込んだ気分にならないのは二人の精一杯が伝わってくるからでしょう。

篠田正浩監督。1977年日本映画。

2008年7月18日 (金)

TAXi4 (2007)

TAXi(4) タクシー運転手のダニエル(サミー・ナセリ)と刑事のエミリアン(フレデリック・ディファンタール)はお互いの息子も成長して平和な日々をおくっていた。ところが凶悪犯護送という任務が舞い込んでから、ジベール署長(ベルナール・ファルシー)をはじめとする一同の雲行きが怪しくなってくる…

 人気シリーズの第4作。相変わらずコンパクトにまとまったコメディ編なんだけど、今回の最大の不満はカーチェイスがほとんどない!!! タクシーシリーズっちゅうたらカーチェイスに尽きると思うんだけど、それが割愛されちゃったら見るものは7割ぐらいなくなっちゃう。まぁ前作みたいにキャタピラ付けてスピード感なく雪山走るなんてのも見せつけられても困っちゃうわけなんだけど。

 もうひとつ、何か抜けてると思ったら奥さん役のマリオン・コティヤールがいない!! スケジュールか何かの都合だろうけど、こういう風にレギュラーが抜けちゃうのもいかにもプログラムピクチャーって感じで、その安っぽさがかえって新鮮かもしれません。

 署長のギャグはすべりまくるし、凶悪犯は登場が強烈だったくせに尻すぼみだし、あらをさがせばきりがない。あ、久々にTAXiの第1作が見たくなっちゃいました。

ジェラール・クラヴジック監督。2007年フランス映画。

2008年7月17日 (木)

夕陽のギャングたち (1971)

夕陽のギャングたち 家族を連れ、鮮やかな手口で馬車を襲う山賊のミランダ(ロッド・スタイガー)。ところが通りかかった爆弾男、実は革命の戦士のマロリー(ジェームズ・コバーン)と一戦交えたおかげで一緒に旅をすることになり…

 マカロニウェスタンの、たぶん隠れた傑作。実はこの映画のタイトルを覚えていたのは「ションション」という印象的なテーマ曲のおかげだったんだけど、それがエンニオ・モリコーネによるものであり、また作品はセルジオ・レオーネ印だったことも初めて知る。

 それにしても、何でこの映画を見逃していたのだろうかと不思議。マカロニウェスタンというよりも、アメリカン・ニューシネマの影響を強く受けているかのようでもあり、主演の二人の友情が不思議な音楽と共に歌い上げられる。こざっぱりとした男が本流となる中で、やっぱり男臭い=汗臭いなんだと感じさせる脂ぎったマカロニ風どアップの連続にかなりテンションを上げさせられました。

 ラストシーンは、どこか「真夜中のカーボーイ」を思わせますね。

セルジオ・レオーネ監督。1971年イタリア映画。

2008年7月15日 (火)

ハンニバル・ライジング (2007)

ハンニバル・ライジング 1944年戦禍のリトアニア。両親と妹ミーシャ(ヘレナ・リア・タゴウシュカ)を失い、さらに記憶までなくして孤児院に入ったハンニバル・レクター(ギャスパー・ウリエル)。パリの叔父を訪ねたハンニバルは、美しい未亡人レディ・ムラサキ(コン・リー)に出会うのだったが…

 「羊たちの沈黙」で大ブレイクしたレクター博士の若き日を描いたシリーズ第4作。あの強烈なキャラクターの誕生秘話というのに加えて、原作のトマス・ハリスが脚本にまで加わっているせいか説得力抜群の内容。恐ろしいことだが、すっかり殺人鬼レクター博士に感情移入して映画を見てしまった。

 簡単に言えば、猟奇趣味がはいった復讐ものなんだけど、レディ・ムラサキの登場(相変わらず不思議なジャポネスクの登場ではあるが)やゴシック・ホラー的演出で全編に重厚な雰囲気がただようのが良い。主演のギャスパー・ウリエルは一見優男なんだけど、目がコワいのがいいです。

ピーター・ウェーバー監督。2007年アメリカ=イギリス=フランス合作。

2008年7月14日 (月)

パッチ・アダムス (1998)

パッチ・アダムス 自殺癖により、精神科へ自主入院したハンター・アダムス(ロビン・ウィリアムズ)。入院先で自分のユーモアが人々を救うことを知ったアダムスは、自らパッチ・アダムスと名乗り退院後に医学の道を志す。ところが我が道をゆくアダムスを、医学部のメンバーは良く思わない…

 一言で言うと、もうちょっと患者の気持ちになって診てあげましょうという映画。確かにユーモアあるお医者さんがいれば場がなごむし、通常より早く治るんだろうとは思う。でもその事をテーマに1本の映画ができてしまうってのは、アメリカの医学界って病んでいるのかなぁなんて気分にさせられた。

 個人的にはロビン・ウィリアムズのギャグがいまいち笑えなかったのと(感動的だったラストを除く)、恋人カレン(モニカ・ポッター)のエピソードがひっかかってイマイチ映画にのりきれなかったなぁというところ。パスタのプールってのも、相変わらず食べ物を粗末にするなぁなんてちょっぴり気分が悪かった。

 でもやっぱり、自分が大病にかかった時はパッチみたいな医者を選ぶだろうと思う。診られる側もちょっと疲れるかもしれないが。

トム・シャドヤック監督。1998年アメリカ映画。

2008年7月12日 (土)

俺は、君のためにこそ死ににいく (2007)

俺は、君のためにこそ死ににいく 太平洋戦争末期、特効命令を受けて鹿児島の知閲から飛び立っていった若者たち(徳重聡、窪塚洋介、筒井道隆)と、それを見送った富屋食堂のおばちゃん鳥濱トメ(岸惠子)の目を通して描いた作品。

 内容的には、戦後に繰り返し作られた特攻映画焼き直しといった感じなんだけど、こういった映画が繰り返し忘れずに作られるというところに意味があるんだろうと思う。制作総指揮・脚本が石原慎太郎ってことで斜めに構えて見てしまったのも事実ではあるが。

 それにしても、一番手に特攻していった腕利きパイロットが、命令を受けて困惑する様子が頭に残った。生きていればかなりの戦果をあげるであろう彼を、1回の作戦で殺してしまうのは大きな損失だろうけど、最初の作戦が成功しないと後に続く者がいなくなってしまうという。しばらく考えて「わかりました」と彼が答えるあたり、息を飲んで見てしまった。

 さすがに最近の日本映画だけに、ラストの特攻シーンは迫力があります。

新城卓監督。2007年日本映画。

2008年7月11日 (金)

ソウ3 (2006)

ソウ3 外科医のリン(バハー・スーメク)が目を覚ますと、殺人鬼ジグソウ(トビン・ベル)と助手のアマンダ(ショウニー・スミス)に囚われていて瀕死のジグソウの脳手術を強要される。一方、事故で息子を失ったエリック(ドニー・ウォールバーグ)も気がつくと密室の囚われの身に。ゲームに参加すると、息子を事故で死なせた犯人に復讐させてやるというのだが…

 ソリッド・シチュエーション・スリラーでヒットした「ソウ」シリーズの第3作。背景説明はほとんどなく、密室と絶望的な状況しかなかった「ソウ」はなかなかのおもしろさだったんだけど、回を重ねるごとにずいぶんと厚化粧されてしまって肝心の謎解きのおもしろさはスポイルされてしまった感じである。

 その代わりに出てきたのが、一時のスプラッタブームの頃にあったような痛さの表現。この映画、だめな人はまったくだめだろうし、見る人をずいぶん選ぶと思う。これを楽しめというのは…ちょっと酷かなぁ。

 見るべきものといえば、第1作の終わりから登場した殺人鬼「ジグソウ」の扱いが出色。死にかけた殺人鬼というのが斬新で、しかも首斬られたりしてるんだけど「ソウ4」ではどんな姿で出てくるんだろう、という変な期待をさせられる。

ダーレン・リン・バウズマン監督。2006年アメリカ映画。

2008年7月10日 (木)

大日本人 (2007)

大日本人 大佐藤(松本人志)は、有事の時には電流を受けて巨大化する通称「大日本人」だった。映画のクルーたちは、そんな大佐藤に密着取材を試みるのだが…

 コメディアンの松本人志の初監督・主演によるナンセンスコメディ。ドキュメントスタイルをとっていることから「ブレア・ウイッチ・プロジェクト」みたいなのを冒頭で期待したんだけど、ストーリーはあらぬ方向へころころと転がっていき気がついたら怪獣バトル映画になっていた。怪獣(正しくは「獣」というらしいの造形が相当にキモいところとか、挿入されるニュース映像が結構笑える点を除いてはどう笑っていいのかわからないシーンが多数あるのは辛い。さらにおもしろくなってきたなと思ったら、ラストのウルトラ家族のギャグには完全にずっこけてしまった。

 笑いってのはつくづく作り手と観客の「波長」なんだなと、実感させられる映画。私の場合は、微妙に波長がずれているのが何とも惜しい作品である。

松本人志監督。2007年日本映画。

2008年7月 7日 (月)

不都合な真実 (2006)

不都合な真実 前アメリカ副大統領アル・ゴア氏の講演をベースに、地球温暖化の仕組みと功罪、その阻止を訴えたドキュメンタリー。

 非常にわかりやすい、というのはいいんだけど、映画を見終わって新たに知ったという事柄がほとんどなかったというのも事実。世界最大のCO2産出国であるというアメリカ合衆国だけど、この程度の映画で衝撃が与えられるってのは意外とその温暖化に対する知識レベルは低いんじゃないかと思った。逆に言えば、このくらいの啓蒙映画でもかなりの効果があるってことだろうか。

 ただしドキュメントとしてはいい感じにまとまっていて、特にゴアという人のカリスマ性とかは精力的な講演活動と共にびしびしと伝わってくる。姉とたばこ農家に関するエピソードでは、見ながら思わずほろりときてしまった。

 地球温暖化を防ぐ方法について知りたかったら、エンディングというかラストのクレジット部分を見るだけで十分です。それでも我々が現在知っている以上の知識が用意されているかといえば疑問ですが。

2008年7月 4日 (金)

300 (2007)

300 紀元前480年のギリシャ。大国ペルシャの大王クセルクセス(ロドリゴ・サントロ)は、戦士の国スパルタに服従を要求。ところがスパルタの王レオニダス(ジェラルド・バトラー)は300人の精鋭と共にペルシャの大群と戦うことを決意するのだったが…

 フランク・ミラーのグラフィックノベルを映画化。史劇かと思って構えて見ると完全に外されるので注意。全編コミック調で、「シン・シティ」をイメージすれば雰囲気はかなり近いでしょう。

 100万人対300人の戦いを、アメコミ調の色を抜いた画面で再現。映像によってはヴィデオゲームのようにも見えるけど、スパルタの男たちがかなり熱くて男臭いので意外と感情移入して見ることができました。親子の愛情みたいなのが軸になっているのが勝因かな。

 かなり血なまぐさい映画にもかかわらず、画像処理で生々しさが抜かれているあたりもテレビゲーム風。これを見て戦いにあこがれる人って、少なからずいるんじゃないだろうか。面白いんだけど、好戦的な気分を植え付けてくれるのは怖い映画かもしれません。

ザック・スナイダー監督。2007年アメリカ映画。

2008年7月 3日 (木)

ラブソングができるまで (2007)

ラブソングができるまで 80年代の人気バンド「ポップ」のボーカルだったアレックス(ヒュー・グラント)は、今では忘れられた中年男。そんな彼が人気絶頂の歌姫コーラ(ヘイリー・ベネット)から作曲を依頼される。スランプだった彼にフレーズを提供したのは、鉢植えに水やりにやってきていたソフィー(ドリュー・バリモア)だったが…

 ものすごく定番のラブストーリーなんだけど、元アイドルの悲哀みたいなのが随所に散りばめられていて結構楽しんで見ることができました。何と言っても80年代をからめたギャグが秀逸で、その時代を生きたものはにやりとされられることうけあい。

 ラブコメといえばヒュー・グラントとドリュー・バリモアは手慣れたもので、安心して楽しむことができるんだけど、今回は怪しさ爆発のヘイリー・ベネットの歌姫も見物。さらに美人で可愛いとくるんだから今後が楽しみです。

マーク・ローレンス監督。2007年アメリカ映画。

2008年7月 2日 (水)

RENT レント (2005)

レント イースト・ビレッジのおんぼろアパートに家賃(レント)を滞納しながら住むルームメイトのロジャー(アダム・パスカル)とマーク(アンソニー・ラップ)。ロジャーの夢はミュージシャン、そしてマークは映像作家だったが、恋人の自殺などで心の傷をかかえて生きている。ある日ロジャーはダンサーのミミ(ロザリオ・ドーソン)にひかれ、マークはエンジェル(ウィルソン・ジェレマイン・ヘレディア)と恋に落ちるのだが、突然彼らはアパートから閉め出され…

 ブロードウェイ・ミュージカルの映画化ってことで、登場人物はとにかくよく歌いよく踊る。楽曲の良さが印象的で、テーマ曲の「52万5600分」をはじめ心に残るナンバーも多い。ただし多くの舞台版ミュージカルがそうであるように、ストーリーはシンプルであまりひねりはない。淡々とニューヨークの安アパートの人間模様を見せられるといった印象だ。

 若者たちの猥雑な雰囲気はよく出ており、ドラッグやエイズや同性愛といった世界がぐちゃぐちゃになって描かれているのは一見の価値がある。こんな雑多な世界であっても、確かに愛があります(笑)。

クリス・コロンバス監督。2005年アメリカ映画。

2008年6月30日 (月)

サイレントヒル (2006)

サイレントヒル ローズ(ラダ・ミッチェル)の娘シャロン(ジョデル・フェルランド)は奇怪な悪夢に悩まされて夢遊病となる。彼女の悪夢に出てくる町「サイレントヒル」が実在することを知ったローズは、彼女を救うために町へ向かうのだったが…

 コナミのホラーゲームを映画化。正に悪夢の映画化といった内容で、見ている方も迷宮に迷い込んでわけわからない体験を登場人物たちと一緒にするという感じ。さながら原作のビデオゲームもこんな感じなのだろう。

 子供の頃に見た、鉄球が飛んできて中からドリルが飛び出し、頭にぐりぐりと刺さる映画を思い出した。あの映画って、そのシーンしか覚えてないんですよね。この映画も30年ぐらいたったら、あの悪夢のような地下迷宮しか思い出せないような気がする。

クリストフ・ガンズ監督。2006年アメリカ=日本=カナダ=フランス合作。

2008年6月26日 (木)

ブラッド・ダイヤモンド (2006)

ブラッドダイヤモンド アフリカのシエラレオネでダイヤの密輸業者を営むダニー(レオナルド・ディカプリオ)は、反政府組織のRUFに強制連行され働かされていた男ソロモン(ジャイモン・フンスー)に投獄中に出会う。彼が巨大なピンク・ダイヤモンドを隠していることを知ったダニーは、組織に連れ去られたソロモンの家族を助けるためにダイヤが必要だと諭す。知り合ったジャーナリストのマディー(ジェニファー・コネリー)にも、ダイヤのシンジケートを明かすことをエサに密輸に手を貸すことを迫るのだったが…

 ゲリラや反政府組織の資金源になっているという、通称ブラッド・ダイヤモンドを背景にした社会派アクション。ディカプリオはすっかりアウトローの役が似合うようになって、雰囲気満点。ジェニファー・コネリーもいい感じに歳とってると思う。家族思いのソロモンが、長男を助け出すシーンなんかもじーんときた。遠く離れたアフリカの物語ながら、他人事とは思えないって気持ちにさせてくれるのが映画のマジックかも。

 こういう映画を見ていると、日本ってつくづく平和で恵まれてるんだなという気持ちにさせられます。ただしダイヤモンド業界にとっては、イメージ悪くマイナスの映画でしょうね。

エドワード・ズウィック監督。2006年アメリカ映画。

2008年6月24日 (火)

GOAL!2 (2007)

GOAL!2 前作でイギリスのチーム:ニューカッスルで華々しいデビューを飾ったサンティアゴ(クノ・ベッカー)にスペインリーグのレアル・マドリードへの移籍が舞い込んで来る。恋人を英国に残し、単身スペインへ乗り込んだサンティアゴだったが、実の母と弟が現れ…

 タイトルでわかるとおりシリーズ第2作。今回は舞台をスペインリーグへ移し、現役の選手(当時:デヴィッド・ベッカム、ジネディーヌ・ジダン他)も実名で登場するなど豪華な作り。とはいってもどん底からはい上がって行くサクセスストーリーだった「ゴール!」ほどは盛り上がらないってのはストーリー的にはいたしかたないことかも。

 とはいっても、突然お金持ちになっても恋人を大切にしたり家族に苦悩したりと、ドラマティックな展開は退屈せずに見ることができる。突っ走って、挫折して、返り咲いてというスポ根の王道を行く展開に少々苦笑させられる部分もあったけど、波瀾万丈の物語はこの後どうなるんだろうって気になります。3部作だそうなので、完結編が楽しみです。

ジャウム・コレット・セラ監督。2007年イギリス映画。

2008年6月23日 (月)

アルゼンチンババア (2007)

アルゼンチンババア 高校生のみつこ(堀北真希)は病気で母(手塚理美)を失い、おまけに父(役所広司)も行方不明になる。ところが半年後、町はずれの屋敷に住む風変わりなユリ(鈴木京香)通称アルゼンチンババアのところに父が身を寄せていることを知り…

 吉本ばななの小説を映画化。近所の石材店の窓にポスターが貼ってあって、ずっと気になっていた作品。現実離れした風変わりなストーリーで、家族の崩壊から再生が描かれているように見えて、実は一番のテーマになっているのは居心地の良さなんじゃないかと思えてくる。

 ユリの住む屋敷は汚くて臭くてどうしようもない場所らしいんだけど(残念ながら映画で臭いはわからないが)、結局はみんな、その居心地の良い空間にすっと入り込んでしまっている。見ているこちらも、あの屋敷に住んでみたいなんて気持ちにさせられてしまう。

 そういえば水中に母の墓標が沈んでいくのも、何とも気持ちの良いビジュアルである。母の死は悲しいが、こういう再生ってのはありなんじゃないかな、なんて気分になってきた。タンゴとフォルクローレのリズムも心地よいんだけど、何でアルゼンチンなのかは映画だけではちょっとわからなかったかな。

長尾直樹監督。2007年日本映画。

2008年6月20日 (金)

西遊記 (2007)

西遊記 天竺にお経を取りに行く旅をする三蔵法師(深津絵里)、孫悟空(香取慎吾)、沙悟浄(内村光良)、猪八戒(伊藤淳史)。一行は立ち寄った虎の国では、国王夫婦は亀に変えられ、国民はやる気を失っていた。王女玲美(多部未華子)との約束で、この国を襲った妖怪金閣(鹿賀丈史)と銀閣(岸谷五朗)を倒す旅に出る一行だったが…

 人気テレビドラマの映画版(らしい)。三蔵法師は女性が演じるってのは、夏目雅子の影響で定番になっちゃったのかな。とはいっても深津絵里は可愛らしくこの役がぴったり。香取慎吾は演技というよりも勢いがあり、元気のいいところが見ていて気持ちいい。「カンフー・ハッスル」や「少林サッカー」あたりが好きだったら文句なく楽しめるだろう。めちゃめちゃ強そうに思えた金閣・銀閣との対決も、適度に気が抜けたゆるさ、コミカルさがいい感じで、結構長い時間戦っているのに飽きずに見ていられるのが凄い。

 テレビから出た作品だけど、間違いなく元気のある邦画の1本でしょう。金閣・銀閣が、鹿賀と岸谷だってのは実は最後まで気がつかなかった。ちょっともったいないメイクだったかも。

澤田鎌作監督。2007年日本映画。

2008年6月19日 (木)

ゲゲゲの鬼太郎 (2007)

ゲゲゲの鬼太郎 テーマパーク建設に伴い、不気味な妖怪が出没する事件が発生して、健太少年(内田流果)は妖怪ポストから鬼太郎(ウエンツ瑛士)に助けを求める。同じ頃、ねずみ男(大泉洋)は封印された妖怪石を手に入れるが…

 あの誰でも知っている水木しげるの怪奇マンガを実写映画化。当然、スクリーンは一大コスプレ大会になるわけだが、それを誰も彼もが楽しそうに演じていて一見の価値がある作品。大泉洋のねずみ男にはじまって、田中麗奈の猫娘なんて違和感まったくなし。間寛平の子泣き爺や、西田敏行の輪入道もいいですねぇ。さながら、テーマパークを流しているかのような雰囲気。後半の輪入道の機関車なんて乗ってみたくなります。

 ハーフのウエンツが鬼太郎を演じるってのも、逆に彼の持っている日本人離れした雰囲気が良い方向へ作用したかのような感じで良かったです。人間の娘(井上真央)に恋をするってストーリーも、ラストはちょっとはかなげで印象に残ります。アニメの実写化はイメージを崩すから嫌だという意見は多いのですが、私はこういうのは結構好きですねぇ。

本木克英監督。2007年日本映画。

2008年6月17日 (火)

ラストラブ (2007)

ラストラブ かつてニューヨークで活躍したジャズプレイヤーの阿川(田村正和)は、妻(高島礼子)の死をきっかけに帰国して娘の佐和(森迫永依)とひっそり暮らしている。ところが若い女性・結(伊東美咲)とニューヨークで再会したことから、再びジャズへの思いがよみがえり…

 良くも悪くも、田村正和を主演にど?んと据えたラブストーリー。というわけで、彼が好きか嫌いかがその評価のすべてになっちゃてるような映画です。田村のジャズメンってのが… う?ん、何なんだろう。バブル期のトレンディドラマ再来って感じです。こんな映画を見てると、かっこいいだけが人生じゃない、なんて思っちゃうのですが。

 子役の森迫永依がとっても可愛いのが印象的。妙に達観したところがあるのが、違和感なく演じられてるのがいいですね。

藤田明二監督。2007年日本映画。

2008年6月13日 (金)

ナイトミュージアム (2006)

ナイトミュージアム バツイチのラリー(ベン・スティーラー)は、息子ニック(ジェイク・チェリー)の手前定職を持とうと決意して、博物館の夜警になる。ところがこの博物館、エジプトの秘宝の呪いで夜中に展示物たちが動き出すのだ。一晩で逃げだそうとしたラリーだったが、息子の励ましで逃げられなくなり…

 博物館の展示物が夜中に暴れるだけの映画…だと思ったら、意外とひねりがきいてて楽しむことができた。この手の映画では外せないロビン・ウィリアムズの登場と、単なるパニック映画ではなくて彼らを手名付けてしまう展開、そして本当の敵は人間だったなんて部分がとっても今風で良かったです。

 雰囲気的には「ジュマンジ」や「ザスーラ」に似てるんだけど、以前よりも物語に没入して見ることができたのは技術の進歩からか、あるいはキャラクターの良さかベン・スティーラーの芸達者さからなのか。もうちょっと上映時間が短かったら、博物館の大スクリーンで上映するアトラクション映画に向いているかもしれませんね。

ショーン・レヴィ監督。2006年アメリカ映画。

2008年6月12日 (木)

世界最速のインディアン (2005)

世界最速のインディアン 60年代のニュージーランドはインバカーギル。初老のバート・マンロー(アンソニー・ホプキンス)は伝説のバイク・インディアンを改造する日々。その目標はアメリカのソルトフラッツで行われるスピード競技会で、世界記録を更新すること。やがて借金をして渡航費を手に入れたバートは貨物船でコックをしながらアメリカ目指して出発するのだが…

 伝説の男バート・マンローを描いた実話の映画化。当時からもハイテクが横行するアメリカで、タイヤをキッチンナイフで削り足に電気毛布をばらした石綿を巻いて(大丈夫か?)出場するバートが記録を打ち立てた記録が未だ破られてないなんて、やっぱ職人って凄いって気分にさせられます。

