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2021年7月20日 (火)

JAZZ名盤紹介:ビリー・ホリデイ『レディ・イン・サテン』



ビリー・ホリデイという歴代最高峰に位置するシンガーを聴く時、多くの方は彼女の波乱万丈な生涯という“ストーリー性”を関連付けて聴いてしまいがちですよね。

壮絶な彼女の人生からして、それは仕方が無いことかもしれませんが、そのようなバック・ボーンが聴き方に影響するのも事実。

そのバック・ボーンを一切無視した上でこのアルバムを聞いたとき、人々はどう感じるのでしょうかとふと考えたことがあります。

若い時の彼女の歌声は屈託の無い明るさで唄うことに対する喜びが溢れていたのですが、晩年のビリー・ホリデイにはどんな明るい歌を唄っても、ある種の“凄み”みたいなものを感じます。

特に今作の1曲目の“恋は愚かと言うけれど ”という曲、フランク・シナトラがヒットさせた曲なのですが、この曲を歌うビリー・ホリデイには背筋がゾクゾクするような凄みがあります。

晩年といってもビリー・ホリデイはこの時40代前半。
シンガーとしてはまだまだこれからとも言える年齢なのですが、彼女の場合はびっくりするぐらい老け込んでしまい、ハリが無く枯れた声なのです。
また音程も不安定な感じで、お世辞にも“上手い”とは言えないのですが、それが逆にこの曲に“凄み”を加えているのは間違いありません。

波乱万丈な彼女の人生というストーリーを知らなくてもこの凄みは伝わると思います。

壮絶な人生で身も心もボロボロになった女性が

“あなたをほしがるなんで私はなんで愚かなのだろう。。。”

と哀しげに唄いだした時、自分の全ての感情がビリー・ホリデイの声に持っていかれます。

ここまで情感溢れる歌声は他で聴くことはなかなかできません。

これが晩年のビリー・ホリデイの凄さなのでしょう。

こんな歌を聴かされてしまったら、もう虜になるしかなく、その後で誰の歌を聞いても軽く聴こえてしまいます。

ビリー・ホリデイが何故、今でも女性シンガーとしてトップだと言われ続けている理由のひとつがここにあるのだと思います。

1曲目のインパクトが強すぎて、その後の歌が多少かすんでしまいますが、個人的にこのゾクゾク感を体験したくてこのアルバムをよく聴きます。

テクニックや音響技術だけじゃ伝わらない不世出のシンガー、ビリー・ホリデイの全身全霊を込めて唄った“歌”を魅力をこのアルバムで感じていただけたら幸いです。

ビリー・ホリデイ『レディ・イン・サテン』は、
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