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2015年5月10日 (日)

カミロ・ホセ・セラを読む/スペイン雑談集 (28)

4882024802 カミロ・ホセ・セラはガリシア地方出身のスペインの作家。1916年生まれの2002年没ということで、思いっきりスペイン内戦やフランコの時代とかぶっているのだが、私が読んだ範囲では作中には表面的にはそのあたりの描写は出てこない。当然といえば当然のことかもしれないが。ノーベル文学賞を受賞した「二人の死者のためのマズルカ」や、処女作である「パスクァル・ドゥアルテの家族」などもとんでもなく面白いが、今回彼にはまってしまったのはその紀行文である。セラ作品にはスペイン内陸部を旅した紀行文が多いのである。

 最近筆者がスペインにはまってしまってからは、頭の中にはスペインの箱庭みたいなものができてしまっている。イベリア半島の四角い(正確には台形なんだろうけど)箱庭で、その中で起こるいろんな出来事を俯瞰するかのように見ているのが私のイメージである。そのイメージは以前に紹介した「南蛮のみち」では司馬遼太郎と共に箱庭の中を旅するイメージなんだけど、残念ながらそこに住むスペイン人の方々については外から観察しているのに過ぎない。その住民の内面に踏み込んで行こうと思えば、やはりスペイン人作家による著作を読むしかないのだが、そのあたりがこのセラの作品とぴたっと符合してしまったという感じである。

 セラの紀行文は、イベリア半島を旅しながら書かれた。なぜ旅をするのかとか目的は見あたらない。ただ汽車に乗り、バスに乗り、そして交通機関がない場所では歩く。泊まれる宿があれば泊まるし、なければ野宿する。箱庭を旅する感覚にぴたっとはまって、読んでいるとイメージがぐんぐん広がっていくのである。でもたぶん、スペインに興味のない人が読んでもストーリーもないしまったく面白くない文章だろうなというのも想像できる。そういう場合は、前述の「パスクァル・ドゥアルテの家族」あたりから読み始めた方がいいかもしれない。

 見知らぬ土地への旅人に、物珍しげについてくる子供たち、物乞いをする乞食、親切に荷車に乗せてくれる農夫、そして褐色のメセタと呼ばれる大地の描写など、その表現はどこか乾いているんだけど生々しい。このままずっと、この土地を旅していたい気分にさせられる。本当は、生活苦や貧困の問題などがこの地には横たわっているんだろうけど、表面上はからっとしていて、それが当たり前だと言わんばかりの雰囲気が心地よい。何だか自分が育った昭和の、ちょっぴり貧しかったんだけど、それが当たり前として生きていた時代を思い出させてくれるのである。

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2015年4月21日 (火)

南蛮のみちI/II/スペイン雑談集 (26)

Namban
 司馬遼太郎氏といえば歴史作家として有名だが、その著書の中でスペインに関する紀行文を書かれている。有名な「街道をゆく」シリーズの中の「南蛮のみちI」「南蛮のみちII」がそれで、長い間読もう読もうと思いつつもほったらかしになっていた。それを今回やっと読む機会があったのだが、これほどわかりやすく面白いスペインの歴史の本を読んだのは初めてで目からウロコの思いがしたので報告しておこう。

 司馬遼太郎氏のこのときの旅の目的は、日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルの足跡をたどることである。ザビエルは最も有名なスペイン人のひとりとしてあげられることが多いが、実際はバスク人である。バスクはフランスとスペインの国境であるピレネー山脈に古くから住む民族で、長年国家の力関係とはあまり関係の無いところで過ごしてきた。今でこそバスクの真ん中に国境線が走り、半分はフランス、半分はスペインということになっているが、実際はバスクはバスクであり国境とは関係ない。

 そんなバスク人のザビエルが、生まれたハビエル城(志摩スペイン村に実物大のレプリカがあります)を敗戦で明け渡しパリのカルチェ・ラタンに留学して学友のロヨラとイエズス会を立ち上げ、キリスト教を広めるためにポルトガルのリスボンから出航する。旅の順序こそパリからスタートしてスペインが読みたい筆者としては最初はいらいらさせられたけど、読み進むにつれて何で私はスペインにこだわってるんだろうって気になってくるから不思議である。古きヨーロッパに国境は無意味。歴史はまわりの国々とのかかわりなのである。

 ちなみに「南蛮」とは、スペイン・ポルトガルをひっくるめた言葉。南蛮文化はスペイン・ポルトガルから渡来した文化である。司馬遼太郎の文章は小説であろうと紀行であろうと、途中でことごとく脱線して雑学の花が咲くのがお約束なのだが、本作も例外ではない。そしてスペイン・ポルトガルの地を旅しながらも、話は戦国時代から現代の日本へとぴょんぴょんと飛びまくる。信長のポルトガル好きとか、リスボンと大阪の類似点とか、姫路城と南蛮船の関係とか、本書とにかく歴史を読むわくわく感をたっぷり感じさせてくれる。気がつくと何てスペインと日本は近かったのかという気分にさせられるから不思議である。

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2014年12月15日 (月)

くるくるバルセロナ/スペイン雑談集 (11)

 「海外で住んでみたい都市はどこ?」と質問されて、いつも答えているのが「バルセロナ」。とはいっても私が知っているバルセロナは20年も前なので、今ではすっかり観光地化されて、なんと住んでいる人よりも観光客の方が多いのではないかと言われているらしい。そんなバルセロナに、10日間住んでみたという本が面白かったので、今回は紹介してみようと思う。
くるくるバルセロナ
著者 : k.m.p. (著)
出版社名 : JTBパブリッシング
発行年月 : 2013年 04月
ページ数 : 79P
 著者のk.m.pとは、なかがわみどり・ムラマツエリコという二人組のユニット。旅行記以外にも、絵本やエッセイやキャラクターグッズやいろんなものを出している。この「くるくるバルセロナ」という本は、そんな二人が10日間だけバルセロナにアパートを借りて住んで、どんなことが起こったかをマンガとイラストをふんだんに使って描いた本である。

 普通に旅するとガウディの作品群を見てバルで飲み食いしてピカソ美術館へ行ってバルセロナブランドのお買い物をしておしまい…ってところだろうけど、さすがに10日間といえどもアパートを借りるとなると面白いエピソードがてんこ盛り。特に海外旅行の醍醐味は、現地のスーパーや雑貨屋をぶらぶらして面白いものを見つけること、そして食べることだと思っている私としては、思わず身を乗り出しそうになるエピソードが満載である。これを読んだら、10日と言わず、半年ぐらいは住んでみたいなと思わされるバルセロナの街でありました。

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