 競技会場にたどりつくまでのロードムービーがいいですね。古き良きアメリカがじわ?っと感じられる。記録に挑戦しに来たと豪語する老人に対する税関職員の優しさからはじまって、道中いい人ばかりでとってもいい気分にさせられる。

 インディアンが世界記録を打ち立てる映画かと思ったら、インディアンってバイクの名前だったんですね。まさにフルカウルに包まれていて、さらに自立できないところ、曲がろうとすると必ずぶっとんでいく直線大王なところも魅力的です。

ロジャー・ドナルドソン監督。2005年ニュージーランド=アメリカ合作。

2008年6月10日 (火)

犬神家の一族 (2006)

犬神家の一族 戦後間もない信州の那須。薬屋で巨万の富を築いた犬神佐兵衛(仲代達矢)が亡くなり、遺言状を古館弁護士(中村敦夫)が預かる。同時に探偵の金田一耕助(石坂浩二)も呼ばれるのだが、彼らの前で連続殺人事件が起こる…

 70年代に大ヒットした邦画を、同じく市川崑監督がセルフリメイク。なぜ同じ映画を撮る…なんて疑問が見る前はなくもなかったけど、最新の俳優と1回撮った映画だけに勝手がわかっているのかツボを得た演出で安心して見ていられるといったところか。オリジナルのテーマ曲を使っていたり、金田一を前回と同じ石坂が演じるなどリメイクにありがちな妙な違和感が一切なかったのが良かった。

 俳優陣も、当時同じポジションにいた島田陽子にかわって松嶋菜々子を起用、さらに犬神の3人の娘に富司純子、松坂慶子、萬田久子。金田一にからむ宿屋の女中に深田恭子など、なかなかツボを得た配役である。

 それにしても、これが横溝ワールドなのかもしれないけど、巨額な遺産を前にした一族のあさましさといったらこちらも現実離れした感じで、今見ると全然リアリティが感じられないのはマイナスである。さらにラストの「天から来た人みたいだ」発言が妙に浮いているのも印象的。でもまぁ、2時間楽しめたし犬神家ってこんな映画だったんだぁと懐かしい時間を過ごすことができたのは大きなプラスである。

市川崑監督。2006年日本映画。

2008年6月 9日 (月)

スパイ・ゾルゲ (2003)

スパイ・ゾルゲ 第2次世界大戦直前の東京。朝日新聞の記者 尾崎秀実(本木雅弘)と、ドイツの特派員ゾルゲ(イアン・グレン)が特高警察の吉河(椎名桔平)に逮捕される。実は彼らは国家機密をソ連に送り続けていたスパイだった…

 有名な「ゾルゲ事件」を篠田正浩が引退作品として製作・監督。物語は逮捕の瞬間からはじまり、ゾルゲと尾崎の出会い、そして彼らにからむ政治家・軍人・そして女たち(葉月里緒菜、小雪、夏川結衣)を中心に語られる。3時間を超える作品ながらストーリーがなかなか面白く、一気に見終わることができた。最近流行のデジタル合成により、当時の風景などもそつなく盛り込まれているのはよく出来ている。

 とはいっても、なぜスパイ?という説得力にイマイチパンチがなくて、だらだらっとした中で終わってしまったという部分もなくはない。ましてやあの時代に命をかけたスパイである。「戦争と人間」と同じ時代背景を持っている作品なので、見比べてみると面白いだろう。

篠田正浩監督。2003年日本映画。

2008年6月 6日 (金)

御法度 (1999)

御法度 幕末の新撰組に加納惣三郎(松田龍平)と田代彪蔵(浅野忠信)という二人の剣士が入隊する。腕の立つ惣三郎だったが、その美少年ぶりから田代が衆道へと誘い込み、隊にも惣三郎に言い寄り心を惑わすものが続出。隊長の近藤勇(崔洋一)と土方歳三(ビートたけし)は頭を悩ませ、加納に女を教えようと山崎蒸(トミーズ雅)をつかわすのだったが…

 司馬遼太郎の「前髪の惣三郎」と「三条磧乱刃」を原作にした時代劇。大島渚監督だけに、ただの時代劇ではないと構えて見たんだけど、衆道ものだっただけにびっくり。とはいっても斎藤道三の衆道がごくごく一般的なものとして描かれた「国盗り物語」を昔読んだのを思い出して、こりゃ確かに司馬遼太郎の世界だと途中から妙に納得してしまった。

 現代でこそアブノーマルなものとしてとらえられがちな同性愛だけど、この映画の近藤や土方の反応を見ていると、この時代の方がずいぶんおおらかに受け入れられてたんだなぁとちょっと感心した。

松田龍平はこれがデビュー作だそうだけど、男を惑わす男として強烈な印象を残す。崔洋一の近藤隊長も、男ぶりが良くいい味を出してます。

大島渚監督。1999年日本映画。

2008年6月 5日 (木)

水の中のナイフ (1962)

水の中のナイフ アンドジェイ(レオン・ニェムチック)とクリスチナ(ヨランタ・ウメッカ)夫婦は、週末をヨットで過ごすためにドライブ。途中でヒッチハイクの青年(ズィグムント・マラノウィッチ)を乗せ、意気投合した彼らはヨットに乗り込むのだったが…

 ロマン・ポランスキー監督の長編第1作で、亡命前のポーランド映画。モノクロで登場人物はわずか3人、しかもヨットの上という閉鎖空間ながらも、真綿で絞めるかのような初期のポランスキー感覚が見て取れる面白い映画。何で夫婦はこの若者をヨットに乗せちまったんだろうってのが唯一納得できないところなんだけど、くたびれた夫婦にはこのくらいの刺激が必要だったってことなんでしょうか。

 何にしても、若者が落ちてからのアンドジェイのうろたえ方が象徴的。予想を反して本当に深刻な事件は何も起こらないんだけど、物語の前と後で夫婦は確実に変わっているというのが考えさせられます。

ロマン・ポランスキー監督。1962年ポーランド映画。

2008年6月 3日 (火)

MARCO 母をたずねて三千里 (1999)

MARCO 母をたずねて三千里 イタリアのジェノバに住むマルコ(声:樋口智恵子)の生活は苦しく、母アンナ(榊原るみ)はアルゼンチンへ出稼ぎに行く。ところが母からの手紙が途絶え、心配したマルコは南米への旅を決意する…

 エドモンド・デ・アミーチスの原作をアニメ映画化…というよりは、アニメ「世界名作劇場」でおなじみの「母をたずねて三千里」の再映画化。なつかしい…はずなんだけど、oga.としては船が出発するシーンしか記憶がない。しかも母との別れのシーンではなく、マルコが出発するシーンである。

 とはいってもこのストーリー、子供には理解できなかったのかもしれないけどよくできている。出発がイタリアのジェノバで旅をするのが南米だったというのが発見だし、ジェノバっ子の心意気というか、故郷を大事にする気持ちが何とも心地よい。マルコは家出するのかと思いきや、父親はしっかり「母さんのことはまかせた」と言ってるし、時に人を助け、助けられのエピソードも感動的である。マルコの家がなぜ貧乏かもちゃんとわかるし、わずか1時間半とはいえどもぎゅっと圧縮されたストーリーは見応えがある。

 間違いなく、大人が子供に見せたい映画でしょう。子供が理解するかどうかは定かではありませんが(笑)。

楠葉宏三監督。1999年日本映画。

2008年6月 2日 (月)

Gガール 破壊的な彼女 (2006)

Gガール 破壊的な彼女 もてないマット(ルーク・ウィルソン)が友人にそそのかされて地下鉄でジェニー(ユマ・サーマン)をナンパする。実は彼女は世間を騒がすスーパーウーマンのGガールだった。最初は楽しんでいたマットも、やがて彼女の嫉妬深い性格に嫌気がさしてきて、別れを切り出すのだったが…

 スーパーガールをユマ・サーマンが演じるってことである意味はまり役…なんだけど、事態はあらぬ方向へころころと転がっていき… 終わってみるとこれ、艶笑ものなんですね。ベッドでサンタナを流すセンスが、どうにもバカうけでありました。大女優の仲間入りしたはずのユマもこんなのに出てしかも思いっきり笑いをとってくれるんだから尊敬いたします。可愛いだけであんまり重要じゃない役柄かと思っていたハンナ(アンナ・ファリス)も後半大活躍。

 ところでうさん臭いベッドラム教授(エディ・イザード)って一体何だったんだろう。自称悪役なんだけど、どんな悪事をやったのかが全然わからないぞ。アイヴァン・ライトマンの映画ってちょっとした思いつきをぶわっと膨らませたような作品が多いですね。

アイヴァン・ライトマン監督。2006年アメリカ映画。

2008年5月29日 (木)

魔界転生 (2003)

魔界転生 島原の乱で非業の死を遂げた天草四郎(窪塚洋介)は10年後、妖術によってよみがえる。紀州藩主の徳川頼宣(杉本哲太)のもとへ現れた四郎は、江戸へ攻め込むことをけしかける。ところがその動きを察したのが柳生十兵衛(佐藤浩市)だった…

 山田風太郎原作の人気小説を映画化、というよりは、元気だった頃の角川映画版を思い出して懐かしくさせてくれた伝奇時代劇。しかし昨今多い70年代邦画のリメイクで成功しているものが見あたらないという惨状からもれることはなく、この作品もなんとも不気味な怪作となっている。

 深作版「魔界転生」といえばジュリーと千葉真一というタイプの違う役者の対決も話題だったけど、個人的には丹波哲郎がからんだ魔物を斬る妖刀製作のエピソードがものすごく印象に残っている。ところが本作ではそのあたりがばっさりと切り捨てられているのが不満といえば不満である。

 比べちゃいけないのかもしれないけど、佐藤浩市の柳生十兵衛ってのは八方破れのあんちゃんといった雰囲気で重厚さに欠ける。軽快さはあるんだけどなぁ。窪塚洋介はあのこてこてメイクのおかげで、逆に普通の兄ちゃんになり下がっているような気がした。深作版「魔界転生」ってそんなに傑作ではなかったという認識なんだけど、こうしてみるとなかなか頑張ってたんだと再発見いたしました。そうそう、本作のおどろおどろしげなテーマ曲は良かったです。

平山秀幸監督。2003年日本映画。

2008年5月26日 (月)

RED SHADOW 赤影 (2001)

RED SHADOW 赤影 戦国時代の日本、無敵の鋼を身にまとった最強の忍者集団「影一族」がいた。彼らの末裔は、白影(竹中直人)を頭に赤影(安藤政信)、青影(村上淳)、飛鳥(麻生久美子)がチームを組んで戦国大名の東郷秀信(津川雅彦)に仕えていたのだが…

 タイトルからもわかるとおりに、60年代の人気ドラマ「仮面の忍者赤影」のリメイク…のはずなんだけど、どこにも「仮面」と書いてないだけあって本作はみんな素顔。しかも内容は思いっきり笑えないおやじギャグにふってあって、さながら最近の戦隊ものを見ているようである。しかし戦隊ものでももうちょっと笑えるはずなんだけど、赤影ってこんなにおちゃらけな時代劇だったんだろうかって少々混乱してしまった。

 そうこうしてると、なんと飛鳥が… うーむ、こっから先は、影一族が陰を引きずったようになってしまい、うまく作ればもっと余韻のある面白い映画になったはずなんだけど、と残念に思ってしまった。

 ワイヤーアクション満載の、時代劇のニューウェーブであるとは思うんだけど、赤影といえばやっぱり巨大なガマとか金目教とかを期待してしまいます。凧で飛ぶシーンがちょびっとだけあったけど、ショボかったなぁ。

中野裕之監督。2001年日本映画。

2008年5月23日 (金)

記憶の棘 (2004)

記憶の棘 10年前に夫のショーンを失った未亡人アナ(ニコール・キッドマン)。友人ジョゼフ(ダニー・ヒューストン)との再婚を前にしたアナの前に、自分はショーンの生まれ変わりだという少年(キャメロン・ブライト)が現れる…

 生まれ変わりをテーマにしたサイコ・ミステリー。ショーン少年ことキャメロン・ブライトの顔立ちが妙に印象的で(失礼ながら「キモカワ」の部類かもしれない)どっかで見たと思って調べたら…「ウルトラヴァイオレット」の「シックス」くんだった。そういえばアタッシュケースの中に彼が入っているというビジュアルも強烈だった。

 しかしこの映画、生まれ変わりを特別なこととして扱っていることや、「自分はもうママの子供ではない」と言い切ってしまうあたりは日本や韓国で見られる「輪廻」ものとは違う。やっぱりこれはサイコサスペンスに分類される物語だと思ってしまった。結局彼は本当にショーンの生まれ変わりかって部分は見てる自分の中では固まっているんだけど、本当にそうかと言えば何か見落としているんじゃないかと不安になってくる。

 キャメロン少年もいいけど、ひと皮むけたニコール・キッドマンはショートカットで頑張ってます。劇場での長回しのシーンとかは、長さを感じさせないほど印象的。この映画、全体的に間のとり方が凝ってますね。これでラストに余韻が残れば、言うことなかったんだけど。

ジョナサン・グレイザー監督。2004年アメリカ映画。

2008年5月22日 (木)

甲虫王者ムシキング スーパーバトルムービー 闇の改造甲虫 (2007)

甲虫王者ムシキング 闇の改造甲虫 妖精ポポ(声:進藤尚美)やかぶとむしのムシキング(堀井真吾)が住む森に、外国の甲虫が殴り込んでくる。実は彼らはアダー(佐藤正治)が送り込んできた改造甲虫だった…

 人気ビデオゲーム「甲虫王者ムシキング」の劇場アニメ第2弾。約50分の中編映画で、テレビ版の「森の民の伝説」をスケールアップ(ダウン?)した内容。しかしこのシリーズ、一時期ムシキングに熱狂してた筆者の長男には意外と不評だったんだけど、この映画版を見てその理由がわかったような気がした。

 つまり…意外とストーリーの底が浅くてスケールの広がりがない。森の民と仲間たちが森を守って、孤独な老人アダー(笑)がそれをうらやんでか改造甲虫でちゃちゃを入れてくる。でもそれだけの物語。アダーが何で改造甲虫まで使って森を襲ってくるかがわからないんですよね。

 セガのビデオゲームは子供たちが熱狂するだけあって、名作でした。昆虫の目線になって楽しむことができる。でも映画化にあたっては、意外とこじんまりとまとまってしまって何だかなぁ…って内容でありました。少なくとも「ミクロキッズ」のようなわくわく感が欲しかったかな。

水崎淳平監督。2007年日本映画。

2008年5月20日 (火)

ママの遺したラヴソング (2004)

ママの遺したラヴソング 母の訃報を知ったパーシー(スカーレット・ヨハンソン)は、同棲していた男と別れてニューオーリンズへ。ところが彼女の葬式に間に合わないばかりか、母の住んでいた家には見知らぬ二人の男ボビー・ロング(ジョン・トラボルタ)とローソン(ガブリエル・マクト)が住んでいて、家は彼女を含む3人へ相続されたという。というわけで、3人の奇妙な共同生活がはじまった…

 何で3人に相続されるんだ、パーシーとボビーの関係って何、ストーリーの肝心な部分を見落としたんじゃなかろうかと気になって気になってのうちに映画はどんどん進行していって、気がついたら終わってしまった。こんな見方をしていたら、ラストのどんでん返し(?)もぜ?んぜん衝撃はなく完全に気が抜けてしまった。

 「ママの遺した?」というタイトルにもかかわらず、ママがスクリーンに一切出てこないところがこの映画のポイントでしょう。同居人は大学教授と文学青年のはずだけど、妙にこきたないところも味がある。映画の雰囲気は嫌いではないんだけど、悲しいかなストーリーに魅力を感じなかったのが辛いところ。大好きなスカーレット・ヨハンソンだけに、完全に肩すかしをくってしまったような映画でした。

シェイニー・ゲイベル監督。2004年アメリカ映画。

2008年5月19日 (月)

必殺! 主水死す (1996)

必殺!主水死す 大奥で権力争いが起こり、世継ぎの家定(細川ふみえ)の双子の弟で行方不明の捨吉(細川ふみえの二役)を殺してくれという依頼が仕事人に入る。主水(藤田まこと)、勇次(中条きよし)、秀(三田村邦彦)の3人は本来の仕事ではないと断るのだが、別の仕事人が引き受ける。ところが主水が捨吉が昔の仕事人仲間だったお夢(名取裕子)と暮らしているのを見つけてしまい…

 中村主水の最後ってことで、ほぼシリーズの完結編と思われる作品。実際、これ以降に必殺シリーズは筆者の知る限り作られていない。未見だったのでずいぶん久しぶりに(20年ぶりぐらいかな?)仕事人を見たんだけど、音楽といいストーリーといいテンポといい、私ぐらいの年代になると黄門さまのように体にすり込まれているってことを実感して苦笑してしまった。

 それにしても…なんともあっけない幕引きである。結局のところ、主水ってのは女にだらしなくてそれが原因で命を落としてしまったってことなんだろうか。もうひとつ食い足りなかったのは、主水がいなくなってからのせん(菅井きん)とりつ(白木万里)がまったく描かれてなかったというところ。そのあたりは勝手に想像してくれということなんだろう。

 主水もそうだけど、怪演という言葉がぴったりの津川雅彦が印象に残る。他にも東ちづる、松井一代、野村祐人、宝田明、鈴木清順、美保純と、なかなか豪華なキャストである。

貞永方久監督。1996年日本映画。

2008年5月18日 (日)

スパングリッシュ (2004)

スパングリッシュ 夫と別れ、メキシコからヒスパニックの多いロスへ娘のクリスティーナ(シェルビー・ブルース)と共にやって来たフロール(バス・ベガ)。ハウスキーパーとして裕福なクラスキー(アダム・サンドラー)のところで働くことになったのだが、やがて妻のデボラ(ティア・レオーニ)や娘のバーニー(サラ・スティール)とトラブルが起こり…

 コメディの印象が強いアダム・サンドラー主演のシリアスなホームドラマ。タイトルからわかるように、ヒスパニック系のカルチャーギャップものなんだけど、なかなかストーリーは深く味わいがある。ハリウッド本格デビューというスペインの女優バス・ベガも光っている。

 それにしても、豪邸に別荘まであるクラスキー家の暮らしは豪華ですね。そんな中に難民同然の母娘が飛び込んでいって、この程度のトラブルしか起こらなかったというのはある意味凄いことなのかもしれない。フローラが凛としていて妥協がないところが良かったのかな。コメディアンのアダムが出演しているのにかかわらずほとんど笑えるところがなかったんだけど、唯一くすりとしてしまったのが彼がヒステリックなメキシコのおばさんに見えたというくだりです…

ジェームズ・L・ブルックス監督。2004年アメリカ映画。

2008年5月16日 (金)

バッテリー (2006)

バッテリー 天才的な速球を持つピッチャー巧(林遣都)が中学入学を目前にして家族(天海祐希、岸谷五朗、鎗田晟裕)で岡山の田舎町の祖父(菅原文太)のもとへ引っ越して来る。受けることが無理と思われた彼の速球を受けたのは、キャッチャーの豪(山田健太)。二人は中学の野球部に入部するのだが、そこには癖のあるコーチの戸村(萩原聖人)がいた。

 あさのあつこの児童文学のベストセラーを映画化。アニメが原作かと思ったんだけど、こういうストーリーが児童文学から飛び出してくるあたりはまだまだ活字の世界も捨てたもんじゃないなぁってちょっといい気分になってしまった。

 ストーリーは一言で言うと、野球バカの物語。明けても暮れても野球ばっかりしている野球バカの少年たちがなぜ野球バカなのか。そして映画を見終わった時には、自分の中にある野球バカな部分がふっと熱くなっている、そんな気分を味合わせてくれる佳作である。

 単なるスポ根ものではなくて、才能はあるけど周囲に受け入れられなくて屈折してすねているいる主人公や、いかにもキャッチャーといったムードメイカーの豪、そして突然レギュラーになった彼らが気に入らなくて暴走する先輩など、現代風でありながらよくこんなばっちりな配役を見つけたもんだと見ていて感心させられる。野球が好きであっても好きでなくてもおすすめ。最後はきっと劇中のお母さんのように、彼らを応援しているはずだ。

滝田洋二郎監督。2006年日本映画。

2008年5月13日 (火)

7セカンズ (2005)

7セカンズ 強盗のボスのジャック・タリバー(ウェズリー・スナイプス)はルーマニアで現金輸送車を襲うのだが、手に入れたのは開け方のわからないアタッシュケースひとつ。さらに恋人のスーザはロシアマフィアに誘拐され、居合わせた憲兵のアンダースと犯人を追う羽目になる。

 そういや昔60セカンズって車泥棒の映画があったが、こちらは7セカンズってことでたったの7秒。でもその7秒がストーリーに生かされているかというとぜ?んぜん生かされていない。何が7秒だったのか、実は未だにわかってなかったりする(笑)。

 迫力のカーアクションとか、手がぶるぶる震えるロシアマフィアのボスとか見せ場はぱらぱらとあるんだけどそれっだけ。正直言って何が面白いかわからないような映画。スナイプスの映画は要注意かもしれない。

サイモン・フェローズ監督。2005年ルーマニア=スイス=イギリス合作。

2008年5月12日 (月)

ダイ・ハード4.0 (2007)

ダイ・ハード4.0 独立記念日の前日、FBI本部に何者かがハッキングを仕掛ける。ハッカーの一斉検挙のために、非番で娘(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)に会おうとしていたマクレーン刑事(ブルース・ウィリス)は突然呼び出しを受け、マット・ファレル(ジャスティン・ロング)の拘束を命じられる。ところが彼のマンションが突然激しい銃撃を受け…

 サイバーテロの犯罪に巻き込まれる不運なマクレーン刑事を描いたシリーズ第4作。前作から12年というわけで、ウィリスもすっかりスキンヘッドの親父というか、爺さんに近い。それでもテロリスト相手に体を張ってヒーローになっちゃうところは立派である。

 1作目がハイテクビル、2作目が旅客機と、密室で孤軍奮闘するというのがこのシリーズの特長だけど、本作ではサイバーテロによりインフラが消滅して味方の援軍が呼べないというのがポイント。とはいっても無理矢理作った密室だけにわかりにくく、思ったほどのめりこんで見られなかったというのが残念なところ。さらにストーリーの盛り上げ方にもメリハリがないのは痛い。

 とはいってもたたみかけるような展開はさすがスーパーシリーズである。ハッカー少年のジャスティンくんもいい味を出してます。

レン・ワイズマン監督。2007年アメリカ映画。

2008年5月 9日 (金)

それいけ!アンパンマン 怪傑ナガネギマンとやきそばパンマン (2001)

怪傑ナガネギマンとやきそばパンマン やさい村のカーニバルにやさいを届けようとしていたピーマン3兄弟(声:西村ちなみ、原えりこ、高田由美)とやきそばかすちゃん(岩男潤子)がバイキンマン(中尾隆聖)とドキンちゃん(鶴ひろみ)に襲われる。それを助けたのが、やきそばパンマン(小杉十郎太)と怪傑ナガネギマン(大塚明夫)だった。ところが性懲りもなくバイキンマンはやさい村に闘牛ロボを送り込み…

 劇場版アンパンマンの併映作品の1本で、約30分の短編。ストーリーとしては「やきそばパンマンとブラックサボテンマン」の続編にあたるような内容で、西部劇スタイルをとる。怪傑ナガネギマンはどう見ても怪傑ゾロのパロディで、ムチでNを書くところなどは往年の映画ファンだったらニヤリとさせられるだろう。

 もうひとつ特筆すべきは、アンパンマンの出番がほとんどないこと。最後の最後にゲスト的に1カット登場するだけってのが、なかなか渋いぞ、アンパンマン。ナガネギマンの正体が見え見えの点も、小さな子供の目では楽しめるらしい。ピーピー泣いてるばっかりのピーマン3兄弟も可愛かったぞ。

大賀俊二監督。2001年日本映画。

2008年5月 8日 (木)

トリスタンとイゾルデ (2006)

トリスタンとイゾルデ 15世紀ごろのイングランド。幼い頃に父をアイルランド兵に殺されたトリスタン(ジェームズ・フランコ)は、領主マーク(ルーファス・シーウェル)に助けられ一人前の戦士に育つ。ところが最初の戦闘で死んだと思われ埋葬され船で流されるのだが、敵軍の娘イゾルデ(ソフィア・マイルズ)に助けられる。やがてイングランドへ帰ったトリスタンだったが…

 有名な歌劇の映画化。「ロミオとジュリエット」の元ネタなのだそうだが、設定が敵同士の恋愛という以外は思ったほど類似点はない。というかこの「トリスタンとイゾルデ」の方が正攻法で、ひねりのないラストに思えた。いっそのこと二人で駆け落ちすればと何回も思ったんだけど、乗り物は馬だけの時代だけにどこへ逃げてもどうしょうもなかったんでしょうね。

 イゾルデ役のソフィア・マイルズはなかなか美形で印象に残る。調べたらサンダーバードにペネロープ役で出てたり、「フロム・ヘル」でジョニー・デップの妻とかやってたみたいだ。あんまり記憶にないのだが。思いっきり場をかっさらってしまったのは領主マーク役のルーファス・シーウェル。ラストに余韻が残るのは彼の功績だろうね。

ケヴィン・レイノルズ監督。2006年アメリカ映画。

2008年5月 7日 (水)

DOA デッド・オア・アライブ (2006)

DOA デッド・オア・アライブ 兄を探して城を飛び出し抜け忍となった女王かすみ(デヴォン青木)。同じ頃、女子プロレスの格闘家ティナ(ジェイミー・プレスリー)、盗賊のクリスティー(ヒリー・ヴァランス)ら一同に格闘トーナメント DOA(デッド・オア・アライブ)の招待状が届けられる。彼女たちはドノヴァン(エリック・ロバーツ)の待つドアテク・アイランドへ集められるのだったが…

 人気ビデオゲームの映画化。冒頭の石狩山脈にそびえる城(笑)からドン引きさせてくれたとっても軽いノリは、映画版チャーリズ・エンジェルを思わせる。とにかく飛んだり跳ねたりの高所平気症キャラクターたちのオンパレードにお色気がからんで正に映画のビデオゲーム化進行中といったところか。あるいはPS3などの次世代ゲーム機を使えば、このくらいの映像は自分で操作できるんじゃないかと思えてくる。

 ほとんど主役級で活躍するデヴォン青木とケイン・コスギのコンビは一見の価値があるかも。「燃えよドラゴン」のオマージュともとれるストーリーだけど、あちらほどの悲壮感はなくただゲームを楽しんでいるといった雰囲気。こむつかしい映画ばっかり見たあとには、こういうので口直ししてみるのもいいかも…

コリー・ユン監督。2006年アメリカ=ドイツ=イギリス合作。

2008年5月 5日 (月)

アンダーワールド (2003)

アンダーワールド ヴァンパイヤのセリーン(ケイト・ベッキンセール)は、宿敵の狼男(ライカン)に襲われている人間マイケル(スコット・スピードマン)を助ける。実は彼はすでに狼男に噛まれており、吸血鬼と狼男の混血に関する鍵を握る血族であった…

 「ブレイド」を思わせる吸血鬼もので、暗?い雰囲気はそのまんま。しかもどこかで聞いたことがあるような吸血鬼と狼男の対決を描きながらも、両者は最新のサブマシンガンで武装していてガンガン撃ちまくるところが新味といえば新味。

 ストーリー的には、吸血鬼と狼男の混血が成功すれば争いもなくなっていいのに…と思っていたら、案の定セリーンとマイケルといった主人公たちは本来の一族とはスピンアウトしていく、という内容。この展開にはある意味ほっとさせられました。

 意外と血を吸うシーンや噛むシーンが少ないのは吸血鬼映画らしくないんだけど、これがいいんだろうね。ケイト・ベッキンセールはこんな役もできるんだとちょっと感心した。

レン・ワイズマン監督。2003年アメリカ映画。

2008年5月 2日 (金)

バンディッツ (2001)

バンディッツ スキを見て刑務所を飛び出したジョー(ブルース・ウィリス)とテリー(ビリー・ボブ・ソーントン)。生きていくためには強盗だとばかり、見事な手口で犯罪を重ねて「お泊まり強盗」という異名までもらうが、彼らの間に転がり込んできたケイト(ケイト・ブランシェット)のおかげで調子が狂ってくる…

 いきなり周囲を警官隊に囲まれたところからはじまり、回想で刑務所に引き戻され…と何とも心憎い演出の犯罪映画。しかし…恥ずかしながら、すっかり彼らにだまされてしまいました。伏線いっぱい張り巡らされているのになぁ。ライト感覚の泥棒映画ってのは、やっぱ面白い。人が死ぬシーンがまったくない(?)のも良い。

 しかし、ケイト・ブランシェットってやっぱ凄い。HEROを歌いながら登場した時には、彼女だとわからなかったぞ。まぁ彼女のはじけぶりからすれば、おじさん二人が翻弄されるのはわからないでもないが。

バリー・レヴィンソン監督。2001年アメリカ映画。

2008年5月 1日 (木)

ドリームガールズ (2006)

ドリームガールズ 60年代のデトロイト。ボーカルグループ ドリーメッツのエフィー(ジェニファー・ハドソン)、ローレル(アニカ・ノニ・ローズ)、ディーナ(ビヨンセ・ノウルズ)の3人はメジャーデビューを夢見てオーディションを繰り返す。中古車ディーラーのカーティス(ジェイミー・フォックス)のバックアップを得て、人気歌手ジェームズ・アーリー(エディ・マーフィ)のバックコーラスに抜擢される彼女たちだったが、エフィーがレコード会社と衝突して…

 モータウンによるブラックミュージックの大流行を背景にしたミュージカルドラマ。大筋はショービズ界における彼女たちの浮き沈みをドラマチックに、歌と踊りで描いた作品。こういう映画はとにかく、歌って歌って歌いまくってくれたらもう満足するしかないですね。ストーリーは意外とひねりがなく、歌手とプロデューサーの葛藤も意外と平板…なんだけど、とにかく歌って踊ってをたっぷりと見せつけられるととってもいいドラマを見た気分になるから不思議です。

 それにしても…ルックスではじき飛ばされるエフィーってのは失礼な話ですが、世の中が彼女を受け入れるほど成熟してなかったってことでしょうかねぇ。昨今のアカデミー賞なんて、オスカーをとる女優は個性派ばっかりで美人はあんまりいないのになぁ、なんて映画を見ながらふと考えてしまいました(音楽界じゃないですが)。

 いやいや、この映画を真に受けると、ビヨンセ・ノウルズよりジェニファー・ハドソンの方が歌がうまい、なんてことにもとれてしまいますね。それはそれで失礼かもしれませんが。

 ところでエディ・マーフィって、あんなに歌えたっけ?

ビル・コンドン監督。2006年アメリカ映画。

2008年4月30日 (水)

バトルフィールド・アース (2000)

バトルフィールド・アース 1000年後の地球は、サイクロ星人の攻撃により人類は壊滅。わずかに生き残って原始人同然の暮らしをしていた。ところが生き残りの一人のジョニー(バリー・ペッパー)はそんな事は知らずに、安住の地を探して旅に出る。そして彼を捕らえたのが、冷酷なサイクロの司令官タール(ジョン・トラボルタ)と部下(フォレスト・ウィテカー)だった。

 新興教団「サイエントロジー」の教祖L・ロン・ハバードの原作をジョン・トラボルタのプロデュースで映画化。ラジー賞総なめなど、キワモノ的な評価が多い本作だが、B級SFとして見ればなかなか面白かった。

 冒頭のファンタジー風の出だしから、急にSFへとぐぐっと方向転換される展開はなかなか見事。予備知識なく見たので、唖然とさせられた。登場するサイクロ人たちも、スタートレックのクリンゴンの出来損ないみたいで、さらにお馬鹿でお茶目なところが結構笑える。トラボルタとウィテカーのやり取りなんて絶妙である。

 さらにラスト近くの空中戦なども大迫力。核爆弾を転送して…という荒唐無稽な作戦にまんまとはまって壊滅してしまうサイクロ人も、何だかなあ…である。サイクロ人は本当に数分で人類を壊滅させたのだろうか? それともその話はこの映画のラストに対する伏線?

ロジャー・クリスチャン監督。2000年アメリカ映画。

2008年4月28日 (月)

戦争と人間 第二部 愛と悲しみの山河 (1971)

戦争と人間 第二部 愛と悲しみの山河 昭和11年、成長した伍代家の次男俊介(北大路欣也)は以前兄(高橋悦史)と婚約していた人妻温子(佐久間良子)と恋に落ちる。さらに官憲に逮捕された俊介の友人耕平(山本圭)は伍代家の次女順子(吉永小百合)に思いを寄せるのだったが。その頃満州では不穏な動きが起こり…

 前作より8年ぐらい経過したという設定なので、子役の二人が成長して北大路欣也と吉永小百合になっちゃうというびっくりの配役である。こりゃちょっと違和感あるぞ。さらに北大路欣也は佐久間良子との道ならぬ恋に突っ走っちゃって、正に財閥のお坊ちゃま一直線である。あまりにもステレオタイプ過ぎて、この映画としてはあんまり好きになれない部分である。

 エピソードはいっぱい用意されているんだけど、今回スポットが当たっていて印象に残るのは地井武男演じる韓国のゲリラのエピソード。家族を殺され恋人も…というあたりが胸に残る。おそらくメインストーリーであろう高橋英樹と浅丘ルリ子の恋の行方はあまりしっくりこない。第1部で印象に残った三国連太郎の殺し屋も、あまり活躍シーンがない。とこのあたりのゆさぶり加減が大河ドラマたる所以なんだろうと妙に納得してしまった。

 こういったストーリーの刈り込み具合が良く、見せるべき話はじっくり見せてくれるのが良い。第三部に期待!!

山本薩夫監督。1971年日本映画。

2008年4月25日 (金)

戦争と人間 第1部 運命の序曲 (1970)

戦争と人間 第1部 運命の序曲 昭和初期の満州。由介(滝沢修)を当主とする新興財閥の伍代は弟の喬介(芦田伸介)、長男の英介(高橋悦史)、従業員の鴫田(三国連太郎)らを使って利権を探る。長女の由紀子は軍人の柘植(高橋英樹)と恋に落ち、次男の俊介(中村勘九郎)は一族のやり方に激しく反対するのだったが…

 五味川純平の原作を映画化。オールスターの大河ドラマで、3部作合わせた上映時間の長さでも有名。正に群像劇で、3つ4つの話がからみ合って進んで行くにもかかわらずストーリーはすっきりとまとめられているので混乱することはない。しかし言葉が難しいのが少々難点で、ある程度歴史に詳しくないと満州で何が起こっているのかをこの映画だけで理解するのは難しいかもしれない。

 戦争映画といえば軍人と庶民の悲惨な状況を描くのが定番だけど、軍部とつるんでのし上がっていった財閥を描くというのが面白い。その財閥の息子たちにも普通の暮らしがあるわけだし、いろんなドラマを持っているんだなぁというのがよくわかる。

 DVDに入っている出演者の略歴を見てみると、この時代だとまだ満州に住んだことがあったり時代を経験した人がいっぱいいるのに驚かされる。滝沢修の財閥当主というのは、穏やかに見えて凄みがある。ほとんど殺し屋といった役柄の三国連太郎も印象に残る。

山本薩夫監督。1970年日本映画。

2008年4月22日 (火)

それいけ!アンパンマン やきそばパンマンとブラックサボテンマン (2000)

それいけ!アンパンマン やきそばパンマンとブラックサボテンマン 機関車で食料を運ぶメロンパンナちゃんとやきそばかすちゃん。ばいきんまん(声:中尾隆聖)に襲われ危機一髪だったところを、兄のやきそばパンマン(小杉十郎太)に助けられる。ところが懲りないばいきんまんは、サボテンマン(内田直哉)をブラックサボテンマンに変身させて襲ってくるのだったが…

 「?人魚姫のなみだ」の併映アニメ作品で、約30分の短編。つまり1時間と30分の映画の2本立てで、小さなお子様の鑑賞に配慮した構成である。なるほどなるほど。そういえば昔は短編8本立てのチャンピオンまつりとかあったなぁなんて、思い出したりもした。

 ところでこの30分の作品、なかなかあなどれない。西部劇のスタイルを借りて、守るメロンパンナちゃんたちに対して強盗団はばいきんまん。一匹オオカミのヒーローがやきそばパンマンならば、最後に出てくるアンパンマンは騎兵隊である。作者(やなせたかし?)は西部劇に並々ならぬ思い入れがあるんじゃなかろうかと、子供たちの横でひとりにんまりしてしまったのであった。主人公たちは同じだけど活躍する世界が違うという構成も、昔のギャグマンガではよく使われた手法である。

大賀俊二監督。2000年日本映画。

2008年4月21日 (月)

それいけ!アンパンマン 人魚姫のなみだ (2000)

それいけ!アンパンマン 人魚姫のなみだ うずまき城に住む人魚姫のサニー(声:南果歩)は、浜辺に遊びに来ている子供たちを見て地上の世界にあこがれる。海の魔女が持っていた「紅色ひとでの髪飾り」で人間に変身したサニーはアンパンマン(戸田恵子)たちと楽しい時間を過ごすが、やがて海底では怪獣ゴロンゴラが目を覚まし…

 人気アニメーションであるアンパンマンの劇場版第12作。人魚姫を下敷きにした物語で、彼女が呪いのかかった髪飾りを持ち出したがゆえに怪獣が目を覚まし、さらにバイキンマンがその怪獣を操って悪巧みをするというストーリー。海をきれいにしているのがうずまき城だというのがさりげなくエコロジーな内容で、当然ながら海底の大冒険は美しくて夢がいっぱい。

 子供たちがずっと見ているアンパンマンを、腰を落ち着けてじっくり見たのは初めてなんだけど、なかなかストーリーが練られていて面白い。子供たちに安心して見せられる良作。

永丘昭典監督。2000年日本映画。

2008年4月18日 (金)

くまのプーさん 完全保存版II ピグレット・ムービー (2003)

ピグレット・ムービー はちみつをとろうとしていたプー(声:ジム・カミングス)、ティガー(ジム・カミングス)、イーヨー(ピーター・カレン)たちだったが、ピグレット(ジョン・フィードラー)のことはすっかり忘れていた。寂しくなったピグレットは家出してしまい、残されたプーたちはピグレットのスケッチブックを片手に彼を探しにいくのだったが…

 A.A.ミルンの名作童話のアニメ映画化…というよりは、ディズニーでは定番キャラクターであるプーとその仲間たちの映画。今回は人間の子供であるクリストファー・ロビン(トム・ホイートリー)の出番はほとんどなく、小さくてみんなから相手にされないピグレットにスポットを当てたストーリー。もちろんディズニー映画だけあって、後半にはピグレットが大活躍してスカっとさせてくれるのはお約束である。小さな子供にも安心して見せることができる。

 舞台も100エーカーの森にとどまらず、北極へ行ったり、大きな滝ではらはらどきどきさせられたりとなかなかのスケールの大きさである。残念ながら日本では劇場未公開。

フランシス・グレイバス監督。2003年アメリカ映画。

2008年4月17日 (木)

人間椅子 (2006)

人間椅子 編集社に勤める真里(宮地真緒)は、人気作家の今野佳子(小沢真珠)の担当となる。上司の小原(板尾創路)は彼女に1本何か書かせれば大成功だと言うのだが、実は彼女の部屋にはある秘密が…

 江戸川乱歩の短編小説の1本を映画化。女流作家には何かある、というのは冒頭のシーンから明白なんだけど、実はゴミマニアの真里だとか、常に甘い汁を吸っている小原などなど登場人物の奇妙な性癖が次々と明かされていく。いわゆるカルト映画のスタイルをとっているんだけど、異常な雰囲気意外は何も心に残らないのが辛いところ。

 人間椅子って発想は面白いんだけど、ビジュアルにするにはやっぱり無理があるみたいですね。あのスタミナジュースはどうやって飲んだんだろうかとか、排泄物はどうしてるんだろうって細かいことが気になって実はあんまり物語に集中できなかった。短編をここまで引っ張ったのが無理があるのかな。

佐藤圭作監督。2006年日本映画。

2008年4月15日 (火)

守護神 (2006)

守護神 伝説のレスキュー・スイマーのベン(ケヴィン・コスナー)は救難活動中に相棒を失い、静養をかねてレスキュー隊員の教官を命じられる。好きにやっていいという条件から実務中心の指導をするのだが、教え子のジェイク(アシュトン・カッチャー)と激しく衝突して…

 日本語タイトルにどうしても野球のストッパーを連想してあんまり期待もしてなかった映画だったんだけど、蓋をあけてびっくり。今時珍しい正統派のスポ根ものの作りに、珍しく熱くなって見てしまった。自己犠牲の海難救助というテーマは究極の体育会系ですね。さらに伝説の男が後継者を育てるという、映画としてはこれまた王道を行く内容。ワンパターンかもしれないけど、こういう映画はずっと作り続けてほしいなぁと思ったりいたします。

 嵐でも飛べるヘリというハイテク装備で救助に向かっても、結局救うのは荒れた海に飛び込んだ生身の人間…というのが象徴的です。

アンドリュー・デイヴィス監督。2006年アメリカ映画。

2008年4月14日 (月)

氷の微笑2 (2006)

氷の微笑2 小説家のキャサリン・トラメル(シャロン・ストーン)はサッカー選手とドライブ中に川に転落事故を起こす。ひとり助かったキャサリンは疑惑の渦中で、担当のウォッシュバーン刑事(デヴィッド・シューリス)に精神科医マイケル(デヴィッド・モリッシー)を紹介される。

 あのセクシーサスペンス「氷の微笑」の14年ぶりの続編。というか、今さらどうして…って思ったんだけど、ちゃんとシャロン・ストーン主演で役名も同じで正統派の続編を作っているあたりは評価できる。

 ただし時代が進んだせいか、彼女がいくらスクリーンから挑発してもそれほどのものを感じないのはつらいところ。14年を経て変わっていないシャロン・ストーンってのも凄いとは思うんだけどなぁ。前作では犯人をオブラートに包んだような部分があったんだけど、今回は冒頭から彼女ですってレッテル貼ってるようなもんだというのもやや減点。シャーロット・ランプリングが出ていたのはちょっとした収穫。彼女のセクシーシーン(笑)はありませんでしたが。

マイケル・ケイトン・ジョーンズ監督。2006年アメリカ映画。

2008年4月11日 (金)

ドルフィンブルー フジ、もういちど宙へ (2007)

ドルフィンブルー フジ、もういちど宙へ 沖縄美ら海水族館へ獣医としてやって来た植村一也(松山ケンイチ)。仕事は水槽掃除からイルカのエサ作りと単調な毎日に嫌気がさしている。ある日、ビッグマザーことイルカのフジの尾びれが壊死していることがわかる。手術で一命はとりとめたものの、尾びれを失って泳げなくなったフジのために、人工ヒレを作るプロジェクトが持ち上がる…

 実話を元にしたらしく、ストーリー的には単調なんだけど何だか心に残るいい映画。たぶんイルカと海と沖縄というのが、思いっきり癒しなんだろうね。主演の松山ケンイチも今時の若者ながらも等身大に頑張ってていい感じだし、脇を固める山崎努、永作博美、坂井真紀なんかもみんな存在が癒し系。

 フジのために尾びれをつくってあげるブリジストンって、めちゃめちゃいい会社やんと思ってしまった。次にタイヤを買う時はブリジストンにしよっと。

前田哲監督。2007年日本映画。

2008年4月10日 (木)

レミーのおいしいレストラン (2007)

レミーのおいしいレストラン 長年居候していた住み家を追い出されたねずみのレミー(声:パットン・オズワルト)は家族とはぐれてパリのレストランに流れ着く。元々味覚が鋭く、シェフ希望のレミーは下働きでドジなリングイニ(ルー・ロマノ)を助けてスープを作るのだったが…

 ネズミが人間と二人三脚で絶品の料理を作る、というディズニー=ピクサー製作のCGアニメ。厨房にねずみという取り合わせもさることながら、帽子に隠れて人間を操るというアイディアには脱帽もの。さらに「誰でも名シェフ」なんて哲学的テーマも持ってたりして、子供向けかと思ってあなどっていたら痛い目にあいそうな、なかなかしっかりした作品である。

 ふかふかしたレミーは可愛くて、途中でCGだということを忘れてしまったほど。くるくる展開する画面も美しく、パリの夜景シーンなんかは本物そっくりで雰囲気たっぷり。ふるさと料理(ソウルフード?)攻撃ってオチは、日本の料理コミックでは常套手段ですね。

ブラッド・バード監督。2007年アメリカ映画。

2008年4月 8日 (火)

ALWAYS 三丁目の夕日 (2005)

ALWAYS 三丁目の夕日 昭和33年の東京。集団就職で上京してきた六子(堀北真希)は小さな修理工場の鈴木オートに住み込みで勤める。大企業に勤めることを想像していただけに、そのギャップにあぜんとする六子だったが、就職先の家族(堤真一、薬師丸ひろ子)や向かいに住む小説家の茶川(吉岡秀隆)とやがてうち解けていくのだったが…

 西岸良平のコミックを映画化。日本アカデミー賞を総なめにした話題作を今さらながらに鑑賞。東宝スコープのタイトルからはじまり、作りかけの東京タワー、レトロチック満載の合成画面にこりゃ凄い…と思わされたけど、映画のストーリーもなかなかのレトロ仕立てで途中からは古い邦画を見ているような錯覚まで感じてきた。泣き笑いの落としどころまでそのまんま古い邦画。これなら古い名作を見てても一緒…なんて思いながらも、今を感じさせてくれるのは古い風景やアイテムの数々を思い入れたっぷりに見せてくれるあたりでしょう。

 行き場を失った子供をめぐる家族再生のエピソードは、映画では何回も何回も描かれたことだけど、それでも泣けてしまうしカレーライス食べてる絵を見てうるうるきてしまった自分が悔しいぞ。万年筆のエピソードなんかも、最近忘れてしまっているプレゼントの本質を突いていて考えさせられます。六子も大企業に就職するより、何倍も幸福だったんじゃないかと思わされる。さらに余韻を残すラストだけに、こりゃ続編が見たくなりますね。

山崎貴監督。2005年日本映画。

2008年4月 7日 (月)

小さき勇者たち ガメラ (2006)

小さき勇者たち ガメラ 母親を亡くした透(富岡涼)は志摩に住む少年。それでも父親の孝介(津田寛治)、隣に住む麻衣(夏帆)といつもどおりの夏を過ごしていたのだが、ある日離島で不思議なカメを拾う。カメはどんどん大きくなり、ついに空を飛ぶのだったが…

 浦島太郎…というか、ウルトラQにも似たようなエピソードがあったような記憶があるが、育てたカメがガメラに育ってしまった…というお話。大人向けのマニアックな平成ガメラシリーズから軌道修正したのか、子供が見て楽しめるガメラというわけでなかなか夢のあるストーリーである。特にラストの子供たちがいっぱい登場してのフィナーレは見ながらちょっとうるうるきてしまった。いい話である。

 コワモテだったガメラが、優しい顔つきになっているのが人によって好き嫌いはあるだろうけど個人的には良い感じ。逆に言うと、大人のマニアが見ても全然面白くないかも。あくまでも子供目線で楽しむ映画です。透と麻衣の関係も、初恋未満って感じでいいです。

田崎竜太監督。2006年日本映画。

2008年4月 6日 (日)

ハッピー フィート (2006)

ハッピーフィート 皇帝ペンギンのノーマ・ジーン(声:ニコール・キッドマン)とメンフィス(ヒュー・ジャックマン)の間に待望のベイビー(イライジャ・ウッド)が生まれる。マンブルと名付けられた彼は歌がとっても下手で、ついに仲間にも見放される羽目に。ところが彼の特技はタップダンスで、アデリー・ペンギンと組んで旅をすることになるのだが…

 ワーナー製のCGアニメで、監督はあのジョージ・ミラー。この手の映画というと動物たちが人間の町に住んでいたりとんでもなく世界が擬人化されたりしているものだが、この映画では風景はあくまでも南極であり記録映画を見ているかのような映像美。そこにしゃべり踊るペンギンたちがドラマを繰り広げるというのがとっても新鮮だった。ダイナミックなペンギンたちの群舞も、CGとは思えない大自然の光景もとっても大画面向け。珍しくプロジェクターで見たんだけど、すごくトクした気分にさせられた。

 歌は下手だけどタップがうまいペンギン。まさに「ありえね?」なんだけど、そこにドラマがあって親の葛藤と愛があってなかなか深い物語となっている。見てるととにかく「頑張れマンブル」と応援したくなっちゃいますね。

ジョージ・ミラー監督。2006年オーストラリア=アメリカ合作。

2008年4月 3日 (木)

スクリーム2 (1997)

スクリーム2 前作から2年、大学生となったシドニー(ネーヴ・キャンベル)だったが、あの凄惨な事件が映画化されると同時に再び連続殺人事件が起こる…

 元々3部作として用意されていたストーリーということで、取って付けたような続編でないところが売り。加えて、キャストがほぼ同じ俳優(私が覚えている限りですが)を使っているので違和感なく見ることができた。続編を作る時はこれは基本ですね(笑)。

 で、その内容は… 実は見終わってあんまり覚えてない。ただただ、登場人物たちの映画談義(続編がどうのこうの言うやつね)だけが頭に残っている。個人的にはどうでもいい映画の1本なんだけど、どうでもいいやって切り捨てることができないのはこのあたりのスパイスのきかせ方かもしれないです。

ウェス・クレイヴン監督。1997年アメリカ映画。

2008年4月 1日 (火)

007 カジノ・ロワイヤル (2006)

007 カジノ・ロワイヤル 2件の裏切り者の処刑を行い、00要員に昇格したジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)。彼の新しい任務は、テロリストの金庫番ル・シッフル(マッツ・ミケルセン)の資金を絶つこと。彼がモンテネグロのカジノ・ロワイヤルでポーカーの大勝負に出ることを知ったボンドは、対決を決意するのだが…

 ボンド映画21作目にして、原作では第1作にあたる「カジノ・ロワイヤル」を映画化。しかも映画のシリーズ自体をリセットしたかのように時は現代でありながらボンドは新任スパイである。

 この狙いは正解…というか、かなりマンネリ化して見るのがしんどかったボンド映画をすっかりリフレッシュしてくれた感じである。タイトルクレジットからエンディングまで、シリーズのお約束ごとを見事に踏襲しながらも、ひねりをきかせた演出は見る者をわくわくさせてくれる。

 何より嬉しかったのは、原作のプロットをかなり忠実になぞっているところ。カリブ海のナッソーやヨーロッパのカジノなど、原作によく登場するロケ地をたどりながら、メリハリのきいたアクション、今までだとおかずにしかすぎなかったカジノ勝負を中盤の見せ場にしたり、これまたお約束だったボンドの拷問などなど昔読みあさったイアン・フレミングの原作を思い出してものすごく懐かしい気分にさせられた。

 カジノ・ロワイヤルってデヴィッド・ニーヴンのパロディ版しか映画になってないので、ああいう原作だと思っている人も多いのではないだろうか。それをこれだけしっかりと映像化してくれたのはとっても嬉しいです。次回作の希望としては、「ムーンレイカー」か「私を愛したスパイ」あたりをこのノリで撮ってもらいたいもんです。

マーティン・キャンベル監督。2006年アメリカ=イギリス合作。

2008年3月31日 (月)

トランスフォーマー (2007)

トランスフォーマー カタールの米軍基地が、ヘリに変身した謎の敵に襲われて壊滅する。同じ頃、アメリカ国内に住む高校生のサム(シャイア・ラブーフ)は父親から初めての車をプレゼントされようとしていたが、彼が手に入れたスポーツカーはなんとロボットに変身する能力を持っていた…

 日米合作アニメをマイケル・ベイとスピルバーグが実写映画化。となると当然ジェットコースタームービーで、スピーディーな演出で中盤からは走る走る。でも走る距離がちょっと長すぎたのか、ほとんどラストでは見ていて食傷気味になってしまった。ジェットコースターは適度な長さが良いような気がする。

 話題と言えば車からロボットに変身するトランスフォーマーたちだけど、こちらも変身速度が目にもとまらぬほど速くて一体何が起こっているのやらわからなかった。動体視力をもっと鍛えなきゃいけないのかな、なんて気にさせられる。まあのんびり変身なんかしていたら、その間に敵にポコンとやられて一巻の終わりかもしれませんが。

 あれ、ストーリーに関して書くのを忘れていた。というか、あまり書くことがない。

マイケル・ベイ監督。2007年アメリカ映画。

2008年3月29日 (土)

ロスト・イン・スペース (1998)

ロスト・イン・スペース 2058年、環境破壊の進む地球から離れて人間の住めるアルファ・プライムにハイパースペースの基地を作るために、冷凍睡眠で50年の旅に出たロビンソン一家(ウィリアム・ハート、ミミ・ロジャース、ヘザー・グレアム、レイシー・シャベール他)。ところが宇宙船ジュピター2号に反乱軍のスパイであるドクター・スミス(ゲイリー・オールドマン)が乗り込んでいたがために、軌道を離れて宇宙の迷子になってしまう…

 往年のテレビドラマ「宇宙家族ロビンソン」の映画化。最新SFXを使った上に、ものすごくポップな映像をプラス。珍しく当時のテレビを見ていた世代としては、これは違うぞという違和感と懐かしさが同居する不思議な感覚に襲われた。とはいってもこのシリーズ、冒頭と最後のエピソードは見ていないので、ははぁこういうふうにお話は始まったのかとちょっと嬉しくなったりもしたのだが。

 テレビ版では強烈にアクの強い「ドクター・スミス」ってキャラが、ゲイリー・オールドマンが演じているのにもかかわらず普通に感じてしまったのはどういうものなんだろうか。逆に優等生的なペニー(テレビ版ではアンジェラ・カートライトですね)が現代風のヤンキー娘になってしまってるのも面白かった。ロボットのフライデー(本名はそのまんま「ロボット」らしい)はまたまた字幕では「フレンドリー」なんておかしな名前が付けられているのは笑った。途中からオリジナルに近い風貌に改造されるのはいいね。

 中盤以降のストーリーもクモ軍団の襲撃という、オリジナルっぽいエピソードがはさみこまれて楽しめる作り。ピンチになってハイパースペースへ飛び込んで切り抜けるというアイディアも良い。で、彼らはどこへ行ってしまったのか。自作が映画化できないようなところへ「迷子」になっちまったのかな。

スティーヴン・ホプキンス監督。1998年アメリカ映画。

2008年3月28日 (金)

スクリーム (1996)

スクリーム 女子高生キャシー(ドリュー・バリモア)のところにいたずら電話がかかってくるが、相手をしている間に恋人ともども惨殺される事件が起こる。同じ高校のシドニー(ネーヴ・キャンベル)は母親を亡くした心の傷をかかえていたのだが、彼女のところにも謎の電話がかかってきて…

 ヒットしたホラー映画を今さらながらに初見。これは幽霊とか化け物が登場するタイプの映画ではなくて、仮面をかぶった生身の人間が暴れるタイプのサスペンス映画。しかしスプラッター映画に分類されるだけあって、血のシーンはなかなか気合いが入っています。

 特筆すべきはコメディ的な要素が強いところで、登場する学生たちが過去のホラー映画を分析したり、生き残るための条件を物知り顔で語るシーンは爆笑もの。このあたりのさじ加減は絶妙で、B級映画ながらもにくめない作品といった印象が残ります。マスクの形相も、何となくなさけない顔だしねぇ。

 しかしこの結末は凄い。仮面をかぶった殺人鬼なわけだから当然犯人がいるわけだけど、お互いを自虐的にぶすぶすとやりあうシーンなんてかなり危ないものを感じてしまいました。間違いなく子供には見せたくない映画かな。

ウェス・クレイヴン監督。1996年アメリカ映画。

2008年3月27日 (木)

ホリデイ (2006)

ホリデイ ロンドンに住む新聞記者のアイリス(ケイト・ウィンスレット)はボーイフレンドの婚約でショックを受ける。一方、ロサンジェルスで映画予告編の編集を仕事とするアマンダ(キャメロン・ディアス)は同棲中の彼氏の浮気でけんか別れ。気分を変えたい二人は、ネットで家を交換(ホーム・エクスチェンジ)するサイトで知り合ってさっそく実行に移すことになったのだが…

 ちょっと前にはメールで恋を育むラブストーリーがあったけど、今回は一歩進んで掲示板からお互いの家を交換するという話。当然のことながら彼女たちのまわりには取り巻きの人々がいるわけで、アイリスは愉快なマイルズ(ジャック・ブラック)に、そしてアマンダはハンサムだけど理由ありのグラハム(ジュード・ロウ)と恋に落ちる。とはいってもロスとロンドンの郊外というお互いの旅先での話。しかもしっかりとした仕事を持っている彼女たちだけに、どういったオチが付くんだろうかと見守ってたんですが…う?ん、いい話ですね(笑)。クリスマスに見る映画にはぴったりです。

 キャメロン・ディアスとケイト・ウィンスレットってまったくタイプが違う女優さんなのに、どちらもものすごく庶民の女の子しているところが好感が持てます。最近では「ナチョ・リブレ」の印象が強いジャック・ブラックもちゃんと恋ができるんだって感心。ジュード・ロウは娘たちが可愛いです。

ナンシー・マイヤーズ監督。2006年アメリカ映画。

2008年3月22日 (土)

テキサス・チェーンソー・ビギニング (2006)

テキサス・チェーンソー・ビギニング 1969年のアメリカ。徴兵されたエリック(マット・ボーマー)と弟のディーン(テイラー・ハンドリー)は、それぞれ恋人のクリッシー(ジョーダナ・ブリュースター)とベイリー(ディオラ・ベアード)を連れてテキサスを車で旅する。ところが事故にあい、迷い込んだのは偽保安官のホイト(R・リー・アーメイ)やレザーフェイス(アンドリュー・ブリニアースキー)の住む家だった…

 ホラー好きの方だったら定番とも言える「悪魔のいけにえ」こと「テキサス・チェーンソー」の1本。実はこのシリーズ、oga.はまったく未見でジェイソンやフレディのようにひとりの殺人鬼が暴れまくるものかと思っていたので、家族でイカレポンチという設定にはいやはや面食らってしまった。しかもビギニングということで、冒頭からレザーフェイスの誕生秘話…これがまたエグイ、エグイ。このところスプラッター映画とはご無沙汰だったせいか免疫が低下(?)しており、いやはや気持ち悪くなってしまった。

 ストーリーは密室型のホラーであり、その閉塞感や絶望度というものは凄い。これ見てると、エリシャ・カスバートの「蝋人形の館」なんてのんびりした映画だったなぁと思えてくる。さらに危機管理として、こういう状況にならないようにするには…なんて考えてしまった。今なら携帯も発達しているので、圏外へ行かない限りは何とかなるかもしれませんが。

ジョナサン・リーベスマン監督。2006年アメリカ映画。

2008年3月20日 (木)

アンドリューNDR114 (1999)

アンドリューNDR114 近未来、リチャード(サム・ニール)はロボットのアンドリュー(ロビン・ウィリアムズ)を購入する。ぎくしゃくしながらもうち解ける娘のアマンダ(エンベス・デイヴィッツ)だったが、やがて成人して結婚することになり…

 クリス・コロンバス監督ってことで、ファミリー向けのロボット映画かと思っていたら思わぬ大河ドラマだったのでびっくらこいてしまった。よく見るとこれ、アイザック・アシモフの原作なわけで、ロボット三原則からはじまってロボットが人間になりたいと思ってやがて実行していく様子が丹念に描かれます。長尺なんだけど、なんせ描いている時間が200年だもんで駆け足に感じてしまうそんな映画。

 ロビン・ウィリアムズ演じるアンドリューってロボットが全然かっこよくなく、かといって可愛くもないのがミソ。それでも父親役のサム・ニールが気に入っているのに、奥さんが斜めに構えて見ているあたりは何やら自分の家を見ているようでひきつり笑いをしてしまいました。

 ロボットが人間に恋愛…気分的に素直に受け入れられないのは何でだろう。やっぱりロボットの感情=プログラムといった割り切りが自分の中にあるからでしょうね。馬の置物や看護婦ロボットのからむエンディングは十分に感動的だったんだけど、素直にのめりこめなかったのはそのあたりの先入観がからんでいるせいでしょう。いい映画だとは思うんだけどなぁ。

クリス・コロンバス監督。1999年アメリカ映画。

2008年3月19日 (水)

バベル (2006)

バベル モロッコを旅行する観光バスに銃弾が撃ち込まれる。アメリカ人女性スーザン(ケイト・ブランシェット)が被弾して、彼女は夫(ブラッド・ピット)と共に近くの村へ。同じ頃にアメリカでは彼らの子供たち(ネイサン・ギャンブル、エル・ファニング)が家政婦(アドリアナ・バザーラ)に連れられてメキシコの結婚式へ行く。日本では聾唖の女子高生チエコ(菊地凛子)が、友人たちと街へ繰り出していた…

 モロッコ、メキシコ、日本を舞台にした3つのストーリーが1発の銃弾を軸にして交差する、アカデミー賞ノミネートの話題作。それぞれのストーリーがものすごく面白い上に、どうなるんだって思った部分で別のストーリーに切り替わるというなんとも確信犯的な編集のおかげで、最後まで息をつく暇もなく見てしまった。それだけに突き放したかのようなラストは、急に目の前に崖が現れたかのような喪失感を感じてしまったぞ。裸で父(役所広司)と抱き合うチエコって一体何だったんだろう。

 思えばチエコの壊れ具合ってのは尋常でなく、日本の女子高生ってみんなこんなだと思われたらちょっと困るとか、あるいは都会(東京?)はこんなレベルまでいっちゃてるんだろうかっていう不安とかいろんなものを感じさせられてしまった。一昔前だったら「こんな女子高生いない」って切り捨ててたところだろうけど、今だと「いるかもしれない」という気分になってしまうんですよね。

 メキシコパートは一番メッセージ性が薄かったように思います。モロッコは、息子たちにライフルを渡す時にきちんと教育しなかった父親の責任でしょう。チエコの父ヤスジローはモロッコのガイドに猟銃をプレゼントしたと言ってたけど、猟銃の国外持ち出しだけでも大変そうなのに人にあげて帰ってくるなんて日本では不可能なんじゃない、なんて思ってしまった。

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督。2006年アメリカ映画。

2008年3月17日 (月)

ブラック・ダリア (2006)

ブラック・ダリア 1940年代のアメリカ。警察所属の名物ボクサーとして、チャリティーの試合を行うバッキー(ジョシュ・ハートネット)とリー(アーロン・エッカート)。リーはケイ(スカーレット・ヨハンソン)という女性と同棲しており、3人は共同生活をするようになる。やがて彼らの管区で腰から体を切断された若い女性の死体が発見される…

 世界一有名な死体…というわけで、ブラック・ダリア事件をモチーフにしたジェームズ・エルロイの原作をブライアン・デ・パルマが映画化。何とも複雑なストーリーで乗り切れないなぁと思ったら、やっぱり駄目だった「L.A.コンフィデンシャル」と同じ原作者ではありませんか。こりゃ苦手な原作者として記憶にとどめてしまうかもしれない。

 とはいってもすべり出しは面白くなりそうな映画で、警官のボクシング試合から死体が発見されるまでは雰囲気も満点でちょっと期待させられた。でもヒラリー・スワンクがからんできたあたりから事件が私の頭の中で迷宮入り(笑)。悔しいけどちゃんとストーリーが読めなくなってしまった。頭悪くなったんかなぁ… 大好きなスカーレット・ヨハンソンとか出てるんだけど、40年代メイクだと何か雰囲気違うぞ。

 迷宮入り事件の内幕って、意外とこういう「わかっていて隠された」ってのは多いような気がいたします。もう60年以上前の話なので、機密文章が解禁されたりしないのかなぁなんてちょっと期待したりもいたします。

ブライアン・デ・パルマ監督。2006年アメリカ映画。

2008年3月15日 (土)

エラゴン 遺志を継ぐ者 (2006)

エラゴン 遺志を継ぐ者 農夫の叔父と暮らしていた若者エラゴン(エド・スペリーアス)は山の中で青い石を拾う。中から生まれて来たのはドラゴンのサフィラで、すぐに成長した彼女はガルバトリックス王(ジョン・マルコヴィッチ)に囚われた姫アーリア(シエンナ・ギロリー)の声を伝える。やがてドラゴンライダーになるべくエラゴンは謎の戦士ブロム(ジェレミー・アイアンズ)と旅に出るのだが…

 クリストファー・パオリーニのファンタジー小説を映画化。ストーリーはスターウォーズのエピソード4をそのまんま焼き直したような印象で新味はないんだけど、ドラゴンの飛行シーンがとってもスリリングで楽しめるのが良い。ぜひ大画面で楽しみたい映画でしょう。

 アーリア姫のシエンナ・ギロリーがなかなか魅力的ですね。ブロムはもっと秘密をいっぱい持ってるのかと思ったけど、意外とひねりがなかった。ドラゴンはあの顔で女性の声ってのが違和感あるぞ。

シュテフェン・ファンマイアー監督。2006年アメリカ映画。

2008年3月13日 (木)

シャーロットのおくりもの (2006)

シャーロットのおくりもの 少女ファーン(ダコタ・ファニング)の住む農場に11匹の子豚が生まれる。ところが一番小さなウィルバー(声:ドミニク・スコット・ケイ)をファーンが救ったことから、彼女が飼うことになるのだが…

 E・B・ホワイトの童話を映画化。というか有名な話なのか、蜘蛛のシャーロット(声:ジュリア・ロバーツ)と子豚が仲良くなる絵柄をどこかで見たような記憶がある。蜘蛛の運命はなんとなくわからないでもないけど、そういう話だったわけですね。言うならば蜘蛛版の葉っぱのフレディ(笑)。

 雰囲気としては「ベイブ」を彷彿とさせるモノがあって、ダコタ・ファニングが思ったほど活躍しないのが気になった。それもそのはず、ネズミの声がスティーヴ・ブシェミとか、馬がロバート・レッドフォードとか、牛がキャシー・ベイツなんてわからないところに大物スターを使っているところがさりげなく豪華でいいです。

 でも肝心のストーリーは、思ったほどは盛り上がらなかったのが残念。ウィルバーが心優しいだけで、頑張るシーンがあんまりなかったのが敗因かも。

ゲイリー・ウィニック監督。2006年アメリカ映画。

2008年3月10日 (月)

普通じゃない (1997)

普通じゃない 小説家を夢見ながらビルの掃除人をしている心優しいロバート(ユアン・マクレガー)だったが、突然解雇されたことをきっかけに社長の娘(キャメロン・ディアス)を誘拐する羽目になる。ところがそこへ二人をカップルにするためにやってきた天使(ホリー・ハンター、デルロイ・リンドー)がからんだために事件はおかしな方向へ…

 ハリウッド映画らしからぬすべり出しに、こりゃ絶対にイギリス映画だと思って見ていたら…なんと監督だけがイギリス人だったわけね。いきなり天使の真っ白い世界からはじまって、キャメロン・ディアスがプールで泳ぐシーンへつながるあたりには「この映画ダメかもしれない」という危機感を感じてしまったんだけど、主人公二人とホリー・ハンターがからむあたりからがぜん面白くなってきて最後まで一気に見てしまいました。

 ホリー・ハンターってやっぱこういう役がぴたっとはまる貴重な女優さんです。主演の二人が普通でないのは、二人の男女の役割が逆転してるから? いえいえ、それは最近では普通のことでしょう。

ダニー・ボイル監督。1997年アメリカ映画。

2008年3月 8日 (土)

ディパーテッド (2006)

ディパーテッド ボストンで警官を目指すビリー(レオナルド・ディカプリオ)は親類に犯罪組織の者がいることから、身分を隠した潜入捜査員にされてしまう。一方マフィアのボスのコステロ(ジャック・ニコルソン)に育てられたコリン(マット・デイモン)は警察官になるが実はマフィアのスパイである。そんな二人がやがて対決することに…

 ご存じ香港映画「インファナル・アフェア」にハリウッド版リメイクで、なんとアカデミー作品賞まで穫ってしまった映画。犯罪映画あるいはギャング映画としてそれなりに面白い作品ではるが、「なぜこれが?」という疑問はないわけではない。見るべきものといえば相変わらず怪演を繰り返すニコルソン、めちゃ貫禄が出てきたアレック・ボールドウィンをはじめとする豪華キャストかもしれないけど…意外と深みがない展開は悲しいところである。

 実は個人的には、「インファナル・アフェア」もあんまり評価していなかったりする。一番の敗因は、二人の立場を正確に理解するのが難しくて途中でこんがらがってくるストーリー(笑)にあるような気がする。だいたい二人とも同じ警察学校の出身で、気の持ちようによって好きな方向へ転がって行ける人生である。そのあたりの気持ちを正確にくみとるのは、なかなか骨の折れる作業である。

 それにしても… ふてぶてしくも生き抜いていく登場人物たちだけど、ラストのあのあまりのあっけなさが印象に残るといえばとっても残る。これは原作になかった部分かな。ディパーテッドは決して無間地獄では無いようである。

マーティン・スコセッシ監督。2006年アメリカ映画。

2008年3月 7日 (金)

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン (2007)

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン 1960年代の筑豊。乱暴者のオトン(小林薫)の元を出たオカン(内田也哉子・樹木希林)とボク(オダギリジョー・谷端奏人・田中祥平・冨浦智嗣)は二人暮らし。女手一つで育てられたボクは東京の美術大学に入り、怠惰な生活をおくる。どうにか卒業したボクはふくらんだ借金を返す決意をするのだったが…

 リリー・フランキーのベストセラー小説を映画化。日本アカデミー賞作品賞をはじめ、主要な賞をとった話題作。なるほど男なら郷愁を呼びそうなストーリーだけど、思ったほど感情移入できなかったのはすっかり固定イメージが出来上がってしまっている樹木希林が主演のあたりかもしれない。初共演というか、実娘の内田也哉子と二人一役を演じるのは雰囲気ばっちりだったし、内田也哉子も存在感抜群で良かったのだが。

 本当に時々出てくるオトンもいい味出してますね。突然キレる親父ってのも、ある意味懐かしい。この二人(三人)にとって、異国の地の東京、そして東京タワーってのは一体何だったんだろう?

松岡錠司監督。2007年日本映画。

2008年3月 6日 (木)

パッチギ! LOVE&PEACE (2007)

パッチギ! LOVE&PEACE 東京へ移り住んだアンソン(井坂俊哉)、妹のキョンジャ(中村ゆり)、息子のチャンス(今井悠貴)たち。ところがチャンスの病気が悪化して、キョンジャはスカウトされて芸能界入りを決意。アンソンも駅の乱闘で知り合った佐藤(藤井隆)とやばい商売に手を出そうとするのだが…

 あの「パッチギ!」の続編なんだけど、キャストががらっと入れ替わって別物のような作品になってしまった。もっとも前作を見てから時間があいているのに加えて復習もしなかったので不思議と違和感はなかったのだが。

 それにしても、笑いも乱闘も涙をツボを得たというか、はからずも後半ほろりとさせられてしまった。この映画の絶妙さは、在日韓国人の目線で、当時の日本人を悪者に描きながらも、佐藤という存在がスパイスになって日本人が見ても感動できる内容になっているところではないでしょうか。

 加えて、当時の文化が散りばめられていて懐かしい気分にさせられるのも良いです。スター水泳大会なんてすっかり忘れてたけど、子供の頃は確かにどきどきしながら見てました(笑)。

 キョンジャが舞台挨拶でカミングアウトした後に、お涙頂戴になって終わるのが従来の日本映画かもしれないけど、そこに大乱闘を入れるのが井筒流かな。このあたりのさじ加減にもうならさせられました。

井筒和幸監督。2007年日本映画。

2008年3月 4日 (火)

紙屋悦子の青春 (2006)

紙屋悦子の青春 太平洋戦争末期の鹿児島。両親を失い兄夫婦(小林薫、本上まなみ)と暮らす悦子(原田知世)に縁談がやって来る。相手は、悦子が密かに思う幼なじみ明石少尉(松岡俊介)の友人永与少尉(永瀬正敏)。やがてお見合いの日がやって来たのだったが…

 黒木和雄監督の遺作。何とも枯れた味わいがあっていい映画である。一見とんでもなく地味に思えるんだけど、これだけのゆったりと流れる時間はテレビドラマには似合わない。まさしく黄金期の日本映画を思わせるものがある。

 原田知世、松岡俊介、永瀬正敏といった登場人物たちの話の間の取り方が絶妙である。みんな口べたで、初対面に近い相手と何を話していいのかわからないとまどいがスクリーンの中からびしばしと伝わってくるのが良い。その裏で、戦争の影がひたひたと迫ってきて、たまらない気分にさせられる。戦場のシーンなんて一切ないのに、戦争を感じさせてくれる。凄い映画だと思う。

黒木和雄監督。2006年日本映画。

2008年3月 3日 (月)

日本以外全部沈没 (2006)

日本以外全部沈没 2011年の近未来。アメリカ大陸を皮切りに、日本以外の国がことごとく海中に没してしまう。当然、日本は外人でごった返し、日本人は次第に傲慢になっていくのだったが…

 小松左京の「日本沈没」を原典にパロディ化した筒井康隆の短編を、河崎実監督が映画化。ただしパニック映画を期待したら絶対に外されるゆるギャグが満載のブラックな作品。カルト作品の「電エース」が出てきたり、こりゃ内容的にはすっかり河崎ワールドになっていて、あの世界が好きでなければちょっとおすすめできないかも。ちなみに私は…ちょっとダメかもしれない。最後まで見るのがしんどかった。

 とはいっても、パロディとしてはなかなかの一級品で、各国元首脳が集まるバーの雰囲気なんてのは面白い。日本の面積じゃ、あれだけの外国人が詰めかければ食料の自給自足なんて絶対にできないでしょうね。

河崎実監督。2006年日本映画。

2008年2月26日 (火)

インビジブル2 (2006)

インビジブル2 とある殺人事件の捜査に当たるはずだったターナー刑事(ピーター・ファシネリ)だったが、現場から閉め出されてある女性科学者(ローラ・レーガン)の警護を命じられる。実は彼女はライズナー研究所で、透明人間の抑止薬の開発にかかわった人物だった…

 あのポール・ヴァーホーベンの透明人間映画「インビジブル」のずいぶん久々に登場した続編。とはいってもスケールダウンした「何じゃこりゃ」続編の1本で、ずいぶんと退屈な内容なので覚悟して見た方がいいかもしれない。

 軍がからんで透明人間の争奪戦になるといったあたりや、最後の透明人間同士の戦いとか面白くなりそうな要素を含みながら、見事に大コケ。しかも透明人間の正体はクリスチャン・スレーターだってのがこれまた泣かせてくれる。ほとんど出番がないので、ゲスト出演にはぴったりってところかも。

 こうして見ると、透明人間をスプラッティ映画に仕上げちゃったバーホーヴェンの功績ってのは意外と大きかったんじゃないかと思ってしまいます。

クラウディオ・ファエ監督。2006年アメリカ映画。

2008年2月25日 (月)

東京タワー (2004)

東京タワー 41歳の人妻詩史(黒木瞳)はCMプランナーを夫(岸谷五朗)に持ち、自身もショップ経営を行い不自由ない暮らしをしているが、学生の透(岡田准一)と恋愛中。一方、透の友人耕二(松本潤)も、人妻喜美子(寺島しのぶ)と危ない恋に落ちるのだったが…

 江國香織の原作を映画化。ダブル不倫を描いた物語で、雰囲気は一時期のトレンディドラマを思わせるんだけど内容はどろどろ、こってりと強烈である。黒木瞳はまぁイメージぴったりだなって思わされる内容なんだけど、凄いのはノーマークだった寺島しのぶ。フラストレーションためまくりの家庭の主婦がとってもリアルで、場面によってはぞくぞくさせられた。

 とはいっても、男目線ではどういうふうにこの映画を見たらいいのか困ってしまうのも正直なところ。岸谷五朗のCMプランナーは浮世離れしていてどうでもいいとしても、寺島しのぶの方は何か一歩間違えば…みたいな危うさを感じさせてくれる。

 ところで狂言回しみたいに使われる東京タワーって一体? ラストシーンはパリでエッフェル塔になっちゃうところは、どういう意味なんだろう。

源孝志監督。2004年日本映画。

2008年2月23日 (土)

マレーナ (2000)

マレーナ 第2次対戦初期のイタリア・シチリアの小さな村。少年レナート(ジョゼッペ・スルファーロ)は村中の男が憧れている人妻マレーナ(モニカ・ベルッチ)を見て一目惚れする。戦地へ行った夫を待つマレーナに、レナートは仲間たちと共につきまどうのだが…

 ジュゼッペ・トルナトーレ監督、エンニオ・モリコーネ音楽というシネパラのコンビ作なので、期待して…というよりはあれ以上のものではないだろうと斜めに構えて見たのが良かったのか、結構面白かった。イタリア版「おもいでの夏」かな、と思える冒頭だったけど、話は思わぬ方向へ転がっていって目が離せない1時間半。オブラートにくるんだかのようなシネパラ2時間版が好きなoga.としては、やっぱ本当のトルナトーレの世界ってのは妙な生々しさを伴ったシネパラ3時間版なんだと確信した。それはそれでいいんだけどね。

 それにしても…モニカ・ベルッチって凄い。イタリアの宝石なんて呼ばれてるそうだけど、綺麗なんて言葉が陳腐に思えるほど。加えてトルナトーレ監督はやっぱり女性を撮るのがうまい。根っからの女性好きなんじゃないかと思えてしまいます。

ジュゼッペ・トルナトーレ監督。2000年イタリア=アメリカ合作。

2008年2月21日 (木)

殯(もがり)の森 (2007)

殯(もがり)の森 奈良の老人ホームに住む、妻を亡くした老人しげき(うだしげき)。新任の介護士の真千子(尾野真千子)も息子を亡くした過去をかかえながらここに勤めているのだが、ある日しげきを妻の墓参りに連れて行った途中で車が脱輪。しげきの姿を見失ってしまう…

 カンヌ映画祭審査員特別グランプリを受賞した河瀬直美監督の話題作。この人の映画って、本当に時間がゆったりと流れていく感じで、難しいテーマを扱っているのにかかわらずあまり肩に力を入れずに見られるところがいい。というか、ゆったりとこの世界に身をゆだねるという鑑賞方法ができるのが好きだ。特に後半に登場する、もがりの森の風景には、内容は激しいドラマにもかかわらず気持ちが癒されるものがある。

 主演の二人(うだ、尾野)はほとんど演技経験がないらしいんだけど、まったく素人くさくなくこの世界の住人になりきっていることが凄い。妻を失った老人と、息子を失った母の気持ちが段々かぶっていくところが見事。

河瀬直美監督。2007年日本=フランス合作。

2008年2月18日 (月)

父親たちの星条旗 (2006)

父親たちの星条旗 太平洋戦争末期の硫黄島の戦いで、上陸した米兵6名(ライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォード、アダム・ビーチ他)が鉢伏山の頂上に星条旗を立てる。このニュース写真が米国本土でブームとなり、生き残って帰国した3名は熱狂的に受け入れられるのだが…

 写真に写る兵士のひとりの息子ジェームズ・ブラッドリーの原作を映画化。硫黄島2部作の第1作で、アメリカ側の視点から硫黄島の戦いを見た作品。とはいっても日本編の「硫黄島からの手紙」と違うのは、テーマが戦闘だけではなく帰国した彼らがヒーローとして祭り上げられ戦時国債を集めるためのキャンペーンにかり出されるところを描いているパートが半分以上を占めているところ。いい意味で予想を外されはしたのだが、このあたりのストーリーは意外と地味で思ったよりも退屈してしまった。イーストウッドの映画には最近こういう傾向が強いような気がする。

 とはいっても、あの物量の国アメリカでも戦争を継続する金に困ってこういうキャンペーンをやってた、なんてのは知らなかったし驚いた。ハリボテの鉢伏山を前に「これぞショービズだよ」なんていう台詞が飛ぶのは奇異ではあるが、やはりアメリカって凄いなんて感想を持たざるをえない。なお製作はスティーヴン・スピルバーグ。

クリント・イーストウッド監督。2006年アメリカ映画。

2008年2月16日 (土)

英雄の条件 (2000)

英雄の条件 中東のイエメンで大使館がデモ隊に包囲される事件が起こり、海兵隊のチルダース大佐(サミュエル・L・ジャクソン)は部下を率いてムーラン大使(ベン・キングズレー)の救助に向かう。ところが狙撃兵からの執拗なる射撃についに応戦、83人の市民が亡くなり、チルダースは軍事裁判の弁護士を旧友のホッジス大佐(トミー・リー・ジョーンズ)にたのむのだったが…

 一般市民を戦闘に巻き込み83人の犠牲者(米軍は3人)の責任を問う軍事裁判を描いたシリアスな戦争ドラマ。戦争の英雄と虐殺者は紙一重…というのがテーマのようで、発砲は正当だったのか?実際はどうだったのか?が繰り返し問われるストーリー。でもやっぱり戦争は戦争、人が人を殺す行為に変わりないというわけで、映画の上では事件の白黒はいちおう付けられてるんだけど、なんともすっきりしない幕切れはいろいろと尾を引きそうな内容となっている。原作はジェームズ・ウェッブの小説で、「エクソシスト」のウィリアム・フリードキン監督。

 映画はベトナム戦争からはじまり、問題の戦争シーンが冒頭に描かれるんだけど見ていて「なぜ狙撃兵をまず攻撃しなかったのか」というのは頭にずっとつきまどった。もうひとつ、狙撃兵があれだけばんばん撃ってきても意外と人には当たらなく、海兵隊が落ち着いて行動しているのも印象に残る。あの状況だったら威嚇射撃とかいろんな手段が残されてたはずだけど…映画のこちら側から見てても何かヘンである。深読みすべき映画なのかよくわからないけど、これって軍をよいしょしながらも暗に反戦映画なんじゃないかな、なんて思ってしまった。

ウィリアム・フリードキン監督。2000年アメリカ映画。

2008年2月 9日 (土)

クレオパトラ (1963)

クレオパトラ 紀元前48年、ローマの将軍シーザー(レックス・ハリソン)は、国交交渉のためにやってきたエジプトで王妃クレオパトラ(エリザベス・テーラー)を一目見て恋に落ちる。やがてローマへ凱旋帰国したシーザーとクレオパトラだったが…

 クレオパトラの半生を絢爛豪華に映画化した、ハリウッド全盛期の1本。しかし…「ベン・ハー」みたいな波瀾万丈な物語を期待してしまったがために、スカーンと肩すかしをくってしまった。これはあくまでも、荘厳な台詞回しをこれまた絢爛豪華なセットととんでもない数のエキストラで描いた、舞台劇みたいなものだと痛感した。肝心のセットも、豪華なんだけどいかにも作りましたといった雰囲気をただよわせていて(地面が真っ平らで書き割りが多用されているせいでしょうね)気になってしょうがなかった。

 映画を見ている限りは、前半はシーザーとの、後半はアントニー(リチャード・バートン)との恋物語が中心で生涯に2回結婚した人だったんだ…って思ったんだけど、調べてみると結婚相手は別にいて二人とも愛人だったらしい。映画ではそのあたりがばっさりと削られていて、2つの恋に揺れ動く女王というのがまことしやかに描かれている。確かにそうしないと、何時間かけてもこの物語は描き尽くせないだろうなと思われます。

 それにしても…4時間は長かった。6時間版ってのが本来の監督の意図したバージョンなんだそうですが。舞台劇風かと思いきや、アクティウムの海戦シーンはベン・ハー風のスペクタクルが楽しめます。

ジョゼフ・L・マンキウィッツ監督。1963年アメリカ映画。

2008年2月 5日 (火)

蒼き狼 地果て海尽きるまで (2006)

蒼き狼 地果て海尽きるまで 12世紀のモンゴル。隣国からさらってきたホエルン(若村麻由美)から生まれたテムジン(反町隆史)は、父が死んだ時に部下の裏切りにあう。やがて成人したテムジンは、婚約者ボルテ(菊川怜)を妻にむかえるのだったが…

 モンゴルを建国したジンギスカンを描いた森村誠一の原作を映画化。まさしく角川映画の再来といったところで、壮大なモンゴルの原野を舞台に大河ドラマが繰り広げられる。その雰囲気はNHKの大河ドラマにも似ているのはどうしてだろう。

 モンゴルの物語なのに、日本人俳優が演じてしかも全編日本語というのがどうにもなじめなくて、最後までひっかかった。ストーリーは敵国の母との間に生まれた主人公が、父を失い苦労をしながら徐々に頭角を現し、妻をめとって子供が生まれるのだが…と戦いを交えながらも刻一刻と状況がかわっていくのは主人公と共に人生を生きている気分になってくる。もうちょっとストーリーに深みがあったら、いい映画になったのになあと惜しまれる。

 モンゴルって本当に広いけど、大草原と人と馬とテントしかないってのが凄いぞ。

澤井信一郎監督。2006年日本=モンゴル合作。

2008年2月 4日 (月)

母の眠り (1998)

母の眠り ジャーナリストのエレン(レニー・ゼルウィガー)は、母ケイト(メリル・ストリープ)が余命いくばくもないことを知り介護のために長期帰省を決意する。ところが大学教授の父(ウィリアム・ハート)は自身は介護には乗り気でなく…

 ピューリッツァ賞作家アナ・クィンドレンの原作を映画化。主人公がジャーナリストということで、自伝とも言える内容なのでしょう。映画としては非常に地味な内容なんだけど、メリル・ストリープとレニー・ゼルウィガーが母娘を演じるというのはやっぱ半端なことではなく、中盤からは画面にぐいぐい引き込まれてしまいました。

 娘の回想という形式をとるんだけど…個人的には父親ウィリアム・ハートの態度がなんとも微妙。仕事に逃げてる、という姿勢があからさまに見てとれるんだけど、他人事じゃないよなぁと妙に感情移入してしまった。

 娘の視点ってのは、やっぱり鋭いなぁ。すべてを卓見している感じがする。

カール・フランクリン監督。1998年アメリカ映画。

2008年2月 2日 (土)

大奥 (2006)

大奥 若くして大奥総取締役となった絵島(仲間由紀恵)。彼女の後ろ盾は現在5歳の将軍家継の母月光院(井川遥)だった。ところがこれを良く思わない前将軍の正室天英院(高島礼子)は、歌舞伎役者の生島(西島秀俊)を使って彼女をスキャンダルに陥れようとする。

 大ヒットテレビドラマの映画化ということだが、有名(らしい)な絵島生島事件を背景にしているので特に予備知識なく楽しむことができた。要するに大奥の派閥争いで、色男の生島を利用してはめられた絵島の物語なんだけどどろどろとした背景があるだけに単に歌舞伎役者と恋に落ちただけでスキャンダルなの?と正直なところ拍子抜けした。

 こってりとした大奥の背景や、江戸をスクリーンに再現しているのはなかなかのもの。ストーリーも整理されていてわかりやすく、迷子になることはなかった。ラスト近くの高島礼子には、すごみを感じます。逆に倖田來未の主題歌は今風だけど映画の内容にしては軽すぎる感じがした。

林徹監督。2006年日本映画。

2008年2月 1日 (金)

着信アリ Final (2006)

着信アリ Final いじめから高校の修学旅行を欠席した明日香(堀北真希)。その一方でえみり(黒木メイサ)たち一行は船に乗り、韓国への修学旅行へ出かけるのだが、死の携帯電話の惨劇が再び広がる…

 第1作のメイキングで原作者の秋元康がパート50ぐらいまで作ると豪語していた着信アリシリーズだけど、あえなく第3作でファイナルとなったのが本作。もっともストーリーは趣向が凝らされており、いじめられっ子の復讐劇に加えて韓国ロケが盛り込まれている。しかし…話の展開が妙に軽く、あれだけ人が死んでるのに生徒たちは相変わらず韓国をうろうろしているのは何だかなぁ…

 究極は、ネットのメールを利用した悪霊退治。あれって一歩間違えばチェーンメールによるサイバー攻撃と変わらない。踊らされてメールを送りつけた人たちの方が何だかなぁと思ってしまった。

 ラストのもう一ひねり、ふたひねりある展開は悪くない。第1作の時のような、原作を読めなんて強引なものもなかったし。

麻生学監督。2006年日本映画。

2008年1月28日 (月)

トゥ・フォー・ザ・マネー (2005)

トゥ・フォー・ザ・マネー 膝の故障でフットボールをあきらめたブランドン(マシュー・マコノヒー)は、勤めていたスポーツ情報会社で抜群の試合予想の的中率を誇り、ウォルター(アル・パチーノ)にヘッドハンティングされる。やがて顧客を集めスポーツ賭博界を昇りつめていく二人だったが…

 冒頭からスポ根ものかと思いきや、実はスポーツ賭博映画だったというこの展開にはびっくり。驚異の的中率と言いながらも、やっぱりハイリスク・ハイリターンの世界だけに客層も尋常ではなく、かなりアブない目にあって彼らが得たものは…というのがメインストーリー。

 マシュー・マコノヒーを先頭に、社長をアル・パチーノ、その妻をレネ・ルッソと登場人物の濃さも尋常ではない。彼らがこってりと、成功やら家族やら恋愛やらを語るわけだからこれはねばっこい映画である。特にまくしたてるアル・パチーノはやっぱり彼のお家芸というか、見事としか言うほかはない。

 勝って負けてもめて落ちて…やっぱり最後の落としどころはそんなところになるんだろうなって、ちょっとほっとした。太く短く生きるのも大変です。

D・J・カルーソー監督。2005年アメリカ映画。

2008年1月24日 (木)

たそがれ清兵衛 (2002)

たそがれ清兵衛 幕末の東北は海坂藩。下級武士の井口清兵衛(真田広之)は病気で妻を失い、幼い二人の娘(伊藤未希、橋口恵莉奈)とボケの進む母を苦労して育てている。ある日友人の飯沼(吹越満)に、幼なじみの朋江(宮沢りえ)が酒乱の夫と離縁して実家へ帰っていることを聞く。その朋江の危機を、隠していた剣の腕前で救ったことが城内の噂になり…

 山田洋次監督初の時代劇とのことだが、制作年度を考えると昨今の心に残る元気な時代劇の走り、といった存在ではないだろうか。内容的には「武士の一分」なども含めて藤沢周平×山田洋次の3部作の第1作ということで、展開が非常に「武士?」と似ているのが面白い。下級武士が庶民と呼べるかどうかは難しいところだが、少なくとも苦労して生きていた人たちに焦点を当ててるのと、後半に妙にリアルな決闘シーンが用意されているのは共通項である。

 それにしても…宮沢りえがいい。息を吹き返したとはこのことかも。晩年の丹波哲郎のわけわからん説教も一見の価値があります。

山田洋次監督。2002年日本映画。

2008年1月23日 (水)

レッド・プラネット (2000)

レッド・プラネット 2050年、地球は汚染が進み、人類は火星に植物を繁殖させ人間が生きられる環境を作ろうとしていた。初の有人火星着陸を目指してボーマン船長(キャリー・アン・モス)以下6名のクルー(ヴァル・キルマー、トム・サイズモア、ベンジャミン・ブラット、サイモン・ベイカー、テレンス・スタンプ)が火星へ向かうのだが、もう少しのところで太陽フレアの影響で宇宙船は壊れてしまう…

 火星を舞台にしたサバイバルゲーム。宇宙船に残った船長と、着陸した5人のクルーに次から次へと危機が訪れて、一体誰が生き残るんだといった極限の物語。着陸船がエアバッグで着陸するあたりは当時の無人探査船と同じでなかなかリアルな描写。おまけに救助は絶対に来ないという火星という場所で、手近に転がっているものを足がかりに生き残ろうとする姿は説得力抜群。このところどうして有人宇宙探検が停滞しているのか、という理由がよくわかる映画だ。

 しかし考えたら、火星(地球とほぼ同じ大きさ)に藻を移植して酸素を作るよりも、地球環境を浄化するほうが難易度的にはまだ低いんじゃないか、なんて思ってしまった。仮にうまくいったとしても、片道半年の距離を人類がぽこぽこ移住して、大気がまたまた不安定になっちゃったらどうするつもりなんだろう。

 私事だけど、DVD発売時にデモDVDが手元にあり、試用レポートなどでオープニング部分を繰り返し見たけど、火星に着陸してから先はどうなるか知らずにずっと気になっていた映画。やっとのどの骨が取れた気分です。

アントニー・ホフマン監督。2000年アメリカ映画。

2008年1月22日 (火)

明日があるさ THE MOVIE (2002)

明日があるさ THE MOVIE 中堅商社に勤める浜田課長(浜田雅功)には妻貞代(相楽晴子)と二人の娘がいるが、彼の営業13課は社内ではぱっとしない。ある日浜田は町工場でロケットを作る老人野口(中村嘉葎雄)に出会い、彼の日本初の有人宇宙飛行計画に感化され仕事も家族もほったらかしで野口のもとへ通うようになってしまうのだが…

 吉本興業90周年記念作品ということで、吉本のお笑いタレントがこぞって出演する映画。元々は缶コーヒーのコマーシャルからテレビドラマ、映画と進んでいった企画もので、もちろん青島幸夫の往年の名曲が下敷きになっている。

 ぎくしゃくしたストーリーと無理矢理詰め込んだギャグの数々がかなり浮きまくってはいたんだけど、ロケットを作る話となると人力飛行機と同じく好きな人は絶対のめりこみ度大。エンジンやコックピットなどパーツ単位での制作エピソードはあるんだけど、いつの間にカタチになったの、なんて突っ込みながらも最後まで熱くなって見てしまった。

 こういうの見てると、弾道ロケットで飛ぶだけなら意外と簡単に実現できそうな気分になってきます。もちろん「死んでもいい」という条件付きだけど。

岩本仁志監督。2002年日本映画。

2008年1月19日 (土)

劇場版 どうぶつの森 (2006)

劇場版 どうぶつの森 親元を離れてどうぶつの森へ引っ越してきた少女あい(声:堀江由衣)。たぬき商店で強引に働かされることになり、ぞうのサリー(折笠富美子)という友だちもできた彼女は、ある日浜辺に流れ着いた謎のメッセージが入った瓶を拾う…

 任天堂のゲームソフト「どうぶつの森」を元にしたアニメーション。人間はあいとゆう(小林ゆう)の二人だけで、あとはみ?んな擬人化した動物。任天堂がやってるので「ポケモン」のキャラに近いが、全体的な雰囲気は「ドクター・スランプ」とか「ペンギンズメモリー 幸福物語」なんかを思い出しました。子供向けに見えて実はシリアスにふった部分が多いのは後者にコンセプトが近いかな。ほのぼの動物が愛や人生を語るのは、個人的には違和感を感じないわけではありませんが。

 ストーリーはぞうのサリーがデザイナーになる夢を追いかける物語がメインで、あい自身は自分の夢を探しながらもそれが何かわからないという「NaNa」の第1作を思わせるかのような展開です。宇宙人が出てきてもすんなりお話にとけ込んでるのは、動物が主人公という最初から非現実的な世界によるところでしょうね。

志村錠児監督。2006年日本映画。

2008年1月18日 (金)

海でのはなし。 (2006)

海でのはなし。 父(勝野洋)が浮気をしていると思いこんだ楓(宮崎あおい)は、知り合いの通称博士(西島秀俊)に相談に行くが冷たくあしらわれる。ところが、実は自分の母こそが愛人であったことを知り…

 最初はネット配信で公開されたというニュースタイルの中編映画。スピッツのプロモーションビデオ的な位置づけももっており、全編彼らのヒット曲が流れ続ける。この曲が好きかどうかもこの映画の評価の分かれ目って気がするんだけど、oga.は楽しめたけどのめりこむまではいかなかったてところです。

 傷ついた女性と、無感動な男のラブストーリーというある意味繊細な話なんだけど、宮崎あおいと西島秀俊という旬の俳優が演じているだけに絵になっている。宮崎をただの妹としか思えないってのが、なんか白々しい気もしたが(笑)。楓の相談相手として、アカデミー助演女優賞ノミネートで話題になった菊地凛子が出てます。

大宮エリー監督。2006年日本映画。

2008年1月17日 (木)

ナチョ・リブレ 覆面の神様 (2006)

ナチョ・リブレ 修道院で料理番をするイグナシオ(ジャック・ブラック)は財政難から孤児たちにロクな食事が作れない。ある日プロレスラーのラムセス(セザール・ゴンザレス)の優雅な暮らしを見たイグナシオは、自分も覆面レスラーになって賞金を稼ごうとヤセことスティーヴン(エクトル・ヒメネス)を相棒にトーナメントに出場するのだが…

 孤児のために覆面をかぶってプロレスで戦う主人公ってどっかで聞いた話だなぁと思ったら「タイガーマスク」「グラン・マスクの男」を思い出した。前者は謎の金持ち、後者は神父と素性は違うんだけど、似通った設定はすべて事実を元に脚色した結果なんかな?

 それにしても、この3本の中で一番泥臭いのが本作で、メキシコの片田舎と思われる映像には人によっちゃものすごい拒絶反応を示すかもしれません。べたべたのお下品ギャグの連続は、ちょっと構えて見たほうがいいかも。

 「スクール・オブ・ロック」は未見なんだけど、ジャック・ブラックってやっぱりコメディの人だったんだと再発見。彼はキング・コングのイメージが強いんだけど、これだけバカになりきれるところは凄いです。彼らがあこがれるシスター・エンカルナシオン(アナ・デ・ラ・レゲラ)もいかにもラテン系の美人って感じがいいです。お高く見えて気さくっていう、マドンナの鏡みたいな存在感です。

 ちょっとだけ残念なのが、負け続けた彼らが意外とあっさりと逆転優勝してしまうとこ。もっともこれにはエンカルナシオンの登場は見逃せないわけで、彼女の力強し、といったところでしょうか。

ジャレッド・ヘス監督。2006年アメリカ映画。

2008年1月15日 (火)

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒 (1999)

ガメラ3 イリス覚醒 世界各国で怪鳥ギャオスが大量発生。鳥類学者の長峰(中山忍)は調査に飛び回っていた。同じ頃の奈良の南明日香村。両親をガメラの戦闘で殺された綾奈(前田愛)は、祠の中で封印された怪鳥の像を見つける。これこそが人類を破滅に導くという邪神イリスだった。

 平成ガメラシリーズの3作目。第2作よりは面白かったが、ストーリー的にはやっぱり登場人物たちが現実離れしててのめりこめなかったのがつらいところ。例えばイリスと融合して復讐しようとする前田愛とか、巫女の山咲千里とか存在感あるんだけどキャラクターの行動としては違和感ありまくりで途中から気になって仕方がなかった。

 とはいっても特撮関係はよくできていて、冒頭の炎上する渋谷から最後の京都駅での戦い(実は私、ここ新しくなってから行ったことないんですね)まで見所が満載ですばらしい。ギャオスが大量発生のまま終わる世界の終末といった雰囲気もいいですね。

 余談だけど、明日香村の近所に住んでいるのでロケとかで出てくるのかと目をこらして見ていたんだけど、まったく見つけることはできなかった。ちなみに南明日香村という場所はありません。

金子修介監督。1999年日本映画。

2008年1月14日 (月)

ガメラ2 レギオン襲来 (1996)

ガメラ2 レギオン襲来 地球に大規模な流星雨が降り、その1つの巨大な隕石が北海道に落下する。青少年科学館学芸員の穂波(水野美紀)と自衛隊の渡良瀬(永島敏行)は事件を調査するのだが、やがて付近の光ファイバーが食い荒らされていることを知る。そして地下鉄が謎の怪獣の群に襲われ、札幌のデパートには巨大な花が咲くのだが…

 かなり評判の良かった新ガメラシリーズ3部作の第2弾をやっと見ることができた。実は第1作を劇場で見て結構面白かった記憶があり期待していたのだが、さすがに10年前のトクサツ映画だとミニチュア撮影が妙にレトロで懐かしい感じがした。まさに古い怪獣映画を楽しむ雰囲気だ。

 マンモスフラワーの出現、群体と草体、自衛隊の活躍などなどいろんなおかずをからませて具だくさんな作り。しかし、以前に見たほどリアリティを感じなかったのはどういうことだろう? たぶん怪獣出現に対する登場人物のリアクションが、どこか現実離れしていたような気がするのだ。あれだけの事件が起こっていれば、日本はもっとすごいパニックになってるんじゃないかなぁなんて思いが強いです。

 とはいっても、ミニチュアワークであれだけ迫力のある画面を作り出すのは凄い。たぶんCG合成が多用されてるんだろうけど、見ていてミニチュア特撮と妙になじんでいるのが面白かった。レギオンやガメラの設定に関しては、妙に凝りすぎって感じで映画を見ているだけではラストシーンなんて何のことだかわかりませんでした。惜しいかな…

金子修介監督。1996年日本映画。

2008年1月12日 (土)

幸せのちから (2006)

幸せのちから 1981年のサンフランシスコ。体組成計のセールスマンのクリス(ウィル・スミス)は思うように商品が売れず、妻に家出されアパートも追い出される。5歳の息子クリストファー(ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス)を育てるために証券会社の研修生になるのだが、半年の研修中は無給だということがわかり…

 いわゆるアメリカン・ドリームのサクセスストーリー映画で、実話だというところがポイント。極めて映画的な内容なんだけど、本人たちが遭遇したどん底物語もはたから映画として見ると思ったよりも面白くないかな、というのが正直な感想。

 とはいっても見るべき部分は多く、父子競演(あとから知った)ということでウィル・スミスの実子の自然な演技とか、タクシー代踏み倒したりとかトイレで寝たりとかかなり危ない部分が印象に残ってたりします。

 この映画の面白いところは、どん底から右肩上がりにはい上がるという展開ではなく、映画の90%にかけてはどんどん落ちていくという時間配分でしょう。面白いんだけど、ラストがあっけなく感じるのは仕方のないところかも。ところでこのお父さんはいいんだけど、息子がどんな大人に育ったのかがちょっと気になります。

ガブリエレ・ムッチーノ監督。2006年アメリカ映画。

2008年1月10日 (木)

さくらん (2007)

さくらん 吉原の遊郭に売られてきたきよ葉(土屋アンナ)は気が強く度々脱走をくわだてるが、店番の清次(安藤政信)に吉原の桜の木に花が咲いたら逃がしてやるとたしなめられる。やがて売れっ子の高尾(木村佳乃)にのせられたきよ葉は花魁を目指すのだが…

 かつての東映が文芸大作として好んで撮った題材を、土屋アンナ主演・蜷川実花監督でポップに映画化。原作は安野モヨコの人気コミック。とにかく最初から最後まで極彩色が目に痛い映画で、花街の雰囲気は存分に楽しむことができる。空中を金魚が舞ってるような水槽とか、ああいうのがあったら楽しいだろうなぁと本編と関係ないところに気をとられたりした。

 しかし土屋アンナの花魁って、見るからにヤンキーでミスマッチなんだけどたぶんあの世界で生きてた女性ってあんな感じだったんだろうなぁってこちらも説得力たっぷり。そんなヤンキーが妙にしおらしくなったりするシーンはぐっとくる。

蜷川実花監督。2007年日本映画。

2008年1月 7日 (月)

硫黄島からの手紙 (2006)

硫黄島からの手紙 太平洋戦争末期の硫黄島に指揮官としてアメリカ留学の経験のある栗林中将(渡辺謙)がやって来る。内地に妻花子(裕木奈江)を残してきた西郷(二宮和也)や、オリンピック馬術で金メダルまでとった西中佐(伊原剛志)たちは精神論に走らず合理的な栗林に希望を感じるのだが、やがてアメリカ軍の総攻撃がはじまる…

 激戦地であった硫黄島の攻防を日米双方から描いた二部作のひとつ。ハリウッド製作でありながら、日本人の目で見ても違和感がないって部分がまずは驚き。もちろん「ワイルド・スピード×3」のようなワンダー日本は最近のアメリカ映画には健在なんだけど、まじめに撮ればこんな映画も撮れるんだと驚いた。イーストウッドってただ者じゃない。

 ストーリーはパン屋から出征してきた西郷の目を通して描かれるんだけど、彼がとっても等身大で身近な存在なのが本作をわかりやすくしている。「墓穴掘ってんのかな」なんてぼやくあたりはいい味を出してます。戦中にこんな青年いたんだろうかと思わされるけど、やっぱいたような気になってくる。栗林も西も当時としてはかなり洗練された存在で、戦闘はぐちゃぐちゃっと描かれているにもかかわらず彼の指揮なら結構な時間持ちこたえたのはわかるなぁという説得力があります。何にしても、これだけの才能が消費された戦争の無駄・無駄・無駄が浮き彫りになってくる佳作だと思います。

クリント・イーストウッド監督。2006年アメリカ映画。

2008年1月 4日 (金)

アキハバラ@DEEP (2006)

アキハバラ@DEEP アキハバラに集まったページ(成宮寛貴)、アキラ(山田優)、ボックス(忍成修吾)、タイコ(荒川良々)、イズム(三浦春馬)の5人組は、古家を借りてベンチャー企業「アキハバラ@DEEP」を起業する。ところが彼らの作ったサーチエンジン「クルーク」に目をつけた巨大IT企業デジタル・キャピタル社のカリスマ中込(佐々木蔵之介)は、クルークを買収にかかるのだが…

 石田衣良の同名小説を映画化。いきなりメイド喫茶やら萌え系、潔癖症の若者やらが大挙して出てきて、この雰囲気だめだ?って強烈な拒絶反応を感じたのだが、彼らが起業してからは俄然面白くなってくる。これって結局、登場人物かっこよすぎで本当のおたくではない点がちょっとひっかかるんだえけど、ストーリーにパンチがあって面白く、ヘタなアクション映画なんかよりも楽しんで見ることができる佳作だと思います。

 格闘家を演じる山田優がいい。寺島しのぶとの格闘シーンも、なかなか熱い。唯一不自然だなあと思ったのは、戦いの場がネット上でなくほとんどリアルの世界だったこと。でもそれだから映画として面白かったのかもしれないけど。

源孝志監督。2006年日本映画。

2008年1月 1日 (火)

地獄の変異 (2005)

地獄の変異 ルーマニアのカルバチア山脈に、伝説の巨大洞窟が発見される。調査を依頼されたプロダイバーのチャーリー(パイパー・ペラーボ)、ジャック(コール・ハウザー)、キャサリン(レナ・ヘディ)ら一行はチームを組んで洞窟へ入るが、進入口が崩れて引き返せなくなる。やがて彼らは得体の知れない生物に遭遇し…

 年末から正月にかけて、DOOMに続いてB級っぽいホラー作品を鑑賞。そういえばこの時期って深夜放送でこういう映画を見るのが恒例だったなぁって懐かしい。密室ホラーってのと、ある意味ゾンビものってのが非常に酷似した2本だけど、面白さって点で考えるとDOOMの方が格上であった。

 この映画って、洞窟に入った目的ってのがイマイチなのが第一の乗り切れなかった原因。怪物もはっきり見せてくれなかったのが、70年代の映画のようだ。唯一面白かったのは、彼らがプロのケイブダイバーであり、救助を依頼するのも自力で脱出するのも一緒だと考えて行動するあたり。でもプロだったら、地上チームも設営して常に連絡を取りながら駒をすすめていくもんじゃないかなぁ、なんて突っ込みたくもなったのだが。

 怪物の見せ方からラストのオチまで、あらゆる意味で70年代を思わせてくれる。頑張ってつけた邦題(?)も含めて、年末年始にカウチポテトしながら見るにはぴったりの映画です。

ブルース・ハント監督。2005年アメリカ=ドイツ合作。

2007年12月31日 (月)

DOOM ドゥーム (2005)

DOOM 近未来、火星のユニオン宇宙社オルドゥヴァイ研究所に異変が発生し、事態を鎮圧するために海兵隊RRTSが出動する。実は地球と火星は新たに発生した回廊でつながっており、研究所を襲った謎の怪物を地球へ連れ込まないのが彼らの任務だったが…

 人気ヴィデオゲームの映画化。海兵隊はカール・アーバン、ザ・ロック、ロザムンド・パイク、ラズ・アドティといった屈強なメンバーでそれっぽく、しかも密室と怪物(ゾンビに近い)という古典的なテーマとストーリーにかかわらず贅肉がそぎ落とされた内容はなかなかスピーディーで面白い。最近この手のSFアクションは食傷気味かなぁなどと思ってたのだが、味付け次第ではまだまだ楽しめることがわかった。

 しかしこの映画、ラスト近くがそのまんまヴィデオゲームである。まるでプレステ3の画面を見ているかのようだ。こうなると操作できるプレステの方が上なのかと、ちょっと映画の敗北を感じて暗い気分になってしまった。

アンジェイ・バートコウィアク監督。2005年アメリカ=チェコ合作。

2007年12月29日 (土)

カポーティ (2005)

カポーティ 作家のトルーマン・カポーティ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、カンザスで起こった一家惨殺事件に興味を持ち、幼なじみのネル(キャサリン・キーナー)と共に取材に行く。やがて容疑者のペリー・スミス(クリフトン・コリンズ・Jr)が捕まり、面会に行くカポーティだったが…

 ノンフィクション小説の草分けとも言える「冷血」の誕生秘話を描いたジェラルド・クラークの原作を映画化。カポーティを演じるフィリップ・シーモア・ホフマンが熱演だか何だかわからないけど奇妙な裏声で始終しゃべり続けるのが何とも印象に残る。カポーティはテレビのバラエティなんかにも出てた人だそうなので、たぶん当時を知るアメリカ人なら誰でもわかるものまね状態、ということなのだろうか。

 一緒に取材を行うネル・ハーパー・リー(アラバマ物語の原作者らしい)とのつかず離れずの関係も印象に残る。死刑囚を取材に行って、どっぷりと深みにはまってしまい取材を終えることができなくなった男の悲劇、といった内容なのだが、妙に淡々と語られるあたりがリアリティがあって良い。でも想像したよりは内容も薄口だったような気がする。犯行に関する闇が、闇のまま終わってよくわからなかった部分が多かったせいもあるんだろうな。

ベネット・ミラー監督。2005年アメリカ映画。

2007年12月27日 (木)

沈黙の追撃 (2005)

沈黙の追撃 刑務所に入っていたアメリカ特殊部隊のクリス(スティーヴン・セガール)は7人の戦争エキスパートと共に呼び戻される。その任務は、南米ウルグアイで捕らえられた捕虜を救出することと、マインドコントロールで要人暗殺をはかるレイダー(ニック・ブリンブル)を倒すこと。かくして彼らは潜水艦に乗りウルグアイに乗り込むのだが…

 とまあこうやってあらすじを書いてみたら007もびっくりといったスーパーアクション大作を予感させるんだけど、実際に見せられた映像は刑事ドラマのようにこじんまりとまとまっているのは何なんだろう。たぶんダム破壊とか潜水艦とかヘリのからんだアクションの見せ方が地味なんだろう。

 もうひとつのテーマとして、マインドコントロールによる要人暗殺があるんだけど、毎度のごとくセガールが強すぎて全然はらはらどきどきさせられないのが考えもの。強すぎるのも問題なんかな…

アンソニー・ヒコックス監督。2005年アメリカ映画。

2007年12月25日 (火)

どろろ (2007)

どろろ 戦乱の世の中で、天下統一を夢見る醍醐景光(中井貴一)は魔物に生まれるわが子の体48箇所を差し出すことを条件に魔力を手に入れる。やがて20年が流れ、医者であり育ての親の寿海(原田芳雄)に育てられた百鬼丸(妻夫木聡)は、コソ泥のどろろ(柴咲コウ)と共に魔物から自分の体を取り戻す旅に出る…

 手塚治虫の人気漫画の映画化。テレビアニメにもなっていたそうだが見てなく、田舎にずっと残っていた1冊の月刊漫画に載っていた1話を繰り返し読んだのが印象に残っている。それだけに、映画を見て物語の背景とかがわかって目から鱗が落ちたような気分になった。

 百鬼丸の妻夫木は良しとしても、どろろに柴咲コウというかなり思い切ったキャスティングが面白い効果を上げている。がらっぱちの柴咲ってのもなかなか魅力的で楽しめる。でも原作では最後に明かされたという、どろろが女だったというのが一目でわかるのはどうなんだろうねぇ。こういう展開で言えば、「ヒノキオ」の多部未華子がはっと思わせてくれたので、惜しいなあと思ってしまうのである。

 ストーリー的にはかなりの荒唐無稽だけど、手塚作品だから許せてしまうかなって感じ。妖怪が着ぐるみで登場するのは、CG全盛の時代の中ではレトロで懐かしい感じがします。

塩田明彦監督。2007年日本映画。

2007年12月22日 (土)

スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ (2006)

スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ ニューヨークから強制送還されてきた野猿のような少女(松浦亜弥)は、アメリカで収監されている母(斉藤由貴)の司法取引による釈放を条件に、スケバン刑事として聖泉学園に潜入する。その目的は、謎のアングラサイト「エノラゲイ」と爆死した前任捜査官の謎をさぐること…

 20年ぶりのスケバン刑事復活ということで、いい年になった斉藤由貴を母に、じいさんになってしまった長門裕之を登場させるなど、前作とのつながりもしっかり確保した意欲作。さらに自殺サイトやネットワーカー、深作監督によるバイオレンス描写などをうまくミックスした不思議な雰囲気の作品になっている。

 単なるアイドルに収まらない松浦亜弥が、アクション映画の主演として頑張ってるのが見所かな。演技はちょっとかたいけど、たんかをきるところとかはかっこいいぞ。好きなシーンは、竹内力演じる吉良と親子丼を食べるところ。

深作健太監督。2006年日本映画。

2007年12月21日 (金)

マリー・アントワネット (2006)

マリー・アントワネット オーストリアから14歳で体ひとつでフランスに嫁いだマリー・アントワネット(キルスティン・ダンスト)。慣れない宮殿生活に加えて、夫ルイ15世(リップ・トーン)は狩りに夢中であまり相手をしてくれない。さらに「世継ぎは」とまわりが迫るストレスから、浪費に走ってしまうのだが…

 ソフィア・コッポラが描く新感覚マリー・アントワネット、というわけで、BGMは荘厳なクラッシックとロックの間を行ったり来たり。重厚な世界で生きるマリーが妙に等身大で、体ひとつで別の国にやって来たとまどいがよくわかる。画面はポップでありながら、妙に生々しい映画になっている。

 あまりにもまわりの食べ物、衣装、そしてベルサイユ宮殿の調度品がきらびやかなので、見ている方も感覚が麻痺してくるのが味わえる。こりゃこんな中にぽんと無知な女の子がほうりこまれたら、こうなっちまうのも無理はないと納得。さらに彼女は民衆のことを理解してなかったと評されることが多いけど、あんな宮殿に幽閉されてて夜中にパリに忍び出て遊び歩くだけじゃ、理解できないのも無理はないとこれまた納得させられた。

 不満といえばラストのあっけなさ…ぐらいかな。彼女の顛末を、ちゃんと描いてほしかったような気がする。

ソフィア・コッポラ監督。2006年アメリカ映画。

2007年12月20日 (木)

ママが泣いた日 (2005)

ママが泣いた日 突然夫に家出されたテリー(ジョーン・アレン)。4人の娘(エリカ・クリステンセン、エヴァン・レイチェル・ウッド、ケリー・ラッセル、アリシア・ウィット)をかかえて行き場のないストレスから怒りっぽくなるが、元大リーガーのデニー(ケヴィン・コスナー)が彼女に急接近してくる。

 冒頭いきなり葬式のシーンからはじまって、さらに3ヶ月前というテロップから物語がスタートするので「誰が3ヶ月後に死ぬ!?」というのがず?っと見ている間中頭に引っかかってたんですが…そうですか、そういう展開だったとはまったく想像できませんでした。登場人物たちと一緒に「ぽかん」といった感じです。

 ヒステリックな母親、余裕のなさがにじみ出ていて見ていて心が痛みます。と母親視線で見てしまうのはやっぱり自分が枯れてきたからかなぁとしみじみ思ってしまいました。子供たちの目線からだとどう見てもヤな母親です。でも、単に余裕がないからだけだってのがスクリーンのこっち側からだとわかってしまうので、余計に痛々しいです。

 ジョアン・アレンとケヴィン・コスナーを見てると、つくづく大人の映画だってのが感じられます。一番好きなシーンは、みんなそろってバレエの舞台を見るところかな。

マイク・バインダー監督。2005年アメリカ映画。

2007年12月18日 (火)

撃鉄2 クリティカル・リミット (2005)

撃鉄2 クリティカル・リミット チェチェン過激派のリーダー・ニコライは、指導者を殺されてアメリカに復讐を企てている。プルトニウムを手に入れてアメリカ国内での爆破を計画するが、一味には元CIAのジョナサン(スティーヴン・セガール)が潜入していた…

 彼の映画の「沈黙」がつく作品はストーリーもアクションも金太郎飴状態で、もうどれを見てどれを見てないかわからなくなっているんだけど(笑)、撃鉄2は見てないぞと思い手に取った。しかし…これもどこかで見たようなストーリーだ。冒頭でセガールの正体がわからないのが味なのかもしれないけど、彼が悪役だった試しはないのでやっぱり意外性がない。中盤以降はいつものパターンで、スーパーマンぶりを発揮して事件を解決していくというストーリー。強いて言えば、核爆弾の処理方法が何とも強引で印象に残ったくらいか。でも1年たったらその部分以外は全部忘れてしまってるような気がする。

アレクサンダー・グラジンスキー監督。2005年アメリカ映画。

2007年12月17日 (月)

クロコダイル・ダンディー (1986)

クロコダイル・ダンディー オーストラリアに出張中の新聞記者スー(リンダ・コズラウスキー)は、ワニに片足を食いちぎられながらも自力で脱出したというクロコダイル・ダンディ(ポール・ホーガン)を取材するために奥地へ向かう。彼が気に入ったスーは、恋人の待つニューヨークへ連れ帰るのだが…

 80年代の大ヒットコメディ。なぜか見る機会がなかった作品なんだけど、今見るとやっぱり80年代のこじんまりとまとまったコメディという雰囲気で時代が感じられる。単純にカルチャーギャップを楽しみたいなら、たまにテレビのスペシャルでやっている途上国の方と交換留学する番組の方が笑えるかな。

 総じてストーリーらしきものが希薄なのが盛り上がらなかった原因だけど、それでもラストの地下鉄のシーンなどは頑張ってると思います。リンダ・コズラウスキーはなかなか色気満点。後のポール・ホーガン夫人なのだそうですが、一発屋で終わらせておくには惜しい感じ。

ピーター・フェイマン監督。1986年オーストラリア映画。

2007年12月15日 (土)

ザ・センチネル 陰謀の星条旗 (2006)

ザ・センチネル 陰謀の星条旗 かつてレーガン大統領を救った伝説のシークレットサービス・ピート・ギャリソン(マイケル・ダグラス)。ところが彼の同僚が殺される事件は発生し、背景には大統領暗殺の陰謀があった…

 アメリカ大統領のシークレットサービスを主人公にしたサスペンスアクション。ちょうど「ホワイト・プリンセス」を見たあとだったので、同じテーマながらも切り口の違う作品を楽しむことができてラッキーだった。それにしても…あれだけの護衛体制の中で、大統領夫人(キム・ベイシンガー)と不倫するか?ギャリソン!! ある意味あのはめられ方は自業自得と言えなくもないが、さらに同僚のデヴィッド(キーファー・サザーランド)の妻を寝取った過去もあるというくだりも笑わせてくれます。さすがマイケル・ダグラスはまり役です。

 141年間裏切り者を出したことがないシークレットサービスに内通者がいる…ってのがポイントなんでしょうけど、その割りには意外性のない展開と軽さが鼻についてしまった。あれだけ警備が厳重でも、ロケット弾1発で落ちる専用ヘリって一体?? さらに内通者はもっと意外な人物であってほしかたような。

クラーク・ジョンソン監督。2006年アメリカ映画。

2007年12月14日 (金)

壬生義士伝 (2002)

壬生義士伝 幕末の京都は壬生。東北から脱藩して新撰組にやって来た吉村貫一郎(中井貴一)は剣の腕を見込まれいきなり師範として採用される。金に汚い彼を面白く思わない斎藤一(佐藤浩市)は意味もなく彼に斬りつけるのだが、相打ちに終わる。やがて彼らは幕末の動乱に巻き込まれていくのだが…

 浅田次郎の原作を映画化して、日本アカデミー賞を獲った作品。滝田洋二郎監督らしく、ドラマ的で非常にわかりやすい演出なので誰でも安心して見ていられる。物語は斉藤の回想として語られるのだが、幕末と明治後期という我々から見たらどちらも大昔って時代背景が面白い効果を上げている。

 かなりたくさんのエピソードを詰め込みながら、迷子にならないですんだのはストーリーを見事に絞り込んであるからでしょう。金に汚い吉村が実は家族を思ってというのはよく伝わって来るのだが、惜しいのは終盤にそれが義を重んじて破滅していくという心境の変化がよくわからないこと。しかも終盤の30分ぐらいが妙に冗長なのが、無意味に長いと感じるか雰囲気を楽しめるかが評価の分かれ目でしょう。oga.はちょっと長すぎるかな、と思ってしまいました。

 と、ぐだぐだ書いてみても、やっぱりここ数年の日本の時代劇は元気です。時代劇ファンじゃなくとも、見る価値はあります。中井貴一はさすがに起用でこんな役もこなせるのかと驚いた。佐藤浩市は無頼な感じがぴったり。夏川結衣と中谷美紀は文句なく綺麗です。

滝田洋二郎監督。2002年日本映画。

2007年12月13日 (木)

マークスの山 (1995)

マークスの山 元暴力団の畠山(井筒和幸)が殺される事件が発生し、捜査チームに山好きな合田警部補(中井貴一)、肥後(古尾谷雅人)らが加わる。数日後に法務省の松井(伊藤洋三郎)が殺され、両者には頭に錐で突いたような穴があいていた…

 高村薫の推理小説を映画化…なんだけど、典型的な説明不足の消化不良映画といった印象。というか、肝心なパートである萩原聖人と名取裕子カップルのエピソードが私の頭の中でうまく本筋の殺人事件に結びつかないのだ。このあたりは私の頭が悪くなったのか、それとも原作読んでないとダメなのかがよくわからない。

 映像的には冒頭の心中シーンからはじまって、ぐいぐい引き込まれるショットがいっぱいあったのに惜しいって感じ。で、結局山岳会ってのは何だったんだろうか。内ゲバの起こった真相も映画を1回通してみただけではわからない。なぜ死ぬ? なぜ殺す? マークスって何だ? う?ん!?

崔洋一監督。1995年日本映画。

2007年12月12日 (水)

アントブリー (2006)

アントブリー ルーカス(声:ザック・タイラー)は小柄でいじめられっ子の少年。両親ともうまくいってなく、庭のアリいじめが日課になっていたが、怒ったアリの魔法使いゾック(ニコラス・ケイジ)によりルーカスもアリのサイズに縮められてしまう。ルーカスを仲間にしようとアリたちの教育がはじまったのだったが…

 またまたアリアニメ!? って思ったんだけど、「ミクロキッズ」のように人間を縮小してアリとからませるってのが新味。しかもアリと同じサイズの荷物(エサ?)を持たせて、垂直な壁を登らせようというくだりには笑った。妙に哲学的だった「アンツ」というよりも、「バグズ・ライフ」のノリに近く子供と一緒でも安心して見ていることができる。

 それにしても、声優陣が豪華です。ニコラス・ケイジ、メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ、ブルース・キャンベルにリカルド・モンタルバンなんて方も出てます。どこに出てたか…わからないってのがミソだったりして(笑)。

ジョン・A・デイヴィス監督。2006年アメリカ映画。

2007年12月11日 (火)

ホワイト・プリンセス (2004)

ホワイト・プリンセス アメリカ大統領ジョン(マイケル・キートン)のひとり娘サマンサ(ケイティ・ホームズ)が大学に入学することになる。ところが寮生活をはじめキャンパスは24時間ボディーガード付き。根をあげた彼女はボディーガイドをまいて羽目を外すのだったが…

 ファーストドーターなんて凄い…と思ったのは最初だけで、やっぱり自由のない生活ってのはとっても大変。あんなボディガードを引き連れていたら恋もできない…なんて考えてたら、あれよあれよの展開は面白かった。それにしてもアメリカの大学生活ってのは、毎日がお祭り騒ぎで多少の誇張はあるんだろうけど本当かなって驚かされた。

 ケイティ・ホームズはティーンエージャー代表って雰囲気の女優さんだけど、調べてみると結構のお歳だとは知らなかった。トム・クルーズの新しい奥さんだしね。マイケル・キートンが大統領ってのは、意外とはまり役です。

フォレスト・ウィテカー監督。2004年アメリカ映画。

2007年12月10日 (月)

NANA2 (2006)

NANA2 ミュージシャンを目指すナナ(中島美嘉)と、通称ハチ公こと奈々(市川由衣)はまったく違うタイプながらもルームメイト。奈々は憧れのバンドTRAPNESTのタクミ(玉山鉄二)を紹介され恋に落ちる。ところがナナと同じバンドの伸夫(成宮寛貴)も彼女に思いを寄せるのだが…

 矢沢あいの人気コミックを実写映画化した第2弾にして完結編。さっぱりとした語り口で見終わったあとに爽やかな感動を残した前作だったけど、こちらはどろどろとしたドラマを描いてどよ?んとしたラストはなかなかのもの。ある意味大人のドラマにひと皮むけた…と言えなくもないんだけど、彼女たちの今後を思うと手放しに喜べないのが辛いところ。

 キャストの変更も話題だったけど、実力派宮崎あおいの降板はやっぱり痛かった。彼女だったらこのどん底版奈々をどういうふうに演じたのだろうかとか考えると興味が尽きない。どう考えても第1作の主役はナナ、第2作の主役は奈々だもんな。もうひとり、レンの松田龍平の降板もあったけどこちらは出番も見せ場もそれほど多くなくあまり違和感はなかった。完結編とはいってももう1作くらいはあってもおかしくないんじゃないのって内容。その頃に奈々は子供を連れてるわけだけど…

大谷健太郎監督。2006年日本映画。

2007年12月 1日 (土)

サムサッカー (2005)

サムサッカー 17歳にして指しゃぶりがやめられないジャスティン(ルー・ブッチ)は自分に自信が持てずに投げやりな行動を繰り返している。良き話し相手の歯医者(キアヌ・リーヴス)は彼に催眠術をかけ、事態は好転したかのように思えたが、両親に連れられた医者でADHDだという診断を受けてしまう…

 親指サッカーって何だ?って思って見たら指しゃぶりの映画だった(笑)。何てことない高校生の日常を描いて何てことない映画…に思えたんだけど、妙に心に残るのは神経質そうなルー・ブッチとこれまた神経質そうなお母さん(ティルダ・スウィントン)の好演のおかげかも。特に薬(抗うつ剤)を飲んでからの彼の様変わりが快感もので、神経症の薬物治療を賛美するわけではないけどきっかけと流れが変わるってのは大切なんだと思いました。

 キアヌ・リーヴスってこういう映画のチョイ役に結構出ているけど、場をわきまえたというか主役を喰ってしまわないさりげなさ、それでいて適度に面白いところが心憎いです。

マイク・ミルズ監督。2005年アメリカ映画。

2007年11月30日 (金)

ただ、君を愛してる (2006)

ただ、君を愛してる 大学の英語学科に入学した誠人(玉木宏)は、フランス語学科に所属の個性的な女性・静流(宮崎あおい)に声をかけうち解ける。ところが彼女を恋愛の対象と見てない誠人は、クラスの美女みゆき(黒木メイサ)に恋をするのだったが…

 予告編で大塚愛の主題歌と二人のキスシーンが結構印象に残っていたのでそれだけの映画かと思っていたんだけど、そうではなかったみたい。昨今はやりの純愛ものに難病ものをミックスしたラブストーリーとしては最強パターンの映画。全体的な雰囲気の良さは主演の玉木宏と宮崎あおいの持ち味でしょう。

 美人でナイスバディのみゆきと、幼い感じのする静流ってのは絶妙なキャスティング。それでも静流が主役をはっておかしくないってのは宮崎あおいの底力ってもんでしょう。最初は粘着質で怖い感じもした静流がだんだん可愛く思えてくるのがミソ。どう見ても同棲になってる二人に何もなかったり、あるいはあれだけレベルの高い男女が仲間として集まってて4年間なにもどろどろした事件が起こらないってのは意味不自然。少女漫画あたりが原作かと思ったんだけど、そうではないのにさらにびっくり。

 いい話であるし、感動的でもあるんだけど、宮崎あおいがいなくなってからがちょっと長すぎるのが残念である。もっとスパっと終わった方が余韻が大きかったかも。

 実は一番かわいそうなのは、画面に出てこない静流のお父さんだったかも。

新城毅彦監督。2006年日本映画。

2007年11月29日 (木)

デトネーター (2006)

デトネーター国土安全保障省エージェント・グリフィス(ウェズリー・スナイプス)は、ルーマニアのブカレストで潜入捜査を行っていたが、間が悪く現地警察に逮捕されてしまう。彼を救ったCIAのシェパードは、組織の金を横領したナディアというロシア人女性の護送を依頼するのだが…

 ウェズリー・スナイプスが主演のアクション映画。失礼ながら彼ってあんまりアクションスターってイメージがないんだけど、それは単なる認識不足ってもんかな。この映画を見てる限りは動きも良いしアクションもいい線いっている。主人公がスーパーマンではなく、立場のしがらみに困っているというストーリーもそれなりに面白いが、やはりトータルとしてB級の枠を抜けてないなって感じ。ノリとしてはセガールの一連の映画を思わせる。好きな方は好きなんだろうけど。

 エキゾティックな雰囲気のナディアがいい感じ。彼女の服装は、ブカレストでもちょっと目立ちすぎるんじゃないのって思ったけど。それにしても、このラストは感慨深いというよりも「その組み合わせで、大丈夫?」って別の心配をしてしまった。

レオン・ポーチ監督。2006年アメリカ映画。

2007年11月27日 (火)

模倣犯 (2002)

模倣犯 下町の豆腐屋・有馬(山崎努)の孫娘が失踪して10ヶ月。近くの公園で女性の片腕とショルダーバッグが発見される。やがて犯人からの犯行声明がマスコミに届けられて…

 劇場型連続殺人事件を描いた宮部みゆきの原作を森田芳光監督が映画化。犯人のピースこと網川浩一を演じる中居正広がすっごいはまり役で驚いた。猟期犯独自の妙なオーラが出ているところは、彼のキャラクターがなせる技か? 加えてレポーターの木村佳乃や、犯人にからむ藤井隆や津田寛治の個性的な熱演が光る。久々に森田ワールドの復活か…と思いきや、衝撃の結末にはお口があんぐりとなってあっけにとられてしまった。あれはCGか?

 予期せぬ結末に転がり込んで…行くってことかもしれないんだけど、あまりにもぶっとび過ぎてわけがわからんかった。ラストの赤ん坊についても、想像はつかなくはないがあまりにも説明不足。原作を読んだらわかるのかな? 一番痛いのはあれだけ盛り上げておきながら何の余韻も残らなかったってことかもしれない。役者がみんな頑張ってるのに、残念だ。

森田義光監督。2002年日本映画。

2007年11月26日 (月)

口裂け女 (2006)

口裂け女 連続誘拐事件の発生で厳戒態勢のある町で、小学校教師の京子(佐藤江梨子)の目の前で教え子がハサミを持った女に連れ去られる事件が起こる。口裂け女の仕業だと噂が子供たちに広がり、京子は事件が起こるたびに変な声が聞こえるという同僚の松崎(加藤晴彦)と声を探りに行くのだが…

 都市伝説のスーパースター「口裂け女」を主人公にしたホラー映画。確かにこのテーマで作られた映画ってなかった…ような気がするが、目のつけどころは良かったんだけどすべてがから回りしてしまい超カルト映画になってしまった。

 まずはタイトルバックが凄い。まるで60年代制作のウルトラマンのパロディだ。しかも狙ってこの映像を作ったんならいいかもしれないけど、ウルトラマンと口裂け女はあんまり関連性ないぞ。かなりやつれてしまった佐藤江梨子ってのも、役作りだとしたら凄いんだけど… (実際彼女は別れた夫と娘がいる設定) 口裂け女って子供たちが大好きな話のはずだのに、児童虐待をテーマにしたら子供たち見られないんじゃないの、と企画の甘さも感じてしまった。「学校の怪談」みたいな映画にした方が良かったんじゃないかなあ?

白石晃士監督。2006年日本映画。

2007年11月24日 (土)

笑の大学 (2004)

笑の大学 1940年の太平洋戦争突入寸前の日本。喜劇作家の椿一(稲垣吾郎)は最新作「ジュリオとロミエット」を上演するために検閲官の向坂(役所広司)のところへ台本を持ってくる。ところがこのご時世に喜劇は不謹慎だと思っている向坂は、次から次へと椿に無理難題を押しつけるのだが…

 三谷幸喜の舞台とラジオドラマを原作にしてるだけあり、登場人物はほとんど二人だけという密室劇。それでも映画だけに美術に凝っている上に所々に劇場の風景を差し込んで面白い雰囲気を作り上げている。ストーリーが面白いので、中盤ちょっと中だるみはするが最後までぐいぐい楽しませてくれる。

 戦時下の座付き作家と検閲官という真っ向から対抗する人間が主人公なんだけど、二人がぶつかりながらうち解けていく様子がさすが。特にカタブツなのに、喜劇のアイディアを出したり台詞を読んだりして実は嬉しそうな役所さんが妙に可愛く思えてくるのがミソでしょう。oga.も個人的には喜劇は苦手…な方なんだけど、こういう立場に置かれるとひょっとしたらひょっとして、なんて気分にさせられました。何事も食わず嫌いはいけないです。

星護監督。2004年日本映画。

2007年11月23日 (金)

M:i:III (2006)

M:i:III スパイを引退して教官となったイーサン(トム・クルーズ)は婚約者ジュリア(ミシェル・モナハン)と平和な日々を送っていた。ところが教え子のリンジー(ケリー・ラッセル)が武器証人のオーウェン(フィリップ・シーモア・ホフマン)に拉致されたと知り、救出作戦に参加するのだが…

 劇場版「スパイ大作戦」の第3作。舞台はドイツ、イタリア、上海と広がりスケール感もばっちり。007と同じ「そんな馬鹿な」というアクションシーンもいっぱいあるんだけど、こっちの方がなぜか安心して見ていられないのが不思議である。

 しかし悪役フィリップ・シーモア・ホフマンのふてぶてしさはただ者ではないな。ワイヤーで降下して、地面ぎりぎりでぴたっと止まるというのはこのシリーズでは欠かせないシーケンスなのか? 結局ラビット・フットってのは何だったんだ? ストーリー上は何でも良かったんじゃないの(笑)。

J・J・エイブラムス監督。2006年アメリカ映画。

2007年11月22日 (木)

イルマーレ (2006)

イルマーレ 湖畔に建つガラス張りの家イルマーレ。ケイト(サンドラ・ブロック)はこの家を引っ越す前に次の住人のためにポストに手紙を入れるのだが、その手紙はなんと2年前の住人アレックス(キアヌ・リーヴス)のところに届く。やがて文通をはじめた二人だったが…

 韓国映画「イルマーレ」のハリウッド版リメイク。基本的なストーリーは韓国版と変わらなかったんだけど、ちょっと説明不足だなという語り口で例えば手紙が最初に時空を超えるくだりはストーリーを知らないとわからなかったかも。交通事故がからむタイム・パラドックスも冷静に考えると何かヘンなんだけど、まぁサンドラ・ブロックとキアヌのひさびさの競演なので許してあげようか、なんて気分になってしまった。

 ポストの存在を無条件に二人が受け入れてしまうのがこの映画のツボでしょう。下手に詮索してポストがなくなってしまったら困る、という気持ちがよく伝わってきます(笑)。

アレハンドロ・アグレスティ監督。2006年アメリカ映画。

2007年11月21日 (水)

16ブロック (2006)

16ブロック 非番のはずだったアル中刑事のモーズリー(ブルース・ウィリス)は証人を16ブロック先の裁判所まで届ける仕事をさせられる。ところが彼は悪徳警官を暴露する証人だったがゆえに、モーズリーは警察署長以下主要な警官を敵に回す羽目になり…

 わずか16ブロックを護送するのに、何でこんな目にあわなくちゃいけないんだ?って内容の映画のはずなんだえけど、そのあたりのもどかしさが伝わって来ないのはどれだけ進んだかがわからないからでしょう。せめて何ブロック進んで何ブロック戻されたかを都度表示してくれた方が(できればグラフの方が…てのはあまりにもヴィデオゲーム的か?)良かったかも。

 とはいっても久々にキャラクターが生きている秀作でして、モーズリーが連れて行く証人のエディ・バンカー(モス・デフ)がひたすらべらべらしゃべりまくっていい味を出してます。敵が元コンビのフランク(デヴィッド・モース)ってのも効果を上げてます。

リチャード・ドナー監督。2006年アメリカ映画。

2007年11月19日 (月)

ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer

ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer 迷宮入り事件を継続(ケイゾク)捜査するのが専門の警視庁捜査一課・弐係。そこに所属する柴田純(中谷美紀)は、沈没した客船の生存者たちと共に呪われた厄神島へ正体される。ところが密室となった島では連続殺人げ起こり…

 テレビドラマ「ケイゾク」の映画版らしいが、まさにカルト映画と呼ぶにふさわしいわけのわからない作り。基本的には刑事ドラマ、特にトリックを中心にした推理ものなんだけど、話がぽんぽんとふっとんで行く上にわけのわかんないギャグが散りばめられているのはどうにも解読不能。まさに迷宮入りと言いたくなるような珍作であった。テレビ見てないとわかんないってことかな。

 でも雰囲気的には、「名探偵登場」シリーズあたりを思わせて楽しめるトリックも多数。城にまつわるからくりは、その無機質な感じも手伝って結構楽しめました。でもって後半は理解不可能なワンダーワールドにぶっとんで行きます。

 中谷美紀は出る映画によって雰囲気がころころと変わるのがいいです。 渡部篤郎や鈴木紗理奈が(おそらく)レギュラーとして出てます。

堤幸彦監督。2000年日本映画。

2007年11月17日 (土)

カサノバ (2005)

カサノバ 希代のプレイボーイ・カサノバ(ヒース・レジャー)は罪を免れるために結婚を考える。両家の子女ヴィクトリア(ナタリー・ドーマー)と婚約にこぎつけるカサノバだったが、女性解放を叫ぶフランチェスカ(シエナ・ミラー)に一目惚れしてしまう…

 18世紀のヴェネチアを舞台にカサノバの色恋沙汰を面白可笑しく描いたラブコメディ。確かに荒唐無稽で面白いストーリーなんだけど、真実の愛に目覚める(?)なんてテーマがありきたりでちょっと萎えた。

 でもキャラクターのおもしろさで楽しませてくれる。男まさりのフランチェスカがなんとも魅力的。ヴェネチアの雰囲気も良い。小さな熱気球であんなに飛べるんだったら楽しいのになぁ…

ラッセ・ハルストレム監督。2005年アメリカ映画。

2007年11月13日 (火)

ゆれる (2006)

ゆれる 東京で写真家として成功した猛(オダギリジョー)は、母の一周忌に故郷へ帰ってくる。家業のガソリンスタンドを継ぐ兄の稔(香川照之)と、幼なじみの智恵子(真木よう子)の3人で幼い時によく行った吊り橋のある渓谷へ遊びに行くのだが…

 タイトルどおり「ゆれる」映画。何がゆれるかというと、吊り橋はもちろんだけど、人間の記憶。この事件のように現場には3人しかおらず、しかもひとりは死亡、ひとりは動転、ひとりはかなり遠くにいて見ているか見てないかわからないとなると真実は記憶の中にしかないわけだけど、記憶なんて人間の気持ちひとつで十分ねじまげられてしまうってのはよくわかる感覚です。

 男の兄弟を育てているだけに、決して他人事とは思えない内容に食い入って見てしまいました。良さそうな兄弟だけに、事件が起こってからのあと味の悪さも格別。力作なんだけど、手放しで絶賛…なんて気分になれないのはそんな部分にあるのでしょう。

西川美和監督。2006年日本映画。

2007年11月12日 (月)

ウルトラヴァイオレット (2006)

ウルトラヴァイオレット 21世紀末の近未来、ファージと呼ばれるウィルスが蔓延して、感染した人間は超人的能力を身につけるが12年の余命となる。感染したが故に夫とお腹の子供を政府に殺されたヴァイオレット(ミラ・ジョヴォヴィッチ)はレジスタンスの殺し屋。その日の任務はファージを絶滅する兵器の強奪だったが、ケースの中にはなんと人間の子供(キャメロン・ブライト)が入っていた…

 戦うハイパーウーマン、美女と子供、クローン人間、サイバーパンク、暗黒の政府と、最近流行のパターンをぎゅっと凝縮したかのようなSFアクション。もうこの手のやつは食傷気味かな…なんて思いながら見始めたんだけど、ヴァイオレットとシックス(子供)の関係がなかなか良くて、グロリアやレオンといった雰囲気で最後まで楽しむことができた。

 ミラ・ジョヴォヴィッチは最後までお腹だけ出しっぱなしってのがポイントですね。感染したのはお腹の冷やしすぎかも…

カート・ウィマー監督。2006年アメリカ映画。

2007年11月10日 (土)

南京の基督 (1995)

南京の基督 中国の南京に出かけていた作家の岡川(レオン・カーフェイ)は、幼い中国人娼婦の金花(富田靖子)に出会う。貧しさから体を売る彼女は、キリストを一心に信じていた。一方の岡川はスランプに陥っていたが、彼女に安らぎを覚えて…

 芥川龍之介の「南京の基督」を大胆にアレンジした香港映画。日本人の岡川をレオン・カーフェイが、中国人の金花を富田靖子が演じるという逆転のキャスティングが面白い。時々言葉などから違和感を感じる場面もあったが、物語が進むに連れて全然気にならなくなっていったところはさすが。

 それにしても富田靖子っていい女優さんだと思う。薄幸の少女を見事に演じきっているのはもちろん、とにかく美しい。この作品のあと意外とぱっとしないのは不思議である。

トニー・オウ監督。1995年香港=日本合作。

2007年11月 6日 (火)

ヒトラー 最期の12日間 (2004)

ヒトラー?最期の12日間? 1942年のドイツ、トラウドゥル・ユンゲ(アレクサンドラ・マリア・ラーラ)は数人の候補者から選ばれてアドルフ・ヒトラー(ブルーノ・ガンツ)の個人秘書になる。時は流れて1945年の終戦直前のベルリン。追い詰められたヒトラーと親衛隊たちは爆音のこだまする地下塹壕にいた…

 ヒトラーの最期というよりは、第三帝国の滅亡、あるいはドイツ版「にっぽんの一番長い日」といった内容の映画。ひとりの秘書の目を通して、次第に手足をもぎ取られてあがくヒトラーの姿が淡々と描かれる。さすがに壮絶な映像は容赦がなく、ひとりまたひとりと頭を打ち抜いたり毒を飲んで果てていく姿は頭に残る。こんな時代に生まれなくて良かったという感謝と、平和のありがたさをひしひしと感じる。

 ラスト近く…子供たちを次々と殺した母(コリンナ・ハルフォール)が毛布を頭にかぶせるシーンは秀逸。すると足が出てしまうのだが、その足の小さいこと。ところが次の子はやや足が大きく、また次の子はさらに足が大きく… この映画はこのシーンが長く脳裏に焼き付いて離れないような気がする。

オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督。2004年ドイツ=イタリア合作

2007年11月 5日 (月)

リング2 (1999)

リング2 呪いのビデオテープ事件で死んだ高山(真田広之)の恋人高野舞(中谷美紀)は引き続き事件の謎を追う。同じ頃、ビデオテープを女子高生の香苗(深田恭子)から手に入れたレポーターの岡崎(柳ユーレイ)だったが、香苗は好奇心からテープを見てしまっていた…

 「リング」の続編は「らせん」なのだが、それが恐怖をおさえてSFになっていたのに対して、これはまったく別パートのあくまでもホラーとして作られた続編。原作のないこちらの方がすんなりと「リング」の世界を引き継いでいるのが面白い。ブームになった「貞子」も健在。井戸のイメージや、それがプールとつながっているというぶっとんだ発想も楽しめる。

 なおハリウッド版のリング2もオリジナル脚本なんだけど、未見のテレビドラマ版とかも含めてこのシリーズはいったいどれだけの別バージョンが存在するんだろう。ブームとなった作品の宿命…かな?

中田秀夫監督。1999年日本映画。

2007年11月 3日 (土)

大停電の夜に (2005)

大停電の夜に クリスマスイブの夜、関東地区に大規模な停電が起こる。店を今晩限りクローズしようと思っていたジャズバーのマスター(豊川悦司)は、向かいのローソク店ののぞみ(田畑智子)と初めて話をして、過去の恋を打ち明ける。父の死が近いことを知った遼太郎(田口トモロヲ)は、実の母(淡島千景)が生きていることを知り会いに行く。その妻(原田知世)は夫の不倫が原因で離婚を決意。不倫相手の美寿々(井川遥)は、ホテルのエレベーターにボーイ(阿部力)と共に閉じこめられる…

 とまあこれにやくざ(吉川晃司)と元カノ(寺島しのぶ)の出産話やら、それを助ける淡島千景の夫(宇津井健)といった具合に映画にして7?8本ぶんの内容をぎゅ?っと詰め込んだ群像劇。アルトマン監督あたりの洋画だと、見ていてわけがわからなくなったこともあったけど、そうならないのは邦画の魅力(顔と名前を覚えやすい)なのか、それとも演出やストーリーがよく練られているせいなのか。

 やっぱキャストとしては最初と最後に出てくる豊川悦司と宇津井健がいいところをほとんどかっさらっていってたような気がします。あのバーはこれから流行るような気がするけど、この夜がきっかけで関係者が夜な夜な酒を飲んでたら、いつか修羅場になるような気がするぞ(笑)。

源孝志監督。2005年日本映画。

2007年11月 1日 (木)

X-MEN ファイナル・ディシジョン (2006)

X-MEN ファイナル・デシジョン ミュータントを人間に「治癒」する薬キュアが開発される。これを好ましく思わないマグニート(イアン・マッケラン)たちは、X-MEN(ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、パトリック・スチュワート)たちに最終戦争を仕掛けるのだが…

 超能力を持ったミュータントたちを描いたアメコミの映画化 X-MENの最終章…らしい。最終回と断るだけあって、クラス5だか何だか知らないがものすごい超能力の応戦に見ていてかなりど?っときた。橋を持ち上げたり、まわりのものを根こそぎふっとばしたり、車を火をつけながら投げたり、どう考えてもマンガである。

 とはいっても、ハル・ベリーが魅力的だったり、アンナ・パキンの近況が見られたり、イアン・マッケランの怪演が楽しめたりと見るべきところはいっぱいある。惜しむらくは派手すぎるアクションにルールが見いだせない(こいつら何でもできるんか!?)のでちょっと戦いの行方に冷めてくるあたりかも。

 ファイナルと言いつつも、このラストじゃ続編がまたあるんでしょうね。

ブレット・ラトナー監督。2006年アメリカ映画。

2007年10月30日 (火)

イノセンス (2004)

イノセンス 2032年の近未来。サイボーグ刑事のバトー(声:大塚明夫)とトグサ(山寺宏一)は、少女型ロボットが暴走して所有者を殺したあと自殺する事件を追う。ロボットが死ぬ間際に「助けて」という声をあげていたことを彼らは突き止めるのだが…

 アニメ「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」の続編ということだが、見たのがずいぶん昔でストーリーを全然覚えていない。とはいってもいきなり猟奇殺人がはじまるオープニングは前作とのつながりはあまりないと見た。単純にブレードランナー+マトリックスといった雰囲気のサイバーパンクの世界をこってりと見せられて、エンドロールを見る頃には「ごちそうさま」という気分になってきた。登場人物が詩や聖書の一節をことあるごとに引用するのが何とも耳ざわりですっきりしないというのが敗因か。せめて「スター・トレック」ぐらいおさえた引用にしてほしかったような気が(笑)。

 とはいっても映像の持つ魔力はなかなかのもので、実写かアニメか区別のつかないシーンの数々は見応えあり。ちょっとスプラッターなシーンが多いのが気になるが、好きな人だったら環境ビデオとしても楽しめるのではないだろうか。

押井守監督。2004年日本映画。

2007年10月29日 (月)

アンジェラ (2005)

アンジェラ パリに住むチンピラのアンドレ(ジャメル・ドゥブーズ)は多額の借金を返さないとやくざに殺される。行き詰まって橋から飛び降りようとした時に、もう一人の身投げの女アンジェラ(リー・ラスムッセン)をなぜか助けてしまう。ところがこのアンジェラと一緒にいると、借金はカタがつきすべてがトントン拍子に進んでいくのだが…

 ひさびさのリュック・ベッソン監督作。モノクロ画面の小品。チンピラと天使(タイトルは語呂あわせ?)の純愛ものなんだけど、このアンドレという男がなんともむさ苦しくてイヤなヤツで全然感情移入できないところがポイントなのかも。あるいはこれってチンピラから成り上がったベッソンの自伝とも願望ともとれる内容じゃないかな、なんて思いました。

 それにしても、身長180cmで超スリムなアンジェラ(実際、スーパーモデルらしい)とムサ男のアンドレってのがモノクロ画面で意外と絵になるのがおかしい。過去は自由に変えられるなんて言っていたけど、アンジェラが30歳の弁護士ってことになるんでしょうか?

 面白かったけど、「レオン」や「ニキータ」ほどのパワーはもはやないです。ベッソン相変わらずスランプか?

リュック・ベッソン監督。2005年フランス映画。

2007年10月27日 (土)

武士の一分 (2006)

武士の一分 毒味役の下級武士の三村新之丞(木村拓哉)は美しい妻加世(檀れい)と下男の徳平(笹野高史)の3人でつつましく暮らしている。ところがある日、毒味をしたつぶ貝にあたった新之丞は3日間寝込んだあとで失明してしまう。今後の生活すら危ぶまれた新之丞だったが…

 藤沢周平の原作を山田洋次が監督した時代劇3部作の3本目。前2作を見てないので何とも比較しようがないが、これまた最近は時代劇が頑張ってるなという気分にさせてくれる良作。夫婦愛を中心にして、昔の武士の生活をじわっと感じることができる。

 それにしても…キムタク主演だけに現代風にアレンジされてるように感じるけど、毒味役を軽んじるあたりからして逆に現代風でないように感じた。一家の大黒柱が傾いたらその家が崩壊しかけるってのは、保険のなかった昔の世界ですね。毒にあたったら料理が殿様のところへ行くのを止めようとしなければいけないし、逆に殿様を守ったということで名誉になるべきじゃないんかなぁ、などと見ながら漠然と思ってしまった。

 家を守るために妻が…というのはどこかで見たような展開だけど、決闘があっさりと決まってしまうあたりはリアルで現代風である。何にしても、見終わったあとの気持ちが良いので良しとしよう、となってしまうそんな映画。キムタクは時代劇では普通の人っぽくて逆に良かった。加世さんと徳平はうまい。印象に残る。余談だけどヘンなマークのような松竹のタイトルよりも、富士山の方がよっぽどいい。

山田洋次監督。2006年日本映画。

2007年10月26日 (金)

トンマッコルへようこそ (2005)

トンマッコルへようこそ 朝鮮戦争時の韓国。墜落したアメリカ軍のパイロット・スミス(スティーヴ・テシュラー)、韓国軍の兵士(シン・ハギュン、ソ・ジェギョン)、人民軍の兵士(チョン・ジェヨン、イム・ハリョン、リュ・ドックァン )は山奥の村トンマッコルで鉢合わせする。武器を向け合って威嚇しあう彼らだったが、やがて無垢な村人たちの前にうち解ける。ところが連合軍はスミスの救出と付近の爆撃を計画し…

 韓国でスマッシュヒットした戦争ファンタジー。突然イノシシが出てきたり、爆弾でポップコーンがはじけたり首をかしげたくなるようなシーンも多かったんだけど、そんなことは見ているうちにどうでもいいと思えてくるほど熱くさせられる展開はさすが。世界中がみんなトンマッコルみたいな村だったらいいのに、なんて気分にさせられる映画です。

 名前がわからないんだけど、少女の存在感がいいですね。顔をふいてあげる布は、靴下なの? 音楽は久石譲。

パク・クァンヒョン監督。2005年韓国映画。

2007年10月23日 (火)

レディ・イン・ザ・ウォーター (2006)

レディ・イン・ザ・ウォーター 平凡な日々をおくるアパートの管理人クリーブランド(ポール・ジアマッティ)だったが、ある日中庭のプールで謎の美少女ストーリー(ブライス・ダラス・ハワード)に出会う。両足が傷だらけの彼女を部屋で休ませるのだが、住人の韓国人親子によると彼女は水の精ナーフだということを知り…

 ナーフの出現により、自分たちの役割に気づき謎解きをはじめる住民たちを描いたファンタジー映画。冒頭の水の精たちが人類を救うみたいなアニメーションが妙に説得力たっぷりで期待させられたんだけど、本編よりもそちらの方がいい気分にさせられたのは何だかなぁって感じ。

 シャマランの映画にしては、どんでん返しもなくちょっと期待外れだったかなってのが正直なところ。「シックス・センス」というよりは、役割を重視しているロールプレイング的要素は「アンブレイカブル」に近い。あの世界が好きな方にはおすすめの映画。

 ナーフ役のブライス・ダラス・ハワードは雰囲気たっぷりではまり役。ちょっと病的な白さがまたナーフっぽくて不思議な魅力がある。傷だらけの足は痛々しかったな。ポール・ジアマッティの人柄がにじみ出ているといった感じの管理人も印象に残ります。

M・ナイト・シャマラン監督。2006年アメリカ映画。

2007年10月22日 (月)

ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT (2006)

ワイルド・スピードX3 車がらみで問題ばかり起こしている高校生ショーン(ルーカル・ブラック)は少年院送りをまぬがれるために父の住む東京へ。日本の高校になじめないショーンだったが、友達になったトゥインキー(バウ・ワウ)に誘われてアンダーグラウンドのストリート・ドリフトレースに出場。そこでDK(ブライアン・ティー)と対決することになるのだが…

 舞台を東京に移してのワイルド・スピード第3弾。登場人物が交代し、前作とのつながりは一切カット…かと思いきや、最後の最後であの方が登場(しかもノークレジット)したのにはちょっとにんまり。長い旅の果てに懐かしい人にあったかのような錯覚を覚えてしまった。

 物語は非常に単純でVシネマのストーリーとあんまり変わらないレベルなんだけど、ど派手なストリートレースと多彩なゲストたちは一見の価値あり。千葉真一もやくざ役でドスをきかせてます。面白かったのは車好きのショーンが「ドリフト」を知らないってくだり。確かにアメ車はドリフトなんかしそうなイメージがないし、洋画のカーチェイス場面ではアメ車はつるつる滑っているがひっくり返りそうに揺れている(笑)。

ジャスティン・リン監督。2006年アメリカ映画。

2007年10月20日 (土)

マイアミ・バイス (2006)

マイアミ・バイス マイアミ警察の潜入捜査官ソニー(コリン・ファレル)とリカルド(ジェイミー・フォックス)は、FBIやCIAなど各機関に顔が割れてないことからドラッグ密輸の潜入捜査を行うことになる。ところがソニーは敵の美女イザベラ(コン・リー)と愛し合うようになり…

 80年代の有名なテレビシリーズの映画化。とはいっても名前は有名でも見てなかったために、映画の冒頭からいきなり置いて行かれる羽目になってしまった。とにかくこの映画、状況説明少なくいきなりすっとばずので、主役のソニーとリカルドに感情移入できないまま物語がぽんぽん進んでいくのがきつかった。

 それでも中盤はそれなりに楽しめたのは、敵の美女イザベラとソニーが微妙な関係になったあたりからか。小型機を2機ランデブーさせたり、高速艇を使ったアクションは面白かったけど思ったほどは盛り上がりに欠けて残念。ところでこの二人、フェラーリが愛車ってのは危険手当はかなり莫大なんかな?

マイケル・マン監督。2006年アメリカ映画。

2007年10月18日 (木)

マッチポイント (2005)

マッチポイント 元テニスプレイヤーのクリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、金持ちの一族のトム(マシュー・グード)のコーチをすることになる。幸いトムの妹クロエ(エミリー・モーティマー)に見初められたクリスは一族の会社へ入り上流階級入りを果たすが、トムの婚約者のセクシーなノラ(スカーレット・ヨハンソン)に出会ったことから運命が狂い始める…

 ウディ・アレン監督の「陽のあたる場所」あるいは「太陽がいっぱい」? いきなりテニスボールがネットに引っかかるシーン、そして繰り返されるオペラが雰囲気満点。上流社会に入ったクリスがじわ?っと変貌していく様子。そして手に汗握る展開はなかなかスリリング。スカーレット・ヨハンソンのいかにも男好きしそうな雰囲気が説得力あります。彼女はやっぱりただ者じゃない。終盤の刑事のやりとりや、幽霊との会話もにやりとさせられる。

 とまぁ随所にアレンを連想させるシーンがちりばめられてはいるけど、全体としては彼らしくないとても楽しめる娯楽作になっているのが良い。アレンは苦手、という方には本作と「ギター弾きの恋」をおすすめしたいかな。

ウディ・アレン監督。2005年イギリス=アメリカ=ルクセンブルグ合作。

2007年10月17日 (水)

2番目のキス (2005)

2番目のキス 高校教師のベン(ジミー・ファロン)とキャリアウーマンのリンジー(ドリュー・バリモア)は社会見学の際に知り合いデートするようになる。ところが野球チーム ボストン・レッドソックスの年間指定席を持つほどの熱狂的なファンのベンはシーズンが始まると彼女をそっちのけで野球に没頭。次第に歯車がかみ合わなくなるのだったが…

 ニック・ホーンビィの原作(こちらはサッカーなのだそうだが)を脚色したラブコメディ。いわゆる野球オタクをカレシにしたらどうなるか…を克明に描いたかのような映画で、これは野球に限らず何かの趣味に没頭している人間に彼女ができてどちらを優先するか悩む…という人類不変のテーマ(笑)である。

 それにしても、レッドソックスのファンの明るいことには救われる。あのスタジアムなら行ってみたいもんだ。タイガースファンとはひと味違う雰囲気が楽しめるかも。ドリュー・バリモアと趣味とどっちを取るかと言われたら、最初は絶対バリモアだけど時間が経つと…確かにわかんないかもしれない(笑)。

 ところで始球式にスティーブン・キングが出てたけど、遠目で顔がはっきりわからなかった。あれ本物?

ボビー・ファレリー、ピーター・ファレリー共同監督。2005年アメリカ映画。

2007年10月16日 (火)

ピストルオペラ (2001)

ピストルオペラ 組織「ギルド」に所属する殺し屋「野良猫(江角マキコ)」は代理人の上京(山口小夜子)から、組織のナンバーワンである百目の殺しを依頼される。ところが誰も百目の正体を知らなく…

 なんじゃこりゃ?と叫びたくなるような珍作。鈴木清順らしい妙にポストモダンな雰囲気や、無国籍さ。そして毒々しい色使いやカット割りなどが楽しめるといえば楽しめるのだが、何か感覚的なズレを感じる。これだけの舞台を用意しながら、江角マキコに「ちゅ?ちゅ?たこかいなぁ」という台詞を言わせるあたりに首をかしげてしまうのである。やっぱ鈴木先生もかなりのお歳になられたということだろうか。

 最近訃報が流れた山口小夜子が出てるけど、この映画を見る限りかなり若かったのかなぁ。他に主人公につきまとう少女に韓英恵、殺し屋たちに永瀬正敏、沢田研二、平幹二朗らが出てます。

鈴木清順監督。2001年日本映画。

2007年10月13日 (土)

太陽の王子 ホルスの大冒険 (1968)

太陽の王子 ホルスの大冒険 オオカミの群れに襲われた少年ホルス(声:大方斐紗子)は岩でできた巨人モーグに助けられる。ホルスはモーグの肩に刺さったトゲを抜いてやるのだが、それは使いこなすと太陽の王子になれる「太陽の剣」だった…

 小学生の頃に学校の映画会で見てかなり印象に残っていた作品に再会。ホルスが草むらをすべり降りる場面とか、太陽の剣を抜く場面(エクスカリバーみたい)、そして敵をスパっと斬るシーン(相手が氷のマンモスだとは記憶してなかったのだが)などを断片的に覚えていたのだが、それらがすべて頭の中でつながった。まさにトゲが抜けたかのようなすっきり感である。

 子供の頃はあまり考えなかったんだけど、北欧のどこかといった無国籍感がいい雰囲気を作っている。屈折した悪魔も妹ヒルダ(市原悦子)ってのもいいね。少年の成長を描いた、文字どおり夢のある冒険談です。

高畑勲監督。1968年日本映画。

2007年10月12日 (金)

地上最強のカラテ Part2 (1976)

地上最強のカラテ Part2 実戦を重視してケンカ空手と呼ばれる極真会。大山倍達の肝いりで、アメリカの支部へ渡っていった三浦美幸。そして熊殺しのウィリー・ウィリアムズの日常を追ったドキュメンタリー。もちろん空手選手権大会の様子も伝えられる。

 あの「地上最強のカラテ」に続編があったのは知らなかったのでびっくり。というわけで約30年の時を経て続編を見てしまったわけだが、前回の感想と違って「意外と面白いやん、これ」と思ってしまった。

 さすがに70年代の映画だけに、三浦美幸の髪型がなんとも時代がかっていたり、大山倍達が若かったりといろいろあったけど、カラテの鍛錬が見せる本物の迫力には圧倒されっぱなし。それだけにラストのウィリー・ウィリアムズの熊殺しはちょっと残念だったな。熊に戦闘意欲がない(笑)。あれじゃ熊がかわいそうだ。それに決着が描かれてないくせに、ナレーションで「ついに極真は熊を仕留めた」はないんじゃないの。

後藤秀司監督。1976年日本映画。

2007年10月11日 (木)

修羅雪姫 (2001)

修羅雪姫 何百年も鎖国が続く某国で、刺客として育てられた雪(釈由美子)だったが、ある日彼女の母を殺したのはリーダーの白雷(嶋田久作)だったことを知る。組織を逃れた雪は瀕死のところを隆(伊藤英明)という青年に救われたのだったが…

 小池一夫・上村一夫による劇画の2度目の映画化。前作はなんと藤田敏八監督、梶芽衣子主演だったというから驚いた。こちらの方が見てみたくなったりして(笑)。

 内容は完全にVシネマしていて、架空の国と時代を背景にした無国籍アクション。ドニー・イェンによるアクションなのだそうだが、ストーリー自体に魅力が少なく思ったほどスケールが大きくならなかったところが辛い。それでも産業革命を思わせるような町並みは面白い造形で頑張ってはいるのだが。

 アイドルの釈由美子が主演ってことで、彼女の映画(ドラマ)は初めて見たのだが彼女って意外と美人じゃないところが魅力的なんじゃないかと思った。寡黙なヒロインがよく似合っている。相手役の伊藤英明は、私の中では陰陽師のイメージがちょっと強すぎて何か違うって感じ。

佐藤信介監督。2001年日本映画。

2007年10月 9日 (火)

バーバー吉野 (2003)

バーバー吉野 山間の小さな町では、小学生はみんな「吉野刈り」と呼ばれるおかっぱ頭にするのが慣わしだった。ところが東京からかっこいい転校生がやって来て、吉野刈りを嫌がったことから騒動が起こり…

 荻上直子監督の長編デビュー作品。吉野刈りを奨励する床屋のおばちゃんにもたいまさこが扮する。神戸で育って中学時代に市ぐるみで丸刈りを強要された過去を持つ(笑)oga.としては、ただ笑って見てられない複雑な感情を持ってしまった。さすがに今となっては親の目でこの映画を見るのだが、「子供を守る」という名目だけではなく妙に意地になってしまっている大人の姿がおかしいです。子供たちにとってはいい迷惑といったところか。

 とはいっても、憎たらしいはずの吉野のおばちゃんがふだんは良いおばちゃんしてたり、地域が子供を育てるという昔ながらの風習が残ってたりとこの町には何とも言えない良い環境が残ってます。小学生の描き方も、生き生きしていて良かったです。

荻上直子監督。2003年日本映画。